JP2019156872A - ポリエチレン系樹脂発泡粒子、および、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂発泡粒子、および、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体を製造することができるポリエチレン系樹脂発泡粒子を提供する。【解決手段】 メルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下のポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが1つであり、連泡率が10%以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、および、連続気泡を有するポリエチレン系樹脂型内発泡成形体に関する。
ポリエチレン系樹脂発泡粒子などの発泡粒子は、金型内に充填し、水蒸気等の熱媒を導入して加熱融着させることにより、任意形状の成形体を製造することができる。また、発泡粒子自体を袋等に充填することにより、クッション等に用いることもできる。さらに、ポリエチレン系樹脂は耐薬品性や耐水性に優れ、様々な用途に使用することができる。また、連続気泡発泡体は、吸水性、吸音性等に優れ、吸音材や吸水材、スポンジ等に用いられる。
しかしながら、連続気泡を有する型内発泡成形体を製造するために、連泡率の高い発泡粒子を用いた場合には、発泡粒子の発泡性が不足し、金型形状を保持し、外観が良好な型内発泡成形体を得ることは困難であった。特許文献1においては連泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびその製造方法が開示されているものの、連続気泡の発泡粒子を用いるため、型内発泡成形性の改良が必要である。
連続気泡を有する型内発泡成形体を得るため、特許文献2では、発泡粒子の外層部に比較的独立気泡率の高い発泡層を形成し、発泡粒子芯部に独立気泡率の低い部分を形成した構造の発泡粒子が開示されている。このような発泡粒子を製造するためには、2層構造の樹脂粒子を製造することができる特殊な押出設備が必要であり、一般的な単層押出構造の発泡粒子からなる連続気泡成形体が望まれる。
特許文献3では、連続気泡を有する架橋ポリエチレン系樹脂発泡体が開示されている。発泡体は、架橋工程が必要で、機械的変形(圧縮変形)を加えて気泡を連通化させるものである。
特表2006−509051号公報 特開2014−40507号公報 特開2003−213029号公報
本発明の目的は、型内発泡成形性が良好な、外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体を製造することができるポリエチレン系樹脂発泡粒子を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、メルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下のポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが1つであり、連泡率が10%以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いることにより、型内発泡成形性が良好な、外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。言い換えると、特定の物性を有する連泡率が低い(10%以下)発泡粒子を用いることで、連泡率が高い(50%以上)型内発泡成形体が得られるものである。
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
[1] ポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物((A)と(B)合計100重量%)を基材樹脂とし、ポリエチレン系樹脂(A)はメルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下であり、ポリエチレン系樹脂発泡粒子は以下の(1)〜(2)の特徴を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子。
(1)ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが1つである。
(2)ポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率が10%以下である。
[2] 上記ポリエチレン系発泡樹脂粒子であって、さらに(3)の特徴を有する[1]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
(3)ポリエチレン系樹脂発泡粒子に対して、空気を含浸して0.2MPaの内圧を付与した後、発泡粒子を0.06MPaの水蒸気で加熱した場合に、連泡率が30%以上であり、且つ、加熱前後の倍率変化が−10%以上+10%以下である。
[3] 上記ポリエチレン系樹脂(A)の融点が130℃以上であることを特徴とする[1]または[2]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
[4] [1]〜[3]の何れか1項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
[5] 連泡率が50%以上である[4]記載の型内発泡成形体。
[6] ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法であって、[1]〜[3]いずれか記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、加熱媒体により加熱することで得られるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の連泡率が50%以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
