JP2019124710A - 光学素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な画像品位を有し、高湿条件下であっても高い回折効率を長期に維持できる耐久性を有する光学素子を提供する。【解決手段】隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域にフォトポリマーを含む体積ホログラム記録層を含む層が配置され、前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着層を備えた光学素子において、前記体積ホログラム記録層がポリウレタンを含む、光学素子。【選択図】図3

Description

本発明は、光学素子およびその製造方法に関する。
従来、体積位相型ホログラムを含むホログラフィック光学素子(HOE;Holographic Optical Element、以下単に「HOE」とも称する)を用い、表示素子からの映像光をHOEで回折反射させて観察者の瞳に導き、観察者に映像(虚像)を観察させる映像表示装置が種々提案されている。例えば、特許文献1では、平面状のHOEを接眼プリズムに貼り付け、表示素子から出射され接眼プリズム内部で導光された映像光をHOEで回折反射させ、観察者の瞳に導く映像表示装置が開示されている。
一般に、HOEは波長依存性を有しており、波長に応じて回折される方向が変わる。このため、特許文献1に記載の技術のように、接眼プリズムにおけるHOE貼り付け面で映像光が反射する方向と、HOEで映像光が回折する方向とが、画面中心(映像観察時の画角中心)において略一致する構成では、平面状のHOEを用いると、画面中心から放射状の方向に映像光の波長が分散される。この結果、画面中心以外の位置では、表示された点(画像)が画面中心から放射状に引き伸ばされて、画像品位が劣化するという問題が生じる。
この画像品位劣化の問題を解決する手段として、映像光を回折反射する体積位相型ホログラムが接する接眼プリズム面を曲面とし、画面中心以外の位置において、HOEの波長依存性によって点(画像)が伸びる方向を制限することが挙げられる。これにより、平面状のHOEを用いた場合に比べて、HOEの画像品位の劣化を抑えることができる。
一方、湿度等の外部環境からの影響を受けにくいホログラム記録材料を用いた光学素子として、特許文献2は、2つの湾曲した透明プリズムの間にホログラム記録材料を配置し、2つの透明プリズムをポリビニルブチラール(PVB)により接着させた積層構造物を開示している。この特許文献2に記載の積層構造物は、ヘッドアップディスプレイや自動車用の風防ガラスに好適に用いられると報告されている。
特開2007−11279号公報 特開平7−234627号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、ホログラム記録材料の領域において所望の干渉縞が形成できず、画像品位の劣化を招く課題があった。
そこで本発明は、良好な画像品位を有し、高湿条件下であっても高い回折効率を長期に維持できる耐久性を有する光学素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域に配置される体積ホログラム記録層に対して、ポリウレタンを含有させることにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部領域にフォトポリマーを含む体積ホログラム記録層を含む層が配置され、前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着層を備えた光学素子において、前記体積ホログラム記録層がポリウレタンを含む、光学素子である。
本発明によれば、良好な画像品位を有し、高湿条件下であっても高い回折効率を長期に維持できる耐久性を有する光学素子が提供される。
ホログラフィ露光に用いる露光装置の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態による光学素子の部分構造を示す概略図である。 本発明の一実施形態による光学素子を備える映像表示装置の断面構造を示す概略図である。 本発明の一実施形態による光学素子を備える映像表示装置のより詳細な断面構造を示す概略図である。 実施例で作製した透明光学部材11−1および11−2を示す概略図であり、(a)は透明光学部材の平面図であり、(b)および(c)は透明光学部材の側面図である。 実施例で作製した透明光学部材13−1および13−2を示す概略図であり、(a)は透明光学部材の平面図であり、(b)および(c)は透明光学部材の側面図である。 実施例で作製した曲面を有する接合面上に体積ホログラム記録層を積層した積層体を示す概略図であり、(a)は積層体の平面図であり、(b)および(c)は積層体の側面図である。 鮮鋭性の評価に用いた虚像を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態である光学素子について説明する。
なお、以下においては、ホログラフィ露光(干渉露光)前の重合性モノマーを含む層を感光層と称し、感光層にホログラフィ露光を行って体積ホログラムが記録された層を体積ホログラム記録層と称する。また、重合性モノマー、光重合開始剤、マトリクス樹脂やその前駆体等を含む感光性組成物に光照射して重合反応させることにより得られたポリマーをフォトポリマーと称する。
本実施形態の光学素子は、隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域にフォトポリマーを含む体積ホログラム記録層を含む層が配置され、前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着層を備える。このような構成を有する本実施形態の光学素子は、良好な画像品位を有し、高湿条件下であっても高い回折効率を長期に維持できる耐久性を有する。
特許文献2に記載の積層構造物は、2つの湾曲した透明プリズムの間にホログラム記録材料を配置し、2つの透明プリズムをポリビニルブチラール(PVB)により接着させることにより、湿度等の外部環境からの影響を受けにくいとされている。しかしながら、特許文献2に記載の積層構造物は、ホログラム記録材料を有する領域とホログラム記録材料がない領域とで、接着層の厚みが違うため、接着層を硬化する際の収縮率に差が生じてその結果内部応力が発生し、また、接合面が曲面を有するため、より顕著に内部応力が発生しやすい。そのため、ホログラム記録材料を有する領域において、所望の干渉縞が形成できなくなり、画像品位の劣化を招くという問題があった。
一方、本実施形態の光学素子は、体積ホログラム記録層がポリウレタンを含有する。これにより、接着剤の硬化収縮に伴う局所的な内部応力が発生しても、体積ホログラム記録層に含まれるポリウレタンが内部応力を分散させ、所望の干渉縞が維持され、良好な画像品位が得られると考えられる。また、ポリウレタンを内部に含有することにより、体積ホログラム記録層の高湿条件下での耐久性が向上すると考えられる。なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本実施形態の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
以下、好ましい実施形態をより詳細に説明するが、下記の実施形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
[光学素子の構成]
<透明光学部材>
本実施形態に係る隣り合う2つの透明光学部材は、一対の接合面のうち少なくとも一方が曲面を有している。もう1つの接合面は、平面状であってもよいし曲面を有していてもよい。
曲面の形状の例としては、シリンドリカル形状(円柱状)、球面状、凸レンズ状、凹レンズ状等が挙げられ、特に制限されない。係る曲面の形状の曲率は、画像を表示する光学素子の瞳に対する設置位置によって適宜変更され、設置位置が近いほど曲率が大きくなる。光学素子と瞳との距離をRとしたとき、曲率は1/Rと同等もしくはそれより小さいことが好ましい。また曲率は、透明光学部材の曲面に渡って一定であってもよく、変化していてもよい。変化する場合、透明光学部材の周端部に向かって、小さくなっていくことが好ましい。
透明光学部材の材料は、光学的に透明であればよく、公知の材料を適宜選択することができる。なお、本明細書中、「透明」とは、可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。材料の例としては、例えば、ガラス、シリコン、石英などの無機材料;アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトエート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、セルロースアシレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリジシクロペンタジエンなどの有機材料;等が挙げられる。これら材料は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、一対の透明光学部材の材料は、互いに同じでもよいし異なっていてもよい。
