JP2019164920A - 電子銃 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子銃の高輝度化と長寿命化を達成する。【解決手段】主としてLaB6またはCeB6を元にした電子銃陰極材料105を用いた電子銃に関する。電子銃陰極材料105を保持する真空室内部に、メタンガスまたはエタンガスを1×10−4pascal以下の真空分圧となるように流入せしめて、1000℃から1500℃の温度範囲で加熱する。【選択図】図1

Description

本発明は、電子ビーム描画装置などに用いられる電子銃に関する。
半導体リソグラフィ技術は従来、元図となるマスクを電子ビーム描画装置で作成し、そのマスク画像を光によって半導体基板(ウェハ)に転写する写真製版技術(光リソグラフィ)が主に使われてきた。光リソグラフィ技術では、光の波長が短くなることで解像性が向上する原理から、光の波長は微細化の進展とともに短波長化が進み、g線(波長436nm)からi線(波長365nm)と変遷し、微細化、高集積化、コスト低減を果たしてきた。現在は波長が193nmのエキシマレーザー光が使われている。今後さらに短波長の13.4nmの極短紫外線を用いたリソグラフィ技術が開発されている。
一方、マスクは、半導体の微細化の進展に伴って開発コストが増大の一途をたどり、1品種のLSI当り数億円までになって来ている。電子ビーム描画装置はパターン発生機能を有する特徴からマスク開発に使われてきた。しかし、光の波長以下の転写性を実現する超解像技術の導入や、高集積化に伴うマスクデータの肥大など、光リソグラフィ技術の進展に伴って処理時間が増大し、マスク1層当り数十時間を要するようになってきている。
電子ビーム描画方式は、細く絞った電子ビームによる一筆書きと呼ばれる方式にはじまり、可変矩形方式と呼ばれる、数平方ミクロンを一括描画する方式など、描画方式を発展させてきた。しかし、現行の可変矩形ビームでは、近年マスクパターンがますます微細化するのに同期して、使用できる可変矩形ビームの縦幅と横幅は小さくなっていく。そのためにショット数は加速度的に厖大化し、マスク一層あたり200時間(8日)以上かかるものも出現している。
そこで、マスク描画処理時間の短縮を通じて、マスク価格の高騰を抑える目的や、高価なマスクを介さないで、電子ビーム描画装置によるウェハへの直接描画を実現する、マスクレスリソグラフィ技術が注目されるようになり、複数の電子ビームを用いて並列に描画処理するマルチビーム型の装置が提案され、処理能力を数十倍以上にすることが期待されている。
マスクレスリソグラフィ技術では、産業上有益な処理能力は、300mm直径のウェハを1時間当たり10枚以上描画処理することが必要とされている。そのためには、電子ビーム1本当たりの処理能力から、略100本ほどの電子ビームによるマルチ電子ビーム描画装置の実現が求められる。したがって、300mmウェハ上に100(10×10)本の電子ビームを発生させるには、30mmピッチ以下で電子ビームを同時に複数発生させる技術が求められる。30mmピッチ以下で電子ビームを同時に発生させると、隣接する電子銃の電界が電子銃間で互いに影響しあうので、電子銃のサイズは20mm以下であることが望ましい。
電子ビーム描画装置の処理能力は、電子ビーム強度に比例し、感光物質であるレジストの感度に反比例する。電子ビーム描画装置では、電子間相互作用のために、大きな電流でビームがぼけてしまうので、電子ビーム1本あたり略1μAの電流値に制限しなければならない事情がある。
一方、極微細(15nmから10nmの線幅)なLSIパターンは、感度が低いレジスト(100μC/cm前後)によらないと、意図した描画精度が得られないと考えられる。これらの制約から、略600cmある300mmウェハは、60,000秒以上の描画時間がかかる計算になる。略100本のマルチコラムではこれを600秒以下とすることができる。
このような電子ビーム描画装置の電子銃として、従来使用されてきたものはLaBまたはCeBの円錐台形形状の熱電子放出型電子銃であった。先端の円錐台形部の直径は50μmφであって、円錐台形の傾斜角度は、60度程度であった。この電子銃は、1×10−6pascal以上の真空下において1600℃程度で加熱をして用いていた。この時の輝度は50kVで1×107A/cmsteradianであり、かなり大きな輝度であったが、1600℃では、LaBまたはCeBの昇華によって、70μm/700時間(1ヶ月)の減耗が発生した。そこで、先端の円錐台形部の直径が最初50μmであったものが10μmから20μmに先鋭化されるので、輝度はさらに大きくなるが、照射均一性が劣化する。すなわち、狭い範囲しか均一に照射されなくなるので、パターン精度が劣化する。このために、LaBまたはCeBを使用した電子銃の寿命は1ヶ月程度しかなく、通常半年から1年の寿命が必要である電子ビーム描画装置では、基本的に不十分であった。このために、10個のLaBまたはCeB電子銃を回転交換可能な、ターレット電子銃ユニットなどを使用しているシステムもあった。
しかしながら、前項に記載する10個のLaBまたはCeB電子銃を回転交換可能な、ターレット電子銃ユニットでも、電子銃使用時間に追従して先端の形状がどんどん変化する事が大きな課題であった。
このような状況下において、従来のLaBまたはCeBよりも数十倍以上の高い輝度と、6ヶ月以上の長寿命性を同時に具備している電子銃が産業界で必要とされていた。
特許公開平8−212952号公報 特許公開平6−181029号公報
電子・イオンビームハンドブック第3版 日本学術振興会第132委員会編編集委員長 裏克己 日刊工業新聞社平成10年10月28日 P119 図4.
