JP2019099986A - 複合繊維およびそれからなる繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備えており、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されており、繊維構造体として好適に採用できる複合繊維を提供する。【解決手段】ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)からなる複合繊維であって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有することを特徴とする複合繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、複合繊維に関するものである。より詳しくは、ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備えており、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されており、繊維構造体として好適に採用できる複合繊維に関するものである。
ポリオレフィンは、軽量性、耐摩耗性、保温性、撥水性などに優れ、ポリエステルは、耐熱性、力学特性、染色性、耐薬品性などに優れるため、ポリオレフィン、ポリエステルともに繊維、フィルムなどの成形品の原料として広く利用されている。
異種ポリマーの複合により得られる複合繊維は、それぞれのポリマーの長所を活かし、かつ短所を補うことができるため、新たな材料を開発する上で有効な手法である。しかしながら、複合するポリマー同士の相溶性が低い場合、すなわち界面接着性が低い場合には、界面剥離が生じ、力学特性や耐摩耗性の低下などの問題を引き起こしてしまう。そのため、相溶性が低いポリマー同士による複合繊維においては、相溶性を高める必要がある。
例えば、特許文献1では、ポリエステルとポリプロピレンからなる複合繊維を布帛とした後に、高圧液体流の噴射などの物理的な処理を施すことで、複合繊維を分割し、極細繊維を得る技術が提案されている。
また、特許文献2では、芯がポリトリメチレンテレフタレート、鞘がポリオレフィンからなる偏心芯鞘型複合繊維へ熱処理を施すことで、捲縮性を付与する技術が提案されている。
特開平6−228822号公報 特開2003−3334号公報
上記特許文献1記載の方法では、ポリエステルとポリプロピレンからなる複合繊維へ物理的な処理を施して界面剥離させて、極細繊維を得ることを主目的としており、ポリエステルとポリプロピレンの相溶性の低さを積極的に利用している。
一方、特許文献2記載の方法では、芯のポリトリメチレンテレフタレートと、鞘のポリオレフィンの相溶性が低い、すなわち界面接着性が低いため、偏心芯鞘型複合繊維の力学特性や耐摩耗性が低く、染め斑も見られ、改善が必要であった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備えており、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されており、繊維構造体として好適に採用できる複合繊維を提供することにある。
上記の本発明の課題は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)からなる複合繊維であって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有することを特徴とする複合繊維によって解決することができる。
また、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の合計100重量部に対し、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を0.1〜30.0重量部含有することが好ましい。
さらには、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)が、スチレンブロック(C1)を15.0〜45.0重量部含有すること、エチレンブロック(C2)とブチレンブロック(C3)の重量比率(C2/C3)が0.1〜1.0であること、酸無水物基、アミノ基およびイミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有すること、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が、スチレンブロック(C′1)を15.0〜45.0重量部含有すること、ブタジエンブロック(C′2)とブチレンブロック(C′3)の重量比率(C′2/C′3)が0.1〜1.0であること、酸無水物基、アミノ基およびイミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好適に採用できる。
前記ポリエステル(B)の主たる構成成分は、ジカルボン酸成分(B1)とジオール成分(B2)であり、脂肪族ジカルボン酸(B1−1)、脂環族ジカルボン酸(B1−2)、芳香族ジカルボン酸(B1−3)から選択される少なくとも1つのジカルボン酸成分(B1)と、脂肪族ジオール(B2−1)、脂環族ジオール(B2−2)、芳香族ジオール(B2−3)から選択される少なくとも1つのジオール成分(B2)であることが好ましい。また、前記ポリエステル(B)の主たる構成成分は、脂肪族オキシカルボン酸、脂環族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸から選択されるいずれか1種であることも好適に採用できる。
前記複合繊維の断面複合形態は、芯鞘型、偏心芯鞘型、多重芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、多層貼合せ型から選択されるいずれか一種であることが好ましい。
また、上記の複合繊維を少なくとも一部に用いることを特徴とする繊維構造体に好適に採用できる。
本発明によれば、ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備えており、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された複合繊維を提供することができる。本発明により得られる複合繊維は、繊維構造体とすることで、従来のポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維が使用されている用途において、特に品位が要求される用途で好適に用いることができる。
図1の(a)〜(n)は、本発明の複合繊維の断面複合形態の一例を示す図である。
本発明の複合繊維は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)からなる複合繊維であって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有する。
本発明における複合繊維は、溶融紡糸を行う際に、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)を別々に溶融させ(ポリオレフィン(A)および/またはポリエステル(B)は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有していてもよい)、芯鞘型や海島型のような複合紡糸口金を用いて、断面複合形態を形成させることで得られる繊維である。すなわち、溶融紡糸が完結する以前の任意の段階において、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を混練して形成したポリマーアロイ組成物から得られるポリマーアロイ繊維とは本質的に異なるものである。
背景技術に記載のとおり、ポリオレフィンは、軽量性、耐摩耗性、保温性、撥水性などに優れ、ポリエステルは、耐熱性、力学特性、染色性、耐薬品性などに優れる。そのため、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の複合により得られる本発明の複合繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルそれぞれの長所を兼ね備えたものである。本発明者らは、従来の課題であったポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の相溶性向上について鋭意検討した結果、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を相溶化剤として用いた場合に、相溶性が飛躍的に向上することを見出した。その結果、力学特性および耐摩耗性の向上、ならびに剥離や毛羽の発生の抑制に成功した。さらには、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面剥離が抑制されているため、染色した場合には、界面剥離に起因する散乱光の増加に伴う発色性の低下を抑制することができ、鮮明で深みのある発色を得ることを可能にした。
本発明におけるポリオレフィン(A)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、ポリプロピレンは成形加工性が良好であり、力学特性に優れるため好ましく、ポリメチルペンテンは融点が高く、耐熱性に優れるとともに、ポリオレフィンの中で最も低比重であり、軽量性に優れるため好ましい。衣料用途においては、ポリプロピレンが特に好適に採用できる。
