以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。本発明において、封止用樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
[封止用樹脂組成物]
本発明の封止用樹脂組成物は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂、(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂、(C)硬化剤、及び(D)無機充填材、を含有する、封止用樹脂組成物であって、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(A)成分の含有量が、3質量%以上15質量%以下である。前記の(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂、(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂、(C)硬化剤、及び(D)無機充填材を組み合わせて含み、且つ(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量を所定の範囲内とすることにより、封止用樹脂組成物は、反りを抑制でき、加熱及び冷却を繰り返しても高い密着性が有する硬化物が得られるという、本発明の所望の効果を得ることができる。この封止用樹脂組成物の硬化物は、その優れた特性を活かして、半導体チップパッケージの絶縁層及び封止材として好ましく用いることができ、特に封止材として好ましく用いることができる。
また、前記の封止用樹脂組成物は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂、(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂、(C)硬化剤、及び(D)無機充填材に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(E)エポキシ樹脂、(F)硬化促進剤などが挙げられる。以下、封止用樹脂組成物中に含まれる各成分について説明する。
<(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂>
封止用樹脂組成物は、(A)成分として、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有し、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、3質量%以上15質量%以下である。封止用樹脂組成物に所定量の(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有させることで耐熱性を向上させることができるので、サーマルサイクルテスト耐性を向上させることができる。また、所定量の(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有させることで線熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion。CTE、熱膨張率ということがある)を低くすることができ、その結果反りを抑制することが可能となる。さらに、封止用樹脂組成物に所定量の(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有させることで封止用樹脂組成物の粘度を低下させることも可能となる。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、窒素原子にグリシジル基が直接結合したエポキシ樹脂を用いることができる。中でも、耐熱性をより向上させ、線熱膨張係数をより低くする観点から、2官能又は3官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂であることが好ましく、3官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂であることがより好ましい。(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及び3官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。例えば、3官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂とは、分子内に3つのエポキシ基を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂を表す。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、耐熱性をより向上させ、線熱膨張係数をより低くする観点から、分子内に芳香環を有する芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂であることが好ましい。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、下記式(A)で表されることが好ましい。
(式(A)中、R
11は、それぞれ独立にグリシジルエーテル基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R
12は水素原子、又は炭素原子数1〜10の1〜3価の炭化水素基を表す。nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。)
R11は、それぞれ独立にグリシジルエーテル基、又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。炭素原子数1〜6のアルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。炭素原子数1〜6のアルキル基は、窒素原子と芳香環の結合部位を基準としてオルト位に結合していることが好ましい。中でも、本発明の所望の効果を得る観点から、R11としては、グリシジルエーテル基が好ましく、グリシジルエーテル基は、窒素原子と芳香環の結合部位を基準としてパラ位に結合していることが好ましい。
R12は水素原子、又は炭素原子数1〜10の1〜3価の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数1〜10のアルキル基に由来する3価の基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリーレン基等が挙げられる。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましい。炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。炭素原子数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数6〜10のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。中でも、mが1である場合、本発明の所望の効果を得る観点から、R12としては、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、mが2である場合、本発明の所望の効果を得る観点から、R12としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1がさらに好ましく、1が特に好ましい。mは1〜3の整数を表し、1又は2が好ましく、1がさらに好ましい。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、ADEKA社製の「EP3980S」(ジグリシジル−o−トルイジン)、「EP3950S」、「EP3950L」、三菱ケミカル社製の「630」(トリグリシジル−p−アミノフェノール)、「630LSD」、住友化学社製の「ELM−100」、「ELM−100H」、「ELM−434」、「ELM−434L」等が挙げられる。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、3質量%以上であり、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、15質量%以下であり、好ましくは13質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量を係る範囲内とすることにより、耐熱性を向上させることができ、線熱膨張係数(CTE)を低くすることができる。その結果反りを抑制することが可能となる。また、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の含有量を係る範囲内とすることにより、封止用樹脂組成物の硬化物のクラックを抑制することが可能となる。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、封止用樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい封止層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂>
