JP2019157258A - 銅合金板、通電用電子部品、放熱用電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、高導電性を兼ね備えた銅合金板において、良好な曲げ肌を有するCu−Cr−Zr−Ti系銅合金板を提供すること。【解決手段】Crを0.1〜0.6質量%、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.30質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、XRD測定から得られる圧延直角方向(TD)の逆極点図における集積強度のピーク方位に対して、TDと平行方向に引張の応力が負荷された際のシュミットファクターが0.40以上である銅合金板。【選択図】図3

Description

本発明は電子材料などの電子部品の製造に好適に使用可能な銅合金板及び通電用又は放熱用電子部品に関し、特に、電機・電子機器、自動車等に搭載される端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電子部品の素材として使用される銅合金板、及び該銅合金板を用いた電子部品に関する。中でも、電気自動車、ハイブリッド自動車等で用いられるコネクタや端子等の通電用電子部品の用途、又はスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に好適な銅合金板及び該銅合金板を用いた電子部品に関するものである。
電子機器の端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム、放熱板等の電気又は熱を伝えるための材料として、強度と導電率に優れた銅合金条が広く用いられている。ここで、電気伝導性と熱伝導性は比例関係にある。ところで、近年、電子機器のコネクタにおいて高電流化が進んでおり、良好な曲げ性を有し、75%IACS以上の導電率、550MPa以上の耐力を有することが必要と考えられている。
一方、例えばスマートフォンやタブレットPCの液晶には液晶フレームと呼ばれる放熱部品が用いられている。このような放熱用途の銅合金板においても、高熱伝導率化が進んでおり、良好な曲げ性を有し、高強度を有することが必要と考えられている。このため、放熱用途の銅合金板においても、75%IACS以上の導電率、550MPa以上の耐力を有することが必要と考えられている。また、これらの特性に加えて、曲げ部の曲げ肌も良好である必要がある。その理由として、例えば、曲げ肌が良好でない場合、コネクタなどでは曲げ部分の接触面積減少につながり、通電性が悪化することなどが挙げられる。ここで、曲げ肌とは、曲げ試験後の表面のしわの深さをいい、その評価方法の詳細は後述する。
しかしながら、75%IACS以上の導電率をコルソン合金系銅合金で達成することは難しいため、Cu−Cr系やCu−Zr系の銅合金の開発が進められてきた。例えば、溶解鋳造、均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延、再結晶熱処理、冷間圧延、時効熱処理を行うことで、特に耐応力緩和特性に優れ、中程度の強度と高導電性を有するCu−Cr系を中心とした銅合金材料を得られることが開示されている(特許文献1)。また、Cu−Cr−Zr−Ti系銅合金として、I(200)を高くすることで、曲げ加工性に優れた銅合金が開示されている(特許文献2)。
特開2013−129889号公報 特許第5834528号公報
しかしながら、Cu−Cr−Zr−Ti系銅合金は、比較的良好な応力緩和特性を有するとはいうものの、その応力緩和特性のレベルは大電流を通電する部品又は大熱量を放散する部品の用途として必ずしも十分とはいえない場合があった。また、75%IACS以上の高導電率と良好な曲げ加工性を確保しつつ耐力を高めることには限界があり、コネクタとして用いられる場合に必ずしも十分な接圧を確保できない場合があった。さらに、特許文献1及び2は、曲げ加工性をクラックの有無で判断しているが、クラックがない場合であっても、曲げ肌が悪いことはあり得るので、これらの技術では必ずしも良好な曲げ肌を得られるとは限らない。
そこで、本発明は、高強度、高導電性を兼ね備えた銅合金板において、良好な曲げ肌を有するCu−Cr−Zr−Ti系銅合金板を提供することを課題とする。さらには、本発明は、当該銅合金板を用いた、通電用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することをも目的とする。
