以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1Aから図1Jは本発明の第1実施形態に係る半導体チップ(素子チップ)2の製造工程を示している。図1Jに示す最終工程を参照して、製造された半導体チップ2は、半導体層(第1層)4と、半導体層4上に形成された配線層(第2層)6と、配線層6上に形成された保護膜8およびバンプ(突出電極)10とを備える。半導体チップ2は、半導体ウエハ12が個片化されて形成されている。本実施形態では、半導体層4はSi又はSi系材料からなり、配線層6はSiO2などの絶縁膜とCuなどの金属からなる。ただし、半導体層4や配線層6の材質はこれらに限定されない。例えば、配線層6の絶縁膜の材質は、SiN、SiOC、又はLow−k材料等であってもよい。また、例えば、配線層6の金属の材質は、Al,Al合金、W等であってもよい。また、バンプ10に含まれる金属は特に限定されず、例えば、銅、銅と錫と銀との合金、銀と錫との合金、鉛と錫との合金、金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。バンプ10の形状は特に限定されず、角柱、円柱、山型、ボール等であってもよい。バンプ10の高さは、目的に応じて適宜設定すればよく、例えば、20〜200μmである。バンプ10の高さは、半導体層4の法線方向における、バンプ10の最大の高さである。バンプ10の配置および個数は特に限定されず、目的に応じて適宜設定される。
図1Aに示す第1工程(準備工程)では、半導体ウエハ(基板)12を準備している。半導体ウエハ12は、半導体層4と、半導体層4上に形成された配線層6とを備える。
図1Bに示す第2工程(バンプ形成工程)では、半導体ウエハ12の配線層6の表面(第1の面)6Aに、保護膜8およびバンプ10が形成されている。半導体ウエハ12は、バンプ10が形成された複数の素子領域14と、個々の素子領域14の周囲に隣接する素子領域14との間に設けられた分割領域16を備える。言い換えれば、分割領域16によって個々の素子領域14が画定されている。
図1Cに示す第3工程(保護工程)では、半導体ウエハ12の表面6Aに、裏面研削時の保護のためのBG(バックグラインド)テープ(保護テープ)20が貼り付けられている。BGテープ20は、粘着層20Aと、樹脂製の基材20Bとからなる保護フィルムである。即ち、粘着層20Aが半導体ウエハ12の表面6Aに貼り付けられ、基材20Bにより半導体ウエハ12の表面6Aが保護されている。BGテープ20は、半導体ウエハ12に貼り付けられた後、もしくは貼り付けられる前に半導体ウエハ12の外形形状に合わせて切断されるため、半導体ウエハ12のハンドリング性は損なわれない。
図1Dに示す第4工程(薄化工程)では、図示しない研削装置により半導体ウエハ12の裏面(第2の面)4A側から半導体層4が研削されている。半導体ウエハ12は、半導体層4の研削により所定の厚みに薄化されている。
図1Eに示す第5工程(第1保持工程)では、ダイシングテープ(保持テープ)22が半導体ウエハ12の裏面4Aに貼り付けられている。ダイシングテープ22は、粘着層22Aと、樹脂製の基材22Bとからなる保持フィルムである。即ち、粘着層22Aが半導体ウエハ12の裏面4Aに貼り付けられ、基材22Bにより半導体ウエハ12が保持されている。また、ダイシングテープ22には、ハンドリング性の観点からフレーム22Cが取り付けられている。
図1Fに示す第6工程(第2保持工程)では、フレーム22C付のダイシングテープ22の貼り付け後、半導体ウエハ12からBGテープ20が剥離され、除去されている。この状態では、半導体ウエハ12の表面6Aでバンプ10が露出している。
図1Gに示す第7工程(マスク形成工程)では、スプレーコーティング装置100により半導体ウエハ12の表面6Aにマスク28が形成される。スプレーコーティング装置100は、処理対象物を載置するステージ101と、その上部に設けられたスプレーノズル102とを備える。スプレーノズルには、原料液を供給するための配管103と圧縮ガスを供給するための配管104が接続されており、原料液を圧縮ガスとともに処理対象物に吹き付けることが可能となっている。また、ステージ101はX−Y面内(水平面内)で回転方向に可動になっており、また、スプレーノズル102はX軸方向、Y軸方向、Z軸方向(垂直方向)に可動となっている。したがって、処理対象物とスプレーノズル102を動かしながらスプレーノズル102からの原料液の拭き付けを行うことで、均一なコーティングが可能となっている。
第7工程(マスク形成工程)では、レジスト液をMEK(メチルエチルケトン)やPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)などの溶剤と混合し粘度を20cp程度に希釈した原料液を、スプレーノズル102から窒素などの圧縮ガスとともに半導体ウエハ12の表面6Aに吹き付け、半導体ウエハ12の表面6Aにレジストからなるマスク28を形成する。この時、圧縮ガスの圧力、原料液の流量、レジスト液の希釈度などのパラメータをあらかじめ調整し、半導体ウエハ12の表面6Aに形成されるマスク28の付着状態や乾燥状態を最適化しておくことにより、表面6Aにバンプ10などによる凹凸があっても、凸部の角におけるマスク28の途切れや、凹部にレジストが溜まることによるマスク28の厚膜化などの被覆形状不良を低減し、均一なマスク28を形成できる。また、ステージ101をゆっくり回転させながら、スプレーノズル102をX軸およびY軸方向に走査し、また必要に応じて重ね塗りをすることにより、半導体ウエハ12の表面6Aにマスク28を均一に形成する。
