[第1の実施形態]
第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下、タンデム方式といわれる二次転写機構を有する電子写真方式の画像形成装置を例に説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。なお、以下で用いる「画像形成」と「印刷」の用語は同義である。また特に指示した場合を除き、「位置ずれ」は「各色の単色画像の位置ずれ」を表し、「補正用パターン」は、「位置ずれ補正のために中間転写ベルトの上に形成される所定の形状のパターン」を表す。
画像形成装置100は、中間転写ユニットと、各色の作像装置20と、光ビーム走査装置21と、二次転写ユニット22と、定着ユニット25とを有している。
中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10と、3つの支持ローラ14〜16と、中間転写体クリーニングユニット17とを有している。中間転写ベルト10は支持ローラ14〜16に掛け回され、時計回りに回転する。中間転写体クリーニングユニット17は、第2の支持ローラ15と第3の支持ローラ16の間に設けられ、画像を転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する残留トナーを除去する。
作像装置20は、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に設置されている。また、作像装置20は、中間転写ベルト10の搬送方向に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の順で設置されている。以下括弧内の記号で、色を示す場合がある。
作像装置20は、クリーニングユニットと、帯電ユニット18と、除電ユニットと、現像ユニットと、感光体ユニット40とを、色ごとに有しており、各色の作像を行う。なお、作像装置20は、画像形成装置100に対して脱着が可能であってもよい。
光ビーム走査装置21は、作像装置20の上方に設けられている。光ビーム走査装置21は、画像形成を行うため、各色の感光体ユニット40が有する感光体ドラムにレーザ光を照射する。
二次転写ユニット22は、中間転写ベルト10の下方に設けられ、2つのローラ23と、二次転写ベルト24とを有する。二次転写ベルト24は、無端ベルトである。また、二次転写ベルト24は、2つのローラ23に掛けられ、回転する。さらに、ローラ23及び二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を押し上げて、第3支持ローラ16に押し当てるように設置されている。
二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10の上に形成される画像を、媒体へ転写する。なお、媒体は、例えば紙又はプラスチックシート等である。
定着ユニット25は、二次転写ユニット22の横に設けられている。トナー画像が転写された媒体が定着ユニット25に送られ、定着ユニット25は、画像を媒体に定着させる。また、定着ユニット25は、定着ベルト26と、加圧ローラ27とを有している。定着ベルト26は無端ベルトである。定着ベルト26及び加圧ローラ27は、定着ベルト26に、加圧ローラ27を押し当てるように設置されている。また、定着ユニット25は、加熱を行う。
シート反転ユニット28は、二次転写ユニット22及び定着ユニット25の下方に設けられている。シート反転ユニット28は、送られる媒体の表面と裏面を反転させる。なお、シート反転ユニット28は、表面に画像形成した後、裏面に画像形成する場合に用いられる。
自動給紙装置(ADF(Auto Document Feeder))400は、操作パネルが有するスタートボタンが押され、かつ、給紙台30の上に媒体がある場合には、媒体をコンタクトガラス32の上へ搬送する。一方で、自動給紙装置400は、給紙台30の上に媒体がない場合には、ユーザによって置かれるコンタクトガラス32の上の媒体を読み取るために、画像読み取りユニット300を起動させる。
画像読み取りユニット300は、第1キャリッジ33と、第2キャリッジ34と、結像レンズ35と、CCD(Charge Coupled Device)36と、光源とを有している。画像読み取りユニット300は、コンタクトガラス32の上の媒体を読み取るために、第1キャリッジ33及び第2キャリッジ34を動作させる。
第1キャリッジ33が有する光源から、コンタクトガラス32に向かって、光が発せられる。次に、第1キャリッジ33が有する光源からの光は、コンタクトガラス32の上の媒体で反射する。
反射した光は、第1キャリッジ33にある第1ミラーで、第2キャリッジ34に向かって反射する。次に、第2キャリッジ34で反射した光は、結像レンズ35を通して、読み取りセンサであるCCD36に結像される。
画像形成装置100は、CCD36から取得されるデータに基づいて、Y、M、C及びK、すなわち、各色の画像データを作成する。
画像形成装置100は、操作パネルが有するスタートボタンが押される場合、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示がある場合、又はファクシミリの出力指示がある場合には、中間転写ベルト10の回転を開始する。
中間転写ベルト10の回転が開始されると、作像装置20は、作像プロセスを開始する。トナー画像が転写された媒体は、定着ユニット25に送られる。次に、定着ユニット25が定着のプロセスを行うと、媒体に画像が画像形成される。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42と、給紙ユニット43と、分離ローラ45と、搬送コロユニット48とを有している。また、給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44を有し、搬送コロユニット48は、搬送ローラ47を有している。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42のうち、1つの給紙ローラを選択する。次に、給紙テーブル200は、選択される給紙ローラ42を回転させる。
