JP2019158033A - スラスト磁気軸受機構及びそれを用いた回転機械 - Google Patents

スラスト磁気軸受機構及びそれを用いた回転機械 Download PDF

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Abstract

【課題】大きいスラスト荷重を負担できるだけでなく、共振等によって回転軸が振れ回ったとしても各部品が損傷することを回避できるスラスト磁気軸受機構を提供する。【解決手段】本開示のスラスト磁気軸受機構(100)は、スラストカラー(14)を有する回転軸(10)と、スラストカラー(14)の第1面(14a)に向かい合っている第1軸受部品(20)と、スラストカラー(14)の第2面(14b)に向かい合っている第2軸受部品(30)と、第1軸受部品(20)及び第2軸受部品(30)からなる群より選ばれる少なくとも1つに設けられたコイル(21,31)と、を備えている。第1軸受部品(20)は、第2軸受部品(30)に対して回転軸(10)の軸方向に可動である。【選択図】図2

Description

本開示は、スラスト磁気軸受機構及びそれを用いた回転機械に関する。
圧縮機、膨張タービンなどの回転機械は、軸方向の荷重を支持するために、回転軸と同軸上に配置されたスラスト軸受を備えている。スラスト軸受は、回転軸に発生する軸方向の推力を支持し、回転軸を適切な位置に保持する役割を担っている。
スラスト軸受の1つとして、電磁石を用いて非接触で回転軸を支持するように構成されたスラスト磁気軸受が知られている。図7は、特許文献1に記載された磁気軸受機構を示している。
図7に示すように、特許文献1の磁気軸受機構は、軸受部材82bと、軸受部材82bに設けられた電磁石85a(コイル)とを備えている。回転軸53は、回転軸本体53c及びスラスト円板84(スラストカラー)を有する。電磁石85aとスラスト円板84との間には、電磁石85aの少なくとも一部を覆う保護部材90が設けられている。
特開2005−3009号公報 特開2013−127205号公報
スラスト磁気軸受が負担できる荷重(以下、「許容荷重」とも称する)の大きさは、コイルの巻き数、コイルへの入力電流の大きさ、電磁石を構成する軸受部品の面積、スラストカラーの面積、スラストカラーと軸受部品との隙間の広さなどに依存する。スラスト磁気軸受の設計時には、想定されるスラスト荷重を負担できるようにこれらの値を適切に定める必要がある。
スラスト磁気軸受の1つの課題として、スラストカラーと軸受部品との接触が挙げられる。スラストカラーと軸受部品との接触は、回転数の範囲の全域にわたって防止される必要がある。
本開示は、
スラストカラーを有する回転軸と、
前記スラストカラーの第1面に向かい合っている第1軸受部品と、
前記スラストカラーの第2面に向かい合っている第2軸受部品と、
前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品からなる群より選ばれる少なくとも1つに設けられたコイルと、
を備え、
前記第1軸受部品は、前記第2軸受部品に対して前記回転軸の軸方向に可動である、スラスト磁気軸受機構を提供する。
本開示によれば、スラストカラーと軸受部品との接触を防止できる。
図1は、本開示の第1実施形態に係る回転機械の断面図である。 図2は、図1の部分拡大図である。 図3は、図1の部分拡大図であって、第1軸受部品と第2軸受部品との隙間の広さが最小のときのスラスト磁気軸受機構を示している。 図4は、本開示の第2実施形態に係る回転機械の断面図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 図6は、変形例に係るスラスト磁気軸受機構の部分拡大断面図である。 図7は、特許文献1に記載された磁気軸受機構の断面図である。 図8は、入力電流と許容荷重との関係を表すグラフである。 図9は、一般的な排気ガスタービン過給機で採用される軸構造を有する回転体の危険速度マップである。 図10は、第1軸受部品の回転を防止する構造を示すスラスト磁気軸受機構の平面図である。
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、許容荷重が大きく、かつ、優れた耐久性を有するスラスト磁気軸受を開発するべく鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を獲得し、本開示のスラスト磁気軸受機構を完成させるに至った。
先に説明したように、スラスト磁気軸受の許容荷重の大きさは、コイルの巻き数、コイルへの入力電流の大きさ、電磁石を構成する軸受部品の面積、スラストカラーの面積、スラストカラーと軸受部品との隙間の広さなどの設計値に依存する。しかし、運転周波数が1kHz以上であったり、インペラなどの回転要素の周速度が500m/秒を超えたりするような高速回転機械において、これらの設計値は、大きな制約を受ける。高速回転機械としては、排気ガスタービン過給機、マイクロガスタービン、高圧力比の圧縮機などが挙げられる。
例えば、コイルの巻き数を増やすには、軸受部品のコイル収納部(凹部)の寸法を拡大する必要がある。電磁石を構成する部分の面積を十分に確保するために、軸受部品の半径方向の寸法も拡大する必要がある。さらに、軸受部品の寸法の拡大に伴い、スラストカラーの寸法も拡大する必要がある。スラストカラーの寸法を拡大すると、回転軸の軸方向の寸法を延長する必要性が生じやすい。その結果、回転軸の動特性が変化し、共振が発現したりする。回転軸の安定した回転に悪影響が及ぶ。
コイルへの入力電流を増加させることによっても、許容荷重を増大させることができる。ただし、コイルへの入力電流を増加させると、コイルの発熱量が増大するため軸受の冷却を積極的に行う必要がある。例えば、特許文献2には、磁気軸受の熱によって作動流体を過熱して圧縮機のサージングを回避する方法が記載されている。つまり、磁気軸受の発熱量は、作動流体の状態を変化させるほど大きい。このことを考慮すると、入力電流の増加にも限界がある。
スラストカラーと軸受部品との隙間の広さを減少させることによっても、許容荷重を増大させることができる。スラストカラーと軸受部品との隙間の広さが多少変更されたとしても、他の部分には影響が及びにくい。一般に、スラストカラーと軸受部品との隙間の広さは、回転機械のハウジングに収まる軸受部品の大きさ、必要な許容荷重などに応じて定められる。隙間の広さは、0.1〜1.0mm程度であることが多い。
