JP2019156954A - ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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真矢 山下
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Abstract

【課題】耐衝撃性、成形品外観(表面平滑性)及び耐薬品性の全てをバランスよく達成することができるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物とその成形品、蒸着製品を提供する。【解決手段】(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜60質量部、及び(C)平均粒子径が300nm以上である、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマー7〜30質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形品に関し、詳しくは、耐衝撃性、成形品外観(表面平滑性)及び耐薬品性の全てをバランスよく達成したポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物とその成形品、及び蒸着製品に関する。
熱可塑性樹脂は、金属に比較して軽量でデザインの自由度が高く、生産性にも優れているので、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品、建材、日用雑貨等幅広い分野で使用されている。中でも、外観の重視される車輌用内装部品等の場合、優れた耐衝撃性と耐薬品性に優れることが要求される。
現在、車輌用内装部品としては、ポリカーボネート樹脂にABS樹脂をアロイ化した材料も使用されているが、ポリカーボネート樹脂は耐薬品性に劣る。そのため耐薬品性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることが望まれるが、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、耐衝撃性や靱性が劣るため、車両用内装材に限っていえば、搭乗者保護には適さないという問題がある。そこで耐薬品性と耐衝撃性のバランスに優れたポリブチレンテレフタレート樹脂材料が望まれる。
さらに、車両用内装部品等には、これらの特性と共に、金属調の高級感のある光沢、深み及び色調を有する高度の意匠性に対する要求が高まりつつある。このような要求に対して、最近はプライマーの塗布なしに樹脂成形品の表面に直接金属を蒸着する直接蒸着方式が適用されつつある。
しかし、樹脂成形品に直接蒸着が可能になるためには、樹脂成形品の高い表面平滑性が要求される。また、蒸着金属の種類によっては、金属蒸着膜が例えばひび割れ状となる場合があり、この場合には有機溶剤等が樹脂基体にダメージを与えることが懸念される。
出願人は、先に特許文献1にて、ポリエステル樹脂にポリカーボネート樹脂、熱可塑性エラストマーを含有する、表面に金属蒸着層とハードコート層をこの順に設ける樹脂製基体用ポリエステル樹脂組成物を提案した。
しかしながら、単にポリカーボネート樹脂に通常の熱可塑性エラストマーを配合するだけでは、耐衝撃性、成形品外観(表面平滑性)及び耐薬品性の全てをバランスよく達成できるわけではないことが判明した。
特開2009−051920号公報
本発明の目的(課題)は、耐衝撃性、成形品外観(表面平滑性)及び耐薬品性の全てをバランスよく達成できるポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物とその成形品、蒸着製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、ポリカーボネート樹脂と、大粒径のブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマーをそれぞれ特定の量で含有することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、成形品及び蒸着製品に関する。
[1](A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜60質量部、及び(C)平均粒子径が300nm以上である、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマー7〜30質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[2]上記[1]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形品。
[3]上記[2]に記載の成形品の表面に金属蒸着が施された蒸着製品。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、耐衝撃性、成形品外観(表面平滑性)及び耐薬品性の全てをバランスよく達成することができる。(C)ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマーで平均粒子径が300nm以上という大粒径のものを用いることにより、表面外観(平滑性)及び耐衝撃性が優れることとなる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物がこのような効果を発現する理由は以下の通りである。すなわち、エラストマーの平均粒子径が300nmより小さいと、耐衝撃改質効果は大粒径に比べて低く、ある一定の耐衝撃性を発現するための(B)ポリカーボネート樹脂の配合比が増加してしまい、耐薬品性が劣ることになり、(C)コア/シェル型エラストマーのみを増加すると、表面外観が劣ることになる。また、エラストマーがアクリル系のエラストマーであると、アクリル系エラストマーは、一般的に(C)のエラストマーよりも架橋度が低く、柔らかいため、成形時の射出によりエラストマーが楕円形に伸びてしまい、可視光領域(420nm以上)よりも大きくなり、乱反射を起こし、白っぽく見えてしまい、外観が悪くなる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、金属蒸着する成形品等、特にカーオーディオ周りの部品等の自動車内装用部品として、特に好適に使用することが可能となる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜60質量部、及び(C)平均粒子径が300nm以上である、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマー7〜30質量部を含有することを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を構成する主成分である(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT樹脂」と略称することもある。)としては、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有する高分子を示す。即ち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
PBT樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよいが、他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
ジオール単位としては、1,4−ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいてもよいが、他のジオール単位の具体例としては、炭素原子数2〜20の脂肪族又は脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類等が挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオぺンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノ一ルAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