給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44のうち、1つの給紙トレイを選択し、給紙トレイ44から媒体を送る。次に、送り出された媒体は、分離ローラ45によって1枚に分離され、搬送路46に送られる。続いて、搬送路46では、搬送ローラ47によって媒体が画像形成装置100に送られる。
画像形成装置100に送られる媒体は、給紙路53を介してレジストローラ49へ送られる。次に、レジストローラ49へ送られた媒体は、レジストローラ49に突き当てて止められる。続いて、媒体は、トナー画像が二次転写ユニット22に進入する際に、二次転写ユニット22に送られる。
なお、媒体は、手差しトレイ51から送られてもよい。手差しトレイ51から媒体が送られる場合、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転させる。次に、給紙ローラ50は、手差しトレイ51上にある複数の媒体から1枚の媒体を分離させる。続いて、給紙ローラ50は、分離させた媒体を給紙路53へ送る。さらに、給紙路53へ送られる媒体は、レジストローラ49へ送られる。また、媒体がレジストローラ49へ送られた以降の処理は、例えば、給紙テーブル200から媒体を送る場合と同様である。
媒体は、定着ユニット25によって定着が行われ、排出される。また、定着ユニット25から排出される媒体は、切換爪55によって、排出ローラ56に送られる。次に、排出ローラ56は、送られる媒体を排紙トレイ57に送り、排紙する。
また、切換爪55は、定着ユニット25から排出された媒体をシート反転ユニット28に送ってもよい。シート反転ユニット28は、送られてきた媒体の表面と裏面を反転させる。反転させられた媒体は、表面と同様に裏面に画像形成が行われ、排紙トレイ57へ送られる。
一方、中間転写ベルト10に残るトナーは、中間転写体クリーニングユニット17によって除去される。画像形成装置100は、中間転写ベルト10に残るトナーが除去されると、次の画像形成に備える。
次に、本実施形態の画像形成装置100が有する作像装置の構成の一例を、図2を用いて説明する。
作像装置20は、中間転写ベルト10と、中間転写体クリーニングユニット17と、二次転写ユニット22とを有している。さらに、作像装置20は、色ごとに、4つの光ビーム走査装置21と、4つの作像ユニット20Uとを有している。
作像装置20は、複数の色、すなわち、4色の画像を中間転写ベルト10上に重ねて形成し、カラー画像を画像形成する。すなわち、作像装置20は、作像プロセスを実行する。具体的には、電子写真方式における画像形成のプロセスは、帯電、露光、現像、転写及び定着の5つのプロセス等を含んでいる。そのうち、作像プロセスは、例えば、帯電、露光、現像及び転写である。
作像装置20では、光ビーム走査装置21から感光体ユニット40に、光ビームが入射される。感光体ユニット40には、画像データに基づいて変調される光ビームが入射される。
各感光体ユニット40の周辺には、クリーニングユニット13と、帯電ユニット18と、除電ユニット19と、現像ユニット29とがそれぞれ設置されている。
帯電ユニット18は、帯電のプロセスを行う。なお、帯電のプロセスは、帯電ユニット18が感光体ユニット40の表面を帯電させるプロセスである。
帯電した感光体ユニット40は、光ビームにより露光のプロセスが行われる。なお、露光のプロセスは、感光体ユニット40の表面に、静電潜像が形成されるプロセスである。現像ユニット29は、現像のプロセスを行う。なお、現像のプロセスは、感光体ユニット40に形成される静電潜像に対してトナーを付着させ、トナー画像を形成するプロセスである。また、現像ユニット29には、トナーボトルからトナーの供給が行われる。
現像ユニット29は、現像ローラを有する。この現像ローラは、現像のプロセスにおいて、感光体ユニット40に対して、トナーを付着させる。
次に、トナー画像は、転写器62によって中間転写ベルト10上へ転写される。中間転写ベルト10上にまず1色目の単色画像が転写され、続いて2色目、3色目、4色目の順に単色画像が転写される。このように4色の単色画像が中間転写ベルト10の上で順次重ね合わされて、4色のトナーが重ね合わされた1つの画像となる。
4色のトナーが重ね合わされた画像は、多色画像の一例である。また、中間転写ベルト10の上で4色のトナーが重ねられた画像は、転写画像の一例である。
転写の後、除電ユニット19は、感光体ユニット40を除電し、クリーニングユニット13は、クリーニングを行う。
転写されたトナー画像が二次転写ユニット22に送られると、媒体は、二次転写ユニット22に送られる。これにより、二次転写ユニット22に送られる媒体に、中間転写ベルト10の上のトナー画像が転写される。
その後、定着ユニット25が定着のプロセスを行う。このように、定着までのプロセスが行われると、媒体上に画像が形成される。なお、中間転写体クリーニングユニット17は、転写プロセスの後、4色のカラーのトナー画像を除去する。
なお、中間転写ベルト10は、転写体の一例であり、感光体ユニット40は像担持体の一例である。現像ユニット29は、現像手段の一例である。
また、位置ずれ補正等を行うため、第1センサSEN1及び第2センサSEN2が設置されている。なお、第1センサSEN1及び第2センサSEN2は、例えば、反射型の光学センサ等である。具体的には、第1センサSEN1及び第2センサSEN2は、位置ずれ補正等のために、中間転写ベルト10の上に形成される所定の形状の補正用パターンを検出する。補正用パターンの検出では、例えば補正用パターンに応じた反射型光学センサの出力変化が検出される。この検出結果に基づいて、色ごとに、主走査方向及び副走査方向における位置ずれが補正される。なお、この検出結果に基づいて、主走査方向の倍率等が補正されてもよい。
第1センサSEN1及び第2センサSEN2のそれぞれは、転写画像の搬送方向において、転写画像が形成された後の箇所に設けられ、単色画像の位置ずれを補正するための補正用パターンを検出する検出手段の一例である。
次に、本実施形態の作像装置が有する光ビーム走査装置の構成の一例を、図3を用いて説明する。図示するように、光ビーム走査装置21は、ポリゴンミラー11と、fθレンズ12と、LD(Laser Diode)ユニット31と、折り返しミラー37と、同期ミラー38と、同期レンズ39と、シリンダレンズ41と、同期センサ54とを有している。なお、各色の光ビーム走査装置の構成は、例えば、同一である。以下、同一である場合を例に説明する。そのため、重複する説明を省略する。