電子銃の高輝度と長寿命を同時に成立させる。
本発明にかかる電子銃は、LaBまたはCeBをもとにした熱電子放射材料を用いて、加熱し、熱電子を放出する状態において、メタンガスまたはエタンガスを電子銃室の内部に真空内部のガス分圧が1×10−4pascal以下の流量を流して使用することを特徴とする電子銃である。このことによって、連続的に大きなエミッション電流を得ることができる。なぜこのように大きなエミッション電流を得ることができるようになるかという原理については後述するのでここでは詳述しないが、高輝度の電子銃が得られる。
LaBまたはCeBに炭化水素系のガスを流して、1000℃から1500℃に加熱すると、ガスを流さない場合の放出電子量の30倍から100倍のエミッション電流が得られるようになる。炭化水素系のガスには、メタン、エタン、プロパン、ブタンがある。電子銃室に流した場合に、LaBのエミッション電流値を大きくする効果はこの4種類のガスには共通した性質であることが実験的に判っている。
しかし、プロパンガスでは、4×10−4pascal以上のガス分圧が必要となる。ブタンではさらに1×10−3pascal以上のガス分圧が必要となる。原因は不明だが、ガス分圧とLaBまたはCeBの蒸発量の間には概略の比例関係があるために、これらのガスではLaBまたはCeBの蒸発量が大きくなり、電子銃の寿命が短くなるので炭素数が3または4であるプロパンガスまたはブタンガスは不適切である。従って、炭化水素ガスは分圧を低くできるメタンガスが最適であるが、エタンガスでも十分使用できる。
本発明によれば、電子銃の高輝度化と長寿命を同時に成立させることができる。
本発明の実施形態の1について示す図である。 本発明の電子銃にガスを入れた状態を示す図である。 本発明の実施形態の2について示す図である。 微小ガス流量制御機構の実施形態1の動作説明図である。 微小ガス流量制御機構の実施形態2の動作説明図である。 本実施形態でのエミッション電流増大の原理説明図である。 本実施形態でのエミッション電流増大の原理説明図の2である。 レニウムカバー電子銃の説明図である。
本発明を実施する形態(実施形態)について、図を参照しながら説明する。
「実施形態の特徴」
半導体(LSI)製造工程の回路パターンを描画するリソグラフィ分野で活用される電子ビーム描画技術において、処理能力を飛躍的に高めるために熱電子銃の熱電子放出電流強度の強い高輝度かつ長寿命の電子銃の実現を可能とする。現状において、電子ビーム描画装置では、処理速度を高速化するために、電子銃を多数個搭載したマルチコラム型電子ビーム描画装置を必要としているが、マルチコラム化する前に1個の電子銃の輝度と寿命の積を最大限高めることが望ましい。
電子銃が高輝度であるためには、いわゆる仕事関数が小さいか、リチャードソンダッシュマン係数が大きい必要がある。仕事関数は、物質内部から真空中に電子を放出するためのエネルギーをeV単位で表した値である。この値が小さいほど電子を放出しやすい。
リチャードソンダッシュマン係数は、電子放出面の電子発生効率を示すもので、この値が大きいほど、電子放出が大きい。この両者のつり合いによって、エミッション電流が最大となる。本実施形態では、主に仕事関数は小さくせず、リチャードソンダッシュマン係数を飛躍的に大きくすることを意図するものとする。
従来使用されているLaBまたはCeB電子銃はリチャードソンダッシュマン係数が100程度と小さいので、高輝度で使用する場合、高温化し温度を1600℃付近に昇温して使用するために、蒸発量が多大であり寿命は700時間程度しかなかった。1600℃付近の使用では、一時間に約0.1μmの蒸発量があり、約1ヵ月に相当する700時間では70μmの蒸発量となる。このため、高圧電界印加の為、LaBの先端を角度60度の円錐台形で、先端平面は直径50μmの円形平坦面にした従来型の電子銃では、1600℃で700時間使用すると、先端が減耗して先端平面の直径が小さくなる、また、減耗した分、先端部の高さが低くなり、電子が出るための高圧電界が印加しにくくなる。本実施形態ではリチャードソンダッシュマン係数が従来の30倍から100倍であるために温度を1000℃から1500℃とでき、1600℃と比較して100℃から500℃低く使用できるので、蒸発量が10分の1から、100分の1と小さく、高輝度であっても寿命が6ヶ月程度と長く安定である。なお、温度は、1300℃〜1400℃の範囲が特に好適であり、その場合、従来と比較して、200〜300℃低い温度にできる。
「実施形態の構成」
以下の文においてメタンガスとエタンガスの説明はほぼ同様であるためにメタンガスのみで説明するが、実施形態と効用においてメタンガスとエタンガスは、ほとんど同様である。また、LaBとCeBは説明がほぼ同様であるためにLaBのみで説明するが、実施形態と効用においてLaBとCeBは、ほぼ同様である。
図1は、本実施形態の電子銃の実施形態の1を説明する図である。
メタンガスボンベ101からメタンガスが臨機的または連続的に供給される。メタンガスはガス圧力調整器102をとおして、微小ガス流量制御機構103を用いて電子銃室に接続する真空室108(電子銃室側よりもガス分圧が高い下流側の真空室)に流入させられる。電子銃からエミッション電子流が出ている状態で、メタンガスに電子が当たると、メタンガスは電離してイオン化し、CH ,またはCH というイオンとなる、このイオンは陰極である電子銃にぶつかりLaBと反応する。供給するガスの量は、電子銃からの電子の放出量が大きいほど多くするとよい。
LaBは硼素とランタンが結晶を形成している。炭化水素であるCH またはCH 中の水素原子は硼素原子と反応し、モノボランBH、ジボランBの形で真空中に蒸発していく。その結果LaB結晶表面近傍の硼素格子は破壊してランタン原子が液滴となってLaB結晶表面に析出し、付着した状態になる。
