JP2019068016A - 補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記フレキシブルプリント配線板としては、一般に、ポリイミドフィルム等の表面に銅等によって形成されたグラウンド回路と、前記回路の一部にコネクター等の部品が実装された構成を有するものが知られている。
前記フレキシブルプリント配線板には、通常、前記部品を実装する際の接続不良を防止し、かつ、経時的な部品の脱落を防止することを目的として、前記実装面に対する裏面に、ポリイミドフィルムやステンレス板等の比較的厚膜の補強板が、接着シート等によって貼付されていることが多い(例えば特許文献1参照。)。
また、前記フレキシブルプリント配線板と前記補強板とを、接着シートを用いて貼り合せる場合、前記補強板及び接着テープをあらかじめ貼り合せる工程と、それをフレキシブルプリント配線板に貼付する工程の2工程が必要となる。そのため、産業界では、補強板付きフレキシブルプリント配線板及び電子機器等の生産効率を向上させるうえで、前記工程の短縮化が大きな課題となっていた。
しかし、前記接着シートを用いた場合、硬化する際の収縮によって、フレキシブルプリント配線板の反りを引き起こす場合があり、実装部品の脱落が生じるという問題があった。
しかし、前記補強部付フレキシブルプリント配線板では、基材及び硬化性接着シートの硬化剤層をあらかじめ貼り合せる工程と、それをフレキシブルプリント配線板に貼付する工程の2工程が必要となっている。それゆえ、生産効率の向上に必要な工程の短縮化が達成されていない。
工程[1]:前記硬化性材料の一方の面に離型層を有する基材を積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付し、積層する工程、
工程[2]:前記離型層を有する基材を前記硬化性材料の一方の面に積層した状態で、前記硬化性材料を硬化させることによって、その硬化物からなる補強部を形成する工程、
工程[3]:前記離型層を有する基材を前記硬化物の一方の面に積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に部品実装し、実装が完了した後に前記離型層を有する基材を剥離する工程、
を有するフレキシブルプリント配線板と補強部とが積層された構成を有する補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法である。
工程[1]:前記硬化性材料の一方の面に離型層を有する基材を積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付し、積層する工程、
工程[2]:前記離型層を有する基材を前記硬化性材料の一方の面に積層した状態で、前記硬化性材料を硬化させることによって、その硬化物からなる補強部を形成する工程、
工程[3]:前記離型層を有する基材を前記硬化物の一方の面に積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に部品実装し、実装が完了した後に前記離型層を有する基材を剥離する工程、
を有することを特徴とするものである。
工程[1]:前記硬化性材料の一方の面に離型層を有する基材を積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付し、積層する工程を有する。この工程では、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付し、補強部を形成するにあたり、前記硬化性材料の貼り付け位置精度を向上するために用いる工程である。
工程[2]:前記離型層を有する基材を前記硬化性材料の一方の面に積層した状態で、前記硬化性材料を硬化させることによって、その硬化物からなる補強部を形成する工程を有する。この工程では、前記工程[1]のフレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に貼付した前記硬化性材料を硬化し、前記部品を実装する際の接続不良を防止し、かつ、経時的な部品の脱落を防止することが可能な補強部を形成するために用いる工程である。
工程[3]:前記離型層を有する基材を前記硬化物の一方の面に積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に部品実装し、実装が完了した後に前記離型層を有する基材を剥離する工程を有する。この工程では、例えば、240℃の熱で溶かしたはんだを介してコネクター等の部品を前記フレキシブルプリント配線板の実装面に実装するために用いる工程を含む。
また、本発明で用いる離型層を有する基材としては、基材の少なくとも一方の面に離型層を有したものを使用でき、また基材自身が離型層として機能するものも使用することができる。
前記離型層の厚さは0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが好ましい。前記範囲に離型層の厚みの範囲があることで、前記硬化性材料が硬化し補強部を形成する際の硬化収縮に起因した反りを好適に抑制し、かつ前記離型層を有する基材を剥離する工程において好ましい剥離性を得ることができる。
前記補強部としては、その25℃における引っ張り弾性率(x3)が3,000〜20,000MPaであるものを使用することが、フレキシブルプリント配線板をより一層強固に補強するうえで好ましい。
前記補強部は、例えば前記硬化性材料を熱硬化させることによって得ることができ、好ましくは120℃以上、より好ましくは120〜200℃の温度条件で、5分〜120分間加熱し硬化させることによって得ることができる。
前記硬化性材料としては、硬化前後での寸法安定性に優れ(反りの抑制に優れ)、かつ、取り扱いしやすいことから、予めシート状に成形されたものを使用することが好ましい。
前記シート状の硬化性材料は、およそ100℃以上の温度に加熱された場合に溶融し、2以上の被着体を接着(接合)可能なものであることが好ましい。
なお、前記体積抵抗値は、抵抗率計Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)によって測定した値を指す。
