JP2019120389A - 流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータ - Google Patents

流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータ Download PDF

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Abstract

【課題】装置全体の軸方向寸法を短くしつつも、所要の軸受剛性を維持することができ、かつ低コストに組立て可能な流体動圧軸受装置を提供する。【解決手段】本発明に係る流体動圧軸受装置1は、有底筒状のハウジング7と、ハウジング7の内周に配設された軸受スリーブ8と、挿脱可能に軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部2aを有する軸部材2とを備える。ハウジング7の内部空間の一部が潤滑油Lで満たされており、残部が潤滑油Lで満たされていない空隙部であって、ハウジング7の開口側となる軸受スリーブ8の軸方向一端面8cは大気に開放されており、軸受スリーブ8の内周面8aと軸方向一端面8cとの間に、軸部2aの外周面2a1との間にオイルバッファ空間12を形成する傾斜面部11が設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータに関する。
周知のように、流体動圧軸受装置は、高速回転、高回転精度および低騒音等の特長を有する。このため、流体動圧軸受装置は、情報機器をはじめとする種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、具体的には、PC等に組み込まれるファンモータ用、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)に組み込まれるポリゴンスキャナモータ用の軸受装置などとして好適に使用されている。
流体動圧軸受装置の一例が下記の特許文献1に記載されている。この流体動圧軸受装置は、有底筒状(筒状部とその軸方向一端を閉塞する底部とを一体に有する形状)のハウジングと、ハウジングの内周に配設された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材の一端を支持するスラスト軸受部と、ハウジングの開口部内周に固定された環状部材(シール部材)とを備える。
この流体動圧軸受装置は、ハウジングの内部空間全域を潤滑油で満たした、いわゆるフルフィル状態で使用されるものであり、環状部材の内周面と軸部材の外周面との間にシール空間(ラジアル軸受隙間よりも隙間幅の大きい径方向隙間)が設けられる。シール空間は、潤滑油の温度変化に伴う容積変化を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内において潤滑油の油面を常にシール空間内に保持し得るように設計されている。これにより、潤滑油の外部漏洩に起因した軸受性能の低下や周辺環境の汚染を防止可能としている。
しかしながら、ハウジングの内部空間全域を潤滑油で満たした、いわゆるフルフィル状態の含油構造を採用すると、流体動圧軸受装置の組立て後に、真空含浸等の煩雑な手法を用いてハウジングの内部空間全域を潤滑油で満たし、かつ潤滑油のシール空間における油面位置を精度良く管理する(潤滑油の充填量を微調整する)必要がある。そのため、従来の含油構造では流体動圧軸受装置に対する更なる低コスト化の要請に対応することが難しかった。
そこで、本出願人は、上記課題を解決すべく特許文献2に記載の如き流体動圧軸受装置を提案している。すなわち、この流体動圧軸受装置は、有底筒状のハウジングと、ハウジングの内周に配設された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの上端面と当接した状態でハウジングの内周に固定され、軸部材の外周面との間にシール空間を形成する環状のシール部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材の一端をスラスト方向に支持するスラスト軸受部とを備えたもので、ハウジングの内部空間の一部が潤滑油で満たされ、残部が潤滑油で満たされていない空隙部となっている。
このようにハウジングの内部空間に、潤滑油で満たされていない空隙部を設けることで、ハウジングの内部空間に充填する潤滑油量が、上記内部空間の全容積よりも少なくなり、上記内部空間に潤滑油で満たされていない領域が設けられる。よって、ハウジングの内周に軸受スリーブ及び環状部材を固定した後であって、軸受スリーブ内周への軸部材の挿入前に、適当な給油具(例えばマイクロピペット)を用いて内部空間に潤滑油を注入するだけで、内部空間に必要量の潤滑油を供給することができる。従って、注油のための大掛かりな設備や高精密な油面の調整及び管理作業が不要となり、流体動圧軸受装置への注油コスト、ひいては流体動圧軸受装置の組立てコストを低廉化することができる。
