JP2019076329A - 前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、焦点距離の異なる複数の前置レンズを用いることを可能としながら、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触することがなく、また、眼科用顕微鏡の観察視野内に入ることがない、前置レンズ装置を開発することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、被検眼(11)を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡(2)に用いる前置レンズ装置(1)において、
液体レンズ(6)を保持する前置レンズホルダ(4)と、前記液体レンズ(6)の形状を変形することにより、前記液体レンズ(6)の焦点距離を変化させる焦点距離制御機構とを有することを特徴とする、前置レンズ装置(1)を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被検眼を拡大して観察する眼科用顕微鏡、及び眼科用顕微鏡の対物レンズと被検眼の間に前置レンズを挿入する前置レンズ装置に関する。
本発明は、特に、液体レンズを有する前置レンズ装置、及び当該前置レンズ装置を有する眼科用顕微鏡に関する。
眼科用顕微鏡は、レンズ等からなる観察光学系により患者の被検眼を拡大して観察することができる医療用又は検査用の機器である。
眼科用顕微鏡には、前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)を観察する機能と、後眼部(例えば網膜)を観察する機能とを備えるものがある。この種の眼科用顕微鏡では、対物レンズと被検眼の間の観察光学系の光路上に前置レンズを挿入又は離脱させることにより、前眼部観察と後眼部観察とを切り替えることができる。
前眼部観察に際しては図12(A)に示すように、観察光学系の対物レンズ13よりも被検眼11側にある焦点位置(前側焦点位置)U0に、被検眼11の前眼部が位置するように、対物レンズ13と被検眼11の間の距離H2を設定する。観察光学系の対物レンズ13からの焦点距離をF1とすると、H2=F1となる。
一方、後眼部観察に際しては図12(B)に示すように、対物レンズ13と被検眼11との間の距離H2´をより長く設定し、前側焦点位置U0と被検眼11との間に前置レンズ6を配置する。前置レンズ6は、観察光学系の光を平行光として被検眼の水晶体11bに導き、水晶体11bを介して網膜11aに焦点を結ぶように配置される。前置レンズ6の焦点距離をF2とすると、典型的には、H2´≒F1+2×F2である。
前置レンズを光路上に挿脱可能に支持する前置レンズ装置としては、各種方式のものが開発されている。
例えば、上アーム部と上アーム部に沿う方向に折り畳み可能に上アーム部の下端部に一端が保持された下アーム部とを有するレンズ支持アームによって、対物レンズの下方に前置レンズを挿入又は離脱させることができる前置レンズ装置が開発されている(特許文献1[0023]、[0032]、[0049]及び[0050])。
また、眼科用顕微鏡の観察光学系の光軸に対して傾いた回転軸を中心に回転するレンズ受け部に、屈曲したレンズホルダを介して、2つの前置レンズを取り付けたリボルバ方式の前置レンズ装置が開発されている。この前置レンズ装置は、観察光学系の光路上で、2つの前置レンズを入れ替えることができる(特許文献2[0120])。
このように、従来の前置レンズ装置では、保持される前置レンズは通常は1個又は2個であり、焦点距離の異なる前置レンズを使用するためには、人手により前置レンズを取り替える必要があるものであった。
特開2004−229929号公報 特開2009−205156号公報
眼科用顕微鏡は、手術に用いる際には、焦点距離の異なる少なくとも3種類の前置レンズを用いることが一般的である。従来、3種類の前置レンズは、人手により取り替えを行う必要があり、操作が面倒で、その度に執刀医の集中力が途切れてしまい、効率が悪くなるという問題があった。
また、複数の前置レンズを機械的機構により入れ替えることができる前置レンズ装置も開発されているが、前置レンズ装置が被検眼の近くで大きなスペースを占めることとなるため、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触する恐れがあり、また、眼科用顕微鏡の観察視野内に入る恐れがあるという問題があった。
そこで、本発明は、前記従来の状況に鑑み、焦点距離の異なる複数の前置レンズを用いることを可能としながら、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触することがなく、また、眼科用顕微鏡の観察視野内に入ることがない、前置レンズ装置を開発することを目的とする。
前記課題を解決するため、本願の発明者らは鋭意研究した結果、前置レンズとして液体レンズを用いることで、複数個のレンズを使用することなく、一つの液体レンズで焦点距離の異なる複数種類の前置レンズを実現できるため、前置レンズ装置を省スペース化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、前置レンズ装置に関する下記の第1の発明と、眼科用顕微鏡に関する下記の第2の発明を提供する。
(1) 第1の発明は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置において、
液体レンズを保持する前置レンズホルダと、
前記液体レンズの形状を変形することにより、前記液体レンズの焦点距離を変化させる焦点距離制御機構とを有することを特徴とする前置レンズ装置に関する。