透明光学部材は、上記材料を、例えば金型を用いて公知の条件によって射出成形、押出成形等の成形を行うことで得ることができる。
透明光学部材の大きさとしては、特に制限はなく、用いる用途などに応じて適宜選択することができる。また、上記曲面を有する適当な大きさの透明光学部材は、公知の方法を用いて、またはこれを適宜改変して作製することができる。
<隣接層>
本実施形態の光学素子は、体積ホログラム記録層に接する樹脂を含む隣接層を有することが好ましい。隣接層は、体積ホログラム記録層を保護する役割および/または体積ホログラム記録層を安定的に保持する役割を有しうる。
上記の構成を有する隣接層は、体積ホログラム記録層の両面に接するように設けられてもよいし、片面にのみ接するように設けられてもよい。すなわち、本実施形態の光学素子は、樹脂を含む隣接層を少なくとも1つ有することが好ましい。体積ホログラム記録層の両面に隣接層が設けられる場合、それぞれの隣接層の構成材料および厚さは同じでもよいし、異なっていてもよい。
隣接層に含まれる樹脂としては、透明性を有する公知の樹脂が挙げられる。樹脂の具体的な例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトエート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、セルロースアシレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリジシクロペンタジエン等が挙げられる。これら樹脂は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、光学特性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、セルロースアシレート、ポリメチルメタクリレートが好ましく、セルロースアシレートがより好ましい。
該隣接層は、上記成分以外に、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、劣化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、微粒子、光学特性調整剤等、他の成分を含んでもよい。他の成分の添加量(2種以上添加する場合はその合計)としては、隣接層の全質量に対して、0.1〜29.5質量%が好ましい。
隣接層の厚さは、特に制限はされないが、10〜1000μmが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。
隣接層を形成する方法としては、特に制限されず、樹脂を溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)、カレンダー法、圧縮成形法等、従来公知の方法を用いて成形を行う方法が挙げられる。これらの方法のうち、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)が好ましい。また、隣接層として、市販の樹脂フィルムを用いてもよい。
<体積ホログラム記録層>
体積ホログラム記録層は、重合性モノマー、光重合開始剤、ポリウレタンの前駆体であるポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物、ならびに必要に応じて含まれるポリウレタン以外のマトリクス樹脂またはその前駆体を含有する感光性組成物を、例えば隣接層上に塗布し、乾燥することで得られる塗膜(感光層)に対して、少なくともホログラフィ露光を行うことにより作製されることが好ましい。このようにして、該感光層内に高屈折率領域と低屈折率領域とからなる回折格子が形成され、体積ホログラム記録層となる。
体積ホログラム記録層形成に用いられる感光性組成物は、好ましくはラジカル重合性モノマー、光重合開始剤、ならびにポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物を含有するポリウレタンの前駆体を含み、必要に応じてポリウレタン以外のマトリクス樹脂またはその前駆体、増感剤、溶媒等を含みうる。以下、これらの成分について説明する。
≪ラジカル重合性モノマー≫
ラジカル重合性モノマーとしては、分子内に1つ以上のラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有するものであれば特に制限されないが、比較的高屈折率を呈するものが好ましい。具体的には、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2,3−ジブロモプロピルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジブロモネオペンチルグリコールジアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシメチルメタクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルメタクリレート、o−ビフェニルアクリレート、スチレン、メトキシスチレン、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノールエトキシレートアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、2−(1−ナフチロキシ)エチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、ジフェノール酸のジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、2,3−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチレン−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−Aのジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)メタン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジプロモフェニル)メタン、ビス(4−メタクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル−ジブロモフェニル)スルホン、ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル−ジブロモフェニル)スルホン、ジエチレンジチオグリコールジアクリレート、ジエチレンジチオグリコールジメタクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、2−(トリシクロ[5,2,102,6]ジブロモデシルチオ)エチルアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、特開平2−247205号公報や特開平2−261808号公報に記載の分子内に少なくともS原子を2個以上含むエチレン性不飽和結合含有化合物、N−ビニルカルバゾール、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、N−フェニルマレイミド、p−ビフェニルメタクリレート、2−ビニルナフタレン、2−ナフチルメタクリレート、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、N−フェニルメタクリルアミド、t−ブチルフェニルメタクリレート、ジフェン酸(2−メタクリロキシエチル)モノエステル、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、4,5−フェナントレンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、2−{{[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ}エチルプロパ−2−エノエートなどが挙げられる。
また、9,9−ジアリールフルオレン骨格を有し、分子中に少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するものが挙げられる。具体的には下記構造を有する化合物である。
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を含むラジカル重合性基である。好ましい形態としては、末端にアクリロイル基またはメタクリロイル基を有し、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖、ウレタン結合、アミド結合などを介して、上記化合物のベンゼン環と結合し得る基である。
また、X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子または置換基である。置換基の具体例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基などが挙げられる。
