(実施例1)
以下、本発明の眼科装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。まず、実施例1の眼科装置10の全体構成を、図1〜図3を参照して説明する。実施例1の眼科装置10は、被検者が左右の両眼を開放した状態で、被検眼の特性測定を両眼同時に実行可能な両眼開放タイプの眼科装置である。なお、両眼開放タイプに限定されるものではなく、片眼ずつ特性測定する眼科装置にも本発明を適用することができる。
[眼科装置の全体構成]
実施例1の眼科装置10は、図1に示すように、床面に設置された基台11と、検眼用テーブル12と、支柱13と、支持部としてのアーム14と、測定ユニット20とを備えている。この眼科装置10では、検眼用テーブル12と正対する被検者が、測定ユニット20に設けられた額当部15に額を当てた状態で被検眼の特性の測定を行う。なお、本明細書を通じて図1に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向(測定ユニット20の奥行き方向)をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、後述する検者用コントローラ27や被検者用コントローラ28を置いたり検眼に用いるものを置いたりするための机であり、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。
支柱13は、検眼用テーブル12の後端部からY方向に起立しており、上部にアーム14が設けられている。アーム14は、支柱13に取り付けられ、検眼用テーブル12の上方で駆動機構22を介して一対の測定ヘッド23を吊り下げ支持するものである。アーム14は、支持部駆動機構としてのアーム駆動機構16によって支柱13つまり眼科装置10の装置本体に対して上下動可能に取り付けられ、Y方向での位置(高さ位置)が調節可能となっている。なお、アーム14は、支柱13に対してX方向及びZ方向に移動可能としてもよい。
アーム14は、支柱13の挿入孔14aを有しこの支柱13の外周に上下動自在に取り付けられる基部14bと、この基部14bからZ方向(手前方向)に延在し、先端に測定ユニット20が取り付けられるアーム本体14cとを有している。
アーム駆動機構16は、ボールねじ機構により構成されている。図5に示すように、支柱13の背面に、上下に延在するように凹部13aが設けられ、この凹部13a内に、ボールねじ軸16a及び一対のガイド棒16bが取り付けられている。ボールねじ軸16aには、凹部13a内を上下に移動自在にスライダ16cが連結されている。またスライダ16cには、ガイド棒16bに沿って上下にスライド移動するリニアブッシュ16dが取り付けられている。このスライダ16cに、アーム14の基部14bが連結されている。ボールねじ機構は、支柱13に設けられたアクチュエータによって駆動される。アクチュエータは制御部26に接続されている。制御部26の制御によってアクチュエータが作動することで、ボールねじ軸16aが回転し、スライダ16cがベース部16b内を上下動することで、アーム14が測定ユニット20とともに支柱13に対して上下動する。
なお、アーム駆動機構16がこの構成に限定されるものではなく、ラック・アンド・ピニオン等の伝達機構とアクチュエータからなる機構やリニアモータ機構、エアシリンダ機構など、公知の直動機構などを用いることができる。また、本実施例では、アーム14が支柱13に対して上下動可能となっているが、これに限定されるものではない。アーム14の高さ位置を調節できるものであれば、例えば、アーム14を支柱13に固定し、支柱13自体を基台11(つまり装置本体)に対して上下動可能とすることもできる。
基台11には、眼科装置10の各部を統括的に制御する制御部26が、制御ボックス26bに収納されて設けられている。なお、制御部26には、電源ケーブル17aを介して図示しない商用電源から電力供給がなされる。
[測定ユニット]
測定ユニット20は、任意の自覚検査及び任意の他覚測定の少なくとも一方を行う。なお、自覚検査では、被検者に視標等を提示し、この視標等に対する被検者の応答に基づいて検査結果を取得する。この自覚検査には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定や、視野検査等がある。また、他覚測定では、被検眼に光を照射し、その戻り光の検出結果に基づいて被検眼に関する情報(特性)を測定する。この他覚測定には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。さらに、他覚測定には、他覚屈折測定(レフ測定)、角膜形状測定(ケラト測定)、眼圧測定、眼底撮影、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、「OCT」という)を用いた断層像撮影(OCT撮影)、OCTを用いた計測等がある。