(2) 第1の発明の前置レンズ装置においては、前記焦点距離制御機構が、前記液体レンズの周囲に設けられた電極と、前記電極に導線を通じて電圧を印加する電圧アンプと、前記電圧アンプの電圧を制御する制御装置とを有することが好ましい。
(3) 前記いずれかの前置レンズ装置においては、前記前置レンズホルダが、光を透過する容器を有するものとし、
前記容器内に極性液体及び非極性液体を封入することにより、前記極性液体と前記非極性液体との間に界面を形成し、前記界面を屈折面とする液体レンズを形成することができる。
(4) 前記(2)又は(3)の前記前置レンズ装置においては、
対向する2つの透明基板の内側の面に電極と絶縁膜とをこの順に設け、前記透明基板とその間に設けられたスペーサ部材とにより、光を透過する容器を形成し、
前記容器内に極性液体と非極性液体とを封入して、前記極性液体と前記非極性液体との間に界面を形成し、前記界面を屈折面とする液体レンズを形成し、
前記電極に電圧を印加することで、前記界面を変化させて、前記液体レンズの焦点距離を変化させることができる。
(5) 前記いずれかの前置レンズ装置においては、前記液体レンズが、焦点距離を無限遠に変化させることができる液体レンズであることが好ましい。
(6) 第2の発明は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡において、前記いずれかに記載の前置レンズを有することを特徴とする眼科用顕微鏡に関する。
(7) 第2の発明の眼科用顕微鏡においては、前記観察光学系の光軸上に挿脱可能で、前記観察光学系の対物レンズよりも被検眼側にある焦点位置を調整するために使用する対物補助レンズを有することが好ましい。
(8) 前記(7)の眼科用顕微鏡においては、前記対物補助レンズが、マイナスのパワーを有するレンズであることが好ましい。
(9) 前記(7)又は(8)の眼科用顕微鏡においては、前記液体レンズの焦点距離の変化に連動して、前記対物補助レンズを挿入、離脱又は入れ替えする切り替え機構を有することが好ましい。
(10) 前記(7)〜(9)のいずれかの眼科用顕微鏡において、前記液体レンズの焦点距離を少なくともn種類に変化させる場合には、少なくともn個の対物補助レンズを有することが好ましい。
本発明の前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡は、前置レンズとして、焦点距離制御機構により焦点距離を変化させることができる液体レンズを用いるため、複数のレンズを使用することなく、一つの液体レンズで、焦点距離の異なる複数種類の前置レンズを実現できる。このため、複数種類の前置レンズの使用を可能としながら、前置レンズ装置の省スペース化を図ることができるため、前置レンズ装置が、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触する恐れや、眼科用顕微鏡の観察視野内に入る恐れを抑制することができる。
本発明の第1の実施形態の前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態で使用される前置レンズホルダの構造を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態で使用される前置レンズホルダの構造を示す模式図である。 前置レンズホルダを挿脱して前眼部観察と後眼部観察を切り替えたときの、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。 液体レンズの焦点距離が変化した場合における、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡において、前眼部を観察する際の光学系の構成を模式的に示す側面図である。 本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡において、前眼部を観察する際の光学系の構成を模式的に示す正面図である。 前眼部を観察する際の対物補助レンズの配置を模式的に示す図面である。図8(A)は、本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡における対物補助レンズの配置を示し、図8(B)は、対物補助レンズを対物レンズの被検眼側とは反対側に設ける場合の配置を示す。 本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡において、後眼部を観察する際の光学系の構成を模式的に示す側面図である。 本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡において、後眼部を観察する際の光学系の構成を模式的に示す正面図である。 後眼部を観察する際の対物補助レンズの配置を模式的に示す図面である。図11(A)は、本発明の第3の実施形態の眼科用顕微鏡における対物補助レンズの配置を示し、図11(B)は、対物補助レンズを対物レンズの被検眼側とは反対側に設ける場合の配置を示す。 前置レンズを挿脱して前眼部観察と後眼部観察を切り替えたときの、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。
1. 前置レンズ装置
1−1. 本発明の前置レンズ装置の概要
本発明の前置レンズ装置は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置に関するものであり、
液体レンズを保持する前置レンズホルダと、
前記液体レンズの形状を変形することにより、前記液体レンズの焦点距離を変化させる焦点距離制御機構とを有することを特徴とする。
本発明の前置レンズ装置は、前置レンズホルダに保持される液体レンズを、前置レンズとして使用する。そして、液体レンズは、焦点距離制御機構によって変形することで、その焦点距離を変化させることが可能である。
