以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断装置及び医用画像処理装置を説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例であり、本実施形態に係る医用画像診断装置及び医用画像処理装置は、以下の説明に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、及びディスプレイ103は、装置本体100と通信可能に接続される。
超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、例えば、ボリュームデータを収集可能な経食道心エコー用超音波(TEE:transesophageal echocardiography)プローブである。TEEプローブは、食道や胃等の上部消化管に経口で挿入されることで、心臓等を超音波で撮像するための超音波プローブ101である。一例としては、超音波プローブ101は、複数の振動子が格子状に並んだ2次元アレイを有する3次元(3D)TEEプローブである。この2次元アレイを有するTEEプローブは、電子制御により断面(plane面)を走査する振動子面を回転・揺動させることが可能である。また、例えば、2次元アレイを有するTEEプローブは、走査断面を180°回転させることで、ボリュームデータを収集可能である。なお、TEEプローブは、経食道プローブとも称される。
図2A及び図2Bを用いて、第1の実施形態に係る超音波プローブ101の構造について説明する。図2A及び図2Bは、第1の実施形態に係る超音波プローブ101の構造の一例を示す図である。図2Aには、TEEプローブである超音波プローブ101の外観を例示する。図2Bには、TEEプローブである超音波プローブ101により走査される走査領域(走査断面)の回転及び煽りについて説明する。
図2Aに示すように、TEEプローブである超音波プローブ101は、先端部101Aと、導中管101Bと、屈曲部101Cとを有する。先端部101Aは、被検体の食道の内壁に当接される部分であり、2次元アレイである振動子アレイ101Dを有する。導中管101Bは、先端部101Aを食道へ挿入するための部分であり、先端部101Aと装置本体100(又は超音波プローブ101の体外部分)とを接続する配線と管状部材により構成される。屈曲部101Cは、先端部101Aと導中管101Bとを接続する部分であり、導中管101Bに対して先端部101Aを屈曲可能な機構を有する。例えば、屈曲部101Cは、導中管101Bに対して先端部101Aを前後方向、若しくは左右方向に屈曲させる。ここで、前後方向とは、振動子アレイ101Dの面に対して垂直な方向であり、左右方向とは、導中管101Bの軸方向及び前後方向に対して垂直な方向である。先端部101Aの屈曲角度(先端部角度)は、操作者が任意に指定可能である。
また、図2Bに示すように、TEEプローブである超音波プローブ101は、走査領域10を任意の方向に回転・煽り可能に構成される。例えば、図2B左図に示すように、走査領域10が初期位置に設定されている場合には、走査領域10の中心線11は振動子アレイ101Dに対して垂直であり、走査領域10の方位方向は導中管101Bの軸方向に対して垂直である。ここで、走査領域10を90°回転させた場合には、例えば、図2B右上図に示すように、中心線11が振動子アレイ101Dに対して垂直のまま、走査領域10の方位方向が導中管101Bの軸方向に対して平行となる。また、走査領域10を煽った場合には、例えば、図2B右下図に示すように、走査領域10の方位方向が導中管101Bの軸方向に対して垂直のまま、中心線11が傾斜する。この回転角度及び煽り角度は、操作者が任意に指定可能である。
なお、図2A及び図2Bにて説明した内容はあくまで一例であり、図示した内容に限定されるものではない。例えば、超音波プローブ101は、複数の振動子が一列に並んだ1次元アレイを有するTEEプローブであっても良い。また、超音波プローブ101は、一列に配列された複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動可能なメカニカル4Dプローブ(メカ4Dプローブ)であっても良い。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。また、ディスプレイ103は、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、各種のメッセージを表示する。また、ディスプレイ103は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。例えば、ディスプレイ103のスピーカーは、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、ビープ音などの所定の音声を出力する。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100は、超音波プローブ101が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。
装置本体100は、図1に示すように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、記憶回路150と、処理回路160と、通信インターフェース170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、記憶回路150、処理回路160、及び通信インターフェース170は、互いに通信可能に接続される。また、装置本体100は、ネットワーク5に接続される。
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路160の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
送受信回路110は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ101から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。
ここで、送受信回路110からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
Bモード処理回路120は、送受信回路110から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、図1に例示するBモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。また、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像データを生成することも可能である。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成することも可能である。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像生成回路140は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データである「2次元Bモードデータや2次元ドプラデータ」から、表示用の2次元超音波画像データである「2次元Bモード画像データや2次元ドプラ画像データ」を生成する。