また、この測定ユニット20は、制御/電源ケーブル17b(図2参照)を介して制御部26に接続されており、この制御部26を経由して電力供給がなされる。また、測定ユニット20と制御部26との間の情報の送受信も、この制御/電源ケーブル17bを介して行われる。
測定ユニット20は、図2に示すように、取付ベース部21と、この取付ベース部21に設けられた左眼用駆動機構22L及び右眼用駆動機構22Rと、左眼用駆動機構22Lに支持された左眼測定ヘッド23Lと、右眼用駆動機構22Rに支持された右眼測定ヘッド23Rと、を備えている。
左眼測定ヘッド23Lと右眼測定ヘッド23Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。また、左眼測定ヘッド23Lに対応する左眼用駆動機構22Lの各駆動部の構成と、右眼測定ヘッド23Rに対応する右眼用駆動機構22Rの各駆動部の構成とは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。以下、個別に述べる時を除くと、単に測定ヘッド23、駆動機構22ということがある。左右に対称に設けられる他の構成部品についても同様である。
取付ベース部21は、アーム14の先端に固定され、X方向に延在されると共に、一方の端部に左眼用駆動機構22Lが吊り下げられ、他方の端部に右眼用駆動機構22Rが吊り下げられている。また、この取付ベース部21の中央部には、額当部15が吊り下げられている。
左眼用駆動機構22Lは、制御部26からの制御指令に基づいて、左眼測定ヘッド23LのX方向、Y方向、Z方向の位置、及び左眼ELの眼球回旋軸OL(図3参照)を中心にした向きを変更する。この左眼用駆動機構22Lは、図2に示すように、左鉛直駆動部22aと、左水平駆動部22bと、左回旋駆動部22cと、を有している。これらの各駆動部22a〜22cは、取付ベース部21と左眼測定ヘッド23Lとの間に、上方側から左鉛直駆動部22a、左水平駆動部22b、左回旋駆動部22cの順に配置されている。
左鉛直駆動部22aは、取付ベース部21に対して左水平駆動部22bをY方向に移動させる。左水平駆動部22bは、左鉛直駆動部22aに対して左回旋駆動部22cをX方向及びZ方向に移動させる。左回旋駆動部22cは、左水平駆動部22bに対して左眼測定ヘッド23Lを左眼ELの眼球回旋軸OLを中心に回転させる。
右眼用駆動機構22Rは、制御部26からの制御指令に基づいて、右眼測定ヘッド23RのX方向、Y方向、Z方向の位置、及び右眼ERの眼球回旋軸OR(図3参照)を中心にした向きを変更する。この右眼用駆動機構22Rは、図2に示すように、右鉛直駆動部22dと、右水平駆動部22eと、右回旋駆動部22fと、を有している。これらの各駆動部22d〜22fは、取付ベース部21と右眼測定ヘッド23Rとの間に、上方側から右鉛直駆動部22d、右水平駆動部22e、右回旋駆動部22fの順に配置されている。
右鉛直駆動部22dは、取付ベース部21に対して右水平駆動部22eをY方向に移動させる。右水平駆動部22eは、右鉛直駆動部22dに対して右回旋駆動部22fをX方向及びZ方向に移動させる。右回旋駆動部22fは、右水平駆動部22eに対して右眼測定ヘッド23Rを右眼ERの眼球回旋軸ORを中心に回転させる。
ここで、左鉛直駆動部22a、左水平駆動部22b、右鉛直駆動部22d、右水平駆動部22eは、いずれもパルスモータ等の駆動力を発生するアクチュエータと、複数の歯車組やラック・アンド・ピニオン等の駆動力を伝達する伝達機構と、を有している。なお、左水平駆動部22b及び右水平駆動部22eは、X方向とZ方向とで個別にアクチュエータ及び伝達機構の組み合わせを設けてもよく、構成を簡易にできるとともに水平方向の移動の制御を容易なものとすることができる。
また、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fも、パルスモータ等の駆動力を発生するアクチュエータと、複数の歯車組やラック・アンド・ピニオン等の駆動力を伝達する伝達機構と、を有している。ここで、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fは、アクチュエータからの駆動力を受けた伝達機構を、眼球回旋軸OL,ORを中心位置とする円弧状の案内溝に沿って移動させることで、左眼ELの眼球回旋軸OL,右眼ERの眼球回旋軸ORを中心にそれぞれ左眼測定ヘッド23L、右眼測定ヘッド23Rを回転させることができる。
なお、左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fは、自らが有する回転軸線回りに左眼測定ヘッド23L、右眼測定ヘッド23Rを回転可能に取り付けるものでもよい。
左回旋駆動部22c及び右回旋駆動部22fによって、左眼用測定ヘッド23Lと右眼用測定ヘッド23Rとを所望の方向に回旋させることで、被検眼を開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。これにより、眼科装置10では、開散運動及び輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠用検査や近用検査を行って両被検眼の各種特性を測定することができる。
