JP2019051909A - 音響装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車室内の状況に応じて立体音像の維持を実現性の高いものとする制御が可能な音響装置を提供する。
【解決手段】ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、を備えて音響装置1を構成する。
【選択図】図7
【解決手段】ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、を備えて音響装置1を構成する。
【選択図】図7
Description
本発明は、音響装置に関し、特に、車両に搭載される音響装置に関する。
従来、車載用立体音響装置において、車両周辺の状況、特に、自車を追い抜く車両が存在する場合に、その追い抜く車両の存在を立体音像で呈示する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この音響装置は、対象物検知部により対象物を検知し、判断部により対象物についての注意喚起の要否を判断し、注意喚起が必要と判断された場合に、警報音生成部により警報音を生成する。また、マーカー音生成部により警報音の出力を予告するマーカー音を生成し、設定部によりマーカー音の音像の位置を設定すると共に、マーカー音の音像の位置を始点として経時的に変化する警報音の音像の位置を設定し、それぞれ設定された音像位置に、まずマーカー音を出力した後に警報音を出力するものである。
しかし、従来の技術では、車室内の物体の位置や、窓の開閉の状況など、車室内の状況によって立体音像の維持が困難であるという課題が生じる。
したがって、本発明の目的は、車室内の状況に応じて立体音像の維持を実現性の高いものとする制御が可能な音響装置を提供することにある。
[1]上記目的を達成するため、車両に搭載される音響装置であって、ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、を備える音響装置を提供する。
[2]前記規定条件は、前記車両の窓の開閉状態である、上記[1]に記載の音響装置であってもよい。
[3]また、前記制御部は、前記開閉状態が閉の場合に、前記特定のスピーカから出力される音の制御を行なう、上記[2]に記載の音響装置であってもよい。
[4]また、前記規定条件は、前記ステアリングの回転角である、上記[1]又は[2]に記載の音響装置であってもよい。
[5]また、前記制御部は、前記開閉状態が開の場合で、かつ、前記回転角が所定の角度以上の場合に、前記少なくとも2つのステアリングスピーカを前記少なくとも2つの特定のスピーカとして前記制御を行なう、上記[4]に記載の音響装置であってもよい。
[2]前記規定条件は、前記車両の窓の開閉状態である、上記[1]に記載の音響装置であってもよい。
[3]また、前記制御部は、前記開閉状態が閉の場合に、前記特定のスピーカから出力される音の制御を行なう、上記[2]に記載の音響装置であってもよい。
[4]また、前記規定条件は、前記ステアリングの回転角である、上記[1]又は[2]に記載の音響装置であってもよい。
[5]また、前記制御部は、前記開閉状態が開の場合で、かつ、前記回転角が所定の角度以上の場合に、前記少なくとも2つのステアリングスピーカを前記少なくとも2つの特定のスピーカとして前記制御を行なう、上記[4]に記載の音響装置であってもよい。
本発明の音響装置によれば、乗車室内の状況に応じて立体音像の維持を実現性の高いものとする制御が可能となる。
(本発明の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る音響装置は、車両5に搭載される音響装置1であって、ステアリング8の中心線8aに対して対称に配置された2つのステアリングスピーカ30、40と、座席10に着座した乗員である運転者20の正面よりも前側において座席10の中心線11を挟むように、車両5に配置された2つの車室内スピーカ35、45と、車両5の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、車両5の座席10に着座した運転者20に対して立体音像が維持されるように、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45のうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部100と、を備えて構成されている。
本発明の実施の形態に係る音響装置は、車両5に搭載される音響装置1であって、ステアリング8の中心線8aに対して対称に配置された2つのステアリングスピーカ30、40と、座席10に着座した乗員である運転者20の正面よりも前側において座席10の中心線11を挟むように、車両5に配置された2つの車室内スピーカ35、45と、車両5の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、車両5の座席10に着座した運転者20に対して立体音像が維持されるように、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45のうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部100と、を備えて構成されている。
本実施の形態では、乗員が運転者20であるものとして説明する。また、少なくとも2つのステアリングスピーカの一例として、2つのステアリングスピーカ30、40とする。また、少なくとも2つの車室内スピーカの一例として、2つの車室内スピーカ35、45とする。
(ステアリングスピーカ30、40)
図1に示すように、車両5において、ステアリング8の中心線8aに対して対称に前方に2つのステアリングスピーカ30、40が配置されている。ステアリングスピーカ30、40は、所定の周波数帯域において音を出力できるものであり、車両側からの制御により、例えば、警告音、警告音声等を出力できるものである。
図1に示すように、車両5において、ステアリング8の中心線8aに対して対称に前方に2つのステアリングスピーカ30、40が配置されている。ステアリングスピーカ30、40は、所定の周波数帯域において音を出力できるものであり、車両側からの制御により、例えば、警告音、警告音声等を出力できるものである。
