JP2019077408A - サスペンションシステム - Google Patents

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毅 山崎
Takeshi Yamazaki
毅 山崎
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Abstract

【課題】 車高上昇調整を短時間で行うことができ、かつ、ポンプモータの負荷増大を抑制する。【解決手段】 ポンプ装置71から油圧シリンダに作動油を供給する共通給排通路54には、元バルブユニット100が設けられる。元バルブユニット100は、電磁開閉弁である元バルブ100aと、チェックバルブ100bとを備えている。このチェックバルブ100bは、カップシール170によって実現される。カップシール170は、元バルブ100a内を作動油が流れる通路の外側に設けられた円筒状連通路160に設けられ、車高が上昇する方向に調整される場合には、円筒状連通路160を開けて作動油を流し、車高が下降する方向に調整される場合には、円筒状連通路160を閉じて作動油の流れを遮断する。【選択図】 図1

Description

本発明は、車体と車輪保持部材との間に設けた油圧シリンダの油圧により車高を調整する車高調整機能を備えたサスペンションシステムに関する。
従来から、例えば、特許文献1に提案されているように、車体と4輪の車輪保持部材との間に設けた油圧シリンダ(ショックアブソーバ)の油圧を制御して車高を調整するサスペンションシステムが知られている。各輪の油圧シリンダは、個別制御通路を介して作動油給排装置に接続されている。このサスペンションシステムにおいては、個別制御通路を開閉する個別制御バルブおよび作動油給排装置を制御して、各油圧シリンダに作動油を供給することにより車高を上昇させ、各油圧シリンダから作動油を排出させることにより車高を下降させる。
また、各油圧シリンダには、それぞれ、ばね定数の大きい高圧アキュムレータと、ばね定数の小さい低圧アキュムレータとが連通されている。油圧シリンダと低圧アキュムレータとを連通する通路には、両者の連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブが設けられている。従って、ばね切替バルブの開閉によってホイールレートを切り替えることができる。
このサスペンションシステムにおいては、通常走行時においては、油圧シリンダに高圧アキュムレータと低圧アキュムレータとが連通されて(ばね切替バルブ:開)ホイールレートが小(ソフト)に設定される。また、急旋回時および急加減速時においては、油圧シリンダと低圧アキュムレータとの連通が遮断されて(ばね切替バルブ:閉)ホイールレートが大(ハード)に設定される。尚、ホイールレートとは、ホイール位置におけるばね定数のことであり、車輪の接地荷重の変化とその車輪における車体とホイールセンターとの上下距離の変化(ホイールトラベル)の比、すなわち、単位ホイールトラベルを生じさせるのに必要なその車輪の接地荷重変化量を表す。
特開2008−168861号公報
上記のシステムでは、車高を上昇させる場合、作動油給排装置のポンプを作動させて油圧シリンダに作動油を供給することにより油圧シリンダ内の油圧を増加させてピストンロッドを上昇させるが、このとき、低圧アキュムレータおよび高圧アキュムレータにも同時に作動油が供給される。このため、車高を上昇させるために必要となる作動油量が多く、これに伴って、車高を上昇させるために必要な時間が長くなる。
そこで、本願出願人は、油圧シリンダの作動油の給排と、低圧アキュムレータの作動油の給排とを独立して行うことができる新しいサスペンションシステムを考えた。この新しいサスペンションシステムにおいては、個別制御バルブおよびばね切替バルブをバイパスして低圧アキュムレータと作動油給排装置とを連通させるバイパス通路、および、バイパス通路を開閉するバイパスバルブを備えている。従って、バイパスバルブおよびばね切替バルブを閉弁した状態で作動油給排装置(ポンプ)から油圧シリンダに作動油を供給することにより、低圧アキュムレータへの作動油の供給を伴わずに車高を上昇させることができる。
このようにして車高を上昇させた状態から、ばね切替バルブを開弁すると、油圧シリンダと低圧アキュムレータとが連通して、両者の差圧によって両者間を作動油が移動して車高が変動してしまう。しかし、この新しいシステムにおいては、車高上昇が完了した後、個別制御バルブおよびばね切替バルブを閉弁させた状態でバイパスバルブを開弁することにより、作動油給排装置(ポンプ)から低圧アキュムレータのみに作動油を供給することができる。従って、低圧アキュムレータの油圧を油圧シリンダの油圧と等しくなるまで上昇させておくことによって、それ以降、ばね切替バルブを開弁しても車高が変化しないようにすることができる。
こうしたシステムにおいては、油圧シリンダや低圧アキュムレータの油圧を個々に測定する必要がある。そのために、作動油給排装置(ポンプ)から各車輪の油圧シリンダに作動油を供給する共通の通路である給排元通路に元バルブが設けられ、その元バルブよりも下流側(作動給排装置を上流側として考えた場合)に油圧センサが設けられる。
しかし、作動油が低温になると、作動油の粘度が増加するため、元バルブの上流側と下流側とにおける圧力差ΔPが大きくなる。図6(a)は、作動油の温度ごとの、ポンプ吐出流量Qと、元バルブの上流側と下流側とにおける圧力差ΔPとの関係を表すグラフである。このグラフから分かるように、この圧力差ΔPは、作動油が低温になるほど、かつ、ポンプ吐出流量Qが多くなるほど大きくなる。
圧力差ΔPの上昇は、ポンプの吐出圧の増加を招き、結果として、ポンプのモータ電流の上昇を招く。図6(b)は、作動油の温度ごとの、ポンプ吐出流量Qと、モータ電流増加量との関係を表すグラフである。このグラフから分かるように、ポンプ吐出流量が油圧システムにおける使用範囲内であっても、作動油が低温になると、モータ電流が制限値を超えてしまうことがある。従って、ポンプモータの耐久性の低下を招くおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、車高上昇調整を短時間で行うことができ、かつ、ポンプモータの負荷増大を抑制したサスペンションシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に設けられ、作動油を収容して前記車輪保持部材と前記車体との間の距離変化に合わせて伸縮する油圧シリンダ(20)と、
前記左右前後輪の各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね(31)、および、第2ガスばね(32)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダと前記第2ガスばねとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブ(62)と、
前記各油圧シリンダに対して作動油の供給および排出を行うためのポンプ、および、リザーバタンクを有する作動油給排装置(70)と、
前記作動油給排装置に接続され作動油の流れる通路となる給排元通路、および、前記給排元通路の開閉を行う元バルブユニットを有する給排油圧制御回路(54,100)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の通路である車高調整用通路、および、前記車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する車高調整用油圧制御回路(51,61)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブをバイパスして、前記第2ガスばねのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の通路であるバイパス通路、および、前記バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する第2ガスばね用油圧制御回路(53,63)と、