上記の反応で余った炭素原子はランタン原子液滴層に取り込まれ炭素原子がランタン原子同士を強力に結合せしめる。ランタン原子は融点が920℃であり、1200℃以上では有限の蒸気圧を有しているので、真空中へ蒸発しようとするが、炭素原子がランタン原子同士を結合せしめているので蒸発速度は著しく低くなっている。
図1に戻ると、真空チャンバーは隔壁104bで電子銃室106、電子銃室に隣接する真空室108に分離され、隔壁104aで、電子ビーム描画装置の電子レンズおよび偏向器を具備する真空室109の真空室に分離されている。なお、隔壁104bは電子銃陰極材料105の先端に対面する位置に中心微細孔が形成され、さらに隔壁104aにも対応する部分に中心微細孔が形成されることで、電子銃陰極材料105の先端部分からのエミッション電子流(電子ビーム111)が下方に向けて放出される。メタンガスは真空室108に入り、隔壁104bの中心微細孔約1mmΦを通過して電子銃室106に入る。
電子銃室106にはLaB結晶からなる電子銃陰極材料105が中心軸上に設置されている。電子銃室106はターボ分子ポンプ107aで真空引きされている。電子銃室106に隣接する真空室108はターボ分子ポンプ107bで真空引きされている。電子ビーム111は3つの真空室である、電子銃室106、真空室108、真空室109を順次通過する。静電偏向器112と電磁レンズまたは磁界偏向器113を格納する真空室109で電子ビーム111は収束及び偏向され、描画に使用される。真空室109はターボ分子ポンプ107cにて真空引きされる。3つのターボ分子ポンプ107a、107b,107cは粗引きポンプ110にて真空引きされる。
電子銃陰極材料105に所定の負の電圧を印加した状態で、電子銃陰極材料105の温度が1000℃から1500℃に維持する。これによって、電子銃陰極材料105から電子(熱電子)ビームが射出される。
図2は本実施形態の電子銃にガスを入れた状態を示す図である。真空室108内に導入されたメタンガス202は電子ビーム201によってイオン化しCH 、CH となる。イオン203は電子銃陰極材料105が負の電位を有するために電子銃に向かって引き寄せられる。
図3は実施形態の2について示す図である。本図は実施形態1と比較して酸素ガスボンベ系統が一つ追加されている。すなわち、酸素ガスボンベ301から出た酸素はガス圧力調整器302を通して微小ガス流量制御機構303を通して流量及び分圧が微妙に調整される。メタンガスと酸素ガスを併用する理由はランタン原子液滴層の結合力を強めるためである。なお、メタンガスまたはエタンガスとともに酸素ガスを内部のガス分圧が2×10−5pascal以下となる流量で臨機的または連続的に流すとよい。また、これらガス流量は、電子銃陰極材料105からの電子の放出量に応じて変化させることが好ましい。すなわち、電子の放出量が大きいほどガス量を多くするとよい。
図4は微小ガス流量制御機構103の実施形態の1を示す。微小ガス流量制御機構に流入するガス401は最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微小ガス流路402のみを通過して、微小ガス流量制御機構を流れ出ていくガス406となる。ここで微小ガス流路402の最小断面積S0は、30平方μmであり、長さLは20mmである。図の403は電気信号によって駆動される微細開口403の流量を遮断または通過せしめる駆動弁408によって遮断されている。同様に図の404は電気信号によって駆動される微細開口404の流量を遮断または通過せしめる駆動弁409によって遮断されている。同様に図の405は電気信号によって駆動される微細開口405の流量を遮断または通過せしめる駆動弁410によって遮断されている。
図の403の微小開口の断面積は60平方μmであり、404の微小開口の断面積は120平方μmであり405の微小開口の断面積は240平方μmである。これによって、4つの微小開口断面積は0から450平方μmまで30平方μm毎に1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍まで16種類の流量を選択できるので、微小流量が電気的に制御できる。ここで全ての微細流路の長さは共通のL=20mmである。図の4の上図では、メタンガスが流れることのできる微細流路の総断面積は30平方μmである。図4の下図では、メタンガスが流れることのできる微細流路の総面積は210平方μmである。このように図4では30平方μm の整数倍、すなわち2進数表示された整数倍の流量が選択出来る。
図5は、微小ガス流量制御機構の実施形態2の動作説明図である。実施形態1と異なる点について述べる。微細流路は501から510まで全て断面積S0は同一断面積であって、流路の長さはL=20mmで全てのガス流路の通過流量は等しい。図の511は電気的に可働する併進駆動による弁であり、全ての流路を遮断すると完全遮断となる。最小流量を1とすると、1から単位1で10通りの流量が制御できる。単位流量の7倍の流量を通過させることができるのが併進駆動による弁512の状態である。微細流路501から507まではガス(気体)を通過せしめ、508から510の微細流路は全て遮断する併進駆動弁は512である。
図6は本実施形態でのエミッション電流増大の原理説明図である。通常のLaB結晶601は電気陰性度2.04の硼素原子6個からなる正八面体が8個で一つの空間的立方体を構成した格子結晶を形成している。この格子結晶の中心に一つのランタン原子が存在する。ランタン原子の電気陰性度は1.1である。電気陰性度が大きいほど電子が引き寄せられるので、ランタン原子は電子を周囲の硼素に渡してプラスの電荷を持ちやすく熱電子放射がしやすい。しかしながら、硼素による結晶格子が存在するために端面から平面的に見た電子の放出しやすさであるリチャードソンダッシュマン係数は80〜100程度に留まっている。もしもランタン原子の液滴のみであれば、このリチャードソンダッシュマン係数は、さらに数十倍から100倍程度に大きくなることが予測されていた。我々はLaB結晶にメタンガスを作用させることによりLaB結晶の硼素結晶格子が完全に破壊し、ランタン原子液滴が剥き出しになることを実験的に確かめた。また、これによりリチャードソンダッシュマン係数が100倍程度に向上することも実験的に確認した。
