実施例に係るスイッチング回路1について図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例に係るスイッチング回路1は、直流電源100と、平滑コンデンサ90と、インバーター80と、制御装置50とを備えている。このスイッチング回路1は、モータ200に接続されている。モータ200は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用のモータである。
スイッチング回路1における直流電源100は、正極101と負極102を備えている。直流電源100は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池である。直流電源100の電圧は、例えば200V〜400Vである。直流電源100は、平滑コンデンサ90を介してインバーター80に接続されている。直流電源100は、インバーター80を介してモータ200に接続されている。直流電源100は、インバーター80を介してモータ200に電力を供給する。平滑コンデンサ90は、直流電源100とインバーター80の間に配置されている。平滑コンデンサ90は、直流電源100の電圧を平滑化する。
インバーター80は、直流電源100とモータ200の間に配置されている。インバーター80は、直流電源100の直流電力を交流電力に変換してモータ200に供給する。インバーター80は、複数の第1スイッチング素子10と、複数のダイオード60とを備えている。また、インバーター80は、複数の第2スイッチング素子20と、複数の抵抗体30と、複数の電圧センサ40とを備えている。インバーター80は、複数の第1スイッチング素子10がオン/オフすることによって、直流電力を交流電力に変換する。
以下では、インバーター80における1個の第1スイッチング素子10と、1個のダイオード60と、1個の第2スイッチング素子20と、1個の抵抗体30と、1個の電圧センサ40とについて説明する(図2参照)。その他の複数の第1スイッチング素子10と、複数のダイオード60と、複数の第2スイッチング素子20と、複数の抵抗体30と、複数の電圧センサ40については、以下で説明する内容と同様なので詳細な説明を省略する。
インバーター80における第1スイッチング素子10は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、または、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)である。第1スイッチング素子10は、直流電源100に接続されている。第1スイッチング素子10には、図示しない複数のセルが形成されている。例えば、第1スイッチング素子10には、複数のIGBTセル、または、複数のMOSFETセルが形成されている。
図2に示すように、第1スイッチング素子10は、第1ゲート11と、第1コレクタ12と、第1エミッタ13とを備えている。第1ゲート11の電位がオン電位になると、第1スイッチング素子10がオンになる。第1ゲート11の電位がオフ電位になると、第1スイッチング素子10がオフになる。第1ゲート11のオフ電位は、第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13との間にチャネルが形成されず、電流が流れない程度の電位である。
第1コレクタ12は、直流電源100の正極101側に接続されている。第1エミッタ13は、直流電源100の負極102側に接続されている。第1ゲート11の電位がオン電位になると、第1コレクタ12から第1エミッタ13へ電流が流れる(第1エミッタ13から第1コレクタ12へ電子が移動する。)。
ダイオード60は、還流ダイオードである。ダイオード60は、第1スイッチング素子10と逆並列で直流電源100に接続されている。
第2スイッチング素子20は、例えばIGBT、または、MOSFETである。第2スイッチング素子20は、第1スイッチング素子10と並列で直流電源100に接続されている。第2スイッチング素子20には、図示しない複数のセルが形成されている。例えば、第2スイッチング素子20には、複数のIGBTセル、または、複数のMOSFETセルが形成されている。
第2スイッチング素子20は、第2ゲート21と、第2コレクタ22と、第2エミッタ23とを備えている。第2ゲート21の電位がオン電位になると、第2スイッチング素子20がオンになる。第2ゲート21の電位がオフ電位になると、第2スイッチング素子20がオフになる。第2ゲート21のオフ電位は、第2スイッチング素子20の第2コレクタ22と第2エミッタ23との間にチャネルが形成されず、電流が流れない程度の電位である。
第2コレクタ22は、直流電源100の正極101側に接続されている。第2コレクタ22は、第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と電極(図示省略)を共有している。第2エミッタ23は、直流電源100の負極102側に接続されている。第2ゲート21の電位がオン電位になると、第2コレクタ22から第2エミッタ23へ電流が流れる(第2エミッタ23から第2コレクタ22へ電子が移動する。)。
