JP2019043660A - 包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分が比較的少ない物品が、空気中の水分を吸湿することを抑制する。【解決手段】包装袋により物品が密封されている包装体であって、当該包装袋は、袋の内表面側から、熱可塑性樹脂を含有する第1樹脂層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、金属原子を含有する無機物層と、熱可塑性樹脂を含有する第2樹脂層とがこの順で設けられたものであり、当該物品の水分活性は0.85以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、包装体に関する。より具体的には、水分が比較的少ない物品を密封した包装体に関する。
食品や医薬品、または電子部品など、経時変化や保存性が問題となる物品を包装することを意図したバリアフィルム(気体の透過性が低いフィルム)の開発が様々に行われている。
例えば、特許文献1には、高分子フィルム基材の少なくとも片面に無機材料の蒸着膜が形成され、さらにその蒸着膜の上にポリ塩化ビニリデンの塗膜が積層されているフィルムが記載されている。
特開平8−39718号公報
上記のように、バリアフィルムについては様々な検討がなされてきている。
しかし、本発明者の知見によれば、従来のバリアフィルムを用いて物品を密封したところ、特に水蒸気の遮断性について、改善の余地があることが分かった。具体的には、従来のバリアフィルムを用いて同じ物品を密封した場合でも、バリア層の配置によっては水蒸気のバリア性能が低下することがあった。
本発明者は、上記知見に基づき、さまざまな検討を行った。
その結果、バリアフィルム自体について適切なものを選択・設計することはもちろん重要であるが、それに加え、バリアフィルムを袋としたときの実際の水蒸気バリア性や、包装する物品との「相性」なども考慮して、積層フィルムや袋を設計することが重要なことを見出した。
本発明者は、上記知見も踏まえ、特に今回、水分が比較的少ない物品が、空気中の水分を吸湿することの抑制を目的として鋭意検討を進めた。
検討の結果、本発明者は、以下に提供される発明をなし、上記課題を達成できることを見出した。
本発明によれば、以下の包装体が提供される。
[1]
包装袋により物品が密封されている包装体であって、
前記包装袋は、袋の内表面側から、熱可塑性樹脂を含有する第1樹脂層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、金属原子を含有する無機物層と、熱可塑性樹脂を含有する第2樹脂層とがこの順で設けられたものであり、
前記物品の水分活性が0.85以下である包装体。
[2]
[1]に記載の包装体であって、
温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に178時間放置後の水蒸気透過度が0.60g/m・day以下である包装体。
[3]
[1]または[2]に記載の包装体であって、
前記第1樹脂層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体から選ばれる一種または二種以上の樹脂を含む包装体。
[4]
[1]〜[3]のいずれか1に記載の包装体であって、
前記無機物層が、アルミニウム原子を含む包装体。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1に記載の包装体であって、
前記物品が、食品、医薬品または電子部品である包装体。
本発明によれば、水分が比較的少ない物品が、空気中の水分を吸湿することの抑制が可能となる。
本実施形態の包装体の一例を示すものである。 本実施形態の包装体の別の例(変形例)を示すものである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
図面はあくまで説明用のものであり、図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
<包装体>
図1は、本実施形態の包装体の一例(包装体1)を示すものである。
包装体1においては、物品3が、包装袋2により密封されている。図1においては、包装袋2の右の開口部が、適当な手段により閉じられ、そして物品3が包装袋2により密封されている。
包装袋2は、4層の積層構造のフィルム(積層フィルム)で形成されている。この積層構造は、包装袋2の内表面側から、熱可塑性樹脂を含有する第1樹脂層(第1樹脂層11)、ポリ塩化ビニリデン含有層(ポリ塩化ビニリデン含有層12)、金属原子を含有する無機物層(無機物層13)および熱可塑性樹脂を含有する第2樹脂層(第2樹脂層14)となっている。
物品3の水分活性は0.85以下である。
このような包装体1により、なぜ吸湿を抑制できるのか、そのメカニズム等は必ずしも全てが明らかではないが、以下のように説明することができる。
本発明者は、まず、従来のバリアフィルムを用いて、同じ物品を密封した場合でも水蒸気のバリア性能に違いが生じることがあることについて、その原因を検討した。
具体的には、本発明者は、水蒸気のバリア性が高い(水蒸気透過度が小さい)フィルムとして知られている、ポリ塩化ビニリデン含有層と金属原子を含有する無機物層とを備えたフィルムを設計・試作するなどして、水分が比較的少ない物品を密封する検討を行った。その検討の中で、同じフィルムを用いて作成された包装袋であっても、バリアフィルムにおけるバリア層の配置により水蒸気バリア性に違いが生じることがわかった。
本発明者は、物品の吸湿抑制性能の低下について、包装する物品にあわせてバリアフィルムの構成を適切に配置することにより、物品の吸湿抑制性能の低下を効果的に低減することができることを見出した。