前記元バルブユニットに対して前記油圧シリンダ側であって、前記バイパスバルブに対して前記元バルブユニット側であり前記車高調整用バルブに対して前記元バルブユニット側となる作動油の通路に設けられ、その通路の油圧を検出する油圧センサ(90)と、
車高を上昇方向に調整する場合に、前記元バルブユニットを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記バイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の前記車高調整用バルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置から前記油圧シリンダに作動油を供給し、車高が目標車高に達したときの前記油圧センサにより検出された油圧を記憶し、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の前記第2ガスばねの油圧が前記記憶した油圧と等しくなるまで前記バイパスバルブを開弁状態に制御する車高制御手段(200,S11〜S19)と
を備えたサスペンションシステムであって、
前記元バルブユニットは、
前記給排元通路の開閉を行う電磁開閉弁(100a)と、
前記電磁開閉弁内で作動油が流れる通路である弁内通路(133)をバイパスして、前記電磁開閉弁に対して前記作動油給排装置側の前記給排元通路と前記油圧シリンダ側の前記給排元通路とを連通させる作動油の通路であって、前記弁内通路を形成する円筒状外壁(130)の周囲に形成される円筒状連通路(160)と、
前記円筒状連通路に設けられ、前記円筒状連通路における、前記作動油給排装置側から前記油圧シリンダ側への作動油の流れを許容し、前記油圧シリンダ側から前記作動油給排装置側への作動油の流れを遮断するカップシール(170)と
を備えたことにある。
本発明においては、車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に油圧シリンダが設けられている。この油圧シリンダは、作動油を収容して車輪保持部材と車体との間の距離変化に合わせて伸縮する。
左右前後輪の各油圧シリンダには、油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね、および、第2ガスばねが設けられる。第1ガスばねは、例えば、第1ガス室と、油圧シリンダに連通する第1油室とを区画して備え、油圧シリンダの油圧に応じて第1油室に収容される作動油の量が変化して油圧系のばねとして機能する。第2ガスばねは、例えば、第2ガス室と、油圧シリンダに連通する第2油室とを区画して備え、油圧シリンダの油圧に応じて第2油室に収容される作動油の量が変化して油圧系のばねとして機能する。
この第2ガスばねについては、ばね切替バルブによって、油圧シリンダとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替えられる。従って、ばね切替バルブが開弁されることによって、油圧シリンダは、第1ガスばねと第2ガスばねとの両方に連通した状態、つまり、ホイールレートが小さく設定された状態(ソフト)となる。また、ばね切替バルブが閉弁されることによって、油圧シリンダは、第1ガスばねと第2ガスばねとのうち、第1ガスばねのみに連通した状態、つまり、ホイールレートが高く設定された状態(ハード)となる。
油圧シリンダに収容される作動油の圧力を調整することによって、その油圧シリンダの設けられている車輪位置の車高を調整することができる。各油圧シリンダにおいては、作動油給排装置および給排油圧制御回路によって作動油の供給および排出が行なわれ、これにより車高が調整される。作動油給排装置は、作動油を油圧シリンダに供給するためのポンプ(高圧源)、および、作動油を油圧シリンダから排出するためのリザーバタンク(低圧源)を有している。
給排油圧制御回路は、作動油給排装置に接続され作動油の流れる通路となる給排元通路、および、給排元通路の開閉を行う元バルブユニットを有している。
サスペンションシステムは、各油圧シリンダに対応して設けられる、車高調整用油圧制御回路、および、第2ガスばね用油圧制御回路を備えている。車高調整用油圧制御回路は、油圧シリンダのそれぞれと給排元通路とを連通させる作動油の通路である車高調整用通路、および、車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する。従って、元バルブユニットおよび車高調整対象輪の車高調整用バルブを開弁状態にすることで、車高調整対象輪の油圧シリンダの油圧を調整して車高を調整することができる。
第2ガスばね用油圧制御回路は、ばね切替バルブおよび車高調整用バルブをバイパスして、第2ガスばねのそれぞれと給排元通路とを連通させる作動油の通路であるバイパス通路、および、バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する。従って、ばね切替バルブおよび車高調整用バルブを閉弁した状態で、元バルブユニットおよび任意のバイパスバルブを開弁状態にすることで、任意の第2ガスばねの油圧を独立して調整することができる。
任意の第2ガスばねの油圧を独立して調整する場合には、油圧シリンダの油圧と第2ガスばね油圧とを同圧にしておけば、その後、ばね切替バルブを開閉しても、車高を変化させずにホイールレートを切り替えることができる。そのために、油圧センサが設けられている。油圧センサは、元バルブユニットに対して油圧シリンダ側であって、バイパスバルブに対して元バルブユニット側であり車高調整用バルブに対して元バルブユニット側となる作動油の通路に設けられ、その通路の油圧を検出する。この場合、元バルブユニットおよびばね切替バルブを閉弁状態にしておけば、車高調整用バルブを開弁することにより油圧シリンダの油圧を検出することができ、バイパスバルブを開弁することにより第2ガスばねの油圧を検出することができる。
車高制御手段は、車高を上昇方向に調整する場合に、元バルブユニットを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪のばね切替バルブおよびバイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の車高調整用バルブを開弁状態に制御して作動油給排装置から油圧シリンダに作動油を供給する。この場合、第2ガスばねへの作動油の供給が伴わないため、短時間にて(少油量にて)車高を目標車高にまで調整することができる。
更に、車高制御手段は、車高が目標車高に達したときの油圧センサにより検出された油圧を記憶する。この記憶された油圧は、車高が目標車高に達したときの油圧シリンダの油圧と等しい。従って、車高が目標車高に達した後、第2ガスばねの油圧を、この記憶された油圧にしておけば、ばね切替バルブを開弁状態にしても、油圧シリンダに圧力変動を生じさせることなく(車高変動ショックを生じさせることなく)ホイールレートを小さくすることができる。そこで、車高制御手段は、車高調整対象輪のばね切替バルブおよび車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の第2ガスばねの油圧が記憶した油圧と等しくなるまでバイパスバルブを開弁状態に制御する。これにより、それ以降、車高変動ショックを生じさせることなくホイールレートを切り替えることができる。
尚、車高を下降方向に調整する場合には、車両の重量により油圧シリンダが収縮される力で油圧シリンダの作動油を作動油給排装置に戻すことができるため、もともと短時間で車高調整をすることができる。従って、車高を下降方向に調整する場合には、必ずしも、車高を上昇方向に調整する場合のように、油圧シリンダと第2ガスばねとの連通を遮断しておかなくてもよく、少なくとも、元バルブユニットと車高調整用バルブとが開弁状態とされて、油圧シリンダの作動油が作動油給排装置に戻されればよい。
作動油は、低温になるほど粘度が増加するため、元バルブユニットの上流側(作動油給排装置側)と下流側(油圧シリンダ側)とにおける圧力差が大きくなり、車高を上昇方向に調整する場合におけるポンプのモータ電流が増加する。このため、ポンプモータの負荷が過剰となってポンプモータの耐久性の低下を招くおそれがある。