第1スイッチング素子10と第2スイッチング素子20では、内部に形成されているセルの数が異なっている。第1スイッチング素子10におけるセルの数は、第2スイッチング素子20におけるセルの数より多い。例えば、第1スイッチング素子10におけるセルの数は、第2スイッチング素子20におけるセルの数の100倍である。そのため、第1スイッチング素子10を流れる電流は、第2スイッチング素子20を流れる電流より大きい。例えば、第1スイッチング素子10を流れる電流は、第2スイッチング素子20を流れる電流の100倍である。
抵抗体30の一端部31は、第2スイッチング素子20の第2エミッタ23に接続されている。抵抗体30の他端部32は、直流電源100の負極102側に接続されている。抵抗体30は、第2スイッチング素子20と直列で直流電源100に接続されている。
電圧センサ40は、抵抗体30に印加される電圧を検出する。電圧センサ40は、抵抗体30の一端部31と他端部32に接続されている。電圧センサ40は、抵抗体30と並列で第2スイッチング素子20に接続されている。
図1に示すように、スイッチング回路1には、寄生インダクタンス70が形成されている。寄生インダクタンス70は図1において仮想的に示されている。寄生インダクタンス70は、スイッチング回路1における本来の要素ではないが、スイッチング回路1に含まれている他の要素に起因して不可避的に形成されている。例えば、寄生インダクタンス70は、スイッチング回路1における平滑コンデンサ90、バスバー、導線(いずれも図示せず)等に起因して形成されている。また、スイッチング回路1には、直流電源100を含まない閉回路71が形成されている。閉回路71は、少なくとも、第1スイッチング素子10と、第2スイッチング素子20と、抵抗体30と、寄生インダクタンス70とを含んでいる。
次に、上記のスイッチング回路1の動作について説明する。上記のスイッチング回路1では、制御装置50が、インバーター80における複数の第1スイッチング素子10をオン/オフする。そうすると、直流電源100から出力される直流電力がインバーター80によって交流電力に変換されてモータ200に供給される。以下では、インバーター80における1個の第1スイッチング素子10と、1個の第2スイッチング素子20と、1個の抵抗体30と、1個の電圧センサ40に着目して説明する。その他の複数の第1スイッチング素子10と、複数の第2スイッチング素子20と、複数の抵抗体30と、複数の電圧センサ40についても以下で説明する内容が適用される。
上記のスイッチング回路1では、まず、制御装置50が、第1スイッチング素子10の第1ゲート11の電位をオフ電位からオン電位に切り換える。これによって、第1スイッチング素子10がオンになる。第1スイッチング素子10がオンになると、第1コレクタ12と第1エミッタ13を通じて第1スイッチング素子10に電流が流れる。
また、上記のスイッチング回路1では、制御装置50が、第2スイッチング素子20の第2ゲート21の電位をオフ電位からオン電位に切り換える。制御装置50は、第1ゲート11の電位と第2ゲート21の電位とを同じオン電位にする。また、制御装置50は、第1ゲート11の電位と第2ゲート21の電位とを同じタイミングでオン電位に切り換える。したがって、第1スイッチング素子10と第2スイッチング素子20とが同じタイミングでオンになる。第2スイッチング素子20がオンになると、第2コレクタ22と第2エミッタ23を通じて第2スイッチング素子20に電流が流れる。
また、第2スイッチング素子20がオンになると、第2スイッチング素子20に直列で接続されている抵抗体30に電圧が印加されて抵抗体30に電流が流れる。抵抗体30に印加される電圧は、電圧センサ40によって検出される。電圧センサ40は、抵抗体30の一端部31と他端部32の間の電圧を検出する。電圧センサ40によって検出された電圧は、電圧センサ40から制御装置50へ送信される。
制御装置50は、電圧センサ40によって検出される電圧に基づいて、抵抗体30に流れる電流を演算する。また、制御装置50は、抵抗体30に流れる電流に基づいて、第2スイッチング素子20に流れる電流を演算する。また、制御装置50は、第2スイッチング素子20に流れる電流に基づいて、第1スイッチング素子10に流れる電流を演算する。制御装置50は、下記の式(1)、(2)及び(3)に基づいて各値を演算する。下記の式(1)において、I30は、抵抗体30に流れる電流である。また、V30は、抵抗体30に印加される電圧である。また、R30は、抵抗体30の抵抗である。この抵抗R30は、例えば設計条件等によって定まる既知の値である。また、下記の式(2)において、I20は、第2スイッチング素子20に流れる電流である。また、下記の式(3)において、I10は、第1スイッチング素子10に流れる電流である。下記の式(3)は、第1スイッチング素子10に流れる電流が、第2スイッチング素子20に流れる電流の100倍である場合における計算式である。