特開2003−307212号公報 特開2014−59014号公報
ところで、最近では、上述した各種モータ(例えば冷却用のファンモータなど)の薄型化が進んでおり、従来サイズのファンモータと同等の冷却性能を維持するため、インペラのサイズが大きくなっている。このため、軸受に作用する負荷は増す傾向にある。モータの薄型化に伴い、流体動圧軸受装置内の軸受の軸方向寸法を短くすると、軸受剛性が低下し、上述のように増加傾向にある軸受への負荷を許容することは難しい。
以上の実情に鑑み、本発明では、装置全体の軸方向寸法を短くしつつも、所要の軸受剛性を維持することができ、かつ低コストに組立て可能な流体動圧軸受装置を提供することを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る流体動圧軸受装置によって達成される。すなわち、この軸受装置は、軸方向一端が閉塞されると共に軸方向他端が開口している有底筒状のハウジングと、ハウジングの内周に配設された軸受スリーブと、挿脱可能に軸受スリーブの内周に挿入された軸部を有する軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材の一端をスラスト方向に支持するスラスト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、ハウジングの内部空間の一部が潤滑油で満たされており、残部が潤滑油で満たされていない空隙部であって、ハウジングの開口側となる軸受スリーブの軸方向一端面は大気に開放されており、軸受スリーブの内周面と軸方向一端面との間に、軸部の外周面との間にオイルバッファ空間を形成する傾斜面部が設けられている点をもって特徴付けられる。なお、ここでいう「スラスト軸受部」は、例えば軸部材の一端をスラスト方向に接触支持するピボット軸受部であってもよい。
このように、本発明に係る流体動圧軸受装置では、ハウジングの内部空間の一部を潤滑油で満たした、いわゆるパーシャルフィルの形態をなす含油構造を採用しながら、ハウジングの開口側となる軸受スリーブの軸方向一端面を大気に開放した状態とし、かつ軸受スリーブの内周面と軸方向一端面との間に、軸部の外周面との間にオイルバッファ空間を形成する傾斜面部を設けた。これにより、従来のパーシャルフィルの形態をなす含油構造を有する流体動圧軸受装置では必須であったシール部材を廃止できるので、軸受スリーブの軸方向寸法を変えることなく流体動圧軸受装置全体の軸方向寸法を短くすることができる。また、パーシャルフィルの含油構造を採用する場合、フルフィルの形態をなす含油構造を採用する場合と比べて、それほど大きなオイルバッファ容積を必要とせずに済む。よって、軸受スリーブの軸方向一端側の一部を傾斜面部としてオイルバッファ空間の形成に利用するだけで、十分な容積のオイルバッファ空間を得ることができる。以上より、本発明によれば、効果的に潤滑油の漏れ出しを防止することのできる流体動圧軸受装置を低コストに組み立てることが可能となる。また、モータの薄型化並びに高負荷容量化に対応することが可能となる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置においては、傾斜面部は、軸受スリーブの内周面と連続する面取り部と、面取り部と連続し、面取り部よりも軸受スリーブの中心軸に対する傾斜角が大きな大傾斜面とからなるものであってもよい。
例えば傾斜面部を、十分なオイルバッファが可能となる程度に大きな傾斜角を有する傾斜面のみで構成した場合には、軸部を軸受スリーブの内周に挿入する際、軸部の挿入がスムーズに行えない可能性がある。軸部のスムーズな挿入を目的として、傾斜面の傾斜角を小さくすると、オイルバッファ空間が小さくなる問題が生じる。そこで、上述のように、傾斜面部を、面取り部と、面取り部よりも傾斜角が大きな大傾斜面とで構成することにより、軸部のスムーズな挿入を可能としつつも、十分な容積のオイルバッファ空間を軸部の外周面との間に形成することが可能となる。
また、この場合、大傾斜面の中心軸に対する傾斜角は、45°より大きくかつ90°より小さくてもよい。
このように大傾斜面の傾斜角を所定の範囲内に設定することで、上述した作用効果(軸部のスムーズな挿入を可能としつつ、十分な容積のオイルバッファ空間を形成することが可能となる)を効果的に享受することができる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置においては、軸受スリーブは、軸方向一端面と外周面との間に、軸方向一端面よりも軸受スリーブの軸方向中央側に後退した後退面部を有し、後退面部を押さえ部材で軸方向に押さえることで、軸受スリーブを押さえ部材とハウジングとで挟持してもよい。
