JP2019131761A - 防振ゴム組成物および防振ゴム部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】防振ゴム部材に要求される一定の硬さを維持したまま、低動倍率と高減衰性の両立を実現することが可能な防振ゴム組成物および防振ゴム部材を提供する。【解決手段】塩素化ブチルゴム、ブタジエンゴム、カーボンブラック3、および架橋剤を含有する防振ゴム組成物であって、上記塩素化ブチルゴムをポリマーとするマトリクス相1の中に上記ブタジエンゴムをポリマーとするドメイン2が分散されており、かつ上記カーボンブラック3が上記ドメイン2に偏在している防振ゴム組成物とする。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車,電車等の車両等に用いられる防振ゴム組成物および防振ゴム部材に関するものであり、詳しくは、自動車等のエンジンまたはモーターの支持機能および振動伝達を抑制するためのエンジンマウントやモーターマウント等に使用される防振ゴム組成物および防振ゴム部材に関するものである。
従来、高減衰性と低動倍率を両立させる防振部材として、液体封入式防振装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、液体封入式防振装置は、構造が複雑なために、小型化が困難であり、コストも高く、しかも、防振特性に方向依存性があるといった問題がある。そのため、液体を封入しないタイプの防振ゴム部材で、高減衰性と低動倍率を両立させることが望まれている。
ところが、一般的に、液体を封入しないタイプの防振ゴム部材で減衰性を高めようとすると、動倍率も高くなり、逆に、動倍率を抑えようとすると減衰性も低下する。そのため、従来、液体を封入しないタイプの防振ゴム部材で高減衰性と低動倍率を両立させることは、困難とされてきた。
そのようななか、減衰性のみを高めるため、防振ゴム部材のゴム材料に対し、常温付近にTanδ(減衰率)のピークを有する熱可塑性エラストマーを添加するといった手法(手法−1)や、天然ゴムとハロゲン化ブチルゴムをブレンドした海−島配合を適用するといった手法(手法−2)が検討されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記手法−1に従来使用される、常温付近にTanδのピークを有する熱可塑性エラストマーは、防振ゴム部材の高減衰化を達成するのに充分なものとは言えず、しかも、上記熱可塑性エラストマーがゴム材料と相溶して、防振ゴム部材全体のTanδの低下を招くおそれもある。一方、上記手法−2のように、天然ゴムとハロゲン化ブチルゴムをブレンドする手法では、防振ゴム部材に要求される硬さが得られないことから、カーボンブラック等の充填剤を多量に添加することによって硬さを補てんする必要があり、その結果、防振ゴム部材の動倍率が上がってしまう問題がある。そのため、上記手法−2において、防振ゴム部材に要求される一定の硬さを維持したまま、動倍率を下げることは困難である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、防振ゴム部材に要求される一定の硬さを維持したまま、低動倍率と高減衰性の両立を実現することが可能な防振ゴム組成物および防振ゴム部材の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を含有する防振ゴム組成物であって、下記の(A)成分をポリマーとするマトリクス相の中に下記の(B)成分をポリマーとするドメインが分散されており、かつ下記の(C)成分が上記ドメインに偏在していることを特徴とする防振ゴム組成物を、第一の要旨とする。
(A)塩素化ブチルゴム。
(B)ブタジエンゴム。
(C)カーボンブラック。
(D)架橋剤。
(A)塩素化ブチルゴム。
(B)ブタジエンゴム。
(C)カーボンブラック。
(D)架橋剤。
また、本発明は、上記第一の要旨の防振ゴム組成物の架橋体を備えていることを特徴とする防振ゴム部材を、第二の要旨とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で本発明者は、高減衰性を得ることのみを鑑みれば、前記手法−2のように、ポリマーとして、天然ゴムとハロゲン化ブチルゴムをブレンドするよりも、むしろ、ハロゲン化ブチルゴムを単独で使用するほうがよいとの知見を得た。しかしながら、ハロゲン化ブチルゴムを単独で使用した場合であっても、先に述べたような、防振ゴム部材に要求される一定の硬さが得られない等の問題が依然として残る。そこで、本発明者は、防振ゴム組成物のポリマーとして、ハロゲン化ブチルゴムのなかでも特に高減衰性・低動倍率・硬度のバランスに優れる塩素化ブチルゴムを選択し、これにブタジエンゴムをブレンドするとともに、上記塩素化ブチルゴムがマトリクス相(海相)となり、上記ブタジエンゴムがドメイン(島相)となる海−島構造を示すようにし、さらに、上記ドメインにカーボンブラックを偏在させるようにすることを想起した。その結果、上記塩素化ブチルゴムのマトリクス相により減衰性が充分に高められ、さらに、カーボンブラックが偏在する上記ブタジエンゴムのドメインにより、防振ゴム部材の硬さと低動倍率効果が向上し、飛躍的な性能向上に繋がることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の防振ゴム組成物は、塩素化ブチルゴム(A)、ブタジエンゴム(B)、カーボンブラック(C)、および架橋剤(D)を含有する防振ゴム組成物であって、塩素化ブチルゴム(A)をポリマーとするマトリクス相の中にブタジエンゴム(B)をポリマーとするドメインが分散されており、かつ上記ドメインにカーボンブラック(C)が偏在している。そのため、防振ゴム部材に要求される一定の硬さを維持したまま、低動倍率と高減衰性の両立を実現することが可能となる。そして、本発明の防振ゴム組成物の架橋体を備えている防振ゴム部材は、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、モーターマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振材料として、好適に用いられる。それ以外に、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途にも用いることができる。