図示する例では、光ビーム走査装置21において、LDユニット31は光源を有する。まず、LDユニット31が有する光源は、画像データに基づいて制御され、発光する。
LDユニット31から発光される光ビームは、シリンダレンズ41を通り、ポリゴンミラー11に入射する。続いて、ポリゴンミラー11は、モータ等によって回転しながら、入射してきた光ビームを反射する。ポリゴンミラー11が回転することで、光ビームは、偏向される。ポリゴンミラー11で反射された光ビームは、fθレンズ12を通過して折り返しミラー37で反射され、感光体ユニット40上で走査される。
また、主走査方向において、書き出しが行われる端部には、例えば、図示するように、同期ミラー38と、同期レンズ39と、同期センサ54とが設置されている。まず、光ビームは、fθレンズ12を通過して、同期ミラー38に入射し、同期ミラー38で反射する。同期ミラー38で反射した光ビームは、同期レンズ39で集光され、同期センサ54に入射する。このようにして、同期センサ54は、入射する光ビームから主走査方向において、書き出し開始のタイミングを検出する。
図4は、本実施形態の作像装置20が有する光ビーム走査装置21及びその周辺のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図示する構成例は、1色分の光ビーム走査装置21の構成である。
光ビーム走査装置21には、ポリゴンモータ制御装置211と、LD制御装置212と、同期検出用点灯制御装置213と、画素クロック生成装置214と、書出開始位置制御装置215とが接続されている。また、ポリゴンモータ制御装置211等には、プリンタ制御部1が接続されている。さらに、プリンタ制御部1には、第1センサSEN1と、第2センサSEN2と、記憶装置2と、記憶装置216と、画素クロック生成装置214とが接続されている。記憶装置216には、画像の長さの規定値が記憶されている。この規定値の詳細については後述する。
LDユニット31から発光される光ビームは、同期センサ54等によって検出される。同期センサ54は、光ビームが検出されると、同期検出信号XDETPを出力する。また、同期検出信号XDETPは、同期検出用点灯制御装置213と、画素クロック生成装置214と、書出開始位置制御装置215とに送られる。
同期検出用点灯制御装置213は、同期検出信号XDETPを生成するため、LD強制点灯信号BDをONにする。次に、LD強制点灯信号BDがONとなると、LD制御装置212は、LDユニット31に光ビームを発光させる。一方で、同期検出信号XDETPが出力された後は、同期検出信号XDETP及び画素クロック信号PCLKに基づいて、同期検出用点灯制御装置213は、LDユニット31に光ビームを発光させる。具体的には、フレア光が発生しない程度、かつ、同期検出信号XDETPが生成できるようなタイミングで、LD制御装置212は、LDユニット31に光ビームを発光させる。さらに、同期検出信号XDETPが検出されると、同期検出用点灯制御装置213は、LDを消灯させるようなLD強制点灯信号BDを生成し、LD制御装置212に送る。
また、LDの光量制御タイミング信号APCは、同期検出信号XDETP及び画素クロック信号PCLKに基づいて、生成される。次に、光量制御タイミング信号APCは、LD制御装置212に送られる。また、光量制御タイミング信号APCに基づく処理は、画像書き込み領域外で行われる。すなわち、光量制御タイミング信号APCが送られるタイミングで、光量を調整する制御等が行われる。
LD制御装置212は、LD強制点灯信号BD、光量制御タイミング信号APC及び画素クロック信号PCLKに同期した画像データDIMGを示す信号に基づいて、LDユニット31に光ビームを発光させる。そして、LDユニット31で発光された光ビームは、ポリゴンミラー11に入射される。次に、ポリゴンミラー11によって偏向された光ビームは、fθレンズ12を通過して、感光体ユニット40上を走査する。
ポリゴンモータ制御装置211は、プリンタ制御部1からの制御信号に基づいて、ポリゴンモータを所定の回転数で回転させる制御を行う。
書出開始位置制御装置215は、プリンタ制御部1からの制御信号、同期検出信号XDETP及び画素クロック信号PCLK等に基づいて、書出開始タイミング及び画像の幅を決定する信号を生成する。なお、書出開始タイミング及び画像の幅を決定する信号は、主走査制御信号XRGATE及び副走査制御信号XFGATEである。
第1センサSEN1及び第2センサSEN2は、補正用パターンを検出すると、検出結果をプリンタ制御部1に送る。次に、プリンタ制御部1は、検出結果に基づいて、位置ずれ量を計算する。続いて、プリンタ制御部1は、位置ずれ量に基づいて、補正データを生成する。さらに、プリンタ制御部1は、補正データに基づいて、画素クロック生成装置214及び書出開始位置制御装置215の設定を行う。また、プリンタ制御部1は、記憶装置2に補正データを記憶させる。すなわち、記憶装置2に記憶される補正データは、画像形成を行う際に、プリンタ制御部1によって読み出され、画素クロック生成装置214及び書出開始位置制御装置215の設定が行われる。
画素クロック生成装置214は、基準クロック生成装置2141と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)クロック生成装置2142と、位相同期クロック生成装置2143とを有する。基準クロック生成装置2141は、基準クロック信号FREFを生成する。VCOクロック生成装置2142は、VCOクロック信号VCLKを生成する。
図5は、本実施形態のVCOクロック生成装置の構成例を示すブロック図である。図示するように、VCOクロック生成装置2142は、位相比較器21421と、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)21422と、VCO21423と、1/N分周器21424とを有する。
位相比較器21421には、基準クロック生成装置2141から基準クロック信号FREFと、1/N分周器21424によって1/Nに分周されるクロック信号とが入力される。また、位相比較器21421は、入力される2つの信号の立ち下がりエッジの位相を比較し、誤差成分を所定の電流で出力する。
