以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。そして、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、本明細書で使用している用語や記載した技術的内容は、IEEEなど、通信に関する規格として仕様書に記載された用語や技術的内容が適宜用いられてもよい。
[第1の実施の形態]
<無線通信システムの構成例>
図1は、本第1の実施の形態における無線通信システム10の構成例を表す図である。無線通信システム10は、複数のAP100−1〜100−4、複数のSTA(Station)200−1〜200−3、スイッチングハブ300、及びネットワーク制御装置400を備える。
AP100−1〜100−4は、例えば、他のAP100−1〜100−4やSTA200−1〜200−3と無線通信が可能な無線通信装置である。この際、AP100−1〜100−4は、例えば、キャリアセンスを利用して、無線通信を行う。キャリアセンスは、例えば、AP100−1〜100−4において、周波数の利用状況を検知し、同一周波数で複数の搬送波(又はキャリア)が送信されないようにする通信方式である。例えば、AP100−1〜100−4は、他のAP100−1〜100−4やSTA200−1〜200−3から送信された信号の受信レベルがキャリアセンス閾値より低いときに、データやメッセージなどの送信を行い、そうでないときは、これらの送信を行わないようにする。キャリアセンスの例として、上述したCSMA/CA方式がある。
AP100−1は、スイッチングハブ300と有線接続される。AP100−1は、例えば、AP100−2〜100−4から送信されたデータやメッセージなどを受信し、受信したデータやメッセージなどをスイッチングハブ300へ送信する。また、AP100−1は、例えば、スイッチングハブ300から送信されたデータやメッセージなどを受信し、受信したデータなどをAP100−2〜100−4へ送信する。
また、AP100−2〜100−4は、例えば、AP100−1から送信されたデータやメッセージなどを受信し、受信したデータなどをSTA200−1〜200−3へ送信する。さらに、AP100−2〜100−4は、例えば、STA200−1〜200−3から送信されたデータやメッセージなどを受信し、受信したデータなどをAP100−1へ送信する。
また、AP100−2とAP100−3との間、AP100−3とAP100−4との間も無線通信が可能である。
STA200−1〜200−3は、例えば、AP100−2〜100−4と無線通信が可能な無線通信装置又は端末装置である。STA200−1〜200−3は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット端末、無線通信可能なパーソナルコンピュータ、商品に取り付けられた無線タグなどである。STA200−1〜200−3も、例えば、キャリアセンスを利用して無線通信を行う。
スイッチングハブ300は、AP100−1から送信されたデータやメッセージなどをネットワーク制御装置400へ送信し、ネットワーク制御装置400から送信されたデータやメッセージなどを、AP100−1へ送信する。
ネットワーク制御装置400は、例えば、AP100−1を介して、AP100−2〜100−4とSTA200−1〜200−3の通信を制御する。具体的には、ネットワーク制御装置400は、例えば、AP100−1〜100−4間の通信や、AP100−1〜100−4とSTA200−1〜200−3との間の通信に対して、通信スロットを割り当てる。詳細については動作例で説明する。
<AP100−1の構成例>
図2はAP100−1の構成例を表す図である。
AP100−1は、アンテナ101−1、無線部102−1、復調部103−1、受信キュー制御部104−1、受信キュー105−1、同期機能部106−1、周辺測定機能部107−1、外部送受信機能部108−1を備える。また、AP100−1は、タイミング生成部109−1、チャネル制御部110−1、送信キュー制御部111−1、送信キュー112−1、及び変調部113−1を備える。
アンテナ101−1は、AP100−2〜100−4から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を無線部102−1へ出力する。また、アンテナ101−1は、無線部102−1から出力された無線信号を、AP100−2〜100−4へ出力する。
無線部102−1は、アンテナ101−1から受け取った無線信号を、ベースバンド帯域のベースバンド信号へ変換(ダウンコンバート)し、変換後のベースバンド信号を復調部103−1へ出力する。また、無線部102−1は、変調部113−1から受け取ったベースバンド信号を、無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバート)し、変換後の無線信号をアンテナ101−1へ出力する。
なお、無線部102−1は、受信した無線信号の受信信号レベルを測定してもよい。この場合、無線部102−1は、測定した受信信号レベルをチャネル制御部110−1へ出力する。受信レベルとしては、例えば、受信電力値やRSSI(Received Signal Strength Indication)などがある。
復調部103−1は、チャネル制御部110−1からの無線チャネル指示信号に従って、無線部102−1から受け取ったベースバンド信号に対して、復調処理などを施して、ビーコン信号やメッセージなど抽出する。無線チャネル指示信号は、例えば、無線通信を行う際にAP100−1が利用する無線チャネル(又は周波数)に関する情報が含まれる。無線チャネルに関する情報は、例えば、ネットワーク制御装置400が指示した無線チャネルに関する情報でもよいし、チャネル制御部110−1がキャリアセンスを行うことで抽出した無線チャネルに関する情報でもよい。
また、復調部103−1は、周辺測定機能部107−1からの指示情報に従って、ベースバンド信号に対して復調処理を施して、無線チャネル情報に含まれる無線チャネル以外の無線チャネルのメッセージなど抽出する。指示情報には、例えば、無線チャネル情報以外の無線チャネル情報が含まれる。
復調部103−1は、復調したメッセージなどを受信キュー制御部104−1、復調したビーコン信号を同期機能部106−1へそれぞれ出力する。また、復調部103−1は、無線チャネル以外の無線チャネルで送信されたメッセージを、周辺測定機能部107−1へ出力する。
受信キュー制御部104−1は、復調部103−1から受け取ったメッセージなどを受信キュー105−1へ記憶したり、受信キュー105−1に記憶されたメッセージなどを読み出して外部送受信機能部108−1へ出力したりする。
受信キュー105−1は、復調されたメッセージなどを記憶する。
同期機能部106−1は、復調部103−1から受け取ったビーコン信号を基準にして基準信号を生成し、生成した基準信号をタイミング生成部109−1へ出力する。基準信号は、例えば、AP100−1がビーコン信号を受信したタイミング(又はアンテナ101−1でビーコン信号を受信したタイミング)を基準にしてもよい。
周辺測定機能部107−1は、指示情報を復調部103−1へ出力し、復調部103−1から指示情報に対応するメッセージなどを受け取る。周辺測定機能部107−1は、受け取ったメッセージなどを、外部送受信機能部108−1へ出力する。
外部送受信機能部108−1は、受信キュー制御部104−1から受け取ったメッセージなどを、スイッチングハブ300へ送信可能なフォーマットのパケットデータに変換し、変換後のパケットデータをスイッチングハブ300へ送信する。
また、外部送受信機能部108−1は、スイッチングハブ300を介して、ネットワーク制御装置400から送信されたパケットデータを受信し、受信したパケットデータからメッセージなどを抽出する。外部送受信機能部108−1は、抽出したメッセージなどを、送信キュー制御部111−1へ出力する。この場合、外部送受信機能部108−1は、例えば、他のAP100−2〜100−4宛のメッセージや、STA200−1〜200−3宛のメッセージを、送信キュー制御部111−1へ出力する。また、外部送受信機能部108−1は、例えば、自局宛のメッセージのうち、無線チャネル情報をチャネル制御部110−1へ出力し、送信スロット情報をタイミング生成部109−1へ出力する。送信スロット情報は、例えば、ネットワーク制御装置400がAP100−1に割り当てた通信スロットに関する情報である。
タイミング生成部109−1は、同期機能部106−1から受け取った基準信号に対応するタイミング信号を送信キュー制御部111−1へ出力する。この場合のタイミング信号は、例えば、ビーコン信号に同期したタイミングとなっており、フレームの先頭などのタイミングを示している。
また、タイミング生成部109−1は、外部送受信機能部108−1から受け取った送信スロット情報を抽出し、抽出した送信スロット情報に基づいて、送信指示信号を生成し、送信キュー制御部111−1へ出力する。送信指示信号は、例えば、ネットワーク制御装置400がAP100−1に指示した(又は割り当てた)通信スロットの送信タイミングを示している。
チャネル制御部110−1は、外部送受信機能部108−1から受け取ったメッセージから、無線チャネル情報を抽出する。チャネル制御部110−1は、抽出した無線チャネル情報に対応する無線チャネル指示信号を、復調部103−1と変調部113−1へ出力する。
また、チャネル制御部110−1は、例えば、無線部102−1から無線信号の受信レベルを受け取り、受信レベルに基づいて、CSMA/CA方式など、キャリアセンスを行う。チャネル制御部110−1は、キャリアセンスの結果、AP100−1が利用可能な無線チャネルがあれば、その無線チャネルを示す無線チャネル指示信号を生成し、復調部103−1や変調部113−1へ出力する。チャネル制御部110−1は、例えば、無線チャネル指示信号を復調部103−1と変調部113−1へ出力することで、AP100−1が無線通信を行う際の無線チャネルの制御を行う。
送信キュー制御部111−1は、例えば、タイミング生成部109−1から受け取ったタイミング信号に同期して、送信キュー制御部111−1や送信キュー112−1の動作を開始させる。送信キュー制御部111−1は、このタイミング信号を、自AP100−1のビーコン信号として、変調部113−1へ出力してもよい。送信キュー制御部111−1は、その後、外部送受信機能部108−1から受け取ったメッセージを、送信キュー112−1に記憶させてもよい。