図8は、スラスト磁気軸受において、入力電流と許容荷重との関係を表すグラフである。破線のデータの隙間の広さは、実線のデータの隙間の広さの2倍である。横軸は、入力電流の大きさを表しており、設計運転点(例えば、定格回転数及び定格負荷)で必要とされる入力電流で正規化された値を表している。縦軸は、許容荷重の大きさを表しており、設計運転点で必要とされる許容荷重で正規化された値を表している。図8から理解できるように、隙間の広さを減らすことによって、同一の入力電流での許容荷重が大幅に増加する。よって、スラスト荷重が大きい場合、狭い隙間を持ったスラスト磁気軸受を採用することが最良の解の1つである。例えば、回転機械の運転速度が比較的低速であり、且つ、ラジアル軸受の剛性が高い場合、回転機械の運転周波数の範囲内に共振周波数が含まれないように回転機械を設計することができる。そのため、部品精度及び組立精度が許す限りにおいて、スラストカラーと軸受部品との隙間の広さを十分に狭くすることができる。その結果、より大きいスラスト荷重を負担しうるスラスト磁気軸受を提供できる。しかし、例えば、低比速度で動作したり、運転周波数が1kHz以上であったり、回転要素の周速度が500m/秒を超えたりするような高速回転機械の場合、回転軸の剛体共振を超えるような高周波数領域で回転機械を運転することが望まれる。
図9は、一般的な排気ガスタービン過給機で採用される軸構造を有する回転体の危険速度マップである。横軸は、軸受の半径方向の支持剛性を表している。縦軸は、共振が現れる回転数(rpm:周波数(Hz)×60)を表している。図9に示すように、回転体の共振モードには、2つの剛体共振(実線及び破線)と1つの曲げ共振(一点鎖線)とがある。実線は、パラレルモードと呼ばれる剛体共振のモードのデータである。破線は、コニカルモードと呼ばれる剛体共振のモードのデータである。剛体共振は、半径方向の支持剛性に応じて共振周波数が決まる共振モードである。曲げ共振は、主として、回転体の構造強度と回転体の質量とによって共振周波数が決まる共振モードである。過給機等の小型の回転機械においては、曲げ共振の共振周波数が運転周波数の範囲内に存在しないように配慮した設計が採用される。剛体共振については、可能な限り低い運転周波数に剛体共振の共振周波数が現れるようにラジアル軸受が設計される。設計運転点(例えば、定格周波数)は、剛体共振の共振周波数以上、曲げ共振の共振周波数以下の範囲に収まる。その結果、各共振周波数から十分に離れた周波数で回転機械を運転することが可能となる。
ただし、剛体共振の共振周波数は、停止から設計運転点に至るまでの過程で必ず通過しなければならない周波数である。また、回転体に対する要求によっては、軸受の剛性を十分に下げることができず、比較的高い運転周波数で剛体共振の共振周波数を発現させざるを得ない場合がある。この場合、剛体共振によって発生する回転軸の振れ回りによって、スラストカラーの外周部分が軸受部品に接触し、回転機械を運転することが困難となる。
本発明者らは、スラスト磁気軸受に作用する荷重の大きさに応じてスラストカラーと軸受部品との隙間の広さを変化させることを思い付き、本開示のスラスト磁気軸受機構を完成させるに至った。本開示は、大きいスラスト荷重を負担できるだけでなく、共振等によって回転軸が振れ回ったとしても各部品が損傷することを回避できるスラスト磁気軸受機構を提供する。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係るスラスト磁気軸受機構は、
スラストカラーを有する回転軸と、
前記スラストカラーの第1面に向かい合っている第1軸受部品と、
前記スラストカラーの第2面に向かい合っている第2軸受部品と、
前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品からなる群より選ばれる少なくとも1つに設けられたコイルと、
を備え、
前記第1軸受部品は、前記第2軸受部品に対して前記回転軸の軸方向に可動である。
第1態様によれば、第1軸受部品が第2軸受部品に対して回転軸の軸方向に可動である。スラスト磁気軸受機構が負担すべきスラスト荷重が小さいとき、第1軸受部品と第2軸受部品との距離を拡大させ、各軸受部品とスラストカラーとの間の隙間の広さを増加させる。これにより、剛体共振による回転軸の振れ回りが発生してスラストカラーの外周部分の変位が大きくなったとしても、スラストカラーと各軸受部品との接触を防止できる。負担すべきスラスト荷重が大きく、且つ、剛体共振が発現する周波数を超えた周波数領域では、第1軸受部品と第2軸受部品との距離を縮小させ、各軸受部品とスラストカラーとの間の隙間の広さを減少させる。これにより、スラスト磁気軸受機構が負担できるスラスト荷重が増加する。スラスト磁気軸受機構の許容荷重は、設計運転点における大きいスラスト荷重を超えうる。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係るスラスト磁気軸受機構では、前記第1軸受部品は、前記回転軸の前記軸方向に摺動する摺動面を有する。第2態様によれば、複雑な構造を必要とすることなく、軸方向への第1軸受部品のスムーズな動きがもたらされる。
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係るスラスト磁気軸受機構は、前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品を収容しているハウジングをさらに備えている。このような構成は、第1軸受部品20及び第2軸受部品30の両方が可動部品である構成と比べて簡素であり、設計しやすい。
本開示の第4態様において、例えば、第3態様に係るスラスト磁気軸受機構は、前記スラストカラーの前記第1面が存在する側において前記回転軸に取り付けられた回転要素をさらに備えている。第4態様によれば、第2軸受部品を動かすことに比べて、第1軸受部品を動かすことの方が容易である。コイルに通電することによって、第1軸受部品が第2軸受部品に引き寄せられる。
