JP2019147798A - ダサチニブ無水物の結晶形態が安定に維持された固形製剤の製造方法 - Google Patents

ダサチニブ無水物の結晶形態が安定に維持された固形製剤の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019147798A
JP2019147798A JP2019033245A JP2019033245A JP2019147798A JP 2019147798 A JP2019147798 A JP 2019147798A JP 2019033245 A JP2019033245 A JP 2019033245A JP 2019033245 A JP2019033245 A JP 2019033245A JP 2019147798 A JP2019147798 A JP 2019147798A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dasatinib
producing
crystalline form
tablet
anhydride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019033245A
Other languages
English (en)
Inventor
利文 藤井
Toshifumi Fujii
利文 藤井
達矢 三明
Tatsuya Miake
達矢 三明
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ohara Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Ohara Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ohara Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Ohara Pharmaceutical Co Ltd
Publication of JP2019147798A publication Critical patent/JP2019147798A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】ダサチニブの結晶形態を安定に維持して其の固形製剤を製造するための有用な技術的手段を提供すること。【解決手段】無水物である結晶形態のダサチニブを用いて湿式造粒する工程を介して錠剤を製造する方法又は当該ダサチニブを用いて直打法によって錠剤を製造する方法を提供する。前記湿式造粒の方法として流動層造粒法が特に好ましく、また湿式造粒は結晶形態のダサチニブ無水物を含む粉末に対して結合剤を含有する水溶液を滴下して行われることも特に好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は原薬としてダサチニブを含有する固形製剤に関するものであり、其の結晶形態を安定に維持することが期待されるものである。
ダサチニブは、慢性骨髄性白血病や再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療に用いられる化合物である。ダサチニブを含有する薬剤は、世界各国で広く発売されている。(非特許文献1等参考)。
ダサチニブは現在、錠剤の形状で医療現場に提供されている。ダサチニブを含有する固形製剤の処方や製造方法については、下記の特許文献1等の文献で紹介されてはいるが、参考となる公知の知見が乏しいのが現状である。
医薬品の製造工程において原薬の結晶形態を安定に維持して製造することは薬物の有効性を担保すること等の観点からみて重要である。そこで本発明者はダサチニブ無水物の結晶形態を安定に維持して錠剤を製造する方法を新たに開発することを目指した。
特許第5173797号
「スプリセル(登録商標)錠20mg、スプリセル(登録商標)錠50mg」医薬品インタビューフォーム 2018年1月改訂(第12版)
本発明は、ダサチニブ無水物の結晶形態を安定に維持して其の固形製剤を製造するための有用な技術的手段を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために固形製剤の処方や製造方法を鋭意検討した結果、無水物であるダサチニブの結晶形態(N−6型)を用いて湿式造粒を行う工程を介して得られた固形製剤(顆粒又は錠剤)において其の結晶形態が安定に維持されていること等を見出した。本発明者は上記の知見に基づいて更に鋭意検討を重ねて、下記の発明を完成させるに至った。
本発明の好適な形態は以下(1)〜(9)において記述されるものである。
(1)結晶形態のダサチニブを含有する固形製剤の製造方法であって、
無水物である結晶形態のダサチニブを用いて造粒(乾式造粒又は湿式造粒)する工程を含む固形製剤(顆粒又は錠剤)の製造方法。
(2)造粒が湿式造粒である、前記(1)に記載の固形製剤の製造方法。
(3)結晶形態のダサチニブ無水物を含む粉末に対して、結合剤を水を含む溶媒に溶解した造粒液を加えて(滴下又は噴霧して)湿式造粒する工程を介することを特徴とする、前記(2)に記載の固形製剤の製造方法。
(4)湿式造粒が流動層造粒であることを特徴とする、前記(2)又は(3)に記載の固形製剤の製造方法。