ローパスフィルタ21422は、位相比較器21421の出力から高周波成分を取り除き、直流電圧を出力する。
VCO21423は、ローパスフィルタ21422の出力に基づいて、所定の周波数であるVCOクロック信号VCLKを出力する。
1/N分周器21424は、入力されるVCOクロック信号VCLKを、設定される分周比Nで1/Nに分周する。
なお、プリンタ制御部1から基準クロック信号FREFの周波数と、分周比Nは、設定が可能である。したがって、画素クロック生成装置214に対して、基準クロック信号FREFの周波数と、分周比Nの値とを変更する設定を行うことで、VCOクロック信号VCLKの周波数が変更される。
図4に戻り、位相同期クロック生成装置2143には、VCOクロック生成装置2142から入力されるVCOクロック信号VCLKと、同期検出信号XDETPとが入力される。また、位相同期クロック生成装置2143は、同期検出信号XDETPに同期させた画素クロック信号PCLKを同期検出用点灯制御装置213等に出力する。
図6は、本実施形態の書出開始位置制御装置の構成例を示すブロック図である。図示するように、書出開始位置制御装置215は、主走査ライン同期信号発生器2151を有する。また、書出開始位置制御装置215は、主走査用及び副走査用に、カウンタ2152、コンパレータ2153及び制御信号生成器2154をそれぞれ有する。
書出開始位置制御装置215は、主走査制御信号XRGATE及び副走査制御信号XFGATEを生成する。なお、主走査制御信号XRGATEは、主走査方向において、画像データを示す信号の取り込み、すなわち、画像の書き出しタイミングを示すように生成される。一方で、副走査制御信号XFGATEは、副走査方向において、画像データを示す信号の取り込み、すなわち、画像の書き出しタイミングを示すように生成される。
各カウンタ2152は、カウンタ動作信号XLSYNCが入力されると、動作する。
主走査用のコンパレータ2153は、カウンタ動作信号XLSYNC及び画素クロック信号PCLKに基づいて動作する主走査用のカウンタ2152が示す値と、第1設定値SET1とを比較する。なお、第1設定値SET1は、プリンタ制御部1から入力される。また、第1設定値SET1は、補正データに基づいて定まる値である。
主走査用の制御信号生成器2154は、主走査用のコンパレータ2153から出力される比較結果に基づいて、主走査制御信号XRGATEを生成する。
副走査用のカウンタ2152には、プリンタ制御部1から印刷開始信号SRTが入力される。そして、副走査用のカウンタ2152は、印刷開始信号SRT、カウンタ動作信号XLSYNC及び画素クロック信号PCLKに基づいて動作する。
副走査用のコンパレータ2153は、副走査用のカウンタ2152が示す値と、第2設定値SET2とを比較する。なお、第2設定値SET2は、プリンタ制御部1から入力される。また、第2設定値SET2は、補正データに基づいて定まる値である。
副走査用の制御信号生成器2154は、副走査用のコンパレータ2153から出力される比較結果に基づいて、副走査制御信号XFGATEを生成する。
書出開始位置制御装置215は、主走査方向において、画素クロック信号PCLKの単位、すなわち、1ドット単位で書出位置を補正できる。一方で、書出開始位置制御装置215は、副走査方向において、カウンタ動作信号XLSYNCの単位、すなわち、1ライン単位で書出位置を補正できる。
図7は、本実施形態の主走査方向における書出開始位置の制御例を示すタイミングチャートである。なお、以下の説明では、同期検出信号XDETP、カウンタ動作信号XLSYNC、主走査制御信号XRGATE及び副走査制御信号XFGATEは、ローレベルを有効とする信号、すなわち、ローアクティブ信号とする例で説明する。
カウンタ動作信号XLSYNCによって、主走査カウンタが、リセットされる。なお、主走査カウンタは、図6に示す主走査用のカウンタ2152が示すカウンタ値である。
主走査カウンタは、画素クロック信号PCLKによって、カウントアップする。主走査カウンタが示す値が第1設定値SET1となると、主走査用のコンパレータ2153は、比較結果として、信号を出力する。なお、この例では、第1設定値SET1は、「X」である。次に、主走査用のコンパレータ2153から、第1設定値SET1となったことを示す信号が出力されると、主走査用の制御信号生成器2154は、主走査制御信号XRGATEをローレベルにする。なお、主走査制御信号XRGATEは、主走査方向の画像幅分、ローレベルとなる信号である。
図8は、本実施形態の副走査方向における書出開始位置の制御例を示すタイミングチャートである。
印刷開始信号SRTによって、副走査カウンタが、リセットされる。なお、副走査カウンタは、図6に示す副走査用のカウンタ2152が示すカウンタ値である。
副走査カウンタは、カウンタ動作信号XLSYNCによって、カウントアップする。副走査カウンタが示す値が第2設定値SET2となると、副走査用のコンパレータ2153は、比較結果として、信号を出力する。なお、この例では、第2設定値SET2は、「Y」である。次に、この副走査用のコンパレータ2153から、第2設定値SET2となったことを示す信号が出力されると、副走査用の制御信号生成器2154は、副走査制御信号XFGATEをローレベルにする。なお、副走査制御信号XFGATEは、副走査方向の画像長さ分、ローレベルとなる信号である。
図9は、本実施形態の画像形成装置100が有するラインメモリの一例を示す概略図である。図示するラインメモリLMEMは、例えば、図4に示す画像形成制御装置210の構成の前段等に用いられる。
ラインメモリLMEMには、副走査制御信号XFGATE等が示すタイミングで、プリンタコントローラ、フレームメモリ又はスキャナ等から取り込まれる画像データが記憶される。また、記憶される画像データは、画素クロック信号PCLKに同期して、数ビーム分の信号が出力されるとする。また、ラインメモリLMEMから出力される信号は、LD制御装置212に送られ、信号が示すタイミングでLDが点灯するように制御される。
