JP2019130557A - ウィービング制御方法およびウィービング制御システム - Google Patents

ウィービング制御方法およびウィービング制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】能率性を維持しつつ、良好なビード外観および溶接作業性を有し、溶込み不良および溶接欠陥を防止する。【解決手段】2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御方法であって、溶接進行方向に垂直な面において、前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、固定端点は、ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、ウィービング動作は、溶接進行方向から見て、溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、固定端点間を移動する。【選択図】図4

Description

本発明は、すみ肉溶接に用いられる溶接ロボットのウィービング制御方法およびウィービング制御システムに関する。
造船、鉄骨、橋梁等における溶接構造物の製造において、施工法としてすみ肉溶接が適用される箇所が多い。このすみ肉溶接には、一般的にガスシールドアーク溶接が適用され、従来から良好なビード外観、良好な溶接作業性、大きい脚長(大脚長)、溶接欠陥の防止が求められている。特に、脚長は被溶接材の板厚が厚くなる程、大きい脚長が求められるが、ビード外観、良好な溶接作業性、溶接欠陥の防止を考慮すると、1パス溶接では得られる脚長に限界がある。そのため、従来では2パス溶接で脚長を確保しなければならず、能率性が劣るという問題があった。
前述の脚長に係る問題に対し、1パス溶接で大脚長を得ることが出来る方法として、特許文献1では、電極のトーチ角度を下板側から20〜40°、溶接の狙い位置を立板と下板との交点から下板側の距離を0〜5mmとして、ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.2〜1.0%、Mn:1.0〜4.0%、Ti酸化物のTiO換算値:3.0〜6.0%、Si酸化物のSiO換算値:1.0〜4.0%、Fe酸化物のFeO換算値:0.1〜1.0%、Zr酸化物およびZrのZrO換算値の合計:0.2〜1.5%、MgのMgO換算値およびMgOの合計:1.0〜3.5%、AlのAl換算値およびAlの合計:0.05〜0.70%、弗素化合物のF換算値:0.03〜0.30%、Na化合物のNaO換算値およびK化合物のKO換算値の合計:0.05〜0.3%、スラグ形成剤の合計:6.0〜13.0%を含有するフラックス入りワイヤを用いて、1パス溶接で10mm以上の大脚長が得られ、ビード外観が良好で、アンダーカットやオーバーラップ等の表面欠陥のない高品質の溶接部が得られ、結果として2パス溶接を行う必要や手直しの必要も無く、溶接効率の向上を図ることができる技術が開示されている。
また、特許文献2では、先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、先行電極と後行電極との電極間距離を50mm以上、先行電極及び後行電極との下板に対するトーチ角度を40〜60°、先行電極のワイヤ狙い位置をルート部から下板側に5〜10mm、後行電極のワイヤ狙い位置をルート部から上板側に3〜7mm、先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとすることで、厚板の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で、アーク状態が安定し、スパッタが少なく、スラグ被包性及びスラグ剥離性並びにビード形状が良好で、溶接欠陥がない各脚長が均等な大脚長のすみ肉溶接部が高能率に得られ、プライマ塗装鋼板の溶接でも耐気孔性に優れる技術が開示されている。
特開2014−176878号公報 特開2015−205280号公報
しかしながら、特許文献1では、1パス溶接で10mm以上という大脚長が得られるとあるものの、ルート部の溶込みについては何ら記載が無く、さらに、安定した溶込みが確保し難いスラグ系フラックス入りワイヤを適用していることから、ルート部の溶込み不足およびルート部近傍のスラグ巻込みが発生しやすくなる。
また、特許文献2では、電極を2電極とし、2パス溶接を一度で溶接することにより、前述のルート部の溶込み不足に対しても解決できるが、溶接作業の自動化を考える上では施工上適用できない箇所がある。例えば、コーナー部では、後行極が先行極に上手く追従できない場合があり、溶接欠陥の発生や溶接作業性の劣化が予見される。そのため、自動化によって、さらに能率性を向上させるためには単電極であるほうが良い。
さらに、特許文献1および特許文献2共に、水平すみ肉溶接について考慮したものであって、例えば、下向きすみ肉溶接、立向きすみ肉溶接等の様々な姿勢については適用できない。
そこで本発明では、自動化に適用しやすい単電極であって、すみ肉溶接に求められる大脚長を1パス溶接で行うことで能率性を維持しつつ、良好なビード外観および溶接作業性を有し、溶込み不良、アンダーカット、オーバーラップの溶接欠陥を防止することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明のウィービング制御方法は、2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御方法であって、前記ウィービング動作を行うにあたり、溶接進行方向に垂直な面において、前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、前記固定端点は、前記ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記ウィービング基準線の両側において、それぞれ同数の前記固定端点が設けられることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記固定端点の総数を5点とし、前記一方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点bおよびウィービング端点c、前記他方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点dおよびウィービング端点eとする場合において、前記溶接トーチは、前記基準端点aを起点とし、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eの順に移動する動作を繰り返すことを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける前記チップ‐母材間距離が、あらかじめ設定されたチップ‐母材間距離に対し、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする。
基準端点a:20〜45%
ウィービング端点b:50〜80%
ウィービング端点c:100〜120%
ウィービング端点d:100〜120%
ウィービング端点e:80〜100%
本発明の好ましい実施形態において、前記基準端点aから前記ウィービング端点bへの移動速度を250〜450cm/min、前記ウィービング端点bから前記ウィービング端点cへの移動速度を300〜500cm/min、前記ウィービング端点cから前記ウィービング端点dへの移動速度を250〜450cm/min、前記ウィービング端点dから前記ウィービング端点eへの移動速度を350〜550cm/min、前記ウィービング端点eから前記基準端点aへの移動速度を150〜350cm/minとし、それぞれの前記固定端点において、200ms以下の停止時間を設けることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記固定端点において、溶接電流、アーク電圧および送給速度のうち少なくとも1つの条件を変化させることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記溶接電流の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電流値に対する前記溶接電流値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:90〜100%
ウィービング端点c:80〜90%
ウィービング端点d:80〜90%
ウィービング端点e:90〜100%
本発明の好ましい実施形態において、前記アーク電圧の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電圧値に対する前記アーク電圧値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:80〜90%
ウィービング端点c:110〜120%
ウィービング端点d:110〜120%
ウィービング端点e:80〜90%
本発明の好ましい実施形態において、前記送給速度の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定された送給速度の値に対する前記送給速度の値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:90〜100%
