JP2019044077A - リン含有エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

リン含有エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性、耐熱性、難燃性に優れたリン含有エポキシ樹脂、及びそのエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】式(b)で表される構造部位を有するリン含有エポキシ樹脂。(Arは芳香族環基;Zは特定の式で表されるリン含有基)【選択図】なし

Description

本発明は電子回路基板に用いられる銅張積層板、フィルム材、樹脂付き銅箔等を製造するエポキシ樹脂組成物や電子部品に用いられる封止材、成形材、注型材、接着剤、電気絶縁塗装材料等として有用なリン含有エポキシ樹脂、その製造方法とこの樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。
近年の電子機器の難燃化においては、環境影響低減への配慮からその燃焼時に発生する有毒ガスの抑制を目的として、従来の臭素化エポキシ樹脂に代表されるようなハロゲン含有化合物による難燃化からリン化合物による難燃化を図ったハロゲンフリー難燃化がすでに定着しつつあり、一般的にもリン難燃性エポキシ樹脂として広く使用され認識されている。
このような難燃性を付与したエポキシ樹脂の具体的な代表例としては、特許文献1〜4で開示されているようなリン化合物を応用する提案がなされている。特許文献1には10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、DOPO−HQと記す)とエポキシ樹脂類とを所定のモル比で反応させて得られる熱硬化性樹脂が開示されている。また特許文献2にはジフェニルホスフィニルハイドロキノンの製造方法について簡易に述べ、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、このジフェニルホスフィニルハイドロキノンを反応させて成るリン含有エポキシ樹脂について開示している。特許文献3にはエポキシ樹脂、リン原子上に芳香族基を有するホスフィン化合物及びキノン化合物を有機溶媒存在下で反応させる難燃性エポキシ樹脂の製造方法が開示されている。特許文献4にはリン含有多価フェノール化合物とエポキシ樹脂を反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物が開示されている。
特許文献5には9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、DOPOと記す)と1,4−ベンゾキノン(以下、BQと記す)及び/又は1,4−ナフトキノン(以下、NQと記す)を反応系内の総水分量が、反応に使用するDOPO全量に対して0.3質量%以下になるように制御して反応させて反応組成物を得る工程1と、工程1で得られた反応組成物を精製することなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と反応させる工程2を行ってリン含有難燃性ビスフェノール型エポキシ樹脂を製造する方法が開示されている。
ここでは、何れもDOPOやジフェニルホスフィンオキシド等のリン化合物に対してキノン化合物を反応させた後に2官能フェノール化合物を生成させ、これとエポキシ樹脂類との反応後に生成されるリン含有エポキシ樹脂について記載している。これらは何れも環境への影響を考慮したハロゲンフリー対応として上記リン化合物による難燃性の付与は当然であるが、リン含有エポキシ樹脂の硬化後における耐熱性を損なわないように、硬化物の架橋密度を上げるべく上記2官能フェノール化合物の形態として使用する方法を特徴として記している。
一方、これらのDOPOを付加した2官能フェノール化合物については、特許文献6〜7にその合成過程で生成される副生物の影響について記載している。特許文献6ではDOPOとNQを誘電率10以下の不活性溶媒中で副生物の含量を低減した反応を経た後、この反応組成物をエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサノン、ベンジルアルコール、酢酸エステル、安息香酸エステルから選ばれる溶媒に溶解し、再結晶精製する方法が記されている。この文献ではDOPOが付加した2官能フェノール化合物の結晶性を高めることで不純物や水分を取り除き、課題である耐ハンダ耐熱性の向上を図るものであるが、精製における再結晶化工程はプリント基板等で使用するには高価であり汎用性に乏しく、またプリプレグ製造用のワニスの調整においては一般的に使用されるメチルエチルケトン等の溶媒に対してこれらリン含有樹脂は難溶であり、結晶の沈降の影響によるガラスクロスへの含浸不良や基板成型後での機械特性や耐熱性、均一な難燃性といった点での特性悪化が懸念される。また、これら結晶の溶融開始温度が280℃以上の高温であることから、200℃前後の一般的なプリント基板でのプレス温度条件下では硬化不良が生じ、目的とする耐熱や難燃性等の特性が得られないといった点も問題とされていた。このような理由から、上記DOPO等のリン化合物をキノン化合物に付加した多官能フェノール化合物は、反応後に精製は行わず、エポキシ樹脂と反応させたリン含有エポキシ樹脂として取り扱う方法が経済的に有利である。
特許文献7ではリン含有フェノール化合物を製造する際の副生物について言及している。エポキシ樹脂とこのリン含有フェノール化合物を反応させてリン含有エポキシ樹脂として取り扱う際、この副生物の含有量を規定することで、硬化反応の際の著しい硬化遅延を抑制できる内容について記載されている。そして、この副生物は僅かな含有量程度であっても、硬化性を阻害するのに影響が非常に大きく、この含有量の抑制は重要である事が記されている。
しかしながら、いずれの文献においても本発明のリン含有エポキシ樹脂はもちろん、その製造で使用するリン化合物については言及されておらず、そのリン化合物の製造条件やその効果について見いだされていない。
特開平04−11662号公報 特開平05−214070号公報 特開2000−309624号公報 特開2002−265562号公報 特開2006−342217号公報 特開2013−43910号公報 国際公開2009/060987号
非ハロゲン系のエポキシ樹脂硬化物の難燃処方として、硬化物の耐熱性を低下させることなく、優れた難燃性を発現させるリン含有エポキシ樹脂、及びそのリン含有エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、DOPOに代表されるリン化合物とキノン化合物とを反応して得られる特定のリン含有フェノール化合物が、従来知られていたリン含有フェノール化合物に比べて難燃性に優れた特性を有し、そのリン含有フェノール化合物と多官能エポキシ樹脂とを反応して得られるリン含有エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物が、その硬化物において優れた難燃性に加え、耐熱性の向上や吸水率の低下によるハンダリフロー性等の特性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(b)で表される構造部位(以下、構造部位bと記す)を有することを特徴とするリン含有エポキシ樹脂である。
Figure 2019044077
ここで、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環から選ばれる芳香族環基を示し、これらの芳香族環基は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、又は炭素数7〜11のアラルキルオキシ基のいずれかを置換基として有してもよい。
Zは下記式(a)で表されるリン含有基である。
Figure 2019044077

ここで、R、Rはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐鎖状、又は環状であってもよく、また、RとRが結合し、環状構造部位となっていてもよい。n1、n2はそれぞれ独立に、0又は1である。
上記リン含有エポキシ樹脂は、更に下記式(c)で表される構造部位(以下、構造部位cと記す)を有することができる。
Figure 2019044077

ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。
また、本発明は、下記式(b1)で表される構造を有するリン含有エポキシ樹脂であり、下記式(c1)で表される構造を有することができる。
Figure 2019044077
ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。Eは−R−Aで表される有機基であり、−R−は多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と水酸基との反応で生じる連結基であり、Aは多官能エポキシ樹脂の残基であり、A1モル当たり1モル以上のエポキシ基又はそのエポキシ誘導基を有し、ここで、少なくとも一部はエポキシ基であり、上記エポキシ誘導基はリン含有基Zと水酸基がArに結合した構造を有するフェノール化合物とエポキシ基から生じる基であり、式(b1)と式(c1)のEは、他の式(b1)又は式(c1)のEと共用されてもよい。Yは水素原子又はEである。
上記のリン含有エポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるリン含有フェノール化合物(1)の水酸基と多官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させて得られる。
Figure 2019044077

ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。
また、本発明は、上記式(1)で表されるリン含有フェノール化合物(1)を必須成分として含むエポキシ基と反応性の官能基を有する化合物からなる反応剤(x)と、多官能エポキシ樹脂(y)とを反応させることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂の製造方法である。
上記反応剤(x)が、エポキシ基と反応性の官能基を有するリン化合物(p)を含み、このリン化合物(p)は、リン含有フェノール化合物(1)と下記式(2)で表されるリン含有フェノール化合物(2)を含むこと、リン含有フェノール化合物(1)の含有率がリン化合物(p)の0.1〜35質量%であることがよい。より好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは1.0〜25質量%である。
Figure 2019044077

(ここで、Ar、Zは式(1)のAr及びZとそれぞれと同義である。)
上記リン含有エポキシ樹脂の製造方法において、リン化合物(p)が、下記式(3)で表されるリン化合物(3)1モルに対し、キノン化合物(q)を0.10モル以上1.0モル未満となるように仕込み、リン化合物(3)1モルに対して、0.05〜0.5モルの水分量の有機溶媒中で、100〜200℃で反応させることで得られるものであることがよい。
Figure 2019044077

ここで、R、R、n1、及びn2は式(a)のR、R、n1、及びn2とそれぞれ同義である。
上記反応剤(x)が、リン化合物(p)以外のエポキシ基と反応性の官能基を有する化合物(x1)を含むこともできる。
また、本発明は上記のリン含有エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明はこのエポキシ樹脂組成物を使用して得られる回路基板用材料、封止材、又は注型材である。また、本発明はこのエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明のリン含有エポキシ樹脂を使用した硬化物は、従来のリン化合物から得られたリン含有エポキシ樹脂を使用した硬化物と比べて、著しく難燃性が向上する。すなわち、難燃性を付与する目的であるリン含有率を低く抑えることができるため、エポキシ樹脂中の官能基数を示すエポキシ当量も低く維持ができ、これによって硬化物の耐熱性が大きく向上することができる。また、同時にリン含有率を低く抑えることで吸水率の低下も達成でき、積層板等の硬化物のハンダリフロー性等の熱安定性に優れたリン含有エポキシ樹脂及び電子回路基板用材料を提供することができる。
実施例11で得たリン含有エポキシ樹脂のGPCチャートである。 実施例11で得たリン含有エポキシ樹脂のFT−IRのチャートである。 合成例1で得たリン化合物のHPLCのチャートである。 合成例2で得たリン化合物のNMRのチャートである。
本発明のリン含有エポキシ樹脂は、上記式(b)で表される構造部位bを有する。そしてこの構造部位bは、リン含有フェノール化合物(1)とエポキシ樹脂を反応させることで、リン含有エポキシ樹脂内に導入される。
式(b)において、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環から選ばれる4価の芳香族環基を示す。芳香族環基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環のみからなっていてもよく、置換基を有していてもよい。
置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、又は炭素数7〜11のアラルキルオキシ基であり、置換基が芳香族環を有する場合はその芳香族環は更にアルキル基又はアルコキシ基等で置換されていてもよい。
例えば、炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基又はアリールオキシ基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、炭素数7〜11のアラルキル基又はアラルキルオキシ基としては、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、ベンジルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基等が挙げられる。
好ましいArとしては、ベンゼン環基、メチル基置換ベンゼン環基、1−フェニルエチル基置換ベンゼン環基、ナフタレン環基、メチル基置換ナフタレン環基、又は1−フェニルエチル基置換ナフタレン環基がある。ここで、ベンゼン環基はベンゼン環から4個のH(水素原子)を除いて生じる基であり、ナフタレン環基はナフタレン環から4個のHを除いて生じる基であり、Hを除く位置は限定されない。
Zは上記式(a)で表されるリン含有基である。
式(a)において、R及びRはヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それぞれは異なっていても同一でも良く、直鎖状、分岐鎖状、環状であってもよい。また、RとRが結合して環状構造を形成してもよい。特に、ベンゼン環などの芳香族環基が好ましい。R及びRが芳香族環基の場合は置換基として、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は炭素数7〜11のアラルキルオキシ基を有してもよい。ヘテロ原子としては、酸素原子等が例示され、これは炭化水素鎖又は炭化水素環を構成する炭素間に含まれることができる。
n1及びn2は0または1であり、相互に独立である。
なお、本明細書では、式(a)〜(c)、(a1)、(a2)、(b1)、(c1)、(1)〜(6)において、共通の記号は特に断りがない限り同義である。
上記式(a)で表されるリン含有基は、下記式(a1)又は(a2)で表されるものであることが好ましい。
Figure 2019044077

