JP2019108247A - 合わせガラス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡の発生を抑制すること。【解決手段】対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、これらの間に配置された中間膜5と、を備える合わせガラスが開示される。第一のガラス板11がカップリング剤で表面処理された表面Sを有する無機ガラス板であり、表面Sが中間膜5に接している。【選択図】図1
Description
本発明は、合わせガラス及びその製造方法に関する。
自動車のような車輌の窓、サンルーフ、内装パネル等のガラスとして、合わせガラスが広く用いられている。合わせガラスのその他の用途として、電車、航空機、建設機械、建築物等の窓が挙げられる。
合わせガラスの一例として、少なくとも一対のガラス板の間に、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂からなる中間膜を介在させ、それらを一体化したものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
従来の合わせガラスは、例えば温度85℃、相対湿度85%のような高温高湿環境下に放置されたときに、無機ガラス板と中間膜との界面又はその近傍に気泡を発生させることがある。
本発明の一側面の目的は、無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することにある。
本発明の一側面は、対向する第一のガラス板及び第二のガラス板と、これらの間に配置された中間膜と、を備える合わせガラスに関する。第一のガラス板がカップリング剤で表面処理された表面を有する無機ガラス板であり、該無機ガラス板の表面処理された前記表面が前記中間膜に接している。
この合わせガラスにおいては、中間膜に接する無機ガラスがカップリング剤で表面処理されていることから、高温高湿下での無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡の発生が十分に抑制される。
本発明の別の一側面は、無機ガラス板である第一のガラス板の表面をカップリング剤で表面処理する工程と、表面処理された前記表面を有する第一のガラス板と第二のガラス板とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、前記第一のガラス板、前記樹脂層、及び前記第二のガラス板を有し、前記第一のガラス板の表面処理された前記表面が前記中間膜に接している、積層体を得る工程と、前記積層体を加熱及び加圧して、前記樹脂層を中間膜として有する合わせガラスを得る工程と、を備える、合わせガラスを製造する方法に関する。
中間膜及び樹脂層はアクリル重合体を含んでいてもよい。アクリル重合体が、
(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)カルボキシル基又は水酸基のうち少なくとも一方を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び
(c)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するシラン化合物
をモノマー単位として含む共重合体であってもよい。
(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)カルボキシル基又は水酸基のうち少なくとも一方を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び
(c)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するシラン化合物
をモノマー単位として含む共重合体であってもよい。
カップリング剤がシランカップリング剤であってもよい。シランカップリング剤は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有していてもよい。
前記第二のガラス板が透明プラスチック板であってもよい。本発明者らの知見によれば、第二のガラス板が透明プラスチック板であると、高温高湿環境下で無機ガラスと中間膜との界面及びその近傍における気泡が多く発生し易い傾向がある。そのため、本発明の合わせガラス及びその製造方法による気泡抑制は、第二のガラス板が透明プラスチック板であるときに特に高い技術的意義を有する。
本発明によれば、無機ガラス及び中間膜を有する合わせガラスに関して、高温高湿下での無機ガラスと中間膜の界面及びその近傍における気泡の発生を抑制することができる。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル」等の類似の表現も同様である。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<合わせガラス>
図1は、合わせガラスの一実施形態を示す断面図である。図1に示す合わせガラス1は、対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、第一のガラス板11及び第二のガラス板12の間に配置され、これらガラス板に接している中間膜5とを有する。言い換えると、第一のガラス板11、中間膜5、及び第二のガラス板12がこの順で積層されている。
図1は、合わせガラスの一実施形態を示す断面図である。図1に示す合わせガラス1は、対向する第一のガラス板11及び第二のガラス板12と、第一のガラス板11及び第二のガラス板12の間に配置され、これらガラス板に接している中間膜5とを有する。言い換えると、第一のガラス板11、中間膜5、及び第二のガラス板12がこの順で積層されている。
第一のガラス板11は、無機ガラス板であり、第二のガラス板12は、透明プラスチック板又は無機ガラス板であることができる。
第一のガラス板11又は第二のガラス板12としての無機ガラス板は、合わせガラスを構成するガラス板として通常用いられているものから選択することができる。無機ガラス板が設けられることにより、合わせガラスの表面が良好な耐傷性を有することができる。無機ガラス板は、例えば、フロートガラス、強化ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等)、又は複層ガラスの板であってもよい。