[7] ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、メルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下のポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物((A)と(B)合計100重量%)を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水系分散媒に分散させ、発泡剤を含浸し、ポリエチレン系樹脂(A)の結晶が完全に融解するよりも高い温度まで加熱したポリエチレン系樹脂粒子を、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することにより[1]〜[3]の何れか1項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る製造方法。
[8] 上記発泡剤が二酸化炭素であることを特徴とする[7]記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子によれば、連泡率が高く、型内発泡成形性が良好な、外観に優れ、金型形状を保持した型内発泡成形体を得ることができる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子について、示差走査熱量計(DSC)法にて、20℃〜220℃まで10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線の一例である。aがポリエチレン系樹脂由来のピーク(1つ)、bがポリプロピレン系樹脂由来のピークである。 本発明のポリエチレン系樹脂粒子を、ポリエチレン系樹脂の融解ピークが2つとなる条件で発泡させた際に得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子について、示差走査熱量計(DSC)法にて、20℃〜220℃まで10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線の一例である。a’−1、a’−2がポリエチレン系樹脂由来のピーク(2つ)、b’がポリプロピレン系樹脂由来のピークである。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造にあたっては、まず、ポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物((A)と(B)合計100重量%)を基材樹脂としたポリエチレン系樹脂粒子を製造する。
本発明におけるポリエチレン系樹脂(A)としては、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂および、それらの混合物が挙げられる。これらの中でも、型内発泡成形体の形状保持、機械的強度、高発泡のポリエチレン系樹脂発泡粒子が得られる点等から、直鎖状のポリエチレン系樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂および、それらの混合物を主原料として用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂(A)は、エチレン以外に、エチレンと共重合可能なコモノマーを含んでいてもよい。エチレンと共重合可能なコモノマーとしては、炭素数3以上18以下のα−オレフィンを用いることができ、例えば、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明におけるポリエチレン系樹脂(A)のメルトインデックス(以下、MIと称する場合がある。)は、0.1g/10分以上3.0g/10分以下であり、好ましくは0.5g/10分以上2.5g/10分以下である。
ポリエチレン系樹脂(A)のMIが上述の範囲にあると、外観良好な連続気泡型内発泡成形体が得られやすい。
ここで、ポリエチレン系樹脂(A)のMIは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂(A)の融点は、特に限定されないが、120℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上である。ポリエチレン系樹脂(A)の融点が上述した範囲にあると、外観良好な型内発泡成形体が得られやすい。融点の上限は特に無いものの、一般的に入手できるポリエチレン系樹脂の融点は140℃以下であり、自ずと融点の範囲は限られてくる。
本発明における融点とは示差走査熱量計DSCを用いて、ポリエチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂1mg以上10mg以下を20℃から220℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、その後、220℃から20℃まで10℃/分の降温速度で冷却し、再度20℃から220℃まで10℃/分の昇温速度で昇温した際に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(B)としては、単量体の主成分として50重量%以上のプロピレンを含んでいれば、特に限定はなく、例えば、プロピレンホモポリマー、オレフィン−プロピレン系ランダム共重合体、オレフィン−プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(B)における共重合可能なオレフィンとしては、特に制限は無く、炭素数が2あるいは4以上のオレフィンが挙げられる。具体的には、エチレンや、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィンが挙げられ、更には、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエンなどが挙げられる。なお、これらの炭素数が2あるいは4以上のオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(B)の融点は、特に限定されないが、140℃以上170℃以下であることが好ましく、より好ましくは145℃以上165℃以下である。ポリプロピレン系樹脂(B)の融点が上述した範囲にあると、外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体が得られやすい傾向がある。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(B)のメルトインデックスは1.0g/10分以上12g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは2.0g/10分以上10g/10分以下である。ポリプロピレン系樹脂(B)のMIが上述した範囲にある場合、外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体が得られやすい傾向がある。