また、フェニルイソシアネート化合物と、一分子中にヒドロキシ基およびアクリロイル基を有する化合物とによる縮合物からなるウレタンアクリレートも利用できる。具体的には、以下の構造を有する化合物である。
上記化学式(I)〜(III)中、Rは、それぞれ独立して、エチレン性不飽和結合を有する基であり、Xは、それぞれ独立して、単結合、または直鎖状、分枝状、もしくは環状の2価の脂肪族炭化水素基である。
また、下記化学式(IV)で表される構造を有する化合物も使用することができる。
上記化学式(IV)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルセレノ基、炭素数1〜6のアルキルテルロ基、またはニトロ基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基である。
Aは、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜6のアルケニレン基、または2〜6個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を有するポリアルキレンオキシド基である。
これらのラジカル重合性モノマーの内、置換または未置換のフェニル基を有するモノマー、置換または未置換のナフチル基を有するモノマー、3個までの環を有する置換または未置換の複素環式芳香族部分を有するモノマー、塩素原子を有するモノマー、臭素原子を含有するモノマーは、その屈折率が比較的高いため、好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
感光性組成物中のラジカル重合性モノマーの含有量は、1〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
≪光ラジカル重合開始剤≫
光ラジカル重合開始剤は、ホログラフィ露光における、特定波長のレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光の照射によって、ラジカル重合性モノマーの光重合を開始させる剤である。光ラジカル重合開始剤として、例えば米国特許第4766055号明細書、同第4868092号明細書、同第4965171号明細書、特開昭54−151024号公報、同58−15503号公報、同58−29803号公報、同59−189340号公報、同60−76735号公報、特開平1−28715号公報、特開平4−239505号公報および「プロシーディングス・オブ・コンフェレンス・オン・ラジエーション・キュアリング・エイジア(PROCEEDINGS OF CONFERENCE ON RADIATION CURING ASIA)」(pp.461〜477、1988年)等に記載されている公知の重合開始剤が使用できるが、これらに制限されない。
光ラジカル重合開始剤の具体例として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類(トリアジン系化合物)、アゾ化合物、アジド化合物、有機過酸化物、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート等の有機ホウ素酸塩、オニウム塩類、ハロゲン化炭化水素誘導体、チタノセン化合物、モノアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイドとα−ヒドロキシケトンとの組み合わせなどが挙げられる。また、チオール化合物などの水素供与体とビスイミダゾール誘導体との併用による光ラジカル重合開始剤システムも利用できる。これら光ラジカル重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部である。
≪増感剤≫
上記感光性組成物は、光ラジカル重合開始剤に対する増感機能を有する増感剤を含んでもよい。このような増感剤は400〜800nm、特に450〜700nmの範囲に吸収極大波長を有する。これらの増感剤が上記範囲の光を吸収し、これにより光ラジカル重合開始剤に対して増感作用が生じる。
このような増感剤としては、例えば、シアニン系色素、スチリル系色素等のポリメチン系化合物、ローダミンB、ローダミン6G、ピロニンGY等のキサンテン系化合物、サフラニンO等のフェナジン系化合物、クレシルバイオレット、ブリリアントクレシルブルー等のフェノキサジン系化合物、メチレンブルー、ニューメチレンブルー等のフェノチアジン系化合物、オーラミン等のジアリールメタン系化合物、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、リサミングリーン等のトリアリールメタン系化合物、(チオ)ピリリウム塩系化合物、スクアリリウム系化合物、クマリン系色素、チオキサンテン系色素、アセン系色素、メロシアニン系色素、チアゾリウム系色素等が挙げられる。これら増感剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
増感剤を用いる場合の使用量は、光ラジカル重合開始剤100質量部に対して1〜2000質量部が好ましく、20〜1500質量部がより好ましい。
≪連鎖移動剤≫
上記感光性組成物は、連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤としては、特に限定されず、公知のラジカル連鎖移動剤を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプタン類;テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化合物;2−メチル−1−ブテン、α−メチルスチレンダイマー等のオレフィン類;等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
連鎖移動剤を用いる場合の使用量は、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部である。
≪ポリウレタンの前駆体≫
本実施形態に係る感光性組成物は、ポリウレタンの前駆体であるポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物を含むことが好ましい。これら化合物は、付加重合することによりポリウレタンとなり、体積ホログラム記録層がポリウレタンを含むことになる。すなわち、好ましい一実施形態によるポリウレタンは、ポリイソシアネート化合物由来の構成単位と、ポリオール化合物由来の構成単位と、を含む。
体積ホログラム記録層がポリウレタンを含むことにより、接着剤の硬化収縮に伴う局所的な内部応力が発生しても、ポリウレタンが内部応力を分散させ、体積ホログラム記録層に形成された所望の干渉縞が維持されて良好な画像品位が得られ、また、体積ホログラム記録層の高湿条件下での耐久性が向上すると考えられる。
また、ポリウレタンは、後述のマトリクス樹脂としての役割も果たし得る。
〔ポリイソシアネート化合物〕
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であるが、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数の上限は特に制限されないが、通常20以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。
本実施形態で使用されるポリイソシアネート化合物の例としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;およびこれらの多量体等が挙げられる。また、これらの他に、水、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類とこれら上記のイソシアネートとの反応物等やヘキサメチレンジイソシアネートの多量体、またはその誘導体を挙げることができる。これらポリイソシアネート化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
〔ポリオール化合物〕
ポリオール化合物は、1分子中に2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であるが、その種類は特に制限されない。ポリオール化合物は、好ましくは1.5〜6.0の平均ヒドロキシ官能価および1000〜18500g/molの数平均分子量、より好ましくは1.8〜4.0の平均ヒドロキシ官能価および1000〜8500g/molの数平均分子量、さらに好ましくは1.9〜3.1の平均ヒドロキシ官能価および1000〜6500g/molの数平均分子量を有する。
ポリオール化合物の例としては、例えば、ポリプロピレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらポリオール化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを付加重合(硬化)させる触媒を感光性組成物中に配合することができる。触媒を使うことにより室温(20〜25℃)で硬化させることができるが、加熱して硬化させてもよい。加熱硬化する場合の温度としては40〜90℃の範囲が好ましく、加熱硬化時間は1〜24時間の範囲が好ましい。
