JP2019141259A - 磁気刺激装置とその励磁方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】顎の正中線に対してその左右に存在するモーターポイントを直接個別に磁気刺激することが出来る装置の提供を課題とする。【解決手段】磁気刺激装置Aは、左右一対のU字形コア50L/50Rと、その脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryに巻着され、U字形コア50L/50Rを励磁する導体65と、導体65x・65y(又は65Lx・65Ly/65Rx・65Ry)がそれぞれ巻着された一対のU字形コア50L/50Rを並設し、且つそれらの脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryを同じ方向に向けて収納するケース1とで構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、体の中心(正中線)に対して左右対称に存する患部(例えば、嚥下動作を司る舌骨上筋群や舌骨下筋群、その他、腹直筋、僧帽筋、広背筋、脊髄に局在するCPG(中枢パターン生成器)、及びCPGと各筋をつなぐ運動神経)を個別に磁気刺激する磁気刺激装置に関する。
磁気治療の対象となる障害は、様々なものが存在するが、ここでは嚥下障害に焦点を絞って説明する。
日本での嚥下障害に対する発生件数は多大な数にのぼり、年間に発生する約40万人の脳卒中のうち、約5%の患者が嚥下を制御する神経機構にダメージを受けている。その他、脳卒中以外の嚥下障害を引き起こす疾患としては、外傷性脳損傷、脳性麻痺、認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、ウィルソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、脳腫瘍、重傷筋無力症など多数が存在する。上記疾患以外でも高齢化による嚥下障害もあり、嚥下障害患者は今後、増大化することが予想される。
嚥下障害とは、食物や飲料の経口摂取が困難な状態をいい、日本での死因の第3位である肺炎の過半数は高齢者の嚥下障害に起因する誤嚥性肺炎といわれる。その他、嚥下障害は窒息などの原因にもなる。
嚥下障害は、上記のように高齢者のみならず多くの脳血管障害者、その他の患者が悩まされており、年間2万人を超える新たな嚥下障害患者が発生している。従って、この嚥下障害を改善することは高齢者や脳血管障害者の健康を良好に保つ上で非常に重要である。そこで下記のような嚥下障害治療器が提案された(特許文献1、及び非特許文献1)
特開2012-200558号公報
インターネット<URL:http://www.djoglobal.com/vitalstim>
健常者の場合、食物や液体を取り込むと食物や液体が咽頭を機械的に刺激することで嚥下を誘発する。動物実験より嚥下中枢は咽頭粘膜に分布する上咽頭神経または舌咽神経咽頭枝を直接的に電気刺激するか、咽頭粘膜を電気刺激することで賦活できることが実証されている。
また、解剖学的には咽頭側壁により多くの神経分布が認められている。これをヒントに食物や液体の代わりにこの部分を電気刺激して嚥下を誘発することで、嚥下患者に対して効果的な嚥下訓練や治療を行うのが特許文献1に記載の発明である。
特許文献1に記載の発明は、鼻腔を経由して刺激電極を咽頭の粘膜に密着させ、この刺激電極に適切な値の電流を供給して当該部分に電気刺激を与え、これにより嚥下の訓練や治療を行おうとするものであるが、鼻腔を経由しての刺激電極の咽頭粘膜への密着は患者に重い負担を強いることになり、手軽に治療することができない。
一方、非特許文献1に記載の発明は、下顎から頸部にかけて患者の表皮に刺激電極を貼り付け、刺激電極に通電して内部の咽頭粘膜を電気刺激しようとするものであるが、電気刺激時に感電による疼痛を患者に与える点や、顎鬚など体毛がある場合は刺激電極を求める部位(喉)に取り付けることができないという問題がある。
更に、嚥下作用を司る様々な舌骨上筋群は、図2に示したように下顎の中心(正中線)に対して左右対称に広がって存在する。また、該筋群の位置も患者によって千差万別であり、下顎に広く存在する該筋群全体を刺激するにはこれをカバーできるような大きい治療器が必要となり、且つその分の電力量が増加することになる。
本発明は、特許文献1に比べて遥かに手軽に使用でき、非特許文献1のような電気刺激時の疼痛がなく、体毛などによる使用部位の制限も受けず、正中線の両側にて下顎に広く存在し、嚥下作用を司る筋群(或いは、嚥下作用とは直接関係がないが磁気治療の対象となる上記腹直筋その他の筋、運動神経:以下、これらの磁気刺激部位をモーターポイントという。)を個別に磁気刺激することができる新たな磁気刺激装置を提供することを主たる課題とする。
本発明者らは、四肢の大きな筋肉の末梢神経を連発磁気パルスで刺激することにより、これら大きな筋肉に持続する大きな収縮を起こさせるための連続磁気パルス発生装置(特開平2015−107176)の研究を進めてきた。
この装置を嚥下障害などの磁気刺激装置に応用して、例えば、患者の嚥下に関連する小さな筋であり、顎の正中線に対してその左右に存在する舌骨上筋群、舌骨下筋群(或いはその他の障害に関する筋や神経)に磁気的な刺激を個別に与え、患者に嚥下やその他の訓練や治療を効果的に行うことのできる装置を完成させた。
請求項1に記載の発明(磁気刺激装置A:図3)は、