図1において、車両5の前方から後方に向けて、スピーカから運転者20の耳の方向をX方向、車両5の幅方向をY方向、X軸とY軸の外積で定義される方向を車両5の上下方向のZ方向とする。図1に示すように、ステアリングスピーカ30は、その指向性が運転者20の右耳21に向けて強くなるように配置されている。また、ステアリングスピーカ40は、その指向性が運転者20の左耳22に向けて強くなるように配置されている。すなわち、ステアリングスピーカ30、40をステアリング8に搭載することにより、ステアリングスピーカ30の出力軸31が運転者20の右耳21の方向になるようにでき、また、ステアリングスピーカ40の出力軸41が運転者20の左耳22の方向になるようにできる。
また、図2に示すように、ステアリングスピーカ40を運転者20の耳に向けてやや上向きに配置する。このために、図2に示すように、X軸、Z軸がY軸の回りに少し回転したX、Y、Z軸となっている。
図2に示すように、ステアリングスピーカ30、40をステアリング8に搭載することにより、ステアリングスピーカ40の出力軸41が運転者20の左耳22の方向になるように、ステアリングスピーカ40がやや上向き(X軸方向)に配置される。ステアリングスピーカ30も同様に、やや上向き(X軸方向)に配置される。これにより、2つのステアリングスピーカ30、40の指向性が乗員の耳21、22に向けて強くなるように配置された構成となる。
(ステアリングスピーカ30、40の配置)
図3に示すように、2つのステアリングスピーカ30、40を、それぞれ、ステアリング8の左右のスポーク部9に備える構成とすることができる。すなわち、ステアリング8の中心線8aに対して、スポーク部9の右側にステアリングスピーカ30を配置し、スポーク部9の左側にステアリングスピーカ40を配置することができる。なお、ステアリング8の中心線8aとは、ステアリング操作をしていない操舵角ゼロのときにステアリング8の中心を通る線である。ステアリングスピーカ30、ステアリングスピーカ40への右音声信号S1、左音声信号S2は、例えば、ステアリングロールコネクタ(図示省略)を介して、車両本体側から入力することができる。
図3に示すように、2つのステアリングスピーカ30、40を、それぞれ、ステアリング8の左右のスポーク部9に備える構成とすることができる。すなわち、ステアリング8の中心線8aに対して、スポーク部9の右側にステアリングスピーカ30を配置し、スポーク部9の左側にステアリングスピーカ40を配置することができる。なお、ステアリング8の中心線8aとは、ステアリング操作をしていない操舵角ゼロのときにステアリング8の中心を通る線である。ステアリングスピーカ30、ステアリングスピーカ40への右音声信号S1、左音声信号S2は、例えば、ステアリングロールコネクタ(図示省略)を介して、車両本体側から入力することができる。
(スピーカの指向特性)
図4(a)、(b)で示すスピーカの指向特性は、スピーカの指向性が全方位性を有する場合を示している。図4(a)において、ステアリングスピーカ30、40から出力される音の広がりを示す指向特性は、音波面36のX軸上の点36aが最大であり、X軸上の最大音圧から6dBだけ音圧が低下する36b、36cの点で規定される開き角を指向角度θと定義する。図4(a)において、Y方向における指向角度はθである。
図4(a)、(b)で示すスピーカの指向特性は、スピーカの指向性が全方位性を有する場合を示している。図4(a)において、ステアリングスピーカ30、40から出力される音の広がりを示す指向特性は、音波面36のX軸上の点36aが最大であり、X軸上の最大音圧から6dBだけ音圧が低下する36b、36cの点で規定される開き角を指向角度θと定義する。図4(a)において、Y方向における指向角度はθである。
図4(b)において、ステアリングスピーカ30、40から出力される音の広がりを示す指向特性は、音波面36のX軸上の点36aが最大であり、X軸上の最大音圧から6dBだけ音圧が低下する36b、36cの点で規定される開き角を指向角度θと定義する。図4(b)において、Z方向における指向角度はθである。
図4(a)、(b)からわかるように、指向角度はX方向、Z方向共にθであるので、図4(a)、(b)で示すスピーカの指向特性は、全方位性(無指向性)を有するものとなる。このような、全方位性を有するステアリングスピーカ30、40を、ステアリング8に搭載することにより、車両5の運転に伴うステアリング8の回転操作時においても、ステアリングスピーカ30、40から出力される音の音像の定位が維持されやすい。
(車室内スピーカ35、45)
図1に示すように、2つの車室内スピーカ35、45は、座席10の中心線を挟んで、座席10に着座した乗員である運転者20の正面よりも前側において、車両5の本体側、例えば、インストルメントパネル7に配置されている。車室内スピーカ35、45は、所定の周波数帯域において音を出力できるものであり、車両側からの制御により、例えば、警告音、警告音声等を出力できるものである。なお、車室内スピーカ35、45は、ステアリング8以外に配置されていればよく、例えば、ドア等に配置されていてもよい。
図1に示すように、2つの車室内スピーカ35、45は、座席10の中心線を挟んで、座席10に着座した乗員である運転者20の正面よりも前側において、車両5の本体側、例えば、インストルメントパネル7に配置されている。車室内スピーカ35、45は、所定の周波数帯域において音を出力できるものであり、車両側からの制御により、例えば、警告音、警告音声等を出力できるものである。なお、車室内スピーカ35、45は、ステアリング8以外に配置されていればよく、例えば、ドア等に配置されていてもよい。
(位置検出部70)
位置検出部70は、車室内の状況を検知する手段であり、運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を検出するものである。この相対位置を検出することにより、ステアリングスピーカ30、40と運転者20の右耳21、左耳22との間の直線距離を算出することができる。この算出は、位置検出部70内に備えた演算部、例えば、マイコンにより実行することができる。
位置検出部70は、車室内の状況を検知する手段であり、運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を検出するものである。この相対位置を検出することにより、ステアリングスピーカ30、40と運転者20の右耳21、左耳22との間の直線距離を算出することができる。この算出は、位置検出部70内に備えた演算部、例えば、マイコンにより実行することができる。