なお、本実施形態の画像形成装置100では、ポリゴンモータ制御装置211、LD制御装置212、同期検出用点灯制御装置213、画素クロック生成装置214、及び書出開始位置制御装置215は、例えば電子回路等のハードウェアで構成されている。但し、これに限定はされず、処理の一部、又は全部がプログラムに基づき、CPU(Central Processing Unit)で実現されてもよい。
一方、プリンタ制御部1は、CPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び外部I/F24等により実現されている。但し、これに限定はされず、処理の一部、又は全部を、電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
図10は、画像形成装置100における画像形成制御の処理の一例を示すフローチャートである。
画像形成装置100における操作パネルが有するスタートボタンが押されると、ステップS1001で、プリンタ制御部1は、ポリゴンモータ制御装置211に指示し、ポリゴンモータを回転させる。ポリゴンモータは、ポリゴンミラー11を所定の回転数で回転させるモータである。ポリゴンモータ制御装置211は、ポリゴンモータを制御する。
続いて、ステップS1003で、プリンタ制御部1は、主走査及び副走査の書出し開始位置や主走査倍率等を補正する補正データを各制御装置に送信する。各制御部では補正データが設定される。
続いて、ステップS1005で、同期検出用点灯制御装置213は、LDユニット31に指示してLDを点灯させ、LDを所定の光量で点灯させるためにAPC(Automatic Power Control)動作を行う。
続いて、ステップS1007で、各制御装置が連動し、画像形成動作を行う。
続いて、ステップS1009で、プリンタ制御部1は、次に画像形成すべき画像の有無を確認する。
次に画像形成すべき画像が有る場合はステップS1007に戻り、再度画像形成動作を行う。次に画像形成すべき画像が無い場合は、ステップS1011で、プリンタ制御部1は、LD制御装置212に指示してLDを消灯する。
続いて、ステップS1013で、プリンタ制御部1は、ポリゴンモータ制御装置211に指示して、ポリゴンモータの回転を停止させ、画像形成制御の処理を終了する。
次に、本実施形態の画像形成装置100における補正用パターン、及び補正用パターンを用いた位置ずれ補正処理について詳細に説明する。
プリンタ制御部1は、主走査、又は副走査方向の補正用パターンに該当するパターンデータをLD制御装置212へ出力する。すると、LD制御装置212では、このパターンデータに基づきLDユニット31のLDを点灯させ、各色の感光体ユニット40上に補正用パターンに対応する潜像を形成する。そして、形成された各色の潜像がトナーで現像され、トナー画像が中間転写ベルト10上に転写される。画像形成装置100では、このようにして補正用パターンが中間転写ベルト10上に形成される。
図11は、第1の実施形態の画像形成装置100における位置ずれ補正用パターンの一例を示したものである。図11において、「ベルト移動方向」と転写画像の搬送方向と副走査方向は、相互に同義である。また、「光ビーム走査方向」と主走査方向は同義である。
パターンK1、C1、M1、及びY1は、それぞれK、C、M、及びY色のトナーにより中間転写ベルト10の上に形成された横線画像で、副走査方向の補正用パターンとして用いられる。パターンK2、C2、M2、及びY2も同様である。
図の「光ビーム走査方向」における中間転写ベルト10の左側に、パターンK1、C1、M1、及びY1が形成され、右側にパターンK2、C2、M2、及びY2が形成されている。
「ベルト移動方向」において、パターンK1、C1、M1、及びY1の後側には、パターンK3、C3、M3、及びY3が形成されている。これらは、それぞれK、C、M、及びY色のトナーで形成された斜め線画像で、主走査方向の補正用パターンとして用いられる。同様に、パターンK2、C2、M2、及びY2の後側には、パターンK4、C4、M4、及びY4が形成されている。
図11において、パターンK1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、及びY3を1組とする補正用パターンは、第1センサSEN1で検出される。また、パターンK2、C2、M2、Y2、K4、C4、M4、及びY4を1組とする補正用パターンは、第2センサSEN2で検出される。パターンK1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、及びY3を1組とする補正用パターンは、「第1のパターン」の一例である。
中間転写ベルト10の「ベルト移動方向」への移動に伴う第1センサSEN1、及び第2センサSEN2の出力は、プリンタ制御部1に送信され、K色に対する各色の位置ずれ量が算出される。なお、位置ずれ量の単位は、時間である。
副走査方向の位置ずれにより、横線画像の検出タイミングが変化し、主走査方向の位置ずれ、及び画像の倍率誤差により、斜め線画像の検出タイミングが変化する。
K色に対するC色の位置ずれを例に、具体的に説明する。
まず、主走査方向の位置ずれに関し、パターンK1の検出からK3の検出までの時間が検出される。これを基準に、パターンC1の検出からC3の検出までの時間との時間差TKC13が算出される。
また、パターンK2の検出からK4の検出までの時間が検出され、これを基準に、パターンC2の検出からC4の検出までの時間との時間差TKC24が算出される。
時間差TKC24から時間差TKC13を引いた値が、K色に対するC色の主走査方向の倍率誤差となる。なお、主走査方向の倍率とは、fθレンズ12により感光体ユニット40に結像される像の光の走査方向における結像倍率をいう。主走査方向の倍率誤差とは、fθレンズ12の屈折率や表面形状などの特性の変動により生じる誤差をいう。
算出された倍率誤差に応じて、画素クロック生成装置214で画素クロック信号PCLKの周波数が可変されることで、倍率誤差が補正される。
また、時間差TKC13から、第1センサSEN1の位置における倍率誤差補正による時間変化分を差し引いた値は、K色に対するC色の主走査方向の位置ずれ量ΔTcmとなる。プリンタ制御部1は、この位置ずれ量ΔTcmに相当するドット数を補正データとして算出し、書出開始位置制御装置215に出力する。書出開始位置制御装置215は、補正データを用いて、主走査方向の書出開始位置を決定するXRGATE信号のタイミングを補正する。