このため、従来のように複数の前置レンズを使用することなく、一つの液体レンズで、焦点距離の異なる複数種類の前置レンズを実現することができる。これにより、複数種類の前置レンズの使用を可能としながら、前置レンズ装置の省スペース化を図ることができるため、前置レンズ装置が、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触する恐れや、眼科用顕微鏡の観察視野内に入る恐れを抑制することができる。
本発明における「液体レンズ」とは、液体の界面における光の屈折を利用して、光を発散又は集束させることができる光学素子をいう。
液体レンズとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、2種類の液体同士が混ざり合わずに接することにより界面を形成する液体レンズや、液体と気体とが接することにより界面を形成する液体レンズや、液体が変形可能な容器内に収容されることにより容器の外部との間に界面を形成する液体レンズ等を用いることができる。
液体レンズとして、2種類の液体同士が混ざり合わずに接することにより界面を形成する液体レンズを使用する場合には、例えば、光を透過する容器を有する前置レンズホルダを利用し、容器内に極性液体(親水性液体)と非極性液体(疎水性液体)を封入することにより、お互いに混ざり合わない極性液体と非極性液体との間に界面を形成し、界面における光の屈折を利用して、これを液体レンズとすることができる。
液体レンズは、ガラス等の固形レンズと異なり、容易に変形することができるので、その焦点距離を変化させることができる。
液体レンズを変形する方法としては、例えば、液体の濡れ性を電気的に変化させるエレテクロトウェッティングの技術により液体レンズを変形させる方法や、液量を増減させることにより液体レンズを変形させる方法や、圧力又は張力を加えることにより液体レンズを変形させる方法等がある。
これらのうち、液体の濡れ性を電気的に変化させるエレクトロウェッティングの技術を利用し、液体レンズに電圧を印加して液体レンズを変形させることによって焦点距離を制御する方法の研究開発が進んでいる。
本発明の前置レンズ装置において、電圧を印加することにより液体レンズの焦点距離を変化させる焦点距離制御機構とする場合には、例えば、液体レンズの周囲に設けられた電極と、当該電極に導線を通じて電圧を印加する電圧アンプと、当該電圧アンプの電圧を制御する制御装置とを有する焦点距離制御機構とを有することが好ましい。
ここで、電圧アンプは、導線により電極と連結しているため、液体レンズから離れた場所に設置することができる。したがって、前記のような焦点距離制御機構とすれば、液量を増減させたり圧力を加えたりして液体レンズを変形する機械的な方式のように液体レンズの周辺に大きな装置を設置する必要がなく、被検眼の周囲に広い作業スペースを確保することが可能となる。
以下、本発明の実施形態の1つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡を模式的に示す図面である。
図1に示されるとおり、前置レンズ装置1は、前置レンズホルダ4を有している。そして、前置レンズホルダ4内には、液体レンズ6が保持されるとともに、図示しない焦点距離制御機構とが備えられている。
前置レンズホルダ4は、観察光学系の光路上に挿入されている。図1中、観察光学系の光路の中心を通る観察光学系の光軸O−300を点線で示す。観察光学系の光路は、前置レンズホルダ4に保持される液体レンズ6を透過し、被検眼11に入射する。
図1に示されるとおり、前置レンズホルダ4は、第1支持アーム1001によって保持されている。第1支持アーム1001は第2支持アームと連結しており、第2支持アーム1002は、旋回軸1003を中心に回動可能に、支持ブラケット1004と連結している。このため、旋回レバー1005を手動で操作することにより、第1支持アーム1001及び第2支持アーム1002を旋回させることができる。この旋回動作により、前置レンズホルダ4を、観察光学系の光路上から離脱させることができる。また、離脱させた前置レンズホルダ4を、旋回レバー1005による操作により、観察光学系の光路上に再度挿入することもできる。
前置レンズホルダ4を観察光学系の光路上に挿入した場合には、被検眼11の後眼部(例えば網膜)を観察することができ、前置レンズホルダ4を観察光学系の光路上から離脱させた場合には、被検眼11の前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)を観察することができる。
前置レンズホルダ4は、内部に液体レンズ6を保持しており、液体レンズ6の焦点距離は、焦点距離制御機構によって変化させることができる。このため、一つの液体レンズ6で、焦点距離の異なる複数種類の前置レンズを実現することができる。したがって、従来の前置レンズを入れ替える前置レンズ装置のように、被検眼の周辺に複数の前置レンズを配置する必要がなく、前置レンズ装置の省スペース化を図ることができる。
本発明の前置レンズ装置の使用例としては、例えば、最初に、観察光学系の光路上に挿入された前置レンズホルダ4が保持する液体レンズ6の焦点距離を2.5cmとして、執刀医が眼科用顕微鏡2により被検眼11内部を観察する。このとき、ピントが合わず被検眼11内部の像が大きくぼやけていた場合には、執刀医は、図示しないフットスイッチを使用して前置レンズホルダ4が備える焦点距離制御機構を操作し、液体レンズ6の焦点距離を2.5cmから1.25cmに変化させることができる。これにより、執刀医は、従来のように助手等の力を借りて前置レンズを入れ替えることなく、前置レンズの焦点距離を変化させることができ、手術の作業効率を向上させることができる。