スプレーコーティングの条件としては、例えば、原料液の吐出レートを3〜15マイクロリットル/秒とし、スプレーノズル102の走査速度を50〜300mm/秒とし、ステージ101の温度を常温とし、スプレーノズル102とステージ101との距離を30〜100mmとすることができる。
また、マスク28が形成される半導体ウエハ12の表面6Aには、バンプ10を構成する金属や、配線層6上の保護膜8を構成するポリイミドやSiN等の絶縁膜など、複数の材料が存在する。これら複数の材料は、スプレーコーティングされる原料液に対する濡れ性がそれぞれ異なる場合がある。したがって、スプレーコーティングする前に、表面6Aの原料液に対する濡れ性を均質化しておくことが好ましい。そのための手法として、表面6Aの洗浄処理や、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理、あるいは、プラズマ処理等を用いることができる。
なお、バンプ10に沿うようにマスク28を形成する方法は、上述のスプレーコーティングに限らない。CVD(chemical vapor deposition)法やプラズマCVD法、スパッタ法を用いることもできる。
また、バンプ10に沿うようにマスク28を形成するために、粘着テープの粘着層を半導体ウエハ12の表面6Aに転写してもよい。この場合、粘着テープは、テープ基材と、テープ基材の一方の面に形成された粘着層を備える。そして、粘着テープの粘着層の側を半導体ウエハ12の表面6Aに貼り付け、粘着層を表面6Aに密着させる。粘着層は、表面6Aとの密着力が基材との密着力よりも大きくなるようにあらかじめ形成されており、テープ基材を剥がすと、表面6Aに粘着層が転写され、この粘着層がバンプ10に沿ったマスク28となる。テープ基材は、バンプ10の凹凸を緩和するクッション性を備えていることが好ましく、この場合、粘着テープを半導体ウエハ12に貼り付けた際に、粘着テープを半導体ウエハ12に押圧することで、粘着層と表面6Aとの密着性を高め、バンプ10に沿ったマスク28を形成しやすくなる。
また、粘着テープが、緩衝層をさらに備え、テープ基材側から、テープ基材、緩衝層、粘着層の順に積層された3層構造を備えていてもよい。この場合も、粘着テープの粘着層の側を半導体ウエハ12の表面6Aに貼り付け、粘着層を表面6Aに密着させる。粘着層は、表面6Aとの密着力が緩衝層との密着力よりも大きくなるようにあらかじめ形成されており、緩衝層とともにテープ基材を剥がすと、表面6Aに粘着層が転写され、この粘着層がバンプ10に沿ったマスク28となる。緩衝層は、バンプ10の凹凸を緩和するクッション性を備えており、この場合、粘着テープを半導体ウエハ12に貼り付けた際に、粘着テープを半導体ウエハ12に押圧することで、粘着層と表面6Aとの密着性を高め、バンプ10に沿ったマスク28を形成しやすくなる。
テープ基材の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。テープ基材の厚みは特に限定されないが、支持体としての機能およびハンドリング性の点で、30〜150μmであることが好ましい。
緩衝層は、バンプ10の少なくとも頭頂部に沿って追随できる程度の柔軟性を有していることが好ましい。加えて、緩衝層は、表面6Aを損傷および剥離することなく、粘着層から容易に剥離できる程度の剥離性を有していることが好ましい。剥離性の観点から、緩衝層と粘着層との間の粘着力は、表面6Aと粘着層との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
このような緩衝層は、例えば、アクリル樹脂を含む層(アクリル樹脂層)とシリコーン樹脂を含む層(シリコーン樹脂層)との積層体により形成される。このとき、テープ基材側にアクリル樹脂層を配置する。柔軟性の観点から、アクリル樹脂層の厚みは、シリコーン樹脂層よりも大きいことが好ましい。なかでも、アクリル樹脂層の厚みは、シリコーン樹脂層の厚みの5〜20倍であることが好ましい。
緩衝層の厚みは、バンプ10の少なくとも頭頂部を埋め込むことができる限り、特に限定されない。バンプ10の頭頂部は、バンプ10の先端から、バンプ10の高さの1/3までを占める部分である。すなわち、緩衝層の厚みは、バンプ10の高さの1/3以上である限り、特に限定されない。なかでも、バンプ10の保護の観点から、緩衝層の厚みは、バンプ10の高さより大きいことが好ましい。一方、コストの観点から、緩衝層の厚みは、バンプ10の高さの2倍以下であることが好ましい。具体的には、緩衝層の厚みは、40〜400μmであり、100〜300μmであってもよい。例えば、バンプ10の高さが65μmの場合、緩衝層の厚みは115μmであってもよい。このとき、テープ基材の厚みは、例えば50μmである。