第二のガラス板12としての透明プラスチック板は、合わせガラスに適した透明性等の光学特性を有するプラスチック板であることができる。透明プラスチック板の例としては、ポリカーボネート板(PC板)、ポリメチルメタクリレート板(PMMA板)、シクロポリオレフィン板(COP板)、ポリエチレンテレフタレート板(PET板)、ポリエチレン板(PE板)、ポリプロピレン板(PP板)、ポリスチレン板(PS板)、及びトリアセチルセルロース板(TAC板)が挙げられる。
無機ガラス板である第一のガラス板11の中間膜5と接している表面Sは、カップリング剤で表面処理されている。そのため、中間膜5と第一のガラス板11との界面近傍に、カップリング剤を含む膜7が形成され得る。ただし、カップリング剤を含む膜7が、中間膜5との間に明瞭な境界を有する膜として形成されていなくてもよい。また、カップリング剤が表面Sの全面を覆っていなくてもよい。合わせガラス1において、カップリング剤で表面処理された表面Sの近傍にカップリング剤が存在することは、例えば第一のガラス板11と中間膜5との間の剥離強度が向上することから確認できるものの、界面近傍の微小な領域におけるカップリング剤の分布の形態を直接的に分析することは技術的に困難であり、実際的でない。第二のガラス板12が無機ガラス板である場合、その表面がカップリング剤で表面処理されていてもよい。
本明細書において、「ガラス板の表面をカップリング剤で表面処理する」とは、カップリング剤をガラス板の表面に付着させ、ガラス板及びその表面に付着したカップリング剤を加熱することを意味する。カップリング剤で表面処理された表面においては、通常、表面に付着したカップリング剤の少なくとも一部が、ガラス板を構成するケイ素原子等との間に化学結合を形成している。
カップリング剤は、一般に、無機材料と化学結合を形成するための反応基と、有機材料と化学結合を形成するための官能基とを有する化合物である。例えば、シランカップリング剤は、無機材料と化学結合を形成するための反応基としてアルコキシシリル基を有する。有機材料と化学結合を形成するための官能基の例として、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、イソシアネート基、ビニル基及びスチリル基が挙げられる。カップリング剤は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有していてもよい。カップリング剤が有する官能基は、アクリル重合体が有する官能基(例えば水酸基)と反応する基であってもよい。エポキシ基又はイソシアネート基を有しているカップリング剤は、高温高湿下での気泡抑制の点で特に優れた効果を発揮し得る。
無機ガラス板の表面は、例えば、カップリング剤及び溶媒を含むカップリング剤溶液を無機ガラスの表面に付着させることと、無機ガラス及びその表面に付着したカップリング剤溶液を加熱して、溶媒を除去することとを含む方法により、カップリング剤で表面処理することができる。カップリング剤溶液におけるカップリング剤の濃度は、例えば、カップリング剤溶液の質量を基準として1〜10質量%であってもよい。溶媒は、カップリング剤を溶解するものであればよく、例えばメタノールであってもよい。無機ガラスの表面を、常温(23℃程度)で、例えば12〜24時間程度浸漬することにより、無機ガラスの表面にカップリング剤溶液を付着させることができる。無機ガラス及びその表面に付着したカップリング剤溶液を加熱する温度は、溶媒の沸点等を考慮して決定され、例えば60〜120℃である。加熱時間は30分〜2時間であってもよい。
中間膜5の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、25〜200μm、25〜180μm、又は、25〜150μmであってもよい。これにより、合わせガラスが、特に高い防割性を有することができる。
中間膜5の可視光領域(波長:380nm〜780nm)の光線に対する光透過率は、80%以上、90%以上、又は95%以上であってもよい。
合わせガラスのヘーズは、5%以下であってもよい。ヘーズ(Haze)とは、濁度を表わす値(%)であり、ランプにより照射され、試料中を透過した光の全透過率Ttと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Tdより、(Td/Tt)×100として求められる。これらはJIS K 7136により規定されており、市販の濁度計、例えば、日本電色工業(株)製NDH5000により容易に測定可能である。
合わせガラスは、図1の形態に限られるものではない。例えば、合わせガラスが3枚以上のガラス板を有していてもよいし、反射防止層、防汚層、色素層、及びハードコート層等の機能層を有していてもよく、第二のガラス板がこれらの機能層であってもよい。これらのガラス板又は機能層同士の間に、中間膜5と同様の中間膜を設けることができる。また、中間膜は、2層以上の膜が積層された複層であってもよい。積層する膜としては、中間膜5と同様の膜を設けることができる。
反射防止層は、5%以下の可視光反射率を示す層であってもよい。反射防止層は、既知の反射防止方法で処理された透明基材(透明プラスチックフィルム等)であってもよい。
防汚層は、表面への汚れを抑制する層である。防汚層は、例えば、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂等で構成される、低い表面張力を有する層であることができる。
色素層は、色純度を高めるために使用されるものである。上記色素層は、合わせガラスで透過する不要な波長の光を低減するために使用される。上記色素層は、不要な波長の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層して得ることができる。