封止用樹脂組成物は、(B)成分として、グリシジルエステル型エポキシ樹脂を含有する。封止用樹脂組成物にグリシジルエステル型エポキシ樹脂を含有させることで封止用樹脂組成物の硬化物の弾性率を低下させることができ、反りを抑制することが可能となる。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、エステル結合にグリシジル基が直接結合したエポキシ樹脂を用いることができる。中でも、封止用樹脂組成物の硬化物の弾性率をより低下させ、反りをより抑制する観点から、2官能又は3官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂であることが好ましく、2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂であることがより好ましい。例えば、2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂とは、分子内に2つのエポキシ基を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂を表す。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、封止用樹脂組成物の硬化物の弾性率をより低下させ、反りをより抑制する観点から、ダイマー酸変性グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テレフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、イソフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、及びこれらの各種異性体等が好ましい。
これらの中でも、(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、本発明の所望の効果を奏する観点から、ダイマー酸変性グリシジルエステル型エポキシ樹脂が好ましい。ダイマー酸変性グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば下記式(B)で表されることが好ましい。
(式(B)中、R
21、及びR
22はそれぞれ独立にグリシジル基、又はビスフェノールA型ジグリシジルエーテル構造を有する基を表す。n1〜n4はそれぞれ独立に3〜9の整数を表す。)
R21及びR22はそれぞれ独立にグリシジル基、又はビスフェノールA型ジグリシジルエーテル構造を有する基を表し、グリシジル基が好ましい。
n1は3〜9の整数を表し、4〜8の整数が好ましく、5〜7がより好ましく、7が特に好ましい。n2は3〜9の整数を表し、5〜9の整数が好ましく、7又は8がより好ましく、8が特に好ましい。n3は3〜9の整数を表し、4〜8の整数が好ましく、6又は7がより好ましく、6が特に好ましい。n4は3〜9の整数を表し、4〜8の整数が好ましく、5又は6がより好ましく、5が特に好ましい。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の、「JER871」、「JER872」、新日鉄住金化学社製の「YD−171」、「YD−172」、ナガセケムテックス社製の「EX−721」等が挙げられる。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、封止用樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい封止層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂におけるエポキシ当量と同様の方法にて測定することができる。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂の重量平均分子量は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂の重量平均分子量と同様の方法にて測定した重量平均分子量である。
(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物の硬化物の弾性率を低下させることができ、反りを抑制する観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上である。上限は、線熱膨張係数を低下させる観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
封止用樹脂組成物は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂をバランスよく含有させることで、封止用樹脂組成物の硬化物の弾性率及び線熱膨張係数を低下させることができ、その結果反りを抑制することが可能となる。よって、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(A)成分の含有量をa1とし、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(B)成分の含有量をb1とした場合、a1/b1が、好ましくは0.6以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.5以上、2以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、8以下、5以下である。
封止用樹脂組成物は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂を所定量含有するので、硬化物のサーマルサイクルテスト耐性が向上するとともに、硬化物の線熱膨張係数を低くすることが可能となる。また、封止用樹脂組成物は、(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂も含有するので、硬化物の弾性率を低くすることが可能となる。本発明者は、線熱膨張係数及び弾性率をともに低くすることで硬化物の反りが抑制されることを知見した。(A)成分及び(B)成分のような特定のエポキシ樹脂を組み合わせて用いることで、硬化物のサーマルサイクルテスト耐性が向上するとともに、硬化物の反りが抑制されることは従来より知られていない新規な知見である。
<(C)硬化剤>
封止用樹脂組成物は、(C)成分として、硬化剤を含む。(C)硬化剤は、通常、(A)成分、(B)成分、後述する(E)成分等のエポキシ樹脂と反応して封止用樹脂組成物を硬化させる機能を有する。(C)硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(C)硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させることができる化合物を用いることができ、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。中でも、低温反応が可能であり、封止用樹脂組成物の硬化物の反りを抑制する観点からアミン系硬化剤が好ましい。
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C−200S」、「KAYABOND C−100」、「カヤハードA−A」、「カヤハードA−B」、「カヤハードA−S」、三菱化学社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤が挙げられる。中でも、ベンゼン環に結合した水酸基を有する化合物が好ましい。また、耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。さらに、密着性の観点からは、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。特に、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点からは、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、「MEH−8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金化学社製の「SN−170」、「SN−180」、「SN−190」、「SN−475」、「SN−485」、「SN−495」、「SN−495V」、「SN−375」、「SN−395」;DIC社製の「TD−2090」、「TD−2090−60M」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」;群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する硬化剤が挙げられる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000」、「HPC−8000H」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂);「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂);「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー);等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