ウィービング端点c:80〜90%
ウィービング端点d:80〜90%
ウィービング端点e:90〜100%
本発明の好ましい実施形態において、前記2つの被溶接材のうち、一方を立板とし、他方を下板とする水平すみ肉溶接であって、前記立板側に前記ウィービング端点bおよび前記ウィービング端点cを設け、前記下板側に前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eを設けることを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記基準端点a、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eにより形成される5角形における、前記ウィービング端点b〜eの内角が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする。
ウィービング端点b:130〜140°
ウィービング端点c:60〜90°
ウィービング端点d:60〜90°
ウィービング端点e:130〜140°
本発明の好ましい実施形態において、ウィービングで溶接を行ったときの前記溶接トーチの軌道において、前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させ、当該一方のウィービング端に到着すると、当該溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させ、当該ウィービングの動作を前記2つの被溶接材の間で繰り返す軌道であって、前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向とのなす角度である前方移動角度βは、185°以上250°以下であり、前記溶接トーチを前記溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向のなす角度である後方移動角度αは、5°以上85°以下であって、前記後方移動角度αと前記前方移動角度βとの関係が、α>(β−180)であることを特徴とする。
また、本発明のウィービングシステムは、2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御システムであって、前記ウィービング動作を行うにあたり、溶接進行方向に垂直な面において、前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、前記固定端点は、前記ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とする。
本発明によれば、すみ肉溶接において、特殊なウィービング制御を適用することにより、単電極および1パス溶接で能率性を維持しつつ、良好なビード外観および溶接作業性を有し、溶込み不良、アンダーカット、オーバーラップの溶接欠陥を防止することができる。また、これにより、溶接作業の自動化を容易に適用できる。
図1は、本実施形態に係る溶接システムの概略構成の一例を示す図である。 図2は、従来の水平すみ肉溶接について溶接進行方向から見た概略図である。 図3は、本実施形態に係る水平すみ肉溶接におけるウィービング動作を説明するための斜視図である。 図4は、本実施形態に係る水平すみ肉溶接におけるウィービング動作を説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図5は、ウィービングにおける溶接トーチの振幅の一例を説明するための図である。 図6は、本実施形態に係る水平すみ肉溶接におけるウィービング端点b〜eの内角θ〜θを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図7は、従来のウィービング動作の一例を説明するための斜視図である。 図8は、従来のウィービング動作を図7のT方向から見た図である。 図9は、本実施形態の好ましいウィービング動作を図3のT方向から見た図である。 図10は、本実施形態に係るロボットコントローラの機能構成例を示すブロック図である。 図11は、ロボットコントローラが溶接条件(溶接電流、アーク電圧、送給速度)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、前進角の一例を説明するための図である。 図13は、後進角の一例を説明するための図である。 図14は、後述する実施例におけるウィービング動作パターンAを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図15は、後述する実施例におけるウィービング動作パターンBを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図16は、後述する実施例におけるウィービング動作パターンCを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図17は、後述する実施例におけるウィービング動作パターンDを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図18は、後述する実施例におけるウィービング動作パターンEを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図19は、後述する比較例におけるウィービング動作パターンFを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図20は、後述する比較例におけるウィービング動作パターンGを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。 図21は、後述する比較例におけるウィービング動作パターンHを説明するための溶接進行方向から見た概略図である。
以下、本発明に係る実施形態(本実施形態)について説明する。本実施形態は溶接ロボットを用いた場合の一例であり、本発明のウィービング制御は本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、台車を用いた自動装置に本発明のウィービング制御を搭載しても良い。
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る溶接システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、溶接システム1は、溶接ロボット10と、ロボットコントローラ20と、溶接電源30と、送給装置40とを備えている。溶接電源30はプラスのパワーケーブル(1)を介して溶接トーチ側(電極側)に接続され、マイナスのパワーケーブル(2)を介して、ワークWと接続されている。なお、これは逆極性で溶接を行う場合であり、正極性で溶接を行う場合は、プラスのパワーケーブル(1)を介してワークW側に接続され、マイナスのパワーケーブル(2)を介して、溶接トーチ側と接続されていれば良い。また、図中のパワーケーブル(3)は溶接電源30と溶接ワイヤの送給装置40とを接続し、溶接ワイヤの送り速度を制御する。
そして、溶接システム1は、2つの被溶接材の突合せ部(以降、「ルート部」と記載)周辺の任意の位置を溶接線として、溶接線に沿ってすみ肉溶接を行う。なお、ルート部周辺とは、例えば、ルート部から両側に30mmの範囲内とする。本実施形態では、すみ肉溶接装置の一例として、溶接ロボット10が用いられる。また、制御装置の一例として、ロボットコントローラ20が用いられ、図示しない教示器によって、任意の指令をロボットコントローラに送ることができる。
溶接ロボット10は、エンドエフェクタとして溶接トーチ11を備え、溶接トーチ11は消耗式電極(以降、「溶接ワイヤ」と記載)へ通電させる通電機構(コンタクトチップ)を有する。溶接ワイヤはコンタクトチップからの通電により、溶接ワイヤ先端からアークが発生し、その熱により溶接の対象であるワークWを溶接する。さらに、溶接ロボット10は、予め教示された溶接線を基準として溶接トーチ11(具体的には、溶接ワイヤ先端)をウィービングさせて、溶接線に沿って(溶接進行方向に沿って)溶接を行う。
通常の溶接では、コンタクトチップと溶接ワイヤの通電点から母材までの距離を一定に維持しながら溶接を行う。尚、この距離に関する名称は、一般的に、「チップ‐母材間距離」(通電点がコンタクトチップ先端となるため)、もしくは「突出し長さ」と呼ばれる。このチップ‐母材間距離が適正値よりも短くなると、溶接電流が増加し、ウィービング溶接を行った場合、ウィービング端でアンダーカット等の溶接欠陥が発生する場合がある。一方、チップ‐母材間距離が適正値よりも長くなる場合には、溶接線上の溶込みが十分に得られなくなることや、シールド性劣化により溶接欠陥が発生する可能性が高まる。チップ‐母材間距離の具体的な最適値は溶接ワイヤの線径や組成によっても異なるが、ワイヤ線径が0.9〜1.6mmの範囲内である場合は、チップ‐母材間距離を10〜40mmの範囲であることが好ましい。
さらに、溶接トーチ11は、シールドガスノズル(シールドガスを噴出する機構)を備える。シールドガスとしては、例えば、100%CO、100%Ar、またはArにCOを混合させたもの等を用いればよい。なお、溶込み効果を優先して得たい場合においては100%COを用いる方が好ましい。一方、溶接作業性を優先する場合は100%Ar、またはArにCOを混合させたガスを用いる方が好ましい。また、シールドガス不良を防止する観点から、ガス流量の上限は40リットル/min、下限は15リットル/minであることが好ましい。
