JP2019138388A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】つぶし代を減少させることなく拡張力を低減させることができ、もって摺動時に発生する摺動抵抗を小さくすることができる密封装置を提供する。【解決手段】互いに対向し相対移動する二部材のうちの一方の部材51の対向面51aに設けた装着溝52に装着されて他方の部材53の対向面53aに摺動可能に接触する密封装置1であって、ゴム状弾性体により環状に形成され、装着溝52の溝底面52aに対向する径方向一方の周面1aと、他方の部材53の対向面53aに摺動可能に接触する断面円弧形の径方向他方の周面1bと、軸方向一方の端面1cと、軸方向他方の端面1dとを備える密封装置1において、軸方向一方の端面1cに開口する環状の凹部2を設け、凹部2と径方向一方の周面1aとの間に環状のシール突起3を設けたことを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、シール技術に係る密封装置に関する。本発明の密封装置は例えば、建機、産機または自動車関連用途の油圧シリンダにおけるピストンシールとして用いられる。
従来から図4に示すように、油圧シリンダにおけるピストン51の外周面51aに設けた装着溝52に装着されてシリンダ53の内周面53aに摺動可能に接触し、高圧側Hから低圧側Lへ圧油などの密封対象が漏れないようにシール機能を発揮する密封装置1が知られている。
密封装置1は、ゴムまたはウレタン等のゴム状弾性体により環状に形成されている。また密封装置1は、装着溝52の溝底面52aに対向する円筒面状の内周面1aと、シリンダ53の内周面53aに摺動可能に接触する断面円弧形の外周面1bと、軸直角平面状の高圧側端面1cおよび低圧側端面1dとを備え、断面D字形状に形成されている。
上記密封装置1は、シリンダ53の内周面53aに対するつぶし代を設定するため、装着溝52に装着されたときに径方向に圧縮され、このとき発生する拡張力(反発力)によってシリンダ53の内周面53aに押し付けられ、シール機能を発揮する。
しかしながら、往復動用途として用いられるスクィーズパッキンタイプの密封装置1では、リップパッキンタイプの密封装置と比較してつぶし代が大きく設定されるため、これに伴って拡張力も大きく設定されることになる。したがって摺動時に発生する摺動抵抗が大きくなり(摺動抵抗=拡張力×摩擦係数)、摺動発熱が大きくなったり摺動摩耗が生じ易くなったりすることが懸念される。
尚、密封装置1の断面積を小さくすることで、つぶし代が減少することから摺動抵抗を小さくすることが可能となるが、この場合には、シール性が低下することが懸念される。
本発明は以上の点に鑑みて、つぶし代を減少させることなく拡張力を低減させることができ、もって摺動時に発生する摺動抵抗を小さくすることができる密封装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の密封装置は、互いに対向し相対移動する二部材のうちの一方の部材の対向面に設けた装着溝に装着されて他方の部材の対向面に摺動可能に接触する密封装置であって、ゴム状弾性体により環状に形成され、前記装着溝の溝底面に対向する径方向一方の周面と、前記他方の部材の対向面に摺動可能に接触する断面円弧形の径方向他方の周面と、軸方向一方の端面と、軸方向他方の端面とを備える密封装置において、前記軸方向一方の端面に開口する環状の凹部を設け、前記凹部と前記径方向一方の周面との間に環状のシール突起を設けたことを特徴とする。
また、実施の態様として、上記記載の密封装置において、前記シール突起に前記径方向一方の周面よりも径方向に突出する突出部を設けることにより前記シール突起を前記溝底面に対し角度を持って接触するシールリップとして形成したことを特徴とする。
上記構成を備える本発明では、密封装置の端面に開口するように凹部が設けられ、凹部と周面との間にシール突起が設けられているため、装着溝に対する密封装置の充填率が低下するとともに、装着溝に密封装置を装着したときにシール突起が容易に変形することが可能とされる。したがって、つぶし代を減少させることなく拡張力を低減させることができ、もって摺動時に発生する摺動抵抗を小さくすることができる。したがって摺動発熱が大きくなったり摺動摩耗が生じ易くなったりする懸念を抑制・解消することができる。