また、送信キュー制御部111−1は、例えば、タイミング生成部109−1から受け取った送信指示信号に同期して、外部送受信機能部108−1から受け取ったメッセージを、変調部113−1へ出力したり、送信キュー112−1からメッセージを読み出して変調部113−1へ出力したりする。これにより、AP100−1は、ネットワーク制御装置400が割り当てた送信スロットを利用して、AP100−2,100−3やAP200−1〜200−4に対して、メッセージなどを送信することができる。
送信キュー112−1は、例えば、メッセージなどを記憶するメモリである。
変調部113−1は、チャネル制御部110−1からの無線チャネル指示信号に従って、送信キュー制御部111−1から受け取ったメッセージやビーコン信号などに対して変調処理を行い、ベースバンド信号を生成する。これにより、AP100−1は、ネットワーク制御装置400から指示された無線チャネルや、キャリアセンスを行って抽出した無線チャネルを利用して、無線信号の送信が可能となる。変調部113−1は、生成したベースバンド信号を無線部102−1へ出力する。
<AP100−2,100−3,…とSTA200−1,200−2,…の構成例>
本第1の実施の形態では、AP100−2,100−3,…と、STA200−1,200−2,…は、同一構成となっている。図3は、代表して、AP100−2又はSTA200−1の構成例を表している。
AP100−2は、アンテナ101−2、無線部102−2、復調部103−2、受信キュー制御部104−2、受信キュー105−2、同期機能部106−2、周辺測定機能部107−2を備える。また、AP100−2は、タイミング生成部109−2、チャネル制御部110−2、送信キュー制御部111−2、送信キュー112−2、変調部113−2を備える。AP100−2は、更に、アプリケーション処理部120−2を備える。
AP100−2は、例えば、図1の例では、AP100−1やAP100−3、STA200−1、又はSTA200−2と無線通信を行うため、アンテナ101−2は、これらのAPやSTAとの間で無線信号を送受信する。
この場合、無線部102−2は、例えば、AP100−1やAP100−3から送信されたビーコン信号の受信レベルを測定し、測定した受信レベをアプリケーション処理部120−2へ出力する。受信レベルとしては、例えば、受信電力値、RSSIなどがある。
アプリケーション処理部120−2は、受信レベルを含むメッセージを生成し、生成したメッセージを、送信キュー制御部111−2などを介して、AP100−1やAP100−3へ送信する。
また、アプリケーション処理部120−2は、受信キュー制御部104−2から受け取ったメッセージに対して、そのメッセージが自局AP100−2宛のときは、そのメッセージに対してアプリケーション処理を実行する。
さらに、アプリケーション処理部120−2は、自局宛のメッセージを、チャネル制御部110−2やタイミング生成部109−2へ出力したりする。この場合、チャネル制御部110−2では、メッセージから無線チャネル情報を抽出し、ネットワーク制御装置400で指示された無線チャネルを示す無線チャネル指示信号を復調部103−2と変調部113−2へ出力する。また、この場合、タイミング生成部109−2では、自局宛のメッセージから、ネットワーク制御装置400がAP100−2に割り当てた送信スロットに関する情報を抽出し、送信スロットに関する情報を示す送信指示信号を送信キュー制御部111−2へ出力する。これにより、AP100−2は、ネットワーク制御装置400が割り当てた送信スロットを利用して、メッセージなどの送信が可能となる。
STA200−1では、例えば、図1の例では、AP100−2やAP100−3と無線通信を行うため、アンテナ101−2は、AP100−2やAP100−3との間で無線信号を送受信する。アプリケーション処理部120−2も、自STA200−1宛のメッセージなどに対して、アプリケーションに関する処理を行ったり、自局宛のメッセージをチャネル制御部110−2やタイミング生成部109−1へ出力したりする。タイミング生成部109−1では、自局宛のメッセージから、ネットワーク制御装置400がSTA200−1に割り当てた送信スロットに関する情報を抽出し、送信指示信号を送信キュー制御部111−2へ出力する。これにより、STA200−1は、ネットワーク制御装置400が割り当てた送信スロットを利用して、メッセージなどの送信が可能となる。
なお、以下では、とくに断らない限り、AP100−1〜100−4をAP100、STA200−1〜200−3をSTA200と称する場合がある。
<ネットワーク制御装置400>
図4は、ネットワーク制御装置400の構成例を表す図である。
ネットワーク制御装置400は、外部送受信機能部410、ネットワーク制御部420、及びメモリ430を備える。
外部送受信機能部410は、スイッチングハブ300を介して、AP100−1との間でパケットデータを交換する。例えば、外部送受信機能部410は、スイッチングハブ300を介してAP100−1から送信されたパケットデータを受信すると、受信したパケットデータからメッセージなどを抽出し、抽出したメッセージなどをネットワーク制御部420へ出力する。また、外部送受信機能部410は、例えば、ネットワーク制御部420から受け取ったメッセージに対して、メッセージを含むパケットデータを生成し、生成したパケットデータを、スイッチングハブ300を介してAP100−1へ送信する。
ネットワーク制御部420は、AP100やSTA200での通信に対して、スロットの割り当てを行う。例えば、ネットワーク制御部420は、外部送受信機能部410からAP100やSTA200のスロットの割り当て要求メッセージを受け取ると、AP100やSTA200に対してスロットを割り当てる。そして、ネットワーク制御部420は、割り当てたスロットに関する情報を含むメッセージを生成し、生成したメッセージを外部送受信機能部410へ出力する。詳細については動作例で説明する。
メモリ430は、例えば、ネットワーク制御部420が処理を行う際の情報やデータなどを適宜記憶する。
<AP100−1のハードウェア構成例>
図5(A)は、AP100−1のハードウェア構成例を表す図である。
AP100−1は、更に、CPU(Central Processing Unit)130−1、ROM(Read Only Memory)131−1、RAM(Random Access Memory)132−1、DSP(Digital Signal Processor)133−1、IF(Inter Face)134−1を備える。
CPU130−1は、ROM131−1に記憶されたプログラムを読み出して、RAM132−1にロードし、ロードしたプログラムを実行することで、受信キュー制御部104−1、同期機能部106−1、周辺測定機能部107−1の機能を実現する。また、CPU130−1は、このようなプログラムを実行することで、タイミング生成部109−1、チャネル制御部110−1、送信キュー制御部111−1の機能を実現する。従って、CPU130−1は、例えば、受信キュー制御部104−1、同期機能部106−1、周辺測定機能部107−1、タイミング生成部109−1、チャネル制御部110−1、送信キュー制御部111−1に対応する。
また、DSP133−1は、例えば、復調部103−1と変調部113−1に対応する。さらに、IF134−1は、例えば、外部送受信機能部108−1に対応する。
図5(B)は、AP100−2,…又はSTA200−1,200−1,…のハードウェア構成例を表す図である。図5(B)では代表して、AP100−2又はSTA200−1のハードウェア構成例を表している。
AP100−1又はSTA200−1は、更に、CPU130−2、ROM131−2、RAM132−2、DSP133−2を備える。
CPU130−2は、ROM131−2に記憶されたプログラムを読み出してRAM132−2にロードし、ロードしたプログラムを実行することで、受信キュー制御部104−2、同期機能部106−2、周辺測定機能部107−2の機能を実現する。また、CPU130−2は、このようなプログラムを実行することで、タイミング生成部109−2、チャネル制御部110−2、送信キュー制御部111−2、及びアプリケーション処理部120−2の機能を実現する。CPU130−2は、例えば、受信キュー制御部104−2、同期機能部106−2、周辺測定機能部107−2、タイミング生成部109−1、チャネル制御部110−2、送信キュー制御部111−2、及びアプリケーション処理部120−2に対応する。
また、DSP133−2は、例えば、復調部103−2と変調部113−2に対応する。
なお、CPU130−1,130−2に代えて、MPU(Micro Processing Unit)やDSP、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプロセッサやコントローラが用いられてもよい。
<無線フレームの構成例>
図6と図7は、本第1の実施の形態における無線フレーム(以下、「フレーム」と称する場合がある。)の構成例を表す図である。図6はフレームの構成例、図7はフレームの他の構成例をそれぞれ表す図である。
図6に示すように、本第1の実施の形態で利用されるフレームはスーパーフレームと呼ばれる。スーパーフレームは、2つのフレーム(フレーム#nとフレーム#(n+1))を含む。2つのフレームは、上り方向(STA200からAP100への方向)と下り方向(AP100からSTA200への方向)のフレームとなる。例えば、n番目のフレーム(フレーム#n)は下り方向、(n+1)番目のフレーム(フレーム#(n+1))は上り方向のフレームである。
n番目のフレーム(フレーム#n)は、DA(time Division multiple Access:時分割多元接続)スロットと、CS(Carrier Sense multiple Access:搬送波感知多重アクセス)スロットの2つの種類のスロットを含む。
DAスロットは、例えば、ネットワーク制御装置400によって割り当てられたスロットである。そのため、AP100やSTA200は、自局に割り当てたられたスロットを利用して、他のAP100や他のSTA200と無線通信を行う。従って、DAスロット内では、RTS/CTS方式が利用されず、スロット開始のタイミングからSIFS(Short Inter Frame Space)期間でキャリアセンスを行った後、送信側は、送信データを送信し、SIFS期間経過後、受信側は、ACK(Acknowledge)信号を送信する。DAスロットは、例えば、ネットワーク制御装置400により割り当て可能なスロットであり、AP100やSTA200が時分割で利用可能なスロットでもある。