ハードコート層は、表面硬度を高くするための層である。ハードコート層は、基材フィルム(ポリエチレンフィルム等)と、基材フィルム上に形成され、アクリル樹脂(ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等)、又はエポキシ樹脂のような樹脂を含む樹脂層とを有する積層体であってもよい。ガラス板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等の透明保護板上に積層されたハードコート層を使用することもできる。
<合わせガラスの製造方法>
合わせガラス1は、例えば、無機ガラス板である第一のガラス板11の表面Sをカップリング剤で表面処理する工程と、表面処理された表面Sを有する第一のガラス板11と第二のガラス板12とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、第一のガラス板11、樹脂層、及び第二のガラス板12を有する積層体を得る工程と、積層体を加熱及び加圧して、樹脂層を中間膜5として有する合わせガラス1を得る工程とを含む方法により、製造することができる。
合わせガラス1は、例えば、無機ガラス板である第一のガラス板11の表面Sをカップリング剤で表面処理する工程と、表面処理された表面Sを有する第一のガラス板11と第二のガラス板12とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、第一のガラス板11、樹脂層、及び第二のガラス板12を有する積層体を得る工程と、積層体を加熱及び加圧して、樹脂層を中間膜5として有する合わせガラス1を得る工程とを含む方法により、製造することができる。
第一のガラス板11の表面Sをカップリング剤で表面処理する工程の詳細については、上述のとおりである。第一のガラス板11及び第二のガラス板12は、例えば、第一のガラス板11の表面S上に樹脂層を配置することと、続いて樹脂層上に第二のガラス板12を積層することとを含む方法により、樹脂層を介在させながら貼り合せることができる。樹脂層は、合わせガラスの中間膜用フィルム材を用いて、第一のガラス板11上に設けることができる。
図2は、中間膜5として用いられる樹脂層を有する合わせガラスの中間膜用フィルム材の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す合わせガラスの中間膜用フィルム材2は、基材21、樹脂層5a、及び基材22を有し、これらがこの順で積層されている。樹脂層5aは、2枚のガラス板に挟まれたときに中間膜5となる層であり、膜状の樹脂組成物であることができる。樹脂層5aは、ガラス板同士の容易な貼り合せを可能にする感圧接着性を有していていてもよい。このようなフィルム材によれば、樹脂層5aを、容易に保管及び運搬することができる。
基材21,22は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる重合体のフィルムであってもよく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合もある)であってもよい。基材21,22の端部が、樹脂層5aの外縁よりも外側に張り出していてもよい。
基材21,22のうち一方が相対的に大きい剥離強度を発現する基材(重剥離セパレータ)で、他方が相対的に小さい剥離強度を発現する基材(軽剥離セパレータ)であってもよい。軽剥離セパレータと樹脂層5aとの間の剥離強度は、重剥離セパレータと樹脂層5aとの間の剥離強度よりも低い。基材の剥離性は、剥離性を付与する表面処理の条件によって適宜調整することができる。表面処理の方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物による離型処理が挙げられる。
中間膜用フィルム材2を合わせガラス1を製造するために用いる場合、まず、軽剥離セパレータとしての基材を剥離し、露出した樹脂層5aの表面を第一のガラス板11に貼り付ける。重剥離セパレータとしての基材側からローラー等で押し付けてもよい。続いて、重剥離セパレータとしての基材を樹脂層5aから剥離する。露出した樹脂層5aの表面を、第二のガラス板12に貼り付ける。この方法により、樹脂層5aを介在させながら、2枚のガラス板を容易に貼り合せることができる。
重剥離セパレータとしての基材の厚みは、作業性の観点から、50〜200μmで、60〜150μm、又は70〜130μmであってもよい。軽剥離セパレータとしての基材の厚みは、作業性の観点から、25〜150μm、30〜100μm、又は40〜80μ
第一のガラス板11、樹脂層5a、及び第二のガラス板12を有する積層体は、例えばオートクレーブを用いて加熱及び加圧される。加熱及び加圧の条件は、例えば、30〜150℃の温度、及び0.3〜1.5MPaの圧力であってもよい。巻き込みによる気泡をより除去できる観点から、温度が50〜70℃で、圧力が0.3〜0.5MPaであってもよい。加熱及び加圧の時間は、5〜60分、又は10〜30分であってもよい。
<合わせガラスの中間膜用樹脂組成物>
中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するための樹脂組成物は、アクリル重合体を含んでいてもよい。
中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するための樹脂組成物は、アクリル重合体を含んでいてもよい。
アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主として構成される共重合体であり、例えば、(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び(c)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマーをモノマー単位として含む共重合体であってもよい。このアクリル重合体を含む樹脂組成物は、ガラス板表面に対する特に高い密着性を有するとともに、高い強靭性を有する中間膜を形成することができ、それにより合わせガラスの防割性をより高めることができる。
(a)アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、下記式:
CH2=CXCOOR