本発明のポリオレフィン(A)は、単独重合体であっても、他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。他のα−オレフィン(以下、単にα−オレフィンと称する場合もある)は、1種または2種以上を共重合してもよい。
α−オレフィンの炭素数は2〜20であることが好ましく、α−オレフィンの分子鎖は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。α−オレフィンの具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ヘキセンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
α−オレフィンの共重合率は20mol%以下であることが好ましい。α−オレフィンの共重合率が20mol%以下であれば、力学特性や耐熱性が良好な複合繊維が得られるため好ましい。α−オレフィンの共重合率は15mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることが更に好ましい。
本発明のポリエステル(B)の主たる構成成分は、ジカルボン酸成分(B1)とジオール成分(B2)であり、脂肪族ジカルボン酸(B1−1)、脂環族ジカルボン酸(B1−2)、芳香族ジカルボン酸(B1−3)から選択される少なくとも1つのジカルボン酸成分(B1)と、脂肪族ジオール(B2−1)、脂環族ジオール(B2−2)、芳香族ジオール(B2−3)から選択される少なくとも1つのジオール成分(B2)であることが好ましい。もしくは、本発明のポリエステル(B)の主たる構成成分は、脂肪族オキシカルボン酸、脂環族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸から選択されるいずれか1種であることが好ましい。なかでも、芳香族ジカルボン酸(B1−3)、芳香族ジオール(B2−3)、芳香族オキシカルボン酸は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)のスチレンブロック(C1)、および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)のスチレンブロック(C′1)の芳香環との相互作用により、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面接着性が向上し、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。
本発明における脂肪族ジカルボン酸(B1−1)の具体例として、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸など、脂環族ジカルボン酸(B1−2)の具体例として、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリン−2,6−ジカルボン酸など、芳香族ジカルボン酸(B1−3)の具体例として、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。また、脂肪族ジオール(B2−1)の具体例として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなど、脂環族ジオール(B2−2)の具体例として、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなど、芳香族ジオール(B2−3)の具体例として、カテコール、ナフタレンジオール、ビスフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、脂肪族オキシカルボン酸の具体例として、乳酸、グリコール酸、α−オキシイソ酪酸、β−オキシイソ酪酸、オキシピバル酸など、芳香族オキシカルボン酸の具体例として、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、マンデル酸、アトロラクチン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステル(B)の具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステル(B)は、他の共重合成分を共重合していてもよく、具体例として、上記に示した脂肪族ジカルボン酸(B1−1)、脂環族ジカルボン酸(B1−2)、芳香族ジカルボン酸(B1−3)、脂肪族ジオール(B2−1)、脂環族ジオール(B2−2)、芳香族ジオール(B2−3)、脂肪族オキシカルボン酸、脂環族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、芳香族ジカルボン酸(B1−3)、芳香族ジオール(B2−3)、芳香族オキシカルボン酸は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)のスチレンブロック(C1)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)のスチレンブロック(C′1)の芳香環との相互作用により、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面接着性が向上し、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。これらの共重合成分は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の複合繊維は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有する。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)およびスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)は、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の両方と親和性が高いため、相溶化剤として機能する。そのため、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の相溶性が向上し、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面接着性が向上する。この界面接着性の向上効果により、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができる。なお、本発明の複合繊維において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)は、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面、ならびにポリオレフィン(A)のみからなる領域および/またはポリエステル(B)のみからなる領域に存在していてもよいが、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面に存在することで、前記の効果を発揮できる。
本発明のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)は、スチレンブロック(C1および/またはC1′)を15.0〜45.0重量部含有することが好ましい。スチレンブロック(C1および/またはC1′)の含有量が、15.0重量部以上であれば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の強度や伸度等の力学特性が高いため、繊維へ引張等の外力が加わった際に、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面に存在するスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が強度や伸度等の力学特性に寄与し、得られる複合繊維の力学特性が良好となるため好ましい。スチレンブロック(C1および/またはC1′)の含有量は、20.0重量部以上であることがより好ましく、25.0重量部以上であることが更に好ましい。一方、スチレンブロック(C1および/またはC1′)の含有量が45.0重量部以下であれば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が柔軟であるため、繊維へ摩耗等の外力が加わり、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面に歪みが生じた際に、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の変形が歪みに追随し、界面剥離が生じにくく、得られる複合繊維の耐摩耗性が良好となるため好ましい。スチレンブロック(C1および/またはC1′)の含有量は、40.0重量部以下であることがより好ましく、35.0重量部以下であることが更に好ましい。