LaB結晶601にメタン分子606がイオン化したものが引き寄せられ硼素原子がメタンガス内の水素原子と反応しモノボラン607、ジボラン608として真空内に飛散していく。この事でLaB結晶の表面付近の硼素結晶格子は破壊され、ランタン原子液滴が剥き出しになる。これが602であり、LaB結晶から析出したランタン原子液滴602はLaBの表面に付着している609と同一のものである。次に余剰の炭素原子がランタン原子液滴内に留まってランタン原子同士の結合力を強め、また、LaB結晶表面への結合を強める。これは図の610であり、図の603と同一のものである。
さらに酸素原子を導入するとランタン原子液滴内の結合能力が強くなる。そこで酸素分子611を電子銃室106に導入し、ランタン原子液滴層に吸収しランタン原子同士の結合力を強め酸素原子と炭素原子が協力してランタン原子液滴層をLaB結晶表面に固定している。このことは、図の612と604に示されている。
図7は本実施形態のエミッション電流増大の原理説明図の2である。電子銃陰極材料105の先端部に着目すると、LaB結晶701の表面はメタンガスイオン704によって硼素原子による結晶格子が破壊され、ランタン原子液滴が露出している。このランタン原子702液滴層は炭素原子703によってランタン原子同士の結合力が強くなる。また、LaB結晶への付着力も強くなる。これによってエミッション電流が通常LaBの100倍の強度を持つようになる。
図8はレニウムカバー電子銃の説明図である。通常のLaB結晶全体からLaBが蒸発するので、PG(パイロリティック・グラファイト)ヒーター803a、803bの上に降り積もりヒーター抵抗が時間と共に低くなり、一定電流を流し続ける場合に温度が時間経過と共に段々低くなる。そこでLaB結晶が直接ヒーターに蒸着しないように、LaBと直接反応しない高融点金属であるレニウムで構成したレニウムカバー802がLaB結晶を覆っている。すなわち、電子銃材料の実質的な先端部分(電子がエミッションされる部分)以外の部分をレニウムカバー802が覆う。また、LaB結晶の先端のみから熱電子が放出されるようにLaB結晶の側面と底面はレニウムカバー802とレニウムからできた裏蓋805によって被覆されている。804a、804bは把持具でありセラミック円板806に設置されている。本実施形態は図8のような形態でも使用でき、その場合には、LaB結晶801の先端部のみで主たる目的を達成する。すなわちエミッション電流の著しい増加はLaB結晶801の先端面とわずかに見える先端側壁のみで起こりレニウムカバー802に被覆されたLaB結晶801の円筒側面の大部分ではこの反応は起きずエミッション電流の増大もない。
この電子銃は、高輝度かつ長寿命で、安定に電子放出を行うために、通常電子ビーム描画装置に使用できる。また、電子銃交換をしないで寿命6ヶ月以上を達成できるために、マルチ電子ビーム描画装置に適した電子銃が実現できる。また、低真空度で使用しても寿命6ヶ月以上を確保できるため、低真空度で稼働するエックス線源電子銃にも使用できる。また、軸の直径を10μm以下として使用すれば、高輝度長寿命の走査型電子顕微鏡または、透過型電子顕微鏡の電子銃として使用できる。なお、低真空度でも使用できるので、電子ビームを用いた三次元電子ビーム溶接造形機でも電子銃として使用できる。
また、電子銃先端部は先鋭にとがらせてもよく、超微細パターンの描画装置や観察用電子顕微鏡に使用することも好適である。
以上により、電子銃として高輝度かつ長寿命を達成するので、本実施形態による電子銃は、電子ビーム描画装置、電子線顕微鏡、電子ビーム検査装置、エックス線発生機などを含んで、電子銃を元にした電子ビーム応用装置産業分野全般において多大な貢献をなす。
電子ビーム描画装置では1本の電子銃から従来のLaBまたはCeB電子銃の10倍以上の高輝度化が必要とされている。50kVで10A/cm2steradianの輝度が必要である。このために、従来のLaBまたはCeB電子銃の通常使用温度1500℃であったものを、1600℃まで高温化して使用する必要がある。このようにすると電子銃の寿命は短くなり、1ヶ月で70μm程度昇華し消耗してしまう。このために1ヶ月に一度程度の頻度で真空チャンバーを大気リークし電子銃の交換を必要としていた。しかし、本実施形態の1においてはメタンガスを1×10−5pascalを流し使用温度を1200℃とし、通常LaB結晶の1600℃相当の高輝度が得られていた。この事から高輝度かつ6ヶ月の寿命を達成できることが分かった。
従来の電子銃では、電子ビーム描画装置の保守に1ヶ月に1日の保守時間が必要とされていたが、本発明の電子銃では6ヶ月に1日の保守時間とできるため、保守費用を安く済ませることができる。
これをマルチコラム化し、マルチビーム化することによって、10nmから5nmの半導体製造の微細化が可能となる。さらに集積度が上がる事で微細パターンを持つ人工知能およびニューロン模倣に基づいた脳型コンピューター産業と自動運転車、各種ロボット、危険箇所作業用ロボット、介護用ロボット、対話型共存ロボット、大規模建築物と大規模工事を迅速に作業するロボット、人間の意識をアップロードしてその時点における人間の記憶意識、思考過程を写し取り、それ以降はその人間の思考方法と記憶を引き継いで生きる意識的に無限の生命を有する不老不死の人工脳など、将来の人工知能の巨大産業となる半導体産業を構築するために使用できる。
また、本実施形態の電子銃はエックス線放射装置にも使用でき、高輝度大電流長寿命の電子銃として全X線用電子銃として大きな力を発揮する。エックス線放射装置は交通機関における危険物発見用装置ならびに癌、脳出血、脳梗塞などを診断する健康診断用の用途で非常に巨大な市場を有している。以上を見たように本実施形態の電子銃は五兆円以上の巨大産業の中核を成すものとして貢献する。