図1に示されるように、支持ブラケット1004は、連結アーム1006を介して、前置レンズ位置調整装置1007と連結している。前置レンズ位置調整装置1007は、連結アーム1006を観察光学系の光軸方向に上下に駆動することにより、前置レンズホルダ4の上下の位置を制御する。これにより、前置レンズホルダ4が保持する液体レンズ6の焦点距離に応じて、眼科用顕微鏡本体12が備える対物レンズと液体レンズ6との間の距離を調整することができる。
図1に示されるように、前置レンズ装置1は、前置レンズホルダ4、第1支持アーム1001、第2支持アーム1002、旋回軸1003、支持ブラケット1004、旋回レバー1005、連結アーム1006、及び前置レンズ位置調整装置1007からなる。
前置レンズ装置1は、眼科用顕微鏡本体12に取り付けられている。前置レンズ装置1は、眼科用顕微鏡本体12に容易に着脱可能となるように、図示しないアタッチメント部を介して取り付けることもできる。また、前置レンズ装置1は、眼科用顕微鏡本体12に着脱不可能に取り付けられていてもよい。
眼科用顕微鏡2は、眼科用顕微鏡本体12と前置レンズ装置1を含んで構成されている。
眼科用顕微鏡本体12には、観察光学系のレンズ等の光学素子を収納する鏡筒14があり、鏡筒14の最も被検眼11側には、対物レンズ13が設置されている。
前置レンズを観察光学系の光路上に挿入すると、被検眼の像が反転して逆像となるため、これを正像に戻すためのレンズユニットが、インバータ部15に設けられている。このインバータ部15に設けられるレンズユニットの光学系には、例えば、特公平7−48091号公報に開示のものを用いることができる。レンズユニットは、旋回レバー1005の操作による前置レンズホルダ4の挿脱と連動して、切り替えレバー16を手動で操作することで鏡筒内の光路上に挿脱することができる。また、旋回レバー1005による前置レンズホルダ4の挿脱と連動して図示しないアクチュエータを作動させることにより自動的に鏡筒内の光路上にレンズユニットを挿脱することもできる。
図2は、本発明の第1の実施形態で使用される前置レンズホルダの構造を示す模式図である。
図2において、411,412は円形の透明なガラス基板であり、この2枚のガラス基板411,412の内側の面には、透明電極501,502がパターニングにより形成されている。透明電極は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を蒸着することにより形成することができる。
透明電極501,502の内側の面には、絶縁膜421,422が形成されており、絶縁膜421,422の表面には撥水撥油膜431,432が形成されている。
絶縁膜421,422は、透明であることが好ましく、例えば、ポリフッ化ビニリデンの溶液に、無機系項誘電体のナノ粒子を分散したものを塗布することにより形成することができる。撥水撥油膜431,432の材料には、例えば、ポリパラキシリレン、ポリテトラフルオロエタン、フッ素系のポリマー、シリコーン樹脂等が用いられる。
図2に示されるように、ガラス基板411,412の間には、スペーサ部材としてのガラスリング部材44が設けられており、これによりガラス基板411,412は一定の距離を隔てて対向して配設されている。
ガラスリング部材44の外周面には、耐久性接着剤45が塗布され、これにより、ガラスリング部材44は、ガラス基板411,412の表面にある撥水撥油膜431,432と接合する。
表面に透明電極501,502、絶縁膜421,422、及び撥水撥油膜431,432が設けられたガラス基板411,412と、ガラスリング部材44とにより、光を透過する容器が形成されている。そして、この容器内に、極性液体601と、非極性液体602とを封入した後、容器の注入口をUV硬化樹脂からなる封止部材46により封止している。
極性液体601には、例えば、水を主成分とし、不凍液を添加したものを用いる。非極性液体602には、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ウンデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ブチルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン等の炭化水素系の材料や、透明なシリコーンオイル等が用いられる。
極性液体601と、非極性液体602とは、互いに混じり合わないため、その境界に界面6aを形成している。この界面6aにおいて光が屈折するため、前置レンズホルダ4内に、液体レンズを形成することができる。
図2に示されるように、透明電極501,502は、導線901,902を介して電圧アンプ7と連結している。電圧アンプ7によって透明電極501,502に印加される電圧の大きさは、制御装置8により制御することができる。このように、透明電極501,502に印加する電圧を制御装置8で制御することにより、液体レンズの焦点距離の変化を制御することができる。
例えば、透明電極501,502の間に印加する電圧を変化させることで、非極性液体602の接触角を変化させて、図2に示されるように、界面6aの形状を実線で示されるものから、点線で示されるものに変化させることができる。これにより、液体レンズの焦点距離を変化させることができる。
液体レンズは、焦点距離が無限遠となるように変化させることができるものを使用することが好ましい。液体レンズの焦点距離を無限遠とすることにより、前置レンズを観察光学系の光路から離脱させた場合と同様に前眼部を観察することができるため、前置レンズホルダを観察光学系の光路上に挿入したまま、前眼部観察と後眼部観察とを切り替えることも可能となる。
以下、焦点距離を無限遠に変化させることができる液体レンズを用いた本発明の実施形態の一つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第2の実施形態>
図3は、本発明の第2の実施形態で使用される前置レンズホルダ4の構造を示す模式図である。
