JP2019157703A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】内燃機関の始動性を向上させる。【解決手段】ECU100は、フィードポンプ40から圧送された燃料を外部制御可能に昇圧する機関回転駆動の高圧燃料ポンプ60と、高圧燃料ポンプ60で昇圧された燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁18と、を備えた内燃機関10を制御する。ECU100は、高圧燃料ポンプ60から燃料噴射弁18へ供給される供給燃圧を検出する燃圧センサ103が異常である場合に、内燃機関10を始動するときには、燃料噴射弁18からの燃料噴射を停止させた状態で、フィードポンプ40から圧送された燃料を高圧燃料ポンプ60によって昇圧させ、供給燃圧が内燃機関10の始動に必要な圧力に到達したと推定されたときに、燃料噴射弁18からの燃料噴射を開始させ、その後、高圧燃料ポンプ60による燃料の昇圧を停止させて、フィードポンプ40の吐出圧に基づいて燃料噴射弁18の噴射期間を演算する。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来の内燃機関の制御装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、筒内直接噴射式内燃機関における高圧燃料ポンプの制御系(特に燃圧センサ)に異常が発生した場合に、高圧燃料ポンプによる燃料の昇圧を停止し、燃料タンクから低圧燃料ポンプによって吐出された燃料の圧力で燃料噴射弁から燃料を噴射するものが知られ、内燃機関の運転状態に基づいて算出された燃料噴射量が、低圧燃料ポンプの吐出圧力で燃料噴射が可能な時間の最大値に応じた許容最大噴射量よりも大きい場合には、空燃比のリーン化による失火を抑制すべく、吸入空気量の制限を行って、燃料噴射量が許容最大噴射量よりも大きくならないようにしている。
特開2000−130232号公報
しかしながら、内燃機関の始動時に必要な燃料噴射量は、内燃機関の周囲温度が低下するに従って多くなることが予想され、吸入空気量を制限することで燃料噴射量が許容最大噴射量よりも大きくならないようにしてしまうと、氷点下の極低温環境では内燃機関を始動することができないおそれがある。
そこで、本発明は以上のような問題点に鑑み、燃圧センサが故障したときにおける内燃機関の始動性を向上させた、内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
このため、本願発明に係る内燃機関の制御装置は、燃料タンクから燃料を圧送する低圧燃料ポンプと、低圧燃料ポンプから圧送された燃料を外部制御可能に昇圧する機関回転駆動の高圧燃料ポンプと、高圧燃料ポンプで昇圧された燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、を備えた内燃機関を制御するものであって、高圧燃料ポンプから燃料噴射弁へ供給される供給燃圧を検出する燃圧センサが異常であることを検知している場合に内燃機関を始動するときには、燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させた状態で、低圧燃料ポンプから圧送された燃料を高圧燃料ポンプによって昇圧させ、供給燃圧が内燃機関の始動に必要な圧力に到達したと推定されたときに、燃料噴射弁から燃料噴射を開始させ、その後、高圧燃料ポンプによる燃料の昇圧を停止させて、低圧燃料ポンプの吐出圧に基づいて燃料噴射弁の噴射期間を演算する。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、燃圧センサが故障したときにおける内燃機関の始動性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る燃料噴射システムの一例を示す概略図である。 同実施形態に係る内燃機関の制御装置の内部構成を示す概略図である。 異常時制御処理のメインルーチンを示すフローチャートである。 推定燃圧の演算に関するサブルーチンを示すフローチャートである。 異常時制御処理の変形例を示すフローチャートである。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。図1は、内燃機関の気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射システムの一例を示す。
自動車に搭載された内燃機関10は、シリンダブロック11と、シリンダブロック11のシリンダボア11Aに往復動可能に嵌挿されたピストン12と、吸気ポート13A及び排気ポート13Bが形成されたシリンダヘッド13と、吸気ポート13A及び排気ポート13Bの開口端を開閉する吸気バルブ14及び排気バルブ15と、を有している。
ピストン12は、コンロッド(コネクティングロッド)16を介してクランクシャフト17に連結されている。そして、ピストン12の冠面とシリンダヘッド13の下面との間に、燃焼室Sが形成されている。シリンダヘッド13には、燃焼室Sに燃料を直接噴射する燃料噴射弁18、及び燃料噴射弁18から噴射された燃料と吸気ポート13Aから吸入した空気との混合気を着火する点火栓19が、燃焼室Sに臨んで取り付けられている。
燃料噴射弁18は、外部からの制御信号に応答して、スプリングにより閉弁方向に付勢されているプランジャがリフトすることで、先端部の噴口から燃料を燃焼室Sに噴射する噴射期間及び噴射タイミングを制御できるように構成されている。また、点火栓19は、外部からの制御信号に応答して、燃焼室Sに臨む電極から火花放電を行うことで、点火タイミングを制御できるように構成されている。
クランクシャフト17は、複数のジャーナル部17Aとクランクピン部17Bとを有し、ジャーナル部17Aがシリンダブロック11の主軸受(図示省略)に回転自在に支持されている。クランクピン部17Bは、ジャーナル部17Aの回転中心から偏心しており、コンロッド16の下端部はクランクピン部17Bに回転自在に連結され、コンロッド16の上端部はピストン12のピストンピン(図示省略)に回動可能に連結されている。