Figure 2019044077
式(a1)及び式(a2)において、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜11の炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基が挙げられ、メチル基、フェニル基、ベンジル基が好ましい。m1はそれぞれ独立に0〜4の整数であり、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。m2はそれぞれ独立に0〜5の整数であり、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。
式(a)で表されるリン含有基の他の好ましい例としては、下記式(a3)〜(a12)で表されるリン含有基が挙げられる。
Figure 2019044077
本発明のリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、100〜1500が好ましく、160〜1200がより好ましく、200〜800が更に好ましく、250〜700が特に好ましい。エポキシ当量が低いと、リン構造の導入が少なく難燃性が悪化する恐れがある。エポキシ当量が高いと必要以上に分子鎖が長くなり、溶剤溶解性の悪化や樹脂粘度の増大といった悪影響が多くなる恐れがある。又は、エポキシ基との付加反応部分が多く、エポキシ基が少なくなっている。従って、硬化物の架橋密度が低くなることから半田リフローの温度において弾性率が低下する等、使用上で大きな問題となる恐れがある。但し、反応性の難燃剤として使用する場合は、エポキシ基が1つでもあればよいので、エポキシ当量の上限は特に気にしなくてもよい。
また、リン含有率は、単に難燃剤として使用する場合は、高ければ使用量が少なくても難燃性が発揮されるため好ましい。しかし、エポキシ樹脂としての効果を持った状態で使用する場合のリン含有率は、リン含有エポキシ樹脂中において、リンとして0.5〜15質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1.5〜6.0質量%が更に好ましく、2.0〜3.5質量%が特に好ましい。リン含有率が低いと、難燃性が悪化する恐れがある。リン含有率が高いと難燃性の向上効果より、溶剤溶解性、耐吸湿性の悪化や樹脂粘度の増大といった悪影響が多くなる恐れがある。そのため、上限を管理することが効果的である。
本発明のリン含有エポキシ樹脂は、構造部位bを全く持たないリン含有エポキシ樹脂と比較して、リン含有率が同じ場合、難燃性及び耐熱性が向上する。リン含有エポキシ樹脂中の構造部位bの定量はできず、定性もかなり難しい。例えば、リン含有エポキシ樹脂中の低分子成分のみを単離した後、NMR等の分析により存在を確認することができるが、単離には分取等の操作が必要である。簡単には、原料として使用するリン化合物に含まれる水酸基とエポキシ基との反応はほぼ定量的に進行するので、原料として使用するリン化合物を分析して、それに含まれるリン含有フェノール化合物(1)の量から計算できる。傍証としては、リン含有エポキシ樹脂中のリン含有フェノール化合物(1)の残存量を測定する方法がある。構造部位bの導入にはリン含有フェノール化合物(1)が不可欠であり、通常の反応条件ではリン含有フェノール化合物(1)が微量ではあるが残存する場合がある。その残存するリン含有フェノール化合物(1)を確認することで、構造部位bを有する本発明のリン含有エポキシ樹脂かどうか判断できる。具体的には、最低検出感度が0.01質量%の測定条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定で検出するかどうかで判断する。構造部位bは、リン含有エポキシ樹脂中に0.01〜60質量%が好ましく、0.1〜50質量%がより好ましく、1.0〜40質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
本発明のリン含有エポキシ樹脂は、上記構造部位bを有するが、更に構造部位cを有することが好ましい。これら構造部位b、cを含む全体としては上記式(b1)、又は上記式(b1)と式(c1)で表される構造となる。式(b1)と式(c1)中のEは、−R−Aで表される有機基であり、−R−は多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と水酸基との反応で生じる連結基であり、Aは多官能エポキシ樹脂の残基であり、A1モル当たり1モル以上のエポキシ基又はそのエポキシ誘導基を有し、ここで、少なくとも一部はエポキシ基であり、上記エポキシ誘導基はリン含有基Zと水酸基がArに結合した構造を有するフェノール化合物とエポキシ基から生じる基である。そして、式(b1)と式(c1)のEは、他の式(b1)又は式(c1)のEと共有することができる。
原料として使用されるリン化合物の水酸基は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応して連結基Rを形成して両者を結合する。連結基Rは、エポキシ樹脂の種類によって定まる。エポキシ樹脂が、グリシジルエーテルやグリシジルエステルの場合は、−R−Aは−CH−CH(OH)−CH−O−Aで表され、グリシジルアミンの場合は、−CH−CH(OH)−CH−N−A表され、ポリビニルアレーンポリオキシドの場合は−CH−CH(OH)−Aで表されものとなる。また、エポキシ樹脂がセロキサイドのような脂環式の場合は、下記式(E1)で表されるものとなる。水酸基と各種エポキシ樹脂のエポキシ基との反応機構は周知であるので、上記及び後記する反応式から連結基Rを理解することが可能である。
Figure 2019044077
は多官能エポキシ樹脂の残基であり、そのエポキシ基の1つは連結基Rを形成するために使用され、他のエポキシ基は未反応のまま残るか、更に原料として使用されるリン化合物と反応してエポキシ誘導基となる。すなわち、リン化合物はリン含有基Zと水酸基がArに結合した構造を有するフェノール化合物であるため、リン化合物の水酸基と、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基とが反応して連結基Rを形成し、多官能エポキシ樹脂が連結基Rを介してリン化合物のArに結合した構造のエポキシ誘導基となる。エポキシ誘導基となるリン化合物は、式(1)のリン化合物であってもよく、式(2)のリン化合物であってもよく、結果として同時に構造部位bと構造部位cを有するものとなることができる。そして、Aは連結基Rを更に有することができるため、Aを内在するEは、式(b1)のEでもあり、式(c1)のEでもあることができ、共有することができる。共有するとは、式(b1)のArをArとし、式(c1)のArをArとしたとき、Ar−E−Arのような構造となることを言い、これは式(b1)と式(c1)の両方を満足する。すなわち、式(b1)と式(c1)の構造が別々に存在してもよく、上記のようにEを共有して一分子中に存在してもよい。そして、式(b1)と式(c1)は、樹脂でもあるので、E中には、別のE又は連結基Rを介して複数の式(b)、式(c)又は両者の構造部位が連結した構造を有することができる他、Eに対応する残基部位E’を内在することができる。
1モル当たり1モル以上のエポキシ基又はそのエポキシ誘導基を有し、ここで、少なくとも一部はエポキシ基である。多官能エポキシ樹脂はエポキシ基を複数有する結果、架橋して一分子中に上記構造部位bと構造部位cを同時に有することができる。しかし、エポキシ樹脂であるから、上記エポキシ当量を満足するに必要なエポキシ基を有する。Aの詳細は後記する本発明のリン含有エポキシ樹脂の具体例及び反応式から理解される。
本発明のリン含有エポキシ樹脂は、上記式(1)で表されるリン化合物の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させて得られる。
本発明のリン含有エポキシ樹脂の製造方法について、説明する。
本発明のリン含有エポキシ樹脂の製造方法としては本発明特有の製造方法はなく、リン含有フェノール化合物(1)を必須とする反応剤(x)と、多官能エポキシ樹脂(y)とを反応すればよい。例えば、特開平11−279258号公報に記載されている方法や、フェノール化合物とエポキシ樹脂の反応方法であるアドバンス法等の公知公用の方法を使用することができる。
反応剤(x)は、エポキシ基と反応する官能基を有する1種又は2種以上の化合物からなるが、エポキシ基と反応性の官能基を有する化合物としては、リンを含有するリン化合物(p)と、リンを含まない化合物(x1)とに分けることができる。反応剤(x)はリン化合物(p)を必須とし、化合物(x1)は必要により含むことができる、そして、反応剤(x)、又はリン化合物(p)は、リン含有フェノール化合物(1)を必須成分とする。
リン含有フェノール化合物(1)は、リン含有フェノール化合物(2)のような他のリン含有フェノール化合物又はエポキシ基と反応性の官能基を有するそれ以外リン化合物を含むリン化合物(p)として使用することができる。リン含有フェノール化合物(1)は、後記する反応によって得られるが、通常は副生物や未反応物を含む反応混合物として得られる。このような反応混合物、又はそれを部分的に精製した混合物は、リン化合物(p)として優れる。反応剤(x)は、リン化合物(p)以外のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物(x1)を含むことができる。
このリン化合物(p)はリン含有フェノール化合物(1)単独であってもよいし、エポキシ基と反応性の官能基を有するそれの以外リン化合物との混合物であってもよい。リン含有フェノール化合物(1)は、難燃剤として従来知られているリン含有フェノール化合物(2)やリン化合物(3)と比較して耐熱性や難燃性がよい。その理由は次のように考えられる。リン含有フェノール化合物(1)やリン含有フェノール化合物(2)は2官能であるため硬化物全体に均一に取り込まれるが、リン含有フェノール化合物(1)はリン含有フェノール化合物(2)に比べ、リン原子が偏在するため硬化物のチャー形成がはるかに優位に進むため難燃性が向上すると考えられる。また、リン化合物(3)が単官能なのに対して、リン含有フェノール化合物(1)は2官能なので、硬化物の耐熱性が向上すると考えられる。
本発明に使用されるリン含有フェノール化合物(1)は、リン化合物(3)とキノン化合物(q)とを、リン化合物(3)1モルに対し、0.1モル以上1.0モル未満の範囲になるようにキノン化合物(q)を仕込み、リン化合物(3)1モルに対して0.05〜0.5モルの水分を存在させた有機溶媒中で、100〜200℃で反応させることで得られる。この反応は還流状態で行うことが好ましい。
この反応式の一例を下記反応式(5)に示す。反応式(5)は、リン化合物(3)とキノン化合物(q)との反応で得られるリン含有フェノール化合物(1)の生成を例示するが、その時副生するリン含有フェノール化合物(2)やリン化合物(4)も例示し、更に原料リン化合物(3)が不純物として残存する例である。なお、Z−HにおけるZは、式(a)で表されるリン含有基である。
Figure 2019044077