(C)硬化剤の含有量は、反りを抑制する観点から、封止用樹脂組成物中の不揮発成分100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
(A)成分及び(B)成分のエポキシ基数を1とした場合、(C)硬化剤の活性基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.4以下である。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、封止用樹脂組成物中に存在する(A)成分及び(B)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「(C)硬化剤の活性基数」とは、封止用樹脂組成物中に存在する(C)硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分及び(B)成分のエポキシ基数を1とした場合の(C)硬化剤の活性基数が前記範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができ、更に通常は、樹脂組成物層の硬化物の耐湿性がより向上する。
<(D)無機充填材>
封止用樹脂組成物は、(D)成分として、無機充填材を含む。(D)無機充填材を用いることにより、封止用樹脂組成物の硬化物の線熱膨張係数を小さくでき、また、反りを抑制することができる。
(D)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(D)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、シリカ又はアルミナが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(D)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
通常、(D)無機充填材は、粒子の状態で封止用樹脂組成物に含まれる。(D)無機充填材の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、又は1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは8.0μm以下、特に好ましくは7.0μm以下である。(D)無機充填材の平均粒径が前記範囲にあることにより、封止用樹脂組成物中の(D)無機充填材の充填性が高まり、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
(D)無機充填材等の粒子の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により、測定できる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、粒子の粒径分布を体積基準で作成し、その粒径分布からメディアン径として平均粒径を測定できる。測定サンプルは、粒子を超音波により水等の溶剤中に分散させたものを好ましく使用できる。レーザー回折散乱式粒径分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」等を使用することができる。
前記のような(D)無機充填材としては、例えば、新日鉄住金マテリアルズ社製「ST7030−20」;龍森社製「MSS−6」、「AC−5V」;新日鉄住金マテリアルズ社製「SP60−05」、「SP507−05」;アドマテックス社製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」;デンカ社製「UFP−30」、「SFP−130MC」、「FB−7SDC」、「FB−5SDC」、「FB−3SDC」;トクヤマ社製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」;アドマテックス社製「SC2500SQ」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」、「FE9」等が挙げられる。
(D)無機充填材は、適切な表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理されることにより、(D)無機充填材の耐湿性及び分散性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM22」(ジメチルジメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM5783」(N−フェニル−3−アミノオクチルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。なかでも、窒素原子含有シランカップリング剤が好ましく、フェニル基を含有するアミノシラン系カップリング剤がより好ましく、N−フェニル−3−アミノアルキルトリメトキシシランが更に好ましい。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤による表面処理の程度は、(D)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価できる。(D)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、(D)無機充填材の分散性向上の観点から、好ましくは0.02mg/m2以上、より好ましくは0.1mg/m2以上、特に好ましくは0.2mg/m2以上である。一方、樹脂組成物の溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、前記のカーボン量は、好ましくは1mg/m2以下、より好ましくは0.8mg/m2以下、特に好ましくは0.5mg/m2以下である。
(D)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の(D)無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略称することがある。))により洗浄処理した後に、測定できる。具体的には、十分な量のメチルエチルケトンと、表面処理剤で表面処理された(D)無機充填材とを混合して、25℃で5分間、超音波洗浄する。その後、上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて、(D)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定できる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」を使用できる。
(D)無機充填材の比表面積は、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは1.5m2/g以上、特に好ましくは2m2/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは20m2/g以下、10m2/g以下又は5m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法によって測定できる。
樹脂組成物中の(D)無機充填材の量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは81質量%以上、さらに好ましくは82質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは91質量%以下である。(D)無機充填材の量が前記範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができ、特に、封止用樹脂組成物の線熱膨張係数を効果的に低くすることができる。
<(E)エポキシ樹脂>
封止用樹脂組成物は、(E)成分として、エポキシ樹脂を含有していてもよい。但し、(E)エポキシ樹脂は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び(B)グリシジルエステル型エポキシ樹脂に該当するものは除く。
(E)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物は、(E)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(E)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
(E)エポキシ樹脂としては、液状エポキシ樹脂を用いてもよく、固体状エポキシ樹脂を用いてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いてもよい。中でも、封止用樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、(E)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA−850CRP」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YED−216D」(脂肪族エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1〜1:15、より好ましくは1:0.3〜1:10、特に好ましくは1:0.6〜1:8である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲にあることにより、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、適度な粘着性がもたらされる。また、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、通常は、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる。