次に、副走査方向において、SEN1、又はSEN2でK色のパターン検出後、C色のパターンを検出するまでの時間の仕様値をTcsとする。また、パターンK1の検出からC1の検出までの時間をTKC1とし、パターンK2の検出からC2の検出までの時間をTKC2とする。これらから、以下の(1)式より、K色に対するC色の副走査方向の位置ずれ量ΔTcsが算出される。
・・・・・・・(1)
プリンタ制御部1は、この位置ずれ量ΔTcsに相当するライン数を補正データとして算出し、書出開始位置制御装置215に出力する。書出開始位置制御装置215は、補正データを用いて、副走査方向の書出開始位置を決定するXFGATE信号のタイミングを補正する。
以上は、C色を例に説明したが、K色に対するM色、及びY色についても同様である。
なお、本実施形態では、補正用パターンは、「ベルト移動方向」、すなわち転写画像の搬送方向において、各転写画像の後端と次の転写画像の先端の間の領域、すなわち画像間領域に形成される。
また、本実施形態の画像形成装置100は、複数の補正用パターンを形成し、第1及び第2センサによる複数の補正用パターンの検出出力を平均化して位置ずれ量を算出する。
なお、補正用パターンは一例であり、上記に限られない。例えば斜め線画像を左右反転させたものを用いてもよい。さらに、補正用パターンを形成する箇所を、「光ビーム走査方向」における中間転写ベルト10の両側の2箇所として説明したが、これに限られるものではない。例えば、中間転写ベルト10の中央付近に形成してもよい。
次に、本実施形態の画像形成装置100において、駆動系の誤差が位置ずれの補正に与える影響と、駆動系に誤差がある場合の位置ずれの補正方法を説明する。
ここで駆動系とは、各色の感光体ユニット40が有する感光体ドラムや中間転写ベルト10等を駆動する手段を総称したものをいう。駆動系は、例えばドラム、ローラ、ベルト等の部材、及びモータ等で構成される。
また駆動系の誤差とは、例えば、ドラム、ローラ等の偏心やベルトの弛み等による速度変動である。速度変動に応じて補正用パターンの形成位置がずれる。速度変動による補正用パターンの形成位置のずれは、装置周辺の温度等に起因した画像の位置ずれの補正に誤差を生じさせる。駆動系の誤差に起因した補正用パターンの形成位置のずれを、以下ではパターン形成誤差と呼ぶ。
図12は、駆動系の速度変動に起因したパターン形成誤差の時間変動を模式的に示したものである。パターン形成誤差は、ドラム、ローラ等の回転体の駆動に伴うものであるため、図示したように、変動に一定の周期性がある。しかし複数の部材が連動して生じるため、変動の振幅や位相は、必ずしも再現せず、逐次変化する。
図12に示した期間101a、101b、101c、及び101dは、それぞれ中間転写ベルト10の上で、画像間領域に補正用パターンが形成される期間を示している。また一点鎖線で示した期間tg1、及びti1は、中間転写ベルト10の上で、それぞれ1つの画像間領域に該当する期間、及び1つの転写画像の領域に該当する期間である。図12の例では、4つの画像間領域に各1組の補正用パターンが形成されている。
図示したように、パターン形成誤差の時間変動の略1周期に跨って補正用パターンが形成された場合、補正用パターンが形成される期間101a、101b、101c、及び101dにおけるパターン形成誤差は、「+」側と「−」側に略均等に振れる。従って、期間101a、101b、101c、及び101dにおける第1及び第2センサの出力をそれぞれ平均化すれば、パターン形成誤差の位置ずれ補正への影響はキャンセルされる。そして、位置ずれ補正の誤差は低減される。
一方、図13は、図12に対し、搬送方向における転写画像の長さが長い場合を示している。期間102a、及び102bは、図12と同様に、中間転写ベルト10の上で、画像間領域に補正用パターンが形成される期間を示している。期間tg1は、中間転写ベルト10の上で、1つの画像間領域に該当する期間である。転写画像が長くなることに従い、中間転写ベルト10の上で、1つの転写画像の領域に該当する期間ti2は長くなっている。
期間ti2が長くなったことで、図12の場合に対して補正用パターンが形成されるタイミングが変わり、パターン形成誤差の時間変動の1周期に形成される補正用パターンは、2つになっている。
この場合、補正用パターンが形成された期間102a、及び102bでのパターン形成誤差は、ともに「+」側に振れている。そのため、第1及び第2センサの出力をそれぞれ平均化しても、パターン形成誤差の位置ずれ補正への影響はキャンセルされない。従って位置ずれ補正の誤差は低減されなくなる。
本実施形態の画像形成装置100は、搬送方向における転写画像の長さが長い場合には、図14に示すように、1つの画像間領域を長くし、搬送方向に長い補正用パターンを形成する。図14において、期間103は、画像間領域に補正用パターンが形成される期間を示している。期間tg2は、長くした1つの画像間領域に該当する期間である。期間ti2は、1つの転写画像の領域に該当する期間である。期間103では、パターン形成誤差は、「+」側と「−」側に略均等に振れている。
図15は、図14の場合に形成される搬送方向に長い補正用パターンの一例を示している。このパターンは、図11のパターンK1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、及びY3を1組とする補正用パターン、すなわち「第1のパターン」を、搬送方向に連続して5組形成したものである。
図15に示した補正用パターンを第1センサSEN1及び第2センサSEN2で検出し、それぞれ5組の出力を平均化すれば、パターン形成誤差の影響はキャンセルされる。これにより、位置ずれ補正の誤差を低減することができる。「第1のパターン」を搬送方向に連続して5組形成したパターンは、「第2のパターン」の一例である。
但し、図15の補正用パターンは、1つの画像間領域を長くするため、常に図15の補正用パターンを用いた補正を行うと、画像形成速度が低下する。
そこで、本実施形態の画像形成装置100は、搬送方向における転写画像の長さを検知し、長さが規定値未満の場合は、1組の補正用パターン、すなわち「第1のパターン」を複数の画像間領域に形成する。一方、長さが規定値以上の場合は、1つの画像間領域を長くし、1つの画像間領域に、複数組の補正用パターンを有する「第2のパターン」を形成する。
