JP2019056379A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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将樹 上野
範孝 木村
Noritaka Kimura
範孝 木村
光祐 伊原
Kosuke Ihara
光祐 伊原
裕人 香取
Yuto Katori
裕人 香取
洋右 山田
Hirou Yamada
洋右 山田
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Hajime Udo
肇 宇土
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Abstract

【課題】多湿の環境条件下でも、内燃機関の安定した燃焼状態を確保することができ、商品性を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】内燃機関3の制御装置1は、ECU2を備える。ECU2は、内燃機関3の運転状態に応じて、基本目標EGR量Gegr_bsを算出し(ステップ12)、内燃機関3の吸気通路6内に吸入される空気中の水蒸気量Gwtrを取得し(ステップ10)、水蒸気量Gwtrに値1より大きいEGR換算係数Rwtr2egrを乗算することにより、水蒸気量をEGR量に換算したEGR換算量Gegr_wtrを算出し(ステップ11)、EGR換算量Gegr_wtrで基本目標EGR量Gegr_bsを補正することにより、目標EGR量Gegr_cmdを算出し(ステップ13,15)、目標EGR量Gegr_cmdを用いて、内燃機関3の運転を制御する(ステップ18〜21)。【選択図】図5

Description

本発明は、吸気通路内に吸入される空気中の水蒸気の割合及び量の一方を表す水蒸気パラメータを用いて、内燃機関の運転を制御する内燃機関の制御装置に関する。
従来、内燃機関の制御装置として、特許文献1に記載されたものを本出願人は既に提案しており、この制御装置では、同文献の図4に示す算出処理によって、EGR率REGRTが算出される。この算出処理の場合、まず、同文献の図5に示す算出処理により、理想筒内ガス量Gthを算出し、エンジン回転数NEなどに応じたマップ検索により、基準筒内ガス温度Tcylstdを算出した後、同文献の図6に示す算出処理により、筒内ガス温度Tcylを算出する(ステップ1〜3)。次いで、式(9)により、筒内ガス量Gactを算出し、式(12)により、EGR率REGRTが最終的に算出される(ステップ4〜5)。
また、同文献の図7に示す点火時期制御処理では、エンジン回転数NE及びEGR率REGRTに応じて、最適点火時期IGMBTを算出し、これを用いて、最終的な点火時期IGLOGが算出される(ステップ31〜36)。そして、この点火時期IGLOGに対応するタイミングで、点火プラグによる混合気の点火が実施される。
国際公開第2016/017214号公報
一般に、内燃機関の場合、大気中から吸入された空気(以下「吸入空気」という)を用いて混合気を生成している関係上、雨天時などには、吸入空気が多湿状態になることがある。その場合、吸入空気中の水蒸気は、後述するように、還流ガスと同様に、混合気の燃焼温度を低下させることになるとともに、燃焼温度を低下させる能力が還流ガスよりも高いという特性を有している。
これに対して、上記特許文献1の制御装置によれば、EGR率を算出する場合において、吸入空気の湿度状態を考慮していないので、例えば、多湿の環境条件下にある場合には、吸入空気が多湿状態になるのに起因して、燃焼温度が過度に低下し、燃焼状態が不安定になってしまうことで、サージや失火が発生するおそれがある。また、同じ理由により、点火時期が過度に遅角側に制御されてしまうおそれがあり、その場合には、燃費性能が悪化してしまうことになる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、多湿の環境条件下でも、内燃機関の安定した燃焼状態を確保することができ、商品性を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る内燃機関3の制御装置1は、内燃機関3の運転状態に応じて、内燃機関3の排気通路7内の排ガスを内燃機関3の吸気側に還流させる量であるEGR量の目標値の基本となる基本目標EGR量Gegr_bsを算出する基本目標EGR量算出手段(ECU2、ステップ12)と、内燃機関3の吸気通路6内に吸入される空気である吸入空気中の水蒸気の割合及び量の一方を表す水蒸気パラメータ(水蒸気量Gwtr)を取得する水蒸気パラメータ取得手段(ECU2、ステップ10)と、水蒸気パラメータ(水蒸気量Gwtr)を用いて、水蒸気の量である水蒸気量Gwtrを算出する水蒸気量算出手段(ECU2、ステップ10)と、水蒸気量Gwtrに値1より大きい換算係数(EGR換算係数Rwtr2egr)を乗算することにより、水蒸気量をEGR量に換算したEGR換算量Gegr_wtrを算出するEGR換算量算出手段(ECU2、ステップ11)と、EGR換算量Gegr_wtrで基本目標EGR量Gegr_bsを補正することにより、目標EGR量Gegr_cmdを算出する目標EGR量算出手段(ECU2、ステップ13,15)と、目標EGR量Gegr_cmdを用いて、内燃機関3の運転を制御する制御手段(ECU2、ステップ18〜21)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、内燃機関の運転状態に応じて、基本目標EGR量が算出され、補正値で基本目標EGR量を補正することにより、目標EGR量が算出される。この補正値は、内燃機関の吸気通路内に吸入される空気である吸入空気中の水蒸気の割合及び量の一方を表す水蒸気パラメータを用いて、水蒸気量を算出し、この水蒸気量に値1より大きい換算係数を乗算することにより、水蒸気量をEGR量に換算した値として算出されるので、吸入空気中の水蒸気量を反映した値として算出されることになる。そして、目標EGR量は、そのような補正値で基本目標EGR量を補正することにより算出されるので、吸入空気中の水蒸気による還流ガスと同じ機能、すなわち燃焼温度を低下させる機能を考慮した値として算出されることになる。したがって、そのような目標EGR量を用いて、内燃機関の運転を制御することによって、多湿の環境条件下でも、内燃機関の安定した燃焼状態を確保することができ、商品性を向上させることができる(なお、本明細書における「水蒸気パラメータを取得」の「取得」は、センサなどによりこれを直接検出することに限らず、この値を他のパラメータを用いて算出することを含む)。