(5)湿式造粒の際に用いる結合剤又はコーティング剤がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(6)湿式造粒の際に用いる結合剤又はコーティング剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーEである、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(7)湿式造粒によって得られた顆粒を他の添加剤(滑沢剤等)と混合した後に打錠して素錠を製造する工程を含む、前記(2)〜(6)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
(8)結晶形態のダサチニブを含有する固形製剤の製造方法であって、
無水物である結晶形態のダサチニブを用いて直打法を行うことを特徴とする固形製剤(錠剤)の製造方法。
(9)乳糖水和物及び結晶セルロースである賦形剤、クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤及びステアリン酸マグネシウムである滑沢剤を用いる、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
本発明は、ダサチニブ無水物の結晶形態を安定に維持して其の固形製剤を製造することを可能とするものである。
図1は、ダサチニブ無水物の結晶形態(N−6型)を粉末X線回折測定法によって解析した結果を表したものである。 図2は、ダサチニブ一水和物の結晶形態を粉末X線回折測定法によって解析した結果を表したものである。 図3は、実施例3〜5及び比較例1、2の各顆粒並びにダサチニブ無水物の結晶形態(N−6型)及びダサチニブ一水和物の結晶形態を粉末X線回折測定法によって解析した結果を表したものである。
以下で本発明の、結晶形態のダサチニブ無水物を含有する固形製剤の処方及び製造方法、を詳細に説明する。但し以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明をこの記載範囲にのみ特別限定する趣旨ではない。
<固形製剤の形態>
本発明に係る固形製剤の剤形として、顆粒並びに素錠(フィルムコーティング層や糖衣層等で覆われていない、打錠等により成形したままの錠剤を指す。以下同じ。)及びフィルムコーティング錠等の錠剤が挙げられるが、好ましくは顆粒又は素錠である。本発明に係る素錠はフィルムコーティング層を周囲に施してフィルムコーティング錠とすることが可能である。また本発明に係る顆粒は、素錠中に含有させることが可能である。本発明に係る錠剤の形状として、円形錠{円形平錠(隅角錠等含む)、円形R錠(隅角錠、2段R錠等含む)等}や異形錠等が挙げられる。
<原薬の物性>
本発明の固形製剤の製造に使用される結晶形態のダサチニブは無水物である。ダサチニブ無水物のメディアン径(d50)は好ましくは10.0〜60.0μmである。ダサチニブ無水物は、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。尚、上記粒子径はレーザー回析・散乱法によって測定(体積基準)することが可能である。ダサチニブは、素錠部分(望ましくは素錠に含有される顆粒内部)に含有され、素錠の全重量に対して好ましくは10.0〜50.0重量%、より好ましくは15.0〜30.0重量%の範囲で素錠中に含有される。ダサチニブは1錠中に20mg又は50mg含有されることが望ましい。
<湿式造粒>
本発明の固形製剤の製造方法は、結晶形態のダサチニブ無水物を用いて造粒する工程を含むことが望ましく、特に湿式造粒する工程を含むことが望ましい。湿式造粒の方法として流動層造粒法や攪拌造粒法が挙げられ、特に好ましくは流動層造粒法である。攪拌造粒では、結晶形態のダサチニブ無水物を含む粉末(攪拌中)に対して結合剤を含有する造粒液(水溶液等)を滴下することが行われる。流動層造粒では、結晶形態のダサチニブ無水物を含む粉末(流動化中)に対して結合剤を含有する造粒液(水溶液等)を噴霧することが行われる。湿式造粒を行なう際の造粒液は、結合剤を水を含む溶媒(水からなる溶媒が最も好ましい。)に溶解した造粒液(水溶液含む。)であることが特に望ましい。尚、当該造粒液はアルコール(特にエタノール)溶媒を含まないことが望ましい。
<素錠の製造に使用可能な医薬添加剤>
本発明の固形製剤に係る素錠の製造に用いられる、医薬的に許容可能な医薬添加剤としては、通常使用されている賦形剤、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、可塑剤、滑沢剤、矯味剤、界面活性剤、着色剤等が使用できる。尚、本明細書において、各種添加剤(賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)の語句の解釈は其々、製剤化において其の添加剤としての役割を発揮することが必須に期待されて使用されるもので結果的にも其の添加剤としての役割が発揮されたもの、と解することが好ましい。また当然であるが、本明細書における添加剤の語句の解釈において原薬が含まれることはない。
<賦形剤>