このように軸受スリーブを押さえ部材で軸方向に押さえて、当該軸受スリーブを押さえ部材とハウジングとで挟持された状態とすることで、押さえ部材をハウジングに固定するのと同時に、軸受スリーブをハウジングに固定することができる。よって、部材同士の組付け(特に軸受スリーブとハウジングとの組付け)に要する手間を軽減することができる。また、軸受スリーブに、軸方向一端面より軸受スリーブの軸方向中央側に後退した後退面部を設けて、この後退面部を押さえ部材で押すことで軸受スリーブを挟持するようにしたので、押さえ部材の軸方向の一部又は全部を上端面よりも軸受スリーブの軸方向中央側に収めることができる。よって、押さえ部材を用いつつも流体動圧軸受装置の軸方向寸法をできる限り短くすることができる。
また、この場合、押さえ部材は、その外周面をハウジングの内周面に圧入することでハウジングに固定されていてもよい。
このように押さえ部材の外周面をハウジングの内周面に圧入することで、押さえ部材をハウジングに固定すれば、押さえ部材の圧入動作と同時に、押さえ部材による軸受スリーブ(の後退面部)の軸方向中央側への押込みを行うことができる。よって、最小限の作業で押さえ部材と軸受スリーブ、及びハウジングを相互に固定することが可能となる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置においては、軸受スリーブが、内部空孔に潤滑油を含浸させた多孔質体からなるものであってもよい。
このように軸受スリーブを多孔質体で形成し、その内部空孔に潤滑油を含浸させた構造とすれば、軸受スリーブの表面開孔からの潤滑油の滲み出しにより、ラジアル軸受隙間及びスラスト軸受部の周辺を潤沢な潤滑油で満たすことができる。よって、ラジアル軸受部及びスラスト軸受部の軸受性能を安定的に維持することが可能となる。また、予め潤滑油を含浸させた状態の軸受スリーブをハウジングに固定できれば、その分ハウジングの内部空間に注入する潤滑油の量を少なくできる。よって、ハウジング内部への注油作業をより簡便に行うことが可能となる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置においては、潤滑油が、エステル系もしくはPAO系もしくはフッ素系潤滑油であってもよい。
このように、エステル系もしくはPAO系もしくはフッ素系の潤滑油を使用することで、流体動圧軸受装置1の使用時や輸送時における温度変化等に強い含油構造を得ることができる。
以上の説明に係る流体動圧軸受装置は、上述のように、装置全体の軸方向寸法を短くしつつも、所要の軸受剛性を維持することができ、かつ低コストに組立て可能であるから、例えば上記流体動圧軸受装置を備えたモータとして、特に薄肉化が要求されるファンモータなどに好適に提供可能である。
以上より、本発明によれば、装置全体の軸方向寸法を短くしつつも、所要の軸受剛性を維持することができ、かつ低コストに組立て可能な流体動圧軸受装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るファンモータの断面図である。 図1に示す流体動圧軸受装置の断面図である。 図2に示す軸受スリーブの断面図である。 図2に示す流体動圧軸受装置の要部拡大断面図である。 図2に示す流体動圧軸受装置の組立て工程を示す図であり、(a)は同工程の初期段階(注油時)を示す図、(b)は同工程の中間段階(軸部材の挿入時)を示す図である。 図4に示すオイルバッファ空間の作用を概念的に説明するための図で、(a)は潤滑油をオイルバッファ空間で保持している状態を示す要部拡大断面図、(b)は潤滑油の引き込みが生じた際の要部拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係るファンモータの一構成例を概念的に示したものである。このファンモータは、流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の回転部となる軸部材2と、軸部材2が取付けられ、かつ図示しない羽根を有するロータ3と、ロータ3に取付けられるロータマグネット4と、ロータマグネット4と半径方向のギャップを介して対向するステータコイル5と、ステータコイル5が取付けられ、ファンモータの静止側を構成する保持部材としてのモータベース6とを備える。流体動圧軸受装置1のハウジング7は、モータベース6の内周に固定され、ロータ3は、流体動圧軸受装置1の軸部材2の一端に固定されている。このように構成されたファンモータにおいて、ステータコイル5に通電すると、ステータコイル5とロータマグネット4との間の電磁力でロータマグネット4が回転し、これに伴って軸部材2、および軸部材2に固定されたロータ3が一体に回転する。
なお、ロータ3が回転すると、ロータ3に設けられた羽根の形態に応じて図1中上向き又は下向きに風が送られる。このため、ロータ3の回転中にはこの送風作用の反力として、流体動圧軸受装置1の軸部材2に図1中下向き又は上向きの推力が作用する。ステータコイル5とロータマグネット4との間には、この推力を打ち消す方向の磁力(斥力)を作用させており、上記推力と磁力の大きさの差により生じたスラスト荷重が流体動圧軸受装置1のスラスト軸受部Tに作用する。上記推力を打ち消す方向の磁力は、例えば、ステータコイル5とロータマグネット4とを軸方向にずらして配置することにより発生させることができる(詳細な図示は省略)。また、ロータ3の回転時には、流体動圧軸受装置1の軸部材2にラジアル荷重が作用する。このラジアル荷重は、流体動圧軸受装置1のラジアル軸受部R1,R2に作用する。