続いて、第1スイッチング素子10と第2スイッチング素子20とがオフになるタイミングについて図3を参照して説明する。スイッチング回路1の制御装置50は、図3に示すように、第1ゲート11の電位と第2ゲート21の電位とが同じオン電位にされている状態から、まず時刻t1において、第2ゲート21の電位をオフ電位に切り換える。より詳細には、制御装置50が、第2ゲート21の電位を、第2エミッタ23の電位と同じ電位に切り換える。これによって、第2ゲート21の電位がオフ電位になる。第2ゲート21の電位がオフ電位になると、第2スイッチング素子20がオフになる。したがって、第2スイッチング素子20に電流が流れなくなる。
また、第2スイッチング素子20には、図4に示すように、第2スイッチング素子20の第2コレクタ22と第2エミッタ23の間に、第1寄生容量41が形成されている。第1寄生容量41は図4において仮想的に示されている。第1寄生容量41は、スイッチング回路1における本来の機能要素ではないが、第2スイッチング素子20に不可避的に形成される。
同様に、第2スイッチング素子20には、第2スイッチング素子20の第2コレクタ22と第2ゲート21の間に、第2寄生容量42が形成されている。第2寄生容量42は図4において仮想的に示されている。第2寄生容量42は、スイッチング回路1における本来の機能要素ではないが、第2スイッチング素子20に不可避的に形成される。
第1寄生容量41と第2寄生容量42は、第2スイッチング素子20において並列で形成される。また、第2スイッチング素子20は、第1スイッチング素子10と並列で設けられている。そのため、第1寄生容量41と第2寄生容量42は、第1スイッチング素子10と並列で設けられる。その結果、第1寄生容量41と第2寄生容量42には、第1スイッチング素子10に印加されている電圧とほぼ同じ電圧が印加される。なお、第1スイッチング素子10に印加される電圧と第2スイッチング素子20に印加される電圧とは、第1寄生容量41と第2寄生容量42に直列で接続されている抵抗体30に印加される電圧の分だけ差があるが、直流電源100の電圧に比べて非常に小さいので、その差は無視できる。
第1寄生容量41と第2寄生容量42には、電圧が印加されることによって電荷が蓄えられる。各電荷は、下記の式(4)、(5)及び(6)に基づいて演算される。下記の式(4)において、Q41は、第1寄生容量41に蓄えられる電荷である。また、C41は、第1寄生容量41の静電容量である。この静電容量C41は、例えば設計条件等によって定まる既知の値である。また、Vxは、第1寄生容量41と第2寄生容量42に印加されている電圧である(すなわち、第1スイッチング素子10に印加されている電圧である。)。また、下記の式(5)において、Q42は、第2寄生容量42に蓄えられる電荷である。また、C42は、第2寄生容量42の静電容量である。この静電容量C42は、例えば設計条件等によって定まる既知の値である。また、下記の式(6)において、Qsは、第1寄生容量41と第2寄生容量42に蓄えられる電荷の合計である。
引き続いて、第1スイッチング素子10がオフになるタイミングについて説明する。制御装置50は、図3に示すように、第2スイッチング素子20をオフにした後に、時刻t2において、第1スイッチング素子10の第1ゲート11の電位をオン電位からオフ電位に切り換える。時刻t2は時刻t1より後の時刻である。第1ゲート11の電位がオフ電位になると、第1スイッチング素子10がオフになる。したがって、第1スイッチング素子10に電流が流れなくなる。
時刻t2では、第1スイッチング素子10がオンからオフに切り換わることによって、第1スイッチング素子10に電流が流れている状態から、第1スイッチング素子10に電流が流れていない状態に変化し、第1スイッチング素子10に直流電源100の電圧が印加される。加えて、スイッチング回路1における寄生インダクタンス70に起因して起電力が生じる。寄生インダクタンス70に流れる電流が変化することによって起電力が生じる。その結果、第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13の間に起電力に起因する電圧が印加される。
第1スイッチング素子10がオンであるときには、第1スイッチング素子10には第2スイッチング素子20と比較して大きな電流が流れている。そのため、第1スイッチング素子10がオンからオフに切り換わると、第2スイッチング素子20がオンからオフに切り換わる場合と比較して大きな起電力が生じる。その結果、図3に示すように、第1スイッチング素子10がオンからオフに切り換わると、第1スイッチング素子10に大きなサージ電圧Vsが印加される。
第1スイッチング素子10がオフになり、第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13の間に印加される電圧が変化すると、抵抗体30に印加される電圧も変化する。抵抗体30に印加される電圧は、電圧センサ40によって検出される。また、第1スイッチング素子10がオフになると、第1寄生容量41と第2寄生容量42に蓄えられる電荷量が変化するため、図1に示す閉回路71に電流が流れる。そのため、閉回路71に含まれている抵抗体30に電流が流れる。