CSスロットは、例えば、ネットワーク制御装置400によって割り当てられることなく、AP100とSTA200は共通に使用可能なスロットである。AP100やSTA200は、RTS/CTS方式により、使用可能なスロットを利用して、他のAP100や他のSTA200と無線通信を行う。従って、CSスロット内では、スロット開始のタイミングからSIFS期間経過後、送信側は、RTS信号を送信し、更に、SIFS期間経過後、受信側は、CTS信号を送信した後、送信側から送信データの送信が行われる。
なお、(n+1)番目のフレームでは、n番目のフレームに対して、DAスロットとCSスロットの順番が逆になっている。これは、例えば、SIFS→RTS→SIFS→CTS→SIFS→送信データ→SIFS→ACKの手順を行うには、DAスロットと比較してアクセスに時間がかかるため、これを1つにまとめて、アクセスにかかる時間を確保するためである。
また、DAスロットとCSスロットに含まれるスロット数は、例えば、無線通信システム10全体で同一であるが、DAスロットは無線通信システム10全体で収容するSTA200の台数(又はユーザ数)で可変とすることも可能である。DAスロットとCSスロットの各スロット数などは、例えば、ネットワーク制御装置400で設定され、ビーコン信号を利用して、AP100へ送信される。
さらに、DAスロットとCSスロットにおいては、再送スロットを利用して、再送が行われる。
さらに、DAスロットでは、スロット毎に、送信データの送信や再送データの送信が行われる。他方、CSスロットでは、RTS/CTS方式による手順が含まれ、アクセスに時間がかかるため、アクセスするAP100及びSTA200を分散する目的で、複数のスロットで1つのCSグループが形成される。ネットワーク制御装置400は、AP100及びSTA200に対して、CSグループに割り当てを行い、送信データの送信や、再送データの送信などが行われる。
図7は、スーパーフレーム内の全フレームがCSスロットとなっている例を表す。図7に示すように、CSグループ単位で、送信や再送が行われ、各CSグループ内では、図6のCSグループの場合と同様に、SIFS→RTS→SIFS→…→ACKの手順が行われる。
DAスロットは、伝送速度に上限があるため、パケット長が一定なパケットを送信するネットワークには向いているが、AP100やSTA200が送信するパケット長が可変の場合、DAスロットを割り当てるより、CSスロットによりパケット送信を分散させる方が、効率が良い場合がある。DAスロットの割り当てを行うか、CSスロットに割り当てるかは、ネットワーク制御装置400に対してユーザが設定することになり、トラフィックをCSスロットに割り当てるか、DAスロットに割り当てるかを決定する。さらに、スーパーフレームのCSスロットおよびDAスロットの構成をトラフィック種別により、割り当てを決定する。
上述したように、DAスロットの割り当ては、ネットワーク制御装置400で行われる。以下では、ネットワーク制御装置400におけるDAスロットの割り当て例について説明する。
<動作例>
図8は、無線通信システム10の構成例を表すシーケンス図である。図8に示す無線通信システム10により、本動作例が動作する。
図8において、図1に示す無線通信システム10におけるスイッチングハブ300は省略されている。また、AP100−1は、図1の場合と同様に、ネットワーク制御装置400と有線接続され、AP100−2,100−3と無線通信可能である。また、STA200−1は、AP100−2,100−3と無線通信可能であり、STA200−2は、AP100−1,100−3と無線通信可能である。さらに、STA200−3は、AP100−1,100−2と無線通信可能である。
図8において、(1)から(8)は、スロットの割り当て順を示す。以下では、送信データの送信に利用されるスロットを「通信スロット」(又は「送信スロット」)、再送データの送信に利用されるスロットを「再送スロット」、とそれぞれ称する場合がある。また、以下では、通信スロットと再送スロットとを区別しない場合は、単に「スロット」と称する場合がある。
図9と図10は、動作例を表すシーケンス図である。図9から図10においても、(1)から(9)まで、図8に対応する割り当て順を示す番号が付されている。
図9に示すように、AP100−1は、ビーコン信号を送信する(S10)。AP100−2,100−3、STA200−1,200−2は、AP100−1が送信したビーコン信号を受信する。
また、AP100−2も、ビーコン信号を送信し(S20)、STA200−1,200−3が、このビーコン信号を受信する。さらに、AP100−3も、ビーコン信号を送信し(S20)、STA200−2が、このビーコン信号を受信する。
AP100−1〜100−3は、ビーコン信号を予め決められたタイミングで周期的に送信することが可能である。そのタイミングは、AP100−1〜100−3とSTA200−1〜200−3は把握しているものとする。
以下では、(1)から(8)の順番で、通信スロットの割り当て例について説明する。図9と図10に示す各メッセージの送信は、CSスロットを利用して行われる。
<1.AP100−1とAP100−2の間の通信に対するスロット割り当て>
最初に、AP100−1とAP100−2の間の通信に対するスロットの割り当て例((1))について説明する。
図9に示すように、AP100−2は、AP100−1を介して、ネットワークへの参加手順を実行する(S40)。
具体的には、AP100−2は、アソシエーション要求を生成し、生成したアソシエーション要求をAP100−1へ送信する(S41)。アソシエーション要求は、例えば、ネットワークへの参加(又は接続)要求を表すメッセージである。例えば、AP100−2のアプリケーション処理部120−2は、アソシエーション要求を生成し、送信キュー制御部111−2などを介して、AP100−1へ送信する。
次に、AP100−1は、受信したアソシエーション要求を、ネットワーク制御装置400へ送信する(S42)。例えば、AP100−1の外部送受信機能部108−1は以下の処理を行う。すなわち、外部送受信機能部108−1は、受信キュー制御部104−1などを介して、アソシエーション要求を受信する。そして、外部送受信機能部108−1は、アソシエーション要求を含むパケットデータを生成し、生成したパケットデータを、ネットワーク制御装置400へ送信する。
ネットワーク制御装置400は、アソシエーション要求を受信すると、アソシエーション応答をAP100−1へ送信する(S43)。アソシエーション応答は、例えば、参加要求に対する応答を表すメッセージである。例えば、ネットワーク制御部420は、外部送受信機能部410を介して、アソシエーション要求を受信すると、AP100−2のネットワークへの参加を判定し、その旨を含むアソシエーション応答を生成し、AP100−1へ送信する。本第1の実施の形態では、ネットワーク制御部420は、参加を許可すると判定するものとする。
AP100−1は、アソシエーション応答を受信すると、受信したアソシエーション応答をAP100−2へ送信する(S44)。例えば、AP100−1の外部送受信機能部108−1は、ネットワーク制御装置400から受信したパケットデータからアソシエーション応答を抽出し、抽出したアソシエーション応答を、AP100−2へ送信する。そして、AP100−2は、アソシエーション応答を受信する。例えば、アプリケーション処理部120−2が、AP100−1から送信されたアソシエーション応答を受信する。これにより、AP100−2の無線通信システム10への参加(又は接続)手続きが完了する。
次に、AP100−2は、ルート要求をAP100−1へ送信する(S45)。ルート要求は、例えば、AP100−2はどのルートでデータを送受信すればよいのかを要求するメッセージであり、通信スロットの割り当て要求を示すメッセージでもある。AP100−2は、ビーコン信号(S10)に基づいて、RSSI#1を測定し、測定したRSSI#1を含むルート要求を送信する。例えば、AP100−2は、以下の処理を行う。
すなわち、無線部102−2は、AP100−1から送信されたビーコン信号に基づいて、RSSIを測定し、測定したRSSIを、アプリケーション処理部120−2へ出力する。アプリケーション処理部120−2は、RSSIを含むルート要求を生成し、AP100−1へ送信する。
なお、以下では、AP100−1から受信した信号に基づいて、AP100やSTA200が測定したRSSIを「RSSI#1」と称する場合がある。また、AP100−2から受信した信号に基づいて、AP100やSTA200が測定したRSSIを「RSSI#2」と称する場合がある。さらに、AP100−3から受信した信号に基づいて、AP100やSTA200が測定したRSSIを「RSSI#3」と称する場合がある。
AP100−1は、ルート要求を受信すると、受信したルート要求をネットワーク制御装置400へ送信する(S45)。例えば、AP100−1の外部送受信機能部108−1は、受信キュー制御部104−1などを介して受信したルート要求に対して、ルート要求を含むパケットデータとして、ネットワーク制御装置400へ送信する。
ネットワーク制御装置400は、ルート要求を受信すると、AP100−1とAP100−2の間の通信に対して、スロットの割り当て(スロットアサイン)を行う(S46)。例えば、ネットワーク制御装置400の外部送受信機能部410は、パケットデータからルート要求を抽出し、抽出したルート要求を、ネットワーク制御部420へ出力する。ネットワーク制御部420は、例えば、AP100−1とAP100−2との間の通信に対して、スロットの割り当てを行う。
図11(A)から図11(F)は、通信スロットの割り当て例を表す図である。図11(A)と図11(B)は、AP100−1に対する通信スロットの割り当て例を表す。また、図11(C)と図11(D)はAP100−2、図11(E)と図11(F)はAP100−3に対する通信スロットの割り当て例をそれぞれ表す。また、図11(A)、図11(C)、及び図11(E)は下り方向(フレーム#n)、図11(B)、図11(D)、図11(F)は上り方向(フレーム#(n+1))のスロット割り当て例をそれぞれ表している。図11(A)などに示すように、1つのフレームには、スロット番号「0」から「15」までの16スロットが含まれる。16スロットは、1フレーム内の1DAスロットに含まれるスロット数を表している。