また、クランクシャフト17には、外部からの制御信号に応答して内燃機関10のクランキングを行うスターターモータ20が、その軸回転力をクランクシャフト17へ伝達できるように接続される。例えば、外部からの制御信号に応答して駆動されるアクチュエータが、スターターモータ20の出力軸21を軸方向に移動自在に取り付けられたピニオンギア22と、クランクシャフト17の一端に同軸に取り付けられたフライホイール17Cのリングギアと、が噛合するようにピニオンギア22を移動させることで、スターターモータ20の軸回転力がクランクシャフト17へ伝達される。
燃料を貯蔵する燃料タンク30の内部には、外部からの制御信号に応答して、燃料タンク30の底部から燃料を吸入して圧送するフィードポンプ(低圧燃料ポンプ)40が取り付けられている。フィードポンプ40の燃料吐出口40Aは、低圧燃料配管50を介して、高圧燃料ポンプ60の燃料供給口60Aに連通されている。高圧燃料ポンプ60の燃料吐出口60Bは、高圧燃料配管70を介して、燃料噴射弁18の燃料供給口18Aに連通されている。フィードポンプ40から吐出される燃料の圧力が規定値(例えば0.45MPa)以上となったときに、吐出燃料の一部が図示省略のレギュレータによって燃料タンク30内へ戻されるので、フィードポンプ40から高圧燃料ポンプ60に供給された燃料の圧力(以下、「フィード圧Pf」という)Pfは、略一定の圧力(例えば0.45MPa)に保たれる。
燃料タンク30に貯蔵された燃料は、フィードポンプ40により吸い上げられ、低圧燃料配管50を通って高圧燃料ポンプ60へと供給される。そして、高圧燃料ポンプ60へと供給された燃料は、フィード圧Pf以上の所望の圧力まで昇圧された後、高圧燃料配管70を通って燃料噴射弁18へと供給される。
ここで、高圧燃料ポンプ60の一例について説明する。ポンプ本体61の内部には、フィードポンプ40から供給された燃料の圧力変動を平滑化する低圧ダンパ61A、プランジャ62が往復動可能に嵌挿されたシリンダ61B、及び、燃料を昇圧する昇圧室61Cがそれぞれ形成されている。低圧ダンパ61Aと昇圧室61Cとを連通する低圧燃料通路61Dには、低圧ダンパ61Aから昇圧室61Cへと燃料が流入する向きにのみ開弁する、スプリング63A及び弁体63Bを有する吸入弁63が配設されている。
吸入弁63には、スプリング63Aの付勢力に抗して弁体63Bを強制的に開弁させる、ソレノイドアクチュエータ64が併設されている。ソレノイドアクチュエータ64は、外部からの制御信号に応答して、吸入弁63の開弁期間を制御できるように構成されている。
昇圧室61Cと燃料吐出口60Bとを連通する高圧燃料通路61Eには、昇圧室61Cから燃料吐出口60Bへと燃料が流出する向きにのみ開弁する、スプリング65A及び弁体65Bを有する吐出弁65が配設されている。吐出弁65は、フィードポンプ40のフィード圧Pf以上で開弁するように構成されている。
プランジャ62の下端部、即ち、昇圧室61Cと反対側に位置する端部には、カム機構66の回転運動を直線運動に変換するタペット67が取り付けられている。カム機構66は、クランクシャフト17と同期して回転する図示省略のカムシャフトによって駆動され、カムシャフトにはカム66Aが取り付けられている。タペット67は、カム機構66のカム66Aと接触するように、圧縮コイルばねなどのスプリング68によってカム66Aに押し付けられている。内燃機関10が4ストローク機関であるとすると、クランクシャフト17が2回転したときにカム66Aが1回転するように、クランクシャフト17の回転力がカム機構66のカムシャフトに伝達される。
したがって、カム機構66のカム66Aが回転すると、その回転運動がタペット67によって直線運動に変換され、プランジャ62が往復動する。プランジャ62が下降すると、昇圧室61Cの容積が増加するため、昇圧室61Cの燃料圧力が低下して吸入弁63が開弁し、低圧ダンパ61Aから昇圧室61Cへと燃料が流入する。一方、プランジャ62が上昇すると、昇圧室61Cの容積が減少するため、昇圧室61Cの燃料圧力が上昇し、吸入弁63が閉弁すると共に吐出弁65が開弁する。吐出弁65が開弁すると、昇圧室61Cの燃料は、高圧燃料通路61Eを経て燃料吐出口60Bから吐出される。
プランジャ62の下降時に昇圧室61Cに流入した燃料は、プランジャ62の上昇時に吸入弁63が開弁していれば、低圧燃料通路61Dを経て昇圧室61Cから低圧ダンパ61A(低圧側)へと戻される。このため、ソレノイドアクチュエータ64によって、プランジャ62の上昇時に吸入弁63の閉弁タイミングを変更することで、低圧側へと戻される燃料と昇圧される燃料との割合を変化させ、吐出弁65から吐出される燃料の圧力を調整する。これにより、高圧燃料ポンプ60から高圧燃料配管70を介して燃料噴射弁18へ供給される燃料の圧力(以下、「供給燃圧」という)を調整することができる。吸入弁63の閉弁タイミングは、ソレノイドアクチュエータ64への通電により常時開弁した状態である全開状態からソレノイドアクチュエータ64へ通電しないことで閉弁タイミングを変更しない状態である全閉状態までの間で変更可能である。なお、吸入弁63の全開状態では、プランジャ62が上昇したときに昇圧室61C内の燃料は常時開弁している吸入弁63を介して低圧ダンパ61Aへ戻されるので、燃料噴射弁18に対する供給燃圧はフィードポンプ40のフィード圧Pfまで低下する。
また、低圧ダンパ61Aと吐出弁65の下流の高圧燃料通路61Eとは、高圧燃料通路61Eから低圧ダンパ61Aへと燃料が流出する向きにのみ開弁する、スプリング69A及び弁体69Bを有するリリーフ弁69を介して連通されている。
リリーフ弁69は、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が高圧燃料ポンプ60の制御上限である規定圧力を超えると、スプリング69Aの付勢力に抗して弁体69Bが移動して開弁し、高圧燃料通路61Eから低圧ダンパ61Aへと燃料を排出する。このため、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が規定圧力以下に制限され、リリーフ弁69の下流に位置する燃料噴射弁18や高圧燃料配管70等を保護することができる。
次に、内燃機関10の制御系について説明する。内燃機関10における制御対象である、燃料噴射弁18、点火栓19、スターターモータ20、フィードポンプ40及びソレノイドアクチュエータ64は、イグニッションスイッチ(IGSW)101のオン操作を契機として起動するECU(Engine Control Unit)100によって制御される。