本開示の第5態様において、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つに係るスラスト磁気軸受機構では、前記第2軸受部品は、ラジアル軸受を構成する部品を兼ねている。このような構成は、部品点数の削減に寄与する。
本開示の第6態様において、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つに係るスラスト磁気軸受機構では、前記コイルが前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品のそれぞれに設けられ、前記第1軸受部品に設けられた前記コイルを第1コイル、前記第2軸受部品に設けられた前記コイルを第2コイルと定義したとき、前記第2コイルの巻き数が前記第1コイルの巻き数よりも多い。このような構成によれば、第1軸受部品を第2軸受部品に向かって確実に引き寄せることができる。
本開示の第7態様において、例えば、第1〜第6態様のいずれか1つに係るスラスト磁気軸受機構では、前記スラストカラーは、前記第1軸受部品と前記第2軸受部品との間の隙間に配置され、前記回転軸の回転数が閾値回転数以下のとき、前記隙間の広さが第1の広さに調節され、前記回転軸の回転数が前記閾値回転数よりも大きいとき、前記隙間の広さが第2の広さに調節され、前記第1の広さが前記第2の広さよりも大きい。第7態様によれば、剛体共振による回転軸の振れ回りが発生してスラストカラーの外周部分の変位が増加したとしても、スラストカラーと軸受部品との接触を回避できる。
本開示の第8態様において、例えば、第1〜第7態様のいずれか1つに係るスラスト磁気軸受機構は、前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品からなる群より選ばれる少なくとも1つに取り付けられた少なくとも1つの位置センサをさらに備え、前記位置センサは、前記回転軸の半径方向において前記コイルの内側に配置されている。このような配置によれば、コイルに通電したときに電磁石として機能する部分の面積を十分に確保することができる。
本開示の第9態様において、例えば、第1〜第8態様のいずれか1つに係るスラスト磁気軸受機構は、前記第1軸受部品と前記第2軸受部品との間に配置され、前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品のそれぞれに接している弾性体をさらに備えている。第9態様によれば、弾性体の連続的な変形によって、第1軸受部品と第2軸受部品との間の隙間の広さが連続的に変化しうる。
本開示の第10態様において、例えば、第9態様に係るスラスト磁気軸受機構では、前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品から選ばれる少なくとも1つは、前記回転軸の半径方向において前記スラストカラーの外側に位置している凹部をさらに有し、前記弾性体が前記凹部に収められている。第10態様によれば、弾性体の変形を規制しつつ第1軸受部品と第2軸受部品との間の隙間の広さを適切な広さに調節することができる。
本開示の第11態様において、例えば、第10態様に係るスラスト磁気軸受機構では、前記弾性体の変形によって前記スラストカラーと前記第1軸受部品との間の隙間の広さが最小値に達したとき、又は、前記弾性体の変形によって前記スラストカラーと前記第2軸受部品との間の隙間の広さが最小値に達したとき、前記半径方向における前記弾性体の寸法は、前記半径方向における前記凹部の寸法に一致する。第11態様によれば、第1軸受部品と第2軸受部品との接触を確実に防止できるので、第1軸受部品及び第2軸受部品が磁化されたとしても、弾性体の反力のみで第1軸受部品と第2軸受部品とを離間させることが可能である。
本開示の第12態様に係る回転機械は、第1〜第11態様のいずれか1つに係るスラスト軸受機構を備えている。第12態様によれば、優れた信頼性を有する回転機械を提供できる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る回転機械の断面を示している。図2は、図1の部分拡大図である。回転機械200は、第1実施形態に係るスラスト磁気軸受機構100を備えている。回転機械200は、遠心圧縮機、ラジアルタービンなどの流体機械でありうる。
本明細書では、電磁石を用いた軸受を「磁気軸受」と称する。磁気軸受と回転軸とを含む構造を「磁気軸受機構」と称する。回転軸の軸方向に平行な方向を単に「軸方向」と称する。
図1及び図2に示すように、スラスト磁気軸受機構100は、回転軸10、第1軸受部品20及び第2軸受部品30を有する。回転軸10は、回転軸本体12及びスラストカラー14を含む。スラストカラー14は、回転軸本体12に取り付けられた円盤状の部分である。スラストカラー14は、回転軸本体12と同軸上に配置されており、回転軸本体12とともに回転する。第1軸受部品20及び第2軸受部品30は、それぞれ、中心部に貫通孔を有する環状の部品である。回転軸10は、それらの軸受孔において第1軸受部品20及び第2軸受部品30を貫通している。第1軸受部品20及び第2軸受部品30は、それぞれ、円環状の溝20p及び30pを有する。第1軸受部品20の溝20pに第1コイル21が設けられている。第2軸受部品30の溝30pに第2コイル31が設けられている。スラスト磁気軸受機構100には、第1コイル21及び第2コイル31から選ばれる1つのみが設けられていてもよい。
第1軸受部品20及び第2軸受部品30は、互いに向かい合っている。第1軸受部品20と第2軸受部品30との間には、隙間15が存在する。スラストカラー14は、隙間15に配置されている。隙間15の広さWは、スラストカラー14の厚さを上回っている。スラストカラー14の形状は、平面視で円形である。回転軸10の半径方向における隙間15の寸法は、スラストカラー14の直径よりも大きい。本実施形態では、スラストカラー14の厚さは一定である。ただし、回転軸10の半径方向において、スラストカラー14の厚さが変化していてもよい。