ネットワーク制御装置400は、例えば、以下の処理を行う。すなわち、ネットワーク制御部420は、ルート要求を受信すると、ルート要求に含まれる、RSSI#1に基づいて、干渉の発生を判定する。ネットワーク制御部420は、RSSI#1が干渉閾値より高いとき、他の通信(例えば、AP100−1とAP100−3との間の通信)に対して干渉が発生すると判定し、そうでないときは干渉が発生しないと判定する。本処理では、ネットワーク制御部420は、干渉が発生すると判定する。また、ネットワーク制御部420は、AP100−2のルート(AP100−1経由でAP100−2)を決定する。そして、ネットワーク制御部420は、決定したルート上にある、AP100−1からAP100−2への下り方向の通信スロットとその再送スロットとを割り当てる。図11(A)の例では、ネットワーク制御部420は、通信スロットとしてスロット番号「3」、再送スロットとしてスロット番号「8」をそれぞれ割り当てる。
図11(A)の例などでは、ネットワーク制御部420は、フレーム内の前半のスロットを通信スロットとして割り当て、フレーム内で後半のスロットを再送スロットとして割当てているが、同一フレーム内であれば、それ以外のスロットに割り当ててもよい。
ネットワーク制御部420が、同一のフレーム内に、通信スロットと再送スロットとを割り当てることで、AP100−1やAP100−2がデータの再送を行う場合に、次の送信周期まで待つことなく、再送が可能となる。したがって、本第1の実施の形態では、次の送信周期まで待つ場合と比較して、データのスループットを向上させることが可能となる。
また、ネットワーク制御部420は、図11(B)に示すように、AP100−2からAP100−1への上り方向の通信スロットをスロット番号「0」、再送スロットをスロット番号「8」にそれぞれ割り当てる。上り方向のスロットの割り当ても、通信スロットと再送スロットとが同一フレームに割り当てる。
さらに、ネットワーク制御部420は、図11(C)に示すように、AP100−2に対して、AP100−1からAP100−2への下り方向の通信スロットとして、AP100−1に割り当てた通信スロット(スロット番号「3」)と同一のスロットを割り当てる。ネットワーク制御部420は、再送スロットも同一のスロット(スロット番号「8」)を割り当てる。
さらに、ネットワーク制御部420は、図11(D)に示すように、AP100−1における上り方向に割り当てたスロット(スロット番号「0」と「8」)と同一のスロットを、AP100−2におけるスロットとして割り当てる。
図11(A)と図11(C)に示すように、ネットワーク制御部420は、同一の通信について、AP100−1とAP100−2に対して、同一の通信スロットと再送スロットとを割り当てている。同一の通信で異なるスロットが割り当てられても、スロットの使用が冗長となり、同一のスロットが割り当てられることで、スロットの有効活用化を図ることができるからである。
なお、図11(E)と図11(F)は、ネットワーク制御部420は、通信スロットと再送スロットの割り当てを行わない。AP100−3は、この段階では、ネットワーク参加手順を行っていないからである。
図9に戻り、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当て後、ルート応答を、AP100−1へ送信する(S47)。ルート応答は、例えば、ルート要求に対する応答結果を表すメッセージであり、通信スロットと再送スロットの割り当て結果を含む。例えば、ネットワーク制御部420は、図11(A)から図11(F)に示す割り当て結果を含むルート応答を生成し、AP100−1へ向けて送信する。
AP100−1は、ルート応答を受信すると、受信したルート応答を、AP100−2へ送信する(S47)。例えば、AP100−1では、以下の処理を行う。
すなわち、外部送受信機能部108−1は、ネットワーク制御装置400から受信したルート応答を、送信キュー制御部111−1などを介して、AP100−2へ送信する。この際、外部送受信機能部108−1は、ルート応答をタイミング生成部109−1へ出力する。タイミング生成部109−1は、ルート応答に含まれるスロットの割り当て結果を抽出し、自局に割り当てられた通信スロット(又は再送スロット)を示すタイミング信号を、送信キュー制御部111−1へ出力する。これにより、送信キュー制御部111−1は、タイミング信号に同期して、データなどを変調部113−1へ出力することが可能で、通信スロット(又は再送スロット)のタイミングで、AP100−1はデータなどをAP100−2へ送信(又は再送)可能となる。
また、AP100−2は、ルート応答を受信すると、例えば、以下の処理を行う。
すなわち、アプリケーション処理部120−2は、受信キュー制御部104−2などを介してルート応答を受信すると、ルート応答をタイミング生成部109−2へ出力する。タイミング生成部109−2は、ルート応答に含まれるスロットの割り当て結果を抽出し、自局に割り当てられた通信スロット(又は再送スロット)を示すタイミング信号を、送信キュー制御部111−2へ出力する。これにより、送信キュー制御部111−2は、タイミング信号に同期して、データなどを変調部113−2へ出力することが可能で、通信スロット(又は再送スロット)のタイミングで、AP100−2は、データなどをAP100−1へ送信(又は再送)可能となる。
これにより、AP100−1とAP100−2は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信やその再送を行うことが可能となる。
なお、AP100−1は、他のAP100−2,100−3や、STA200への干渉を最小とするため、以下の式で計算した送信電力で、データ送信や再送を行う。
AP100の送信電力=(他のAPの送信電力+他のAPに対するRSSI)+AP100のノイズレベル+D/U(Desired Signal/Undesired Signal)比 ・・・(1)
式(1)は、例えば、AP100−1の送信電力の最低レベルを表しており、全てのAPがこの送信電力で送信すれば、全ての通信で干渉が発生しない送信電力のレベルを表している。ただし、(AP100の送信電力>AP100の最大送信電力)の場合は、AP100の送信電力=AP100の最大送信電力とする。また、(AP100の送信電力<AP100の最小送信電力)の場合は、AP100の送信電力=AP100の最小送信電力とする。
例えば、無線部102−1は内部メモリなどに式(1)を記憶し、送信の際に上式を内部メモリから読み出して送信電力を計算する。D/U比と、AP100−2の送信電力は、例えば、ビーコン信号により報知される。
<2.AP100−1とAP100−3の間の通信に対するスロット割り当て>
次に、AP100−1とAP100−3の間の通信に対するスロットの割り当て例((2))について説明する。
図9に示すように、AP100−3は、ネットワーク参加手順を、AP100−1を介して、ネットワーク制御装置400との間で行う(S50)。
AP100−3は、ネットワーク参加手順でネットワークへの参加が許可されると、ルート要求を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400へ送信する(S51)。この場合、AP100−3は、AP100−1から送信されたビーコン信号に基づいて測定したRSSI#1を含むリート要求を送信する。
ネットワーク制御装置400は、ルート要求を受信すると、AP100−1とAP100−3の間の通信に対して、スロットを割り当てる(S52)。
図12(A)から図12(F)は、通信スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図12(A)に示すように、AP100−1に対しては、AP100−1からAP100−3への下り方向の通信スロットをスロット番号「4」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「9」に割り当てる。
また、ネットワーク制御部420は、図12(B)に示すように、AP100−1に対しては、AP100−3からAP100−1への上り方向の通信スロットを、スロット番号「1」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「9」に割り当てる。(1)の場合と同様に、通信スロットと再送スロットの割り当ては一例であり、同じフレーム内にあり、他の空いているスロットであればよい。
さらに、ネットワーク制御部420は、図12(C)と図12(D)に示すように、AP100−2に対しては、AP100−1に対して割り当てたスロットと同一のスロット(図12(A)と図12(B))に通信スロットと再送スロットとを割り当てる。
この場合、図12(E)と図12(F)に示すように、ネットワーク制御部420は、AP100−3に対しても、AP100−1やAP100−2に割り当てたスロットと同一のスロットを割り当てる。
すなわち、ネットワーク制御部420は、下り方向において、AP100−1とAP100−2に割り当てたスロット番号「3」と「8」を、AP100−3においても割り当てるようにする。そして、ネットワーク制御部420は、下り方向において、AP100−1とAP100−3と通信のために、通信スロットをスロット番号「4」、再送スロットをスロット番号「9」に割り当てる。
(2)の場合は、(1)の場合と異なり、AP100−3は、ネットワーク参加許可されている。また、図8に示すように、AP100−1の通信可能範囲にAP100−3が含まれており、AP100−1からAP100−2への通信がAP100−3にとって干渉となり得る。
上述した(1)を含めて、干渉となる可能性のある通信については、AP100にとって、自局の通信に関係ない場合でも、通信スロットと再送スロットとが他のAP100の通信のために割り当てられる場合がある。例えば、図12(E)に示すように、スロット番号「3」はAP100−1からAP100−2への通信のための通信スロットであるが、AP100−3が直接通信を行うために割り当てられる通信スロットではない。同一のスロットが割り当てられることで、他のAP100、図12(E)ではAP100−3の利用が制限され、AP100−1とAP100−2間の通信と、AP100−1とAP100−3間の通信との干渉が回避可能となる。これにより、例えば、スループットの低下を防止できる。
なお、干渉の判定は、例えば、ネットワーク制御部420がルート要求(S51)を受信したとき、ルート要求に含まれるRSSIに基づいて行う。例えば、ネットワーク制御部420は、S51で受信したRSSI#1が干渉閾値よりも高いとき、干渉が発生すると判定し、そうでないとき、干渉が発生しないと判定する。本処理では、ネットワーク制御部420は、干渉が発生するとして、AP100−1からAP100−3に対して、同一の通信スロットと再送スロットとを割り当てている。