すなわち、水分が比較的少ない物品を密封して包装体とする場合、空気中の水分は、包装体の「外部」から「内部」へ流れることとなり、上記の本発明の層構成によって、このような空気中の水分の流れを効果的に遮断するものと考えられる。具体的には、無機物層が、ポリ塩化ビニリデン含有層よりも包装体の外表面側に存在するように配置することにより(包装体1においては、無機物層13がポリ塩化ビニリデン含有層12よりも外表面側に存在する)、比較的長期にわたって水蒸気バリア性を維持することができる。
以上のように、バリアフィルムを適切に選択・設計することにより、経時によっても水蒸気バリア能の低下が抑えられ、結果、吸湿抑制の効果が比較的長期にわたって得られると考えられる。
従来、バリアフィルム単独での水蒸気遮断性の向上技術は様々に検討されてきた。しかし、包装対象の物品は多種多様であるところ(例えば食品でも、乾燥したものもあれば水分豊富なものもある)、包装する物品の性質や、所望する保存性に合わせて水分の「流れ方向」を考慮して包装材料を水蒸気遮断性の観点から最適な配置に設計することについては検討されてきていなかった。
本実施形態の包装体は、このような、これまで検討されていなかった視点に基づくものである。
包装体1の各構成要素などについて説明する。
・包装袋2
図1において、包装袋2は、例えば、開口部を有した袋体の、その開口部が適当な手段により閉じられた(密封された)ものである。
開口部を閉じる手段は特に限定されないが、密封性を高める観点から、一例としてヒートシール処理が好ましい。ただし、密封性が担保される限り、他の方法により開口部が閉じられていてもよい。また、図示はされていないが、密封性が担保される限り、閉じられる開口部は2箇所以上あってもよい。
包装袋2の大きさや形状に特に制限は無く、包装する物品の分量や体積に基づき適宜設定可能である。あくまで一例であるが、包装袋2は、その内表面積が10〜2000cm、好ましくは100〜1800cmとなるように設計することができる。
包装袋2は、その外表面に何らかの印字・印刷等がされていてもよい。
・第1樹脂層11
第1樹脂層11は、熱可塑性樹脂を含む樹脂層であれば、特に限定されない。
第1樹脂層11には、ポリ塩化ビニリデン含有層12が物品3と直接接触することを防止し、開口部を接着や熱融着、即ちヒートシールにより密封するとともに、ポリ塩化ビニリデン含有層12が損傷してバリア性が低下することを抑える役割(すなわち、ポリ塩化ビニリデン含有層12を保護する役割)が期待される。
第1樹脂層11に適用可能な熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上が挙げられる。
上記の役割(ポリ塩化ビニリデン含有層12の保護やヒートシール性の担保)や、コスト、ヒートシール性等による密封性や製造適性なども踏まえると、第1樹脂層は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンと炭素数が2または4以上10以下のα−オレフィンとのランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層などが挙げられる。
これらの中でも、ヒートシール性の観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、および、プロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体から選ばれる一種または二種以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂の形態として、ポリ塩化ビニリデン含有層12との密着性などの観点から、無延伸または延伸された低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(延伸LLDPE)、プロピレンと炭素数が2または4以上10以下のα−オレフィンとのランダム共重合体なども好ましい。
第1樹脂層11は、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、防曇剤やアンチブロッキング剤等の添加剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性の樹脂が含まれていてもよい。
また、第1樹脂層は接着剤として設けてもよく、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性樹脂を含む接着剤を乾燥・硬化させることにより設けることができる。
第1樹脂層11の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは15〜80μm、更に好ましくは20〜60μmである。この厚みとすることで、ポリ塩化ビニリデン含有層12の保護能やヒートシール性を得つつ、ハンドリング性が良好な包装袋2を得ることができる。
・ポリ塩化ビニリデン含有層12
ポリ塩化ビニリデンは、フィルムとしたとき、汎用的な合成樹脂の中では水蒸気透過率がかなり小さい樹脂として知られている。すなわち、ポリ塩化ビニリデン含有層12は、物品の吸湿抑制に重要な役割を果たす。
ポリ塩化ビニリデン含有層12は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む限り、特に限定されない。ここで「ポリ塩化ビニリデン系樹脂」とは、塩化ビニリデンモノマーに対応する構造単位を含むものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、塩化ビニリデンの含有割合が60質量%以上99質量%以下であり、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の含有割合が1質量%以上40質量%以下である共重合体を上げることができる。塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、公知の方法で製造することで得てもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等が挙げられる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の形態は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(水系の乳濁液)の形態であってもよい。