スラストカラー14は、第1面14a及び第2面14bを有する。第1軸受部品20がスラストカラー14の第1面14aに向かい合っている。第2軸受部品30がスラストカラー14の第2面14bに向かい合っている。第1軸受部品20は、第1面14aに向かい合う軸受面20fを有する。第2軸受部品30は、第2面14bに向かい合う軸受面30fを有する。軸受面20f及び30fの形状は、それぞれ、平面視で円形である。スラストカラー14の両側に軸受部品20及び30が配置されているので、スラスト荷重の加わる方向が変化したとしても、回転軸10は適切な位置に保持されうる。
本実施形態において、第1軸受部品20は、第2軸受部品30に対して回転軸10の軸方向に可動である。言い換えれば、回転軸10の軸方向において、第1軸受部品20と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWが可変である。これにより、低速回転時においてスラストカラー14が第1軸受部品20及び/又は第2軸受部品30に接触することを防止できる。
スラスト磁気軸受機構100は、さらに、ハウジング40を備えている。ハウジング40には、第1軸受部品20及び第2軸受部品30が収容されている。第2軸受部品30は、ボルトなどの締結部品によってハウジング40に固定されている。これに対し、第1軸受部品20は、ハウジング40に固定されていない。本実施形態では、第1軸受部品20が可動部品であり、第2軸受部品30が固定部品である。第1軸受部品20は、回転軸10の軸方向に僅かに動くことができる状態でハウジング40に収容されている。このような構成は、第1軸受部品20及び第2軸受部品30の両方が可動部品である構成と比べて簡素であり、設計しやすい。
第1軸受部品20は、円環状の堤20aをさらに有する。堤20aは、軸受面20fから回転軸10の軸方向に突出している部分である。堤20aは、回転軸10の半径方向への第1軸受部品20の変位を規制している。回転軸10の軸方向における隙間15の広さWは、可変である。堤20aが第2軸受部品30に接触したとき、隙間15の広さWが最小である。第1軸受部品20が第2軸受部品30から離れたとき、第1軸受部品20の堤20aと第2軸受部品30との間に隙間17が確保されうる。
第1軸受部品20は、例えば、回転軸10の軸方向に摺動する摺動面20sを有する。摺動面20sは、第1軸受部品20の環状の側面でありうる。第1軸受部品20の摺動面20sがハウジング40の内周面40sに対して軸方向に摺動する。本実施形態において、摺動面20sは、堤20aの側面である。堤20aは、ハウジング40に対して摺動する摺動部である。堤20aの摺動方向は、回転軸10の軸方向に一致している。第1軸受部品20は、回転軸10の軸方向に動くことができる一方、回転軸10の半径方向には殆ど動かない。本実施形態によれば、複雑な構造を必要とすることなく、軸方向への第1軸受部品20のスムーズな動きがもたらされる。なお、第1軸受部品20は、堤20aとは別に摺動部を有していてもよい。例えば、第1軸受部品20の側面部は、摺動部として機能しうる。第1軸受部品20の摺動部は、ハウジング40に対して摺動することに限定されず、第2軸受部品30などの他の部品に対して摺動する部分でありうる。
第1軸受部品20の溝20pの周囲部分及び第2軸受部品30の溝30pの周囲部分は、それぞれ、磁性材料で作られている。スラストカラー14も磁性材料で作られている。第1コイル21に通電すると第1コイル21及び第1軸受部品20の一部が電磁石として働き、スラストカラー14に吸引力が作用する。第2コイル31に通電すると第2コイル31及び第2軸受部品30の一部が電磁石として働き、スラストカラー14に吸引力が作用する。スラストカラー12に作用する吸引力を適切に調節することによって、スラスト磁気軸受機構100は、スラスト荷重を負担することができる。磁性材料として、機械構造用炭素鋼及び鋳鋼が挙げられる。
回転軸10の中心軸から第1コイル21の外縁までの距離は、回転軸10の中心軸からスラストカラー14の外縁までの距離よりも短い。回転軸10の中心軸から第2コイル31の外縁までの距離は、回転軸10の中心軸からスラストカラー14の外縁までの距離よりも短い。そのため、電磁石の磁力をスラストカラー14に十分に作用させることができる。
本実施形態において、回転軸10の中心軸から第1コイル21の外縁までの距離は、回転軸10の中心軸から第2コイル31の外縁までの距離に等しい。言い換えれば、溝20pの内径及び外径は、それぞれ、溝30pの内径及び外径に等しい。ただし、回転軸10の中心軸から第1コイル21の外縁までの距離は、回転軸10の中心軸から第2コイル31の外縁までの距離と異なっていてもよい。
スラスト磁気軸受機構100は、回転要素41をさらに備えている。回転要素41は、スラストカラー14の第1面14aが存在する側において回転軸10に取り付けられている。回転要素41は、回転軸10とともに回転し、作動流体に対して仕事を行ったり、作動流体から仕事を取り出したりする役割を担う。回転要素41としては、インペラ及びタービンホイールが挙げられる。回転軸10の軸方向において、回転要素41、第1軸受部品20及び第2軸受部品30がこの順番で並んでいる。
スラストカラー14の第1面14aが存在する側において、インペラ、タービンホイールなどの回転要素41が回転軸10に取り付けられている場合、第1軸受部品20の大きさは大幅に制限される。この場合、第1軸受部品20の質量は小さい。これに対し、第2軸受部品30は、ラジアル軸受を構成する部品であったり、モータ室を構成する部品であったりするので、第2軸受部品30の質量は大きい。第2軸受部品30の質量は、第1軸受部品20の質量よりも大きいことが多い。このような構成において、第2軸受部品30を動かすことに比べて、第1軸受部品20を動かすことの方が容易である。本実施形態では、第2コイル31に通電することによって、第1軸受部品20が第2軸受部品30に引き寄せられる。
第2軸受部品30は、ラジアル軸受を構成する部品を兼ねていてもよい。このような構成は、部品点数の削減に寄与する。ラジアル軸受は、回転軸10のラジアル荷重を負担する軸受であり、例えば、動圧ラジアル軸受である。動圧ラジアル軸受において動圧を発生させる流体として、回転機械200の作動流体を用いることができる。回転機械200の軸受は、オイルフリーでありうる。この場合、ラビリンスシールなどのシール構造を省略できるだけでなく、回転機械200の作動流体に潤滑油などの異物が混入することを防止できる。ただし、回転機械200は、潤滑油を用いたラジアル軸受を有していてもよい。