左眼測定ヘッド23Lは、図2に示すように、左回旋駆動部22cに固定された左ハウジング23aに内蔵された左眼用測定光学系24Lと、左ハウジング23aの外側面に設けられた左眼用偏向部材25Lと、を有している。この左眼測定ヘッド23Lでは、左眼用測定光学系24Lからの出射光を、左眼用偏向部材25Lを介して屈曲して被検者の左眼ELに照射し、左眼特性を測定する(図3参照)。
また、右眼測定ヘッド23Rは、図2に示すように、右回旋駆動部22fに固定された右ハウジング23bに内蔵された右眼用測定光学系24Rと、右ハウジング23bの外側面に設けられた右眼用偏向部材25Rと、を有している。この右眼測定ヘッド23Rでは、右眼用測定光学系24Rからの出射光を、右眼用偏向部材25Rを介して屈曲して被検者の右眼ERに照射し、右眼特性を測定する(図3参照)。
左眼用測定光学系24L及び右眼用測定光学系24Rは、それぞれ提示する視標を切り替えながら視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切換え配置しつつ被検眼の適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定するレフラクトメータや波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が、単独又は複数組み合わされて構成されている。
[測定光学系]
左眼用測定光学系24L及び右眼用測定光学系24Rの構成の一例を、図3、図4を参照して説明する。図3は実施例1の眼科装置10の左眼用測定光学系24L及び右眼用測定光学系24Rの概略構成を示す図であり、図4は右眼用測定光学系24Rの詳細構成を示す図である。なお、左眼用測定光学系24Lの構成は右眼用測定光学系24Rと同一であるので、その説明は省略することとし、以下では右眼用測定光学系24Rについてのみ説明する。
右眼用測定光学系24Rは、図4に示すように、観察系31と視標投影系32と眼屈折力測定系33と自覚式検査系34とアライメント光学系35とアライメント光学系36とケラト系37とを有する。観察系31は、被検眼Eの前眼部を観察し、視標投影系32は、被検眼Eに視標を呈示し、眼屈折力測定系33は、眼屈折力の測定を行い、自覚式検査系34は、自覚検査を行う。
眼屈折力測定系33は、実施例1では、被検眼Eの眼底Efに所定の測定パターンを投影する機能と、眼底Efに投影した測定パターンの像を検出する機能と、を有する。このため、眼屈折力測定系33は、被検眼Eの眼底Efに光束を投光しかつその眼底Efからの反射光を受光する第1測定系として機能する。
自覚式検査系34は、実施例1では、被検眼Eに視標を呈示する機能を有し、光学系を構成する光学素子を視標投影系32と共用する。アライメント光学系35及びアライメント光学系36は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行うためのものである。制御部26は、アライメント光学系35によって観察系31の光軸に沿う前後方向(Z方向)のアライメント情報を取得し、アライメント光学系36によって当該光軸に直交する上下左右方向(Y方向、X方向)のアライメント情報を取得する。
観察系31は、対物レンズ31aとダイクロイックフィルタ31bとハーフミラー31cとリレーレンズ31dとダイクロイックフィルタ31eと結像レンズ31fと撮像素子(CCD)31gとを有する。観察系31では、被検眼E(前眼部)で反射された光束を、対物レンズ31aを経て結像レンズ31fにより撮像素子31g上に結像する。このため、撮像素子31g上には、後述するケラトリング光束やアライメント光源35aの光束やアライメント光源36aの光束(輝点像Br)が投光(投影)された前眼部像E′が形成される。制御部26は、撮像素子31gから出力される画像信号に基づく前眼部像E′等を表示部30の表示画面30aに表示させる。この対物レンズ31aの前方に、ケラト系37を設ける。
ケラト系37は、ケラト板37aとケラトリング光源37bとを有する。ケラト板37aは、観察系31の光軸に関して同心状のスリットが設けられた板状を呈し、対物レンズ31aの近傍に設けられる。ケラトリング光源37bは、ケラト板37aのスリットに合わせて設けられる。このケラト系37では、点灯したケラトリング光源37bからの光束がケラト板37aのスリットを経ることで、被検眼E(角膜Ec)に角膜形状の測定のためのケラトリング光束(角膜曲率測定用リング状視標)を投光(投影)する。このケラトリング光束は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、観察系31により撮像素子31g上に結像される。