JP2019095709A - 剥離検知ラベル - Google Patents

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Koji Tsuchibuchi
晃司 土渕
由美子 網野
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由美子 網野
一貴 井田
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一貴 井田
泰之 天野
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泰之 天野
山本 貴司
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Abstract

【課題】被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルを提供する。【解決手段】支持体1と、支持体の表面の一部に形成されたパターン層2と、着色層3と、第1の粘着剤層4と、基材層5と、第2の粘着剤層6とをこの順で積層した積層体であって、かつ、剥離検知ラベルを被着体に貼付後、被着体から剥離する際に、パターン層と着色層との間で界面剥離が生じることにより、剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が視覚的に検知可能となる、要件を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は剥離検知ラベルに関する。
例えば、医薬品や食品等のパッケージでは、安全性のため、高いセキリュティ性が求められており、一度開封されたかどうかを確認する目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。また、例えば、薬品瓶や燃料タンクといった危険物等の充填容器、封書、化粧箱等の不正開封等を防止する目的、並びにパスポート等の身分証明書の証明写真の不正使用等を防止する目的等でも改ざん防止用ラベルが用いられている。
また、高価な電子機器や精密機械部品等に貼り付けられているラベルについても、表示内容の改ざんや、正規製品のラベルを剥がして別の製品に貼付する模倣手段に用いられることを防止する等の目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。
例えば、特許文献1には、厚さ寸法が10μm以上40μm以下のポリスチレンフィルムと、その一面に積層されたJIS Z 0237に規定の接着強度が80℃で15N/25mm以上の耐熱性粘着剤層とから成ることを特徴とする改ざん防止ラベル又はシートが開示されている。
特開2010−281948号公報
特許文献1に記載の改ざん防止ラベル又はシートでは、前記ポリスチレンフィルムを剥がそうとするとポリスチレンフィルムが破断してしまうことで、改ざん防止機能を発揮している。
しかしながら、このように従来の剥離検知ラベルでは、破壊した基材層の一部や粘着剤層が被着体に残存してしまうことにより、被着体を汚染してしまうといった問題があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルを提供することを目的とする。
本発明者らは、支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、着色層と、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体であって、特定の要件を満たす、剥離検知ラベルとすることで、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[2]に関する。
[1] 支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、着色層と、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体であって、かつ下記要件(1)を満たす、剥離検知ラベル。
要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記パターン層と前記着色層との間で界面剥離が生じることにより、前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が視覚的に検知可能となる。
[2] 基材層(Y)が、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層である、前記[1]に記載の剥離検知ラベル。
本発明によれば、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルを提供し得る。
本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。 本発明の剥離検知ラベルの構成の一例である剥離ラベル101を、被着体20から剥離する途中の状況を示す断面模式図である。
本発明において、対象となる樹脂が、「粘着性樹脂」又は「非粘着性樹脂」のどちらに属するかの判断は、次の手順(1)〜(4)に基づいて行う。
・手順(1):対象となる樹脂のみから形成した厚さ20μmの樹脂層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の樹脂層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):静置後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、粘着力を測定する。
・手順(4):測定した粘着力が0.1N/25mm以上であれば、対象となる樹脂は「粘着性樹脂」と判断する。一方、測定した粘着力が0.1N/25mm未満であれば、対象となる樹脂は「非粘着性樹脂」と判断する。
本発明において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
また、本発明において、「剥離検知ラベルの剥離」とは、例えば、剥離検知ラベルを、剥離検知ラベルの粘着剤層(X2)の貼付面に剥離材を有する場合、当該剥離材から剥離検知ラベルを剥離する時の剥離操作のことを指す。
それに対して、本発明において、「剥離検知ラベルの再剥離」とは、当該剥離材を除去した剥離検知ラベルを被着体に貼付した後、当該被着体から当該剥離検知ラベルを剥離する時の剥離操作のことを指す。
また、本発明において、「視覚的に検知可能」とは、剥離検知ラベルの再剥離前後の変化を人間の目で確認できることをいう。
本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。同様に、例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下である」という記載からも、好適範囲として、「10以上60以下」を選択することもでき、また、単に、「60以下」という範囲を選択することもできる。
[剥離検知ラベル]
本発明の剥離検知ラベルは、支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、着色層と、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体であって、かつ下記要件(1)を満たす、剥離検知ラベルである。
要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記パターン層と前記着色層との間で界面剥離が生じることにより、前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が視覚的に検知可能となる。
当該剥離検知ラベルが、前記層構成を満たすことで、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルとなる。更に、要件(1)を満たすことで、剥離検知性能に優れるものとなる。
以下に、本発明の実施態様に係る剥離検知ラベルの例を、図1を用いて説明するが、本発明の剥離検知ラベルは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。
本発明の剥離検知ラベルは、図1に示す剥離検知ラベル101のように、支持体1、パターン層2、着色層3、及び第1の粘着剤層(X1)(以下、「粘着剤層(X1)」ともいう。)4と基材層(Y)5と第2の粘着剤層(X2)(以下、「粘着剤層(X2)」ともいう。)6とをこの順で積層した粘着性積層体(以下、「積層体(P1)」ともいう。)11をこの順で積層したものが好適な態様として挙げられる。
ここで、本明細書において、「粘着性積層体」とは、前述の第1の粘着剤層(X1)と基材層(Y)と第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体を指す。
粘着性積層体11は、基材層(Y)5の両面に粘着剤層を有する積層体であり、当該2層存在する粘着剤層について、それぞれ、着色層3側に位置する粘着剤層を第1の粘着剤層(X1)4とし、基材層(Y)5の着色層3側とは反対側に位置する粘着剤層を第2の粘着剤層(X2)6とするものである。なお、図1に示す態様の剥離検知ラベル101は、粘着剤層(X2)6の貼付面6aを介して被着体に貼付される。
図1に示す剥離検知ラベル101のような態様である場合、着色層3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、着色層3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であることが好ましく、図1に示す剥離検知ラベル101のように、着色層3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1aと接する面以外の面を被覆する態様であることがより好ましく、積層体(P1)11中、粘着剤層(X1)4、基材層(Y)5及び粘着剤層(X2)6はこの順で直接積層していることが更に好ましい。
ここで、前述の「直接積層」とは、例えば、図1に示す剥離検知ラベル101の場合、粘着剤層(X1)4と基材層(Y)5と粘着剤層(X2)6との間に、他の層を有さずに、3層が直接接触している積層状態を指す。
また、図2は、図1に示した剥離検知ラベル101を、被着体20に貼付した後、被着体20から剥離する途中の状況、すなわち、剥離検知ラベル101を再剥離する状況を示す断面模式図である。
本発明の剥離検知ラベルは、図2に示すように、剥離検知ラベル101を被着体20から剥離する際、パターン層2と着色層3との間で界面剥離が生じて空隙30が生じることでパターンが顕在化し、剥離検知ラベル101を被着体20から剥離したか否かについて、視覚的に検知可能となるラベルである。すなわち、要件(1)の態様を満たす剥離検知ラベルである。
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、粘着剤層(X2)の貼付表面(基材層(Y)と接触している側とは反対側の表面上)に、更に、剥離材を積層した構成としてもよい(図示せず)。
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、粘着剤層(X2)の貼付表面上に、更に異なる形成材料である組成物から形成した粘着剤層(Xn)を積層した構成としてもよい(図示せず)。nは3以上の整数を表す。
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、基材層(Y)と粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)から選ばれる1種以上との間に、更に異なる形成材料である組成物から形成した中間層(M)(例えば、プライマー層、金属系蒸着膜や着色層等)を積層した構成としてもよい(図示せず)。
また、後述するとおり、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、支持体の積層体(P1)とは反対側の表面上に、印刷受理層を設けてもよく、更に当該印刷受理層上に印刷層を設けてもよい(いずれも図示せず)。
なお、前述したとおり、本発明の剥離検知ラベルは、本発明の効果が発現する限り、これらの態様に限定されるものではない。
前記剥離検知ラベルの厚さとしては、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜150μm、更に好ましくは20〜120μm、より更に好ましくは30〜100μmである。ここで、当該剥離検知ラベルが、前述のとおり、更に剥離材を積層する態様である場合、当該剥離検知ラベルの厚さとは、当該剥離材を除いた剥離検知ラベルの総厚を指す。
当該剥離検知ラベルの厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
前記剥離検知ラベルの被着体と接する貼付表面における粘着力は、好ましくは0.5N/25mm以上、より好ましくは2.5N/25mm以上、更に好ましくは4.0N/25mm以上、より更に好ましくは5.0N/25mm以上、より更に好ましくは9.0N/25mm以上、より更に好ましくは12.0N/25mm以上であり、そして、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下、より更に好ましくは25.0N/25mm以下、より更に好ましくは20.0N/25mm以下、より更に好ましくは17.0N/25mm以下である。
当該剥離検知ラベルの粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の好適な一態様である剥離検知ラベルは、当該剥離検知ラベルの再剥離時に、前記パターン層と前記着色層との間で界面剥離が生じることで、当該剥離検知ラベルの再剥離有無が視覚的に検知可能になるものである。したがって、剥離検知ラベルを被着体に貼付した際、当該剥離検知ラベルの支持体側から少なくとも着色層に起因する着色が視覚的に認識可能な程度の透明性を有する剥離検知ラベルであることが好ましい。一方で、視覚的に認識可能な程度の透明性を損なわない程度に、意匠性や偽造防止を目的として、支持体の粘着性積層体とは反対の面に印刷受理層を設けて印刷層を設けてもよい。また巻回テープとするために、支持体の粘着性積層体とは反対の面に剥離剤層を設けてもよい。
以下、前記剥離検知ラベルを構成する各部材について更に詳細に説明する。
<支持体>
前記支持体としては、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たすものであれば、特に限定されないが、前述のとおり、本発明の好適な一態様である剥離検知ラベルは、当該剥離検知ラベルの再剥離時に、前記パターン層との間で界面剥離を生じることで、当該剥離検知ラベルの再剥離有無が視覚的に検知可能になるものである。そのため、前記支持体としては、当該支持体が剥離検知ラベル中に組み込まれた際、当該支持体が透けて、前記剥離検知ラベルの当該支持体側の表面側から、少なくとも当該支持体のもう一方の表面側に存在する任意の物体が目視で見える程度の透明性を有する支持体であることが好ましい。
前記支持体としては、例えば、透明性のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタンアクリレート等のポリウレタン系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリ(4−メチルペンテン−1)系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ノルボルネン系樹脂;シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中では、透明性や、コスト、汎用性の点から、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、前記支持体は、当該支持体の片側の表面又は両側の表面に設けられる各層との密着性を向上させるために、所望により酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。前記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン照射処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、前記凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は、用いる支持体の種類に応じて適宜選択される。プライマー層を設けるプライマー処理を施すこともできる。
前記支持体の厚さとしては、好ましくは1〜150μm、より好ましくは5〜130μm、更に好ましくは10〜80μm、より更に好ましくは20〜60μmである。
当該支持体の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔印刷受理層〕
また、前述のとおり、前記支持体は、前記パターン層を形成する面とは反対側の面上に、更に、印刷受理層を設けてもよい。当該印刷受理層としては、本発明の効果が発現する限り、特に限定されないが、非粘着性樹脂(z1)を含む組成物(z)からなる塗膜(z’)を乾燥させて形成された層であることが好ましい。