そこで、本発明の元バルブユニットは、電磁開閉弁と、円筒状連通路と、カップシールとを備えている。電磁開閉弁は、給排元通路の開閉を行う。円筒状連通路は、電磁開閉弁内で作動油が流れる通路である弁内通路をバイパスして、電磁開閉弁に対して作動油給排装置側の給排元通路と油圧シリンダ側の給排元通路とを連通させる作動油の通路であって、弁内通路を形成する円筒状外壁の周囲に形成される。カップシールは、円筒状連通路に設けられ、円筒状連通路における、作動油給排装置側から油圧シリンダ側への作動油の流れを許容し、油圧シリンダ側から作動油給排装置側への作動油の流れを遮断する。
カップシールは、弾性材にて形成され、例えば、弁内通路を形成する円筒状外壁の外周に固定される円筒固定部と、円筒固定部における上流側端(作動油給排装置側端)から断面V字状に折り返された形状にて下流方向に斜めに延びるリング板状のリップ部とを有し、作動油の圧力によってリップ部が弾性変形して円筒状連通路を開閉する。この場合、給排元通路における作動油給排装置側の油圧が油圧シリンダ側の油圧よりも高い場合には、リップ部が円筒状連通路を開き、給排元通路における油圧シリンダ側の油圧が作動油給排装置側の油圧よりも高い場合には、リップ部が円筒状連通路を閉じる。従って、カップシールを使って、チェックバルブ(逆止弁、一方向弁)の機能を得ることができる。
この結果、車高が上昇方向に調整される場合には、ポンプから油圧シリンダに供給する作動油は、電磁開閉弁の弁内通路だけでなく円筒状連通路にも流れるため、元バルブユニットの通路抵抗が減り、元バルブユニットで発生する圧力差を小さくすることができる。これにより、ポンプモータの負荷を抑えることができ、ポンプモータの耐久性を向上させることができる。
また、車高が下降方向に調整される場合には、ポンプを作動させずに、電磁開閉弁を開弁して、油圧シリンダの作動油をリザーバタンクに戻せばよいが、この場合には、カップシールが、円筒状連通路を遮断するため、元バルブユニットに流れる作動油の流量を抑えることができる。このため、車高調整時間が短くなり過ぎないようにすることができ、精度の良い車高調整を実施することができる。また、車高調整速度が速くなりすぎないようにすることができ、衝撃や異音の発生を抑制することができる。
また、元バルブユニットは、電磁開閉弁にカップシールを組み込み、このカップシールをチェックバルブとして機能させているため、電磁開閉弁とチェックバルブとを別々に設けた場合に比べて、部品点数の低減等を図ることができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るサスペンションシステムの概略を示す全体構成図である。 車高上昇制御ルーチンを表すフローチャートである。 元バルブユニットの断面図である。 元バルブユニットにおける作動油の流れを説明する断面図である。 本実施形態に係るポンプ吐出流量と圧力差との関係、および、ポンプ吐出流量とモータ電流増加量との関係を表すグラフである。 チェック弁を備えない場合(比較例)における、ポンプ吐出流量と圧力差との関係、および、ポンプ吐出流量とモータ電流増加量との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のサスペンションシステム1の概略を示す全体構成図である。
サスペンションシステム1は、左右前後輪WFL,WFR,WRL,WRRの各々と車体とを離接可能に連結するサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRと、車高を調整する際にサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRに対して作動油の供給および排出を行うための作動油給排装置70と、サスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRと作動油給排装置70との間に設けられる油圧制御回路50と、システム全体の作動を制御する電子制御ユニット200(ECU200呼ぶ)とを備える。
以下、符号末尾に付した記号に関して、FLは左前輪に対応して設けられる部材であること、FRは右前輪に対応して設けられる部材であること、RLは左後輪に対応して設けられる部材であること、RRは右後輪に対応して設けられる部材であることを表すが、明細書中において、対応する車輪を特定する必要がない場合には、末尾の記号を省略する。
サスペンション装置10は、左右前後輪Wのそれぞれを保持する車輪保持部材11(例えば、ロアアーム)、および、各車輪保持部材11と車体との間に設けられる油圧シリンダ20を備えている。尚、図示しないが、各車輪保持部材11と車体との間には、油圧シリンダ20と並列にサスペンションスプリング(コイルスプリング)が設けられている。油圧シリンダ20は、ショックアブソーバとして機能し、車輪保持部材11と車体との間の距離変化に合わせて伸縮する。
各油圧シリンダ20は、互いに構造が同じであって、それぞれ、ハウジング21と、ハウジング21の内部にハウジング21に対して相対移動可能に嵌合されたピストン22と、ピストン22からハウジング21の外部まで延びたピストンロッド23とを備えている。ハウジング21は、車輪保持部材11に連結され、ピストンロッド23は、車体に連結されている。ハウジング21は、ピストン22によって2つの油室24a,24bに仕切られている。ピストン22には、油室24a,24bを連通させる連通路25が形成され、連通路25には絞り(図示略)が形成されている。この絞りによって、ピストン22のハウジング21に対する相対移動速度に応じた減衰力が発生する。
各油圧シリンダ20の油室24aには、それぞれ、作動油の流れる通路である個別給排通路51が接続されている。油圧シリンダ20は、個別給排通路51から供給される作動油の圧力によって車輪保持部材11と車体とを離間させる方向の力を発生させる。従って、油圧シリンダ20は、個別給排通路51から供給される作動油の圧力が高いほど、車輪保持部材11と車体との距離を大きくして車高を上昇させる。
各個別給排通路51には、油圧シリンダ20に近い側から順に、主アキュムレータ31およびレベリングバルブ61が接続されている。主アキュムレータ31は、サスペンションスプリング(コイルスプリング)とは別に設けられた油圧系のガスばねとして機能する。
個別給排通路51は、本発明の車高調整用通路に相当する。主アキュムレータ31は、本発明の第1ガスばねに相当する。レベリングバルブ61は、本発明の車高調整用バルブに相当する。従って、個別給排通路51とレベリングバルブ61とからなる構成が、本発明の車高調整用油圧制御回路に相当する。
主アキュムレータ31は、ハウジング31aと、そのハウジング31a内を2つの容量変化室に仕切る仕切り部材31bとを備え、仕切り部材31bによって仕切られた一方の容量変化室である油室31cに個別給排通路51が連通し、他方の容量変化室であるガス室31dに弾性体であるガス(例えば、窒素ガス)が充填されて構成されている。主アキュムレータ31は、油室31cの容積の増加に起因してガス室31dの容積が減少する。従って、主アキュムレータ31は、油圧シリンダ20の油圧に応じて油室31cに収容される作動油の量が変化して、油圧シリンダ20の伸縮動作に弾性力を発生させる油圧系のガスばねとして機能する。主アキュムレータ31の油室31cは、常時、油圧シリンダ20の油室24aに連通している。
レベリングバルブ61は、車高調整時に作動して、個別給排通路51を開閉する常閉式の電磁開閉弁である。
各個別給排通路51には、レベリングバルブ61と油圧シリンダ20との間となる位置において、個別レート切替通路52が分岐して接続される。個別レート切替通路52には、個別給排通路51との接続位置に近い側から順に、ばね切替バルブ62および副アキュムレータ32が接続されている。
副アキュムレータ32は、本発明の第2ガスばねに相当する。