位置検出部70は、図2に示すように、例えば、ステアリング8の回転操作に伴う操舵角φを検出する舵角センサを備えることが可能である。この舵角センサは、ステアリング8の回転操作に伴う操舵角φを制御部100に出力する。検出された操舵角φにより、運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を算出でき、また、ステアリングの回転角が所定角度以上であるかどうかが判定できる。なお、舵角センサは、車両5が種々の運転操作に伴う制御を行なうために備える舵角センサと共用することが可能である。
位置検出部70は、舵角センサには限られず、運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を検出するものであればよい。例えば、インストルメントパネルに搭載されたカメラ(図示省略)、あるいは、ステアリングに搭載されたカメラ(図示省略)等であってもよい。これらのカメラにより撮像された画像に基づいて、例えば、テンプレートマッチング手法により運転者20の右耳21、左耳22の位置を特定すると共に、例えば、ステアリング8のスポーク部9の位置を検出することにより、運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40との相対位置を検出することができる。
(窓開閉検出部80)
窓開閉検出部80は、車室内の状況を検知する手段であり、車両5の窓、特に、窓の開閉状態を検出する。窓開閉検出部80は、窓の開閉状態を検出して開状態の場合、閉状態の場合に応じて所定の信号を制御部100に出力する。窓開閉検出部80は、例えば、運転席、助手席側のウインドウレギュレータの動きを検出することにより運転席、助手席側の窓の開閉状態を検出することができる。
窓開閉検出部80は、車室内の状況を検知する手段であり、車両5の窓、特に、窓の開閉状態を検出する。窓開閉検出部80は、窓の開閉状態を検出して開状態の場合、閉状態の場合に応じて所定の信号を制御部100に出力する。窓開閉検出部80は、例えば、運転席、助手席側のウインドウレギュレータの動きを検出することにより運転席、助手席側の窓の開閉状態を検出することができる。
(制御部100)
制御部100は、例えば、記憶されたプログラムに従って、所定の演算、処理実行等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータを備える。このROMには、例えば、制御部100が動作するためのプログラムと、各種のパラメータ等が格納されている。また制御部100は、車両の種々の車載機器と車両LANを経由して通信するためのインターフェース部を備えている。
制御部100は、例えば、記憶されたプログラムに従って、所定の演算、処理実行等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータを備える。このROMには、例えば、制御部100が動作するためのプログラムと、各種のパラメータ等が格納されている。また制御部100は、車両の種々の車載機器と車両LANを経由して通信するためのインターフェース部を備えている。
図5に示すように、制御部100には、ステアリングスピーカ30、40、車室内スピーカ35、45、位置検出部70、窓開閉検出部80が接続されている。また、制御部100は、ステアリングスピーカ30、40、車室内スピーカ35、45を位相制御して音像の定位制御を行なうためのステアリングスピーカ制御部101、車室内スピーカ制御部102を備えている。
(ステアリングスピーカ30、40のみを使用した音像の定位制御)
ステアリングスピーカ制御部101は、図1に示すように、ステアリングスピーカ30を駆動する駆動部110、ステアリングスピーカ40を駆動する駆動部120を備えている。駆動部110は、右音声信号S1と、左音声信号S2の位相調整信号S21を加算して、増幅してステアリングスピーカ30を駆動する。同様に、駆動部120は、左音声信号S2と、右音声信号S1の位相調整信号S12を加算して、増幅してステアリングスピーカ40を駆動する。
ステアリングスピーカ制御部101は、図1に示すように、ステアリングスピーカ30を駆動する駆動部110、ステアリングスピーカ40を駆動する駆動部120を備えている。駆動部110は、右音声信号S1と、左音声信号S2の位相調整信号S21を加算して、増幅してステアリングスピーカ30を駆動する。同様に、駆動部120は、左音声信号S2と、右音声信号S1の位相調整信号S12を加算して、増幅してステアリングスピーカ40を駆動する。
位相調整回路115は、右音声信号S1の位相を調整(位相遅延)して、駆動部120に位相調整信号S12を出力する。位相調整は、右音声信号S1と位相調整信号S12の位相差α1として適宜設定可能である。
同様に、位相調整回路125は、左音声信号S2の位相を調整(位相遅延)して、駆動部110に位相調整信号S21を出力する。位相調整は、左音声信号S2と位相調整信号S21の位相差α1として適宜設定可能である。なお、この位相差α1の設定は、2つのステアリングスピーカ30、40が座席10の中心線11を挟んで対称に配置されている場合であり、ステアリングスピーカ30、40が座席10の中心線11を挟んで非対称に配置されている場合等は、位相調整回路115と位相調整回路125で設定される位相差は異なる値とすることができる。
上記説明した駆動部110、120、位相調整回路115、125は、それぞれ、ゲインの調整が可能である。したがって、図1で示すように、駆動部110における右音声信号S1と位相調整信号S21の加算割合、駆動部120における左音声信号S2と位相調整信号S12の加算割合を調節できる。また、ステアリングスピーカ30、ステアリングスピーカ40から出力される音圧を調節でき、左右のステレオ音のバランスを調節することもできる。
制御部100は、2つのステアリングスピーカ30、40から出力される音による立体音像が維持されるように各スピーカから出力される音の特性を制御する。
右耳21には、ステアリングスピーカ30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達すると共に、ステアリングスピーカ40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達する。
右耳21に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dである。
また、右耳21に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dである。