ロボットコントローラ(ロボット制御盤)20は、溶接ロボット10の動作を制御する。ここで、ロボットコントローラ20は、予め溶接ロボット10の動作パターン、溶接開始位置、溶接終了位置、溶接条件、ウィービング動作等を定めたティーチングデータを保持し、溶接ロボット10に対してこれらを指示して溶接ロボット10の動作を制御する。また、ロボットコントローラ20は、溶接作業中、ティーチングデータに従って、溶接電源30に電源を制御する指令を行う。
溶接電源30は、ロボットコントローラ20からの指令により、溶接ワイヤ及びワークWに電力を供給することで、溶接ワイヤとワークWとの間にアークを発生させる。また、溶接電源30は、ロボットコントローラ20からの指令により、送給装置40に電力を供給する。なお、溶接作業時の電流は、直流または交流であっても良く、また、その波形は特に問わない。よって矩形波や三角波などのパルスであっても良い。
送給装置40は、溶接作業の進行に合わせて溶接トーチ11に溶接ワイヤを送る。送給装置40により送られる溶接ワイヤは、特に限定されず、ワークWの性質や溶接形態等によって選択され、例えば、ソリッドワイヤやフラックス入りワイヤが使用される。また、溶接ワイヤの材質も問わず、例えば、軟鋼でも良いし、ステンレスやアルミニウム、チタンといった材質でも良い。さらに、溶接ワイヤの径も特に問わないが、本実施の形態において好ましくは、上限は1.6mm、下限は0.9mmである。
<ウィービング動作>
図2は、従来の水平すみ肉溶接について溶接進行方向Xから見た概略図である。なお、概略図の水平すみ肉溶接は一例であり、本発明はすみ肉溶接であれば下向きすみ肉溶接であっても立向きすみ肉溶接であっても適用可能である。図示のように、下板60を水平に配置すると共に、その上表面に立板50の端面を当てて配置し、立板50と下板60とを突き合わせたルート部B(図2の例では、ルート部の接合角度θ=90度)を溶接狙い位置(溶接線上の基点)とし、すみ肉溶接が行われる。ここで、溶接は、紙面に垂直な方向に進行するものとし、図2で設定した溶接線とはルート部(Bの位置)において、溶接開始点から溶接終了点を結ぶ線である。
従来のウィービング動作は、ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線L3に対して垂直方向、すなわち、図2における矢印に示す方向であり、下板60へ向かう方向と立板50へ向かう方向との交互にウィービング動作を行う。ここで、より具体的にウィービング基準線L3は、溶接線上の基点(図2中のB点)と溶接トーチ11のコンタクトチップ先端位置(図2中のA点)を結ぶ線で示され、これがウィービング動作の初期位置における溶接トーチ11の中心を通る線となる。
図2においては、溶接トーチ11のコンタクトチップ先端位置Aと、溶接狙い位置であるルート部Bを結ぶ線が、ウィービング動作の初期位置における溶接トーチ11の中心を通る線、すなわちウィービング基準線L3となる。本図の場合には、下板60と溶接トーチ11における溶接ワイヤ先端とのなす角度θ(ワイヤ先端角度またはトーチ角度)に対して垂直方向が、図2における矢印に示す方向となり、この方向に沿ってウィービング動作が行われる。
次に、本実施形態において制御されるウィービング動作について説明する。従来のウィービング動作は前述のとおり揺動するが、本実施形態においては、ウィービング動作を行うにあたり、溶接進行方向Xに垂直な面において、ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点(教示点)が設定され、溶接進行方向Xから見て、溶接トーチ11が多角形を形成する軌跡となるように、固定端点間を移動する。なお、固定端点は、ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされる。なお、本実施形態において、溶接ワイヤへの給電位置はコンタクトチップ先端となるため、各固定端点とはコンタクトチップ先端の位置を指す。
図3は、本実施形態に係る水平すみ肉溶接におけるウィービング動作を説明するための斜視図である。また、図4は、本実施形態に係る水平すみ肉溶接におけるウィービング動作を説明するための溶接進行方向Xから見た概略図である。図4に示すように、本実施形態では、立板側ウィービング端P1、下板側ウィービング端P2、およびウィービング動作の初期位置における溶接トーチ11の中心線であるウィービング基準線が、溶接線上の基点(図4中ではルート部であるB点)を通るように、溶接トーチ11の位置を設定するとともに、5点の固定端点(教示点)が設けられている。この5点の固定端点は、ウィービング基準線L3の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに(ウィービング端点b〜e)、ウィービング基準線L3上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされている。すなわち、図4において、基準端点aのチップ‐母材間距離Dは、ウィービング端点b〜eのチップ‐母材間距離D〜Dのいずれよりも短く設定される。チップ‐母材間距離Dが最短となるように基準端点aが設定される。
ここで良好なビード外観およびアンダーカット、オーバーラップの溶接欠陥を防止するためには、5点以上の固定端点が設けられることが必要である。ただし、より良好な溶接作業性を確保する観点および制御の精度の観点から、固定端点の総数は、本実施形態のように5点であることが好ましい。例えば、固定端点の総数が7点である場合、本実施形態に係るシステムの処理能力では、処理遅れによって、スパッタの発生が増加し、溶接作業性が悪くなるおそれがあるため処理能力に見合った総数とすることが好ましい。
ここで、良好なビード外観を得るためには、溶接進行方向Xから見た場合のウィービング基準線L3の両側(立板50側および下板60側)において、それぞれ同数の固定端点が設けられていることが好ましい。
本実施形態においては、図4に示すように、ウィービング基準線L3上に基準端点aを設けるとともに、立板50側に固定端点を2点、下板60側に固定端点を2点設けている。これらの固定端点は、ウィービング端近傍に位置しており、立板側ウィービング端P1近傍にウィービング端点bおよびウィービング端点cを設け、下板側ウィービング端P2近傍にウィービング端点dおよびウィービング端点eを設けている。なお、本実施形態において、「ウィービング端近傍」とは、ウィービング端(図4中のP1もしくはP2)を中心としてウィービングの振り方向平行に、両端でそれぞれウィービング幅の1/4の距離を有する範囲である。例えば、ウィービング幅を6mmに設定した場合、「ウィービング端近傍」とは、ウィービングの振り方向平行にウィービング端の両端でそれぞれ1.5mmの範囲ということになる。
本実施形態のウィービング動作は、基準端点aを始点としてウィービング端点bへ移動し、ウィービング端点bからウィービング端点c、ウィービング端点cからウィービング端点d、ウィービング端点dからウィービング端点e、ウィービング端点eから基準端点aに戻る一連の動作を、ウィービング動作の一周期としており、その軌跡は図4に示すような5角形を描く。なお、溶接トーチ11は、上記のようなウィービング動作行いながら溶接進行方向Xへ移動していくため、図3に示すように、溶接トーチ11は、5角形状の軌跡を描きながら、らせん状に移動していく。
この軌跡を描く方向は、基準端点aを始点としてウィービング端点eへ移動し、ウィービング端点eからウィービング端点d、ウィービング端点dからウィービング端点c、ウィービング端点cからウィービング端点b、ウィービング端点bから基準端点aに戻る方向で5角形の軌跡を描くようにウィービング動作を行っても良いが、本実施形態のような水平すみ肉溶接においては、基準端点aから立板50の方へ進む方向(すなわち、図4においてはウィービング端bへ進む方向)へ移動することが好ましい。この方向へ移動することによって、溶接金属の垂れを抑制することができ、等脚長でビード形状が良好となる効果が得られやすくなる。なお、下向すみ肉溶接においては、上記いずれの方向であっても、等脚長でビード形状が良好となる効果が得られやすい。
<ウィービング動作中のチップ‐母材間距離>
前述のとおり、基準端点aは他の固定端点と比べて、チップ‐母材間距離が短くなるように設定される。基準端点aのチップ‐母材間距離Dを短くすることにより、ウィービング基準線L3上(ルート部近郊)のアーク力を高め、単電極の1パス溶接においても、十分な溶込み量を得ることができる。しかしながら、ウィービング基準線L3においてチップ‐母材間距離を短くすると十分な溶込みを得ることができるが、ウィービング基準線L3のすべてにおいてチップ‐母材間距離を短くすると良好なビード形状が得られない。
よって、ウィービング動作中、ウィービング基準線L3においてチップ‐母材間距離が短くなる点として、ウィービング基準線L3を通る回数を、ウィービング動作の一周期の中で2回中1回の割合とする。これにより、ウィービング基準線L3にかかるアーク力を分散することによって、溶込みを維持したまま、ビード外観および等脚長を維持することができる。