図3に示されるように、2枚の透明なガラス基板411,412は対向する位置に配置されている。一方のガラス基板411には、窪みを形成するように厚みをもった透明電極501が形成されている。そして、ガラス基板411と透明電極501との接合体の内側の面には、絶縁膜421が形成されている。
他方のガラス基板412の内側の面には、透明電極502が形成されており、透明電極502の内側の面には絶縁膜422が形成されている。
図3に示されるように、ガラス基板411側にある窪みに、極性液体601と非極性液体602とが注入される。そして、2つの絶縁膜421,422が接する箇所を耐久性接着剤45で接合することにより、極性液体601と非極性液体602を密封する。
極性液体601と、非極性液体602とは、互いに混じり合わないため、その境界に界面6aを形成している。この界面6aにおいて光が屈折するため、前置レンズホルダ4内に、液体レンズを形成することができる。
第2の実施形態においては、厚みのある透明電極501が、透明基板411,412の間に設けられるスペーサ部材としての役割を兼ねている。
図3に示されるように、透明電極501,502は、導線901,902を介して電圧アンプ7と連結している。電圧アンプ7によって透明電極501,502に印加される電圧の大きさは、制御装置8により制御することができる。このように、透明電極501,502に印加する電圧を制御装置8で制御することにより、液体レンズの焦点距離の変化を制御することができる。
例えば、透明電極501,502の間に電圧を印加した場合には、非極性液体602は図3の実線で示すようにドーム状となり、界面6aにおいて光が屈折するため、液体レンズは凸レンズとなる。そして、透明電極501,502の間に電圧を印加しない場合には、図3の点線で示されるように極性液体601と非極性液体602との界面は平坦となり、液体レンズの焦点距離は無限遠となる。
液体レンズの焦点距離を無限遠とすることにより、前置レンズを観察光学系の光路から離脱させた場合と同様に前眼部を観察することができるため、前置レンズホルダ4を観察光学系の光路上に挿入したまま、前眼部観察と後眼部観察とを切り替えることが可能となる。
第1の実施形態及び第2の実施形態で使用される液体レンズホルダに例示されるように、本発明においては、対向する2つの透明基板の内側の面に電極と絶縁膜とをこの順に設け、透明基板とその間に設けられたスペーサ部材とにより、光を透過する容器を形成し、
容器内に極性液体と非極性液体とを封入して、極性液体と非極性液体との間に界面を形成し、当該界面を屈折面とする液体レンズを形成し、
電極に電圧を印加することで、界面を変化させて、液体レンズの焦点距離を変化させることができる。
2. 眼科用顕微鏡
本発明の眼科用顕微鏡は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡であり、眼科用顕微鏡本体に加えて、前記1.に記載した前置レンズ装置を有することを特徴とする。
本発明において「眼科用顕微鏡」とは、被検眼を拡大して観察することを可能とする光学素子を含む観察光学系を有する医療用又は検査用の機器をいい、ヒト用のみならず動物用のものも含む。「眼科用顕微鏡」には、これらに限定されるわけではないが、例えば、眼底カメラ、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡等が含まれる。
眼科用顕微鏡は、さらに照明光学系を有することが好ましく、照明光学系によって照明された被検眼から反射・散乱された戻り光を、観察光学系により拡大して観察することができる。照明光学系は、被検眼を照明するための光学素子を含んで構成されるものである。照明光学系には、さらに光源を含ませることができるが、自然光を被検眼に導くものであってもよい。
本発明における「観察光学系」は、左眼用観察光学系と右眼用観察光学系とに分けて構成することができ、左右の観察光学系により得られる像に視差を生じさせた場合には、双眼視により立体的に観察することも可能となる。
本発明における「観察光学系」は、接眼レンズ等を通じて観察者が直接被検眼を観察できるものであってもよく、また、撮像素子等により受光して画像化することにより観察できるものであってもよく、あるいは、両方の機能を備えるものであってもよい。
観察光学系の最も被検眼の側には、対物レンズが設けられている。そして、本発明の前置レンズ装置は、対物レンズと被検眼の間の観察光学系の光路上に、前置レンズホルダを挿入することができる。
前置レンズ装置は、観察光学系の光路上に前置レンズホルダを挿入することができるだけでなく、離脱させることもできる機構を有することが好ましい。
ただし、前置レンズホルダが保持する液体レンズが、焦点距離を無限遠となるように変化させることができる液体レンズである場合には、前置レンズホルダを観察光学系の光路上に挿入したまま、前眼部観察と後眼部観察とを切り替えることも可能である。
図4は、前置レンズホルダを挿脱して前眼部観察と後眼部観察を切り替えた時の、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。
前眼部観察に際しては、図4(A)に示すように、観察光学系の対物レンズ13よりも被検眼11側にある焦点位置(前側焦点位置)U0に、被検眼11の前眼部が位置するように、対物レンズ13と被検眼11の間の距離H2を設定する。観察光学系の対物レンズ13からの焦点距離をF1とすると、H2=F1となる。
一方、後眼部観察に際しては図4(B)に示すように、対物レンズ13と被検眼11との間の距離H2´をより長く設定し、前側焦点位置U0と被検眼11との間に前置レンズホルダ4を配置する。前置レンズホルダ4が保持する液体レンズ6は、観察光学系の光を平行光として被検眼の水晶体11bに導き、水晶体11bを介して網膜11aに焦点を結ぶように配置される。液体レンズ6の焦点距離をF2とすると、典型的には、H2´≒F1+2×F2である。