(E)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。
(E)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、(A)グリシジルアミン型エポキシ樹脂のエポキシ当量の範囲として説明したのと同じ範囲に収まることが好ましい。
(E)エポキシ樹脂を含む場合、(E)エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物中の不揮発成分100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。(E)エポキシ樹脂の量を前記範囲に収めることにより、封止用樹脂組成物の硬化物の機械強度及び絶縁信頼性を高めることができる。
<(F)硬化促進剤>
封止用樹脂組成物は、(F)成分として、(F)硬化促進剤を含有していてもよい。(F)硬化促進剤を用いることにより、封止用樹脂組成物を硬化させる際に硬化を促進できる。
(F)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及び金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及び金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン、4−ピロリジノピリジン等が挙げられる。中でも、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200−H50」;四国化成社製「2E4MZ」;等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。中でも、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
封止用樹脂組成物が(F)硬化促進剤を含む場合、(F)硬化促進剤の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、封止用樹脂組成物中の不揮発成分100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.03質量%、さらに好ましくは0.05質量%であり、好ましくは3質量%、より好ましくは1.5質量%、さらに好ましくは1質量%である。
<(G)任意の添加剤>
封止用樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;熱可塑性樹脂;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;着色剤;難燃剤;等の樹脂添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
上述した封止用樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤を含んでいてもよいが、溶剤を実質的に含まない無溶剤の封止用樹脂組成物であることが好ましい。このように溶剤を含まなくても、前記の封止用樹脂組成物は、圧縮成型法を用いて成型する場合には流動化することができ、優れた圧縮成型性を実現できる。よって、この封止用樹脂組成物は、無溶剤用樹脂組成物として用いることが可能である。「溶剤を実質的に含まない」とは、例えば、溶剤の含量が、無溶剤樹脂組成物全体に対して1質量%以下であることをいう。
[封止用樹脂組成物の製造方法]
封止用樹脂組成物は、例えば、配合成分を、回転ミキサーなどの撹拌装置を用いて撹拌する方法によって製造できる。
[封止用樹脂組成物の特性]
上述した封止用樹脂組成物は、25℃での弾性率が低い硬化物を得ることができる。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、弾性率が低い封止層及び絶縁層を得ることができる。例えば、上述した封止用樹脂組成物を用いて、実施例に記載の方法によって、試験片を製造し、その試験片の25℃での弾性率の測定を行う。この場合、得られる25℃での弾性率は、通常20GPa以下、好ましくは16GPa以下、より好ましくは13GPa以下である。加減に特段の制限はなく、通常0.1GPa以上等とし得る。
また、上述した封止用樹脂組成物によれば、線熱膨張係数(CTE)が低い硬化物を得ることができる。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、線熱膨張係数が低い封止層及び絶縁層を得ることができる。例えば、上述した封止用樹脂組成物を用いて、実施例に記載の方法によって、試験片を製造し、その試験片の線熱膨張係数の測定を行う。この場合、得られる線熱膨張係数は、通常15ppm/℃以下、好ましくは13ppm/℃以下、より好ましくは12ppm/℃以下である。下限に特段の制限は無く、通常0ppm/℃、好ましくは1ppm/℃以上である。
また、上述した封止用樹脂組成物によれば、反りの抑制が可能な硬化物の層を得ることができる。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、回路基板及び半導体チップパッケージの反りの抑制が可能な封止層及び絶縁層を得ることができる。例えば、上述した封止用樹脂組成物を用いて、実施例に記載の方法によって、12インチシリコンウエハ上に、封止用樹脂組成物の硬化物層を形成して、試料基板を作製する。この場合、25℃での実施例に記載の方法で測定される反り量を、通常3mm未満、好ましくは2mm未満にできる。
また、上述した封止用樹脂組成物は、加熱及び冷却を繰り返しても高い密着性に優れる、即ちサーマルサイクルテスト耐性に優れる硬化物を得ることができる。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、サーマルサイクルテスト耐性に優れる封止層及び絶縁層を得ることができる。例えば、上述した封止用樹脂組成物を用いて、シリコンチップがマウントされた12インチシリコンウエハ上に、封止用樹脂組成物の硬化物層を形成して、樹脂ウエハを作製する。この場合、−55℃で30分間の処理、及び120℃で30分間の処理を連続的に行う処理を1サイクルとしてこれを1000サイクル行うサーマルサイクルテストを実施例に記載の方法で測定すると、通常、シリコンチップと硬化物層との界面でのデラミネーションの発生が生じない。
また、上述した封止用樹脂組成物は、通常粘度が低いという特性を示す。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、コンプレッションモールド装置を用いて圧縮成型を行う際の取り扱い性に優れるようになる。例えば、RE80型粘度計(測定対象の封止用樹脂組成物0.2〜0.3ml、測定室温度25.0℃)を用いて、ローターの回転数1rpmに設定し、120秒後の粘度を計測する。この場合、封止用樹脂組成物の粘度を通常600Pa・s以下、好ましくは550Pa・s以下にできる。上限に特段の制限は無く、通常0.1Pa・s以上等とし得る。
また、上述した封止用樹脂組成物は、通常60℃から200℃までの最低溶融粘度が低いという特性を示す。したがって、この封止用樹脂組成物を用いることにより、回路基板等を製造する際の埋め込み性に優れるようになる。例えば、動的粘弾性測定装置(測定対象の封止用樹脂組成物1.2〜1.3gを、直径18mmのパラレルプレートを使用)を用いて、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定する。この場合、封止用樹脂組成物の最低溶融粘度を通常400poise以下、好ましくは300poise以下、より好ましくは200poise以下にできる。上限に特段の制限は無く、通常50poise以上、好ましくは80poise以上、より好ましくは100poise以上等とし得る。
上述した封止用樹脂組成物は、圧縮成型性に優れる。よって、回路基板又は半導体チップ上に圧縮成型法により樹脂組成物層を形成する際に、封止用樹脂組成物を隅々まで充填することが可能である。したがって、前記の樹脂組成物層を硬化させることにより、封止信頼性に優れた封止層、及び絶縁信頼性に優れた絶縁層を得ることができる。
封止用樹脂組成物は、液状であってもよく、固体状であってもよいが、その成型時には液状であることが好ましい。例えば、常温(例えば、20℃)において液状の封止用樹脂組成物は、特段の温度調整を行うことなく常温で圧縮成型法による成型を行ってもよく、適切な温度に加熱して圧縮成型法による成型を行ってもよい。また、常温において液状の封止用樹脂組成物を、カートリッジ内に封止用樹脂組成物を充填し、カートリッジから該封止用樹脂組成物を吐出させ、その後圧縮成型法による成型を行ってもよい。
また、常温において固体状の封止用樹脂組成物は、通常、その温度をより高い温度(例えば、130℃)に調整することによって液状になれるので、加熱等の適切な温度調整によって圧縮成型法による成形が可能である。前記の封止用樹脂組成物は、通常、溶剤を含まなくても適切な温度において液状になることができ、例えば、液状封止材として用いることが可能である。ここで、液状とは、後述する[粘度の測定]に記載の測定方法にて測定した粘度が1500Pa・s未満であるものをいう。