したがって、制御部100は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が最大となり、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が最小となるように制御する。
右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が右耳21において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L11を進む音SD1と距離L21を進む音SD1dとの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1を設定する。なお、距離L11は、ステアリングスピーカ30から右耳21までの距離、距離L21は、ステアリングスピーカ40から右耳21までの距離である。
左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が右耳21において最小となるようにするには、距離L21を進む音SD2と距離L11を進む音SD2dとの位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1を設定する。
上記示した左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が右耳21において最小となるように設定することにより、右耳21の位置において、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、立体音像が維持される。
同様にして、左耳22には、ステアリングスピーカ40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達すると共に、ステアリングスピーカ30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達する。
左耳22に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dである。
また、左耳22に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dである。
したがって、制御部100は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が最大となり、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が最小となるように制御する。
左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が左耳22において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L22を進む音SD2と距離L12を進む音SD2dの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1を設定する。なお、距離L22は、ステアリングスピーカ40から左耳22までの距離、距離L12は、ステアリングスピーカ30から左耳22までの距離である。
右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が左耳22において最小となるようにするには、距離L12を進む音SD1と距離L22を進む音SD1dの位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1を設定する。
上記示した右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が左耳22において最小となるように設定することにより、左耳22の位置において、左チャンネルの音SD2と右チャンネルの音SD1のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、立体音像が維持される。
上記示した制御部100による位相調整により、耳元に音を定位させることができ、2つのステアリングスピーカ30、40から出力される音による立体音像が維持されるように制御することができる。
(ステアリング操舵角φの場合)
図6に示すように、ステアリング8が回転操作された場合は、2つのスピーカと乗員(運転者)との位置関係が変化する。上記説明したステアリングスピーカ30から右耳21までの距離L11は、操舵角φにより変化する関数L11(φ)で表すことができる。同様に、ステアリングスピーカ40から左耳22までの距離L22は、関数L22(φ)で表すことができる。また、ステアリングスピーカ30から左耳22までの距離L12は関数L12(φ)、ステアリングスピーカ40から右耳21までの距離L21は関数L21(φ)で表すことができる。
図6に示すように、ステアリング8が回転操作された場合は、2つのスピーカと乗員(運転者)との位置関係が変化する。上記説明したステアリングスピーカ30から右耳21までの距離L11は、操舵角φにより変化する関数L11(φ)で表すことができる。同様に、ステアリングスピーカ40から左耳22までの距離L22は、関数L22(φ)で表すことができる。また、ステアリングスピーカ30から左耳22までの距離L12は関数L12(φ)、ステアリングスピーカ40から右耳21までの距離L21は関数L21(φ)で表すことができる。
関数L11(φ)、L22(φ)、L12(φ)、L21(φ)は、位置検出部70に予め記憶された操舵角φと各距離のテーブル値により算出することができる。あるいは、操舵角φに基づいて各ステアリングスピーカ30、40と右耳21、左耳22までの直線距離を3次元的に計算して算出することもできる。
(操舵角φが−90°から90°の範囲の場合)
操舵角φが−90°から90°の範囲の場合は、上記説明した制御部100による音像の定位制御において、ステアリングスピーカ30から右耳21までの距離L11、ステアリングスピーカ40から左耳22までの距離L22、ステアリングスピーカ30から左耳22までの距離L12、ステアリングスピーカ40から右耳21までの距離L21を、それぞれ、操舵角φの関数L11(φ)、L22(φ)、L12(φ)、L21(φ)として制御すればよい。
操舵角φが−90°から90°の範囲の場合は、上記説明した制御部100による音像の定位制御において、ステアリングスピーカ30から右耳21までの距離L11、ステアリングスピーカ40から左耳22までの距離L22、ステアリングスピーカ30から左耳22までの距離L12、ステアリングスピーカ40から右耳21までの距離L21を、それぞれ、操舵角φの関数L11(φ)、L22(φ)、L12(φ)、L21(φ)として制御すればよい。
