JP2019068724A - モータ用ステータの製造方法、モータ用ステータ - Google Patents

モータ用ステータの製造方法、モータ用ステータ Download PDF

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Abstract

【課題】非磁性領域の形成時にレーザーの照射による熱変形を低減することができるモータ用ステータの製造方法、モータ用ステータを提供することを目的とする。【解決手段】モータ用ステータの製造方法は、磁性板材に非磁性領域を形成する非磁性化工程と、モータ用のロータ用孔を形成するために磁性板材を加工する工程であって、非磁性領域の一部を加工する加工工程と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、モータ用ステータの製造方法、モータ用ステータに関する。
従来から、時針や分針等の指針をモータ駆動装置により回転駆動するアナログ電子時計が利用されている。このようなモータ駆動装置では、モータとしてステッピングモータが用いられている。
ステッピングモータは、ロータ収容孔及びロータの停止位置を決める位置決め部(内ノッチ)を有するステータと、ロータ収容孔内に回転可能に配設されたロータと、ステータに設けられたコイルとを有している。
ステッピングモータを回転させるには、駆動回路からコイルに極性の異なる駆動パルスを交互に供給する。供給された駆動パルスによって、ステータには、極性の異なる漏洩磁束が交互に発生する。そして、供給された駆動パルスによって、ステッピングモータは、ロータが180度ずつ所定の一方向(正方向)に回転すると共に、位置決め部に対応する位置にロータが停止する。
一般的に、ステッピングモータでは、ロータを配設するために形成されたロータ収容孔周りの2か所(180度間隔)において、幅を狭くした幅狭部を有することで磁束を飽和させやすくした一体型のステータが用いられている。この構造によって、ロータを駆動させる漏洩磁束が得やすくなる。
さらに、ロータ収容孔(ロータ用貫通孔)の周囲に設けられた磁路の一部に、非磁性材料であるCrの溶融凝固部からなるCr拡散領域を形成して当該領域の透磁率を低減させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明では、まず、Fe−Ni合金板に対して打ち抜き加工等の機械加工を行って、ロータ収容孔(ロータ用貫通孔)とロータ収容孔の周囲に配置された磁路Rとを有するステータ素材と幅狭部を形成する。次に、特許文献1に記載の発明では、ステータ素材の少なくとも一部に溶融拡散用のCr材を配置し、当該Cr材にレーザーを照射して磁路Rの内部にCr材を溶融拡散させて、例えば幅狭部に非磁性領域であるCr拡散領域を形成する。なお、幅狭部の幅は、例えば0.1mmである。また、Crを溶融させるため、レーザーの温度は、Crの融点以上、例えば1900度である。
特開2016−136830号公報
しかしながら、上述した従来技術では、打ち抜き加工を行った後にレーザーを照射して幅狭部にCr拡散領域を形成していたため、幅の狭い幅狭部がレーザーの熱で変形する可能性があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、非磁性領域の形成時にレーザーの照射による熱変形を低減することができるモータ用ステータの製造方法、モータ用ステータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法は、磁性板材に非磁性領域を形成する非磁性化工程(第2製造工程)と、モータ用のロータ用孔を形成するために前記磁性板材を加工する工程であって、前記非磁性領域の一部を加工する加工工程(第3製造工程)と、を含む。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法において、前記非磁性化工程は、前記磁性板材にクロムを塗布するクロム塗布工程(第2製造工程)と、前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程(第2製造工程)と、を含むようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法において、前記非磁性化工程は、前記磁性板材に連続してクロムを塗布するクロム塗布工程(第2製造工程)と、前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程(第2製造工程)と、を含むようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法において、前記非磁性化工程の前に、前記磁性板材にガイド穴を形成するガイド穴形成行程(第1製造工程)を含み、前記クロム塗布工程は、前記ガイド穴を基準に前記クロムを塗布し、前記レーザー照射工程は、前記ガイド穴を基準にレーザーを照射し、前記加工工程は、前記ガイド穴を基準に前記非磁性領域の一部を加工するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法において、前記磁性板材は、ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板材であり、前記非磁性領域は、Cr含有量が15%以上の領域を含むようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータの製造方法において、前記加工工程は、前記非磁性領域の一部を打ち抜いて加工する、前記非磁性領域の一部をレーザー切断して加工する、および前記非磁性領域の一部をワイヤー放電で加工する、のうちの1つであるようにしてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るモータ用ステータ(ステータ201)は、磁性板材のロータ用孔(ロータ収容孔203)の周囲に形成され前記磁性板材が溶融により非磁性化された非磁性溶融領域(溶融部401、幅狭部210、211)であって、前記磁性板材の一方の表面側から厚み方向で他方の表面側へ向かうにつれて断面積が小さくなる非磁性溶融領域と、を備える。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータにおいて、前記ロータ用孔の真円度が99.5%以上であるようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータにおいて、前記磁性板材は、ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板剤であり、前記非磁性溶融領域は、Cr含有量が15%以上の領域を含むようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータにおいて、前記非磁性溶融領域のクロム重量は、前記非磁性溶融領域を除く前記磁性板材のクロム重量に比べ、6%〜18%大きいようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係るモータ用ステータにおいて、前記非磁性溶融領域は、前記ロータ用孔と前記磁性板材の外縁との距離が他の部位に比べ狭小となる部位に形成されるようにしてもよい。
本発明によれば、非磁性領域の形成時にレーザーの照射による熱変形を低減することができる。
