JP2019082403A - 検査装置および検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査部と検査対象物を測定期間中、常に接触させていなくても、信頼性の高い検査を行うことができる検査装置および検査方法を提供する。【解決手段】移動体1には、投光部13を有するカメラ部10と、接触部32を有する接触検査部が備えられている。カメラ部10は、投光部13より検査対象である壁面100に投光し、カメラ部10の撮像部は壁面100からの反射光を受光して画像データに変換し、画像データに基づいて検査対象物における測定可能な部分部を候補位置として検出する。候補位置を検出すると、接触部32のセンサ部は壁面100に接触して超音波により壁面100の腐食状態を検出する。【選択図】 図2
Description
本発明は、壁面等の検査対象物の腐食等の劣化状態を検査する接触検査部が備えら、移動体によって移動可能な検査装置および検査方法に関する。
壁面やパイプ等の金属製やコンクリート製の検査対象物は、長年使用していると次第に腐食等の劣化が進むことから、劣化状態を検査し、必要に応じて補修することが知られている。例えば、特許文献1には、管の径方向に変位可能で管の内周面に常時接触するように付勢された案内部と、案内部の径方向変位と連動するように基台に支持された送信探触子及び受信探触子とを備え、管内を走行しながら、超音波を用いて壁面の腐食状態を検査する管内走行超音波装置が開示されている。
上述したような壁面等を超音波を用いて検査する場合には、検査部(探触子)を壁面に接触させないと超音波が対象物に効率よく伝播せず、腐食状態を的確に検出できない。そのため、信頼性の高い検査を行うために接触子を測定を行う期間、接触させる必要がある。しかし、壁面等の検査対象物の腐食状態によっては表面が凹凸形状となって一般に平面とはならず、腐食状態に応じて測定に好適な箇所は検査の都度変動することから、検査部を検査対象物の状況に係わらず常に接触させることは困難である。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、検査部と検査対象物を測定期間中、常に接触させていなくても、信頼性の高い検査を行うことができる検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため第1の発明に係る検査装置は、移動体と、上記移動体に搭載され、検査対象物の画像データを取得する撮像部と、上記画像データに基づいて、上記検査対象物における測定可能な面積の部分を一つ又は複数の候補位置として検出する候補検出部と、上記検査対象物の状態を検査する接触検査部と、を具備し、上記候補検出部によって検出された上記候補位置に接触検査部を接触させる。
第2の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、接触媒体を上記検査対象物上に供給する供給部と、を有し、上記供給部による上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記接触検査部の間に介在させる。
第3の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、接触検査がNGとなった時に、接触したまま、ずらして測定する。
第3の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、接触検査がNGとなった時に、接触したまま、ずらして測定する。
第4の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記候補検出部によって上記候補位置として検出された候補位置において、上記接触検査部による検査が不能であった場合には、上記接触検査部は上記検査対象物における複数の候補位置における次の候補位置で検査を行う。
第5の発明に係る検査装置は、上記第4の発明において、上記次の候補位置は、検査不能のであった候補位置から上記移動体で移動可能な小移動した位置である。
第6の発明に係る検査装置は、上記第4の発明において、上記接触検査部による検査が不能であった場合には、測定位置の近傍で検査を行った検査結果に基づいて、測定位置における検査を予測して上記接触検査部による検査を行う。
第5の発明に係る検査装置は、上記第4の発明において、上記次の候補位置は、検査不能のであった候補位置から上記移動体で移動可能な小移動した位置である。
第6の発明に係る検査装置は、上記第4の発明において、上記接触検査部による検査が不能であった場合には、測定位置の近傍で検査を行った検査結果に基づいて、測定位置における検査を予測して上記接触検査部による検査を行う。
第7の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記候補検出部は、上記検査対象物に投光し、上記検査対象物からの反射光を上記撮像部で受光し、上記画像データに基づいて上記検査対象物における測定可能な部分を候補位置として検出する。
第8の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記接触検査部は、上記検査対象の接触面が斜めの際に、上記接触面に対して垂直にセンサ部を当て付ける機構を有する。
第9の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記接触検査部は、上記移動体と上記検査対象物が正対しなくても、上記検査対象物と上記接触検査部内のセンサの位置が正しい位置に保持される機構を有する。
第10の発明に係る検査装置は、上記第1乃至第9の発明において、上記候補位置は、上記検査対象物の全周囲において所定間隔となるよう設定され、上記移動体は、上記接触検査部による検査データを出力する。
第8の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記接触検査部は、上記検査対象の接触面が斜めの際に、上記接触面に対して垂直にセンサ部を当て付ける機構を有する。
第9の発明に係る検査装置は、上記第1の発明において、上記接触検査部は、上記移動体と上記検査対象物が正対しなくても、上記検査対象物と上記接触検査部内のセンサの位置が正しい位置に保持される機構を有する。
第10の発明に係る検査装置は、上記第1乃至第9の発明において、上記候補位置は、上記検査対象物の全周囲において所定間隔となるよう設定され、上記移動体は、上記接触検査部による検査データを出力する。
第11の発明に係る検査装置は、移動体と、検査対象物の状態を検査する接触検査部と、接触媒体を上記検査対象物上に供給する供給部と、を有し、上記供給部による上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記検査対象物の間に介在させる。
第12の発明に係る検査装置は、上記第11の発明において、上記供給部は、バルーン内に上記接触媒体を充填し、上記接触媒体を充填した上記バルーンを上記接触検査部と上記接触検査部の間に介在させる。
第12の発明に係る検査装置は、上記第11の発明において、上記供給部は、バルーン内に上記接触媒体を充填し、上記接触媒体を充填した上記バルーンを上記接触検査部と上記接触検査部の間に介在させる。
第13の発明に係る検査方法は、移動体と接触検査部が搭載され、移動可能な検査装置における検査方法において、検査対象物における測定可能な部分を候補位置として検出し、検出された上記候補位置において、上記接触検査部を上記検査対象物に接触させ、上記検査対象物の状態を検査する。
第14の発明に係る検査方法は、上記第13の発明において、検査対象物の画像データを取得し、該画像データに基づいて、上記検査対象物の候補位置を検出する。
第15の発明に係る検査方法は、上記第13の発明において、上記候補位置において、接触媒体を上記検査対象物に供給し、上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記検査対象物の間に介在させる。
第16の発明に係る検査方法は、上記第13の発明において、上記接触検査部を上記検査対象物に接触させる際に、上記検査対象物の接触面が斜めになっている場合には、上記接触面に対して垂直に上記接触検査部のセンサ部を当て付けるようにする。
第15の発明に係る検査方法は、上記第13の発明において、上記候補位置において、接触媒体を上記検査対象物に供給し、上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記検査対象物の間に介在させる。
第16の発明に係る検査方法は、上記第13の発明において、上記接触検査部を上記検査対象物に接触させる際に、上記検査対象物の接触面が斜めになっている場合には、上記接触面に対して垂直に上記接触検査部のセンサ部を当て付けるようにする。
本発明によれば、検査部と検査対象物を測定期間中、常に接触させていなくても、信頼性の高い検査を行うことができる検査装置および検査方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態として壁面等の検査対象物の腐食等の劣化状態を検査する検査システムに本発明を適用した例について説明する。本実施形態に係る検査システムは、移動体に移動部、カメラ部および検査部が設けられており(例えば、図1Aの移動体1に設けられた接触検査部30およびカメラ部10参照)、投光部13からの投射光の壁面からの反射光を測定することにより、壁面が平面であるか凹凸面であるかを判定し、この判定結果に基づいて、壁面の検査箇所の候補を抽出する(例えば、図4〜図7、図8のS3〜S19参照)。