本実施形態の画像形成装置100の機能構成の一例を、図16を用いて説明する。
画像形成装置100は、画像形成部500と、位置ずれ補正部501と、画像長さ検知部503と、記憶部504とを有している。また、位置ずれ補正部501は、検出部502を有している。
画像形成部500は、画像データに基づいて画像形成する。また、この機能を用いて、補正用パターンを中間転写ベルト10の上に形成する。従って画像形成部500は、パターン形成部でもある。
画像形成部500、すなわちパターン形成部は、「パターン形成手段」の一例である。パターン形成部は、例えばプリンタ制御部1と、光ビーム走査装置21と、感光体ユニット40と、クリーニングユニット13と、帯電ユニット18と、除電ユニット19と、現像ユニット29と、転写器62等から実現される。
検出部502は、補正用パターンを検出する。検出部502は、例えば第1センサSEN1及び第2センサSEN2により実現される。
位置ずれ補正部501は、検出部502の出力に基づき、位置ずれを補正する。位置ずれ補正部501は、例えば、プリンタ制御部1と、画素クロック生成装置214と、書出開始位置制御装置215とにより実現される。具体的には、例えばプリンタ制御部1が有するCPUと、画素クロック生成装置214、及び書出開始位置制御装置215がそれぞれ有する電子回路等のハードウェアとにより実現される。位置ずれ補正部501は、「位置ずれを補正する補正手段」の一例である。
画像長さ検知部503は、中間転写ベルト10の上での搬送方向の転写画像の長さを検知する。例えば画像長さ検知部503は、プリンタ制御部1から画像形成される媒体のサイズの情報を受け取ることで、転写画像の長さを検知する。
具体的には、画像形成装置100のユーザが、操作パネルを通じて画像形成したい用紙のサイズを選択すれば、プリンタ制御部1は、選択された用紙サイズ、すなわち媒体のサイズを把握する。或いは画像形成装置100に準備された用紙サイズを、光学的な原稿センサ等で読み取ることで、プリンタ制御部1は媒体のサイズを把握する。なお、用紙のサイズとは、例えばA3サイズやA4サイズ等で表される紙の仕上がり寸法である。
媒体のサイズに応じた転写画像の搬送方向の長さは、実験等で予め把握される。従って、画像長さ検知部503は、プリンタ制御部1から媒体のサイズの情報を受け取ることで、転写画像の長さを検知することができる。画像長さ検知部503は、「転写画像の搬送方向における画像の長さを検知する検知手段」の一例である。
記憶部504は、転写画像の搬送方向における画像の長さの規定値を記憶する。この規定値は、形成するパターンを決定する際に、パターン形成部により参照される。記憶部504は、記憶装置216により実現される。より具体的には、プリンタ制御部1が有するROM(Read Only Memory)や、USB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置により実現される。
上記の規定値は、予め求められ、記憶部504に記憶される。このような規定値の求め方の一例を以下に説明する。
パターン形成誤差は、例えば、感光体ユニット40や中間転写ベルト10等の各々の速度変動が足し合わさって生じる。各々の速度変動は、感光体ユニット40が有する感光体ドラムの直径や偏心、或いは中間転写ベルト10の支持ローラの直径や偏心、又はベルト長さ等に、それぞれ誤差を与えることで予測できる。
これらの速度変動を数値演算で足し合わせることで、パターン形成誤差の時間変動を、例えば図12〜14に示したように予測することができる。なお、図12〜14では、2周期分の時間変動を示したが、さらに周期を増やして予測してもよい。
一方、搬送方向における転写画像の長さと画像間領域の長さから補正用パターンを形成する期間が決まる。従って、補正用パターンを形成する期間ごとのパターン形成誤差を求め、これらの平均値から、パターン形成誤差に起因する補正誤差を予測できる。
図17は、搬送方向における転写画像の長さと、パターン形成誤差に起因する補正誤差との関係を模式的に示したものである。図17において、横軸は、搬送方向における転写画像の長さを表し、縦軸は、パターン形成誤差に起因する補正誤差を表している。
パターン形成誤差に起因する補正誤差の許容値を、例えば補正の分解能ΔCの1/2以下とすると、補正誤差が許容される転写画像の長さAが決まる。この転写画像の長さAが規定値となる。なお、補正の分解能ΔCは、例えば、第1センサSEN1、又は第2センサSEN2の出力による補正用パターンの検出時間分解能に、中間転写ベルト10の搬送速度を乗じた値である。補正用パターンの検出時間分解能は、第1センサSEN1、及び第2センサSEN2のSNR(Signal-to-noise Ratio)やA/D(Analog/Digital)変換器のダイナミックレンジ等により決定される。
なお、中間転写ベルト10による搬送速度は、例えば搬送速度の仕様値である。
搬送方向の転写画像の長さが規定値A以上の場合は、画像形成装置100は、1つの画像間領域を長くして複数の補正用パターンを形成する。第1センサSEN1、及び第2センサSEN2による補正用パターンの検出出力が平均化されることで、補正誤差が低減される。
搬送方向の転写画像の長さが規定値以上の場合に、長くする画像間領域の長さについて、例えば次のように決定することができる。上述した方法でパターン形成誤差の時間変動を予測し、変動周期に中間転写ベルト10による搬送速度を乗じて得られる長さを求める。この長さ以上を、搬送方向の転写画像の長さが規定値以上の場合に設定する画像間領域の長さとする。
この方法によれば、搬送方向の転写画像の長さが規定値以上の場合に設定する画像間領域の長さを、簡単に求めることができる。
図18は、搬送方向の転写画像の長さが規定値A(mm)未満の場合に、中間転写ベルト10の上に形成された補正用パターンを示している。図18では、第1センサSEN1側の「画像1」と「画像2」の間の画像間領域に、「パターン1」、すなわち図11に示されたパターンK1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、及びY3を1組とする補正用パターンが形成されている。また第2センサSEN2側にも、「パターン1」、すなわち図11に示されたパターンK2、C2、M2、Y2、K4、C4、M4、及びY4を1組とする補正用パターンが形成されている。「画像2」と「画像3」の間、「画像3」と「画像4」の間、並びに「画像4」と「画像5」の間のそれぞれの画像間領域においても同様である。