これにより、撮像素子31gがリング状のケラトリング光束の像(画像)を検出(受像)し、制御部26が、その測定パターンの像を表示画面30aに表示させ、かつ当該画像(撮像素子31g)からの画像信号)に基づき角膜形状(曲率半径)を周知の手法により測定する。このため、ケラト系37は、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)に光束を投光しかつその前眼部(角膜Ec)からの反射光から当該前眼部(角膜Ec)の特性を測定する第2測定系であって被検眼Eの角膜形状を測定する角膜形状測定系として機能する。なお、実施例1では、角膜形状測定系として、リングスリットが1重から3重程度で角膜の中心付近の曲率測定を行うケラト板37aを用いる例(ケラト系37)を示しているが、角膜形状を測定するものであれば、多重のリングを有し角膜全面の形状を測定可能なプラチド板を用いるものでもよく、他の構成でもよく、本実施例の構成に限定されない。このケラト系37(ケラト板37a)の後方に、アライメント光学系35を設ける。
アライメント光学系35は、一対のアライメント光源35aと投影レンズ35bとを有し、各アライメント光源35aからの光束を各投影レンズ35bで平行光束とし、ケラト板37aに設けたアライメント用孔を通して被検眼Eの角膜Ecに当該平行光束を投光(投影)する。制御部26は、前眼部像E′上の角膜Ecに投光(投影)された輝点(輝点像)に基づき、アライメント情報(例えば、前後方向の移動量)を取得する。制御部26は、このアライメント情報に基づいて右水平駆動部22eを駆動して右眼測定ヘッド23Rを前後方向(Z方向)に移動させることで、観察系31の光軸に沿う前後方向(Z方向)のアライメントを行う。この前後方向のアライメントは、撮像素子31g上のアライメント光源35aによる2個の点像の間隔とケラトリング像の直径の比を所定範囲内とするよう右眼測定ヘッド23Rの位置を調整して行う。ここで、制御部26は、当該比率からアライメントのずれ量を求めて、このアライメントのずれ量を表示画面30aに表示させてもよい。なお、前後方向のアライメントは、後述するアライメント光源36aによる輝点像Brのピントが合うように右眼測定ヘッド23Rの位置を調整することで行ってもよい。
また、観察系31にアライメント光学系36を設けている。このアライメント光学系36は、アライメント光源36aと投影レンズ36bとを有し、ハーフミラー31c、ダイクロイックフィルタ31b及び対物レンズ31aを観察系31と共用する。アライメント光学系36は、アライメント光源36aからの光束を、対物レンズ31aを経て平行光束として角膜Ecに投光(投影)する。制御部26は、前眼部像E′上の角膜Ecに投光(投影)された輝点(輝点像)に基づき、アライメント情報(例えば、Y方向及びX方向の移動量)を取得する。制御部26は、このアライメント情報に基づいて右水平駆動部22e及び右鉛直駆動部22dを駆動して、右眼測定ヘッド23Rを左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)に移動させることで、左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)のアライメントを行う。このとき、制御部26は、輝点像Brが形成された前眼部像E′に加えて、アライメントマークの目安となるアライメントマークALを表示画面30aに表示させる。また、制御部26は、アライメントが完了すると測定を開始するように制御する構成としてもよい。
視標投影系32(自覚式検査系34)は、ディスプレイ32aとハーフミラー32bとリレーレンズ32cと反射ミラー32dと合焦レンズ32eとリレーレンズ32fとフィールドレンズ32gとバリアブルクロスシリンダレンズ(VCC)32hと反射ミラー32iとダイクロイックフィルタ32jとを有し、ダイクロイックフィルタ31b及び対物レンズ31aを観察系31と共用する。
また、自覚式検査系34は、ディスプレイ32a等に至る光路とは別の光路で光軸を取り巻く位置に、被検眼Eにグレア光を照射する少なくとも2つのグレア光源32kを有する。ディスプレイ32aは、被検眼Eの視線を固定すべく視標としての固視標や点状視標を呈示したり、被検眼Eの特性(視力値や矯正度数(遠用度数、近用度数)等)を自覚的に検査するための自覚検査視標を呈示したりする。ディスプレイ32aは、EL(エレクトロルミネッセンス)や液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))を用いることができ、制御部26の制御下で任意の画像を表示する。ディスプレイ32aは、視標投影系32(自覚式検査系34)の光路上において被検眼Eの眼底Efと共役となる位置に光軸に沿って移動可能に設けられる。