特に、上記塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)との割合が、重量比で、(A):(B)=90:10〜60:40の範囲であると、低動倍率と高減衰性の両立が、より良好になされるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の防振ゴム組成物は、先に述べたように、塩素化ブチルゴム(A)、ブタジエンゴム(B)、カーボンブラック(C)、および架橋剤(D)を含有する防振ゴム組成物であって、塩素化ブチルゴム(A)をポリマーとするマトリクス相(海相)の中にブタジエンゴム(B)をポリマーとするドメイン(島相)が分散されており、かつ上記ドメインにカーボンブラック(C)が偏在している。なお、上記防振ゴム組成物中での各成分の分散状態は、模式的に示すと、図1に示す通りであり、図において、1はマトリクス相、2はドメイン、3はカーボンブラックを示す。また、このような海−島構造の識別は、例えば、上記防振ゴム組成物の架橋体断面に対する、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による観察により、行うことができる。図2は、本発明の防振ゴム組成物の架橋体断面の実際の走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製、製品名:NanoscopeV、エリア5×5μm)写真であり、図において、1はマトリクス相、2はドメイン、3はカーボンブラックである。
本発明において、「ドメインにカーボンブラック(C)が偏在」とは、本発明の防振ゴム組成物に含まれる70重量%以上のカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることを意味し、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上のカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることである。そして、最も好ましいのは、本発明の防振ゴム組成物に含まれる100重量%全てのカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることである。
また、本発明において、「ブタジエンゴム(B)」とは、通常のブタジエンゴム(未変性ブタジエンゴム)の他、末端変性されたブタジエンゴムも含む趣旨である。
本発明において、「ドメインにカーボンブラック(C)が偏在」とは、本発明の防振ゴム組成物に含まれる70重量%以上のカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることを意味し、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上のカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることである。そして、最も好ましいのは、本発明の防振ゴム組成物に含まれる100重量%全てのカーボンブラック(C)がドメインに含まれていることである。
また、本発明において、「ブタジエンゴム(B)」とは、通常のブタジエンゴム(未変性ブタジエンゴム)の他、末端変性されたブタジエンゴムも含む趣旨である。
特に、本発明においては、上記ブタジエンゴム(B)として、末端変性されたブタジエンゴムを使用することが好ましい。すなわち、上記ブタジエンゴムとして、末端変性された特殊なグレードのものを使用すると、その末端変性基がカーボンブラック(C)と化学的に結合することにより、ブタジエンゴム(B)の末端とカーボンブラック(C)との間で動倍率の悪化の要因となる摩擦が生じるのを抑えることができると考えられ、より低動倍率化を達成することができるからである。上記ブタジエンゴム(B)の末端変性基としては、カーボンブラック(C)との結合性の観点から、アミノ基、水酸基等があげられる。
上記塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)との割合は、重量比で、(A):(B)=90:10〜60:40の範囲であることが好ましく、より好ましくは、(A):(B)=80:20〜70:30の範囲である。すなわち、このような割合にすると、所望の海−島構造を良好に形成することができ、低動倍率と高減衰性の両立が、より良好になされるようになるからである。
また、本発明の防振ゴム組成物においては、先に述べたように、カーボンブラック(C)が、上記ブタジエンゴム(B)をポリマーとするドメインに偏在するよう含有されている。
上記カーボンブラック(C)としては、例えば、SAF級,ISAF級,HAF級,MAF級,FEF級,GPF級,SRF級,FT級,MT級等の種々のグレードのカーボンブラックが用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記カーボンブラック(C)の含有割合は、本発明の防振ゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、10〜70重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは、20〜50重量部の範囲である。すなわち、上記カーボンブラック(C)の割合が少なすぎると、防振ゴム部材に要求される一定水準の補強性が得られず、上記カーボンブラック(C)の割合が多すぎると、防振ゴムの動倍率が上がってしまう問題があるからである。