本発明に係る銅合金板は一側面において、Crを0.1〜0.6質量%、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.30質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、XRD測定から得られる圧延直角方向(TD)の逆極点図における集積強度のピーク方位に対して、TDと平行方向に引張の応力が負荷された際のシュミットファクターが0.40以上である銅合金板が提供される。
本発明に係る銅合金板は別の一実施態様において、銅合金板の0.2%耐力(MPa)/引張強度(MPa)の値が0.95以上である。
本発明に係る銅合金板は更に別の一実施態様において、銅合金板の引張強度が550MPa以上であり、導電率が75%IACS以上であり、応力緩和率が15%以下である。
本発明に係る銅合金板は更に別の一実施態様において、銅合金板はAg、Fe、Co、Ni、Mn、Zn、Mg、Si、P、Sn、Al、Ca、Y、Nb、Mo、Hf、W、Pt、Au及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で1.0質量%以下含有する。
本発明は別の一側面において、上記銅合金板を用いた通電用電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、上記銅合金板を用いた放熱用電子部品である。
本発明によれば、導電率や強度を維持しつつ、かつ、良好な曲げ肌を有するCu−Cr−Zr−Ti系銅合金板、並びに通電用途又は放熱用途に好適な電子部品を提供することが可能である。この銅合金板は、端子、コネクタ、スイッチ、ソケット、リレー、バスバー、リードフレーム等の電子部品の素材として好適に使用することができ、特に大電流を通電する電子部品の素材又は大熱量を放散する電子部品の素材として有用である。
応力緩和率の測定原理を説明する図である。 応力緩和率の測定原理を説明する図である。 シュミットファクターを説明する図である。
以下、本発明の実施形態に係る銅合金板(Cu−Cr−Zr−Ti系合金板)について説明する。なお、本発明において「%」とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(成分濃度)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、Crを0.1〜0.6%、Zr及びTiのうちの一種又は二種を合計で0.01〜0.30%含み、残部が銅及び不可避的不純物からなる。一実施態様においては、Crを0.15〜0.3%含み、Zr及びTiのうちの一種又は二種を合計で0.05〜0.20%含有することが好ましい。Crが0.6%を超えると曲げ加工性が低下し、0.1%未満になると550MPa以上の0.2%耐力を得ることが難しくなる。Zr及びTiのうちの一種又は二種の合計が0.30%を超えると曲げ加工性が低下し、0.01%未満になると、550MPa以上の0.2%耐力を得ることが難しくなる。
なお、本明細書において「Cu−Cr−Zr−Ti系銅合金板」と称する場合、Cu、Cr、Zr及びTiをすべて含むことを意味せず、上記Crを0.1〜0.6%、Zr及びTiのうちの一種又は二種を合計で0.01〜0.30%含む銅合金板を総称する意味である。
さらに、本発明の実施の形態に係る銅合金板は、Ag、Fe、Co、Ni、Mn、Zn、Mg、Si、P、Sn、Al、Ca、Y、Nb、Mo、Hf、W、Pt、Au及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で1.0%以下含有することが好ましい。これら元素は固溶強化や析出強化等により強度上昇に寄与する。これら元素の合計量が1.0%を超えると導電率が低下する、或いは、熱間圧延で割れる場合がある。
なお、高強度および高導電性を有する銅合金板において、添加する添加元素の組み合わせによって個々の添加量が変更されることは当業者によって理解可能なものである。典型的な一実施態様においては、例えば、Agは1.0%以下、Feは0.1%以下、Coは0.1%以下、Niは0.2%以下、Mnは0.1%以下、Znは0.5%以下、Mgは0.1%以下、Siは0.1%以下、Pは0.05%以下、Snは0.1%以下、Alは0.1%以下、Caは0.1%以下、Yは0.1%以下、Nbは0.1%以下、Moは0.1%以下、Hfは0.1%以下、Wは0.1%以下、Ptは0.1%以下、Auは0.1%以下、Bは0.05%以下添加することができるが、導電率が75%IACSを下回らない添加元素の組み合わせおよび添加量であれば、本発明の銅合金板は必ずしもこれらの上限値に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る銅合金板の厚みは特に限定されないが、例えば0.03〜0.6mmとすることができる。