本発明のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)において、エチレンブロック(C2)とブチレンブロック(C3)の重量比率(C2/C3)は、0.1〜1.0であることが好ましい。重量比率(C2/C3)が、0.1以上であれば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)が柔軟であるため、繊維へ摩耗等の外力が加わり、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面に歪みが生じた際に、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の変形が歪みに追随し、界面剥離が生じにくく、得られる複合繊維の耐摩耗性が良好となるため好ましい。重量比率(C2/C3)は、0.15以上であることがより好ましく、0.25以上であることが更に好ましい。一方、重量比率(C2/C3)が1.0以下であれば、ポリオレフィン(A)との親和性が高く、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の相溶性が良好となり、界面接着性が向上し、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。重量比率(C2/C3)は、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。
本発明のスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)において、ブタジエンブロック(C′2)とブチレンブロック(C′3)の重量比率(C′2/C′3)は、0.1〜1.0であることが好ましい。重量比率(C′2/C′3)が、0.1以上であれば、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が柔軟であるため、繊維へ摩耗等の外力が加わり、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面に歪みが生じた際に、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の変形が歪みに追随し、界面剥離が生じにくく、得られる複合繊維の耐摩耗性が良好となるため好ましい。重量比率(C′2/C′3)は、0.15以上であることがより好ましく、0.25以上であることが更に好ましい。一方、重量比率(C′2/C′3)が1.0以下であれば、ポリオレフィン(A)との親和性が高く、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の相溶性が良好となり、界面接着性が向上し、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。重量比率(C′2/C′3)は、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。
本発明のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)は、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびイミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、ポリエステル(B)と親和性が高く、かつポリエステル(B)と反応しうるため、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面接着性がより強固となり、力学特性や耐摩耗性が更に良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。なかでも、アミノ基、イミノ基は、ポリエステル(B)との反応性が高いため好ましく、アミノ基が特に好ましい。
本発明の複合繊維は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の合計100重量部において、ポリオレフィン(A)およびポリエステル(B)の含有量を適宜選択することができる。
本発明の複合繊維は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の合計100重量部に対し、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を0.1〜30.0重量部含有することが好ましい。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の含有量が0.1重量部以上であれば、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)との相溶化効果が得られるため、界面接着性が向上し、得られる複合繊維の力学特性や耐摩耗性が良好となるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制された高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の含有量は、0.3重量部以上であることがより好ましく、0.5重量部以上であることが更に好ましい。一方、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の含有量が30.0重量部以下であれば、複合繊維を構成するポリオレフィン(A)やポリエステル(B)に由来する繊維特性や外観、風合いを維持することができるため好ましい。また、過度のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)による製糸操業性の不安定化を抑制できるため好ましい。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の含有量は、20.0重量部以下であることがより好ましく、10.0重量部以下であることが更に好ましく、5.0重量部以下であることが特に好ましい。
本発明の複合繊維は、副次的添加物を加えて種々の改質が行われたものであってもよい。副次的添加剤の具体例として、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、離型剤、抗菌剤、核形成剤、熱安定剤、帯電防止剤、着色防止剤、調整剤、艶消し剤、消泡剤、防腐剤、ゲル化剤、ラテックス、フィラー、インク、着色料、染料、顔料、香料などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの副次的添加物は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の複合繊維は、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の両方が繊維表層に存在していてもよく、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)のいずれか一方のみ繊維表層に存在していてもよい。ポリオレフィン(A)は、ポリエステル(B)よりも耐摩耗性に優れるため、耐摩耗性の観点からは、ポリオレフィン(A)のみ繊維表層に存在していることが好ましい。また、ポリエステル(B)は、ポリオレフィン(A)よりも染色性に優れるため、染色性の観点からは、ポリエステル(B)のみ繊維表層に存在していることが好ましい。一方で、前記のとおり、本発明は従来の課題であったポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の相溶性の飛躍的な向上に成功し、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の界面接着性が向上しており、力学特性および耐摩耗性が良好であるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されているため、当然のことながら、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の両方が繊維表層に存在していてもよい。
本発明の複合繊維は、断面複合形態に関して特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができる。図1(a)〜(n)は本発明の複合繊維の断面複合形態の一例であり、図1(a)、(b)のような芯鞘型、図1(c)、(d)のような偏心芯鞘型、図1(e)、(f)のような多重芯鞘型、図1(g)、(h)のような海島型、図1(i)、(j)のようなサイドバイサイド型、図1(k)〜(n)のような多層貼合せ型などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の複合繊維は、繊維の断面形状に関して特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができ、真円状の円形断面であってもよく、非円形断面であってもよい。非円形断面の具体例として、多葉形、多角形、扁平形、楕円形、C字形、H字形、S字形、T字形、W字形、X字形、Y字形、田字形、井桁形、中空形などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の複合繊維のマルチフィラメントとしての繊度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、10〜3000dtexであることが好ましい。本発明における繊度とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。複合繊維の繊度が10dtex以上であれば、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れるため好ましい。複合繊維の繊度は、30dtex以上であることがより好ましく、50dtex以上であることが更に好ましい。一方、複合繊維の繊度が3000dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。複合繊維の繊度は、2500dtex以下であることがより好ましく、2000dtex以下であることが更に好ましい。
