JP2019147217A - ドリルおよびその製造方法 - Google Patents

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惟武希 四方
Ibuki Shikata
惟武希 四方
優衣 松林
Yui Matsubayashi
優衣 松林
村田 和久
Kazuhisa Murata
和久 村田
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Abstract

【課題】切刃が多刃でも切屑排出性と切刃強度を確保する。【解決手段】軸線O回りに回転されるドリル本体1の先端部外周に複数の外周排出溝6とマージン部5が周方向に交互に形成され、ドリル本体1の先端部表面にはドリル本体1の基材よりも硬度の高い硬質皮膜が被覆され、ドリル本体1の先端面の切刃8は、軸線O側から外周側に延びてマージン部5の先端に交差する主切刃8aと、軸線O回りの回転軌跡が主切刃8aと重なるように延びて外周排出溝6の先端に交差する少なくとも1つの副切刃8bを備えた副切刃群とを周方向に交互に有し、切刃8の間には外周排出溝6に連通する先端排出溝7が放射状に形成され、切刃8は、ドリル回転方向T側の先端排出溝7のすくい面と、ドリル回転方向Tとは反対側の先端排出溝7の逃げ面との交差稜線部に形成される。【選択図】図7

Description

本発明は、例えばセラミックスのような硬脆材料よりなるワークに穴明け加工を行う小径のドリル、およびその製造方法に関するものである。
このような硬脆材料、すなわち高硬度な脆性材料よりなるワークに穴明け加工を行うドリルとして、例えば特許文献1には、軸線回りに回転される略円柱状のドリル本体の先端部外周に、該ドリル本体の先端に開口する複数条の切屑排出溝が形成されるとともに、このドリル本体の先端には、上記軸線に対して傾斜して交差し、かつ互いの交差稜線が上記切屑排出溝の先端側開口縁に交差することなく上記ドリル本体の外周に達する複数の先端面が形成されていて、これらの先端面の上記交差稜線が切刃とされたものが記載されている。
また、特許文献2にも、脆性材料よりなる加工物に切削加工を行う脆性材料用切削工具であって、軸線回りに回転される工具本体の先端部が、上記軸線に直交する断面が多角形状をなす概略多角柱状に形成されて、その先端に切刃部が設けられたものが記載されている。ここで、上記ドリル本体や工具本体の先端部には、ダイヤモンドコーティングやDLCコーティング等のダイヤモンド皮膜、あるいはダイヤモンド砥粒を金属メッキ相で電着した電着砥粒皮膜のような硬質皮膜が被覆されている。
特開2003−117708号公報 特開2005−022102号公報
ところで、このようなドリルでは、ドリル本体の先端部の切刃に被覆された硬質皮膜によって硬脆材料を研削するようにして穴明け加工を行うが、この硬質皮膜に突発的な剥離が生じてしまうと、硬質皮膜が剥離した切刃は切削を行うことができなくなってしまい、特許文献1に示されているような2枚刃のドリルでは、残りの切刃の切削負荷が大きくなり、ドリル本体に折損が生じる結果となる。ここで、このようなドリル本体の折損を防ぐには、特許文献2に記載されているように切刃を4枚刃等の多刃にして、1つの切刃の硬質皮膜が剥離しても残りの3つの切刃で切削を行い、切削負荷を分散することが考えられる。
しかしながら、単に切刃を4枚刃等に多刃化すると、周方向に隣接する切刃同士の間隔は小さくなってしまい、切刃の逃げ角が2枚刃と同じならば切刃のドリル回転方向とは反対側に連なる逃げ面のドリル本体後端側への幅が小さくなり、これに伴って該切刃のドリル回転方向とは反対側に隣接する切刃の切屑スペース(チップポケット)の容量も小さくなって切屑排出性が損なわれ、切屑詰まりを生じるおそれがある。