この場合は、水蒸気バリア性を安定させる観点から、無機物層13と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスからなる層の間に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解させて塗布したポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む層を設けることが好ましい。
このラテックスについては、従来公知の方法で製造してもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等が挙げられる。
なお、ポリ塩化ビニリデン含有層12は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、第1樹脂層11と同様の添加剤や接着性樹脂、膜形成性を良化させる成分(例えば、シランカップリング剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等)を含んでもよい。
上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂を原材料としてポリ塩化ビニリデン含有層12を形成する方法は、特に限定されない。
例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解して、無機物層13または第1樹脂層11の表面に塗布し、そして乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン含有層12を形成することができる。このとき使用可能な有機溶剤は、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類に応じて適宜選択されるため特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;これらの混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。上記のような有機溶剤に溶解させたポリ塩化ビニリデンを用いてポリ塩化ビニリデン含有層12を形成することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを、無機物層13または第1樹脂層11の表面に塗布し、そして乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン含有層12を形成してもよい。
さらに、上述のように無機物層13の表面に有機溶剤に溶解させたポリ塩化ビニリデンを用いてポリ塩化ビニリデン含有層12を形成することと、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスによりポリ塩化ビニリデン含有層12を形成することの両方を行い、2層構成のポリ塩化ビニリデン含有層12を形成してもよい。
特にこの場合、当該2層のうち、無機物層13の側の層については有機溶剤を用いて層形成し、第1樹脂層11の側の層についてはラテックスにより層形成することが好ましい。これは、(1)有機溶剤を用いて層形成するほうが無機物層13との接着性をより高められること、(2)一般にはラテックス形態のポリ塩化ビニリデンは安価であり、また、界面活性剤を含有させるなどで製造工程での帯電防止性に優れ、塵の付着などが抑えられること、等が理由である。
ポリ塩化ビニリデン含有層12の厚みは、好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.2〜5μmである。なお、ポリ塩化ビニリデン含有層12が多層を含む場合(例えば、上述の、有機溶剤系およびラテックス系の両方で層形成する場合など)には、それら多層の合計の厚みがここに示された厚みであることが好ましい。
この厚みとすることで、十分な水蒸気バリア能があり、かつ、ハンドリング性が良好な(かさばらない)包装袋2を得ることができる。
・無機物層13
無機物層13を構成する無機物は、金属原子を含有する無機物である限り特に限定されず、例えば、金属や金属酸化物等が挙げられる。より具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4B族元素;セレン、テルル等の周期表6B族元素等の単体、合金または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これら無機物の中でも、バリア性やコスト等の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。特に、水蒸気バリア性の観点からアルミニウム、酸化アルミニウムが好ましく、透明性が確保されるという観点から酸化アルミニウムであることが好ましい。なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
無機物層13は、無機物特有の緻密な(すき間が少ない)ミクロ構造により、水蒸気のバリア性に寄与するものである。
無機物層13は好ましくは上記無機物の少なくとも一種により形成されている。無機物層13は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層13が複数の無機物層から構成されている場合には、同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層13の形成方法は特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等により、第2樹脂層14の表面またはポリ塩化ビニリデン含有層12の表面に無機物層13を形成することができる。