例えば、本実施形態における水平すみ肉溶接の場合、図4に示すように、チップ‐母材間距離を短くした基準端点aを始点とし(チップ‐母材間距離D)、チップ‐母材間距離を長くしつつ、立板50側のウィービング端点bおよびウィービング端点cに移動する(チップ‐母材間距離D、D)。ウィービング端点cからウィービング端点dに移動する際、ウィービング基準線L3を通過するが、チップ‐母材間距離は長く維持したままとする(チップ‐母材間距離D)。これは、立板50側の溶融金属をアーク力によって、下板60側に押し下げることで起こるビード形状劣化や等脚長不良を防ぐためである。
ウィービング端点dからウィービング端点eへの移動時に、徐々にチップ‐母材間距離を短くし(チップ‐母材間距離D)、溶込みを確保するために最もチップ‐母材間距離が短くなる基準端点aに戻る。図5において、図3におけるT方向から見た場合の本実施形態のウィービング動作における溶接トーチの振幅を示す。図5より、ウィービング基準線L3であるウィービング振幅方向の中央位置を通る回数は、ウィービング動作の一周期の中で2回中1回の割合となることが理解される。
なお、基準端点aおよびウィービング端点b〜eにおけるチップ‐母材間距離が、あらかじめ設定されたチップ‐母材間距離に対し、それぞれ以下の条件を満足することが好ましい。
基準端点a:20〜45%
ウィービング端点b:50〜80%
ウィービング端点c:100〜120%
ウィービング端点d:100〜120%
ウィービング端点e:80〜100%
ここで、あらかじめ設定されたチップ‐母材間距離としては、上述の通り、例えば10mm〜40mmである。
チップ‐母材間距離が、上記条件の上限を超える場合には、十分な溶込みが得られないおそれがある。また、チップ‐母材間距離が、上記条件の下限を下回る場合には、良好なビード外観や等脚長が得られなくなったり、良好な溶接作業性が得られないおそれがある。
<ウィービング動作中の移動速度>
また、基準端点aからウィービング端点bへの移動速度を250〜450cm/min、ウィービング端点bからウィービング端点cへの移動速度を300〜500cm/min、ウィービング端点cからウィービング端点dへの移動速度を250〜450cm/min、ウィービング端点dからウィービング端点eへの移動速度を350〜550cm/min、ウィービング端点eから基準端点aへの移動速度を150〜350cm/minとし、それぞれの固定端点において、200ms以下の停止時間を設けることが好ましい。なお、上記停止時間は0msの場合(すなわち、停止しない場合)も含まれる。
移動速度が上記条件の上限を超える場合には、溶込み不良が発生したり、良好なビード外観が得られないおそれがある。一方、移動速度が上記条件の下限を下回る場合には、良好なビード外観や等脚長が得られなくなったり、良好な溶接作業性が得られないおそれがある。また、停止時間が200msを超える場合にも、良好なビード外観や等脚長が得られなくなったり、良好な溶接作業性が得られないおそれがある。
<ウィービング動作中の固定端点間の移動角度>
また、基準端点a、ウィービング端点b、ウィービング端点c、ウィービング端点dおよびウィービング端点eにより形成される5角形における、ウィービング端点b〜eの内角θ〜θが、それぞれ以下の条件を満足することが好ましい(図6を参照)。
ウィービング端点bの内角θ:130〜140°
ウィービング端点cの内角θ:60〜90°
ウィービング端点dの内角θ:60〜90°
ウィービング端点eの内角θ:130〜140°
なお、基準端点aの内角θは、θ=540°−θ−θ−θ−θにより算出される。内角θ〜θが、上記条件のいずれかを満足しない場合には、良好なビード外観が得られにくくなるおそれがあり、また、アンダーカット、オーバーラップの溶接欠陥を防止することができない、あるいは、良好な溶接作業性が得られないおそれがある。
また、ウィービング端点bとウィービング端点eの内角を等しくし、かつ、ウィービング端点cとウィービング端点dの内角を等しくすると、より良好なビード外観が得られるとともに、より等脚長を得ることが容易になるため特に好ましい。
<ウィービング軌道>
本実施形態で採用されるウィービング軌道について説明する。本実施形態において、ウィービング軌道は特に問わず、従来のウィービング軌道においても十分な効果を有する。ここで、従来のウィービング軌道とは、水平すみ肉溶接を例とすると、図7および図8に示すように、溶接トーチ11が溶接進行方向Xに対して立板50側と下板60側に交互に移動するように前進し、常に溶接進行方向Xの前方に向かって揺動する方法である(後述の実施例において、当該ウィービングを「通常ウィービング」と呼ぶ)。これらのウィービング軌道の振幅および波長は、ウィービング動作の周波数、振り幅、溶接速度によって決定する。なお、本実施形態においては、ウィービング動作の周波数や振り幅については特に制限されない。
しかしながら、水平すみ肉溶接における本実施形態においては、溶接トーチ11における溶接ワイヤ先端が、溶接進行方向Xに対して、下板60側に前方移動し、立板50側に後方移動するようにウィービング軌道を行うことが好ましい(後述の実施例において、当該ウィービングを「特殊ウィービング」と呼ぶ)。図9は、上記ウィービング軌道の一例を説明するための図である。図9に示すように、溶接ワイヤ先端は、最初に下板側ウィービング端に向かって、溶接進行方向Xの前方に移動し、下板側ウィービング端に到着すると、立板側ウィービング端に向かって、溶接進行方向Xに対して後方に移動する。
すなわち、従来のウィービング軌道では、図8に示すように、溶接ワイヤ先端は常に溶接進行方向Xの前方に向かって揺動するが、本実施形態において好ましいウィービング軌道は、溶接ワイヤ先端を下板60側に前方移動し、立板50側には後方移動するように動作する。このようにして、溶接ワイヤ先端は、立板側ウィービング端、下板側ウィービング端に移動するウィービング動作を繰り返す。
溶接ワイヤ先端が立板側ウィービング端へ、溶接進行方向Xに対して後方に移動することによって、アークによる熱が立板50側と下板60側とに分散し、溶融池の冷却能が向上する。また、後方移動の際、下板60側への移動の際に形成されたビードに溶融金属が支えられる。この冷却能の向上により、溶融金属の粘性の低下を抑制することが可能となり、かつ、立板50側の溶融金属は下板60側で形成され、冷却が進んで高粘性となった溶融金属によって支えられる。そのため、立板50側の溶融金属が重力によって垂れることが防止され、大脚長かつ等脚長が維持できるとともに、適正なビード外観を確保でき、溶接欠陥も抑制される。なお、ウィービング端の位置(または、溶接線からウィービング端までの距離)は、溶接条件のウィービング幅の設定によって決定される。
図9(図3のT方向から見た図)に示すウィービング軌道において、溶接ワイヤ先端が溶接進行方向Xに対して後方へ向かって立板側ウィービング端まで移動する際の、溶接ワイヤ先端が描くウィービング軌道と溶接線(ここでは、溶接進行方向Xとは反対方向)とのなす角度を、後方移動角度αと称する。また、溶接ワイヤ先端が溶接進行方向Xの前方へ向かって下板側ウィービング端まで移動する際の、溶接ワイヤ先端が描くウィービング軌道と溶接線(ここでは、溶接進行方向Xとは反対方向)とのなす角度(>180°)を、前方移動角度βと称する。このとき、溶接が溶接進行方向Xに向けて進むためには、後方移動角度αと前方移動角度βとの関係が、α>(β−180)であることが必要になる。
さらに、このウィービング軌道において、より好ましくは、後方移動角度αの上限は85°、下限は5°となるようにウィービング軌道を行うことが好ましい。後方移動角度αが5°を下回ると、溶接ワイヤ先端が立板側ウィービング端に到着する頃には、下板60側の溶融金属は凝固しており、融合不良やスラグ巻き込みが発生する可能性が生ずる。また、後方移動角度αが85°を上回ると、立板50側の溶融金属が重力によって垂れ易くなり、変動する溶融池によってアーク長が変化するため、溶接中に飛散するスパッタが発生したり、融合不良やビード外観不良が発生したりする場合がある。さらに、重力による立板50側の溶融金属の垂れが抑制され、立板50と下板60との脚長が等脚長になり、より良好なビード外観を得るためには、後方移動角度αについて、上限は45°、下限は10°とすることがより好ましい。
また、本実施の形態では、前方移動角度βの上限は250°、下限は185°となるようにウィービング軌道を行うことが好ましい。前方移動角度βが185°を下回ると、一周期当たりの溶着量のバランスが崩れ、ビード外観不良が発生する場合がある。
また、前方移動角度βが250°を上回ると、溶融池の冷却能の効果が発生しないため、立板50側の溶融金属が重力によって垂れ易くなり、変動する溶融池によってアーク長が変化するため、スパッタが発生したり、融合不良やビード外観不良が発生したりする場合がある。さらに、重力による立板50側の溶融金属の垂れが抑制され、立板50と下板60との脚長が等脚長になり、より良好なビード外観を得るためには、前方移動角度βについて、上限は215°、下限は185°とすることがより好ましい。
<ロボットコントローラの機能構成>
次に、ロボットコントローラ20の機能構成について説明する。図10は、本実施形態に係るロボットコントローラ20の機能構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、ロボットコントローラ20は、予め作成されたティーチングデータを記憶して格納するティーチングデータ格納部21と、ティーチングデータを解析するティーチングデータ解析処理部22と、溶接ロボット10の各軸を制御するサーボドライバへ指令を行うためのサーボ指令情報を生成するロボット軌跡計画処理部23と、溶接状況に合わせて、溶接電流、アーク電圧や送給速度を設定するための指令情報を生成して溶接電源30に出力する溶接電源インタフェース処理部(以下、溶接電源I/F処理部と表記する)24とを備える。また、溶接電源I/F処理部24は、ウィービング位置情報遅延補正部24aと、溶接条件指令生成処理部24bとを有する。
