JP2019068724A - モータ用ステータの製造方法、モータ用ステータ - Google Patents
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Abstract
Description
ステッピングモータは、ロータ収容孔及びロータの停止位置を決める位置決め部(内ノッチ)を有するステータと、ロータ収容孔内に回転可能に配設されたロータと、ステータに設けられたコイルとを有している。
図1に示すように、時計1は、電池2、発振回路3、分周回路4、制御回路5、パルス駆動回路6、ステッピングモータ7、およびアナログ時計部8を備える。
また、アナログ時計部8は、輪列11、時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15、時計ケース81、および時計用ムーブメント82(以下、ムーブメント82という)を備える。なお、本実施形態では、時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15のうち1つを特定しない場合、指針16という。
一般に、時計1の時間基準などの装置からなる時計の機械体をムーブメントと称する。
電子式のものをモジュールと呼ぶことがある。時計としての完成状態では、ムーブメントに、例えば、文字板、指針が取り付けられ、時計ケースの中に収容される。
分周回路4は、発振回路3が出力した所定の周波数の信号を所望の周波数に分周し、分周した信号を制御回路5に出力する。
時針12は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって12時間で1回転する。分針13は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって60分間で1回転する。秒針14は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって60秒間で1回転する。カレンダ表示部15は、例えば日付を表示する指針であり、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって24時間で1回転する。
図2は、本実施形態に係るステッピングモータ7の概略構成例を示す斜視図である。図2に示すように、ステッピングモータ7は、ステータ201、ロータ202、磁心208、コイル209、およびネジ220を備える。
ステータ201には、ロータ収容孔203、ネジ孔218a、ネジ孔218bが形成されている。
ロータ202は、ロータ収容孔203に回転可能に配置されている。
コイル209は、磁心に巻回されている。
また、ステッピングモータ7をアナログ電子時計に用いる場合、ステータ201と磁心208とは、ネジ220によってムーブメント82の地板(不図示)に固着され、互いに接合される。
図3は、本実施形態に係るステータ201の正面模式図である。図3において、ステータ7の長手方向をy軸方向、短手方向をx軸方向とする。なお、図3に示すステータ201は、後述するモータ用ステータの製造方法によって製造される。図3に示すように、ロータ収容孔203には、切り欠き部204、205が形成されている。また、ステータ201には、幅狭部210、211がロータ収容孔203の周囲に形成されている。ステータ201は、例えばFe−Ni(鉄−ニッケル)の磁性板材で形成されている。また、幅狭部210、211は、非磁性領域である。
ロータ収容孔203の穴径は、約1.5〜2mmである。幅狭部210、211の一番細い箇所の幅は、約0.1mmである。ステータ7の厚みは、約0.5mm±0.1mmである。長手方向の長さは、約10mmである。
図4は、本実施形態に係るステッピングモータ7の正面模式図である。
図4に示すステッピングモータ7は、ロータ収容孔203、ステータ201、ロータ202、磁心208、コイル209、および幅狭部210、211を備えている。
コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、図4に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ0位置)に安定して停止(静止)している。
以下の説明では、ステータ201において、幅狭部211の外周を点a1、幅狭部211内を点b1、幅狭部211の近傍且つ磁路Rの外周と内周との間を点cと定義する。
なお、ステータ201の製造方法については、後述する。
まずパルス駆動回路6から駆動パルス信号をコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)、図4の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。
なお、ステッピングモータ7を回転駆動することによって通常動作(本発明の各実施の形態はアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(図4では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
その後、前述と同様に、非磁性領域である幅狭部210、211が形成されていることから、容易に漏洩磁束を確保でき、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸が角度θ0位置で安定的に停止(静止)する。