左右一対のU字形コア50L/50Rと、
前記U字形コア50L/50Rの前後の脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryに巻着され、前記U字形コア50L/50Rを励磁する導体65x・65y(又は65Lx・65Ly/65Rx・65Ry)と、
前記導体65x・65y(又は65Lx・65Ly/65Rx・65Ry)がそれぞれ巻着された前記一対のU字形コア50L/50Rを並設し、且つそれらの脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryを同じ方向に向けて収納するケース1とで構成されたことを特徴とする。
上記磁気刺激装置Aは、一対の独立のU字形コア50L/50Rを左右に用意したもので、上記非特許文献1の下顎の中央に貼り付けた電極の代わりにこの磁気刺激装置Aを用いる。治療に当たっては、この磁気刺激装置Aの一方の脚部51Lx・51Lyの間に患者の一方のモーターポイントMpL(磁気刺激を与えたい患部)が位置し、他方の脚部51Rx・51Ryの間に他方のモーターポイントMpRが位置するように磁気刺激装置Aを設置することで、左右のモーターポイントMpL/MpR付近に対して上記非特許文献1の電気刺激に比べて、より局所的な刺激を与えることができる。
なお、上記「同じ方向」の内容は、「完全に同一の方向」を意味せず、下記に述べる脚部51Rx・51Ryの先端面52Rx・52Ryを含む磁束発生面FRとの内角θが180°未満の場合も含む。
請求項2に記載の発明(図12参照)は、請求項1に記載の磁気刺激装置Aにおいて、
前記一方のU字形コア50Lの脚部51Lx・51Lyの先端面52Lx・52Lyを含む磁束発生面FLと、前記他方のU字形コア50Rの脚部51Rx・51Ryの先端面52Rx・52Ryを含む磁束発生面FRとの内角θが140°以上、180°未満の範囲内に形成されていることを特徴とする。
本発明の磁気刺激装置Aの磁束発生面FL/FRの前記内角θは180°未満〜140°で作られている。請求項1のように内角θが180°の場合、上記磁束発生面FL/FRは重なりあってフラットな1枚の面(このフラットな面も磁束発生面とし符合Fで表す。)であるから、浅いV形の下顎を持つ患者の下顎には沿い難いが、前記内角θが140°以上、180°未満(好ましくは、150°〜165°)の範囲内にした場合、前記内角θは顎の角度に合わせて浅いV形に形成されることになる。これにより、浅いV形の下顎を持つ患者の下顎に磁気刺激装置Aの磁束発生面FL・FRを平行に沿わせることが出来る。また、必然的に顎の正中線が、FLとFRとの交差線上に位置することになるため、治療毎にほぼ同一な位置への磁気刺激を行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明(図13、図14参照)は、請求項1に記載の磁気刺激装置Aにおいて、
前記ケース1は2分割された左側ケース部1Lと、右側ケース部1Rと、前記左側ケース部1Lと右側ケース部1Rの隣接辺に設けられ、前記左側ケース部1Lと右側ケース部1Rとを繋ぐ左右接続部分30とで構成され、
前記左右接続部分30には前記磁束発生面FL・FRの前記内角θを調整する内角調整機構44が設けられ、
前記一方のU字形コア50Lが左側ケース部1Lに収納され、他方のU字形コア50Rが右側ケース部1Rに収納されていることを特徴とする。
上記内角調整機構44により、前記面FL・FRの内角θを患者の下顎(或いは患部)の形状に簡単に合わせることができる。
請求項4に記載の発明(図15、図16参照)は、請求項3に記載の磁気刺激装置Aにおいて、
前記ケース1は、左側ケース部1Lと右側ケース部1Rと、前記左/右側ケース部1L/1Rから分離された接続部40とで構成され、
前記接続部40は、その本体から側方に伸び、前記左側ケース部1L及び前記右側ケース部1Rを前記接続部40に対して近接位置又は離間位置に保持する保持アーム部41L/41Rとで構成されていることを特徴とする。
この場合、左側ケース部1L及び前記右側ケース部1Rが、接続部40に対して近接・離間可能に設置されているので、位置(角度と間隔)が異なるモーターポイントMpL/MpRを有する様々な患者に対してU字形コア50L/50Rの中心を常にモーターポイントMpL/MpR合致させることが出来るように磁気刺激装置Aを調整できる。
請求項5に記載の発明(図4〜図7)は、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置Aにおいて、
一方の導体65xは、並設されたU字形コア50L/50Rの一方の脚部51Lx/51Rx周囲を一体として取り囲むように巻かれ、
他方の導体65yは、前記U字形コア50L/50Rの他方の脚部51Ly/51Ryの周囲を一体として取り囲むように巻かれていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明(図8、図9)は、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置Aにおいて、
一方の導体65Lは、一方のU字形コア50Lの各脚部51Lx・51Lyの周囲を取り囲むように個別に巻かれ、
他方の導体65Rは、他方のU字形コア50Rの各脚部51Rx・51Ryの周囲を取り囲むように個別に巻かれていることを特徴とする。