続いて、上記のスイッチング回路1では、制御装置50が、第1スイッチング素子10をオフにした後に、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を時間積分する。制御装置50は、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を、第1スイッチング素子10をオフにした時刻t2から、所定時刻txまで時間積分する。これによって、制御装置50は、第1スイッチング素子10をオフにした後に、所定時刻txにおいて第1スイッチング素子10に印加される電圧を演算する。より詳細には、制御装置50は、下記の式(7)、(8)、(9)及び(10)に基づいて、所定時刻txにおいて第1スイッチング素子10に印加される電圧を演算する。下記の式(7)において、dQs/dtは、第1寄生容量41と第2寄生容量42に蓄えられる電荷の合計Qsの時間微分であり、第1寄生容量41と第2寄生容量42から流れる電流である。すなわち、dQs/dtは、第1寄生容量41と第2寄生容量42に直列で接続されている抵抗体30に流れる電流I30である。下記の式(7)、(8)、(9)及び(10)において、V30、R30、C41、C42及びVxについては、上述したので詳細な説明を省略する。
以上によって、所定時刻txにおいて第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13との間に印加される電圧Vxが算出される。その後、制御装置50は、第1スイッチング素子10と第2スイッチング素子20を再びオンにする。
制御装置50は、上記の式(7)、(8)、(9)及び(10)に基づいて、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの最大値を演算することもできる。例えば、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxが時刻t3において最大値になる場合は、制御装置50は、上記の式(10)において、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を、時刻t2から時刻t3まで時間積分する。これによって、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの最大値が算出される。
第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの最大値に対応する時刻t3は、例えば、抵抗体30に印加される電圧が最初に正の値から負の値になる時刻に基づいて算出される。また、制御装置50は、上記の式(10)に基づいて時間積分した値を監視することによって、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの最大値を特定してもよい。
以上、実施例に係るスイッチング回路1について説明した。上記の説明から明らかなように、スイッチング回路1は、直流電源100と、直流電源100に接続されている第1スイッチング素子10と、第1スイッチング素子10と並列で直流電源100に接続されている第2スイッチング素子20とを備えている。また、スイッチング回路1は、第2スイッチング素子20と直列で直流電源100に接続されている抵抗体30と、抵抗体30に印加される電圧を検出する電圧センサ40と、制御装置50とを備えている。第2スイッチング素子20と抵抗体30とは、第1スイッチング素子10に流れる電流を測定するために設けられている。第1スイッチング素子10は、第1ゲート11と、直流電源100の正極101側に接続されている第1コレクタ12と、直流電源100の負極102側に接続されている第1エミッタ13とを備えている。第2スイッチング素子20は、第2ゲート21と、直流電源100の正極101側に接続されている第2コレクタ22と、直流電源100の負極102側に接続されている第2エミッタ23とを備えている。上記のスイッチング回路1では、第1スイッチング素子10に流れる電流が第2スイッチング素子20に流れる電流より大きく、第1スイッチング素子10の第1ゲート11の電位と第2スイッチング素子20の第2ゲート21の電位とが同じオン電位にされている状態から、制御装置50が、第2ゲート21の電位をオフ電位にすることによって第2スイッチング素子20をオフにする。その後に、制御装置50は、第1ゲート11の電位をオフ電位にすることによって第1スイッチング素子10をオフにする。制御装置50は、第1スイッチング素子10をオフにした後に電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を時間積分することによって、第1スイッチング素子10をオフにした後に第1コレクタ12と第1エミッタ13との間に印加される電圧を演算する(式(10)参照)。