図9に戻り、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当て結果を含むルート応答を、AP100−1を介してAP100−3へ送信する(S53)。
AP100−1とAP100−3は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。この場合、AP100−1とAP100−3は、式(1)を利用して計算した送信電力でデータ送信や再送を行ってもよい。
<3.AP100−1とSTA200−1との間の通信に対するスロット割り当て>
次に、AP100−1とSTA200−1との間の通信に対するスロットの割り当て例((3))について説明する。
図8に示すように、STA200−1は、AP100−2経由でAP100−1へ至るルートと、AP100−1へ直接至るルートの2つのルートがある。ここでは、AP100−1へ直接至るルートでスロット割り当てが行われる例を説明する。
図9に示すように、STA200−1は、ネットワーク参加手順を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400とに対して実行する(S60)。この際、ネットワーク制御装置400は、例えば、BSSID(Basic Service Set Identification)をSTA200−1へ発行する。STA200−1は、以後、BSSIDを利用して、AP100−1と通信可能である。本第1の実施の形態では、STA200−1は、このBSSIDを利用して、他のAP100−2,100−3に対しても通信が可能である。そのため、STA200−1は、他のAP100−2,100−3へ接続を切り替えても、ネットワーク参加手順を行わなくてもよい。これにより、スループットの低下を防止することが可能となる。
次に、STA200−1は、ルート要求を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400へ送信する(S61)。STA200−1は、AP100−1に対するRSSI#1と、AP100−2に対するRSSI#2の2つのRSSI(RSSI#2>RSSI#1)を、ルート要求に含めて送信する。
次に、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当てを行う(S62)。この場合、ネットワーク制御装置400は、ルート要求に2つのRSSIが含まれていることから、STA200−1に対して、2つのルート(STA200−1からAP100−2経由でAP100−1へのルートと、STA200−1からAP100−1への直接のルート)が存在することを確認できる。ネットワーク制御装置400は、複数のルートがある場合、以下の式を用いて、ルート毎に評価値を算出し、評価値に基づいて、いずれかのルートを選択する。
数1において、例えば、SNR(Signal to Noise Ratio)iは経路iのSNRを示し、Delayiはルートiの遅延時間、TxPowiはルートiでの送信電力を表す。また、数1において、α、β、γは、例えば、係数を表し、ユーザにより優先設定が可能である。
例えば、図8において、STA200−1からAP100−2を経由してAP100−1へ至るルートについての評価値は、以下となる。すなわち、評価値は、STA200−1とAP100−2間のルートのSNR、Delay、TxPowと、AP100−2とAP100−1間のルートのSNR、Delay、TxPowとを加算した値となる。ここで、各ルートのSNRは、例えば、ビーコン信号(S20)に基づいてSTA200が測定したSNRでもよい。また、各ルートのDelayは、例えば、STA200とAP100のメッセージ送信にかかる時間を表し、予め決められた所定時間であってもよい。さらに、各ルートのTxPowは、例えば、STA200−1の送信電力やAP100−2の送信電力でもよい。
(3)の段階では、例えば、ネットワーク制御部420は、STA200−1については複数のルートがあることを把握できるものの、STA200−1からAP100−1へ直接ルート要求が送信されているため、1つのルートのSNRしか取得できない。従って、ネットワーク制御部420は、評価値を計算することなく、STA200−1のルートについては、AP100−1へ直接至るルートを選択してもよい。
或いは、ネットワーク制御部420は、例えば、メモリから過去の通信で取得した各ルートのSNRやDelay、TxPowを読み出して、2つのルート(STA200−1からAP100−2へ直接至るルートと、STA200−1からAP100−1を経由してAP100−2へ至るルート)の評価値(数1)を計算し、評価値の高い方を、選択してもよい。
また、SNRは、その数値(例えばdB)が高いほど、評価値は高くなり、Delayは短いほど、評価値は高くなる。また、TxPowも、その値が小さいほど、評価値は高くなる。そのため、ルート要求(S61)に含まれるRSSIは、RSSI#2>RSSI#1となっていることから、ネットワーク制御部420は、STA200−1からAP100−2を経由してAP100−1へ至るルートを選択してもよい。
以下では、STA200−1からAP100−2へ直接至るルートの方が評価値は高いため、ネットワーク制御部420は、このルートを選択する、として説明する。
なお、ネットワーク制御部420は、SNRに代えて、ビーコン信号に基づいてAP100やSTA200で計算したRSSIを用いて、数1の評価値を計算してもよい。
そして、ネットワーク制御部420は、選択したルート上にある、AP100−1とSTA200−1との間の通信に対して、スロットを割り当てる。
図13(A)から図13(F)は、通信スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図13(A)に示すように、AP100−1に対しては、AP100−1からSTA200−1への下り方向の通信スロットをスロット番号「5」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「10」に割り当てる。
また、ネットワーク制御部420は、図13(B)に示すように、AP100−1に対しては、STA200−1からAP100−1への上り方向の通信スロットを、スロット番号「2」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「10」に割り当てる。(1)の場合と同様に、通信スロットと再送スロットの割り当ては一例であり、同一フレーム内にあればよい。
さらに、ネットワーク制御部420は、図13(C)と図12(D)に示すように、AP100−2に対しては、AP100−1に対して割り当てたスロットと同一のスロット(それぞれ図13(A)と図13(B))に通信スロットと再送スロットとを割り当てる。
さらに、ネットワーク制御部420は、図13(E)と図13(F)に示すように、AP100−3に対して、AP100−1に対して割り当てたスロットと同一のスロットに通信スロットと再送スロットとを割り当てる。
例えば、図13(A)、図13(C)、図13(E)に示すように、AP100−1〜AP100−3については、スロット番号「5」に、AP100−1からSTA200−1への通信スロットが共通して割り当てられている。これは、AP100−1の通信可能範囲内にAP100−2,100−3が設置されており、AP100−1からSTA200−1への通信が、AP100−2,100−3における通信に対して干渉を与える場合があるからである。
例えば、ネットワーク制御部420は、ルート要求(S61)で取得したRSSI#1が干渉閾値よりも高いとき、干渉が発生すると判定し、そうでないときは、干渉が発生しないと判定する。本処理では、ネットワーク制御部420は、干渉が発生するとして、AP100−1からAP100−3に対して、同一の通信スロットと再送スロットを割り当てている。
図9に戻り、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当て結果を含むルート応答を、AP100−1を経由して、STA200−1へ送信する(S63)。
AP100−1とSTA200−1は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。この場合、AP100−1とSTA200−1は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行っても良い。
<4.AP100−2とSTA200−1との間の通信に対するスロット割り当て>
次に、AP100−2とSTA200−1との間の通信に対するスロットの割り当て例((4))について説明する。
上記<3.STA200−1に対するスロット割り当て>により、ネットワーク制御装置400では、評価値(数1)に基づいて選択したAP100−1へ至る直接のルートでのSTA200−1に対し、通信スロットなどを割り当てた(S60からS63)。次に、ネットワーク制御装置400は、評価値に基づいて選択されなかったルートを選択して、このルートにおけるSTA200−1に対する通信スロットの割り当てを行うことになる。
図9に示すように、STA200−1は、AP100−2に対して、ネットワーク参加手順を実行する(S70)。例えば、STA200−1は、AP100−2経由でのルート応答を、ネットワーク制御装置400から受信していないため、このルートでのネットワーク参加を行うためである。
この場合、AP100−2は、ネットワーク制御装置400に対して、STA200−1に対するネットワーク参加手順を実行しない。例えば、ネットワーク制御装置400は、ルート要求(S61)における受信電力報告により、STA200−1からAP100−2経由でのルートを把握しているからである。例えば、STA200−1は、ネットワーク参加手順のアソシエーション要求に、ルート応答(S63)があった旨を含めて送信することで、AP100−2では、アソシエーション要求をネットワーク制御装置400へ送信しないようにすることが可能である。
次に、ネットワーク制御装置400は、AP100−2とSTA200−1との間の通信に対して、スロットを割り当てる(S71)。
図14(A)から図14(F)は、スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図14(A)に示すように、AP100−2からSTA200−1への下り方向の通信スロットを、スロット番号「6」に割り当て、その再送スロットをスロット番号「11」に割り当てる。