粘着層の材質としては、例えば、紫外線硬化型樹脂が挙げられる。粘着層の厚みは、例えば5〜20ミクロンであることが好ましく、例えば、約10ミクロンである。
図1Hに示す第8工程(露出部形成工程)では、分割領域16に露出部18が形成されている。露出部18は、配線層6、保護膜8、およびマスク28をレーザスクライビングやメカニカルダイシング等により切削することで形成されている。半導体ウエハ12の表面6A側から見ると、露出部18では半導体層4が露出している。
また、上記とは別の手法として、図1Kに示すように、マスク28に対する露光および現像処理を行って、マスク28の分割領域16に対応する部分に開口を形成し、その後、保護膜8および配線層6のエッチングを行って、露出部18を形成するようにしてもよい。
図1Iに示す第9工程(個片化工程)では、半導体ウエハ12がプラズマ処理により個片化されている。さらに、図2は、本工程で使用されるドライエッチング装置(プラズマエッチング装置)50の一例を示している。ドライエッチング装置50のチャンバ52の頂部には誘電体窓が設けられており、誘電体窓の上方には上部電極としてのアンテナ54が配置されている。アンテナ54は、第1高周波電源部56に電気的に接続されている。一方、チャンバ52内の処理室58の底部側には、半導体ウエハ12が配置されるステージ60が配置されている。ステージ60は下部電極としても機能し、第2高周波電源部62に電気的に接続されている。また、ステージ60は図示しない静電吸着用電極(ESC電極)を備え、ステージ60に配置された半導体ウエハ12を静電吸着できるようになっている。また、ステージ60には冷却用ガスを供給するための図示しない冷却用ガス孔が設けられており、冷却用ガス孔からヘリウムなどの冷却用ガスを供給することでステージ60に静電吸着された半導体ウエハ12を冷却できる。チャンバ52のガス導入口64はエッチングガス源66に流体的に接続されており、排気口68はチャンバ52内を真空排気するための真空ポンプを含む真空排気部70に接続されている。
第9工程(個片化工程)では、第7工程(マスク形成工程)後かつ第5,6工程(第1,2保持工程)後の半導体ウエハ12がダイシングテープ22を介してステージに載置される。載置完了後、処理室58内を真空排気部70によって真空排気すると共にエッチングガス源66から処理室58内に例えばSF6であるエッチングガスを供給し、所定圧力に維持する。その後、アンテナ54に対して第1高周波電源部56から高周波電力を供給し、処理室58内にプラズマ(第1のプラズマ)を発生させて半導体ウエハ12に照射する。プラズマ中のラジカルとイオンの物理化学的作用により露出部18で露出している半導体ウエハ12の半導体層4が除去される。
プラズマの発生条件は、エッチングされる層(半導体層4)の材質などに応じて設定される。例えば、半導体層4がSiの場合、後述するボッシュプロセスにより半導体層4を除去することができる。
ボッシュプロセスでは、半導体層4が深さ方向に垂直にエッチングされる。半導体層4がSiを含む場合、ボッシュプロセスでは、保護膜堆積ステップと、保護膜エッチングステップと、Siエッチングステップとを順次繰り返すことにより、半導体層4を深さ方向に掘り進む。
保護膜堆積ステップは、例えば、原料ガスとしてC4F8を150〜250sccmで供給しながら、チャンバ52内の圧力を15〜25Paに調整し、第1高周波電源部56からアンテナ54への投入電力を1500〜2500Wとして、第2高周波電源部62から下部電極への投入電力を0〜50Wとして、2〜15秒間、処理する条件で行われる。
保護膜エッチングステップは、例えば、原料ガスとしてSF6を200〜400sccmで供給しながら、チャンバ52内の圧力を5〜15Paに調整し、第1高周波電源部56からアンテナ54への投入電力を1500〜2500Wとして、第2高周波電源部62から下部電極への投入電力を300〜1000Wとして、2〜10秒間、処理する条件で行われる。
Siエッチングステップは、例えば、原料ガスとしてSF6を200〜400sccmで供給しながら、チャンバ52内の圧力を5〜15Paに調整し、第1高周波電源部56からアンテナ54への投入電力を1500〜2500Wとして、第2高周波電源部62から下部電極への投入電力を50〜500Wとして、10〜20秒間、処理する条件で行われる。
上記のような条件で、保護膜堆積ステップ、保護膜エッチングステップ、および、Siエッチングステップを繰り返すことにより、Siを含む半導体層4は、10μm/分の速度で深さ方向に垂直にエッチングされ得る。
なお、第8工程(露出部形成工程)において、露出部18がレーザスクライビングにより形成される場合、マスク28と配線層6は、レーザアブレーションにより加工される。レーザアブレーションでは、マスク28および配線層6にレーザ光のエネルギーを吸収させて局所的に高温化し、高温化した部分を蒸発させることで加工を行う。そのため、レーザ光は、マスク28および配線層6で吸収されやすい波長を有するものが用いられる。
レーザ光としては、例えば、波長355nm(第3高調波)のYAGレーザを用いることができる。この波長は、配線層6に含まれる金属に吸収されやすく、マスク28を構成するレジストなどのUV吸収型の有機材料にも吸収されやすいためである。