また、視標投影系32(自覚式検査系34)では、光路上において被検眼Eの瞳孔と略共役となる位置にピンホール板32pを設ける。このピンホール板32pは、板部材に貫通孔を設けて形成し、視標投影系32(自覚式検査系34)の光路への挿入と当該光路からの離脱とを可能とし、光路に挿入されると貫通孔を光軸上に位置させる。ピンホール板32pは、自覚検査モードにおいて光路に挿入されることで、被検眼Eの眼鏡による矯正が可能であるか否かを判別するピンホールテストを行うことを可能とする。このピンホール板32pは、実施例1では、フィールドレンズ32gとVCC32hとの間に設け、制御部26の制御下で挿入及び離脱される。なお、ピンホール板32pを設ける位置は、光路上において被検眼Eの瞳孔と略共役となる位置に設ければよく、実施例1に限定されない。
眼屈折力測定系33は、被検眼Eの眼底Efにリング状の測定パターンを投影するリング状光束投影系33Aと、眼底Efからのリング状の測定パターンの反射光を検出(受像)するリング状光束受光系33Bと、を有する。リング状光束投影系33Aは、レフ光源ユニット部33aとリレーレンズ33bと瞳リング絞り33cとフィールドレンズ33dと穴開きプリズム33eとロータリープリズム33fとを有し、ダイクロイックフィルタ32jを視標投影系32(自覚式検査系34)と共用し、ダイクロイックフィルタ31b及び対物レンズ31aを観察系31と共用する。レフ光源ユニット部33aは、例えばLEDを用いたレフ測定用のレフ測定光源33gとコリメータレンズ33hと円錐プリズム33iとリングパターン形成板33jとを有し、それらが制御部26の制御下で眼屈折力測定系33の光軸上を一体的に移動可能となっている。
リング状光束受光系33Bは、穴開きプリズム33eの穴部33pとフィールドレンズ33qと反射ミラー33rとリレーレンズ33sと合焦レンズ33tと反射ミラー33uとを有し、対物レンズ31a、ダイクロイックフィルタ31b、ダイクロイックフィルタ31e、結像レンズ31f及び撮像素子31gを観察系31と共用し、ダイクロイックフィルタ32jを視標投影系32(自覚式検査系34)と共用し、ロータリープリズム33f及び穴開きプリズム33eをリング状光束投影系33Aと共用する。
上記のような右眼用測定光学系24R及び左眼用測定光学系24Lを用いた眼屈折力の測定や自覚検査については、例えば、特開2017−63978号公報などに記載されている動作と同様の動作で行うことができる。
[制御部]
制御部26は、眼科装置10の各部を統括的に制御する。制御部26には、図6に示すように、上記した左眼用測定光学系24Lと、右眼用測定光学系24Rと、左眼用駆動機構22Lの左鉛直駆動部22a、左水平駆動部22b及び左回旋駆動部22cと、右眼用駆動機構22Rの右鉛直駆動部22d、右水平駆動部22e及び右回旋駆動部22fと、アーム駆動機構16と、に加えて、検者用コントローラ(第一の入力部)27と被検者用コントローラ(第二の入力部)28と記憶部29と表示部30とが接続されている。
検者用コントローラ27は、検者が眼科装置10を操作するために用いられる。検者用コントローラ27には、被検眼の特性を測定するための各種操作ボタンの他に、アーム14を上下動する上下動ボタンなどが設けられている。被検者用コントローラ28は、被検眼の各種の眼情報の取得の際に、被検者が応答するために用いられる。検者用コントローラ27及び被検者用コントローラ28は、いずれも、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック等の入力装置を備えている。また、検者用コントローラ27については、表示部30がタッチパネル式であれば、このタッチパネルも含まれうる。制御部26は、検者用コントローラ27や被検者用コントローラ28と、それぞれ有線又は無線の通信路を介して接続されている。
制御部26は、接続された記憶部29又は内蔵する内部メモリ26aに記憶したプログラムを例えばRAM上に展開することにより、適宜検者用コントローラ27や被検者用コントローラ28に対する操作に応じて、眼科装置10の動作を統括的に制御する。本実施の形態では、内部メモリ26aはRAM等で構成され、記憶部29は、ROMやEEPROM等で構成される。
表示部30の表示画面30a(図4参照)には、観察系31に設けられた撮像素子(CCD)31gから出力される画像信号に基づく前眼部像E′等が表示される。
上述のような構成の実施例1の眼科装置10を用いて、測定ヘッド23のXYZ方向のアライメントと上下方向(Y方向)の位置の調整(以下、「高さ調整」という。)を行って、被検眼の特性を測定するとき動作の一例を、図7のフローチャートに基づいて説明する。
実施例1の眼科装置10は、制御部26の制御下で、アライメント光学系35,36及び駆動機構22により測定ヘッド23のアライメントを自動で行っているが、この他にも手動又自動でアーム14を上下動することで、測定ヘッド23の高さ調整を行えるようになっている。これにより、実施例1の眼科装置10では、駆動機構22による通常のアライメントでは測定ヘッド23の上下方向の位置合わせができない場合であっても、アーム14を上下動することで測定ヘッド23の高さ調整を行うことを可能とし、被検眼Eの特性の測定を迅速かつ高精度に行うことを可能としたものである。