101 メタンガスボンベ
102 ガス圧力調整器
103 微小ガス流量制御機構
104a、104b 真空室仕切り板
105 電子銃陰極材料
106 電子銃真空室
107a、107b、107c、 ターボ分子ポンプ
108 電子銃室に隣接する真空室
109 電子ビーム描画装置の電子レンズおよび偏向器を具備する真空室
110 粗引きポンプ
111 電子ビーム
112 静電偏向器
113 電子レンズまたは電磁偏向器
201 エミッションされた電子ビーム
202 メタンガスまたはエタンガス
203 メタンガスまたはエタンガスが分解してできたイオンでCH またはCH
301 酸素ガスボンベ
302 ガス圧力調整器
303 微小ガス流量調整機構
401 微小ガス流量制御機構に流入するガスの流れ
402 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
403 最小断面積S0の2倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
404 最小断面積S0の4倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
405 最小断面積S0の8倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
406 微小ガス流量制御機構から排出されるガスの流れ
407 電気信号によって駆動される微細開口402の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
408 電気信号によって駆動される微細開口403の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
409 電気信号によって駆動される微細開口404の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
410 電気信号によって駆動される微細開口405の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
411 電気信号によって駆動される微細開口402の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
412 電気信号によって駆動される微細開口403の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
413 電気信号によって駆動される微細開口404の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
414 電気信号によって駆動される微細開口405の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
501 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
502 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
503 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
504 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
505 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
506 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
507 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
508 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
509 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
510 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
511 併進駆動による弁であり、微細流路501はガスを通過せしめ、502から510の微細流路は全て遮断する併進駆動弁
512 併進駆動による弁であり、微細流路501から507まではガスを通過せしめ、508から510の微細流路は全て遮断する併進駆動弁
601 LaB結晶
602 LaB結晶上のランタン原子液滴層
603 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
604 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子と酸素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
605 LaB結晶
606 メタン分子
607 モノボラン
608 ジボラン
609 LaB結晶の硼素格子が水素原子と反応しモノボラン・ジボランを生成して蒸発し硼素格子が破壊したために、LaB結晶の表面に析出したランタン原子液滴層
610 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
611 酸素分子
612 酸素分子がランタン原子液滴層に衝突し酸素原子に分解し、炭素原子と酸素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
701 LaB結晶
702 ランタン原子
703 炭素原子
704 CH イオン
801 LaB結晶で半径の異なる円柱からなる電子陰極材料
802 レニウムカバー
803a、803b PG(パイロリティック・グラファイト)ヒーター
804a,804b 把持具
805 レニウムカバーにLaB結晶を固定するレニウムでできた裏蓋のめねじ
