JP2019137622A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れるポリエステル樹脂の提供。【解決手段】分子構造中に、下記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)と、複数の芳香族エステル構造部位(E)とを有し、軟化点が40〜200℃の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れるポリエステル樹脂、これを含有する硬化性組成物とその硬化物、前記硬化性組成物を用いてなる半導体封止材料、プリント配線基板及びビルドアップフィルムに関する。
半導体や多層プリント基板等に用いられる絶縁材料の技術分野では、各種電子部材の薄型化や小型化に伴い、これらの市場動向に合わせた新たな樹脂材料の開発が求められている。具体的な要求性能としては、硬化物における耐熱性や耐吸湿性、銅箔密着性は勿論のこと、信号の高速化及び高周波数化対策として硬化物における誘電率及び誘電正接値が低いこと、高温条件下での信頼性としてガラス転移温度(Tg)等の物性変化がないこと、薄型化に伴う反りや歪み対策として硬化物における弾性率が高いことや硬化収縮率が低いこと等も重要である。
硬化物における誘電率と誘電正接とが比較的低い樹脂材料として、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂とα−ナフトールとをフタル酸クロライドでエステル化して得られる活性エステル樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として用いる技術が知られている(下記特許文献1参照)。特許文献1記載の活性エステル樹脂は、フェノールノボラック樹脂のような従来型の硬化剤を用いた場合と比較すると、硬化物における誘電率や誘電正接が低い特徴を有するが、昨今の市場要求レベルを満たすものではなく、特に誘電正接の値については一層の低減が求められていた。また、硬化物における弾性率も低く、各種電子部材の薄型化や小型化に対応し得るものではなかった。
特開2004−169021号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れるポリエステル樹脂、これを含有する硬化性組成物とその硬化物、前記硬化性組成物を用いてなる半導体封止材料、プリント配線基板及びビルドアップフィルムを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子構造中にフェノールフタレイン構造或いはそれに類似する化学構造を有するポリエステル樹脂は、硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、分子構造中に、下記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)と、複数の芳香族エステル構造部位(E)とを有し、軟化点が40〜200℃の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂に関する。
Figure 2019137622
(式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
本発明は更に、前記ポリエステル樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いた半導体封止材料に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いたプリント配線基板に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いたビルドアップフィルムに関する。
本発明によれば、硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れるポリエステル樹脂、これを含有する硬化性組成物とその硬化物、前記硬化性組成物を用いてなる半導体封止材料、プリント配線基板及びビルドアップフィルムを提供することができる。
図1は、実施例1で得られたポリエステル樹脂(1)のGPCチャート図である。 図2は、実施例2で得られたポリエステル樹脂(2)のGPCチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、分子構造中に、下記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)と、複数の芳香族エステル構造部位(E)とを有し、軟化点が40〜200℃の範囲であることを特徴とする。
Figure 2019137622
(式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
前記構造式(X−1)、(X−2)中、R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ビニル基、アリル基、メタアリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。前記アリールオキシ基は、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。前記アラルキル基は、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。これらの中でも、硬化物における弾性率や誘電特性、硬化剤との硬化性等の観点から、炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましい。また、l、mが0であることがより好ましい。
前記構造式(X−2)中のRは脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ビニル基、アリル基、メタアリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。前記置換基を有していてもよいアリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。アリール基上の置換基の数は特に限定されず、また、2種以上の置換基を有していてもよい。中でも、硬化物における弾性率や誘電特性等の観点から、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。また、アリール基上の置換基が脂肪族炭化水素基である場合、その炭素原子数は1〜4の範囲であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂において、前記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)は、ジヒドロキシ化合物の残基として存在していてもよいし、ジカルボン酸化合物或いはその誘導体の残基として存在していてもよい。また、ポリエステル樹脂中に存在する構造部位(A)は、そのすべてが同一構造であってもよいし、複数種の構造部位が共存していてもよい。
前記芳香族エステル構造部位(E)とは、芳香環に結合した水酸基と芳香環に結合したカルボキシ基とから形成されるエステル結合部位を指す。このような芳香族エステル構造部位(E)はエポキシ樹脂等の硬化剤との高い反応活性を有する。