その一方で、切屑スペースを確保しようとして切刃の逃げ角を大きくすると、切刃の刃物角が小さくなって切刃強度が損なわれ、切刃の欠損等が生じ易くなるおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切刃が多刃であっても良好な切屑排出性を確保することができるとともに、切刃強度を損なうことのないドリル、およびその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のドリルは、軸線回りに回転されるドリル本体の先端部外周に複数条の外周排出溝が形成されるとともに、上記ドリル本体の先端面には該ドリル本体の外周側に向かうに従い後端側に向けて延びる切刃が形成され、さらにこのドリル本体の先端部の表面には上記ドリル本体の基材よりも硬度の高い硬質皮膜が被覆されたドリルであって、上記ドリル本体の先端部外周には、複数条のマージン部と上記外周排出溝とが周方向に交互に形成されており、上記ドリル本体の先端面には、上記切刃のうち、上記軸線側から上記ドリル本体の外周側に延びて上記マージン部の先端に交差する主切刃と、上記軸線側から該軸線回りの回転軌跡が上記主切刃と重なるように上記ドリル本体の外周側に延びて上記外周排出溝の先端に交差する少なくとも1つの副切刃を備えた副切刃群とが周方向に交互に形成されるとともに、周方向に隣接するこれらの切刃の間には、上記外周排出溝に連通する先端排出溝が上記軸線を中心に放射状に形成されていて、上記切刃は、ドリル回転方向側に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かうすくい面と、ドリル回転方向とは反対側に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かう逃げ面との交差稜線部に形成されていることを特徴とする。
また、このようなドリルを製造する本発明のドリルの製造方法は、円柱状の上記ドリル本体の先端部外周に複数条の上記外周排出溝を形成して、周方向に隣接する上記外周排出溝の間に上記マージン部を形成するとともに、複数条の上記先端排出溝を上記外周排出溝に連通するように上記軸線を中心として放射状に形成して、ドリル回転方向側に位置する上記先端排出溝のドリル回転方向側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かうすくい面と、該先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かう逃げ面との交差稜線部に、上記軸線側から上記ドリル本体の外周側に延びて上記マージン部の先端に交差する主切刃と、上記軸線側から該軸線回りの回転軌跡が上記主切刃と重なるように上記ドリル本体の外周側に延びて上記外周排出溝の先端に交差する少なくとも1つの副切刃を備えた副切刃群とが周方向に交互に形成された上記切刃を形成し、このドリル本体の先端部の表面に、上記ドリル本体の基材よりも硬度の高い硬質皮膜を被覆することを特徴とする。
このような製造方法によって製造される上記構成のドリルにおいては、ドリル本体の先端面に、上記切刃のうち、ドリル本体の軸線側から外周側に延びてマージン部の先端に交差する主切刃と、上記軸線側から該軸線回りの回転軌跡が主切刃と重なるようにドリル本体の外周側に延びて外周排出溝の先端に交差する少なくとも1つの副切刃を備えた副切刃群とが周方向に交互に形成されており、すなわち複数条のマージン部に連なる少なくとも2つの主切刃と、これらの主切刃の間に交互に形成された少なくとも1つずつの副切刃との、少なくとも合計4つの切刃が形成される。このため、切刃の多刃化を図ることができて、1つの切刃の硬質皮膜に剥離が生じても、残りの切刃によって切削負荷を分散して穴明け加工を続行することができる。
そして、ドリル本体の先端面において隣接するこれらの切刃の間、すなわち隣接する主切刃と副切刃の間、または副切刃群において隣接する副切刃同士の間には、外周排出溝に連通する先端排出溝が軸線を中心に放射状に形成されており、各切刃は、そのドリル回転方向側に隣接する先端排出溝のドリル回転方向側を向くすくい面と、ドリル回転方向とは反対側に隣接する先端排出溝のドリル回転方向とは反対側を向く逃げ面との交差稜線部に形成されている。従って、各切刃によって生成された切屑は、それぞれそのドリル回転方向側に隣接する先端排出溝から外周排出溝を通って排出されるので、切刃が多刃化されていても良好な切屑排出性を確保することが可能となる。
しかも、切刃のすくい面は、ドリル回転方向側に向かうに従いドリル本体の後端側に向かうように延びていて、切刃のすくい角が負角(ネガティブ)に設定される。従って、ドリル回転方向とは反対側に向かうに従いドリル本体の後端側に向かうように延びる逃げ面との間の切刃の刃物角を大きく確保することができ、硬質な硬脆材料への穴明け加工でも切刃に欠損が生じるのを防ぐことができる。さらに、ドリル本体の先端部外周に複数条のマージン部が形成されているので、このドリル本体先端部外周が加工穴に摺接する際の抵抗を低減することができるとともに、加工穴の真直度や真円度を向上させることも可能となる。