(操舵角φが90°を超える場合)
操舵角φが90°を超える場合、あるいは、さらに1回転した場合等においては、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わることになる。したがって、このように、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わるようなステアリングの操作がされた場合は、図1、図5において、右音声信号S1と左音声信号S2の入力を入れ替えた状態で、制御部100による音像の定位制御を行なう。
操舵角φが90°を超える場合、あるいは、さらに1回転した場合等においては、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わることになる。したがって、このように、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わるようなステアリングの操作がされた場合は、図1、図5において、右音声信号S1と左音声信号S2の入力を入れ替えた状態で、制御部100による音像の定位制御を行なう。
(ステアリングスピーカ30、40と車室内スピーカ35、45を使用した音像の定位制御)
図1に示すように、ステアリングスピーカ30、40側のステアリングスピーカ制御部101と同様に、車室内スピーカ35、45の車室内スピーカ制御部102を備えている。
図1に示すように、ステアリングスピーカ30、40側のステアリングスピーカ制御部101と同様に、車室内スピーカ35、45の車室内スピーカ制御部102を備えている。
車室内スピーカ制御部102は、車室内スピーカ35を駆動する駆動部210、車室内スピーカ45を駆動する駆動部220を備えている。駆動部210は、右音声信号S3と、左音声信号S4の位相調整信号S43を加算して、増幅して車室内スピーカ35を駆動する。同様に、駆動部220は、左音声信号S4と、右音声信号S3の位相調整信号S34を加算して、増幅して車室内スピーカ45を駆動する。
位相調整回路215は、右音声信号S3の位相を調整(位相遅延)して、駆動部220に位相調整信号S34を出力する。位相調整は、右音声信号S3と位相調整信号S34の位相差α2として適宜設定可能である。
同様に、位相調整回路225は、左音声信号S4の位相を調整(位相遅延)して、駆動部210に位相調整信号S43を出力する。位相調整は、左音声信号S4と位相調整信号S43の位相差α2として適宜設定可能である。なお、この位相差α2の設定は、2つの車室内スピーカ35、45が座席10の中心線11を挟んで対称に配置されている場合であり、車室内スピーカ35、45が座席10の中心線11を挟んで非対称に配置されている場合等は、位相調整回路215と位相調整回路225で設定される位相差は異なる値とすることができる。
上記説明した駆動部210、220、位相調整回路215、225は、それぞれ、ゲインの調整が可能である。したがって、図1で示すように、駆動部210における右音声信号S3と位相調整信号S43の加算割合、駆動部220における左音声信号S4と位相調整信号S34の加算割合を調節できる。また、車室内スピーカ35、車室内スピーカ45から出力される音圧を調節でき、左右のステレオ音のバランスを調節することもできる。
制御部100は、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45から出力される音による立体音像が維持されるように各スピーカから出力される音の特性を制御する。
右耳21には、ステアリングスピーカ30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達すると共に、ステアリングスピーカ40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達する。また、右耳21には、車室内スピーカ35から出力される右チャンネルの音SD3と左チャンネルの位相調整された音SD4dが到達すると共に、車室内スピーカ45から出力される左チャンネルの音SD4と右チャンネルの位相調整された音SD3dが到達する。
右耳21に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dである。
また、右耳21に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dである。
したがって、制御部100は、右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dの合成音が最大となり、左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dの合成音が最小となるように制御する。
右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dの合成音が右耳21において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L11を進む音SD1、距離L31を進む音SD3、距離L21を進む音SD1d、距離L41を進む音SD3dとの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。なお、距離L11、距離L21は、前述の通りであり、距離L31は、車室内スピーカ35から右耳21までの距離、距離L41は、車室内スピーカ45から右耳21までの距離である。
左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dの合成音が右耳21において最小となるようにするには、距離L21を進む音SD2、距離L41を進む音SD4、距離L11を進む音SD2d、距離L31を進む音SD4d
との位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。
との位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。
上記示した左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dの合成音が右耳21において最小となるように設定することにより、右耳21の位置において、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、立体音像が維持される。