また、前記硬化性材料としては、前記硬化性樹脂と反応しうる硬化剤を含有するものを使用することが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば前記硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合であれば、そのエポキシ基と反応しうる官能基を有するものを使用することが好ましい。
また、前記硬化剤としては、良好な硬化反応を得るため、加熱により硬化反応が進行するものを用いることが好ましい。これにより、高い剛性を有した補強部を形成することができる。
また、前記硬化性材料としては、その硬化物によって構成される前記補強部が、温度変化の大きい環境下で使用された場合であっても、補強部の欠損等を引き起こしにくい靭性を確保するうえで、熱可塑性樹脂を含有するものを使用することができる。
前記熱可塑性樹脂は、上記理由から、前記硬化性樹脂100質量部に対して5質量部〜100質量部の範囲で使用することが好ましい。
具体的には、前記導電性フィラーとしては、カーボニル法で製造されたニッケル粉NI255、NI287(インコリミテッド社製)、電解法で製造した銅粉FCC−115(福田金属箔粉工業(株)製)等を好適に使用することができる。
なお、前記硬化剤及び硬化促進剤は、硬化性材料を硬化させる前、または、シート状等に成形する前に、使用することが好ましい。
また、シート状の硬化性材料は、例えば前記硬化性樹脂と、前記導電性フィラーや硬化剤や溶媒等の任意の成分とを含有する組成物を製造した後、例えば剥離ライナーの表面に塗工し乾燥等させることによって製造することができる。
また、前記シート状の硬化性材料は、使用される前まで、前記剥離ライナーによって挟持されていてもよい。この場合は、離型ライナーの一方を剥離し、前記硬化性材料の一方の面に離型ライナーを積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付する工程を経ることができる。
前記クッション材との積層は、接着成分等で接着された状態であってもよく、単に接している状態であってもよい。
前記クッション材としては、例えばウレタンフォームや、ポリエチレンフォーム、シリコンスポンジ等が挙げられ、導電性ウレタンフォームを使用することが好ましい。
前記クッション材としては、0.1mm〜5.0程度の厚さを有するものを使用することが好ましい。
前記クッション材の積層された構成を備えた電子機器は、ノイズを原因とする誤作動を効果的に抑制する。
(1)離型層を有する基材(A−1)の作製
厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ株式会社製 カプトン200H)の片面に、テスファイン303(日立化成ポリマー株式会社製、ステアリル変性アルキド樹脂とメチル化メラミンとの混合物)100質量部及びp−トルエンスルホン酸3質量部を混合したトルエン溶液(固形分2質量%)を棒状の金属アプリケータを用いて、乾燥後の厚さが0.2μmになるように塗工した。
830−S(DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq.)20質量部、1055(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475g/eq.)30質量部、JER−1256(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のメチルエチルケトン溶液(固形分30質量%)167質量部、2MA−OK−PW(四国化成工業株式会社製、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物)1質量部を混合した。
フレキシブルプリント配線板としては、片面が無電解金メッキ処理された圧延銅箔(厚さ36μm)の銅からなる面に、接着テープ(厚さ25μmのポリイミドフィルムの片面に厚さ15μmの接着テープを貼付したもの)を貼付することによって得られる積層体を使用した。尚、実際のフレキシブルプリント配線板は回路が組まれているが、本願では上記構成の積層体にて代用した。
(工程[1])
前記フレキシブルプリント配線板の銅面(実装面に相当)に対する裏面に、前記硬化性材料(B−1)の硬化性材料が露出されている面を重ね、予め120℃に加熱したアイロン(クローバー株式会社製 パッチワークアイロン57−904)を当てて仮貼付し、補強部付フレキシブルプリント配線板(X−1)を得た。
この時、前記離型層を有する基材(A−1)は前記硬化性材料(B−1)に積層された状態を保持した。
前記工程1を経て得た補強部付フレキシブルプリント配線板(X−1)を、2枚の厚さ0.1mmのPTFEフィルム(日東電工株式会社製NITFLON、登録商標)の間に挟んだ後、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で60分間加熱することによって、補強部付フレキシブルプリント配線板(Y−1)を得た。
この時、前記離型層を有する基材(A−1)は前記硬化性材料(B−1)に積層された状態を保持した。
部品実装の際に行われるはんだリフロー工程を想定し、その代用として、前記補強部付フレキシブルプリント配線板(1)を240℃で150秒加熱した。その後、前記離型層を有する基材(A−1)を前記硬化性材料(B−1)から剥離して、補強部付フレキシブルプリント配線板(Z−1)得た。
離型層を有する基材として厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ株式会社製 カプトン50H)の代わりに厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 ルミラー#50)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、離型層を有する基材(A−2)、及び補強部付フレキシブルプリント配線板(Z−2)を得た。
この時、離型層を有する基材(A−2)の融点は、255℃であった。
離型層を有する基材として厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ株式会社製 カプトン200H)の代わりに厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 ルミラー#25)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、離型層を有する基材(A−3)、及び補強部付フレキシブルプリント配線板(Z−3)を得た。