ECU100は、イグニッションスイッチ101及びスタータースイッチ(STSW)102からオン操作又はオフ操作を検出する信号を入力する。ECU100は、イグニッションスイッチ101からオン操作を検出すると、フィードポンプ40に対して作動を開始するように制御信号を出力する。ECU100は、スタータースイッチ102からオン操作を検出すると、内燃機関10のクランキングを開始するようにスターターモータ20へ制御信号を出力する。
また、ECU100は、イグニッションスイッチ101及びスタータースイッチ102からオン操作又はオフ操作を検出する信号を入力する他、燃圧センサ103、水温センサ104、負荷センサ105、回転速度センサ106及びカム角センサ107の各センサからの出力信号を入力する。
燃圧センサ103は、高圧燃料配管70に取り付けられ、燃料噴射弁18に対する供給燃圧の実際値(実燃圧)Pnに対応した信号を出力する。水温センサ104は、内燃機関10を冷却する冷却水の循環経路(例えば、シリンダブロック11に形成されたウォータジャケット11B)に取り付けられ、冷却水の温度(水温)Twに対応した信号を出力する。負荷センサ105は、例えば、吸気流量、吸入負圧、過給圧、アクセル開度等、内燃機関10の発生トルクと密接に関連する状態量を内燃機関10の負荷Qとして、これに対応した信号を出力する。回転速度センサ106は、例えば、クランクシャフト17等の近傍に配置されたクランク角センサ等で構成され、内燃機関10の機関回転速度Neに対応した信号を出力する。
カム角センサ107は、カム機構66のカム66Aとともに回転するカムギア66Bの近傍に配置され、カムギア66Bが回転しているとき、カムギア66Bの外周に形成された歯による磁気抵抗の変化を検出して、カム66Aの回転位相に対応した信号を出力する。特に、カムギア66Bは、カム角センサ107によって、プランジャ62が所定の位置まで上昇した所定リフト状態を検出できるように形成される。例えば、カムギア66Bにおいて、所定リフト状態のときにカム角センサ107が対向する位置に1つの歯を設けることで所定リフト状態を検出可能である。あるいは、カムギア66Bの外周に複数の歯が離間して形成される場合には、カム角センサ107が所定リフト状態のときに検出する歯の磁気抵抗変化が他の歯の磁気抵抗変化と異なるようにカムギア66Bを形成してもよい。所定リフト状態としては、例えば、プランジャ62が最も上昇した位置にある最大リフト状態を採用することができる。
図2は、ECU100の内部構成を示す。ECU100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ100Aと、フラッシュROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ100Bと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ100Cと、外部機器とのインターフェースとなる入出力部100Dと、これらを相互に通信可能に接続するバス100Eと、を有する。ECU100の起動後、プロセッサ100Aは、不揮発性メモリ100Bに格納された制御プログラムを揮発性メモリ100Cに読み出して、各種制御処理を実行する。
プロセッサ100Aは、通常時の制御処理として、内燃機関10の運転状態に基づいて、燃料噴射弁18、点火栓19及びソレノイドアクチュエータ64を制御する。すなわち、プロセッサ100Aは、入出力部100Dを介して入力した、水温センサ104、負荷センサ105及び回転速度センサ106からの出力信号から、それぞれ、水温Tw、負荷Q及び機関回転速度Neを検出し、これらに基づいて、燃料噴射弁18から燃料を噴射する噴射期間及び噴射タイミング、点火栓19の点火タイミング、及び、燃料噴射弁18に対する供給燃圧の目標値(目標燃圧)Ptを決定する。そして、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18が、決定した噴射期間及び噴射タイミングで燃料を噴射し、点火栓19が、決定した点火タイミングで火花放電を行うように、燃料噴射弁18及び点火栓19へ入出力部100Dを介して制御信号を出力する。また、プロセッサ100Aは、入出力部100Dを介して入力した、燃圧センサ103からの出力信号に基づいて実燃圧Pnを検出し、実燃圧Pnが目標燃圧Ptに近づくように吸入弁63の閉弁タイミングを制御すべく、ソレノイドアクチュエータ64へ制御信号を出力する。
また、プロセッサ100Aは、所定のタイミングで、燃圧センサ103の異常を検知するための異常検知処理を実行する。異常検知の方法としては、限定するものではないが、例えば、内燃機関10のクランキング前に、燃圧センサ103の出力信号がフィードポンプ40のフィード圧Pfに対応した値となっているか否かによって検知することができる。
プロセッサ100Aは、異常検知処理により燃圧センサ103の異常を検知した場合には、通常時の制御処理を実行する代わりに、以下の異常時制御処理を実行する。すなわち、プロセッサ100Aは、吸入弁63が常時開弁する全開状態に固定するように、入出力部100Dを介してソレノイドアクチュエータ64へ制御信号を出力する。吸入弁63が常時開弁していると、プランジャ62が上昇したときに、昇圧室61C内の燃料は、常時開弁する吸入弁63を介して低圧ダンパ61Aへ戻される。これにより、燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィードポンプ40のフィード圧Pfまで低下させる。プロセッサ100Aは、供給燃圧がフィード圧Pfであるものとして、内燃機関10の運転状態に応じた燃料噴射弁18の噴射期間を演算する。このため、燃料噴射弁18の噴射期間は、供給燃圧がフィード圧Pfまで低下したことに応じて長くなる。このように、供給燃圧をフィード圧Pfまで低下させるのは、供給燃圧の推定値に基づいて噴射期間を演算するよりも、フィードポンプ40のフィード圧Pfに基づいて噴射期間を演算した方が、内燃機関10の運転状態に応じて必要となる燃料噴射量を良好な精度で噴射できるためである。