本発明のポリエステル樹脂は、硬化物における誘電特性の観点から、分子末端にアリールオキシカルボニル構造(P)又はアリールカルボニルオキシ構造(A)を有することが好ましい。前記アリールオキシカルボニル構造(P)の具体例としては、下記構造式(P)で表される構造部位が挙げられる。また、前記アリールカルボニルオキシ構造(A)の具体例としては、下記構造式(A)で表される構造部位が挙げられる。
Figure 2019137622
[式中Arは置換基を有していてもよいアリール基である。]
前記構造式(P)、(A)中の置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が置換した構造部位等が挙げられる。これら置換基の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。アリール基上の置換基の数は特に限定されず、また、2種以上の置換基を有していてもよい。中でも、硬化物の諸物性に加え、硬化剤や他の樹脂成分との混合性にも優れる活性エステル化合物となることから、置換基を有していてもよいナフチル基であることが好ましい。また、ナフチル基上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、脂肪族炭化水素基の炭素原子数は1〜4の範囲であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、硬化性や硬化物における諸性能のバランスに優れることから、その官能基当量が150〜350g/当量の範囲であることが好ましい。なお、本発明においてポリエステル樹脂中の官能基とは、ポリエステル樹脂中のエステル結合部位とフェノール性水酸基とのことを言う。また、ポリエステル樹脂の官能基当量は、反応原料の仕込み量から算出される値である。
本発明のポリエステル樹脂は、硬化物における弾性率や誘電特性、耐湿熱性、その他諸性能のバランスに優れることから、酸価及び水酸基価が10mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、軟化点が40〜200℃の範囲であることを特徴の一つとする。軟化点がこの範囲にあることにより、ポリエステル樹脂でありながら、エポキシ樹脂等の硬化剤との反応性に優れ、硬化性組成物としての利用が可能となる。更に、前記事項に加え、半導体封止材やプリント配線板用プリプレグ、ビルドアップフィルムに必要となる加熱成型時の流動性に優れることから、その軟化点50〜180℃の範囲であることがより好ましい。なお、本発明において樹脂の軟化点はJIS K7234に基づき測定した値である。
本発明のポリエステル樹脂は、前記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)と、複数の芳香族エステル構造部位(E)とを有し、軟化点が40〜200℃の範囲であれば、その他の具体構造は特に限定されず、多種多様な構造をとり得る。本発明のポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、下記ポリエステル樹脂(I)〜(IV)のようなものが挙げられる。なお、これらはあくまでもポリエステル樹脂の一例であって、本発明のポリエステル樹脂はこれに限定されるものではない。また、ポリエステル樹脂は一種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂(I):芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)、芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)及び分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)のエステル化物であって、前記化合物(a3)が下記構造式(x1)又は(x2)で表される化合物を必須の成分とするポリエステル樹脂
Figure 2019137622
(式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは水素原子、脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
ポリエステル樹脂(II):モノヒドロキシ化合物(a1)、芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)及び分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)のエステル化物であって、前記化合物(a2)が下記構造式(x3)又は(x4)で表される化合物を必須の成分とするポリエステル樹脂
Figure 2019137622
(式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは水素原子、脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。Yは水素原子又はハロゲン原子である。)
ポリエステル樹脂(III):芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)、分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)及び芳香族モノカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a4)のエステル化物であって、前記化合物(a3)が前記構造式(x1)又は(x2)で表される化合物を必須の成分とするポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂(IV):芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)、分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)及び芳香族モノカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a4)のエステル化物であって、前記化合物(a2)が前記構造式(x3)又は(x4)で表される化合物を必須の成分とするポリエステル樹脂
前記ポリエステル樹脂(I)〜(IV)の中でも、硬化物における誘電率や誘電正接がより一層低いものとなることから、前記ポリエステル樹脂(I)又は(II)が好ましい。また、反応原料の入手が容易であることから、前記ポリエステル樹脂(I)が特に好ましい。なお、前記構造式(x1)〜(x4)中のR、R、R、l、mは前記構造式(X−1)、(X−2)中のものと同義である。
以下、前記ポリエステル樹脂(I)の各反応原料について説明する。