本発明の防振ゴム組成物に使用される架橋剤(D)としては、主に塩素化ブチルゴム(A)の架橋剤として作用する硫黄系架橋剤等(D−1)、主にブタジエンゴム(B)の架橋剤として作用する酸化亜鉛等(D−2)、塩素化ブチルゴム(A)およびブタジエンゴム(B)の両方の架橋に関与するアルキルフェノールジスルフィド等(D−3)があげられる。本発明の防振ゴム組成物において、上記D−1に該当する架橋剤は、組成物全体の架橋のため必須であり、上記D−2に該当する架橋剤は、耐熱性の向上を図るため必要である。また、本発明の防振ゴム組成物において、上記D−3に該当する架橋剤は、ゴム架橋体における硬度の上昇、耐熱性の向上、海−島構造の安定化を図るため、配合することが望ましく、なかでも、上記観点から、アルキルフェノールジスルフィドが好ましい。
上記D−1として使用される硫黄系架橋剤としては、例えば、硫黄、塩化硫黄等の硫黄(粉末硫黄,沈降硫黄,不溶性硫黄)や、2−メルカプトイミダゾリン、ジペンタメチレンチウラムペンタサルファイド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記D−1に該当する架橋剤の含有割合は、架橋性等の観点から、塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、0.2〜10重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜4重量部の範囲である。すなわち、上記架橋剤の配合量が少なすぎると、充分な架橋構造が得られず、動倍率、耐へたり性が悪化する傾向がみられ、逆に上記架橋剤の配合量が多すぎると、耐熱性が低下する傾向がみられるからである。
上記D−2に該当する架橋剤の含有割合は、耐熱性等の観点から、塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、0.2〜7重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.25〜5重量部の範囲である。すなわち、上記架橋剤の配合量が少なすぎると、所望の耐熱性能が得られず、逆に上記架橋剤の配合量が多すぎると、ゴム組成物の架橋状態が変化し、防振性や耐へたり性が悪化するからである。
上記D−3に該当する架橋剤の含有割合は、ゴム架橋体における硬度の上昇、耐熱性の向上、海−島構造の安定化等の観点から、塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、1〜20重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは、5〜15重量部の範囲である。
なお、本発明の防振ゴム組成物には、上記各成分に加えて、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセスオイル、加工助剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
上記加硫助剤としては、例えば、モノメタクリル酸金属塩(亜鉛塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、ジメタクリル酸金属塩(亜鉛塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、ステアリン酸、酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記加硫助剤の配合量は、本発明の防振ゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、0.5〜5重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜3重量部の範囲である。
上記加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系,スルフェンアミド系,チウラム系,アルデヒドアンモニア系,アルデヒドアミン系,グアニジン系,チオウレア系等の加硫促進剤があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、架橋反応性に優れる点で、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
上記加硫促進剤の配合量は、本発明の防振ゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、0.5〜7重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
なお、上記チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩(NaMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZnMBT)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NOBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(BBS)、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド等があげられる。
また、上記チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)等があげられる。