上記のスイッチング回路1によれば、第2スイッチング素子20と抵抗体30とを利用して、第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13との間に印加される電圧Vxを測定することができる。すなわち、上記のスイッチング回路1によれば、制御装置50が第2スイッチング素子をオフにすると、第2スイッチング素子20が第1寄生容量41と第2寄生容量42との合成容量として動作する。第1寄生容量41と第2寄生容量42に蓄えられる電荷Qsは、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxに比例する値になる(式(6)参照)。その結果、第1寄生容量41と第2寄生容量42から流れる電流は、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの時間微分に比例する値になる(式(7)参照)。そのため、制御装置50が第2スイッチング素子20をオフにした後に、抵抗体30に流れる電流I30は、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの時間微分に比例する値になる(式(7)参照)。そこで、制御装置50が、第1スイッチング素子10をオフにした後に、抵抗体30に印加される電圧V30(電圧センサ40によって検出される電圧)に比例する値を時間積分することによって、第1スイッチング素子に印加される電圧Vxを演算することができる(式(8)から(10)参照)。この構成によれば、追加の構成(例えば、コンデンサ)が無くても、既存の第2スイッチング素子20と抵抗体30を利用して第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxを測定することができる。そのため、第1スイッチング素子10に印加されるサージ電圧Vsを簡易な構成で測定することができる。測定された電圧Vx(あるいはVs)は、例えば、制御装置50において利用される。例えば、制御装置50が複数の第1スイッチング素子10をオン/オフするタイミングを調整するために、上記で測定された電圧Vx(あるいはVs)が利用される。
また、上記のスイッチング回路1では、制御装置50が、第2スイッチング素子20をオフにする前に電圧センサ40によって検出される電圧に基づいて、第1スイッチング素子10に流れる電流を演算する(上記の式(1)から(3)参照)。そのため、制御装置50が第2スイッチング素子20をオフにする前には、既存の第2スイッチング素子20と抵抗体30とを利用して、第1スイッチング素子10に流れる電流I10を測定することができる。また、制御装置50が第1スイッチング素子10をオフにした後には、既存の第2スイッチング素子20と抵抗体30とを利用して、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxを測定することができる。そのため、電流測定用の構成を電圧測定用の構成に流用することができ、追加の構成が無くても、第1スイッチング素子10に印加される電圧を測定することができる。
また、上記のスイッチング回路1では、制御装置50が、第1スイッチング素子10をオフにした後に第1コレクタ12と第1エミッタ13との間に印加される電圧Vxの最大値を演算する。そのため、第1スイッチング素子10に最も負担がかかるとき(最も耐圧が要求されるとき)の電圧Vxを測定することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
他の実施例では、制御装置50が、演算した第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxを補正係数に基づいて補正してもよい。この場合は、制御装置50は、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を時間積分する際に、図3に示すように、電圧センサ40によって検出される電圧が安定する所定時刻t4まで時間積分する。これによって、所定時刻t4において第1スイッチング素子10に印加されている電圧Vxが算出される。
続いて、制御装置50は、演算した電圧Vx(所定時刻t4において第1スイッチング素子10に印加されている電圧Vx)と、直流電源100の電圧とに基づいて補正係数を演算する。より詳細には、制御装置50は、下記の式(11)に基づいて、補正係数を演算する。下記の式(11)において、Aは、補正係数である。また、V100は、直流電源100の電圧である。また、Vxt4は、所定時刻t4において第1スイッチング素子10に印加されている電圧Vxである。
続いて、制御装置50は、演算した補正係数Aに基づいて、演算した電圧Vx(所定時刻txにおいて第1スイッチング素子10に印加されている電圧Vx)を補正する。より詳細には、制御装置50は、下記の式(12)に基づいて、演算した電圧Vxを補正する。下記の式(12)において、Vxは、所定時刻txにおいて第1スイッチング素子10に印加される電圧である。また、Vxcは、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの補正後の値である。制御装置50は、例えば、下記の式(12)に基づいて、第1スイッチング素子10に印加される電圧Vxの最大値を補正することができる。