ここで、Ar及びZは、式(1)のAr及びZとそれぞれ同義である。[Ar]は下記反応式(6)が成立する芳香族環基である。
Figure 2019044077

ここで、Arは、式(1)のArと同義である。
上記反応式(5)を、具体的な化合物として、DOPO(3−1)とNQ(q)を使用した例で示すと、下記反応式(5−1)となる。
Figure 2019044077
リン含有フェノール化合物(1)としては、原料のリン化合物(3)やキノン化合物(q)を選択することによって、上記(1−1)以外にも、例えば、下記式(1−2)〜(1−5)で表されるリン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2019044077
リン含有フェノール化合物(1)は、例えば、キノン化合物がBQの場合は3種類の異性体が存在し、NQの場合は9種類の異性体が存在する。これらの異性体の内、1位と4位の水酸基に対して、2位と3位にリン含有基Zがあるリン化合物(1’)が好ましい。好ましいリン化合物(1’)を例示すると、下記式(1’−1)〜(1’−5)で表されるリン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2019044077
リン化合物(p)は、リン含有フェノール化合物(1)を単離したものでもよいが、上記反応式に示す副生成物が混合された状態の反応混合物や、この反応混合物に含まれる副生物を低減するために、抽出、洗浄、再結晶、蒸留等の精製操作等を行った後の濃縮物を使用することができる。また、単離又は濃縮されたリン含有フェノール化合物(1)と、リン含有フェノール化合物(2)等の他のリン化合物との混合物であってもよい。リン化合物(4)は特許文献7で開示されているように硬化性に悪影響を及ぼすため除去されることが好ましい。
リン含有フェノール化合物(1)を単離するためには、煩雑な工程を多数要するため、工業的にはリン含有フェノール化合物(2)やリン化合物(3)と混合された状態で使用することが好ましい。この場合はリン含有フェノール化合物(1)を単独で使用する場合より難燃性が若干劣るため、組成物中のリン含有率を若干高めるように使用することが好ましい。
この場合、リン含有フェノール化合物(1)の含有率は、リン化合物(p)の0.1〜35質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは1.0〜25質量%である。リン含有フェノール化合物(1)を全く含まないリン化合物(p)に対し、0.1質量%以上あれば難燃性の向上効果は認められる。また、上限に関しては高い方が難燃性の向上効果は高いが、実際の反応を考慮した場合、リン化合物(4)等の副生する不純物を抑制するといった観点から、35質量%程度に制御することが好ましい。
反応式(5)に示す反応では、リン含有フェノール化合物(1)と副生するリン含有フェノール化合物(2)及びリン化合物(4)との競争反応が起こる。リン含有フェノール化合物(1)の得量を高めるためには、リン化合物(3)に対するキノン化合物(q)のモル比を高くすることが好ましい。リン化合物(3)1モルに対し、キノン化合物(q)は0.1モル以上1.0モル未満の範囲であり、好ましくは0.2モル以上0.99モル以下であり、より好ましくは0.25モル以上0.85モル以下であり、更に好ましくは0.3モル以上0.9モル以下である。モル比が低い場合は、キノン化合物(q)に対するリン化合物(3)の反応性が著しく高いため、早々に反応が完結してリン含有フェノール化合物(1)は生成し難くなる。
上記モル比が0.10未満の場合は、キノン化合物(q)の使用量が少なく、リン含有フェノール化合物(1)やリン含有フェノール化合物(2)の生成よりも、リン化合物(3)の残存量が増える。そのため、リン含有エポキシ樹脂の変性剤としてそのまま使用した場合、リン化合物(3)による末端エポキシ基の封止構造部位が増え、架橋点の低下を招くため硬化物としての耐熱性が低下してしまう。また、リン化合物(3)を低減するためには精製工程が必要であり、同時に大きなロスも生じるため工業的に不利益であり好ましくない。
一方、反応モル比が1.0以上の場合は、リン含有フェノール化合物(1)の生成に効果的ではあるが、反面で未反応のキノン化合物(q)が残存しやすく反応後の洗浄工程が必須となり工業的に不利益であり好ましくない。
上記のモル比以外にも、反応温度がリン含有フェノール化合物(1)の生成に影響を与える。反応温度は100〜200℃が好ましく、その温度で水と共沸していることがより好ましい。そのため、還流温度を100〜200℃に維持できる有機溶媒を使用することが好ましい。水分により還流温度が低下するため、沸点として、高めが好ましく、100〜220℃がより好ましく、110〜180℃が更に好ましい。また、還流温度を維持できれば、沸点の低い有機溶媒を併用してもよい。なお、リン含有フェノール化合物(1)の合成後にそのままリン含有エポキシ樹脂の変性剤として使用する場合、沸点が著しく高い有機溶媒を使用すると、使用した有機溶媒を除去することが困難となるため好ましくない。その場合は、還流温度を100〜160℃に維持できる有機溶媒が好ましく、沸点が100〜160℃の有機溶媒がより好ましい。また有機溶媒の種類としては、リン化合物(3)と反応性のあるケトン系有機溶媒は適さないが、上記条件を満たすそれ以外の有機溶媒であれば特に限定されるものではない。
使用できる有機溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、セロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコールアセテート等の酢酸エステル類や、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の安息香酸エステル類や、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、ジメトキシジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類や、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は単独でも2種類以上混合して使用してもよい。
また、リン含有フェノール化合物(1)の生成を促進するために反応系内水分量も重要である。原料リン化合物(3)1モルに対して水分量を0.05〜0.5モルの範囲に調節することが効果的である。このリン含有フェノール化合物(1)の生成が促進される要因については現状では未解明ではあるが、その反応機構については、キノン化合物(q)のC=O基に隣接する炭素へ、リン化合物が反応、結合する際に、水との親和性の良いリン化合物が2分子間で一部水素結合することでほぼ同時に2つの付加反応が起こるものと推察される。原料リン化合物(3)1モルに対する水分量は、0.1〜0.5モルがより好ましく、0.2〜0.4モルが更に好ましい。
上記反応で使用するキノン化合物(q)は工業製品として純度が90%以上であれば問題なく使用できる。純度がこれ以下であると、このリン含有エポキシ樹脂の硬化物としての特性に悪影響を与え、オーブン耐熱性やハンダリフロー特性での耐久性を低下させる。好ましい純度は96%以上であり、より好ましい純度は98%以上である。これらキノン化合物(q)はその有害性から飛散防止用に予め含水状態で製造メーカより販売される場合がある。この場合、反応には予めこのキノン化合物(q)中の水分量を考慮した調整が必要である。これらキノン化合物(q)は単独でも2種類以上混合して使用してもよい。
キノン化合物(q)として、式(1)中のArがベンゼン環になる場合は、例えば、ベンゾキノン、メチル−ベンゾキノン、エチル−ベンゾキノン、ブチル−ベンゾキノン、ジメチル−ベンゾキノン、ジエチル−ベンゾキノン、ジブチル−ベンゾキノン、メチル−イソプロピル−ベンゾキノン、ジエトキシ−ベンゾキノン、メチル−メトキシ−ベンゾキノン、フェニル−ベンゾキノン、トリル−ベンゾキノン、エトキシ−フェニル−ベンゾキノン、ジフェニル−ベンゾキノン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(1)中のArがナフタレン環になる場合は、例えば、ナフトキノン、メチル−ナフトキノン、シクロヘキシル−ナフトキノン、メトキシ−ナフトキノン、エトキシ−ナフトキノン、ジメチル−ナフトキノン、ジメチル−イソプロピル−ナフトキノン、メチル−メトキシ−ナフトキノン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(1)中のArがアントラセン環になる場合は、例えば、アントラキノン、メチル−アントラキノン、エチル−アントラキノン、メトキシ−アントラキノン、ジメトキシ−アントラキノン、ジフェノキシ−アントラキノン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(1)中のArがフェナントレン環になる場合は、例えば、フェナントレンキノン、メチル−フェナントレンキノン、イソプロピル−フェナントレンキノン、メトキシ−フェナントレンキノン、ブトキシ−ナフトキノン、ジメトキシ−フェナントレンキノン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記反応で使用する原料のリン化合物(3)としては、例えば、ジメチルホスフィンオキシド、ジエチルホスフィンオキシド、ジブチルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィンオキシド、ジベンジルホスフィンオキシド、シクロオクチレンホスフィンオキシド、トリルホスフィンオキシド、ビス(メトキシフェニル)ホスフィンオキシド等や、フェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸エチル、トリルホスフィン酸トリル、ベンジルホスフィン酸ベンジル等や、DOPO、8−メチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、8−フェニル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,6,8−トリ−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、6,8−ジシクロヘキシル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等や、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジトリル、ホスホン酸ジベンジル、5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのリン化合物(3)は単独でも2種類以上混合して使用してもよい。
本発明の製造方法において、使用される多官能エポキシ樹脂(y)としては、分子内にエポキシ基を2個以上、好ましくは3個以上有しているものを使用することがよい。具体的には、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルアミン化合物、ポリグリシジルエステル化合物、脂環式エポキシ樹脂、その他変性エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、同一系のエポキシ樹脂を2種類以上併用して使用しても良く、また、異なる系のエポキシ樹脂を組み合わせて使用してもよい。これらのエポキシ樹脂の中で、コスト面や耐熱性、難燃性等の特性面から特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂が汎用性に優れており好ましい。
ポリグリシジルエーテル化合物としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルノボラック型エポキシ樹脂、スチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルキレングリコール型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリグリシジルアミン化合物としては、具体的には、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリグリシジルエステル化合物としては、具体的には、ダイマー酸型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、トリメリット酸型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
脂環式エポキシ樹脂としては、セロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製)等の脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他変性エポキシ樹脂としては、具体的には、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、ポリビニルアレーンポリオキシド(例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、トリビニルナフタレントリオキシド等)、リン含有エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
リン含有フェノール化合物(1)と多官能エポキシ樹脂(y)との反応を具体的に例示する。エポキシ樹脂として下記式(y−1)で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂を、リン含有フェノール化合物として上記式(1−1)を使用した場合は、1例として、下記式(7−1)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。これは2個のフェノールノボラック型エポキシ樹脂と1個の式(1−1)のリン含有フェノール化合物(1)とが反応した例示である。
Figure 2019044077

ここで、Gはグリシジル基を示す。k1及びk2は繰り返し数で1以上の数である。
エポキシ樹脂として下記式(y−1)で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂を、リン化合物として上記式(1−1)と式(3−1)を使用した場合は、1例として、下記式(7−2)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。これは2個のフェノールノボラック型エポキシ樹脂と1個の式(1−1)のリン含有フェノール化合物(1)と1個以上の式(3−1)のリン化合物(3)とが反応した例示である。
Figure 2019044077

ここで、Gはグリシジル基を示す。k1、k2、k5及びk8は繰り返し数で1以上の数である。k3、k4、k6及びk7は繰り返し数で0以上の数であり、各k5個のk3とk4の総和はk1であり、各k8個あるk6とk7の総和はk2であり、k5個のk3及びk8個のk6の内少なくとも1つは1以上の数である。
エポキシ樹脂として下記式(y−2)で表されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂を、リン化合物として上記式(1−1)を使用した場合は、1例として、下記式(8−1)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。
Figure 2019044077

ここで、Gはグリシジル基を示す。
エポキシ樹脂として下記式(y−3)で表されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂を、リン化合物として上記式(1−1)を使用した場合は、1例として、下記式(9−1)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。
Figure 2019044077