非粘着性樹脂(z1)としては、例えば、後述する非粘着性樹脂(y1)と異なる非粘着性樹脂であることが好ましく、より好ましくはポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂であり、更に好ましくはウレタン変性ポリエステル系樹脂である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、非粘着性樹脂(z1)として、ポリエステル系樹脂及びウレタン変性ポリエステル系樹脂以外の一般的な印刷受理層に含まれる樹脂を含有してもよい。
組成物(z)中の非粘着性樹脂(z1)の含有量は、組成物(z)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
また、組成物(z)は、ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂に加えて、更に、架橋剤としてのイソシアネート系化合物を含むことがより好ましく、更に、架橋剤としてのイソシアネート系化合物と共に触媒を含有することが更に好ましい。
組成物(z)が含有してもよい架橋剤、及び触媒としては、それぞれ、例えば、後述する組成物(y)が含有してもよい架橋剤、及び触媒と同様のものが挙げられ、その好適な態様も同様である。
組成物(z)中、前記ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂と、架橋剤としてのイソシアネート系化合物との含有割合は、固形分比で前記ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂の合計100質量部に対し、架橋剤としてのイソシアネート系化合物が好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。
また、組成物(z)中、前記ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂と触媒との含有割合は、前記ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂の合計100質量部に対し、触媒が固形分換算で好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜3質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部である。
また、当該触媒として金属系触媒を用いる場合、前記ポリエステル系樹脂及び/又はウレタン変性ポリエステル系樹脂の合計100質量部に対し、金属系触媒が金属量換算で好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜2質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部である。
また、組成物(z)は、滑り性の向上や、マット感を得るために、有機フィラー、無機フィラー等の各種フィラーを配合することができる。前記有機フィラーとしては、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メタクリル酸メチル等のアクリル樹脂又はこれらの混合物等の樹脂粉末等が挙げられる。前記無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ等の無機酸化物、金粉、銀粉等の金属粉等が挙げられる。
組成物(z)がフィラーを含有する場合、該フィラーの配合量は、組成物(z)中の非粘着性樹脂(z1)及び/又は前述の架橋剤の合計量100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
また、組成物(z)は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。当該有機溶媒としては、後述する組成物(x)を溶液の形態に調製する際に使用する有機溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(z)に含まれてもよい、前述の各有効成分及び希釈溶媒は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記印刷受理層の厚さとしては、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.05〜0.8μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
当該印刷受理層の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
<パターン層>
前記パターン層とは、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、当該剥離検知ラベルが再剥離された事を視覚的に検知可能とするために必要となる層である。そして、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たす材料から形成される層である。
また、当該パターン層としては、剥離検知ラベルの再剥離前にはパターンが潜在化していることが好ましいため、透明性を有する層であることが好ましい。透明性を有するパターン層とすることで、剥離検知ラベルの剥離前後の変化がより明確になる観点からも好ましい。
前記パターン層としては、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たすものであれば、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;シリコーン系樹脂;フッ素系樹脂;長鎖アルキル基含有ポリマー(長鎖アルキル系ワックス等);及びエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることが好ましく、セルロース系樹脂及びシリコーン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることがより好ましい。
前記パターン層中、前述した各樹脂の合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
また、前記パターン層は、前記支持体の表面の一部に形成される。前記パターン層が、前記支持体の表面の全面に形成された場合、前記支持体と当該パターン層との界面の全面で剥離が生じてしまい、被着体への糊残りが生じてしまう。
ここで、前記支持体の表面の一部に形成されるとは、剥離検知ラベルが実際に貼付されている状態のサイズ、又は使用するために所定のサイズに抜き加工された後の剥離検知ラベルにおいて、前記支持体のパターン層が形成されている表面上の面積100%中、パターン層が形成されている面積が100%未満であればよく、好ましくは1〜99%、より好ましくは2〜95%、更に好ましくは3〜90%、より更に好ましくは5〜80%、より更に好ましくは8〜70%、より更に好ましくは10〜60%である。
前記パターン層の形成方法は、前記支持体上に、パターン層を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、前記樹脂と溶剤とを含有するインキを用いて、一般的な印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等により形成することができる。
また、形成されるパターンの形状等も、剥離検知ラベルの再剥離の有無が検知可能であれば特に限定されず、幾何学的なパターン又は図柄であってもよく、文字パターンであってもよい。
なお、当該パターンとは、必ずしも一定の規則性に基づいて「配置」されたものに限らず、不規則(ランダム)な形状のものも含むものとする。例えば、前記印刷方法を用いて特定の規則的形状を印刷するに限らず、単に、パターン層用原料を支持体上にスプレーする等、不規則(ランダム)な形状となるように処理した場合に、一部の箇所において、ランダムにラベルの色調や光透過性が変化して視覚的に認識できるような場合であっても、当該支持体上に形成されたパターン層用原料から形成されている箇所は、パターン層に含まれる。
ただし、より確実かつ明確に剥離検知ラベルの再剥離の有無を検知する観点、また、どのラベルサイズに加工した場合、そのサイズに適したパターン層を形成することができる観点等の製造上、製品品質上の観点からも、一定以上の面積で前記支持体とパターン層との界面が存在していることが好ましいため、所定の規則的なパターンを形成することが好ましい。
また、前述のとおり、パターン層自体で所定のパターンを形成することが可能であるため、前記パターン層が透明性を有する層である場合、前記のパターンを隠し文字等の隠しパターンとして形成することができる。ここで、「隠しパターン」とは、剥離検知ラベルの再剥離前には、形成されたパターンが透明であるため、潜在化していて視覚的には検知できず、当該剥離検知ラベルの再剥離後に当該パターンが顕在化することで視覚的に検知できるようになるパターンを指す。
また、前述のとおり、本発明で用いられるパターン層は、パターン層自体が着色層から界面剥離するため、例えば、剥離層とパターン印刷層といったようにそれぞれの機能を分離した層を設ける必要がなくなるといった利点がある。
そして、前述した本発明の剥離検知ラベルの構成とすることで、パターン層と着色層との間で界面剥離を生じさせ、一方でその他の箇所での界面剥離を効果的に抑制することができるため、パターン層自体で文字のような比較的入り組んだ形状のパターンを形成した場合でも、剥離検知ラベルを再剥離する際に、そのパターンを視覚的に検知できる程度に表示させることが可能になる。
前記パターン層の厚さとしては、好ましくは0.05〜16μm、より好ましくは0.1〜12μm、更に好ましくは0.5〜8μmである。
当該パターン層の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
前記パターン層は、前記支持体との粘着力よりも、後述する着色層との粘着力が低くなる樹脂から形成された層であることが好ましく、非粘着性樹脂から形成された層であることがより好ましい。
また、剥離検知ラベルの再剥離時に、前記パターン層と後述する着色層との間での界面剥離がより生じ易くなり、前記要件(1)を満たし易くなる観点から、前記パターン層と後述する着色層との接着力が、当該パターン層と前記支持体との接着力よりも低いことが好ましく、前記パターン層と後述する着色層との接着力が、当該パターン層と前記支持体との接着力よりも低く、かつ当該着色層と後述する第1の粘着剤層(X1)との接着力よりも低いことがより好ましい。そして、前記パターン層と後述する着色層との接着力が、当該パターン層と前記支持体との接着力よりも低く、かつ当該着色層と後述する第1の粘着剤層(X1)との接着力よりも低く、かつ当該着色層と後述する第1の粘着剤層(X1)との接着力が、後述する第2の粘着剤層(X2)と剥離検知ラベルの貼付対象となる被着体との接着力よりも大きいことが更に好ましい。
また、このような態様であれば、例えば、前記パターン層と後述する着色層との間の界面以外の界面で剥離が生じることを、より効果的に防止できるため好ましい。すなわち、要件(1)を満たすために好ましい。
<着色層>
前記着色層とは、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、前記パターン層との界面で剥離を生じることにより、当該剥離検知ラベルが再剥離された事を視覚的に検知可能とするために必要となる層である。そして、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たす材料から形成される層である。当該着色層としては、例えば、金属系蒸着膜、着色剤含有樹脂層等が挙げられる。
前記金属系蒸着膜としては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銀、錫、銅等の金属材料;又は酸化チタン、窒化チタン等の金属化合物;から形成される蒸着膜が挙げられる。当該金属系蒸着膜は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法などの方法により、形成することができる。
前記着色剤含有樹脂層を形成する樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;アクリルウレタン系樹脂;ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。これらの中でもエネルギー線硬化型樹脂であることが好ましく、エネルギー線硬化型ウレタン系樹脂、及びエネルギー線硬化型アクリルウレタン系樹脂から選ばれる1種以上がより好ましい。
前記着色剤含有樹脂層が含有する着色剤としては、顔料、染料のいずれであってもよい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよいが、有機顔料が好ましい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物が挙げられる。黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、油溶性染料、分散染料、カチオン染料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色の顔料又は染料のいずれも用いることができる。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
前記着色剤含有樹脂層の形成方法としては、前記支持体上及びパターン層上に当該着色剤含有樹脂層を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、前記パターン層の形成方法と同様、前記各原料と溶剤とを含有するインキを用いて、一般的な印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等により形成することができる。
またエネルギー線硬化型樹脂を用いる場合は、印刷後にエネルギー線硬化を行うことが好ましい。エネルギー線の種類としては、紫外線及び/又は電子線が挙げられるが、紫外線が好ましい。光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LED等が挙げられる。
前記着色層の厚さとしては、例えば、好ましくは0.001〜20μm、より好ましくは0.01〜15μm、更に好ましくは0.03〜10μm、より更に好ましくは0.1〜2μmである。
当該着色層の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
<粘着性積層体(P1)>
前記粘着性積層体は、前述のとおり、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体であり、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で直接積層した積層体であることが好ましい。
<<第1の粘着剤層(X1)>>
前記第1の粘着剤層(X1)は、粘着性樹脂を含む組成物(x−1)から形成された層であることが好ましく、粘着性樹脂を含む組成物(x−1)からなる塗膜(x−1’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
ここで、本明細書において、「塗膜」とは、公知の塗布方法によって、形成材料である組成物から形成された膜であって、当該膜中に含まれる溶媒等の揮発成分の残存率が、塗布前の当該組成物中に含まれる揮発成分の全量100質量%に対して、10〜100質量%となる状態のものを指す。
つまり、本明細書において、塗膜には、溶媒等の揮発成分が一定量含まれている。
〔組成物(x−1)〕
第1の粘着剤層(X1)の形成材料である組成物(x−1)は、粘着性樹脂を含むものである。
なお、本発明の一態様において、組成物(x−1)に含まれる粘着性樹脂以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、組成物(x−1)は、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
(粘着性樹脂)
前記粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万〜200万、より好ましくは2万〜150万、更に好ましくは3万〜100万である。
組成物(x−1)に含まれる粘着性樹脂としては、例えば、後述する粘着剤層(X1)の粘着力を満たすアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中では、好ましくはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくはアクリル系樹脂である。
これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
更に、第1の粘着剤層(X1)と基材層(Y)との界面密着性をより向上させる観点から、これらの粘着性樹脂は、重合性官能基を有さない紫外線非硬化型粘着性樹脂であることが好ましい。