(シュミットファクター)
本発明者は、良好な曲げ肌を作り込むことが困難な場合の多い、B.W.:Bad Way(曲げ軸が圧延方向と同一方向)の曲げ肌を改善することが重要であると考えた。
圧延垂直方向に対して引張の応力が負荷された場合のシュミットファクターの値を高くしたところ、良好な曲げ肌が得られることが分かった。この要因としてはシュミットファクターの値が大きいほどすべり面がすべりやすいことから(なお、シュミットファクターの最大値は0.5である)、上記方向のシュミットファクターを高くすることで、B.W.に曲げ負荷がかかった際にすべり変形が生じやすくなったためと推測される。
図3は、単結晶の引張り分解せん断応力を簡易的に説明するモデルを示す。
具体的に、図3は、シュミットファクターについて簡易的に説明するためのモデル図であり、単結晶の塑性変形を模式的に示した図である。すなわち、断面積Aの単結晶丸棒10を、単軸荷重Fで引っ張った場合、単結晶丸棒10の結晶粒内のすべり面20、すべり方向25に分解せん断応力が生じる。この分解せん断応力τがその材料特有の臨界せん断応力τcに達するとすべり変形(塑性変形)が生じる。分解せん断応力τは、軸応力をσ、負荷軸とすべり面の法線とのなす角をφ、負荷軸とすべり方向とのなす角をλとすると、τ=(F/A)・cosλ・cosφ=σ・cosλ・cosφで表される。これがシュミットの法則であり、cosλ・cosφがシュミットファクターである。シュミットファクターは、λ=φ=45°の時に最大値になる(なお、シュミットファクターについては、塑性加工技術シリーズ2「材料」日本塑性加工学会編,コロナ社,p.12を参照)。
上記のシュミットファクターは、圧延直角方向(TD)の逆極点図における集積強度のピーク方位に対して、TDと平行方向に引張の応力が負荷された場合の値を算出した。逆極点図はXRD(X−ray diffraction)測定から求めた。本方法で求められたシュミットファクターが0.40以上の値を示した場合に良好な曲げ肌が得られた。シュミットファクターが0.40以上となることで、銅合金板に曲げ負荷がかかった際に転位運動が比較的容易となる。転位の運動によりすべり変形が生じることで連続的な変形が可能となり、材料表面において大きなくぼみ等が発生しにくくなることが要因であると推測される。
なお、シュミットファクターは以下の式を用いて算出した。
(シュミットファクター)=cosλ・cosφ
cosλ=t・n/|t||n|
cosφ=t・s/|t||s|
ただし、
φ:負荷軸とすべり面の法線とのなす角
λ:負荷軸とすべり方向とのなす角
t:引張荷重負荷方向に平行な単位ベクトル
n:すべり面の法線ベクトルに平行な単位ベクトル
s:すべり方向に平行な単位ベクトル
(曲げ肌)
曲げ肌の評価には曲げ部の表面粗さRaを用いる。Raの値が低いほど試料表面の凹凸は少なくなり、コネクタ等で用いる際に接触面積は大きくなるので、良好な通電性が確保される。本発明ではRaを2.0μm以下、望ましくは1.5μm以下とする。
(0.2%耐力/引張強度)
本発明の一実施形態において、0.2%耐力(YS)と引張強度(TS)との比の値が0.95以上であることが好ましい。0.2%耐力/引張強度の値が0.95以上であれば、十分に圧延集合組織が形成されることになりピークの集積強度が大きくなる。ピークの集積強度が高いほど、ピークを示す方位のシュミットファクターが曲げ肌に与える影響が高くなるという利点がある。
(用途)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は、端子、コネクタ、リレー、スイッチ、ソケット、バスバー、リードフレーム、放熱板などの電子部品の用途に好適に使用することができ、特に、電気自動車、ハイブリッド自動車等で用いられるコネクタや端子等の通電用途、またはスマートフォンやタブレットPCで用いられる液晶フレーム等の放熱用電子部品の用途に有用である。
(製造方法)
本発明の実施の形態に係る銅合金板は以下の製造工程により製造することができる。まず、純銅原料として電気銅等を溶解し、カーボン脱酸等により酸素濃度を低減した後、Crと、Zr及びTiのうちの一種又は二種と、必要に応じて他の合金元素を添加し、厚み30〜300mm程度のインゴットに鋳造する。このインゴットを例えば800〜1000℃の熱間圧延により厚み3〜30mm程度の板とした後、第1の冷間圧延、溶体化処理、第2の冷間圧延、時効処理をこの順で行う。