ここで、ポリプロピレン系樹脂(B)のMIは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
本発明において、ポリエチレン系樹脂(A)およびポリプロピレン系樹脂(B)の混合比率としては、(A)および(B)の合計量を100重量%として、ポリエチレン系樹脂(A)を60重量%以上90重量%以下、ポリプロピレン系樹脂(B)を10重量%上40重量%以下であり、より好ましくはポリエチレン系樹脂(A)を70重量%以上90重量%以下、ポリプロピレン系樹脂(B)を10重量%上30重量%以下である。ポリエチレン系樹脂(A)が60重量%未満の場合、得られる型内発泡成形体の外観が悪化する傾向にある。ポリエチレン系樹脂(A)が90重量%を超える場合、得られる発泡粒子の連泡率が上昇する傾向があり、型内発泡時に収縮するため金型形状が保持できなくなる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂粒子を製造する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
まず、原料となるポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)および、添加剤(必要な場合)をドライブレンド法、マスターバッチ法等の混合方法により混合する。
次いで、得られた混合物を、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(登録商標)、ロール等を用いて溶融混練した後に、カッター、ペレタイザー等を用いて細断し、粒子形状とすることにより、ポリエチレン系樹脂粒子が得られる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、0.2mg以上10mg以下が好ましく、0.5mg以上6.0mg以下がより好ましい。
ここで、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、ポリエチレン系樹脂粒子をランダムに選んだ100粒から得られる平均樹脂粒子重量である。
また、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、発泡工程を経てもほとんど変化することは無く、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量をポリエチレン系樹脂発泡粒子の1粒あたりの重量としても問題は無い。
本発明のポリエチレン系樹脂粒子には、必要に応じて、セル造核剤、親水性化合物や、酸化防止剤、着色剤、難燃剤などの添加物を添加してもよい。
本発明で用いられるセル造核剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらセル造核剤の中でも、タルクが均一なセルが得られる為、好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂粒子には、親水性化合物を添加することが好ましい。親水性化合物を添加することにより、無機ガスを発泡剤として用いた場合にも、発泡倍率の高い発泡粒子が得られやすい。
本発明で用いられる親水性化合物としては、公知のもの(例えばWO2016/14775記載)であればよく、それら公知の親水性化合物の中でも、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メラミンが、無機ガスを発泡剤として用いた場合にも発泡倍率の高い発泡粒子を得られやすく、目的の倍率の発泡粒子を得るための発泡圧力を低くできることから、設備の耐圧を下げることができるなどコスト低減にもつながる為、好ましい。
このようにして得られたポリエチレン系樹脂粒子を用いて、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量測定(DSC)により得られる1回目昇温時のDSC曲線において、140℃以下の融解ピークをポリエチレン系樹脂由来の融解ピークとして、ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが1つである。ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが2つ以上の場合、連泡率の高い型内発泡成形体が得られない。
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子1mg以上10mg以下を、示差走査熱量計を用いて、10℃/分の昇温速度にて20℃から220℃まで昇温した際に得られるDSC曲線である。
本発明の発泡粒子においては、1例として図1に示すように、aがポリエチレン系樹脂由来のピーク(1つ)、bがポリプロピレン系樹脂由来のピークとなるようなDSC曲線が得られる。尚、ポリエチレン系樹脂由来のピークが2つ以上の場合は、1例として図2に示すように、a’−1、a’−2がポリエチレン系樹脂由来のピーク(2つ)、b’がポリプロピレン系樹脂由来のピークとなるようなDSC曲線が得られる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法の好ましい態様としては、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子を発泡剤と共に、水系分散媒に分散させ、ポリエチレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を密閉容器の内圧よりも低い圧力域(通常は大気圧)に放出する発泡工程を経てポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る方法が挙げられる。
具体的には、例えば、密閉容器にポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、次いで密閉容器内へ発泡剤を導入し、その後ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上まで密閉容器を加熱する。加熱することによって密閉容器内の圧力が約1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がるように発泡剤の添加量を調整する。必要に応じて、密閉容器をさらに加熱後、さらに発泡剤を追加して所望の密閉容器圧力(発泡圧力)に調整、さらにポリエチレン系樹脂(A)の結晶が完全に融解するよりも高い温度(発泡温度)への温度調整を行いつつ、0分を超えて120分以下の間ホールドし、次いで、密閉容器の内圧よりも低い圧力域(通常は大気圧)に放出してポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る。