同様にして、左耳22には、ステアリングスピーカ40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達すると共に、ステアリングスピーカ30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達する。また、左耳22には、車室内スピーカ45から出力される左チャンネルの音SD4と右チャンネルの位相調整された音SD3dが到達すると共に、車室内スピーカ35から出力される右チャンネルの音SD3と左チャンネルの位相調整された音SD4dが到達する。
左耳22に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dである。
また、左耳22に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dである。
したがって、制御部100は、左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dの合成音が最大となり、右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dの合成音が最小となるように制御する。
左チャンネルの音SD2、SD4と左チャンネルの位相調整された音SD2d、SD4dの合成音が左耳22において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L22を進む音SD2、距離L42を進む音SD4、距離L12を進む音SD2d、距離L32を進む音SD4dとの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。なお、距離L11、距離L21は、前述の通りであり、距離L32は、車室内スピーカ35から左耳22までの距離、距離L42は、車室内スピーカ35から左耳22までの距離である。
右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dの合成音が左耳22において最小となるようにするには、距離L12を進む音SD1、距離L32を進む音SD3、距離L22を進む音SD1d、距離L42を進む音SD3d
との位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。
との位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差α1、α2を設定する。
右チャンネルの音SD1、SD3と右チャンネルの位相調整された音SD1d、SD3dの合成音が左耳22において最小となるように設定することにより、左耳22の位置において、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、立体音像が維持される。
上記示した制御部100による位相調整により、耳元に音を定位させることができ、2つのステアリングスピーカ30、40及び2つの車室内スピーカ35、45から出力される音による立体音像が維持されるように制御することができる。
図5に示すように、ステアリング8が回転操作されて操舵角φが検出された場合は、前述したように、距離L11、L22、L12、L21を関数L11(φ)、L22(φ)、L12(φ)、L21(φ)とする。関数L11(φ)、L22(φ)、L12(φ)、L21(φ)は、位置検出部70に予め記憶された操舵角φと各距離のテーブル値により算出することができる。
(音響装置1の動作)
音響装置1は、制御部100により、車両5の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、ステアリングスピーカ30、40又は車室内スピーカ35、45のうち特定のスピーカからの出力を実現して、車両5の座席10に着座した運転者20に対して立体音像が維持されるように特定のスピーカから出力される音の特性を制御する。
音響装置1は、制御部100により、車両5の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、ステアリングスピーカ30、40又は車室内スピーカ35、45のうち特定のスピーカからの出力を実現して、車両5の座席10に着座した運転者20に対して立体音像が維持されるように特定のスピーカから出力される音の特性を制御する。
制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態とする。開閉状態が閉の場合に、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45を特定のスピーカとする。すなわち、制御部100は、車室内スピーカ35、45を併用して、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45により、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。
また、制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態、及び、ステアリング8の回転角とする。開閉状態が開の場合で、かつ、回転角が所定の角度以上の場合に、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとする。すなわち、制御部100は、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとして、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。
音響装置1の動作を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
(Step1)
制御部100は、窓は閉まっているかどうかを検出する(Step1)。制御部100は、窓開閉検出部80から入力される信号により窓は閉まっているかどうかを判定することができる。窓が閉まっていない場合はStep2へ進み(Step1;No)、窓が閉まっている場合はStep3へ進む(Step1;Yes)。
制御部100は、窓は閉まっているかどうかを検出する(Step1)。制御部100は、窓開閉検出部80から入力される信号により窓は閉まっているかどうかを判定することができる。窓が閉まっていない場合はStep2へ進み(Step1;No)、窓が閉まっている場合はStep3へ進む(Step1;Yes)。