また、従来では「幅狭部」とされていた箇所に非磁性領域である幅狭部210、211を形成して低透磁率化させることにより、ロータ202自体から発せられる磁束についても当該領域での消費が抑制される。その結果、磁気ポテンシャルの損失を防止することができ、ロータ202を磁気的に停止(静止)・保持させるための保持力を高めることができる。
次に、ステータ201の製造方法の一例を、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るステータ201の製造方法の一例を示す図である。
第1製造工程では、製造システム300が、プレス装置302を備えている。また、符号301は、プレス前のフープ材310が巻き取られている状態である。符号303は、プレス後のフープ材が巻き取られている状態である。符号310は、プレス後のフープ材の上面図である。なお、図5において、フープ材の長手方向をx軸方向とし、短手方向をy軸方向とする。また、フープ材の短手方向の幅は、例えば16.5mmである。
第2製造工程では、製造システム300が、クロム(Cr)をペースト塗布するペースト塗布装置322、乾燥装置323、レーザー照射装置324、および洗浄装置325を備えている。また、符号321は、第1製造工程でプレス後のフープ材が巻き取られている状態である。符号326は、非磁性領域が作成される後のフープ材310が巻き取られている状態である。
続けて、乾燥装置323は、ペースト塗布されたクロムを乾燥させる。
洗浄後、製造システム300は、非磁性領域形成後のフープ材を符号326のように、巻き取る。
第3製造工程では、製造システム300が、仕上げ加工装置であるプレス装置342を備えている。また、符号341は、第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態である。符号343は、プレス後のフープ材が巻き取られている状態である。
プレス装置342は、ガイド穴312、313の位置を基準として、図6に示すようにクロム重量比が15%以上となった箇所がステータ201の幅狭部210、211となるように、プレス抜きを行う。図6は、本実施形態に係るステータ201のプレス前のフープ材310Aを示す上面図である。なお、ステータ201’は、第4製造工程前のステータである。図6において、符号201’’は、ステータ201’のプレスを行う位置を示している。なお、打ち抜きは、非磁性領域331の一部を打ち抜く打ち抜き、ステッピングモータ7用のロータ202を囲む形状にする。すなわち、第3製造工程によって、ロータ収容孔203も同時に形成される。
これにより、幅狭部と、それ以外の箇所とで、クロム重量比が異なるステータ201’の外形が完成する。
第4製造工程では、製造システム300が、焼鈍炉351を備えている。
焼鈍炉351は、ステータ201’に対して高温アニール(焼鈍)処理を行う。これにより、第3製造工程のプレス加工による残留応力の除去・緩和を行う。
次に、パーマロイのフープ材の片面に塗布されたクロムに対してレーザー照射を行い、レーザーで溶融拡散して、クロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を図7〜図9に示す。図7〜図9は、本実施形態において、パーマロイのフープ材に塗布されたクロムをレーザーで溶融拡散してクロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を示す図である。
図7〜図9において、符号L1、L11、L21は、レーザー照射側の溶融部の幅を示している。また、符号L2、L12、L22は、フープ材の半分の厚み位置における溶融部の幅を示している。
なお、図7〜図9に示したいずれの例でも溶融部のCrの質量%は15%以上であり、溶融部が非磁性領域として形成されている。
次に、本実施形態の製造方法で製造した溶融部をEDSライン分析した結果について説明する。
まず、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy;エネルギー分散型X線分光法)ライン分析の概要について説明する。
X線が素子内に入射するとそのX線のエネルギーに比例した電荷が発生する。EDSライン分析を行う分析装置は、この電荷を例えば電界効果型トランジスタのゲート電極に蓄積させることで電荷量に比例した電流に変換する。そして、分析装置は、このX線ごとの電流変化をパルス変換、さらに多重波高分析器で波高ごとのパルス数(X線カウント数)として計測する。さらに、分析装置は、計測結果を、横軸にX線のエネルギー値(k eV)、縦軸にX線のカウント数をとってスペクトルにする(例えば、参考文献1参照)。
幅狭部210、211における、観察部分に、日本電子社製のIB−09020CP(商品名)を用いて、クロスセクションポリッシャ(CP)加工を行った。加速電圧を7kVとした。
走査型電子顕微鏡としては、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(商品名:JSM−7800F、日本電子社製)を用いた。
測定時のサンプルの状態は、イオンミリングによる加工断面{Ar(アルゴン)イオン、加速7kV}である。
測定環境は、真空度が10−4〜10−5Paの真空中で行った。
EDSライン分析は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のNORAN SYSTEM7(商品名)のVer3を用いて、加圧電圧15kVの条件で行った。
図10は、本実施形態に係る溶融部をEDSライン分析した結果の例を示す図である。