ティーチングデータ格納部21は、溶接ロボット10の動作パターン等を定めたティーチングデータを格納する。ティーチングデータは、作業者により、図示しない教示器によって予め作成される。なお、作成方法は教示器以外でも良い。例えば、パソコン上でティーチングデータを作成し、無線または有線通信等によりティーチングデータ格納部21に格納しても良い。
ティーチングデータ解析処理部22は、例えば溶接開始の操作が行われたことを契機として、ティーチングデータ格納部21からティーチングデータを呼び込み、ティーチングデータを解析する。このティーチングデータの解析により、ティーチング軌跡情報及び溶接条件指令情報が生成される。ティーチング軌跡情報は、溶接速度、ウィービング条件等を含む溶接作業における溶接ロボット10の軌跡を定めた情報である。また、溶接条件指令情報は、溶接作業における溶接電流、アーク電圧、送給速度、に関する指令を行うための情報であり、アークON/OFFの指令を含め、各溶接条件の制御指令などが含まれる。そして、ティーチングデータ解析処理部22は、生成したティーチング軌跡情報をロボット軌跡計画処理部23に出力する。また、ティーチングデータ解析処理部22は、生成した溶接条件指令情報を、溶接電源I/F処理部24の溶接条件指令生成処理部24bに出力する。
ロボット軌跡計画処理部23は、ティーチングデータ解析処理部22から入力されたティーチング軌跡情報をもとに、溶接ロボット10の目標位置を計算し、溶接ロボット10の各軸を制御するためのサーボ指令情報を生成する。そして、ロボット軌跡計画処理部23は、生成したサーボ指令情報を溶接ロボット10へ出力する。サーボ指令情報により、溶接ロボット10がティーチングデータに基づく動作を行う。また、サーボ指令情報には、溶接ワイヤをウィービングさせる位置を指令するためのウィービング位置指令情報が含まれており、ロボット軌跡計画処理部23は、ウィービング位置指令情報を溶接電源I/F処理部24のウィービング位置情報遅延補正部24aに出力する。本実施形態では、ウィービング位置指令手段の一例として、ロボット軌跡計画処理部23が用いられる。
さらに、ロボット軌跡計画処理部23は、サーボ指令情報を溶接ロボット10へ出力してから実際に溶接ロボット10が指令された位置へ到着するまでの時間(以下、ウィービング遅延時間と称する)を計算する。または予め設定しておく。このウィービング遅延時間の計算方法は問わないが、例えば、サーボドライバの制御ゲインから計算される。そして、ロボット軌跡計画処理部23は、計算したウィービング遅延時間を、溶接電源I/F処理部24のウィービング位置情報遅延補正部24aに出力する。
溶接電源I/F処理部24は、溶接状況に合わせて溶接電流、アーク電圧、送給速度等を設定するための指令情報を生成し、生成した指令情報を溶接電源30に出力する。
ここで、溶接電源I/F処理部24のウィービング位置情報遅延補正部24aは、ロボット軌跡計画処理部23からウィービング位置指令情報、及びウィービング遅延時間の情報を取得する。そして、ウィービング位置情報遅延補正部24aは、ウィービング遅延時間を考慮してウィービングによる溶接ワイヤの位置を補正し、溶接ワイヤが実際に存在している位置を示す情報(以下、実ウィービング位置情報と称する)を生成する。ウィービング位置情報遅延補正部24aは、生成した実ウィービング位置情報を、溶接条件指令生成処理部24bに出力する。本実施形態では、位置情報生成手段の一例として、ウィービング位置情報遅延補正部24aが用いられる。
溶接条件指令生成処理部24bは、ティーチングデータ解析処理部22から溶接条件指令情報を取得し、また、ウィービング位置情報遅延補正部24aから実ウィービング位置情報を取得する。そして、溶接条件指令生成処理部24bは、取得した溶接条件指令情報及び実ウィービング位置情報をもとに、電極のウィービング動作に同期させて溶接条件を設定するための指令情報を生成し、生成した指令情報を溶接電源30に出力する。溶接条件の指令情報により、溶接電源30は、ウィービング動作に合わせて溶接電流、アーク電圧および送給速度を供給する。
なお、本実施形態において、ウィービング動作中の各固定端点において溶接電流、アーク電圧および送給速度について制御することが好ましい。溶接電流、アーク電圧および送給速度のうち、少なくとも一つの条件を各固定端点によって変化(増減)させることで、溶込みの確保や溶接欠陥の防止を図ることができる。以下、溶接電流、アーク電圧および送給速度について詳細に説明する。
<溶接電流>
溶接電流は、ウィービング動作中の各固定端点に合わせて制御することが好ましい。溶接電流の増減はアーク力に依存し、溶込みやビード形状に影響を及ぼす。例えば、水平すみ溶接の場合、ルート部Bで、設定溶接電流よりも溶接電流を高くすることで、溶込み量をより向上させることができる。また、ウィービング端P1、P2において、設定溶接電流よりも溶接電流を低くすることでアンダーカットやオーバーラップの溶接欠陥をより抑制することができる。
具体的に、固定端点の総数を5点とする場合、基準端点aにおける、設定した溶接電流値(設定電流値)に対する溶接電流値の割合(百分率)を105〜110%とすることが好ましい。設定電流値に対して105%以上であるとルート部Bで溶込みをより確保できる。一方、設定電流値に対して110%以内であると、ビード形状の凸状化をより抑制でき、ビード形状がより良好になる。また、良好な等脚長および溶接作業性が得られやすくなる。
なお、設定した溶接電流値は、特に制限されるものではなく、被溶接材の大きさ、材質等により適宜決定される。
また、上記割合に関し、ウィービング端点bでは90〜100%、ウィービング端点cでは80〜90%、ウィービング端点dでは80〜90%、ウィービング端点eでは90〜100%とすることが好ましい。これらの範囲が下限以上であると、ビード止端部と母材のなじみが悪い溶接欠陥であるオーバーラップの発生をより抑制することができる。また、上限以下であるとビード止端部に溝が発生する溶接欠陥であるアンダーカットの発生をより抑制することができる。
なお、例えば、ウィービング端点bからウィービング端点cへ移動する際の上記溶接電流値は、線形的に変化するのでも良く、また、ウィービング端点cに到達する直前まではほとんど変化せず、到達とほぼ同時に急峻に変化するのでも良い。
<アーク電圧>
アーク電圧も溶接電流と同様に、アーク力に依存し、その増減によって、溶込みやビード形状に影響を及ぼす。例えば、水平すみ溶接の場合、立板側ウィービング端P1で、設定アーク電圧値(設定電圧値)よりもアーク電圧を高くすることでアンダーカットをより抑制することができる。一方、下板側ウィービング端P2では、設定アーク電圧値よりもアーク電圧を低くすることでオーバーラップをより抑制することができる。また、ルート部Bにおいて、設定アーク電圧値よりもアーク電圧を低くすることで溶込み量をより向上させることができる。
具体的に、固定端点の総数を5点とする場合、基準端点aにおける、設定したアーク電圧値(設定電圧値)に対するアーク電圧値の割合(百分率)を105〜110%とすることが好ましい。設定電圧値に対して105%以上であると、ビード形状の凸状化をより抑制でき、ビード形状がより良好になる。また、良好な等脚長および溶接作業性が得られやすくなる。一方、設定電圧値に対して110%以内であるとルート部で溶込みをより確保できる。
なお、設定したアーク電圧値は、特に制限されるものではなく、被溶接材の大きさ、材質等により適宜決定される。
また、上記割合に関し、ウィービング端点bでは80〜90%、ウィービング端点cでは110〜120%、ウィービング端点dでは110〜120%、ウィービング端点eでは80〜90%とすることが好ましい。これらの範囲が下限以上であると、オーバーラップの発生をより抑制することができ、上限以下であるとアンダーカットの発生をより抑制することができる。
なお、例えば、ウィービング端点bからウィービング端点cへ移動する際の上記アーク電圧値は、線形的に変化するのでも良く、また、ウィービング端点cに到達する直前まではほとんど変化せず、到達とほぼ同時に急峻に変化するのでも良い。
<送給速度>
送給速度も溶接電流と同様に、アーク力に依存し、その増減によって、溶込みやビード形状に影響を及ぼす。例えば、送給速度を増加すると、送給された溶接ワイヤは溶融されにくくなり、溶融池へ溶接ワイヤが突っ込む状態になりやすくなるため、溶込み量がより向上する。一方、送給速度が減速すると、アーク長が長くなり、アーク力が低下するため、ビード止端部においてアンダーカットの防止に効果がある。
具体的に、固定端点の総数を5点とする場合、基準端点aにおける、設定された送給速度の値に対する送給速度の値の割合(百分率)を105〜110%とすることが好ましい。設定された送給速度の値に対して105%以上であるとルート部Bで溶込みをより確保できる。一方、設定された送給速度の値に対して110%以内であると、ビード形状の凸状化をより抑制でき、ビード形状がより良好になる。また、良好な等脚長および溶接作業性が得られやすくなる。
なお、設定された送給速度の値は、特に制限されるものではなく、被溶接材の大きさ、材質等により適宜決定される。