また、レーザ光の吸収を促進するため、マスク28にレーザ光の波長を吸収しやすい材料を添加してもよい。例えば、マスク形成工程の説明で述べたように、粘着テープの粘着層を半導体ウエハ12の表面6Aに転写させてマスクとする場合においては、粘着層にUV光を吸収しやすいUV架橋材料を添加することが好ましい。
マスク28および配線層6でのレーザ光の吸収が少ないと、照射されたレーザ光の一部が半導体層4に過剰に到達して吸収され、加工形状が悪化する場合があるが、上述したようにレーザ光の波長やマスク28の材料を適切に選択することにより、マスク28でのレーザ光のエネルギーの吸収を適正化し、良好な加工形状を得やすくなる。
レーザ光を連続的に照射(CW)すると、レーザが不安定化したり、レーザのパワーが入りすぎて広い領域が溶けてしまうため、レーザ光はパルス的に照射されることが好ましい。これにより、熱の広がりを抑えながら局所的にレーザのパワーを加えて加工することが可能となる。パルス照射の条件としては、パルス幅5〜50ナノ秒、エネルギー5〜50μジュール、繰り返し回数50〜150kHzを例示することができる。また、レーザ光は、400〜700mm/秒の速度で走査しながら、照射されることが好ましい。また、1回の照射でマスク28と配線層6を除去してもよいが、複数回の照射を重ねることでマスク28と配線層6を除去してもよい。複数回の照射を重ねることにより、加工形状の垂直性を向上させたり、後述するデブリの発生を少なくすることができる。
マスク28のレーザで加工された部分の周辺や、加工されたマスク28や配線層6の側面や、加工された部分の底面に、デブリと言われる異物が残ることがある。デブリは、マスク28を構成する有機成分(炭素)や、配線層6を構成する絶縁膜(SiO2やLow−k材料など)、および、配線層6を構成する金属(AlやCuなど)の混合物となる。
レーザ加工部分にデブリが残ると、1)露出部18の側面に凹凸が形成されて分割領域16の直線性が損なわれたり、2)露出部18の底面が裾引き形状(残渣の残った状態)となったり、3)露出部18の底面にデブリが付着したままとなり半導体層4の露出が不十分になったりする。
したがって、レーザ加工部にデブリが残ったまま、個片化工程において、プラズマダイシングすると、上記1)の場合には、露出部18の側面に残ったデブリがエッチングマスクとなり、個片化したチップ2の側面に凹凸が転写し、上からみた場合のチップ側面の平滑性が損なわれるという問題が生じる。
また、上記2)の場合には、露出部18の底面が裾引き形状の状態でプラズマダイシングすると、エッチングの途中で残渣が消失することにより、個片化されたチップ2の側面に、エッチング方向に沿った柱状あるいは針状の凸部が形成されるという問題が生じる。
また、上記3)の場合には、露出部18の底面にデブリ付着し半導体層4の露出が不十分な状態でプラズマダイシングすると、分割領域16において柱状残渣が発生したり、エッチストップが発生するなどの問題が生じる。
従って、レーザアブレーションの後には、プラズマダイシング処理前に、デブリを除去するためのプラズマ処理(ディスカム処理)を行う必要がある。
ディスカム処理では、上述したように、例えば、炭素やSiO2を主成分とした混合物にAlやCuなどの金属成分が混ざった組成のデブリを除去する必要がある。そのため、ディスカム処理には、炭素の除去を促進するための酸素と、クリーニング効果の高いフッ素を含むガス(例えば、CF4/O2など)のプラズマを用いることが好ましい。さらに、金属成分の除去を促進するため、プラズマダイシングで半導体層4をエッチングする場合と比較して、下部電極に投入する高周波電力を大きく設定し、スパッタ性を高くすることが好ましい。
さらに、デブリ成分中の金属成分が多い場合は、スパッタ性を高めるため、アルゴン(Ar)を含むガスを用いることが好ましい(例えば、CF4/O2/Arなど)。
また、AlやCuなどの金属成分とプラズマとの反応性を高めて除去するために、上記ガス系(CF4/O2やCF4/O2/Ar)に、水素を含むガス(例えば、CHF3,H2,CH4など)を添加し、プラズマ中にカルボキシル基(−COOH)を発生させることが好ましい。
一般に金属の錯体の飽和蒸気圧は低いため、プラズマ中にカルボキシル基(−COOH)を発生させ、金属成分と反応させることにより、金属成分が除去されやすくなる。ガス系としては、CHF3/O2/Ar、CF4/O2/Ar/H2またはCH4、CF4/CO2/ArまたはCH4などを例示できる。
ディスカム処理を個片化工程が行われるのと同じ処理室内で実施してもよい。処理枚数が少ない場合や、露出部18の面積が小さく異物量が少ない場合や、配線層6に含まれる金属が少ない場合や、分割領域16の配線層6には金属が無い場合においては、ディスカム処理によって異物に含まれる金属成分の処理室内への飛散が軽微であるためである。