前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)の具体例としては、フェノール或いはフェノールの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するフェノール化合物、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するナフトール化合物、アントラセノール或いはアントラセノールの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するアントラセノール化合物等が挙げられる。芳香核上の置換基は前記脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、其々の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)は一種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
これらの中でも、硬化物における弾性率や誘電特性の他、耐熱性や反応性等の諸性能にも優れるポリエステル樹脂となることから、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するナフトール化合物がより好ましい。芳香核上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、脂肪族炭化水素基の炭素原子数は1〜4の範囲であることが好ましい。
前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)は、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸;トリメリット酸等のベンゼントリカルボン酸;ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;これらの酸ハロゲン化物;これらの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物等が挙げられる。前記酸ハロゲン化物は、酸塩化物、酸臭化物、酸フッ化物、酸ヨウ化物等が挙げられる。また、芳香核上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、其々の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらの中でも、硬化物における弾性率や誘電特性の他、耐熱性や反応性等の諸性能にも優れるポリエステル樹脂となることから、イソフタル酸やテレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸又はその酸ハロゲン化物が好ましい。
前記分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)は、前記構造式(x1)又は(x2)で表される化合物(以下「化合物(X)」とする)を必須の成分とする。特に、本願発明が奏する硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れる効果が一層効果的に発現することから、前記化合物(a3)中の化合物(X)の割合が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
この他、前記化合物(X)と併用し得る分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)としては、例えば、各種の芳香族ポリヒドロキシ化合物や、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)の一種乃至複数種を反応原料とするノボラック型樹脂、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)の一種乃至複数種と下記構造式(z−1)〜(z−5)
Figure 2019137622
[式中hは0又は1である。Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかであり、iは0又は1〜4の整数である。Wはビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。Vは炭素原子数1〜4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは1〜4の整数である。]
の何れかで表される化合物(z)とを必須の反応原料とする反応生成物等が挙げられる。
前記構造式(z−1)〜(z−5)中のRは脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基であり、其々の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。
前記各種の芳香族ポリヒドロキシ化合物は、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ポリヒドロキシビフェニル、ポリ(ヒドロキシフェニル)アルカン、その他のビスフェノール化合物等の他、これら化合物の炭素原子上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物等が挙げられる。炭素原子上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、其々の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。
これらの本発明のポリエステル樹脂は、例えば、アルカリ触媒の存在下、40〜65℃程度の温度条件下で各反応原料を混合撹拌する方法により製造することができる。反応は必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。また、反応終了後は水洗や再沈殿等により反応生成物を精製しても良い。
前記アルカリ触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、3.0〜30%程度の水溶液として用いても良い。中でも、触媒能の高い水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。
前記有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒としても良い。
各反応原料の反応割合は得られるポリエステル樹脂の所望の物性等に応じて適宜調整されるが、前記ポリエステル樹脂(I)において特に好ましくは以下の通りである。前記ポリエステル樹脂(I)の製造において、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)、前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)及び前記分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)の反応割合は、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)が有する水酸基のモル数と前記分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)が有する水酸基のモル数との割合が25/75〜85/15となる割合であることが好ましく、35/65〜75/25となる割合であることがより好ましい。また、前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)が有するカルボキシル基又は酸ハライド基の合計1モルに対し、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)とが有する水酸基の合計が0.9〜1.1モルの範囲であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂が前記ポリエステル樹脂(I)である場合、硬化物における弾性率や誘電特性の他、耐熱性や反応性等の諸性能にも優れるポリエステル樹脂となることから、ポリエステル樹脂中に下記構造式(1)