ここで、上記主切刃は、上記マージン部の周方向の両端に交差していると欠損が生じ易くなってしまうので、上記マージン部の先端の周方向における中央部に交差していることが望ましい。また、上記副切刃群に、複数の上記副切刃を備えることにより、複数のマージン部の先端に交差する複数の主切刃と併せて、より多くの切刃によって被削材を切削することができ、個々の切刃への切削負荷を確実に分散することが可能となる。特に、この場合には、上記主切刃と、複数の上記副切刃とを周方向に等間隔に形成することにより、各切刃への切削負荷を略均一にして、一層確実な切削負荷の分散を図ることができる。
さらに、上記先端排出溝は、上記切刃に直交する断面においてV字状をなしていることにより、上述のように切刃の刃物角を確保しつつ、円滑な切屑排出を促すことが可能となる。また、上記すくい面と上記逃げ面とを、上記切刃と上記先端排出溝の溝底線を介して連続するように形成して、すくい面と逃げ面との間にすくい角や逃げ角と角度の異なる部分が形成されるのを避けることにより、周方向に隣接する切刃間の間隔が必要以上に大きくなったり、先端排出溝の容量が小さくなったりするのを防ぐことができる。
ここで、上記ドリル本体の外周端における上記先端排出溝の溝底線は、上記軸線に垂直な平面に対して5°〜60°の範囲内の角度で傾斜していることが望ましい。この角度が5°を下回るほど小さいと、先端排出溝の溝深さが浅くなって切屑排出性が損なわれるおそれがある一方、この角度が60°を上回るほど大きいと、溝底線の軸線に対する角度は小さくなり、ドリル本体の先端面の軸線側(中心側)に欠損が生じ易くなるおそれが生じる。
また、上述のように負角となる切刃の上記すくい面がなすすくい角は、−5°〜−60°の範囲内とされることが望ましく、切刃の上記逃げ面がなす逃げ角は、5°〜60°の範囲内とされることが望ましい。このすくい角が−5°よりも正角側に大きかったり、逃げ角が60°よりも大きかったりすると、切刃の刃物角を大きく確保することが困難となるおそれがある一方、すくい角が−60°よりも負角側に大きかったり、逃げ角が5°よりも小さかったりすると、先端排出溝の溝深さが浅くなって、やはり切屑排出性が損なわれるおそれが生じる。
なお、セラミックスのような硬脆材料よりなるワークを硬質皮膜によって研削するようにして確実に穴明け加工を行うには、上記硬質皮膜は、ドリル本体の先端部の表面にダイヤモンド粒子を析出させたダイヤモンド皮膜、AlやTiN等のCVD皮膜、およびドリル本体の先端部表面にダイヤモンド砥粒等を金属メッキ相で電着した電着砥粒皮膜のうちの1種であることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、切刃の多刃化を図って1つの切刃の硬質皮膜に剥離が生じても残りの切刃により切削負荷を分散して穴明け加工を続行することができるとともに、こうして切刃を多刃化しても良好な切屑排出性を維持することができ、さらに切刃強度の向上を促して硬質な硬脆材料よりなるワークの穴明け加工でも切刃の欠損等を防止することが可能となる。
本発明の一実施形態を示す、図2における矢線V方向視の平面図である。 図1に示す実施形態を軸線方向先端側から見た拡大正面図である。 図1に示す実施形態を軸線方向後端側から見た背面図である。 図2における矢線W方向視の底面図である。 図2における矢線X方向視の右側面図である。 図2における矢線Y方向視の左側面図である。 図1に示す実施形態のドリル本体の先端部の拡大斜視図である。 図7に示すドリル本体の先端部の図9における矢線V方向視の平面図である。 図7に示すドリル本体の先端面を軸線方向先端側から見た正面図である。 図9における矢線W方向視の底面図である。 図9における矢線X方向視の右側面図である。 図9における矢線Y方向視の左側面図である。 図7に拡大斜視図を示したドリル本体の先端部の表面に硬質皮膜を被覆した状態を示す図である。
図1ないし図13は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において、ドリル本体1は、その基体が超硬合金等の硬質材料により軸線Oを中心とした多段の略円柱状をなし、その後端部(図1、図4、図5において右側。図6においては左側。)は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに、先端部(図1、図4、図5において左側。図6においては右側。)はシャンク部2よりも小径の切刃部3とされ、シャンク部2と切刃部3との間は先端側に向かうに従い漸次縮径する円錐台状のテーパーネック部4とされている。