上記触媒の例としては、通常のウレタン化反応触媒、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ等のスズ化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン化合物が挙げられる。これらのうちスズ化合物は溶解性や媒体としての性能がよく、特に、ジラウリン酸ジブチルスズが好ましい。
触媒の使用量は、ポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物の合計量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。なお、これら触媒を用いる場合は、感光層塗膜の均一性確保の観点から、触媒を添加してから10分以内に感光性組成物を塗布することが好ましい。
1分子に3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物および/または1分子中に3つ以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物を用いることにより、付加重合後に架橋構造を有するポリウレタンを得ることができる。体積ホログラム記録層が架橋構造を有するポリウレタンを含有させることにより、強度の高い体積ホログラム記録層を得ることができる。
感光性組成物中のポリイソシアネート化合物の含有量は、0.02〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.3質量%であることがより好ましい。また、感光性組成物中のポリオール化合物の含有量は、5〜35質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
体積ホログラム記録層がポリウレタンを含むことは、体積ホログラム記録層の有機溶媒に溶解しない成分をフーリエ変換赤外分光光度計(Fourier transform infrared spectrometer: FT−IR)により分析し、イソシアネート基由来の2270cm−1の吸収、ならびにアミド基由来の1690cm−1および1470cm−1の吸収の存在により確認することができる。
<マトリクス樹脂またはその前駆体>
マトリクス樹脂は、体積ホログラム記録層の膜厚の均一性、耐熱性、機械的物性等を向上させ、ホログラフィ露光により形成されるホログラムを安定化させる働きを有する。また、体積ホログラム記録層形成時には、重合性モノマーやフォトポリマーの拡散移動現象を阻害しない、または効率よく発現させる機能を有し得る。なお、上記ポリウレタンは、本項で説明するマトリクス樹脂としての役割を果たし得る。
ポリウレタン以外のマトリクス樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等、いずれも制限なく使用することができる。また、これら樹脂にポリシロキサン鎖やパーフルオロアルキレン鎖で修飾したものなども使用することができる。マトリクス樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ−1,2−ジクロロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シンジオタクチック型ポリメチルメタクリレート、ポリ−α−ビニルナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−o−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン、ポリ−p−フェニルスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリアリーレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン、水素化スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンやヘキサフルオロエチレンとビニルアルコール、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルアセタール、ビニルブチラールなどとの共重合体、(メタ)アクリル酸環状脂肪族エステルとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、メチルメタクリレート−エチルアクリレート−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化性樹脂に、架橋構造、粘度の調整等を目的として、下記のようなその他の単官能または多官能モノマー、オリゴマー等を包含させることができる。例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、多官能では骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、ホスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
上記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合は、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の有機過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱または活性エネルギー線硬化剤を、感光性組成物に含有させることができる。
熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合には、感光層を形成した後、加熱または活性エネルギー線照射により硬化を行うことができる。硬化は、ホログラフィ露光の前に行ってもよいし後に行ってもよい。
また、マトリクス樹脂の別の前駆体として、カチオン重合性モノマーを用いてもよい。カチオン重合性モノマーによるマトリクス樹脂は、膜強度に優れた体積ホログラム記録層の作製を可能とする。
係るカチオン重合性モノマーの具体例としては、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、パラ−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらカチオン重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
上記カチオン重合性モノマーを用いる場合は、光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤を感光性組成物中に添加してもよい。
光カチオン重合開始剤の具体例としては、例えばヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類などが挙げられる。ヨードニウム塩類として具体的には、ヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類として具体的には、トリアリールスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、4−t−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウム等スルホニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート等が挙げられる。これら光カチオン性重合開始剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
熱カチオン重合開始剤の具体例としては、例えばトリフル酸塩、三弗化硼素エーテル錯化合物、三弗化硼素等のようなカチオン系またはプロトン酸触媒が挙げられ、好ましい熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩である。具体例としては、3M社から「FC−520」として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングス(Modern Coatings)に記載されている)がある。また、活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。市販品の例としては、「サンエイド(登録商標)SI−60L」、「サンエイド(登録商標)SI−80L」および「サンエイド(登録商標)SI−100L」(以上三新化学工業株式会社製)がある。マトリクス樹脂としてカチオン重合性モノマーを用いる場合、光カチオン重合開始剤または熱カチオン重合開始剤の使用量は、カチオン重合性モノマー100質量部に対して0.05〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましい。