上記4つの画像間領域における「パターン1」が、第1センサSEN1、及び第2センサSEN2により検出され、それぞれの出力が平均化されて、主走査、及び副走査方向の位置ずれ量が算出される。
搬送方向における転写画像の長さ、パターン形成誤差の変動周期、及び画像間領域の長さに基づき、転写画像の長さがAmm未満の場合に、1つの画像間領域に形成するパターンの数を、予め決定してもよい。
また、例えば所定時間当たりに画像形成する媒体の数、すなわち印刷枚数から、画像間領域の長さを決定してもよい。
図19は、搬送方向の転写画像の長さが規定値A(mm)以上の場合に、中間転写ベルト10の上に形成された補正用パターンを示している。図19では、例えば「画像1」と「画像2」の間の画像間領域が、図18の場合に対して搬送方向に長くなっている。長くなった1つの画像間領域の第1センサSEN1側に、「パターン2」、すなわち図15に示されたパターンK1、C1、M1、Y1、K3、C3、M3、及びY3を1組とする補正用パターンが、搬送方向に5組連続して形成されている。また、第2センサSEN2側に、パターンK2、C2、M2、Y2、K4、C4、M4、及びY4を1組とする補正用パターンが、搬送方向に5組連続して形成されている。
1つの画像間領域における5組の補正用パターンが、第1センサSEN1、及び第2センサSEN2により検出され、それぞれの出力が平均化されて、主走査、及び副走査方向の位置ずれ量が算出される。
転写画像の長さが規定値以上の場合に1つの画像間領域に形成する補正用パターンを、転写画像の長さが規定値未満の場合の補正用パターンを複数回繰り返して形成したパターンとしてもよい。このようにすることで、転写画像の長さがAmm未満の場合とAmm以上の場合で、平均化による補正誤差の低減効果を、同等のレベルに合わせることができる。
搬送方向における転写画像の長さ、パターン形成誤差の変動周期、及び画像間領域の長さに基づき、転写画像の長さがAmm以上の場合に、1つの画像間領域に形成するパターンの数を、予め決定してもよい。
次に、第1の実施形態の画像形成装置100における位置ずれ補正処理の一例を、図20を用いて説明する。
まず、ステップS2001において、プリンタ制御部1は、位置ずれ補正処理を実行するかを判断する。例えば、プリンタ制御部1は、画像形成装置による印刷が所定の枚数になったか、或いは画像形成装置が設置された場所の周囲の温度を監視して、規定した以上の温度変化があったか等を検知する。検知結果に基づき、位置ずれ補正処理を実行するかを判断する。
位置ずれ補正処理を実行する場合は、ステップS2003において、画像形成部500、すなわちパターン形成部は、画像長さ検知部503の出力に基づき、搬送方向における転写画像の長さを検知する。そして記憶部504を参照し、検知した転写画像の長さが規定値A以上かを判断する。
A以上の場合、ステップS2005において、パターン形成部は、1つの画像間領域に、「パターン2」、すなわち第2のパターンを形成する。
A未満の場合、ステップS2007において、パターン形成部は、1つの画像間領域に、「パターン1」、すなわち第1のパターンを形成する。続いて、ステップS2009において、プリンタ制御部1は、所定の数の画像間領域に「パターン1」を形成したかを判断し、所定の数に形成されていない場合は、ステップS2003に戻る。所定の数に形成されている場合は、ステップS2011に移行する。
続いて、ステップS2011において、第1センサSEN1、及び第2センサSEN2は、補正用パターンを検出し、結果をプリンタ制御部1に出力する。プリンタ制御部1は、出力に基づき、K色に対する各色の副走査、及び主走査の位置ずれ量を算出する。本実施形態では、複数組のパターンが形成されているため、出力の平均値から位置ずれ量が算出される。
続いて、ステップS2013において、プリンタ制御部1は、記憶装置2に記憶されたデータを補正するかを判断する。例えば、位置ずれ量が補正分解能の1/2以上であれば、補正を行う。
補正を行う場合は、ステップS2015において、プリンタ制御部1は、位置ずれ量に基づき補正データを算出する。
続いて、ステップS2017において、プリンタ制御部1は、記憶装置2のデータを更新する。
続いて、ステップS2019において、プリンタ制御部1は、各制御装置の補正データを更新する。ここでの補正データは、主走査方向の画像倍率を決定する画素クロック周波数の設定値と、主走査方向の画像の書出開始位置を決定するXRGATE信号の設定値と、副走査方向の画像の書出開始位置を決定するXFGATE信号の設定値である。
補正を行わない場合は、補正データの更新は行われない。
補正データが更新された場合は、以降は更新された設定値を使って画像形成される。
以上、本実施形態の画像形成装置100によれば、像担持体や転写体等の駆動系に駆動誤差がある場合にも、画像の位置ずれの補正精度を確保することができる。
なお、画像形成の開始時は転写画像の長さが規定値未満である場合に、第1のパターンを形成している途中で、媒体のサイズが変更され、転写画像の長さが規定値以上になったときは、画像形成装置100は、途中まで取得した第1のパターンのデータを破棄する。そして画像間領域を長くして第2のパターンを形成し、第2のパターンの検出出力に基づき、位置ずれを補正する。
これにより、位置ずれ補正処理の途中に転写画像の長さの変更があった場合にも、位置ずれ補正処理を実行することができる。
[第2の実施形態]
転写画像の搬送方向における画像の長さの規定値の求め方の別の例として、次の方法で求めてもよい。すなわち、上述した方法でパターン形成誤差の時間変動を予測し、変動周期の1/2に、中間転写ベルト10による搬送速度を乗じて得られる長さを規定値とする。
これは、搬送方向の転写画像の長さがパターン形成誤差の変動周期の1/2を超えると、パターン形成誤差が「+」側か「−」側の何れかに偏る場合が多いことに基づいている。
この方法によれば、簡単に規定値を求めることができる。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。