しかしながら、ディスカム処理による、異物に含まれる金属成分の処理室内への飛散が多いと、その一部が誘電体窓に付着し、アンテナ54で発生させたプラズマ生成用の磁場の透過が阻害され、プラズマの発生が不安定となり、エッチングの再現性や安定性が低下するという問題が生じやすい。したがって、ディスカム処理による、金属成分の処理室内への飛散および付着が多い場合には、ディスカム処理を個片化工程が行われるのとは別の処理室で行うことが望ましい。ディスカム処理を個片化工程が行われるのと同一の処理室で処理する場合には、デバイスへの塩素の残留と腐食を防止する為に、ディスカム処理に塩素ガスを用いないことが望ましいが、別の処理室で処理する場合は、金属除去の能力向上の為に、ディスカム処理に塩素ガスを添加しても良い。また、ディスカム処理時に、例えば、COとNH3の混合ガスなどの、C(炭素)、O(酸素)、H(水素)を含むガスを用いると、飛散した金属成分をプラズマ中に形成されるCOOH基と反応させて除去できるため、処理室内への金属成分の付着を抑制できる。
図1Jに示す最終工程である第10工程(アッシング工程)では、処理室58内を真空排気しつつエッチングガス源66から処理室58内に例えば酸素であるエッチングガスを供給して所定圧力に維持する。この状態でアンテナ54に対して第1高周波電源部56から高周波電力を供給し、処理室58内にプラズマ(第2のプラズマ)を発生させて半導体ウエハ12に照射する。プラズマの照射により半導体ウエハ12の表面6Aからマスク28が完全に除去される。アッシングは、例えば、原料ガスとしてCF4とO2との混合ガス(CF4:O2=1:100)を200〜500sccmで供給しながら、チャンバ52内の圧力を5〜30Paに調整し、アンテナ54への投入電力を1500〜2500Wとして、下部電極への投入電力を0〜300Wとする条件により行われる。
本実施形態の場合、マスク28の形成がスプレーコートにより行われるため、バンプ10上のマスク28の厚みのばらつきが少なく、アッシングのオーバーエッチングが抑制できる。したがって、バンプ10の頭頂部がアッシングプラズマに長時間晒されてバンプ10の表面が酸化され、電気的接続を行った際の接触抵抗の増加等のデバイス特性の劣化が生じやすくなったりするという問題が生じにくい。
なお、プラズマダイシングとアッシングは同一チャンバ内で行われることが好ましい。その理由を以下に述べる。
プラズマダイシングでは、ESC電極に電圧を印加して、半導体ウエハ12との間にクーロン力を発生させ、ダイシングテープ22を介して半導体ウエハ12を静電吸着させている。半導体ウエハ12が個片化されるまでの間は、半導体ウエハ12は一体であるため、半導体ウエハ12の表面の帯電状態のばらつきが生じにくく、半導体ウエハ12を安定して吸着することができる。
一方、プラズマダイシングにより半導体ウエハ12が半導体チップに個片化された後は、各半導体チップはダイシングテープ22に、互いに分離した状態で保持される。
一旦個片化された半導体ウエハ12は、ダイシングテープ22に保持された状態で別のプラズマ処理装置に搬送してアッシング等のプラズマ処理を行う場合、均一に静電吸着させることが困難である。これは、半導体ウエハ12が個片化されている場合、各半導体チップ毎にステージとの間にクーロン力を発生させて吸着させなければならず、各半導体チップの帯電状態やダイシングテープ22による各半導体チップの保持状態の僅かなバラツキにより、吸着力に不均一が生じ、吸着不良が発生しやすいからである。
このような理由から、プラズマダイシング後のアッシング処理は、同一チャンバ内で行われることが好ましい。これにより、プラズマダイシング終了後、個片化された半導体ウエハ12とダイシングテープ22をステージ60に載置したまま、プラズマダイシング時の半導体ウエハ12の良好な静電吸着状態を保った状態で、アッシング処理を行うことができる。良好な静電吸着状態を保つ方法としては、プラズマダイシング終了後に、弱いプラズマ放電を発生させながら、ステージ60が備えるESC電極への電圧印加を継続してもよい。あるいは、プラズマダイシング後に半導体ウエハ12の帯電除去のための処理(除電処理)を行わずに、半導体ウエハ12の帯電を残し、この残留電荷によって静電吸着状態を保ってもよい。
プラズマダイシングでは、例えばSiからなる半導体層4を、SF6を含むプラズマによるエッチングステップとC4F8を含むプラズマによる堆積ステップを繰り返すサイクルエッチング(いわゆるBOSCH工法)により加工する。堆積ステップではマスク上にフルオロカーボンからなる重合膜を堆積させるとともに、エッチングステップではフッ素ラジカルによる反応性エッチングによってSiを除去することにより、マスク選択比が100を超える高い選択比での加工が可能となる。この時、マスク上に堆積するフルオロカーボン膜は、エッチングされたSiを含有する重合膜となる。
また、樹脂材料からなるダイシングテープ22は耐熱性が乏しく、熱により伸びや焼けを防ぐため、プラズマダイシング中およびアッシング中は低温(100℃未満、好ましくは60℃未満)に保つ必要がある。したがって、アッシングには、Siを含有した重合膜の付いたマスクを、低温で、残渣を発生させることなく、高速で除去することが求められる。
このため、アッシングでは、レジストの主成分である有機物を除去するために酸素(O2)を主成分とするとともに、Siの付着したマスク除去するために、CF4やCHF3などのフッ素含有ガスが、対O2流量比で数%〜20%程度添加された混合ガスを用いる。さらに、低温で残渣なく高速にアッシングするために、アンテナ54への高周波電力印加(例えば2000W以上)だけでなく、下部電極へも弱い高周波電力(例えば、下部電極の直径が300mmの場合、500W以下程度)を印加することが好ましい。