また、本実施形態に係る検査システムは、壁面に向けて接触媒質を塗布し、この接触媒質を介して壁面の検査を行う(例えば、図11〜図14、図15のS78等参照)。さらに、本実施形態に係る検査システムは、接触検査部が壁面と垂直に当て着くための機構を有する(例えば、図16参照)。なお、本実施形態に係る移動体は、無人航空機、いわゆるドローンを用いた例について説明するが、移動体としては、ドローンに限らず地上走行タイプの移動体等、種々の移動体に適用可能である。
図1Aおよび図1Bを用いて、本実施形態に係る検査システムの電気的構成を説明する。この検査システムは、移動体1と操縦部40とからなり、また移動体1は、カメラ部10、移動部20、および接触検査部30を有する。
移動部20は、カメラ部10および接触検査部30を載せ、空中を移動自在に移動することができる。移動部20は、制御部21、レーダ27a、推進部22、電源28、空間情報部27、位置・方位判定部25、高度・姿勢判定部24、記録部26、通信部23a、および時計部29を有する。
レーダ27aは、電波を発射し、その反射波を測定することにより、移動体1の周囲に存在する物体までの距離や方向を測定する。測定結果は、制御部21に出力する。電源28は、電源電池を有し、移動体1内に電源を供給する。なお、移動体1の移動範囲が限られている場合には、地上からケーブル等を用いて給電するようにしてもよい。
推進部22は、ロータおよびロータの駆動機構を有し、制御部21からの指示に応じて、空中を飛行する。本実施形態においては、推進部22は、図2等に示すように、4つのロータ(回転翼)22aを有するが、3つ以上のロータを有すればよく、5つ以上のロータを有するようにしても勿論構わない。移動体1は、複数のロータを同時にバランスよく回転させることによって飛行する。上昇・下降はロータの回転速度(回転数)の増減によって行い、前進・後進・旋回などは、各ロータの回転数に差をつけ、機体を傾けることで行う。
空間情報部27は、カメラ部10および/またはレーダ27aからの情報に基づいて、移動体1の周囲の物体(障害物や検査対象物)の方位・角度等の情報を検出する。位置・方位判定部25は、移動体1の現在位置、および移動方向を判定する。現在位置はGPS(Global Positioning System)やビーコン等によって判定する。高度・姿勢判定部24は、移動体1の高度および傾き等の姿勢を判定する。高度は図示しない高度計等による検出結果に基づいて判定する。
記録部26は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを有し、制御部21等におけるプログラム、各種調整値等を記憶している。また記録部26は、移動部20の各種制御情報の記録も行い、またカメラ部10で撮影した画像の画像データ、また画像データに基づいて抽出された検査候補位置等、および接触検査部30における検査結果等も記録する。
時計部29は、日時情報を生成する。この日時情報は、記録部26において各種データ等を記録する際に、各種データに関連付けて記録される。
通信部23aは、通信回路を有し、操縦部40内の通信部43bと通信を行う。通信部23aから通信部43bに送信される情報としては、移動体1の状態情報がある。状態情報としては、例えば、移動体1の飛行に関する情報、カメラ部10において取得した情報、接触検査部30において取得した検査情報等がある。また、通信部43bから通信部23aに送信される情報としては、制御信号がある。制御信号としては、操縦者が操縦部40を手動操作した際の制御信号、また操縦者が移動体1の飛行前に予め設定した自動操縦のための制御信号、自動操縦中に手動操縦に切り換えた際の制御信号等がある。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサで構成される。制御部21内に、記録部26に記憶されるプログラムを記憶するようにしてもよい。制御部21は、移動部20内の各部の制御を行い、またカメラ部10および接触検査部30とも通信制御部21fを介して、制御を行う。
移動判定部21dは、操縦部40からの制御信号または予め記録してある自動操縦情報、および位置・方位判定部25等からの各種情報に基づいて、移動体1の移動方向等の判定を行う。この判定結果は方向制御部21b等に出力する。
姿勢判定部21eは、操縦部40からの制御信号または予め記録してある自動操縦情報、および高度・姿勢判定部24等からの各種情報に基づいて、移動体1の姿勢等の判定を行う。この判定結果は姿勢制御部21c等に出力する。
推進制御部21a、方向制御部21b、および姿勢制御部21cは、推進部22の駆動制御を行う。すなわち、移動判定部21dおよび姿勢判定部21eからの判定結果に基づいて、推進部22の複数のロータを制御することにより、移動体1の移動方向制御および姿勢制御を行う。
電源判定部21gは、電源28の電源状態を判定する。例えば、供給電圧を一定電圧となるように調整する。また、電源電圧が規定電圧以下になった場合に等には、警告を発し、通信部23a等を通じて操縦部40を操作する操縦者に告知する。
通信制御部21fは、移動体1内における通信の制御を行う。すなわち、移動部20内の制御部21と、カメラ部10内のカメラ制御部11および接触検査部30内の接触検査制御部31との間で、通信を行う。
カメラ部10は、カメラ制御部11、撮像部12、および投光部13を有する。カメラ部10は、撮像部12によって検査対象物等の画像データを取得し、この画像データを操縦部40に送信し、表示部46に検査対象物の表示を行う。また、画像データに基づいて、壁面が平面か凹凸面等の画像の特徴を判定し(後述する図4および図5参照)、また壁面までの距離を測定する(図6および図7参照)。
撮像部12は、光学系12bの他、撮像素子、撮像制御回路等を有する。光学系12bは、検査対象等の画像を結像する。撮像素子は結像された画像の画像データを取得し、カメラ制御部11内の画像処理部11bに出力する。撮像部12は、移動体に搭載され、検査対象物の画像データを取得する撮像部として機能する。
投光部13は、LED等の投光素子および投光光学系13aを有し、検査対象等に投光する。撮像部12は、検査対象からの反射光を受光し、この反射光に基づく画像データは、画像処理部11bに出力され、壁面が平面か凹凸面かが判定される。この判定については、図4ないし図7を用いて後述する。
カメラ制御部11は、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサで構成される。周辺回路として、CPUを動作させるプログラムを記憶する。制御部11は、移動部20内の制御部21からの制御信号に応じて、カメラ部10内の各部の制御を行う。
カメラ制御部11は、画像処理部11b、画像特徴検出部11c、投光制御部11d、距離判定部11e、および通信部(不図示)を有する。これらの各部は、ハードウエア回路によって実現してもよいが、本実施形態においては、その一部をプログラムとCPUによってソフトウエア的に実現する。
カメラ制御部11は、画像データに基づいて、検査対象物における平坦部等の測定可能な面積の部分を一つ又は複数の候補位置として検出する候補検出部として機能する。候補検出部によって上記候補位置として検出された候補位置において、接触検査部による検査が不能であった場合には、接触検査部は検査対象物における複数の候補位置における次の候補位置で検査を行う(例えば、図2(c)、図10BのS79参照)。
次の候補位置は、検査不能のであった候補位置から移動体で移動可能な小移動した位置である(例えば、図10BのS79参照)。ここで、小移動とは、例えば、測定時にカメラ部10にて撮影される画像の撮影範囲内となる距離程度の移動の中で、かつ、移動しやすい位置に向かう移動を意味する。つまり、各種移動体には、移動手段が異なる推進制御部がある上、接触型の検査などでは、対象部位への接近の仕方にも制約があるので、それらを考慮した移動でなければ現実的ではない。位置制御の分解能が移動メカの制御の分解能より小さい場合は制御が出来ない。例えば移動体がドローンの場合では、接触したままで長く移動するとセンサ部がこすれて破壊されてしまう可能性があり、1回接触した部位から離れて、前後左右に動いた後、再度、近傍に接触して再検査(Uターン再検査)という動きになる。この場合には、位置精度上の制約を受けるので、最も近い候補位置よりも、誤差の範囲を許容する候補位置を目標にした方が良い場合もあれば、数ミリ、数センチ程度であれば、本実施形態にて説明している接触部位に塗布された接触媒体の潤滑効果で、そのままずらして測定を行ってもよい。この接触媒体も量の限りがある上、接触部の凹凸も様々であるため、それらを考慮して、このずらし再検査を行うことが好ましい場合がある。ずらし再検査がうまく行かない時に、上述したようなUターン再検査を行っても良い。また、画像で候補位置を決める時に、このずらし再検査が出来そうな、比較的広い面積で面の状態が類似の部分を選ぶようにしてもよい。また、接触検査がNGであった場合には、センサ部を接触させたまま、接触媒体の潤滑で、ずらしてから測定するようにしてもよい。
画像処理部11bは、撮像部12から画像データを入力し、各種画像処理を施す。画像特徴検出部11cは、投光部13による投光時に撮像部12によって取得された画像データに基づいて、壁面が平面であるか凹凸面であるかを判定する。その他、検査対象となる面の画像の特徴を検出する。
投光制御部11は、検査対象となる壁面が平面であるか凹凸面であるかを判定する際に、投光部13の投光制御を行う。距離判定部11eは、投光時に壁面からの反射光を検出することにより、移動体1から壁面までの距離を測定する。図4等を用いて後述するように、投光部13と撮像部は、図2(a)の鉛直方向Gにオフセットさせた配置となっており、投光された領域の像の位置関係を、三角測距法により評価することで壁面までの距離を測定することができる。また、コントラスト法によって相対的な距離を測定するようにしてもよい。
