JP2019090388A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニードル弁のリフト量に応じて噴孔からの燃料の噴射方向を制御することができる燃料噴射装置を提供する。【解決手段】ニードル弁20の先端との間で空間を形成するサック室14と、サック室14の内壁面からノズルボディ10の外壁面へ繋がり、サック室14の壁面に噴孔12と、を有し、ニードル弁20の先端は、サック室14の入口側内壁に対して略平行な流れ制御部22を備え、流れ制御部22より先端側は先細り形状の先端傾斜部23とされ、閉弁時には流れ制御部22と先端傾斜部23との交点はサック室14内に位置し、噴孔12は、入口側から出口側に向かって噴孔中心軸に対して垂直面内の面積が略一定であると共に、入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った寸法が増加する形状とされている。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料噴射装置に関する。
自動車等のエンジンに対して燃料を噴射する燃料噴射装置において、噴孔から噴射させる燃料の噴霧状態を変更する技術が開発されている。
例えば、燃料噴射ノズルのノズルボディの先端部に形成される複数の噴孔入口の開口形状が、噴孔のノズル軸方向の長さ<噴孔の周方向の幅≦噴孔入口部を含むサック断面部の周長/噴孔数の関係を満たす構成が開示されている。これにより、複雑な加工工程を必要としない簡単な構造でありながらも、ニードルリフト量が低い状態の領域の時と、ニードルリフト量が高い状態の領域の時とで複数のスリット噴孔から燃焼室内に噴射される燃料の噴霧形状を変更することが可能となるとされている。(特許文献1)
また、噴孔の入口から出口までの断面形状が異なる燃料噴射弁であって、噴孔の入口から出口までの断面積が一定またはほぼ一定とされている燃料噴射弁が開示されている。また、噴孔の断面方向の寸法が噴孔の入口から出口にいくにしたがって大きくなる燃料噴射弁であって、断面方向と直交する断面方向の寸法が噴孔の出口から入口にいくにしたがって大きくなる燃料噴射弁が開示されている。(特許文献2)
早期にパイロット噴射を行うとき、メイン噴射時と比較してピストンが下方に位置する。したがって、パイロット噴射の噴射時期が早過ぎると、図14に示すように、燃料がシリンダの壁面に付着することによるオイルの希釈や未燃焼の炭化水素化合物(HC)の排出の原因となる。これを抑制するためには、パイロット噴射時にはメイン噴射時より下向きに燃料を噴射してピストンのキャビティ内に留めることが望まれる。
また、特許文献1に記載の技術では、噴孔のノズル軸方向の長さが噴孔の入口から出口に亘って略一定であるので、パイロット噴射時においてもメイン噴射時と同様に燃料が噴孔の中心線方向に噴射される。すなわち、ニードルのリフト量が小さいパイロット噴射においても燃料は下向きに噴射されない。また、特許文献2に記載の技術においても、パイロット噴射時に燃料を下向きに噴射することができない。
本発明の1つの態様は、ノズルボディと、前記ノズルボディ内に配置されたニードル弁と、を備え、前記ノズルボディは、前記ニードル弁の先端との間で空間を形成するサック室と、前記サック室の内壁面から前記ノズルボディの外壁面へ繋がり、前記サック室の壁面に噴孔と、を有し、前記ニードル弁の先端は、前記サック室の入口側内壁に対して略平行な流れ制御部を備え、前記流れ制御部より先端側は先細り形状の先端傾斜部とされ、閉弁時には前記流れ制御部と前記先端傾斜部との交点は前記サック室内に位置し、前記噴孔は、入口側から出口側に向かって噴孔中心軸に対して垂直面内の面積が略一定であると共に、入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った寸法が増加する形状とされていることを特徴とする燃料噴射装置である。
ここで、閉弁時において、前記流れ制御部が前記ノズルボディのシート面を前記サック室の方向に延長した仮想面と交差する構成とされていることが好適である。