図3のように磁束発生面Fがフラットな面の場合、図4に示す巻き方ではU字形コア50の脚部51と導体65とは直角に配置されることになるが、それ以外の場合では、磁束発生面FL/FRの内角θに角度が発生するので、U字形コア50の脚部51と導体65との間には該内角θの半分の角度が生じる。この角度は僅かであり、実用上差支えない範囲のものである。
請求項7に記載の発明(図17)は、請求項1〜6のいずれかに記載の磁気刺激装置Aにおいて、すべての導体65が直列接続されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明(図10)は、請求項1〜7のいずれかに記載の磁気刺激装置Aの励磁方法で、
U字形コア50L/50Rを励磁する導体65へ励磁電流を間欠的に流し、並設された一対のU字形コア50L/50Rにおいて、一方のU字形コア50Lの一方の脚部51Lx(51Ly)とこれに相隣り合う他方のU字形コア50Rの一方の脚部51Rx(51Ry)が同極に励磁されることを特徴とする。
即ち、相隣り合う脚部51Lx/51Rxを同じN極(又はS極)に励磁すると、必然的に反対側の相隣り合う脚部51Ly/51Ryをその反対の極性S極(又はN極)に励磁される。このような励磁方法を取ることにより、渦電流ULx・ULy/URx・URyがモーターポイントMpL/MpRで合流してこれを横切ることになるので、その強度を局所的に倍化させることが出来る。加えて、この励磁方法によれば、一方のコア先端面52Lより発する磁束の変化は、モーターポイントMpRにおける渦電流を強める方向に働き、同様に他方のコア先端面52Rから発する磁束の変化も、モーターポイントMpLにおける渦電流を強める方向に働くため、単独のコアで磁束を発生した場合よりも大きな渦電流をモーターポイントMpL/MpRに誘導することができる。
請求項9に記載の発明(図11)はその他の例である。
請求項1〜7のいずれかに記載の磁気刺激装置Aの励磁方法で、
U字形コア50L/50Rを励磁する導体65へ励磁電流を間欠的に流し、並設された一対のU字形コア50L/50Rの、一方のU字形コア50Lの一方の脚部51Lx(51Ly)とこれに相隣り合う他方のU字形コア50Rの一方の脚部51Rx(51Ry)を異極に励磁することを特徴とする。
即ち、脚部51LxをN極(又はS極)に励磁し、これに相隣り合う脚部51Rxを反対のS極(又はN極)に励磁する。
一対のU字形コア50Lの他方の脚部51Lyはこの時、当然、S極(又はN極)となり、他方のU字形コア50Rの他方の脚部51Lyは、当然、N極(又はS極)になる。
この時、渦電流ULx・ULy/URx・Uryの方向が正中線CLを中心線として反対称に流れる。これにより、左・右側のU字形コア50L/50Rの中心に一致する左・右のモーターポイントMpL/MpRでそれぞれ合流する渦電流ULx・ULy/URx・URyが同方向に流れてお互いに強め合い倍化する。
また、この正中線CLを中心線として対称に流れる渦電流ULx・ULy/URx・Uryにより磁気刺激によって誘導される生体の誘発反応(筋肉の動き等)の対称性が高くなる。例えば、舌骨上筋群への刺激を例にとれば、左右の頤舌骨筋、顎二腹筋の均等な筋収縮を同時に得ることができ、これらに接続した舌骨の正中線上に沿った適正な挙上を得ることができる。嚥下動作の再建においては、左右対称な筋収縮が得られることは非常に重要である。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の磁気刺激装置Aの励磁方法において、
U字形コア50L/50Rを励磁する導体65へ励磁電流を間欠的に流し、この間欠的に流される励磁電流の電流方向を励磁サイクル毎に間欠的に反転させることを特徴とする。
神経は渦電流Uの方向によって刺激感度が異なる。従って、励磁電流の電流方向を間欠的に反転させることで、渦電流Uの電流方向も間欠的に反転する。これにより間欠的ではあるが、神経の適切な刺激付与が可能となる。
本発明によれば、下顎に広く存在する嚥下作用を司る筋群、その他、正中線の両側に対称に存在する、腹直筋やその他の筋、運動神経(モーターポイント)などを簡易且つ個別に磁気刺激することができる。
本発明の磁気刺激装置を患者の下顎に当てた状態を示す側断面図である。 図1を下から見た正面図である。 本発明の磁気刺激装置の第1実施例の斜視図である。 図3の内部構造の概略を底側から見た斜視図である。 図3の縦断面図である。 図5を表示断面(CP面)にて直角方向に切った縦断面図である。 図3の蓋部を取った状態の平面図である。 図3の変形例の内部構造の概略を底側から見た斜視図である。 図8において蓋部を取った状態の平面図である。 本発明の磁気方式による治療時に下顎に発生した渦電流の模式図である。 本発明の他の磁気方式による治療時に下顎に発生した渦電流の模式図である。 本発明の磁気刺激装置の第2実施例の斜視図である。 本発明の磁気刺激装置の第3実施例の斜視図である。 図13で、蓋部の一部を切り取った状態の平面図である。 本発明の磁気刺激装置の第4実施例の斜視図である。 図15で、蓋部を外した状態の平面図である。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。まず、本発明の磁気刺激装置Aの適用部位は、体の中心(正中線)に対して左右対称に存する患部{例えば、嚥下動作を司る舌骨上筋群、舌骨下筋群、その他の腹直筋、僧帽筋、広背筋、その他、脊髄に局在するCPG(中枢パターン生成器)、及びCPGと各筋をつなぐ運動神経}などである。
以下、嚥下障害を代表例として説明することとし、まず、通常の嚥下動作に付いて説明する(図1、図2参照)。