無機物層13の厚さは、好ましくは1〜500nm、より好ましくは5〜300nm以下、より好ましくは7〜150nmである。この厚みとすることで、十分な水蒸気バリア能、ハンドリング性(かさばらない)、他の層との密着性などのバランスを最適化できる。
なお、この厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
・第2樹脂層14
第2樹脂層14は、熱可塑性樹脂を含む樹脂層であれば、特に限定されない。
第2樹脂層14は、無機物層13が、外部からの衝撃を直接受けることを防ぎ、無機物層13が損傷してバリア性が低下することを抑える役割(すなわち、無機物層13を保護する役割)が期待される。また、市場流通時に必要な、包装体表面への印字・印刷を容易とする役割も期待される。
第2樹脂層14が含むことができる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
熱可塑性樹脂として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
第2樹脂層14は、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、第1樹脂層11と同様、防曇剤やアンチブロッキング剤等の添加剤や、接着剤(他の層との密着性を高めるため)などが含まれていてもよい。
第2樹脂層14の厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは8〜30μm、更に好ましくは10〜20μmである。この厚みとすることで、無機物層13を円滑に蒸着等により形成することができ、一方ではハンドリング性が良好な(かさばらない)包装袋2を得ることができる。
・その他の層
包装袋2は、上記4層以外の層を更に有してもよい。例えば、ヒートシール性を高めるための熱融着層や、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに有していてもよい。
・物品3
本実施形態の包装体において、包装袋2により密封される物品3は、水分活性が0.85以下の物品である。
「水分活性」とは、一般に、物品中の自由水の割合を表す数値として知られており、食品を入れた密閉包装材内の水蒸気圧(P)とその温度における純水の蒸気圧(PO)の比(P/PO)により定義される。水分活性は、特に、食品の保存性の指標としてよく用いられる。
水分活性は、常法に従い、コンウェイ法や電気抵抗式湿度センサー法などにより測定することができる。例えば、卓上型温湿度測定器ハイグロラボ(ロトロニック社製)により測定することができる。
「水分活性が0.85以下の物品」とは、一般的には、比較的乾燥している物品を表す。本実施形態の包装体においては、そのような物品が空気中の水分を吸湿して経時変化することを、比較的長期間にわたって抑制することができる。
なお、物品3の水分活性については、0.85以下であれば特に限定されないが、その下限としては、例えば、物品3の外部からの水分による毀損や機能低下を効果的に防止する観点から、物品3の水分活性は0.05以上であることが好ましい。
物品3は、好ましくは、半導体素子や有機EL等の電子機器、食品または医薬品であり、食品または医薬品が特に好ましい。食品または医薬品を密閉して本実施形態の包装体を製造することで、当該食品または医薬品の吸湿による変化(劣化)を比較的長期にわたって抑制できると期待される。
食品としては、水分活性が0.85以下のもの全般が含まれるが、例えば、焼き菓子(クッキーやビスケットなど)、煎餅、おかき、あられ、ぽん菓子等の米菓、野菜チップ、スナック菓子、ふりかけ、穀物粉末(小麦粉、米粉など)が挙げられる。医薬品の例としては、粉状のもの、顆粒状のもの、カプセル状のもの、錠剤状のものなどを挙げることができる。物品3は、もちろんこれらの食品または医薬品のみに限定されるものではない。
なお、物品3の吸湿をより一層抑制するため、包装袋2の中に、物品3と一緒に乾燥剤(図1には図示せず)を入れて密封して包装体1を得てもよい。乾燥剤は、公知のものや市場で入手可能なものを適宜用いることができる。
本実施形態の包装体1は、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に178時間放置後の水蒸気透過度が、典型的には0.60g/m・day以下であり、好ましくは0.50g/m・day以下であり、より好ましくは0.45g/m・day以下であり、さらに好ましくは0.30g/m・day以下であり、特に好ましくは0.25g/m・day以下であり、最も好ましくは0.22g/m・day以下ある。
・製造方法
包装体1を製造する方法については、各構成要素の説明においても適宜述べているが、特に包装袋2の積層構造(積層フィルム)の製造方法について、改めてここで述べる。
包装袋2を構成する積層フィルムは、任意の方法で製造すればよいが、好ましくは以下手順で製造することができる。
(1)第2樹脂層14を構成する基材、例えばPETフィルムなどの熱可塑性樹脂を含むフィルムを準備する。
このフィルムは、無機物層13との接着性を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面処理が行われていてもよい。
(2)無機物層13を形成する。
形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等が挙げられる。
(3−1)ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解したものを、無機物層13の表面に塗布して、ポリ塩化ビニリデン含有層12を形成する。
ここで用いることができるポリ塩化ビニリデン系樹脂や有機溶剤は、前述のとおりである。