組成物(x−1)中の粘着性樹脂の含有量は、組成物(x−1)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは30〜99.99質量%、より好ましくは40〜99.95質量%、より好ましくは50〜99.90質量%、更に好ましくは55〜99.80質量%、より更に好ましくは60〜99.50質量%である。
{アクリル系樹脂}
本発明の一態様において、基材層(Y)との界面密着性をより向上させる観点から、組成物(x−1)に含まれる粘着性樹脂が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
粘着性樹脂中のアクリル系樹脂の含有割合としては、界面密着性をより向上させる観点から、組成物(x−1)に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)中、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%である。
粘着性樹脂として使用し得るアクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは10万〜150万、より好ましくは20万〜130万、更に好ましくは35万〜120万、より更に好ましくは50万〜110万である。
前記アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう。)に由来する構成単位(a1)を有するアクリル系重合体(A0)が好ましく、構成単位(a1)と共に、官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう。)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)がより好ましい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8、より更に好ましくは4〜6である。
なお、モノマー(a1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a1’)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。そして、粘着剤層(X1)を形成するアクリル系樹脂に係るモノマー(a1’)としては、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらのモノマー(a1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系重合体(A0)又はアクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、更に好ましくは70〜99.5質量%、より更に好ましくは80〜99.0質量%である。
モノマー(a2’)が有する官能基は、後述の組成物(x)が含有してもよい架橋剤と反応し、架橋起点となり得る官能基又は架橋促進効果を有する官能基を指し、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(a2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(a2’)としては、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a2’)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粘着剤層(X1)を形成するアクリル系樹脂に係るモノマー(a2’)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びアクリル酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
構成単位(a2)の含有量は、前記アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、より更に好ましくは0.7〜10質量%である。
アクリル系共重合体(A1)は、更にモノマー(a1’)及び(a2’)以外の他のモノマー(a3’)に由来の構成単位(a3)を有していることが好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A1)において、構成単位(a1)及び(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
モノマー(a3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
モノマー(a3’)としては、酢酸ビニルが好ましい。
{ウレタン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るウレタン系樹脂としては、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に、ウレタン結合及び尿素結合の1つ以上を有する重合体であれば、特に限定されない。
具体的なウレタン系樹脂としては、例えば、ポリオールと多価イソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン系プレポリマー(UX)等が挙げられる。
なお、ウレタン系プレポリマー(UX)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであってもよい。
ウレタン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万〜20万、より好ましくは1.2万〜15万、更に好ましくは1.5万〜10万、より更に好ましくは2万〜7万である。
ウレタン系プレポリマー(UX)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリエステルアミド型ポリオール、ポリエステル・ポリエーテル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等のポリオール化合物が挙げられるが、ポリオールであれば特に限定されず、2官能のジオール、3官能のトリオールであってもよい。
これらのポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリオールの中でも、入手の容易性、反応性等の観点から、ジオールが好ましく、アルキレン型ジオールがより好ましい。
アルキレン型ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;等が挙げられる。
これらのアルキレン型ジオールの中でも、更に鎖延長剤との反応を行う際にゲル化を抑制する観点から、質量平均分子量(Mw)が1,000〜3,000のグリコールが好ましい。
ウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI:イソホロンジイソシアネート)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの多価イソシアネート化合物は、前記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの多価イソシアネート化合物の中でも、粘着物性に優れたウレタン系ポリマーを得る観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、耐候性の観点から、HMDI、IPDI及びこれらの変性体から選ばれる1種以上がより好ましい。
ウレタン系プレポリマー(UX)中のイソシアネート基含有量(NCO%)は、JIS K1603−1:2007に準じて測定された値において、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
鎖延長剤としては、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物、又は、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物が好ましい。
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物としては、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、アルカノールアミン、ビスフェノール、芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール;1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピルエタノールアミン)等のアミノアルコール;テトラメチルキシリレンジアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物;等が挙げられる。
{ポリイソブチレン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得る、ポリイソブチレン系樹脂(以下、「PIB系樹脂」ともいう。)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリイソブチレン骨格を有する樹脂であれば、特に限定されない。
PIB系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2万以上、より好ましくは3万〜100万、更に好ましくは5万〜80万、より更に好ましくは7万〜60万である。
PIB系樹脂としては、例えば、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンの共重合体、イソブチレンとn−ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、及びこれら共重合体を臭素化又は塩素化等したハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。
なお、PIB系樹脂が共重合体である場合、イソブチレンからなる構成単位が、全構成単位の中で一番多く含まれているものとする。
イソブチレンからなる構成単位の含有量は、PIB系樹脂の全構成単位(100質量%)中、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
これらのPIB系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、PIB系樹脂を用いる場合、質量平均分子量(Mw)が高いPIB系樹脂と、質量平均分子量(Mw)が低いPIB系樹脂とを併用することが好ましい。
より具体的には、質量平均分子量(Mw)が27万〜60万のPIB系樹脂(pb1)(以下、「PIB系樹脂(pb1)」ともいう。)と、質量平均分子量(Mw)が5万〜25万のPIB系樹脂(pb2)(以下、「PIB系樹脂(pb2)」ともいう。)とを併用することが好ましい。
質量平均分子量(Mw)の高いPIB系樹脂(pb1)を用いることで、形成される粘着剤層の耐久性及び耐候性を向上させると共に、粘着力を向上させることもできる。
また、質量平均分子量(Mw)の低いPIB系樹脂(pb2)を用いることで、PIB系樹脂(pb1)と良好に相溶して、適度にPIB系樹脂(pb1)を可塑化させることができ、粘着剤層の被着体に対する濡れ性を高め、粘着物性、柔軟性等を向上させることができる。
PIB系樹脂(pb1)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは27万〜60万、より好ましくは29万〜48万、更に好ましくは31万〜45万、より更に好ましくは32万〜40万である。
PIB系樹脂(pb2)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万〜25万、より好ましくは8万〜23万、更に好ましくは14万〜22万、より更に好ましくは18万〜21万である。
PIB系樹脂(pb1)100質量部に対する、PIB系樹脂(pb2)の含有割合は、好ましくは5〜55質量部、より好ましくは6〜40質量部、更に好ましくは7〜30質量部、より更に好ましくは8〜20質量部である。
{オレフィン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物に由来する構成単位を有する重合体であれば、特に限定されない。
当該オレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンとプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等)等が挙げられる。
前記のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
前記のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等が挙げられる。
{アクリルウレタン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るアクリルウレタン系樹脂としては、後述するアクリルウレタン系樹脂中、粘着性を有するようにモノマー成分及び架橋剤等の種類及び量を適宜調整したものが挙げられ、粘着性を有するものであれば特に限定されない。
{ポリエステル系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るポリエステル系樹脂としては、粘着性を有するものであれば特に限定されない。当該ポリエステル系樹脂の主成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸等の芳香族の酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール成分とのランダム共重合体が挙げられる。なお、当該ポリエステル系樹脂を用いるポリエステル系粘着剤としては、ポリエステル、溶剤、架橋剤、粘着付与剤などから構成されており、架橋システムとしてはメチロール基縮合、イオン架橋、イソシアネート架橋、エポキシ架橋等が利用されている。
(粘着付与剤)
本発明の一態様において、粘着力をより向上させた粘着剤層(X1)とする場合、組成物(x−1)は、更に粘着付与剤を含有することが好ましい。そのため、粘着性積層体としては、後述するように第1の粘着剤層(X1)の粘着力が、第2の粘着剤層(X2)の粘着力より大きい場合が好ましいため、当該構成とする場合、粘着剤層(X1)を形成する組成物(x−1)が、更に、粘着付与剤を含有することが好ましく、粘着剤層(X1)を形成する組成物(x−1)が、更に、粘着付与剤を含有し、かつ粘着剤層(X2)を形成する組成物(x−2)は粘着付与剤を含有しないことがより好ましい。
ここで、「粘着付与剤」とは、粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のオリゴマーを指し、前述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400〜10,000、より好ましくは500〜8,000、更に好ましくは800〜5,000である。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン系樹脂;これらロジン系樹脂を水素化した水素化ロジン系樹脂;テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂等のテルペン系樹脂;これらテルペン系樹脂を水素化した水素化テルペン系樹脂;α−メチルスチレン又はβ−メチルスチレン等のスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとを共重合して得られるスチレン系樹脂;これらスチレン系樹脂を水素化した水素化スチレン系樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1.3−ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂及びこのC5系石油樹脂の水素化石油樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂及びこのC9系石油樹脂を水素化石油樹脂;等が挙げられる。
これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよく、軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着付与剤の軟化点は、好ましくは60〜170℃、より好ましくは65〜160℃、更に好ましくは70〜150℃である。
なお、本明細書において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K2531に準拠して測定した値を意味する。
また、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、前記範囲に属することが好ましい。