図4(A)における対物レンズ13と被検眼11との距離H2と、図4(B)における対物レンズ13と被検眼11との距離H2´とを比較すれば明らかなように、前置レンズホルダ4を挿入する場合には、対物レンズ13と被検眼11との距離を長くする必要があり、前置レンズホルダ4の挿入・離脱を行うたびに、眼科用顕微鏡本体を光軸に沿って上下に移動させる必要がある。眼科用顕微鏡本体の上下の移動は、手動又は自動により行うこともできるが、前置レンズホルダ4の挿入・離脱を行うたびに移動を行うことは煩雑である。
そこで、前眼部観察を行う際には、図4(C)に示すように、前置レンズホルダ4を光路から離脱させるとともに、凹レンズからなる対物補助レンズ17を光路上に挿入することにより、焦点距離を長くしてH2´に一致させる。そして、後眼部観察を行う際には、図4(B)に示されるように、対物補助レンズ17を光路から離脱させるとともに、前置レンズホルダ4を光路上に挿入する。このように対物補助レンズ17を用いることで、前眼部観察と後眼部観察のいずれを行う場合でも対物レンズ13と被検眼11との間の距離はH2´となり、眼科用顕微鏡本体を上下に移動させる必要がなくなる。
したがって、本発明の眼科用顕微鏡においては、観察光学系の対物レンズよりも被検眼側にある焦点位置を調整するために使用する対物補助レンズを有することが好ましい。
ここで、対物補助レンズは、焦点距離を長くすることができるマイナスのパワーを有するレンズであることが好ましい。マイナスのパワーを有するレンズは、通常、凹レンズとも呼ばれるレンズである。
また、本発明の眼科用顕微鏡においては、前置レンズホルダの挿入又は離脱に連動して、対物補助レンズを自動的に挿入又は離脱させることができる切り替え機構を有することが好ましい。
図5は、液体レンズの焦点距離が変化した場合における、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。
図5(A)は、後眼部観察にあたり、前置レンズホルダ4を光路上に挿入した状態を示す図であり、図4(B)と同じ位置関係となっている。図5(A)では、対物レンズ13と液体レンズ6との間の距離をH1´で示している。また、液体レンズ6の屈折力はDである。
一方、図5(B)は、同じ後眼部観察において、液体レンズ6を変形させることにより、液体レンズ6´´に変化させた状態を示している。液体レンズ6´´の屈折力D´´は、液体レンズ6の屈折力Dよりも大きな値となっている。
液体レンズ6,6´´の焦点距離は、屈折力の逆数から求めることができる長さであるから、図5(A)における液体レンズ6の焦点距離F2よりも、図5(B)における液体レンズ6´´の焦点距離F2´´の方が短くなる。図5(A)と図5(B)を比較すれば明らかなように、対物レンズ13と液体レンズ6,6´´の間の距離H1´,H1´´は、焦点距離の短い(屈折力の大きい)液体レンズ6´´を用いた図5(B)の場合の方が、図5(A)の場合よりも短くする必要がある。また、対物レンズ13と被検眼11の間の距離H2´,H2´´も、焦点距離の短い(屈折力の大きい)液体レンズ6´´を用いた図5(B)の場合の方が、図5(A)の場合よりも短くする必要がある。
したがって、液体レンズの焦点距離を変更した場合には、対物レンズと前置レンズホルダの間の距離を調整する必要があるのと同時に、眼科用顕微鏡本体を上下に移動させて、対物レンズと被検眼の間の距離も調整する必要がある。
そこで、液体レンズの焦点距離を変化させた場合には、図5(C)に示すように、凹レンズからなる対物補助レンズ17´´´を光路上に挿入することにより、焦点距離を長くして、F1´´´=H2´−2×F2´´となるようにする。そうすると、対物レンズ13と被検眼11との距離は、H2´と一致することとなる。これにより、液体レンズの焦点距離を変更した場合でも、対物レンズ13と被検眼11との間の距離はH2´のままでよいこととなり、顕微鏡本体を上下に移動させる必要がなくなる。
ただし、対物レンズ13と液体レンズの間の距離は、液体レンズの焦点距離をF2とする(屈折力をDとする)場合にはH1´とし、液体レンズの焦点距離をF2´´とする(屈折力をD´´とする)場合にはH1´´´となるように調整する必要がある。
さらに、液体レンズの焦点距離を、F2でもF2´´でもない第3の値とした場合には、それに対応した第3の対物補助レンズを用いることにより、対物レンズと被検眼との距離を一定にすることができる。
したがって、本発明の眼科用顕微鏡においては、液体レンズの焦点距離を3種類に変化させる場合には、焦点距離の調整を行うための対物補助レンズを少なくとも3つ有することが好ましい。また、液体レンズの焦点距離をn種類(n≧3)に変化させる場合には、n個以上の対物補助レンズを有することが好ましい。
以下、前置レンズ装置と対物補助レンズを使用する本発明の眼科用顕微鏡の実施形態の1つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第3の実施形態>
図6〜11は、本発明の第3の実施形態を模式的に示す図面である。
図6は、眼科用顕微鏡2の側面模式図であり、図7は同じく正面模式図であり、それぞれ被検眼11の前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)を観察する様子を示している。また、図8(A)に、図6及び図7の眼科用顕微鏡の観察光学系300(対物補助レンズが対物レンズの被検眼側に設けられる観察光学系)の模式図を示す。
図6に示すように、眼科用顕微鏡2は、観察光学系300のほか照明光学系1800(図7には示していない)を備えている。
観察光学系300は、観察対象(図6及び図7では被検眼11)を観察することができる。図6に参照されるように、照明光学系1800は、被検眼11の観察すべき部分を照明することができる。