本発明に係る賦形剤として、例えば、乳糖(乳糖水和物、無水乳糖等)、マルトース、白糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコール(D-マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール等)、デンプン(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等)、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン等が挙げられるが、好ましくは乳糖水和物又は結晶セルロースであり、より好ましくは乳糖水和物及び結晶セルロースである。賦形剤は素錠の全重量に対して好ましくは40.0〜90.0重量%、より好ましくは50.0〜75.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<崩壊剤>
本発明に係る崩壊剤は、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースカリウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファー化デンプン、クロスポビドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等から選ばれ、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。崩壊剤は素錠の全重量に対して好ましくは1.0〜20.0重量%、より好ましくは2.0〜10.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<結合剤>
本発明に係る結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRSを含む。)等から選ばれ、好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマー又はヒドロキシプロピルセルロースであり、最も好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマーEである。尚、上記の結合剤は核粒子を被覆する目的でコーティング剤として使用することが可能である。結合剤及びコーティング剤は素錠の全重量に対して0.1〜20.0重量%、好ましくは2.0〜15.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<流動化剤>
具体的な流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、脂肪酸エステル、含水二酸化ケイ素、硬化油等を挙げる事ができ、好ましくは軽質無水ケイ酸である。流動化剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<滑沢剤>
本発明に係る滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム等から選ばれ、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。滑沢剤は素錠の全重量に対して0.1〜3.0重量%の範囲で素錠中に含有されることが好ましい。
<顆粒の構成及び製造方法>
本発明に係る顆粒は素錠の全重量に対して好ましくは25.0重量%以上、より好ましくは25.0〜80.0重量%の範囲で素錠中に含有される。ダサチニブ無水物は造粒物100.0重量部に対して好ましくは60.0〜95.0重量部の範囲で前記造粒物中に含有される。結合剤及びコーティング剤は造粒物100.0重量部に対して好ましくは5.0〜50.0重量部の範囲で前記造粒物中に含有される。本発明に係る顆粒は、ダサチニブ無水物又は其れを含む顆粒に対して結合剤又はコーティング剤を噴霧して流動層造粒法によって製造することが望ましい。
<素錠の製造方法>
本発明に係る素錠は、一般的な製造方法によって作成することが可能であり、例えば以下の製造方法によって作成することが可能である。
[湿式顆粒圧縮法]
まず、ダサチニブ、賦形剤及び崩壊剤等の粉末を流動層造粒機に投入して流動化させ、これに結合剤を溶解した溶液(造粒液)を噴霧することで造粒物を製造する。当該造粒物は乾燥及び整粒された後、滑沢剤等と混合した後に打錠機によって圧縮成形して錠剤(素錠)とする。錠剤を圧縮成形する際の打圧は400〜1500kgfであることが好ましい。
[直接打錠法]
ダサチニブ、賦形剤、崩壊剤及び流動化剤等の粉末を1次的に混合した後に、これに滑沢剤を加えて2次的に混合した後に打錠機によって圧縮成形して錠剤(素錠)とする。錠剤を圧縮成形する際の打圧は400〜1500kgfであることが好ましい。
[乾式顆粒圧縮法]
まず、ダサチニブ、賦形剤、崩壊剤、流動化剤及び滑沢剤等の粉末を混合した後に、これを乾式造粒機に投入して強圧を加えて塊状とし、更に粉砕して造粒物を製造する。当該造粒物は整粒された後、滑沢剤等と混合した後に打錠機によって圧縮成形して錠剤(素錠)とする。
以下に実施例等により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。以下の実施例1〜5並びに比較例1,2に記載の固形製剤の製造において用いられるダサチニブ無水物(N−6型)は事前に結晶形態であること並びに粒子径分布がd10=2.8、d50=24.0、d90=90.5であることが確認された。