第1軸受部品20と回転軸本体12との間には十分な広さの隙間があり、第1軸受部品20は、ラジアル荷重を負担していない。そのため、軸方向への第1軸受部品20の移動がよりスムーズに行われる。ラジアル荷重は、第1軸受部品と比べて回転要素41から離れている第2軸受部品30で負担されうる。このことは、回転軸10の回転の安定性にとって有利である。
スラスト磁気軸受機構100は、さらに、シュラウド42及びディフューザ43を備えている。シュラウド42は、回転要素41を囲っている。回転要素41の周りには、シュラウド42による渦巻室42hが設けられている。シュラウド42及びディフューザ43は、それぞれ、ハウジング40に固定されている。本実施形態では、回転軸10の半径方向において、ディフューザ43の内周部分が第1軸受部品20の外周部分に重なっており、第2軸受部品30から離れる方向への第1軸受部品20の動きがディフューザ43によって制限されている。このようにして、軸方向への第1軸受部品20の可動量が決められている。ただし、上記の役割を担う部品はディフューザ43に限定されない。上記の役割を担う部品は、ハウジング40の一部であってもよいし、ハウジング40及びディフューザ43以外の部品であってもよい。そのような部品は、ハウジング40に固定されうる。ディフューザ43は、ベーンを有するベーンドディフューザであってもよく、ベーンを有さないベーンレスディフューザであってもよい。
なお、第1軸受部品20が可動部品であり、第2軸受部品30が固定部品であることは必須ではない。第1軸受部品20が固定部品であり、第2軸受部品30が可動部品であってもよい。第1軸受部品20及び第2軸受部品30の両方が可動部品であってもよい。
図2に示すように、第1軸受部品20とスラストカラー14との距離L1は、例えば、0.1〜0.2mmである。第2軸受部品30とスラストカラー14との距離L2は、例えば、0.1〜0.2mmである。通常、距離L1及び距離L2が互いに一致するように、第1コイル21及び第2コイル31への入力電流が調節される。隙間15の広さWは、例えば、3.5〜7.0mmである。隙間15の広さWの変化量は、例えば、0.05〜0.1mmである。
本実施形態では、第1軸受部品20に第1コイル21が設けられ、第2軸受部品30に第2コイル31が設けられている。第1コイル21を構成する線材の太さは、第2コイル31を構成する線材の太さに等しい。第2コイル31の巻き数は、第1コイル21の巻き数よりも多い。第1コイル21及び第2コイル31に同じ大きさの電流を供給したとき、第2コイル31が発揮する磁力は、第1コイル21が発揮する磁力よりも大きい。このような構成によれば、第1軸受部品20を第2軸受部品30に向かって確実に引き寄せることができる。
スラスト磁気軸受機構100は、さらに、少なくとも1つの位置センサ33を備えている。位置センサ33は、スラストカラー14の位置を検出する役割を担う。位置センサ33から出力された検出信号を参照しつつ、第1コイル21及び第2コイル31への入力電流を制御することによって、スラストカラー14を適切な位置に保持することができる。位置センサ33としては、レーザ変位センサなどの光学式変位センサが挙げられる。
本実施形態では、第1軸受部品20に複数の位置センサ33(例えば、4つ)が取り付けられている。位置センサ33は、回転軸10の周囲に等角度間隔で配置されている。位置センサ33は、回転軸10の半径方向において第1コイル21の内側に配置されている。このような配置によれば、第1コイル21に通電したときに電磁石として機能する部分(溝20pの周囲部分)の面積を十分に確保することができる。同様に、第2軸受部品30にも複数の位置センサ33(例えば、4つ)が取り付けられている。位置センサ33は、回転軸10の半径方向において第2コイル31の内側に配置されている。このような配置によれば、第2コイル31に通電したときに電磁石として機能する部分(溝30pの周囲部分)の面積を十分に確保することができる。
図10に示すように、スラスト磁気軸受機構100は、第1軸受部品20の回転を阻止する回転防止構造60を有していてもよい。例えば、第1軸受部品20が半径方向の外向きに突出したキー61を有し、ハウジング40が半径方向の外向きに突出したキー溝62を有し、第1軸受部品20のキーがハウジング40のキー溝に嵌められることによって回転防止構造60が構成されうる。第1軸受部品20にキー溝が設けられ、ハウジング40にキーが設けられていてもよい。ハウジング40以外の回転しない部品にキー又はキー溝が設けられていてもよい。キー以外の係合部と被係合部によって回転防止構造が構成されていてもよい。周方向の複数の位置のそれぞれに回転防止構造が設けられていてもよい。第1軸受部品20の回転を防止することによって、周方向における各種部品(例えば、位置センサ33)の位置を維持することができる。
次に、スラスト磁気軸受機構100の動作及び作用を詳細に説明する。以下、第2軸受部品30から第1軸受部品20に向かう方向を「第1の軸方向」と称する。第1軸受部品20から第2軸受部品30に向かう方向を「第2の軸方向」と称する。
第1の軸方向のスラスト荷重が回転軸10に作用したとき、第2軸受部品30の第2コイル31に電流が供給される。第2軸受部品30の溝30pの周囲部分が磁化されてスラストカラー14を吸引する。これにより、スラストカラー14が適切な位置に保持される。第2の軸方向のスラスト荷重が回転軸10に作用したとき、第1軸受部品20の第1コイル21に電流が供給される。第1軸受部品20の溝20pの周囲部分が磁化されてスラストカラー14を吸引する。これにより、スラストカラー14が適切な位置に保持される。
第1コイル21又は第2コイル31に電流が供給され、スラスト荷重に逆らうように第1軸受部品20又は第2軸受部品30がスラストカラー14を吸引する。例えば、第1コイル21に電流が供給されて第1軸受部品20がスラストカラー14を吸引するとき、第2コイル31には電流が供給されず、第2軸受部品30はスラストカラー14を吸引しない。第2コイル31に電流が供給されて第2軸受部品30がスラストカラー14を吸引するとき、第1コイル21には電流が供給されず、第1軸受部品20はスラストカラー14を吸引しない。本開示では、この特性を利用して第1軸受部品20と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWを変化させる。