また、前記噴孔の入口部の横断面積と出口部の横断面積の差は±20%以内であることが好適である。
また、前記噴孔の入口部における前記ノズル中心軸方向に沿った長さH1とそれに直交する周方向の幅W1のアスペクト比(W1/H1)は0.62以上であることが好適である。
また、前記ノズル中心軸方向への前記噴孔の広がり角(β)は7.5°以上であることが好適である。
また、前記流れ制御部と前記サック室の壁面との間の角度(ψ)は±10°以内であることが好適である。
本発明によれば、ニードル弁のリフト量に応じて噴孔からの燃料の噴射方向を制御し、オイルの希釈や未燃焼の炭化水素化合物(HC)の排出を抑制することができる。
本発明の実施の形態における燃料噴射装置100は、図1の部分拡大縦断面図に示すように、ノズルボディ10及びニードル弁20を備える。図2は、図1におけるラインA−Aに沿った断面図である。図1において、燃料は図面上側(以下、上流側という。)から図面下側(以下、下流側という。)へ供給される。
ノズルボディ10は、略円筒状であり、内部にニードル弁20を収納する空間を有する。ニードル弁20は、ノズルボディ10内に収納され、ノズル中心軸Nに沿って往復運動が可能に配置される。
ノズルボディ10の外壁面側となる先端部は略円錐状に形成され、ノズルボディ10の内壁面は、燃料の流れの上流側が円筒状とされ、下流側が略円錐状に形成される。内壁面の円錐状部はニードル弁20が着座するシート面11とされている。
また、ノズルボディ10のニードル弁20の先端部に対向する部分にはサック室14が形成される。サック室14は、ニードル弁20の先端部において燃料溜まりとなる部分である。サック室14は、例えば、ノズルボディ10の内壁面を半球状に加工して形成された下流側の半球形状部分14aとその上流側に連続して設けられた円筒形状部分14bとを組み合わせた形状を有する。
ニードル弁20は、ノズルボディ10の内壁面と対応する円錐型状に形成される。円錐形状部分の表面は、ノズルボディ10のシート面11に着座するシート部21となる。すなわち、ニードル弁20のシート部21がノズルボディ10のシート面11に押しつけられることによって、ノズルボディ10の内壁面とニードル弁20の外周面とによって形成される燃料供給路からの燃料の供給を止めることができる。
ニードル弁20の先端部は、ノズル中心軸Nを中心軸とした略円筒形状の流れ制御部22が設けられる。流れ制御部22は、サック室14の上流側に設けられた円筒形状部分14bの内壁と略平行な周壁を有する。また、ニードル弁20の先端部の流れ制御部22のさらに先には先細りの円錐台形状のニードル先端傾斜部23が設けられる。
本実施の形態では、シート部21と流れ制御部22とが直線的に交わる交点aを有する。なお、直線的に交わる交点aとせず、燃料のスムーズな流れが形成されるように曲面Rを設ける構成としてもよい。また、流れ制御部22とニードル先端傾斜部23とが直線的に交わる交点bを有する。また、ニードル弁20のシート部21がノズルボディ10のシート面11に着座した状態では、交点bはサック室14内に位置する。
ノズルボディ10のサック室14には、噴孔12が形成される。本実施の形態では、サック室14の下流側の半球形状部分14aに噴孔12が設けられる。噴孔12は、ノズルボディ10の内壁面とニードル弁20の外壁面との間隙を通って供給される燃料を噴霧するための孔である。
噴孔12は、図2の横断面図に示すように、ノズルボディ10の周方向に沿ってノズル中心軸Nから放射状に複数(例えば6〜12個)設けることが好適である。図2では、45°毎に合計8つの噴孔12を設けた例を示している。噴孔12は、サック室14の内壁面に入口が位置し、ノズルボディ10の外周面に出口が位置するように形成される。
噴孔12は、その入口側から出口側に亘って噴孔中心軸Xに対して垂直面内の横断面積は略一定である。後述する噴孔12内での燃料の流れ制御を好適に行うためには、噴孔12の入口部と出口部での横断面積の差は±20%以内、より好適には±10%以内に設定することが好適である。なお、流量係数を大きくするために噴孔12の入口部(サック室14と噴孔12との接続部)を曲面加工してもよい。この場合、曲面加工された部分を除いた範囲内の横断面積が略一定となるようにすればよい。