被検眼Eの特性を測定するに際して、まず、被検者を椅子等に座らせて、眼科装置10と対峙させる。次いで、検者は検者用コントローラ27の上下動ボタンを操作して、被検者の眼の高さに測定ヘッド23が位置するように、測定ヘッド23の高さを手動で調整する。つまり、検者による上下動ボタンの操作に応じて、制御部26がアーム駆動機構16を駆動制御して、支柱13に対してアーム14を上下動することで、測定ヘッド23の高さを概略に調整する(ステップS1)。概略に調整とは、厳密ではなく大まかに調整することをいう。
次に、被検者が測定ユニット20の額当部15に額を当てた状態で、検者が検者用コントローラ27の操作ボタン等を操作して、測定の指示を行う。この指示に応じて、眼科装置10では、上記したように、制御部26は、アライメント光学系35、アライメント光学系36及び駆動機構22を制御して、被検眼Eに対する測定ヘッド23(測定光学系24)のXYZ方向のアライメントを行う(ステップS2)。
このアライメントは、例えば、前述したように、アライメント光学系35やアライメント光学系36によって、前眼部像E′上に形成された輝点像に基づいて、アライメント情報(XYZ方向への各移動量)を取得する。このアライメント情報に基づいて、制御部26が駆動機構22を駆動して、測定ヘッド23をXYZ方向に移動して、アライメントを行う。このアライメントは、左眼測定ヘッド23L及び右側測定ヘッド23Rの双方でそれぞれ行われるため、左眼と右眼との位置に、XYZ方向で多少のずれがあった場合でも、左眼と右眼の位置に応じて、適切にアライメントを行うことができる。
アライメントを実行したら、ステップS3に進み、アライメントが成功したか否か判定する。アライメント成功(YES)と判定された場合は、ステップS4に進んで、制御部26の制御の下、測定光学系24によって被検眼Eの特性を測定する。
一方、アライメント失敗(NO)と判定された場合であって、その原因がY方向の移動量が閾値(駆動機構22で移動できる距離)を超えたためにY方向のアライメントエラーとなった場合、測定ヘッド23の高さ調整を行うべく、ステップS5に進む。このステップS5では、制御部26が、アライメント情報に基づいてY方向への移動量(以下、「高さ調整量」という。)を算出する。このとき、左側測定ヘッド23Lと右側測定ヘッド23Rのいずれか一方のY方向の移動量を、高さ調整量としてもよいし、双方の移動量に基づいて算出した値(例えば、平均値)を、高さ調整量としてもよい。また、算出された高さ調整量を、適宜補正してもよい。
次いで、制御部26は、算出した高さ調整量に応じて、アーム駆動機構16を駆動してアーム14を上下動し、測定ヘッド23の高さ調整を行う。高さ調整が終了したら、ステップS4に進み、被検眼Eの特性を測定する。なお、ステップS2に戻って、再度アライメントを実行してからステップS4に進んでもよく、より高精度にアライメントを行った上での測定が可能となる。
ここで、Y方向のアライメントエラー以外の原因によってエラーとなった場合は、処理を終了してもよいし、ステップS1に戻って処理をやり直してもよい。
次に、実施例1の眼科装置10の作用効果を説明する。実施例1の眼科装置10は、上述したように、測定光学系24と、アライメント光学系35,36と、撮像素子31gと、駆動機構22と、アーム14と、アーム駆動機構16と、制御部26とを備えている。制御部26は、撮像素子31gから出力される画像信号に基づく前眼部像E′に基づいて、測定光学系24の鉛直方向への移動量及び水平方向への移動量を算出し、各移動量に基づいて駆動機構22を駆動し、被検眼Eに対する測定光学系24のアライメントを行うとともに、鉛直方向への移動量が、閾値を超えたときに、鉛直方向への移動量に基づいて、アーム駆動機構16を駆動し、アーム14を鉛直方向に移動させて、測定光学系24の鉛直方向の位置を調整する。
したがって、被検者が標準より座高が高い者であったり、被検者が座高の低い子供などであったり、被検者の額と眼の位置が標準より離れていたり、額当部15への額の当接位置が誤っていたりしても、眼の位置に応じて適切に測定光学系24を配置することができる。よって、被検者が無理な態勢で測定する必要がない。その結果、被検眼に対する測定光学系の位置合わせを、迅速かつ高精度に行うことができ、被検眼の特性を適切に測定することができる。
また、実施例1では、駆動機構22は、アーム14に吊り下げられ、測定光学系24は、駆動機構22に吊り下げられている。この構成により、被検者の前方に駆動機構22を位置させる必要がなく、XYZ方向での駆動機構22による測定光学系24のアライメントを可能としつつ、被検者の前方に空間を設けることができ、被検者に圧迫感を与えることのない眼科装置10を提供することができる。また、アーム14を鉛直方向に移動することで、駆動機構22とともに測定光学系24を鉛直方向に移動させることができ、駆動機構22での測定光学系24の移動と、アーム14による測定光学系24の移動を連動させることができる。