本実施形態に係るステッピングモータ、時計用ムーブメントを用いた時計を示すブロック図である。 本実施形態に係るステッピングモータの概略構成例を示す斜視図である。 本実施形態に係るステータの正面模式図である。 本実施形態に係るステッピングモータの正面模式図である。 本実施形態に係るステータの製造方法の一例を示す図である。 本実施形態に係るステータのプレス前のフープ材を示す上面図である。 本実施形態において、パーマロイのフープ材に塗布されたクロムをレーザーで溶融拡散してクロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を示す図である。 本実施形態において、パーマロイのフープ材に塗布されたクロムをレーザーで溶融拡散してクロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を示す図である。 本実施形態において、パーマロイのフープ材に塗布されたクロムをレーザーで溶融拡散してクロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を示す図である。 本実施形態に係る溶融部をEDSライン分析した結果の例を示す図である。 Fe−Ni−Crの三元合金状態図である。 一体型ステータと二体型ステータそれぞれの電流波形の例と、逆回転時の駆動パルスの例を示す図である。 図13(A)、図13(B)は、比較例におけるステータの製造手法を説明するための図である。図13(C)は、比較例におけるメッキ処理時にフープ材を裁断した場合の図である。 3種類のステータの時間対コイルの電流値の変化の表すグラフを示す。 図15(A)は、ロータ収容孔が変形していない場合を示す図である。図15(B)は、ロータ収容孔が変形した場合を示す図である。図15(C)は、ステータの水平軸とロータ静止角θを説明するための図である。 ロータ収容孔が変形していない場合とロータ収容孔が変形している場合のロータ角度に対するトルクの変化を示す図である。 図17(A)は、ロータ収容孔が変形していない場合のロータ角度に対するコギングトルクの変化を示す図である。図17(B)は、ロータ収容孔が変形していない場合のロータ角度に対する蓄積エネルギーの変化を示す図である。図17(C)は、ロータ収容孔が変形していない場合のロータ角度に対する積分トルクの変化を示す図である。 図18(A)は、ロータ収容孔203が変形している場合のロータ角度に対するコギングトルクの変化を示す図である。図18(B)は、ロータ収容孔203が変形している場合のロータ角度に対する蓄積エネルギーの変化を示す図である。図18(C)は、ロータ収容孔203が変形している場合のロータ角度に対する積分トルクの変化を示す図である。 本実施形態に係るクロム塗布の変形例を示す図である。 図20(A)は、変形例におけるクロム層形成後のフープ材の斜視図である。図20(B)は、図20(A)のY−Y’おけるクロム層形成後のフープ材の断面図である。 変形例における2コイルモータ用のステータをフープ材から打ち抜く前の正面図である。 変形例における2コイルモータ用ステータのプレス前の正面図である。 本実施形態に係るステータの製造方法における第3製造工程をレーザー切断で行う例を示す図である。 本実施形態に係るステータの製造方法における第3製造工程をワイヤー放電加工で行う例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態に係るステッピングモータ、時計用ムーブメントを用いた時計1を示すブロック図である。本実施形態では、時計の一例としてアナログ電子時計を例示し説明することとする。
図1に示すように、時計1は、電池2、発振回路3、分周回路4、制御回路5、パルス駆動回路6、ステッピングモータ7、およびアナログ時計部8を備える。
また、アナログ時計部8は、輪列11、時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15、時計ケース81、および時計用ムーブメント82(以下、ムーブメント82という)を備える。なお、本実施形態では、時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15のうち1つを特定しない場合、指針16という。
なお、発振回路3、分周回路4、制御回路5、パルス駆動回路6、およびステッピングモータ7、および輪列11は、ムーブメント82の構成要素である。
一般に、時計1の時間基準などの装置からなる時計の機械体をムーブメントと称する。
電子式のものをモジュールと呼ぶことがある。時計としての完成状態では、ムーブメントに、例えば、文字板、指針が取り付けられ、時計ケースの中に収容される。
電池2は、例えばリチウム電池、いわゆるボタン電池である。なお、電池2は、太陽電池と、太陽電池によって発電された電力を蓄電する蓄電池であってもよい。電池2は、電力を制御回路5に供給する。
発振回路3は、例えば水晶の圧電現象を利用し、その機械的共振から所定の周波数を発振するために用いられる受動素子である。ここで、所定の周波数は、例えば32[kHz]である。
分周回路4は、発振回路3が出力した所定の周波数の信号を所望の周波数に分周し、分周した信号を制御回路5に出力する。
制御回路5は、分周回路4が出力する分周された信号を用いて計時を行い、経時した結果に基づいて、駆動パルスを生成する。なお、制御回路5は、指針16を正転方向に運針させる場合、正転用の駆動パルスを生成する。制御回路5は、指針16を逆転方向に運針させる場合、逆転用の駆動パルスを生成する。制御回路5は、生成した駆動パルスをパルス駆動回路6に出力する。
パルス駆動回路6は、制御回路5が出力する駆動指示に応じて、指針それぞれに対して駆動パルスを生成する。パルス駆動回路6は、生成した駆動パルスをステッピングモータ7に出力する。
ステッピングモータ7は、パルス駆動回路6が出力する駆動パルスに応じて指針16(時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15)を運針させる。図1に示す例では、例えば、時針12、分針13、秒針14、およびカレンダ表示部15それぞれに1つステッピングモータ7を備えている。
時針12、分針13、秒針14、カレンダ表示部15それぞれは、ステッピングモータ7によって運針される。
時針12は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって12時間で1回転する。分針13は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって60分間で1回転する。秒針14は、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって60秒間で1回転する。カレンダ表示部15は、例えば日付を表示する指針であり、パルス駆動回路6がステッピングモータ7を駆動することによって24時間で1回転する。
次に、本実施形態に係るステッピングモータ7の概略構成例について説明する。
図2は、本実施形態に係るステッピングモータ7の概略構成例を示す斜視図である。図2に示すように、ステッピングモータ7は、ステータ201、ロータ202、磁心208、コイル209、およびネジ220を備える。
ステータ201には、ロータ収容孔203、ネジ孔218a、ネジ孔218bが形成されている。
ロータ202は、ロータ収容孔203に回転可能に配置されている。
コイル209は、磁心に巻回されている。
また、ステッピングモータ7をアナログ電子時計に用いる場合、ステータ201と磁心208とは、ネジ220によってムーブメント82の地板(不図示)に固着され、互いに接合される。
ここで、図3を用いてステータ201について説明する。
図3は、本実施形態に係るステータ201の正面模式図である。図3において、ステータ7の長手方向をy軸方向、短手方向をx軸方向とする。なお、図3に示すステータ201は、後述するモータ用ステータの製造方法によって製造される。図3に示すように、ロータ収容孔203には、切り欠き部204、205が形成されている。また、ステータ201には、幅狭部210、211がロータ収容孔203の周囲に形成されている。ステータ201は、例えばFe−Ni(鉄−ニッケル)の磁性板材で形成されている。また、幅狭部210、211は、非磁性領域である。
ステッピングモータ7を時計に用いる場合、ステータ7の各サイズの例を説明する。
ロータ収容孔203の穴径は、約1.5〜2mmである。幅狭部210、211の一番細い箇所の幅は、約0.1mmである。ステータ7の厚みは、約0.5mm±0.1mmである。長手方向の長さは、約10mmである。
次に、図4を用いて、本実施形態に係るステッピングモータ7について詳述する。
図4は、本実施形態に係るステッピングモータ7の正面模式図である。
図4に示すステッピングモータ7は、ロータ収容孔203、ステータ201、ロータ202、磁心208、コイル209、および幅狭部210、211を備えている。
なお、ステータ201は、ロータ収容孔203の周囲に磁路Rが設けられている。ロータ202は、ロータ収容孔203内に回転可能に配設された2極のロータである。磁心208は、ステータ201と接合されている。コイル209は、磁心208に巻回されている。
なお、幅狭部210、211は、ロータ202の安定位置確保のためロータ収容孔203に設けられる切り欠き部204、205に干渉しない部分に設けられる。コイル209は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