組成物(x−1)が粘着付与剤を含有する場合、組成物(x−1)中の粘着付与剤の含有量は、組成物(x−1)中の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは0.01〜65質量%、より好ましくは0.05〜55質量%、更に好ましくは0.1〜50質量%、より更に好ましくは0.5〜45質量%、より更に好ましくは1.0〜40質量%である。
なお、組成物(x−1)中の粘着性樹脂及び粘着付与剤の合計含有量は、組成物(x−1)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
(架橋剤)
本発明の一態様において、組成物(x−1)は、前述の構成単位(a1)及び(a2)を有するアクリル系共重合体等の前述の官能基を有する粘着性樹脂と共に、更に架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、当該粘着性樹脂が有する官能基と反応して、樹脂同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、及びそれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、、文字発現性を向上させるために粘着剤が適度に変形しやすくなる観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤及びアルミニウムキレート系架橋剤から選ばれる1種以上が好ましく、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。
架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、例えば、前記アクリル系共重合体等の前述の官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜7質量部、更に好ましくは0.05〜4質量部である。
(粘着剤用添加剤)
本発明の一態様において、組成物(x−1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の粘着付与剤及び架橋剤以外の一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
当該粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、遅延剤、触媒、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、各粘着剤用添加剤の含有量は、それぞれ独立に、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜20質量部、より好ましくは0.001〜10質量部である。
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、組成物(x−1)は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、s−ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの希釈溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(x−1)が希釈溶媒を含有して溶液の形態である場合、組成物(x−1)の有効成分濃度としては、好ましくは1〜65質量%、より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%、より更に好ましくは30〜45質量%である。
粘着剤層(X1)の粘着力は、好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは5.0N/25mm以上、更に好ましくは10.0N/25mm以上、より更に好ましくは14.0N/25mm以上、より更に好ましくは18.0N/25mm以上である。
粘着剤層(X1)の粘着力が、当該範囲を満たす場合、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、前記着色層と当該粘着剤層(X1)との界面で剥離が生じにくく、粘着剤層(X1)自体も破断しにくくなり、被着体への糊残りをより効果的に防止できると考えられるため好ましい。
そして、粘着剤層(X1)の粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは35.0N/25mm以下、更に好ましくは30.0N/25mm以下、より更に好ましくは25.0N/25mm以下である。
<<第2の粘着剤層(X2)>>
第2の粘着剤層(X2)は、粘着性樹脂を含む組成物(x−2)から形成された層であることが好ましく、粘着性樹脂を含む組成物(x−2)からなる塗膜(x−2’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
〔組成物(x−2)〕
第2の粘着剤層(X2)の形成材料である組成物(x−2)は、粘着性樹脂を含むものであり、当該粘着性組成物としては、前述した組成物(x−1)に係る粘着性組成物として説明したものと同様のものを使用することができ、その好適な態様及び組成(含有量)も同様である。ただし、粘着剤層(X2)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a1’)としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。同様に、粘着剤層(X2)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a2’)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸を共に含有することがより好ましい。同様に粘着剤層(X2)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a3’)としては、酢酸ビニルが好ましい。
なお、本発明の一態様において、組成物(x−2)に含まれる粘着性樹脂以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、組成物(x−2)は、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
前記粘着付与剤、架橋剤、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤についても、前述した組成物(x−1)に係る説明箇所で説明したものと同様のものを使用することができ、その好適な態様及び含有量も同様である。
ただし、本発明の好適な一態様において、後述するように第1の粘着剤層(X1)の粘着力が、第2の粘着剤層(X2)の粘着力以上の場合が好ましく、第1の粘着剤層(X1)の粘着力が、第2の粘着剤層(X2)の粘着力より大きい場合がより好ましい。
粘着剤層(X2)の粘着力は、好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは4.0N/25mm以上、更に好ましくは9.0N/25mm以上、より更に好ましくは12.0N/25mm以上であり、そして、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下、更に好ましくは25.0N/25mm以下、より更に好ましくは18.0N/25mm以下である。
粘着剤層(X2)の粘着力が、当該範囲を満たす場合、例えば、当該剥離検知ラベルが剥離材を有する場合、剥離検知ラベルを当該剥離材から剥離する際にはパターンを発現させないようにし、剥離検知ラベルの再剥離時にパターンを発現できるといった機能を、より発現し易くできるために好ましい。
また、前記剥離検知ラベルは、粘着剤層(X1)の粘着力が前記粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことが好ましい。粘着剤層(X1)の粘着力が、粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことで、剥離検知ラベルの再剥離時、被着体から粘着剤層(X2)を剥離する前に、前記着色層と粘着剤層(X1)との界面で剥離が生じてしまい、粘着性積層体が被着体に残って、糊残りを生じてしまうといった不具合の発生を、より効果的に防止できるために好ましい。また、粘着剤層(X1)の粘着力が、粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことで、例えば、剥離検知ラベルの抜き加工や剥離検知ラベルをロールとして巻き取りや繰り出しといった製造時や保管時、並びに、使用直前に剥離材から剥離検知ラベルを剥離する時といった、本来、想定している場面とは異なる場面で前記界面剥離が生じることも、より効果的に防止できるため好ましい。
なお、前記粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の粘着力の値は、例えば、次に示す方法により測定することができる。
・手順(1):測定対象となる粘着剤層を形成する組成物と同一の組成物から形成した厚さ25μmの粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦(MD方向)300mm×横(TD方向)25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の粘着剤層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):手順(2)の後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度(剥離速度)300mm/分にて、粘着剤層の粘着力を測定する。
ここで、MD方向のMDとは、Machine Directionの略記であり、MD方向は粘着剤層成型時の長尺方向を意味する。また、TD方向のTDとは、Transverse Directionの略記で、TD方向は粘着剤層成型時の幅方向を意味する。なお、組成物からなる塗膜から形成される粘着剤層における「MD方向」は、塗膜を形成する際に組成物を塗布した方向を指す。
また、粘着剤層(X1)及び(X2)の粘着力は、例えば、前述した粘着剤層を形成する粘着性樹脂、粘着付与剤、架橋剤、及び粘着剤用添加剤等の各成分の種類の選択並びにそれらの含有量を調整することによっても調整することができる。
<<基材層(Y)>>
本発明の剥離検知ラベルに用いられる基材層(Y)としては、非粘着性樹脂を含む組成物からなる塗膜を乾燥させて形成された層であることが好ましい。また、基材層(Y)としては、例えば、前記支持体の欄で説明したプラスチックフィルムを基材層(Y)として用いてもよい。当該プラスチックフィルムを用いる場合、透明性や、コスト、汎用性の点から、アクリルウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル系樹脂から形成されるフィルムが好ましい。また、基材層(Y)としては、非粘着性樹脂を含む組成物からなる塗膜を乾燥させて形成された層であってもよい。
また、より好ましい基材層(Y)としては、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層であり、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥させて形成された層であることが更に好ましい。
基材層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、無延伸のフィルム状物又はシート状物となるため、例えば溶融押出成型等の方法によって得られたプラスチックフィルム又はシートで構成された基材層(Y)と比べて、柔軟性が格段に優れる。
そのため、基材層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、前記剥離検知ラベルを再剥離する際に、基材層(Y)がパターン層発現に必要な変形をより生じ易くなり、かつ、剥離材検知ラベル内に生じる引張応力がより大きい場合にも破断しにくくなるため、より優れたパターン発現性と糊残り防止性とを両立させ易くなるものと考えられる。
本明細書で、「無延伸のフィルム状物又はシート状物」とは、意図的に特定の方向に延伸して得られたフィルム状物又はシート状物を除外するものである。例えば、Roll to Roll製造装置を用いる等の連続的な製造過程で、流れ方向に、不可抗力的にかかる応力によって延伸した場合は、その限りではなく、「無延伸のフィルム状物又はシート状物」とみなすことができる。
〔組成物(y)〕
基材層(Y)の形成材料である組成物(y)は、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物であることが好ましい。
なお、本発明の一態様において、組成物(y)に含まれる非粘着性樹脂(y1)以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよく、また、希釈溶媒及び一般的な粘着シートが有する基材に含まれる基材用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
(非粘着性樹脂(y1))
非粘着性樹脂(y1)は、アクリルウレタン系樹脂又はオレフィン系樹脂に属する樹脂であることが好ましい。
非粘着性樹脂(y1)が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
更に、本発明の一態様において、基材層(Y)と、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)から選ばれる1層以上との界面密着性をより向上させる観点から、組成物(y)に含まれる前記非粘着性樹脂(y1)が、重合性官能基を有しない紫外線非硬化型樹脂であることが好ましい。
組成物(y)中の非粘着性樹脂(y1)の含有量は、組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは80〜98質量%、より更に好ましくは90〜96質量%である。
{アクリルウレタン系樹脂}
前記アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物や、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)とを重合してなる共重合体が挙げられる。
アクリルポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物であるアクリルウレタン系樹脂(以下、「アクリルウレタン系樹脂(I)」ともいう。)は、アクリル系樹脂の主鎖を骨格としつつ、それらの分子間がウレタン結合によって架橋されて硬化された化学構造を有している。
主鎖であるアクリル系樹脂が剛性に富むため、剥離検知ラベルの再剥離時、剥離検知ラベルが変形する過程で生じる引張応力に対して粘着性積層体が破断しにくくなるため、糊残りの発生を抑制する効果の向上に寄与し得ると考えられる。更には、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)に含まれる粘着性樹脂との密着性にも優れているため、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)との界面密着性の向上にも寄与し得ると考えられ、当該効果によっても、粘着性積層体中で粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)と基材層(Y)との界面剥離が抑制されて、糊残りの発生をより効果的に抑制し得ると考えられる。
一方、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)とを重合してなる共重合体であるアクリルウレタン系樹脂(以下、「アクリルウレタン系樹脂(II)」ともいう。)は、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の主鎖を骨格としつつ、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端に(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)に由来する構成単位を有するものである。
アクリルウレタン系樹脂(II)は、主鎖骨格におけるアクリル部位間に直鎖ウレタンポリマー(UY)に由来する部位が介されるため、架橋点間距離が、アクリルウレタン系樹脂(I)よりも長くなり、その分子構造が二次元的構造(網状構造)となり易い。
また、主鎖のウレタンプレポリマー(UY)が直鎖状であるため、外力がかかった時に延伸効果が高い。そのため、剥離検知ラベルの再剥離時、剥離検知ラベルが変形する過程で粘着性積層体も追従して変形し易くなることで破断しにくくなり、糊残りの発生を抑制する効果の向上に寄与し得ると考えられる。
更に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)に由来する構成単位の側鎖が、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)中の粘着性樹脂と絡み易い構造を有している。