図1、図2および図3に示すように実施の形態に係る密封装置1は、油圧シリンダ装置におけるピストン(請求項1における一方の部材)51の外周面(対向面)51aに設けた装着溝52に装着されてシリンダ(他方の部材)53の内周面(対向面)53aに摺動可能に接触し、これにより軸方向一方の高圧側Hから軸方向他方の低圧側Lへ圧油などの密封対象(図示せず)が漏れないようにシール機能を発揮する。
装着溝52は、環状に形成され、円筒面状の溝底面52aと、軸直角平面状の高圧側溝側面52bおよび低圧側溝側面52cを備えて、断面長方形状に形成されている。
密封装置1は、ゴムまたはウレタン等のゴム状弾性体により環状に形成されている。また密封装置1は、装着溝52の溝底面52aに対向する円筒面状の内周面(径方向一方の周面)1aと、シリンダ53の内周面53aに摺動可能に接触する断面円弧形の外周面(径方向他方の周面)1bと、軸直角平面状の高圧側端面(軸方向一方の端面)1cおよび低圧側端面(軸方向他方の端面)1dを備えて、断面D字形状に形成されている。密封装置1はパッキンとも称され、またその断面形状からしてDリングとも称される。
密封装置1は、環状の凹部2を備えている。凹部2は、高圧側端面1cに開口するようにその深さを軸方向に向けて設定されており、また、高圧側端面1cにおける内周面1a寄りの位置(高圧側端面1cの径方向中央よりも内周側の位置)に設けられている。凹部2はその幅(径方向幅)が凹部開口部から凹部底部へかけて徐々に幅狭となる断面形状に形成されている。凹部2はその断面形状からしてU字溝とも称される。
高圧側端面1cに開口するように凹部2が設けられるのに伴ってこの凹部2と内周面1aとの間に環状のシール突起3が設けられており、このシール突起3は凹部2の深さが軸方向に向けて設定されているのに伴ってその高さを同じく軸方向に向けて設定されている。シール突起3はその幅(径方向幅)が突起先端部から突起基端部へかけて徐々に幅広となる断面形状に形成されている。シール突起3の幅はシール突起3の高さよりも小さく形成されており、よってシール突起3は薄肉状に形成されている。
また、このシール突起3の内周面に、内周面1aよりもさらに内周側へ向けて突出する突出部4が設けられており、これによりシール突起3は、溝底面52aに対し所定の傾斜角度を持って接触するシールリップとして形成されている。突出部4はシールリップにおけるリップ先端として機能する。
密封装置1の幅(軸方向全体幅)w1は、装着溝52の幅(軸方向全体幅)w52よりも小さく形成されている。したがって装着溝52に対する密封装置1の充填率は100%よりも小さく設定されている。
密封装置1の外径d1は、シリンダ53の内径d53よりも大きく形成されている。したがって密封装置1にはシリンダ53の内周面53aに対するしめ代が設定されている。
密封装置1の内径d2は、装着溝52の溝底面52aの径d52と同等に形成されているが、シール突起3は突出部4における内径d3が装着溝52の溝底面52aの径d52よりも小さく形成されている。したがって密封装置1にはシール突起4による溝底面52aに対するしめ代が設定されている。
上記構成の密封装置1においては、その高圧側端面1cに開口するように環状の凹部2が設けられ、凹部2と内周面1aとの間に環状のシール突起3が設けられているため、装着溝52に対する密封装置1の充填率が凹部無しの場合と比較して低下するとともに、装着溝52に密封装置1を装着したときにシール突起3が容易に変形することが可能とされている。したがって、シリンダ53の内周面に対するつぶし代を減少させることなく密封装置1の拡張力(反発力)を低減させることができ、よって摺動時に発生する摺動抵抗を小さくすることができる。したがって摺動発熱が大きくなったり、摺動摩耗が生じ易くなったりするのを抑制・解消することができる。
また、シール突起3が溝底面52aに対し所定の傾斜角度を持って接触するシールリップとして形成されているため、図2に示すように装着溝52に密封装置1を装着すると、密封装置1が全体として斜めに傾き、つぶし量が低下することで、拡張力がさらに低減されることになる。したがって摺動時に発生する摺動抵抗を一層小さくすることができる。