また、上記割合に関し、ウィービング端点bでは90〜100%、ウィービング端点cでは80〜90%、ウィービング端点dでは80〜90%、ウィービング端点eでは90〜100%とすることが好ましい。これらの範囲が下限以上であるとオーバーラップの発生をより抑制することができ、上限以下であるとアンダーカットの発生をより抑制することができる。
なお、例えば、ウィービング端点bからウィービング端点cへ移動する際の上記送給速度の値は、線形的に変化するのでも良く、また、ウィービング端点cに到達する直前まではほとんど変化せず、到達とほぼ同時に急峻に変化するのでも良い。
<ウィービング動作および各固定端点における溶接条件の制御手順>
次に、ロボットコントローラ20が溶接条件(溶接電流、アーク電圧、送給速度)を制御する手順について説明する。図11は、ロボットコントローラ20が溶接条件(溶接電流、アーク電圧、送給速度)を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
まず、作業者により溶接開始の操作が行われると、ティーチングデータ解析処理部22は、ティーチングデータ格納部21からティーチングデータを呼び込み、ティーチングデータを解析してティーチング軌跡情報及び溶接条件指令情報を生成する(ステップ101)。生成されたティーチング軌跡情報はロボット軌跡計画処理部23へ出力され、溶接条件指令情報は溶接電源I/F処理部24の溶接条件指令生成処理部24bへ出力される。
次に、ロボット軌跡計画処理部23は、ティーチングデータ解析処理部22から入力されたティーチング軌跡情報をもとに、溶接ロボット10の目標位置を計算し、サーボ指令情報を生成する(ステップ102)。そして、ロボット軌跡計画処理部23、生成したサーボ指令情報を溶接ロボット10へ出力し、また、ウィービング1周期における固定端点の位置情報を含むウィービング位置指令情報を溶接電源I/F処理部24のウィービング位置情報遅延補正部24aへ出力する。さらに、ロボット軌跡計画処理部23は、ウィービング遅延時間を計算し(ステップ103)、計算したウィービング遅延時間の情報を溶接電源I/F処理部24のウィービング位置情報遅延補正部24aへ出力する。
次に、ウィービング位置情報遅延補正部24aは、ロボット軌跡計画処理部23からウィービング位置指令情報(ウィービング1周期における固定端点の位置を含む)、及びウィービング遅延時間の情報を取得し、ウィービング遅延時間を考慮してウィービングによる各固定端点の位置を補正し、実ウィービング位置情報を生成する(ステップ104)。生成された実ウィービング位置情報は、溶接電源I/F処理部24の溶接条件指令生成処理部24bに出力される。
次に、溶接条件指令生成処理部24bは、ティーチングデータ解析処理部22から溶接条件指令情報を取得し、また、ウィービング位置情報遅延補正部24aから実ウィービング位置情報を取得し、溶接ワイヤウィービング動作に同期させて各種の溶接条件、すなわち溶接電流、アーク電圧、送給速度等を設定するための指令情報を生成する(ステップ105)。生成された指令情報は、溶接電源30に出力される。この指令情報をもとに、溶接電源30は、ウィービングでの固定端点の位置に合わせて溶接電流、アーク電圧、送給速度等を供給する。そして、本処理フローは終了する。
<溶接施工条件>
本実施形態においては、トーチ角度θは特に問わないが、一方の被溶接材の面から(例えば、水平すみ肉溶接の場合、下板60から)30〜60°の範囲で設定することが好ましい。この範囲であれば、等脚長で良好なビード形状を得られやすくなる。なお、トーチ角度θが40〜50°であればより好ましく、前述の効果がより得られやすい。
また、本実施形態においては、必要に応じて、溶接トーチ11を溶接進行方向Xに対して傾斜させて(すなわち、溶接ワイヤを傾斜させて)、前進角や後退角を付けても良い。なお、図12および図13は、それぞれ前進角γ1および後進角γ2の一例を説明するための図である。その角度は特に問わないが、前進角または後退角が、底面から(水平すみ肉溶接であれば下板60から)30°以下であることが、ビード形状および溶込み量をより良好なものとするためには好ましい。なお、前進角が底面から30°以下であると溶込み量を得るためにはより好ましく、後退角が底面から30°以下であると良好なビード形状を得るためにより好ましいと言える。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1〜4に、本実施例で適用したウィービング動作条件(ウィービング動作条件No.W1〜W40)を示す。これらのウィービング動作条件を適用し、以下に示す溶接条件により溶接を行った。なお、溶接ワイヤの種類、ワイヤ線径、母材の種類およびウィービング動作条件以外の溶接条件は、実施例および比較例の全てにおいて固定している。なお、ここで説明する溶接条件は一例であり、本実施形態では、以下の溶接条件に限定されるものではない。
<溶接ワイヤ>
材質:フラックス入りワイヤ(FCW)であり、JIS Z3313 T 49J 0 T1−1 C A−U(旧YFW−C50DR)に該当するもの
ワイヤ線経:1.2mm
<母材>
材質:SM490A
<溶接条件>
設定電流値:260A
設定電圧値:30V
設定された送給速度の値:12.8m/min
設定されたチップ‐母材間距離:22mm
シールドガス:100%CO
狙い脚長:9mm以上
ウィービング幅:6mm
なお、表1〜4において、ウィービング動作条件No.W40におけるb点およびd点のチップ‐母材間距離の「‐」以外の「‐」については、該当する条件を適用しなかった場合を示している。また、ウィービング動作条件No.W40におけるb点およびd点のチップ‐母材間距離は、ウィービング時の振り幅を制御しておらず、振り幅によって変化し得るものであるため、「‐」としている。
また、表1〜4に示すウィービング動作パターンA〜Hは、図14〜図21にそれぞれに示す動作パターンを示している。具体的には、以下のとおりである。
ウィービング動作パターンA:固定端点の総数を5点とし、基準端点aから立板50の方へ進む方向(図14において時計回りに進む方向)とする水平すみ肉溶接(図14参照)
ウィービング動作パターンB:固定端点の総数を5点とし、基準端点aから下板60の方へ進む方向(図15において反時計回りに進む方向)とする水平すみ肉溶接(図15参照)
ウィービング動作パターンC:固定端点の総数を7点とし、基準端点aから立板50の方へ進む方向(図16において時計回りに進む方向)とする水平すみ肉溶接(図16参照)
ウィービング動作パターンD:固定端点の総数を5点とし、基準端点aから立板50の方へ進む方向(図17において時計回りに進む方向)とする下向すみ肉溶接(図17参照)
ウィービング動作パターンE:固定端点の総数を5点とし、基準端点aから下板60の方へ進む方向(図18において反時計回りに進む方向)とする下向すみ肉溶接(図18参照)
ウィービング動作パターンF:固定端点の総数を3点とし、基準端点aから立板50の方へ進む方向(図19において時計回りに進む方向)とする水平すみ肉溶接(図19参照)
ウィービング動作パターンG:多角形の軌跡を取らず、基準端点aを中心としてV字型の軌跡を取るように移動する水平すみ肉溶接(図20参照)
ウィービング動作パターンH:多角形の軌跡を取らず、基準端点aを中心としてI字型の軌跡を取るように移動する水平すみ肉溶接(図21参照、従来のウィービング動作)
なお、いずれのウィービング動作パターンにおいても、各図に記載された基準端点a、ウィービング端点b、ウィービング端点c、ウィービング端点d、ウィービング端点e(ただし、ウィービング動作パターンCの場合はウィービング端点gまで、ウィービング動作パターンFの場合はウィービング端点cまで、ウィービング動作パターンGおよびHの場合はウィービング端点dまで)の順に繰り返し移動するものとする。
Figure 2019130557
Figure 2019130557
Figure 2019130557
Figure 2019130557
続いて、表5および表6において、ウィービング軌道条件(ウィービングの種類、周波数、特殊ウィービング時の条件)および評価結果(溶込み性能、ビード外観、等脚長、溶接欠陥、溶接作業性)を示す。なお、ウィービングの種類は、上述した通常ウィービングまたは特殊ウィービングのいずれに該当するかを示している。また、特殊ウィービング時において、α>(β−180)の条件を満足する場合を「○」で示した。
<評価方法>
(溶込み性能)
溶接部の断面の光学顕微鏡写真から溶込み深さを測定するとともに、目視により溶込み不良を判断することにより、溶込み性能の評価を行った。目視により溶込み不良と判断されるものを評価「×」(不良)、目視により溶込み良好と判断され、かつ、溶込み深さが0.5mm未満のものを評価「○」(良)、目視により溶込み良好と判断され、かつ、溶込み深さが0.5mm以上のものを評価「◎」(優良)と判断した。
(ビード外観)
ビード際の波の最大値と最小値との差を測定することにより、ビード外観の評価を行った。最大値と最小値の差(絶対値)が2mm以上のものを評価「×」(不良)、1mm以上2mm未満のものを評価「○」(良)、1mm未満のものを評価「◎」(優良)と判断した。
(等脚長)
立板と下板の脚長差を測定することにより、等脚長の評価を行った。脚長差が2mmを超えるものを評価「×」(不良)、脚長差が1mm以上2mm以下のものを評価「○」(良)、脚長差が0.5mm以上1mm未満のものを評価「◎」(優良)、脚長差が0.5mm未満のものを評価「◎◎」(最優良)と判断した。
(溶接欠陥)