塗布量は、通常0.05〜5.0g/m、好ましくは0.07〜2.0g/m、より好ましくは0.1〜0.5g/mである。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.02〜3.1μm、好ましくは0.05〜1.3μmである。これらは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
(3−2)ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを、上記(3−1)で形成されたポリ塩化ビニリデン含有層12の表面に塗布して、2層構成のポリ塩化ビニリデン含有層12を形成する。
ここで用いることができるラテックスについては、前述のとおりである。
塗布量は、通常0.2〜10.0g/m、好ましくは0.5〜5.0g/m、より好ましくは0.8〜3.0g/mである。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.1〜6.2μm、好ましくは0.2〜1.8μmである。これらは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
なお、(3−1)および(3−2)において、塗布の方法や装置は、特に限定されない。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて工程(3−1)および/または(3−2)を行うことができる。
また、(3−1)および(3−2)において、塗布後の乾燥方法は特に限定されない。例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングドライヤー等の公知の乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。乾燥温度は、通常50〜200℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは90〜130℃である。乾燥時間は、通常5秒〜10分、好ましくは5秒〜3分、より好ましくは5秒〜1分である。
上記の乾燥後、必要によりオーブン等により熱処理を行ってもよい。例えば、上記乾燥後のフィルムを、好ましくは35〜60℃以下、より好ましくは40〜50℃のオーブン中で、好ましくは5〜70時間、より好ましくは10〜50時間程度熱処理する。この熱処理によりポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化が促進され、バリア性能をより一層向上させることができる。
(4)第1樹脂層11を形成する。
例えば、適当な熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)を含むフィルムを準備する。そして、このフィルムを、ドライラミネート法により上記(3−2)で形成されたポリ塩化ビニリデン含有層12と貼り合わせることで、包装袋2を構成する積層フィルムを得ることができる。
ドライラミネートの具体的な方法や、使用される接着剤などは、公知技術を適宜適用することができる。
<変形例>
図2は、本実施形態の包装体1の別の例(変形例)を示すものである。
図2においては、小さな包装袋2Bにより物品3Bが密封された複数の個包装が、大きな包装袋2Cによりさらに密封されている。
図2においては、小さな包装袋2Bを構成するフィルムおよび/または大きな包装袋2Cを構成するフィルムが、図1で説明された4層構造の積層フィルムであり、そして袋の内表面側から、第1樹脂層11、ポリ塩化ビニリデン含有層12、無機物層13および第2樹脂層14の層構成となっている(図2においては、これら層構成は明示されていない)。
すなわち、小さな包装袋2Bと大きな包装袋2Cの少なくとも一方が、特定の4層構成のフィルムであることで、物品3Bの吸湿抑制の効果を得ることができる。
また、小さな包装袋2Bと大きな包装袋2Cの両方が、特定の4層構成のフィルムであれば、物品3Bの吸湿抑制の効果をより一層得られると期待される。
なお、小さな包装袋2Bと大きな包装袋2Cの一方のみが、特定の4層構成のフィルムである場合、他方の包装袋を構成するフィルムは、任意のものであってよく、ヒートシール性、耐久性、印刷適性、意匠性、コスト等から適宜選択される。ポリ塩化ビニリデンや無機物以外の、水蒸気バリア性が比較的高い素材を採用することも考えられる。
<吸湿抑制方法>
本実施形態の包装体により、物品の吸湿を抑制する方法が提供される。すなわち、袋の内表面側から、熱可塑性樹脂を含有する第1樹脂層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、金属原子を含有する無機物層と、熱可塑性樹脂を含有する第2樹脂層とがこの順で設けられた包装袋により、水分活性が0.85以下である物品を密封することにより、当該物品の吸湿を抑制する方法が提供される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1:包装袋の作製>
第2樹脂層として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を準備した。このフィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム層(無機物層)を形成した。
この無機物層の上に、以下の有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と、ラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを順次形成した。
ここで、有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層およびラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法は以下のとおりである。
まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、サランレジンF216)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(質量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/mになるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することにより、有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
続いて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、サランラテックスL536B)を、乾燥後の塗工量が0.9g/mになるように有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
形成された有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の厚さは0.12μmであった。また、形成されたラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の厚さは0.56μmであった。
このようにして、ポリ塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを得た。
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムのポリ塩化ビニリデン系樹脂層面と、厚さ50μmの無延伸ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ社製、品番:FCS#50、直鎖状低密度ポリエチレン)をドライラミネート法により貼り合わせ、第1樹脂層とした。貼り合わせは、この無延伸ポリエチレンフィルムの片面に、接着剤(三井化学社製、タケラック(登録商標)A−310/タケネート(登録商標)A−3=12/1(質量比))を3.0g/m塗布して、上記ラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と密着させることにより行った。
さらに、上記で得られたラミネートフィルムの第1樹脂層とは反対の面に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット)のコロナ処理面をドライラミネート法により貼り合わせて評価用積層フィルム得た。ドライラミネートの具体的方法は上記と同様である。
以上の工程により得られた評価用積層フィルムを、内表面積が0.01m(100cm)になるように製袋して、包装袋を得た。このとき、第1樹脂層が袋の内表面になるようにした。
<比較例1:包装袋の作製>
上記の実施例1と同様に作製したポリ塩化ビニリデン積層フィルム(無延伸ポリエチレンフィルムをドライラミネートしていないフィルム)と、無延伸ポリエチレンフィルムを貼り合わせる時、ポリ塩化ビニリデン積層フィルムのポリエチレンテレフタレート面(第2樹脂層の側)と無延伸ポリエチレンフィルムのコロナ処理面とを貼り合わせる以外、実施例1と同様にして評価用積層フィルムを得た。
そして、実施例1と同様にして包装袋を得た。このとき、ドライラミネートされた無延伸ポリエチレンフィルムが袋の内表面側となるようにした。
<実施例1と比較例1の包装袋の評価>
・水蒸気透過度および重量変化率の測定
実施例1及び比較例1で作製した包装袋に、内容物として塩化カルシウムを10g入れ、袋の入口をヒートシールして包装体を得た。包装体の初期重量を測定した後、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に178時間放置した後、再度包装体の重量を測定した。測定値から次のようにして水蒸気透過度及び重量増加率を求めた。
水蒸気透過度(g/m・day)={(放置後の重量−初期重量)×100÷178}×24
重量増加率(%)={(放置後の重量−初期重量)/初期重量}×100
測定結果を表1に示す。
実施例1の包装体と比較例1の包装体の水蒸気透過度を比較すると、実施例1の包装体は比較例1の包装体の半分以下の水蒸気透過度であり、顕著にすぐれていることがわかる。
また、178時間後の塩化カルシウムの重量増加率を比較すると、実施例1の塩化カルシウムの重量増加率は比較例1の塩化カルシウムの半分以下となっている。水蒸気透過度と重量増加率はほぼ比例関係にあり、水蒸気透過度が重量増加率の指標といえることがわかる。
Figure 2019043660
<実施例2および3:包装袋の作製>
実施例1と同様の方法で、ポリ塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム(無延伸ポリエチレンフィルムをドライラミネートしていないフィルム)を得た。このフィルムのポリ塩化ビニリデン積層面に対して、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、品番:GLC#40)をドライラミネート法により貼り合わせて、評価用積層フィルムを得た。ドライラミネート法の具体的な方法は、実施例1と同様とした。なお、この評価用積層フィルムにおいては、実施例1のように、第1樹脂層とは反対の面に、さらに二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けることはしなかった。
このフィルムを、実施例1と同様に製袋して包装袋を得た。
<比較例2−1:包装袋の作製>
従来の他社品のバリア性フィルムAのバリア面に対して、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、品番:GLC#40)をドライラミネート法により貼り合わせて、評価用積層フィルムを得た。ドライラミネート法の具体的な方法は、実施例1と同様とした。このフィルムを、実施例1と同様に製袋して包装袋を得た。