尚、シール突起3による溝底面52aに対するしめ代が設定されているので密封装置1は装着溝52内での挙動が少なく、かつ、外周面1bが断面円弧形(フルR形状)に形成されているため、密封装置1が斜めに傾いたとしても、シリンダ53の内周面53aへの発生面圧形態は大きく変化することがない。したがってシール性への影響が小さいものとされる。
また、図3に示すように、密封対象圧力Pが作用すると、密封装置1が全体として低圧側溝側面52cに押し付けられるとともに(矢印A)、圧力Pが凹部2内へ導入されて凹部2が開かれ、外周面1bがシリンダ53の内周面53aに押し付けられ(矢印B)、シール突起3が溝底面52aに押し付けられる(矢印C)。したがって内外周のそれぞれで接触面圧が高くなってシール面圧が高くなるため、良好なシール性を発揮することができる。
また、図3に示すように、密封装置1が全体として低圧側溝側面52cに押し付けられると、装着溝52内での姿勢が安定するため、これによっても良好なシール性を発揮することができる。
1 密封装置
1a 内周面(径方向一方の周面)
1b 外周面(径方向他方の周面)
1c 高圧側端面(軸方向一方の端面)
1d 低圧側端面(軸方向他方の端面)
2 凹部
3 シール突起
4 突出部
51 ピストン(一方の部材)
51a 外周面(対向面)
52 装着溝
52a 溝底面
52b 高圧側溝側面
52c 低圧側溝側面
53 シリンダ
53a 内周面(対向面)
H 高圧側
L 低圧側
1a 内周面(径方向一方の周面)
1b 外周面(径方向他方の周面)
1c 高圧側端面(軸方向一方の端面)
1d 低圧側端面(軸方向他方の端面)
2 凹部
3 シール突起
4 突出部
51 ピストン(一方の部材)
51a 外周面(対向面)
52 装着溝
52a 溝底面
52b 高圧側溝側面
52c 低圧側溝側面
53 シリンダ
53a 内周面(対向面)
H 高圧側
L 低圧側
Claims (2)
- 互いに対向し相対移動する二部材のうちの一方の部材の対向面に設けた装着溝に装着されて他方の部材の対向面に摺動可能に接触する密封装置であって、
ゴム状弾性体により環状に形成され、前記装着溝の溝底面に対向する径方向一方の周面と、前記他方の部材の対向面に摺動可能に接触する断面円弧形の径方向他方の周面と、軸方向一方の端面と、軸方向他方の端面とを備える密封装置において、
前記軸方向一方の端面に開口する環状の凹部を設け、前記凹部と前記径方向一方の周面との間に環状のシール突起を設けたことを特徴とする密封装置。 - 請求項1記載の密封装置において、
前記シール突起に前記径方向一方の周面よりも径方向に突出する突出部を設けることにより前記シール突起を前記溝底面に対し角度を持って接触するシールリップとして形成したことを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018022855A JP2019138388A (ja) | 2018-02-13 | 2018-02-13 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018022855A JP2019138388A (ja) | 2018-02-13 | 2018-02-13 | 密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019138388A true JP2019138388A (ja) | 2019-08-22 |
Family
ID=67693545
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018022855A Pending JP2019138388A (ja) | 2018-02-13 | 2018-02-13 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019138388A (ja) |
-
2018
- 2018-02-13 JP JP2018022855A patent/JP2019138388A/ja active Pending
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