上記老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
そして、上記老化防止剤の配合量は、本発明の防振ゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、1〜10重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜5重量部の範囲である。
上記プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
そして、上記プロセスオイルの配合量は、本発明の防振ゴム組成物のポリマーである塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の合計量100重量部に対し、1〜50重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜30重量部の範囲である。
ここで、本発明の防振ゴム組成物は、その必須材料である塩素化ブチルゴム(A)、ブタジエンゴム(B)、カーボンブラック(C)、架橋剤(D)、および必要に応じて上記列記したその他の材料を用いて、これらをニーダー,バンバリーミキサー,オープンロール,2軸スクリュー式撹拌機等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。具体例としては、例えば、架橋剤と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて混練し、ついで、架橋剤と加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて混練することにより行うことができる。なお、上記ブタジエンゴム(B)とカーボンブラック(C)とはなじみがよいため、上記のような条件でゴム組成物の混練を行えば、カーボンブラック(C)は、上記ブタジエンゴム(B)をポリマーとするドメインに偏在させることが可能である。また、本発明の防振ゴム組成物にみられる海−島構造は、上記混練条件よりも、主に塩素化ブチルゴム(A)とブタジエンゴム(B)の割合や粘度による影響が大きい傾向にある。
上記のようにして調製された本発明の防振ゴム組成物は、高温で架橋することにより架橋体(架橋ゴム)となる。上記架橋体を備えている防振ゴム部材は、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等として、好適に用いられる。それ以外に、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途にも用いることができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔CL−IIR〕
塩素化ブチルゴム(ブチルHT1066、JSR社製)
塩素化ブチルゴム(ブチルHT1066、JSR社製)
〔BR〕
末端変性ブタジエンゴム(ニポールBR1250H、日本ゼオン社製)
末端変性ブタジエンゴム(ニポールBR1250H、日本ゼオン社製)
〔NR〕
天然ゴム
天然ゴム
〔ステアリン酸〕
ビーズステアリン酸さくら、日油社製
ビーズステアリン酸さくら、日油社製
〔老化防止剤〕
ノクラック6C、大内新興化学工業社製
ノクラック6C、大内新興化学工業社製
〔ワックス〕
OZOACE0062、日本精蝋社製
OZOACE0062、日本精蝋社製
〔カーボンブラック〕
シーストS、東海カーボン社製
シーストS、東海カーボン社製
〔オイル〕
ダイアナプロセスNM300、出光興産社製
ダイアナプロセスNM300、出光興産社製
〔加硫促進剤〕
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)(サンセラーCZ−G、三新化学社製)
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)(サンセラーCZ−G、三新化学社製)
〔硫黄〕
硫黄、軽井沢精錬所社製
硫黄、軽井沢精錬所社製
〔ZnO〕
酸化亜鉛2種、堺化学工業社製
酸化亜鉛2種、堺化学工業社製
〔架橋剤〕
アルキルフェノールジスルフィド(サンセラーAP、三新化学工業社製)
アルキルフェノールジスルフィド(サンセラーAP、三新化学工業社製)
[実施例1〜8、比較例1〜5]
上記各材料を、後記の表1および表2に示す割合で配合して混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。なお、上記混練は、まず、硫黄、ZnO、架橋剤、加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて140℃で5分間混練し、ついで、硫黄、ZnO、架橋剤、加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて60℃で5分間混練することにより行った。
上記各材料を、後記の表1および表2に示す割合で配合して混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。なお、上記混練は、まず、硫黄、ZnO、架橋剤、加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて140℃で5分間混練し、ついで、硫黄、ZnO、架橋剤、加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて60℃で5分間混練することにより行った。
このようにして得られた実施例および比較例の防振ゴム組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表1および表2に併せて示した。そして、全ての評価が「○」であるものを、総合評価「○」と表記し、一つでも「×」の評価があるものを、総合評価「×」と表記した。