ここで、Gはグリシジル基を示す。
エポキシ樹脂として下記式(y−4)で表される脂環式エポキシ樹脂を、リン化合物として上記式(1−1)を使用した場合は、1例として、下記式(10−1)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。
Figure 2019044077
エポキシ樹脂として下記式(y−5)で表されるポリビニルアレーンポリオキシドを、リン化合物として上記式(1−1)を使用した場合は、1例として、下記式(11−1)で表されるリン含有エポキシ樹脂が得られる。
Figure 2019044077
反応剤(x)は、リン化合物(p)以外のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物(x1)として、各種エポキシ樹脂変性剤を必要に応じて使用することにより、エポキシ当量や分子量等を調整することもできる。各種エポキシ樹脂変性剤としては、フェノール化合物、アミン化合物、カルボン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらエポキシ樹脂変性剤は単独で使用してもよいし、同一系のエポキシ樹脂変性剤を2種類以上併用しても良く、また、異なる系のエポキシ樹脂変性剤を組み合わせて使用してもよい。使用できる量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
上記フェノール化合物としては、具体的には、ノニルフェノール、tert−ブチルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール等のモノフェノール化合物や、ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、テトラブチルビスフェノールA、ビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジメチルビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、テトラメチルビスフェノールZ、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキシスチルベン類等のビスフェノール類や、ビフェノール、ジメチルビフェノール、ジエチルビフェノール、ジ−tert−ブチルビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール類や、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、メチルカテコール、ジメチルカテコール、メトキシカテコール、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ジメチルレゾルシノール、メトキシレゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン類や、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン等のポリヒドロキシナフタレン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂、スチレン化フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合ノボラック樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類との縮合物や、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂や、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類とキシリレングリコール及び/又はキシリレンジハライドとの縮合物や、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンとの反応物や、フェノール類及び/又はナフトール類とイソプロペニルアセトフェノンとの縮合物や、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂等のフェノール類及び/又はナフトール類とビフェニル系縮合剤との縮合物等のフェノール化合物等や、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミン等でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)や、テルペンフェノール樹脂、重質油変性フェノール樹脂等の種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多官能フェノール樹脂や、これらの多官能フェノール樹脂がアルキル基、アルコキシ基、アリール基等の置換基で核置換された多官能フェノール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの多官能フェノール化合物の原料としては、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、トリメチルフェノール、フェニルフェノール等が挙げられる。ナフトール類は、1−ナフトール、2−ナフトールが挙げられる。また、厳密にはナフトールではないが、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール等のナフタレンジオール類もナフトール類に含む。アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。ビフェニル系縮合剤としてビス(メチロール)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(エトキシメチル)ビフェニル、ビス(クロロメチル)ビフェニル等が挙げられる。
アミン化合物としては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、アニリン、フェニレンジアミン、トルイジン、キシリジン、ナフチルアミン、メチルナフタレンアミン、キシリレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジメチルジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルケトン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノフェニル)フルオレン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノベンズアニリド、ジアミノビフェニル、ジメチルジアミノビフェニル、テトラメチルベンジジン、ビフェニルテトラアミン、ビスアミノフェニルアントラセン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノフェノキシフェニルエーテル、ビスアミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェノキシフェニルスルホン、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン、ジアミノナフタレン、メチルナフタレンジアミン、テトラヒドロナフタレンジアミン、デカヒドロナフタレンジアミン、ジアミノビナフタレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カルボン酸としては、具体的には、酢酸、ラウリン酸、安息香酸等のモノカルボン酸や、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルフタル酸、メチルイソフタル酸、メチルテレフタル酸、α−カルボキシフェニル酢酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のリン含有エポキシ樹脂の製造方法において、反応剤(x)と多官能エポキシ樹脂(y)のモル比は、反応剤(x)が有するエポキシ基との反応性の官能基(フェノール性水酸基等)と、多官能エポキシ樹脂(y)が有するエポキシ基の当量比が、1:0.5〜2.0となる範囲がよい。
この反応温度としては100〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましい。この反応の速度が遅い場合には必要に応じて触媒を使用して生産性の改善を計ることができる。
使用できる触媒としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリス(パラ−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(tert−ブトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類や、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等の四級ホスホニウム塩類や、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類や、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩類や、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類等の公知慣用の触媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの触媒は単独で使用してもよいし、同一系の触媒を2種類以上併用して使用しても良く、また、異なる系の触媒を組み合わせて使用してもよい。これら触媒を使用する場合の使用量は、反応剤(x)100質量部に対して、0.002〜2質量部が好ましく、0.003〜1質量部がより好ましく、0.005〜0.5質量部が更に好ましい。使用量が多くなると、反応制御が難しく、安定した粘度のリン含有エポキシ樹脂が得られない恐れがある。更に、本発明のエポキシ樹脂組成物における貯蔵安定性に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、必要に応じて非反応性の有機溶媒を使用してもよい。具体的には、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ジメチルブタン、ペンテン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、アミルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、ジオキサン、メチルフラン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルカルビトール等のエーテル類や、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセタート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等のエステル類や、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類や、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類や、テトラメチル尿素等のウレア類や、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら非反応性の有機溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上混合して使用してもよい。これら溶媒の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜900質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましい。
なお、リン化合物(3)とキノン化合物(q)とを反応して、本発明のリン含有フェノール化合物(1)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を系外に取り出さず、更に多官能エポキシ樹脂(y)、必要に応じてリン化合物(p)以外のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物(x1)を追加し、反応することで、本発明のリン含有エポキシ樹脂を得てもよい。また、反応混合物を精製して、反応式(5)に示すような生成物又は未反応物の1種又は2種以上を、リン含有フェノール化合物(1)と共に濃縮してもよい。
反応時間は、約1〜10時間程度がよく、エポキシ基と反応性の官能基又はリン化合物の水酸基がほぼ消滅するまで行うことがよい。また、低粘度化等の特性を付与するために、状況によっては、特開2012−172079号公報に記載の製造方法で反応率を60〜95%にしてもよい。反応終了後は必要により、溶媒等を除去して本発明のリン含有エポキシ樹脂を得る。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物について、説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を含む。
上記エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されず、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、活性エステル系硬化剤、リン含有硬化剤等のエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。これらの硬化剤は単独で使用してもよいし、同一系の硬化剤を2種類以上併用してもよく、また、異なる系の硬化剤を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤が好ましい。
エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂用硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、エポキシ樹脂用硬化剤の活性水素基が0.2〜1.5モルとなる量である。エポキシ基1モルに対して活性水素基が、0.2モル未満又は1.5モルを超える場合は、硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。好ましい範囲は0.3〜1.5モルであり、より好ましい範囲は0.5〜1.5モルであり、更に好ましい範囲は0.8〜1.2モルである。例えば、フェノール系硬化剤やアミン系硬化剤や活性エステル系硬化剤を使用した場合はエポキシ基に対して活性水素基をほぼ等モル配合し、酸無水物系硬化剤を使用した場合はエポキシ基1モルに対して酸無水物基を0.5〜1.2モル、好ましくは、0.6〜1.0モル配合する。
本明細書でいう活性水素基とは、エポキシ基と反応性の活性水素を有する官能基(加水分解等により活性水素を生ずる潜在性活性水素を有する官能基や、同等な硬化作用を示す官能基を含む。)のことであり、具体的には、酸無水物基やカルボキシル基やアミノ基やフェノール性水酸基等が挙げられる。なお、活性水素基に関して、カルボキシル基(−COOH)やフェノール性水酸基(−OH)は1モルと、アミノ基(−NH)は2モルと計算される。また、活性水素基が明確ではない場合は、測定によって活性水素当量を求めることができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ当量が既知のモノエポキシ樹脂と活性水素当量が未知の硬化剤を反応させて、消費したモノエポキシ樹脂の量を測定することによって、使用した硬化剤の活性水素当量を求めることができる。
フェノール系硬化剤としては、上記各種エポキシ樹脂変性剤として使用可能な多官能フェノール化合物が挙げられる。
これらフェノール系硬化剤の中でも、特に芳香族骨格を分子構造内に多く含むものが好ましく、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が挙げられる。
また、加熱時開環してフェノール化合物となるベンゾオキサジン化合物も硬化剤として有用である。具体的には、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のベンゾオキサジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸無水物系硬化剤としては、具体的には、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、水素添加トリメリット酸無水物、無水メチルナジック酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等や、4,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−ビフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、水素添加ピロメリッ卜酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミン系硬化剤としては、上記各種エポキシ樹脂変性剤として使用可能なアミン化合物が挙げられる。その他には、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや、ダイマージアミンや、ジシアンジアミド及びその誘導体や、ダイマー酸等の酸類とポリアミン類との縮合物であるポリアミドアミン等のアミン系化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒドラジド系硬化剤としては、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
活性エステル系硬化剤としては、特許5152445号公報に記載されているような多官能フェノール化合物と芳香族カルボン酸類の反応生成物が挙げられ、市販品では、エピクロンHPC−8000−65T(DIC株式会社製)等があるが、これらに限定されるものではない。
その他の硬化剤としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン化合物や、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムブロミド等のホスホニウム塩類や、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類や、イミダゾール類とトリメリット酸、イソシアヌル酸、ホウ酸等との塩であるイミダゾール塩類や、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩類や、ジアザビシクロ化合物、ジアザビシクロ化合物とフェノール化合物等との塩類や、3フッ化ホウ素とアミン類又はエーテル化合物等との錯化合物や、ヨードニウム塩類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、第3級アミン類、ホスフィン類等のリン化合物、金属化合物、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら硬化促進剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のアルキル置換イミダゾール化合物や、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール等のアリール基やアラルキル基等の環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
第3級アミン類としては、例えば、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホスフィン類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
金属化合物としては、例えば、オクチル酸スズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミン錯塩としては、例えば、3フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素ジエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素イソプロピルアミン錯体、3フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、3フッ化ホウ素ベンジルアミン錯体、3フッ化ホウ素アニリン錯体、又はこれらの混合物等の3フッ化ホウ素錯体類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの硬化促進剤の内、ビルドアップ材料用途や回路基板用途として使用する場合には、耐熱性、誘電特性、耐ハンダ性等に優れる点から、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジンやイミダゾール類が好ましい。また、半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、トリフェニルホスフィンやDBUが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分100質量部に対して、0.01〜15質量部が必要に応じて使用される。好ましくは0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.05〜8質量部であり、更に好ましくは0.1〜5質量部である。硬化促進剤を使用することにより、硬化温度を下げることや、硬化時間を短縮することができる。