咽頭76の上部入口には鼻腔77と口腔78が繋がっており、咽頭76の下部出口は喉頭79と食道90に繋がっている。
呼吸時には鼻腔77から入った空気は、咽頭76を経て喉頭79に送られ、気管88を通って肺に送られる。
これに対して嚥下時には、口腔78内で咀嚼された食物や水或いは液状栄養物などの食塊は咽頭76に送られ、後述するように食道90を経由して胃に送られる。
咽頭76ではこのように空気と食塊が通過するため、呼吸と嚥下とを仕分ける筋の制御ができなくなると、気管88に食塊が誤進入して誤嚥を生じる。この点を更に詳述する。
食物を咀嚼し、その食塊を嚥下すると上記のように該食塊が咽頭76を機械的に刺激することで嚥下作用を誘発する。そして、該食塊は口腔78から喉頭蓋谷81に入り、誘発された該嚥下作用により、直下の喉頭蓋軟骨82に接続している筋83が反転して喉頭蓋84が気管88の入口を塞ぎ、同時に口腔78から咽頭76を経て食道90に至るように通路が切り替わり、これにより食塊が口腔78から食道90へスムーズに流れ落ちる。
食塊が気管88に入らないようにするために、嚥下反射により瞬時に気管88に繋がる喉頭79の入口がタイミングよく喉頭蓋84で蓋される必要がある。このような嚥下作用は、上記舌骨上筋群70や図示していない舌骨下筋群、上咽頭収縮筋その他さまざまな筋が非常に短い時間でタイミングよく作動することで行われる。
これは脳の延髄にある嚥下中枢によって制御される。それ故、脳卒中の後遺症、高齢化、神経疾患、口腔や咽頭の形態異常など様々な疾患により咽頭枝或いは咽頭枝から嚥下中枢に至る神経系統、嚥下中枢から嚥下を司る筋群(特に、頤舌骨筋、顎二腹筋(前腹)及び顎舌骨筋などを含む舌骨上筋群70)に至る神経系統に障害が発生した場合、嚥下障害を発生する。該舌骨上筋群70は、体の中心線である正中線CLの両側に存在し、左側の舌骨上筋群を70L、右側の舌骨上筋群を70Rで表す。
そこで、本発明に係る磁気刺激装置Aを用い、例えば嚥下障害においては、嚥下作用を司る上記舌骨上筋群70L・70R(ここではこの部分をモーターポイントMpL/MpRとする。)にパルス的な刺激を間欠的に与え、モーターポイントMpL/MpRを間欠的に収縮させることで障害の起きている神経系統やこれらが繋がっている咽頭相に刺激を与え、嚥下機能を賦活させようとするものである。
上記左右のモーターポイントMpL/MpRは、図2のように患者の顎の中心(正中)線CLに対して左右に広がって存在している。これらの位置は多分に個人差があり一定ではない。この左右のモーターポイントMpL/MpRに磁気刺激を与えるために、左右のモーターポイントMpL/MpRの直下に左右のU字形コア50L/50Rの中心が来るようにすることが好ましい。加えてこの場合にその先端面52Lx・52Ly/52Rx・52Ryを含む磁束発生面F(又はFL/FR)がモーターポイントMpL/MpRの直上表皮に出来る限り正対するようにすることが好ましい。
次に、本発明に係る嚥下障害治療のような局所磁気刺激用の磁気刺激装置Aを図示実施例に従って説明する。以下は本発明の実施例をより具体的に説明するものであるが、これら実施例は説明のための単なる例示であって、本発明はこれら実施例に何等制限されるものではない。なお、本発明の実施例の説明において、簡略化のために同じ機能のものは同じ符号(アラビア数字及びアルファベット)を付してその説明を省略する。そして前記同じ符号(アラビア数字)を付したもので左右一対の場合、説明上これを区別する必要がある場合は、その符号にL(左を意味する)・R(右を意味する)を付ける。また、当該左右一対のもので、同様の機能を有する部分が前後に存在し、これを区別する必要がある場合は、L・Rに続けてx(前)・y(後)を付ける。
嚥下障害治療に当たっては、磁気刺激装置Aの磁気発生面Fを図1、図2に示すように下顎表皮に沿わせて保持する。この時、下歯槽神経72などを刺激することなく嚥下動作を司る、左右のモーターポイントMpL/MpRだけを刺激できるようにするようにする必要がある。そのためには上記のようにモーターポイントMpL/MpRの直下にU字形コア50L/50Rがそれぞれ来るようにする。更には上記のように正対させるようにすることが好ましい。
図3〜図9は、本発明の磁気刺激装置Aの第1実施例で、磁気刺激装置Aの下顎に沿わせる面、即ち、磁束発生面Fが平らな面の場合であり、図12(第2実施例)が下顎の形に沿うように磁束発生面Fを浅いV字形に形成した場合、図13、図14(第3実施例)が前記磁束発生面Fの内角度θを可変にした場合、図15、図16(第4実施例)がこれに加えてU字形コア50L/50Rの間隔を可変できるようにした場合である。上記の例は単なる一例である。
以下、第1実施例から説明する。第2実施例以下については、第1実施例と同様の機能を有する部分については同じ符号を付し、第1実施例の説明を援用するものとする。
(第1実施例)
磁気刺激装置Aの主要部分は、左右一対の同一形状のU字形コア50と、U字形コア50の脚部51に巻着される導体65であり、これらは樹脂やセラミック等の非金属を材料としたケース1に収納されている。
U字形コア50は薄い絶縁被膜付きのU形の圧延ケイ素鋼板やアモルファス箔体等の磁性体を多数枚積層したもの、或いはU形に曲げたものを多数枚積層したものである。本実施例で使用した圧延ケイ素鋼板は、厚さが0.35mmのものである。このU字形コア50で、導体65を巻き付ける平行部分をそれぞれ脚部51とし、その先端面を52で表す。このU字形コア50の一対の脚部51の中心を通る1つの面を、表示断面(CP面)とする。磁束発生面F(FL/FR)は表示断面(CP面)に対して直交する。上記表示断面(CP面)がモーターポイントMpL/MpR上に一致することが治療効果を高める点で好ましい。