ところで、氷点下の極低温環境において内燃機関10を始動する際には、噴射燃料が気化しにくくなり、また、内燃機関10が作動を開始する際のフリクションも大きい。このため、燃圧センサ103の異常検知により燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィード圧Pfまで低下させたときに、氷点下の極低温環境において内燃機関10を始動するためには、燃料噴射量を増大させるべく、噴射期間をさらに長くする必要がある。しかし、噴射期間をさらに長くするために噴射終了時期を遅くすると、圧縮行程と重複する噴射期間では、燃焼室Sの筒内圧が噴射圧以上となって噴射困難となるおそれがある。逆に、噴射期間をさらに長くするために噴射開始時期を早くすると、排気行程と重複する噴射期間では、排気バルブ15の開弁中に燃料の噴射を開始することになるため、噴射燃料が排気ポート13Bへ排出されてしまうおそれがある。すなわち、噴射期間には設定可能な上限値が存在する。したがって、異常時制御処理において、燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィード圧Pfまで低下させると、内燃機関10を始動することが困難となる可能性がある。
このため、プロセッサ100Aは、異常時制御処理において、内燃機関10を始動する際に、燃料噴射弁18からの燃料噴射を停止させた状態で、フィードポンプ40から圧送された燃料を高圧燃料ポンプ60によって昇圧させ、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が水温Twに応じて内燃機関10の始動に必要となる圧力に到達したと推定したときに、燃料噴射弁18から燃料噴射を開始させて点火栓19による火花放電を行わせる。そして、プロセッサ100Aは、内燃機関10が燃焼を開始したときに、高圧燃料ポンプ60による燃料の昇圧を停止させて、燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィード圧Pfまで低下させる。これにより、プロセッサ100Aは、供給燃圧がフィード圧Pfであるものとして燃料噴射弁18の噴射期間を演算する。
図3は、プロセッサ100Aが、イグニッションスイッチ101のオン操作を契機として、燃圧センサ103の異常を検知している場合に実行する異常時制御処理のメインルーチンを示す。なお、異常時制御処理の開始時において、プランジャ62の現在の往復回数Mは零として設定されている(Mは0以上の自然数)。
ステップS1(図中では「S1」と略記する。以下同様。)では、プロセッサ100Aは、プランジャ62がM回往復動したときの燃料噴射弁18に対する供給燃圧として推定される後述の推定燃圧Pest(M)の初期値Pest(0)を設定する。具体的には、プロセッサ100Aは、不揮発性メモリ100Bに予め格納された推定燃圧Pest(M)の初期値Pest(0)を揮発性メモリ100Cに読み出す。吸入弁63が全開状態でプランジャ62が作動していない初期状態において、燃料噴射弁18に対する供給燃圧はフィード圧Pfとなることから、推定燃圧Pest(M)の初期値Pest(0)はフィード圧Pfに設定されている。
ステップS2では、プロセッサ100Aは、入出力部100Dを介して入力した水温センサ104からの出力信号に基づいて水温Twを検出する。
ステップS3では、プロセッサ100Aは、ステップS2で検出した水温Twに基づいて、内燃機関10の始動に必要となる供給燃圧である始動前目標供給燃圧Ptagを設定する。始動前目標供給燃圧Ptagは、基本的には、ステップS2で検出した水温Twに応じて内燃機関10の始動に必要となる燃料噴射量と、後述するステップS15の燃料噴射における所定の噴射期間Dと、に基づいて演算される。所定の噴射期間Dは、少なくとも吸気行程から圧縮行程において燃料噴射弁18からの燃料噴射が可能な期間である。内燃機関10の始動に必要となる燃料噴射量は水温が低下するのに従って増大するので、始動前目標供給燃圧Ptagも水温が低下するのに従って低下する。なお、プロセッサ100Aは、ステップS2で検出した水温Twに基づいて、不揮発性メモリ100Bにおいて所定の噴射期間Dの下に始動前目標供給燃圧と水温とを予め関連付けて記憶した水温供給燃圧マップを参照することで、始動前目標供給燃圧Ptagを設定することができる。
ステップS4では、プロセッサ100Aは、供給燃圧が始動前目標供給燃圧Ptag以上となるまでに必要なプランジャ62の往復回数である始動前目標往復回数Mstを設定する。始動前目標往復回数Mstは、吸入弁63が全閉状態でプランジャ62が1回往復動したときに昇圧する供給燃圧の最大昇圧量と、ステップS3で設定した始動前目標供給燃圧Ptagと、に基づいて演算される。具体的には、始動前目標往復回数Mstは、プランジャ62をMst回往復動させたときに、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が始動前目標供給燃圧Ptag以上の近傍値となるように設定される。なお、プロセッサ100Aは、ステップS2で検出した水温Twに基づいて、不揮発性メモリ100Bにおいて、所定の噴射期間D及びプランジャ62の1回往復動による最大昇圧量の下に始動前目標往復回数と水温とを予め関連付けて記憶した水温往復回数マップを参照することで、始動前目標往復回数Mstを設定することができる。
ステップS5では、プロセッサ100Aは、スタータースイッチ102がオン操作されたか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、スタータースイッチ102がオン操作されたと判定した場合には(YES)、スターターモータ20が内燃機関10のクランキングを行うことで、プランジャ62が往復動を開始しているので、処理をステップS6へ進める。一方、プロセッサ100Aは、スタータースイッチ102がオン操作されていないと判定した場合には(NO)、スターターモータ20が内燃機関10のクランキングを開始していないので、始動前目標供給燃圧Ptag及び始動前目標往復回数Mstを再度設定すべく、処理をステップS2へ戻す。なお、ステップS2へ処理を戻した場合には、プランジャ62の現在の往復回数Mは再び零に初期化される。
ステップS6では、プロセッサ100Aは、プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst以下であるか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst以下であると判定した場合には(YES)、処理をステップS7へ進める。一方、プロセッサ100Aは、現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst以上であると判定した場合には(NO)、処理をステップS9へ進める。