封止用樹脂組成物は、上述した特性を有するため、有機EL装置や半導体などの電子機器を封止するための樹脂組成物として好適に使用することができ、特に、半導体を封止するための樹脂組成物(半導体封止用の樹脂組成物)、好ましくは半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)として好適に使用することができる。また、封止用樹脂組成物は、封止用途以外に絶縁層用の樹脂組成物として用いることができる。例えば、前記の封止用樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用の樹脂組成物)、及び、回路基板(プリント配線板を含む。)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用の樹脂組成物)として、好適に使用することができる。
半導体チップパッケージとしては、例えば、FC−CSP、MIS−BGAパッケージ、ETS−BGAパッケージ、Fan−out型WLP(Wafer Level Package)、Fan−in型WLP、Fan−out型PLP(Panel Level Package)、Fan−in型PLPが挙げられる。
また、前記の封止用樹脂組成物は、アンダーフィル材として用いてもよく、例えば、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)の材料として用いてもよい。
さらに、前記の封止用樹脂組成物は、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、ダイボンディング材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、封止用樹脂組成物が用いられる広範な用途に使用できる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層と、を有する。樹脂組成物層は、本発明の封止用樹脂組成物を含む層であり、通常は、封止用樹脂組成物で形成されている。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは550μm以下、更に好ましくは500μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、又は、200μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されず、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、等でありうる。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。);ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。);ポリエーテルケトン;ポリイミド;等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。中でも、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の処理が施されていてもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤である、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」等が挙げられる。また、離型層付き支持体としては、例えば、東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」;等が挙げられる。
支持体の厚さは、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、封止用樹脂組成物を、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布して、製造することができる。また、必要に応じて、封止用樹脂組成物を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを塗布して樹脂シートを製造してもよい。溶剤を用いることにより、粘度を調整して、塗布性を向上させることができる。樹脂ワニスを用いた場合、通常は、塗布後に樹脂ワニスを乾燥させて、樹脂組成物層を形成する。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等を挙げることができる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、必要に応じて、支持体及び樹脂組成物層以外の任意の層を含んでいてもよい。例えば、樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムが設けられていてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって樹脂シートは使用可能となる。また、樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。
[回路基板]
本発明で用いられる回路基板は、例えば、下記の工程(1)及び工程(2)を含む製造方法によって、製造できる。上述した封止用樹脂組成物の硬化物は、後述するように回路基板上の半導体チップなどの封止層として用いられる以外に、回路基板に含まれる絶縁層を封止用樹脂組成物の硬化物により形成してもよい。但し、絶縁層は、上述した封止用樹脂組成物の硬化物以外の材料によって形成されていてもよい。
(1)基材上に、樹脂組成物層を形成する工程。
(2)樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層を形成する工程。
工程(1)では、基材を用意する。基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられる。また、基材は、当該基材の一部として表面に銅箔等の金属層を有していてもよい。例えば、両方の表面に剥離可能な第一金属層及び第二金属層を有する基材を用いてもよい。このような基材を用いる場合、通常、回路配線として機能できる配線層としての導体層が、第二金属層の第一金属層とは反対側の面に形成される。このような金属層を有する基材としては、例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔「Micro Thin」が挙げられる。
また、基材の一方又は両方の表面には、導体層が形成されていてもよい。以下の説明では、基材と、この基材表面に形成された導体層とを含む部材を、適宜「配線層付基材」ということがある。導体層に含まれる導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む材料が挙げられる。導体材料としては、単金属を用いてもよく、合金を用いてもよい。合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性の観点から、単金属としてのクロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅;及び、合金としてのニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金;が好ましい。その中でも、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属;及び、ニッケル・クロム合金;がより好ましく、銅の単金属が特に好ましい。
導体層は、例えば配線層として機能させるために、パターン加工されていてもよい。この際、導体層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は、特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、導体層の全体にわたって同一である必要はない。導体層の最小ピッチは、例えば、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
導体層の厚さは、回路基板のデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは10μm〜20μm、特に好ましくは15μm〜20μmである。
導体層は、例えば、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層する工程、フォトマスクを用いてドライフィルムに対して所定の条件で露光及び現像を行ってパターンを形成してパターンドライフィルムを得る工程、現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法等のメッキ法によって導体層を形成する工程、及び、パターンドライフィルムを剥離する工程を含む方法によって、形成できる。ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムを用いることができ、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等の樹脂で形成されたドライフィルムを用いることができる。基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する基材と樹脂シートとの積層の条件と同様でありうる。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。