回転軸10の回転数が閾値回転数以下のとき、第1軸受部品20と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWを第1の広さに調節する。回転軸10の回転数が閾値回転数よりも大きいとき、隙間15の広さWを第2の広さに調節する。第1の広さは、第2の広さよりも大きい。第1の広さと第2の広さとの差は、隙間15の広さWの変化量に等しい。
つまり、回転軸10の回転数が低いとき、隙間15の広さWを大きい値に設定する。具体的には、第1軸受部品20と第2軸受部品30との間に反発力が作用するように、第1コイル21又は第2コイル31に通常時と逆方向に電流を流す。これにより、第1軸受部品20が第2軸受部品30から離れて隙間15の広さWが拡大する。
隙間15の広さWが大きい値に設定されると、距離L1及び距離L2も大きい値に設定される。回転軸10の剛体共振は、低い運転周波数で発現する。剛体共振が発現する周波数では、回転要素41が作動流体に及ぼす作用は小さく、スラスト荷重も小さい。そのため、隙間15の広さWが大きく、距離L1及び距離L2が大きく、第1軸受部品20及び第2軸受部品30が負担できる荷重が小さかったとしても、回転軸10を支持することが可能である。剛体共振による回転軸10の振れ回りが発生してスラストカラー14の外周部分の変位が増加したとしても、隙間15の広さWが大きいので、スラストカラー14と軸受部品20,30との接触を回避できる。
次に、スラスト荷重が回転軸10に作用し始める運転周波数まで回転軸10の回転数が上昇すると、距離L1及び距離L2が徐々に変化する。位置センサ33を用いたフィードバック制御によって、距離L1が距離L2に一致するように、第1コイル21又は第2コイル31に電流が供給される。第1軸受部品20又は第2軸受部品30が磁化されて電磁石の機能を発揮すると、電磁石の磁力がスラストカラー14に作用するとともに、磁化されていない軸受部品にも電磁石の磁力が作用する。電磁石は、スラストカラー14だけでなく、軸受部品も吸引する。例えば、第2コイル31のみに電流を供給すると、第2軸受部品30が電磁石の機能を発揮し、スラストカラー14及び第1軸受部品20を吸引する。その結果、図3に示すように、第1軸受部品20が第2軸受部品30に接近し、隙間15の広さWは減少する。距離L1及び距離L2も減少する。これにより、図8を参照して説明したように、スラスト磁気軸受機構100の許容荷重が増加する。スラスト磁気軸受機構100の許容荷重は、設計運転点における大きいスラスト荷重を超えうる。
回転機械200を停止させる場合には、回転機械200の運転周波数を下げる。運転周波数がゼロへと減少する過程において、回転機械200の運転周波数は、再度、剛体共振が発現する周波数を通過する。隙間15の広さWが小さいままである場合、スラストカラー14の外周部分が軸受部品に接触するおそれがある。接触を防止するために、剛体共振が発現する周波数近傍まで運転周波数を低下させたのち、第1コイル21又は第2コイル31に通常時と逆方向に電流を流す。すると、第1軸受部品20と第2軸受部品30との間に反発力が作用し、隙間15の広さWが拡大する。隙間15の広さWを拡大させたのち、回転機械200の運転周波数をさらに下げて剛体共振が発現する周波数領域を通過させる。このようにすれば、回転機械200の運転周波数を下げるときにもスラストカラー14の外周部分が軸受部品に接触することを防止できる。本開示によれば、剛体共振による部品の損傷を防止しつつ、大きいスラスト荷重を負担できるスラスト磁気軸受機構100を提供できる。
本実施形態のスラスト磁気軸受機構100は、第1軸受部品20又は第2軸受部品30を変位させるための専用のアクチュエータを備えていない。スラスト磁気軸受に必須の要素であるコイルが第1軸受部品20又は第2軸受部品30を変位させるためのアクチュエータを兼ねている。そのため、本実施形態のスラスト磁気軸受機構100を既存の回転機械に採用するとき、大幅な設計変更は不要であり、コスト増加の問題も生じにくい。
スラスト荷重が回転軸10に作用し始める運転周波数は、隙間15の広さWを変化させるべき閾値回転数でありうる。閾値回転数は、回転機械200の設計に応じて適切に定められる。例えば、回転機械200が図9に示す特性を有している場合、閾値回転数を1000〜100000rpmに設定することができる。回転数を上昇させるときの閾値回転数は、回転数を下げて回転機械200を停止させるときの閾値回転数と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
(第2実施形態)
図4は、本開示の第2実施形態に係る回転機械の断面を示している。図5は、図4の部分拡大図である。回転機械202は、第2実施形態に係るスラスト磁気軸受機構102を備えている。第1実施形態と本実施形態との間の共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。技術的に矛盾しない限り、各実施形態は、相互に組み合わされてもよい。
図4及び図5に示すように、スラスト磁気軸受機構102は、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間に配置された弾性体50を備えている。弾性体50は、第1軸受部品22及び第2軸受部品30のそれぞれに接している。本実施形態によれば、弾性体50の連続的な変形によって、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWが連続的に変化しうる。
弾性体50の静ばね定数kは、回転要素41の設計段階で計算されるスラスト荷重に基づき、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間の隙間15の広さを適切な広さに調節できるように設定されている。言い換えれば、静ばね定数kは、スラストカラー14と第1軸受部品22との間の隙間の広さ、及び、スラストカラー14と第2軸受部品30との間の隙間を適切な広さに調節できるように設定されている。