また、噴孔12は、入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った方向の寸法が増加する形状とされている。すなわち、図3の縦断面拡大図に示すB−Bライン、C−Cライン及びD−Dラインに沿った噴孔12の断面は、図4に示すように、噴孔12の入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った方向(図3中、ノズル中心軸方向と示す)の長さが大きくなり、燃料噴射装置100の周方向(図2中、周方向と示す)の幅が小さくなる。
燃料噴射装置100は、ニードル弁20をノズル中心軸Nに沿って移動させるためのニードル移動機構(図示しない)を備える。ノズルボディ10内を下流方向にニードル弁20を移動させるとシート部21がシート面11に接触する。これによって、燃料噴射装置100は閉弁状態となる。閉弁状態からニードル弁20を上流方向に移動させると、シート部21とシート面11とが離間され、シート部21とシート面11との間隙を通じて燃料がサック室14に供給される。これによって、燃料噴射装置100は開弁状態となる。
以下、ニードル移動機構によって、シート部21がシート面11から十分に離れた状態までニードル弁20が移動(リフト)された状態を高リフト状態と称し、シート部21とシート面11とが近い状態を低リフト状態と称する。
以下、図5及び図6を参照して、パイロット噴射時及びメイン噴射時における燃料噴射装置100の作用を説明する。
(1)ニードル弁20のリフト量が小さく、低リフト状態である場合、燃料噴射装置100はパイロット噴射状態となる。パイロット噴射時の燃料の噴射量は通常1〜2mm3と微量である。通常、ニードル弁20が数十μmだけリフトして開弁した状態においてパイロット噴射が行われる。
パイロット噴射の期間中は、図5に示すように、ノズルボディ10のシート面11とニードル弁20のシート部21との間に形成される流路面積がすべての噴孔12の最少流路面積の総和よりも小さい状態、すなわち「シートチョーク状態」で燃料が噴射される。なお、図5において、燃料の流れは太矢印で示している。
図5に示すように、パイロット噴射時には流れ制御部22とニードル先端傾斜部23との交点bがサック室14内に位置する。したがって、シート面11に沿う燃料の流れは流れ制御部22によってサック室14の円筒形状部分14bの内壁に沿う流れとなって噴孔12に流入する。このとき、燃料の慣性によってサック室14内の内壁に沿う流れが噴孔12の噴孔中心軸Xの方向に急変できないので、噴孔12の入口の上側で壁面から剥離し、噴孔12の下側壁面に沿う流れが形成される。噴孔12に流入した燃料は出口まで略一定流速で流れる。このとき、噴孔中心軸Xに対して垂直面内における燃料の横断面積は略一定であるので、噴孔12の入口で上側壁面から剥離した燃料は噴孔12の全域を満たすことなく、噴孔12の下側壁面に沿う流れを維持したまま噴孔12の出口から下向きに燃料が噴射される。
すなわち、パイロット噴射時において、燃料の噴射半角は後述するメイン噴射時に比べて小さくなる。ここで、噴射半角とは、噴孔12の出口部における燃料の噴出方向とノズル中心軸Nの間の角度である。
なお、図7に示すように、閉弁状態においてシート面11をサック室14の方向に延長した仮想面Mが流れ制御部22と交差するような構成とすることが好適である。これによって、シート面11からサック室14内に流入する燃料の大部分が流れ制御部22によってサック室14の内壁に沿う流れとなり、噴孔12の入口から下側内壁に向かう燃料の流れを確実に形成できる。
(2)ニードル弁20のリフト量が大きく、高リフト状態である場合、燃料噴射装置100はメイン噴射状態となる。メイン噴射状態では、パイロット噴射状態に比べて燃料の噴射量は多くなる。
メイン噴射の期間中は、図6に示すように、ノズルボディ10のシート面11とニードル弁20のシート部21との間に形成される流路面積がすべての噴孔12の最少流路面積の総和より大きい状態、すなわち「噴孔絞り状態」で燃料が噴射される。なお、図6において、燃料の流れは太矢印で示している。