「溶接欠陥」は、試験実施者が溶接終了後のビードを目視で確認するとともに、マクロ断面を観察した結果を示す。ビード外観の確認やマクロ断面観察により、アンダーカットやオーバーラップの溶接欠陥が発生している場合は「有」と評価し、溶接欠陥が発生しておらず正常な場合は「無」と評価した。
(溶接作業性)
「溶接作業性」は、溶接長50mm、溶接線から下板側25mm、立板側25mmの範囲に対し、付着しているスパッタが1.0mm以下のものを評価「◎」(優良)、1.0mmを上回るスパッタが1個以上5個以下で付着しているものを評価「○」(良)、さらに、1.0mmを上回るスパッタが5個を超える状態で付着しているものは、スパッタ付着が著しく、溶接作業性が粗悪なものとして評価「×」(不良)と判断した。
Figure 2019130557
Figure 2019130557
表5および表6における溶接試験No.1〜43は、本発明の要件を満足する表1〜4におけるウィービング動作条件No.W1〜W36を適用した例であり、実施例に相当する。これら実施例においては、溶込み性能、ビード外観、等脚長、溶接欠陥および溶接作業性のいずれにおいても良好な結果が得られた。
また、実施例の中において、本実施形態の好ましい条件を満足する例は、上記評価結果の少なくとも1つにおいて更に良好な結果を得ることができた。
これに対し、表6の溶接試験No.44は、本発明の要件を満足しない表3および4におけるウィービング動作条件No.W37を適用した例であり、比較例に相当する。この比較例においては、基準端点aにおけるチップ‐母材間距離が最短ではないため、良好な溶込み性能が得られなかった。
表6の溶接試験No.45は、本発明の要件を満足しない表3および4におけるウィービング動作条件No.W38を適用した例であり、比較例に相当する。この比較例においては、上記ウィービング動作パターンFを適用しているため、良好なビード外観が得られず、また、溶接欠陥を防止することができなかった。
表6の溶接試験No.46は、本発明の要件を満足しない表3および4におけるウィービング動作条件No.W39を適用した例であり、比較例に相当する。この比較例においては、上記ウィービング動作パターンGを適用しているため、良好なビード外観および等脚長が得られず、また溶接欠陥を防止することができなかった。さらに、溶接作業性にも劣っていた。
表6の溶接試験No.47は、本発明の要件を満足しない表3および4におけるウィービング動作条件No.W40を適用した例であり、比較例に相当する。この比較例においては、上記ウィービング動作パターンHを適用しているため、良好な溶込み性能および等脚長が得られず、また、溶接欠陥を防止することができなかった。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
[1]2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御方法であって、
前記ウィービング動作を行うにあたり、
溶接進行方向に垂直な面において、
前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、
前記固定端点は、前記ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、
前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とするウィービング制御方法。
[2]前記ウィービング基準線の両側において、それぞれ同数の前記固定端点が設けられることを特徴とする上記[1]に記載のウィービング制御方法。
[3]前記固定端点の総数を5点とし、
前記一方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点bおよびウィービング端点c、前記他方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点dおよびウィービング端点eとする場合において、
前記溶接トーチは、前記基準端点aを起点とし、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eの順に移動する動作を繰り返すことを特徴とする上記[2]に記載のウィービング制御方法。
[4]前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける前記チップ‐母材間距離が、あらかじめ設定されたチップ‐母材間距離に対し、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする上記[3]に記載のウィービング制御方法。
基準端点a:20〜45%
ウィービング端点b:50〜80%
ウィービング端点c:100〜120%
ウィービング端点d:100〜120%
ウィービング端点e:80〜100%
[5]前記基準端点aから前記ウィービング端点bへの移動速度を250〜450cm/min、
前記ウィービング端点bから前記ウィービング端点cへの移動速度を300〜500cm/min、
前記ウィービング端点cから前記ウィービング端点dへの移動速度を250〜450cm/min、
前記ウィービング端点dから前記ウィービング端点eへの移動速度を350〜550cm/min、
前記ウィービング端点eから前記基準端点aへの移動速度を150〜350cm/minとし、
それぞれの前記固定端点において、200ms以下の停止時間を設けることを特徴とする上記[3]または[4]に記載のウィービング制御方法。
[6]前記固定端点において、溶接電流、アーク電圧および送給速度のうち少なくとも1つの条件を変化させることを特徴とする上記[3]〜[5]のいずれか1つに記載のウィービング制御方法。
[7]前記溶接電流の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電流値に対する溶接電流値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする上記[6]に記載のウィービング制御方法。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:90〜100%
ウィービング端点c:80〜90%
ウィービング端点d:80〜90%
ウィービング端点e:90〜100%
[8]前記アーク電圧の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電圧値に対するアーク電圧値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする上記[6]に記載のウィービング制御方法。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:80〜90%
ウィービング端点c:110〜120%
ウィービング端点d:110〜120%
ウィービング端点e:80〜90%
[9]前記送給速度の条件を変化させる場合において、
前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定された送給速度の値に対する送給速度の値の割合が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする上記[6]に記載のウィービング制御方法。
基準端点a:105〜110%
ウィービング端点b:90〜100%
ウィービング端点c:80〜90%
ウィービング端点d:80〜90%
ウィービング端点e:90〜100%
[10]前記2つの被溶接材のうち、一方を立板とし、他方を下板とする水平すみ肉溶接であって、
前記立板側に前記ウィービング端点bおよび前記ウィービング端点cを設け、前記下板側に前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eを設けることを特徴とする上記[3]〜[9]のいずれか1つに記載のウィービング制御方法。
[11]前記基準端点a、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eにより形成される5角形における、前記ウィービング端点b〜eの内角が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする上記[3]〜[10]のいずれか1つに記載のウィービング制御方法。
ウィービング端点b:130〜140°
ウィービング端点c:60〜90°
ウィービング端点d:60〜90°
ウィービング端点e:130〜140°
[12]ウィービングで溶接を行ったときの前記溶接トーチの軌道において、前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させ、当該一方のウィービング端に到着すると、当該溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させ、当該ウィービングの動作を前記2つの被溶接材の間で繰り返す軌道であって、
前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向とのなす角度である前方移動角度βは、185°以上250°以下であり、
前記溶接トーチを前記溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向のなす角度である後方移動角度αは、5°以上85°以下であって、
前記後方移動角度αと前記前方移動角度βとの関係が、α>(β−180)であることを特徴とする上記[10]に記載のウィービング制御方法。