発泡倍率を調節する目的で、放出する雰囲気の温度を、室温〜110℃程度に調節しても良い。特に高い発泡倍率の発泡粒子を得る為には、放出する雰囲気の温度を蒸気等で100℃程度にすることが望ましい。
本発明における発泡剤の導入方法としては、上記以外の方法でもよく、例えば、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら、発泡剤を導入しても良い。
また、発泡剤の導入方法の別の方法として、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、発泡温度付近まで加熱し、この時点で発泡剤を導入しても良い。
本発明で用いられる発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス、水が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
これら発泡剤の中でも、特に環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素、窒素、空気、水を用いることが好ましく、さらに、比較的高い発泡倍率の発泡粒子が得られやすいことから、二酸化炭素が最も好ましい。
本発明で用いられる密閉容器には、特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであれば良く、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
本発明で用いられる水系分散媒としては、水のみを用いることが好ましいが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加した分散媒も使用できる。なお、本発明において親水性化合物を含有させる場合、水系分散媒中の水も発泡剤として作用し、発泡倍率向上に寄与する。
本発明でのポリエチレン系発泡粒子の製造方法においては、ポリエチレン系樹脂粒子同士の合着を防止する為に、水系分散媒中に分散剤を使用することが好ましい。
本発明で用いられる分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が例示できる。
これら分散剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明でのポリエチレン系発泡粒子の製造方法においては、分散剤と共に、分散助剤を使用することが好ましい。
本発明で用いられる分散助剤の例としては、例えば、
N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;
アルキルスルホン酸塩、n−パラフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;
硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル型;
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。
また、分散助剤として、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
これら分散助剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの中でも、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を併用することが好ましい。
本発明における分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリエチレン系樹脂粒子の種類と使用量によって異なるが、通常、水系分散媒100重量部に対して、分散剤0.1重量部以上3重量部以下を配合することが好ましく、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下を配合することが好ましい。
ポリエチレン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好なものにする為に、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上100重量部以下で使用するのが好ましい。
以上に述べた水分散系でポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法の他に、
水系分散媒を用いず、例えば、密閉容器中でポリエチレン系樹脂粒子に直接発泡剤を接触させ、発泡剤を含浸して発泡性ポリエチレン系樹脂粒子を得た後、この発泡性ポリエチレン系樹脂粒子に水蒸気を接触させるなどして発泡させ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率は、10%以下であり、5%以下であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率が上述した範囲にあると、連泡率が高く外観良好な型内発泡成形体が得られやすい。
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に対して、ASTM D2856−87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に準拠して、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、体積Vc(cm3)を測定し、Vcを測定後のポリエチレン系樹脂発泡粒子の全量を、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)から、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の見かけ上の体積Va(cm3)を求め、下記の式によって算出した値である。
連泡率(%)=(Va−Vc)×100/Va