また、少なくともドリル本体1の先端部の上記切刃部3の表面には、ダイヤモンド粒子を析出させたダイヤモンド皮膜、AlやTiN等のCVD皮膜、およびドリル本体の先端部表面にダイヤモンド砥粒等を金属メッキ相で電着した電着砥粒皮膜のうちの1種よりなるドリル本体1の基体よりも硬度が高い硬質皮膜が図13に示すように被覆されている。なお、このような硬質皮膜の膜厚は20μm程度、硬質皮膜を被覆した切刃部3の直径は0.5mm程度である。
このようなドリルは、上記シャンク部2が工作機械の主軸に把持されて軸線O回りにドリル回転方向Tに回転させられつつ該軸線O方向先端側に送り出されることにより、上記切刃部3とその表面に被覆された硬質皮膜によってセラミックスのような硬脆材料よりなるワークに穴明け加工を行う。
このドリル本体1の先端部である切刃部3の外周には、複数条のマージン部5と、マージン部5と同数の複数条の外周排出溝6とが周方向に交互に形成されている。本実施形態では、マージン部5と外周排出溝6とは3条ずつであって、切刃部3の先端面からドリル本体1の後端側に向かうに従い軸線O回りにドリル回転方向Tとは反対側に捩れるようにして、周方向に等間隔に形成されている。
マージン部5は、その外周面が図11に示すように軸線Oを中心とする1つの円筒面上に位置するように形成されている。また、外周排出溝6は、マージン部5の外周面からドリル回転方向Tとその反対側に向かうに従い切刃部3の内周側に向かうように延びた後、その外周側を向く底面が、マージン部5の外周面が位置する上記円筒面よりも一回り小さな軸線Oを中心とする円筒面上に略位置するように形成されており、外周排出溝6の周方向の幅はマージン部5の外周面の周方向の幅よりも大きい。
一方、切刃部3の先端面には、この外周排出溝6に連通する複数条(本実施形態では12条)の先端排出溝7が軸線Oを中心として放射状に形成されている。これらの先端排出溝7は、本実施形態では互いに同形同大の断面V字状であり、ただしその溝底は切刃部3の外周側から見て凹曲していてもよい。ここで、この先端排出溝7の溝底線は、軸線Oに垂直な平面に対して5°〜60°の範囲内の角度で傾斜している。
さらに、周方向に隣接する先端排出溝7同士は、ドリル回転方向T側の先端排出溝7のドリル回転方向T側を向く壁面と、ドリル回転方向Tとは反対側の先端排出溝7のドリル回転方向Tとは反対側を向く壁面とが稜線を介して連続しており、この稜線部分に周方向に等間隔に切刃8が形成されている。すなわち、本実施形態のドリルは12枚刃の多刃ドリルである。これらの切刃8は、ドリル本体1の外周側に向かうに従い後端側に向けて延びていて、該切刃8には先端角が与えられている。
さらにまた、これらの切刃8のうち、周方向に4つおきの3枚の切刃8は軸線O側からドリル本体1の外周側に延びて上記マージン部5の先端に交差する主切刃8aとされるとともに、残りの9枚の切刃8は、軸線O側から該軸線O回りの回転軌跡が主切刃8aと重なるようにドリル本体1の外周側に延びて外周排出溝6の先端に交差する副切刃8bとされている。そして、周方向に隣接する主切刃8aの間の3枚ずつの複数の副切刃8bが本実施形態における副切刃群を構成しており、すなわち主切刃8aと複数の副切刃8bよりなる副切刃群とが周方向に交互に配設されている。なお、主切刃8aは、マージン部5の先端の周方向における両端以外の中央部に交差している。
従って、断面V字状の先端排出溝7のドリル回転方向T側を向いて該ドリル回転方向T側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かう壁面は主切刃8aおよび副切刃8bのすくい面7aとされ、先端排出溝7のドリル回転方向Tとは反対側を向いて該ドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かう壁面は主切刃8aおよび副切刃8bの逃げ面7bとされる。ここで、本実施形態では、切刃8の上記すくい面7aがなすすくい角αは−5°〜−60°の範囲内とされ、切刃8の上記逃げ面7bがなす逃げ角βは5°〜60°の範囲内とされている。