図10において、符号g1が示す図は、EDSライン分析を行った溶融部を示す図である。なお、y軸方向は、図3に示したように、ステータ201の長手方向である。また、符号g1が示す図は、溶解部を反射顕微鏡で撮像した結果であり、倍率は120倍である。
また、符号g2が示す図は、ライン分析の結果を示すグラフである。横軸は位置[ミクロン]であり、縦軸は質量[%]である。また、符号g21は、Cr(クロム)の距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g22は、Fe(鉄)の距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g23は、Ni(ニッケル)の距離に対する質量[%]の変化を表す。また、破線g24で囲んだ領域は、Crの質量が変化する領域である。
図10において、Crの質量が約8%である領域は、外端側から約140[ミクロン]までの位置と、400[ミクロン]以降の位置である。この領域は、Crの質量が38パーマロイのCr成分の質量と同等の約7〜8質量%であるため、強磁性の領域であり、図4の点b1と点cがこの領域である。
また、図10のように、非磁性溶融領域のクロム重量は、非磁性溶融領域を除く磁性板材のクロム重量の8%に比べ、6%〜18%大きい。
次に、ステッピングモータ7のコイル209に流れる電流について図12を参照して説明する。
ステッピングモータにおける一般的な一体型ステータ(1体ステータともいう)の時間tに対する電流Iの変化と、一般的な二体型ステータ(2体ステータともいう)の時間に対する電流の変化の例を、図12を参照して説明する。図12は、一体型ステータと二体型ステータそれぞれの電流波形の例と、逆回転時の駆動パルスの例を示す図である。波形g301は、一体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g321は、二体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g301と波形g321において、横軸が時間であり、縦軸がコイルに流れる電流である。なお、一体型ステータを有するステッピングモータの構成は、図4に示したステッピングモータ7において幅狭部210、211に溶融部が形成されていない構造である。
第2傾き期間は、磁束が磁気抵抗の低い箇所に流れるため、第1傾き期間によってコイルから発生した磁束が幅狭部に流れる期間である。所定の電流が流れると、幅狭部の磁束が飽和する。換言すると、第2傾き期間は、幅狭部の磁束を飽和させている期間である。
第3傾き期間は、第2傾き期間によって幅狭部の磁束が飽和した後、ロータ収容孔に磁束が漏洩する状態である。換言すると、第3傾き期間は、ロータが動き始める期間である。
そして一体型ステータを有するステッピングモータでは、第3傾き期間になるとロータに磁束の反発力が働いて、ロータの回転が始まる。
図12において、波形g311と波形g312は、一体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。また、波形g331とg332は、二体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。波形g311、g312、g331及びg332において、横軸は時間、縦軸は信号レベルである。また、out1とout2は、ステッピングモータが有するコイルの両端の端子である。また、Vddは、例えばステッピングモータを駆動する駆動回路の電源電圧であり、Vssは0Vまたは基準電圧である。
図13(A)、図13(B)は、比較例におけるステータの製造手法を説明するための図である。図13(C)は、比較例におけるメッキ処理時にフープ材を裁断した場合の図である。
具体的には、例えば、粉末状の金属クロムが含まれるペーストを前記磁路の少なくとも一部に塗布して当該ペーストにレーザーを照射して溶融拡散させてもよい。または予め、ステータ素材201aの表面にクロムめっき層を形成しておき、当該クロムめっき層のうち、磁路Rの少なくとも一部に形成されたクロムめっき層にレーザーを照射して溶融拡散させてもよい。めっきの場合は、ステータ母材を覆う状態の実現性等を考慮して、Crの質量比率として80%を超えることはない。または、ペーストではなく粉末であってもよい。なお、メッキ処理を行う場合、図13(C)のように、ステータ素材201aの一部(215a、215b)がフープ材216に接続された状態で、フープ材216を、めっき槽に入れられる大きさの短冊状に裁断する。そして、めっきを行わない箇所にマスク217を行う。
次に、幅狭部210、211(Cr拡散領域)を形成してステータ素材201aを得た後、ロータ収容孔203内にロータ202を配設するとともに、ステータ素材201aと任意の固定手段によって磁心を固定し、この磁心にコイルを巻回させることで、ステッピングモータを製造する。
波形g401は、第1のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g402は、第2のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g403は、第3のステータの時間に対する電流の変化を示す。
また、Crを1時間拡散させた第1のステータの波形g401は、3つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第2傾き期間であり、時刻が約0.5〜1.2[ms]の期間が第3傾き期間である。
さらに、Crを24時間拡散させた第2のステータの波形g402は、図12の波形g321に示した一般的な二体型ステータと同様に2つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第3傾き期間である。