図2は、本実施形態に係る流体動圧軸受装置1の断面図である。この流体動圧軸受装置1は、ハウジング7と、ハウジング7の内周に配設された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、軸受スリーブ8を軸方向(ここでは軸受スリーブ8の中心軸Xに沿った方向を指す。以下、同じ。)に押さえてハウジング7とで挟持するための押さえ部材9とを主に備える。ハウジング7の内部空間には所定量の潤滑油L(図2中、密な散点ハッチングで示す)が充填されており、少なくとも、軸部材2をラジアル方向に支持するラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間Gr(図4を参照)と、軸部材2の下端をスラスト方向に支持するスラスト軸受部Tを収容した底隙間Gbとが潤滑油Lで満たされている。なお、以下では、説明の便宜上、ハウジング7が開口している軸方向一方の側を上側、その軸方向反対側を下側とするが、使用時における流体動圧軸受装置1の姿勢を限定するものではない。
ハウジング7は、筒状部7aと、筒状部7aの下端側を閉塞する底部7bとを有する形状(いわゆる有底筒状)をなし、本実施形態では、図2に示すように筒状部7aと底部7bが金属で一体に形成されている。筒状部7aと底部7bの境界部内周には、筒状部7a及び底部7bと一体に段部7cが形成され、段部7cの上端面7c1に軸受スリーブ8の下端面8bが当接している。本実施形態では、ハウジング7の底部7bの上端面7b1に、例えば樹脂製のスラストプレート10を配置している。これによりすなわちスラストプレート10の上端面10aが段部7cの上端面7c1よりも所定高さ分だけ低くなるようにしている。この場合、スラストプレート10の上端面10aがスラスト軸受面となる。ただし、このスラストプレート10は必ずしも設ける必要はなく、省略しても構わない。その場合、底部7bの上端面7b1がスラスト軸受面となる。もちろん、このハウジング7は樹脂の射出成形品とすることもできる。
軸部材2は、軸受スリーブ8の内周に挿入される軸部2aを有する。この場合、軸部材2のうち少なくとも軸部2aがステンレス鋼などの鋼材をはじめとする高剛性の金属材料で形成される。軸部2aの外周面2a1は平滑な円筒面に形成されると共に、凸球面状の先端部2a2を除いて軸部2aの全長にわたって外径寸法が一定となるように形成されている。軸部材2の外径寸法は、軸受スリーブ8の内径寸法(内周面8aの直径)よりも小径とされる。以上より、軸部材2は、軸受スリーブ8に対して挿脱自在とされる。軸部2aの先端部2a2は、ハウジング7の底部に配設されたスラストプレート10の上端面10aと接触している。
軸受スリーブ8は、多孔質体、ここでは銅系粉末(純銅粉末だけでなく銅合金粉末を含む)と鉄系粉末(純鉄粉末だけでなく鉄合金粉末を含む)の何れか一方又は双方を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この場合、軸受スリーブ8の内部空孔には、潤滑油Lが含浸されていてもよい。軸受スリーブ8は、焼結金属以外の多孔質体、例えば多孔質樹脂で形成することもでき、あるいは内部空孔のない金属の中実体(銅、ステンレスなど)で形成することもできる。
軸受スリーブ8の内周面8aには、対向する軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間Gr(図4を参照)を形成する円筒状のラジアル軸受面が軸方向の二箇所に設けられる。図3に示すように、各ラジアル軸受面には、ラジアル軸受隙間Gr内の潤滑油Lに動圧作用を発生させるための動圧発生部(ラジアル動圧発生部)A1,A2がそれぞれ形成されている。本実施形態のラジアル動圧発生部A1,A2は、それぞれ、互いに反対方向に傾斜し、かつ軸方向に離間して設けられた複数の上側動圧溝Aa1および下側動圧溝Aa2と、両動圧溝Aa1,Aa2を区画する凸状の丘部とを有し、全体としてヘリングボーン形状をなしている。本実施形態の丘部は、周方向で隣り合う動圧溝間に設けられた傾斜丘部Abと、上下の動圧溝Aa1,Aa2間に設けられ、傾斜丘部Abと略同径の環状丘部Acとからなる。
上側のラジアル動圧発生部A1においては、上側の動圧溝Aa1の軸方向寸法が下側の動圧溝Aa2の軸方向寸法よりも大きくなっている。一方、下側のラジアル動圧発生部A2においては、下側の動圧溝Aa2の軸方向寸法が上側の動圧溝Aa1の軸方向寸法よりも大きくなっている。さらに、ラジアル動圧発生部A1を構成する上側の動圧溝Aa1の軸方向寸法は、ラジアル動圧発生部A2を構成する下側の動圧溝Aa2の軸方向寸法と等しく、また、ラジアル動圧発生部A1を構成する下側の動圧溝Aa2の軸方向寸法は、ラジアル動圧発生部A2を構成する上側の動圧溝Aa1の軸方向寸法と等しくなっている。従って、軸部材2の回転時、上側(ラジアル軸受部R1)および下側(ラジアル軸受部R2)のラジアル軸受隙間Gr内の潤滑油Lは、それぞれ、下側(ラジアル軸受部R2)および上側(ラジアル軸受部R1)のラジアル軸受隙間に向けて押し込まれる。