このようなドリル本体1を備えた本実施形態のドリルを製造する本発明のドリルの製造方法の実施形態では、まず上述のように多段円柱状に形成したドリル本体1の先端部の切刃部3となる部分の外周に複数条の外周排出溝6を形成して、周方向に隣接する外周排出溝6の間にマージン部5を形成するとともに、ドリル本体1の先端面(切刃部3の先端面)には、複数条の先端排出溝7を軸線Oを中心として放射状に形成して外周排出溝6に連通させる。これら外周排出溝6と先端排出溝7の形成は砥石による研削加工によって行われ、その順序はどちらが先でもよい。
このように先端排出溝7を形成することにより、周方向に隣接する先端排出溝7のうちドリル回転方向T側に位置する先端排出溝7のドリル回転方向T側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かうすくい面7aと、先端排出溝7のドリル回転方向Tとは反対側に位置する先端排出溝7のドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かう逃げ面7bとの交差稜線部に、軸線O側からドリル本体1の外周側に延びてマージン部5の先端に交差する主切刃8aと、軸線O側から軸線O回りの回転軌跡が主切刃8aと重なるようにドリル本体1の外周側に延びて外周排出溝6の先端に交差する副切刃8bを備えた副切刃群とが周方向に交互に形成され、すなわち切刃8が形成される。
そこで、こうしてドリル本体1の先端部である切刃部3にマージン部5と外周排出溝6および先端排出溝7が形成されて切刃8が形成されたなら、このドリル本体1の先端部の表面に、ドリル本体1の基材である超硬合金よりも硬度の高い上述のような硬質皮膜を被覆することにより、上記実施形態のドリルが製造される。硬質皮膜の被覆方法は公知の手段による。
このような製造方法によって製造される上記構成のドリルでは、本実施形態においては切刃8が上述のように12枚刃であって、切刃8の多刃化を図ることができるので、1つの切刃8の硬質皮膜に剥離が生じても、軸線O回りの回転軌跡が重なり合う残りの切刃8によって切削負荷を分散することができ、セラミックスのような硬脆材料よりなるワークの穴明け加工を続行することができる。なお、本実施形態のドリルでは切刃8が12枚刃であるが、切刃8としては、少なくとも2条のマージン部5の先端に交差する少なくとも2枚の主切刃8aと、これらの主切刃8aと周方向に交互に形成されて少なくとも1つの副切刃8bよりなる少なくとも2つの副切刃群との、少なくとも合計4枚の切刃8を備えていればよい。
そして、さらに上記構成のドリルでは、ドリル本体1の先端面において隣接するこれらの切刃8の間、すなわち隣接する主切刃8aと副切刃8bの間、または副切刃群において隣接する副切刃8b同士の間には、外周排出溝6に連通する先端排出溝7が軸線Oを中心として放射状に形成されており、各切刃8は、ドリル回転方向T側に隣接する先端排出溝7のドリル回転方向T側を向くすくい面7aと、ドリル回転方向Tとは反対側に隣接する先端排出溝7のドリル回転方向Tとは反対側を向く逃げ面7bとの交差稜線部に形成されている。従って、各切刃8によって生成された切屑は、マージン部5の先端に交差する主切刃8aも含めてそのドリル回転方向T側に隣接する先端排出溝7から外周排出溝6を通って排出されるので、上述のように切刃8が多刃化されていても切屑排出性を良好に確保することが可能となる。
さらに、切刃8のすくい面7aは、ドリル回転方向T側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かうように延びていて、切刃8のすくい角αが上述のように負角(ネガティブ)に設定されている。このため、すくい面7aとドリル回転方向Tとは反対側に向かうに従いドリル本体1の後端側に向かうように延びる逃げ面7bとの間の切刃8の刃物角を大きく確保することができるので、硬質な硬脆材料への穴明け加工においても切刃8に欠損が生じるのを防ぐことができる。
また、ドリル本体1先端部の切刃部3の外周には複数条のマージン部5が形成されていて、隣接するマージン部5の間はドリル本体1の内周側に凹んだ外周排出溝6であり、ドリル本体1先端部の切刃部3の外周が加工穴に摺接するのはマージン部5だけである。このため、穴明け加工の際の抵抗を低減することができるとともに、複数条のマージン部5によって切刃部3を案内することができるので、加工穴の真直度や真円度の向上を図ることも可能となる。