ポリウレタン以外のマトリクス樹脂またはその前駆体の含有量は、感光性組成物中1〜30質量%であることが好ましく、1〜28質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることがさらに好ましい。
<溶媒>
感光性組成物には、塗工する際に必要に応じて溶媒を添加してもよい。ただし、感光性組成物に、常温で液状である成分が含まれている場合は、溶媒は添加しなくてもよい。
溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族系溶媒;メチルエチルケトン(2−ブタノン)、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒などが挙げられる。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
<添加剤>
感光性組成物は、上記効果を損なわない限り、必要に応じて、可塑剤、相溶化剤、重合抑制剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、剥離剤、安定化剤、酸化防止剤、難燃剤、光学増白剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
〔感光性組成物の調製方法〕
感光性組成物は、上記した各成分を一括または順次混合することにより得ることができる。混合の際用いる装置としては、例えば、マグネチックスターラー、ホモディスパー、クイックホモミキサー、プラネタリーミキサーなどの攪拌または混合装置が挙げられる。得られた感光性組成物は、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。
[放射線硬化性接着層]
放射線硬化性接着層は、放射線硬化性接着剤を塗布した後、可視光、紫外線、電子線等の放射線で硬化させることにより得られる層、すなわち放射線硬化性接着剤の硬化物を含む層である。放射線硬化性接着剤の材料の例としては、例えば、(メタ)アクリルモノマー、光重合開始剤、光増感剤、添加剤などが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等などが挙げられる。これらは単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物等が挙げられ、光増感剤としてはアミン化合物やキノン化合物等が挙げられる。
その他の添加剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤や、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物などのオリゴマー等が挙げられる。
体積ホログラム記録層が存在する領域の放射線硬化性接着層の厚さは、特に制限されないが、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
放射線硬化性接着層の形成方法としては、特に制限されず、例えば体積ホログラム記録層が設けられた曲面を有する接合面を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布した後、放射線を照射し接着剤を硬化させる方法が挙げられる。
放射線硬化性接着剤を塗布する方法としては、従来公知の方法を使用することができ、具体例としては、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。
放射線の照射で用いられる光源は、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、メタルハライドランプ等の紫外線を発する光源が挙げられる。紫外線照射を行う場合の照射エネルギー量としては、100〜2000mJ/cmが好ましい。
[光学素子の製造方法]
光学素子の製造方法は、特に制限されないが、一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域に体積ホログラム層を含む層を作製し、前記体積ホログラム記録層を含む層が配置された前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布した後、放射線を用いて前記放射線硬化性接着剤を硬化させて放射線硬化性接着層を形成することを含むことが好ましい。
当該製造方法は、具体的には、
(1)隣接層上に感光層を形成する工程
(2)感光層と接合面が曲面を有する一の透明光学部材とを貼り合わせ、曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域に感光層を含む層を作製する工程
(3)該感光層に対してホログラフィ露光を行い、体積ホログラム記録層を含む層を作製する工程
(4)体積ホログラム記録層が配置された曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布し、他の透明光学部材を貼り合わせる工程
(5)放射線硬化性接着剤を、放射線を用いて硬化させ、放射線硬化性接着層を形成する工程
を含む。
以下、かような製造方法について説明する。
(1)隣接層上に感光層を形成する工程
隣接層上に感光層を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、隣接層上に、上記で説明した感光性組成物を直接塗布し乾燥する方法が挙げられる。
隣接層の材料、製造方法等は上記で説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
隣接層上に感光性組成物を塗布する方法としては、従来公知の方法を使用することができ、具体例としては、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。
乾燥は、ホットプレート、オーブン、ベルト炉等を用いた従来公知の種々の方法を採用することができる。乾燥温度は前述の感光性組成物の感光性が損なわれない範囲で選択でき、例えば10〜80℃の範囲であり、また乾燥時間も特に制限されず、例えば1〜60分の範囲である。
また、感光性組成物が、ポリウレタンの前駆体であるポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物を含む場合は、本工程においてこれら化合物の付加重合(硬化)を行う。硬化の際に用いられる触媒、硬化条件等は、上記したとおりである。
感光層の厚さは、後述の体積ホログラム記録層の好ましい厚さの範囲となるよう、適宜設定すればよい。
(2)感光層と接合面が曲面を有する一の透明光学部材とを貼り合わせ、曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域に感光層を含む層を作製する工程
本工程では、感光層と接合面が曲面を有する一の透明光学部材とを貼り合わせる。貼り合わせる方法としては、例えばラミネーターを用いる方法が挙げられる。
(3)該感光層に対してホログラフィ露光を行い、体積ホログラム記録層を含む層を作製する工程
感光層に対してホログラフィ露光を行うことによって、感光層中の重合性モノマーの重合反応が進み、重合反応により生成する光硬化されたフォトポリマーの領域と他成分の領域とが、ホログラフィ露光で照射された干渉波と同一のパターンとして形成される。
〔記録方法〕
感光層にホログラフィ露光を行い、体積ホログラムを記録(書き込み)し体積ホログラム記録層とする方法、および体積ホログラムを再生(読み出し)する方法としては、特に制限されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。
まず、情報の記録時には、重合性モノマーの化学変化、すなわち、その重合および濃度変化を生じさせることが可能な光を、記録光(物体光とも呼ばれる)として用いる。
例えば、情報を体積ホログラムとして記録する場合には、物体光を参照光と共に感光層に対して照射し、感光層において物体光と参照光とを干渉させるようにする。これによってその干渉光が、感光層内の重合性モノマーの重合および濃度変化を生じさせ、その結果、干渉縞が感光層内に屈折率差を生じさせ、感光層内に記録された干渉縞により体積ホログラムとして記録され、体積ホログラム記録層となる。
体積ホログラムの記録に用いられる記録光(カッコ内は波長を示す)としては、コヒーレンス性に優れる可視光レーザーを用いることが好ましく、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、YAGレーザー(532nm)等を使用することができる。
ホログラム記録時の照射エネルギー量(露光量)としては、特に制限されないが、10〜250mJ/cmの範囲であることが好ましい。
また、ホログラム記録方式としては、偏光コリニアホログラム記録方式、参照光入射角多重型ホログラム記録方式等があるが、いずれの記録方式でも良好な記録品質を提供することが可能である。