で表される化合物であることができる。式中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す。(a)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、及びステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びn−オクチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートであってもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートモノマーを2種類以上を組み合わせてもよい。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキルアクリレートであってもよい。
CH2=CXCOOR
で表される化合物であることができる。式中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示す。(a)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、及びステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びn−オクチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートであってもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートモノマーを2種類以上を組み合わせてもよい。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキルアクリレートであってもよい。
(a)アルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、50〜90質量%、又は50〜85質量%であってもよい。アルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の含有量がこのような範囲であると、中間膜5と第一のガラス板11及び第二のガラス板12との密着性がより向上する。
(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(b)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、5〜30質量%、又は10〜30質量%であってもよい。水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーに由来するモノマー単位の含有量がこれら範囲内であると、高温高湿下での信頼性試験において、合わせガラスが特に高い透明性を維持する傾向がある。
(c)ケイ素含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリル基、スチリル基、ケイ皮酸エステル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれるラジカル重合性不飽和基を1個有していてもよい。
(メタ)アクリル基及びシロキサン鎖を有するケイ素含有モノマーの例としては、下記式(a)又は(b)で表される化合物が挙げられる。
式(a)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R9は1価の炭化水素基を示し、nは1以上の整数を示す。
式(b)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2及びR9はそれぞれ独立に2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示し、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。
(メタ)アクリル基及びシロキサン鎖を有するケイ素含有モノマーの重量平均分子量は、100〜20000であってもよい。
(メタ)アクリル基及びアルコキシシリル基を有するケイ素含有モノマーの例としては、下記式(c)で表される化合物が挙げられる。
式(c)中、R1は水素原子又は1価の炭化水素基を示し、R2は2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示し、R3は水素原子又はメチル基を示す。
式(c)中、R1は水素原子又は1価の炭化水素基を示し、R2は2価の炭化水素基、炭化水素基と酸素原子との組み合わせからなる2価の基、又は単結合を示し、R3は水素原子又はメチル基を示す。
式(a)〜(c)で示される化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(c)ケイ素含有モノマーに由来するモノマー単位の含有量は、アクリル重合体を構成するモノマー単位全体の質量を基準として、5〜20質量%、又は10〜20質量%であってもよい。ケイ素含有モノマーに由来するモノマー単位の含有量がこれら範囲内であると、より高い防割性を有する合わせガラスが得られ易い。
アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を有するその他のモノマーに由来するモノマー単位を更に含んでいてもよい。その他のモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式の置換基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは、例えば下記式:
CH2=CXCOO(CpH2pO)qR
で表される化合物であることができる。式中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、pは2〜4の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。このアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートの例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらから選ばれる2種類以上の化合物を組み合わせてもよい。