806 セラミック円板
マスクレスリソグラフィ技術では、産業上有益な処理能力は、300mm直径のウェハを1時間当たり10枚以上描画処理することが必要とされている。そのためには、電子ビーム1本当たりの処理能力から、略100本ほどの電子ビームによるマルチ電子ビーム描画装置の実現が求められる。したがって、300mmウェハ上に100(10×10)本の電子ビームを発生させるには、30mmピッチ以下で電子ビームを同時に複数発生させる技術が求められる。30mmピッチ以下で電子ビームを同時に発生させると、隣接する電子銃陰極の電界が電子銃陰極間で互いに影響しあうので、電子銃陰極のサイズは20mm以下であることが望ましい。
このような電子ビーム描画装置の電子銃陰極として、従来使用されてきたものはLaBまたはCeBの円錐台形形状の熱電子放出型電子銃陰極であった。先端の円錐台形部の直径は50μmφであって、円錐台形の傾斜角度は、60度程度であった。この電子銃陰極は、1×10−6pascal以上の真空下において1600℃程度で加熱をして用いていた。この時の輝度は50kVで1×107A/cmsteradianであり、かなり大きな輝度であったが、1600℃では、LaBまたはCeBの昇華によって、70μm/700時間(1ヶ月)の減耗が発生した。そこで、先端の円錐台形部の直径が最初50μmであったものが10μmから20μmに先鋭化されるので、輝度はさらに大きくなるが、照射均一性が劣化する。すなわち、狭い範囲しか均一に照射されなくなるので、パターン精度が劣化する。このために、LaBまたはCeBを使用した電子銃陰極の寿命は1ヶ月程度しかなく、通常半年から1年の寿命が必要である電子ビーム描画装置では、基本的に不十分であった。このために、10個のLaBまたはCeB電子銃陰極を回転交換可能な、ターレット電子銃陰極ユニットなどを使用しているシステムもあった。
しかしながら、前項に記載する10個のLaBまたはCeB電子銃陰極を回転交換可能な、ターレット電子銃陰極ユニットでも、電子銃陰極使用時間に追従して先端の形状がどんどん変化する事が大きな課題であった。
このような状況下において、従来のLaBまたはCeBよりも数十倍以上の高い輝度と、6ヶ月以上の長寿命性を同時に具備している電子銃が産業界で必要とされていた。
電子銃陰極が高輝度であるためには、いわゆる仕事関数が小さいか、リチャードソンダッシュマン係数が大きい必要がある。仕事関数は、物質内部から真空中に電子を放出するためのエネルギーをeV単位で表した値である。この値が小さいほど電子を放出しやすい。
リチャードソンダッシュマン係数は、電子放出面の電子発生効率を示すもので、この値が大きいほど、電子放出が大きい。この両者のつり合いによって、エミッション電流が最大となる。本実施形態では、主に仕事関数は小さくせず、リチャードソンダッシュマン係数を飛躍的に大きくすることを意図するものとする。
従来使用されているLaBまたはCeB電子銃陰極はリチャードソンダッシュマン係数が100程度と小さいので、高輝度で使用する場合、高温化し温度を1600℃付近に昇温して使用するために、蒸発量が多大であり寿命は700時間程度しかなかった。1600℃付近の使用では、一時間に約0.1μmの蒸発量があり、約1ヵ月に相当する700時間では70μmの蒸発量となる。このため、高圧電界印加の為、LaBの先端を角度60度の円錐台形で、先端平面は直径50μmの円形平坦面にした従来型の電子銃陰極では、1600℃で700時間使用すると、先端が減耗して先端平面の直径が小さくなる、また、減耗した分、先端部の高さが低くなり、電子が出るための高圧電界が印加しにくくなる。本実施形態ではリチャードソンダッシュマン係数が従来の30倍から100倍であるために温度を1000℃から1500℃とでき、1600℃と比較して100℃から500℃低く使用できるので、蒸発量が10分の1から、100分の1と小さく、高輝度であっても寿命が6ヶ月程度と長く安定である。なお、温度は、1300℃〜1400℃の範囲が特に好適であり、その場合、従来と比較して、200〜300℃低い温度にできる。
図1は、本実施形態の電子銃の実施形態の1を説明する図である。
メタンガスボンベ101からメタンガスが臨機的または連続的に供給される。メタンガスはガス圧力調整器102をとおして、微小ガス流量制御機構103を用いて電子銃陰極室に接続する真空室108(電子銃陰極室側よりもガス分圧が高い下流側の真空室)に流入させられる。電子銃陰極からエミッション電子流が出ている状態で、メタンガスに電子が当たると、メタンガスは電離してイオン化し、CH ,またはCH というイオンとなる、このイオンは陰極である電子銃陰極にぶつかりLaBと反応する。供給するガスの量は、電子銃陰極からの電子の放出量が大きいほど多くするとよい。
図1に戻ると、真空チャンバーは隔壁104bで電子銃陰極室106、電子銃陰極室に隣接する真空室108に分離され、隔壁104aで、電子ビーム描画装置の電子レンズおよび偏向器を具備する真空室109の真空室に分離されている。なお、隔壁104bは電子銃陰極材料105の先端に対面する位置に中心微細孔が形成され、さらに隔壁104aにも対応する部分に中心微細孔が形成されることで、電子銃陰極材料105の先端部分からのエミッション電子流(電子ビーム111)が下方に向けて放出される。メタンガスは真空室108に入り、隔壁104bの中心微細孔約1mmΦを通過して電子銃陰極室106に入る。
電子銃陰極室106にはLaB結晶からなる電子銃陰極材料105が中心軸上に設置されている。電子銃陰極室106はターボ分子ポンプ107aで真空引きされている。電子銃陰極室106に隣接する真空室108はターボ分子ポンプ107bで真空引きされている。電子ビーム111は3つの真空室である、電子銃陰極室106、真空室108、真空室109を順次通過する。静電偏向器112と電磁レンズまたは磁界偏向器113を格納する真空室109で電子ビーム111は収束及び偏向され、描画に使用される。真空室109はターボ分子ポンプ107cにて真空引きされる。3つのターボ分子ポンプ107a、107b,107cは粗引きポンプ110にて真空引きされる。