なお、ラジアル動圧発生部A1,A2は、例えば、軸受スリーブ8を成形するのと同時に(詳細には、金属粉末を圧粉成形した後、焼結してなる焼結体にサイジング加工を施すことで仕上がり寸法の軸受スリーブ8を成形するのと同時に)型成形で形成してもよいし、焼結金属の良好な加工性に鑑み、内周面が平滑面に成形された軸受素材に転造等の塑性加工を施すことで形成してもよい。また、ラジアル動圧発生部A1,A2(各動圧溝)の形態はこれに限定されるものではない。例えば、ラジアル動圧発生部A1,A2の何れか一方又は双方は、スパイラル形状の動圧溝を円周方向に複数配列したものとしてもよい。また、ラジアル動圧発生部A1,A2の何れか一方又は双方は、対向する軸部2aの外周面2a1に形成してもよい。なお、ラジアル動圧軸受部A1,A2は必ずしも軸方向に離間している必要はなく、例えば図示は省略するが、軸方向に隣接して設けられてもよい。
また、本実施形態では、軸受スリーブ8は、上端面8cの外周側に、上端面8cよりも軸受スリーブ8の中心軸Xの中央側(図3でいえば下端面8bと上端面8cとの軸方向中間位置に近い側)に後退した後退面部8gを有する。この後退面部8gは例えば平坦形状をなし、下端面8b及び上端面8cと平行に形成されている。この場合、上端面8cと後退面部8gとの間に、相対的に外径寸法の小さい第一外周面8d1が設けられると共に、下端面8bと後退面部8gとの間に、相対的に外径寸法の大きい第二外周面8d2が設けられている。なお、この場合、下端面8bと上端面8cはともに、動圧溝等の凹凸のない平坦な形状をなす。ただし、多孔質構造に起因する表面開孔の存在を否定するものではない(特に被覆などの封孔処理を施していなくてもよい)。
また、内周面8aと上端面8cとの間には、図4に示すように、軸部2aの外周面2a1との間にオイルバッファ空間12を形成する傾斜面部11が設けられる。本実施形態では、傾斜面部11は、内周面8aとその上端側で連続する面取り部8eと、面取り部8eとその上端側で連続し、面取り部8eよりも軸受スリーブ8の中心軸Xに対する傾斜角θ2が大きな大傾斜面8fとからなっている。大傾斜面8fは上端面8cと連続している。ここで、面取り部8eの中心軸Xに対する傾斜角θ1は、通常、45°であるが、もちろん、成形条件の調整等により増減させることは可能である。また、大傾斜面8fの中心軸Xに対する傾斜角θ2は、上述した条件を満たす限りにおいて任意であり、例えば45°より大きくかつ90°より小さい範囲に設定され、好ましくは60°以上でかつ80°以下の範囲に設定される。また、この場合、大傾斜面8fの半径方向寸法は、上端面8cの範囲内で任意に設定可能である。
上記形状の軸受スリーブ8は、その下端面8bをハウジング7の段部7cの上端面7c1に当接させた状態でハウジング7内に収容されている。これにより、ハウジング7と軸受スリーブ8の軸方向における相対的な位置決めがなされ、かつ軸受スリーブ8の下端面8bとハウジング7の底部に設けたスラストプレート10の上端面10aとの間に所定容積の底隙間Gbが形成される。
軸受スリーブ8は、圧入(大きな締め代をもたせた圧入)、接着、圧入接着(圧入と接着の併用)等の適宜の手段でハウジング7に固定し得るが、本実施形態では、軸受スリーブ8の半径方向外側に設けた後退面部8gを押さえ部材9で軸方向に押さえることで、軸受スリーブ8を押さえ部材9とハウジング7とで挟持し、これにより軸受スリーブ8をハウジング7に固定している(図2を参照)。この際、押さえ部材9をハウジング7に固定すれば、軸受スリーブ8の外周面(ここでは第二外周面8d2)を直接ハウジング7の内周面7a1に固定しなくてよい(多少の隙間があってもよい)ので、軸受スリーブ8のハウジング7への組付け作業が簡便になる。なお、押さえ部材9のハウジング7への固定手段については任意であり、例えば押さえ部材9の下端面9aが軸受スリーブ8の後退面部8gに当接する位置まで、押さえ部材9の外周面9bをハウジング7の内周面7a1に圧入する手段などを採用することができる。この場合、押さえ部材9の内周面9cと軸受スリーブ8の第一外周面8d1との間には多少の隙間が存在してもよい。
このように、ハウジング7と押さえ部材9とで軸受スリーブ8を挟持することで、軸受スリーブ8をハウジング7に固定する場合、上端面8cは大気に開放されており、また、本実施形態では、押さえ部材9の上端面9dが軸受スリーブ8の上端面8cと同一高さ位置(中心軸X方向で同じ位置)にある。