本発明の複合繊維の単糸繊度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、0.5〜20dtexであることが好ましい。本発明における単糸繊度とは、実施例記載の方法で測定される繊度を単糸数で除した値を指す。複合繊維の単糸繊度が0.5dtex以上であれば、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れるため好ましい。複合繊維の単糸繊度は、0.6dtex以上であることがより好ましく、0.8dtex以上であることが更に好ましい。一方、複合繊維の単糸繊度が20dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。複合繊維の単糸繊度は、15dtex以下であることがより好ましく、12dtex以下であることが更に好ましい。
本発明の複合繊維の強度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、力学特性の観点から1.0〜6.0cN/dtexであることが好ましい。本発明における強度とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。複合繊維の強度が1.0cN/dtex以上であれば、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れるため好ましい。複合繊維の強度は1.5cN/dtex以上であることがより好ましく、2.0cN/dtex以上であることが更に好ましい。一方、複合繊維の強度が6.0cN/dtex以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の柔軟性を損なうことがないため好ましい。
本発明の複合繊維の伸度は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、耐久性の観点から10〜60%であることが好ましい。本発明における伸度とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。複合繊維の伸度が10%以上であれば、繊維ならびに繊維構造体の耐摩耗性が良好となり、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性が良好となるため好ましい。複合繊維の伸度は15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。一方、複合繊維の伸度が60%以下であれば、繊維ならびに繊維構造体の寸法安定性が良好となるため好ましい。複合繊維の伸度は55%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましい。
本発明の複合繊維の繊度変動値U%(hi)は、0.1〜1.5%であることが好ましい。本発明における繊度変動値U%(hi)とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。繊度変動値U%(hi)はマルチフィラメントの繊維長手方向における太さ斑の指標であり、繊度変動値U%(hi)が小さいほど、繊維の長手方向における太さ斑が小さいことを示す。繊度変動値U%(hi)は、工程通過性や品位の観点から小さければ小さいほど好ましいが、製造可能な範囲として0.1%が下限である。一方、複合繊維の繊度変動値U%(hi)が1.5%以下であれば、繊維長手方向の均一性に優れており、毛羽や糸切れが発生しにくく、また、染色した際に染め斑や染め筋などの欠点が発生しにくく、高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。複合繊維の繊度変動値U%(hi)は1.2%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましく、0.8%以下であることが特に好ましい。
本発明の複合繊維は、繊維の形態に関して特に制限がなく、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルなどのいずれの形態であってもよい。
本発明の複合繊維は、一般の繊維と同様に仮撚や撚糸などの加工が可能であり、製織や製編についても一般の繊維と同様に扱うことができる。
本発明の複合繊維からなる繊維構造体の形態は、特に制限がなく、公知の方法に従い、織物、編物、パイル布帛、不織布や紡績糸、詰め綿などにすることができる。また、本発明の複合繊維からなる繊維構造体は、いかなる織組織または編組織であってもよく、平織、綾織、朱子織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などが好適に採用できる。
本発明の複合繊維は、繊維構造体にする際に交織や交編などによって他の繊維と組み合わせてもよいし、他の繊維との混繊糸とした後に繊維構造体としてもよい。
次に、本発明の複合繊維の製造方法を以下に示す。
本発明の複合繊維の製造方法として、公知の溶融紡糸方法、延伸方法、仮撚加工方法を採用することができる。
本発明では、溶融紡糸を行う前にポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を乾燥させ、含水率を0.3重量%以下としておくことが好ましい。含水率が0.3重量%以下であれば、溶融紡糸の際に水分によって発泡することがなく、安定して紡糸を行うことが可能となるため好ましい。また、紡糸時の加水分解を抑制することができ、得られる複合繊維の力学特性の低下や色調の悪化が抑制されるため好ましい。含水率は0.2重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましい。
本発明では、必要に応じて、ポリオレフィン(A)とスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)、またはポリエステル(B)とスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)をエクストルーダーなどで事前に溶融混練して複合化したチップを用いて、溶融紡糸を行ってもよい。
溶融紡糸を行う場合は、必要に応じて事前に乾燥したチップを、エクストルーダー型やプレッシャーメルター型などの溶融紡糸機へ供給して溶融し、計量ポンプで計量する。その後、紡糸ブロックにおいて加温した紡糸パックへ導入して、紡糸パック内で溶融ポリマーを濾過した後、紡糸口金から吐出して繊維糸条とする。
紡糸口金から吐出された繊維糸条は、冷却装置によって冷却固化し、第1ゴデットローラーで引き取り、第2ゴデットローラーを介してワインダーで巻き取り、巻取糸とする。なお、製糸操業性、生産性、繊維の力学特性を向上させるために、必要に応じて紡糸口金下部に2〜50cmの長さの加熱筒や保温筒を設置してもよい。また、給油装置を用いて繊維糸条へ給油してもよく、交絡装置を用いて繊維糸条へ交絡を付与してもよい。
溶融紡糸における紡糸温度は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の融点や耐熱性などに応じて適宜選択することができるが、220〜320℃であることが好ましい。紡糸温度が220℃以上であれば、紡糸口金より吐出された繊維糸条の伸長粘度が十分に低下するため吐出が安定し、さらには、紡糸張力が過度に高くならず、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸温度は230℃以上であることがより好ましく、240℃以上であることが更に好ましい。一方、紡糸温度が320℃以下であれば、紡糸時の熱分解を抑制することができ、得られる複合繊維の力学特性の低下や着色を抑制できるため好ましい。紡糸温度は300℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることが更に好ましい。