図6に示すように、メイン噴射時にはニードル弁20のリフト量が大きく、流れ制御部22とニードル先端傾斜部23との交点bがサック室14の外に位置する。このとき、シート面11に沿う燃料の流れは流れ制御部22によって大きく変えられることなく、慣性によって噴孔12に対して噴孔中心軸X方向に流入する。そのため、パイロット噴射状態のように噴孔12の内壁に沿う流れが強い場合と比べて、噴孔12の上側に流入する燃料の曲がりが緩やかとなり、噴孔12の入口の略全域から燃料が流入する。噴孔12の入口から出口に亘って噴孔中心軸Xに対して垂直面内の横断面積が略一定であり、噴孔12内を流れる燃料の速度も略一定であるので、噴孔12の入口から出口に至るまでの略全域が燃料で満たされた状態で流れる。噴孔12は、上記説明のように、入口から出口に向かってノズル中心軸方向に拡大しており、これに伴って燃料もノズル中心軸方向に拡がりながら噴孔12の出口から噴出される。したがって、燃料室内においてノズル中心軸方向に高分散化された燃料の噴霧が形成される。
ここで、上述のように、噴孔12は、その入口側から出口側に亘って噴孔中心軸Xに対して垂直面内の横断面積は略一定とし、噴孔12の入口部と出口部での横断面積の差は±20%以内、より好適には±10%以内に設定することが好適である。これは、例えば、噴孔12の入口から出口に向かって横断面積が減少するような構成とした場合、メイン噴射時に噴孔12の全域が燃料で満たされ易くなるが、パイロット噴射時においても噴孔12内で燃料が上側に拡がり易くなってしまうからである。一方、噴孔12の入口から出口に向かって横断面積が増加するような構成とした場合、反対にメイン噴射時には噴孔12の上側で燃料の流れが剥離し易くなり、燃料の高分散化の効果が小さくなってしまうからである。これに対して、上記好適な条件では、パイロット噴射時における下向き噴射とメイン噴射時における広角噴射を併せて実現することができる。
なお、ノズルボディ10の内壁と噴孔12の入口との接続箇所が鋭角である場合、噴孔12の入口部上側で燃料の流れが剥離し易くなる。そこで、上述のように、流量係数を大きくするために噴孔12の入口部(サック室14と噴孔12との接続部)を曲面加工してもよい。これにより、噴孔12の入口部上側で燃料の流れの剥離を抑制することができる。
このとき、噴孔12の入口部における燃料の流れの剥離が小さい場合にはコアンダ効果により流れが噴孔12の上側に再付着し、噴孔12の出口全域から燃料を噴射させることができる。したがって、コアンダ効果が生ずる程度に噴孔12の入口付近を曲面加工すれば、研磨に掛かる加工時間を短縮できると共に加工コストも削減することができる。なお、噴孔12の入口部を曲面加工せず、鋭角のままにしたとしても、例えば噴孔12の出口まで噴孔12の上部から燃料の流れが剥離した状態であったとしても従来に比べて燃料はノズル中心軸方向に高分散化されて噴射される。
また、ニードル弁20がノズルボディ10に着座している状態において、流れ制御部22とニードル先端傾斜部23とが直線的に交わる交点bを含むノズル中心軸Nに対する垂直面が噴孔12の入口の開口部と重ならないような構成とすることが好適である。ここで、噴孔12の入口の開口部は曲面加工されていない部分を意味するものとする。これによって、噴孔12の入口で燃料の流れが剥離するパイロット噴射状態を短く設定でき、メイン噴射時に要求される高分散化された噴霧の期間を長くすることができる。
図8(a)は、パイロット噴射時、すなわちニードル弁20のリフト量が小さく、流れ制御部22とニードル先端傾斜部23との交点bがサック室14内に位置する時における燃料の流れを示す。パイロット噴射時においては、噴孔12の入口の上側で燃料の流れが壁面から剥離し、噴孔12の下側の壁面に沿うような流れとなる。図8(b)は、メイン噴射時、すなわちニードル弁20のリフト量が大きく、流れ制御部22とニードル先端傾斜部23との交点bがサック室14外に位置する時における燃料の流れを示す。メイン噴射時においては、噴孔12の入口の略全域から燃料が流入し、噴孔12の入口から出口に至るまでの略全域が燃料で満たされた状態で流れ、ノズル中心軸方向に拡がりながら噴孔12の出口から燃料が噴出される。具体的には、噴孔12の入口の上側に小さな流れの剥離がみられるものの、その下流において流れは壁面に再付着して噴孔12の出口部の全域から燃料が流出している。その結果、高分散の噴霧を得ることができる。