副アキュムレータ32は、ハウジング32aと、そのハウジング32a内を2つの容量変化室に仕切る仕切り部材32bとを備え、仕切り部材32bによって仕切られた一方の容量変化室である油室32cに個別レート切替通路52が連通し、他方の容量変化室であるガス室32dに弾性体であるガス(例えば、窒素ガス)が充填されて構成されている。副アキュムレータ32は、油室32cの容積の増加に起因してガス室32dの容積が減少する。従って、副アキュムレータ32は、油圧シリンダ20の油圧に応じて油室32cに収容される作動油の量が変化して、油圧シリンダ20の伸縮動作に弾性力を発生させる油圧系のガスばねとして機能する。
副アキュムレータ32は、主アキュムレータ31よりもばね定数が小さい。主アキュムレータ31および副アキュムレータ32は、ベローズ式、ブラダ式、および、ピストン式など任意の形式のものを採用することができる。本実施形態では、主アキュムレータ31には、高圧縮圧力時の耐ガス透過性に優れた金属ベローズ式アキュムレータが採用される。また、副アキュムレータ32には、比較的大きな容量を確保でき耐ガス透過性に優れた樹脂膜入りブラダ式アキュムレータが採用される。
ばね切替バルブ62は、ホイールレートの切り替え時に作動する常開式の電磁開閉弁である。ばね切替バルブ62が開弁している状態においては、油圧シリンダ20に対して主アキュムレータ31と副アキュムレータ32とが並列に接続され、ばね切替バルブ62が閉弁している状態においては、油圧シリンダ20と副アキュムレータ32との連通が遮断される(主アキュムレータ31と副アキュムレータ32との連通が遮断されると表現することもできる)。以下、主アキュムレータ31を高ガスばね31と呼び、副アキュムレータ32を低ガスばね32と呼ぶ。
このように、サスペンション装置10は、車輪保持部材11と、油圧シリンダ20と、油圧シリンダ20に並列に接続される高ガスばね61および低ガスばね62から構成されている。
各個別給排通路51は、それぞれ、共通給排通路54に接続される。共通給排通路54は、作動油給排装置70に接続されており、作動油給排装置70から作動油を各個別給排通路51に供給する通路でもあり、各個別給排通路51から作動油を作動油給排装置70に戻す通路でもある。
油圧制御回路50には、レベリングバルブ61、および、ばね切替バルブ62をバイパスして、低ガスばね32を共通給排通路54に連通させる個別バイパス通路53が設けられている。各個別バイパス通路53には、それぞれ、バイパスバルブ63が設けられている。このバイパスバルブ63は、常閉式の電磁開閉弁である。従って、バイパスバルブ63が開弁されている状態においては、レベリングバルブ61、および、ばね切替バルブ62の状態に関係なく、低ガスばね32が共通給排通路54に連通する。この個別バイパス通路53およびバイパスバルブ63からなる構成が、本発明の第2ガスばね用油圧制御回路に相当する。
共通給排通路54には、元バルブユニット100が設けられている。元バルブユニット100は、常閉式の電磁開閉弁である元バルブ100aと、元バルブ100aと並列に設けられるチェックバルブ100bとを共通のハウジング内に組み込んだアセンブリである。チェックバルブ100bは、元バルブ100aをバイパスして、元バルブ100aの上流側通路と元バルブ100aの下流側通路とを連通する連通路100cに設けられ、元バルブ100aの上流側の圧力P1が元バルブ100aの下流側の圧力P2よりも高い場合には、その圧力差ΔP(P1−P2)による力で開弁して、作動油を連通路の下流方向に流し、上流側の圧力P1が下流側の圧力P2よりも低い場合には、その圧力差ΔP(P2−P1)による力で閉弁状態を維持して、連通路の上流方向への作動油の流れを阻止する一方向弁(逆止弁)である。尚、元バルブ100aの上流側とは、作動油給排装置70側を表し、下流側とは、油圧シリンダ20側を表すものとする。
元バルブユニット100の詳細については、サスペンションシステム1の全体説明の後に説明する。
尚、図1においては、共通給排通路54は、元バルブユニット100の下流側で、左右前輪の個別給排通路51FL,51FRに連通される通路と、左右後輪の個別給排通路51RL,51RRに連通される通路とに分岐しているが、必ずしもこのように分岐させる必要はない。例えば、各個別給排通路51FL,51FR,51RL,51RRが直接、4輪共通の共通給排通路54に連通されているなど、作動油給排装置70から各個別給排通路51までの作動油の通路(つまり共通給排通路54)は任意に構成できるものである。
共通給排通路54は、本発明の給排元通路に相当する。この共通給排通路54および元バルブユニット100からなる構成が、本発明の給排油圧制御回路に相当する。
作動油給排装置70は、高圧源としてのポンプ装置71と、低圧源としてのリザーバタンク72とを備えている。ポンプ装置71は、ポンプ71a、および、ポンプ71aを駆動するポンプモータ71bを備えている。ポンプ装置71は、リザーバタンク72の作動油をくみ上げて共通給排通路54に供給する。作動油給排装置70は、ポンプ装置71の下流側(吐出側)となる共通給排通路54において、チェックバルブ73(一方向弁)とリターンバルブ74とを並列に備えている。
リターンバルブ74は、ポンプ装置71から元バルブユニット100への作動油の供給と、元バルブユニット10からリザーバタンク72への作動油の排出とを切り替えるバルブである。リターンバルブ74は、通常、スプリングの力により元バルブユニット100とリザーバタンク72との間の通路が開いた状態となっており、ポンプ装置71が駆動されると、その吐出圧と共通給排通路54の油圧との差圧によって弁体が押されて元バルブユニット100とリザーバタンク72との間の通路を閉じる。これにより、チェックバルブ73が開弁してポンプ装置71から吐出された作動油が元バルブユニット100に流れる。
尚、本実施形態の作動油給排装置70は、軽量化を図るために、ポンプ装置71によって加圧された油圧を蓄圧する蓄圧用アキュムレータを備えていない。
また、共通給排通路54には、元バルブユニット100の下流側の油圧を検出するための油圧センサ90が設けられている。この油圧センサ90は、元バルブユニット100、4つのレベリングバルブ61、および、4つのバイパスバルブ63で囲まれる作動油の通路ならどこに設けられていてもよい。つまり、油圧センサ90は、元バルブユニット100に対して油圧シリンダ20側であって、4つのバイパスバルブ63に対して元バルブユニット100側でありレベリングバルブ61に対して元バルブユニット100側となる作動油の通路に設けられていればよい。従って、この油圧センサ90によれば、元バルブユニット100を閉弁した状態で、任意の車輪のレベリングバルブ61を開弁した場合には、その車輪の油圧シリンダ20の油圧を検出することができ、任意の車輪のバイパスバルブ63を開弁した場合には、その車輪の低ガスばね32の油圧を検出することができる。
このように、油圧制御回路50は、共通給排通路54と、元バルブユニット100と、個別給排通路51と、レベリングバルブ61と、個別レート切替通路52と、ばね切替バルブ62と、個別バイパス通路53と、バイパスバルブ63とから構成されている。
ECU200は、マイクロコンピュータおよび駆動回路(モータ駆動回路、および、電磁弁駆動回路)を主要部として備えている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPUとROM及びRAM等の記憶装置を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
ECU200には、油圧制御回路50に設けられた各種の電磁弁(レベリングバルブ61、ばね切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ100a)と、作動油給排装置70に設けられたポンプモータ71bと、油圧センサ90とが接続されている。更に、ECU200には、車両運動状態を検出する運動検出センサ210と、ドライバーの操作を検出する操作検出センサ220とが接続されている。
運動検出センサ210としては、例えば、車速を検出する車速センサ、前後左右輪位置ごとに車高を検出する車高センサ、車体の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ、車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサ、および、車体の前後左右方向の加速度を検出する水平加速度センサなどである。車高センサは、例えば、各車輪Wを保持する車輪保持部材11と、その車輪位置における車体との間の距離を車高として検出する。