以上の構成を有する流体動圧軸受装置1が図2に示す姿勢で配置された状態では、ハウジング7の内部空間のうち、少なくともラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間Gr及びスラスト軸受部Tを収容した底隙間Gbを含む一部の領域が潤滑油Lで満たされる。本実施形態では、さらに、軸受スリーブ8の上端内周に位置する面取り部8eと軸部2aの外周面2a1との間に形成される環状空間(オイルバッファ空間12の一部)も潤滑油Lで満たされる(図2を参照)。一方、ハウジング7の内部空間の残部の領域(上述した一部の領域を除いた領域)は、通常時(例えば温度でいえば室温時)、潤滑油Lで満たされていない。具体的には、軸受スリーブ8の大傾斜面8fと、軸部2aの外周面2a1との間の環状空間(オイルバッファ空間12の残部)は、通常時、潤滑油Lで満たされていない。
以上より、この流体動圧軸受装置1では、ハウジング7の内部空間に充填される潤滑油Lの量(体積)が、ハウジング7の内部空間の容積よりも少なくなっており、従って、この流体動圧軸受装置1(ハウジング7)の内部空間には潤滑油Lが存在しない空隙部が設けられている。
ここで、潤滑油Lとしては、流体動圧軸受装置1の使用時や輸送時における温度変化等を考慮して、エステル系もしくはPAO系もしくはフッ素系潤滑油が好適に使用される。
以上の構成を具備する流体動圧軸受装置1は、例えば図5(a)及び(b)に示す手順で組み立てられる。
まず、内部空孔に潤滑油Lを含浸させた軸受スリーブ8を用意する。そして、この軸受スリーブ8の下端面8bがハウジング7の段部7cの上端面7c1に当接するまで、軸受スリーブ8をハウジング7の内周に軽圧入し、もしくは所定隙間を介した状態で嵌め込む。次いで、押さえ部材9の下端面9aを軸受スリーブ8の後退面部8gに当接させた状態でハウジング7の内周面7a1の上端部に固定し、軸受スリーブ8を、押さえ部材9とハウジング7の底部7b(段部7c)とで軸方向両側から挟持して、ハウジング7に固定する。このようにハウジング7と軸受スリーブ8、及び押さえ部材9とがサブアセンブリされた状態で、ハウジング7の内部空間(例えば、軸受スリーブ8の内周)に所定量の潤滑油Lを充填する(図5(a)を参照)。そして、図5(b)に示すように、軸受スリーブ8の内周に軸部2aを挿入し、軸部2aの先端部2a2をスラストプレート10の上端面10aに当接させると共に(図2を参照)、軸部2aの外周面2a1を軸受スリーブ8の傾斜面部11、本実施形態では面取り部8e及び大傾斜面8fと対向させる(図4を参照)。これにより、オイルバッファ空間12が形成され、図2に示す流体動圧軸受装置1が完成する。
以上の構成からなる流体動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aの上下2箇所に離間して設けられたラジアル軸受面と、これに対向する軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間Gr,Grがそれぞれ形成される。そして軸部材2の回転に伴い、両ラジアル軸受隙間Gr,Grに形成される油膜の圧力がラジアル動圧発生部A1,A2の動圧作用によって高められ、軸部材2をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に形成される。これと同時に、ハウジング7の底部に配設したスラストプレート10の上端面10aで軸部材2をスラスト方向に接触支持するスラスト軸受部Tが形成される。なお、図1を参照しながら説明したように、軸部材2には、これを下方(ハウジング7の底部7b側)に押し付ける外力としての磁力を作用させている。従って、軸部材2が回転するのに伴って軸部材2が過度に浮上するのを、ひいては軸受スリーブ8の内周から抜脱するのを可及的に防止することができる。
また、ハウジング7の内部空間と大気との唯一の連通部分である、軸部2aと軸受スリーブ8の間には、軸受スリーブ8の内周面8aと上端面8cとの間に設けた傾斜面部11により、軸部2aの外周面2a1との間にオイルバッファ空間12が形成されている(図4を参照)。そのため、例えば流体動圧軸受装置1の置かれる環境が高温環境下になる等して、ハウジング7の内部空間が高温状態に変化した場合、ハウジング7の内部空間を満たしている潤滑油Lが膨張したとしても、上述したオイルバッファ空間12で膨張した分の潤滑油Lを保持して、潤滑油Lの漏れ出しを防止することができる(図6(a)を参照)。また、本実施形態のように、軸受外側に位置する大傾斜面8fの中心軸Xに対する傾斜角θ2を相対的に大きくし、大傾斜面8fより軸受内側に位置する面取り部8eの中心軸Xに対する傾斜角θ1を相対的に小さくすることで、オイルバッファ空間12に保持される潤滑油Lに対して、毛細管現象に起因する軸受内部への引込み作用が効果的に生じる。よって、オイルバッファ空間12に保持された状態の潤滑油Lは、面取り部8eと軸部2aの外周面2a1との間の環状空間を介して軸受内部(ラジアル軸受隙間など)に戻っていく(図6(b)を参照)。