更に、画像生成回路140は、超音波ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、超音波ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行って超音波ボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、超音波ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行う処理や、超音波ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行う処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理及びサーフェスレンダリング(SR:Surface Rendering)処理がある。
記憶回路150は、画像生成回路140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、記憶回路150は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータを記憶することも可能である。記憶回路150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
また、記憶回路150は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路150が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、画像診断を行う医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。
処理回路160は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路160は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路150から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140の処理を制御する。また、処理回路160は、記憶回路150が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
また、処理回路160は、取得機能161と、設定機能162と、位置合わせ機能163と、出力制御機能164とを実行する。なお、取得機能161は、取得部の一例である。また、設定機能162は、設定部の一例である。また、位置合わせ機能163は、位置合わせ部の一例である。また、出力制御機能164は、出力制御部の一例である。また、処理回路160が実行する取得機能161、設定機能162、位置合わせ機能163、及び出力制御機能164の処理内容については、後述する。
ここで、例えば、図1に示す処理回路160の構成要素である取得機能161、設定機能162、位置合わせ機能163、及び出力制御機能164が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路150に記録されている。処理回路160は、各プログラムを記憶回路150から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路160は、図1の処理回路160内に示された各機能を有することとなる。
通信インターフェース170は、ネットワーク5を経由して院内の各種の装置と通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース170により、処理回路160は、外部装置と通信を行う。例えば、処理回路160は、超音波診断装置1以外の医用画像診断装置により撮像された医用画像データ(CT(Computed Tomography)画像データやMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データ等)をネットワーク5経由で受信する。そして、処理回路160は、受信した医用画像データを、記憶回路150に格納する。また、処理回路160は、受信した医用画像データを、自装置が撮像した超音波画像データとともにディスプレイ103に表示させる。なお、表示される医用画像データは、画像生成回路140により画像処理(レンダリング処理)された画像であってもよい。また、超音波画像データとともに表示される医用画像データは、CD−ROM、MO、DVD等の記憶媒体を介して取得される場合であっても良い。
ここで、心臓弁の治療においては、超音波診断装置1及びX線CT装置が併用されている。例えば、医師は、術前にX線CT装置により撮像したCT画像データ(ボリュームデータ)を用いて、所望のMPR画像を参照しつつ治療計画を作成する。そして、手術中には、医師は、術前に作成した治療計画と、超音波診断装置1により撮像されるリアルタイムの超音波画像とを参照しつつ、治療を行う。この際に表示される超音波画像は、治療計画において参照したMPR画像と同じ断面であるのが好適である。
しかしながら、術前に得たMPR画像と同じ断面の超音波画像を得ることは難しい。例えば、心臓弁の撮像に用いられるTEEプローブは、当接可能な部位や先端部101Aの可動範囲に制約条件があるため、CT画像データから任意に生成したMPR画像と同じ走査領域(走査断面)を撮像することは難しい。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の走査領域を容易に設定するために、以下の処理機能を備える。なお、以下では、TEEプローブである超音波プローブ101を用いた撮像方法を例示して説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、以下の実施形態は、経腸プローブや経膣プローブを用いた撮像方法、又は、肋間から撮像を行う心尖部アプローチと呼ばれる撮像方法など、制約条件のある撮像方法において広く適用可能である。
また、以下では、対象走査領域の設定処理と、対象走査領域へのガイド処理とを順に説明する。ここで、設定処理とは、術前に得られたCT画像データ上で、超音波走査の対象(ターゲット)となる対象走査領域を設定する処理である。また、ガイド処理(ナビゲーション)とは、術中において、超音波診断装置1により実際に走査される走査領域を、設定処理により設定された対象走査領域に近づけるための処理である。
(設定処理)