また、ネットワーク制御部420は、図14(B)に示すように、STA200−1からAP100−2への上り方向の通信スロットを、スロット番号「3」に割り当て、その再送スロットをスロット番号「11」に割り当てる。
同様にして、ネットワーク制御部420は、図14(C)と図14(D)に示すように、AP100−2に対しても、AP100−1に対して割り当てたスロットと同じスロットに、通信スロットと再送スロットとを、割り当てる。
ただし、図14(E)に示すように、ネットワーク制御部420は、AP100−2からSTA200−1への下り方向の通信スロットを、AP100−1やAP100−2と同じスロット番号「6」に割り当てることはしない。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットも、AP100−1やAP100−2と同じスロット番号「11」に割り当てることはしない。図14(F)に示すように、上り方向についても、同様に、ネットワーク制御部420は、AP100−1やAP100−2と同じスロット番号に、通信スロットと再送スロットとを割り当てることはしない。
これは、例えば、図8に示すように、AP100−2からSTA200−1へ送信された無線信号はAP100−3に届かず、STA200−1からAP100−2へ送信された無線信号もAP100−3に届かないからである。すなわち、AP100−2とSTA200−1との間の通信は、AP100−3にとって干渉にならないからである。ネットワーク制御部420では、干渉にならない通信のために、通信スロットと再送スロットとを、AP100−1やAP100−2と同じスロットに割り当てることはしない。これにより、例えば、ネットワーク制御部420は、AP100−3のスロット番号「6」や「11」を他の通信のために割り当てることが可能となり、スロットの有効活用化を図ることができる。
ネットワーク制御部420では、例えば、ルート要求(S61)に含まれるRSSI#2に基づいて、AP100−2とSTA200−1との間の通信がAP100−3に干渉とならないことを判別してもよい。例えば、ネットワーク制御部420は、RSSI#2が干渉閾値より小さいとき、干渉にならないと判別し、RSSI#2が干渉閾値以上のとき、干渉になると判別してもよい。本処理では、例えば、ネットワーク制御部420は、RSSI#2が干渉閾値より小さいと判定して、AP100−3に対して干渉が発生しないと判定する。
図9に戻り、ネットワーク制御装置400は、ルート表示を、AP100−2経由でSTA200−1へ送信する(S72)。ルート表示は、例えば、ネットワーク制御装置400がルート要求を受信することなく、AP100やSTA200へルートに関する情報を送信するためのメッセージである。ルート表示には、例えば、図14(A)から図14(F)に示すスロットの割り当て結果が含まれる。
AP100−2とSTA200−1は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。この場合、AP100−2とSTA200−1は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行ってもよい。
なお、図9においては、ネットワーク制御装置400がS62とS71とが別々に行っている例を表しているが、例えば、S62の処理において、AP100−2とSTA200−1との間のスロットの割り当てを行ってもよい。この場合、S71がS62に含まれ、S71がなくてもよい。
また、STA200−1は、最初に、AP100−1経由でネットワーク参加手順を行っているが(S60)、先に、AP100−2経由でネットワーク参加手順を行ってもよい(S70)。したがって、図9において、(3)の処理と(4)の処理の順番が逆でもよい。
<5.AP100−1とSTA200−2と間の通信に対するスロットの割り当て>
次に、AP100−1とSTA200−2との通信に対するスロットの割り当て例((5))について説明する。
図8に示すように、STA200−2は、AP100−3経由でAP100−1へ至るルートと、AP100−1へ直接至るルートの2つのルートがある。ここでは、AP100−1へ直接至るルートでスロット割り当てが行われる例を説明する。
図10に示すように、STA200−1は、ネットワーク参加手順を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400との間で実行する(S80)。この場合も、ネットワーク制御装置400は、STA200−2に対して、BSSIDを発行する。STA200−2は、AP100−1だけではなく、接続を切り替えてAP100−2,100−3と通信を行う際にも、このBSSIDを利用可能である。
次に、STA200−2は、ルート要求を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400へ送信する(S61)。STA200−1は、RSSI#3とRSSI#1(RSSI#3>RSSI#1)とを含むルート要求を送信する。
次に、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当てを行う(S82)。この場合、ネットワーク制御装置400は、ルート要求に2つのRSSIが含まれていることから、STA200−2に対して、2つのルート(STA200−2からAP100−3経由でAP100−1へのルートと、STA200−2からAP100−1への直接のルート)が存在することを確認できる。この場合、ネットワーク制御装置400は、数1を利用して、2つのルートに対して評価値を計算し、STA200−2からAP100−1へ直接のルートを選択してもよい。或いは、ネットワーク制御装置400は、取得した数値が、AP100−1への直接のルートしかないため、評価値を計算することなく、このルートを選択してもよい。
そして、ネットワーク制御装置400は、選択したルートに対して、スロットの割り当てを行う。
図15(A)から図15(F)は、通信スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図15(A)に示すように、AP100−1に対しては、AP100−1からSTA200−2への下り方向の通信スロットをスロット番号「7」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「12」に割り当てる。
また、ネットワーク制御部420は、図15(B)に示すように、AP100−1に対しては、STA200−2からAP100−1への上り方向の通信スロットを、スロット番号「4」に割り当ている。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「12」に割り当てる。
図15(C)から図15(F)に示すように、ネットワーク制御部420は、AP100−2とAP100−3の上り方向と下り方向の各スロットについて、AP100−1に対して割り当てた各スロットと同じスロット番号を割り当てる。これは、AP100−1の通信可能範囲内にAP100−2,100−3が設置されており、AP100−1からSTA200−2への通信が、AP100−2,100−3における通信に対して干渉を与える場合があるからである。
例えば、ネットワーク制御部420は、ルート要求に含まれるRSSI#1が干渉閾値より高いとき、干渉が発生すると判定し、そうでないときは、干渉が発生しないと判定する。本処理では、ネットワーク制御部420は、干渉が発生すると判定して、AP100−1からAP100−3に対して、同一の通信スロットと再送スロットとを割り当てている。
図10に戻り、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当て結果を含むルート応答を、AP100−1を経由して、STA200−1へ送信する(S83)。
AP100−1とSTA200−2は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。なお、AP100−1とSTA200−2は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行ってもよい。
<6.AP100−3とSTA200−2との間の通信に対するスロットの割り当て>
次に、AP100−3とSTA200−2との間の通信に対するスロットの割り当て例((6))について説明する。
上記<5.AP100−1とSTA200−2との間の通信に対するスロットの割り当て>により、ネットワーク制御装置400では、AP100−1とSTA200−2に対し、通信スロットなどを割り当てた(S80からS83)。次に、ネットワーク制御装置400は、評価値に基づいて選択されなかったルートを選択して、このルート上にある、AP100−3とSTA200−2との間の通信に対して、スロットの割り当てを行う。
図10に示すように、STA200−2は、AP100−3に対して、ネットワーク参加手順を実行する(S90)。例えば、STA200−2は、AP100−3経由のルートでのネットワーク参加を行うためである。
この場合も、AP100−3は、ネットワーク制御装置400に対して、STA200−2に対するネットワーク参加手順を実行しない。例えば、STA200−1は、アソシエーション要求に、ルート応答(S83)があった旨を含めて送信することで、AP100−3では、アソシエーション要求をネットワーク制御装置400へ送信しないようにすることが可能である。
次に、ネットワーク制御装置400は、AP100−3とSTA200−2との間の通信に対して、スロットを割り当てる(S91)。
図16(A)から図16(F)は、スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図16(E)に示すように、AP100−3からSTA200−2への下り方向の通信スロットを、スロット番号「6」に割り当て、その再送スロットを、スロット番号「11」に割り当てる。
この場合、図16(A)や図16(C)に着目すると、スロット番号「6」には、AP100−2からSTA200−1への下り方向の通信スロット((4)の通信スロット)が割り当てられている。図8に示すように、AP100−3とSTA200−2との間の通信は、AP100−2とSTA200−1との間の通信に対して、干渉とはならない。ネットワーク制御部420は、例えば、干渉が発生しない判定したとき、AP100−3とSTA200−2間の通信と、AP100−2とSTA200−1間の通信とを、同一フレーム(フレーム#n)の同一の通信スロット(スロット番号「6」)に割り当てる。上り方向についても、同様に、ネットワーク制御部420は、2つの通信について、同一フレーム(フレーム#(n+1))の同一通信スロット(スロット番号「3」)に通信スロットを割り当てる。再送スロットについても同様である。