CH2=CXCOO(CpH2pO)qR
で表される化合物であることができる。式中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、pは2〜4の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。このアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートの例としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらから選ばれる2種類以上の化合物を組み合わせてもよい。
その他のモノマーは、モルホリノ基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、カルボニル基、及びニトロ基等の極性基を有していてもよい。これら極性基を有するモノマーは、中間膜とガラス板との密着性向上に寄与し得る。
アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合性不飽和基を有するモノマーに由来するモノマー単位を更に含んでいてもよい。そのようなモノマーの例としては、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、及びプロピレンのような単官能モノマー、並びに、ジビニルベンゼン等の二官能モノマーが挙げられる。
アクリル重合体の重量平均分子量は、80000〜1000000であってもよい。重量平均分子量が80000以上であると、中間膜のガラス板に対する密着性が向上する傾向があり、重量平均分子量が1000000以下であると、中間膜又は樹脂層を形成するための樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、中間膜又は樹脂層を容易に形成することができる。以上の観点から、アクリル重合体の重量平均分子量は100000〜900000であってもよい。ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレンの検量線による換算値を意味する。
アクリル重合体を得る方法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の重合方法によってアクリル重合体を得ることができる。重合反応のための重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。その例としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド等のような有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物が挙げられる。
中間膜5(又は樹脂層5a)を形成するための樹脂組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。樹脂組成物が架橋剤を含む場合、中間膜5及び樹脂層5aにおいて、通常、アクリル重合体の少なくとも一部が架橋剤によって架橋されている。架橋剤によって、樹脂組成物の凝集力が高められる。
架橋剤は、光反応及び/又は熱反応によって、アクリル重合体を架橋する化合物である。光反応によってアクリル重合体を架橋する架橋剤は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってもよく、その例としては、下記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される化合物が挙げられる。式(1)、(2)及び(3)中のsは1〜20の整数を示し、式(4)及び(5)中のm及びnはそれぞれ独立に、1から10の整数を示す。
ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートを架橋剤として使用してもよい。ウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有していてもよい。透明性を確保する観点から、ウレタンジ(メタ)アクリレートは脂環基を有していてもよい。架橋剤と、アクリル重合体との相溶性が高いと、中間膜が白濁せずに高い透明性を有し易い。
熱反応によってアクリル重合体を架橋する架橋剤は、イソシアネート基、又はエポキシ基を2個以上有する化合物であってもよく、メラミン化合物であってもよい。この架橋剤は、中間膜中に緩やかに広がった網目状構造を形成するために、3官能又は4官能のような多官能架橋剤であってもよい。
架橋剤は、イソシアネート基を有する化合物であってもよい。その例としては、多官能性ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が挙げられる。多官能性ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、及び、トチメチロールプロパン等のトリオール、単官能アルコール又はジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物が挙げられる。
架橋剤の重量平均分子量は、高温又は高温高湿下における気泡及び剥離の発生をより抑制できる観点から、100000以下、300〜100000、又は500〜80000であってもよい。
架橋剤の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、15質量%以下、10質量%以下、又は7質量%以下であってもよい。含有量がこれら範囲であると、より一層高い密着性を有する中間膜が形成され易い。架橋剤の含有量の下限は、特に制限されないが、フィルム形成性の観点から、0.1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってもよい。
中間膜5又は樹脂層5aを形成するための樹脂組成物は、アクリル重合体と架橋剤との反応を進行させるための光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させるものである。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