ロータ収容孔203は、輪郭が円形とされた貫通孔の対向部分に複数(図4の例では2つ)の半月状の切り欠き部(内ノッチ)204、205を一体形成した円孔形状に構成されている。これら切り欠き部204、205は、ロータ202の停止位置または静止安定位置を決めるための位置決め部として構成されている。例えば、切り欠き部(内ノッチ)204は、ロータが所定位置になると、そのポテンシャルエネルギーが低くなり、ロータの位置を安定させる作用をもたらす。
ロータ202は、2極(S極及びN極)に着磁されている。
コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、図4に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ位置)に安定して停止(静止)している。
ロータ収容孔203の周囲に設けられた磁路Rの一部(図4の例では2箇所)に、非磁性領域の幅狭部210、211が形成されている。ここで、ステータ201の幅狭部の断面の幅を断面幅tとし、磁路に沿った方向の幅をギャップ幅wとする。幅狭部210、211は、断面幅tとギャップ幅wとにより画定された領域に形成されている。
以下の説明では、ステータ201において、幅狭部211の外周を点a、幅狭部211内を点b、幅狭部211の近傍且つ磁路Rの外周と内周との間を点cと定義する。
なお、ステータ201の製造方法については、後述する。
次に、本実施形態に係るステッピングモータ7の動作を、図4を参照して説明する。
まずパルス駆動回路6から駆動パルス信号をコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)、図4の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。
本実施形態では、非磁性領域である幅狭部210、211が形成されており、当該領域の磁気抵抗は増大している。そのため、従来の「幅狭部」に相当する領域を磁気飽和させる必要がなく、容易に漏洩磁束を確保でき、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は図4の矢印方向に180度回転し、磁極軸が角度θ位置で安定的に停止(静止)する。
なお、ステッピングモータ7を回転駆動することによって通常動作(本発明の各実施の形態はアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(図4では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
次に、パルス駆動回路6から、逆極性の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2に供給して(駆動とは逆極性となるように、第1端子OUT1側を負極、第2端子OUT2側を正極)、図4の反矢印方向に電流を流すと、ステータ201には反破線矢印方向に磁束が発生する。
その後、前述と同様に、非磁性領域である幅狭部210、211が形成されていることから、容易に漏洩磁束を確保でき、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸が角度θ位置で安定的に停止(静止)する。
以後、このように、コイル209に対して極性の異なる信号(交番信号)を供給することによって、前記動作が繰り返し行われて、ロータ202を180度ずつ矢印方向に連続的に回転させることができる。
このように、ロータ収容孔203の周囲の磁路の一部に非磁性領域である幅狭部210、211が形成されているため、当該領域で消費される磁束が大幅に低減でき、ロータ202を駆動させる漏洩磁束を効率よく確保できる。
また、従来では「幅狭部」とされていた箇所に非磁性領域である幅狭部210、211を形成して低透磁率化させることにより、ロータ202自体から発せられる磁束についても当該領域での消費が抑制される。その結果、磁気ポテンシャルの損失を防止することができ、ロータ202を磁気的に停止(静止)・保持させるための保持力を高めることができる。
また、従来では「幅狭部」とされていた箇所にOUT1側(負極)の磁束で飽和させて回転させた後、OUT2側(正極)で回転させるにはOUT1側(負極)の際に生じた残留磁束を打ち消す必要があった。しかしながら、本実施形態によれば、当該領域での残留磁束が大幅に低減されているため、残留磁束打ち消しに要する時間が不要となり回転を収束させるまでの時間が短縮できる。このため、本実施形態によれば、高速運針を行う際の動作安定性を維持することができ、駆動周波数を上げることができる。なお、ステッピングモータ7を駆動する駆動パルスについては、後述する。
<製造方法の説明>
次に、ステータ201の製造方法の一例を、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るステータ201の製造方法の一例を示す図である。
(第1製造工程 1stプレス(ガイド穴作成))
第1製造工程では、製造システム300が、プレス装置302を備えている。また、符号301は、プレス前のフープ材310が巻き取られている状態である。符号303は、プレス後のフープ材が巻き取られている状態である。符号310は、プレス後のフープ材の上面図である。なお、図5において、フープ材の長手方向をx軸方向とし、短手方向をy軸方向とする。また、フープ材の短手方向の幅は、例えば16.5mmである。
プレス装置302は、フープ材の状態の磁性材料(38パーマロイなど)に対して、上下に位置決め用のガイド穴312、313を形成する。プレス後、製造システム300は、プレス後のフープ材を符号303のように、巻き取る。
(第2製造工程 非磁性領域作成)
第2製造工程では、製造システム300が、クロム(Cr)をペースト塗布するペースト塗布装置322、乾燥装置323、レーザー照射装置324、および洗浄装置325を備えている。また、符号321は、第1製造工程でプレス後のフープ材が巻き取られている状態である。符号326は、非磁性領域が作成される後のフープ材310が巻き取られている状態である。
ペースト塗布装置322は、フープ材に対して、y軸方向の所望位置にクロムをペースト塗布する。ペースト塗布装置322は、例えば、クロムをバインダーと混ぜてペースト化し、それをディスペンスする。すなわち、ペースト塗布装置322は、ディスペンザーである。なお、y軸方向の所望位置とは、図3に示したステータ201における非磁性領域である幅狭部210、211を作成する領域である。なお、ペースト塗布装置322は、ガイド穴の位置を基準とした所望位置にクロムをペースト塗布する。なお、Crの塗布厚は、一例として150〜200[ミクロン]である。
続けて、乾燥装置323は、ペースト塗布されたクロムを乾燥させる。
続けて、レーザー照射装置324は、クロムがペースト塗布された領域(符号g331)にレーザーを照射する。なお、レーザーは、放電深度が深いファイバーレーザーが好ましい。これにより、塗布したクロムが母材(パーマロイ材)に溶け込む。そして、塗布したクロムと、パーマロイ材内部のクロムとで拡散溶融が生じ、クロム重量比が15%以上となる領域が形成される。なお、レーザー照射によって、クロムがペースト塗布された領域は、Crの融点以上、1900度以上になる。また、レーザーの入射側の口径は、0.3〜0.5mm程度である。また、レーザー照射装置324は、x軸方向に例えば25[ミクロン]間隔でレーザーを照射する。これにより、母材(フープ材)にかかるレーザー照射による熱を低減することができる。
続けて、洗浄装置325は、塗布したクロムのうち、溶剤を用いて洗浄することで、不要な箇所を除去する。符号g310Aは、レーザー照射、洗浄後のフープ材の上面図である。符号g310Aにおいて、符号g331は、非磁性領域を示している。非磁性領域のy軸方向の幅は、約0.3〜0.5mmである。このように、第2製造工程によって、フープ材に対してx軸方向に連続した直線上の非磁性領域が、y軸方向の所定位置に形成される。また、洗浄にかかる時間は、一例として5分間である。
洗浄後、製造システム300は、非磁性領域形成後のフープ材を符号326のように、巻き取る。
(第3製造工程 2ndプレス(仕上げ))
第3製造工程では、製造システム300が、仕上げ加工装置であるプレス装置342を備えている。また、符号341は、第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態である。符号343は、プレス後のフープ材が巻き取られている状態である。