ネットワーク制御装置400が同一の通信スロットを割り当てても、干渉の発生はないため、再送もなくなり、これにより、データのスループット低下を防止することができる。また、干渉がないことから、AP100−3では、STA200−1の信号を受信することがないため、STA200−2からのデータと、STA200−1からのデータとが衝突することも防止できる。
干渉の判定は、例えば、以下のようにして行えばよい。すなわち、ネットワーク制御部420は、ルート要求(S81)に含まれるRSSI#3(S81)が、ともに干渉閾値より高いとき、干渉が発生すると判定し、そうでないとき、干渉が発生しないと判定する。本処理では、ネットワーク制御部420は、RSSI#3が干渉閾値以下と判定して、AP100−3とSTA200−2との通信がAP100−1やAP100−2における通信に対して干渉が発生しないと判定している。一方、ネットワーク制御部420は、干渉が発生すると判定すると、AP100−3からSTA200−2への通信に対して割り当てる通信スロットと、AP100−1やAP100−2における通信に対して割り当てる通信スロットとは、異なるスロットに割り当てる。例えば、図16(E)において、AP100−3からSTA200−2への通信に対して割り当てるスロット「6」と、AP100−1からSTA200−1への通信に対して割り当てるスロット「5」とは、異なるスロットとなっている。
図10に戻り、ネットワーク制御装置400は、ルート表示を、AP100−2経由でSTA200−1へ送信する(S92)。ルート表示には、例えば、図16(A)から図16(F)に示すスロットの割り当て結果が含まれる。
AP100−3とSTA200−2は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。AP100−3とSTA200−2は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行ってもよい。
なお、図10においては、S91がS82に含まれ、S91がなくてもよい。また、STA200−1は、最初に、AP100−1経由でネットワーク参加手順を行っているが(S80)、先に、AP100−3経由でネットワーク参加手順を行ってもよい(S90)。この場合、図10において、(5)の処理と(6)の処理の順番が逆でもよい。
<7.AP100−1とSTA200−3との間の通信に対するスロットの割り当て>
次に、AP100−1とSTA200−3との間の通信に対するスロットの割り当て例((7))について説明する。
図8に示すように、STA200−3は、AP100−2経由でAP100−1へ至るルートと、AP100−1へ直接至るルートの2つのルートがある。ここでは、AP100−1へ直接至るルートでスロット割り当てが行われる例を説明する。
図10に示すように、STA200−3は、ネットワーク参加手順を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400との間で実行する(S100)。この場合も、ネットワーク制御装置400は、STA200−3に対して、BSSIDを発行する。STA200−3は、AP100−1だけではなく、接続を切り替えてAP100−2,100−3と通信を行う際にも、このBSSIDを利用可能である。
次に、STA200−3は、ルート要求を、AP100−1を介してネットワーク制御装置400へ送信する(S101)。STA200−3は、RSSI#1とRSSI#2とを含むルート要求を送信する。
次に、ネットワーク制御装置400は、スロットの割り当てを行う(S102)。この場合、ネットワーク制御装置400は、ルート要求に2つのRSSIが含まれていることから、数1を利用して、2つのルートに対して評価値を計算し、STA200−3からAP100−1への直接のルートを選択してもよい。或いは、ネットワーク制御装置400は、取得した数値が、AP100−1への直接のルートしかないため、評価値を計算することなく、このルートを選択してもよい。そして、ネットワーク制御装置400は、選択したルートに対して、スロットの割り当てを行う。
図17(A)から図17(F)は、スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図17(A)に示すように、AP100−1に対しては、AP100−1からSTA200−3への下り方向の通信スロットをスロット番号「10」に割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、その再送スロットを、スロット番号「12」に割り当てる。
スロット番号「10」は、AP100−1からSTA200−1への再送スロットとして割当てられたスロットである。ネットワーク制御部420では、通信用スロットを割り当てていき、スロットがなくなると、再送スロットを通信スロットとして割り当てるようにしている。図17(A)の例では、スロット番号「13」から「15」が空いているため、ネットワーク制御部420は、このうちいずれかのスロットを割り当ててもよいが、図17(A)の例では、再送スロットを通信スロットとして割り当てている。
この場合、ネットワーク制御部420は、もともと割り当てられていた、AP100−1からSTA200−1への再送スロット(スロット番号「10」)を、他の再送スロットとして割り当てたスロットに共通に割り当てるようにする。例えば、図17(A)の例では、スロット番号「12」では、以下の3つの通信の再送スロットとして利用される。
1)元々、スロット番号「12」に割り当てられたAP100−1からSTA200−2への通信に対する再送スロット。
2)スロット番号「10」を、再送スロット(AP100−1からSTA200−1への通信)から通信スロット(AP100−1からSTA−3への通信)としたため、変更前に割り当てられていたAP100−1からSTA200−1への通信に対する再送スロット。
3)スロット番号「10」に割り当てたAP100−1からSTA200−3への通信に対する再送スロット。
ネットワーク制御部420は、図17(C)と図17(E)に示すように、AP100−2とAP100−4に対する通信スロットと再送スロットも、AP100−1に対して割り当てたスロットと同一のスロットに割り当てる。
また、ネットワーク制御部420は、図17(B)と図17(D)、及び図17(F)に示すように、空きスロットである、スロット番号「5」にSTA200−3からAP100−1への通信スロットを割り当て、スロット番号「13」にその再送スロットを割り当てる。
これらの場合も、例えば、ネットワーク制御部420は、ルート要求(S101)で取得したRSSI#1が干渉閾値より高いとして、干渉が発生すると判定することで、AP100−1〜100−3に対して、同一の通信スロットと再送スロットとを割り当てている。
図10に戻り、ネットワーク制御装置400は、割り当て結果を含むルート応答を、AP100−1を経由してSTA200−3へ送信する(S103)。
また、ネットワーク制御装置400は、再送スロットを変更したため、変更後の再送スロットの割り当て結果を含むルート表示を、AP100−1経由で、STA200−3とSTA200−2へ送信する(S104,S105)。なお、ネットワーク制御装置400は、ルート応答(S103)に再送スロットの割り当て結果(S104)を含ませるようにしてもよい。この場合、S104のルート表示は送信されない。
AP100−1とSTA200−3は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。AP100−1とSTA200−3は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行うようにしてもよい。
<8.AP100−2とSTA200−3との間の通信に対するスロットの割り当て>
次に、AP100−2とSTA200−3との間の通信に対するスロットの割り当て例((8))について説明する。
上記<7.AP100−1とSTA200−3との間の通信に対するスロットの割り当て>により、ネットワーク制御装置400では、AP100−1とSTA200−3に対し、通信スロットなどを割り当てた(S100からS105)。次に、ネットワーク制御装置400は、評価値に基づいて選択されなかったルートを選択して、このルート上にある、AP100−2とSTA200−3との間の通信に対してスロットを割り当てる。
図10に示すように、STA200−3は、AP100−2に対して、ネットワーク参加手順を実行する(S110)。
この場合も、AP100−2は、ネットワーク制御装置400に対して、STA200−3に対するネットワーク参加手順を実行しない。
次に、ネットワーク制御装置400は、AP100−2とSTA200−3との間の通信に対して、スロットを割り当てる(S111)。
図18(A)から図18(F)は、スロットの割り当て例を表す図である。ネットワーク制御装置400は、例えば、以下のようにしてスロットの割り当てを行う。
すなわち、ネットワーク制御部420は、図18(A)に示すように、AP100−2からSTA200−1の通信の再送スロットとして割り当てた、スロット番号「11」を、AP100−2からSTA200−3への通信の通信スロットとして割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、空きスロットであるスロット番号「14」を、その再送スロットとして割り当てる。このとき、ネットワーク制御部420は、スロット番号「14」を、スロット番号「11」で元々割り当てられていた、AP100−2からSTA200−3の通信の再送スロットとしても割り当てるようにする。スロット番号「14」は、AP100−2からSTA200−1へ通信の再送スロットと、AP100−2からSTA200−3への通信の再送スロットとして共通して割り当てられる。
ネットワーク制御部420は、図18(C)に示すように、AP100−2に対しても、AP100−1に対して割り当てたスロットと同じ番号のスロットを、通信スロットと再送スロットとして割り当てる。
上り方向については、ネットワーク制御部420は、図18(B)、図18(D)に示すように、空きスロットである、スロット番号「6」を、AP100−2とSTA200−3との間の通信スロットに割り当てる。また、ネットワーク制御部420は、スロット番号「14」を、その再送スロットに割り当てる。