図6及び図7では、観察光学系は、被検眼11よりも手前に前側焦点位置U0を有している。
図7に明示されるように、観察光学系300は、右眼用観察光学系300Rと左眼用観察光学系300Lを有している。なお、図6では、右眼用観察光学系300Rについては全構成が示され、左眼用観察光学系300Lについては右眼用観察光学系300Rと共用される対物レンズ13のみが示されている。
図7に示されるように、前置レンズホルダ4は、その内部に液体レンズ6を有している。前置レンズホルダ4は、移動させて観察光学系の光路上に挿入することができるが、前眼部観察の際には、観察光学系の光路上から離脱している。
また、図7に明示されるように、右眼用観察光学系300Rの光軸O−300Rと左眼用観察光学系300Lの光軸O−300Lは、それぞれ対物レンズ13を通過している。
本実施形態では、照明光学系1800と、観察光学系300は、眼科用顕微鏡本体12に収納されている。図6及び図7においては、眼科用顕微鏡本体12を一点鎖線で示す。
図6に示した照明光学系1800は、照明光源19、光ファイバ1801、出射光絞り1802、コンデンサレンズ1803、照明野絞り1804、コリメートレンズ1805及び反射ミラー1806を含んで構成されている。照明光学系1800の光軸をO−1800で示す。
図6に示されるように照明光源19は、本実施形態では眼科用顕微鏡本体12の外部に設けられている。照明光源19には光ファイバ1801の一端が接続されている。光ファイバ1801の他端は、眼科用顕微鏡本体12の出射光絞り1802に臨む位置に配置されている。照明光源19から出射された照明光は、光ファイバ1801により導光され、出射光絞り1802を介してコンデンサレンズ1803に入射する。
出射光絞り1802は、光ファイバ1801の出射口の一部領域を遮断するように作用する。出射光絞り1802による遮断領域が変更されると、照明光の出射領域が変更される。それにより、照明光による照射角度、つまり被検眼11に対する照明光の入射方向と対物レンズ13の光軸とがなす角度を変更することができる。
照明野絞り1804は、対物レンズ13の前側焦点位置U0と光学的に共役な位置(×の位置)に設けられている。コリメートレンズ1805は、照明野絞り1804を通過した照明光を平行光束にする。反射ミラー1806は、コリメートレンズ1805によって平行光束にされた照明光を対物レンズ13に向けて反射する。反射ミラー1806により反射された光は、対物レンズ13を透過して、被検眼11に照射される。
被検眼11に照射された照明光は、網膜の組織で反射・散乱される。その反射・散乱した戻り光(「観察光」とも呼ばれる)は、対物レンズ13を透過して、観察光学系300に入射する。
観察光学系300は、照明光学系1800により照明されている被検眼11を、対物レンズ13を介して観察するために用いられる。
図6及び図7に示されるように、変倍レンズ系301(レンズ301a,301b,301c)、ビームスプリッタ302(テレビカメラ表示用の画像情報を取得するためのビームスプリッタ)、結像レンズ303、像正立プリズム304、眼幅調整プリズム305、視野絞り306、及び接眼レンズ307を含んで構成されている。観察光学系300の光軸を、O−300で示す。
図7に示されるように、右眼用観察光学系300Rのビームスプリッタ302は、被検眼11から右眼用観察光学系に沿って導光された観察光の一部を分離して撮影光学系2000に導く。撮影光学系2000は、結像レンズ2001、反射ミラー2002、及びテレビカメラ2003を含んで構成されている。テレビカメラ2003が取得した画像情報は図示しないモニターに送られて表示される。
図6及び図7に示されるように、像正立プリズム304は、倒像を正立像に変換する。眼幅調整プリズム305は、観察者の眼幅(左眼と右眼の間の距離)に応じて左右の観察光路の間の距離を調整するための光学素子である。視野絞り306は、観察光の断面における周辺領域を遮断して観察者の視野を制限するものである。視野絞り306は、対物レンズ13の前側焦点位置U0と共役な位置(×の位置)に設けられている。
右眼用観察光学系300R,左眼用観察光学系300Lは、光路から挿脱可能に構成されたステレオバリエータを含んで構成されてもよい。ステレオバリエータは、左右の変倍レンズ系301によってそれぞれ案内される左右の観察光学系の光軸O−300L,O−300Rの相対的位置を変更するための光軸位置変更素子である。ステレオバリエータは、例えば、観察光路に対して観察者側に設けられた退避位置に退避される。
図6及び図7の眼科用顕微鏡2では、観察光学系は、対物レンズ13と被検眼11との間にレンズが存在しない場合には、被検眼11よりも手前に前側焦点位置(U0で示す)を有している。眼科用顕微鏡2では、対物レンズ13の被検眼11側に対物補助レンズ17が備えられている。
対物補助レンズ17は、前側焦点位置U0と対物レンズ13との間の対物レンズ13寄りの位置にセット(挿入)され、又は当該位置からリリース(離脱)できる。対物補助レンズ17は、セットしたときの合焦点が被検眼の前眼部位置である第1の焦点(U1)となるように選ばれている。
なお、図8(A)では、被検眼11の前眼部を観察する際の観察光学系において対物補助レンズ17が対物レンズ13の被検眼11側に設けられる場合を示している。本発明では、図8(B)に示すように、対物補助レンズ17を対物レンズ13の被検眼11側とは反対側に設け被検眼11の前眼部を観察することもできる。
図9は、図6及び図7で説明した装置において被検眼11の後眼部(例えば網膜)を観察する様子を示す図6に対応する側面図である。また、図10は、同じく図7に対応する正面図であり、図11(A)は同じく図8(A)に対応する模式図である。