しかしながら、この場合、バンプの表面が僅かではあるが、プラズマによりスパッタされ、僅かではあるが、バンプ10に含まれる金属成分が処理室内に飛散する場合がある。この場合、バンプ10に含まれる金属成分が誘電体窓に付着し、アンテナ54で発生させたプラズマ生成用の磁場の透過が阻害され、プラズマの発生が不安定となり、エッチングの再現性や安定性が低下するという問題が生じやすい。
このような問題を抑制するため、酸素とフッ素含有ガス(例えば、O2/CF4やO2/CHF3)に、水素を含有するガス(例えば、H2、CH4)を添加して、プラズマ中にカルボキシル基(−COOH)を発生させることが好ましい。一般に金属の錯体の飽和蒸気圧は低いため、プラズマ中にカルボキシル基(−COOH)を発生させ、金属成分と反応させることにより、金属成分が除去されやすくなる。
以上の第1〜10工程により、ダイシングテープ22上に保持された状態で半導体チップ2が製造される。半導体チップ2は、ドライエッチング装置50から取り出されて後工程に送られるが、分割された状態の半導体ウエハ12(半導体チップ2の集合体)はフレーム22C付のダイシングテープ22に保持されているので、後工程でのハンドリングは容易である。
マスク28の形成がスピンコートではなく、スプレーコートであることによる効果を説明する。この方法によれば、半導体ウエハ12に対してマスク28を形成する際、スプレーコート法を採用しているため、バンプ10の表面全体を確実に被覆できる。換言すれば、バンプ10の表面にマスク28が部分的に形成されずに残ることを確実に回避できる。そのため、プラズマエッチングにより半導体ウエハ12を個片化する際、バンプ10が確実に保護され、プラズマ処理によるバンプ10の劣化を防止できる。具体的には、スプレーコート法では、スプレーにより液体レジストを噴霧するため、バンプ10の形状によらず、バンプ10の形状に追従してバンプ10の表面を確実に被覆できる。そのため、様々な形状のバンプ10を有する半導体ウエハ12に対しても同じ方法でプラズマ処理でき、半導体チップ2の製造効率が向上する。
図3A,3Bには、スピンコート法とスプレーコート法による被覆の差が模式的に示されている。図3Aは、スピンコート法による被覆の場合を示しているが、スピンコート法では、十分な量の液体レジストがバンプ10の頭頂部に到達せず、バンプ10の頭頂部のマスク28の被覆が薄く不十分な被覆となっている。これに対し、図3Bは、スプレーコート法による被覆の場合を示しているが、スプレーコート法では、液体レジストをスプレーにより噴霧しているため、十分な量の液体レジストがバンプ10の頭頂部に到達し、バンプ10の頭頂部も十分に被覆されている。このように、高く突出した形状のバンプ10の場合、スピンコート法ではバンプ10の頭頂部の被覆が不十分となることが多いため、上記のようにスプレーコート法を採用することが有効である。
バンプ10がマスク28で覆われていることによる効果を説明する。本実施形態によれば、スプレーコート法により、半導体ウエハ12に対してバンプ10の表面全体を確実に被覆するマスク28を形成できる。よって、バンプ10はプラズマに曝され難くなり、プラズマエッチングによるバンプ10を構成する金属材料の飛散が抑制され、飛散した金属材料のプラズマ処理室の内壁への付着や、基板12への再付着が抑制される。これにより、以下の6つの課題に対応した効果が得られる。
第1に、従来、プラズマ処理室が、誘導結合型のプラズマ源を備え、プラズマ生成用の磁場を透過させるための誘電体窓を有する場合、バンプ10に起因する、金、銅、ニッケル等の反応性に乏しい金属材料がプラズマに晒されて飛散し、この誘電体窓に付着すると、プラズマ生成用の磁場の透過が阻害され、プラズマの発生が不安定となり、エッチングの再現性や安定性が低下するという課題があった。
一方、本実施形態によれば、プラズマ処理室が、プラズマ生成用の磁場を透過させるための誘電体窓を備える場合であっても、この誘電体窓へのバンプ10に起因する金属材料の付着が抑制されるため、プラズマの発生が安定し、エッチングの再現性や安定性が向上する。
第2に、従来、バンプ10を構成する金属材料がプラズマに晒されて飛散し半導体ウエハ(基板)12に再付着すると、プラズマダイシングの際にマイクロマスクとなり、半導体チップ(素子チップ)2の側面の荒れなどのチップ形状の悪化をもたらすという課題があった。このようなチップ形状の悪化は、素子チップの抗折強度の低下や、半導体チップ2をパッケージする際のモールド不良の原因であった。
一方、本実施形態によれば、プラズマダイシング時に、バンプ10に起因する金属材料がマイクロマスクとなることがなく、半導体チップ2の側面の平滑性の優れた半導体チップ2が得られる。したがって、得られた半導体チップ2は抗折強度に優れ、パッケージする際のモールド不良も起こりにくいものとなる。