図2は本実施形態の電子銃にガスを入れた状態を示す図である。真空室108内に導入されたメタンガス202は電子ビーム201によってイオン化しCH 、CH となる。イオン203は電子銃陰極材料105が負の電位を有するために電子銃陰極に向かって引き寄せられる。
さらに酸素原子を導入するとランタン原子液滴内の結合能力が強くなる。そこで酸素分子611を電子銃陰極室106に導入し、ランタン原子液滴層に吸収しランタン原子同士の結合力を強め酸素原子と炭素原子が協力してランタン原子液滴層をLaB結晶表面に固定している。このことは、図の612と604に示されている。
図8はレニウムカバー電子銃の説明図である。通常のLaB結晶全体からLaBが蒸発するので、PG(パイロリティック・グラファイト)ヒーター803a、803bの上に降り積もりヒーター抵抗が時間と共に低くなり、一定電流を流し続ける場合に温度が時間経過と共に段々低くなる。そこでLaB結晶が直接ヒーターに蒸着しないように、LaBと直接反応しない高融点金属であるレニウムで構成したレニウムカバー802がLaB結晶を覆っている。すなわち、電子銃陰極材料の実質的な先端部分(電子がエミッションされる部分)以外の部分をレニウムカバー802が覆う。また、LaB結晶の先端のみから熱電子が放出されるようにLaB結晶の側面と底面はレニウムカバー802とレニウムからできた裏蓋805によって被覆されている。804a、804bは把持具でありセラミック円板806に設置されている。本実施形態は図8のような形態でも使用でき、その場合には、LaB結晶801の先端部のみで主たる目的を達成する。すなわちエミッション電流の著しい増加はLaB結晶801の先端面とわずかに見える先端側壁のみで起こりレニウムカバー802に被覆されたLaB結晶801の円筒側面の大部分ではこの反応は起きずエミッション電流の増大もない。
この電子銃陰極は、高輝度かつ長寿命で、安定に電子放出を行うために、通常電子ビーム描画装置に使用できる。また、電子銃陰極交換をしないで寿命6ヶ月以上を達成できるために、マルチ電子ビーム描画装置に適した電子銃が実現できる。また、低真空度で使用しても寿命6ヶ月以上を確保できるため、低真空度で稼働するエックス線源電子銃にも使用できる。また、軸の直径を10μm以下として使用すれば、高輝度長寿命の走査型電子顕微鏡または、透過型電子顕微鏡の電子銃として使用できる。なお、低真空度でも使用できるので、電子ビームを用いた三次元電子ビーム溶接造形機でも電子銃として使用できる。
また、電子銃陰極先端部は先鋭にとがらせてもよく、超微細パターンの描画装置や観察用電子顕微鏡に使用することも好適である。
電子ビーム描画装置では1本の電子銃から従来のLaBまたはCeB電子銃陰極の10倍以上の高輝度化が必要とされている。50kVで10A/cm2steradianの輝度が必要である。このために、従来のLaBまたはCeB電子銃陰極の通常使用温度1500℃であったものを、1600℃まで高温化して使用する必要がある。このようにすると電子銃陰極の寿命は短くなり、1ヶ月で70μm程度昇華し消耗してしまう。このために1ヶ月に一度程度の頻度で真空チャンバーを大気リークし電子銃陰極の交換を必要としていた。しかし、本実施形態の1においてはメタンガスを1×10−5pascalを流し使用温度を1200℃とし、通常LaB結晶の1600℃相当の高輝度が得られていた。この事から高輝度かつ6ヶ月の寿命を達成できることが分かった。
101 メタンガスボンベ
102 ガス圧力調整器
103 微小ガス流量制御機構
104a、104b 真空室仕切り板
105 電子銃陰極材料
106 電子銃陰極
107a、107b、107c、 ターボ分子ポンプ
108 電子銃陰極室に隣接する真空室
109 電子ビーム描画装置の電子レンズおよび偏向器を具備する真空室
110 粗引きポンプ
111 電子ビーム
112 静電偏向器
113 電子レンズまたは電磁偏向器
201 エミッションされた電子ビーム
202 メタンガスまたはエタンガス
203 メタンガスまたはエタンガスが分解してできたイオンでCH またはCH
301 酸素ガスボンベ
302 ガス圧力調整器
303 微小ガス流量調整機構
401 微小ガス流量制御機構に流入するガスの流れ
402 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
403 最小断面積S0の2倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
404 最小断面積S0の4倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
405 最小断面積S0の8倍の微細開口を具備した長さがLの微細流路
406 微小ガス流量制御機構から排出されるガスの流れ
407 電気信号によって駆動される微細開口402の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
408 電気信号によって駆動される微細開口403の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
409 電気信号によって駆動される微細開口404の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
410 電気信号によって駆動される微細開口405の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
411 電気信号によって駆動される微細開口402の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
412 電気信号によって駆動される微細開口403の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