まず、対象走査領域の設定処理について説明する。超音波診断装置1は、設定処理として、次の処理機能を実行する。つまり、取得機能161は、被検体Pが撮像された3次元医用画像データを取得する。また、設定機能162は、超音波走査に関する制約条件に基づいて、3次元医用画像データにおいて超音波走査の対象(ターゲット)となる対象走査領域を設定する。具体的には、設定機能162は、被検体Pに対する超音波プローブ101の移動可能範囲を含む制約条件に基づいて、3次元医用画像データから移動可能範囲に対応する3次元領域を抽出し、抽出した3次元領域に応じて対象走査領域を設定する。言い換えると、抽出部としての設定機能162は、3次元医用画像データに描出された前記被検体の構造に基づいて、プローブの移動可能範囲を抽出する。設定部としての設定機能162は、抽出した移動可能範囲に基づいて、プローブによる走査の目標となる目標走査領域を設定する。なお、対象走査領域(objective scan region)は、目標走査領域(target scan region)とも呼ばれる。
ここで、制約条件とは、例えば、被検体Pに対する超音波プローブ101の「移動可能範囲」と、超音波プローブ101の当接面に対する走査領域の「傾斜可能範囲」と、走査領域における「走査可能範囲」とを含む。例えば、TEEプローブを用いた撮像方法では、移動可能範囲は、食道の内壁である。この食道の内壁は、被検体P(患者)ごとに異なり、予め撮像される3次元医用画像データから抽出可能である。また、傾斜可能範囲は、食道の内壁に対する走査領域の回転角度の限界値及び煽り角度の限界値により定まる。回転角度の限界値及び煽り角度の限界値は、TEEプローブの種類に応じて異なり、TEEプローブの製品情報などから取得可能である。また、走査可能範囲は、走査領域の方位方向及び深さ方向の長さ(距離)により定まり、TEEプローブの製品情報などから取得可能である。走査可能範囲のうち最も浅い部分(以下、「最浅部」と表記)は、振動子に接する位置であり、移動可能範囲に含まれるという制約条件がある。なお、これらの制約条件は、記憶回路150又はネットワーク5を介して接続可能な記憶装置などに予め記憶されている。記憶されている制約条件は、操作者の任意により適宜変更可能である。また、TEEプローブの移動可能範囲は、食道の内壁に限らず、例えば、食道の内腔をCT値に基づいて抽出してもよい。すなわち、TEEプローブの移動可能範囲は、食道の少なくとも内腔を含む領域であれば良い。
なお、上記の制約条件は、TEEプローブを用いた場合の一例であり、これに限定されるものではない。例えば、経腸プローブや経膣プローブを用いた場合には、移動可能範囲は、腸又は膣の内壁である。また、心尖部アプローチの場合には、移動可能範囲は、肋間部分である。なお、傾斜可能範囲及び走査可能範囲については、TEEプローブの場合と同様に製品情報などから取得可能である。
図3を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における設定処理について具体的に説明する。図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における設定処理の処理手順を示すフローチャートである。図3に示す処理手順は、設定処理を開始する旨の入力を操作者から受け付けた場合に開始される。図3では、図4及び図5を参照しつつ説明する。図4及び図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1における設定処理を説明するための図である。
なお、以下の設定処理の説明では、CT画像データ上で対象走査領域を設定する場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、CT画像データに限らず、任意の医用画像診断装置にて被検体Pが撮像された3次元医用画像データ上で対象走査領域を設定可能である。例えば、超音波診断装置1は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置によって撮像されたMR画像データ、又は、超音波診断装置1により撮像された3次元の超音波画像データ上で対象走査領域を設定しても良い。
ステップS101において、処理回路160は、設定処理を開始する旨の入力を操作者から受け付けたか否かを判定する。例えば、操作者は、入力装置102を用いて、設定処理を開始する旨の入力を行う。入力装置102は、操作者により入力された設定処理を開始する旨の情報を、処理回路160へ出力する。処理回路160は、設定処理を開始する旨の情報を入力装置102から受け付けた場合に、設定処理を開始する旨の入力を受け付けたと判定し(ステップS101肯定)、ステップS102以降の処理を開始する。なお、処理回路160は、設定処理を開始する旨の入力を受け付けるまで(ステップS101否定)、ステップS102以降の処理を開始せず、待機状態である。
ステップS102において、取得機能161は、CT画像データを読み出す。例えば、取得機能161は、CT画像データを記憶回路150から取得する。ここで、このCT画像データは、例えば、X線CT装置により被検体Pの心臓を含む領域(例えば胸部)が撮像された画像データである。CT画像データが記憶回路150に記憶されていない場合には、取得機能161は、ネットワーク5を介して接続された、X線CT装置、又は、医用画像データ保管用の外部記憶装置などから取得することも可能である。
ステップS103において、設定機能162は、CT画像データから食道に対応する領域を抽出する。例えば、設定機能162は、取得機能161により取得されたCT画像データに対してセグメンテーション処理を行うことにより、被検体Pの食道に対応する領域を抽出する。
例えば、図4に示すように、設定機能162は、ディスプレイ103の表示領域103Aに、VR(Volume Rendering)画像20と、MPR画像21,22,23とを表示させる。ここで、VR画像20は、被検体Pの心臓及び周辺臓器が描出されたレンダリング画像である。また、MPR画像21,22,23は、被検体Pの胸部のサジタル断面、コロナル断面、及びアキシャル断面の断層像である。なお、VR画像20及びMPR画像21,22,23は、取得機能161により取得されたCT画像データに対する各種のレンダリング処理により生成される。
例えば、操作者は、図4のMPR画像21,22,23において、食道の領域に含まれる一点を指定する。図4に示す例では、MPR画像21に食道の一部が描出されている。そこで、操作者は、MPR画像21上の食道の領域にカーソルを合わせ、一点を指定するためのボタンを押下する。これにより、設定機能162は、操作者により指定された点が食道の領域に含まれる一点であると認識する。そして、設定機能162は、操作者により指定された点と同様のCT値を有する画像領域を抽出するセグメンテーション処理により、CT画像データから食道に対応する抽出領域30を抽出する。そして、設定機能162は、抽出領域30をVR画像20及びMPR画像21に表示(強調表示)する。
このように、設定機能162は、3次元医用画像データから移動可能範囲に対応する3次元領域(抽出領域30)を抽出する。なお、図4に図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図4では、MPR画像21上で食道の一点が指定される場合を説明したが、これは、MPR画像21上に食道が描出されていたからである。したがって、例えば、食道がMPR画像22又はMPR画像23上に描出されている場合には、操作者は、MPR画像22又はMPR画像23上で食道の一点を指定しても良い。また、MPR画像21,22,23のいずれにも食道が描出されていない場合には、操作者は、各断層像の位置を変更して食道が描出される断層像を探索した上で、食道の一点を指定することもできる。