操作検出センサ220としては、ブレーキペダルの踏み込みストロークを検出するストロークセンサ、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、および、トランスファのレンジ状態を検出するトランスファセンサなどである。尚、ECU200は、運動検出センサ210および操作検出センサ220を直接的に接続している必要はなく、それらのセンサを接続している他の車載ECU(例えば、エンジンECU、ブレーキECU、および、ステアリングECUなど)から検出信号を入力してもよい。また、ECU200は、操作検出センサ220として車高選択スイッチと、車高調整オフスイッチとを接続している。
車高選択スイッチは、ドライバーの操作によって、目標車高を、ノーマル車高、ロー車高、および、ハイ車高の3通りにて選択するスイッチである。車高調整オフスイッチは、ドライバーの操作によって、車高制御を禁止するスイッチである。
ECU200は、運動検出センサ210および操作検出センサ220によって検出された検出信号に基づいて、ホイールレート切替制御、および、車高制御を実施する。
<ホイールレート切替制御>
まず、ホイールレート切替制御について説明する。本実施形態のサスペンションシステムにおいては、各車輪Wごとに、当該車輪位置における低ガスばね32と油圧シリンダ20との連通および遮断を切り替えることにより、当該車輪Wのホイールレートを切り替えることができる。つまり、ばね切替バルブ62の開閉制御によって、油圧シリンダ20と低ガスばね32との連通状態/遮断状態(高ガスばね31と低ガスばね32との連通状態/遮断状態と表現することもできる)を切り替えることにより、ホイールレートを小(ソフト)/大(ハード)に切り替えることができる。
例えば、ECU200は、基本的には、4輪Wのばね切替バルブ62を開弁状態に維持することにより、ホイールレートを小(ソフト)に設定して乗り心地を確保する。また、ECU200は、運動検出センサ210および操作検出センサ220によって、車両旋回時のロール運動、あるいは、車両制動時のピッチ運動などの車体の姿勢変化が検出(あるいは予測)されたときに、姿勢変化状況に応じた車輪W(例えば、左右前輪)のばね切替バルブ62を閉弁することにより、当該車輪Wの油圧シリンダ20から低ガスばね32を切り離してホイールレートを増加させる(ハード)。これにより、車体のロール運動およびピッチ運動(車体の姿勢変化)を抑制することができる。
<車高制御>
次に、車高制御について説明する。ECU200は、車高選択スイッチによって選択された車高と、運動検出センサ210および操作検出センサ220によって検出された信号に基づいて、作動油給排装置70および各種電磁弁61,62,63,100aを制御することにより、前後左右輪Wそれぞれの油圧シリンダ20の作動油の供給・排出・保持を切り替えて車高を調整する。
例えば、ECU200は、乗員数および積載量などの荷重条件に関わらず、常にドライバーの選択した車高を維持するオートレベリング制御を実施する。また、ECU200は、車速に応じて最適な目標車高を設定する機能を有している。例えば、ECU200は、ドライバーのスイッチ操作によってロー車高、ハイ車高が選択されている場合には、車速が予め設定された閾値よりも増加すると、ドライバーの選択車高を解除して、目標車高をノーマル車高に変更する。また、ECU200は、高速走行時には、ドライバーの選択車高を解除して、目標車高を予め設定された高速走行用ロー車高に変更する。また、ECU200は、トランスファセンサによって検出されるトランスファの設定がL4レンジ(オフロード走行用レンジ)である場合には、車速が予め設定された車速以上になると、目標車高をハイ車高に切り替える。
ECU200は、車高センサによって検出された車高(実車高)が目標車高と一致するように作動油給排装置70、レベリングバルブ61、ばね切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ100aを駆動制御する。尚、ECU200は、レベリングバルブ61、切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ100aの状態を切り替える場合、これらのバルブに対して開弁指令、あるいは、閉弁指令を出力する。開弁指令は、バルブを開弁するための駆動信号であって、常閉式電磁弁(NC)に対しては駆動信号の出力オンを表し、常開式電磁弁(NO)に対しては駆動信号の出力オフを表す。また、閉弁指令は、バルブを閉弁するための駆動信号であって、常閉式電磁弁に対しては駆動信号の出力オフを表し、常開式電磁弁に対しては駆動信号の出力オンを表す。
<車高上昇制御>
ECU200は、車高を変更する必要が生じた場合、以下のようにして車高を調整する。まず、車高を上昇させるときの制御について説明する。ここでは、1輪についての車高制御について説明する。図2は、ECU200の実施する車高上昇制御ルーチンを表す。ECU200は、車高上昇要求が発生すると、車高上昇制御ルーチンを開始する。車高上昇要求は、例えば、車高センサによって検出される車高Lx(以下、実車高Lxと呼ぶ)と目標車高L0との偏差(L0−Lx)が許容値を超えた場合に発生する。
車高上昇制御ルーチンが開始されると、ECU200は、ステップS11において、バイパスバルブ63を閉弁状態に維持したまま、元バルブ100aおよびレベリングバルブ61を閉弁状態から開弁状態に切り替えるとともに、ばね切替バルブ62を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
続いて、ECU200は、ステップS12において、ポンプ装置71を起動させる。これにより、リザーバタンク72に溜まっている作動油が油圧制御回路50を介して、油圧シリンダ20および高ガスばね31に供給される。これにより、当該車輪Wの車高が上昇する。この場合、低ガスばね32には作動油が供給されないため、少ない油量で早く車高を上昇させることができる。
ECU200は、ステップS13において、車高センサによって検出された実車高Lxが目標車高L0に達するまで待機し、実車高Lxが目標車高L0に達すると(S13:Yes)、ステップS14において、その時点における油圧センサ90の検出値を車高調整完了圧力P0として記憶する。この車高調整完了圧力P0は、車高調整対象輪の油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧と等しい。
続いて、ECU200は、ステップS15において、元バルブ100aを開弁状態、ばね切替バルブ62の閉弁状態を維持したまま、レベリングバルブ61に閉弁指令を出力してレベリングバルブ61を開弁状態から閉弁状態に切り替えるとともに、バイパスバルブ63に開弁指令を出力してバイパスバルブ63を閉弁状態から開弁状態に切り替える。これにより、油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧が保持された状態で、リザーバタンク72に溜まっている作動油が、ポンプ装置71の作動によって、低ガスばね32に供給される。
続いて、ECU200は、ステップS16において、油圧センサ90の検出値Px(実油圧Pxと呼ぶ)が車高調整完了圧力P0に達するまで待機する。つまり、低ガスばね32の油圧が、当該車輪Wの油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧と等しくなるまで待機する。
ECU200は、実油圧Pxが車高調整完了圧力P0に達すると(S16:Yes)、ステップS17において、バイパスバルブ63に閉弁指令、ばね切替バルブ62に開弁指令、元バルブ100aに閉弁指令、ポンプ装置71に停止指令を出力する。これにより、ポンプ71aが停止するとともに、バイパスバルブ63、および、元バルブ100aが開弁状態から閉弁状態に切り替わり、ばね切替バルブ62が閉弁状態から開弁状態に切り替わる。こうして、油圧シリンダ20、高ガスばね31、および、低ガスばね32は、互いに連通状態になる。ECU200は、ステップS17の処理を実施すると車高上昇制御ルーチンを終了する。