本発明では、U字形コア50は左右一対で用いられるので、区別する必要がある場合には既に述べたように、一方をU字形コア50L、他方をU字形コア50Rとする。そしてこのU字形コア50の脚部51はそれぞれ前後に2箇所あるので、区別する必要がある場合はそれぞれを51Lx・51Ly/51Rx・51Ryとする。また、U字形コア50の脚部51の先端面52を個別に表わす必要がある場合、それぞれ52Lx・52Ly/52Rx・52Ryとする。
この一対のU字形コア50は並設してケース1内に収納されるが、一対のU字形コア50は、図4〜図6に示すように、その脚部51の先端面52は同じ方向に向けてケース1内に平行に、且つ四角形の角に位置するように並べて収納されている。
なお、上記「同じ方向」の内容は、「完全に同一の方向」を意味せず、下記に述べる脚部51Rx・51Ryの先端面52Rx・52Ryを含む磁束発生面FRとの内角θが180°未満の場合も含む。
これら脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryの配置関係は、符号xで示す前側の脚部51Lx/51Rx、符号yで示す後側の脚部51Ly/51Ryが隣接し、脚部51Lx・51Ry、脚部51Ly・51Rxが対角にあるものとする。そしてそれぞれの先端面52Lx・52Ly/52Rx・52Ryは平坦に形成されている。これら先端面52Lx/52Ly/52Rx・52Ryは1枚の面に含まれ、この面を前述の磁束発生面Fとする(図5)。
導体65は、銅やアルミ等の非磁性金属の帯材、或いはリッツ線(エナメル線を撚り合わせたもの)を材料とした。帯材を使用した場合、その厚みは0.4〜1.5mm、幅5.0〜15.0mm、巻き数はそれぞれ5〜15巻きとし、長尺の銅帯をコイル状に巻回した。帯材を使用した場合の絶縁被膜はポリアミドイミド樹脂を用い、導体65の表面の放熱を妨げないように薄くした。本実施例では絶縁被膜の厚みは20μmとした。なお、本実施例では、導体65は、長尺の銅帯をコイル状に巻き付けたものとしたが、これに限られず、図示していないが、上記リッツ線を巻いたものでもよい。
U字形コア50の脚部51への導体65の巻き付け方法は次に述べるように様々な形態が取られる。
第1の巻き方の形態は、図7に示すように、隣接して平行に設けられた一対のU字形コア50L/50Rの前側で隣接する脚部51Lx/51Rx同士を一体としてその周囲に導体65xが巻き付けられ、後側の脚部51Ly/51Ry同士を一体としてその周囲に導体65yがそれぞれ巻き付けられる場合である。
この場合、導体65x・65yは別個の部材を用いてU字形コア50の当該部分に巻き付け、然る後、直列接続してもよいが、一本の帯材(或いは、リッツ線)を連続的に巻きつけるようにしてもよい。この巻き方によれば、U字形コア50Lと50R間の距離が短い場合には、使用する導体長を最小限に抑えることが可能であるため、総重量が軽量になり、加えて発熱量および消費電力が小さくなるメリットがある。
第2の巻き方の形態は、図8、図9に示すように、一方のU字形コア50Lの前側の脚部51Lxに導体65Lを巻き付け、続いて後側の脚部51Lyに独立して巻き付ける。他方のU字形コア50Rも同様で、その前側の脚部51Rxに導体65Rを巻き付け、続いて後側の脚部51Ryに独立して巻き付ける。この場合も、導体65L/65Rは別個の部材を用いてU字形コア50L/50Rの当該部分に独立して巻き付け、然る後、直列接続してもよいが、一本の帯材(或いは、リッツ線)を連続的に巻きつけるようにしてもよい。この巻き方によれば、導体65Lと導体65Rが分離しているため、それぞれを独自に動かすことが可能であり、加えてU字形コア50L・50Rのそれぞれの励磁の方向やタイミングを独立して制御することが可能である。
導体65の脚部51への巻き方向および接続方法は、図10又は図11に示すような渦電流ULx・ULy/URx・Uryが患部に発生する方向に巻かれ、接続される。
ケース1は、上記のように磁気刺激装置Aが様々な形態を取るため、それに適応した形状になっている。
第1実施例のケース1は樹脂製(ここではABS製)で、上面が開口したケース本体3と、その上面開口を閉塞する蓋部5とで構成されている。ケース本体3は左側収納部3Lと右側収納部3Rに分かれており、導体65がそれぞれ巻着された一対のU字形コア50を平行な状態で収納する。
患部に接触する蓋部5には4個の四角形(正方形或いは長方形)の凸部6が蓋部5の四隅の内側に凸設されている。そして導体65は上記のような脚部51に対する上記2つの巻設状態を保持できるように4つの凸部6を取り巻くようにして蓋部5内に嵌め込まれて固定されている。ケース本体3に蓋部5を取り付けると、左・右側収納部3L・3Rにそれぞれ収納されたU字形コア50L/50Rの脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryの上端部分がこの凸部6の下面凹穴に一致して嵌め込まれ、導体65がその周囲を取り囲む。
上記の場合は、蓋部5に導体65を取り付けた例であるが、先にU字形コア50に導体65を巻き付け、これをケース1に嵌め込むようにしてもよい。
導体65の保持方法は図示しない固定部材(或いは接着)による。