また、特許文献1のように、水蒸気による燃焼温度を低下させる機能を考慮していない目標EGR量を用いて各種制御処理を実行した場合、各種制御処理における制御精度を向上させるには、水蒸気に応じた補正処理やマップ検索手法によって各種の制御処理を実行する必要があり、その結果、演算負荷や制御工程数の増大を招いてしまうことになる。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、目標EGR量を、吸入空気中の水蒸気による燃焼温度を低下させる機能を反映させた値として算出できることで、上記のような、演算負荷や制御工程数の増大を回避することができ、商品性をさらに向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1において、換算係数は、値1.3を含む当該値1.3近傍の値に設定されていることを特徴とする。
後述するように、本出願人の実験により、水蒸気の場合、混合気の燃焼速度を遅らせる能力が還流ガスと比べて1.3倍ほど大きいことが確認できた。したがって、この内燃機関の制御装置によれば、換算係数は、値1.3を含む値1.3近傍の値に設定されているので、水蒸気における混合気の燃焼速度を遅らせる能力を適切に反映させながら、EGR換算量を算出することができ、その算出精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置及びこれを適用した内燃機関の構成を模式的に示す図である。 制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。 可変吸気カム位相機構により吸気カム位相が最進角値(実線)及び原点値(破線)に設定されているときの吸気弁のバルブリフト曲線と、可変排気カム位相機構により排気カム位相が最遅角値(実線)及び原点値(破線)に設定されているときの排気弁のバルブリフト曲線をそれぞれ示す図である。 水蒸気割合算出処理を示すフローチャートである。 EGR制御処理を示すフローチャートである。 水蒸気及び還流ガスの燃焼感度に及ぼす影響度合いの関係を互いの体積割合で表した図である。 基本目標EGR量の算出に用いるマップの一例を示す図である。 総EGR率算出処理を示すフローチャートである。 総EGR率の算出に用いる各種のパラメータの算出アルゴリズムの導出原理を説明するための図である。 点火時期制御処理を示すフローチャートである。 多湿の環境条件下での点火時期制御を、本発明の制御手法と従来の制御手法で実行したときの制御結果例を示す図である。 多湿の環境条件下での点火時期制御を、本発明の制御手法と従来の制御手法で実行したときの燃焼の不安定度合いを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。図2に示すように、この制御装置1は、ECU2を備えており、このECU2は、後述するように、図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、EGR制御処理などの各種の制御処理を実行する。
エンジン3は、4組の気筒3a及びピストン3b(1組のみ図示)を有する直列4気筒ガソリンエンジンであり、図示しない車両に動力源として搭載されている。また、エンジン3は、気筒3aごとに設けられた吸気弁4(1つのみ図示)と、気筒3aごとに設けられた排気弁5(1つのみ図示)と、吸気弁4を開閉駆動する吸気動弁機構40と、排気弁5を開閉駆動する排気動弁機構50などを備えている。
この吸気動弁機構40は、吸気カム41aによって吸気弁4を駆動する吸気カムシャフト41と、可変吸気カム位相機構42などで構成されている。この可変吸気カム位相機構42は、吸気カム41aすなわち吸気カムシャフト41のクランクシャフト3cに対する相対的な位相(以下「吸気カム位相」という)CAINを無段階に(すなわち連続的に)進角側又は遅角側に変更することで、吸気弁4のバルブタイミングを変更するものであり、吸気カムシャフト41の吸気スプロケット(図示せず)側の端部に設けられている。
可変吸気カム位相機構42は、油圧駆動式のものであり、具体的には、本出願人が特開5007−400522号公報などで提案済みのものと同様に構成されているので、その詳細な説明は省略するが、吸気カム位相制御弁42a(図2参照)及び図示しない油圧回路などを備えている。
この可変吸気カム位相機構42では、吸気カム位相制御弁42aがECU2によって制御されることで、油圧回路から可変吸気カム位相機構42の進角室及び遅角室に供給される油圧が制御される。それにより、吸気カム位相CAINが、所定の原点値CAIN_0と所定の最進角値CAIN_ADVとの間で変更されることによって、吸気弁4のバルブタイミングが、図3に破線で示す原点タイミングと、図3に実線で示す最進角タイミングとの間で無段階に変更される。