第3に、従来、バンプ10を構成する金属材料がプラズマに晒されて飛散し半導体ウエハ12の分割領域16に再付着すると、分割領域16にエッチング残渣が発生するという課題があった。このようなエッチング残渣は、パーティクルの原因となったり、プラズマダイシング後のピックアップ工程における認識不良およびピックアップミスを誘発し、生産の歩留まりを低下させたりしていた。さらに、分割領域16に発生するエッチング残渣が多い場合には、分割領域16でエッチングストップが発生し、半導体ウエハ12を個片化できないという不具合を引き起こしていた。
一方、本実施形態によれば、プラズマダイシング時に、バンプに起因する金属材料がマイクロマスクとなることがなく、分割領域16にエッチング残渣が発生しにくい。よって、パーティクルが低減されるとともに、プラズマダイシング後のピックアップ工程における認識性やピックアップ性が良化し、生産の歩留まりも向上する。また、プラズマダイシング時に、分割領域16でエッチングストップが発生しにくく、個片化の歩留まりが向上する。
第4に、従来、バンプ10に起因する金属材料がプラズマに晒されて飛散し素子チップのバンプ10以外の部分(例えば、回路層表面6Aの保護膜8上や半導体層の側面)に再付着すると、素子の金属汚染を引き起こすという課題があった。
一方、本実施形態によれば、バンプ10に起因する金属材料が、半導体チップ2のバンプ10以外の部分(例えば、回路層表面6Aの保護膜8上や半導体層の側面)に再付着し、素子の金属汚染することも起こりにくい。
第5に、従来、バンプ10の一部がエッチングされることや、バンプ10に起因する金属材料の半導体チップ2への再付着により、半導体チップ2の電気的特性が変化するという課題があった。
一方、本実施形態によれば、バンプ10の一部がエッチングされることや、バンプ10に起因する金属材料の半導体チップ2への再付着も起こりにくく、半導体チップ2の電気的特性が変化も起こりにくい。
第6に、従来、バンプ10がプラズマに曝されてエッチングされると、バンプ10がプラズマにより変質し不具合を生じるという課題があった。具体的には、バンプ10が銅を含む場合に、六フッ化硫黄(SF6)を含むガスを用いたプラズマ処理を行うと、プラズマ照射により銅が硫化されて信頼性が低下する場合があった。また、エッチング、アッシングガスにフッ素や酸素を含む場合、バンプ10表面のフッ化、酸化により、コンタクト抵抗の上昇や、接合強度等の悪化や信頼性の低下が生じる場合があった。また、エッチングガスにC4F8などのフルオロカーボン系のガスが含まれる場合、バンプ表面に炭素を含有する反応生成物が付着し、接合強度の信頼性が低下する場合もあった。
一方、本実施形態によれば、プラズマダイシング時に、プラズマによるバンプ10の変質が起こりにくい。したがって、バンプ10が銅を含む場合に、六フッ化硫黄(SF6)を含むガスを用いたプラズマ処理を行っても、銅が硫化されにくく、信頼性が向上する。また、エッチングガスやアッシングガスがフッ素や酸素を含む場合であっても、バンプ10表面のフッ化や酸化が起こりにくく、コンタクト抵抗や、接合強度等の信頼性が向上する。また、エッチングガスにC4F8などのフルオロカーボン系のガスが含まれる場合であっても、バンプ10表面に反応生成物が付着しにくく、接合強度の信頼性を向上できる。
加えて、本実施形態によれば、従来、回路層側からプラズマダイシングを行う場合にバンプをプラズマに晒さないために必要であった厚いレジストマスクが不要となり、製造コストの増加を抑えることができる。
また、従来、厚いレジストマスクを用いる場合、プラズマダイシング後に、レジストマスクを除去するための長時間のプラズマアッシングが必要で、処理時間が増大するという課題が生じたり、バンプ10の頭頂部がアッシングプラズマに晒されてバンプ10の表面が酸化され、電気的接続を行った際の接触抵抗の増加等のデバイス特性の劣化が生じやすくなったりするという課題があった。
一方、本実施形態の場合、長時間のアッシングは不要のため、上述のような処理時間の増大やデバイス特性の劣化が生じにくい。
(第2実施形態)
図4A〜図4Kに各工程を示す本実施形態の半導体チップ2の製造方法は、第1実施形態と異なり、マスク形成工程の前に露出部形成工程を行っている。図1A〜図1Jに示した部分と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
図4A,4Bに示す本実施形態の第1工程(準備工程)および第2工程(バンプ形成工程)は、第1実施形態と同じである。
図4Cに示す第3工程(第1露出部形成工程)では、分割領域16に第1露出部18Aが形成されている。第1露出部18Aは、配線層6および保護膜8をレーザスクライビングやメカニカルダイシング等により切削することで形成されている。半導体ウエハ12の表面6A側から見ると、第1露出部18Aでは半導体層4が露出している。なお、レーザ加工時に飛散物が半導体ウエハ12に付着することを防ぐため、レジストなどの表面被覆膜を形成し、配線層6および保護膜8とともにレーザ加工してもよい。この場合、レーザ加工時の飛散物は表面被覆膜上に付着するが、有機洗浄により表面被覆膜を溶かすことにより、付着した飛散物も除去できる。