この車高上昇制御ルーチンによれば、車高を上昇させるときには、低ガスばね32に作動油が供給されず、車高が目標車高にまで上昇した後に低ガスばね32に作動油が供給されるため、車高を上昇させるために必要な油量を最小にすることができる。また、車高を早く目標車高にまで上昇させることができる。また、車高が目標車高にまで上昇した後に、低ガスばね32と高ガスばね31とが同圧となるように低ガスばね32に作動油が供給されるため、ばね切替バルブ62の開弁動作による車高変動を防止することができる。
尚、車高を上昇させる対象となる車輪(対象車輪)が複数ある場合には、ECU200は、対象車輪の全てについて同時にステップS11の処理を開始し(元バルブ100aの開弁動作については共通)、その後、各対象車輪ごとに、実車高Lxが目標車高L0に到達したときに、車高調整完了圧力P0を記憶するとともに、当該車輪のレベリングバルブ61を閉弁する。そして、ECU200は、最後の対象車輪の車高調整が完了したタイミングで、低ガスばね32の油圧調整を開始する。この場合、ECU200は、ポンプ装置71を作動状態、元バルブ100aを開弁状態、ばね切替バルブ62を閉弁状態に維持した状態で、対象車輪のバイパスバルブ63を一輪ずつ切り替えて開弁する。バイパスバルブ63は、実油圧Pxが車高調整完了圧力P0に到達したタイミングで閉弁され、このタイミングで、次の対象車輪のバイパスバルブ63が開弁される。ECU200は、最後の対象車輪の低ガスばね32の油圧調整が完了したタイミングで(最後の対象車輪のバイパスバルブ63を閉弁するタイミングで)、元バルブ100aを閉弁し、ばね切替バルブ62を開弁し、ポンプ装置71を停止する。
<車高下降制御>
次に、車高を下降させるときの制御について説明する。ECU200は、車高センサによって検出される実車高Lxと目標車高L0との偏差(Lx−L0)が許容値を超えた場合に車高下降制御を実施する。例えば、ECU200は、ポンプ装置71の作動を停止した状態で、レベリングバルブ61および元バルブ100aを閉弁状態から開弁状態に切り替える。この場合、ばね切替バルブ62が閉弁している場合には、ばね切替バルブ62についても開弁状態に切り替える。また、バイパスバルブ63は閉弁状態に維持されている。
これにより、油圧シリンダ20の作動油が、油圧制御回路50を介してリザーバタンク72に排出される。従って、油圧シリンダ20が収縮して、当該車輪Wの車高が低下する。ECU200は、実車高Lxが目標車高L0に低下するまで待機し、実車高Lxが目標車高L0以下に達すると、レベリングバルブ61および元バルブ100aを開弁状態から閉弁状態に切り替える。これにより、車高を目標車高L0にまで低下させることができる。
この場合、車高上昇制御と同様に、油圧シリンダ20から低ガスばね32を切り離して(ばね切替バルブ62を閉弁状態にして)、油圧シリンダ20から作動油を排出してもよいし、上述したように油圧シリンダ20と低ガスばねとを連通した状態で油圧シリンダ20から作動油を排出してもよい。前者の場合には、車高制御の終了後、低ガスばね32から作動油を排出させて油圧調整を行う必要があるが、後者の場合には、低ガスばね32の油圧調整を行う必要は無い。
<元バルブユニット>
次に、元バルブユニット100について説明する。元バルブユニット100は、共通給排通路54を開閉する機能を備えていればよいため、基本的には、電磁開閉弁である元バルブ100aだけ備わっていればよい。しかし、油圧制御回路50に用いられる作動油は、低温になるほど粘性が増加する。このため、ポンプ71aの作動時においては、元バルブ100aの上流側の圧力P1と下流側の圧力P2との差である圧力差ΔP(P1−P2)が増加する。これにより、ポンプ71aの吐出圧が上昇するため、モータ負荷が増加してモータ電流が制限値を超えてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の元バルブユニット100は、図1に示すように、元バルブ100aの上流側通路と元バルブ100aの下流側通路とを連通する連通路100cを設け、この連通路100cにチェックバルブ100bを設けることにより、ポンプ71aから供給される作動油を元バルブ100aだけでなくチェックバルブ100bにも流す。これにより、元バルブユニット100における通路抵抗が少なくなり、ポンプ71aの吐出流量に対する元バルブユニット100で発生する圧力差ΔPを低下させることができる。
車高を下降させる場合には、ポンプ71aを停止させた状態で、油圧シリンダ20の作動油が元バルブユニット100を介してリザーバタンク72に戻される。この場合、チェックバルブ100bは、下流側の圧力P2と上流側の圧力P1との圧力差ΔP(P2−P1)によって閉弁保持される。
車高を下降方向に調整する場合は、油圧シリンダ20を収縮させる方向に作用する力(車両重量)によって、油圧シリンダ20に溜まっている高圧の作動油がリザーバタンク72に戻されるため、車高を上昇方向に調整する場合に比べて、短時間にて車高が変化する。また、車高調整時間が短すぎると、精度のよい車高調整を実施することが難しくなる。本実施形態の元バルブユニット100では、作動油をリザーバタンク72に戻す場合には、チェックバルブ100bが閉弁する。このため、元バルブユニット100においては、作動油は、元バルブ100aのみを通過してリザーバタンク72に戻される。これにより、所定の車高制御性能を確保できる適正速度にて車高調整を行うことができる。
例えば、ポンプ71aの作動によって車高を上昇させる場合のモータ負荷の増大という問題に対しては、元バルブ100aの開口面積を大きくして通過抵抗を小さくすれば解決できる。しかし、そのようにすると、元バルブ100aが大型化してしまう。それに伴って、バルブハウジングの質量の増加、コストの上昇という新たな問題を招いてしまう。また、車高を下降する方向に調整する場合においても、作動油の流量が増加してしまうため、車高調整時間が短くなりすぎたり、車高調整速度が速くなりすぎて衝撃や異音が大きくなったりするおそれがある。
そこで、本実施形態の元バルブユニット100では、チェックバルブ100bによって、そうした課題を解決している。
更に、本実施形態の元バルブユニット100では、元バルブ100a内にチェックバルブ100bが組み込まれることによって、元バルブ100aとチェックバルブ100bとを別々に設けた場合に比べて、部品点数の低減、および、加工数の低減等を図ることができる。
図3は、本実施形態の元バルブユニット100の断面を表す。図3において、符号170で示した部材がチェックバルブ100bに相当し、符号160で示した通路が連通路100cに相当する。このチェックバルブ100bは、カップシールによって実現されているため、以下、このチェックバルブ100bをカップシール170と呼ぶ。また、図3に符号160にて示した連通路は、円筒状に形成されるため、以下、その連通路を円筒状連通路160と呼ぶ。他の部材については、元バルブ100aを構成する部材である。従って、元バルブユニット100は、元バルブ100aと、円筒状連通路160と、円筒状連通路160に設けられチェックバルブとして機能するカップシール170とから構成される。
元バルブ100aは、ソレノイド110と、球状バルブ本体120と、バルブシート部材130と、バルブケーシング140とを備え、ハウジング150に固定される。ソレノイド110は、コイル111と、コイル111の外側の磁路を形成するヨーク112と、固定子113と、可動子114とを備えている。固定子113は、磁性材料にて円柱状に形成され、非磁性材によって円筒状に形成されたスリーブ115の一方端側内に挿入されて固定される。可動子114は、磁性材料にて小径部114aと大径部114bとからなる二段径の円柱状に形成され、大径部114bがスリーブ115内に、軸方向に進退可能に挿入される。可動子114と固定子113との間には、スプリング116が圧縮された状態で設けられている。これにより、可動子114は、スプリング116の力によって、固定子113から離れる方向(図3の下方向)に付勢される。