この場合、原点値CAIN_0は値0に設定され、最進角値CAIN_ADVは、所定の正値に設定されている。したがって、吸気カム位相CAINが原点値CAIN_0から増大するほど、吸気弁4のバルブタイミングが原点タイミングから進角側に変更され、それにより、吸気弁4と排気弁5のバルブオーバーラップ期間がより長くなる。その結果、内部EGR量が増大側に変更される。
また、排気動弁機構50は、排気カム51aによって排気弁5を駆動する排気カムシャフト51と、可変排気カム位相機構52などで構成されている。この可変排気カム位相機構52は、排気カム51aすなわち排気カムシャフト51のクランクシャフト3cに対する相対的な位相(以下「排気カム位相」という)CAEXを無段階に(すなわち連続的に)進角側又は遅角側に変更することで、排気弁5のバルブタイミングを変更するものであり、排気カムシャフト51の排気スプロケット(図示せず)側の端部に設けられている。
可変排気カム位相機構52は、上述した可変吸気排気カム位相機構42と同様に構成された油圧駆動式のものであり、排気カム位相制御弁52a(図2参照)及び図示しない油圧回路などを備えている。
この可変排気カム位相機構52では、排気カム位相制御弁52aがECU2によって制御されることで、油圧回路から可変排気カム位相機構52の進角室及び遅角室に供給される油圧が制御される。それにより、排気カム位相CAEXが、所定の原点値CAEX_0と所定の最遅角値CAEX_RETとの間で変更されることによって、排気弁5のバルブタイミングが、図3に破線で示す原点タイミングと、図3に実線で示す最遅角タイミングとの間で無段階に変更される。
この場合、原点値CAEX_0は値0に設定され、最遅角値CAEX_RETは、所定の正値に設定されている。したがって、排気カム位相CAEXが原点値CAEX_0から増大するほど、排気弁5のバルブタイミングが原点タイミングから遅角側に変更され、それにより、バルブオーバーラップ期間がより長くなる。その結果、内部EGR量が増大側に変更される。
また、エンジン3には、図2に示す燃料噴射弁8及び点火プラグ9が気筒3aごとに設けられている(いずれも1つのみ図示)。この燃料噴射弁8は、各気筒3a内に燃料を直接噴射するようにシリンダヘッドに取り付けられており、ECU2に電気的に接続されているとともに、ECU2によって、燃料噴射弁8による燃料の噴射量及び噴射時期が制御される。
さらに、点火プラグ9は、エンジン3のシリンダヘッドに取り付けられており、ECU2に電気的に接続されているとともに、ECU2によって、後述するように、点火プラグ9による点火時期が制御される。
一方、吸気通路6には、上流側から順に、エアクリーナ10及びスロットル弁機構11が設けられている。エアクリーナ10は、吸気通路6の空気吸い込み口に設けられており、フィルタ(図示せず)を内蔵している。エンジン3の運転中、吸気通路6内に吸入される空気(以下「吸入空気」という)中のゴミなどがエアクリーナ10のフィルタによって除去される。
また、スロットル弁機構11は、スロットル弁11a及びこれを開閉駆動するTHアクチュエータ11bなどを備えている。スロットル弁11aは、吸気通路6の途中に回動自在に設けられており、当該回動に伴う開度の変化によりスロットル弁11aを通過する空気の流量を変化させる。
THアクチュエータ11bは、ECU2に接続されたモータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2によって制御されることにより、スロットル弁11aの開度を変化させる。
また、エンジン3には、EGR装置12が設けられている。このEGR装置12は、排気通路7の排ガスの一部を吸気通路6に還流させるものであり、EGR通路12a、EGR弁12b及びEGRアクチュエータ12c(図2参照)などで構成されている。このEGR通路12aの一端部は、吸気通路6のスロットル弁11aよりも下流側の所定部位に接続され、他端部は排気通路7の所定部位に接続されている。
一方、EGR弁12bは、バタフライ弁タイプのものであり、EGRアクチュエータ12cに連結されている。このEGRアクチュエータ12cは、DCモータなどで構成されている。このEGR装置12の場合、ECU2からの制御入力信号がEGRアクチュエータ12cに供給されることによって、EGR弁12bの開度が制御され、それにより、排気通路7から吸気通路6に還流される排ガス量、すなわち外部EGR量が制御される。
なお、以下の説明では、内部EGR及び外部EGRを合わせて「EGR」といい、内部EGR量及び外部EGR量の和を「EGR量」という。
また、図2に示すように、ECU2には、クランク角センサ20、水温センサ21、エアフローセンサ22、大気圧センサ23、吸気温センサ24、湿度センサ25、吸気圧センサ26、排気温センサ27、排気圧センサ28、吸気カム角センサ29、排気カム角センサ30及びEGR弁開度センサ31が電気的に接続されている。
クランク角センサ20は、クランクシャフト3cの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角ごとに1パルスが出力される。
また、水温センサ21は、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
さらに、上述した4つのセンサ22〜25はいずれもエアクリーナ10に設けられており、エアフローセンサ22は、エアクリーナ10を介して吸気通路6内に流れ込む空気量を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このエアフローセンサ22の検出信号に基づいて、1燃焼サイクル中に1気筒内に流れ込む空気量である吸入空気量Gaircyl(吸入空気量パラメータ)を算出する。