以上で説明したように、本発明に係る流体動圧軸受装置1では、ラジアル軸受隙間Gr及び底隙間Gbが潤滑油Lで満たされた状態(図2を参照)において、ハウジング7の内部空間に空隙部が設けられる。これは、内部空間に充填されている潤滑油Lの量が、内部空間の全容積よりも少ないことを意味する。本発明に係る流体動圧軸受装置1では、軸部材2が、軸受スリーブ8に対して挿脱自在であることから、上述したように、ハウジング7の内周に軸受スリーブ8を固定した後であって、軸受スリーブ8内周への軸部材2の挿入前に、適当な給油具を用いてハウジング7の内部空間に潤滑油Lを充填するだけで、ハウジング7の内部空間に必要量の潤滑油Lを供給することができる。そのため、真空含浸など注油のための大掛かりな設備や高精密な油面の調整ないし管理作業が不要となり、流体動圧軸受装置1の製造コストを低廉化することができる。
また、本発明に係る流体動圧軸受装置1では、上述のように、ハウジング7の内部空間の一部を潤滑油Lで満たした、いわばパーシャルフィルの形態をなす含油構造を採用しながら、軸受スリーブ8の上端面8cを大気に開放した状態とし、かつ軸受スリーブ8の内周面8aと上端面8cとの間に、軸部2aの外周面2a1との間にオイルバッファ空間12を形成する傾斜面部11を設けた(図2及び図4を参照)。これにより、従来のパーシャルフィルの形態をなす含油構造を有する流体動圧軸受装置では必須であったシール部材を廃止できるので、軸受スリーブ8の軸方向寸法を変えることなく流体動圧軸受装置1全体の軸方向寸法を短くすることができる。また、パーシャルフィルの含油構造を採用する場合、フルフィルの形態をなす含油構造を採る場合と比べて、それほど大きなオイルバッファ容積を必要とせずに済む。よって、軸受スリーブ8の上端側の一部を傾斜面部11としてオイルバッファ空間12の形成に利用するだけで、十分な容積のオイルバッファ空間12を得ることができる。以上より、本発明によれば、効果的に潤滑油Lの漏れ出しを防止することのできる流体動圧軸受装置1を低コストに組み立てることが可能となる。
また、本実施形態では、傾斜面部11を、軸受スリーブ8の内周面8aと連続する面取り部8eと、面取り部8eと連続し、軸受スリーブ8の中心軸Xに対する面取り部8eの傾斜角θ1よりも軸受スリーブ8の中心軸Xに対する傾斜角θ2が大きな大傾斜面8fとで構成した。これにより、例えば軸部2aを軸受スリーブ8の内周に挿入する際(図5(b)を参照)、中心軸Xに対する傾斜角θ1が相対的に小さな面取り部8eにより軸部2aがスムーズに挿入される。また、その一方で、大傾斜面8fの傾斜角θ2を相対的に大きく設定することで、オイルバッファ空間12の容積を増加させることがでる。
また、本実施形態では、軸受スリーブ8を押さえ部材9で軸方向に押さえて、当該軸受スリーブ8を押さえ部材9とハウジング7とで挟持された状態としたので、押さえ部材9をハウジング7に固定するだけで、軸受スリーブ8をハウジング7に固定することができる。よって、部材同士の組付け(特に軸受スリーブ8とハウジング7との組付け)に要する手間を軽減することができる。また、軸受スリーブ8に、上端面8cより軸受スリーブ8の軸方向中央側に後退した後退面部8gを設けて、この後退面部8gを押さえ部材9で押すことで軸受スリーブ8を挟持するようにしたので、押さえ部材9の軸方向の一部又は全部(本実施形態では全部)を上端面8cよりも軸受スリーブ8の軸方向中央側に収めることができる。よって、押さえ部材9を用いつつも流体動圧軸受装置1の軸方向寸法をできる限り短くすることができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明に係る流体動圧軸受装置1及びその製造方法は上記例示の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において任意の形態を採り得る。
例えば、上記実施形態では、傾斜面部11として、共にテーパ状をなす面取り部8eと、面取り部8eよりも中心軸Xに対する傾斜角θ2が大きな大傾斜面8fとからなるものを例示したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。例えば図示は省略するが、一又は複数の曲面(例えば、中心軸Xに対する傾斜角が軸方向外側に向かうにつれて増加する形状など)で傾斜面部11を構成してもよいし、テーパ状の傾斜面と、上述した曲面とで傾斜面部11を構成してもよい。
また、後退面部8gについて、上記実施形態では、平坦な形状をなし、上端面8cと平行なものを例示したが(図2を参照)、もちろんこれ以外の形状を採ることも可能である。例えば傾斜面や凹状面など、軸受スリーブ8を押さえ部材9で軸方向に押さえることができる限りにおいて、後退面部8gは任意の形状をとり得る。同様に、押さえ部材9についても、軸受スリーブ8を軸方向に押さえることができる限りにおいてその形状は任意であり、図示以外の形状をとり得る。
また、以上で示した実施形態では、モータベース6の内周に、モータベース6と別体に設けたハウジング7を固定するようにしたが、ハウジング7にモータベース6に相当する部位を一体に設けることもできる。
また、ラジアル軸受部R1,R2の何れか一方又は双方は、いわゆる多円弧軸受、ステップ軸受、および波型軸受等、公知のその他の動圧軸受で構成することもできる。また、スラスト軸受部Tを動圧軸受で構成する場合、この動圧軸受は、いわゆるステップ軸受や波型軸受等、公知のその他の動圧軸受で構成することもできる。