接触検査部30は、接触検査制御部31、接触部32、および補助部33を有する。接触検査部30は、超音波等を用いて、壁面等の検査対象物の腐食等の劣化状態を検査する。また、接触部32のセンサが検査しやすくなるように、対象物の壁面とセンサ部32bの間に接触媒質を塗布するための装置(補助部33)や、移動体1と対象物の壁面とがほぼ垂直でない場合でも、センサ部32bがほぼ垂直で壁面に接するようにするため機構(補助部33)が備えられている。接触検査部30は、検査対象物の状態を検査する接触検査部として機能する(例えば、図2、図9のS35〜S43参照)。検査対象物の検査にあたっては、候補検出部によって検出された候補位置に接触検査部を接触させる(図10BのS75、S77参照)。また、候補位置は、検査対象物の全周囲において所定間隔となるよう設定され、移動体は、接触検査部による検査データを出力する。
接触部32は、超音波の発信源、超音波センサ部(超音波探触子)32b、超音波信号処理回路等を有し、対象物に超音波を投射し、対象物からの反射音を受信し、受信信号を信号処理部31bに出力する。後述するように、接触検査制御部31は受信した信号に基づいて検査対象物の厚さ等(例えば、図2(a)に示す厚さTh参照)を測定し、また腐食状態等の内部状況の可視化等を行う。接触部32は、伸縮機構を有するようにしてもよい。この場合、補助部33によって接触媒体を吐出した後、接触部32を伸ばし、接触部32を検査対象物に押し付けるようにしてもよい。
補助部33は、対象物と超音波センサ部(超音波探触子)32bの間に必要最小限の接触媒質を供給する機構である(図3参照)。また補助部33は移動体1が対象物と正対しなくても、対象物と超音波センサ部32bの位置関係が正対状態を保持する機構を有していてもよい(図16参照)。これらの機構の全てを保持しなくてもよく、いずれか一方でもよく、両方とも省略してもよい。
補助部33は、接触媒体を検査対象物上に供給する供給部として機能する。供給部による接触媒体の供給後に、接触媒体を検査対象物の間に接触させるように移動を行い、接触媒体を接触検査部と接触検査部の間に充填する(例えば、図3、図9のS37、S39、図11〜図14、図15のS78参照)。また、供給部は、バルーン内に接触媒体を充填し、接触媒体を充填したバルーンを接触検査部と接触検査部の間に介在させるようにしてもよい(例えば、図13、図14、図15参照)。
なお、補助部33は、接触媒体を検査対象物に直接供給するのではなく、検査媒体をセンサ部32b(探触子)の先端に供給し、その後、探触子を検査対象に接触させるようにしてもよい。この方法によれば、(1)塗布する箇所のばらつき、塗布の失敗が減る為、測定の失敗が減り、また(2)塗布面積が最小限で済み接触媒体の供給が少なくて済む為、検査時間が長くなる、という利点がある。
接触検査制御部31は、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサで構成される。周辺回路として、CPUを動作させるプログラムを記憶する。接触検査制御部31は、移動部20内の制御部21からの制御信号に応じて、接触検査部30内の各部の制御を行う。
接触検査制御部31は、信号処理部31b、発信制御部31c、補助制御部31d、測定データ化部31e、および接触判定部31fを有する。これらの各部は、ハードウエア回路によって実現してもよいが、本実施形態においては、その一部をプログラムとCPUによってソフトウエア的に実現する。
信号処理部31bは、信号処理回路を有し、センサ32bからの超音波信号を処理する。発信制御部31cは、発信制御回路を有し、接触部32内の超音波の発信源における発振制御を行う。測定データ化部31eは、信号処理部31bによって信号処理された超音波信号に基づいて対象物の内部状況、例えば、検査対象物の厚み(例えば、図2(a)に示す厚さTh参照)を測定し、また腐食等の劣化領域を可視化した等の測定データを生成する。
接触判定部31fは、対象物との接触面が腐食等により斜めになっていても、センサ部32bが垂直に当て着くことができるように、接触状態を判定する。補助制御部31dは、補助部33における動作を制御する。補助部33は、対象物と超音波センサ部(超音波探触子)32bの間に接触媒質を供給する機構であり、この機構を有する場合には、接触媒質の供給制御を行う。また、補助部33は対象物と超音波センサ部32bの位置関係が正対状態を保持する機構であり、この機構を有する場合には、接触判定部31fの判定に基づいて、機構の制御を行う。
操縦部40は、操縦者がドローン等の移動体1を遠隔から操作するための操作装置である。操縦部40は、制御部41、通信部43、通信部43a、操作部45、表示部46、および記録部47を有する。
通信部43は、通信回路を有し、移動体1内の通信部23aと通信を行う。この通信としては、無線操縦を行うための制御信号、また移動体に自動操縦を行わせるための制御信号、また移動体1からの画像データ、超音波信号を用いて行った検査データ等がある。通信部43bは、ネットワーク50との通信を行う。
操作部45は、移動体1内の移動部20による無人飛行を行うための操作部材である。表示部46は、移動体1を操作・制御するためのメニュー画面、カメラ部10からの画像データに基づく対象物等の画像、接触検査部30による測定データに基づく画像等を表示する。記録部47は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを有し、対象物の画像データ、接触検査による測定データ等を記録する。
ネットワーク50を介して、外部のサーバ等と通信を行うことができ、外部サーバ等に計時記録部51を設けておく。計時記録部51は、日時情報等を記録でき、また対象物の画像データ、接触検査による測定データ等も記録可能である。
次に、図2を用いて、本実施形態における超音波を用いた検査について説明する。図2(a)は、移動体1が検査対象物100の壁面100aに近づき、検査候補であるか否かを判定している様子を示す。図2(a)において、矢印Gは鉛直方向(重力方向)を示し、矢印Dは検査対象物100である壁の厚さを示す。壁の厚さは計測対象である。
移動体1には壁面100aの画像データを取得用の撮像部12を有するカメラ部10と、投光部13が設けられている。投光部13によって壁面100aに投光し、撮像部12の撮像素子が壁面100aからの反射光を受光し、画像データを生成する。カメラ10の光学系12b(受光用)の光軸Oおよび光源である投光部13の投光光学系13aの光軸は(図4および図5参照)、図2(a)の移動体1の本体の鉛直方向Gに対し、いずれも垂直となる向きに設定されている。これにより、カメラ部10の光軸に対し、壁面100aが略垂直となる場合に、候補位置とすることが可能となる。検査候補として適切か否かの判定方法については、図4および図5を用いて後述する。
移動体1の近傍の壁面100aが検査候補に決まると、図2(b)に示すように、接触移動を行う。すなわち移動体1のセンサ部32は検査対象物100の壁面100aに接触するように、壁面100aに向けて移動する。移動体1のセンサ部32は、壁面100aに当て付けられ、超音波を投射し、壁面100aからの反射波を受信する。センサ部32を壁面100aに当て付けるには、移動体1の推進部22によって壁面100a方向に移動させてもよく、また壁面100aまでの距離が短ければ、センサ部32を壁面100a方向に延ばすようにしてもよい。
壁面100aに超音波を発信した場合、検査候補の場所であっても、見込み違いで、実際に測定を行うと検出することができないがある。その場合には、移動体1の位置を移動し、例えば、図2(c)に示すように下降し、次の候補において測定を行う。
本実施形態における超音波測定(超音波厚さ計)では、壁面100aの裏面100bからの音波の反射(時間)を検出し、下記(1)を用いて、検査対象物100の厚さThを測定する。
Th=T・V/2 ・・・(1)
ここで、Tは検査対象物100から反射してくる時間であり、Vは検査対象物の内部の音波の速度である。
Th=T・V/2 ・・・(1)
ここで、Tは検査対象物100から反射してくる時間であり、Vは検査対象物の内部の音波の速度である。
このように、本実施形態においては、移動体1は、検査対象物100である壁面100aの近傍に近づき投光し、壁面100aからの反射光に基づいて検査候補として適切であるか否かを判定する(図2(a)参照)。検査候補として適切と判定すると、超音波接触子を有するセンサ部32を壁面に当て付け測定を行う(図2(b)参照)。測定が上手くいかない場合には、移動体1の位置を移動させて次の候補で測定する(図2(c)参照)。
したがって、本実施形態においては、検査対象物100の表面(壁面100a)腐食の度合いを自動で評価することできる。図2において、腐食の少ないフラット面側から計測できれば計測の失敗は減らせる可能性があります。しかし、測定の制約から、腐食面側から評価しなければならない場合もあります。この場合、従来は人手の目視で確認していたが、本実施形態による測定では、凹凸のある腐食面であっても、良好に評価することができる。
次に、図3を用いて、接触媒質110を供給しながら、超音波による測定を行う場合について説明する。接触媒質(超音波カプラント)は、超音波探触子と検査対象(試験体)との間に充填され、音響エネルギを伝搬しやすくする液体、ゲル、またはペースト状の媒質である。センサ部32bと検査対象物である壁面100の間に塗布、充填することにより、効率よく超音波で測定することができる。
センサ部32の近傍に補助部33が設けられており、この補助部33は接触媒質(カプラント)を、検査対象物と超音波探触子の間に必要最小限の供給する機構を有している。このため、移動体1は壁面に近づくと、図3(a)に示すように、接触媒質110を壁面に向けて吐出する。吐出後に、移動体1はセンサ部32を壁面に当て付けるように壁面に前進すればよい。