バルブケーシング140は、略円筒状に形成される。ハウジング150には、バルブケーシング140を収容して固定するためのバルブ装着孔151が形成されている。バルブケーシング140は、このバルブ装着孔151内に挿入され、図示しない固定部材等によって固定される。ハウジング150には、バルブ装着孔151に連通する上流側通路161と下流側通路162とが形成されている。上流側通路161は、元バルブ100aよりもポンプ71a側となる共通給排通路54であり、下流側通路162は、元バルブ100aよりも油圧シリンダ20側となる共通給排通路54である。下流側通路162は、バルブ装着孔151からバルブケーシング140の軸方向(図3では下方向)に沿って延びて形成されている。一方、上流側通路161は、バルブ装着孔151からバルブケーシング140の任意の径方向(図3では右方向)に沿って延びて形成されている。
バルブケーシング140は、軸方向の一方側(図面上側)の先端がスリーブ115内に嵌められて位置決め固定される。これにより、バルブケーシング140は、その円筒壁で囲まれる空間内において、軸方向の一方側に可動子114の小径部114aが進退可能に配置される。また、バルブケーシング140は、軸方向の他方側(図面下側)に円筒形状のバルブシード部材130が固定される。これにより、可動子114とバルブシート部材130とは互いに同軸状に、その先端が向かい合って配置される。
可動子114の先端(小径部114aの先端)の軸心位置には、球状バルブ本体120が固定して設けられている。バルブシート部材130は、球状バルブ本体120と向かい合う先端が先細り状に形成され、その先端部がバルブシート131となっている。このバルブシート131は、真円の開口132を囲むリング状に形成される。バルブシート131の開口132の内径は、球状バルブ本体120の外径よりもやや小さい。
可動子114は、スプリング116によりバルブシート部材130の方向に付勢されている。このため、コイル111に通電されていない状態においては、球状バルブ本体120がバルブシート131に当接して、バルブシート131の開口132を塞ぐ。つまり、元バルブ100aが閉弁される。
また、コイル111は、ECU200に設けられた駆動回路(図示略)に接続され、駆動回路から駆動電流が流されているときに、電磁力を発生し、その電磁力により、スプリング116の付勢力に抗して可動子114を図3の矢印a方向に引き上げる。これにより、球状バルブ本体120がバルブシート131から離れて、元バルブ100aが開弁される。
バルブケーシング140には、バルブシート部材130のバルブシート131と上流側通路161とを連通し、作動油の流れる通路となるケーシング内通路141が形成されている。
バルブシート部材130は、バルブシート131とは軸方向に反対側となる開口端部132が下流側通路162に臨んで設けられる。バルブシート部材130は、バルブシート131から開口端部132までの間に円筒壁で囲まれる空間が形成され、この空間が作動油の流れる通路を形成している。この通路を、バルブシート内通路133と呼ぶ。
従って、元バルブ100aが開弁した場合には、上流側通路161と下流側通路162とは、ケーシング内通路141、および、バルブシート内通路133を介して連通される。
バルブケーシング140は、軸方向の他方側(図面下側であってバルブシード部材130を固定している側)の外周面が円筒面状に形成されている。この外周面をケーシング円筒外周面142と呼ぶ。また、ハウジング150には、このケーシング円筒外周面142から径方向に一定寸法だけあけた隙間が形成されている。つまり、ハウジング150には、バルブ装着孔151の一部として、ケーシング円筒外周面142と同軸状に、ケーシング円筒外周面142よりも径の大きなハウジング円筒内周面152によって囲まれる空間が形成されている。従って、ケーシング円筒外周面142とハウジング円筒内周面152との間に円筒状空間が形成される。この円筒状空間は、その一端が上流側通路161に連通し、他端が下流側通路162に連通して、作動油の流れる通路として機能する。従って、この円筒状空間が、元バルブ100aをバイパスして上流側通路161と下流側通路162とを連通させる円筒状連通路160を構成している。
ハウジング円筒内周面152は、下流側通路162の内周面と一連につながっている。つまり、ハウジング150に形成された下流側通路162の内径は、ハウジング円筒内周面152の内径と同一となっている。
バルブシート部材130の下流側端は、バルブケーシング140の下流側端よりも下流側に突出して設けられる。従って、円筒状連通路160は、ケーシング円筒外周面142の外周だけでなく、このバルブシート部材130の外周部にまで延設されている。
バルブシート部材130の下流側先端には、径方向外側に延びた鍔部134が形成されている。鍔部134は、その外径が下流側通路162の内径(=ハウジング円筒内周面152の内径)よりも小さいため、円筒状連通路160における作動油の流れを邪魔しない。
鍔部134とバルブケーシング140の軸方向の他方端との間に、カップシール170が固定して設けられる。
カップシール170は、合成ゴム等の弾性材からなる一体成形品であり、バルブシート部材130の円筒外周面に固定して設けられる円筒状の円筒固定部171と、円筒固定部171の上流側端から断面V字状に折り返された形状にて下流方向に斜め外側(放射方向)に延びるリング板状のリップ部172とから構成され、軸方向に沿って切断した切断面がカップ状に形成されている。
カップシール170の外径は、円筒状連通路160の外径、つまり、ハウジング円筒内周面152の内径よりもやや大きい。従って、リップ部172の外周縁は、ハウジング円筒内周面152に接触している。
カップシール170は、図4(a)に示すように、上流側通路161の作動油の圧力P1が下流側通路162の作動油の圧力P2よりも高い場合には、その圧力差ΔP(P1−P2)による力で、リップ部172が外径を小さくする方向に弾性変形して、リップ部172の外周縁とハウジング円筒内周面152との間に作動油が流れる隙間が生じる。車高が上昇方向に調整される場合には、レベリングバルブ61および元バルブ100aが開弁されるとともに、ポンプ71aが駆動される。このため、高圧側となる上流側通路161の作動油は、元バルブ100aだけでなく、円筒状連通路160にも流れて下流側通路162に送られる。
逆に、図4(b)に示すように、下流側通路162の作動油の圧力P2が上流側通路161の作動油の圧力P1よりも高い場合には、その圧力差ΔP(P2−P1)による力で、リップ部172の外周縁がハウジング円筒内周面152に密着し、円筒状連通路160を遮断状態に保持する。従って、円筒状連通路160には作動油が流れない。車高が下降方向に調整される場合には、ポンプ71aが停止された状態でレベリングバルブ61および元バルブ100aが開弁される。これにより、高圧側となる下流側通路162の作動油は、元バルブ100aのみを流れて上流側通路161に送られる。
このように、カップシール170は、元バルブ100a内を作動油が流れる通路の外側に設けられた円筒状連通路160に設けられ、円筒状連通路160における作動油の流れを一方向にのみ許容するチェックバルブ(逆止弁、一方向弁)として機能する。
従って、元バルブユニット100によれば、車高を上昇方向に調整する場合には、カップシール170が円筒状連通路160を開くため、元バルブユニット100の上流側と下流側との圧力差を抑えることができる。また、車高を下降方向に調整する場合には、カップシール170が円筒状連通路160を遮断するため、元バルブユニット100に流れる作動油の流量を抑えることができる。
以上説明した本実施形態のサスペンションシステム1によれば、個別バイパス通路53とバイパスバルブ63とを備えているため、油圧シリンダ20および高ガスばね31に対する作動油の供給/排出と、低ガスばね32に対する作動油の供給/排出とを互いに独立して行うことができる。これにより、低ガスばね32を除いた油圧系統を使って車高調整を行うことができるため、少ない油量で早く車高を上昇させることができる。