弾性体50の材料は特に限定されず、樹脂であってもよく、金属であってもよい。弾性体50の形状も特に限定されない。弾性体50の断面は、円環状の形状を有していてもよく、C字状の形状を有していてもよい。弾性体50は、平面視で円環状の形状を有していてもよく、C字状の形状を有していてもよい。スラストカラー14を取り囲むように、複数の弾性体50が周方向に沿って、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間に配置されていてもよい。
回転機械200の運転周波数を上昇させる過程において、スラスト荷重は徐々に増大する。第1実施形態で説明したように、スラスト荷重が加わる方向に応じて第1コイル21又は第2コイル31に通電すると、スラスト荷重に逆らう方向にスラストカラー14が吸引され、回転軸10が支持される。磁化されていない軸受部品にも磁力が作用するため、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWが縮小する。このとき、弾性体50は、第1軸受部品22と第2軸受部品30との間に働く吸引力Fにより、静ばね定数kに従って変形する。吸引力Fは、回転軸10に作用するスラスト荷重に等しい力であるため、弾性体50は、スラスト荷重によって変形することに他ならない。スラスト荷重に応じて、スラストカラー14と第1軸受部品22との間の隙間の広さ、及び、スラストカラー14と第2軸受部品30との間の隙間の広さを連続的且つ最適な広さに調節することが可能である。
回転軸10にスラスト荷重が作用していないとき、又は、スラスト荷重が十分に小さいとき、弾性体50の変形量も小さい。このとき、スラストカラー14と第1軸受部品22との間の隙間の広さ、及び、スラストカラー14と第2軸受部品30との間の隙間の広さは大きい。よって、剛体共振が発現する運転周波数において、スラストカラー14と軸受部品22,30とが接触することを防止できる。
図5に示すように、第1軸受部品22は、弾性体50の変形を規制する構造を有する。具体的に、第1軸受部品22は、回転軸10の半径方向においてスラストカラー14の外側に位置している凹部22eを有する。凹部22eは、詳細には、第1軸受部品22の堤22aに設けられている。凹部22eは、平面視で円環状の形状を有する。回転軸10の中心軸を含む断面(図5の断面)において、凹部22eは、矩形の形状を有する。弾性体50が凹部22eに収められている。このような構造によれば、弾性体50の変形を規制しつつ第1軸受部品22と第2軸受部品30との間の隙間15の広さWを適切な広さに調節することができる。第1軸受部品22の凹部22eに代えて、第2軸受部品30に凹部が設けられていてもよい。第1軸受部品22及び第2軸受部品30の両方に凹部が設けられていてもよい。
回転軸10の軸方向における凹部22eの寸法(深さ)をL4と定義する。回転軸10の半径方向における凹部22eの寸法をHと定義する。寸法Hは、凹部22eの開口端の位置での寸法である。回転軸10の半径方向において、堤22aの幅が凹部22eの寸法Hを上回っている。回転軸10の軸方向における弾性体50の寸法をdと定義する。弾性体50の寸法dは、弾性体50が自由長の状態にあるときの寸法である。スラストカラー14と第1軸受部品22との距離をL1と定義する。スラストカラー14と第2軸受部品30との距離をL2と定義する。距離L1及び距離L2は、弾性体50が自由長の状態にあるときの距離である。本実施形態では、凹部22eの寸法L4が弾性体50の寸法dよりも小さい(d>L4)。回転軸10の軸方向における凹部22eの寸法L4は、距離L1と距離L2との合計よりも大きい(L4>(L1+L2))。回転軸10の半径方向における凹部22eの寸法Hは、弾性体50の寸法dよりも大きい(H>d)。
弾性体50は、第1軸受部品22及び第2軸受部品30が生成する荷重によって変形し、設計運転点において、距離L1及び距離L2を適切な値に調節する。ただし、特定の運転状態において、回転軸10に作用するスラスト荷重が設計運転点において予測されるスラスト荷重を上回る可能性がある。特定の運転状態の具体例としては、設計運転点以上の回転数で回転軸10が回転するとき、回転要素41が失速するときが挙げられる。この場合、第1軸受部品22及び第2軸受部品30が大きい荷重を発揮する。弾性体50の変形を規制する構造が存在しない場合、弾性体50は設計運転点における変形量を超えて変形する可能性がある。最終的には、距離L1及び距離L2がゼロに達するまで弾性体50が変形する可能性がある。
しかし、本実施形態のスラスト磁気軸受機構102によれば、凹部22eによって弾性体50の変形が規制されているので、想定外の大荷重が発生したとしても、スラストカラー14と第1軸受部品22との間に最低限必要な隙間が確保され、スラストカラー14と第2軸受部品30との間に最低限必要な隙間が確保される。その結果、スラストカラー14が第1軸受部品22及び第2軸受部品30に接触することを防止できるので、回転機械202の信頼性が向上する。
(変形例)
図6は、変形例に係るスラスト磁気軸受機構の部分拡大断面図である。本実施形態のスラスト磁気軸受機構104において、半径方向における凹部22eの寸法Hは、自由長の状態にあるときの弾性体50の寸法dに弾性体50の変形量Δdを加えた値に等しい。スラストカラー14と第1軸受部品22との設計上許容される最小距離をL1aと定義する。スラストカラー14と第2軸受部品30との設計上許容される最小距離をL2aと定義する。変形量Δdは、第1軸受部品22と第2軸受部品30との距離がL3aに達するまで弾性体50が変形したときの半径方向の変化量である。距離L3aは、距離L1aと距離L2aとの和よりも大きい。弾性体50の変形によってスラストカラー14と第1軸受部品22との間の隙間の広さが最小値に達したとき、半径方向における弾性体50の寸法(d+Δd)は、半径方向における凹部22eの寸法Hに一致する。弾性体50の変形によってスラストカラー14と第2軸受部品30との間の隙間の広さが最小値に達したとき、半径方向における弾性体50の寸法(d+Δd)は、半径方向における凹部22eの寸法Hに一致する。このとき、弾性体50の軸方向の剛性が極大値をとる。