図14に示したように、幅狭部210、211にCrを拡散させていない第3のステータに対して、幅狭部210、211にCrを拡散させたステータは飽和特性を向上させることができる。
なお、上述した各傾き領域や、各傾き領域の時刻や幅は、説明のための一例である。
そして、本実施形態の製造方法で製造したステータ201は、図14に示した24時間、幅狭部210、211にCrを拡散させた第2のステータと同様に飽和特性を向上させることができる。
次に、ステータのロータ収容孔が変形した場合と変形していない場合について、図15〜図18を用いて説明する。
図15(A)は、ロータ収容孔が変形していない場合を示す図である。図15(B)は、ロータ収容孔が変形した場合を示す図である。図15(C)は、ステータの水平軸とロータ静止角θを説明するための図である。
ロータ収容孔203aが変形している場合、ロータ静止角θは約10°である。
ロータ収容孔203が変形していない場合、コギングトルク(ポテンシャルエネルギー)は、約0.5[μNm]である。なお、コギングトルクは、トルクの最大値である。
ロータ収容孔203aが変形している場合、コギングトルクは、約1.1[μNm]である。
図17(A)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対するコギングトルクの変化を示す図である。図17(B)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対する蓄積エネルギーの変化を示す図である。図17(C)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対する積分トルクの変化を示す図である。
また、低ポテンシャル位置は、素角度が約130[deg]、作業が約31[deg]、補間が131.68である。なお、素角度は、積分トルクが最小値となる角度である。
作業は積分トルクの最小値に基づく値である。
また、高いポテンシャル位置は、素角度が約40[deg]、作業が約13[deg]、補間値が42.53である。
また、低ポテンシャル位置は、素角度が約100[deg]、作業が約25[deg]、補間値が104.43である。
また、高いポテンシャル位置は、素角度が約180[deg]、作業が約41[deg]、補間が0である。
そして、図17と図18を用いて説明したように、ロータ収容孔203aが変形している場合は、変形していない場合と比較して、保持トルク、蓄積エネルギーΔΕ、および静止角それぞれがずれる。さらに、ロータ収容孔203aが変形している場合は、変形していない場合と比較して、低ポテンシャル位置の素角度、高ポテンシャル位置の素角度がずれる。
このように、ロータ収容孔203aが変形すると、ステッピングモータの特性がずれるため、所望の性能のステッピングモータとならない場合がある。
なお、本実施形態の製造方法で製造したステータ201におけるロータ収容孔203は、切り欠き部204、205を除く部分の円弧の直径の設計値の1.8mmに対して、下限が0[μm]、上限が9[μm]である。このため、本実施形態の製造方法で製造したステータ201におけるロータ収容孔203の真円度は、約99.5%(=1−(9×10−6/0.0018))である。
以下、上述した実施形態の変形例を説明する。
第2製造工程では、図5、図6を用いて説明したように、フープ材の長手方向(x軸方向)に、直線状にクロムを塗布する例を説明したが、これに限られない。
図19は、本実施形態に係るクロム塗布の変形例を示す図である。図6との差異は、クロムをステータ201の幅狭部210、211に対応する領域に塗布する。この変形例では、第2製造工程において、ペースト塗布装置322は、フープ材310Bに対して、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210、211に対応する領域332にクロムをペースト塗布するようにしてもよい。
これにより、変形例によれば、クロムを塗布する量を削減できる。さらに、変形例によれば、レーザーを照射する位置を削減することで、フープ材に発生する熱を低減することができる。
図20は、本実施形態に係るフープ材に形成されるクロム層を示す図である。図20(A)は、変形例におけるクロム層形成後のフープ材310Cの斜視図である。図20(B)は、図20(A)のY−Y’おけるクロム層形成後のフープ材310Cの断面図である。なお、図20において、ガイド穴は省略して図示している。符号g331cは、クロムメッキによって形成したクロム層である。
この変形例においても、第2製造工程において、ガイド穴を基準として、幅狭部210、211に対応する領域に、例えば直線上にクロム層331cを形成するようにしてもよい。
または、ガイド穴312、313を基準として、フープ材310Cの幅狭部210、211に対応する領域に、クロムの板材331Cを埋め込むようにしてもよい。
図21は、変形例における2コイルモータ用のステータ201A’’をフープ材310Dから打ち抜く前の正面図である。
この場合においても、第2製造工程で、製造システム300(図5参照)は、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210a、210b、および210cに対応する領域311Da、331Db、および331Dcにクロムを塗布する。