プレス装置342は、ガイド穴312、313の位置を基準として、図6に示すようにクロム重量比が15%以上となった箇所がステータ201の幅狭部210、211となるように、プレス抜きを行う。図6は、本実施形態に係るステータ201のプレス前のフープ材310Aを示す上面図である。なお、ステータ201’は、第4製造工程前のステータである。図6において、符号201’’は、ステータ201’のプレスを行う位置を示している。なお、打ち抜きは、非磁性領域331の一部を打ち抜く打ち抜き、ステッピングモータ7用のロータ202を囲む形状にする。すなわち、第3製造工程によって、ロータ収容孔203も同時に形成される。
これにより、幅狭部と、それ以外の箇所とで、クロム重量比が異なるステータ201’の外形が完成する。
(第4製造工程 磁性焼鈍)
第4製造工程では、製造システム300が、焼鈍炉351を備えている。
焼鈍炉351は、ステータ201’に対して高温アニール(焼鈍)処理を行う。これにより、第3製造工程のプレス加工による残留応力の除去・緩和を行う。
製造システム300は、上記の第1製造工程から第4製造工程によって、図3に示したステータ201を製造する。
以上の製造工程で製造したステータ201によれば、非磁性領域の形成時にレーザーの照射による熱変形を低減することができる。
<レーザー照射後のフープ材の断面の写真例の説明>
次に、パーマロイのフープ材の片面に塗布されたクロムに対してレーザー照射を行い、レーザーで溶融拡散して、クロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を図7〜図9に示す。図7〜図9は、本実施形態において、パーマロイのフープ材に塗布されたクロムをレーザーで溶融拡散してクロムを15重量%以上にした後のフープ材の断面の写真例を示す図である。
図7〜図9において、上下方向(z軸方向)は、フープ材の厚み方向である。また、レーザーは、クロムが塗布されている面(上面)から照射される。なお、フープ材の厚みは、例えば0.5mm±0.1mmである。また、図7〜図9において、符号401は、レーザー照射によって溶融した溶融部である。
図7は、溶融部401が上面から下面に貫通した例である。図8は、溶融部401が下面に達した例である。図9は、溶融部401が下面に達していない例である。
図7〜図9において、符号L1、L11、L21は、レーザー照射側の溶融部の幅を示している。また、符号L2、L12、L22は、フープ材の半分の厚み位置における溶融部の幅を示している。
図7〜図9に示すように、本実施形態の製造方法で製造した場合、レーザー入射側の溶融部の幅が、フープ材の厚み方向における表面以外の溶融部の幅より広い。また、磁性板材であるフープ材の一方の表面側(上側)から、厚み方向で他方の表面側(下側)へ向かうにつれて溶融部の幅が狭くなり、断面積が小さくなっている。
なお、図7〜図9に示したいずれの例でも溶融部のCrの質量%は15%以上であり、溶融部が非磁性領域として形成されている。
<EDSライン分析結果の説明>
次に、本実施形態の製造方法で製造した溶融部をEDSライン分析した結果について説明する。
まず、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy;エネルギー分散型X線分光法)ライン分析の概要について説明する。
X線が素子内に入射するとそのX線のエネルギーに比例した電荷が発生する。EDSライン分析を行う分析装置は、この電荷を例えば電界効果型トランジスタのゲート電極に蓄積させることで電荷量に比例した電流に変換する。そして、分析装置は、このX線ごとの電流変化をパルス変換、さらに多重波高分析器で波高ごとのパルス数(X線カウント数)として計測する。さらに、分析装置は、計測結果を、横軸にX線のエネルギー値(k eV)、縦軸にX線のカウント数をとってスペクトルにする(例えば、参考文献1参照)。
参考文献1;「EDS分析ってなんですか?どのようにすればうまく分析できますか?(EDS分析の基礎)」、山崎巌、ブルカー・エイエックスエス(株)、2014、https://www.bruker.com/fileadmin/user_upload/8-PDF-Docs/X-rayDiffraction_ElementalAnalysis/Microanalysis_EBSD/Webinars/Bruker_Japanese_Webinar_2014-11-25_EDS_Feature_Analysis.pdf#search=%27%EF%BC%A5%EF%BC%A4%EF%BC%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%88%86%E6%9E%90%27(インターネット検索2017.9.10)
分析装置、及び分析条件を説明する。
幅狭部210、211における、観察部分に、日本電子社製のIB−09020CP(商品名)を用いて、クロスセクションポリッシャ(CP)加工を行った。加速電圧を7kVとした。
走査型電子顕微鏡としては、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(商品名:JSM−7800F、日本電子社製)を用いた。
サンプルは、樹脂包埋処理と研磨処理後、イオンミリング加工を、日本電子製、IB−9020CPを用いて行った。
測定時のサンプルの状態は、イオンミリングによる加工断面{Ar(アルゴン)イオン、加速7kV}である。
測定環境は、真空度が10−4〜10−5Paの真空中で行った。
EDSライン分析は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のNORAN SYSTEM7(商品名)のVer3を用いて、加圧電圧15kVの条件で行った。
次に、溶融部をEDSライン分析した結果の例を示す。
図10は、本実施形態に係る溶融部をEDSライン分析した結果の例を示す図である。
図10において、符号g1が示す図は、EDSライン分析を行った溶融部を示す図である。なお、y軸方向は、図3に示したように、ステータ201の長手方向である。また、符号g1が示す図は、溶解部を反射顕微鏡で撮像した結果であり、倍率は120倍である。
また、符号g2が示す図は、ライン分析の結果を示すグラフである。横軸は位置[ミクロン]であり、縦軸は質量[%]である。また、符号g21は、Cr(クロム)の距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g22は、Fe(鉄)の距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g23は、Ni(ニッケル)の距離に対する質量[%]の変化を表す。また、破線g24で囲んだ領域は、Crの質量が変化する領域である。
図10において、溶融部は、約140[ミクロン]〜400[ミクロン]の区間である。この区間では、Crの質量が約20〜28%である。この領域では、Crの質量が15質量%以上であるため、常温で常磁性であり、図4の点bがこの領域である。なお、常磁性とは、外部磁場が無いときには磁化を持たず、磁場を印加するとその方向に磁化する磁性である。また、常温で常磁性の状態とは、非磁性の状態である。なお、この領域のFeの質量%は約41〜51%であり、Niの質量%は約30〜38%である。
ここで、Fe−Ni−Cr合金において、38パーマロイであるFeが54質量%、Niが38質量%、Crが8質量%の場合、常温では強磁性である。なお、強磁性とは、磁気モーメントを持つ物質の磁性である。
図10において、Crの質量が約8%である領域は、外端側から約140[ミクロン]までの位置と、400[ミクロン]以降の位置である。この領域は、Crの質量が38パーマロイのCr成分の質量と同等の約7〜8質量%であるため、強磁性の領域であり、図4の点bと点cがこの領域である。
以上のように、本実施形態の製造工程で製造したステータ201は、Crの質量が15質量%以上の常磁性の領域と、Crの質量が7〜8質量%の強磁性の領域を有し、さらにCrの質量の変化が大きい領域(図10の破線g24で囲んだ領域)を有する。このように、本実施形態の製造工程で製造したステータ201は、非磁性領域(図4の点b)を有する。また、ステータ201では、溶融部のCr含有量X%と、他の領域のCr含有量Y%との差は6%以上である(X−Y≧6)であり、溶融部のCr重量が母材に比べて多くなっている。
また、図10のように、非磁性溶融領域のクロム重量は、非磁性溶融領域を除く磁性板材のクロム重量の8%に比べ、6%〜18%大きい。