また、図4では、手動により抽出領域30を抽出する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、自動的に抽出領域30を抽出することも可能である。例えば、設定機能162は、移動可能範囲「食道の内壁」に基づいて、3次元医用画像データから食道の領域を自動的に抽出することも可能である。この場合、設定機能162は、食道のCT値、形態的特徴、心臓や肺などの他の臓器との位置関係といった食道に関する特徴を利用することで、自動的に抽出領域30を抽出可能である。また、設定機能162は、移動可能範囲「食道の内壁」に基づいて、「食道の領域を指定してください」というメッセージを画像又は音声により出力させることで、食道の一点を指定する操作を操作者に促すことも可能である。
ステップS104において、設定機能162は、断面位置の入力を受け付ける。例えば、操作者は、対象走査領域を設定するために適切な断層像を探索するために、断層像のブラウジングを行う。具体例を挙げると、操作者は、図4に示したMPR画像21,22,23を傾ける指示の入力を行う。
ステップS105において、設定機能162は、制約条件の範囲内で、表示対象の断面位置を変更する。例えば、設定機能162は、移動可能範囲及び傾斜可能範囲を満たす範囲内で、3次元医用画像データのうち表示対象となる断面位置を変更する。
例えば、設定機能162は、ステップS104において入力された断面位置が、制約条件を満たすか否かを判定する。具体的には、設定機能162は、入力された断面位置の断層像が抽出領域30を含むか否か、及び、食道の内壁に対する断面位置の角度が傾斜可能範囲に含まれるか否かを判定する。両者を満たす場合、つまり、断層像が抽出領域30を含み、断面位置の角度が傾斜可能範囲に含まれる場合には、設定機能162は、制約条件を満たすと判定する。制約条件を満たす場合には、設定機能162は、表示対象の断面位置を変更する。なお、制約条件を満たさない場合には、設定機能162は、入力された断面位置に変更しない。
このように、設定機能162は、制約条件を満たす範囲内で、3次元医用画像データのうち対象走査領域が設定される断面位置を変更する。
ステップS106において、設定機能162は、断面位置に対応する断層像を表示する。例えば、設定機能162は、ステップS105において変更された断面位置に対応する断層像を表示領域103Aに表示させる。
例えば、図5に示すように、設定機能162は、図4に示したMPR画像21,22,23に代えて、MPR画像24を表示させる。ここで、MPR画像24は、対象走査領域40を設定するために操作者が指定した断面位置に対応する断層像である。このMPR画像24には、抽出領域30が描出されている。なお、この場合、対象走査領域40及び中心線41は、まだMPR画像24には描出されていない。
ステップS107において、設定機能162は、断面位置が確定されたか否かを判定する。例えば、操作者は、MPR画像24を閲覧し、対象走査領域40を設定する断面として適切であると判断した場合には、確定ボタンを押下する。これにより、設定機能162は、断面位置が確定されたと判定し(ステップS107肯定)、ステップS108の処理へ移行する。なお、断面位置が確定されない場合には(ステップS107否定)、設定機能162は、断面位置が確定されるまで、ステップS104〜ステップS106の処理を繰り返し実行する。つまり、操作者は、断面位置を確定するまで、制約条件の範囲内で任意の位置に断面位置を変更可能である。
ステップS108において、設定機能162は、断層像上にプリセットの対象走査領域40を表示させる。例えば、操作者により断面位置が確定された場合には、設定機能162は、図5に示すように、対象走査領域40をMPR画像24及びVR画像20上に表示させる。ここで、プリセットの対象走査領域40は、例えば、中心線41の方向、方位方向の長さ(幅)、及び深さ方向の長さが予め規定されており、その最浅部が抽出領域30に含まれるように配置される。また、ここで、設定機能162は、MPR画像25,26を表示させる。MPR画像25は、中心線41を通りMPR画像24に直交する直交断面である。また、MPR画像26は、中心線41及びMPR画像24に直交する直交断面である。設定機能162は、MPR画像25,26上にも対象走査領域40の位置を示す破線を表示させる。
ステップS109において、設定機能162は、対象走査領域40の位置、方向、又は大きさの入力を受け付ける。例えば、操作者は、MPR画像24上で対象走査領域40を平行移動させる。また、操作者は、中心線41を最浅部を中心に回転させる。また、操作者は、方位方向の幅及び深さ方向の長さを変更する。これにより、設定機能162は、対象走査領域40の移動、回転、又は大きさの変更等の入力を受け付ける。
ステップS110において、設定機能162は、制約条件の範囲内で、対象走査領域40の位置、方向、又は大きさを変更する。例えば、設定機能162は、3次元領域(抽出領域30)に対象走査領域40の最浅部が含まれるように、対象走査領域40を設定する。また、例えば、設定機能162は、走査可能範囲を満たす範囲内で、断面位置上で対象走査領域40の最浅部、走査方向、方位方向の幅、及び深さ方向の長さを設定する。
例えば、設定機能162は、ステップS109において入力された対象走査領域40の位置、方向、又は大きさが、制約条件を満たすか否かを判定する。具体的には、設定機能162は、入力された対象走査領域40の最浅部が抽出領域30に含まれるか否かを判定する。最浅部が抽出領域30に含まれる場合には、設定機能162は、対象走査領域40の位置が制約条件を満たすと判定し、入力された対象走査領域40の位置に変更する。また、設定機能162は、入力された対象走査領域40の方位方向及び深さ方向の大きさ(長さ)が、走査可能範囲を満たすか否かを判定する。方位方向及び深さ方向の長さが走査可能範囲を満たす場合には、設定機能162は、入力された対象走査領域40の方位方向及び深さ方向の大きさに変更する。
このように、設定機能162は、制約条件を満たす範囲内で、断面位置上で対象走査領域40を設定する。つまり、設定機能162は、3次元領域として被検体Pの食道の少なくとも内腔を抽出し、抽出した内腔と、傾斜可能範囲及び走査可能範囲とに基づいて、内腔に位置する経食道プローブが超音波走査を実行可能な領域を設定する。この場合、超音波走査を実行可能な領域とは、食道の内腔に挿入されるTEEプローブにより走査可能な領域であり、食道の内腔より広範な略円筒形状(食道に沿って歪んだ円筒形状)の領域である。更に、設定機能162は、超音波走査を実行可能な領域をディスプレイ103に表示させてもよい。例えば、設定機能162は、超音波走査を実行可能な領域をVR画像20上に表示させてもよいし、超音波走査を実行可能な領域の断面をMPR画像21,22,23上に表示させてもよい。
なお、図5に図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図5では、MPR画像21,22,23を表示させない場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、設定機能162は、対象走査領域40を設定する際に、VR画像20及びMPR画像21,22,23,24,25,26を同時に表示領域103A上に表示させてもよい。また、いずれの画像を表示させるか否かについては、その都度、操作者が任意に設定してもよい。