溶融紡糸における紡糸速度は、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)との複合比率、紡糸温度などに応じて適宜選択することができるが、500〜6000m/分であることが好ましい。紡糸速度が500m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れを抑制することができるため好ましい。二工程法の場合の紡糸速度は1000m/分以上であることがより好ましく、1500m/分以上であることが更に好ましい。一方、紡糸速度が6000m/分以下であれば、紡糸張力の抑制により糸切れなく、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。二工程法の場合の紡糸速度は4500m/分以下であることがより好ましく、4000m/分以下であることが更に好ましい。また、一旦巻き取ることなく紡糸と延伸を同時に行う一工程法の場合の紡糸速度は、低速ローラーを500〜5000m/分、高速ローラーを2500〜6000m/分とすることが好ましい。低速ローラーおよび高速ローラーが上記の範囲内であれば、走行糸条が安定するとともに、糸切れを抑制することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。一工程法の場合の紡糸速度は低速ローラーを1000〜4500m/分、高速ローラーを3500〜5500m/分とすることがより好ましく、低速ローラーを1500〜4000m/分、高速ローラーを4000〜5000m/分とすることが更に好ましい。
一工程法または二工程法により延伸を行う場合には、一段延伸法または二段以上の多段延伸法のいずれの方法によってもよい。延伸における加熱方法としては、走行糸条を直接的あるいは間接的に加熱できる装置であれば、特に限定されない。加熱方法の具体例として、加熱ローラー、熱ピン、熱板、温水、熱水などの液体浴、熱空、スチームなどの気体浴、レーザーなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの加熱方法は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。加熱方法としては、加熱温度の制御、走行糸条への均一な加熱、装置が複雑にならない観点から、加熱ローラーとの接触、熱ピンとの接触、熱板との接触、液体浴への浸漬を好適に採用できる。
延伸を行う場合の延伸温度は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の融点や、延伸後の繊維の強度、伸度などに応じて適宜選択することができるが、20〜150℃であることが好ましい。延伸温度が20℃以上であれば、延伸に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸時の熱変形が均一となり、毛羽や繊度斑の発生を抑制することができ、繊維長手方向の均一性に優れ、均染性に優れる高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。延伸温度は50℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。一方、延伸温度が150℃以下であれば、加熱ローラーとの接触に伴う繊維同士の融着や熱分解を抑制することができ、工程通過性や品位が良好であるため好ましい。また、延伸ローラーに対する繊維の滑り性が良好となるため、糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸温度は145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることが更に好ましい。また、必要に応じて60〜150℃の熱セットを行ってもよい。
延伸を行う場合の延伸倍率は、延伸前の繊維の伸度や、延伸後の繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、1.02〜7.0倍であることが好ましい。延伸倍率が1.02倍以上であれば、延伸によって繊維の強度や伸度などの力学特性を向上させることができるため好ましい。延伸倍率は、1.2倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることが更に好ましい。一方、延伸倍率が7.0倍以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸倍率は6.0倍以下であることがより好ましく、5.0倍以下であることが更に好ましい。
延伸を行う場合の延伸速度は、延伸方法が一工程法または二工程法のいずれであるかなどに応じて適宜選択することができる。一工程法の場合には、上記紡糸速度の高速ローラーの速度が延伸速度に相当する。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は、30〜1000m/分であることが好ましい。延伸速度が30m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れが抑制できるため好ましい。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は50m/分以上であることがより好ましく、100m/分以上であることが更に好ましい。一方、延伸速度が1000m/分以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。二工程法により延伸を行う場合の延伸速度は900m/分以下であることがより好ましく、800m/分以下であることが更に好ましい。
仮撚加工を行う場合には、1段ヒーターのみ使用する、いわゆるウーリー加工以外に、1段ヒーターと2段ヒーターの両方を使用する、いわゆるブレリア加工を適宜選択することができる。
仮撚加工に用いる装置として、ここではFR(フィードローラー)、1DR(1ドローローラー)ヒーター、冷却板、仮撚装置、2DR(2ドローローラー)、3DR(3ドローローラー)、交絡ノズル、4DR(4ドローローラー)、ワインダーを備えた仮撚加工装置を例示する。
FR−1DR間の加工倍率は、仮撚加工に用いる繊維の伸度や、仮撚加工後の繊維の伸度に応じて適宜選択できるが、1.0〜2.0倍であることが好ましい。
ヒーターの加熱方法は、接触式、非接触式のいずれであってもよい。ヒーター温度は、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の融点や、仮撚加工後の繊維の強度、伸度などに応じて適宜選択することができるが、接触式の場合のヒーター温度は90℃以上、非接触式の場合のヒーター温度は150℃以上であることが好ましい。接触式の場合のヒーター温度が90℃以上、または非接触式の場合のヒーター温度が150℃以上であれば、仮撚加工に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸に伴う熱変形が均一となり、毛羽や繊度斑の発生を抑制することができ、繊維長手方向の均一性に優れ、均染性に優れる高品位の繊維ならびに繊維構造体を得ることができるため好ましい。接触式の場合のヒーター温度は100℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。非接触式の場合のヒーター温度は200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが更に好ましい。ヒーター温度の上限は、仮撚加工に用いる未延伸糸または延伸糸がヒーター内で融着しない温度であればよい。
仮撚装置は、摩擦仮撚型が好ましく、フリクションディスク型、ベルトニップ型などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、フリクションディスク型が好ましく、ディスクの材質を全てセラミックスで構成することで、長時間操業した場合においても、安定して仮撚加工することができるため好ましい。2DR−3DR間および3DR−4DR間の倍率は、仮撚加工後の繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択できるが、0.9〜1.0倍であることが好ましい。3DR−4DR間では、仮撚加工後の繊維の工程通過性を向上させるため、交絡ノズルによる交絡付与、もしくは給油ガイドによる追油を行ってもよい。
仮撚加工を行う場合の加工速度は、適宜選択することができるが、200〜1000m/分であることが好ましい。加工速度が200m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れが抑制できるため好ましい。加工速度は300m/分以上であることがより好ましく、400m/分以上であることが更に好ましい。一方、加工速度が1000m/分以下であれば、仮撚加工時の糸切れが抑制され、安定した仮撚加工を行うことができるため好ましい。加工速度は900m/分以下であることがより好ましく、800m/分以下であることが更に好ましい。
本発明では、必要に応じて、繊維または繊維構造体のいずれかの状態において染色してもよい。本発明では、染料として分散染料またはカチオン染料を好適に採用することができる。本発明の複合繊維を構成するポリオレフィン(A)は染料によってほとんど染色されることはないが、ポリエステル(B)は染色可能であるため、本発明の複合繊維およびそれからなる繊維構造体は染色することが可能である。
本発明における染色方法は、特に制限がなく、公知の方法に従い、チーズ染色機、液流染色機、ドラム染色機、ビーム染色機、ジッガー、高圧ジッガーなどを好適に採用することができる。