上記左・右側収納部3L・3Rにそれぞれ収納されたU字形コア50L/50Rの先端面52Lx・52Ly/52Rx・52Ryは既に述べたように、1つの面(磁束発生面F)に含まれるように保持されている。そして、ケース1内には図示しないサーモスタットが設置されており、内部温度が設定温度以上になると導体65への通電を停止するようになっている。
なお、蓋部5の4つの凸部6の上面を共通して含む面、及び蓋部5の上面も上記磁束発生面Fに平行なので、便宜的にこれらの面も磁束発生面Fと言うことがある。
次に、本磁気刺激装置A(第1実施例)を使用した嚥下障害治療方法について説明する。図1、図2に示すように磁気刺激装置Aの蓋部5側を患者の下顎に沿わせ、左右のU字形コア50L/50Rの中心が左右のモーターポイントMpL/MpRに一致するようにセットする。換言すれば、左右のU字形コア50L/50Rの脚部51・51Lx・51Ly/51Rx・51Ryが左右のモーターポイントMpL/MpRを夫々跨ぐようにセットする。
この状態で導体65に一定のサイクルで直流パルス電流を連続して通電すると、左右のU字形コア50L/50Rが連続して一定のサイクルでパルス状に励磁される。Gは磁力線を示す。
図10の場合、隣同士の前側の脚部51Lx/51Rxは同じN極になり、もう一つの後側の隣り同士の脚部51Ly/51Ryは反対のS極に励磁される。
前者の脚部51Lx/51Rxの周囲に発生する渦電流ULx/URxは同方向(時計方向)に流れ、もう一つの後ろ側に隣同士の脚部51Ly/51Ryの周囲に発生する渦電流ULy/URyは前者と反対方向(反時計方向)に流れる。従って、U字形コア50L/50Rの脚部51Lx・51Ly/51Rx・51Ryの間では、渦電流ULx・ULy/URx・URyが合流し、渦電流は倍になる。加えて、一方のコア先端面52Lより発する磁束の変化は、モーターポイントMpRにおける渦電流を強める方向に働き、同様に他方のコア先端面52Rから発する磁束の変化も、モーターポイントMpLにおける渦電流を強める方向に働くため、単独のコアで磁束を発生した場合よりも大きな渦電流をモーターポイントMpL/MpRに誘導することができる。この合流渦電流は、患部の筋(この場合ではモーターポイントMpL/MpR)に対してほぼ直角に横切り、2倍の強度の磁気刺激を集中して左右のモーターポイントMpL/MpRに与える。他の部分の渦電流はこれに比べて大幅に弱い。
この合流点PL・PRを顎の左右に分かれたモーターポイントMpL/MpRに一致させれば、1個のコアを使用して左右に分かれたモーターポイントMpL/MpRの間(正中線上)を主に刺激する場合に比べてモーターポイントMpL/MpRを強い渦電流で直接刺激することができ、より効果的に刺激できる。
図11は、もう一つの渦電流Uの発生のさせ方で、隣同士の前側の脚部51Lx/51Rxを異極になるように励磁した場合である。(当然、隣同士の後側の脚部51Ly/51Ryも異極になる。)
即ち、前側の脚部51Lx/51RxがN(S)極の場合、後側の脚部51Ly/51RyはS(N)極となる。
一方のU字形コア50Lの前側の脚部51Lxと他方のU字形コア50Rの後側の脚部51Ryの周囲には同じ方向(時計方向)の渦電流ULx・URyが流れ、残る一方のU字形コア50Lの後側の脚部51Lyと他方のU字形コア50Rの前側の脚部51Rxの周囲には前記渦電流ULx・URyとは逆方向(時計方向)のの渦電流URx・ULyが流れる。
従って、一方のU字形コア50Lにおける合流点PLの渦電流ULx/ULy、他方のU字形コア50Rにおける合流点PRの渦電流URx/URyは共に同じ方向に流れ、図10の場合と同様、渦電流Uの強度を倍化させる。
また、この正中線CLを中心線として対称に流れる渦電流ULx・ULy/URx・Uryにより磁気刺激によって誘導される生体の誘発反応(筋肉の動き等)の対称性が高くなる。この対称性により、例えば、舌骨上筋群への刺激を例にとれば、左右の頤舌骨筋、顎二腹筋の均等な筋収縮を同時に得ることができ、これらに接続した舌骨の正中線上に沿った適正な挙上を得ることができる。嚥下動作の再建においては、左右対称な筋収縮が得られることは非常に重要である。
なお、この場合は図10の場合と異なり、前側の隣り合う渦電流ULx/URx、後側の隣り合う渦電流ULy/URyは正中線上で同じ方向に流れるので、U字形コア50L・50R間の距離が近い場合には、正中線上にある部分に対しても強い磁気刺激を与えることが出来る。
この合流点PL・PRを顎の左右に分かれたモーターポイントMpL/MpRに一致させれば、上記のように1個の場合に比べてより効果的に刺激できる。
なお、上記では渦電流Uが患部の筋(モーターポイントMpL/MpR)に直角に交差して横切るようにする場合と、平行に流れるようにする場合とがあるが、渦電流が患部の筋に直角に交差して横切るように流れる場合の方が、平行に流れる場合より、より大きく収縮する。
上記励磁方法は、一定のサイクルで導体65に励磁パルス電流を流すようになっているが、これに限られず、サイクル毎に励磁パルス電流の流れを反転させるようにしてもよい。これにより、上記脚部51の周囲を流れる渦電流Uの向きが反転する。モーターポイントによっては、モーターポイントを横切る渦電流Uの向きによって感応性が異なる場合がある。そのような場合には上記励磁パルス電流のサイクル毎の反転は、均一な磁気刺激効果を得るのに最適である。