Figure 2019137622
[式中Xは前記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位である。Arは置換基を有していてもよいアリーレン基、Arは置換基を有していてもよいアリール基である。]
で表される化合物を含有することが好ましい。また、ポリエステル樹脂中の当該化合物の含有量は、10〜50%の範囲であることが好ましく、15〜45%の範囲であることがより好ましい。
更に、本発明のポリエステル樹脂は、下記構造式(2)で表される化合物、即ち、前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)と前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)とのジエステル化合物を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂中の当該化合物の含有量は、5〜65%の範囲であることが好ましく、10〜55%の範囲であることがより好ましい。
Figure 2019137622
[式中Arは置換基を有していてもよいアリーレン基、Arは置換基を有していてもよいアリール基である。]
ポリエステル樹脂中の前記構造式(1)で表される化合物の含有量は、下記条件で測定したGPCチャート図の面積比から算出される値である。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8320」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
前記構造式(1)中のArはフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が置換した構造部位等が挙げられる。これら置換基の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。Arは、より具体的には、前記芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)の残基である。したがって、フェニレン基であることが好ましい。
また、前記構造式(1)中のArはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が置換した構造部位等が挙げられる。これら置換基の具体例は前記構造式(X−1)、(X−2)中のR、Rとして例示したもの等が挙げられる。Arは、より具体的には、前記芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)の残基である。したがって、置換基を有していてもよいナフチル基であることが好ましい。また、ナフチル基上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、脂肪族炭化水素基の炭素原子数は1〜4の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記ポリエステル樹脂と硬化剤とを含有する。前記硬化剤は本発明のポリエステル樹脂と反応し得る化合物であれば良く、特に限定なく様々な化合物が利用できる。硬化剤の一例としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、前記分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。より具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;ポリアリーレンエーテル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においてポリエステル樹脂と硬化剤との配合割合は特に限定なく、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整することができる。硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合の配合の一例としては、エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計1モルに対して、前記ポリエステル樹脂中の官能基の合計が0.7〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、更に、一般的なエポキシ樹脂用硬化剤として用いられている各種の化合物を併用してもよい。その具体例としては、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノール樹脂、本発明のポリエステル樹脂以外の活性エステル樹脂等が挙げられる。これらを用いる場合、本発明の効果が十分に発揮されることから、本発明のポリエステル樹脂を含むエポキシ樹脂硬化剤の総質量に対し、本発明のポリエステル樹脂の割合が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂と硬化反応を生じるものであれば特に限定なく、多種多様のものを用いることができる。その具体例としては、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノ−ル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。前記アミン化合物は、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。前記アミド系化合物は、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族二塩基酸やダイマー酸、脂肪酸のカルボン酸化合物とエチレンジアミン等のアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。前記酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。前記フェノール樹脂は、例えば、フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、ジシクロペンタジエン付加型フェノール樹脂、ポリアリーレンエーテル型フェノール樹脂、フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂等が挙げられる。前記活性エステル樹脂は、例えば、前記フェノール樹脂と芳香族ジカルボン酸、フェノール性水酸基含有化合物とのエステル化物、芳香族ジカルボン酸とフェノール性水酸基含有化合物とのエステル化物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びその他のエポキシ樹脂用硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計1モルに対して、前記ポリエステル樹脂及びその他のエポキシ樹脂用硬化剤中の官能基の合計が0.7〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、この他、シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリリン酸エステルやリン酸エステル−カーボネート共重合体等を含有しても良い。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の硬化性組成物は必要に応じて硬化促進剤、難燃剤、無機質充填材、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の各種添加剤を含有しても良い。