≪初期物性≫
各防振ゴム組成物を、160℃×20分の条件でプレス成形(加硫)して、厚み2mmのゴムシートを作製した。そして、このゴムシートから、JIS5号ダンベルを打ち抜き、このダンベルを用い、JIS K 6251に準拠して、その破断強度(TB)、破断伸び(EB)を測定した。さらに、このゴムシートの硬度を、JIS K 6253に準拠して測定した。
初期物性の評価においては、上記硬度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)が45以上であるものを「〇」と評価し、45未満であるものを「×」と評価した。
各防振ゴム組成物を、160℃×20分の条件でプレス成形(加硫)して、厚み2mmのゴムシートを作製した。そして、このゴムシートから、JIS5号ダンベルを打ち抜き、このダンベルを用い、JIS K 6251に準拠して、その破断強度(TB)、破断伸び(EB)を測定した。さらに、このゴムシートの硬度を、JIS K 6253に準拠して測定した。
初期物性の評価においては、上記硬度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)が45以上であるものを「〇」と評価し、45未満であるものを「×」と評価した。
≪熱老化後の破断伸び変化率≫
上記作製したゴムシートを、100℃雰囲気下で500時間熱老化させた後、上記と同様にして破断伸び(EB)を測定し、初期(熱老化させる前)のゴムシートの破断伸びに対する、熱老化後の破断伸びの減少度合(熱老化後の破断伸びの変化率)(%)を算出した。そして、その減少度合が40%を超える(熱老化後の破断伸びの変化率が−40%よりもマイナスである)ものを「×」と評価し、その減少度合が40%以下(熱老化後の破断伸びの変化率が0〜−40%)のものを「○」と評価した。
上記作製したゴムシートを、100℃雰囲気下で500時間熱老化させた後、上記と同様にして破断伸び(EB)を測定し、初期(熱老化させる前)のゴムシートの破断伸びに対する、熱老化後の破断伸びの減少度合(熱老化後の破断伸びの変化率)(%)を算出した。そして、その減少度合が40%を超える(熱老化後の破断伸びの変化率が−40%よりもマイナスである)ものを「×」と評価し、その減少度合が40%以下(熱老化後の破断伸びの変化率が0〜−40%)のものを「○」と評価した。
≪圧縮永久歪み≫
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。つぎに、JIS K 6262に従い、上記テストピースを25%圧縮させたまま、100℃×500時間後の圧縮永久歪みを測定した。そして、この圧縮永久歪みの値が70%未満であるものを「○」と評価し、70%以上であるものを「×」と評価した。
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。つぎに、JIS K 6262に従い、上記テストピースを25%圧縮させたまま、100℃×500時間後の圧縮永久歪みを測定した。そして、この圧縮永久歪みの値が70%未満であるものを「○」と評価し、70%以上であるものを「×」と評価した。
≪減衰性≫
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。つぎに、JIS K 6385に準じて、周波数15Hzでの損失係数(tanδ)を求めた。そして、この損失係数(tanδ)の値が0.180以上であるものを「○」と評価し、0.180未満のものを「×」と評価した。
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。つぎに、JIS K 6385に準じて、周波数15Hzでの損失係数(tanδ)を求めた。そして、この損失係数(tanδ)の値が0.180以上であるものを「○」と評価し、0.180未満のものを「×」と評価した。
≪動倍率≫
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。このテストピースの動ばね定数(Kd100)および静ばね定数(Ks)を、それぞれJIS K 6394に準じて測定した。その値をもとに、動倍率(Kd100/Ks)を算出した。そして、この値が2.50以下であるものを「○」と評価し、2.50を超えるものを「×」と評価した。
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。このテストピースの動ばね定数(Kd100)および静ばね定数(Ks)を、それぞれJIS K 6394に準じて測定した。その値をもとに、動倍率(Kd100/Ks)を算出した。そして、この値が2.50以下であるものを「○」と評価し、2.50を超えるものを「×」と評価した。
上記表の結果から、実施例のゴム組成物は、高減衰性と低動倍率との両立がなされていることがわかる。しかも、実施例では、初期物性(TB、EB)に優れ、防振ゴム部材に要求される一定の硬さが維持されている。また、実施例のゴム組成物は、熱老化後の破断伸びの変化率、圧縮永久歪み特性に優れることから、耐熱性にも優れている。
なお、実施例のゴム組成物の架橋体の断面を、走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製、製品名:NanoscopeV、エリア5×5μm)により観察したところ、いずれも、図2に示すような、塩素化ブチルゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中にブタジエンゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散されており、かつ上記ドメインにカーボンブラックが偏在する海−島構造が確認された。