そのために、基材層(Y)の形成材料として、アクリルウレタン系樹脂(II)を用いることで、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)との界面密着性の向上に寄与し得ると考えられる。当該効果によっても、粘着性積層体中で粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)と基材層(Y)との界面剥離が抑制されて、糊残りの発生をより効果的に抑制し得ると考えられる。
アクリルウレタン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2,000〜50万、より好ましくは4,000〜30万、更に好ましくは5,000〜20万、より更に好ましくは1万〜15万である。
なお、本発明の一態様において、組成物(y)に非粘着性樹脂(y1)として含まれるアクリルウレタン系樹脂としては、アクリルウレタン系樹脂(II)が好ましい。
以下、アクリルウレタン系樹脂(I)及び(II)について説明する。
{{アクリルウレタン系樹脂(I)}}
アクリルウレタン系樹脂(I)の原料となる、アクリルポリオール化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート(b1’)(以下、「モノマー(b1’)」ともいう。)に由来する構成単位(b1)と、水酸基含有モノマー(b2’)(以下、「モノマー(b2’)」ともいう。)に由来する構成単位(b2)とを有するアクリル系共重合体(B1)が好ましい。
モノマー(b1’)が有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜8、更に好ましくは4〜6である。
なお、モノマー(b1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
具体的なモノマー(b1’)としては、前述のモノマー(a1’)と同じものが挙げられる。
なお、モノマー(b1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、モノマー(b1’)としては、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(b1)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは60〜99.9質量%、より好ましくは70〜99.7質量%、更に好ましくは80〜99.5質量%である。
また、モノマー(b2’)としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマーと同じものが挙げられる。
なお、モノマー(b2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(b2)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
また、アクリル系共重合体(B1)は、更にモノマー(b1’)及び(b2’)以外の他のモノマー(b3’)に由来の構成単位(b3)を有していてもよい。
モノマー(b3’)としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマー以外の官能基含有モノマーや、前述のモノマー(a3’)と同じものが挙げられる。
なお、アクリル系共重合体(B1)において、構成単位(b1)及び(b2)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
一方、アクリルウレタン系樹脂(I)の原料となる、イソシアネート系化合物としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネート化合物と同じものが挙げられる。
ただし、イソシアネート系化合物としては、外力がかかった時の延伸性の観点から、芳香族環を有しないイソシアネート系化合物が好ましく、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートがより好ましい。
アクリルウレタン系樹脂(I)において、アクリルポリオール化合物に由来する構成単位と、イソシアネート系化合物に由来の構成単位との比率〔アクリルポリオール化合物/イソシアネート系化合物〕は、質量比で、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20、更に好ましくは30/70〜70/30、より更に好ましくは40/60〜60/40である。
{{アクリルウレタン系樹脂(II)}}
アクリルウレタン系樹脂(II)の原料となる直鎖ウレタンプレポリマー(UY)としては、ジオールとジイソシアネート化合物との反応物が挙げられる。
当該ジオール及びジイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1,000〜30万、より好ましくは3,000〜20万、更に好ましくは5,000〜10万、より更に好ましく1万〜8万、より更に好ましくは2万〜6万である。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を構成するジオールとしては、例えば、アルキレングリコール、ポリエーテル型ジオール、ポリエステル型ジオール、ポリエステルアミド型ジオール、ポリエステル・ポリエーテル型ジオール、ポリカーボネート型ジオール等が挙げられる。
これらのジオールの中でも、ポリカーボネート型ジオールが好ましい。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を構成するジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等が挙げられ、外力がかかった時の延伸性の観点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
なお、具体的なジイソシアネート化合物としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネートとして例示された化合物のうち、ジイソシアネート化合物に該当するものが挙げられる。
また、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)は、ジオールとジイソシアネート化合物と共に、鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであってもよい。
当該鎖延長剤としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の合成時に使用し得る鎖延長剤として例示したものと同じものが挙げられる。
本発明の一態様において、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)は、両末端に、エチレン性不飽和基を有するものである。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなるウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルウレタン系樹脂(II)の原料となる、ビニル化合物(VY)としては、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、前述のアクリル系共重合体(A1)の原料として使用しているモノマー(a1’)〜(a3’)のうち(メタ)アクリル酸エステルに該当するものと同じものが挙げられる。
ただし、(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用する場合、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの配合割合としては、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.2〜90質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部、より更に好ましくは1.0〜20質量部、より更に好ましくは1.5〜10質量部である。
当該アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜24、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8、より更に好ましくは1〜3である。
当該アルキル(メタ)アクリレートとしては、前述のアクリル系共重合体(A1)の原料となるモノマー(a1’)として例示したものと同じものが挙げられる。
また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、前述の直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端にエチレン性不飽和基を導入するために用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして例示したものと同じものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタ(アクリルアミド)等の極性基含有モノマー;等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(II)の原料として用いるビニル化合物(VY)中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、当該ビニル化合物(VY)の全量(100質量%)中、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(II)の原料として用いるビニル化合物(VY)中のアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量としては、当該ビニル化合物(VY)の全量(100質量%)中、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
アクリルウレタン系樹脂(II)は、原料である直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と、ビニル化合物(VY)とを、重合することによって得ることができる。
具体的な重合方法としては、有機溶媒中に、原料である直鎖ウレタンプレポリマー(UY)及びビニル化合物(VY)と共に、ラジカル発生剤を配合し、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端に有するエチレン性不飽和基を起点としたビニル系化合物(VY)のラジカル重合反応によって合成するができる。
使用するラジカル発生剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルのようなジアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
なお、このラジカル重合反応において、チオール基含有化合物等の連鎖移動剤を溶媒中に添加してアクリルの重合度を調整してもよい。
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(II)において、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)に由来の構成単位と、ビニル化合物(VY)に由来する構成単位との含有量比〔(UY)/(VY)〕としては、質量比で、好ましくは10/90〜80/20、より好ましくは20/80〜70/30、更に好ましくは30/70〜60/40、より更に好ましくは35/65〜55/45である。
{オレフィン系樹脂}
組成物(y)に非粘着性樹脂(y1)として含まれるオレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
前記オレフィンモノマーとしては、炭素数2〜8のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−ヘキセン等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:880kg/m以上910kg/m未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:910kg/m以上915kg/m未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:915kg/m以上942kg/m未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:942kg/m以上)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリブテン樹脂(PB);エチレン−プロピレン共重合体;オレフィン系エラストマー(TPO);エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−プロピレン−(5−エチリデン−2−ノルボルネン)等のオレフィン系三元共重合体;等が挙げられる。
本発明の一態様において、オレフィン系樹脂は、更に酸変性、水酸基変性、及びアクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、前述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である前述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12である。
前記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述のモノマー(a1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である前述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記の水酸基含有化合物としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマーと同じものが挙げられる。
オレフィン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2,000〜100万、より好ましくは1万〜50万、更に好ましくは2万〜40万、より更に好ましくは5万〜30万である。
(アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂)
本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
そのような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
ただし、基材層(Y)と粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)との界面密着性をより向上させる観点から、組成物(y)中のアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合は、少ない方が好ましい。
具体的なアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合としては、組成物(y)中に含まれるアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる非粘着性樹脂(y1)の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、より好ましくは10質量部未満、更に好ましくは5質量部未満、より更に好ましくは1質量部未満である。
(架橋剤)
本発明の一態様において、組成物(y)がアクリルウレタン系樹脂を含む場合、アクリルウレタン系樹脂を架橋するため、更に、架橋剤を含有することがより好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、架橋剤としてのイソシアネート系化合物が好ましい。
架橋剤としてのイソシアネート系化合物は、前記アクリルウレタン系樹脂の官能基と反応して、架橋構造を形成するものであれば、種々のイソシアネート系化合物を用いることができる。
当該イソシアネート系化合物としては、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物、ペンタイソシアネート化合物、ヘキサイソシアネート化合物等が挙げられる。より具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート化合物;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられる。
また、これらのイソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体や、これらのイソシアネート化合物とエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ひまし油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等の変性体も用いることができる。