本発明では、染料濃度や染色温度に関して特に制限がなく、公知の方法を好適に採用できる。また、必要に応じて、染色加工前に精練を行ってもよく、染色加工後に還元洗浄を行ってもよい。
本発明の複合繊維、およびそれからなる繊維構造体は、ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備え、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されたものである。そのため、従来のポリオレフィン系繊維やポリエステル系繊維が使用されている用途において、特に品位が要求される用途で好適に用いることができる。例えば、婦人服、紳士服、裏地、下着、ダウン、ベスト、インナー、アウターなどの一般衣料用途、ウインドブレーカー、アウトドアウェア、スキーウェア、ゴルフウェア、水着などのスポーツ衣料用途、ふとん用側地、ふとんカバー、ふとん用詰め綿、毛布、毛布用側地、毛布カバー、枕カバー、枕の充填材、シーツなどの寝具用途、テーブルクロス、カーテン、タイルカーペット、家庭用敷物、自動車用マットなどのインテリア用途、ベルト、かばん、縫糸、寝袋、テント、ロープ、養生ネット、ろ過布、細幅テープ、組紐、椅子張りなどの資材用途などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めたものである。
A.複合比率
複合繊維の原料として用いたポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の合計を100重量部とし、複合比率としてA/B/CまたはC′、C+C′[重量部]を算出した。
B.繊度
温度20℃、湿度65%RHの環境下において、INTEC製電動検尺機を用いて、実施例によって得られた繊維100mをかせ取りした。得られたかせの重量を測定し、下記式を用いて繊度(dtex)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を繊度とした。
繊度(dtex)=繊維100mの重量(g)×100 。
C.強度、伸度
強度および伸度は、実施例によって得られた繊維を試料とし、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5.1に準じて算出した。温度20℃、湿度65%RHの環境下において、オリエンテック社製テンシロンUTM−III−100型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行った。最大荷重を示す点の応力(cN)を繊度(dtex)で除して強度(cN/dtex)を算出し、最大荷重を示す点の伸び(L1)と初期試料長(L0)を用いて下記式によって伸度(%)を算出した。なお、測定は1試料につき10回行い、その平均値を強度および伸度とした。
伸度(%)={(L1−L0)/L0}×100 。
D.繊度変動値U%(hi)
繊度変動値U%(hi)は、実施例によって得られた繊維を試料とし、ツェルベガーウースター製ウースターテスター4−CXを用いて、測定速度200m/分、測定時間2.5分、測定繊維長500m、撚り数12000/m(S撚り)の条件で、U%(half inert)を測定した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を繊度変動値U%(hi)とした。
E.界面接着性
実施例によって得られた繊維を白金−パラジウム合金で蒸着した後、日立製走査型電子顕微鏡(SEM)S−4000型を用いて、繊維軸に対して垂直な断面、すなわち繊維横断面を観察し、繊維横断面の顕微鏡写真を10枚撮影した。観察は100倍、300倍、500倍、1000倍、3000倍、5000倍、10000倍の各倍率で行い、顕微鏡写真を撮影する際には試料中の全ての単糸が観察できる最も高い倍率を選択した。撮影された1枚の写真において1ヶ所でも界面剥離が生じている場合、「剥離あり」と判定し、「剥離あり」の写真の枚数に応じて、◎、○、△、×の4段階で評価した。評価は、◎が最も良く、○、△の順に悪くなり、×が最も劣ることを示す。
◎:「剥離あり」の写真が0枚
○:「剥離あり」の写真が1〜2枚
△:「剥離あり」の写真が3〜7枚
×:「剥離あり」の写真が8〜10枚 。
F.毛羽数
毛羽数は、実施例によって得られた繊維を試料とし、東レ・エンジニアリング製毛羽計数装置DT−105を用いて、測定速度500m/分、測定時間20分、測定繊維長10000m、検出高さ0.5mmの条件で、毛羽数(個/10000m)を測定した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を毛羽数とした。
G.耐摩耗性
実施例によって得られた繊維を試料とし、英光産業製丸編機NCR−BL(釜径3インチ半(8.9cm)、27ゲージ)を用いて筒編み約2gを作製した後、炭酸ナトリウム1.5g/L、明成化学工業製界面活性剤グランアップUS−20 0.5g/Lを含む水溶液中、80℃で20分間精練後、流水で30分水洗し、60℃の熱風乾燥機内で60分間乾燥した。精練後の筒編みを135℃で1分間乾熱セットし、乾熱セット後の筒編みに対して、分散染料として日本化薬製Kayalon Polyester Blue UT−YAを1.3重量%加え、pHを5.0に調整した染色液中、浴比1:100、130℃で45分間染色後、流水で30分水洗し、60℃の熱風乾燥機内で60分間乾燥した。染色後の筒編みを135℃で1分間乾熱セットし、仕上げセットを行った。なお、ポリエステル(B)としてカチオン可染性ポリエステルを用いた場合には、カチオン染料として日本化薬製Kayacryl Blue 2RL−EDを1.0重量%加え、pHを4.0に調整した染色液中、浴比1:100、染色温度120℃、染色時間40分の条件で染色した。
耐摩耗性の評価は、JIS L1076:2012(織物及び編物のピリング試験方法)7.3アピアランス・リテンション形試験機法に準じて行った。上記仕上げセット後の筒編みを試料として、押圧荷重3.92N、摩擦回数20回にて摩耗試験を行い、試料の変退色の度合いをJIS L0804:2004に規定の変退色用グレースケールを用いて、変退色を級判定した。さらに、摩耗試験後の試料について、摩耗部分の繊維のフィブリルの状態を30倍の拡大鏡で観察し、5年以上の品位判定の経験を有する検査員5名の合議によって、◎、○、△、×の4段階で評価した。評価は、◎が最も良く、○、△の順に悪くなり、×が最も劣ることを示す。
フィブリル:下記の基準で評価した。
◎:フィブリルが全く無く、摩耗前の状態と変化がない
○:フィブリルがごくわずかにあるが、摩耗前の状態とほとんど変化がない
△:フィブリルがあり、摩耗による損傷が見られる
×:フィブリルが多数あり、摩耗による損傷が著しく見られる 。
H.均染性、発色性、品位
上記Gで作製した仕上げセット後の筒編みについて、5年以上の品位判定の経験を有する検査員5名の合議によって、◎、○、△、×の4段階で評価した。評価は、◎が最も良く、○、△の順に悪くなり、×が最も劣ることを示す。
均染性:下記の基準で評価した。
◎:非常に均一に染色されており、全く染め斑が認められない
○:ほぼ均一に染色されており、ほとんど染め斑が認められない
△:ほとんど均一に染色されておらず、うっすらと染め斑が認められる
×:均一に染色されておらず、はっきりと染め斑が認められる。
発色性:下記の基準で評価した。
◎:白っぽく見えず、鮮やかで深みがある
○:わずかに白っぽく見えるが、鮮やかで深みがある
△:かなり白っぽく見え、鮮やかさ、深みともに少ない
×:白っぽく見え、鮮やかさ、深みともにない。
品位:下記の基準で評価した。
◎:毛羽が全くなく、品位に極めて優れる
○:毛羽がほとんどなく、品位に優れる
△:毛羽があり、品位に劣る
×:毛羽が多数あり、品位に極めて劣る 。
実施例1
二軸エクストルーダーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)(東レ製T701T)とスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)(スチレンブロック25重量部、エチレンブロック/ブチレンブロック=0.25)を混練温度280℃で混練し、二軸エクストルーダーより吐出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーにて5mm長程度にカットして、ペレットを得た。ポリプロピレン(PP)(ExxonMobil製PP3155E5)を鞘成分とし、PETとスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)からなるペレットを芯成分とし、それぞれを150℃で12時間真空乾燥した後、鞘成分を70重量%、芯成分を30重量%の配合比でエクストルーダー型複合紡糸機へ供給して別々に溶融させ、紡糸温度285℃、吐出量31.5g/分で芯鞘型複合紡糸口金(吐出孔径0.18mm、吐出孔長0.23mm、孔数36、丸孔)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、3000m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って105dtex−36fの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1ホットローラー温度90℃、第2ホットローラー温度130℃、延伸倍率2.1倍の条件で延伸し、50dtex−36fの延伸糸を得た。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表1に示す。