なお、実施例のゴム組成物の架橋体の断面を、走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製、製品名:NanoscopeV、エリア5×5μm)により観察したところ、いずれも、図2に示すような、塩素化ブチルゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中にブタジエンゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散されており、かつ上記ドメインにカーボンブラックが偏在する海−島構造が確認された。
これに対し、比較例1〜3のゴム組成物は、天然ゴムと塩素化ブチルゴムとをポリマーとしており、比較例1および2では減衰性が得られておらず、圧縮永久歪み特性にも劣る結果となった。比較例3では防振ゴム部材に要求される一定の硬さが得られず、圧縮永久歪み特性や動倍率特性にも劣る結果となった。比較例4のゴム組成物は、実施例のゴム組成物と同じく、塩素化ブチルゴムとブタジエンゴムをポリマーとするが、減衰性が得られない結果となった。比較例5のゴム組成物は、塩素化ブチルゴムのみをポリマーとしており、防振ゴム部材に要求される一定の硬さが得られず、動倍率特性にも劣る結果となった。
なお、比較例1〜4のゴム組成物の架橋体の断面を、走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製、製品名:NanoscopeV、エリア5×5μm)により観察した。その結果、比較例1および2の架橋体では、天然ゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。ここで、図3は、比較例2のゴム組成物の架橋体断面の実際の走査型プローブ顕微鏡写真であり、図において、1’は天然ゴムをポリマーとするマトリクス相、2’は塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン、3’はカーボンブラックである。また、比較例3の架橋体では、塩素化ブチルゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に天然ゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。また、比較例4の架橋体では、ブタジエンゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。
なお、比較例1〜4のゴム組成物の架橋体の断面を、走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製、製品名:NanoscopeV、エリア5×5μm)により観察した。その結果、比較例1および2の架橋体では、天然ゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。ここで、図3は、比較例2のゴム組成物の架橋体断面の実際の走査型プローブ顕微鏡写真であり、図において、1’は天然ゴムをポリマーとするマトリクス相、2’は塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン、3’はカーボンブラックである。また、比較例3の架橋体では、塩素化ブチルゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に天然ゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。また、比較例4の架橋体では、ブタジエンゴムをポリマーとするマトリクス相(海相)の中に塩素化ブチルゴムをポリマーとするドメイン(島相)が分散された海−島構造が確認された。
本発明の防振ゴム組成物は、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、モーターマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の形成材料として、好適に用いられる。それ以外に、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の形成材料にも用いることができる。
1 マトリクス相
2 ドメイン
3 カーボンブラック
2 ドメイン
3 カーボンブラック
Claims (3)
- 下記の(A)〜(D)成分を含有する防振ゴム組成物であって、下記の(A)成分をポリマーとするマトリクス相の中に下記の(B)成分をポリマーとするドメインが分散されており、かつ下記の(C)成分が上記ドメインに偏在していることを特徴とする防振ゴム組成物。
(A)塩素化ブチルゴム。
(B)ブタジエンゴム。
(C)カーボンブラック。
(D)架橋剤。 - 上記(A)成分と上記(B)成分の割合が、重量比で、(A):(B)=90:10〜60:40の範囲である、請求項1記載の防振ゴム組成物。
- 請求項1または2記載の防振ゴム組成物の架橋体を備えていることを特徴とする防振ゴム部材。
Priority Applications (1)
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JP2018017249A JP2019131761A (ja) | 2018-02-02 | 2018-02-02 | 防振ゴム組成物および防振ゴム部材 |
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2018
- 2018-02-02 JP JP2018017249A patent/JP2019131761A/ja active Pending
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