なお、従来の燃料噴射装置では、ニードルのリフト量が小さいときには、図9に示すように、サック室の底面付近から噴孔の入口に向かう斜め上向きの燃料の流れができる。したがって、燃料は噴孔の上面に沿って流れて、そのまま上向きに噴射される。
次に、噴孔12の好適な構成について説明する。図10は、噴孔12の断面形状の変形例を示す。図10は、図3の縦断面拡大図に示すB−Bライン、C−Cライン及びD−Dラインに沿った噴孔12の断面形状の変形例を示している。変形例1は端部が円形に加工された噴孔12の例、変形例2は隅部が曲線に加工された噴孔12の例、変形例3は楕円状に加工された噴孔12の例である。いずれの変形例においても噴孔12の入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った方向(図3中、ノズル中心軸方向と示す)の長さが大きくなり、燃料噴射装置100の周方向(図2中、周方向と示す)の幅が小さくなる。また、いずれの変形例においても噴孔12の入口側から出口側に向かって横断断面積は略等しくされている。
噴孔12の入口部の長さH1(ノズル中心軸方向)と幅W1(周方向)の比(アスペクト比=W1/H1)について検討する。図11は、ニードル弁20のリフト量が十分に大きい噴孔絞り状態での噴孔12の入口における噴孔12の形状のアスペクト比(W1/H1)と流量係数との関係を示す。図11の縦軸はアスペクト比=1の場合の流量係数で正規化して表している。なお、流体研磨等で噴孔12の入口部を曲面加工したものについては加工前の噴孔12の入口形状でのアスペクト比で表している。流量係数は、噴孔12の入口部に20μmの曲面加工を行った形状を対象にして数値計算した結果である。
図11によれば、アスペクト比(W1/H1)が1より小さくなると流量係数が大きく変化することが分かった。ニードル弁20のリフト量が十分に大きい噴孔絞り状態では、噴射率(単位時間当たりの燃料噴射量)を高めるために大きな流量係数が望まれる。この観点から、アスペクト比(W1/H1)を0.62以上に設定することが好適であり、1に設定した場合に比べて流量係数の低下は10%以下に抑えることができる。さらに、流量係数の低下を5%以内に抑えるにはアスペクト比(W1/H1)を0.78以上に設定することが好適である。
また、予混合圧縮自着火燃焼(PCCI燃焼:Premixed Charge Compression Ignition)では、従来の拡散燃焼時と比較して早期に燃料を噴射し、予混合化した後に燃焼させる。そのため、早期パイロット噴射時の場合と同様に燃料のシリンダ壁面への付着に起因するオイル希釈や未燃焼の炭化水素化合物(HC)の排出を抑制するには、従来の拡散燃焼の場合と比較して下向きに燃料を噴射することが望まれる。予混合圧縮自着火燃焼は、比較的にエンジンの運転負荷が小さい(燃料噴射量が比較的に少ない)領域で適用されるため、ニードル弁20のリフト量が比較的に小さく、燃料噴射装置100では下向きに燃料が噴射される。なお、さらに運転負荷が高い領域まで予混合圧縮自着火燃焼させるために、さらに多くの燃料噴射量を下向き噴射することが要求される場合には、下向き噴射が確保されるニードル弁20のリフト量が小さい状態での噴射を複数回行う、又は、ニードル弁20のリフト量が小さい状態で保持できる可変ニードルリフトインジェクタに燃料噴射装置100を装着するとよい。