熱間圧延において、その合計の加工度を80%以上とし、最終パスのひずみ速度を1.0/s-1以上にする。上記条件により熱間圧延を行うことで、十分に動的再結晶を発現させ、その結果として圧延直角方向(TD)の逆極点図における集積強度のピーク方位に対して、TDと平行方向に引張の応力が負荷された場合のシュミットファクターが0.40以上の値を有する合金とすることができる。
合計の加工度は、(熱間圧延前の厚み−熱間圧延後の厚み)/熱間圧延前の厚み×100%により計算される。
最終パスのひずみ速度は、以下の式を用いて計算することができる。
dε/dt=(2πn/60r1/2)・(R/H)1/2・In(1/(1−r))
ここで、
dε/dt:最終パスのひずみ速度
n:ロールの回転数(rpm)
r:加工度(%)/100
R:ロール半径(mm)
H:最終パス前の板厚(mm)
を意味する。
熱間圧延後、第1の冷間圧延を行う。第1の冷間圧延では厚みを0.15〜5mmとし、好ましくは0.25〜1.0mmとする。
溶体化処理は、800〜1000℃で保持後、水冷することで行う。
溶体化処理後の第2の冷間圧延において、合計の加工度を75%以上とすることが好ましい。これにより最終時効後の0.2%耐力(MPa)/引張強度(MPa)の値を0.95以上とし、十分に圧延集合組織を形成させることができる。
時効処理は、300〜500℃で5〜30h行うことが好ましい。
以上より、本発明に係る銅合金板の製造方法は、Crを0.1〜0.6質量%、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.30質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金インゴットを熱間圧延した後、第1の冷間圧延工程、溶体化処理工程、第2の冷間圧延工程、時効処理工程を含む銅合金板の製造方法であって、
前記熱間圧延工程における合計加工度を80%以上とし、最終パスのひずみ速度を1.0/s-1以上とすることを特徴とする銅合金板の製造方法である。
上記製造方法により、曲げ肌が良好であるとともに、引張強度が550MPa以上であり、導電率が75%IACSであり、応力緩和率が15%以下である銅合金板を製造することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
溶銅に合金元素を添加した後、厚みが200mmのインゴットに鋳造した。インゴットを950℃で3時間加熱し、表1に示す加工度の熱間圧延を行った。熱間圧延における最終パスのひずみ速度は表1に示したとおりである。次いで、熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去した後、冷間圧延で0.25〜1.0mmの厚みの板とした。更に900℃で溶体化処理を行った後、表1に示す加工度の冷間圧延を行い、板厚を0.1mmとした。その後の時効処理は500℃で10h実施した。
<引張強度(TS)>
引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向における引張強度(TS)を測定した。
<0.2%耐力(YS)>
引張試験機により、JIS−Z2241に従い、圧延方向と平行な方向における0.2%耐力(YS)を測定した。0.2%耐力(YS)を降伏強度とした。
<導電率(EC、単位:%IACS)>
試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように試験片を採取し、JIS−H0505に準拠し四端子法により20℃での導電率を測定した。
<応力緩和率>
幅10mm、長さ100mmの短冊形状の試験片を、試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図1のように、l=50mmの位置を作用点として、試験片にy0のたわみを与え、圧延方向の0.2%耐力(JIS−Z2241に準拠して測定)の80%に相当する応力(s)を負荷した。y0は次式により求めた。
0=(2/3)・I2・s/(E・t)
ここで、Eは圧延方向のヤング率であり、tは試料の厚みである。150℃にて1000時間加熱後に除荷し、図2のように永久変形量(高さ)yを測定し、応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
<曲げ肌>
曲げ肌の評価では、幅1mm、長さ20mmに切り出した試料を曲げ試験片として用いた。JIS−H3130に従ってB.W.(曲げ軸が圧延方向と同一方向)のW曲げ試験を行い、曲げ部の表面を共焦点レーザー顕微鏡で解析し、JIS−B0601(2013)に定められたRa(μm)を算出した。曲げ肌はRaが1.5μm以下であれば◎、1.5μmより大きく2.0μm以下であれば○、2.0μmより大きく3.0μm以下であれば△、3.0μmより大きければ×と表記した。