(Step2)
制御部100は、ステアリングの回転角が所定角度以上であるかどうかを検出する(Step2)。制御部100は、位置検出部70から入力される操舵角φにより、ステアリングの回転角が所定角度以上であるかどうかを判定できる。ステアリングの回転角が所定角度以上である場合はStep3へ進み(Step2;Yes)、ステアリングの回転角が所定角度以上でない場合はStep4へ進む(Step2;No)。
制御部100は、ステアリングの回転角が所定角度以上であるかどうかを検出する(Step2)。制御部100は、位置検出部70から入力される操舵角φにより、ステアリングの回転角が所定角度以上であるかどうかを判定できる。ステアリングの回転角が所定角度以上である場合はStep3へ進み(Step2;Yes)、ステアリングの回転角が所定角度以上でない場合はStep4へ進む(Step2;No)。
(Step3)
制御部100は、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう(Step3)。すなわち、制御部100は、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45を特定のスピーカとして、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45により、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。
制御部100は、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう(Step3)。すなわち、制御部100は、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45を特定のスピーカとして、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45により、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。
Step3において、窓85が閉まっている場合は、常に、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう。窓が閉まっている場合は、比較的安定した定位感が得られるため、ステアリングスピーカを併用することで定位感を向上させることができる。
また、Step3において、ステアリングの回転角が所定角度以上である場合は、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう。ステアリングスピーカ30、40は、当初の設計位置(水平)から外れて定位感が損なわれるが、車室内スピーカ35、45を併用することにより定位感を向上させることができる。
(Step4)
制御部100は、車室内スピーカ35、45を併用せずに、ステアリング搭載のステアリングスピーカ30、40で音像の定位制御を行なう(Step4)。窓85が閉まってない場合は、窓ガラスでの音の反射がなく車室内スピーカでは定位感は得られにくい。また、ステアリングの回転角が所定角度以内であれば、ステアリングスピーカ30、40は、当初の設計位置(水平)からの外れは小さく、定位感が得られやすい。
制御部100は、車室内スピーカ35、45を併用せずに、ステアリング搭載のステアリングスピーカ30、40で音像の定位制御を行なう(Step4)。窓85が閉まってない場合は、窓ガラスでの音の反射がなく車室内スピーカでは定位感は得られにくい。また、ステアリングの回転角が所定角度以内であれば、ステアリングスピーカ30、40は、当初の設計位置(水平)からの外れは小さく、定位感が得られやすい。
上記説明した本発明の実施の形態において、ステアリングスピーカ、車室内スピーカはそれぞれ2つのスピーカに限られず、3以上のスピーカが配置される場合にも適用可能である。すなわち、各スピーカから乗員の耳までの距離と位相差とを考慮し、右耳、左耳それぞれにおいて、合成音が最大、最小になるように位相差を設定することにより、右チャンネルの音と左チャンネルの音のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、3以上のスピーカの場合においても、耳元に音を定位させることができ、3つ以上のスピーカから出力される音による立体音像が維持されるように制御することができる。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態に係る音響装置は、車両5に搭載される音響装置1であって、車両に搭載される音響装置であって、ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、を備えて構成されている。車室内の状況が規定条件を満たす場合に、ステアリングスピーカ、車室内スピーカの中から特定の2以上のスピーカから音を出力して音像の定位制御を行なう。これにより、立体音像の維持を実現性の高いものとすることができる。
(2)制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態とする。開閉状態が閉の場合に、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45を特定のスピーカとする。制御部100は、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45により、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。窓が閉まっている場合は、比較的安定した定位感が得られるため、ステアリングスピーカと併用することで定位感を向上させることができる。
(3)制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態、及び、ステアリング8の回転角とする。ステアリング8の回転角は操舵角φで算出できる。開閉状態が開の場合で、かつ、操舵角φが所定の角度以上の場合に、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとする。制御部100は、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとして、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。ステアリングの回転角が所定角度以上である場合は、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう。ステアリングスピーカ30、40は、当初の設計位置(水平)から外れて定位感が損なわれるが、車室内スピーカ35、45を併用することにより定位感を向上させることができる。