基材を用意した後で、基材上に、樹脂組成物層を形成する。基材の表面に導体層が形成されている場合、樹脂組成物層の形成は、導体層が樹脂組成物層に埋め込まれるように行うことが好ましい。
樹脂組成物層の形成は、例えば、樹脂シートと基材とを積層することによって行われる。この積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを基材に加熱圧着することにより、基材に樹脂組成物層を貼り合わせることで、行うことができる。樹脂シートを基材に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ということがある。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、基材の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
基材と樹脂シートとの積層は、例えば、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲である。加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲である。加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。なお、積層と平滑化処理は、真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
樹脂組成物層は、本発明の樹脂シート又は封止用樹脂組成物から形成してもよい。封止用樹脂組成物から樹脂組成物層を形成する場合、樹脂組成物層の形成は、例えば、圧縮成型法によって行うことができる。また、カートリッジ内に封止用樹脂組成物を充填し、カートリッジから該封止用樹脂組成物を吐出させることによって樹脂組成物層を形成してもよい。成型条件は、後述する半導体チップパッケージの封止層を形成する工程における樹脂組成物層の形成方法と同様な条件を採用してもよい。
基材上に樹脂組成物層を形成した後、樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なるが、硬化温度は通常120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜220℃の範囲、より好ましくは170℃〜200℃の範囲)、硬化時間は5分間〜120分間の範囲(好ましくは10分間〜100分間、より好ましくは15分間〜90分間)である。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を、通常5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)、予備加熱してもよい。
以上のようにして、絶縁層を有する回路基板を製造できる。また、回路基板の製造方法は、更に、任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、樹脂シートを用いて回路基板を製造した場合、回路基板の製造方法は、樹脂シートの支持体を剥離する工程を含んでいてもよい。支持体は、樹脂組成物層の熱硬化の前に剥離してもよく、樹脂組成物層の熱硬化の後に剥離してもよい。
回路基板の製造方法は、例えば、絶縁層を形成した後で、その絶縁層の表面を研磨する工程を含んでいてもよい。研磨方法は特に限定されない。例えば、平面研削盤を用いて絶縁層の表面を研磨することができる。
回路基板の製造方法は、例えば、導体層を層間接続する工程(3)、いわゆる絶縁層に穴あけをする工程を含んでいてもよい。これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。ビアホールの形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。ビアホールの寸法や形状は回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。なお、工程(3)は、絶縁層の研磨又は研削によって層間接続を行ってもよい。
ビアホールの形成後、ビアホール内のスミアを除去する工程を行うことが好ましい。この工程は、デスミア工程と呼ばれることがある。例えば、絶縁層上への導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、湿式のデスミア処理を行ってもよい。また、絶縁層上への導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、プラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。さらに、デスミア工程によって、絶縁層に粗化処理が施されてもよい。
また、絶縁層上に導体層を形成する前に、絶縁層に対して、粗化処理を行ってもよい。この粗化処理によれば、通常、ビアホール内を含めた絶縁層の表面が粗化される。粗化処理としては、乾式及び湿式のいずれの粗化処理を行ってもよい。乾式の粗化処理の例としては、プラズマ処理等が挙げられる。また、湿式の粗化処理の例としては、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、及び、中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
ビアホールを形成後、絶縁層上に導体層を形成する。ビアホールが形成された位置に導体層を形成することで、新たに形成された導体層と基材表面の導体層とが導通して、層間接続が行われる。導体層の形成方法は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられ、中でもめっき法が好ましい。好適な実施形態では、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の適切な方法によって絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成する。また、樹脂シートにおける支持体が金属箔である場合、サブトラクティブ法により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。形成される導体層の材料は、単金属でもよく、合金でもよい。また、この導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の材料の層を2層以上含む複層構造を有していてもよい。
ここで、絶縁層上に導体層を形成する実施形態の例を、詳細に説明する。絶縁層の表面に、無電解めっきにより、めっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応して、めっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等の処理により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成できる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
回路基板の製造方法は、基材を除去する工程(4)を含んでいてもよい。基材を除去することにより、絶縁層と、この絶縁層に埋め込まれた導体層とを有する回路基板が得られる。この工程(4)は、例えば、剥離可能な金属層を有する基材を用いた場合に、行うことができる。
[半導体チップパッケージ]
本発明の第一実施形態に係る半導体チップパッケージは、上述した回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップと、半導体チップを封止する、本発明の封止用樹脂組成物の硬化物とを含む。この半導体チップパッケージは、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造することができる。
半導体チップの封止は、後述する第二実施形態における工程(C)と同様の方法により行うことができる。
回路基板と半導体チップとの接合条件は、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できる任意の条件を採用できる。例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃〜240℃の範囲(好ましくは130℃〜200℃の範囲、より好ましくは140℃〜180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間〜60秒間の範囲(好ましくは5秒間〜30秒間)である。
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃〜300℃の範囲としてもよい。
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。このモールドアンダーフィル材として、上述した封止用樹脂組成物を用いてもよく、また、上述した樹脂シートを用いてもよい。