以上のように、他の実施例では、制御装置50が、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を所定時刻t4まで時間積分することによって、所定時刻t4において第1スイッチング素子10の第1コレクタ12と第1エミッタ13との間に印加される電圧Vxt4を演算し、演算した電圧Vxt4と直流電源100の電圧V100とに基づいて補正係数Aを演算する(式(11)参照)。また、制御装置50は、その補正係数Aに基づいて電圧Vxの最大値を補正する(式(12)参照)。
スイッチング回路1が何度も使用されると、経年変化によってスイッチング回路1の各要素の特性が変化することがある。その結果、電圧センサ40によって検出される電圧にバラツキが生じることがある。上記の構成によれば、演算される電圧Vxの最大値のバラツキを補正係数Aによって補正することができる。
(その他の実施例)
上記の実施例では、制御装置50が、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を、第1スイッチング素子10をオフにした時刻t2から、所定時刻まで時間積分していた。他の実施例では、制御装置50が、電圧センサ40によって検出される電圧に比例する値を、第2スイッチング素子20をオフにした時刻t1から、所定時刻まで時間積分してもよい。時刻t1から時刻t2までの間に抵抗体30に印加される電圧(電圧センサ40によって検出される電圧)は略0(ゼロ)Vであるので、制御装置50が時刻t1から時間積分を実行した場合と、時刻t2から時間積分を実行した場合とで略同じ値が算出される。
また、制御装置50が積分を実行するときの積分方法は特に限定されない。例えば、制御装置50が、電圧センサ40によって検出される電圧を高速でAD変換して変換値を累計してもよい。また、例えば、抵抗体30に印加される電圧が、別途の変換回路によって電流に変換されてもよい。そして、変換後の電流が別途のコンデンサに充電されてもよい。制御装置50は、別途のコンデンサに蓄えられている電荷に基づいて積分を実行してもよい。
上記の実施例では、第1スイッチング素子10と第2スイッチング素子20について、コレクタとエミッタを備える構成として説明したが、コレクタとエミッタをドレインとソースに読み替えても同様である。
上記の実施例では、抵抗体30が第2スイッチング素子20の第2エミッタ23に接続されていたが、この構成に限定されず、抵抗体30が第2スイッチング素子20の第2コレクタ22に接続されていてもよい。この場合は、抵抗体30の一端部31が直流電源100の正極101側に接続されており、抵抗体30の他端部32が第2スイッチング素子20の第2コレクタ22に接続されている。
上記の実施例では、制御装置50が、第2スイッチング素子20をオフにする際に、第2スイッチング素子20の第2ゲート21の電位を第2エミッタ23の電位と同じ電位にしていたが、必ずしも第2エミッタ23の電位と同じ電位にしなくてもよい。第2スイッチング素子20がオフになるのであれば、制御装置50が、第2スイッチング素子20の第2ゲート21の電位を第2エミッタ23の電位と異なる電位にしてもよい。
本明細書が開示する技術要素について、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
制御装置は、第2スイッチング素子をオフにする前に電圧センサによって検出される電圧に基づいて、第1スイッチング素子に流れる電流を演算してもよい。
この構成によれば、制御装置が第2スイッチング素子をオフにする前には、既存の第2スイッチング素子と抵抗体とを利用して、第1スイッチング素子に流れる電流を測定することができる。また、制御装置が第1スイッチング素子をオフにした後には、既存の第2スイッチング素子と抵抗体とを利用して、第1スイッチング素子の第1コレクタと第1エミッタとの間に印加される電圧を測定することができる。そのため、電流測定用の構成を電圧測定用の構成に流用することができ、追加の構成が無くても、第1スイッチング素子の第1コレクタと第1エミッタとの間に印加される電圧を測定することができる。
制御装置は、第1スイッチング素子をオフにした後に第1コレクタと第1エミッタとの間に印加される電圧の最大値を演算してもよい。
この構成によれば、第1スイッチング素子に最も負担がかかるとき(最も耐圧が要求されるとき)の電圧を測定することができる。
制御装置は、電圧センサによって検出される電圧に比例する値を所定時刻まで積分することによって、所定時刻において第1スイッチング素子の第1コレクタと第1エミッタとの間に印加される電圧を演算し、演算した電圧と直流電源の電圧とに基づいて補正係数を演算し、その補正係数に基づいて前記最大値を補正してもよい。
スイッチング回路が何度も使用されると、経年変化によってスイッチング回路の各要素の特性が変化することがある。その結果、電圧センサによって検出される電圧にバラツキが生じることがある。上記の構成によれば、演算される電圧の最大値のバラツキを補正係数によって補正することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。