また、大気圧センサ23は、大気圧PAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力し、吸気温センサ24は、エアクリーナ10を介して吸気通路6内に流れ込む空気の温度である吸気温TAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力し、湿度センサ25は、エアクリーナ10を介して吸気通路6内に流れ込む空気の相対湿度RHを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
さらに、吸気圧センサ26は、吸気通路6のEGR通路12aとの合流部よりも下流側に設けられており、吸気通路6内のガス圧力である吸気圧PBを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、排気温センサ27は、排気通路7内を流れる排ガスの温度である排気温Texを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力し、排気圧センサ28は、排気通路7内のガス圧力である排気圧Pexを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、吸気カム角センサ29は、吸気カムシャフト41の可変吸気カム位相機構42と反対側の端部に設けられており、吸気カムシャフト41の回転に伴い、パルス信号である吸気CAM信号を所定のカム角(例えば10゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、この吸気CAM信号及び前述したCRK信号に基づき、吸気カム位相CAINを算出する。
さらに、排気カム角センサ30は、排気カムシャフト51の可変排気カム位相機構52と反対側の端部に設けられており、排気カムシャフト51の回転に伴い、パルス信号である排気CAM信号を所定のカム角(例えば10゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、この排気CAM信号及び前述したCRK信号に基づき、排気カム位相CAEXを算出する。
また、EGR弁開度センサ31は、EGR弁12bの開度であるEGR弁開度φEGRを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
さらに、ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、以上の各種のセンサ20〜31の検出信号などに基づいて、以下に述べるように、EGR制御処理などを実行する。
なお、本実施形態では、ECU2が、吸入空気量パラメータ取得手段、水蒸気パラメータ取得手段、ドライ吸入空気パラメータ算出手段、着火時期制御手段、基本目標EGR量算出手段、水蒸気量算出手段、EGR換算量算出手段、目標EGR量算出手段及び制御手段に相当する。
次に、図4を参照しながら、水蒸気割合算出処理について説明する。この算出処理は、吸入空気中の水蒸気の割合である水蒸気割合Rwtrを算出するものであり、ECU2によって所定の制御周期ΔT(例えば10msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、下式(1)により、水蒸気分圧Pwを算出する。
Figure 2019056379
次いで、ステップ2に進み、下式(2)により、水蒸気割合Rwtrを算出した後、本処理を終了する。
Figure 2019056379
次に、図5を参照しながら、EGR制御処理について説明する。このEGR制御処理は、EGR装置12を介して外部EGR量を制御すると同時に、可変吸気カム位相機構42及び可変排気カム位相機構52を介して内部EGR量を制御するものであり、ECU2により前述した制御周期ΔTで実行される。
同図に示すように、まず、ステップ10で、下式(3)により、水蒸気量Gwtrを算出する。この水蒸気量Gwtr(水蒸気パラメータ)は、吸入空気中の水蒸気量に相当する。
Figure 2019056379
次いで、ステップ11に進み、下式(4)により、EGR換算量Gegr_wtrを算出する。このEGR換算量Gegr_wtrは、水蒸気を還流ガスと見なして、水蒸気量GwtrをEGR量に換算した値である。
Figure 2019056379
この式(4)のRwtr2egrは、水蒸気量GwtrをEGR量に換算するためのEGR換算係数であり、本実施形態では、このEGR換算係数Rwtr2egrは、値1.3に設定されている。これは、以下の理由による。すなわち、水蒸気の場合、還流ガスと比べて比熱が大きく、それに起因して、両者の燃焼感度に及ぼす影響度合いを互いの体積割合で表した場合には、図6に示すように、水蒸気の体積割合3%≒還流ガス体積割合4%の関係が成立する。すなわち、水蒸気の場合、混合気の燃焼速度を遅らせる能力が、還流ガスと比べて1.3倍ほど大きいので、それを反映させるために、EGR換算係数Rwtr2egrは上述した値1.3に設定されている。
次に、ステップ12で、吸入空気量Gaircyl及びエンジン回転数NEに応じて、マップを検索することにより、基本目標EGR量Gegr_bsを算出する。この場合、基本目標EGR量Gegr_bsの算出マップは、エンジン回転数NEが所定回転数NE1のときに、図7に示すものとなる。
ステップ12に続くステップ13で、下式(5)により、暫定目標EGR量Gegr_tmpを算出する。
Figure 2019056379
次いで、ステップ14に進み、暫定目標EGR量Gegr_tmpが値0以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、Gegr_tmp≧0が成立しているときには、ステップ15に進み、目標EGR量Gegr_cmdを暫定目標EGR量Gegr_tmpに設定する。
一方、ステップ14の判別結果がNOで、Gegr_tmp<0が成立しているときには、ステップ16に進み、目標EGR量Gegr_cmdを値0に設定する。