また、補助部33のカプラント塗付用の吐出口は、図3(b)に示すように、センサ部32の下側に配置することもできる。この場合には、接触媒質110を吐出後、移動体1を下降させ、下降後に移動体1は前進し、センサ部32を壁面に当て付ければよい。
図3(c)は、接触媒質110を吐出するための補助部33の構成の一例を示す。補助部33は、スリープ33aと、このスリープ33a内に内挿され、矢印A方向に移動可能な探触子33bと、スリープ33a内に接触媒質を供給するためのパイプ33cを有する。パイプ33cを介して接触媒質をスリープ33a内に充填し、探触子33bを矢印Aの右側方向に押し出すことにより、接触媒質を、壁面側に供給することができる。
このように、本実施形態においては、補助部33から接触媒質110を吐出する機構を設けたので、センサ部32と検査対象物の間に接触媒質110を介在させることができ、効率よく超音波で検査することができる。
次に、図4ないし図6を用いて、検査候補として適切か否かの判定方法に説明する。検査候補としては、対象物の表面が平面の方が、凹凸が多い面より適している。凹凸面では表面で超音波が乱反射されてしまい、検査対象物の内部まで超音波が浸透しにくいからである。また、超音波の送信方向が対象物に対して垂直となっていないと、対象物からの反射波を効率よく受信することができない。本実施形態においては、カメラ部10の投光光学系13aの光軸と、接触検査部30の超音波投射の投射軸を平行とし、カメラ部10からの投光の反射光に基づいて、超音波検査の際に対象物の面に対して垂直であるか否かを判定するようにしている。
図4は、検査対象物である壁面101が平坦(平面)の場合を示す。図4(a)において、移動体1の投光部13の投光光学系13aから投射された光束は、平面101によって反射され、撮像素子受光用の光学系12bを介して受光される。図4(b)は移動体1が下降し、この位置から壁面101に投射し、反射光を受光する様子を示す。また、図4(c)は、移動体1が上昇し、この位置から壁面101に投射し、反射光を受光する様子を示す。符号Uは主光線の軌跡を示す。
いずれの場合でも、壁面が平面であれば、投光光学系13aからの平行光束は、反射されても平行光束のままで光学系12bを介して撮像素子で光電変換される。このため、撮像素子から出力される画像信号は一定の強度となる。
これに対して、壁面103が凹凸面であれば、図5(a)に示すように、移動体1の投光光学系13aから投射された光束は、壁面103の凹凸面で乱反射され、撮像素子受光用の光学系12bを介して受光される。図5(b)は移動体1が下降し、この位置から壁面103に投射し、反射光を受光する様子を示す。また、図5(c)は、移動体1が上昇し、この位置から壁面103に投射し、反射光を受光する様子を示す。符号Uは主光線の軌跡を示す。
いずれの場合でも、壁面が凹凸面であれば、投光光学系13aからの平行光束は、乱反射されて光学系12bを介し撮像素子で光電変換される。このため、撮像素子から出力される画像信号は平面の場合に比較して弱くなり、また凹凸の状態に応じた信号値となる。
撮像部12の撮像素子からの信号値に基づいて、検査対象の平面度や、また表面のざらつき具合等を判定することができる。超音波を用いて、検査対象の腐食状態等を判定する場合には、壁面がなるべく平面であることが望ましく、また表面の凹凸が少ない方が正確な検出ができる。そこで、本実施形態においては、検査対象の表面に投光し、検査対象からの反射光に基づいて、検査対象の候補を抽出する(図8のS3〜S19等参照)。すなわち、検査対象の壁面が平面である場合には、反射光に均一光量の部分があり、一方、壁面に凹凸がある場合には、反射光に均一光量の部分がないので、反射光に均一光量の部分があるか否かを判定し、検査対象の候補を抽出する。
図6は、カメラ部10の投光光学系13aの光軸が、検査対象物の壁面105に対して垂直でない場合を示す。図6(a)は、投光光学系13aと壁面105の間の距離がL1の場合である。図6(a)に示す状態において、投光光学系13aからの投射光は、壁面105で反射され、光学系12bを介して撮像素子によって受光される。
図6(b)は、移動体1の投光光学系13aと光学系12bが、そのままの位置関係で下方に移動させた状態を示す。この状態で光学系12bを介して受光する受光量は、図6(a)の場合に比較し、増加する。すなわち、壁面105が傾いており、投光光学系13a等を下方向に移動させると、距離がL1からL2になり近くなる分、光量が増加する。
図6(c)は、移動体1の投光光学系13aと光学系12bが、そのままの位置関係で前方(壁面105側)に移動させた状態を示す。この状態で光学系12bを介して受光する受光量は、図6(a)の場合に比較し、増加する。すなわち、移動体1が壁面105に近づくことにより、距離がL1からL3になり近くなる分、光量が増加する。
このように、本実施形態においては、投光部13の位置を、上下方向に移動し(図6(a)および図6(b)参照)、また投光部13の位置を前後方向に移動し(図6(a)および図6(c)参照)、それぞれの状態で壁面105からの反射光を受光し、この受光量の変化を検出する(図8のS5、S15等参照)。そして、投光部13の位置が変化しても反射光量に変化がない場合に、投光部13の投射方向(言い換えると、センサ部32(超音波センサの探触子)の超音波投射方向)と壁面105の面は垂直であるである。本実施形態においては、検査対象物の測定面とセンサの超音波の投射軸とが垂直となるような状況において、測定を行うので、効率よく、また正確に検査を行うことができる。
次に、図7を用いて、移動体1から検査対象までの距離の測定について説明する。図7は、撮像素子からの画像データに含まれる高周波成分の変化に基づいて、相対的な距離を検出する方法を示す。図7(a)において、投光光学系13aから、検査対象である壁面107(平面)に投光すると、光学系12bを介して反射光を受光する。光学系12bは、反射光を撮像面12cに結像する。今、移動体1が移動し、平面107が相対的に壁面107aに移動したとすると、壁面107aからの反射光の結像位置は撮像面12c’に移動し、撮像面12cにおける画像は、ボケてしまう。
そこで、撮像面12cに撮像素子を配置し、撮像素子からの画像データに含まれる高周波成分を抽出する。そして、この高周波成分の値の変化を検出することにより、移動体1から壁面(平面105)までの相対的距離を検出することができる。また、撮像面12b、12c上でのピント位置がずれことから、三角測距によって、壁面までの距離を測定するようにしてもよい。
次に、図8に示すフローチャートを用いて、カメラ部10の動作について説明する。この動作は、カメラ制御部11内のCPUが記憶部に記憶されたプログラムに従ってカメラ部10内の各部を制御することにより行う。このカメラ部の動作のフローは、主として、センサ部32bが接する面が平坦であり、その面積がセンサ面積より十分広いか否かについて判定し、この結果に基づいて検査対象の候補位置として抽出している(図8のS5、S7,S9等参照)。
また、本実施形態においては、検査対象となる壁面が図2(a)に示した鉛直方向Gと略平行となる箇所を検査対象の候補位置として抽出している。すなわち、図2(a)に示したように、光学系12bの光軸は、あらかじめ、本体の鉛直方向と直交する向きとなるよう配置されており、後述のとおり、壁面が光学系12bの光軸に対し略垂直となる場合に検査対象の候補位置として抽出する(図4、図6、図8のS5、S15、S17、S19参照)。
図8のフローに入ると、まず、位置信号を取得したか否かについて判定する(S1)。後述するように、移動部20内の制御部21は、カメラ部10に対して、現在位置に関する情報を送信する(図10BのS73)。ここでは、移動部20からの現在位置に関する信号を受信したか否かに基づいて判定する。移動部20は、現在位置は、空間情報判定部27および位置・方位判定部25から取得する。
ステップS1における判定の結果、位置信号を取得した場合には、発光および撮像を行う(S3)。図4ないし図7を用いて説明したように、検査対象の壁面状態や、検査対象と接触検査部30との位置関係(超音波の投射軸と壁面が垂直)を測定するために、撮像部12は壁面に向けて投光し、壁面からの反射光の撮像を行う。
撮像を行うと、次に、距離分布、および反射パターンの判定を行う(S5)。ここでは、図4ないし図7を用いて説明したように、検査対象の壁面が平面であるか凹凸面であるか等の壁面状態や、また検査対象と接触検査部の位置関係を検出するために、反射パターンと距離分布について測定を行う。
次に、均一光量部が有るか否かについて判定する(S7)。ここではステップS5における測定に基づいて、検査対象の壁面からの反射光に均一光量の部分があるか否かについて判定する。図4および図5を用いて説明したように、検査対象の壁面が平面である場合には、反射光に均一光量の部分がある。
ステップS7における判定の結果、均一光量部が有る場合には、接触可能面積があるか否かを判定する(S9)。接触可能かどうかは、センサ部の大きさと移動体の位置制御誤差で決まる。その部分で検査ができない場合、接触媒体が塗布される量によっては、左右上下に接触点をずらして測定するだけの面積があれば、再検査が容易になるので、再検査するための余裕を考慮した広めの面積を確保できるように判定してもよい。均一光量部分があっても、接触検査部30のセンサ部32bによって十分接触可能な面積がないと、正確な検査を行うことができない。そこで、このステップでは、ステップS5における測定に基づいて、センサ部32bが十分接触できる程度の面積が平坦であるか否かを判定する。
また、接触可能な面積は、均等な陰影の画像が得られる部位の面積として画像で判定しても良い。例えばレーザーレーダーなどの反射情報を利用して判定してもよい。後述するが、この面積は、再検査する場合などにも有効に使える情報である。もし、検査がうまく出来ない場合は、左右上下にずらした位置で再検査を行うが、あまりにこれが狭いと再検査でうまく測定できる確率が低くなってしまう。