前記硬化促進剤は、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。中でも、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン化合物では4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。
前記難燃剤は、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤等が挙げられる。これら難燃剤を用いる場合は、硬化性組成物中0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。
前記無機質充填材は、例えば、本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合などに配合される。前記無機質充填材は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。中でも、無機質充填材をより多く配合することが可能となることから、前記溶融シリカが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ、硬化性組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は硬化性組成物100質量部中、0.5〜95質量部の範囲で配合することが好ましい。
この他、本発明の硬化性組成物を導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
以上詳述した通り、本発明のポリエステル樹脂は、硬化物における弾性率が高く、誘電特性にも優れる特徴を有する。この他、汎用有機溶剤への溶解性や、エポキシ樹脂との硬化性、耐吸湿性、保存安定性、基剤密着性等、樹脂材料に求められる一般的な要求性能も十分に高いものであり、プリント配線基板や半導体封止材料、レジスト材料等の電子材料用途の他、塗料や接着剤、成型品等の用途にも広く利用することができる。
本発明の硬化性組成物をプリント配線基板用途やビルドアップ接着フィルム用途に用いる場合、一般には有機溶剤を配合して希釈して用いることが好ましい。前記有機溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶剤の種類や配合量は硬化性組成物の使用環境に応じて適宜調整できるが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、不揮発分が40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。ビルドアップ接着フィルム用途では、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、不揮発分が30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物を用いてプリント配線基板を製造する方法は、例えば、硬化性組成物を補強基材に含浸し硬化させてプリプレグを得、これと銅箔とを重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。前記補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。硬化性組成物の含浸量は特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。
本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合、一般には無機質充填材を配合することが好ましい。本発明のポリエステル樹脂と硬化剤、無機質充填剤、及びその他の任意成分を含有する半導体封止材料は、例えば、押出機、ニーダー、ロール等を用いて配合物を混合して調製することができる。得られた半導体封止材料を用いて半導体パッケージを成型する方法は、例えば、該半導体封止材料を注型或いはトランスファー成形機、射出成型機などを用いて成形し、更に50〜200℃の温度条件下で2〜10時間加熱する方法が挙げられ、このような方法により、成形物である半導体装置を得ることが出来る。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。実施例中の「部」及び「%」の記載は、特に断わりのない限り質量基準である。
本実施例におけるGPC測定条件は以下の通りである。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8320」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
実施例1 ポリエステル樹脂(1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、下記構造式(a)で表される化合物197g、1−ナフトール288g、トルエン2000gを仕込み、フラスコ内を減圧窒素置換ながら内容物を溶解させた。次いで、イソフタル酸クロリド305gを仕込み、フラスコ内を減圧窒素置換ながら内容物を溶解させた。テトラブチルアンモニウムブロマイド1.0gを加えて溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液600gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を続けた。反応混合物を静置して分液し、水層を取り除いた。残った有機層に水を加えて約15分間撹拌混合した後、静置して分液し、水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した後、加熱減圧条件下で乾燥させてポリエステル樹脂(1)を得た。ポリエステル樹脂(1)の官能基当量は226g/当量、JIS K7234に基づいて測定した軟化点は117℃であった。また、ポリエステル樹脂(1)中、前記構造式(1)で表される化合物に相当する成分の含有量はGPCチャート図の面積比から算出される値で41.8%であった。また、前記構造式(2)で表されるジエステル化合物に相当する成分の含有量はGPCチャート図の面積比から算出される値で37.4%であった。ポリエステル樹脂(1)のGPCチャートを図1に示す。