なお、実施例1では、アライメント光学系35,36を用いて、前眼部像E′上の角膜Ecに投光された輝点に基づいて、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行っている。しかし、アライメントの手法がこれに限定されるものではなく、角膜に視標を投影し、その視標像(例えば、プルキンエ像など)に基づいて測定光学系24のアライメントを行ってもよいし、前眼部像E′の瞳孔に基づいてアライメントを行うものであってもよいし、その他公知のいずれの手法を用いてアライメントを行うものであってもよい。
視標によってアライメントを行う場合、眼科装置は、例えば、被検眼Eに対する測定光学系24のアライメントを行うための視標を被検眼Eの前眼部に投影するアライメント光学系を備え、撮像素子31gは、視標が投影された被検眼Eの前眼部像E′を取得し、制御部26は、前眼部像E′中の視標像に基づいて、測定光学系24の鉛直方向への移動量及び水平方向への移動量を算出する構成とすることができる。このようにして算出された各移動量に基づいて、測定光学系24のXYZ方向のアライメントを行い、Y方向の移動量が閾値を超えた場合は、アーム14を上下動して、測定光学系24の高さ調整を行うことで、被検眼Eに対する測定光学系24の位置合わせを、迅速かつ高精度に行うことができ、被検眼Eの特性を適切に測定することができる。
(実施例2)
次に、実施例2に係る眼科装置10について、図8を参照しながら説明する。実施例2に係る眼科装置10は、測定ヘッド23の測定光学系24に、複数のカメラ(いわゆるステレオカメラ)を設けたこと以外は、実施例1に係る眼科装置10と同様の基本構成を有している。そのため、以下では実施例1とは異なる測定光学系24について説明し、同様の構成については説明を省略する。
図7に示すように、実施例2の左側測定ヘッド23Lは、左眼用測定光学系24Lと、左眼用偏向部材25Lとを有し、さらに、この左眼用偏向部材25Lに近接して、左眼用測定光学系24Lの光軸を挟んで前後に、2台のカメラ(撮像装置)40L,41Lを設けている。
また、実施例2の右側測定ヘッド23Rは、右眼用測定光学系24Rと、右眼用偏向部材25Rとを有し、さらに、この右眼用偏向部材25Rに近接して、右眼用測定光学系24Rの光軸を挟んで前後に、2台のカメラ40R,41Rを設けている。
実施例2では、それぞれのカメラ40,41によって異なる方向から、被検眼Eを撮影することで、2つの異なる前眼部像E′を取得することができる。なお、左右それぞれに設けるカメラの位置が、前後に限定されるものではなく、光軸を挟んで上下に配置してもよい。また、カメラの台数が2台に限定されるものではなく、例えば、前後及び上下に4台設けるなど、カメラを3台以上設けてもよく、より多くの前眼部像E′を取得することができる。
実施例2では、取得された2つの前眼部像E′を解析して、アライメント情報を取得し、XYZのアライメント及び高さ調整を行う。アライメント情報の取得手順の一例を以下に説明する。
まず、制御部26の制御の下、2台のカメラ40,41で、被検眼Eの前眼部像E′を撮影する。この撮影は、被検眼Eの前眼部を撮影対象とする動画撮影である。各カメラ40,41は、所定のフレームレートで動画撮影を行う。各カメラ40,41は、取得されたフレームをリアルタイムで順次に制御部26に送る。制御部26は、各カメラ40,41により得られたフレームを、撮影タイミングに応じて対応付ける。
制御部26は、各フレームの歪みを、記憶部29に記憶されている収差情報に基づいて補正する。この補正処理は、例えば歪曲収差を補正するための補正係数に基づく公知の画像処理技術を用いて行われる。
制御部26は、歪みが補正された各フレームを解析することで、特徴位置、例えば前眼部の瞳孔中心に相当する位置を特定する。制御部26は、撮影画像(前眼部像E′)の画素値(輝度値など)の分布に基づいて、被検眼Eの瞳孔に相当する画像領域(瞳孔領域)を特定する。一般に瞳孔は他の部位よりも低い輝度で描画されるので、低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定することができる。このとき、瞳孔の形状を考慮して瞳孔領域を特定するようにしてもよい。つまり、略円形かつ低輝度の画像領域を探索することによって瞳孔領域を特定するように構成することができる。
次に、制御部26は、特定された瞳孔領域の中心位置を特定する。上記のように瞳孔は略円形であるので、瞳孔領域の輪郭を特定し、この輪郭(輪郭の近似円又は近似楕円)の中心位置を特定し、これを瞳孔中心とすることができる。また、瞳孔領域の重心を求め、この重心位置を瞳孔中心としてもよい。
なお、他の特徴部位に対応する特徴位置を特定する場合であっても、上記と同様に撮影画像の画素値の分布に基づいて当該特徴位置を特定することが可能である。