これらのイソシアネート系化合物のうち、脂肪族イソシアネート化合物が好ましく、脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましく、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネートが更に好ましい。
組成物(y)中、イソシアネート系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい
組成物(y)中、前記アクリルウレタン系樹脂と、架橋剤としてのイソシアネート系化合物との含有割合は、固形分換算で前記アクリルウレタン系樹脂の合計100質量部に対し、架橋剤としてのイソシアネート系化合物が好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。
(触媒)
本発明の一態様において、組成物(y)がアクリルウレタン系樹脂及び前記架橋剤を含む場合、組成物(y)は、更に、前記架橋剤と共に、触媒を含有することが更に好ましい。
当該触媒としては、金属系触媒が好ましく、ブチル基を有するスズ系化合物を除く金属系触媒がより好ましい。
当該金属系触媒としては、例えば、スズ系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒、バナジウム系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、ニッケル系触媒等が挙げられる。この中では、好ましくはスズ系触媒又はビスマス系触媒であり、より好ましくはブチル基を有するスズ系化合物を除くスズ系触媒又はビスマス系触媒である。
スズ系触媒としては、スズの有機金属化合物であって、アルコキシド、カルボキシラート、キレート等の構造を有する化合物が挙げられ、好ましくは、それらの金属のアセチルアセトン錯体、アセチルアセトネート、オクチル酸化合物又はナフテン酸化合物等が挙げられる。
また、同様に、ビスマス系触媒、チタン系触媒、バナジウム系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、又はニッケル系触媒は、それぞれ、ビスマス、チタン、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウム、又はニッケルの有機金属化合物であって、アルコキシド、カルボキシラート、キレート等の構造を有する化合物が挙げられ、好ましくは、それらの金属のアセチルアセトン錯体、アセチルアセトネート、オクチル酸化合物又はナフテン酸化合物等が挙げられる。
金属のアセチルアセトン錯体の具体例としては、アセチルアセトンスズ、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンニッケル等が挙げられる。
アセチルアセトネートの具体例としては、スズアセチルアセトネート、ビスマスアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート等が挙げられる。
オクチル酸化合物の具体例としては、2−エチルヘキシル酸ビスマス、2−エチルヘキシル酸ニッケル、2−エチルヘキシル酸ジルコニウム、2−エチルヘキシル酸スズ等が挙げられる。
ナフテン酸化合物の具体例としては、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸スズ等が挙げられる。
スズ系触媒としては、一般式RzSn(L)(4−z)(該一般式中、Rは炭素数1〜25のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3若しくは5〜25のアルキル基、又はアリール基であり、Lはアルキル基及びアリール基以外の有機基、又は無機基であり、zは1、2又は4である。)で表されるスズ化合物が好ましい。
前記一般式RzSn(L)(4−z)において、Rのアルキル基は、炭素数5〜25のアルキル基がより好ましく、炭素数5〜20のアルキル基が更に好ましく、Rのアリール基は、炭素数は特に限定されないが、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。1分子中にRが2以上の複数存在する場合は、それぞれのRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、Lは、炭素数2〜20の脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸が好ましく、炭素数2〜20の脂肪族カルボン酸がより好ましい。炭素数2〜20の脂肪族カルボン酸としては、炭素数2〜20の脂肪族モノカルボン酸、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。1分子中にLが2以上の複数存在する場合は、それぞれのLは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
組成物(y1)中、前記触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(y1)中、前記アクリルウレタン系樹脂と触媒との含有割合は、前記アクリルウレタン系樹脂の合計100質量部に対し、触媒が固形分換算で好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜3質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部である。
(基材用添加剤)
本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的な粘着シートが有する基材に含まれる基材用添加剤を含有してもよい。
そのような基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
なお、これらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、前記非粘着性樹脂の100質量部に対して、好ましくは0.0001〜20質量部、より好ましくは0.001〜10質量部である。
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、組成物(y)は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、前述の組成物(x)を溶液の形態に調製する際に使用する有機溶媒と同じものが挙げられる。
なお、組成物(y)中に含まれる希釈溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(y)が希釈溶媒を含有して溶液の形態である場合、組成物(y)の有効成分濃度としては、それぞれ独立に、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは0.5〜50質量%、更に好ましくは1.0〜40質量%である。
前記粘着性積層体としては、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体であることがより好ましく、そして、組成物(x−1)と、組成物(y)と、組成物(x−2)とを同時に塗布して、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体であることが更に好ましい。
組成物(x−1)と、組成物(y)と、組成物(x−2)とを同時に塗布することで、各組成物を逐次塗布する場合と比べて、各塗膜表面に薄膜の乾燥皮膜が形成されにくくなるため、得られる各層間の密着性に優れるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から好ましい。
粘着性積層体が、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を「同時に」乾燥して形成されたものである場合、粘着剤層(X1)と基材層(Y)との界面密着性だけでなく、粘着剤層(X2)と基材層(Y)との界面密着性も、予め形成された基材層(Y)に後から粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を形成する場合や、同様の同時乾燥法で予め粘着剤層(X1)又は(X2)と基材層(Y)との積層体を作成した後、残りの粘着剤層(X1)又は(X2)のいずれかを基材層(Y)の露出面に形成する場合に比べて高いものとなるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から好ましい。
これは、粘着剤層(X1)及び(X2)の形成材料である組成物(x−1)及び(x−2)からなる塗膜(x−1’)及び(x−2’)と、基材層(Y)の形成材料である組成物(y)からなる塗膜(y’)とを同時に乾燥する過程で、界面付近で塗膜の混層が生じつつ、互いの組成物に含まれる樹脂の分子鎖が絡み合うことで、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の各層と基材層(Y)との界面密着性が向上するためと考えられる。
更に、組成物(x−1)と、組成物(y)と、組成物(x−2)とを同時に塗布して形成された粘着性積層体である場合、各組成物を逐次塗布して形成される場合と比べて、各塗膜表面に薄膜の乾燥皮膜が形成されにくくなるため、得られる各層間の密着性に優れるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から更に好ましい。
なお、本発明において、剥離検知ラベルが有する粘着性積層体について、各層を塗膜から形成する層とする場合、前述のとおり製造方法にて特定しているが、この場合には、そのような製造方法による特定をせざるを得ない事情が存在する。
つまり、例えば、積層体の基材層(Y)の表面に対して垂直方向に切断した厚さ方向の断面を電子顕微鏡等を用いて、基材層(Y)と粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)との界面を観察することで、主観的な視覚を伴う観点で、本発明の方法に基づき形成されたか否かを判断する方法として、例えば、表面粗さを測定する方法が考えられる。しかしながら、各層を塗膜を同時に乾燥して形成した場合、特に、各層を同時塗布してから同時乾燥した場合、前記界面の粗さは、微少であるため、正確に測定することができず、また、観察する領域による粗さの状態の相違が非常に大きい。そのため、表面粗さ等の特定の物性値による評価が極めて難しい。
このような事情から、本発明においては、剥離検知ラベルが有する粘着性積層体を、前述のとおり製造方法にて特定せざるを得ない場合がある。
前記粘着性積層体が、例えば、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥して形成された粘着性積層体である場合における、基材層(Y)と粘着剤層(X1)との関係性、並びに基材層(Y)と粘着剤層(X2)との関係性についても同様である。
前記粘着性積層体の厚さ(粘着性積層体の総厚)としては、好ましくは2〜100μm、より好ましくは4〜80μm、更に好ましくは5〜50μm、より更に好ましくは10〜40μm、より更に好ましくは15〜35μmである。
粘着剤層(X1)の厚さ(X1t)は、好ましくは0.5〜50.0μm、より好ましくは1.0〜30.0μm、更に好ましくは2.0〜20.0μm、より更に好ましくは3.0〜18.0μmである。
粘着剤層(X2)の厚さ(X2t)は、好ましくは0.5〜50.0μm、より好ましくは1.0〜30.0μm、更に好ましくは2.0〜20.0μm、より更に好ましくは3.0〜18.0μmである。
基材層(Y)の厚さ(Yt)は、好ましくは0.5〜50.0μm、より好ましくは1.0〜30.0μm、更に好ましくは2.0〜20.0μm、より更に好ましくは2.5〜15.0μm、より更に好ましくは3.0〜12.0μmである。
本明細書において、粘着性積層体の合計厚さ(総厚)はJIS K6783−1994、Z1702−1994、Z1709−1995に準拠した定圧厚さ測定器を用いて測定された値であって、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
また、粘着性積層体を構成する各層の厚さは、前述の粘着剤層積層体の総厚と同じ方法で測定してもよく、また、例えば、実施例に記載の方法により測定することができ、粘着性積層体を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察して、各層の厚さの比をそれぞれ測定し、前述の方法で測定した粘着性積層体の総厚から算出してもよい。
また、本明細書において、厚さ(X1t)とは、前記支持体上のパターン層が形成されていない部分(支持体とパターン層と着色層とがこの順で直接形成されている剥離検知ラベルである場合には、当該支持体上に着色層のみが形成されている部分を指す。)の着色層の表面からの厚さを指す。
同様に、本明細書において、厚さ(Yt)とは、前記パターン層上に形成されていない粘着剤層(X1)の表面からの厚さを指す。
同様に、本明細書において、厚さ(X2t)とは、前記パターン層が形成されていない部分の基材層(Y)の表面からの厚さを指す。
また、例えば、着色層、粘着剤層(X1)、基材層(Y)、及び粘着剤層(X2)が直接積層されておらず、いずれかの層と層との間にその他層を介する場合、当該その他層の粘着剤層(X2)側の面と接する層の厚さは、前記と同様、前記パターン層が形成されていない部分の当該他の層の表面からの厚さとみなすことができる。
前記剥離検知ラベルにおいて、基材層(Y)の厚さ(Yt)に対する粘着剤層(X1)の厚さ(X1t)の比〔(X1t)/(Yt)〕は、好ましくは1/4〜4/1、より好ましくは1/3〜3/1、更に好ましくは2/5〜5/2、より更に好ましくは1/2〜2/1である。
また、前記剥離検知ラベルにおいて、基材層(Y)の厚さ(Yt)に対する粘着剤層(X2)の厚さ(X2t)の比〔(X2t)/(Yt)〕は、好ましくは1/4〜4/1、より好ましくは1/3〜3/1、更に好ましくは2/5〜5/2、より更に好ましくは1/2〜2/1である。
また、前記剥離検知ラベルが、前述した粘着剤層(Xn)(nは3以上の整数)、中間層(M)を有する場合、これらの層の厚さは、それぞれ独立に、本発明の効果が発現する限り、特に限定されない。
なお、前記粘着性積層体が、前述のとおり、前記粘着性積層体を形成する際に、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)、及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して形成したものである場合、塗膜の乾燥過程で粘着剤層(X−1)と基材層(Y)との塗膜間、並びに粘着剤層(X−2)と基材層(Y)との塗膜間で混層が生じ、各粘着剤層と基材層(Y)との界面が、消失する程に不明瞭となる場合がある。
各塗膜間及び形成された層の間に混層が生じている場合、例えば、前述したように、粘着性積層体を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察して、各層の厚さの比をそれぞれ測定する場合であって、例えば、粘着剤層(X1)と基材層(Y)との間に混層が生じている場合であれば、当該混層の厚さ方向の中間点を通りかつ粘着剤層(X1)の基材層(Y)とは反対側の表面と平行な面に界面が存在するものと仮定して、各層の厚さ比を測定してもよい。前記粘着剤層(X2)と基材層(Y)との間に混層が生じている場合も同様である。
<剥離材>
前述のとおり、本発明の一態様である剥離検知ラベルとしては、取扱性の観点から、例えば、図1に示すような態様であれば粘着剤層(X2)の貼付面6a上に、更に剥離材を有する構成であってもよい。更に、支持体1の粘着剤層(X1)とは反対側の表面に、更に剥離材を設けた、2枚の剥離材で挟持された態様であってもよい。2枚の剥離材を用いる場合、各剥離材は、互いに同一でも異なっていてもよい。
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
なお、粘着剤層(X2)の前記表面上に剥離材を用いる場合、前記剥離検知ラベルから当該剥離材を剥離する際に、パターン層が発現しない剥離力を有する剥離材、例えば、前記パターン層と前記着色層との間で界面剥離が生じることがないように剥離力を調整したものであることが好ましい。
なお、当該剥離材を剥離時に前記界面剥離を効果的に防止する方法として、前述したように支持体表面を梨地処理する方法も挙げられる。当該剥離材の剥離力を調整するという手段と前記梨地処理の方法とは、それぞれを単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用することがより好ましい。
剥離材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜170μm、更に好ましくは30〜125μm、更に好ましくは50〜100μmである。
[剥離検知ラベルの製造方法]