エポキシ樹脂組成物には、得られる硬化物の難燃性の向上を目的に、信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない各種非ハロゲン系難燃剤を併用することができる。使用できる非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤(難燃剤としてのリン化合物)、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられる。これらの非ハロゲン系難燃剤は使用に際してもなんら制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数使用してもよく、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて使用することも可能である。
リン含有添加剤は、無機リン系化合物、有機リン系化合物のいずれも使用できる。無機リン系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の含窒素無機リン系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(1)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(2)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(3)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル類、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物等の汎用有機リン系化合物や、含窒素有機リン系化合物や、ホスフィン酸金属塩等の他、リン原子に直結した活性水素基を有するリン化合物(例えば、DOPO、ジフェニルホスフィンオキシド等)やリン含有フェノール化合物(例えば、DOPO−HQ、10−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、DOPO−NQと記す)、2−ジフェニルホスフィニルハイドロキノン、2−ジフェニルホスフィニル−1,4−ナフタレンジオール、1,4−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール、1,5−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール等の有機リン系化合物や、それら有機リン系化合物をエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、併用できるリン含有エポキシ樹脂やリン含有硬化剤に使用される反応性リン化合物としては、本発明のリン含有エポキシ樹脂の原料として使用されるリン含有フェノール化合物(1)や、それを同じ式(a)で表されるリン含有基位を有するリン含有フェノール化合物(2)やリン化合物(3)が好ましい。
併用できるリン含有エポキシ樹脂としては、例えば、エポトートFX−305、FX−289B、TX−1320A、TX−1328(以上、新日鉄住金化学株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
併用できるリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは200〜800であり、より好ましくは300〜780であり、更に好ましくは400〜760である。リン含有率は、好ましくは0.5〜6質量%であり、より好ましくは2〜5.5質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。
リン含有硬化剤としては、上記のリン含有フェノール化合物の他に、特表2008−501063号公報や特許第4548547号公報に示すような製造方法で、式(a)で表されるリン含有基を有するリン化合物を、アルデヒド類とフェノール化合物とを反応することでリン含有フェノール化合物を得ることができる。この場合、式(a)で表されるリン含有基を有するリン化合物は、フェノール化合物の芳香族環にアルデヒド類を介し縮合付加して分子内に組み込まれる。また、特開2013−185002号公報に示すような製造方法で、更に芳香族カルボン酸類の反応させることで、式(a)で表されるリン含有基を有するリン化合物フェノール化合物から、リン含有活性エステル化合物を得ることができる。また、WO2008/010429号公報に示すような製造方法で、式(a)で表されるリン含有基を有するリン含有ベンゾオキサジン化合物を得ることができる。
併用するリン系難燃剤の配合量は、リン系難燃剤の種類やリン含有率、エポキシ樹脂組成物の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択される。リン系難燃剤が反応性のリン化合物、すなわち、リン化合物(3)等の活性水素基を有するリン化合物やリン含有エポキシ樹脂やリン含有硬化剤の場合、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)に対して、リン含有率は、0.2〜6質量%が好ましく、0.4〜4質量%がより好ましく、0.5〜3.5質量%が更に好ましく、0.6〜3.3質量%が特に好ましい。リン含有率が少ないと難燃性の確保が難しくなる恐れがあり、多すぎると耐熱性に悪影響を与える恐れがある。なお、ここで言うエポキシ樹脂組成物中のリン含有率には、併用できるリン系難燃剤のリン含有率だけでなく、本発明のリン含有エポキシ樹脂のリン含有率も含む。
併用するリン系難燃剤が添加系の場合の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)100質量部中、赤リンを使用する場合は0.1〜2質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン系化合物を使用する場合は同様に0.1〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6質量部の範囲で配合することが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃助剤として、例えば、ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ素化合物、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛等を併用してもよい。
本発明においては、併用する難燃剤としてリン系難燃剤を使用することが好ましいが、以下に記載する難燃剤を併用することもできる。
窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。窒素系難燃剤の配合量は、窒素系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。また窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シリコーン系難燃剤の配合量は、シリコーン系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。またシリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機系難燃剤の配合量は、無機系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機金属塩系難燃剤の配合量は、有機金属塩系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物の固形分(不揮発分)100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物には、粘度調整用として有機溶媒又は反応性希釈剤を使用することができる。
有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、パインオイル等のアルコール類や、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ベンジルアルコールアセテート等の酢酸エステル類や、安息香酸メチル、安息香酸エチル等の安息香酸エステル類や、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性希釈剤としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル類や、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の二官能グリシジルエーテル類や、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル類や、ネオデカン酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類や、フェニルジグリシジルアミン、トリルジグリシジルアミン等のグリシジルアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの有機溶媒又は反応性希釈剤は、単独又は複数種類を混合したものを、不揮発分として90質量%以下で使用することが好ましく、その適正な種類や使用量は用途によって適宜選択される。例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、1−メトキシ−2−プロパノール等の沸点が160℃以下の極性溶媒であることが好ましく、その使用量は不揮発分で40〜80質量%が好ましい。また、接着フィルム用途では、例えば、ケトン類、酢酸エステル類、カルビトール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を使用することが好ましく、その使用量は不揮発分で30〜60質量%が好ましい。
エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、特性を損ねない範囲で、充填材、熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、顔料等のその他の添加剤を配合することができる。
充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、硫酸バリウム、炭素等の無機充填材や、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、セラミック繊維等の繊維状充填材や、微粒子ゴム等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の表面粗化処理に使用される過マンガン酸塩の水溶液等の酸化性化合物により、分解又は溶解しないものが好ましく、特に溶融シリカや結晶シリカが微細な粒子が得やすいため好ましい。また、充填材の配合量を特に大きくする場合には溶融シリカを使用することが好ましい。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高めつつ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に使用する方がより好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。なお、充填材は、シランカップリング剤処理やステアリン酸等の有機酸処理を行ってもよい。一般的に充填材を使用する理由としては、硬化物の耐衝撃性の向上効果や、硬化物の低線膨張性化が挙げられる。また、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を使用した場合は、難燃助剤として作用し難燃性が向上する効果がある。導電ペースト等の用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填材を使用することができる。
充填材の配合量は、硬化物の低線膨張性化や難燃性を考慮した場合、多い方が好ましい。エポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)に対して、1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。配合量が多すぎると積層板用途として必要な接着性が低下する恐れがあり、更に硬化物が脆く、十分な機械物性を得られなくなる恐れがある。また配合量が少ないと、硬化物の耐衝撃性の向上等、充填材の配合効果がでない恐れがある。
また、無機充填材の平均粒子径は、0.05〜1.5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。無機充填材の平均粒子径がこの範囲であれば、エポキシ樹脂組成物の流動性を良好に保てる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
熱可塑性樹脂を配合することは、特に、エポキシ樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成型する場合に有効である。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。エポキシ樹脂との相溶性の面からはフェノキシ樹脂が好ましく、低誘電特性面からはポリフェニレンエーテル樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性ポリイミド等のエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂や、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料や、酸化チタン、金属箔状顔料、防錆顔料等の無機顔料や、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤や、シラン系、チタン系等のカップリング剤や、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、ハジキ防止剤、消泡剤等の添加剤等が挙げられる。これらのその他の添加剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の固形分(不揮発分)に対して、0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、公知のエポキシ樹脂組成物と同様な方法で硬化することによって本発明の硬化物を得ることができる。硬化物を得るための方法としては、公知のエポキシ樹脂組成物と同様の方法をとることができ、注型、注入、ポッティング、ディッピング、ドリップコーティング、トランスファー成形、圧縮成形等や樹脂シート、樹脂付き銅箔、プリプレグ等の形態とし積層して加熱加圧硬化することで積層板とする等の方法が好適に使用される。その際の硬化温度は通常、100〜300℃の範囲であり、硬化時間は通常、10分間〜5時間程度である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、更に必要により各種添加剤の配合されたエポキシ樹脂組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。硬化物としては、積層物、注型物、成型物、接着層、絶縁層、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物が使用される用途としては、回路基板用材料、封止材料、注型材料や、導電ペースト、接着剤等が挙げられる。回路基板用材料としては、プリプレグ、樹脂シート、樹脂付き金属箔、プリント配線板やフレキシブル配線基板用の樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム、レジストインキ等が挙げられる。
これら各種用途のうち、プリント配線板材料や回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ、いわゆる電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として使用することができる。これらの中でも、高難燃性、高耐熱性、低誘電特性、及び溶媒溶解性といった特性からプリント配線板材料、フレキシブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板(積層板)用材料及び半導体封止材料に使用することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物を積層板等の板状とする場合、使用する充填材としては、その寸法安定性、曲げ強度等の点で、繊維状のものが好ましく、ガラス布、ガラスマット、ガラスロービング布がより好ましい。
エポキシ樹脂組成物は繊維状の補強基材に含浸させることにより、プリント配線板等で使用されるプリプレグを作成することができる。繊維状の補強基材としてはガラス等の無機繊維や、ポリエステル樹脂等、ポリアミン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂等の有機質繊維の織布又は不織布を使用することができるが、これに限定されるものではない。
エポキシ樹脂組成物からプリプレグを製造する方法としては、特に限定するものではなく、例えば、上記有機溶媒を含むワニス状のエポキシ樹脂組成物を、更に有機溶媒を配合して適切な粘度に調整した樹脂ワニスに作成し、その樹脂ワニスを上記繊維状基材に含浸した後、加熱乾燥して樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって得られる。加熱温度としては、使用した有機溶媒の種類に応じ、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜170℃である。加熱時間は、使用した有機溶媒の種類やプリプレグの硬化性によって調整を行い、好ましくは1〜40分間であり、より好ましくは3〜20分間である。この際、使用するエポキシ樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜80質量%となるように調整することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、シート状又はフィルム状に成形して使用することができる。この場合、従来公知の方法を使用してシート化又はフィルム化することが可能である。
樹脂シートを製造する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記樹脂ワニスに溶解しない支持ベースフィルム上に、樹脂ワニスをリバースロールコータ、コンマコータ、ダイコーター等の塗布機を使用して塗布した後、加熱乾燥して樹脂成分をBステージ化することで得られる。また、必要に応じて、塗布面(接着剤層)に別の支持ベースフィルムを保護フィルムとして重ね、乾燥することにより接着剤層の両面に剥離層を有する接着シートが得られる。
支持ベースフィルムとしては、銅箔等の金属箔、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シリコーンフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、これらの中では、つぶ等、欠損がなく、寸法精度に優れコスト的にも優れるポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、積層板の多層化が容易な金属箔、特に銅箔が好ましい。支持ベースフィルムの厚さは、特に限定されないが、支持体としての強度があり、ラミネート不良を起こしにくいことから10〜150μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、5〜50μmが一般的である。なお、成型された接着シートを容易に剥離するため、あらかじめ離型剤にて表面処理を施しておくことが好ましい。
また、樹脂ワニスを塗布する厚みは、乾燥後の厚みで、5〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
加熱温度としては、使用した有機溶媒の種類に応じ、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜170℃である。加熱時間は、使用した有機溶媒の種類やプリプレグの硬化性によって調整を行い、好ましくは1〜40分間であり、より好ましくは3〜20分間である。
このようにして得られた樹脂シートは通常、絶縁性を有する絶縁接着シートとなるが、エポキシ樹脂組成物に導電性を有する金属や金属コーティングされた微粒子を混合することで、導電性接着シートを得ることもできる。なお、上記支持ベースフィルムは、回路基板にラミネートした後に、又は加熱硬化して絶縁層を形成した後に、剥離される。接着シートを加熱硬化した後に支持ベースフィルムを剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。ここで、上記絶縁接着シートは絶縁シートでもある。
上記リン含有エポキシ樹脂組成物により得られる樹脂付き金属箔について説明する。金属箔としては、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の単独、合金、複合の金属箔を用いることができる。厚みとして9〜70μmの金属箔を用いることが好ましい。リン含有エポキシ樹脂を含んでなる難燃性樹脂組成物及び金属箔から樹脂付き金属箔を製造する方法としては、特に限定するものではなく、例えば上記金属箔の一面に、上記リン含有エポキシ樹脂組成物を溶剤で粘度調整した樹脂ワニスを、ロールコーター等を用いて塗布した後、加熱乾燥して樹脂成分を半硬化(Bステージ化)して樹脂層を形成することにより得ることができる。樹脂成分を半硬化するにあたっては、例えば100〜200℃で1〜40分間加熱乾燥することができる。ここで、樹脂付き金属箔の樹脂部分の厚みは5〜110μmに形成することが望ましい。