なお、本実施形態に係るステッピングモータ7において、ステータ201は、Fe−Ni合金より構成されるが、透磁率の大きいFe−Ni合金を用いることが好ましい。例えば、上述した38パーマロイを例示できる。図11の状態図より、Fe−38%Ni−8%Crのキュリー温度は500K以上であるが(点X)、Crが15質量%以上では、キュリー温度が300Kとなって常温でオーステナイト相となる(点X’)。図11は、Fe−Ni−Crの三元合金状態図である。つまり、ステッピングモータ7の駆動が要求される常温付近においては、Crが15質量%以上でステータ201の非磁性状態を確保できる。なお、図11は、Ternary alloys Between Fe、Co or Ni and Ti、V、Cr or Mn (Landolt−Bornstein new Series III/32A)188項から引用した状態図である。
<ステッピングモータ7のコイル209に流れる電流>
次に、ステッピングモータ7のコイル209に流れる電流について図12を参照して説明する。
ステッピングモータにおける一般的な一体型ステータ(1体ステータともいう)の時間tに対する電流Iの変化と、一般的な二体型ステータ(2体ステータともいう)の時間に対する電流の変化の例を、図12を参照して説明する。図12は、一体型ステータと二体型ステータそれぞれの電流波形の例と、逆回転時の駆動パルスの例を示す図である。波形g301は、一体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g321は、二体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g301と波形g321において、横軸が時間であり、縦軸がコイルに流れる電流である。なお、一体型ステータを有するステッピングモータの構成は、図4に示したステッピングモータ7において幅狭部210、211に溶融部が形成されていない構造である。
波形g301に示すように、波形g301は、破線g302〜g304で囲んだ領域のように、複数の異なる傾き期間を有している。以下、本実施形態では、破線g302で囲んだ領域を第1傾き期間、破線g303で囲んだ領域を第2傾き期間、破線g304で囲んだ領域を第3傾き期間という。
第1傾き期間は、ステッピングモータのコイルにおける自己インダクタンスLに依存する期間であり、これによってコイルから発生した磁束がステータに流れる期間である。
第2傾き期間は、磁束が磁気抵抗の低い箇所に流れるため、第1傾き期間によってコイルから発生した磁束が幅狭部に流れる期間である。所定の電流が流れると、幅狭部の磁束が飽和する。換言すると、第2傾き期間は、幅狭部の磁束を飽和させている期間である。
第3傾き期間は、第2傾き期間によって幅狭部の磁束が飽和した後、ロータ収容孔に磁束が漏洩する状態である。換言すると、第3傾き期間は、ロータが動き始める期間である。
そして一体型ステータを有するステッピングモータでは、第3傾き期間になるとロータに磁束の反発力が働いて、ロータの回転が始まる。
また、二体型ステータを有するステッピングモータは、波形g321に示すように、破線g322で囲んだ領域の第1傾き期間と、破線g323で囲んだ領域の第3傾き期間を有する。すなわち、二体型ステータを有するステッピングモータは、第2傾き期間がない。すなわち、二体型ステータでは、磁気的に飽和させる期間が不要である。
次に、一体型ステータを有するステッピングモータ、及び二体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転させる場合の駆動パルスの例について説明する。
図12において、波形g311と波形g312は、一体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。また、波形g331とg332は、二体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。波形g311、g312、g331及びg332において、横軸は時間、縦軸は信号レベルである。また、out1とout2は、ステッピングモータが有するコイルの両端の端子である。また、Vddは、例えばステッピングモータを駆動する駆動回路の電源電圧であり、Vssは0Vまたは基準電圧である。
一体型ステータを有するステッピングモータの駆動パルスは、波形g311とg312のように、まず時刻t1〜t2の期間、前回の駆動時にステータの幅狭部に残っている残留磁束を打ち消すために、幅Peの駆動パルスをコイルのout1に入力する。時刻t2から所定の期間Ps後の時刻t3〜t4の期間、幅P1の駆動パルスをコイルのout1に入力することによって、ロータを正方向に少し動かすように駆動する。なお、期間Psは、期間Peの駆動パルスを入力後、ロータが元の位置に戻る待機期間である。その後、時刻t4〜t5の期間、幅P2の駆動パルスをコイルのout2に入力することによって、ロータを逆方向に少し動かすように駆動する。その後、時刻t5〜t6の期間、幅P3の駆動パルスをコイルのout1に入力することによって、ロータを逆方向に動かすように駆動する。
仮に、幅Peの駆動パルスをコイルのout1に入力せずに、時刻t3のとき幅P1の駆動パルスの入力から開始した場合、残留磁束が残っているため、ロータの動作が不安定になる。このように、一般的な一体型ステータを有するステッピングモータでは、逆回転時に、残留磁束を打ち消すための幅Peの駆動パルスの期間と待機期間である期間Psとが、1ステップ分の指針を運針するための期間であるフレームfが必要であった。
ここで、期間Psが例えば5〜6[ms]であり、幅P1と幅P2と幅P3との合計が、例えば10〜15[ms]である。また、幅P3の駆動パルスで駆動した後、ロータが静止位置に戻るまでの期間は、待機時間と同様に例えば約5[ms]である。この場合、1フレームfの合計は、20(=5+10+5)〜26(=6+15+5)[ms]である。例えば1フレームが32[Hz]の場合、31.25[ms]である。このため、一体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転動作をさせる場合は、1フレームが32[Hz]の周期で駆動していた。この幅Peの駆動パルスの期間と期間Psが逆回転時に必要だったため、逆回転時の周波数を32[Hz]以上にできないという技術的な壁が存在していた。
一方、二体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転動作をさせる場合は、波形g331及びg332のように、1フレームfは、幅P1と幅P2と幅P3とロータが静止位置に戻るまでの期間の合計であり、例えば20(=15+5)[ms]である。このため、二体型ステータを有するステッピングモータでは、一体型ステータを有するステッピングモータより逆回転時の1フレームを短く、例えば50[Hz]することができる。
二体型ステータには、このような効果がある反面、機械的構造として完全に分離分割されたステータでは、組立時の位置ずれによって静止位置が安定しないという問題があるため、腕時計等に用いられるステッピングモータでは、二体型ステータを用いることが困難であった。また、このような機械的分離構造のステータでは、前述したように、機械加工によりステータを2分割し、その後、溶接にて接合するため、機械的なストレスや溶接過程により歪みや部材の位置ずれが生じやすかった。このため、二体型ステータでは、ロータとステータ間の距離に誤差が生じる問題もあった。
ここで、このような二体型ステータの問題点を解決するための比較例を説明する。
図13(A)、図13(B)は、比較例におけるステータの製造手法を説明するための図である。図13(C)は、比較例におけるメッキ処理時にフープ材を裁断した場合の図である。
比較例(特開2016−136830号公報参照)では、まず、Fe−Ni合金板に対して打ち抜き加工(プレス加工)等の機械加工を行って、ロータ収容孔203とロータ収容孔203の周囲に配置された磁路Rとを有するステータ素材を形成する。切り欠き部(内ノッチ)204、205についてもこの工程で併せて形成することができる。なお、ステータ素材201aは透磁率の大きいFe−Ni合金、例えばFe−38%、Ni−8%Cr(いわゆる38パーマロイ)を用いることが好ましい。
次に、ステータ素材201aの少なくとも一部に溶融拡散用のCr材を配置し、当該Cr材にレーザーを照射して磁路Rの内部にCr材を溶融拡散させて幅狭部210、211を形成する。