光重合開始剤は特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することが可能である。その例としては、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。これらの化合物は複数種を組み合わせてもよい。
中間膜の着色抑制の観点から、光重合開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;又はオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)であってもよい。特にこれらから選ばれる2種以上を組み合わせてもよい。
特に厚い中間膜又は樹脂層を形成するためには、光重合開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含んでいてもよい。
光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の質量を基準として、0.05〜5質量%、0.1〜3質量%、又は0.1〜0.5質量%であってもよい。光重合開始剤の含有量が5質量%以下であると、透過率が高く、黄味を帯び難く、透明性に優れる中間膜を容易に形成することができる。
樹脂組成物は架橋剤の他に各種添加剤を含んでいてもよく、その具体例としては、樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するパラメトキシフェノール等の重合禁止剤、樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤が挙げられる。
樹脂組成物は、フィルム材の基材との剥離性を制御するために、ポリジメチルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を含有していてもよい。
合わせガラスの中間膜用フィルム材2は、例えば、樹脂層5aを形成するための樹脂組成物を基材21上に成膜することにより得ることができる。成膜は、通常の方法により行うことができる。例えば、樹脂組成物を溶剤で希釈して調製した塗工液を基材21上に塗布することと、塗膜から溶剤を乾燥して樹脂層5aを形成することとを含む方法により、中間膜用フィルム材を得ることができる。塗工法としては、例えばフローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ワイヤバーコート法、及びリップダイコート法が挙げられる。
上記塗工液を調製するための溶剤としては、例えば2−ブタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等の溶媒を用いることができる。塗工性の観点からは、塗工液の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工液の質量を基準として、30質量%以上、又は40質量%以上であってもよく、70質量%以下、又は60質量%以下であってもよい。塗工液の粘度は、塗工温度で1Pa・s以上、又は5Pa・s以上であってもよく、30Pa・s以下、5Pa・s以下、又は15Pa・s以下であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.合わせガラスの中間膜用フィルム材の準備
アクリル重合体の合成
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート85.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)5.0g及び酢酸エチル145.0gを入れ、100mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体(重量平均分子量700,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
重量平均分子量は、下記の装置及び条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンの検量線により求められる換算値として決定した。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス
RI検出器:L−3350
使用溶媒:THF
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+R430+R440
カラム温度:40℃
流量:2.0mL/分
1.合わせガラスの中間膜用フィルム材の準備
アクリル重合体の合成
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート85.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10.0g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン化合物(信越化学工業株式会社製、X−22−2426、製品名、重量平均分子量12000)5.0g及び酢酸エチル145.0gを入れ、100mL/分の風量で窒素置換しながら、フラスコ内を15分間かけて常温(25℃)から65℃まで加熱した。
その後、65℃に保ちながら、酢酸エチル5.0gにラウロイルパーオキシド0.1gを溶解して準備した溶液を投入し、8時間重合反応を進行させて、アクリル重合体(重量平均分子量700,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
重量平均分子量は、下記の装置及び条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンの検量線により求められる換算値として決定した。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス
RI検出器:L−3350
使用溶媒:THF