ステップS111において、設定機能162は、断面位置を再調整するか否かを判定する。例えば、操作者は、対象走査領域40を閲覧し、対象走査領域40の断面位置が不適切であると判断した場合には、断面位置を再調整するための指示を入力する。これにより、設定機能162は、断面位置を再調整すると判定し(ステップS111肯定)、ステップS104の処理へ移行する。なお、断面位置を再調整しない場合には(ステップS111否定)、設定機能162は、ステップS112の処理へ移行する。
ステップS112において、設定機能162は、対象走査領域40が確定されたか否かを判定する。例えば、操作者は、対象走査領域40を閲覧し、対象走査領域40が適切であると判断した場合には、確定ボタンを押下する。これにより、設定機能162は、対象走査領域40が確定されたと判定し(ステップS112肯定)、対象走査領域40の設定処理を終了する。なお、断面位置が確定されない場合には(ステップS112否定)、設定機能162は、対象走査領域40が確定されるまで、ステップS109〜ステップS111の処理を繰り返し実行する。つまり、操作者は、対象走査領域40を確定するまで、制約条件の範囲内で断面位置及び対象走査領域40を変更可能である。
なお、図3に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で適宜変更可能である。
また、図3では、設定処理が超音波診断装置1において実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図3に示した設定処理は、ワークステーションやX線CT装置のコンソール装置等、他の医用画像処理装置において実行されてもよい。この場合、CT画像データ上で設定された対象走査領域40の位置を示す情報は、CT画像データとともに超音波診断装置1へ出力されて、後に説明するガイド処理にて利用される。
また、図3では、制約条件の範囲外となる断面位置や対象走査領域40を表示させないことで、制約条件を満たす範囲内で断面位置や対象走査領域40を設定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、設定機能162は、制約条件にかかわらず操作者の所望の断面位置や対象走査領域40を表示させ、断面位置や対象走査領域40を確定するタイミングで制約条件を満たすか否かを判定しても良い。つまり、操作者が設定した断面位置や対象走査領域40が制約条件を満たさない場合には、その旨が通知され、操作者は、制約条件を満たすまで断面位置や対象走査領域40の再設定を行う。
(ガイド処理)
次に、対象走査領域40へのガイド処理について説明する。超音波診断装置1は、ガイド処理として、次の処理機能を実行する。つまり、位置合わせ機能163は、超音波走査により収集された超音波画像データと、3次元医用画像データとの位置合わせを行う。また、出力制御機能164は、位置合わせ後の超音波画像データに対応する走査領域と、位置合わせ後の3次元医用画像データに設定された対象走査領域40との差分に基づいて、超音波画像データに対応する走査領域を対象走査領域40に近づけるためのガイド情報を出力する。
図6を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1におけるガイド処理について具体的に説明する。図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1におけるガイド処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示す処理手順は、ガイド処理を開始する旨の入力を操作者から受け付けた場合に開始される。図6では、図7を参照しつつ説明する。図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1におけるガイド処理を説明するための図である。なお、ガイド処理を行う場合、設定処理により設定された情報がディスプレイ103の表示領域103Aに予め表示されている。例えば、図7では、VR画像20及びMPR画像24,25,26が表示され、これらの画像上に抽出領域30、対象走査領域40、及び中心線41が表示されている。
ステップS201において、処理回路160は、ガイド処理を開始する旨の入力を操作者から受け付けたか否かを判定する。例えば、操作者は、入力装置102を用いて、ガイド処理を開始する旨の入力を行う。入力装置102は、操作者により入力されたガイド処理を開始する旨の情報を、処理回路160へ出力する。処理回路160は、ガイド処理を開始する旨の情報を入力装置102から受け付けた場合に、ガイド処理を開始する旨の入力を受け付けたと判定し、ステップS202以降の処理を開始する。なお、処理回路160は、ガイド処理を開始する旨の入力を受け付けるまで、ステップS202以降の処理を開始せず、待機状態である。
ステップS202において、処理回路160は、超音波画像データを収集する。例えば、処理回路160は、送受信回路110を制御することで、超音波プローブ101に超音波走査を実行させ、現在のフレームのBモード画像データを収集する。
ステップS203において、処理回路160は、超音波画像を表示させる。例えば、処理回路160は、図7に示すように、ディスプレイ103の表示領域103A上に超音波画像50を表示させる。
ステップS204において、位置合わせ機能163は、超音波画像データとCT画像データとを位置合わせする。例えば、位置合わせ機能163は、超音波画像データとCT画像データとの間のパターンマッチングにより位置合わせを行う。具体的には、位置合わせ機能163は、超音波画像データ及びCT画像データのそれぞれから特徴的な領域を抽出し、抽出した領域に類似する領域を互いに探索することで、超音波画像データ及びCT画像データの位置合わせを行う。なお、位置合わせ機能163は、パターンマッチングに限らず、従来の如何なる技術を用いて位置合わせを行っても良い。例えば、超音波プローブ101に位置センサ(磁気センサ等)が搭載される場合には、位置情報を用いて位置合わせを行うことも可能である。
ステップS205において、出力制御機能164は、現在の走査領域60をVR画像20及びMPR画像24,25,26上に表示させる。例えば、図7に示すように、出力制御機能164は、現在のBモード画像データに対応する走査領域60及びその中心線61を、VR画像20及びMPR画像24,25,26上に表示させる。すなわち、表示制御部としての出力制御機能164は、3次元医用画像データ中に目標走査領域を表示する。
ステップS206において、出力制御機能164は、現在の走査領域60と対象走査領域40との差分を算出する。例えば、出力制御機能164は、深さ方向の差分が「−10mm」、走査領域60の回転角度を表す素子回転角度が「+10°」、先端部101Aの前後方向の角度である先端部角度(前後)が「−5°」、先端部101Aの左右方向の角度である先端部角度(左右)が「+3°」であると算出する。