ステップS7では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18に対する供給燃圧として推定した後述の推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptag未満であるか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)が、始動前目標供給燃圧Ptag未満であると判定した場合には(YES)、燃料噴射弁18に対する供給燃圧の昇圧を行うべく処理をステップS8へ進める。一方、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptag以上であると判定した場合には(NO)、処理をステップS9へ進める。これは、プランジャ62による供給燃圧の最大昇圧量によっては、プランジャ62をMst回往復動させる前に、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が始動前目標供給燃圧Ptagよりも高くなることが有り得るので、ステップS8における吸入弁63の全閉状態固定によって供給燃圧をさらに上昇させないようにするためである。
ステップS8では、プロセッサ100Aは、入出力部100Dを介して、ソレノイドアクチュエータ64に対して吸入弁63を全閉状態に固定するように制御信号を出力する。これにより、プランジャ62の上昇時に昇圧された昇圧室61C内の燃料は、吸入弁63を介して低圧ダンパ61Aへ戻されず、吐出弁65から高圧燃料配管70へ略全て吐出されるので、燃料噴射弁18に対する供給燃圧は最大昇圧量で上昇する。
ステップS9では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18に対する供給燃圧として推定した後述の推定燃圧Pest(M)が、始動前目標供給燃圧Ptagとなるように供給燃圧のフィードバック(F/B)制御を行う。具体的には、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)と始動前目標供給燃圧Ptagとの偏差に応じて吸入弁63の閉弁タイミングを変更させる制御信号を、入出力部100Dを介して、ソレノイドアクチュエータ64へ出力する。例えば、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptagよりも高くなっていれば吸入弁63の閉弁タイミングを遅くする一方、推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptagよりも低くなっていれば吸入弁63の閉弁タイミングを早くする。
ステップS10では、プロセッサ100Aは、カム角センサ107からの出力信号に基づいて、プランジャ62が所定の位置まで上昇した所定リフト状態に到達したか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、プランジャ62が所定リフト状態に到達したと判定した場合には(YES)、処理をステップS11へ進める一方、プランジャ62が所定リフト状態に到達していないと判定した場合には(NO)、再度ステップS10を実行する。
ステップS11では、プロセッサ100Aは、プランジャ62の現在の往復回数Mに1を加算して、現在の往復回数Mのカウントアップを行う。これにより、プロセッサ100Aは、ステップS10によりプランジャ62が所定リフト状態に到達したと判定した後にはじめて、プランジャ62が1回往復動したものとして、現在の往復回数Mを1とすることになる。
ステップS12では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が、プランジャ62のM回目の往復動によって、どのような圧力になっているかを推定し、この圧力を推定燃圧Pest(M)として演算する。推定燃圧Pest(M)の演算方法の詳細については後述する。
ステップS13では、プロセッサ100Aは、プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst以上であるか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst以上であると判定した場合には(YES)、処理をステップS14へ進める。一方、プロセッサ100Aは、現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mst未満であると判定した場合には(NO)、さらにプランジャ62に往復動を行わせるべく、処理をステップS5へ戻す。
ステップS14では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18に対する供給燃圧として推定した後述の推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptag以上であるか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptag以上であると判定した場合には(YES)、供給燃圧が始動前目標供給燃圧Ptagに到達していると推定されるので、処理をステップS15へ進める。一方、プロセッサ100Aは、推定燃圧Pest(M)が始動前目標供給燃圧Ptag未満であると判定した場合には(NO)、供給燃圧がまだ始動前目標供給燃圧Ptagに到達していないと推定されるので、燃料噴射弁18に対する供給燃圧の昇圧を行うべく、処理をステップS5へ戻す。
ステップS15では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18から所定の噴射期間D及び所定の噴射タイミングで燃料噴射を行うように、入出力部100Dを介して燃料噴射弁18へ制御信号を出力する。また、プロセッサ100Aは、点火栓19から所定の点火時期で火花放電を行うように、入出力部100Dを介して点火栓19へ制御信号を出力する。