また、プリプレグや絶縁接着シートを硬化するには、一般にプリント配線板を製造するときの積層板の硬化方法を使用することができるが、これに限定されるものではない。
例えば、プリプレグを使用して積層板を形成する場合は、一枚又は複数枚のプリプレグを積層し、片側又は両側に金属箔を配置して積層物を構成し、この積層物を加圧加熱することでプリプレグを硬化、一体化させて、積層板を得ることができる。ここで金属箔としては、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の単独、合金、複合の金属箔を使用することができる。
積層物を加熱加圧する条件としては、エポキシ樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱加圧すればよいが、加圧の圧量があまり低いと、得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下する場合があるため、成型性を満足する条件で加圧することが望ましい。加熱温度は、160〜250℃が好ましく、170〜220℃がより好ましい。加圧圧力は、0.5〜10MPaが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。加熱加圧時間は、10分間〜4時間が好ましく、40分間〜3時間がより好ましい。加熱温度が低いと硬化反応が十分に進行しない恐れがあり、高いと硬化物の熱分解が起こる恐れがある。加圧圧力が低いと得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下する場合があり、高いと硬化する前に樹脂が流れてしまい、希望する厚みの積層板が得られない恐れがある。また、加熱加圧時間が短いと硬化反応が十分に進行しない恐れがあり、長いと硬化物の熱分解が起こる恐れがある。
更にこのようにして得られた単層の積層板を内層材として、多層板を作成することができる。この場合、まず積層板にアディティブ法やサブトラクティブ法等にて回路形成を施し、形成された回路表面を酸溶液で処理して黒化処理を施して、内層材を得る。この内層材の、片面又は両側の回路形成面に、プリプレグや樹脂シート、絶縁接着シートや樹脂付き金属箔にて絶縁層を形成するとともに、絶縁層の表面に導体層を形成して、多層板形成するものである。
また、プリプレグを使用して絶縁層を形成する場合は、内層材の回路形成面に、プリプレグを一枚又は複数枚を積層したものを配置し、更にその外側に金属箔を配置して積層体を形成する。そしてこの積層体を加熱加圧して一体成型することにより、プリプレグの硬化物を絶縁層として形成するとともに、その外側の金属箔を導体層として形成するものである。ここで、金属箔としては、内層材として使用される積層板に使用したものと同様のものを使用することができる。また加熱加圧成形は、内層材の成型と同様の条件にて行うことができる。このようにして成形された多層積層板の表面に、更に、アディティブ法やサブトラクティブ法にてバイアホール形成や回路形成を施して、プリント配線板を成型することができる。また、このプリント配線板を内層材として上記の工法を繰り返すことにより、更に多層の多層板を形成することができる。
例えば、絶縁接着シートにて絶縁層を形成する場合は、複数枚の内層材の回路形成面に絶縁接着シートを配置して積層物を形成する。あるいは内層材の回路形成面と金属箔の間に絶縁接着シートを配置して積層物を形成する。そしてこの積層物を加熱加圧して一体成型することにより、絶縁接着シートの硬化物を絶縁層として形成するとともに、内層材の多層化を形成する。あるいは内層材と導体層である金属箔の間に絶縁接着シートの硬化物を絶縁層として形成する。ここで、金属箔としては、内層材として使用される積層板に使用したものと同様のものを使用することができる。また加熱加圧成形は、内層材の成型と同様の条件にて行うことができる。
また、積層板にエポキシ樹脂組成物を塗布して絶縁層を形成する場合は、エポキシ樹脂組成物を好ましくは5〜100μmの厚みに塗布した後、100〜200℃で、好ましくは150〜200℃で、1〜120分間、好ましくは30〜90分間、加熱乾燥してシート状に形成する。一般にキャスティング法と呼ばれる方法で形成されるものである。乾燥後の厚みは5〜150μm、好ましくは5〜80μmに形成することが望ましい。なお、エポキシ樹脂組成物の粘度は、十分な膜厚が得られ、塗装むらやスジが発生しにくいことから、25℃において10〜40000mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは200〜30000mPa・sである。このようにして形成された多層積層板の表面に、更に、アディティブ法やサブトラクティブ法にてバイアホール形成や回路形成を施して、プリント配線板を形成することができる。また、このプリント配線板を内層材として上記の工法を繰り返すことにより、更に多層の積層板を形成することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して得られる封止材としては、テープ状の半導体チップ用、ポッティング型液状封止用、アンダーフィル用、半導体の層間絶縁膜用等があり、これらに好適に使用することができる。例えば、半導体パッケージ成形としては、エポキシ樹脂組成物を注型、又はトランスファー成形機、射出成形機等を使用して成形し、更に50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物を得る方法が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物を半導体封止材料用に調整するためには、エポキシ樹脂組成物に、必要に応じて配合される、無機充填材等の配合剤や、カップリング剤、離型剤等の添加剤を予備混合した後、押出機、ニーダ、ロール等を使用して均一になるまで充分に溶融混合する手法が挙げられる。その際、無機充填材としては、通常シリカが使用されるが、その場合、エポキシ樹脂組成物中、無機充填材を70〜95質量%となる割合で配合することが好ましい。
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物を、テープ状封止材として使用する場合には、これを加熱して半硬化シートを作製し、封止材テープとした後、この封止材テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。
また、ポッティング型液状封止材として使用する場合には、得られたエポキシ樹脂組成物を必要に応じて溶媒に溶解した後、半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、更にレジストインキとして使用することも可能である。この場合は、エポキシ樹脂組成物に、エチレン性不飽和二重結合を有するビニル系モノマーと、硬化剤としてカチオン重合触媒を配合し、更に、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。この時の硬化温度は、20〜250℃程度の温度範囲が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を作成し、加熱硬化により硬化物を評価した結果、リン含有フェノール化合物(1)を含む反応剤(x)と多官能エポキシ樹脂(y)から得られたリン含有エポキシ樹脂は、リン含有フェノール化合物(1)を含まないリン化合物等から得られたリン含有エポキシ樹脂と比較して、難燃性がよい。そのため、必要十分量のリン含有率の積層板において、耐熱性、吸水性が向上するので、より過酷な条件下で使用する積層板において有用である。
実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。特に断りがない限り、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
分析方法、測定方法を以下に示す。
(1)エポキシ当量:JIS K7236規格に準拠して測定を行い、単位は「g/eq.」で表した。
(2)軟化点:JIS K7234規格、環球法に準拠して測定した。具体的には、自動軟化点装置(株式会社メイテック製、ASP−MG4)を使用した。
(3)リン含有率:リン含有エポキシ樹脂中のリン含有率は、試料に硫酸、塩酸、過塩素酸を加え、加熱して湿式灰化し、全てのリン原子をオルトリン酸とした。硫酸酸性溶液中でメタバナジン酸塩及びモリブデン酸塩を反応させ、生じたリンバナードモリブデン酸錯体の420nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線により求めたリン原子含有率を質量%で表した。また、エポキシ樹脂組成物(積層板)のリン含有率は、積層板の樹脂分(固形分)に対する含有量として表した。ここで、積層板の樹脂分(固形分)とは、エポキシ樹脂組成物に配合された成分のうち、溶媒を除く有機成分(エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤及びリン化合物等)に該当するものをいう。
(4)銅箔剥離強さ及び層間接着力:JIS C6481、5.7に準じて、25℃の雰囲気下で測定した。なお、層間接着力は7層目と8層目の間で引きはがし測定した。
(5)ガラス転移温度(Tg):IPC−TM−650 2.4.25.c規格に準じて示差走査熱量測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、EXSTA16000 DSC6200)にて20℃/分の昇温条件で測定を行ったときのDSC・Tgm(ガラス状態とゴム状態の接線に対して変異曲線の中間温度)の温度で表した。
(6)難燃性:UL94に準じ、垂直法により評価した。評価はV−0、V−1、V−2で記した。なお、試験片がフィルム状の場合は、VTM−0、VTM−1、VTM−2で記した。但し、完全に燃焼したものは、xと記した。
(7)比誘電率及び誘電正接:IPC−TM−650 2.5.5.9規格に準じてマテリアルアナライザー(AGILENT Technologies社製)を用い、容量法により周波数1GHzにおける比誘電率及び誘電正接を求めた。
(8)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定:本体(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用し、1mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を使用した。測定試料はサンプル0.1gを10mLのTHFに溶解し、マイクロフィルターで濾過したものを50μL使用した。データ処理は、東ソー株式会社製GPC−8020モデルIIバージョン6.00を使用した。
(9)FT−IR:フーリエ変換型赤外分光光度計(Perkin Elmer Precisely製、Spectrum One FT−IR Spectrometer 1760X)の全反射測定法(ATR法)により波数400〜4000cm−1の吸光度を測定した。
(10)HPLC測定:本体(アジレントテクノロジー社製、Agilent−HP1100)にカラム(シグマ アルドリッチ製、Ascentis C18、4.6mmφ×250mmL)を使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液には、10mM酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル/THF=55/22.5/22.5(容量比)を用い、1mL/分の流速とした。検出器はUV検出器(検出波長:280nm)を用いた。試料0.4gを10mLの10mM酢酸アンモニウム水溶液に溶解し、5μL注入して測定を行った。
(11)NMR:フーリエ変換核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、JNM−ECA400)を用いてTHF−d8を溶媒として、室温でHの液体測定を行った。
合成例1
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管、及び冷却管を備えた反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMAと記す)を200部、DOPOを108部、水を4.2部(水/DOPOのモル比=0.23)仕込み、窒素雰囲気下で70℃まで昇温して完全に溶解した。そこに、1,4−ナフトキノン(NQ)78.9部(NQ/DOPOのモル比=0.999)を30分かけて仕込んだ。仕込み終了後、還流が開始する145℃まで昇温し、還流温度を保ちながら2時間反応を継続した。反応終了後、25℃まで冷却し、吸引濾過にて濾滓として反応物を得た。その反応物150部とPMA750部を仕込み、加熱混合した後、25℃まで冷却し、吸引濾過にて濾滓として反応物を得る操作を2回繰り返してリン化合物(p0)を得た。
図3に、得られたリン化合物のHPLCチャートを示す。図3において、(p0)中のリン含有フェノール化合物(1)に対応する成分はピーク群(a)であり、残存した原料リン化合物(3):DOPOはピーク(c)であり、副生したリン含有フェノール化合物(2):DOPO−NQはピーク(b)であり、副生したリン化合物(4)はピーク(d)である。なお、リン含有フェノール化合物(1)は上記式(1−1)で表され、DOPO−NQは上記(1−2)で表され、リン化合物(4)は上記式(1−4)で表される。
合成例2
合成例1と同様の装置に、合成例1で得られたリン化合物(p0)を15部、酢酸ベンジルを200部仕込み、窒素雰囲気下で200℃まで昇温して完全に溶解した。室温まで冷却し1日静置し、生成した沈殿物(1)を吸引濾過により濾別した。濾液を39%含水メタノール中に投入し、生成した沈殿物を吸引濾過により濾別し、濾滓として、リン含有フェノール化合物(1)を単離した。図4にNMRチャートを示す。
合成例3
合成例1と同様の装置に、合成例2で得られた沈殿物(1)を15部、酢酸ベンジルを200部仕込み、窒素雰囲気下で200℃まで昇温して完全に溶解した。室温まで冷却し1日静置し、再結晶により、リン含有フェノール化合物(2):DOPO−NQを単離した。
合成例4
合成例1で得られたリン化合物(p0)をHPLCにより分取して、副生したリン化合物(4)を単離した。
実施例及び比較例で使用した略号の説明は以下のとおりである。
[リン化合物]
(p1):合成例2で単離したリン含有フェノール化合物(1)
DOPO−NQ:合成例3で単離したリン含有フェノール化合物(2)
DOPO:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(活性水素当量216、リン含有率14.3%)
(p4):合成例4で単離したリン化合物(4)
DPPO:ジフェニルホスフィンオキシド(活性水素当量202、リン含有率15.3%)
[キノン化合物]
NQ:1,4−ナフトキノン(試薬、純度99%)
BQ:パラ−ベンゾキノン(試薬、純度99%)
[エポキシ樹脂]
YDPN−638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYDPN−638、エポキシ当量176)
YDF−170:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYDF−170、エポキシ当量167)
ESN−485:ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、エポトートESN−485、エポキシ当量296)
YDG−414:4官能型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYDG−414、エポキシ当量187)
DCPD−E:ジシクロペンタジエン/フェノール共縮合エポキシ樹脂(國都化学株式会社製、KDCP−130、エポキシ当量254)
[フェノール化合物]
BPA:ビスフェノールA(新日鉄住金化学株式会社製、フェノール性水酸基当量114)
[触媒]
TPP:トリフェニルホスフィン(試薬)
TDMPP:トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン(試薬)
[硬化剤]
PN:フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノールBRG−557、軟化点80℃、フェノール性水酸基当量105)
GK−5855P:芳香族変性ノボラック樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、GK−5855P、フェノール性水酸基当量230)
DCPD−P:ジシクロペンタジエン/フェノール共縮合樹脂(群栄化学株式会社製、GDP9140、フェノール性水酸基当量196)
DICY:ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製、DIHARD、活性水素当量21)
MTHPA:3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(日立化成株式会社製、HN−2200、酸無水物当量166)
[硬化促進剤]
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2E4MZ)
[その他]
YP−50S:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、フェノトートYP−50S、重量平均分子量=40000)
BMB:アルミナ1水和物(河合石灰工業株式会社製、BMB、平均粒子径1.5μm)
CMC12:結晶シリカ(株式会社龍森製、クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm)
PX−200:芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製、PX−200、リン含有率9%)
実施例1
合成例1と同様な装置に、YDPN−638を805部、YDF−170を100部、(p1)を95部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂1)を得た。得られたリン含有エポキシ樹脂について、エポキシ当量及びリン含有率を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を835部、(p1)を95部、DOPOを70部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂2)を得た。
実施例3
実施例1と同様な装置に、ESN−485を835部、(p1)を95部、DOPOを70部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂3)を得た。
実施例4
実施例1と同様な装置に、YDG−414を835部、(p1)を95部、DOPOを70部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂4)を得た。
実施例5
実施例1と同様な装置に、YDF−170を762部、(p1)を238部、TPPを0.3部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂5)を得た。
実施例6
実施例1と同様な装置に、YDF−170を714部、(p1)を286部、TPPを0.5部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂6)を得た。
実施例7
実施例1と同様な装置に、YDF−170を639部、(p1)を3部、DOPO−NQを358部、TDMPPを0.5部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂7)を得た。
実施例8
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を690部、(p1)を10部、DOPOを200部、BPAを100部、TPPを0.4部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂8)を得た。
実施例9
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を690部、YDF−170を100部、(p1)を0.5部、DOPOを209.5部、TPPを0.4部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂9)を得た。
実施例10
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を238部、YDF−170を190部、(p1)を310部、DOPOを262部、TPPを0.5部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂10)を得た。
実施例11
合成例1と同様な装置に、DOPOを175部、NQを90部(NQ/DOPOのモル比=0.70)、水を4.7部(水/DOPOのモル比=0.33)、PMAを409部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する145℃まで昇温し、還流状態を保ちながら2時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、(p1)の含有量は35部だった。
次いで、この内容物に、YDPN−638を515部、YDF−170を220部仕込み、減圧蒸留によりPMAを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂11)を得た。
GPC測定チャートを図1に示す。縦軸に信号強度を示す。FT−IR測定チャートを図2に示す。縦軸は透過率を示す。
実施例12