本発明におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に対して、空気を含浸して0.2MPaの内圧を付与した後、発泡粒子を0.06MPaの水蒸気で加熱した場合に、連泡率が30%以上であり、且つ、加熱前後の倍率変化が−10%以上+10%以下である。より好ましくは、連泡率が35%以上であり、且つ、加熱前後の倍率変化が0%以上+10%以下である。上記範囲となるポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いることにより、外観に優れ、金型形状を保持した連続気泡型内発泡成形体を得ることができる。
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm3)を測定し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の真比重ρb=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)として算出した値である。
本発明においては、上記のようにして得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子を、所定形状の金型内に充填し水蒸気等で加熱して、発泡粒子を互いに融着させる、型内発泡成形を行うことによって、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。
本発明におけるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、型内発泡成形前に発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与することが好ましい。発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与された発泡粒子を用い型内発泡成形すると、粒間が無く表面美麗であり、変形の少ないポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られ易い。発泡粒子内部に大気圧以上の圧力を付与する方法に特に制限は無いが、例えば従来から知られている内圧付与法や圧縮充填法などの方法により発泡粒子内部に圧力を付与することができる。
内圧付与法では、予めポリエチレン系樹脂発泡粒子を無機ガスの加圧下に保持することにより発泡粒子内に大気圧以上の内圧を付与し、内圧が付与された発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しない金型等の成形空間内に充填する。
上記内圧は、0.12MPa(絶対圧)以上0.40MPa(絶対圧)以下が好ましく、0.14MPa(絶対圧)以上0.30MPa(絶対圧)以下がより好ましい。ポリエチレン系樹脂発泡粒子の内圧が当該範囲にある場合、外観が美麗な型内発泡成形体を得やすい傾向にある。上記内圧付与に用いられる無機ガスとしては、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、二酸化炭素等が使用できる。これらのガスは単独で用いても、また2種以上混合して用いても良い。これらのうちでも、汎用性の高い空気、窒素が好ましい。
圧縮充填法では、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を圧縮タンク中で加圧ガスを用いて、好ましくは充填前の発泡粒子の嵩密度の1.25〜3倍の嵩密度に圧縮、より好ましくは充填前の発泡粒子の嵩密度の1.5〜2.2倍の嵩密度に圧縮し、圧縮された発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しない金型等の成形空間内に充填する。圧縮の割合が当該範囲にある場合、外観が美麗な型内発泡成形体を得やすい傾向にある。
上記圧縮に用いる加圧ガスとしては、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、二酸化炭素等が使用できる。これらのガスは単独で用いても、また2種以上混合して用いても良い。これらのうちでも、汎用性の高い空気、窒素が好ましい。
上記方法により、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を金型等の中へ充填した後、水蒸気などを加熱媒体として0.10〜0.30MPa(G)程度の加熱水蒸気圧にて3〜50秒程度の加熱時間で成形し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させた後、金型を水冷により冷却した後、金型を開き、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体が得られる。
なお、水蒸気を用いて加熱する場合には、目標とする加熱水蒸気圧にするまでに、5〜30秒程度の時間をかけて昇圧させることが好ましい。
このようにして本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形することにより、連泡率50%以上の連続気泡型内成形体が得られる。
ここで、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の連泡率とは、前述のポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率を算出する方法と、測定サンプルがポリエチレン系樹脂型内発泡成形体であること以外は同じ方法で算出された値である。
次に、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子およびその製造方法を、実施例および比較例を挙げて、詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行わずに使用した。
・グリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD]
・パウダー状塩基性第3リン酸カルシウム[太平化学産業(株)製]
・アルキルスルホン酸ナトリウム(n−パラフィンスルホン酸ソーダ)[花王(株)製、ラテムルPS]
実施例および比較例にて用いたポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)は、ポリオレフィンメーカー(日本ポリエチレン(株)、日本ポリプロ(株)、ダウケミカル日本(株)、プライムポリマー(株)、サンアロマー(株)、宇部丸善ポリエチレン(株)等)から市販品を入手した。実施例および比較例にて用いたポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)の性状は、表1に示す。