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+R430+R440
カラム温度:40℃
流量:2.0mL/分
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物の調製
アクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」)とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.2質量%とした。
アクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」)とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.2質量%とした。
合わせガラスの中間膜用フィルム材
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(重剥離セパレータ)の離型処理された表面にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を100℃で15分の加熱により乾燥して、厚み100μmの樹脂層を形成させた。樹脂層にポリエチレンテレフタレートフィルム(軽剥離セパレータ)を、離型処理された表面が樹脂層に接する向きで被せ、1.0kgfのハンドローラーで貼り付け、合わせガラスの中間膜用フィルム材を得た。
合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(重剥離セパレータ)の離型処理された表面にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を100℃で15分の加熱により乾燥して、厚み100μmの樹脂層を形成させた。樹脂層にポリエチレンテレフタレートフィルム(軽剥離セパレータ)を、離型処理された表面が樹脂層に接する向きで被せ、1.0kgfのハンドローラーで貼り付け、合わせガラスの中間膜用フィルム材を得た。
合わせガラス
エポキシ基を有するシランカップリング剤をメタノールに溶解して、濃度1.8質量%のシランカップリング剤溶液を調製した。このシランカップリング剤溶液に、縦110mm、横110mm、厚み2.7mmのフロートガラスの表面を15時間程度浸漬させた。その後、フロートガラスの表面に付着したシランカップリング剤溶液を100℃で1時間の加熱により乾燥して、シランカップリング剤で表面処理された表面を有するフロートガラスを得た。
フロートガラスのシランカップリング剤で表面処理された表面に、軽剥離セパレータを剥離して露出した合わせガラスの中間膜用フィルム材の中間膜を貼り付け、フィルム材をローラーでフロートガラスに押し付けた。重剥離セパレータを中間膜から剥離して中間膜の表面を露出させ、そこに幅25mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、Nitto31B)を貼りつけ、ローラーで押し付けた。フロートガラス、中間膜及びポリエステル粘着テープが積層された積層体を、温度50℃、圧力0.5MPa、30分保持の条件のオートクレーブで加熱及び加圧し、合わせガラスのサンプルを得た。
エポキシ基を有するシランカップリング剤をメタノールに溶解して、濃度1.8質量%のシランカップリング剤溶液を調製した。このシランカップリング剤溶液に、縦110mm、横110mm、厚み2.7mmのフロートガラスの表面を15時間程度浸漬させた。その後、フロートガラスの表面に付着したシランカップリング剤溶液を100℃で1時間の加熱により乾燥して、シランカップリング剤で表面処理された表面を有するフロートガラスを得た。
フロートガラスのシランカップリング剤で表面処理された表面に、軽剥離セパレータを剥離して露出した合わせガラスの中間膜用フィルム材の中間膜を貼り付け、フィルム材をローラーでフロートガラスに押し付けた。重剥離セパレータを中間膜から剥離して中間膜の表面を露出させ、そこに幅25mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、Nitto31B)を貼りつけ、ローラーで押し付けた。フロートガラス、中間膜及びポリエステル粘着テープが積層された積層体を、温度50℃、圧力0.5MPa、30分保持の条件のオートクレーブで加熱及び加圧し、合わせガラスのサンプルを得た。
実施例2
エポキシ基を有するシランカップリング剤を、イソシアネート基を有するシランカップリング剤に変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
エポキシ基を有するシランカップリング剤を、イソシアネート基を有するシランカップリング剤に変更したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
比較例1
フロートガラスの表面をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
フロートガラスの表面をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
比較例2
実施例1と同様のアクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.2質量%とした。シランカップリング剤の量を、アクリル重合体の質量に対して2質量%とした。得られた樹脂組成物を用い、フロートガラスの表面をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
実施例1と同様のアクリル重合体の溶液と、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート誘導体であるポリイソシアネート化合物(東ソー株式会社製、「コロネートHL」)と、エポキシ基を有するシランカップリング剤とを混合し、撹拌して、合わせガラスの中間膜用樹脂組成物を得た。コロネートHLの量を、アクリル重合体の質量に対して0.2質量%とした。シランカップリング剤の量を、アクリル重合体の質量に対して2質量%とした。得られた樹脂組成物を用い、フロートガラスの表面をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