ステップS9における判定の結果、接触可能面積が確保されている場合には、候補部位置を記録する(S11)。このステップでは、接触検査部30の接触部32が接触して検査を行う候補であると判定し、候補位置として記録する。この候補は一点だけだと、やり直しに時間がかかるので、複数点判定し、記憶できた方が良い。つまり、検査NGの時、再度検査面から離れてから再接近する場合、画像判定からやり直す手間が省ける。一点だけの場合は、検査がNGの場合、ずらして測定できるだけの面積がある部分が好ましい。
候補部位置の記録を行うと、次に、位置情報と関連付けを行う(S13)。ステップS1において、位置信号を取得していることから、このステップでは、位置信号と候補部位置の関連付けを行う。
続いて、位置を変化させても撮像素子の出力に変化がないか否かを判定する(S15)。図4および図6を用いて説明したように、移動体1と検査対象である壁面との位置関係を上下方向や前後方向変化しても、反射光のパターンに変化がない場合には、壁面と接触検査部の超音波の投射軸は垂直であるといえる。ここでは、移動部20によって移動体1の位置を変化させ、カメラ部10の撮像部12の出力に変化がないか否かを判定する。
ステップS15における判定の結果、位置を変化させても撮像素子出力に変化がない場合には、候補位置として送信する(S17)。ここでは、移動体1の現在位置が、平坦な壁面であり、また超音波の投射軸が壁面に対して垂直であることから、超音波を用いての検査に適していると判断できる。このため、移動部20の制御部21に、位置情報と関連付けた候補位置を送信する。
一方、ステップS7における判定の結果、均一光量部が無い場合、またはステップS9における判定の結果、接触可能面積がない場合、またはステップS15における判定の結果、位置変化で変化してしまう場合には、候補外位置記録を行う(S19)。ここでは、移動体1の現在位置が超音波を用いての検査に適していない判断できたことから、位置情報と関連付けて、候補として不適であることを記録しておく。再び、候補位置として相応しいか否かについて判定作業を行わないように、記録しておく。
ステップS17において候補位置として送信すると、またはステップS19において候補外位置として記録すると、またはステップS1における判定の結果、位置信号を取得していない場合には、動作終了か否かを判定する(S21)。全ての検査候補を抽出すると、カメラ部の動作は終了する。検査範囲については、予め操縦部40から指示されているので、この範囲について候補となりうるか否かについて判定を行ったか否かについて判定する。
ステップS21における判定の結果、終了でない場合には、ステップS1に戻り、候補位置または候補外であるかの判定を行う。一方、終了の場合には、このフローを終了する。
このように、このカメラのフローにおいては、検査対象である壁面に投光し、壁面からの反射光に基づいて、壁面に平坦部分があり、かつこの平坦部分がセンサ部32bより大きく、検査を行うに十分である位置を候補位置として抽出し、位置情報と関連付けて、移動部20の制御部21に送信する。このため、超音波を用いて検査することに適した部位を抽出し、効率的に測定することができる。なお、本実施形態においては、検査の候補位置として、平坦部を検出している。しかし、これに限らず、多少、凹凸があっても、また傾斜していても、センサ部32bの性能によって十分検査が可能である。そこで、候補位置としては、平坦部に限らず、測定が可能な部分であればよい。
また、候補位置は、検査対象物の全周囲において所定間隔となるよう設定されている。所定間隔としては、例えば、50cmおき、1mおき、10mおき、100mおき等、適宜、検査対象の大きさや、材質等の特徴に応じて、適宜決めればよい。また、移動体は、設定された全候補位置について、接触検査部によって検査を行い、検査データを出力する。
次に、図9に示すフローチャートを用いて、接触検査部30の動作について説明する。この動作は、接触検査制御部31内のCPUが記憶部に記憶されたプログラムに従って接触検査部30内の各部を制御することにより行う。このフローでは、カメラ部10によって候補位置として抽出された部位に達すると、その位置で超音波を用いて検査を行う。
図9のフローに入ると、まず、測定を開始するか否かを判定する(S31)。ここでは、カメラ部10によって候補位置として制御部21に送信された位置に、移動体1があるか否かを判定する。すなわち、移動体1の位置が、超音波を用いて検査を行う候補位置にあるか否かについて、現在位置信号に基づいて判定する。位置情報は、移動部20内の空間情報部27等によって取得された情報に基づいて判定する。
ステップS31における判定の結果、測定を行う位置にあれば、次に、信号送受信および測定を行う(S33)。ここでは、センサ部32bから壁面に超音波を投射し、その反射信号を受信することにより、センサ部32bが壁面に接触しているか否かを判定する。壁面に接触しているか否かを、定期的に監視するようにしている。
続いて、接触信号を受信したか否かを判定する(S35)。ここでは、接触判定部31fがセンサ部32bからの信号に基づいて、壁面に接触したか否かを判定する。センサ部32bが壁面に接触すると、反射信号が変化することから、接触を判定することができる。なお、接触信号は、センサ部32bが壁面に完全に密着しなくてもよい。
ステップS35における判定の結果、接触信号を検出した場合には、接触媒体を供給する(S37)。センサ部32bと壁面の間に接触媒体を介在させると、壁面からの反射信号の強度が強くなる。そこで、図3を用いて説明したように、センサ部32bと壁面の間に、補助部33から接触媒体110を吐出させ、センサ部32bと壁面の間に接触媒体110を介在させる。この接触媒体110は、潤滑剤としても利用が可能で、この潤滑効果によって、センサ部32bを保護することが出来る。例えば、接触媒体が十分な量で、センサを覆っていた場合、壁面に接触したまま、センサをそれに沿ってずらしても良い。これによって、複数のポイントの測定が容易にできる。
接触媒体を供給すると、移動体1は下降しながら、信号送受信と測定を行う(S39)。ここでは、図3を用いて説明したように、センサ部32bと壁面の間に接触媒体110が介在するように、移動体1が下降するように移動部20に要求する。そして、下降しながら、超音波による測定を実行する。
次に、測定がOKか否かを判定する(S41)。ここでは、ステップS39において行った測定で、所定強度の超音波信号を受信できたか否かに基づいて判定する。
ステップS41における判定の結果、測定OKの場合には、位置情報と測定結果の関連付けを行う(S43)。ここでは、壁面の位置に関連付けた測定結果、例えば、位置(x1、y1)における測定結果(例えば、正常または異常)を記録する。
一方、ステップS41における判定の結果、測定がOKでない場合には、位置情報とNG結果の関連付けを行う(S45)。ここでは、カメラ部10によって、候補位置と判定された場合であっても、実際に測定を行った場合に、測定ができない場合がある。ここでは、測定ができなかったことを、例えば、壁面の位置(x1、y1)における測定結果NGのように、記録する。
ステップS43またはS45において、関連付けを行うと、次に、終了か否かを判定する(S47)。ここでは、抽出された全ての検査候補について検査を行うと、接触検査部の動作は終了する。
ステップS47における判定の結果、終了でない場合には、ステップS31に戻り、超音波による検査を行う。一方、終了の場合には、このフローを終了する。
このように、接触検査部は、カメラ部10によって候補として抽出された部位について、超音波による検査を行い、その測定結果と位置情報を関連付けて記録する。抽出された候補を中心に検査を行うことから、効率良く検査を行うことができる。
次に、図10Aおよび図10Bに示すフローチャートを用いて、移動部の動作について説明する。ここでの動作は、移動部20内のCPUが記憶部に記憶されたプログラムに従って移動部20内の各部を制御することにより行う。このフローでは、予め設定された飛行ルートの自動移動プログラムまたは操作者が操縦部40による手動操作に応じて、移動体1を移動させ、またカメラ部10によって候補位置として抽出された部位に向けて移動し、候補位置において、接触検査部30によって超音波を用いて検査を行わせる。
図10Aに示すフローが開始すると、まず、状態判定を行う(S51)。ここでは、高度・姿勢判定部24によって移動体1の現在の高度を検出し、空間情報部27のレーダ等によって周囲の物体(障害物等を含む)を検出し、カメラ部10の撮像部12によって画像データを取得し、また位置・方位判定部25のGPS等によって現在の位置等を検出する。
次に、操縦部からのアクセスを待つ(S53)。ここでは、操作者が、操縦部40から通信部43を介して無線通信してくるのを待つ。操縦部からのアクセスがあると、プログラムが有るか、または移動操縦信号を受信したか否かを判定する(S55)。移動体1の飛行ルートが、自動操縦なのか手動操縦なのかは、操縦部40からの指示によって決まる。また、自動操縦の場合には、操縦部40から飛行ルートについての指示に関するプログラムが送信されてくるか、または移動部20内の記録部26にプログラムが記録されている。
ステップS55における判定の結果、プログラムが無い、かつ移動操縦信号を受信しない場合には、飛行停止が可能であるか否かを判定する(S59)。移動体1が飛行を停止できるような場合、例えば、未だ飛行を開始しておらず出発位置にある場合、もしくは飛行を開始したばかりで、直ちに出発位置に着陸できるような場合、全候補位置について検査を終了し出発位置に戻ってきた場合、または飛行経路の途中であるが着陸可能な位置にある場合等である。
ステップS59における判定の結果、飛行を停止できるような場合には、飛行を停止する(S67)。ここでは、制御部21は、推進部22の制御を行い、飛行を停止し、移動体1は着陸する。