ステップS207において、出力制御機能164は、対象走査領域40を撮像できているか否かを判定する。例えば、出力制御機能164は、現在の走査領域60と対象走査領域40との位置、方向、及び大きさが一致しているか否かを判定する。一致していない場合には(ステップS207否定)、出力制御機能164は、ステップS208の処理へ移行する。また、一致している場合(ステップS207肯定)、出力制御機能164は、ステップS210の処理へ移行する。なお、ここで言う「一致」とは、寸分違わぬ完全一致のみに限定されるものではなく、許容可能な程度の誤差を含んでいてもよい。
ステップS208において、出力制御機能164は、差分に基づいて、ガイド情報を表示させる。例えば、図7に示すように、出力制御機能164は、ガイド情報70を表示領域103Aに表示させる。ガイド情報70には、例えば、ステップS206にて算出された差分情報が記載される。なお、ガイド情報70は、図示の例に限定されるものではない。例えば、ガイド情報70に記載される項目は、任意に変更可能である。また、ガイド情報70は、必ずしも数値情報として出力されなくても良く、例えば、差分に応じた矢印の画像として出力されても良いし、差分を読み上げる音声として出力されても良い。
ステップS209において、操作者は、撮像位置を調整する。例えば、操作者は、ガイド情報70に記載された差分が小さくなるように、TEEプローブである超音波プローブ101を操作する。これにより、操作者は、現在の走査領域60を対象走査領域40に近づける。そして、処理回路160は、ステップS202の処理へ移行して、現在の走査領域60と対象走査領域40とが一致するまで(ステップS207肯定)、ステップS202〜S209の処理を繰り返し実行する。
ステップS210において、出力制御機能164は、撮像位置の調整完了を通知する。例えば、出力制御機能164は、現在の走査領域60と対象走査領域40とが一致した場合には、現在の走査領域60を強調表示することで、撮像位置の調整完了を通知する。そして、処理回路160は、ガイド処理を終了する。なお、ガイド処理が終了した後に、超音波診断装置1は、被検体Pの診断(又は手術)用の超音波画像データの収集を適宜実行する。
なお、図6に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した処理手順は、処理内容に矛盾が生じない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図6のステップS209では、操作者が手動で撮像位置を調整する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、電子的に調整可能な場合には、出力制御機能164が自動的に撮像位置を調整することも可能である。例えば、2次元アレイプローブ又はメカ4Dプローブにより超音波走査が行われる場合には、出力制御機能164は、2次元アレイプローブの電子走査、又は、メカ4Dプローブの揺動方向を制御することで、走査領域60の方向を対象走査領域40の方向に近づけることができる。
上述したように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、取得機能161は、被検体Pが撮像された3次元医用画像データを取得する。また、設定機能162は、超音波走査に関する制約条件に基づいて、3次元医用画像データにおいて超音波走査の対象となる対象走査領域40を設定する。これによれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の走査領域を容易に設定することができる。例えば、超音波診断装置1は、TEEプローブのように撮像方法に制約条件がある場合においても、当接可能な部位や先端部101Aの可動範囲に制約条件の範囲内で対象走査領域40を設定するので、CT画像データから任意に生成したMPR画像と同じ走査領域を容易に撮像することができる。
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、位置合わせ機能163は、超音波走査により収集された超音波画像データと、3次元医用画像データとの位置合わせを行う。また、出力制御機能164は、位置合わせ後の超音波画像データに対応する走査領域と、位置合わせ後の3次元医用画像データに設定された対象走査領域40との差分に基づいて、超音波画像データに対応する走査領域を対象走査領域40に近づけるためのガイド情報を出力する。これによれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、TEEプローブのように撮像方法に制約条件がある場合においても、CT画像データから任意に生成したMPR画像と同じ走査領域を容易に得ることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、一つの対象走査領域40が設定される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、対象走査領域40が複数設定される場合にも適用可能である。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、設定機能162及び出力制御機能164の処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については説明を省略する。
第2の実施形態に係る設定機能162は、対象走査領域40を複数設定する。例えば、操作者は、手術中用の対象走査領域40と、手術後用の対象走査領域40とを個別に設定する。ここで、手術中用の対象走査領域40とは、例えば、心臓弁を観察するための走査領域に対応する。また、手術後用の対象走査領域40とは、例えば、術後の血流の様子(逆流の有無など)を観察するための走査領域に対応する。なお、複数の対象走査領域40を設定する点を除き、設定機能162は、第1の実施形態にて説明した処理と基本的に同様の処理を実行するので、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係る出力制御機能164は、複数の対象走査領域40が設定された場合には、複数の対象走査領域40それぞれへのガイド情報を順番に出力する。例えば、操作者は、手術中には、手術中用の対象走査領域40をガイド対象として選択する。出力制御機能164は、選択された手術中用の対象走査領域40と、現在の超音波画像データに対応する走査領域60との差分を算出する。そして、出力制御機能164は、算出した差分に基づいて、ガイド情報を出力する。これにより、操作者は、現在の走査領域60を手術中用の対象走査領域40の位置へ移動させた上で、手術を行う。
また、手術が完了すると、操作者は、手術後用の対象走査領域40をガイド対象として選択する。出力制御機能164は、選択された手術後用の対象走査領域40と、現在の超音波画像データに対応する走査領域60との差分を算出する。そして、出力制御機能164は、算出した差分に基づいて、ガイド情報を出力する。これにより、操作者は、現在の走査領域60を手術後用の対象走査領域40の位置へ移動させた上で、術後の血流の様子を観察する。