実施例2〜6
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の官能基を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表1に示す。
実施例7〜11
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)のスチレンブロック(C1)の含有量を表2に示すとおり変更した以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表2に示す。
実施例12〜16
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)のエチレンブロック(C2)とブチレンブロック(C3)の重量比率(C2/C3)を表2に示すとおり変更した以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表2に示す。
比較例1、実施例17〜21
ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の複合比率を表3に示すとおり変更した以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表3に示す。
比較例1では、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)を含有せず、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートの相溶性が極めて低く、界面接着性も極めて低いため、毛羽数が多かった。また、耐摩耗性も極めて低く、仕上げセット後の筒編みには毛羽が多数見られ、均染性、品位ともに極めて劣るものであった。
実施例22〜28
ポリエステル(B)として、実施例22ではポリプロピレンテレフタレート(PPT)(シェル製“コルテラ”(登録商標)CP513000)、実施例23ではポリブチレンテレフタレート(PBT)(東レ製“トレコン”(登録商標)1100S)、実施例24ではポリエチレンナフタレート(PEN)(東洋紡製PN640)、実施例25ではポリ乳酸(PLA)(ネイチャーワークス製6201D)、実施例26ではポリブチレンサクシネート(PBS)(昭和電工製“ビオノーレ”(登録商標)1010)、実施例27ではポリカプロラクトン(PCL)(ダイセル製“プラクセル”(登録商標)H1P)、実施例28ではポリグリコール酸(PGA)(クレハ製“Kuredux”(登録商標)100R60)を用いた以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表4に示す。
実施例29〜33
ポリエステル(B)として、実施例29ではジオール成分としてポリエチレングリコール(PEG)(三洋化成工業製PEG1000、数平均分子量1000g/mol)を5.0重量%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例30ではジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例31ではジカルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)を10mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例32ではジカルボン酸成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウム(SSIA)を1.5mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例33ではジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用いた以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表5に示す。
実施例34〜37
実施例5、25、30、32において、ポリオレフィン(A)をポリプロピレンからポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製DX820)に変更した以外は、実施例5、25、30、32と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表5に示す。
比較例2〜8
相溶化剤(C)として、比較例2ではスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(クラレ製“セプトン”(登録商標)2004)、比較例3では水酸基変性スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(クラレ製“セプトン”(登録商標)HG−252)、比較例4ではスチレン−ブチレン−スチレン共重合体(旭化成製“タフプレン”(登録商標)A)、比較例5では無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学製“アドマー”(登録商標)LF128)、比較例6では無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業製“ユーメックス”(登録商標)1010)、比較例7では無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学製“タフマー”(登録商標)MH7020)、比較例8ではエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学製“ボンドファースト”(登録商標)E)を用いた以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表6に示す。
いずれの相溶化剤を用いた場合も、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートの相溶性ならびに界面接着性が不十分であり、力学特性、耐摩耗性、均染性、品位を兼ね備えることはできなかった。
実施例38〜41
実施例5において、複合紡糸口金を変更して断面複合形態を表7に示すとおり変更し、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の複合比率を表7に示すとおり変更した以外は、実施例5と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表7に示す。
比較例9〜12
実施例38〜41において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)を添加せず、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の複合比率を表7に示すとおり変更した以外は、実施例38〜41と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表7に示す。
比較例9〜12のいずれの場合も、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)を含有せず、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートの相溶性が極めて低く、界面接着性も極めて低いため、毛羽数が多かった。特に、ポリオレフィン(A)とポリエステル(B)の両方が繊維表層に存在している比較例9、11、12では、界面接着性が不良であり、かつ毛羽の発生が極めて多かった。また、耐摩耗性も極めて低く、仕上げセット後の筒編みには毛羽が多数見られ、均染性、品位ともに極めて劣るものであった。
実施例42、43
実施例5、39において、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)の複合比率を表7に示すとおり変更した以外は、実施例5、39と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表7に示す。
実施例44
相溶化剤として、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)(スチレンブロック25重量部、エチレンブロック/ブチレンブロック=0.25)を用いた以外は、実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表8に示す。
実施例45〜49
スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の官能基を表8に示すとおり変更した以外は、実施例44と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表8に示す。
実施例50〜54
スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)のスチレンブロック(C′1)の含有量を表9に示すとおり変更した以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表9に示す。
実施例55〜59
スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)のブタジエンブロック(C′2)とブチレンブロック(C′3)の重量比率(C′2/C′3)を表9に示すとおり変更した以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表9に示す。
実施例60〜64
ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の複合比率を表10に示すとおり変更した以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表10に示す。
実施例65〜71
ポリエステル(B)として、実施例65ではポリプロピレンテレフタレート(PPT)(シェル製“コルテラ”(登録商標)CP513000)、実施例66ではポリブチレンテレフタレート(PBT)(東レ製“トレコン”(登録商標)1100S)、実施例67ではポリエチレンナフタレート(PEN)(東洋紡製PN640)、実施例68ではポリ乳酸(PLA)(ネイチャーワークス製6201D)、実施例69ではポリブチレンサクシネート(PBS)(昭和電工製“ビオノーレ”(登録商標)1010)、実施例70ではポリカプロラクトン(PCL)(ダイセル製“プラクセル”(登録商標)H1P)、実施例71ではポリグリコール酸(PGA)(クレハ製“Kuredux”(登録商標)100R60)を用いた以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表11に示す。
実施例72〜76
ポリエステル(B)として、実施例72ではジオール成分としてポリエチレングリコール(PEG)(三洋化成工業製PEG1000、数平均分子量1000g/mol)を5.0重量%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例73ではジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例74ではジカルボン酸成分としてイソフタル酸(IPA)を10mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例75ではジカルボン酸成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウム(SSIA)を1.5mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、実施例76ではジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用いた以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表12に示す。
実施例77〜80
実施例48、68、73、75において、ポリオレフィン(A)をポリプロピレンからポリメチルペンテン(PMP)(三井化学製DX820)に変更した以外は、実施例48、68、73、75と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表12に示す。
実施例81〜84
実施例48において、複合紡糸口金を変更して断面複合形態を表13に示すとおり変更し、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の複合比率を表13に示すとおり変更した以外は、実施例48と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表13に示す。
実施例85、86
実施例48、82において、ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の複合比率を表13に示すとおり変更した以外は、実施例48、82と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表13に示す。
実施例87
相溶化剤として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)(スチレンブロック25重量部、エチレンブロック/ブチレンブロック=0.25)およびスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)(スチレンブロック25重量部、ブタジエンブロック/ブチレンブロック=0.25)を用いた以外は、実施例1と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表14に示す。
実施例88〜92
相溶化剤として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)およびスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の官能基を表14に示すとおり変更した以外は、実施例87と同様に延伸糸を作製した。得られた繊維の繊維特性および布帛特性の評価結果を表14に示す。
本発明の複合繊維は、ポリオレフィンとポリエステルの特性を兼ね備えており、力学特性や耐摩耗性に優れるとともに、剥離や毛羽の発生が抑制されており、繊維構造体として好適に用いることができる。
1.ポリマー1
2.ポリマー2

Claims (9)

  1. ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)からなる複合繊維であって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を含有することを特徴とする複合繊維。
  2. ポリオレフィン(A)、ポリエステル(B)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)の合計100重量部に対し、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)を0.1〜30.0重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の複合繊維。
  3. スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が、スチレンブロック(C1および/またはC′1)を15.0〜45.0重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)において、エチレンブロック(C2)とブチレンブロック(C3)の重量比率(C2/C3)が、0.1〜1.0であること、またスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)において、ブタジエンブロック(C′2)とブチレンブロック(C′3)の重量比率(C′2/C′3)が、0.1〜1.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合繊維。
  5. スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(C)および/またはスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(C′)が、酸無水物基、アミノ基およびイミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合繊維。
  6. ポリエステル(B)の主たる構成成分が、ジカルボン酸成分(B1)とジオール成分(B2)であり、脂肪族ジカルボン酸(B1−1)、脂環族ジカルボン酸(B1−2)、芳香族ジカルボン酸(B1−3)から選択される少なくとも1つのジカルボン酸成分(B1)と、脂肪族ジオール(B2−1)、脂環族ジオール(B2−2)、芳香族ジオール(B2−3)から選択される少なくとも1つのジオール成分(B2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合繊維。
  7. ポリエステル(B)の主たる構成成分が、脂肪族オキシカルボン酸、脂環族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸から選択されるいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合繊維。
  8. 前記複合繊維の断面複合形態が、芯鞘型、偏心芯鞘型、多重芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、多層貼合せ型から選択されるいずれか一種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合繊維。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合繊維を少なくとも一部に用いることを特徴とする繊維構造体。
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