露光装置としては、特に制限されないが、例えば、概略構成が図1に示すようなタイプの露光装置を用いることができる。図1に示す露光装置においては、レーザー光源201から出射された光線(記録光)は、2対のミラーよりなるビームステアラー202a、202bによって露光系の適した位置に光線を誘導する。203はシャッターであり、光線(記録光)のON/OFFを制御する。204はビームエキスパンダーであり、感光層の露光面積に応じて、光束径を広げ、開口率(NA)を変化させる機能を有する。
ビームエキスパンダー204を通った光線(記録光)は、ビームスプリッター205で二光束に分けられる。分けられた光線(記録光)は、それぞれミラー206、207、およびミラー209、208によってスペイシャルフィルター211、212に誘導される。スペイシャルフィルター211、212はレンズとピンホールとから構成され、該レンズで光線(記録光)を集光し、ピンホールを介して製造光学系213に光線(記録光)を誘導する。
製造光学系213は、光学素子の光線の反射角を制御できるように、体積ホログラム記録層となる感光層を具備したガラスプリズム等のサンプルを好適な位置に設置および固定することができる。
製造光学系213に固定されたプリズムなどに具備された感光層は、二光束に分けられ、各々スペイシャルフィルター211、213を介して誘導された光線(記録光)によってホログラフィ露光(干渉露光)される。
製造光学系213に固定された感光層に対するホログラフィ露光(干渉露光)の一例を図2に示す。図2に示す例では、第1の透明光学部材11と感光層(体積ホログラム記録層)12との積層体15に対して、2方向からのレーザー光照射により、感光層へのホログラフィ露光が行われる。2方向からのレーザー光のうち、一方が物体光31であり、他方が参照光32である。
なお、図1に示す光源は1つのみであるが、異なる波長を有する複数のレーザー光源を用いてホログラフィ露光する場合には、シャッター203手前の光路にグロイックミラーを挿入し、複数の光源から発せられるレーザー光線を段階的に合成させてもよい。
体積ホログラムを記録した後、屈折率変調の促進や重合反応完結(定着)のために、体積ホログラム記録層に対して、さらに紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。全面露光で用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、メタルハライドランプ等の紫外線を発する光源を用いることができる。紫外線による全面露光を行う場合の照射エネルギー量としては、50〜200J/cmが好ましい。また、加熱処理を行う際の温度は50〜150℃が好ましく、処理時間は30分間〜3時間が好ましい。
全面露光と加熱処理とを共に行う場合、その順序は特に制限されず、全面露光を先に行ってもよいし、加熱処理を先に行ってもよい。
本実施形態において、体積ホログラム記録層の厚さは、耐久性の観点から、5〜100μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
(4)体積ホログラム記録層が配置された曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布し、他の透明光学部材を貼り合わせる工程
本工程では、上記(3)で作製した体積ホログラム記録層が配置されている曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布し、他の透明光学部材を貼り合わせる。
隣接層を設置しない場合は、放射線硬化性接着剤を塗布する前に、隣接層を体積ホログラム記録層から剥離し、体積ホログラム記録層上に直接放射線硬化性接着剤を塗布する。隣接層を設置する場合は、隣接層上に放射線硬化性接着剤を塗布する。
放射線硬化性接着剤の塗布方法、塗布厚さ等は、上記で説明したとおりである。
(5)放射線硬化性接着剤を、放射線を用いて硬化させ、放射線硬化性接着層を形成する工程
本工程では、放射線を用いて放射線硬化性接着剤を硬化させ、放射線硬化性接着層を形成する。放射線照射に用いる光源、照射条件等は、上記で説明したとおりである。
[他の層]
本実施形態の光学素子は、上記以外に、保護層、反射層、反射防止膜、紫外線吸収層等、他の層を有していてもよい。
保護層は、体積ホログラム記録層の保存安定性の劣化等の影響を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。保護層の形成位置は、特に制限はなく、例えば体積ホログラム記録層と放射線硬化性接着層との間、隣接層と放射線硬化性接着層との間、体積ホログラム記録層と透明光学部材との間などが挙げられる。
反射層は、光学素子を反射型に構成する際に形成される。反射型の光学素子の場合、反射層は通常、隣接層の外側面に形成される。反射層としては、従来公知のものを適宜参照して適用することができ、例えば金属の薄膜等を用いることができる。
さらに、透過型および反射型のいずれの光学素子においても、物体光および再生光が入射および/または出射する側に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。反射防止膜の材料および形状は、従来公知のものを適宜参照して適用することができる。
なお、体積ホログラム記録層に記録された体積ホログラムを再生する場合は、所定の再生光(通常は参照光)を体積ホログラム記録層に照射する。照射された再生光は前記の干渉縞に応じて回折を生じる。この回折光は、体積ホログラム記録層と同様の情報を含むものであるので、前記の回折光を適当な検出手段によって読み取ることにより、体積ホログラム記録層に記録された情報の再生を行なうことができる。なお、物体光、再生光および参照光の波長領域はそれぞれの用途に応じて任意であり、可視光領域でも紫外光領域でも構わない。
[映像表示装置]
本実施形態の光学素子は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、光学シースルーディスプレイ等の映像表示装置に好適に用いられる。以下では、光学素子を備える映像表示装置の一例について説明する
図3に、光学素子10と表示素子20とを備えた映像表示装置1の概略的な断面構造を示す。図3の光学素子10は、曲面を有する第1の透明光学部材11と、第1の透明光学部材11と対となる第2の透明光学部材13とが、体積ホログラム記録層12を挟むようにして接合された構造を有している。
ホログラフィ(干渉)露光により得られた体積ホログラム記録層12を2つの透明光学部材11および13の間で挟むようにして、曲面を有する第1の透明光学部材11と、第1の透明光学部材11と対となる第2の透明光学部材13とを接着剤14で接合すると、ホログラム再生可能な状態の光学デバイス10が得られる。ホログラム再生では、図3に示すように、映像光(再生照明光)41が光学素子10に入射すると、再生像光42が回折反射される。その再生像光42は、光学素子10を透過した外界像光43と共に、観察者眼EYに入射することになる。したがって、観察者は表示映像と共に外界像も観察することができる。
体積ホログラム記録層12は、曲面を有する第1の透明光学部材11に貼り付けられており、第1の透明光学部材11と対となる第2の透明光学部材13との間に設けられた放射線硬化性接着層14で、第1透明光学部材11と第2の透明光学部材13とが体積ホログラム記録層12を挟むようにして接合されている。曲面を有する第1の透明光学部材11と第2の透明光学部材13との接合面上に体積ホログラム記録層12が設けられているため、接合面を介した外界像のシースルー性が確保される。
映像表示装置1は、図3に示すように、光学素子10の他に、映像を表示する表示素子20を備えている。表示素子20としては、例えば、反射型または透過型の液晶表示素子(LCD:liquid crystal display)、デジタル・マイクロミラー・デバイス(digital micromirror device)、有機EL(organic electro−luminescence)ディスプレイ等が挙げられる。さらに、表示素子20を照明するための照明装置を配置してもよい。照明装置としては、LED(light emitting diode)等の光源、集光用光学素子(レンズ、ミラー等)で構成された照明装置等を備えたものが挙げられる。
図3に示す映像表示装置1のさらに詳細な構成を、図4に示す。図4では、照明装置等を備えた映像表示装置1における光源21から光学瞳EPまでの光路を示している。この映像表示装置1は、照明装置の他に、偏光板24と、偏光ビームスプリッター25と、表示素子20と、接眼光学系として機能する光学素子10と、を有している。
照明装置は、表示素子20を照明するものであり、光源21と、照明ミラー22と、拡散板23と、を有している。光源21は、中心波長が例えば520nmの波長帯域の光を発するLEDで構成されている。なお、図4に示す光源21は1つのみの波長であるが、体積ホログラム記録層が異なる複数の波長を回折する場合は、異なる複数の波長帯域の光を発する一体型のLEDで構成されてもよい。照明ミラー22は、光源21から出射した光(照明光)を拡散板23に向けて反射させるとともに、光学瞳EPと光源21とが略共役となるように、照明光を曲げる光学素子(例えば、自由曲面ミラー)である。拡散板23は、光源21からの照明光を拡散させるものであり、その拡散度は方向によって異なっている(例えば、横方向にのみ拡散作用を有する一方向拡散板である)。