具体的には、例えば、粉末状の金属クロムが含まれるペーストを前記磁路の少なくとも一部に塗布して当該ペーストにレーザーを照射して溶融拡散させてもよい。または予め、ステータ素材201aの表面にクロムめっき層を形成しておき、当該クロムめっき層のうち、磁路Rの少なくとも一部に形成されたクロムめっき層にレーザーを照射して溶融拡散させてもよい。めっきの場合は、ステータ母材を覆う状態の実現性等を考慮して、Crの質量比率として80%を超えることはない。または、ペーストではなく粉末であってもよい。なお、メッキ処理を行う場合、図13(C)のように、ステータ素材201aの一部(215a、215b)がフープ材216に接続された状態で、フープ材216を、めっき槽に入れられる大きさの短冊状に裁断する。そして、めっきを行わない箇所にマスク217を行う。
そして、幅狭部210、211は、図13(A)、図13(B)に示すように、切り欠き部(外ノッチ)213、214に前述のペーストやクロムめっき層を形成する。
次に、幅狭部210、211(Cr拡散領域)を形成してステータ素材201aを得た後、ロータ収容孔203内にロータ202を配設するとともに、ステータ素材201aと任意の固定手段によって磁心を固定し、この磁心にコイルを巻回させることで、ステッピングモータを製造する。
図14に、3種類のステータの時間対コイルの電流値の変化の表すグラフを示す。換言すると、図14は、飽和特性である。図14において、縦軸はコイル209の電流値(mA)であり、横軸は時間(msec)である。本グラフはロータの磁石から生じる磁束の影響を除きコイルから発生した磁束のみで飽和状態を確認するため、ロータを外すことで得たグラフである。ここで、3種類のステータは、例えばヘリウムの不活性ガス雰囲気下で1200℃、1時間、幅狭部210、211にCrを拡散させた第1のステータ、ヘリウムの不活性ガス雰囲気下で1200℃、24時間、幅狭部210、211にCrを拡散させた第2のステータ、母材にCrのめっきを行って1200℃中でCrを拡散させていない第3のステータである。
波形g401は、第1のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g402は、第2のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g403は、第3のステータの時間に対する電流の変化を示す。
第3のステータでは、波形g403に示すように、図12の波形g301に示した一般的な一体型ステータと同様に3つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が、第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.7[ms]の期間が第2傾き期間であり、時刻が約0.7〜1.7[ms]が第3傾き期間である。
また、Crを1時間拡散させた第1のステータの波形g401は、3つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第2傾き期間であり、時刻が約0.5〜1.2[ms]の期間が第3傾き期間である。
さらに、Crを24時間拡散させた第2のステータの波形g402は、図12の波形g321に示した一般的な二体型ステータと同様に2つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第3傾き期間である。
図14に示したように、幅狭部210、211にCrを拡散させていない第3のステータに対して、幅狭部210、211にCrを拡散させたステータは飽和特性を向上させることができる。
なお、上述した各傾き領域や、各傾き領域の時刻や幅は、説明のための一例である。
比較例では、ステータの形状に打ち抜き加工した部品に対して、切り欠き部(外ノッチ)213、214に前述のペーストやクロムめっき層を形成していた。また、比較例では、図13に示したように、板の厚み方向からCrペーストを塗布し、塗布後にレーザーを照射してレーザー溶融させていた。ここで、20[ミクロン]のメッキ厚を得るには、約2時間のメッキ時間が必要であった。このような溶融を行う場合、フープ材にステータの一部が切断されていない状態になるように1度目のプレスを行った場合は、メッキ浴槽に入る大きさ(例えば長手方向の長さが90mm)にフープ材を切断して処理を行う必要であった。このため、比較例では、長尺のフープ材を用いてステータを製造することが難しかった。また、メッキは必要量を板の両側面にメッキしてレーザーを貫通させる必要があった。また、比較例のようにメッキを行う場合は、不要な箇所に付着したCrメッキを、メッキ浴槽で「メッキ剥離」の工程が必要なため、メッキ剥離に長時間を要していた。さらに、比較例では、幅の狭い幅狭部210、211に対してレーザーを照射するため、ロータ収容孔203が熱で変形することが懸念される。
一方、本実施形態では、ステータ201を打ち抜き加工する前に板圧の厚み方向にガイド穴を基準とする所望位置にCrをペースト塗布する。本実施形態では、続けて、板厚厚み方向からレーザーを照射する。そして、本実施形態では、ガイド穴を基準として打ち抜き加工してステータ201を製造するようにした。
そして、本実施形態の製造方法で製造したステータ201は、図14に示した24時間、幅狭部210、211にCrを拡散させた第2のステータと同様に飽和特性を向上させることができる。
これにより、本実施形態によれば、レーザーを照射して溶融部を形成した後にステータ201を打ち抜き加工するようにしたので、ステータ201の製造時の変形を防ぐことができる。この結果、本実施形態によれば、ステータ201の形状を安定した精度で作成できる。そして、本実施形態によれば、ステータ201の厚み方向にCrを塗布して溶融部を形成するため、図7〜図9に示したように溶融部の断面積が増大して、曲げ強度が増大して、取扱いによる変形を防止できる。また、本実施形態によれば、Crペーストをレーザーで溶融させた後、不要な箇所に付着したCrペーストを溶剤で簡単に除去できる。また、本実施形態によれば、非磁性化に必要なクロム量を、片側の面から供給できる。
さらに本実施形態によれば、磁気的に二体型ステータとなっているため、一般的な一体型ステータにおいて、ステータの逆回転によって発生する幅狭部に発生する残留磁束等の影響を低減することができる。これにより、本実施形態によれば、図12に示した幅P3を従来より短くすることができる。幅P1と幅P2と幅P3と、幅P3後の静止期間との合計を、例えば15[ms]に抑えることで、1フレームの周期を64[Hz]、すなわち、従来と比較して倍の速さで、針を逆回転させることができる。すなわち、本実施形態によれば、一体型ステータを用いたステッピングモータを用いて、針を逆回転させる場合の1フレームが32[Hz]であった技術的な壁を越えて、64[Hz]での早送りを実現することができる。
<ステータのロータ収容孔が変形していない場合と変形した場合との比較>
次に、ステータのロータ収容孔が変形した場合と変形していない場合について、図15〜図18を用いて説明する。
図15(A)は、ロータ収容孔が変形していない場合を示す図である。図15(B)は、ロータ収容孔が変形した場合を示す図である。図15(C)は、ステータの水平軸とロータ静止角θを説明するための図である。
図15(A)に示すように、ロータ収容孔203が変形していない場合、孔径はφ1.8mmの略真円である。図15(B)に示すように、ロータ収容孔203aが変形している場合、孔径は、横が約1.8mm、縦が約1.7mmである。図15(C)において、水平方向(y軸方向)の一点鎖線218は、ステータ水平軸を表し、角度θは、無励磁の時のステータ水平軸218に対する磁極軸の向き角度である。以下の説明では、この角度θをロータ静止角θとする。
図16は、ロータ収容孔が変形していない場合とロータ収容孔が変形している場合のロータ角度に対するトルクの変化を示す図である。図16において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸はトルク[μNm]である。また、波形g31は、ロータ収容孔203が変形していない場合の変化を示している。波形g32は、ロータ収容孔203aが変形している場合の変化を示している。
図16に示すように、ロータ収容孔203が変形していない場合、ロータ静止角θは約40°である。なお、ロータ静止角θは、トルクが約0のロータ角度である。
ロータ収容孔203aが変形している場合、ロータ静止角θは約10°である。
ロータ収容孔203が変形していない場合、コギングトルク(ポテンシャルエネルギー)は、約0.5[μNm]である。なお、コギングトルクは、トルクの最大値である。
ロータ収容孔203aが変形している場合、コギングトルクは、約1.1[μNm]である。
次に、ロータ角度に対するコギングトルク、蓄積エネルギー、積分トルクの例を説明する。