(4)運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を検出する位置検出部70を備えているので、ステアリングが回転操作されて乗員(運転者)とスピーカとの相対位置が変化した場合であっても立体音像を維持できる。
(5)位置検出部70を備えているので、ステアリングが回転操作されて、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わる場合においても、乗員(運転者)の耳に定位する立体音像を維持するように制御可能である。
(6)ステアリングスピーカ30、40の指向性を全方位性(無指向性)のものとすることにより、車両5の運転に伴うステアリング8の回転操作時においても、ステアリングスピーカから出力される音の音像の定位が維持されやすい。
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態に係る音響装置は、車両5に搭載される音響装置1であって、車両に搭載される音響装置であって、ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、を備えて構成されている。車室内の状況が規定条件を満たす場合に、ステアリングスピーカ、車室内スピーカの中から特定の2以上のスピーカから音を出力して音像の定位制御を行なう。これにより、立体音像の維持を実現性の高いものとすることができる。
(2)制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態とする。開閉状態が閉の場合に、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45を特定のスピーカとする。制御部100は、ステアリングスピーカ30、40及び車室内スピーカ35、45により、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。窓が閉まっている場合は、比較的安定した定位感が得られるため、ステアリングスピーカと併用することで定位感を向上させることができる。
(3)制御部100は、規定条件を車両5の窓85の開閉状態、及び、ステアリング8の回転角とする。ステアリング8の回転角は操舵角φで算出できる。開閉状態が開の場合で、かつ、操舵角φが所定の角度以上の場合に、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとする。制御部100は、ステアリングスピーカ30、40を特定のスピーカとして、運転者20に対して立体音像が維持されるように出力される音の特性を制御する。ステアリングの回転角が所定角度以上である場合は、車室内スピーカ35、45を併用して、音像の定位制御を行なう。ステアリングスピーカ30、40は、当初の設計位置(水平)から外れて定位感が損なわれるが、車室内スピーカ35、45を併用することにより定位感を向上させることができる。
(4)運転者20と2つのステアリングスピーカ30、40の相対位置を検出する位置検出部70を備えているので、ステアリングが回転操作されて乗員(運転者)とスピーカとの相対位置が変化した場合であっても立体音像を維持できる。
(5)位置検出部70を備えているので、ステアリングが回転操作されて、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2の定位が入れ替わる場合においても、乗員(運転者)の耳に定位する立体音像を維持するように制御可能である。
(6)ステアリングスピーカ30、40の指向性を全方位性(無指向性)のものとすることにより、車両5の運転に伴うステアリング8の回転操作時においても、ステアリングスピーカから出力される音の音像の定位が維持されやすい。
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…音響装置、5…車両、7…インストルメントパネル、8…ステアリング、8a…中心線、9…スポーク部、10…座席、11…中心線、20…運転者、21…右耳、22…左耳、30…右スピーカ、31…出力軸、35…車室内スピーカ、36…音波面、40…左スピーカ、41…出力軸、45…車室内スピーカ、70…位置検出部、80…窓開閉検出部、85…窓、100…制御部、101…ステアリングスピーカ制御部、102…車室内スピーカ制御部、110…駆動部、115…位相調整回路、120…駆動部、125…位相調整回路、210…駆動部、215…位相調整回路、220…駆動部、225…位相調整回路、L11、L12、L21、L22…距離、S1…右音声信号、S12…位相調整信号、S2…左音声信号、S3…右音声信号、S34…位相調整信号、S4…左音声信号、S43…位相調整信号、SD1、SD1d、SD2、SD2d、SD1、SD1d、SD2、SD2d…音、α1…位相差、θ…指向角度
Claims (5)
- 車両に搭載される音響装置であって、
ステアリングの中心線に対して対称に配置された少なくとも2つのステアリングスピーカと、
座席に着座した乗員の正面よりも前側において前記座席の中心線を挟むように、前記車両に配置された少なくとも2つの車室内スピーカと、
前記車両の車室内の状況が規定条件を満たす場合に、前記車両の座席に着座した乗員に対して立体音像が維持されるように、前記ステアリングスピーカ及び前記車室内スピーカのうち、少なくとも2つの特定のスピーカから出力される音の特性を制御する制御部と、
を備える音響装置。 - 前記規定条件は、前記車両の窓の開閉状態である、請求項1に記載の音響装置。
- 前記制御部は、前記開閉状態が閉の場合に、前記特定のスピーカから出力される音の制御を行なう、請求項2に記載の音響装置。
- 前記規定条件は、前記ステアリングの回転角である、請求項1又は2に記載の音響装置。
- 前記制御部は、前記開閉状態が開の場合で、かつ、前記回転角が所定の角度以上の場合に、前記少なくとも2つのステアリングスピーカを前記少なくとも2つの特定のスピーカとして前記制御を行なう、請求項4に記載の音響装置。
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