これに伴って、作動油給排装置70における作動油の必要供給流量を少なくすることができるため、その構成を簡易にすることができる。例えば、ポンプ71aの吐出流量を少なくすることができる。また、従来装置のようにポンプの吐出流量を補うための蓄圧用アキュムレータ等を設ける必要がなくなる。これらの結果、作動油給排装置70の軽量化を図ることができる。
また、車高上昇調整後に、低ガスばね32の油圧が油圧シリンダ20の油圧と等しくなるように調整されるため、ばね切替バルブ62を開弁してホイールレートを切り替えても車高変動を発生しないようにすることができる。
また、元バルブユニット100は、元バルブ100aと並列にチェックバルブ100bを備えて構成され、車高を上昇方向に調整する場合には、チェックバルブ100bが開弁するため、図5(a)に示すように、ポンプ71aの吐出流量に対する元バルブユニット100で発生する圧力差ΔPを低下させることができる。これにより、図5(b)に示すように、モータ電流が制限値を超えないようにすることができる。従って、ポンプモータ71bの負荷増大を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
また、車高を下降方向に調整する場合には、チェックバルブ100bが閉弁するため、車高調整時間が短くなり過ぎないようにすることができ、精度の良い車高調整を実施することができる。また、車高調整速度が速くなりすぎないようにすることができ、衝撃や異音の発生を抑制することができる。
また、元バルブ100a内を作動油が流れる通路の外側に設けられた円筒状連通路160にカップシール170を設け、このカップシール170をチェックバルブとして機能させたため、元バルブ100aとチェックバルブ100bとを別々に設けた場合に比べて、部品点数の低減、および、加工数の低減等を図ることができる。
以上、本実施形態に係るサスペンションシステムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、各輪Wの油圧シリンダ20に対応して設けられるガスばねの数は2つであるが(高ガスばね31、低ガスばね32)、更に、別のガスばねが設けられていてもよい。例えば、油圧回路の圧力が異常上昇した場合に圧力を逃がすためのリリーフ用ガスばねが油圧シリンダ20に常時連通されている構成であってもよい。
また、本実施形態においては、車高を上昇方向に調整する場合は、油圧シリンダ20と低ガスばね32とが分離されて先に油圧シリンダ20に作動油が供給されるが、必ずしも常にそのようにする必要は無く、特定の状況においてのみ、そのようにする構成であってもよい。例えば、ドライバーが車高選択スイッチを操作したことにより、その操作時に車高を上昇させる必要が生じた場合には、ドライバーの要求に応えるために、早く車高を上昇させる必要がある。その場合にのみ、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを分離して油圧シリンダ20に作動油を供給する構成、つまり、実施形態の車高上昇制御ルーチンを実施し、それ以外の場合には、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを連通した状態で両者に作動油を供給する構成であってもよい。
1…サスペンションシステム、10…サスペンション装置、11…車輪保持部材、20…油圧シリンダ、31…主アキュムレータ(高ガスばね)、32…副アキュムレータ(低ガスばね)、50…油圧制御回路、51…個別給排通路、52…個別レート切替通路、53…個別バイパス通路、54…共通給排通路、61…レベリングバルブ、62…ばね切替バルブ、63…バイパスバルブ、70…作動油給排装置、71…ポンプ装置、71a…ポンプ、71b…ポンプモータ、72…リザーバタンク、90…油圧センサ、100…元バルブユニット、100a…元バルブ、100b…チェックバルブ、110…ソレノイド、114…可動子、120…球状バルブ本体、130…バルブシート部材、131…バルブシート、133…バルブシート内通路、134…鍔部、140…バルブケーシング、141…ケーシング内通路、142…ケーシング円筒外周面、150…ハウジング、151…バルブ装着孔、152…ハウジング円筒内周面、160…円筒状連通路、161…上流側通路、162…下流側通路、170…カップシール、200…電子制御ユニット(ECU)、210…運動検出センサ、220…操作検出センサ、W…車輪。

Claims (1)

  1. 車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に設けられ、作動油を収容して前記車輪保持部材と前記車体との間の距離変化に合わせて伸縮する油圧シリンダと、
    前記左右前後輪の各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね、および、第2ガスばねと、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダと前記第2ガスばねとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブと、
    前記各油圧シリンダに対して作動油の供給および排出を行うためのポンプ、および、リザーバタンクを有する作動油給排装置と、
    前記作動油給排装置に接続され作動油の流れる通路となる給排元通路、および、前記給排元通路の開閉を行う元バルブユニットを有する給排油圧制御回路と、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の通路である車高調整用通路、および、前記車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する車高調整用油圧制御回路と、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブをバイパスして、前記第2ガスばねのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の通路であるバイパス通路、および、前記バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する第2ガスばね用油圧制御回路と、
    前記元バルブユニットに対して前記油圧シリンダ側であって、前記バイパスバルブに対して前記元バルブユニット側であり前記車高調整用バルブに対して前記元バルブユニット側となる作動油の通路に設けられ、その通路の油圧を検出する油圧センサと、
    車高を上昇方向に調整する場合に、前記元バルブユニットを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記バイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の前記車高調整用バルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置から前記油圧シリンダに作動油を供給し、車高が目標車高に達したときの前記油圧センサにより検出された油圧を記憶し、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の前記第2ガスばねの油圧が前記記憶した油圧と等しくなるまで前記バイパスバルブを開弁状態に制御する車高制御手段と
    を備えたサスペンションシステムであって、
    前記元バルブユニットは、
    前記給排元通路の開閉を行う電磁開閉弁と、
    前記電磁開閉弁内で作動油が流れる通路である弁内通路をバイパスして、前記電磁開閉弁に対して前記作動油給排装置側の前記給排元通路と前記油圧シリンダ側の前記給排元通路とを連通させる作動油の通路であって、前記弁内通路を形成する円筒状外壁の周囲に形成される円筒状連通路と、
    前記円筒状連通路に設けられ、前記円筒状連通路における、前記作動油給排装置側から前記油圧シリンダ側への作動油の流れを許容し、前記油圧シリンダ側から前記作動油給排装置側への作動油の流れを遮断するカップシールと
    を備えたサスペンションシステム。
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