図17(A)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対するコギングトルクの変化を示す図である。図17(B)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対する蓄積エネルギーの変化を示す図である。図17(C)は、ロータ収容孔203が変形していない場合のロータ角度に対する積分トルクの変化を示す図である。
図17(A)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸はコギングトルク[μNm]である。図17(B)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸は蓄積エネルギー[μJ]である。図17(C)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸は積分トルク[μNm]である。
図17より、ロータ収容孔203が変形していない場合は、保持トルクが約0.514[μNm]であり、蓄積エネルギーΔΕが約0.421[μJ]であり、静止角が約131.7[deg]であり、バランスが0.024である。なお、保持トルクとは、トルクの最大値と最小値との平均値である。蓄積エネルギーΔΕは、蓄積エネルギーの最大値と最小値との差である。静止角は、低ポテンシャル位置における補間値である。バランスは、トルクの最大値と最小値を保持トルクで除算した値である。
また、低ポテンシャル位置は、素角度が約130[deg]、作業が約31[deg]、補間が131.68である。なお、素角度は、積分トルクが最小値となる角度である。
作業は積分トルクの最小値に基づく値である。
また、高いポテンシャル位置は、素角度が約40[deg]、作業が約13[deg]、補間値が42.53である。
図18(A)は、ロータ収容孔203aが変形している場合のロータ角度に対するコギングトルクの変化を示す図である。図18(B)は、ロータ収容孔203aが変形している場合のロータ角度に対する蓄積エネルギーの変化を示す図である。図18(C)は、ロータ収容孔203aが変形している場合のロータ角度に対する積分トルクの変化を示す図である。
図18(A)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸はコギングトルク[μNm]である。図18(B)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸は蓄積エネルギー[μJ]である。図18(C)において、横軸はロータ角度[deg]、縦軸は積分トルク[μNm]である。
図18より、ロータ収容孔203aが変形している場合は、保持トルクが約1.147[μNm]であり、蓄積エネルギーΔΕが約0.962[μJ]であり、静止角が約104.4[deg]であり、バランスが0.043である。
また、低ポテンシャル位置は、素角度が約100[deg]、作業が約25[deg]、補間値が104.43である。
また、高いポテンシャル位置は、素角度が約180[deg]、作業が約41[deg]、補間が0である。
図16を用いて説明したように、ロータ収容孔203aが変形している場合は、変形していない場合と比較して、ロータ静止角がずれ、コギングトルクが増大する。
そして、図17と図18を用いて説明したように、ロータ収容孔203aが変形している場合は、変形していない場合と比較して、保持トルク、蓄積エネルギーΔΕ、および静止角それぞれがずれる。さらに、ロータ収容孔203aが変形している場合は、変形していない場合と比較して、低ポテンシャル位置の素角度、高ポテンシャル位置の素角度がずれる。
このように、ロータ収容孔203aが変形すると、ステッピングモータの特性がずれるため、所望の性能のステッピングモータとならない場合がある。
一方、本実施形態によれば、溶融部を形成した後に打ち抜きを行ってステータ201を製造するようにしたので、ロータ収容孔203が変形していない真円状態で製造することができる。この結果、本実施形態によって製造したステータ201を用いることで、所望の性能のステッピングモータを製造することができる。
なお、本実施形態の製造方法で製造したステータ201におけるロータ収容孔203は、切り欠き部204、205を除く部分の円弧の直径の設計値の1.8mmに対して、下限が0[μm]、上限が9[μm]である。このため、本実施形態の製造方法で製造したステータ201におけるロータ収容孔203の真円度は、約99.5%(=1−(9×10−6/0.0018))である。
<実施形態の変形例>
以下、上述した実施形態の変形例を説明する。
第2製造工程では、図5、図6を用いて説明したように、フープ材の長手方向(x軸方向)に、直線状にクロムを塗布する例を説明したが、これに限られない。
図19は、本実施形態に係るクロム塗布の変形例を示す図である。図6との差異は、クロムをステータ201の幅狭部210、211に対応する領域に塗布する。この変形例では、第2製造工程において、ペースト塗布装置322は、フープ材310Bに対して、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210、211に対応する領域332にクロムをペースト塗布するようにしてもよい。
これにより、変形例によれば、クロムを塗布する量を削減できる。さらに、変形例によれば、レーザーを照射する位置を削減することで、フープ材に発生する熱を低減することができる。
また、上述した例では、フープ材の長手方向(x軸方向)に、直線状にクロムを塗布する例を説明したが、マスクを施してクロムメッキによるクロム層を形成するようにしてもよい。
図20は、本実施形態に係るフープ材に形成されるクロム層を示す図である。図20(A)は、変形例におけるクロム層形成後のフープ材310Cの斜視図である。図20(B)は、図20(A)のY−Y’おけるクロム層形成後のフープ材310Cの断面図である。なお、図20において、ガイド穴は省略して図示している。符号g331cは、クロムメッキによって形成したクロム層である。
この変形例においても、第2製造工程において、ガイド穴を基準として、幅狭部210、211に対応する領域に、例えば直線上にクロム層331cを形成するようにしてもよい。
または、ガイド穴312、313を基準として、フープ材310Cの幅狭部210、211に対応する領域に、クロムの板材331Cを埋め込むようにしてもよい。
また、上述した例では、ステッピングモータが1コイルモータであり、これに合わせたステータを製造する例を説明したが、これに限られない。ステッピングモータは、2コイルモータであってもよい。
図21は、変形例における2コイルモータ用のステータ201A’’をフープ材310Dから打ち抜く前の正面図である。
符号210a、210b、および210cは、幅狭部である。また、符号311Da、331Db、および331Dcそれぞれの位置は、クロムを塗布して、レーザーを照射する位置である。
この場合においても、第2製造工程で、製造システム300(図5参照)は、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210a、210b、および210cに対応する領域311Da、331Db、および331Dcにクロムを塗布する。
続けて、第2製造工程で、製造システム300は、ガイド穴312、313を基準として、幅狭部210a、210b、および210cに対応する領域311Da、331Db、および331Dcにレーザーを照射して溶融部を形成させる。
続けて、製造システム300は、第3製造工程でガイド穴を基準として、ステータ201Aを抜き打ちし、第4製造工程で磁性焼鈍処理を行うことで、2コイルモータ用のステータ201Aを製造することができる。
この変形例においても、幅狭部210a、210b、および210cに溶融部を形成した後に、フープ材から抜き打ちしてステータ201Aを製造するようにしたので、ステータ201Aの過飽和領域を含めた形状を安定した精度で作成することができる。
なお、図6、図19、図21に示した例では、フープ材に対してステータを1方向に抜き打って製造する例を示したが、図22のようにステータを互い違いに抜き打つようにしてもよい。図22は、変形例における2コイルモータ用ステータのプレス前の正面図である。
この変形例では、第2製造工程で、製造システム300は、ガイド穴312、313を基準として、ステータ201Bに対応する領域にクロムを塗布し、レーザーを照射する。