なお、これらの1,4−ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいる場合の共重合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満であることが好ましく、中でもより好ましくは2モル%以上50モル%未満、さらに好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
PBT樹脂は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましいが、また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/又はジオール単位として、前記1,4−ブタンジオール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。PBT樹脂は、機械的性質、耐熱性の観点から、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。同様に、ジオール単位中の1,4−ブタンジオールの割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
PBT樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は通続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることができる。
PBT樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法で得られたものが好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等を挙げることができる。
PBT樹脂は、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂であってもよいが、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類(特にはポリテトラメチレングリコール(PTMG))を共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、特にはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。なお、これらの共重合体は、共重合量が、PBT樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
そして、これら共重合体の好ましい含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の総量100質量%中に、10〜100質量%、更には30〜100質量%、特には50〜100質量%である。
PBT樹脂の極限粘度([η])は、0.9dl/g以上であるものが好ましい。極限粘度が0.9dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が耐衝撃性等の機械的強度の低いものとなりやすい。また極限粘度は、1.8dl/g以下であることが好ましく、1.6dl/g以下であることがより好ましく、1.3dl/g以下であることがさらに好ましい。1.8dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。なお、極限粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
[(B)ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、(B)ポリカーボネート樹脂を含有する。
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、20000以上であることが好ましく、より好ましくは23000以上、さらに好ましくは25000以上、特に28000を超えるものであることが好ましい。粘度平均分子量が20000より低いものを用いると、得られる樹脂組成物が耐衝撃性等の機械的強度の低いものとなりやすい。また60000以下であることが好ましく、40000以下であることがより好ましく、35000以下であることがさらに好ましい。60000より高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、25℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し極限粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)及び溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
(B)ポリカーボネート樹脂の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、10〜60質量部であり、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、好ましくは55質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは45質量部以下である。上記下限値を下回ると、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の耐衝撃性や靭性が悪くなり、さらに寸法安定性が低下する。また、上記上限値を上回ると耐薬品性が悪化する。
[(C)コア/シェル型エラストマー]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、コア/シェル型エラストマーとして、(C)平均粒子径が300nm以上である、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマーを、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、7〜30質量部含有する。
このような大粒径のブタジエン系ゴムがコアのコア/シェル型エラストマーをこのような量で含有することにより、成形品の表面外観や平滑性に優れ、耐衝撃性を効果的に高めることができる。
(C)コア/シェル型エラストマーは、コアを形成するゴム成分はブタジエン系ゴム成分であり、コアがシロキサン系ゴム成分あるいはアクリル系ゴム成分を主たるコア構成成分とするようなコア/シェル型グラフト共重合体ではない。
コアを形成するジエン系ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエン三元共重合体(EPDM)等のブタジエン系ゴム等が好ましく挙げられ、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムがより好ましい。
これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
(C)コア/シェル型エラストマーにおいて、ブタジエン系ゴムに、グラフト重合させるビニル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、ナフチルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;等の(メタ)アクリレート系単量体が好ましいが、特にメチルメタクリレートが好ましい。
また、上記(メタ)アクリレート単量体のほかに、他のビニル系単量体を共重合することも好ましく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等が好ましく挙げられ、特にスチレンが好ましい。
(C)コア/シェル型エラストマーのブタジエン系ゴム成分の含有量は、(C)コア/シェル型エラストマー全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。ブタジエン含有量を前記範囲内とすることで、飛躍的に耐衝撃性を向上させることができる。