次にケース1の第2実施例(図12)に付いて説明する。一般に下顎の下面は正中線CLを中心にして緩いV形になっていることが多い。従って、刺激対象となるモーターポイントMpL/MpRも顎の下面に沿って正中線を中心にして緩く対称にV形に傾斜している。
上記のように渦電流UがモーターポイントMpL/MpRを横切るように発生させるには、左右のU字形コア50の先端面52を含む磁束発生面)がそれぞれモーターポイントMpL/MpRにそれぞれ正対するようになっていることが好ましい。
ケース1の蓋部5は中央から緩いV形に形成され、一方を左側蓋部分5L、他方を右側蓋部分5Rとする。左側蓋部分5Lと右側蓋部分5Rの表面側の内角θは140〜180°未満(好ましくは、150〜165°)に形成されている。内角θは一般的な人の顎の下面の角度の平均値に合わせられる。
ケース1のケース本体3も蓋部5に合わせて左側収納部3Lと右側収納部3Rとに分けられ、前記内角θに合わせてV形に形成されている。従って、左側収納部3Lと右側収納部3Rとにそれぞれ収納された一方のU字形コア50Lの先端面52Lx・52Rxを含む磁束発生面FLと、一方のU字形コア50Rの先端面52Rx・52Ryを含む磁束発生面FRとの内角θも前記蓋部5の内角θに等しくなり、緩いV形となる。
第2実施例の磁気刺激装置Aを患者の顎の下に配置すれば、磁束発生面FLとFRのなす緩いV型により、必然的に顎の正中線が、FLとFRとの交差線上に位置することになり、患者の顎を最適な位置へ誘導することが可能となる。通電すると上記のようにモーターポイントMpL/MpRに一致して、その直上表皮に正対した左右のU字形コア50L/50RによりモーターポイントMpL/MpRがそれぞれ刺激されることになる。その際、磁束発生面FL・FRとモーターポイントMpL/MpRの直上表皮が、正対し密接に接していることにより先端面52から発する磁束を余すところなく生体内に透過させることが可能である。
上記実施例1,2では患者の下顎の形状をある程度平均化して磁気刺激装置Aの形状を決定したものである。患者の顎の形は千差万別で、顎の角度も一様ではない。ケース1の第3実施例はそのような場合に対応するもので、以下、説明する。
この場合は、ケース1の蓋部5の磁束発生面FL・MRの角度θを可変にできるようにした場合である。これにより、患者の下顎の形状に合わせて蓋部5の角度θを変えることができる。
第3実施例のケース1の一例を図13に示す。図13は単なる一例で、ケース1の蓋部5の磁束発生面FL・FRの角度θを可変にできる構造のもの(例えば、丁番で角度変形部分が接続されているもの)は全て該当する。
図13場合は、ケース1が左右に2分割され、左側の部分を左側ケース部1L、右側の部分を右側ケース部1Rとする。そして、左・右側ケース部1L/1Rの、左右に2分割された蓋部のそれぞれを左側蓋部分5L、右側蓋部分5Rとする。
そして、左・右側蓋部分5L/5Rの対向する辺が丁番状に結合されている。この部分を左右接続部分30とする。
この左右接続部分30における左側辺と右側辺に締結ボルト36が挿通され、締結ボルト36を中心に左・右側ケース部1L/1Rが回転方向に動くことが出来、その内角θを可変できる。締結ボルト36はナットにより左側辺と右側辺との締め付け、緩めが可能である。
使用時は、締結ボルト36を緩めで角度調整可能とし、その状態で患者の下顎に沿わせ、締結ボルト36を締め込むことで内角θの角度が固定される。
この場合、丁番状に結合されている左・右側蓋部分5L/5Rの対向する辺と、締結ボルト46とで、内角調整機構34が構成される。
ケース1の第4実施例に付いて説明する。上記のように患者の顎の形は千差万別で、顎の角度も一様ではなく、舌骨上筋群70L・70Rの位置も一様ではない。更に既に述べたように、舌骨上筋群70L・70R以外の部位(モーターポイント)への刺激に応用できるようにする要望もある。
そこでこの場合は、ケース1の蓋部5の角度θを可変にできるようにし、且つU字形コア50L/50Rの間隔を変えることができるようにした場合である。これにより、患者の顎の形状やモーターポイントMpL/MpRの位置に合わせて蓋部5の磁束発生面FL・FRの内角の角度θと、U字形コア50の先端面52の間隔を変えることができる。
第4実施例のケース1の一例を図15、図16に示す。この場合は、ケース1が左右に分割された左側ケース部1L、右側ケース部1R、及び前記左/右側ケース部1L/1Rから分離された接続部40とで構成されている。左側ケース部1L、右側ケース部1Rにはそれぞれ導体付きのU字形コア50L/50Rが上記実施例と同様に収納されている。
接続部40は、第3実施例の左右接続部分30と同様、左右に2分割された接続部分割体40L/40Rを丁番状に結合し、該接続部分割体40L/40Rに挿通した締結ボルト46にてこれらを角度可変に連結している。締結ボルト46をねじ込んで締め付けると両者が固定され、締結ボルト46を緩めると該接続部40が回転方向に相対的に移動し角度θの調整が可能となる。
この場合も左右に2分割された接続部分割体40L/40Rと締結ボルト46が、内角調整機構44となる。
更にこの接続部40には前記左側ケース部1L及び前記右側ケース部1Rを前記接続部40に対して近接位置又は離間位置に保持する保持アーム部41L/41Rが設けられている。この保持アーム部41L/41Rは左右の側方に伸びたレール42と右側ケース部1Rの前面と背面に水平方向に形成された溝43、及びレール42に設けた固定ネジ48にて構成される。