<逆極点図>
逆極点図はXRD測定を用いて求めた。XRD測定には株式会社リガク社製RINT−TTRを用いて、銅合金板表面の厚み方向のX線回折を測定した。さらに、微粉末銅のX線回折を測定した。ここでX線はKα線、管電圧30KV、管電流100mAとした。銅合金板の各方位における集積強度を微粉末銅の集積強度で除することで、規格化された圧延直角方向(TD)の逆極点図を作成した。求めた逆極点図から集積強度がピークを示す方位を決定した。
<シュミットファクター>
当成分の銅合金は面心立方構造(FCC)を有するため、その主すべり系は{111}<110>である。シュミットファクターはTDから見たときの集積強度がピークを示す方位に対して、圧延直角方向(TD)に平行に引張荷重を負荷した場合の主すべり系における値を算出した。この時、TD方向から見たときの集積強度がピークを示す方位はTD方向と平行であることに留意する必要がある。
上記の通り具体的には以下の式を用いて、シュミットファクターを求めることができる。
(シュミットファクター)=cosλ・cosφ
cosλ=t・n/|t||n|
cosφ=t・s/|t||s|
ただし、
φ:負荷軸とすべり面の法線とのなす角
λ:負荷軸とすべり方向とのなす角
t:引張荷重負荷方向に平行な単位ベクトル
n:すべり面の法線ベクトルに平行な単位ベクトル
s:すべり方向に平行な単位ベクトル
TDと平行方向に引張荷重を負荷しているため、tは集積強度がTDから見たときにピークを示す方位に平行である。また、主すべり系の中でも実際に活動するすべり系はシュミットファクターが最大値を取るものであるため、n、sは上式で規定されるシュミットファクターが最大値を取るような組み合わせを選択する必要がある。
各試験片の組成と製造条件及び各実施例及び比較例に対して得られた結果を表1に示す。なお、比較例については、表1に記載の製造条件以外は実施例と同様の条件で製造した。
Figure 2019157258
表1から明らかなように、本発明の組成とするとともに熱間圧延の合計加工度を80%以上とし、最終パスのひずみ速度を1.0/s-1以上にすることによって、引張強度が550MPa以上、導電率が75%IACS以上、応力緩和率が15%以下、曲げ肌が◎又は〇と、良好な特性を得ることができた。
実施例19では、第2の冷間圧延の加工度が好ましい範囲内になく、0.2%耐力/引張強度の値が低かったため、若干曲げ肌は悪化したが、十分に満足のいくレベルであった。
一方、Cr、Zrの成分濃度が高い比較例1、2の場合は、導電率及び曲げ肌が劣った。Cr、Zr又はTiの成分濃度が低い比較例3、4、5の場合、引張強度及び応力緩和率が劣った。
添加元素の濃度が高い比較例6、7は、熱間圧延で割れが生じた。
熱間圧延の加工度が低い比較例8では、シュミットファクターが低くなり、曲げ肌が劣った。
熱間圧延の最終パスのひずみ速度が低い比較例9では、シュミットファクターが低くなり、曲げ肌が劣った。
比較例10では、熱間圧延の最終パスのひずみ速度が低く、シュミットファクターが低い。また、第2の冷間圧延の加工度も低いので、0.2%耐力/引張強度の値が低い。これらの原因で曲げ肌も劣った。
10 単結晶丸棒
20 単結晶丸棒の結晶粒内のすべり面
25 単結晶丸棒のすべり方向
30 すべり面の法線

Claims (6)

  1. Crを0.1〜0.6質量%、ZrおよびTiのうちの一種または二種を合計で0.01〜0.30質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、XRD測定から得られる圧延直角方向(TD)の逆極点図における集積強度のピーク方位に対して、TDと平行方向に引張の応力が負荷された際のシュミットファクターが0.40以上である銅合金板。
  2. 0.2%耐力(MPa)/引張強度(MPa)の値が0.95以上である請求項1に記載の銅合金板。
  3. 引張強度が550MPa以上であり、導電率が75%IACS以上であり、応力緩和率が15%以下である請求項1又は2に記載の銅合金板。
  4. Ag、Fe、Co、Ni、Mn、Zn、Mg、Si、P、Sn、Al、Ca、Y、Nb、Mo、Hf、W、Pt、Au及びBからなる群から選ばれる少なくとも1種を合計で1.0質量%以下含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板を用いた通電用電子部品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金板を用いた放熱用電子部品。
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