Figure 2019137622
実施例2 活性エステル化合物(2)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、フェノールフタレイン159g、1−ナフトール288g、トルエン2000gを仕込み、フラスコ内を減圧窒素置換ながら内容物を溶解させた。次いで、イソフタル酸クロリド305gを仕込み、フラスコ内を減圧窒素置換ながら内容物を溶解させた。テトラブチルアンモニウムブロマイド1.0gを加えて溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液600gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を続けた。反応混合物を静置して分液し、水層を取り除いた。残った有機層に水を加えて約15分間撹拌混合した後、静置して分液し、水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した後、加熱減圧条件下で乾燥させてポリエステル樹脂(2)を得た。ポリエステル樹脂(2)の官能基当量は214g/当量、JIS K7234に基づいて測定した軟化点は114℃であった。また、ポリエステル樹脂(2)中、前記構造式(1)で表される化合物に相当する成分の含有量はGPCチャート図の面積比から算出される値で30.6%あった。また、前記構造式(2)で表されるジエステル化合物に相当する成分の含有量はGPCチャート図の面積比から算出される値で43.2%であった。ポリエステル樹脂(2)のGPCチャートを図2に示す。
製造例1 ポリエステル樹脂(1’)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、1−ナフトール72g、ジシクロペンタジエン付加型フェノール樹脂(JFEケミカル製「J−DPP−85」、軟化点86℃、水酸基当量:165g/当量)165g、イソフタル酸クロリド152g及びトルエン1000gを仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。テトラブチルアンモニウムブロマイド0.5gを溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液310gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を続けた。反応混合物を静置して分液し、水層を取り除いた。残った有機層に水330gを加えて約15分間撹拌混合した後、静置して分液し、水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した後、加熱減圧条件下で乾燥させてポリエステル樹脂(1’)330gを得た。ポリエステル樹脂(1’)の官能基当量は223g/当量、JIS K7234に基づいて測定した軟化点は150℃であった。
実施例3、4及び比較例1
下記要領で硬化性組成物を調整し、各種評価試験を行った。結果を表1に示す。
硬化性組成物の製造
下記、表1記載の配合に従ってポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びジメチルアミノピリジン(DMAP)配合し、硬化性組成物を得た。
硬化物の作成
硬化性組成物を11cm×9cm×2.4mmの型枠に流し込み、プレス機を用いて180℃で20分間成形した。型枠から成形物を取りだし、更に175℃で5時間硬化させて硬化物を得た。
弾性率の測定
硬化物から幅5mm×長さ54mm×厚み2.4mmサイズの試験片を切り出した。粘弾性測定装置(レオメトリック社製「固体粘弾性測定装置RSAII」)を用い、レクタンギュラーテンション法(周波数1Hz、昇温温度3℃/分)によるDMA(動的粘弾性)測定により試験片の40℃における貯蔵弾性率を測定した。
誘電正接の測定
誘電率及び誘電正接の測定
加熱真空乾燥後、23℃、湿度50%の室内に24時間保管した硬化物について、アジレント・テクノロジー株式会社製インピーダンス・マテリアル・アナライザ「E8362C」を用い、空洞共振法にて誘電正接値を測定した。測定は1GHzと10GHzとの2条件で行い、両値の差(10GHz測定値−1GHz測定値)を周波数依存性として評価した。
Figure 2019137622
(*)エポキシ樹脂:DIC株式会社製「EPICLON 850−S」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量は188g/当量

Claims (9)

  1. 分子構造中に、下記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位(A)と、複数の芳香族エステル構造部位(E)とを有し、軟化点が40〜200℃の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂。
    Figure 2019137622
    (式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは水素原子、脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
  2. 下記構造式(1)
    Figure 2019137622
    [式中Xは前記構造式(X−1)又は(X−2)で表される構造部位である。Arは置換基を有していてもよいアリーレン基、Arは置換基を有していてもよいアリール基である。]
    で表される化合物の含有量が10〜50%の範囲である請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. Arが置換基を有していてもよいナフチル基である請求項2記載のポリエステル樹脂。
  4. 芳香族モノヒドロキシ化合物(a1)、芳香族ポリカルボン酸又はその酸ハロゲン化物(a2)及び分子構造中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(a3)のエステル化物であって、前記化合物(a3)が下記構造式(x1)又は(x2)で表される化合物を必須の成分とするものである請求項1記載のポリエステル樹脂。
    Figure 2019137622
    (式中R、Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかである。l、mはそれぞれ独立に0又は1〜4の整数である。Rは水素原子、脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基である。)
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  6. 請求項5記載の硬化性組成物の硬化物。
  7. 請求項5記載の硬化性組成物を用いた半導体封止材料。
  8. 請求項5記載の硬化性組成物を用いたプリント配線基板。
  9. 請求項5記載の硬化性組成物を用いたビルドアップフィルム。
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