合成例1と同様な装置に、DOPOを210部、NQを38部(NQ/DOPOのモル比=0.25)、水を2.0部(水/DOPOのモル比=0.11)、キシレンを490部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する142℃まで昇温し、還流状態を保ちながら2時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、(p1)の含有量は5部だった。
次いで、この内容物に、YDPN−638を752部仕込み、減圧蒸留によりキシレンを除去した後、TPPを0.5部仕込み、155〜160℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂12)を得た。
実施例13
合成例1と同様な装置に、DOPOを62部、NQを38部(NQ/DOPOのモル比=0.84)、水を2.0部(水/DOPOのモル比=0.39)、トルエンを490部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する109℃まで昇温し、還流状態を保ちながら3時間反応を継続した後、DOPOを148部追加して均一に撹拌した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、(p1)の含有量は17部だった。
次いで、この内容物にYDPN−638を752部仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、TPPを0.5部仕込み、155〜160℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂13)を得た。
比較例1
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を780部、YDF−170を100部、DOPO−NQを120部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H1)を得た。
比較例2
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を830部、YDF−170を100部、DOPOを70部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H2)を得た。
比較例3
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を780部、YDF−170を100部、(p4)を120部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H3)を得た。
比較例4
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を860部、DOPOを140部、TPPを0.1部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H4)を得た。
比較例5
実施例1と同様な装置に、YDF−170を639部、DOPO−NQを361部、TPPを0.3部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H5)を得た。
比較例6
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を690部、DOPOを210部、BPAを100部、TDMPPを0.5部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H6)を得た。
比較例7
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を690部、YDF−170を100部、DOPOを210部、TPPを0.4部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H7)を得た。
比較例8
実施例1と同様な装置に、YDPN−638を471部、DOPOを529部、TPPを0.5部仕込み、窒素雰囲気下で150℃まで昇温して、150〜155℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H8)を得た。
比較例9
合成例1と同様な装置に、DOPOを210部、NQを38部(NQ/DOPOのモル比=0.25)、水を2.0部(水/DOPOのモル比=0.11)、トルエンを490部仕込み、窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、80℃を保ちながら4時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、(p1)は検出できなかった。
次いで、この内容物にYDPN−638を752部仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、TPPを0.5部仕込み、155〜160℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H9)を得た。
実施例2〜13及び比較例1〜9で得られた樹脂2〜13及びH1〜H9について、実施例1と同様の試験を行った。
表1に実施例1〜13及び比較例1〜9で得られた樹脂1〜13及びH1〜H9のエポキシ当量、リン含有率の測定結果を示す。なお、表中のb1含有率は、リン含有エポキシ樹脂中の下記式(1’−1b)で表される構造部位の含有率(%)であり、リン含有フェノール化合物(1)の仕込み量、HPLCの測定結果、及びリン含有フェノール化合物(1)の残存量から計算で求めた。
Figure 2019044077
Figure 2019044077
実施例14
合成例1と同様な装置に、DOPOを210部、BQを94部(BQ/DOPOのモル比=0.90)、水を3.4部(水/DOPOのモル比=0.19)、PMAを490部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する145℃まで昇温し、還流状態を保ちながら2時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、上記式(1−2)で表されるリン含有フェノール化合物(1)の含有量は51部だった。
次いで、この内容物にYDPN−638を70部、YDF−170を626部仕込み、減圧蒸留によりPMAを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂14)を得た。
比較例10
合成例1と同様な装置に、DOPOを210部、BQを94部(BQ/DOPOのモル比=0.90)、水を使用せず、トルエンを490部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する109℃まで昇温し、還流状態を保ちながら3時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、上記式(2−1)で表されるリン化合物は検出できなかった。
次いで、この内容物にYDPN−638を70部、YDF−170を626部仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H10)を得た。
実施例14及び比較例10で得られた樹脂14及びH10について、実施例1と同様にして行ったエポキシ当量、リン含有率の測定結果を示す。なお、表中のb2含有率はリン含有エポキシ樹脂中の下記式(1−2b)で表される構造部位の含有率である。
Figure 2019044077
Figure 2019044077
実施例15
合成例1と同様な装置に、DPPOを196部、NQを77部(NQ/DPPOのモル比=0.50)、水を4.0部(水/DPPOのモル比=0.23)、PMAを450部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する145℃まで昇温し、還流状態を保ちながら2時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、上記式(1−3)で表されるリン含有フェノール化合物(1)の含有量は23部だった。
次いで、この内容物にYDPN−638を509部、YDF−170を218部仕込み、減圧蒸留によりPMAを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂15)を得た。
実施例16
合成例1と同様な装置に、DPPOを196部、NQを77部(NQ/DPPOのモル比=0.50)、水を8.0部(水/DPPOのモル比=0.46)、トルエンを450部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する108℃まで昇温し、還流状態を保ちながら3時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、上記式(3−1)で表されるリン含有フェノール化合物(1)の含有量は17部だった。
次いで、この内容物にYDPN−638を509部、YDF−170を218部仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂16)を得た。
比較例11
合成例1と同様な装置に、DPPOを196部、NQを23部(NQ/DPPOのモル比=0.15)、水を0.7部(水/DPPOのモル比=0.04)、トルエンを450部仕込み、窒素雰囲気下で還流が開始する109℃まで昇温し、還流状態を保ちながら3時間反応を継続した。内容物を採取しHPLCで測定した結果、上記式(3−1)で表されるリン化合物は検出できなかった。
次いで、この内容物にYDPN−638を546部、YDF−170を234部仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、TDMPPを0.5部仕込み、160〜165℃の反応温度を維持しながらで3時間反応を継続して、リン含有エポキシ樹脂(樹脂H11)を得た。
実施例15、16及び比較例11で得られた樹脂15、16及びH11について、エポキシ当量、リン含有率の測定結果を表3に示す。なお、表中のb3含有率は、リン含有エポキシ樹脂中の下記式(1−3b)で表される構造部位の含有率である。
Figure 2019044077
Figure 2019044077
実施例11〜16及び比較例9〜11は、リン化合物を合成後、そのリン化合物を反応系外に取り出すことなく、続けてエポキシ樹脂と反応させてリン含有エポキシ樹脂を得た例である。表4に、エポキシ樹脂を仕込む前のリン化合物のHPLC測定に結果を示す。リン化合物に付した番号は、反応式(5−1)に示されるリン化合物に付された番号に対応する。
Figure 2019044077
実施例17
リン含有エポキシ樹脂として樹脂1を100部、硬化剤としてDICYを5.0部、硬化促進剤として2E4MZを0.1部配合し、メチルエチルケトン(以下MEKと記す)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと記す)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと記す)で調整した混合溶媒に溶解して、不揮発分50%のエポキシ樹脂組成物ワニスを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製、WEA2116、0.1mm厚)に含浸した。含浸したガラスクロスを150℃の熱風循環オーブン中で10分間乾燥してプリプレグを得た。得られたプリプレグ8枚と、上下に銅箔(三井金属鉱業株式会社製、3EC−III、厚み35μm)を重ね、130℃×15分+170℃×70分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、1mm厚の積層板を得た。得られた積層板の銅箔部分をエッチング液に浸漬することで除去し、洗浄と乾燥を行った後に、127mm×12.7mmの大きさに切り出して難燃性測定用試験片とした。エポキシ樹脂組成物のリン含有率、及び積層板の銅箔剥離強さ、層間接着力、ガラス転移温度(Tg)及び難燃性の結果を表5に示す。
比較例12〜14
樹脂として比較例1〜3で得られた樹脂H1〜H3を使用した他は、表5の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表5に示す。なお、表中、DICY及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例18〜20及び比較例15
樹脂として実施例2〜4で得られた樹脂2〜4及び比較例4で得られた樹脂H4を使用した他は、表6の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表6に示す。なお、表中、DICY及び2E4MZの(部)は、表5と同様な意味である。
Figure 2019044077
実施例17〜20(比較例12〜15)は、リン含有フェノール化合物(1)を単独で使用した実施例である。実施例17(比較例12〜14)は、リン含有エポキシ樹脂のリン含有率が1.0%の場合の比較であり、実施例18〜20(比較例15)は、リン含有エポキシ樹脂のリン含有率が2.0%の場合の比較である。どちらの場合でも、本発明のリン含有エポキシ樹脂を使用した積層板の難燃性が向上した。
実施例21〜23及び比較例16
樹脂として実施例5〜7で得られた樹脂5〜7及び比較例5で得られた樹脂H5を使用した他は、表7の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表7に示す。なお、表中、DICY及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例21〜23(比較例16)は、リン化合物にリン含有フェノール化合物(1)やDOPO−NQを使用して、2官能エポキシ樹脂と反応させた直鎖状のリン含有エポキシ樹脂と、硬化剤にDICYを使用した系である。DOPO−NQを単独使用した比較例16では難燃性は満足できるが、耐熱性が不十分だった。実施例22はリン含有フェノール化合物(1)を単独使用したものであり、耐熱性は向上した。また、実施例23はリン含有フェノール化合物(1)をDOPO−NQに3%併用しただけだが、積層板の耐熱性は向上した。また、実施例21はリン含有フェノール化合物(1)を単独使用し、リン含有率を3%から2.5%の減らしたリン含有エポキシ樹脂を使用した実施例であるが、難燃性及び耐熱性は良好であった。
実施例24〜25及び比較例17
樹脂として実施例6〜7で得られた樹脂6〜7及び比較例5で得られた樹脂H5を使用した他は、表8の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表8に示す。なお、表中、YDPN−638、PN及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂40部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例24〜25(比較例17)は、リン化合物にリン含有フェノール化合物(1)やDOPO−NQを使用して、2官能エポキシ樹脂と反応させた直鎖状のリン含有エポキシ樹脂であり、リン含有エポキシ樹脂以外にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を併用し、硬化剤にPNを使用した系である。リン含有エポキシ樹脂の配合量が少なく、エポキシ樹脂組成物のリン含有率が低い例である。DOPO−NQを単独使用した比較例16では耐熱性が不十分だった。実施例25はリン含有フェノール化合物(1)をDOPO−NQに3%併用しただけだが、積層板の難燃性は満足し、耐熱性も向上した。また、実施例24はDOPO−NQではなくリン含有フェノール化合物(1)を単独使用した例であるが、難燃性及び耐熱性は良好であった。
表7及び表8の結果より、リン含有フェノール化合物(1)はDOPO−NQと比較してリン含有エポキシ樹脂とした場合、難燃性及び耐熱性を向上させる効果が大きいことがわかる。
実施例26〜27及び比較例18〜19
樹脂として実施例8〜9で得られた樹脂8〜9及び比較例6〜7で得られた樹脂H6〜H7を使用した他は、表9の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表9に示す。なお、表中、PN及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例26〜27(比較例18〜19)は、リン化合物にリン含有フェノール化合物(1)やDOPO使用して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と反応させたリン含有エポキシ樹脂と、硬化剤にPNを使用した系である。実施例は、DOPOにリン含有フェノール化合物(1)を少量併用した例である。リン含有フェノール化合物(1)を少量併用しただけで、得られるリン含有エポキシ樹脂を使用した積層板の難燃性及び耐熱性は向上した。
実施例28〜31及び比較例20〜21
樹脂として実施例11〜14で得られた樹脂11〜14及び比較例9〜10で得られた樹脂H9〜H10使用した他は、表10の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表10に示す。なお、表中、KDCP130、PN及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例32〜34及び比較例22〜24
樹脂として実施例15〜16で得られた樹脂15〜16及び比較例11で得られた樹脂H11を使用した他は、表11の配合に従い実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に積層板、難燃性測定用試験片を得た。実施例17と同様の試験を行い、その結果を表11に示す。なお、表中、DCPD−P、GK5855P及び2E4MZの(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例32〜34(比較例22〜24)は、PN以外のフェノール系硬化剤を使用した例である。誘電特性に差はなく、積層板の難燃性、耐熱性及び接着性は向上した。
実施例35
リン含有エポキシ樹脂として樹脂13を100部、硬化剤としてDICYを3.2部、硬化促進剤として2E4MZを0.2部、その他の成分としてYP−50Sを95部、BMBを39部配合し、MEK、PGM、DMFで調整した混合溶媒に溶解して、不揮発分50%のエポキシ樹脂組成物ワニスを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物ワニスをセパレータフィルム(ポリイミドフィルム)上にロールコータを用いて塗布し、130℃のオーブン中で10分間乾燥して、厚さ60μmの樹脂フィルムを得た。セパレータフィルムから樹脂フィルムを剥がし、更に樹脂フィルムを200℃のオーブン中で120分間硬化させて硬化フィルムを得た。硬化フィルムから200mm×50mmの大きさに切り出して難燃性測定用試験片とした。硬化フィルムのTg及び難燃性の結果を表12に示す。
実施例36及び比較例25〜26
樹脂として実施例10で得られた樹脂10及び比較例8〜9で得られた樹脂H8〜H9使用した他は、表12の配合に従い実施例35と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に硬化フィルム、難燃性測定用試験片を得た。実施例35と同様の試験を行い、その結果を表12に示す。なお、表中、YDPN−638、YP−50S、DICY、2E4MZ、BMB及びPX−200の(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
比較例27
リン含有エポキシ樹脂を使用せず、難燃剤としてPX−200を81部使用した他は、表12の配合に従い実施例35と同様にして、エポキシ樹脂組成物ワニスを得て、更に硬化フィルム、難燃性測定用試験片を得た。実施例35と同様の試験を行い、その結果を表12に示す。
Figure 2019044077
実施例35〜36(比較例25〜27)は、硬化フィルムにした時の例である。この場合でも、難燃性、耐熱性は向上した。
実施例37
リン含有エポキシ樹脂として樹脂10を100部、YDF−170を100部、硬化剤としてMTHPAを106部、硬化促進剤として2E4MZを0.5部、その他の成分としてCMC12を160部配合し、80℃に加熱しながら、撹拌し均一化してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を脱泡して金型に注型し、150℃×120分の温度条件で硬化させて2mm厚の硬化物を得た。金型から脱型後、更に硬化物を200℃のオーブン中で120分間後硬化させた。得られた硬化物から127mm×12.7mmの大きさに切り出して難燃性測定用試験片とした。硬化物のTg及び難燃性の結果を表13に示す。
比較例28〜29
樹脂として比較例8で得られた樹脂H8使用した他は、表13の配合に従い実施例37と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得て、更に硬化物、難燃性測定用試験片を得た。実施例37と同様の試験を行い、その結果を表13に示す。なお、表中、YDF−170、MTHPA、2E4MZ、CMC12及びPX−200の(部)は配合量であり、樹脂100部に対する量である。
Figure 2019044077
実施例37(比較例28〜29)は、硬化物(注型物)にした時の例である。この場合でも、難燃性、耐熱性は向上した。
本発明のリン含有エポキシ樹脂及びリン含有エポキシ樹脂組成物は、回路基板用材料、封止材料、注型材料や、導電ペースト、接着剤等に利用でき、特に、高難燃性、高耐熱性、低誘電特性及び溶媒溶解性等の各特性が要求されるプリント配線板材料、フレキシブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板(積層板)用材料及び半導体封止材料に有用である。