一方、ステップS59における判定の結果、飛行を停止できない場合には、リターンが良いか否かを判定する(S61)。ここでは、飛行を開始した移動体1の出発位置に戻ることができるか否かを判定する。例えば、移動体1の出発位置と、移動体1の現在位置を、把握しており、出発位置までの飛行ルートが分かる場合には、リターンすることが良いと判定する。
ステップS61における判定の結果、リターンが良いと判定された場合には、帰還制御を行う(S63)。ここでは、移動体1の現在位置から、移動体1の出発位置に向けて、移動体1は飛行する。なお、出発位置に限らず、他の帰還位置に安全に戻ることが可能であれば、その他の帰還位置に戻るようにしてもよい。
一方、ステップS61における判定の結果、リターンが良いと判定されない場合には、静止制御を行う(S65)。ここでは、移動部20の制御部21は、いわゆるホバリング、すなわち所定位置で所定高度を保つように飛行制御を行う。操作者が移動体1の位置を見つけられ易くし、操作者が移動体1の近傍に来たところで、手動操縦によって回収・帰還する。
ステップS55に戻り、このステップにおける判定の結果、プログラムが有るか、または移動操縦信号を受信した場合には、次に、移動障害がないか否かについて判定する(S57)。ここでは、ステップS51における判定結果に基づいて、移動体1の周囲に飛行の妨げとなるような障害物があるか否かを判定する。このステップS57における判定の結果、移動障害物がある場合には、前述のステップS61に進みにリターンが良いか否かを判定する。このステップS61においては、障害物があってもリターンできるか否かについて判定する。
ステップS63において帰還制御を行うと、またはステップS65において静止制御を行うと、またはステップS67において静止すると、またはステップS57における判定の結果、移動障害がない場合には、次に、状態情報を操縦部に送信する(S69)。ステップS55において、操縦部40と通信が可能であることが判明しており、このステップでは、ステップS51において判定した状態情報を操縦部40に送信する。
状態情報を送信すると、次に、測定位置近傍にあるか否かを判定する(S71)。移動体1が飛行を開始し、接触検査部30によって検査を行う測定位置に近づいているか否かを判定する。前述したように、検査対象物について移動ルートに沿って所定間隔(例えば、50cm間隔)で測定位置が予め決められている。このステップでは、空間情報部27および位置・方位判定部25によって検出された現在位置の情報に基づいて、予め決められた測定位置近傍にあるか否かについて判定する。
ステップS71における判定の結果、測定位置の近傍にある場合には、次に、カメラと通信を行う(S73)。ここでは、移動部20内の通信制御部21fを介して、カメラ部10のカメラ制御部11と通信を行う。ここでの通信としては、移動部20が取得した位置情報を移動部20内の制御部21に送信し(図8のS1参照)、カメラ部10が抽出した検査に適した候補位置を受信する(図8のS17参照)。なお、測定位置近傍に、候補位置がない場合には、その旨を受信する。
カメラと通信を行うと、次に、候補位置が有るか否かについて判定する(S75)。ここでは、ステップS73におけるカメラからの通信において、候補位置を受信したか否かに基づいて判定する。
ステップS75における判定の結果、候補位置がある場合には、接触接近を行い、接触検査部との通信を行う(S77)。ここでは、図2および図3を用いて説明したように、移動体1は、補助部33は接触媒体を壁面に吐出(塗付)する。そして、接触検査部30のセンサ部32bを、検査対象である壁面に徐々に近づけながら、接触媒体を介して接触させる。この状態で、センサ部32bは壁面からの超音波の反射信号を受信し、検査対象の状態を測定する(図9のS35〜S45参照)。また、移動部20は、最新の位置情報を接触検査部30に送信し、接触検査後に接触検査部30から検査結果を受信する。
一方、ステップS75における判定結果、候補位置でない場合には、測定位置の小変更を行う(S79)。ここでは、候補位置でないことから、測定位置から少しずらしたところに、移動部20は、移動体1の位置を移動させる(図28c)参照)。前述したように、小変更としては、例えば、測定時にカメラ部10にて撮影される画像の撮影範囲内となる距離程度でもよい。この場合には、候補位置を見落とすことなく、少しずつ検査する位置を変えることができる。移動させる方向は、対象部の全測定範囲をカバーするように、事前に決めておいてもよい。
また、本実施形態においては、測定位置毎に超音波による検査を行う位置の小変更を行い、超音波による検査可能な位置を探しているっている。しかし、これに限らず、測定位置の近傍で検査を行った結果、すなわちNG結果に基づいて、測定位置の近傍における検査結果を予測し、この予測結果に基づいて接触検査部による検査を行ってもよい。この場合、NG結果に限らず、測定位置等におけるOK結果も用いて予測するようにしてもよい。
また、全体を画像で検査して、必要な部分のみ、接触型の検査を行っても良い。例えば、ある箇所のみ画像に乱れがある場合、乱れた所を接触検査するだけで良い場合もある。また、乱れていないところを念のため接触検査してOKならば、他の部分もOKという判定が出来る。画像は、壁面に対して垂直な(Z方向)接触用の移動制御を特別必要とせず、特定の距離を保って水平(X方向)、あるいは鉛直方向(Y方向)に移動するだけでよく、手間暇がかからないというメリットがある。
ステップS77において接触接近を行い、接触検査部と通信を行うと、またはステップS79において測定位置の小変更を行うと、次に、対象部の検査が終了したか否かについて判定する(S81)。ここでは、対象部での検査が終了したか否かを判定する。すなわち、ステップS75における候補位置での接触検査部による検査、またはステップS79において位置を少しずらした後の接触検査部による検査が終わったか否かについて判定する。この判定の結果、終了していない場合には、ステップS75に戻り、ステップS77において接触検査部による検査を行い、またはステップS79において更に、測定位置を少しずらす。なお、ステップS79における測定位置の変更は、所定回数までとし、所定回数の移動でも検査不能の場合には、ステップS81における判定をYesとして、次のステップに進む。
ステップS81における判定の結果、対象部の検査が終了していた場合には、次に、測定結果を送信する(S83)。ここでは、候補位置(測定位置)毎の測定結果を、測定位置情報に関連付けて、操縦部40に送信する。
測定結果の送信を行うと、次に全検査が終了したか否かを判定する(S85)。前述したように、本実施形態においては、検査対象物について移動ルートに沿って所定間隔で測定位置が予め決められている。ここでは、全ての測定位置(ポイント)について検査が終了したか否かについて判定する。
ステップS85における判定の結果、全測定位置について検査が終了していない場合には、次の測定値(ポイント)に移動する(S87)。ここでは、移動部20の制御部21は、推進部22を制御して、次の測定位置(ポイント)に移動する。ポイント移動を行うと、前述のステップS51に進み、次の測定位置(ポイント)で検査を行う。一方、全測定位置で検査が終了した場合には、ステップS63に進み、出発位置に帰還する。すなわち、上述の一連のステップにより、移動体1は、検査対象となる内周或いは外周を所定間隔で一巡し、検査領域全周の検査データを操縦部40に送信することになる。出発位置への帰還方法については、図18を用いて後述する。
このように、移動部の動作は、自動操縦または手動操縦により、移動体1を移動させ、測定位置近傍に達すると、検査対象物の検査を行い(S77参照)、検査結果を操縦部40に送信している(S83)。
次に、図11ないし図14を用いて、移動体1における接触媒質の吐出構造の変形例およびその動作について説明する。
図11(a)は、接触媒質の吐出構造の第1の変形例を示す外観図である。この変形例は、図2に示した外観図と比較し、接触部32を保持するための上下2つの輪2および支持棒3を有する点で相違する。このため、接触部32は輪2の半径上で移動させることができる。
ロータ22aは対称の位置に4つ設けてあり(図11(b)においては、ロータを2つのみ描き、2つは省略してある)、このロータ22aは、輪2とは干渉しないように、輪2の内側に配置されている。また、補助部33は、伸張可能であり、輪2の半径より、短い状態から輪2の半径と略同じ長さまで伸びることができる。
カメラ部10は輪2の中心部に近いところに設けてあり、一方、接触部32は輪2と同半径の位置に設けてある。中心からの距離はそれぞれR1とR2であり、カメラ部10の重さと、接触部32の重さを考慮し、移動体1としてバランスがよくなるようにする。バランスが悪いと、飛行の際に支障が生ずる場合があり、バランスがよくなるように配置する。
図12は、図11に示した変形例において、接触媒体を吐出する動作を示す。図12(a)は、補助部33が、接触媒質110を壁面108に向けて吐出した様子を示す。この状態で、接触部32を輪2上で回転させると、図12(b)に示すように、接触部32と壁面108の間が接触媒質110で充填される。接触媒質110は効率良く超音波を通すことから、効率よく超音波測定を行うことができる。
図13は、接触媒質の吐出構造の第2の変形例を示す外観図である。この変形例は、図11に示した第1の変形例と比較し、補助部33から接触媒質を吐出させる構造が異なっている。なお、第2の変形例においてもロータ22aは4つ設けられるが、図13では、ロータ22aを1つのみ描き、他の3つのロータ22aは省略してある。