以上のように、暫定目標EGR量Gegr_tmpは、基本目標EGR量Gegr_bsから水蒸気量Gwtrを減算することにより算出され、この暫定目標EGR量Gegr_tmpに値0を下限値とする下限リミット処理を施すことにより、目標EGR量Gegr_cmdが算出される。その結果、目標EGR量Gegr_cmdは、図7に破線で示すような値として算出されることになる。
ステップ15又は16に続くステップ17で、内部EGR割合R_inを算出する。この内部EGR割合R_inは、目標EGR量Gegr_cmdにおける目標内部EGR量の割合を規定するものであり、エンジン回転数NE及びエンジン負荷(例えば、吸入空気量Gaircyl)に応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。
次いで、ステップ18に進み、下式(6)により、目標内部EGR量Ginegr_cmdを算出する。この目標内部EGR量Ginegr_cmdは、内部EGR量Ginegrの目標となる値である。
Figure 2019056379
次に、ステップ19で、下式(7)により、目標外部EGR量Gexegr_cmdを算出する。この目標外部EGR量Gexegr_cmdは、外部EGR量Gexegrの目標となる値である。
Figure 2019056379
ステップ19に続くステップ20で、内部EGR制御処理を実行する。具体的には、まず、目標内部EGR量Ginegr_cmd及びエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標吸気カム位相CAIN_cmd及び目標排気カム位相CAEX_cmdを算出する。
次いで、目標吸気カム位相CAIN_cmd及び目標排気カム位相CAEX_cmdに対応する制御入力信号を、吸気カム位相制御弁42a及び排気カム位相制御弁52aにそれぞれ供給する。それにより、吸気カム位相CAINが目標吸気カム位相CAIN_cmdになるように制御されるとともに、排気カム位相CAEXが目標排気カム位相CAEX_cmdになるように制御される。その結果、内部EGR量Ginegrが目標内部EGR量Ginegr_cmdになるように制御される。
ステップ20で、内部EGR制御処理を以上のように実行した後、ステップ21に進み、外部EGR制御処理を実行する。具体的には、目標外部EGR量Gexegr_cmdに対応する制御入力信号をEGRアクチュエータ12cに供給する。それにより、実際の外部EGR量Gexegrが目標外部EGR量Gexegr_cmdになるように、EGR弁開度φEGRが制御される。ステップ21で、外部EGR制御処理を以上のように実行した後、本処理を終了する。
次に、図8を参照しながら、総EGR率算出処理について説明する。この算出処理は、以下に述べるように、総EGR率Regr_tを算出するものであり、ECU2によって前述した制御周期ΔTで実行される。この総EGR率Regr_tは、EGR(外部EGR及び内部EGR)に加えて水蒸気を還流ガスと見なしたときのEGR率、すなわち気筒3a内の総ガス中のEGRの割合に相当する。また、以下に述べる各種のパラメータの算出アルゴリズムの導出原理については後述する。
同図に示すように、まず、ステップ30で、下式(8)により、理想筒内ガス量Gthを算出する。
Figure 2019056379
この式(8)のGstdmは、基準筒内ガス量のマップ値であり、エンジン回転数NE、吸気カム位相CAIN及び排気カム位相CAEXに応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。また、式(8)のKTWは、水温補正係数であり、エンジン水温TWに応じて、図示しないマップを検索することにより算出される。さらに、式(8)のPBwotは、基準吸気圧であり、スロットル弁11aが全開状態にあるときの吸気圧PBに相当する所定値である。
次いで、ステップ31に進み、エンジン回転数NE、吸気カム位相CAIN及び排気カム位相CAEXに応じて、図示しないマップを検索することにより、基準筒内ガス温度Tic_stdを算出する。
次に、ステップ32で、外部EGR量Gexegrを算出する。具体的には、外部EGR量Gexegrは、EGR弁開度φEGR、吸気圧PB及び排気圧Pexに基づき、EGR弁12bをノズルと見なして導出したノズルの式(図示せず)を用いて算出される。
ステップ32に続くステップ33で、外部EGR温Tegrを算出する。この外部EGR温Tegrは、具体的には、外部EGR量Gexegr及びエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、基準外部EGR温Tegr_bsを算出し、この基準外部EGR温Tegr_bsをエンジン水温TWに応じて補正することによって算出される。
次いで、ステップ34に進み、下式(9)により、内部EGR量Ginegrを算出する。
Figure 2019056379
次に、ステップ35で、前述した式(3)により、水蒸気量Gwtrを算出する。
ステップ35に続くステップ36で、下式(10)により、ドライ吸入空気量Gair_dryを算出する。このドライ吸入空気量Gair_dry(ドライ吸入空気パラメータ)は、吸入空気から水蒸気分を除いた乾燥空気の量に相当する。
Figure 2019056379
次いで、ステップ37に進み、下式(11)により、筒内ガス温度Ticを算出する。
Figure 2019056379
次に、ステップ38で、下式(12)により、筒内ガス量Ggas_cylを算出する。
Figure 2019056379
ステップ38に続くステップ39で、前述した式(4)により、EGR換算量Gegr_wtrを算出する。
次いで、ステップ40に進み、下式(13)により、総EGR率Regr_tを算出した後、本処理を終了する。この総EGR率Regr_t(総EGR割合)は、水蒸気をEGRと見なして算出したEGR率に相当する。