次に、取得した特徴位置(瞳孔中心)に基づいて、被検眼Eの位置情報を取得する手順を、図9を参照して説明する。図9は、2台のカメラ40,41と被検眼Eとの間の位置関係を模式的に表した図である。
図9に、2台のカメラ40,41間の距離(基線長)を「B」で表す。2台のカメラ40,41の基線と、被検眼Eの特徴部位Pとの間の距離(撮影距離)を「H」で表す。各カメラ40,41と、その画面平面との間の距離(画面距離)を「f」で表す。
このような配置状態において、2台のカメラ40,41による撮影画像の分解能は次式で表される。ここで、Δpは画素分解能を表す。
xy方向の分解能(平面分解能):Δxy=H×Δp/f
z方向の分解能(奥行き分解能):Δz=H×H×Δp/(B×f)
制御部26は、2台のカメラ40,41の位置(既知である)と、2つの撮影画像において特徴部位Pに相当する特徴位置とに対して、図9に示す配置関係を考慮した公知の三角法を適用することにより、特徴部位Pの3次元位置、つまり被検眼Eの3次元位置を算出する。
制御部26は、算出した被検眼Eの3次元位置に基づいて、測定光学系24の光軸を被検眼Eの軸Oに合わせるように、かつ、被検眼Eに対する測定光学系24の距離が所定の作動距離になるように駆動部22を制御するためのアライメント情報を算出する。ここで、作動距離とは、ワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、測定光学系24を用いた特性の測定時における被検眼Eと測定光学系24との間の距離を意味する。
以上のようにして取得したアライメント情報に基づいて、駆動機構22を駆動して、測定ヘッド23のXYZ方向のアライメントを行う。また、駆動機構22によるアライメントではY方向のアライメントができない場合は、アーム駆動機構16を駆動して、アーム14を上下動し、測定ヘッド23の高さ調整を行う。
以上説明したように、実施例2の眼科装置10では、実施例1と同様の作用効果が得られる。更に、実施例2の眼科装置10では、画像取得部として、被検眼Eの前眼部像E′を、異なる方向から撮影する複数のカメラ40,41を備えている。そして、複数のカメラ40,41で撮影した複数の前眼部像E′に基づいて、被検眼Eの位置情報を取得している。すなわち、複数の前眼部像E′から得られる視差情報に基づいて、被検眼Eの位置情報をより精度よく取得することができる。このような位置情報に基づいて取得したアライメント情報を用いることで、駆動機構22による測定ヘッド23のXYZ方向のアライメントと、アーム駆動機構16による測定ヘッド23の高さ調整を、より精度よく行うことができる。
また、このように2台以上のカメラ40,41を用いた測定光学系24のアライメント及び高さ調整は、視力検査装置、オートレフラクトメータ、オートケラトメータ、眼圧計、視野計など、被検眼Eの検査を行う眼科装置だけでなく、OCTや眼底カメラなど、被検眼Eの診断を行う眼科装置にも適用することができる。
以上、本発明の眼科装置を各実施例に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
上記各実施例では、前眼部像E′に基づいて取得されたアライメント情報に基づいて、測定ヘッド23の高さ調整を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、位置検出手段によって被検眼Eの高さ情報を取得し、この高さ情報に基づいて取得したアライメント情報を用いて、測定ヘッド23のY方向のアライメントや高さ調整を行ってもよい。
この位置検出手段として、例えば、測定ヘッド23に、集光レンズや位置検出素子を有する検出光学系を設ける。そして、赤外線等を発する光源を、被検眼Eの高さに合わせて配置し、光源から測定ヘッド23に向けて光を出射する。この光が集光レンズによって集光されて位置検出素子に受光される。位置検出素子で検出した出力信号に基づいて、制御部26が被検眼Eの位置情報を取得する。そして、この位置情報から被検眼EのY方向の位置情報(高さ情報)を取得し、この高さ情報に基づいて高さの調整量を算出し、アーム駆動機構16を駆動してアーム14を上下動することで、測定ヘッド23の高さ調整を行う。
また、Y方向のアライメント情報算出の他の異なる実施例として、例えば、表示画面30a上の前眼部像E′の所定の位置(例えば、瞳の位置とする)の基準位置を予め設定しておく。実際の前眼部像E′の瞳の位置と基準位置との距離を輝度値の分布やこれから取得される画素数等から取得し、この距離に基づいて、Y方向のアライメント情報を算出してもよい。このアライメント情報に基づいて、駆動機構22により測定ヘッド23のY方向のアライメントを行うとともに、アライメント情報に基づく移動量が閾値を超えた場合は、アーム駆動機構16によりアーム14を上下動させ、測定ヘッド23の高さ調整を行うことができる。この場合も、左側測定ヘッド23Lと右側測定ヘッド23Rのそれぞれのアライメント情報に基づいて、高さの調整量を算出することができる。