第2の変形例における補助部33は、バルーン112内に接触媒質を注入することができる。図13(a)はバルーン112に接触媒質を注入している様子を示す。接触媒質の注入によりバルーン112は膨張する。この状態で、図13(b)に示すように、輪2を回転させ、接触部32と壁面108の間にバルーン112が挟まれるようにする。これによって、接触部32と壁面108の間に接触媒質が充填され、効率よく超音波測定を行うことができる。
図14は、接触媒質の吐出構造の第3の変形例を示す外観図である。この変形例は、図13に示した第2の変形例と比較し、2つの補助部33aと補助部33bを有し、この2つの補助部33a、33bの間に接触部33を設けている点で相違している。なお、第2の変形例においてもロータ22aは4つ設けられるが、図14では、ロータ22aを1つのみ描き、他の3つのロータ22aは省略してある。
第3の変形例における補助部33aおよび33bも、バルーン112内に接触媒質を注入することができる。図14(a)はバルーン112に接触媒質を注入している様子を示す。接触媒質の注入によりバルーン112は膨張する。この状態で、図14(b)に示すように、移動体1を壁面108に向けて前進させると共に輪2を回転させる、接触部32と壁面108の間にバルーン112が挟まれるようにする。これによって、接触部32と壁面108の間に接触媒質が充填され、効率よく超音波測定を行うことができる。
次に、図15に示すフローチャートを用いて、第1変形例ないし第3変形例の動作について説明する。この第3の変形例の動作は、図10Aおよび図10Bに示したフローチャートにおいて、ステップS77をステップS78に置き換えるだけで、他のステップの処理は同様であるので、相違点のみを説明する。
図15に示すフローチャートにおいて、ステップS75における判定の結果、候補位置がある場合には、接触接近を行い、押し付け回転しながら接触検査部に送信を行う(S78)。ここでは、図12ないし図14を用いて説明したように、接触媒質を直接またはバルーン内に吐出すると、移動体1は壁面108に向けて前進し、さらに、輪2を回転させ、接触部32を壁面108に押し付ける。押し付けると、接触部32のセンサ部32bから超音波を投射し、反射波を受信して、検査対象物の状態を測定する。測定が終わると、位置情報に関連付けて測定結果を送信する。
ステップS78において、接触接近し、押し付け回転しながら接触検査部通信を行うと、図10Bのフローと同様の処理を行う。
このように、第1ないし第3の変形例においては、接触媒質が接触部32の前面で壁面との間に充填されることから、効率よく超音波測定を行うことができる。
次に、図16を用いて、接触部32が壁面に垂直に当て着くようする構成について説明する。図16において、軸32c、32dは、ヒンジ32eによって回動自在に構成されている。軸32cのヒンジ32eと反対側は固定部1aに固着され、また軸32dのヒンジ32eと反対側は接触部32が固着されている。また軸32c、32dはバネ32fによって収縮方向の付勢力が与えられている。
図16に示すように、接触部32がヒンジ機構によって保持されているので、接触部32のセンサ面が壁面と密着することができる。すなわち、ヒンジ32eがセンサ面と壁面が密着するように折れ曲がり、軸32dが壁面に対して垂直となる。センサ面が壁面に対して、傾いていると、検査対象物からの反射波を効率よく受信することができないが、センサ面が壁面に対して密着することにより、検査対象物からの反射波を効率よく受信することができる。
このように、図16に示すようなヒンジ機構を接触媒体の吐出装置に設けることにより、接触部32のセンサ部32bを検査対象物に垂直に当て着けることができる。すなわち、接触検査部は、検査対象の接触面が斜めであっても、接触面に対して垂直にセンサ部を当て付ける機構を有している。超音波探触子を斜めに当ててしまうと本来の厚さと違うところを測定してしまうが、接触面に対して垂直にセンサを当てることができることから、正確に検査を行うことができる。また、接触検査部は、移動体と検査対象物が正対しなくても、検査対象物と接触検査部内のセンサの位置が正しい位置に保持される機構を有している。センサが正しい位置に保持されることから、正確に検査を行うことができる。
なお、センサを検査対象物に垂直に当て着ける方法は、これに限らず、例えば、検査対象物に巻き付けて垂直に当て着ける(米国特許8590383号公報参照)等、検査対象物の形状に合わせて種々の方法を選択すればよい。
次に、図17を用いて、移動体1として、無人操縦可能な地上走行型の車両に適用して例について説明する。前述の移動体1はロータ22aを有し、無人飛行によって検査対象物に近づくことができた。この車両タイプの検査システムは、図1Aおよび図1Bに示した移動部20が、走行車である点以外は同様であり、この検査システムにおいても、図17(a)に示すように、カメラ部10、接触検査部30を有する。カメラ部10は、投光部13等、図1Aおよび図1Bと同様の各部を有する。接触検査部30は接触部32や補助部33等、図1Aと同様の各部を有する。
また、移動部20は、車輪5を有し、推進部はこの車輪5を駆動する。検査時には、図17(b)に示すように、車輪5によって前方、後方、左方、右方に移動可能である。検査の際、照明が十分ではない場合には、投光部13から照明範囲Iに照明光を投射する。またカメラ部10の撮像部12によって、撮像範囲Sの画像データを取得することができる。
車輪5に走行面に磁石を備えることにより、鉄等の金属管の内部を自走することができる。この場合には、磁石で鉄等の金属を吸着しながら、自走することができ、平らでなくとも移動可能であり、さらに垂直な面を登ることも可能となる。このような車輪を備えてシステムであれば、パイプ等の内部であっても、また急峻な壁面であっても、検査対象物の腐食等について容易に検査することができる。
次に、図18を用いて、本発明の一実施形態において、移動体1の検査のための移動と、出発位置への帰還について説明する。図18(a)は、本実施形態における検査の概要を示す上面である。図18(a)に示す例では、検査対象物100は、油槽等のタンクであり、このタンクの内側の壁面100aに超音波を用いて壁の厚さや腐食の程度を検査する。位置P1は検査開始時の検査開始位置(出発位置)であり、また方向R1が検査方向である。移動体1は壁面100aに沿って検査方向R1の方向で検査を行い、帰還方向Rrから検査開始位置(出発位置)P1に戻る。
図18(b)は、検査対象物100の壁面100bが,腐食が進み、凹凸が激しくなっている様子を示す。この場合も、図18(a)と同様に、移動体1は壁面100aに沿って検査方向R1の方向で検査を行い、帰還方向Rrから検査開始位置P1に戻る。この間、超音波検査によって、検査対象物100の壁の厚さ等を測定する。
図18(c)は、検査対象物(検査プラント)の構造のアクセス性から、内壁側から検査することできず、外壁側からしか検査できない場合である。この場合には、移動体1は、検査対象物100の外壁面100cに沿って、検査方向R2に検査を行い、帰還方向Rrから検査開始位置(出発位置)P1に戻る。この間、超音波検査によって、検査対象物100の壁の厚さ等を測定する。
このように、本実施形態においては、検査対象物が部屋形状の場合に、移動体1が、部屋の内周、或いは外周を、一周すると戻ってくることができる。このため、ドローン等の移動体1を、部屋の内部、或いは外部に配置することが可能である。また、このような配置とすることにより、操縦部40は、自動で検査対象の外周すべての検査データが取得できるというメリットを有する。つまり、ドローン等の移動体を設定すると、外周、内周全点の検査データを自動で取得できる。
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、検査装置は移動体1に搭載され、この検査装置には接触検査部が30備えられている。そして、平坦部等の検査対象物における測定可能な部分を候補位置として検出し(例えば、図2、図4、図5、図8のS3〜S17参照)、検出された候補位置において、接触検査部を検査対象物に接触させ、検査対象物の状態を検査している(例えば、図2、図9のS35〜S43参照)。このため、接触検査部と検査対象物を測定期間中、常に接触させていなくても、信頼性の高い検査を行うことができる。
また、本発明の一実施形態においては、検査対象物の画像データを取得し、この画像データに基づいて、検査対象物の候補位置を検出している(例えば、図2〜図5、図8のS3〜S17参照)。画像データに基づいて候補位置を検出することができることから、接触検査部によって検査する前に候補位置を検出できることから、接触検査部と検査対象物の間で常時接触する必要がない。
また、本発明の一実施形態においては、候補位置において、接触媒体を検査対象物に供給し、接触媒体の供給後に、接触検査部を検査対象物に接触させるように移動させ、接触媒体を接触検査部と検査対象物の間に介在させている(例えば、図3、図9のS37、S39、図11〜図15参照)。接触媒体を簡単な構成で接触検査部と検査対象物の間に介在させることができることから、接触検査部は、接触媒体によって効率よく検査対象物からの反射波を受信することができる。
また、本発明の一実施形態においては、接触検査部を検査対象物に接触させる際に、検査対象物の接触面が斜めになっている場合には、接触面に対して垂直に接触検査部のセンサ部を当て付ける。このため、接触面に対して垂直にセンサを当てることができることから、例えば、腐食が進行しているような壁面であっても、正確に検査を行うことができる。
なお、本発明の一実施形態においては、移動体として、いわゆるドローンのような無人飛行機(例えば、図2参照)や、車輪を有する無人遠隔操作型の車両タイプを用いた例について説明した。しかし、これらに限らず、接触検査部を搭載し、自在に検査対象物に近づける移動体であれば、本発明を適用することができる。
また、本発明の一実施形態においては、候補位置の検出として、投光の検査対象物からの反射光に基づいて判定していたが、光に限らず、音波、電波、また赤外線等、他の方法によって検出するようにしてもよい。また、候補位置の検出の際に反射光の強度、パターン等を用いて判定していたが、画像データを用いた画像解析によって、候補位置を判定するようにしてもよい。