偏光板24は、その表面に拡散板23が貼り合わせ保持されており、拡散板23を介して入射する光のうち、所定の偏光方向の光を透過させて偏光ビームスプリッター25に導く。偏光板24を透過した偏光が偏光ビームスプリッター25で反射されるように、偏光ビームスプリッター25の方向は揃えてある。偏光ビームスプリッター25は、偏光板24を透過した光を反射型の表示素子20の方向に反射させる一方、表示素子20で反射された光のうち、画像信号オンに対応する光(偏光板24を透過した光とは偏光方向が直交する光)を透過させる平板状の偏光分離素子であり、第1の曲面を有している透明光学部材11の面11cに貼り付けられている。
表示素子20は、照明装置からの光(つまり、偏光ビームスプリッター25で反射された光)を変調して映像IMを表示する表示素子であり、この映像表示装置1では反射型の液晶表示素子を想定している。なお、異なる複数の波長領域を表現する場合、表示素子20はカラーフィルターを有する構成であってもよいし、異なる波長領域ごとに時分割で駆動される構成であってもよい。
表示素子20は、偏光ビームスプリッター25からほぼ垂直に入射する光がほぼ垂直に反射されて、偏光ビームスプリッター25に向かうように配置されている。これにより、反射型の表示素子に対して大きな入射角で光を入射させる構成に比べて、解像度を増大させるような光学設計が容易になる。また、表示素子20は、照明ミラー22から偏光ビームスプリッター25に向かう光路に対して光源21と同じ側に配置されている。これにより、照明装置から表示素子20までの光学系全体をコンパクトに構成することができる。なお、表示素子20は、光源21と同一の基板で支持されていてもよいし、別々の基板で支持されていてもよい。
光学素子10は、曲面を有する第1の透明光学部材11、第1の透明光学部材11と対となる第2の透明光学部材13、および体積ホログラム記録層12を有しており、透明光学部材11、13は、例えばプラスチック(より具体的には、アクリル系樹脂,ポリカーボネート,シクロオレフィン樹脂等)で構成されている。光学素子10は、非軸対称(非回転対称)な正の光学的パワーを有しており、それにより表示素子20からの映像光を光学瞳EPに導くための接眼光学系として機能する。透明光学部材11は、表示素子20から偏光ビームスプリッター25を介して入射してくる映像光を内部で導光する一方、外界像の光(外光)を透過させるものであり、平行平板の上端部を上端に向かうほど厚くし、下端部を下端に向かうほど薄くした形状で構成されている。
曲面を有する第1の透明光学部材11において、偏光ビームスプリッター25が貼り付けられている面11cは、表示素子20からの映像光が最初に入射する光学面である。また、光学瞳EPとほぼ平行に位置して互いに対向する2つの面11a、11bは、映像光を全反射によって導光する全反射面となっている。そのうち、光学瞳EP側の面11aは、体積ホログラム記録層12で回折反射される映像光の出射面を兼ねている。
曲面を有する第1の透明光学部材11は、その下端部に配置される体積ホログラム記録層12を挟むように、接着剤14で第1の透明光学部材11と対となる第2の透明光学部材13と接合されて、略平行平板を形成している。第2の透明光学部材13を第1の透明光学部材11と貼り合わせることで、外光が第1の透明光学部材11の楔状の下端部を透過するときの屈折を第2の透明光学部材13でキャンセルすることができ、観察される外界像に歪みが生じるのを防止することができる。体積ホログラム記録層12は、第1の透明光学部材11の面11dに接して設けられており、第1の透明光学部材11内部で導光された映像光を回折反射する体積位相型であり反射型である光学素子である。そして、体積ホログラム記録層12の回折波長は、映像光の波長(光源21の発光波長)とほぼ対応している。
上記の構成において、照明装置の光源21から出射された光は、照明ミラー22で反射され、拡散板23にて一方向にのみ拡散された後、所定の偏光方向の光のみが偏光板24を透過する。そして、偏光板24を透過した光は、偏光ビームスプリッター25で反射され、表示素子20に入射する。表示素子20では、入射光が画像信号に応じて変調される。このとき、画像信号オンに対応する映像光は、表示素子20にて入射光とは偏光方向が直交する光に変換されて出射されるため、偏光ビームスプリッター25を透過して第1の透明光学部材面11cから第1の透明光学部材11の内部に入射する。一方、画像信号オフに対応する映像光は、表示素子20にて偏光方向が変換されずに出射されるため、偏光ビームスプリッター25で遮断されて、第1の透明光学部材11の内部に入射しない。
第1の透明光学部材11では、入射した映像光が第1の透明光学部材11の対向する2つの面11a、11bでそれぞれ1回ずつ全反射された後、体積ホログラム記録層12に入射する。体積ホログラム記録層12では、特定の波長の光のみが回折反射されて面11aから出射し、光学瞳EPに達する。したがって、観察者は、光学瞳EPの位置で表示素子20に表示された映像IMを虚像として観察することができる。一方、第1の透明光学部材11、第2の透明光学部材13、および体積ホログラム記録層12は、外光をほとんど全て透過させるので、観察者は外界像をシースルーで観察することができる。したがって、表示素子20に表示された映像IMの虚像は、外界像の一部に重なって観察されることになる。
光学素子10は、上記のように、接合された第1の透明光学部材11と第2の透明光学部材13との間の体積ホログラム記録層12を介して、表示素子20の映像が外界像に重なるように、その表示映像を虚像として観察者眼EY(図3参照)にシースルーで投影表示する接眼光学系として機能する。そのため、体積ホログラム記録層12は、体積位相型の反射型ホログラムであることが好ましい。体積位相型の反射型ホログラムは外界像の光の透過率が高いので、体積ホログラム記録層12として体積位相型の反射型ホログラムを用いれば、観察者は表示映像と共に外界像も明瞭に観察することが可能になる。
図3および図4に示すように、体積ホログラム記録層12は、曲面を有する第1の透明光学部材11および第2の透明光学部材13で挟持された状態で使用されるため、湿度や酸素等の外部環境の影響を受けることがほとんどない。また、透明光学部材11、13内に埋め込まれた構成により、表示素子20から提供される映像光を透明光学部材11内部で全反射させて体積ホログラム記録層12に導く接眼光学系として、光学素子10を採用することが可能になる。そして、透明光学部材11、13の形状と体積ホログラム記録層12の形状とを最適化することにより、体積ホログラム記録層12の光学性能を維持しながら外界像のシースルー性(コンバイナ機能)を確保することができる。
図3および図4に示す映像表示装置1は、前述したように、光学素子10と、映像を表示する表示素子20と、を有し、体積ホログラム記録層12が表示素子20からの映像光のうちの特定波長の光を回折させるものであることが好ましい。このような構成により、外界像に高品質の映像が重ねられたシースルー表示が可能になる。したがって、光学素子10から提供される高品質の映像を、光学素子10を介して観察することが可能になると同時に、光学素子10を介してシースルーで外界像を観察することも可能になる。
光学素子10を構成する曲面を有する第1の透明光学部材11は、図3および図4に示すように、表示素子20からの映像光を内部で全反射させて体積ホログラム記録層12に導く構成を有することが好ましい。このような構成により、表示素子20から提供される映像光を無駄なく利用して、観察者に明るい映像を提供することができる。また、表示素子20を光学素子10から離れた位置に配置することも可能となり、観察者の外界に対する視野を広く確保することができる。
以下、具体的な実施例および比較例について説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行った。
接合面が曲面を有する透明光学部材11−1および11−2を作製した。その形状の概略を図5に示す。図5において、(a)は透明光学部材の平面図であり、(b)および(c)は透明光学部材の側面図である。図5に示すように、透明光学部材11−1は、その曲面がシリンドリカル形状(円柱状)の凸面であり、透明光学部材11−2は、その曲面が凸レンズ状(凸状の球面)である。
また、接合面が透明光学部材11−1の接合面とは逆の曲面を有する透明光学部材13−1、および接合面が透明光学部材11−2の接合面とは逆の曲面を有する透明光学部材13−2も作製した(図6参照)。
透明光学部材11−1、11−2、13−1および13−2は、射出成形機を用い、220℃に加熱したポリメタクリル酸メチル樹脂のペレット(製品名;アクリペット(登録商標)VH;三菱レイヨン株式会社製)を、100℃に維持された専用金型に注入し、50tonの荷重で型締めし、次いで金型から成形品を取り出し25℃に冷却して作製した。
(実施例1:光学素子1の作製)
<体積ホログラム記録層作製用感光性組成物1>