Figure 2019156872
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、説明する。
<発泡倍率の測定>
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子を、60℃で2時間乾燥し、温度23℃、湿度50%の室内で1時間静置した後、重量w(g)を測定し、別途、水没法にて体積v(cm3)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w÷vを算出した。
そして、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から、発泡倍率K=ρr÷ρbを算出した。
<ポリエチレン系樹脂由来の融解ピーク数>
示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子5〜6mgを10℃/分の昇温速度で20℃から220℃まで昇温する際に得られるDSC曲線のうち、140℃以下の融解ピークをポリエチレン系樹脂由来の融解ピークとして、融解ピーク数を確認した。
<発泡粒子の連泡率>
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の任意の約20cm3をサンプルとし、ASTM D2856−87の手順C(PROSEDURE C)に記載の方法に準拠して、空気比較式比重計[東京サイエンス(株)製、モデル1000]を用いて、サンプルの体積Vc(cm3)を測定した。
次いで、Vcを測定後のサンプルを、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)から、サンプルの見かけ上の体積Va(cm3)を求めた。
発泡粒子の連泡率は、下記の式によって算出した。
連泡率(%)=(Va−Vc)×100/Va
<型内発泡成形体の外観>
得られた型内発泡成形体に関して、外観を観察し、以下の基準にて評価した。
○: 型内発泡成形体に皺や発泡粒子間の隙間が無く、金型形状を保持している。
△: 型内発泡成形体に皺や発泡粒子間の隙間が少量存在するが、金型形状を保持している。
×: 型内発泡成形体に皺が多数存在し、ヒケが発生するなど、金型形状が保持されていない。
<型内発泡成形体の連泡率>
得られた型内発泡成形体において、中心部から約25mm×25mm×30mmの小片を切り出してサンプルとした以外は<発泡粒子の連泡率>と同様の方法にて連泡率を算出した。
(実施例1)
[ポリエチレン系樹脂粒子の作製]
ポリエチレン系樹脂(A−1)80重量部およびポリプロピレン系樹脂(B−1)20重量部を混合し、ブレンドされた樹脂混合物合計100重量部に対して、グリセリン0.2重量部、セル造核剤としてタルク0.1重量部をドライブレンドした。
ドライブレンドされた混合物を、口径26mmの2軸押出機に投入し、樹脂温度約220℃で溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通して、ストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、ポリエチレン系樹脂粒子を得た。一粒あたりの粒子重量は4.5mgであった。
[ポリエチレン系樹脂発泡粒子の作製]
容量10Lの耐圧オートクレーブ中に、得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部(2.4kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物としての第三リン酸カルシウム0.5重量部、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム(n−パラフィンスルホン酸ソーダ)0.03重量部を仕込んだ後、攪拌下、発泡剤として炭酸ガスを7重量部添加した。
オートクレーブ内容物を昇温し、表2記載の発泡温度135℃まで加熱した。その後、炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブ内圧を表2記載の発泡圧力3.5MPa−Gまで昇圧した。前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、直径4.0mmの開口オリフィス(1穴)を通して、オートクレーブ内容物を100℃雰囲気下に放出して、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子について、発泡倍率、融解ピーク数、連泡率を測定した結果を、表2に示す。
[ポリエチレン系樹脂発泡粒子の水蒸気加熱]
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を除去した後、さらに、耐圧容器内に入れ、加圧することにより空気を含浸させて、発泡粒子の内圧0.2MPaに調節した後、密閉容器内に投入し、攪拌しながら水蒸気(蒸気圧0.06MPa−G)により30秒間加熱した。加熱後のポリエチレン系樹脂発泡粒子の倍率変化、連泡率を測定した。結果を、表2に示す。
[ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の作製]
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を除去した後、得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を除去した後、さらに、耐圧容器内に入れ、加圧することにより空気を含浸させて、発泡粒子の内圧0.2MPaに調節した。空気を含浸させた発泡粒子を長さ400×幅300×厚み60mmの平板状の成形空間を有する金型内に充填し、排気弁が開放された状態で金型チャンバー内を蒸気にて10秒間加熱した。その後、排気弁を閉めて12秒間蒸気にて加熱(本加熱工程)することにより、発泡粒子同士を融着させた。続いて、蒸気を排気し、金型内および成形体表面を水冷した後、成形体を取り出して、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を得た。
なお、本加熱工程の蒸気設定圧力は、発泡粒子同士が十分に融着する圧力として表2記載の加熱圧力0.20MPaにて実施し、本加熱工程での加熱時間12秒のうち、設定圧力での保持時間は4秒であった。
得られた各発泡成形体は、23℃で2時間静置し、次に75℃で24時間養生した後、23℃の室内に4時間静置して、評価対象物とした。