設計運転点以外の運転点において大きいスラスト荷重が回転軸10に作用すると、第1軸受部品22と第2軸受部品30との距離がL3aに到達する。弾性体50は、第1軸受部品22の凹部22eの中で拘束されているので、見かけ上の弾性体50の静ばね定数kは非常に大きい。そのため、第1軸受部品22と第2軸受部品30との距離は距離L3aよりも大きい値に保たれる。
弾性体50の過度の変形が長時間にわたって継続するような運転条件では、第1軸受部品22及び第2軸受部品30が相互に磁化されうる。本実施形態のスラスト磁気軸受機構104によれば、第1軸受部品22と第2軸受部品30との接触を確実に防止できるので、第1軸受部品22及び第2軸受部品30が磁化されたとしても、弾性体50の反力のみで第1軸受部品22と第2軸受部品30とを離間させることが可能である。スラストカラー14と第1軸受部品22との距離は、L1aからL1へと増加する。スラストカラー14と第2軸受部品30との距離は、L2aからL2へと増加する。その結果、回転機械202を安全に停止させることができ、回転機械202の信頼性及び稼働率が向上する。
本開示の技術は、タービン、過給機、圧縮機、真空ポンプなどの回転機械に有用である。回転機械は、流体にエネルギーを与えたり、流体からエネルギーを取り出したりする流体機械であってもよい。タービンの例としては、ガスタービン発電機が挙げられる。過給機の例としては、排気ガスタービン過給機が挙げられる。圧縮機の例としては、遠心圧縮機、斜流圧縮機、軸流圧縮機などのターボ圧縮機が挙げられる。真空ポンプとしては、ターボ分子ポンプが挙げられる。
10 回転軸
12 回転軸本体
14 スラストカラー
14a 第1面
14b 第2面
15,17 隙間
20,22 第1軸受部品
20a,22a 堤
20p,30p 溝
20f,30f 軸受面
20s 摺動面
21 第1コイル
22e 凹部
30 第2軸受部品
31 第2コイル
33 位置センサ
40 ハウジング
41 回転要素
42 シュラウド
42h 渦巻室
43 ディフューザ
50 弾性体
100,102,104 スラスト磁気軸受機構
200,202 回転機械

Claims (12)

  1. スラストカラーを有する回転軸と、
    前記スラストカラーの第1面に向かい合っている第1軸受部品と、
    前記スラストカラーの第2面に向かい合っている第2軸受部品と、
    前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品からなる群より選ばれる少なくとも1つに設けられたコイルと、
    を備え、
    前記第1軸受部品は、前記第2軸受部品に対して前記回転軸の軸方向に可動である、スラスト磁気軸受機構。
  2. 前記第1軸受部品は、前記回転軸の前記軸方向に摺動する摺動面を有する、請求項1に記載のスラスト磁気軸受機構。
  3. 前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品を収容しているハウジングをさらに備え、
    前記第2軸受部品が前記ハウジングに固定されている、請求項1又は2に記載のスラスト磁気軸受機構。
  4. 前記スラストカラーの前記第1面が存在する側において前記回転軸に取り付けられた回転要素をさらに備えた、請求項3に記載のスラスト磁気軸受機構。
  5. 前記第2軸受部品は、ラジアル軸受を構成する部品を兼ねている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構。
  6. 前記コイルが前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品のそれぞれに設けられ、
    前記第1軸受部品に設けられた前記コイルを第1コイル、前記第2軸受部品に設けられた前記コイルを第2コイルと定義したとき、前記第2コイルの巻き数が前記第1コイルの巻き数よりも多い、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構。
  7. 前記スラストカラーは、前記第1軸受部品と前記第2軸受部品との間の隙間に配置され、
    前記回転軸の回転数が閾値回転数以下のとき、前記隙間の広さが第1の広さに調節され、
    前記回転軸の回転数が前記閾値回転数よりも大きいとき、前記隙間の広さが第2の広さに調節され、
    前記第1の広さが前記第2の広さよりも大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構。
  8. 前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品からなる群より選ばれる少なくとも1つに取り付けられた少なくとも1つの位置センサをさらに備え、
    前記位置センサは、前記回転軸の半径方向において前記コイルの内側に配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構。
  9. 前記第1軸受部品と前記第2軸受部品との間に配置され、前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品のそれぞれに接している弾性体をさらに備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構。
  10. 前記第1軸受部品及び前記第2軸受部品から選ばれる少なくとも1つは、前記回転軸の半径方向において前記スラストカラーの外側に位置している凹部をさらに有し、
    前記弾性体が前記凹部に収められている、請求項9に記載のスラスト磁気軸受機構。
  11. 前記弾性体の変形によって前記スラストカラーと前記第1軸受部品との間の隙間の広さが最小値に達したとき、又は、前記弾性体の変形によって前記スラストカラーと前記第2軸受部品との間の隙間の広さが最小値に達したとき、前記半径方向における前記弾性体の寸法は、前記半径方向における前記凹部の寸法に一致する、請求項10に記載のスラスト磁気軸受機構。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のスラスト磁気軸受機構を備えた、回転機械。
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