Claims (13)

  1. 下記式(b)で表される構造部位を有することを特徴とするリン含有エポキシ樹脂。
    Figure 2019044077

    ここで、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環から選ばれる芳香族環基を示し、これらの芳香族環基は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、又は炭素数7〜11のアラルキルオキシ基を置換基として有してもよい。Zは下記式(a)で表されるリン含有基である。
    Figure 2019044077

    ここで、R、Rはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐鎖状、又は環状であってもよく、また、RとRが結合して環状構造を形成してもよい。n1、n2はそれぞれ独立に、0又は1である。
  2. 下記式(c)で表される構造部位を更に有する請求項1に記載のリン含有エポキシ樹脂。
    Figure 2019044077

    ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。
  3. 下記式(b1)で表される構造、又は下記式(b1)で表される構造と下記式(c1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のリン含有エポキシ樹脂。
    Figure 2019044077

    ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。Eは−R−Aで表される有機基であり、−R−は多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と水酸基との反応で生じる連結基であり、Aは多官能エポキシ樹脂の残基であり、A1モル当たり1モル以上のエポキシ基又はそのエポキシ誘導基を有し、ここで、少なくとも一部はエポキシ基であり、上記エポキシ誘導基はZと水酸基がArに結合した構造を有するフェノール化合物とエポキシ基から生じる基であり、式(b1)と式(c1)のEは、他の式(b1)又は式(c1)のEと共用されてもよい。Yは水素原子又はEである。
  4. 下記式(1)で表されるリン含有フェノール化合物(1)の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させて得られることを特徴とする請求項1又は3に記載のリン含有エポキシ樹脂。
    Figure 2019044077

    ここで、Ar及びZは式(b)のAr及びZとそれぞれ同義である。
  5. 下記式(1)で表されるリン含有フェノール化合物(1)を必須成分として含むエポキシ基と反応性の官能基を有する化合物からなる反応剤(x)と、多官能エポキシ樹脂(y)とを反応させることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2019044077

    ここで、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、又はフェナントレン環から選ばれる芳香族環基を示し、これらの芳香族環基は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、又は炭素数7〜11のアラルキルオキシ基を置換基として有してもよい。Zは下記式(a)で表されるリン含有基である。
    Figure 2019044077

    ここで、R、Rはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐鎖状、環状であってもよく、また、RとRが結合して環状構造を形成してもよい。n1、n2はそれぞれ独立に、0又は1である。
  6. 上記反応剤(x)が、エポキシ基と反応性の官能基を有するリン化合物(p)を含み、該リン化合物(p)はリン含有フェノール化合物(1)と下記式(2)で表されるリン含有フェノール化合物(2)を含み、リン含有フェノール化合物(1)の含有率がリン化合物(p)の0.1〜35質量%である請求項5に記載のリン含有エポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2019044077

    ここで、Ar及びZは式(1)のAr及びZとそれぞれ同義である。
  7. リン化合物(p)が、下記式(3)で表されるリン化合物(3)1モルに対し、キノン化合物(q)を0.10モル以上1.0モル未満となるように仕込み、リン化合物(3)1モルに対して、0.05〜0.5モルの水分量の有機溶媒中で、100〜200℃で反応させることで得られるものである請求項6に記載のリン含有エポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2019044077

    ここで、R、R、n1、及びn2は式(a)のR、R、n1、及びn2とそれぞれ同義である。
  8. 上記反応剤(x)が、リン化合物(p)以外のエポキシ基と反応性の官能基を有する化合物(x1)を含む請求項5又は6に記載のリン含有エポキシ樹脂の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を使用して得られる回路基板用材料。
  11. 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を使用して得られる封止材。
  12. 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を使用して得られる注型材。
  13. 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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