このように、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、複数の対象走査領域40を設定し、複数の対象走査領域40のうち選択された対象走査領域と、超音波画像データに対応する走査領域との差分に基づいて、ガイド情報を出力する。これにより、例えば、操作者は、複数の対象走査領域40が存在する場合にも、容易に撮像を行うことができる。
なお、上記の説明はあくまで一例であり、上記の説明の内容に限定されるものではない。例えば、上記の例では、手術中用、及び、手術後用に、2つの対象走査領域40を設定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、手術中用、及び、手術後用といった用途(タイミング)に限定されることなく、任意数の対象走査領域40を設定可能である。
また、上記の例では、複数の対象走査領域40に対して、順番に一つずつガイド処理を行う場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の対象走査領域40に対するガイド処理を同時に並行して行うこともできる。すなわち、出力制御機能164は、複数の対象走査領域それぞれと、超音波画像データに対応する走査領域との差分に基づいて、超音波プローブの走査領域を複数の対象走査領域それぞれに近づけるための複数のガイド情報を同時に出力してもよい。この場合、例えば、対象走査領域40の数と同数のガイド情報70が表示領域103A上に表示される。
(第3の実施形態)
また、上記の実施形態では、一つの3次元医用画像データを用いる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、複数の3次元医用画像データを利用可能である。
例えば、心臓弁の手術では、心臓を高頻度に刺激することで一時的に血流を抑制するラピッドペーシング(Rapid Pacing)と呼ばれる技術が用いられる場合がある。この場合、心臓は通常の拍動とは異なり、痙攣している。このため、ラピッドペーシングでは、どのような心臓がどのような状態で痙攣するか予想できないため、事前に撮像しておく3次元医用画像データの心時相を一時相に決めるのは困難である。
そこで、第3の実施形態では、予め複数の心時相の3次元医用画像データを撮像しておき、それぞれの3次元医用画像データにリファレンス用の対象走査領域40を設定しておく。そして、手術では、ラピッドペーシングを開始後に、複数の心時相の3次元医用画像データの中から、ラピッドペーシング中の心臓の様子に類似の心時相を選択して、リファレンスに用いる。
つまり、第3の実施形態に係る取得機能161は、被検体Pの心臓を含む領域が、互いに異なる複数の心時相において撮像された複数の3次元医用画像データを取得する。そして、操作者は、取得された複数の3次元医用画像データのそれぞれにおいて、対象走査領域40を設定する。
ここで、設定機能162は、複数の心時相のうち、対象走査領域40を設定済みの心時相があれば、その設定済みの対象走査領域40を、他の心時相において対象走査領域40を設定するための初期位置として利用する。すなわち、設定機能162は、複数の3次元医用画像データのうち対象走査領域が設定済みの3次元医用画像データと未設定の3次元医用画像データとが存在する場合には、未設定の3次元医用画像データに対象走査領域を設定するための初期位置として、設定済みの対象走査領域の情報を適用する。
例えば、複数の心時相の3次元医用画像データとして、第1〜第4の心時相の4つのCT画像データが取得される場合がある。この場合、設定機能162は、例えば、第1の心時相のCT画像データについては第1の実施形態にて説明した設定処理と同様に、対象走査領域40を設定する。そして、設定機能162は、第2〜第4の心時相のCT画像データについては、対象走査領域40を設定するための初期位置として、第1の心時相において設定された対象走査領域40の情報を適用する。
具体的には、設定済みの対象走査領域40には、CT画像データにおける断面位置、食道(抽出領域30)に対する中心線41の方向、対象走査領域40の大きさといった情報が含まれる。そこで、設定機能162は、第2〜第4の心時相のCT画像データに対して、断面位置、食道(抽出領域30)に対する中心線41の方向、対象走査領域40の大きさといった情報を適用して、対象走査領域40の初期位置を設定する。これにより、操作者は、容易に対象走査領域40を設定することができる。
位置合わせ機能163は、複数の心時相のうち選択された心時相の3次元医用画像データと、超音波画像データとの位置合わせを行う。例えば、第1〜第4の心時相のうち操作者により第1の心時相が選択された場合には、位置合わせ機能163は、第1の心時相のCT画像データと、現在のBモード画像データとの位置合わせを行う。
そして、出力制御機能164は、複数の心時相のうち選択された心時相の対象走査領域40と、超音波画像データに対応する走査領域との差分に基づいて、ガイド情報70を出力する。例えば、第1〜第4の心時相のうち操作者により第1の心時相が選択された場合には、出力制御機能164は、第1の心時相の対象走査領域40と、現在の走査領域60との差分に基づいて、ガイド情報70を出力する。これにより、操作者は、ラピッドペーシング中の心臓の様子に類似の心時相を適宜選択して、リファレンスに用いることができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(医用画像処理装置への適用)
上述した実施形態において説明した処理のうち、設定処理については、医用画像処理装置においても同様に実現可能である。
図8は、その他の実施形態に係る医用画像処理装置200の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置、又は、X線CT装置に含まれるコンソール装置等の医用画像診断装置の制御装置に対応する。
図8に示すように、医用画像処理装置200は、入力回路201、ディスプレイ202、記憶回路210、及び処理回路220を備える。入力回路201、ディスプレイ202、記憶回路210、及び処理回路220は、相互に通信可能に接続される。
入力回路201は、マウス、キーボード、タッチパネル等、操作者からの各種の指示や設定要求を受け付けるための入力装置である。ディスプレイ202は、医用画像を表示したり、操作者が入力回路201を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする表示装置である。
記憶回路210は、例えば、NAND(Not AND)型フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)であり、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
処理回路220は、医用画像処理装置200における処理全体を制御する電子機器(プロセッサ)である。処理回路220は、取得機能221と、設定機能222とを実行する。処理回路220が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路210内に記録されている。処理回路220は、各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。