図12は、噴射時期を−35°ATDCと−40°ATDCに設定した場合の予混合圧縮自着火燃焼におけるノズル中心軸方向への噴孔広がり角(β)と未燃焼の炭化水素(HC)との関係を示す。なお,図中の角度α2は従来のホールノズルを使用した場合の従来の拡散燃焼時に適した燃料噴射方向角度に設定した。噴射時期が−35°ATDCの場合と比較して−40°ATDCの場合の方が噴孔広がり角(β)に対する未燃焼の炭化水素化合物(HC)の変化が大きいが,噴孔広がり角(β)を増加させれば未燃焼の炭化水素化合物(HC)を抑制できることが分かった。この結果から、シリンダ壁面への燃料付着に起因する未燃焼の炭化水素化合物(HC)の低減に対して、噴孔広がり角(β)を7.5°以上に設定することが好適であり、さらには15°以上に設定することが好適である。
流れ制御部22とサック室14内の壁の間の角度(図13のψ)が大きくなると、燃料がサック室14の底面付近まで流れ、そこから噴孔12の入口に向かう斜め上向きの流れが強くなる。そこで、流れ制御部22の角度(ψ)は±10°以内とすることが好適であり、さらに±5°以内とすることがより好適であると推定される。
以上のように、本発明の実施の形態における燃料噴射装置100によれば、ニードル弁20のリフト量に応じて噴孔12からの燃料の噴射方向を制御することができる。これによって、燃料のオイル希釈や未燃焼の炭化水素化合物(HC)の発生を抑制することができる。また、本発明の実施の形態における燃料噴射装置100は、非常に簡単な構造であるため、高い加工精度を必要とすることなく、加工時間や製造コストを低減することができる。また、ニードル弁20の機械的強度を損なうことなく、耐久性に優れた燃料噴射装置100を提供することができる。
10 ノズルボディ、11 シート面、12 噴孔、14 サック室、14a 半球形状部分、14b 円筒形状部分、20 ニードル弁、21 シート部、22 流れ制御部、23 ニードル先端傾斜部、100 燃料噴射装置。
Claims (6)
- ノズルボディと、前記ノズルボディ内に配置されたニードル弁と、を備え、
前記ノズルボディは、前記ニードル弁の先端との間で空間を形成するサック室と、
前記サック室の内壁面から前記ノズルボディの外壁面へ繋がり、前記サック室の内壁に噴孔と、を有し、
前記ニードル弁の先端は、前記サック室の入口側内壁に対して略平行な流れ制御部を備え、前記流れ制御部より先端側は先細り形状の先端傾斜部とされ、
閉弁時には前記流れ制御部と前記先端傾斜部との交点は前記サック室内に位置し、
前記噴孔は、入口側から出口側に向かって噴孔中心軸に対して垂直面内の面積が略一定であると共に、入口側から出口側に向かってノズル中心軸方向に沿った寸法が増加する形状とされていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置であって、
閉弁時において、前記流れ制御部が前記ノズルボディのシート面を前記サック室の方向に延長した仮想面と交差する構成とされていることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1又は2に記載の燃料噴射装置であって、
前記噴孔の入口部の横断面積と出口部の横断面積の差は±20%以内であることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記噴孔の入口部における前記ノズル中心軸方向に沿った長さH1とそれに直交する周方向の幅W1のアスペクト比(W1/H1)は0.62以上であることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記ノズル中心軸方向への前記噴孔の広がり角(β)は7.5°以上であることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記流れ制御部と前記サック室の壁面との間の角度(ψ)は±10°以内であることを特徴とする燃料噴射装置。
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Cited By (3)
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JP7432493B2 (ja) | 2020-12-11 | 2024-02-16 | 株式会社クボタ | 電子燃料噴射式ディーゼルエンジン |
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