本発明の第二実施形態に係る半導体チップパッケージは、半導体チップと、この半導体チップを封止する前記封止用樹脂組成物の硬化物とを含む。第二実施形態に係る半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan−out型WLPが挙げられる。
このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、
(F)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(G)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程
を含んでいてもよい。
(工程(A))
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムとの積層条件は、回路基板の製造方法における基材と樹脂シートとの積層条件と同様でありうる。
基材としては、例えば、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR−4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
(工程(B))
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
(工程(C))
工程(C)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、上述した封止用樹脂組成物の硬化物によって形成する。封止層は、通常、半導体チップ上に封止用樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を熱硬化させて封止層を形成する工程とを含む方法で形成する。
封止用樹脂組成物の優れた圧縮成型性を活用して、樹脂組成物層の形成は、圧縮成型法によって行うことが好ましい。圧縮成型法では、通常、半導体チップ及び樹脂組成物を型に配置し、その型内で封止用樹脂組成物に圧力及び必要に応じて熱を加えて、半導体チップを覆う樹脂組成物層を形成する。
圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにし得る。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。また、前記のように仮固定フィルム上に仮固定された半導体チップに、封止用樹脂組成物を塗布する。封止用樹脂組成物を塗布された半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に、下型に取り付ける。その後、上型と下型とを型締めして、封止用樹脂組成物に熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
また、圧縮成型法の具体的な操作は、例えば、下記のようにしてもよい。圧縮成型用の型として、上型及び下型を用意する。下型に、封止用樹脂組成物を載せる。また、上型に、半導体チップを、基材及び仮固定フィルムと一緒に取り付ける。その後、下型に載った封止用樹脂組成物が上型に取り付けられた半導体チップに接するように上型と下型とを型締めし、熱及び圧力を加えて、圧縮成型を行う。
成型条件は、封止用樹脂組成物の組成により異なり、良好な封止が達成されるように適切な条件を採用できる。例えば、成型時の型の温度は、封止用樹脂組成物が優れた圧縮成型性を発揮できる温度が好ましく、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは150℃以下である。また、成形時に加える圧力は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上、特に好ましくは5MPa以上であり、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは20MPa以下である。キュアタイムは、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、特に好ましくは5分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、特に好ましくは20分以下である。通常、樹脂組成物層の形成後、型は取り外される。型の取り外しは、樹脂組成物層の熱硬化前に行ってもよく、熱硬化後に行ってもよい。
圧縮成型法は、カートリッジ内に充填した封止用樹脂組成物を下型に吐出させることによって行ってもよい。樹脂組成物層の形成後の成型条件は、圧縮成型における条件と同様である。
樹脂組成物層の形成は、樹脂シートと半導体チップとを積層することによって行ってもよい。例えば、樹脂シートの樹脂組成物層と半導体チップとを加熱圧着することにより、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成することができる。樹脂シートと半導体チップとの積層は、通常、基材の代わりに半導体チップを用いて、回路基板の製造方法における樹脂シートと基材との積層と同様にして行うことができる。
半導体チップ上に樹脂組成物層を形成した後で、この樹脂組成物層を熱硬化させて、半導体チップを覆う封止層を得る。これにより、封止用樹脂組成物の硬化物による半導体チップの封止が行われる。樹脂組成物層の熱硬化条件は、回路基板の製造方法における樹脂組成物層の熱硬化条件と同じ条件を採用してもよい。さらに、樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。この予備加熱処理の処理条件は、回路基板の製造方法における予備加熱処理と同じ条件を採用してもよい。
(工程(D))
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃〜250℃で1秒間〜90秒間又は5分間〜15分間である。また、紫外線を照射して仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
(工程(E))
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。
再配線形成層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、この熱硬化性樹脂として、本発明の封止用樹脂組成物を用いてもよい。
再配線形成層を形成した後、半導体チップと再配線層とを層間接続するために、再配線形成層にビアホールを形成してもよい。
再配線形成層の材料が感光性樹脂である場合のビアホールの形成方法では、通常、再配線形成層の表面に、マスクパターンを通して活性エネルギー線を照射して、照射部の再配線形成層を光硬化させる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量及び照射時間は、感光性樹脂に応じて適切に設定できる。露光方法としては、例えば、マスクパターンを再配線形成層に密着させて露光する接触露光法、マスクパターンを再配線形成層に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法、などが挙げられる。
再配線形成層を光硬化させた後で、再配線形成層を現像し、未露光部を除去して、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれを行ってもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
再配線形成層の材料が熱硬化性樹脂である場合のビアホールの形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。中でも、レーザー照射が好ましい。レーザー照射は、炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザー等の光源を用いる適切なレーザー加工機を用いて行うことができる。
ビアホールの形状は、特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、好ましくは3μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。ここで、ビアホールのトップ径とは、再配線形成層の表面でのビアホールの開口の直径をいう。
(工程(F))
工程(F)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、回路基板の製造方法における絶縁層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
(工程(G))
工程(G)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂として、本発明の封止用樹脂組成物を用いてもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(E)と同様に行うことができる。
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)〜(G)以外に、工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
本発明の第三実施形態に係る半導体チップパッケージは、例えば第二実施形態の半導体チップパッケージにおいて、再配線形成層又はソルダーレジスト層を、本発明の樹脂組成物の硬化物で形成した半導体チップパッケージである。
[半導体装置]
上述した半導体チップパッケージが実装される半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