乳鉢中のダサチニブ無水物、乳糖水和物(Pharmatose(登録商標)200M/DFE Pharma社製)、結晶セルロース(CEOLUS(登録商標)PH−101/旭化成ケミカル社製)及びクロスカルメロースナトリウムの混合物に対して、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL/日本曹達社製)を精製水に溶解した液を滴下して混ぜて湿式造粒を行った。湿式造粒後に乾燥・整粒してダサチニブを含む顆粒を得た。
上記で得られた顆粒、結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムを共に混合して打錠用の混合末を得た。当該混合末を、まず打圧600kgfで打錠して1錠質量80.0mg、直径6.0mmの円形錠α(素錠、ダサチニブ20mg含有)を得て、更に打圧700kgfで打錠して1錠質量200.0mg、直径8.0mmの円形錠β(素錠、ダサチニブ50mg含有)を得た。尚、原薬並びに各添加剤は、当該各錠剤が下記表1に示す処方となるような量で上記製造に用いた。
ダサチニブ無水物、乳糖水和物(ダイラクトーズ(登録商標)F/フロイント産業社製)、結晶セルロース(CEOLUS(登録商標)UF−711/旭化成ケミカル社製)、クロスカルメロースナトリウム及び軽質無水ケイ酸(アドソリダー(登録商標)101/フロイント産業社製)を先に混合した上で、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合して打錠用の混合末を得た。当該混合末を、まず打圧600kgfで打錠して1錠質量80.0mg、直径6.0mmの円形錠α(素錠、ダサチニブ20mg含有)を得て、更に打圧700kgfで打錠して1錠質量200.0mg、直径8.0mmの円形錠β(素錠、ダサチニブ50mg含有)を得た。尚、原薬並びに各添加剤は、当該各錠剤が下記表1に示す処方となるような量で上記製造に用いた。
実施例1、2で得られた各々の錠剤の処方を下記の表1に一覧して示す(原薬及び各添加物の含量並びに錠剤の重量の数値単位はmgである。)。
[試験例1]
実施例1、2の其々で得られた錠剤について、粉末X線回折測定法によって解析した。其の解析結果の要点を下記の表2に示す。
表2の結果から、実施例1、2の各錠剤からダサチニブ無水物の結晶形態(N−6型)に特徴的なピークが有意に確認されたため、製造前後に亘って結晶形態が安定に維持されていることが示唆された。
ダサチニブ無水物600.0gを噴流流動層造粒機(MP−01/パウレック社製)に投入して流動化させ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO/エボニックジャパン社製)240.0gをエタノール960gに溶解した液を噴霧・乾燥して造粒物を得た。それを30メッシュの篩にて篩過して整粒された顆粒を得た。
乳鉢中のダサチニブ無水物50.0gに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO/エボニックジャパン社製)4.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(NIKKOL SLS/日光ケミカルズ社製)0.4g及びステアリン酸(Parteck LUB STA50/メルク社製)0.6gを精製水25gに溶解した液を滴下して混ぜて造粒物を得た。それを30メッシュの篩にて篩過して整粒された顆粒を得た。
ダサチニブ無水物525.0gを噴流流動層造粒機(MP−01/パウレック社製)に投入して流動化させ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO/エボニックジャパン社製)210.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(NIKKOL SLS/日光ケミカルズ社製社製)21.0g、ステアリン酸(Parteck LUB STA50/メルク社製社製)31.5gを精製水1210gに溶解した液を噴霧・乾燥して造粒物を得た。それを30メッシュの篩にて篩過して整粒された顆粒を得た。
[比較例1]
ダサチニブ無水物200.0g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE/富田製薬社製)4.0gを攪拌造粒機(VG−01/パウレック社製)に投入し、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO/エボニックジャパン社製)48.0gをエタノール72gに溶解した液を滴下して攪拌(ブレード回転数:370回転/分、クロススクリュー回転数:3,500回転/分)して造粒物を得た。それを30メッシュの篩にて篩過して整粒された顆粒を得た。
[比較例2]
乳鉢中のダサチニブ無水物50.0gに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO/エボニックジャパン社製)12.0gをエタノール18gに溶解した液を滴下して混ぜて造粒物を得た。それを30メッシュの篩にて篩過して整粒された顆粒を得た。
実施例3〜5及び比較例1、2で得られた各顆粒の処方の一覧を下記表4に示す(原薬及び各添加物の含量並びに顆粒の重量の数値単位はmgである。)。
[試験例2]
実施例3〜5及び比較例1、2の其々で得られた顆粒について、粉末X線回折測定法によって解析した。其の解析結果の詳細は図3に示される通りである。