比較例3
エポキシ基を有するシランカップルング剤を、イソシアネート基を有するシランカップリング剤に変更したこと以外は比較例2と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
エポキシ基を有するシランカップルング剤を、イソシアネート基を有するシランカップリング剤に変更したこと以外は比較例2と同様にして、合わせガラスのサンプルを得た。
3.評価
作製した各合わせガラスのサンプルを、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製、ASG−X)の下側の治具に取り付けた。幅25mmポリエステル粘着テープが貼り付けられている長さ60mm程度の部分の中間膜を、フロートガラスから剥離し、剥離した部分を、卓上形精密万能試験機の上側の治具に取り付けた。続いて、引張速度10mm/分、引張角度180°で中間膜をフロートガラスから引き剥がし、そのときの応力を測定した。得られた応力を試験片幅の25mmで除して、初期のピール強度(単位:N/25mm)を求めた。
初期のピール強度測定用のサンプルとは別に準備した各サンプルを、温度85℃、湿度85%RHの条件下で24時間放置する高温高湿試験に供した。高温高湿試験後のピール強度を上記と同様に測定した。また、高温高湿試験後の各サンプルを観察し、フロートガラスの内側に発生した気泡の数を、2cm×2cmのフロートガラスの区画内でカウントし、1cm2当たりの気泡の数を求めた。
作製した各合わせガラスのサンプルを、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製、ASG−X)の下側の治具に取り付けた。幅25mmポリエステル粘着テープが貼り付けられている長さ60mm程度の部分の中間膜を、フロートガラスから剥離し、剥離した部分を、卓上形精密万能試験機の上側の治具に取り付けた。続いて、引張速度10mm/分、引張角度180°で中間膜をフロートガラスから引き剥がし、そのときの応力を測定した。得られた応力を試験片幅の25mmで除して、初期のピール強度(単位:N/25mm)を求めた。
初期のピール強度測定用のサンプルとは別に準備した各サンプルを、温度85℃、湿度85%RHの条件下で24時間放置する高温高湿試験に供した。高温高湿試験後のピール強度を上記と同様に測定した。また、高温高湿試験後の各サンプルを観察し、フロートガラスの内側に発生した気泡の数を、2cm×2cmのフロートガラスの区画内でカウントし、1cm2当たりの気泡の数を求めた。
表1は評価結果を示す。シランカップリング剤で表面処理された表面を有するフロートガラスに中間膜が貼り付けた実施例1、2の合わせガラスのサンプルは、中間膜に同じシランカップリング剤を配合した比較例2、3の合わせガラスのサンプルと比較しても、高温高湿試験後の気泡の発生が少なかった。
1…合わせガラス、2…合わせガラスの中間膜用フィルム材、5…中間膜、7…カップリング剤を含む膜、5a…樹脂層、11…第一のガラス板、12…第二のガラス板、21,22…基材、S…カップリング剤で表面処理された表面。
Claims (12)
- 対向する第一のガラス板及び第二のガラス板と、これらの間に配置された中間膜と、を備える合わせガラスであって、
前記第一のガラス板がカップリング剤で表面処理された表面を有する無機ガラス板であり、該無機ガラス板の表面処理された前記表面が前記中間膜に接している、合わせガラス。 - 前記中間膜がアクリル重合体を含む、請求項1に記載の合わせガラス。
- 前記アクリル重合体が、
(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び
(c)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマー
をモノマー単位として含む共重合体である、請求項2に記載の合わせガラス。 - 前記カップリング剤がシランカップリング剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラス。
- 前記カップリング剤が、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の合わせガラス。
- 前記第二のガラス板が透明プラスチック板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合わせガラス。
- 無機ガラス板である第一のガラス板の表面をカップリング剤で表面処理する工程と、
前記第一のガラス板と第二のガラス板とを、樹脂層を介在させながら貼り合せて、前記第一のガラス板、前記樹脂層、及び前記第二のガラス板を有し、前記第一のガラス板の表面処理された前記表面が前記樹脂層に接している、積層体を得る工程と、
前記積層体を加熱及び加圧して、前記樹脂層を中間膜として有する合わせガラスを得る工程と、
を備える、合わせガラスを製造する方法。 - 前記樹脂層がアクリル重合体を含む、請求項7に記載の方法。
- 前記アクリル重合体が、
(a)炭素数1〜18のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)カルボキシル基又は水酸基のうち少なくとも一方を含有する(メタ)アクリレートモノマー、及び
(c)ラジカル重合性不飽和基とシロキサン鎖又はアルコキシシリル基とを有するケイ素含有モノマー
をモノマー単位として含む共重合体である、請求項8に記載の方法。 - 前記カップリング剤がシランカップリング剤である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カップリング剤が、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第二のガラス板が透明プラスチック板である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
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