また、以上で示した実施形態では、ロータマグネット4とステータコイル5とを軸方向にずらして配置することにより、軸部材2に、軸部材2をハウジング7の底部7b側に押し付けるための外力を作用させるようにしたが、このような外力を軸部材2に作用させるための手段は上記のものに限られない。図示は省略するが、例えば、ロータマグネット4を引き付け得る磁性部材をロータマグネット4と軸方向に対向配置することにより、上記磁力をロータ3に作用させることもできる。また、送風作用の反力としての推力が十分に大きく、この推力のみで軸部材2を下方に押し付けることができる場合、軸部材2を下方に押し付けるための外力としての磁力(磁気吸引力)は省略しても構わない。
また、以上では、回転部材として、羽根を有するロータ3が軸部材2に固定される流体動圧軸受装置1に本発明を適用した場合について説明を行ったが、本発明は、回転部材として、ディスク搭載面を有するディスクハブ、あるいはポリゴンミラーが軸部材2に固定される流体動圧軸受装置1にも好ましく適用することができる。すなわち、本発明は、図1に示すようなファンモータのみならず、ディスク装置用のスピンドルモータや、レーザビームプリンタ(LBP)用のポリゴンスキャナモータ等、その他の電気機器に組み込まれる流体動圧軸受装置1にも好ましく適用することができる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
2a1 外周面
3 ロータ
4 ロータマグネット
5 ステータコイル
6 モータベース
7 ハウジング
7a 筒状部
7b 底部
7c 段部
8 軸受スリーブ
8e 面取り部
8f 大傾斜面
8g 後退面部
9 押さえ部材
10 スラストプレート
11 傾斜面部
12 オイルバッファ空間
A1,A2 ラジアル動圧発生部
Aa1,Aa2 動圧溝
Gb 底隙間
Gr ラジアル軸受隙間
L 潤滑油
R1,R2 ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
X 中心軸
θ1 傾斜角(面取り部)
θ2 傾斜角(大傾斜面)

Claims (8)

  1. 軸方向一端が閉塞されると共に軸方向他端が開口している有底筒状のハウジングと、前記ハウジングの内周に配設された軸受スリーブと、挿脱可能に前記軸受スリーブの内周に挿入された軸部を有する軸部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸部材の一端をスラスト方向に支持するスラスト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、
    前記ハウジングの内部空間の一部が前記潤滑油で満たされており、残部が前記潤滑油で満たされていない空隙部であって、
    前記ハウジングの開口側となる前記軸受スリーブの軸方向一端面は大気に開放されており、前記軸受スリーブの内周面と軸方向一端面との間に、前記軸部の外周面との間にオイルバッファ空間を形成する傾斜面部が設けられていることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 前記傾斜面部は、前記軸受スリーブの内周面と連続する面取り部と、前記面取り部と連続し、前記面取り部よりも前記軸受スリーブの中心軸に対する傾斜角が大きな大傾斜面とからなる請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
  3. 前記大傾斜面の前記中心軸に対する傾斜角は、45°より大きくかつ90°より小さい請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
  4. 前記軸受スリーブは、前記軸方向一端面と前記外周面との間に、前記軸方向一端面よりも前記軸受スリーブの軸方向中央側に後退した後退面部を有し、
    前記後退面部を押さえ部材で軸方向に押さえることで、前記軸受スリーブが前記押さえ部材と前記ハウジングとで挟持される請求項1〜3の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  5. 前記押さえ部材は、その外周面を前記ハウジングの内周面に圧入することで前記ハウジングに固定されている請求項4に記載の流体動圧軸受装置。
  6. 前記軸受スリーブが、内部空孔に前記潤滑油を含浸させた多孔質体からなる請求項1〜4の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  7. 前記潤滑油は、エステル系もしくはPAO系もしくはフッ素系潤滑油である請求項1〜6の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の流体動圧軸受装置を備えたモータ。
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