図3より、比較例1、2で得られた顆粒はダサチニブ無水物の結晶形態(N−6型)と明らかに異なるピーク(Journal of Pharmaceutical Sciences 105 (2016) 1489-1495 よりエタノール和物のピークと考えられる。)を示しているのに対し、実施例3〜5で得られた顆粒はダサチニブ無水物の結晶形態と同様のピークを示していることが確認された(但し、実施例3で得られた顆粒中のダサチニブについては僅かにだがエタノール和物のピークを示していることが確認される。)。よって実施例3〜5で得られた顆粒中のダサチニブは、製造前後に亘って結晶形態を安定に乃至はほぼ安定に維持していることが示される。そのため本発明における湿式造粒においては、其の方法が流動層造粒であることが特に好ましく、また結合剤を含む造粒液が水溶液であることがより特に好ましいと考えられる。
本発明の具体的な錠剤の製造方法案として考え得るものを参考例として以下に記載する。
[参考例1]
「乳糖水和物」を「D−マンニトール」に代替したこと以外は上記実施例1の錠剤の製造方法と同様にして円形錠α及びβを得る。
[参考例2]
「ヒドロキシプロピルセルロース」を「ヒプロメロース」に代替したこと以外は上記実施例1の錠剤の製造方法と同様にして円形錠α及びβを得る。
[参考例3]
「ヒドロキシプロピルセルロース」を「ポリビニルアルコール」に代替したこと以外は上記実施例1の錠剤の製造方法と同様にして円形錠α及びβを得る。
[参考例2]
「ヒドロキシプロピルセルロース」を「ヒプロメロース」に代替したこと以外は上記実施例1の錠剤の製造方法と同様にして円形錠α及びβを得る。
[参考例4]
「ヒドロキシプロピルセルロース」を「ポビドン」に代替したこと以外は上記実施例1の錠剤の製造方法と同様にして円形錠α及びβを得る。
[参考例4]
実施例1で得られた円形錠α、βを其々コーティング機に投入して攪拌させ、これにヒプロメロース、タルク、酸化チタン、可塑剤(表3記載のいずれか一つ)を精製水に加え、均一に溶解・分散させた液を噴霧・乾燥してフィルムコーティング錠α′β′を其々得る。
尚、各添加剤は、当該フィルムコーティング錠が下記表3に示す処方(各添加物の含量並びに錠剤の重量の数値単位はmgである。)となるような量で上記製造に用いる。
[参考例5]
「可塑剤(表3記載のいずれか)」を用いなかったこと並びにヒプロメロース及びタルクの含量以外は上記参考例4のフィルムコーティング錠の製造方法と同様にしてフィルムコーティング錠α′β′を其々得る。
[参考例6]
結晶形態のダサチニブ無水物、乳糖水和物、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム及びクロスカルメロースナトリウムを混合した後、これを乾式造粒機に投入して強圧を加えて塊状とし、粉砕することで乾式造粒を行う。乾式造粒後に整粒してダサチニブを含む顆粒を得る。
上記で得られる顆粒、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸及びステアリン酸マグネシウムを共に混合して打錠用の混合末を得る。当該混合末を、まず打圧600kgfで打錠して1錠質量80.0mg、直径6.0mmの円形錠α(素錠、ダサチニブ20mg含有)を得て、更に打圧700kgfで打錠して1錠質量200.0mg、直径8.0mmの円形錠β(素錠、ダサチニブ50mg含有)を得る。尚、原薬並びに各添加剤は、当該各錠剤が下記表4に示す処方(原薬および各添加物の含量並びに錠剤の重量の数値単位はmgである。)となるような量で上記製造に用いる。
[参考例7]
「実施例1で得られた円形錠α、β」を「参考例6で得られる円形錠α、β」に代替したこと以外は上記参考例4のフィルムコーティング錠の製造方法と同様にしてフィルムコーティング錠α′β′を其々得る。
[参考例8]
「可塑剤(表3記載のいずれか)」を用いなかったこと並びにヒプロメロース及びタルクの含量以外は上記参考例7のフィルムコーティング錠の製造方法と同様にしてフィルムコーティング錠α′β′を其々得る。
[参考例9]
実施例5で得られた顆粒、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合して混合物を得る。当該混合末を、まず打圧600kgfで打錠して1錠質量80.0mg、直径6.0mmの円形錠α(素錠、ダサチニブ20mg含有)を得て、更に打圧700kgfで打錠して1錠質量200.0mg、直径8.0mmの円形錠β(素錠、ダサチニブ50mg含有)を得る。尚、原薬及び各添加剤は、錠剤が下記表6に示す処方(原薬及び各添加物の含量並びに錠剤の重量の数値単位はmgである。)となるような量で上記製造に用いる。
本発明は、ダサチニブ無水物の結晶形態を安定に維持して其の固形製剤を工業的に製造することに寄与するものである。

Claims (8)

  1. 結晶形態のダサチニブを含有する固形製剤の製造方法であって、
    無水物である結晶形態のダサチニブを用いて湿式造粒する工程を含む固形製剤の製造方法。
  2. 結晶形態のダサチニブ無水物を含む粉末に対して、結合剤を含有する水溶液を加えて湿式造粒する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固形製剤の製造方法。
  3. 湿式造粒が流動層造粒であることを特徴とする、請求項2に記載の固形製剤の製造方法。
  4. 湿式造粒の際に用いる結合剤がヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体から選ばれる、請求項2又は3に記載の固形製剤の製造方法。