一方、ネットワーク制御部420は、AP100−3に対しては、スロット番号「11」に、AP100−2からSTA200−1への通信の通信スロットを割り当てていない。これは、AP100−2からSTA200−1への通信は、AP100−3の通信に対して干渉とはならいと判定しているからである。例えば、ネットワーク制御部420は、ルート要求(S101)で受信したRSSI#2が干渉閾値以下と判定して、干渉は発生しないと判定している。
図10に戻り、ネットワーク制御装置400は、割り当て結果を含むルート表示を、AP100−2経由でSTA200−3へ送信する(S112)。
AP100−2とSTA200−3は、DAスロット期間においては、割り当てられた通信スロットや再送スロットを利用して、データ送信や再送を行うことが可能となる。AP100−2とSTA200−3は、式(1)を利用して計算した送信電力で、データ送信や再送を行ってもよい。
なお、図10においては、S111がS102に含まれ、S111がなくてもよい。また、STA200−3は、最初に、AP100−1経由でネットワーク参加手順を行っているが(S100)、先に、AP100−2経由でネットワーク参加手順を行ってもよい(S110)。この場合、図10において、(7)の処理と(8)の処理の順番が逆でもよい。
[その他の実施の形態]
第1の実施の形態では、ネットワーク制御装置400と有線接続するAP100は、1つのAP100−1である例について説明した。ネットワーク制御装置400と有線接続するAP100は、複数AP100−1,100−2,…あってもよい。
また、第1の実施の形態では、ルート要求(S45,S51,S61,S81,S101)に含まれる受信レベルの例として、RSSIについて説明した。例えば、ルート要求に含まれる受信レベルとして、SNRや受信電力値などでもよい。例えば、ネットワーク制御部420は、SNRや受信電力値と、干渉閾値とを比較して、干渉の発生を判定してもよい。
以上まとめると付記のようになる。
(付記1)
複数の無線通信装置を制御するネットワーク制御装置において、
第1の無線通信装置から送信された第1の信号に対する第2の無線通信装置における第1の受信レベルと、第3の無線通信装置から送信された第2の信号に対する第4の無線通信装置における第2の受信レベルとを、前記第1の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とからそれぞれ受信する外部送受信機能部と、
前記第1及び第2の受信レベルに基づいて、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置と間の第1の通信と、前記第3の無線通信装置と前記第4の無線通信装置と間の第2の通信との間で干渉が発生しない判定したとき、前記第1及び第2の通信を同一の無線フレームの同一の通信スロットに割り当てるネットワーク制御部と
を備え、
前記外部送受信機能部は、割り当てた通信スロットに関する情報を前記第1及び第3の無線通信装置へ送信することを特徴とするネットワーク制御装置。
(付記2)
前記ネットワーク制御部は、前記通信スロットを利用して、前記第1又は第2の無線通信装置、或いは、前記第3又は第4の無線通信装置がデータを送信することができないとき、前記データを再送するために利用する再送スロットを、前記通信スロットを割り当てた無線フレームと同一の無線フレーム内に割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記3)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の通信に対する再送スロットと、前記第2の通信に対する再送スロットとを同一スロットに割り当てることを特徴とする付記2記載のネットワーク制御装置。
(付記4)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の通信と前記第2の通信との間で干渉が発生すると判定したとき、前記第1の通信に対する通信スロットと前記第2の通信に対する通信スロットとを、同一フレーム内の異なるスロットに割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記5)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の通信と前記第2の通信との間で干渉が発生すると判定したとき、前記第1の通信に対する再送スロットと前記第2の通信に対する再送スロットとを、同一フレーム内の異なるスロットに割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記6)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の無線通信装置と第5の無線通信装置との間の第3の通信に対して前記第1又は第5の無線通信装置がデータを再送するために利用する第2の再送スロットに、前記第1の通信に対する通信スロットを割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記7)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の通信に対して前記第1又は第2の無線通信装置がデータを再送するために利用する第1の再送スロットに、前記第2の再送スロットを割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記8)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の無線通信装置に割り当てる第1の無線フレーム内の通信スロットと、前記第3の無線通信装置に割り当てる第2の無線フレーム内の通信スロットとが同一スロットであり、前記第1の無線フレームと前記第2の無線フレームは同一のフレーム番号であることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記9)
前記ネットワーク制御部は、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置への通信に対して前記第1の無線通信装置に割り当てる第1の無線フレーム内の通信スロットと、前記第3の無線通信装置から前記第4の無線通信装置への通信に対して前記第3の無線通信装置に割り当てる第2の無線フレーム内の通信スロットとが同一のスロット、及び
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置への通信に対して前記第1の無線通信装置に割り当てる第3の無線フレーム内の通信スロットと、前記第4の無線通信装置から前記第2の無線通信装置への通信に対して前記第3の無線通信装置に割り当てる第4の無線フレーム内の通信スロットとが同一のスロットであり、かつ、
前記第1の無線フレームと前記第2の無線フレームは同一のフレーム番号であり、前記第3の無線フレームと前記第4の無線フレームは同一のフレーム番号であることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記10)
前記ネットワーク制御部は、前記第1の無線通信装置に割り当てる第1の無線フレーム内の再送スロットと、前記第3の無線通信装置に割り当てる第2の無線フレーム内の再送スロットとが同一スロットであり、前記第1の無線フレームと前記第2の無線フレームは同一のフレーム番号であることを特徴とする付記3記載のネットワーク制御装置。
(付記11)
前記ネットワーク制御部は、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信装置への通信に対して前記第1の無線通信装置に割り当てる第1の無線フレーム内の再送スロットと、前記第3の無線通信装置から前記第4の無線通信装置への通信に対して前記第3の無線通信装置に割り当てる第2の無線フレーム内の再送スロットとが同一のスロット、及び
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信装置への通信に対して前記第1の無線通信装置に割り当てる第3の無線フレーム内の再送スロットと、前記第4の無線通信装置から前記第2の無線通信装置への通信に対して前記第3の無線通信装置に割り当てる第4の無線フレーム内の再送スロットとが同一のスロットであり、かつ、
前記第1の無線フレームと前記第2の無線フレームは同一のフレーム番号であり、前記第3の無線フレームと前記第4の無線フレームは同一のフレーム番号であることを特徴とする付記3記載のネットワーク制御装置。
(付記12)
前記無線フレームは、前記ネットワーク制御部によって割り当て可能で前記第1から第4の無線通信装置のうち1つが時分割で利用可能な第1のスロットと、前記ネットワーク制御部により割り当てられることなく、前記第1から第4の無線通信装置が共通に利用可能な第2のスロットとを含み、
前記ネットワーク制御部は、前記第1のスロットに含まれるスロットに対して前記通信スロットを割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記13)
第1の無線フレームは、前記第1のスロットと第2のスロットとがこの順序で含まれ、前記第1の無線フレームの次のフレーム番号の第2の無線フレームは、前記第2のスロットと前記第1のスロットとがこの順序で含まれることを特徴とする付記12記載のネットワーク制御装置。
(付記14)
前記第1及び第3の無線通信装置はアクセスポイントであり、前記第2及び第4の無線通信装置は端末装置であることを特徴とする付記1記載のネットワーク制御装置。
(付記15)
複数の無線通信装置を制御するネットワーク制御装置におけるスロット割り当て方法であって、
第1の無線通信装置から送信された第1の信号に対する第2の無線通信装置における第1の受信レベルと、第3の無線通信装置から送信された第2の信号に対する第4の無線通信装置における第2の受信レベルとを、前記第1の無線通信装置と前記第3の無線通信装置とからそれぞれ受信し、
前記第1及び第2の受信レベルに基づいて、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置と間の第1の通信と、前記第3の無線通信装置と前記第4の無線通信装置と間の第2の通信との間で干渉が発生しない判定したとき、前記第1及び第2の通信を同一の無線フレームの同一の通信スロットに割り当て、
割り当てた通信スロットに関する情報を前記第1及び第3の無線通信装置へ送信する
ことを特徴とするスロット割り当て方法。