[13]2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御システムであって、
前記ウィービング動作を行うにあたり、
溶接進行方向に垂直な面において、
前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、
前記固定端点は、前記ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、
前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とするウィービング制御システム。
1 溶接システム
10 溶接ロボット
11 溶接トーチ
20 ロボットコントローラ
30 溶接電源
40 送給装置
50 立板
60 下板
X 溶接進行方向
B ルート部
P ウィービング端
P1 立板側ウィービング端
P2 下板側ウィービング端
L3 ウィービング基準線

Claims (13)

  1. 2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御方法であって、
    前記ウィービング動作を行うにあたり、
    溶接進行方向に垂直な面において、
    前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、
    前記固定端点は、前記ウィービング 基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、
    前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とするウィービング制御方法。
  2. 前記ウィービング基準線の両側において、それぞれ同数の前記固定端点が設けられることを特徴とする請求項1に記載のウィービング制御方法。
  3. 前記固定端点の総数を5点とし、
    前記一方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点bおよびウィービング端点c、前記他方のウィービング端近傍に設けられる2点の前記固定端点をウィービング端点dおよびウィービング端点eとする場合において、
    前記溶接トーチは、前記基準端点aを起点とし、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eの順に移動する動作を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載のウィービング制御方法。
  4. 前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける前記チップ‐母材間距離が、あらかじめ設定されたチップ‐母材間距離に対し、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする請求項3に記載のウィービング制御方法。
    基準端点a:20〜45%
    ウィービング端点b:50〜80%
    ウィービング端点c:100〜120%
    ウィービング端点d:100〜120%
    ウィービング端点e:80〜100%
  5. 前記基準端点aから前記ウィービング端点bへの移動速度を250〜450cm/min、
    前記ウィービング端点bから前記ウィービング端点cへの移動速度を300〜500cm/min、
    前記ウィービング端点cから前記ウィービング端点dへの移動速度を250〜450cm/min、
    前記ウィービング端点dから前記ウィービング端点eへの移動速度を350〜550cm/min、
    前記ウィービング端点eから前記基準端点aへの移動速度を150〜350cm/minとし、
    それぞれの前記固定端点において、200ms以下の停止時間を設けることを特徴とする請求項3または4に記載のウィービング制御方法。
  6. 前記固定端点において、溶接電流、アーク電圧および送給速度のうち少なくとも1つの条件を変化させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のウィービング制御方法。
  7. 前記溶接電流の条件を変化させる場合において、
    前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電流値に対する溶接電流値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする請求項6に記載のウィービング制御方法。
    基準端点a:105〜110%
    ウィービング端点b:90〜100%
    ウィービング端点c:80〜90%
    ウィービング端点d:80〜90%
    ウィービング端点e:90〜100%
  8. 前記アーク電圧の条件を変化させる場合において、
    前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定電圧値に対するアーク電圧値の割合(百分率)が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする請求項6に記載のウィービング制御方法。
    基準端点a:105〜110%
    ウィービング端点b:80〜90%
    ウィービング端点c:110〜120%
    ウィービング端点d:110〜120%
    ウィービング端点e:80〜90%
  9. 前記送給速度の条件を変化させる場合において、
    前記基準端点aおよび前記ウィービング端点b〜eにおける、設定された送給速度の値に対する送給速度の値の割合が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする請求項6に記載のウィービング制御方法。
    基準端点a:105〜110%
    ウィービング端点b:90〜100%
    ウィービング端点c:80〜90%
    ウィービング端点d:80〜90%
    ウィービング端点e:90〜100%
  10. 前記2つの被溶接材のうち、一方を立板とし、他方を下板とする水平すみ肉溶接であって、
    前記立板側に前記ウィービング端点bおよび前記ウィービング端点cを設け、前記下板側に前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eを設けることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載のウィービング制御方法。
  11. 前記基準端点a、前記ウィービング端点b、前記ウィービング端点c、前記ウィービング端点dおよび前記ウィービング端点eにより形成される5角形における、前記ウィービング端点b〜eの内角が、それぞれ以下の条件を満足することを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載のウィービング制御方法。
    ウィービング端点b:130〜140°
    ウィービング端点c:60〜90°
    ウィービング端点d:60〜90°
    ウィービング端点e:130〜140°
  12. ウィービングで溶接を行ったときの前記溶接トーチの軌道において、前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させ、当該一方のウィービング端に到着すると、当該溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させ、当該ウィービングの動作を前記2つの被溶接材の間で繰り返す軌道であって、
    前記溶接トーチを前記溶接進行方向の前方へ向かって前記一方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向とのなす角度である前方移動角度βは、185°以上250°以下であり、
    前記溶接トーチを前記溶接進行方向に対して後方へ向かって前記他方のウィービング端まで移動させる際、当該溶接トーチの軌道と、当該溶接進行方向とは反対方向のなす角度である後方移動角度αは、5°以上85°以下であって、
    前記後方移動角度αと前記前方移動角度βとの関係が、α>(β−180)であることを特徴とする請求項10に記載のウィービング制御方法。
  13. 2つの被溶接材のすみ肉溶接において、ウィービング動作により溶接トーチを揺動させながら、所定の溶接線に沿って溶接を行うためのウィービング制御システムであって、
    前記ウィービング動作を行うにあたり、
    溶接進行方向に垂直な面において、
    前記ウィービング動作の初期位置の中心線であるウィービング基準線が溶接線上の基点を通るように、前記溶接トーチの位置を設定するとともに、5点以上の固定端点が設定され、
    前記固定端点は、前記ウィービング基準線の両側にそれぞれ1点以上設けられるとともに、前記ウィービング基準線上にあり、かつ、チップ‐母材間距離が最短となる基準端点aが設けられるように位置決めされ、
    前記ウィービング動作は、前記溶接進行方向から見て、前記溶接トーチが多角形を形成する軌跡となるように、前記固定端点間を移動するものであることを特徴とするウィービング制御システム。
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