また、本発明の一実施形態においては、接触検査部による検査前に検査対象物の候補位置を抽出していたが、これを省略し、予め決められた位置に対して、接触媒体を塗布して接触検査を行うようにしてもよい。また、接触検査前に接触媒体を塗布していたが、これを省略し、接触検査部による検査前に検査対象物の候補位置を抽出し、この候補に対して全位置において検査するようにしてもよい。これ以外にも、本実施形態の動作の一部を省略してもよい。
また、本発明の一実施形態においては、カメラ部10、移動部20、接触検査部30と、ブロック化したが、必ずしもブロック化する必要はなく、一体に構成しても構わない。また、各ブロックにそれぞれ制御部(制御部21、カメラ制御部11、接触検査制御部31)を設けたが、これらの制御部を一体化しても構わない。
また、本発明の一実施形態においては、制御部(制御部21、カメラ制御部11、接触検査制御部31)とは別体に種々の各部(機能)を設けたが、各部の全部または一部をソフトウエアで構成し、制御部内のCPUによって実行するようにしても勿論かまわない。また、移動体1、操縦部40内の各部は、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実行するようにしても勿論かまわない。また、CPUの機能の一部をDSP等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログによって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実現するようにしてもよい。
また、本発明の一実施形態例中で、様々なブロック(部)として記載した部分は、専用の回路や、複数の汎用の回路を組み合わせて構成してもよく、必要に応じて、予めプログラムされたソフトウエアに従って動作を行うマイコン、CPUなどのプロセッサ、あるいはシーケンサを組み合わせて構成されてもよい。また、その制御の一部または全部を外部の装置が引き受けるような設計も可能で、この場合、有線や無線の通信回路が介在する。通信は、ブルートゥース(登録商標)やWiFi、電話回線などで行えばよく、USBなどで行っても良い。専用の回路、汎用の回路や制御部を一体としてASICとして構成してもよい。移動部などは、様々なアクチュエータと、必要に応じて移動用の連結メカニズムによって構成されており、ドライバ回路によってアクチュエータが作動する。このドライブ回路もまた、特定のプログラムに従ってマイコンやASICなどが制御する。こうした制御は各種センサやその周辺回路が出力する情報によって、詳細な補正、調整などが行われても良い。
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
また、本発明の一実施形態においては、フローチャートを用いて、本実施形態における動作を説明したが、処理手順は、順番を変えてもよく、また、いずれかのステップを省略してもよく、ステップを追加してもよく、さらに各ステップ内における具体的な処理内容を変更してもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1・・・移動体、2・・・輪、3・・・支持棒、5・・・車輪、10・・・カメラ部、11・・・カメラ制御部、11b・・・画像処理部、11c・・・画像特徴検出部、11d・・・投光制御部、11e・・・距離判定部、12・・・撮像部、12b・・・光学系、12c・・・撮像面、12c’・・・撮像面、13・・・投光部、13a・・・投光光学系、20・・・移動部、21・・・制御部、21a・・・推進制御部、21b・・・方向制御部、21c・・・姿勢制御部、21d・・・移動判定部、21e・・・姿勢判定部、21f・・・通信制御部、21g・・・電源判定部、22・・・推進部、22a・・・ロータ、23a・・・通信部、24・・・高度・姿勢判定部、25・・・位置・方位判定部、26・・・記録部、27・・・空間情報部、27a・・・レーダ、28・・・電源部、29・・・時計部、30・・・接触検査部、31・・・接触検査制御部、31b・・・信号処理部、31c・・・発信制御部、31d・・・補助制御部、31e・・・測定データ化部、31f・・・接触判定部、32・・・接触部、32b・・・センサ部、33・・・補助部、33a・・・スリーブ、33b・・・探触子、33c・・・供給パイプ、40・・・操縦部、41・・・制御部、41f・・・通信制御部、43・・・通信部、43b・・・通信制御部、45・・・操作部、46・・・表示部、47・・・記録部、50・・・ネットワーク、51・・・計時記録部、100・・・検査対象物、100a・・・内壁面、100b・・・外壁面、101・・・壁面、103・・・壁面、105・・・壁面、107・・・壁面、108・・・壁面、110・・・接触媒質、G・・・鉛直方向、D・・・厚さ方向
Claims (16)
- 移動体と、
上記移動体に搭載され、検査対象物の画像データを取得する撮像部と、
上記画像データに基づいて、上記検査対象物における測定可能な面積の部分を一つ又は複数の候補位置として検出する候補検出部と、
上記検査対象物の状態を検査する接触検査部と、
を具備し、
上記候補検出部によって検出された上記候補位置に接触検査部を接触させることを特徴とする検査装置。 - 接触媒体を上記検査対象物上に供給する供給部と、
を有し、
上記供給部による上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記接触検査部の間に介在させることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。 - 接触検査がNGとなった時に、接触したまま、ずらして測定することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 上記候補検出部によって上記候補位置として検出された候補位置において、上記接触検査部による検査が不能であった場合には、上記接触検査部は上記検査対象物における複数の候補位置における次の候補位置で検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 上記次の候補位置は、検査不能のであった候補位置から上記移動体で移動可能な小移動した位置であることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
- 上記接触検査部による検査が不能であった場合には、測定位置の近傍で検査を行った検査結果に基づいて、測定位置における検査を予測して上記接触検査部による検査を行うことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
- 上記候補検出部は、上記検査対象物に投光し、上記検査対象物からの反射光を上記撮像部で受光し、上記画像データに基づいて上記検査対象物における測定可能な部分を候補位置として検出することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 上記接触検査部は、上記検査対象の接触面が斜めの際に、上記接触面に対して垂直にセンサ部を当て付ける機構を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 上記接触検査部は、上記移動体と上記検査対象物が正対しなくても、上記検査対象物と上記接触検査部内のセンサの位置が正しい位置に保持される機構を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 上記候補位置は、上記検査対象物の全周囲において所定間隔となるよう設定され、上記移動体は、上記接触検査部による検査データを出力するようにしたことを特徴とする請求項1乃至9に記載の検査装置。
- 移動体と、
検査対象物の状態を検査する接触検査部と、
接触媒体を上記検査対象物上に供給する供給部と、
を有し、上記供給部による上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記検査対象物の間に介在させることを特徴とする検査装置。 - 上記供給部は、バルーン内に上記接触媒体を充填し、
上記接触媒体を充填した上記バルーンを上記接触検査部と上記接触検査部の間に介在させることを特徴とした請求項11に記載の検査装置。 - 移動体と接触検査部が搭載され、移動可能な検査装置における検査方法において、
検査対象物における測定可能な部分を候補位置として検出し、
検出された上記候補位置において、上記接触検査部を上記検査対象物に接触させ、上記検査対象物の状態を検査する、
ことを特徴とする検査方法。 - 検査対象物の画像データを取得し、該画像データに基づいて、上記検査対象物の候補位置を検出することを特徴とする請求項13に記載の検査方法。
- 上記候補位置において、接触媒体を上記検査対象物に供給し、上記接触媒体の供給後に、接触移動を行い、上記接触媒体を上記接触検査部と上記検査対象物の間に介在させることを特徴とする請求項13に記載の検査方法。
- 上記接触検査部を上記検査対象物に接触させる際に、上記検査対象物の接触面が斜めになっている場合には、上記接触面に対して垂直に上記接触検査部のセンサ部を当て付けるようにしたことを特徴とする請求項13に記載の検査方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211001 |
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A02 | Decision of refusal |
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