前記剥離検知ラベルの製造方法としては、例えば、前記支持体の一方の面上に、前述した方法でパターン層を設けたパターン層付き支持体を得たのち、当該パターン層を設けた側の支持体上に、前記着色層を形成し、更に、前記粘着性積層体を形成することによって製造することができる。
前記粘着性積層体を形成方法としては、次に示す各方法が挙げられる。なお、以下の説明では、図1に記載の前記剥離検知ラベルの構成の一例を製造する場合を例にとって説明する。
図1に示す剥離検知ラベル101を製造する場合、例えば、剥離検知ラベルの説明において前述したとおり、各種印刷方法を用いて予めパターン層2を形成した支持体1(以下、「パターン層付き支持体」ともいう。)を準備する。
そして、パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面に対して、当該パターン層2を被覆するように、着色層3を形成する。当該着色層3の形成方法としては、例えば、剥離検知ラベルの説明において前述した方法を用いて形成することができる。
続けて、形成された着色層3の支持体1とは反対側の露出面上に、粘着剤層(X1)4を形成する。なお、粘着剤層(X1)4は、粘着性樹脂を含む組成物(x−1)から形成される層であり、例えば、当該組成物を加熱溶融して、着色層4の前記露出面上に押出ラミネートしてもよく、粘着性樹脂を含む組成物(x−1)からなる塗膜(x−1’)を着色層4の前記露出面上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。
続けて、形成された粘着剤層(X1)4の支持体1とは反対側の露出面上に、基材層(Y)5を形成する。なお、基材層(Y)5を形成する場合、例えば、基材層(Y)5を形成する原料を加熱溶融して粘着剤層(X1)4の前記露出面上に押出ラミネートしてもよく、組成物(y)からなる塗膜(y’)を粘着剤層(X1)4の前記露出面上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。また、例えば、基材層(Y)5として、予め押出成形又は塗膜(y’)を乾燥させて作成したものを、粘着剤層(X1)4上に直接貼付してもよい。
なお、前述のとおり、粘着剤層(X1)4と基材層(Y)5との積層体を形成する場合、着色層3の前記露出面上に、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが好ましい。そして、着色層3の前記露出面上に、組成物(x−1)及び組成物(y)を同時に塗布して、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することがより好ましい。
続けて、形成された基材層(Y)5の粘着剤層(X1)4とは反対側の露出面上に、粘着剤層(X2)6を形成する。なお、粘着剤層(X2)6を形成する場合、例えば、粘着性樹脂を含む組成物(x−2)を加熱溶融して基材層(Y)5の前記露出面上に押出ラミネートしてもよく、組成物(x−2)からなる塗膜(x−2’)を基材層(Y)5上の前記露出面上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。また、例えば、粘着剤層(X2)6として、予め押出成形又は塗膜(x−2’)を乾燥させて作成したものを、基材層(Y)5上に直接貼付してもよい。
また、形成された粘着剤層(X1)4の前記露出面上に、基材層(Y)5を形成するその他の方法として、予め押出成形又は塗膜(y’)を乾燥させて作成した基材層(Y)5のいずれか一方の面上に前述の方法で粘着剤層(X2)6を形成した積層体を予め準備し、当該積層体の基材層(Y)5の露出面を粘着剤層(X1)4上に直接貼付してもよい。
また、形成された粘着剤層(X1)4の支持体1とは反対側の前記露出面上に、基材層(Y)5を形成するその他の方法として、予め別に用意した剥離材上に前述の方法で粘着剤層(X2)6を形成し、当該粘着剤層(X2)6の剥離材とは反対側の面上に、前述の方法と同様の方法で基材層(Y)5を形成した積層体を予め準備し、当該積層体の基材層(Y)5の露出面を粘着剤層(X1)4の前記露出面上に直接貼付してもよい。
前述のとおり、粘着剤層(X2)6と基材層(Y)5との積層体を形成する場合、塗膜(x−2’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−2’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが好ましい。そして、組成物(x−2)及び組成物(y)を同時に塗布して、塗膜(x−2’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−2’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成することがより好ましい。
なお、前述のとおり、粘着剤層(X1)4と、基材層(Y)5と、粘着剤層(X2)6とから形成される粘着性積層体11を形成する場合、前記着色層3の前記露出面上に、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが更に好ましい。そして、前記着色層3の前記露出面上に、組成物(x−1)と組成物(y)と組成物(x−2)とを同時に塗布して、塗膜(x−1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x−2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x−1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x−2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体(P1)を形成することがより更に好ましい。
なお、前記粘着性積層体(P1)を形成する際、前記パターン層を完全に被覆するように粘着剤層(X1)を形成することが好ましい。
前述した各塗膜を逐次形成する際には、各組成物の塗布に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
また、各組成物を同時に塗布する際に用いるコーターとしては、多層コーターが挙げられ、具体的には、多層カーテンコーター、多層ダイコーター等が挙げられる。これらの中でも、操作性の観点から、多層ダイコーターが好ましい。
なお、各塗膜を形成し易くし、生産性を向上させる観点から、各組成物が、それぞれ独立に、更に希釈溶媒を含有することが好ましい。
希釈溶媒としては、剥離検知ラベルの欄で説明した前述の希釈溶媒が使用できる。
また、各組成物に希釈溶媒を配合して得られる溶液の有効成分濃度は、剥離検知ラベルの欄で前述したとおりである。
なお、前述した製造工程中、複数の塗膜を逐次塗工した後、それらを同時に乾燥処理する場合、同時乾燥処理前に、1層以上の塗膜を形成した後に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
例えば、塗膜(x−1’)及び塗膜(y’)の各塗膜の形成ごとに、その都度プレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(x−1’)及び塗膜(y’)の2層の塗膜を形成後に、当該2層を同時にプレ乾燥処理してもよい。プレ乾燥を行う場合、粘着剤層(X1)と基材層(Y)との界面密着性をより良好とする観点からは、塗膜(x−1’)及び塗膜(y’)の2層の塗膜を形成後に、当該2層を同時にプレ乾燥処理する方が好ましい。
プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは同時乾燥処理を行う際の乾燥温度未満である。具体的な乾燥温度として、例えば、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
また、前記複数の塗膜を同時乾燥する際の乾燥温度としては、例えば、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜145℃、更に好ましくは80〜140℃、より更に好ましくは90〜135℃である。
[剥離検知ラベルの使用]
前記剥離検知ラベルを使用する場合、前述のとおり、被着体に糊残りを生じないため、剥離が必要な時に剥離検知ラベルを剥離した際、被着体に糊残りが生じることが望ましくない用途であって、かつ、剥離検知が必要とされる用途に好適に用いることができる。
例えば、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品等の表示内容の改ざん防止用;物品の託送又は梱包における不当な物品の梱包や開封防止用;医薬品、化粧品、食料品等の内容物のバージン性を保証するための封印用ラベル;燃料タンク等への不当な異物混入防止用;パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の防止用;等の用途が想定される。また、例えば、テロ事件対策用としても利用可能な、車両、船舶、航空機等の貨物運搬室及び燃料注入口等への爆発物及び違法物品等の搬入防止用;車両、船舶、航空機等への第三者の不当な侵入防止用;パスポート等の各種身分証明書若しくは身分証明用ラベル等の改ざんによる不正使用の防止用;等の用途も想定される。
これらの用途における対象物(被着体)に対して、前記剥離検知ラベルを貼付して使用することができ、当該被着体から剥離する際に、前述のとおり、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が視覚的に検知可能となる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
<支持体、粘着性積層体、及び剥離検知ラベルの厚さ>
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783−1994、Z1702−1994、Z1709−1995に準拠)を用いて測定した。
粘着性積層体の厚さは、測定対象の剥離検知ラベルの総厚を測定した上で、予め測定した支持体(ただし、パターン層を積層していない箇所)の厚みを差し引いた値を「粘着性積層体の厚さ」とした。
剥離検知ラベルの総厚は、粘着剤層(X2)上の剥離材を除去した値として測定した。
<印刷受理層、パターン層及び着色層の厚さ>
支持体上に形成した印刷受理層、パターン層及び着色層の厚さは、印刷受理層又はパターン層及び着色層を形成した支持体の表面に対して垂直方向に切断した厚さ方向における断面を、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて観察し、SEM画像のスケールを利用して確認した。
<粘着性積層体中の各層の厚さ>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルの粘着剤層(X2)の貼付面に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ダイアホイル(登録商標) T−100」、厚さ50μm)を貼合して測定サンプルとした。
該測定サンプルの粘着剤層(X2)の表面に対して垂直方向に切断した厚さ方向における断面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)を用いて観察し、粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び粘着剤層(X2)の厚さの合計に対する、粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び粘着剤層(X2)のそれぞれの厚さの比(厚さ比)を測定した。
そして、各層の厚さ比に基づき、前述の方法により測定した「粘着性積層体の厚さ」の実測値から、各層の厚さを算出した。
製造例1
(組成物(x−a)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(1)(n−ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/酢酸ビニル(VAc)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=80.0/10.0/9.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):100万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:15質量%)100質量部(固形分比)に、粘着付与剤として、水素化ロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製、製品名「KE−359」、軟化点:94〜104℃)25質量部(固形分比)、及び、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(三井化学株式会社製、製品名「タケネート D−110N」)1.62質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)40質量%の組成物(x−a)を調製した。
製造例2
(組成物(x−b)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(2)(n−ブチルアクリレート(BA)/アクリル酸(AAc)=90.0/10.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):41万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:37質量%)100質量部(固形分比)に、架橋剤として、アルミニウムキレート系架橋剤(綜研化学株式会社製、製品名「M−5A」、固形分濃度=4.95質量%)0.74質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、酢酸エチルで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x−b)を調製した。
製造例3
(組成物(x−c)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(3)(2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/n−ブチルアクリレート(BA)/エチルアクリレート(EA)/アクリル酸(AAc)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=60.0/22.5/15.0/2.0/0.5(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):55万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:50質量%)100質量部(固形分比)に、粘着付与樹脂として、水素化ロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製、製品名「KE−359」、軟化点:94〜104℃)25質量部(固形分比)と、芳香族テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、製品名「YSレジンTO105」、軟化点:100〜110℃)15質量部(固形分比)、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)0.76質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x−c)を調製した。
製造例4
(組成物(x−d)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(4)(n−ブチルアクリレート(BA)/酢酸ビニル(VAc)/アクリル酸(AAc)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=90.0/5.0/0.1/4.9(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):40万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%)100質量部(固形分比)に、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)1.88質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x−d)を調製した。
製造例5
(組成物(x−e)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(5)(n−ブチルアクリレート(BA)/2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/アクリル酸(AAc)/2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=47.0/47.0/5.5/0.5(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):55万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%)100質量部(固形分比)に、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)2質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x−e)を調製した。