得られた型内発泡成形体の外観評価、連泡率測定を実施した。結果を表2に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
[ポリエチレン系樹脂粒子の作製]において、ポリエチレン系樹脂(A)、ポリプロピレン系樹脂(B)の種類および混合量を表2に示すように変更し、[ポリエチレン系樹脂発泡粒子の作製]において、発泡温度を表2に示すように変更し、[ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の作製]において、本加熱工程の蒸気設定圧力を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体を作製した。
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体における評価結果を、表2に示す。
尚、比較例4においては、水蒸気加熱や型内発泡成形での収縮が大きく、倍率変化や連泡率を測定することが出来なかった。
(比較例5)
[ポリエチレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂を混合しない以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子を作製した。[ポリエチレン系樹脂発泡粒子の作製]において、得られた発泡粒子は内部からガスが抜けた様子であり、しぼんだ発泡粒子しか得られなかった。
Figure 2019156872
実施例1〜7から判るように、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は良好な外観でありながら、連泡率が50%以上と高い連泡率を有する型内発泡成形を得ることができる。比較例1のように混合するポリプロピレン系樹脂(B)の比率が低い場合には、連泡率の高い発泡粒子となり、良好な外観の型内発泡成形体が得られなかった。比較例2のように混合するポリプロピレン系樹脂(B)の比率が高い場合には、型内発泡成形において高い加熱圧が必要になったためか、良好な外観の型内発泡成形体が得られなかった。比較例3のように、発泡粒子のポリエチレン系樹脂由来の融解ピーク数が2つとなる場合、外観良好な型内発泡成形体が得られるものの、連泡率の高い型内発泡成形体は得られない。比較例4のように、ポリエチレン系樹脂(A)のメルトインデックスが高い場合、連泡率が極端に高い発泡粒子となり、水蒸気加熱や型内発泡成形での収縮が大きい結果となった。さらに、比較例5のようにポリプロピレン系樹脂(B)を混合しない場合には、発泡の際にセル構造が維持できていないためと考えられるが、発泡粒子を得ることができなかった。

Claims (8)

  1. ポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、
    ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物((A)と(B)合計100重量%)を基材樹脂とし、
    ポリエチレン系樹脂(A)はメルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下であり、
    ポリエチレン系樹脂発泡粒子は以下の(1)〜(2)の特徴を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子。
    (1)ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、ポリエチレン系樹脂由来の融解ピークが1つである。
    (2)ポリエチレン系樹脂発泡粒子の連泡率が10%以下である。
  2. 上記ポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、さらに(3)の特徴を有する請求項1記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
    (3)ポリエチレン系樹脂発泡粒子に対して、空気を含浸して0.2MPaの内圧を付与した後、発泡粒子を0.06MPaの水蒸気で加熱した場合に、連泡率が30%以上であり、且つ、加熱前後の倍率変化が−10%以上+10%以下である。
  3. 上記ポリエチレン系樹脂(A)の融点が130℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体。
  5. 連泡率が50%以上である請求項4記載の型内発泡成形体。
  6. ポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法であって、請求項1〜3いずれか記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、2つの金型よりなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、加熱媒体により加熱することで得られるポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の連泡率が50%以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
  7. ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、メルトインデックス0.1g/10分以上3.0g/10分以下のポリエチレン系樹脂(A)60重量%以上90重量%以下、とポリプロピレン系樹脂(B)10重量%以上40重量%以下の混合物((A)と(B)合計100重量%)を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂粒子を、密閉容器内にて水系分散媒に分散させ、発泡剤を含浸し、ポリエチレン系樹脂(A)の結晶が完全に融解するよりも高い温度まで加熱したポリエチレン系樹脂粒子を、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することにより請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
  8. 上記発泡剤が二酸化炭素であることを特徴とする請求項7記載のポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
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