<比較例2−2:包装袋の作製>
従来のバリア性フィルムBのバリア面に対して、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、品番:GLC#40)をドライラミネート法により貼り合わせて、評価用積層フィルムを得た。ドライラミネート法の具体的な方法は、実施例1と同様とした。このフィルムを、実施例1と同様に製袋して包装袋を得た。
<比較例3−1:包装袋の作製>
比較例2−1と同様にして包装袋を得た。
<比較例3−2:包装袋の作製>
比較例2−2と同様にして包装袋を得た。
<実施例2及び比較例2−1、2−2の包装袋の評価>
・水蒸気透過度の測定
実施例2及び比較例2−1、比較例2−2で作製した包装袋に、内容物として塩化カルシウムを10g入れ、袋の入口をヒートシールした。包装体の初期重量を測定した後、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に178時間放置した後、再度包装体の重量を測定した。測定値から、実施例1と同様にして水蒸気透過度を求めた。
・重量増加率の測定
実施例2及び比較例2−1、比較例2−2で作製した包装袋に、内容物としてチョコチップクッキー(水分活性:0.19)を10g入れ、袋の入口をヒートシールして包装体とした。この包装体の初期重量を測定した後、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に1225時間放置した後及び2411時間放置した後、包装体の重量を測定した。測定値から次のようにして重量増加率を求めた。
重量増加率(%)={(放置後の重量−初期重量)/初期重量}×100
結果を表2に示す。
Figure 2019043660
実施例2の包装体では、チョコチップクッキーの重量増加率(2411時間後)は1.57%であった。
乾燥食品においては、「賞味限界重量増加率」という指標により、湿気に由来する違和感を感じることなく食すことのできる限界を定量的に評価できる。この指標は、湿気に由来する違和感を感じることなく食することのできる重量増加率の限界値であり、賞味限界重量増加率を超えると、食したときに湿気に由来する違和感がある。
チョコチップクッキーの賞味限界重量増加率は1.60%である。つまり、実施例2では、2411時間もの高温高湿環境下での評価後であっても、重量増加率が1.57%であってこの1.60%に到達せず、湿気に由来する違和感を感じることなく内容物を美味しく食すことができることが示された。
これに対し、比較例2−1および比較例2−2の包装体では、チョコチップクッキーの重量増加率は各々2.72%、4.65%であり、賞味限界重量増加率をはるかに超過した。
以上、実施例2の包装体により、従来品の比較例2−1や比較例2−2の包装体と比べて顕著に長期間の保管が可能なことがわかる。
<実施例3及び比較例3−1、3−2の評価>
実施例3及び比較例3−1、比較例3−2で作製した包装袋に、内容物としてふりかけ(水分活性:0.01)を10g入れ、袋の入口をヒートシールして包装体とした。この包装体の初期重量を測定した後、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に1225時間放置した後、包装体の重量を測定した。測定値から次のようにして重量増加率を求めた。
重量増加率(%)={(放置後の重量−初期重量)/初期重量}×100
結果を表3に示す。
Figure 2019043660
ふりかけの賞味限界重量増加率は、1.30%である。実施例3の包装体では、1225時間放置した後の重量増加率は1.24%であり、「賞味限界重量増加率」に到達しなかった。一方、比較例3−1および比較例3−2の包装体では、重量増加率は各々2.30%、5.47%であり、「賞味限界重量増加率」をはるかに超過していることがわかる。
以上、実施例3の包装体により、従来品の比較例3−1や比較例3−2の包装体と比べて顕著に長期間の保管が可能なことがわかる。
以上より、上記各実施例および比較例の結果から、本実施形態の包装体により、水分が比較的少ない物品(水分活性0.85以下の食品や医薬品など)の吸湿を抑制できること、また、その吸湿抑制効果、即ち水蒸気バリア性が長期間にわたって持続されることが示された。
1 包装体
2、2B、2C 包装袋
3、3B 物品
11 第1樹脂層
12 ポリ塩化ビニリデン含有層
13 無機物層
14 第2樹脂層

Claims (5)

  1. 包装袋により物品が密封されている包装体であって、
    前記包装袋は、袋の内表面側から、熱可塑性樹脂を含有する第1樹脂層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、金属原子を含有する無機物層と、熱可塑性樹脂を含有する第2樹脂層とがこの順で設けられたものであり、
    前記物品の水分活性が0.85以下である包装体。
  2. 請求項1に記載の包装体であって、
    温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に178時間放置後の水蒸気透過度が0.60g/m・day以下である包装体。
  3. 請求項1または2に記載の包装体であって、
    前記第1樹脂層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体から選ばれる一種または二種以上の樹脂を含む包装体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装体であって、
    前記無機物層が、アルミニウム原子を含む包装体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体であって、
    前記物品が、食品、医薬品または電子部品である包装体。
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