さらに、本実施形態のドリルにおいては、主切刃8aがマージン部5の先端のうち周方向の両端以外の中央部に交差しているので、主切刃8aがマージン部5の両端に交差する場合のように欠損を生じ易い角部が主切刃8a上に形成されるのを避けることができる。なお、主切刃8aは、厳密にマージン部5の周方向の幅の1/2の位置に交差していなくてもよい。
また、本実施形態では、上記副切刃群に複数(3枚)の副切刃8bが備えられているので、上述したように副切刃群の副切刃8bが最少の1枚の場合に比べ、主切刃8aと併せて、より多くの切刃8によって被削材に穴明け加工を行うことができ、個々の切刃8への切削負荷を確実に分散することが可能となる。しかも、主切刃8aと、複数の副切刃8bとが周方向に等間隔に形成されているので、各切刃8への切削負荷を略均一にして、一層確実に切削負荷を分散することができる。
また、本実施形態では、先端排出溝7は断面V字状、すなわち切刃8に直交する断面においてV字状をなしており、例えば断面円弧状をなしている場合などに比べて切刃8の刃物角を確保することができ、しかも円滑な切屑排出を促すことが可能となる。さらに、この先端排出溝7を形成するすくい面7aと逃げ面7bは、周方向に隣接する先端排出溝7同士では切刃8を介して連続しているとともに、1つの先端排出溝7では該先端排出溝7の溝底線を介して連続しているので、これらすくい面7aと逃げ面7bとの間にすくい角αや逃げ角βと角度の異なる部分が形成されることがなく、周方向に隣接する切刃8間の間隔が必要以上に大きくなって個々の切刃8の負荷が増大したり、先端排出溝7の容量が小さくなって円滑な切屑排出が阻害されたりするのを防ぐことができる。
さらにまた、本実施形態では、上記先端排出溝7の溝底線が、ドリル本体の軸線Oに垂直な平面に対して5°〜60°の範囲内の角度で傾斜しており、これによっても良好な切屑排出性と切刃8の強度を確保することができる。すなわち、この先端排出溝7の溝底線の傾斜角度が5°を下回るほど小さいと、先端排出溝7の溝深さが浅くなって切屑排出性が損なわれるおそれがある。一方、この傾斜角度が60°を上回るほど大きいと、溝底線の軸線Oに対する角度が小さくなって、ドリル本体1の先端面の軸線O側(中心側)に欠損が生じ易くなるおそれが生じる。
また、本実施形態では、切刃8のすくい面7aのすくい角αが−5°〜−60°の範囲内とされるとともに、切刃8の逃げ面7bの逃げ角βは5°〜60°の範囲内とされており、これによっても切刃8の耐欠損性と良好な切屑排出性とを確保することができる。すなわち、すくい角αが−5°よりも正角側に大きかったり、逃げ角βが60°よりも大きかったりすると、切刃8の刃物角を大きく確保することが困難となって欠損が生じ易くなるおそれがある一方、すくい角αが−60°よりも負角側に大きかったり、逃げ角βが5°よりも小さかったりすると、先端排出溝7の溝深さが浅くなって切屑排出性が損なわれるおそれが生じる。
さらに、本実施形態では、ドリル本体1の先端部である切刃部3の表面に被覆する上記硬質皮膜として、ダイヤモンド粒子を析出させたダイヤモンド皮膜、AlやTiN等のCVD皮膜、およびドリル本体の先端部表面にダイヤモンド砥粒等を金属メッキ相で電着した電着砥粒皮膜のうちの1種が用いられており、析出されたダイヤモンド粒子、AlやTiN等のドロップレット、または電着されたダイヤモンド砥粒によってセラミックスのような硬脆材料よりなるワークを研削するようにして確実に穴明け加工を行うことができる。
1 ドリル本体
3 切刃部
5 マージン部
6 外周排出溝
7 先端排出溝
7a すくい面
7b 逃げ面
8 切刃
8a 主切刃
8b 副切刃
O ドリル本体1の軸線
T ドリル回転方向
α すくい角
β 逃げ角

Claims (11)

  1. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端部外周に複数条の外周排出溝が形成されるとともに、上記ドリル本体の先端面には該ドリル本体の外周側に向かうに従い後端側に向けて延びる切刃が形成され、さらにこのドリル本体の先端部の表面には上記ドリル本体の基材よりも硬度の高い硬質皮膜が被覆されたドリルであって、
    上記ドリル本体の先端部外周には、複数条のマージン部と上記外周排出溝とが周方向に交互に形成されており、