Figure 2019056379
なお、この式(13)の右辺の分子における括弧内の値が、内部EGR量と外部EGR量の和に相当する。
次に、図9を参照しながら、以上の総EGR率算出処理で用いた算出アルゴリズムの導出原理について説明する。同図は、エンジン回転数NE、吸気カム位相CAIN及び排気カム位相CAEXがそれぞれ一定の所定値にあるときの吸気圧PBと筒内ガス量との関係を示している。
同図に示す基準点Pwotは、スロットル弁11aが全開状態(基準状態)にあるときの動作点を表している。この基準点Pwotでは、スロットル弁11aが全開状態にあることで、吸気圧PBは大気圧PAにほぼ等しい基準吸気圧PBwotとなる。同じ理由により、排気側と吸気側との圧力差がほとんどない状態となることで、バルブオーバーラップが発生している状態にあるときでも、排気側から吸気側への排気の逆流は生じず、吸気側からの吹き返しによる内部EGR量がほぼ0になる。
また、この基準点Pwotと原点Oを結ぶ線Lth(以下「理想線Lth」という)は、排気が気筒3a内に還流していないと仮定した理想状態、すなわち、外部EGRが行われず、かつ内部EGRが無いと仮定したときの理想的な状態における吸気圧と筒内ガスとの関係を表している。すなわち、上記の基準状態と理想状態では、筒内ガス温度及び筒内ガスの気体定数が一定であるとみなせる関係上、理想線Lthは、気体の状態方程式から直線として導かれる。
また、図9における線L1〜L4は、実際の筒内ガスにおける各種のガス量を表している。すなわち、線L1は筒内ガス中のドライ吸入空気量Gair_dryを表し、線L2は筒内ガス中のドライ吸入空気量Gair_dry及び水蒸気量Gwtrの和、すなわち吸入空気量Gaircylを表している。また、線L3は、ドライ吸入空気量Gair_dry、水蒸気量Gwtr及び外部EGR量Gexegrの和を表し、線L4は、全筒内ガス量Ggas_cyl、すなわちドライ吸入空気量Gair_dry、水蒸気量Gwtr、外部EGR量Gexegr及び内部EGR量Ginegrの和を表している。
ここで、吸気圧PBが、基準点Pwotにおける基準吸気圧PBwotよりも小さい所定の吸気圧PB1であるときの理想線Lthと線L4の状態などの関係について説明する。
まず、理想線Lthにおける状態P1と、線L4における状態P2との関係については、気体の状態方程式から、下式(14)が成立する。
Figure 2019056379
この式(14)のTic_thは、状態P1における筒内ガス温度(理想筒内ガス温度)である。
また、線L4上の状態P2の状態では、気筒3a内の温度の平衡関係から、下式(15)が成立する。
Figure 2019056379
以上の式(14)及び(15)に基づき、内部EGR量Ginegrの算出式を導出すると、下式(16)のようになる。
Figure 2019056379
ここで、前述したように、理想筒内ガス温度は、理想線Lth上において一定であるので、上式(16)の理想筒内ガス温度Tic_thを、基準点Pwotの筒内ガス温度である基準筒内ガス温度Tic_stdに置き換えると、前述した式(9)が導出される。
また、基準筒内ガス温度Tic_std及び基準筒内ガス量Gstdの算出式は、以下のように導出される。エンジン3の排気行程の終了時、ピストン3bが上死点に達した状態では、燃焼ガスの一部は、気筒3aから排出されず、ピストン3bとシリンダヘッドとの間の燃焼室に残留する。この残留燃焼ガスは、スロットル弁11aが全開で、内部EGR量などがほぼ0である基準状態においても、充填された吸入空気量とともに気筒3a内に存在する。
この場合の残留燃焼ガス量Gegrdは、気体の状態方程式に基づき、下式(17)で表すことができる。
Figure 2019056379
この式(17)のVdは、ピストン3bが上死点にあるときの燃焼室の容積であり、Rは気体定数である。
また、基準筒内ガス温度Tic_stdは、基準状態における気筒3a内の温度の平衡関係から、上式(17)で算出された残留燃焼ガス量Gegrdを用いて、下式(18)で算出されることになる。
Figure 2019056379
また、基準筒内ガス量Gstdは、吸入空気量Gaircylと残留燃焼ガス量Gegrdとの和であるので、下式(19)で表すことができる。
Figure 2019056379
したがって、基準点Pwotと理想線Lth上の状態P1との関係から、状態P1における理想筒内ガス量Gthは、基準点Pwotの吸気圧PBwot、状態P1の吸気圧PB1及び基準筒内ガス量Gstdを用いて、下式(20)で算出されることになる。
Figure 2019056379
この式(20)において、基準筒内ガス量Gstdを基準筒内ガス量のマップ値と水温補正係数の積Gstdm・KTWに、状態P1の吸気圧PB1をその時点の吸気圧PBに置き換えると、理想筒内ガス量Gthの算出式として、前述した式(8)が導出される。
また、図9の状態P2における筒内ガス温度、すなわち実際の筒内ガス温度Ticは、吸入空気、内部EGR及び外部EGRによる気筒3a内の温度の平衡関係から、下式(21)によって算出されることになる。
Figure 2019056379
この式(21)に対して、Gaircyl=Gair_dry+Gwtrを代入すると、筒内ガス温度Ticの算出式として、前述した式(11)が導出される。
また、前述した式(14)の理想筒内ガス温度Tic_thを基準筒内ガス温度Tic_stdに置き換えるとともに、筒内ガス量Ggas_cylを左辺において整理すると、筒内ガス量Ggas_cylの算出式として、前述した式(12)が導出される。
次に、図10を参照しながら、点火時期制御処理について説明する。この点火時期制御処理は、着火時期としての点火時期IGLOGを気筒3aごとに算出するものであり、TDC信号の発生に同期して実行される。なお、点火時期IGLOGは、圧縮行程のTDC位置でのクランク角を値0として、このTDC位置よりも進角側であるほど、より大きな正の値になるように算出される。また、4つの気筒3aにおける点火時期制御処理の手法は互いに同じであるので、以下、1気筒分の点火時期制御処理の手法を例にとって説明する。