続けて、第2製造工程で、製造システム300は、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210a、210b、および210cに対応する領域311Da、331Db、および331Dcにレーザーを照射して溶融部を形成させる。
続けて、製造システム300は、第3製造工程でガイド穴を基準として、ステータ201Aを抜き打ちし、第4製造工程で磁性焼鈍処理を行うことで、2コイルモータ用のステータ201Aを製造することができる。
この変形例においても、幅狭部210a、210b、および210cに溶融部を形成した後に、フープ材から抜き打ちしてステータ201Aを製造するようにしたので、ステータ201Aの過飽和領域を含めた形状を安定した精度で作成することができる。
この変形例では、第2製造工程で、製造システム300は、ガイド穴312、313を基準として、ステータ201Bに対応する領域にクロムを塗布し、レーザーを照射する。
なお、図22では、2コイルモータ用のステータの例を示したが、1コイル用のステータでも互い違いに配置して同様に製造することができる。この場合、例えば、図19において、幅狭部210、211に対応する領域332を、ガイド穴313側に加えて、ガイド穴312側にも塗布するようにしてもよい。
また、ステータは、フープ材に対して略90度に配置されている例を説明したが、これに限られない。フープ材に対するステータ角度は、90度でなくてもよい。その場合は、非磁性領域を形成する領域にクロムを塗布するようにしてもよい。
図5の例では、第3製造工程を仕上げ加工装置であるプレス装置342(図5)が、プレス抜きを行う例を説明した。しかし、第3製造工程は、これに限らない。
この例では、図5のプレス装置342の代わりに、例えば図23に示す構成のレーザー切断装置(仕上げ加工装置)を用いて加工する。
この被切断材(磁性板材)512が、図5の第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態の一部である。
なお、図23に示したレーザー切断装置の構成例は一例であり、これに限らない。
この例では、図5のプレス装置342の代わりに、例えば図24に示す構成のワイヤー放電加工装置(仕上げ加工装置)を用いて加工する。
この被切断材(磁性板材)609が、図5の第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態の一部である。
なお、図24に示したワイヤー放電加工装置の構成例は一例であり、これに限らない。
Claims (11)
- 磁性板材に非磁性領域を形成する非磁性化工程と、
モータ用のロータ用孔を形成するために前記磁性板材を加工する工程であって、前記非磁性領域の一部を加工する加工工程と、
を含むモータ用ステータの製造方法。 - 前記非磁性化工程は、
前記磁性板材にクロムを塗布するクロム塗布工程と、
前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程と、
を含む請求項1に記載のモータ用ステータの製造方法。 - 前記非磁性化工程は、
前記磁性板材に連続してクロムを塗布するクロム塗布工程と、
前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程と、
を含む請求項1のモータ用ステータの製造方法。 - 前記非磁性化工程の前に、前記磁性板材にガイド穴を形成するガイド穴形成行程を含み、
前記クロム塗布工程は、前記ガイド穴を基準に前記クロムを塗布し、
前記レーザー照射工程は、前記ガイド穴を基準にレーザーを照射し、
前記加工工程は、前記ガイド穴を基準に前記非磁性領域の一部を加工する、
請求項2または請求項3に記載のモータ用ステータの製造方法。 - 前記磁性板材は、
ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板材であり、
前記非磁性領域は、
Cr含有量が15%以上の領域を含む、
請求項1または請求項4のいずれか1項に記載のモータ用ステータの製造方法。 - 前記加工工程は、
前記非磁性領域の一部を打ち抜いて加工する、前記非磁性領域の一部をレーザー切断して加工する、および前記非磁性領域の一部をワイヤー放電で加工する、のうちの1つである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ用ステータの製造方法。 - 磁性板材のロータ用孔の周囲に形成され前記磁性板材が溶融により非磁性化された非磁性溶融領域であって、前記磁性板材の一方の表面側から厚み方向で他方の表面側へ向かうにつれて断面積が小さくなる非磁性溶融領域と、
を備えるモータ用ステータ。 - 前記ロータ用孔の真円度が99.5%以上である、
請求項7に記載のモータ用ステータ。 - 前記磁性板材は、
ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板剤であり、
前記非磁性溶融領域は、
Cr含有量が15%以上の領域を含む、
請求項7または請求項8に記載のモータ用ステータ。 - 前記非磁性溶融領域のクロム重量は、前記非磁性溶融領域を除く前記磁性板材のクロム重量に比べ、6%〜18%大きい、
請求項7または請求項8に記載のモータ用ステータ。 - 前記非磁性溶融領域は、前記ロータ用孔と前記磁性板材の外縁との距離が他の部位に比べ狭小となる部位に形成される、
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のモータ用ステータ。
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