製造例6
(組成物(x−f)の調製)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(日本ゼオン株式会社製、製品名「クインタック(登録商標)3433N」)100質量部(固形分比)に、粘着付与剤として、テルペン系樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、製品名「YSレジンLP」)9質量部(固形分比)、をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x−f)を調製した。
製造例7
(組成物(y−a)の調製)
非粘着性樹脂(y1)である、酸変性オレフィン系樹脂の溶液(三井化学株式会社製、製品名「ユニストール H−200」、質量平均分子量(Mw):14.5万、希釈溶媒:メチルシクロヘキサンとメチルエチルケトンの混合溶媒、固形分濃度(有効成分濃度):20質量%)を組成物(y−a)として用いた。
製造例8
(組成物(y−b)の調製)
(1)直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、質量平均分子量(Mw)1,000のポリカーボネートジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネートを、ポリカーボネートジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、更にトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、混合物を撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。
次いで、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)2.9万の直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を得た。
(2)アクリルウレタン系樹脂(II)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、前記(1)で得た直鎖ウレタンプレポリマー(UY)100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)5.1質量部(固形分比)、1−チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。
そして、前記反応容器内に、更にラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN−E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。
前記溶液の滴下終了後、105℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)10.5万のアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液を得た。
(3)組成物(y−b)の調製
非粘着性樹脂(y1)である、前記(2)で得たアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液100質量部(固形分比)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートHL」)6.3質量部(固形分比)、及び、触媒として、ジオクチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)を配合して混合した。更に、該混合物をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y−b)を調製した。
製造例9
(組成物(y−c)の調製)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(日本ゼオン株式会社製、製品名「クインタック(登録商標)3433N」)をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y−c)を調製した。
製造例10
(組成物(z)の調整)
非粘着性樹脂(z1)として、芳香族ポリエステルの基本構造を有するウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、製品名「バイロン UR1700」、数平均分子量(Mn)16,000)70質量部、及び、芳香族ポリエステルの基本構造を有するウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、製品名「バイロン UR8700」、数平均分子量(Mn)32,000)30質量部(非粘着性樹脂(z1)として100質量部)、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートHL」)3質量部、触媒として、ビスマス系触媒(日本化学産業株式会社製、製品名「プキャット25」、ビスマス量換算で25質量%)0.30質量部、並びに溶剤としてトルエンとメチルエチルケトンとシクロヘキサノンとからなる混合溶媒(混合比が、質量比でトルエン:メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=10:10:1)を混合して、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)3質量%の組成物(z)を調製した。
以下の実施例及び比較例で使用した、その他の材及び剥離材の詳細を以下に示す。
・積層体(1):次の方法により製造した積層体である。
支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー(登録商標)S28」、厚さ:50μm。)の一方の表面上に、製造例10で調製した組成物(z)を塗布し、90℃1分間で乾燥して0.1μmの印刷受理層を形成した。次に、前記支持体の前記印刷受理層が形成されている面とは反対側の表面上に、セルロース系樹脂を含む樹脂溶液で「VOID」の文字パターンをグラビア印刷し、乾燥して厚さ4μmのパターン層を形成した。その後、当該パターン層付き支持体のパターン層が形成されている側の全面に紫外線硬化型インキ(株式会社T&K TOKA製、製品名「UV 161紅S」)をグラビア印刷し、高圧水銀ランプで紫外線を照射してインキを硬化させて、厚さ0.5μmの着色層を設けた。
・積層体(2):次の方法により製造した積層体である。
支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー(登録商標)X44」、厚さ:50μm。)の一方の表面上に、製造例10で調製した組成物(z)を塗布し、90℃1分間で乾燥して0.1μmの印刷受理層を形成した。次に、前記支持体の前記印刷受理層が形成されている面とは反対側の表面上に、セルロース系樹脂を含む樹脂溶液で「開封済」の文字パターンをグラビア印刷し、乾燥して厚さ4μmのパターン層を形成した。その後、当該パターン層付き支持体のパターン層が形成されている側の全面にアルミニウム蒸着(厚さ0.05μm)を施して着色層を設けた。
・積層体(3):次の方法により製造した積層体である。
支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー(登録商標)S28」、厚さ:50μm。)の一方の表面上に、製造例10で調製した組成物(z)を塗布し、90℃1分間で乾燥して0.1μmの印刷受理層を形成した。次に、前記支持体の前記印刷受理層が形成されている面とは反対側の表面上に、シリコーン系樹脂を含む樹脂溶液で「開封済」の文字パターンをグラビア印刷し、乾燥して厚さ4μmのパターン層を形成した。その後、当該パターン層付き支持体のパターン層が形成されている側の全面にアルミニウム蒸着(厚さ0.05μm)を施して着色層を設けた。
・剥離材:リンテック株式会社製、製品名「SP−8LKアオ」、厚さ:88μm、グラシン紙をポリオレフィン被覆し、シリコーン剥離処理を施したもの。
実施例1
(1)塗膜の形成
前記積層体(1)の着色層形成面上に、製造例1で調製した組成物(x−a)からなる塗膜(x−a’)を形成し、塗膜(x−a’)上に製造例7で調製した組成物(y−a)からなる塗膜(y−a’)、及び、塗膜(y−a’)上に製造例3で調製した組成物(x−c)からなる塗膜(x−c’)を多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時塗布し、同時形成した。
なお、塗膜(x−a’)、塗膜(y−a’)及び塗膜(x−c’)を形成するための各組成物の塗布速度及び塗布量は、表1に記載の粘着性積層体の総厚及び各層(第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)、第2の粘着剤層(X2))の厚さとなるように調整した。
なお、本明細書中で、粘着剤層(X1)の厚さとは、前記支持体上のパターン層が形成されていない部分(着色層のみ形成されている部分)からの厚さである。
(2)乾燥処理
形成した塗膜(x−a’)、塗膜(y−a’)及び塗膜(x−c’)を、乾燥温度125℃で60秒間で、同時に乾燥させ、支持体側から順に、支持体、パターン層、着色層、第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び第2の粘着剤層(X2)を直接積層した粘着性積層体を形成した。
そして、表出している粘着剤層(X2)の表面上に、予め用意した前記剥離材を積層させ、剥離検知ラベル1を得た。
実施例2〜37
前記支持体とパターン層と着色層とをこの順で積層した積層体の種類、並びに塗膜(x−a’)、塗膜(y−a’)及び塗膜(x−c’)を形成するための各組成物の種類を、それぞれ、表1及び表2に記載の積層体及び各組成物に変更し、各塗膜の塗布量を、それぞれ、表1及び表2に記載の各粘着性積層体の厚さ及び各層(第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)、第2の粘着剤層(X2))の厚さとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル2〜37を得た。
比較例1
(1)塗膜の形成
前記積層体(2)の着色層形成面上に、製造例9で調製した組成物(y−c)からなる塗膜(y−c’)、及び、塗膜(y−c’)上に製造例6で調製した組成物(x−f)からなる塗膜(x−f’)を多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時塗布し、同時形成した。
なお、塗膜(y−c’)及び塗膜(x−f’)を形成するための各組成物の塗布速度及び塗布量は、表2に記載の粘着性積層体の総厚及び各層(基材層(Y)、第2の粘着剤層(X2)に代わる粘着剤層;なお、第1の粘着剤層(X1)に相当する層は設けず。)の厚さとなるように調整した。
(2)乾燥処理
形成した塗膜(y−c’)及び塗膜(x−f’)を、乾燥温度125℃で60秒間で、同時に乾燥させ、支持体側から順に、支持体、パターン層、着色層、基材層(Y)及び第2の粘着剤層(X2)に代わる粘着剤層を直接積層した粘着性積層体を形成した。
そして、表出している粘着剤層(X2)に代わる粘着剤層の表面上に、予め用意した前記剥離材を積層させ、剥離検知ラベル38を得た。
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルが有する粘着性積層体の厚さ、並びに、当該粘着性積層体を構成する粘着剤層(X1)、基材層(Y)、及び粘着剤層(X2)の厚さを、前述の方法に準拠して測定した。当該測定結果を表1及び2に示す。
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルについて、以下に示す方法を用いて、各種物性及び性状を測定、評価した。得られた結果を表1及び2に示す。
<パターン発現性及び糊残りの評価>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルを、長さ(MD方向)40mm×幅(TD方向)25mmの大きさに切断し、更に、第2の粘着剤層(X2)上の剥離材を除去したものを、試験サンプルとした。
前記試験サンプルの表出した粘着剤層(X2)の表面を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、被着体であるポリメチルメタクリレート板(三菱ケミカル株式会社製、「アクリライトL#001クリア」、サイズ:長さ150mm×幅70mm×厚さ2mm)に2kgゴムロールを用いて当該ゴムロールを1往復させて圧着させ、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後、剥離角度135°にて手で引き剥がしを行い、以下の基準により、剥離後の剥離検知ラベルのパターン発現性と被着体上の糊残りの有無を目視で評価した。パターン発現性は、以下の基準により評価した。
(パターン発現性の評価基準)
・A:パターン層が形成された面の総面積100%中、80%以上の面積でパターンが発現した。
・B:パターン層が形成された面の総面積100%中、50%以上80%未満の面積でパターンが発現した。
・C:パターン層が形成された面の総面積100%中、30%以上50%未満の面積でパターンが発現した。
・D:パターン層が形成された面の総面積100%中、30%未満の面積でパターンが発現した。
・F:パターンが発現しなかった。
(糊残りの評価基準)
・A:被着体上への糊残り(転着)が生じなかった。
・F:被着体上への糊残り(転着)が生じた。
<剥離検知ラベルの粘着力>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルを、長さ(MD方向)200mm×幅(TD方向)25mmの大きさに切断した。
そして、第2の粘着剤層(X2)上の剥離材を除去し、表出した粘着剤層(X2)の表面を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、ポリメチルメタクリレート板(三菱ケミカル株式会社製、「アクリライトL#001クリア」、サイズ:長さ150mm×幅70mm×厚さ2mm)に2kgゴムロールを用いて当該ゴムロールを1往復させて圧着させ、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、剥離検知ラベルの粘着力を測定した。
表1及び2に示すように、実施例1〜37で得られた剥離検知ラベル1〜37は、パターン発現性を有し、かつ、被着体への糊残りも生じないことが確認された。
なお、「VOID」又は「開封済」の文字パターンが発現した剥離検知ラベルの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、剥離面を確認したところ、パターン層と着色層との間で界面剥離が生じることでパターンが発現していること、すなわち、要件(1)を満たすものであることが確認された。
一方で、比較例1の剥離検知ラベル38は、前記粘着性積層体を有しない態様であり、被着体への糊残りが生じた。
本発明の剥離検知ラベルは、各種容器等の開封有無の検知、パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の検知等に使用され、かつ、被着体への糊残りが生じないことが要求される箇所で用いられる剥離検知ラベルとして有用である。
101 剥離検知ラベル
1 支持体
2 パターン層
3 着色層
4 粘着剤層(X1)
5 基材層(Y)
6 粘着剤層(X2)
11 粘着性積層体
1a 支持体の表面
2a パターン層の表面
6a 粘着剤層(X2)の貼付面
20 被着体
30 剥離検知ラベルを被着体から剥離する際に生じた空隙

Claims (2)

  1. 支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、着色層と、第1の粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体であって、かつ下記要件(1)を満たす、剥離検知ラベル。
    要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記パターン層と前記着色層との間で界面剥離が生じることにより、前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が視覚的に検知可能となる。
  2. 基材層(Y)が、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層である、請求項1に記載の剥離検知ラベル。
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