同図に示すように、まず、ステップ50で、エンジン回転数NE及び総EGR率Regr_tに応じて、図示しないマップを検索することにより、最適点火時期IGMBTを算出する。この最適点火時期IGMBTは、MBT(Minimum advance for Best Torque)に相当する点火時期であり、このマップでは、総EGR率Regr_tが大きいほど、より大きい値すなわちより進角側の値に設定されている。
次いで、ステップ51に進み、ノック限界点火時期IGKNOCKを算出する。このノック限界点火時期IGKNOCKは、ノッキングの発生限界を規定する値(すなわちノッキングの発生を抑制可能な進角側の値)であり、その具体的な算出手法はここでは図示しないが、特許文献1と同様の手法によって算出される。
次に、ステップ52で、最適点火時期IGMBTがノック限界点火時期IGKNOCK以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち最適点火時期IGMBTがノック限界点火時期IGKNOCKと同じ値かそれよりも進角側に設定されているときには、ノッキングの発生を回避するために、ステップ53に進み、基本点火時期IGBASEをノック限界点火時期IGKNOCKに設定する。
一方、ステップ52の判別結果がNOのときには、最大トルクを確保するために、ステップ54に進み、基本点火時期IGBASEを最適点火時期IGMBTに設定する。
以上のステップ53又は54に続くステップ55で、エンジン水温TWなどに応じて、補正項IGCRを算出する。
次いで、ステップ56に進み、点火時期IGLOGを基本点火時期IGBASEと補正項IGCRの和IGBASE+IGCRに設定した後、本処理を終了する。以上のように、点火時期IGLOGが算出されると、この点火時期IGLOGに対応するタイミングで、ECU2から点火プラグ9に制御入力信号が供給され、点火プラグ9が放電する。それにより、混合気が点火される。
次に、図11及び12を参照しながら、本発明の点火時期制御処理を多湿の環境条件下で実行したときの効果について説明する。両図において、網掛けで示すデータが本発明の制御手法によるものであり、ハッチングで示すデータが特許文献1に記載された従来の制御手法によるものである。
図11を参照すると明らかなように、従来制御手法の場合、吸入空気中に多量に含まれる水蒸気の影響によって、点火時期が最適点火時期IGMBTから大幅に遅角側に制御されているのに対して、本発明の制御手法の場合、点火時期を最適点火時期IGMBTまで進角制御できていることが判る。その結果、多湿の環境条件下でも良好な燃費性能を確保することができる。
また、図12において、縦軸の値SDMは、燃焼の不安定度合いを表すパラメータであり、この値SDMが大きいほど、燃焼の不安定度合いが大きいことを示している。言い換えれば、値SDMが小さいほど、燃焼の安定性が高いことを示しており、同図を参照すると明らかなように、本発明の制御手法の場合、従来制御手法と比べて、燃焼の安定性が向上していることが判る。その結果、多湿の環境条件下でもサージや失火の発生を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、エンジン回転数NE及び吸入空気量Gaircylに応じて、基本目標EGR量Gegr_bsが算出され、水蒸気量GwtrにEGR換算係数Rwtr2egrを乗算することにより、EGR換算量Gegr_wtrが算出されるとともに、基本目標EGR量Gegr_bsからEGR換算量Gegr_wtrを減算することにより、目標EGR量Gegr_cmdが算出される。この場合、吸入空気中の水蒸気は、還流ガスと同じ機能すなわち燃焼温度を低下させる機能を備えているので、EGR換算量Gegr_wtrは、そのような機能を有する水蒸気量GwtrをEGR量に適切に換算した値として算出されるので、目標EGR量Gegr_cmdを、吸入空気中の水蒸気による還流ガスと同じ機能の影響を適切に考慮した値として算出することができる。
したがって、そのような目標EGR量Gegr_cmdを用いて、EGR装置12、可変吸気カム位相機構42及び可変排気カム位相機構52を制御することによって、EGR制御を実行したときの燃焼の安定性を向上させることができる。また、特許文献1のように、水蒸気による燃焼温度を低下させる機能を考慮していない目標EGR量を用いて各種制御処理を実行した場合と比べて、演算負荷や制御工程数を減らすことができ、商品性をさらに向上させることができる。
また、吸入空気中の水蒸気は、還流ガスよりも高い度合いで燃焼温度を低下させるという特性を有しており、EGR換算係数Rwtr2egrがその度合いを適切に反映した値1.3に設定されているので、EGR換算量Gegr_wtrを、そのような水蒸気の特性をEGR量に適切に換算した値として算出することができ、その算出精度を向上させることができる。
さらに、吸入空気量Gaircylから水蒸気量Gwtrを減算することにより、ドライ吸入空気量Gair_dryが算出され、ドライ吸入空気量Gair_dry、水蒸気量Gwtr及びEGR換算量Gegr_wtrを用いて、総EGR率Regr_tが算出されるので、総EGR率Regr_tを、EGR(外部EGR及び内部EGR)に加えて、水蒸気の還流ガスと同じ機能を加味したガスの割合として算出することができる。したがって、そのような総EGR率Regr_tを用いて、点火時期制御を実行することにより、高い制御精度を確保することができる。その結果、点火時期が過度に遅角側に制御されるのを回避でき、良好な燃費性能を確保することができる。