この時、離型層を有する基材(A−3)の融点は、255℃であった。
前記実施例1の工程[1]で得られた補強部付フレキシブルプリント配線板(X−1)から前記離型層を有する基材(A−1)を剥離し、前記離型層を有する基材(A−1)を積層せずに工程[2]及び工程[3]を経ること以外は、実施例1と同様の方法で補強部付フレキシブルプリント配線板(Z’−1)を得た。
前記実施例1の工程[2]で得られた補強部付フレキシブルプリント配線板(Y−1)から前記離型層を有する基材(A−1)を剥離し、前記離型層を有する基材(A−1)を積層せずに工程[3]を経ること以外は、実施例1と同様の方法で補強部付フレキシブルプリント配線板(Z’−2)を得た。
前記離型層を有する基材(A−1)が積層された厚さ140μmの硬化性材料(B−1)の硬化性材料が露出されている面にアルミニウム箔(厚さ12μm)の片面側に重ね、予め120℃に加熱したアイロン(クローバー株式会社製 パッチワークアイロン57−904)を当て、前記硬化性材料(B−1)の硬化性材料が露出されている面とアルミニウム箔(厚さ12μm)を仮貼付した。
前記補強部付フレキシブルプリント配線板を製造するに際し、補強部材としてアルミニウム箔などの補強板を使用したために、前記補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法(工程[1])が2工程(硬化性材料とアルミニウム箔等とを貼付する工程、及び、それをフレキシブルプリント配線板に貼付する工程)を要したものを、生産効率「×」と評価した。また、それを1工程(前記アルミニウム箔等を使用しない硬化性材料をフレキシブルプリント配線板に貼付する工程)のみで製造できたものを、生産効率「○」と評価した。
前記実施例及び比較例で得られた補強部付フレキシブルプリント配線板(Z−1)から(Z−3)、及び(Z’−1)から(Z’−5)を、水平面に載置した。前記水平面から、前記硬化物の4隅までの高さをそれぞれ測定し、その平均値を反り量を測量し、下記評価基準にしたがって寸法安定性を評価した。
○:補強部付フレキシブルプリント配線板の反り量が、1mm以上3mm未満であった。
△:補強部付フレキシブルプリント配線板の反り量が、3mm以上6mm未満であった。
×:補強部付フレキシブルプリント配線板の反り量が、6mm以上であった。
前記硬化性材料層(B−1)及び(B’−1)離型層を有する基材を除去して得た硬化性材料を、2枚の厚さ0.1mmのPTFEフィルム(日東電工株式会社製NITFLON、登録商標)の間に挟んだ後、熱プレス装置で2MPaの圧力を維持しながら、165℃で60分加硬化させた。得られた硬化物を10mm×70mmに裁断したものを試験サンプルとした。前記試験サンプルを70mm隙間の開いた2本の支柱上に置き、次いで試験サンプルの中央に0.4gの重りをのせる前後での試験サンプルの中央部の下方向へのたわみ量を測量し、下記評価基準にしたがって補強性能を評価した。
なお、比較例4の熱硬化性材料は、ステンレス板が積層されているためその引っ張り弾性率(x1)及び引っ張り弾性率(x2)を測定
○:試験サンプルのたわみ量が、6mm以上8mm未満であった。
△:試験サンプルのたわみ量が、8mm以上10mm未満であった。
×:試験サンプルのたわみサンプルの変化量が、10mm以上であった。
離型層を有する基材を除去して得た硬化性材料を、幅10mm×長さ100mmの大きさに裁断したものを試験片1とした。
前記試験片1(硬化前)の25℃における引っ張り弾性率を、テンシロン引張り試験機を用いて引張り速度20mm/分の条件の下測定した。
次に、前記試験片1を厚さ0.1mmの2枚のNITFLON(日東電工株式会社製、PTFEフィルム)の間に挟み、熱プレス装置を用い2MPaで加圧した状態で、165℃で60分加熱硬化させることによって試験片2(硬化後)を得た。
Claims (6)
- フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に補強部を有し、前記補強部が硬化性材料の硬化物からなる補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
工程[1]:前記硬化性材料の一方の面に離型層を有する基材を積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に対する裏面に前記硬化性材料を貼付し、積層する工程、
工程[2]:前記離型層を有する基材を前記硬化性材料の一方の面に積層した状態で、前記硬化性材料を硬化させることによって、その硬化物からなる補強部を形成する工程、
工程[3]:前記離型層を有する基材を前記硬化物の一方の面に積層した状態で、フレキシブルプリント配線板の実装面に部品実装し、実装が完了した後に前記離型層を有する基材を剥離する工程、
を有するフレキシブルプリント配線板と補強部とが積層された構成を有する補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。 - 前記離型層を有する基材の融点が240℃以上である請求項1に記載の補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。
- 前記離型層を有する基材の厚みが10〜130μmである請求項1又は2に記載の補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。
- 前記硬化性材料が25℃における引っ張り弾性率(x1)が50〜2,500MPaの範囲であり、かつ、その硬化物の25℃における引っ張り弾性率(x2)が2,500MPa以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。
- 前記熱硬化物の厚さが50〜350μmの範囲を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。
- 前記硬化物が前記硬化性材料を120℃以上に加熱し熱硬化させることによって得られる請求項1〜5のいずれか一項に記載の補強部付フレキシブルプリント配線板の製造方法。
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