<使用した無機充填材>
シリカA:平均粒径6.0μm、最大カット径20μm、比表面積4.8m2/g、KBM573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)で処理された球状シリカ。
シリカB:平均粒径4.8μm、最大カット径20μm、比表面積3.9m2/g、KBM403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)で処理された球状シリカ。
アルミナA:平均粒径4.8um、最大カット径24um、比表面積2.7m2/g、KBM573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)で処理された球状アルミナ。
[封止用樹脂組成物の作製]
<実施例1>
グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP3980S」、エポキシ当量115g/eq.)3部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「630」、エポキシ当量95g/eq.)6部、ダイマー酸グリシジルエステル(三菱ケミカル社製「JER871」、エポキシ当量412g/eq.)2部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−850CRP」、エポキシ当量170〜175g/eq.)4部、アミン系硬化剤(日本化薬社製「KAYABOND C−200S」)0.5部、アルミナA 95部、硬化促進剤(四国化成社製「2E4MZ」)0.4部をミキサーを用いて均一に分散して、封止用樹脂組成物を得た。
なお、「EP3980S」、「630」、及び「KAYABOND C−200S」は、下記構造式で表される。
<実施例2>
実施例1において、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP3980S」、エポキシ当量115g/eq.)3部を、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製、「CEL2021P」、エポキシ当量136g/eq.)3部に変え、アルミナA 95部をシリカA 83部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして封止用樹脂組成物を得た。
<実施例3>
実施例1において、アルミナA 95部をシリカA 83部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして封止用樹脂組成物を得た。
<実施例4>
実施例1において、アルミナA 95部をシリカB 83部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして封止用樹脂組成物を得た。
<比較例1>
グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ADEKA社製「EP3980S」、エポキシ当量115g/eq.)6部、ダイマー酸グリシジルエステル(三菱ケミカル社製「JER871」、エポキシ当量412g/eq.)0.5部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「630」、エポキシ当量95g/eq.)10部、アミン系硬化剤(日本化薬社製「KAYABOND C−200S」)0.5部、シリカB 85部、硬化促進剤(四国化成社製「2E4MZ」)0.4部をミキサーを用いて均一に分散して、封止用樹脂組成物を得た。
<比較例2>
グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「630」、エポキシ当量95g/eq.)2部、ダイマー酸グリシジルエステル(三菱ケミカル社製「JER871」、エポキシ当量412g/eq.)0.5部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−850CRP」、エポキシ当量170〜175g/eq.)13部、アミン系硬化剤(日本化薬社製「KAYABOND C−200S」)0.5部、シリカB 85部、硬化促進剤(四国化成社製「2E4MZ」)0.4部をミキサーを用いて均一に分散して、封止用樹脂組成物を得た。
<比較例3>
実施例2において、ダイマー酸グリシジルエステル(三菱ケミカル社製「JER871」、エポキシ当量412g/eq.)2部を添加しなかった。以上の事項以外は実施例2と同様にして封止用樹脂組成物を得た。
[弾性率の測定]
表面に離型処理を施されたSUS板上に、実施例及び比較例で製造した封止用樹脂組成物を、コンプレッションモールド装置(金型温度:130℃、圧力:6MPa、キュアタイム:10分)を用いて圧縮成型して、厚さ300μmの樹脂組成物層を形成した。SUS板を剥がし、樹脂組成物層を180℃90分の加熱により熱硬化させて、封止用樹脂組成物の硬化物層を得た。この硬化物層をダンベル状1号形に切り出し、試験片を得た。該試験片を、オリエンテック社製引張試験機「RTC−1250A」を用いて引張強度測定を行い、25℃における弾性率を求めた。測定は、JIS K7127に準拠して実施した。この操作を3回行いその平均値を表に示した(単位:GPa)。
[線熱膨張係数(CTE)の測定]
表面に離型処理を施されたSUS板上に、実施例及び比較例で製造した封止用樹脂組成物を、コンプレッションモールド装置(金型温度:130℃、圧力:6MPa、キュアタイム:10分)を用いて圧縮成型して、厚さ300μmの樹脂組成物層を形成した。SUS板を剥がし、樹脂組成物層を180℃90分の加熱により熱硬化させて、封止用樹脂組成物の硬化物層を得た。この硬化物層を、幅5mm、長さ15mmに切断して、試験片を得た。この試験片について、熱機械分析装置(リガク社製「Thermo Plus TMA8310」)を用いて、引張加重法にて熱機械分析を行った。詳細には、試験片を前記熱機械分析装置に装着した後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて、連続して2回測定を行った。そして、2回目の測定において、25℃から150℃までの範囲における平面方向の線熱膨張係数(ppm/℃)を算出した。
[反りの評価]
12インチシリコンウエハ上に、実施例及び比較例で製造した封止用樹脂組成物を、コンプレッションモールド装置(金型温度:130℃、圧力:6MPa、キュアタイム:10分)を用いて圧縮成型して、厚さ300μmの樹脂組成物層を形成した。その後、180℃で90分加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させた。これにより、シリコンウエハと樹封止用脂組成物の硬化物層とを含む試料基板を得た。シャドウモアレ測定装置(Akorometrix社製「ThermoireAXP」)を用いて、前記の試料基板を25℃での反り量を測定した。測定は、電子情報技術産業協会規格のJEITA EDX−7311−24に準拠して行った。具体的には、測定領域の基板面の全データの最小二乗法によって算出した仮想平面を基準面として、その基準面から垂直方向の最小値と最大値との差を反り量として求めた。反り量が2mm未満を「○」、2mm以上、3mm未満を「△」、3mm以上を「×」と判定した。
[サーマルサイクルテスト耐性の評価]
12インチウエハ上にThermal release tapeリバアルファを貼り合わせ、その上に1cm×1cm×0.3mmのシリコンチップをマウントした。実施例、比較例で作製した封止用樹脂組成物をチップ上の厚みが100μmとなるようにコンプレッションモールド装置(金型温度:130℃、圧力:6MPa、キュアタイム:10分)を用いて圧縮成型した。続いて、150℃60分間加熱して封止用樹脂組成物を熱硬化させた。リバアルファを剥がしてシリコンチップが埋め込まれた樹脂ウエハを得た。得られた樹脂ウエハをエスペック社製の小型冷熱衝撃装置「TSE−11」を用いて、−55℃で30分間の処理、及び120℃で30分間の処理を連続的に行う処理を1サイクルとしてこれを1000サイクル行うサーマルサイクルテストを行った。FIBにてシリコンチップと硬化した封止用樹脂組成物との界面を観察し、デラミネーションが生じていないものを「〇」、デラミネーションが生じているものを「×」とした。
[粘度の測定]
RE80型粘度計(東機産業社製)にて測定対象の封止用樹脂組成物を、シリンジにて0.2〜0.3mlを量り取った。測定の際には、粘度計の測定室を外部循環型恒温槽にて25.0℃に温度管理した。ローターの回転数を1rpmに設定し、120秒後の粘度を計測した(単位:Pa・s)。
[最低溶融粘度の測定]
実施例、比較例で作製した封止用樹脂組成物1.2〜1.3gを、直径18mmのパラレルプレートを使用して動的粘弾性測定装置(ユー・ビー・エム社製「Rheosol−G3000」)を用い、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(poise)を算出した。
*表中、(D)成分の含有量は、封止用樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(D)成分の含有量を表す。
実施例1〜4において、(E)成分及び(F)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。