413 電気信号によって駆動される微細開口404の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
414 電気信号によって駆動される微細開口405の流量を遮断または通過せしめる駆動弁
501 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
502 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
503 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
504 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
505 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
506 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
507 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
508 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
509 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
510 最小断面積S0を具備した微細開口で長さがLの微細流路
511 併進駆動による弁であり、微細流路501はガスを通過せしめ、502から510の微細流路は全て遮断する併進駆動弁
512 併進駆動による弁であり、微細流路501から507まではガスを通過せしめ、508から510の微細流路は全て遮断する併進駆動弁
601 LaB結晶
602 LaB結晶上のランタン原子液滴層
603 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
604 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子と酸素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
605 LaB結晶
606 メタン分子
607 モノボラン
608 ジボラン
609 LaB結晶の硼素格子が水素原子と反応しモノボラン・ジボランを生成して蒸発し硼素格子が破壊したために、LaB結晶の表面に析出したランタン原子液滴層
610 LaB結晶上のランタン原子液滴層内で炭素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
611 酸素分子
612 酸素分子がランタン原子液滴層に衝突し酸素原子に分解し、炭素原子と酸素原子がランタン原子同士を相互に結合している様子
701 LaB結晶
702 ランタン原子
703 炭素原子
704 CH イオン
801 LaB結晶で半径の異なる円柱からなる電子陰極材料
802 レニウムカバー
803a、803b PG(パイロリティック・グラファイト)ヒーター
804a,804b 把持具
805 レニウムカバーにLaB結晶を固定するレニウムでできた裏蓋のめねじ
806 セラミック円板

Claims (7)

  1. LaBまたはCeBを含む電子銃陰極材料を用いて、加熱し、熱電子を放出する電子銃において、
    電子銃陰極材料の温度が1000℃から1500℃に維持された状態において、
    電子銃の存在する電子銃室と真空でつながれた真空室の内部に、メタンガスまたはエタンガスを真空室内部のガス分圧で1×10−4pascal以下の流量を臨機的または連続的に、流すことを特徴とする電子銃。
  2. 請求項1に記載の電子銃であって、
    電子銃陰極材料に対面する微細開口で電子銃室に接続され、電子銃室側よりもガス分圧が高い下流側の真空室側から、メタンガスまたはエタンガスを流入せしめて、電子銃陰極材料に負電位を印加し、電子銃陰極材料の先端からのエミッション電流によって、メタンガスまたはエタンガスの気体を+の電荷を有するイオンとし、電子銃陰極材料と結合しやすくすることを特徴とする電子銃。
  3. 請求項1に記載の電子銃であって、
    電子銃陰極材料を温度1000℃から1500℃の範囲の温度でメタンガスまたはエタンガスとともに酸素ガスを真空内部のガス分圧が2×10−5pascal以下となる流量で臨機的または連続的に、流すことを特徴とする電子銃。
  4. 請求項1に記載の電子銃であって、
    電子を放出する先端部において、電子放出面側から見た実質的な先端部分以外の面の大部分をカバーする金属からなり、カバーが電子銃陰極材料であるLaBまたはCeBと直接反応しない高融点金属からなることを特徴とする電子銃。
  5. 請求項4に記載の電子銃であって、
    カバーを構成する高融点金属がレニウムであることを特徴とする電子銃。
  6. 請求項1に記載の電子銃であって、
    電子銃の電子放出量に応じて、電子銃室の内部に流れるガス分圧を変化せしめることを特徴とする電子銃。
  7. 請求項1から請求項6に記載の電子銃であって、元となるLaBまたはCeBの結晶の表面近傍の硼素原子格子をメタンガスまたはエタンガスで破壊し、ランタン原子液滴またはセリウム原子液滴を、LaBまたはCeBの結晶の表面に析出せしめて、炭素原子もしくは酸素原子もしくは炭素原子と酸素原子の両者を用いて、ランタン原子またはセリウム原子の融点を超えて温度を上げても、ランタン原子同士またはセリウム原子同士を強力に結合せしめ、さらにLaBまたはCeBの結晶の表面に強力に付着せしめ、蒸発を抑えた状態でエミッション電流を放出させることを特徴とする電子銃。
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