ステップS16では、プロセッサ100Aは、内燃機関10が燃焼を開始したか否かを判定する。すなわち、プロセッサ100Aは、内燃機関10が完爆状態となっているか否かを判定する。内燃機関10が完爆状態となっているか否かは、機関回転速度Neが完爆判定用の閾値N1以上となっているか否かによって判定できる。閾値N1は、スターターモータ20による内燃機関10のクランキングを停止しても、内燃機関10が燃料の燃焼によって自力で回転を継続させることができると判断可能な回転速度である。閾値N1は、クランキングによる機関回転速度NCよりも高く、かつ、アイドル回転速度Nidよりも低い値である(NC<N1<Nid)。
なお、ステップS16において、内燃機関10が初爆状態となったことにより、内燃機関10が燃焼を開始したと判定してもよい。内燃機関10が初爆状態となっているか否かは、機関回転速度Neが初爆判定用の閾値N2以上となっているか否かによって判定できる。閾値N2は、内燃機関10における複数の気筒のうちの1つの燃焼室Sで最初の爆発が発生したと判断できる回転速度である。閾値N2は、内燃機関10のクランキングによる機関回転速度NCよりも高く、かつ、閾値N1よりも低い回転速度である(NC<N2<N1)。したがって、完爆状態を判定するよりも早期に、内燃機関10の燃焼開始を検知できる。
そして、プロセッサ100Aは、ステップS16において、内燃機関10が燃焼を開始したと判定した場合には(YES)、内燃機関10が始動したと判断して、処理をステップS17へ進める一方、内燃機関10が燃焼を開始していないと判定した場合には(NO)、内燃機関10が始動していないと判断して、再び燃料噴射弁18に対する供給燃圧の昇圧を行うべく、処理をステップS5へ戻す。
ステップS17では、プロセッサ100Aは、吸入弁63を全開状態に固定するように、入出力部100Dを介してソレノイドアクチュエータ64へ制御信号を出力する。吸入弁63を全開状態に固定すると、プランジャ62が上昇したときに昇圧室61C内の燃料は常時開弁している吸入弁63を介して低圧ダンパ61Aへ戻される。これにより、燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィードポンプ40のフィード圧Pfまで低下させる。
ステップS18では、プロセッサ100Aは、水温センサ104、負荷センサ105及び回転速度センサ106の出力信号を入出力部100Dで入力して検出した、水温、負荷Q及び機関回転速度Neと、フィード圧Pfとみなした供給燃圧と、に基づいて、燃料噴射弁18から燃料を噴射する噴射期間及び噴射タイミング、及び、点火栓19の点火タイミングを決定する。そして、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18が、決定した噴射期間及び噴射タイミングで燃料を噴射し、点火栓19が、決定した点火タイミングで火花放電を行うように、入出力部100Dを介して燃料噴射弁18及び点火栓19へ制御信号を出力する。ステップS18の燃焼制御は、イグニッションスイッチ101がオフ操作されるまで、あるいは、アイドリングストップ機能を有する自動車であれば、アイドリングストップ機能によって内燃機関10を自動的に停止するまで、繰り返し実行される。
図4は、異常時制御処理における推定燃圧Pest(M)の演算についてのサブルーチンを示す。
ステップS101では、プロセッサ100Aは、プランジャ62のM回目の往復動によって吐出弁65から吐出されて高圧燃料配管70に流入した燃料の燃料流入体積Vinを演算する。燃料流入体積Vinは、プランジャ62のM回目のストロークにおける吸入弁63の閉弁タイミングと、プランジャ62が最も下降した位置にある最小リフト状態から最も上昇した位置にある最大リフト状態へ変化したときの昇圧室61Cの最大体積変化量ΔVと、に基づいて演算可能である。燃料流入体積Vinは、吸入弁63が全閉状態であれば、プランジャ62が最小リフト状態から最大リフト状態へ変化したときの昇圧室61Cの最大体積変化量ΔVとすることができ、吸入弁63の閉弁タイミングが遅くなるに従って最大体積変化量ΔVから減少する。
ステップS102では、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18から燃料が噴射されて高圧燃料配管70から流出した燃料の燃料流出体積Voutを演算する。具体的には、プロセッサ100Aは、燃料噴射弁18の流路特性(内部圧力損失)、所定の噴射期間D、及び前回の演算によって算出した推定燃圧Pest(M−1)に基づいて燃料流出体積Voutを演算する。燃料噴射弁18の流路特性(内部圧力損失)を考慮しているのは、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が燃料噴射弁18の内部圧力損失によって低下して、燃料噴射弁18から実際に噴射される燃料噴射量が低下することにより、無損失の場合と比較して、燃料流出体積Voutが目減りするからである。
ステップS103では、プロセッサ100Aは、前回の演算によって算出した推定燃圧Pest(M−1)と、高圧燃料配管70における圧力変化ΔPと、に基づいて、プランジャ62がM回往復動したときの供給燃圧として推定される推定燃圧Pest(M)を演算する。推定燃圧Pest(M)は以下の関係式で示される。
est(M)=Pest(M−1)+ΔP…(1)
高圧燃料配管70における圧力変化ΔPは、高圧燃料配管70の内部体積Vpipe、燃料流入体積Vin及び燃料流出体積Voutに基づいて演算される。なお、高圧燃料配管70の内部体積Vpipeには、高圧燃料ポンプ60における高圧燃料通路61Eの内部体積や燃料噴射弁18における流路体積を含んでもよい。高圧燃料配管70における圧力変化ΔPは以下の関係式で示される。
ΔP=(Vpipe+Vin−Vout)/Vpipe…(2)
プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mstとなるまでは、燃料噴射弁18から燃料を噴射しないので、燃料流出体積Voutは零のままである一方、吸入弁63が全閉状態であるので、燃料流入体積Vinは昇圧室61Cの最大体積変化量ΔVとなる。したがって、プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mstとなるまでの推定燃圧Pest(M)は、プランジャ62の現在の往復回数Mが1回増えるたびに、すなわち、プランジャ62が往復動するたびに、以下の圧力変化ΔPで段階的に上昇していく。
ΔP=(Vpipe+ΔV)/Vpipe…(3)
プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mstとなってからは、燃料噴射弁18からの燃料噴射により燃料流出体積Voutは零よりも大きくなる一方、推定燃圧Pest(M)と始動前目標供給燃圧Ptagとの偏差に応じた吸入弁63の閉弁タイミングの変更により、燃料流入体積Vinは最大体積変化量ΔV以下で変動する。したがって、プランジャ62の現在の往復回数Mが始動前目標往復回数Mstとなってからの推定燃圧Pest(M)は、プランジャ62の現在の往復回数Mが1回増えるたびに、すなわち、プランジャ62が往復動するたびに、始動前目標供給燃圧Ptagを中心として上下する。
このようなECU100によれば、燃圧センサ103の異常を検知している場合に、内燃機関10を始動する際には、燃料噴射弁18からの燃料噴射を停止させた状態で、フィードポンプ40から圧送された燃料を高圧燃料ポンプ60によって昇圧させ、燃料噴射弁18に対する供給燃圧が水温Twに応じて内燃機関10の始動に必要となる圧力(始動前目標供給燃圧Ptag)に到達したと推定したときに、燃料噴射弁18に燃料噴射を開始させて点火栓19による火花放電を行わせている。したがって、ECU100によれば、氷点下の極低温環境であっても、燃圧センサ103が故障している状態における内燃機関10の始動性を向上させることができる。
また、ECU100によれば、内燃機関10の始動後においては、高圧燃料ポンプ60による燃料の昇圧を停止させて、燃料噴射弁18に対する供給燃圧をフィード圧Pfまで低下させている。したがって、ECU100によれば、供給燃圧がフィード圧Pfであるものとして燃料噴射弁18の噴射期間を演算できるので、供給燃圧の推定値に基づいて噴射期間を演算するよりも、内燃機関10の運転状態に応じて必要となる燃料噴射量を良好な精度で噴射することができる。
ここで、異常時制御処理の変形例について説明する。先ず、異常時制御処理において、プロセッサ100Aは、ステップS16において内燃機関10が燃焼を開始したと判定した場合、すなわち内燃機関10が始動したと判断した場合には、ステップS17において吸入弁63の閉弁タイミングを全開状態に固定し、ステップS18において、燃料噴射弁18に対する供給燃圧がフィード圧Pfであるものとして噴射期間を演算している。しかし、吸入弁63を全開状態に固定してから、実際の供給燃圧がフィード圧Pfまで低下するまでには、時間的なずれ(応答遅れ)が発生することが想定される。このような応答遅れが発生しているときに、ステップS18において供給燃圧がフィード圧Pfであるものとして噴射期間を演算すると、演算された噴射期間は実際の供給燃圧に対応した噴射期間よりも長くなってしまうので、燃料噴射弁18から噴射される燃料の噴射量が、内燃機関10の運転状態に応じて必要な範囲を超えて過大となるおそれがある。
そこで、異常時制御処理の変形例では、ステップS17において吸入弁63の閉弁タイミングを全開状態に固定してから、ステップS18においてフィード圧Pfに基づいて演算された噴射期間で燃焼制御を開始するまでの間において、プランジャ62が往復動するたびに供給燃圧として推定される推定燃圧を演算し、推定燃圧がフィード圧Pfまで低下したと判定されるまで、推定燃圧に基づいて噴射期間を演算して燃焼制御を行っている。
図5は、内燃機関10の始動後における異常時制御処理の変形例を示す。なお、異常時制御処理の開始時において、内燃機関10の始動後におけるプランジャ62の往復回数である始動後往復回数Kは零として設定されている(Kは0以上の自然数)。
ステップS171では、プロセッサ100Aは、内燃機関10の始動後における供給燃圧として推定される推定燃圧の初期値を設定する。内燃機関10の始動後にプランジャ62がK回往復動したときの供給燃圧として推定される推定燃圧を始動後推定燃圧PPest(K)とすると、その初期値PPest(0)は、ステップS12で最後に演算されて揮発性メモリ100Cに記憶された推定燃圧Pest(M)の値PLASTとなる。
ステップS172では、プロセッサ100Aは、始動後往復回数Kに1を加算して、始動後往復回数Kのカウントアップを行う。
ステップS173では、プロセッサ100Aは、始動後往復回数Kに応じた始動後推定燃圧PPest(K)を演算する。始動後推定燃圧PPest(K)の演算方法は、ステップS12における推定燃圧Pest(M)の演算方法と同様である。すなわち、始動後推定燃圧PPest(K)は、前回の演算によって算出した始動後推定燃圧PPest(K−1)と、高圧燃料配管70における圧力変化ΔPと、に基づいて、上記の関係式(1)と同様に演算される。高圧燃料配管70における圧力変化ΔPは、上記の関係式(2)を用いて、高圧燃料配管70の内部体積Vpipe、燃料流入体積Vin及び燃料流出体積Voutに基づいて演算される。
例えば、内燃機関10の始動後にプランジャ62が1回目の往復動を行うときの始動後推定燃圧PPest(1)は、以下の関係式を用いて演算される。
PPest(1)=PLAST+ΔP…(4)
上記の式(4)の圧力変化ΔPでは、燃料流入体積Vin及び燃料流出体積Voutは以下のようになる。すなわち、吸入弁63が全開状態に固定されているので、高圧燃料配管70に流入する燃料流入体積Vinは、フィード圧Pfに応じて吐出弁65が開弁することで流入する体積となる。また、ステップS15において燃料噴射弁18から燃料を噴射しているので、燃料流出体積Voutは、ステップS15において燃料噴射弁18から噴射された燃料の噴射量と燃料噴射弁18の流路特性とに基づいて演算される。なお、プランジャ62が2回目以降の往復動を行うときには、燃料流入体積Vinは、1回目と同様に、フィード圧Pfに応じて吐出弁65が開弁することで流入する体積となり、燃料流出体積Voutは、ステップS176において燃料噴射弁18から噴射された燃料の噴射量と燃料噴射弁18の流路特性とに基づいて演算される。
ステップS174では、プロセッサ100Aは、始動後推定燃圧PPest(K)がフィード圧Pfより高いか否かを判定する。そして、プロセッサ100Aは、始動後推定燃圧PPest(K)がフィード圧Pfより高いと判定した場合には(YES)、処理をステップS175へ進める一方、始動後推定燃圧PPest(K)がフィード圧Pf以下であると判定した場合には(NO)、処理をステップS18へ進める。