これに加えて、ドライ吸入空気量Gair_dry及び水蒸気量Gwtrを用いて、筒内ガス温度Ticが算出され、この筒内ガス温度Ticを用いて、筒内ガス量Ggas_cylが算出されるとともに、この筒内ガス量Ggas_cylを用いて、総EGR率Regr_tが算出されるので、総EGR率Regr_tの算出精度をさらに向上させることができる。その結果、点火時期制御において、高い制御精度を確保することができ、燃費性能をさらに向上させることができる。
なお、実施形態は、水蒸気パラメータとして、水蒸気量Gwtrを用いた例であるが、本発明の水蒸気パラメータはこれに限らず、吸気通路内に吸入される空気中の水蒸気の割合及び量の一方を表すものであればよい。例えば、水蒸気パラメータとして、水蒸気割合Rwtrを用いてもよい。
また、実施形態は、制御手段を、目標EGR量Gegr_cmdを用いて、内燃機関3の点火時期IGLOGを制御するものとして構成した例であるが、本発明の制御手段はこれに限らず、目標EGR量を用いて内燃機関の運転を制御するものであればよい。例えば、制御手段を、目標EGR量Gegr_cmdを用いて、内燃機関3の空燃比制御や燃料噴射制御を実行するものとして構成してもよい。
さらに、実施形態は、吸入空気量パラメータとして、吸入空気量Gaircylを用いた例であるが、本発明の吸入空気量パラメータはこれに限らず、内燃機関の吸気通路内に吸入される空気の量を表すものであればよい。例えば、吸入空気量パラメータとして、スロットル弁11aが全開状態のときの吸入空気量に対する現在の吸入空気量の割合を用いてもよい。
一方、実施形態は、点火プラグを備えた内燃機関において着火時期制御として点火時期制御を実行した例であるが、本発明の着火時期制御はこれに限らず、着火時期を制御するものであればよい。例えば、点火プラグを備えていない圧縮着火式の内燃機関において、その混合気の着火時期を制御するように構成してもよい。
また、実施形態は、ドライ吸入空気パラメータとして、ドライ吸入空気量Gair_dryを用いた例であるが、本発明のドライ吸入空気パラメータはこれに限らず、吸気通路内に吸入された空気から水蒸気分を除いたドライ吸入空気の割合及び量の一方を表すものであればよい。例えば、ドライ吸入空気パラメータとして、値1−Rwtrを用いてもよい。
さらに、実施形態は、総EGR割合として、総EGR率Regr_tを用いた例であるが、本発明の総EGR割合はこれに限らず、気筒内の総ガス中のEGRの割合を表すものであればよい。例えば、総EGR割合として、総EGR率Regr_tの逆数を用いてもよい。
一方、実施形態は、式(13)を用いて、総EGR率Regr_tを算出した例であるが、これに代えて、式(13)の筒内ガス量Ggas_cylを筒内ガス量割合ηc_thclに、ドライ吸入空気量Gair_dryをドライ空気量割合ηcair_dryに、水蒸気量Gwtrを水蒸気量割合ηc_wtrに、EGR換算量Gegr_wtrをEGR換算量割合ηcegr_wtrにそれぞれ置き換えた式を用いて、総EGR率Regr_tを算出してもよい。なお、これらの割合ηc_thcl,ηcair_dry,ηc_wtr,ηcegr_wtrは、前述した基準筒内ガス量Gstdに対する各種のガス量Ggas_cyl,Gair_dry,Gwtr,Gegr_wtrの割合に相当する。
また、実施形態は、EGR換算係数Rwtr2egrとして、値1.3を用いた例であるが、本発明のEGR換算係数はこれに限らず、値1よりも大きい所定値や、値1.3近傍の値(例えば、値1.2〜1.4)を用いてもよい。
さらに、実施形態は、排気温センサ27を用いて、排気温Texを検出したが、これに代えて、エンジン3の運転状態に応じて、排気温Texを推定するように構成してもよい。
一方、実施形態は、排気圧センサ28を用いて、排気圧Pexを検出したが、これに代えて、エンジン3の運転状態に応じて、排気圧Pexを推定するように構成してもよい。
また、実施形態は、本発明の制御装置を車両用の内燃機関に適用した例であるが、本発明の制御装置は、これに限らず、船舶用の内燃機関や、他の産業機器用の内燃機関にも適用可能である。
1 制御装置
2 ECU(水蒸気パラメータ取得手段、基本目標EGR量算出手段、水蒸気量算出 手段、EGR換算量算出手段、目標EGR量算出手段、制御手段)
3 エンジン
6 吸気通路
7 排気通路
Gwtr 水蒸気量(水蒸気パラメータ)
Rwtr2egr EGR換算係数(換算係数)
Gegr_wtr EGR換算量
Gegr_bs 基本目標EGR量
Gegr_cmd 目標EGR量

Claims (2)

  1. 内燃機関の運転状態に応じて、当該内燃機関の排気通路内の排ガスを当該内燃機関の吸気側に還流させる量であるEGR量の目標値の基本となる基本目標EGR量を算出する基本目標EGR量算出手段と、
    前記内燃機関の吸気通路内に吸入される空気である吸入空気中の水蒸気の割合及び量の一方を表す水蒸気パラメータを取得する水蒸気パラメータ取得手段と、
    当該水蒸気パラメータを用いて、前記水蒸気の量である水蒸気量を算出する水蒸気量算出手段と、
    当該水蒸気量に値1より大きい換算係数を乗算することにより、当該水蒸気量をEGR量に換算したEGR換算量を算出するEGR換算量算出手段と、
    当該EGR換算量で前記基本目標EGR量を補正することにより、目標EGR量を算出する目標EGR量算出手段と、
    当該目標EGR量を用いて、前記内燃機関の運転を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記換算係数は、値1.3を含む当該値1.3近傍の値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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