  5. 湿式造粒の際に用いる結合剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマーEである、請求項2又は3に記載の固形製剤の製造方法。
  6. 湿式造粒によって得られた顆粒を他の添加剤と混合した後に打錠して素錠を製造する工程を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
  7. 結晶形態のダサチニブを含有する固形製剤の製造方法であって、
    無水物である結晶形態のダサチニブを用いて直打法を行うことを特徴とする固形製剤の製造方法。
  8. 乳糖水和物及び結晶セルロースである賦形剤、クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤及びステアリン酸マグネシウムである滑沢剤を用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
JP2019033245A 2018-02-26 2019-02-26 ダサチニブ無水物の結晶形態が安定に維持された固形製剤の製造方法 Pending JP2019147798A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018031433 2018-02-26
JP2018031433 2018-02-26

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019147798A true JP2019147798A (ja) 2019-09-05

Family

ID=67849125

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019033245A Pending JP2019147798A (ja) 2018-02-26 2019-02-26 ダサチニブ無水物の結晶形態が安定に維持された固形製剤の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019147798A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021050141A (ja) * 2019-09-20 2021-04-01 日本化薬株式会社 ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021050141A (ja) * 2019-09-20 2021-04-01 日本化薬株式会社 ダサチニブを有効成分とする医薬錠剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6446511B2 (ja) 非晶質体ソリフェナシン及び抗酸化剤を含有する固形製剤
JP2015063521A (ja) 高い薬物含有率を有する錠剤及びその製造方法
WO2015110952A1 (en) Solid oral pharmaceutical compositions comprising ticagrelor or salt thereof
JP2020029455A (ja) 微粉砕されたリバーロキサバンを含有してなる固形製剤
JP2019108324A (ja) リバーロキサバン含有医薬組成物
JP6639024B2 (ja) 化学的な安定性を改善した、非晶質体ソリフェナシン含有製剤
WO2012100948A1 (en) Pharmaceutical compositions comprising tasocitinib
JP2019535696A (ja) ピリドン誘導体の医薬組成物およびその製造方法
JP2019147798A (ja) ダサチニブ無水物の結晶形態が安定に維持された固形製剤の製造方法
JPWO2017217491A1 (ja) 口腔内崩壊錠
TW202011950A (zh) 含安定劑之醫藥品的固體製劑
JP2017520619A (ja) セリチニブ製剤
JP2020176090A (ja) ダサチニブ無水物を含有する固形製剤の製造方法
JP7233852B2 (ja) 変色が抑制された固形製剤
WO2012107092A1 (en) Pharmaceutical composition comprising tadalafil and a cyclodextrin
EP2672959A1 (en) Granulated composition comprising tadalafil and a disintegrant
JP6199922B2 (ja) 化学的な安定性が向上したイルベサルタン含有錠剤
JP6321131B2 (ja) アムロジピン含有配合錠の溶出性改善方法
JP2019182756A (ja) ビルダグリプチンを含有する固形製剤
JP6920564B1 (ja) 固形製剤
JP2019089758A (ja) セレコキシブ含有錠剤における溶出性の改善方法
JP6233911B2 (ja) 化学的な安定性が向上したイルベサルタン含有錠剤
WO2022210829A1 (ja) アビラテロン酢酸エステル含有錠剤
JP5204452B2 (ja) ビカルタミド含有製剤
KR102002906B1 (ko) 셀레콕시브를 포함하는 정제