ステップS175では、プロセッサ100Aは、ステップS173の演算で算出した始動後推定燃圧PPest(K)に基づいて、燃料噴射弁18の噴射期間を演算する。これにより、燃料噴射弁18の噴射期間は、フィード圧Pfに基づいて演算した噴射期間よりも短くなる。
ステップS176では、プロセッサ100Aは、所定のタイミングで、燃料噴射弁18に燃料を噴射させ、点火栓19に火花放電を行わせるように、燃料噴射弁18及び点火栓19へ制御信号を出力する。本ステップの終了後、処理をステップS172へ戻す。
なお、前述の異常時制御処理の変形例では、プロセッサ100Aは、ステップS17において、吸入弁63を直ちに全開状態に固定しているが、これに代えて、吸入弁63の閉弁タイミングを段階的に遅くして、最終的に全開状態に固定してもよい。これにより、供給燃圧の変化が緩やかになって、始動後推定燃圧PPest(K)の推定精度を向上させることができる。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
前述の異常時制御処理において、始動前目標供給燃圧Ptagは水温センサ104で検出した水温Twに応じて設定されたが、これに限らず、内燃機関10の機関温度又はその周囲温度に応じて設定することができる。例えば、内燃機関10の潤滑オイルの温度や自動車周囲の外気温度に応じて始動前目標供給燃圧Ptagを設定してもよい。
前述の異常時制御処理において、吸入弁63を全開状態に固定して供給燃圧をフィード圧Pf相当にするとともに噴射期間を設定可能な上限値に設定することで、内燃機関10を始動させることができる水温の最低値を所定温度とすると、水温センサ104で検出された水温Twが所定温度になるまでは、ステップS1〜ステップS17の処理を省略してもよい。
前述の高圧燃料ポンプ60では、低圧ダンパ61Aと昇圧室61Cとを連通する低圧燃料通路61Dに配設された吸入弁63の閉弁タイミングをソレノイドアクチュエータ64によって変更することで、供給燃圧の制御を行う構成を説明したが、フィードポンプ40から圧送された燃料を昇圧して所望の供給燃圧に調整できるものであれば、構成の如何は問わない。高圧燃料ポンプ60の他の例として、プランジャ62のリフト量を変更可能なリフト量可変機構を備え、かかるリフト量可変機構によって供給燃圧の制御を行うものであってもよい。かかるリフト量可変機構では、リフト量を零にする機能も併せて備えていることはいうまでもない。
前述の異常時制御処理のステップS4において、始動前目標往復回数Mstは、吸入弁63が全閉状態でプランジャ62が1回往復動したときに吐出弁65から吐出される燃料によって昇圧する供給燃圧の最大昇圧量と、始動前目標供給燃圧Ptagと、に基づいて演算するものとして説明した。しかし、始動前目標往復回数Mstの設定では、プランジャ62の1回往復動による昇圧量が最大であることを前提としなくてもよい。例えば、プランジャ62がMst回の往復動で燃料を昇圧したときに、供給燃圧がちょうど始動前目標供給燃圧Ptagとなるように、かつ、始動前目標往復回数Mstが最小となるように、始動前目標往復回数Mstを設定することができる。
回転速度センサ106としてのクランク角センサによって、プランジャ62の所定リフト状態を検出できる場合には、カム角センサ107を省略してもよい。
10…内燃機関、18…燃料噴射弁、19…点火栓、30…燃料タンク、40…フィードポンプ(低圧燃料ポンプ)、60…高圧燃料ポンプ、62…プランジャ、63…吸入弁、64…ソレノイドアクチュエータ、66…カム機構、67…タペット、100…ECU(制御装置)、100A…プロセッサ、103…燃圧センサ、104…水温センサ、Pf…フィード圧、Ptag…始動前目標供給燃圧、Pest(M)…推定燃圧、PPest(K)…始動後推定燃圧、Tw…水温、M…プランジャの往復回数、K…始動後におけるプランジャの往復回数

Claims (5)

  1. 燃料タンクから燃料を圧送する低圧燃料ポンプと、前記低圧燃料ポンプから圧送された燃料を外部制御可能に昇圧する機関回転駆動の高圧燃料ポンプと、前記高圧燃料ポンプで昇圧された燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記高圧燃料ポンプから前記燃料噴射弁へ供給される供給燃圧を検出する燃圧センサが異常であることを検知している場合に前記内燃機関を始動するときには、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させた状態で、前記低圧燃料ポンプから圧送された燃料を前記高圧燃料ポンプによって昇圧させ、前記供給燃圧が前記内燃機関の始動に必要な圧力に到達したと推定されたときに、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を開始させ、その後、前記高圧燃料ポンプによる燃料の昇圧を停止させて、前記低圧燃料ポンプの吐出圧に基づいて前記燃料噴射弁の噴射期間を演算する、内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の始動に必要な圧力は、機関温度又は外気温度が低下するに従って増大する、請求項1に記載された内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止した状態で前記低圧燃料ポンプから圧送された燃料を前記高圧燃料ポンプによって昇圧させるときには、前記高圧燃料ポンプは所定の吐出状態に固定される、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記高圧燃料ポンプによる燃料の昇圧を停止するのは、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させて点火したときに、前記内燃機関が燃焼を開始したことを条件とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記高圧燃料ポンプによる燃料の昇圧を停止してから、前記供給燃圧の推定値である推定燃圧を演算し、前記推定燃圧が前記低圧燃料ポンプから前記高圧燃料ポンプに供給された燃料の圧力に低下するまで、前記推定燃圧に基づいて前記燃料噴射弁の噴射期間を演算する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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