図4D〜4Hに示す本実施形態の第4工程(保護工程),第5工程(薄化工程)、第6工程(第1保持工程)、第7工程(第2保持工程)、および第8工程(マスク形成工程)は第1実施形態と同じである。図4Hに示す本実施形態の第8工程(マスク形成工程)は、マスク形成工程である。マスク28の形成方法として、第1実施形態と同様にスプレーコート法が採用されているが、スプレーコーティング装置100(図1G参照)の図示は省略されている。
図4Iに示す本実施形態の第9工程(第2露出部形成工程)では、分割領域16に第2露出部18Bが形成される。第2露出部18Bは、第1露出部18Aを被覆するマスク28をレーザ加工等により切削することで形成されている。半導体ウエハ12の表面6A側から見ると、第2露出部18Bでは半導体層4が露出している。
また、上記とは別の手法として、マスク28に対する露光および現像処理を行って、マスク28の分割領域16に対応する部分に開口を形成し、第2露出部18Bを形成するようにしてもよい。
図4J,4Kに示す本実施形態の第10工程(個片化工程)および第11工程(アッシング工程)は第1実施形態と同じである。
第1実施形態の場合、プラズマダイシングにおける半導体層4と配線層6のエッチングのされやすさの違いなどにより、露出部18の開口付近の配線層6の直下の半導体層4が少し横方向にエッチングされ、半導体チップの側面に配線層6が半導体層4より少し横に突出する場合がある。半導体チップの側面にこのような突出があると、配線層6が半導体層4から剥れる不良(デラミネーション)が生じやすい。
そこで第2実施形態の場合、第1露出部形成工程(図4C参照)で第1露出部18Aを形成した後で、マスク形成工程(図4H参照)で第1露出部18Aを含めた半導体ウエハ12の表面6Aを覆うようにマスク28が形成されるため、第2露出部形成工程(図4I参照)で、第1露出部18Aよりも狭い開口である第2露出部18Bをマスク28に形成することが可能となる。こうして形成される半導体チップ2は、回路層6の端面が半導体層4の端面よりも内側に配置されるため、接触などによって回路層6が半導体層4から剥がれる現象(デラミネーション)や、欠け(チッピング)が発生しにくくなる。また、薄化工程(図4E参照)の前に、第1露出部形成工程(図4C)において回路層6が分割領域16で分断されるため、回路層6に内在する膜応力があらかじめ緩和されている。したがって、薄化工程(図4E参照)では半導体ウエハ12の反りが低減された状態で研削が行われるため、半導体ウエハ12の割れが発生しにくい。
(第3実施形態)
図5A〜5Jに各工程を示す本実施形態の半導体チップ2の製造方法は、第1実施形態および第2実施形態と異なり、半導体ウエハ12の表面6AにBGテープ20を貼り付ける保護工程の前に、バンプ10をマスクするマスク形成工程が設けられている。これに関する以外は、図1A〜1Jの第1実施形態の半導体チップ2の製造方法と同様である。従って、図1A〜1Jに示した部分と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
図5A〜5Cに示す本実施形態の第1〜3工程は、順に、準備工程、バンプ形成工程、および露出部形成工程であり、各工程は第1実施形態と同じである。
図5Dに示す第4工程は、マスク形成工程である。マスク28の形成方法として、第1実施形態と同様にスプレーコート法が採用されているが、スプレーコーティング装置100(図1G参照)の図示は省略されている。
図5E〜5Jに示す第5〜10工程は、順に、保護工程、薄化工程、第1保持工程、第2保持工程、個片化工程、およびアッシング工程であり、各工程は第1実施形態と同じである。
本実施形態の方法によれば、
第6工程(薄化工程)の前に第4工程(マスク形成工程)が行われるため、半導体ウエハ12が厚い状態で、マスク28の形成が可能となり、マスク形成の過程において半導体ウエハ12が割れるトラブルが発生しにくい。
(第4実施形態)
図6A〜6Jに各工程を示す本実施形態の半導体チップ2の製造方法は、第1実施形態と異なり、露出部形成工程の前に、マスク形成工程が設けられている。これに関する以外は、図1A〜1Jの第1実施形態の半導体チップ2の製造方法と同様である。従って、図1A〜1Jに示した部分と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
図6A,6Bに示す本実施形態の第1,2工程は、準備工程およびバンプ形成工程であり、各工程は、第1実施形態と同じである。
図6Cに示す第3工程は、マスク形成工程である。マスク形成方法は、第1実施形態と同様にスプレーコート法が採用されているが、スプレーコーティング装置100(図1G参照)の図示は省略されている。
図6D〜6Jに示す第4〜10工程は、順に、露出部形成工程、保護工程、第1保持工程、第2保持工程、個片化工程、およびアッシング工程であり、各工程は第1実施形態と同じである。
本実施形態の方法によれば、第3工程(マスク形成工程)でバンプ10に対してマスク28を形成した後に、第4工程(露出部形成工程)で露出部18を形成しているため、露出部18の形成の際に生じる切削片からバンプ10を保護した状態で、露出部18を形成できる。
本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。また、各実施形態では、各工程の順番は特に明示した場合を除き、矛盾しない態様で入れ替えられてもよい。