    上記ドリル本体の先端面には、上記切刃のうち、上記軸線側から上記ドリル本体の外周側に延びて上記マージン部の先端に交差する主切刃と、上記軸線側から該軸線回りの回転軌跡が上記主切刃と重なるように上記ドリル本体の外周側に延びて上記外周排出溝の先端に交差する少なくとも1つの副切刃を備えた副切刃群とが周方向に交互に形成されるとともに、周方向に隣接するこれらの切刃の間には、上記外周排出溝に連通する先端排出溝が上記軸線を中心に放射状に形成されていて、
    上記切刃は、ドリル回転方向に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かうすくい面と、ドリル回転方向とは反対側に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かう逃げ面との交差稜線部に形成されていることを特徴とするドリル。
  2. 上記主切刃は、上記マージン部の先端の周方向における中央部に交差していることを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  3. 上記副切刃群は、複数の上記副切刃を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドリル。
  4. 上記主切刃と、複数の上記副切刃とが周方向に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドリル。
  5. 上記先端排出溝は、上記切刃に直交する断面においてV字状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のドリル。
  6. 上記先端排出溝の上記すくい面と上記逃げ面とは、上記切刃と上記先端排出溝の溝底線を介して連続するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のドリル。
  7. 上記先端排出溝の溝底線が、上記軸線に垂直な平面に対して5°〜60°の範囲内の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のドリル。
  8. 上記切刃の上記すくい面がなすすくい角が、−5°〜−60°の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載のドリル。
  9. 上記切刃の上記逃げ面がなす逃げ角が、5°〜60°の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載のドリル。
  10. 上記硬質皮膜が、ダイヤモンド皮膜、CVD皮膜、および電着砥粒皮膜のうちの1種であることを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載のドリル。
  11. 円柱状の上記ドリル本体の先端部外周に複数条の上記外周排出溝を形成して、周方向に隣接する上記外周排出溝の間に上記マージン部を形成するとともに、
    上記ドリル本体の先端面には、複数条の上記先端排出溝を上記外周排出溝に連通するように上記軸線を中心として放射状に形成して、ドリル回転方向側に位置する上記先端排出溝のドリル回転方向側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かうすくい面と、該先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に隣接する上記先端排出溝のドリル回転方向とは反対側に向かうに従い上記ドリル本体の後端側に向かう逃げ面との交差稜線部に、上記軸線側から上記ドリル本体の外周側に向かうに従い後端側に向かうように延びて上記マージン部の先端に交差する主切刃と、上記軸線側から該軸線回りの回転軌跡が上記主切刃と重なるように上記ドリル本体の外周側に延びて上記外周排出溝の先端に交差する少なくとも1つの副切刃を備えた副切刃群とが周方向に交互に形成された上記切刃を形成し、
    このドリル本体の先端部の表面に、上記ドリル本体の基材よりも硬度の高い硬質皮膜を被覆することを特徴とする請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のドリルの製造方法。
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