前記レール42は左側ケース部1L、右側ケース部1Rの前面と背面に水平方向に形成された溝43にスライド可能に取り付けられている。これによりレール42に沿って左側ケース部1L、右側ケース部1Rを近接・離間させることができる。左側ケース部1L、右側ケース部1Rの固定はレール42に設けた固定ネジ48にて固定される。
しかして第4実施例の磁気刺激装置Aの左側ケース部1L、右側ケース部1Rの角度θと離間距離を調節して患者のモーターポイントMpL/MpRに合わせる。然る後、該磁気刺激装置Aの患者の顎の下に沿わせ、通電すると上記のように左右のU字形コア50L/50RによりモーターポイントMpL・MpRがそれぞれ上記の状態で刺激されることになる。
A:磁気刺激装置、CL:中心線(正中線)、CP:表示断面、F:磁束発生面、FL/FR:左右の磁束発生面、MpL・MpR:モーターポイント、U:渦電流、ULx・ULy/URx・URy:左右のU字形コアの脚部に発生する渦電流、θ:左右の磁束発生面の内角
1:ケース、1L/1R:左・右側ケース部、3:ケース本体、3L:左側収納部、3R:右側収納部、5:蓋部、5L:左側蓋部分、5R:右側蓋部分、6:凸部、30:左右接続部分、34:内角調整機構、36:締結ボルト、40:接続部、40L/40R:接続部分割体、41L/41R:保持アーム部、42:レール、43:溝、44:内角調整機構、46:締結ボルト、48:固定ネジ、50、50L/50R:U字形コア、51、51Lx・51Ly/51Rx・51Ry:脚部、52、52Lx・52Ly/52Rx・52Ry:先端面、65・65x・65y(又は65L・65R):導体、70・70L・70R:舌骨上筋群、72:下歯槽神経、74:下顎、75:舌骨、76:咽頭、77:鼻腔、78:口腔、79:喉頭、81:喉頭蓋谷、82:喉頭蓋軟骨、83:喉頭蓋軟骨に接続している筋、84:喉頭蓋、88:気管、90:食道

Claims (10)

  1. 左右一対のU字形コアと、
    前記U字形コアの前後の脚部に巻着され、前記U字形コアを励磁する導体と、
    前記導体がそれぞれ巻着された前記一対のU字形コアを並設し、且つそれらの脚部を同じ方向に向けて収納するケースとで構成されたことを特徴とする磁気刺激装置。
  2. 一方のU字形コアの脚部の先端面を含む磁束発生面と、前記他方のU字形コアの脚部の先端面を含む磁束発生面との内角θが140°以上、180°未満の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気刺激装置。
  3. ケースは2分割された左側ケース部と、右側ケース部と、前記左側ケース部と右側ケース部の隣接辺に設けられ、前記左側ケース部と右側ケース部とを繋ぐ左右接続部分とで構成され、
    前記左右接続部分には前記磁束発生面の前記内角を調整する内角調整機構が設けられ、
    前記一方のU字形コアが左側ケース部に収納され、他方のU字形コアが右側ケース部に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気刺激装置。
  4. ケースは、左側ケース部と右側ケース部と、前記左/右側ケース部から分離された接続部とで構成され、
    前記接続部は、その本体から側方に伸び、前記左側ケース部及び前記右側ケース部を前記接続部に対して近接位置又は離間位置に保持する保持アーム部とで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気刺激装置。
  5. 一方の導体は、並設されたU字形コアの一方の脚部の周囲を一体として取り囲むように巻かれ、
    他方の導体は、前記U字形コアの他方の脚部の周囲を一体として取り囲むように巻かれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置。
  6. 一方の導体は、一方のU字形コアの各脚部の周囲を取り囲むように個別に巻かれ、
    他方の導体は、他方のU字形コアの各脚部の周囲を取り囲むように個別に巻かれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気刺激装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の磁気刺激装置において、すべての導体が直列接続されていることを特徴とする磁気刺激装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の磁気刺激装置の励磁方法で、
    U字形コアを励磁する導体へ励磁電流を間欠的に流し、並設された一対のU字形コアにおいて、一方のU字形コアの一方の脚部とこれに相隣り合う他方のU字形コアの一方の脚部が同極に励磁されることを特徴とする磁気刺激装置の励磁方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の磁気刺激装置の励磁方法で、
    U字形コアを励磁する導体へ励磁電流を間欠的に流し、並設された一対のU字形コアの、一方のU字形コアの一方の脚部とこれに相隣り合う他方のU字形コアの一方の脚部を異極に励磁することを特徴とする磁気刺激装置の励磁方法。
  10. 請求項8又は9に記載の磁気刺激装置の励磁方法において、
    U字形を励磁する導体へ励磁電流を間欠的に流し、この間欠的に流される励磁電流の電流方向を励磁サイクル毎に間欠的に反転させることを特徴とする磁気刺激装置の励磁方法。
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