なお、図22では、2コイルモータ用のステータの例を示したが、1コイル用のステータでも互い違いに配置して同様に製造することができる。この場合、例えば、図19において、幅狭部210、211に対応する領域332を、ガイド穴313側に加えて、ガイド穴312側にも塗布するようにしてもよい。
また、ステータは、フープ材に対して略90度に配置されている例を説明したが、これに限られない。フープ材に対するステータ角度は、90度でなくてもよい。その場合は、非磁性領域を形成する領域にクロムを塗布するようにしてもよい。
なお、Niの質量%が38%である38パーマロイではない材料を磁性材料とする場合は、その材料におけるクロム重量比が上述した15%とは異なる。例えば、Ni−2Crなど三元合金図(図11)上における非磁性領域を示すクロム重量比が15%ではない材料を磁性材料とする場合は、その材料におけるクロム重量比以上であることが必要となる。
<他の第3製造工程の説明>
図5の例では、第3製造工程を仕上げ加工装置であるプレス装置342(図5)が、プレス抜きを行う例を説明した。しかし、第3製造工程は、これに限らない。
図23は、本実施形態に係るステータの製造方法における第3製造工程をレーザー切断で行う例を示す図である。
この例では、図5のプレス装置342の代わりに、例えば図23に示す構成のレーザー切断装置(仕上げ加工装置)を用いて加工する。
図23に示すように、レーザー切断装置は、レーザー発信器(YAGレーザーやディスクレーザーなどの固体レーザー発信器またはファイバーレーザー発信器)501と、レーザー発信器501に接続された光ファイバー502と、光ファイバー502の他端に接続されたレーザー出射部503を介して接続されたレーザーヘッド504とを備える。レーザーヘッド504には、レーザー出射部503から出射されたレーザービーム505を平行光線化するためのコリメーションレンズ506と平行光線化されたレーザービーム505を集光させる集光レンズ507が備わっている。切断ノズル511には、アシストガス配管508を介して、アシストガス供給装置(アシストガスは体積%が90%以上のNまたはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス)509が接続される。切断ノズル511の下方に、集光レンズ507にて集光されたレーザービーム505およびアシストガス510が出射される。切断ノズル511の下面より例えば2〜3mmの空間を設けて被切断材(磁性板材)512が設置され、レーザー切断が実施される。
この被切断材(磁性板材)512が、図5の第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態の一部である。
なお、図23に示したレーザー切断装置の構成例は一例であり、これに限らない。
図24は、本実施形態に係るステータの製造方法における第3製造工程をワイヤー放電加工で行う例を示す図である。
この例では、図5のプレス装置342の代わりに、例えば図24に示す構成のワイヤー放電加工装置(仕上げ加工装置)を用いて加工する。
図24に示すように、ワイヤー放電加工は、ワイヤー電極601が、上下のガイドローラ602及びワイヤーガイド603を走行移動して矢印のように引き取られる。ワイヤー電極601は、図示しないブレーキ及び引き取り装置によって所要の張力と移動速度が与えられ、ワイヤーガイド603間を直線に移動するワイヤー電極601に対して被切断材(磁性板材)609を対向して加工する。符号608は被切断材(磁性板材)609を載置しX軸及びY軸方向に移動可能なXYテーブルである。符号604は加工液を供給する加工液ノズルで、被切断材(磁性板材)608の上下に設けられ、ワイヤーガイド603を包むようにワイヤー電極601と同軸状に設けられる。加工電源606は、図示しない通電子によりワイヤー電極601と接続され、ワイヤー電極601と被切断材(磁性板材)609との間にパルス放電を行って、放電加工により被切断材(磁性板材)609の切断が実施される。符号607はこのワイヤー放電加工における種々の制御を行うNC装置である。
この被切断材(磁性板材)609が、図5の第2製造工程後のフープ材が巻き取られている状態の一部である。
なお、図24に示したワイヤー放電加工装置の構成例は一例であり、これに限らない。
なお、第3製造工程は、抜き打ち(図5)、レーザー切断(図23)、およびワイヤー放電加工(図24)に限らず、他の切断方法や加工方法や非接触切断方法であってもよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
1…時計、2…電池、3…発振回路、4…分周回路、5…制御回路、6…パルス駆動回路、7…ステッピングモータ、8…アナログ時計部、12…時針、13…分針、14…秒針、15…カレンダ表示部、81…時計ケース、82…時計用ムーブメント、201…ステータ、202…ロータ、208…磁心、209…コイル、210,211…幅狭部、401…溶融部、220…ネジ、203…ロータ収容孔、218a…ネジ孔、218b…ネジ孔、220…ネジ、300…製造システム、302…プレス装置、322…ペースト塗布装置、323…乾燥装置、324…レーザー照射装置、325…洗浄装置、342…プレス装置(仕上げ加工装置)、312,313…ガイド穴、310…フープ材、331…非磁性領域

Claims (11)

  1. 磁性板材に非磁性領域を形成する非磁性化工程と、
    モータ用のロータ用孔を形成するために前記磁性板材を加工する工程であって、前記非磁性領域の一部を加工する加工工程と、
    を含むモータ用ステータの製造方法。
  2. 前記非磁性化工程は、
    前記磁性板材にクロムを塗布するクロム塗布工程と、
    前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程と、
    を含む請求項1に記載のモータ用ステータの製造方法。
  3. 前記非磁性化工程は、
    前記磁性板材に連続してクロムを塗布するクロム塗布工程と、
    前記磁性板材に厚み方向からレーザーを照射するレーザー照射工程と、
    を含む請求項1のモータ用ステータの製造方法。
  4. 前記非磁性化工程の前に、前記磁性板材にガイド穴を形成するガイド穴形成行程を含み、
    前記クロム塗布工程は、前記ガイド穴を基準に前記クロムを塗布し、
    前記レーザー照射工程は、前記ガイド穴を基準にレーザーを照射し、
    前記加工工程は、前記ガイド穴を基準に前記非磁性領域の一部を加工する、
    請求項2または請求項3に記載のモータ用ステータの製造方法。
  5. 前記磁性板材は、
    ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板材であり、
    前記非磁性領域は、
    Cr含有量が15%以上の領域を含む、
    請求項1または請求項4のいずれか1項に記載のモータ用ステータの製造方法。
  6. 前記加工工程は、
    前記非磁性領域の一部を打ち抜いて加工する、前記非磁性領域の一部をレーザー切断して加工する、および前記非磁性領域の一部をワイヤー放電で加工する、のうちの1つである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ用ステータの製造方法。
  7. 磁性板材のロータ用孔の周囲に形成され前記磁性板材が溶融により非磁性化された非磁性溶融領域であって、前記磁性板材の一方の表面側から厚み方向で他方の表面側へ向かうにつれて断面積が小さくなる非磁性溶融領域と、
    を備えるモータ用ステータ。
  8. 前記ロータ用孔の真円度が99.5%以上である、
    請求項7に記載のモータ用ステータ。
  9. 前記磁性板材は、
    ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金の板剤であり、
    前記非磁性溶融領域は、
    Cr含有量が15%以上の領域を含む、
    請求項7または請求項8に記載のモータ用ステータ。
  10. 前記非磁性溶融領域のクロム重量は、前記非磁性溶融領域を除く前記磁性板材のクロム重量に比べ、6%〜18%大きい、
    請求項7または請求項8に記載のモータ用ステータ。
  11. 前記非磁性溶融領域は、前記ロータ用孔と前記磁性板材の外縁との距離が他の部位に比べ狭小となる部位に形成される、
    請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のモータ用ステータ。
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