暗室下で下記成分を容器に投入し、30分間室温(25℃)で攪拌し溶液を得た。得られた溶液をメッシュで濾過し、混合物1を得た。
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.1質量部
ポリプロピレングリコール 10.0質量部
(分子量4000、ヒドロキシ価25.3mgKOH/g)
2−{{[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ}エチルプロパ−2−エノエート 3.0質量部
テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート
(有機ホウ素酸塩重合開始剤、昭和電工株式会社製)
0.01質量部
サフラニンO(増感色素、東京化成工業株式会社製)
0.1質量部
N−エチル−2−ピロリドン 0.5質量部
酢酸エチル 25.0質量部
得られた混合物1に対して、ジラウリン酸ジブチルスズ 0.01質量部を添加し体積ホログラム記録層作製用感光性組成物1を得てから、その5分後に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(隣接層)の片面上に上記の体積ホログラム記録層作製用感光性組成物1を、ブレードコーターを用いて塗布した。その後、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させ、さらに60℃で2時間の熱処理をおこない、厚さ25μmの感光層を得た。この感光層が塗設されたPETフィルムをカットし、感光層と透明光学部材11−1とを相対させて、図7に示すようにしてラミネート(貼着)した。
感光層に対して、図1と同様の基本構造を備える露光装置(光源:アルゴンレーザー、露光波長514nm)を用いて、1m先に画角25°の虚像が出るように調整し、感光層面における照射エネルギー量が24mJ/cmとなるようにホログラフィ露光を行った。
ホログラフィ露光を行った後、高圧水銀ランプ(照度100W)から15cmの位置で60分間静置して紫外線による全面露光を行い、体積ホログラム記録層を得た。
その後、体積ホログラム記録層が配置された曲面を有する接合面の全体を覆うようにジシクロペンテニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含むアクリレート系接着剤(放射線硬化性接着剤)を、ディスペンサーを用いて、体積ホログラム記録層がある部分は厚さ15μmで、体積ホログラムが無い部分は体積ホログラム記録層および隣接層の厚さを加えた厚さ80μmで、それぞれ塗布した。さらに、塗布した接着剤の上から第2の透明光学部材13−1を貼り合わせ、高圧水銀ランプ(照度100W/cm)から紫外線を照射し(照射量:200mJ/cm)、接着剤を硬化させて光学素子KO−1を得た。
(実施例2)
透明光学部材11−1を図5に示すような透明光学部材11−2に、透明光学部材13−1を透明光学部材13−2に、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学素子KO−2を得た。
(比較例1)
下記の体積ホログラム記録層作製用感光性組成物2を用いて、下記のようにして感光層を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、光学素子KO−21を得た。
<体積ホログラム記録層作製用感光性組成物2>
イソシアン酸ヘキシル 0.1質量部
ポリプロピレングリコール 10.0質量部
(分子量4000、ヒドロキシ価25.3mgKOH/g)
2−{{[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ}エチルプロパ−2−エノエート 3.0質量部
テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート
(有機ホウ素酸塩重合開始剤、昭和電工株式会社製)
0.01質量部
サフラニンO(増感色素、東京化成工業株式会社製)
0.1質量部
N−エチル−2−ピロリドン 0.5質量部
酢酸エチル 25.0質量部
得られた体積ホログラム記録層作製用感光性組成物2を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ブレードコーターを用いて塗布し、20℃、50%RHの環境下で30分間乾燥させ、厚さ20μmの感光層を得た。得られた感光層を、20℃、50%RHの環境下で5日間静置した。静置後、この感光層が塗設されたPETのフィルムをカットし、感光層と透明光学部材11−1とを相対させて、図7に示すようにラミネート(貼着)した。
(比較例2)
透明光学部材11−1を図5に示すような透明光学部材11−2に、透明光学部材13−1を透明光学部材13−2に、それぞれ変更したこと以外は、比較例1と同様にして、光学素子KO−22を得た。
(比較例3)
実施例1の体積ホログラム記録層を得た後、第2の透明光学部材13−1をラミネートしなかったこと以外は、実施例1と同様にして、光学素子KO−23を得た。
得られた光学素子KO−1、KO−2、KO−21〜23の初期の虚像の鮮鋭性、初期および耐湿試験後の回折効率を、以下の方法で測定した。
(虚像の鮮鋭性)
図4に示すような映像表示装置に、凹状の曲面が瞳側に相対するように上記で作製した光学素子を配置し、表示素子20に表示した映像IMの虚像を観察者が観察した。具体的には、図8に示したような映像の9点の位置について観察し、以下の基準に従って10人の観察者が評点を行い、その平均値を算出した。評点の平均値を表1に示す:
5:全面に渡って、虚像が鮮明に視認できる
4:1〜2点、視認は可能だが若干、虚像の鮮明性が低下している
3:3〜5点、視認は可能だが若干、虚像の鮮明性が低下している
2:1〜2点、虚像が不鮮明で、視認できない部分がある
1:3点以上、虚像が不鮮明で視認できない部分がある。
(評価)
<回折効率>
得られた光学素子について、分光光度計U−3900(株式会社日立製作所製)を用い、以下の条件で透過率を測定した。
スキャン範囲 800nm〜400nm
スキャンスピード 600nm/min
得られた透過率データの波長600nm〜460nmの透過率よりベースラインを算出し、波長521nmにおける透過率Tとベースライン透過率Bとの値から、回折効率を以下の式により算出した:
回折効率=[(B−T)/T]×100(%)。
<耐湿試験後の回折効率の測定>
得られた光学素子を30℃、80%RH環境下で500時間暴露した後、シリカゲルが入った低湿条件下(30℃、4.7%RH)で24時間放置し、その後上記と同様にして回折効率を算出した。
実施例1〜2および比較例1〜3の評価結果を下記表1に示す。
上記表1から明らかなように、実施例の光学素子は、虚像の鮮鋭性(画像品位)が良好であり、高湿条件下であっても高い回折効率を長期に維持できる耐久性を有することがわかった。
1 映像表示素子、
10 光学素子、
11 第1の透明光学部材、
12 体積ホログラム記録層、
13 第2の透明光学部材、
14 放射線硬化性接着層、
15 積層体、
20 表示素子、
21 光源、
22 照明ミラー、
23 拡散板、
24 偏光板、
25 偏光ビームスプリッター、
31 物体光、
32 参照光、
41 映像光、
42 再生像光、
43 外界像光、
201 レーザー光源、
202 ビームステアラー、
203 シャッター、
204 ビームエキスパンダー、
205 ビームスプリッター、
206、207、208、209、210 ミラー、
211、212 スペイシャルフィルター、
EP 光学瞳、
EY 観察者眼、
IM 映像。

Claims (2)

  1. 隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域にフォトポリマーを含む体積ホログラム記録層を含む層が配置され、前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着層を備えた光学素子において、前記体積ホログラム記録層がポリウレタンを含む、光学素子。
  2. 隣り合う2つの透明光学部材の一対の接合面の少なくとも一方が曲面を有しており、前記一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域にフォトポリマーを含む体積ホログラム記録層を含む層が配置され、前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着層を備えた光学素子において、前記体積ホログラム記録層がポリウレタンを含む、光学素子の製造方法であって、
    一対の接合面のうち曲面を有する接合面の少なくとも一部の領域に体積ホログラム層を含む層を作製し、前記体積ホログラム記録層を含む層が配置された前記曲面を有する接合面全体を覆うように放射線硬化性接着剤を塗布した後、放射線を用いて前記放射線硬化性接着剤を硬化させて放射線硬化性接着層を形成することを含む、光学素子の製造方法。
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