例えば、取得機能221は、図1に示した取得機能161と基本的に同様の処理を実行可能である。つまり、取得機能221は、被検体が撮像された3次元医用画像データを取得する。また、設定機能222は、図1に示した設定機能162と基本的に同様の処理を実行可能である。つまり、設定機能222は、超音波走査に関する制約条件に基づいて、3次元医用画像データにおいて超音波走査の対象となる対象走査領域を設定する。これによれば、医用画像処理装置200は、所望の走査領域を容易に設定することができる。
なお、本実施形態においては、単一の処理回路160にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
(他の医用画像診断装置への適用)
上記の実施形態では、実施形態に係る機能が超音波診断装置1に適用される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る機能は、他の医用画像診断装置に対しても適用可能である。例えば、他の医用画像診断装置として、IVUS(Intravascular Ultrasoundscan)、OCT(Optical Coherence Tomography)、及び内視鏡等が挙げられる。
IVUSとは、超小型の超音波振動子を血管内腔に誘導し、その振動子から360度方向に超音波の送受信を行って、血管の短軸方向に対応するディスク形状の断層像を撮像する技術である。IVUSでは、血管内腔に誘導されるプローブが利用され、被検体の血管が移動可能範囲に相当する。また、IVUSにおける目標走査領域は、血管の芯線上の位置と、当該位置からの距離(ディスク形状の半径に相当)とに基づいて規定される。
OCTとは、生体組織をよく透過する近赤外線の反射光を利用した光干渉計の原理に基づいて、非侵襲下に組織の精密断層像を撮像する技術である。OCTでは、近赤外線による走査を行うプローブが利用される。OCTのプローブを被検体内に挿入して撮像する場合、食道、腸などの管腔領域が移動可能範囲に対応する。また、OCTにおける目標走査領域は、管球領域の芯線上の位置と、当該位置からの近赤外線の照射方向、照射範囲などに基づいて規定される。
内視鏡とは、食道や腸等の管腔領域や、体表の切開部位等、被検体内を観察するための光学系機器である。内視鏡は、被検体内に挿入されるプローブに相当する。また、内視鏡では、挿入部位が移動可能範囲に相当する。また、内視鏡では、観察対象となる視野が目標走査領域に相当する。
すなわち、IVUS、OCT、及び内視鏡等の医用画像診断装置において、処理回路は、被検体が撮像された3次元医用画像データ(例えば、CT画像データ)を取得する。また、処理回路は、3次元医用画像データに描出された被検体の構造に基づいて、プローブの移動可能範囲を抽出する。また、処理回路は、抽出した移動可能範囲に基づいて、プローブによる走査の目標となる目標走査領域を設定する。また、処理回路は、3次元医用画像データ中に目標走査領域を表示する。これにより、IVUS、OCT、及び内視鏡等の医用画像診断装置においても、所望の走査領域を容易に設定することができる。
(被検体の構造の自動抽出)
例えば、処理回路160は、被検体の構造を自動的に抽出することができる。
例えば、抽出部としての処理回路160は、プローブの種類に基づいて、被検体の構造を抽出する。例えば、記憶回路150は、プローブの種類と、被検体の構造とが対応づけられた関連情報を記憶する。ここで、プローブの種類とは、例えば、TEEプローブ、経腸プローブ、及び経膣プローブ等を示す情報である。また、被検体の構造とは、食道の内壁、腸の内壁、及び膣の内壁等を示す情報である。つまり、関連情報は、プローブの種類が「TEEプローブ」であれば、抽出対象が「食道の内壁」であることを記憶する。また、関連情報は、プローブの種類が「経腸プローブ」であれば、抽出対象が「腸の内壁」であることを記憶する。また、関連情報は、プローブの種類が「経膣プローブ」であれば、抽出対象が「膣の内壁」であることを記憶する。また、関連情報には、各抽出対象をセグメンテーションやパターンマッチングにより抽出するための特徴情報が記憶されている。
そして、処理回路160は、関連情報に基づいて、プローブの種類に対応する被検体の構造を自動的に抽出する。例えば、操作者がプローブの種類「TEEプローブ」を指定すると、処理回路160は、関連情報を参照し、プローブの種類「TEEプローブ」に対応する抽出対象「食道の内壁」を特定する。そして、処理回路160は、食道の内壁の特徴情報を用いて、3次元医用画像データから食道の内壁を抽出する。
なお、プローブの種類は、超音波診断装置1に接続されたプローブから製品情報等を自動認識することによっても識別可能である。例えば、処理回路160は、超音波診断装置1に接続されたプローブから製品情報を取得する。そして、処理回路160は、取得した製品情報からプローブの種類を抽出する。そして、処理回路160は、抽出したプローブの種類に基づいて、関連情報から抽出対象「食道の内壁」を特定する。
(目標走査領域の自動設定)
例えば、処理回路160は、目標走査領域を自動的に設定することができる。
例えば、設定部としての処理回路160は、プローブの種類に基づいて、目標走査領域を設定する。例えば、記憶回路150は、プローブの種類と、代表的な目標走査領域とが対応づけられた関連情報を記憶する。ここで、プローブの種類とは、例えば、TEEプローブ、経腸プローブ、及び経膣プローブ等を示す情報である。また、代表的な目標走査領域とは、プローブの種類に応じて設定される代表的な目標走査領域を示す情報である。例えば、代表的な目標走査領域は、管腔領域の芯線上における代表的な位置と、当該位置からの代表的な走査方向と、当該走査方向を中心とする代表的な走査範囲(ラテラル方向)と、当該位置からの代表的な深さとを含む情報である。
そして、処理回路160は、関連情報に基づいて、プローブの種類に対応する代表的な目標走査領域を自動的に抽出する。例えば、操作者がプローブの種類「TEEプローブ」を指定すると、処理回路160は、関連情報を参照し、プローブの種類「TEEプローブ」に対応する代表的な目標走査領域の情報を特定し、代表的な目標走査領域を設定する。なお、プローブの種類は、超音波診断装置1に接続されたプローブから製品情報等を自動認識することによっても識別可能である。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意された医用画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
また、上記の実施形態において、「現在」とは、処理対象となる各データが発生するたびに、即時に各処理を行うことを意味する。例えば、現在のBモード画像データを収集する処理は、被検体Pが撮像される時刻と画像が表示される時刻とが完全に一致する場合に限らず、画像処理などの各処理に要する時間によって画像がやや遅れて表示される場合を含む概念である。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所望の走査領域を容易に設定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。