ブタジエン含有量が上記下限値未満の場合は、耐衝撃性向上効果が不十分となる可能性があり、ブタジエン含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、(C)コア/シェル型エラストマーのポリブチレンテレフタレート樹脂やポリカーボネート樹脂中への分散性が極端に低下し、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の耐衝撃性の低下や、外観不良を引き起こしやすい。
(C)コア/シェル型エラストマーにおける、ブタジエン系ゴムにグラフト重合させるビニル単量体の含有量は、(C)コア/シェル型エラストマー全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、また好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。グラフトさせるビニル単量体の含有量を前記範囲内とすることで、飛躍的に難燃性、耐衝撃性を向上させることができる。
グラフトさせるビニル単量体の割合が5質量%未満の場合は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物での分散性が悪くなるため、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の耐衝撃性の低下や、外観不良を引き起こす可能性があり、50質量%を超える場合には、コア/シェル型エラストマーの耐衝撃機能の悪化を引き起こす可能性がある。
(C)コア/シェル型エラストマーは、その平均粒子径が300nm以上である。コア/シェル型エラストマーの平均粒子径は通常100nmから200nm前後程度であるが、このような平均粒子径が300nmより小さいものは、耐衝撃性改良効果が低いので、一定の耐衝撃性を担保するための(B)ポリカーボネート樹脂の配合量を増加させる必要が生じ、耐薬品性の低下させてしまうこととなる。平均粒子径が大きすぎると、材料表面の平滑性を損ないやすくなるため、好ましい平均粒子径の上限は600nmであり、より好ましくは550nm、さらに好ましくは500nm、特には450nm、最も好ましくは400nmである。
なお、(C)コア/シェル型エラストマーの平均粒子径は、グラフト共重合体に対してレーザ光を用いた動的光散乱法にて測定した時の体積平均粒子径D50によって求められる。この測定には、例えば日機装社製「マイクロトラック粒度分析計9230UPA」を用いることができる。
ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマーを製造する方法は、公知であり、製造する際の重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知のいずれの方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。なかでも、生産性や粒径を制御しやすい点より、乳化重合法が好ましく、多段乳化重合法がより好ましい。
(C)コア/シェル型エラストマーの平均粒子径を制御する方法としては特に限定されず、公知の各種方法で可能であるが、例えば、乳化重合により(C)コア/シェル型エラストマーを合成する場合、使用する乳化剤の量、濃度により乳化重合中のミセルの数を制御して粒径をコントロールすることができる。また、ジエン系ゴム成分のラテックスを調製する際、肥大化剤を添加しジエン系ゴム成分の平均粒子径を制御することも可能である。
また、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマーは、市販されており、これらの中から、平均粒子径が300nm以上であるものを適宜選択して、使用することも可能である。
(C)コア/シェル型エラストマーの含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、7〜30質量部の範囲であり、好ましくは9質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、好ましくは28質量部以下、より好ましくは26質量部以下である。7質量部未満であると耐衝撃性の改良効果が得られず、30質量部を超えると樹脂組成物の表面平滑性の悪化を引き起こす。
なお、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物における(C)コア/シェル型エラストマーの平均粒子径は、光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)等により、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物成形品断面のモルフォロジーを観察することで測定できる。具体的には、例えば、SEM、STEM、TEM分析装置を用い、成形品断面を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜100,000倍の倍率により観察される。本発明で使用する(C)コア/シェル型エラストマーは、成形時の射出等によって伸びることは少なく、原料の粒子径がそのまま維持されると考えられる。
[その他含有成分]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、安定剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、強化充填材、顔料、紫外線吸収剤、核剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
[離型剤]
離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、離型性が優れる点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等が好ましく挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物などが挙げられ、中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、熱可塑性ポリエステル樹脂との相容性などの点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイルなどが挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などが挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
[安定剤]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、さらに安定剤を含有することが、熱安定性改良や、機械的強度、透明性及び色相の悪化を防止する効果を有するという点で好ましい。安定剤としては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物または有機ホスホナイト化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは、下記一般式:
(RO)3−nP(=O)OH ・・・(1)
(式(1)中、Rは、アルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を示す。)で表される化合物である。より好ましくは、Rが炭素数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、好ましくは下記一般式:
O−P(OR)(OR) ・・・(2)
(式(2)中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
有機ホスホナイト化合物としては、好ましくは、下記一般式:
−P(OR)(OR) ・・・(3)
(式(3)中、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、R、R及びRのうちの少なくとも1つは炭素数6〜30のアリール基である。)で表される化合物が挙げられる。
有機ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、およびテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