図9及び図10において、対物補助レンズ17は、観察光学系の光路からリリースされている。そして、前置レンズホルダ4は、前側焦点位置U0よりも被検眼11側の位置にセットされており、セットされたときの被検眼11の水晶体を介した焦点(第2の焦点U2)は、被検眼11の網膜の位置(後眼部位置)に設定されている。
なお、対物補助レンズ17を対物レンズ13の被検眼11側とは反対側に設けた場合にも(図8(B)参照)、被検眼11の後眼部を観察するときには、図10(B)に示すように対物補助レンズ17をリリースする必要がある。
1 :前置レンズ装置
2 :眼科用顕微鏡
300 :観察光学系
300R :右眼用観察光学系
300L :左眼用観察光学系
301 :変倍レンズ系
302 :ビームスプリッタ
303 :結像レンズ系
304 :像正立プリズム
305 :眼幅調整プリズム
306 :視野絞り
307 :接眼レンズ
4 :前置レンズホルダ
411,412 :ガラス基板
421,422 :絶縁膜
431,432 :撥水撥油性膜
44 :ガラスリング部材
45 :耐久性接着剤
46 :封止部材
501,502 :透明電極
6,6´´ :液体レンズ、前置レンズ
6a :界面
601 :非極性液体
602 :極性液体
7 :電圧アンプ
8 :制御装置
901,902 :導線
1001 :第1支持アーム
1002 :第2支持アーム
1003 :旋回軸
1004 :支持ブラケット
1005 :旋回レバー
1006 :連結アーム
1007 :前置レンズ位置調整装置
11 :被検眼
11a :網膜
11b :水晶体
12 :眼科用顕微鏡本体
13 :対物レンズ
14 :鏡筒
15 :インバータ部
16 :切り替えレバー
17,17´´´:対物補助レンズ
1800 :照明光学系
1801 :光ファイバ
1802 :出射光絞り
1803 :コンデンサレンズ
1804 :照明野絞り
1805 :コリメートレンズ
1806 :反射ミラー
19 :照明光源
2000 :撮影光学系
2001 :結像レンズ
2002 :反射ミラー
2003 :テレビカメラ
D,D´´ :液体レンズの屈折力
F1,F1´,F1´´´ :対物レンズからの焦点距離
F2,F2´´ :液体レンズ(前置レンズ)の焦点距離
H1´,H1´´,H1´´´ :対物レンズと液体レンズとの距離
H2,H2´,H2´´ :対物レンズと被検眼との距離
O−300 :観察光学系の光軸
O−300R :右眼用観察光学系の光軸
O−300L :左眼用観察光学系の光軸
O−1800 :照明光学系の光軸
U0 :前側焦点位置
U1 :第1の焦点
U2 :第2の焦点

Claims (10)

  1. 被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置において、
    液体レンズを保持する前置レンズホルダと、
    前記液体レンズの形状を変形することにより、前記液体レンズの焦点距離を変化させる焦点距離制御機構と
    を有することを特徴とする、前置レンズ装置。
  2. 前記焦点距離制御機構が、前記液体レンズの周囲に設けられた電極と、前記電極に導線を通じて電圧を印加する電圧アンプと、前記電圧アンプの電圧を制御する制御装置とを有することを特徴とする、請求項1に記載の前置レンズ装置。
  3. 前記前置レンズホルダが、光を透過する容器を有しており、
    前記容器内に極性液体及び非極性液体を封入することにより、前記極性液体と前記非極性液体との間に界面を形成し、前記界面を屈折面とする液体レンズを形成する
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の前置レンズ装置。
  4. 対向する2つの透明基板の内側の面に電極と絶縁膜とをこの順に設け、前記透明基板とその間に設けられたスペーサ部材とにより、光を透過する容器を形成し、
    前記容器内に極性液体と非極性液体とを封入して、前記極性液体と前記非極性液体との間に界面を形成し、前記界面を屈折面とする液体レンズを形成し、
    前記電極に電圧を印加することで、前記界面を変化させて、前記液体レンズの焦点距離を変化させる
    ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の前置レンズ装置。
  5. 前記液体レンズが、焦点距離を無限遠に変化させることができる液体レンズであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の前置レンズ装置。
  6. 被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡において、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の前置レンズ装置を有する
    ことを特徴とする眼科用顕微鏡。
  7. 前記観察光学系の光軸上に挿脱可能で、前記観察光学系の対物レンズよりも被検眼側にある焦点位置を調整するために使用する対物補助レンズを有することを特徴とする、請求項6に記載の眼科用顕微鏡。
  8. 前記対物補助レンズが、マイナスのパワーを有するレンズであることを特徴とする、請求項7に記載の眼科用顕微鏡。
  9. 前記液体レンズの焦点距離の変化に連動して、前記対物補助レンズを挿入、離脱又は入れ替えする切り替え機構を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の眼科用顕微鏡。
  10. 前記液体レンズの焦点距離を少なくともn種類に変化させ、少なくともn個の対物補助レンズを有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
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