フェノール系安定剤として、その好ましい具体例は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
安定剤の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1.5質量部以下、好ましくは1質量部以下である。0.001質量部未満では安定剤としての効果が不十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、また1.5質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、前記した(A)及び(B)以外のその他の樹脂を含有していてもよい。ただし、前記した(A)及び(B)以外のその他の樹脂を含有する場合の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂及び(B)ポリカーボネート樹脂の合計100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらには5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。さらには、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂又は(B)ポリカーボネート樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの他の成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、ガラス繊維等の繊維状の強化充填材を用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
また、溶融混練時の樹脂組成物の溶融温度は180〜350℃であることが好ましく、190〜320℃であることがより好ましい。溶融温度が180℃未満では、溶融不十分となり、未溶融ゲルが多発しやすく、逆に350℃を超えると、樹脂組成物が熱劣化し、着色しやすくなる等好ましくない。
[成形品]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形品とされる。この成形品の形状、模様、色、寸法等に制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形法が好ましい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物を射出成形等により成形した成形品は、高い耐衝撃性と優れた耐薬品性を有しながら、成形品外観、表面平滑性が良好であり、金属蒸着した際の荒れ、曇りが出ることがなく、蒸着表面の外観が良好で、また、プライマー処理なしで直接金属蒸着することが可能であるので、金属蒸着するための成形品として特に好適に使用される。
金属蒸着の方法は、従来公知の任意方法が可能であり、例えば、真空中で金属を蒸発させ、その蒸気を成形品の表面に付着、固化させて金属薄膜を形成する方法が挙げられる。蒸着する金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、白金、銀、銅、亜鉛、インジウムなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムである。蒸着される金属膜の膜厚は、通常1〜1000nmであり、10〜500nmが好ましく、100〜200nmが更に好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性及び耐薬品性、成形品外観(表面平滑性)の全てをバランスよく達成することができるので、また成形品に金属蒸着した蒸着製品は、金属調の高級感のある光沢、深み及び色調を備えるので、自動車内装部品、電気部品、家電製品、住宅設備用部材、雑貨等の様々な分野に好適に使用でき、特には自動車内装部品、例えばカーオーディオの枠体(モール)やボタン、センターコンソールパネル、インパネ、ドアアームレスト、インサイドハンドル等に好適に使用できるが、これらに制限されるものではない。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
なお、上記コア/シェル型エラストマーの平均粒子径の測定方法は、前述したとおりである。
(実施例1〜3、比較例1〜8)
上記表1に示した各成分を表2以下に示す割合(全て質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」)を使用し、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
[耐衝撃性 ノッチ付シャルピー衝撃強度]
上述の製造方法で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で6時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J−85AD−60H」)を用いて、4.0mm厚さのISO多目的試験片を射出成形した。ISO179規格に準拠して、試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片を作製し、ノッチ付シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[外観]
上述の製造方法で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で6時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)により、シリンダー温度260℃、射出速度30mm/sec、射出時間15sec、保圧50MPa、冷却時間15sec、金型温度60℃の条件で、#14000による表面仕上げを施した鏡面金型を用いて、成形体形状が60mm×60mm×3mmの平板状鏡面成形品を得た。
平板状鏡面成形品に、真空蒸着装置を用いて、蒸着厚み150nmのアルミ蒸着を施し、蒸着品表面の拡散反射率を、分光測色計(コニカミノルタ社製「CM−3600d」)を用い、正反射光除去方式にて波長550nmで測定した。
拡散反射率が0.5%以下を良の「◎」と判定し、1%以上を不良の「×」、0.5%超〜1%未満を「〇」と判定した。
[耐薬品性]
上述の製造方法で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「SE50D」)により、シリンダー温度260℃、射出速度80mm/sec、射出時間3sec、保圧50MPa、冷却時間8sec、金型温度80℃の条件で、13mm×125mm×2mmの短冊状成形品を得た。この短冊状成形品を、アセトンで満たしたガラス試験管にて浸漬させ、常温(25℃)で2時間静置後取り出し、取り出して1日乾燥後、質量変化率を測定する。
質量変化率が1.5%以下を良の「◎」と判定し、3%以上を不良の「×」、1.5%超〜3%未満を「〇」と判定した。
以上の評価結果を、以下の表2に示す。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性及び耐薬品性、成形品外観(表面平滑性)の全てをバランスよく達成することができ、また成形品に金属蒸着した蒸着製品は、金属調の高級感のある光沢、深み及び色調を備えるので、自動車内装部品、電気部品、家電製品、住宅設備用部材、雑貨等の様々な分野に好適に使用でき、産業上の利用性は非常に高いものがある。

Claims (3)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、(B)ポリカーボネート樹脂10〜60質量部、及び(C)平均粒子径が300nm以上である、ブタジエン系ゴムをコアとするコア/シェル型エラストマー7〜30質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる成形品。
  3. 請求項2に記載の成形品の表面に金属蒸着が施された蒸着製品。
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