以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1(A)および図1(B)は、それぞれ、本発明の第1実施形態にかかる電気コネクタとしての第1コネクタ10を有する電気的接続装置1の斜視図である。図2(A)は、電気的接続装置1の平面図であり、図2(B)は電気的接続装置1の主要部の正面図であり、図2(C)は、電気的接続装置1の主要部の側面図であり、図2(D)は、電気的接続装置1の主要部の背面図である。図3(A)は、電気的接続装置1の主要部の断面図であり、電気的接続装置1をコネクタ長さ方向Y1に沿って見た状態を示している。図3(B)は、電気的接続装置1の主要部の断面図であり、電気的接続装置1をコネクタ幅方向X1に沿って見た状態を示している。図4(A)は、電気的接続装置1のうちの第1コネクタ10が基板2に実装された状態を示す斜視図であり、図4(B)は、図4(A)の正面図である。図5(A)は、電気的接続装置1の相手側電気コネクタとしての第2コネクタ30のハウジングとしての第2ハウジング31の斜視図であり、図5(B)は、第2ハウジング31の主要部の平面図であり、図5(C)は、第2ハウジング31の主要部の正面図である。
図1(A)〜図2(D)を参照して、電気的接続装置1は、2つの電気機器を電気的に接続するために用いられる。本実施形態では、電気的接続装置1は、制御基板、電源基板等の基板2と、複数の被覆電線3とを電気的に接続するボードトゥワイヤー式の電気的接続装置1として用いられている。被覆電線3の電線は、例えば、図示しない基板に接続されており、これにより、当該基板と、基板2とが電気的に接続されている。
基板2は、単層または多層の回路基板である。基板2の実装面(表面)には、複数の回路用導体パターン2aと、検査用導体パターン2bと、が形成されている。
回路用導体パターン2aは、電気的接続装置1の極数、すなわち、第1コネクタ10の第1コンタクト12の数と同じ数形成されており、対応する第1コンタクト12とはんだ付け等によって導通可能に固定される。各回路用導体パターン2aは、基板2に設けられた図示しない半導体等の回路素子に接続されている。検査用導体パターン2bは、後述する半嵌合検査のために用いられる導体パターンであり、本実施形態では、第1コネクタ10と協働して無端状のループ形状を形成している。検査用導体パターン2bは、平面視で略U字状に形成された、有端環状部分である。検査用導体パターン2bの両端部は、補強タブ固定部2c,2cを含んでいる。補強タブ固定部2c,2cは、例えば矩形状に形成されており、第1コネクタ10の後述する補強タブ44a,44bとは、はんだ付け等によって導通可能に固定されている。
電気的接続装置1は、電気コネクタとしての第1コネクタ10と、相手側電気コネクタとしての第2コネクタ30と、これらのコネクタ10,40に設けられた半嵌合検出機構40と、を有している。
本実施形態では、第1コネクタ10は、メスコネクタを構成しており、第2コネクタ30は、オスコネクタを構成している。そして、第2コネクタ30が第1コネクタ10に対して正規の嵌合位置P1に配置されてこれらのコネクタ10,30が互いに嵌合されることで、第1コネクタ10と第2コネクタ30とが電気的に接続される。本実施形態では、第1コネクタ10は、基板2に実装されており、第2コネクタ30は、被覆電線3を取り付けられている。
各コネクタ10,30は、所定の幅方向X1に細長く、且つ、幅方向X1と直交する厚み方向Z1に薄い偏平な形状に形成されている。また、各コネクタ10,30は、互いに接続された状態において、幅方向X1および厚み方向Z1の双方と直交する長さ方向Y1に対向している。
図3(A)〜図4(B)を参照して、第1コネクタ10は、第1ハウジング11と、複数の第1コンタクト12と、半嵌合検出機構40の一部を構成する半嵌合検出部13と、を有している。
第1ハウジング11は、複数の第1コンタクト12および半嵌合検出部13を保持するために設けられている。第1ハウジング11は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。第1ハウジング11は、射出成形によって形成された一体成形品である。尚、第1ハウジング11は、複数の部材を固定することにより形成されていてもよい。
第1ハウジング11は、幅方向X1に細長く且つ長さ方向Y1における一端が開放された箱形形状に形成されている。具体的には、第1ハウジング11は、幅方向X1に離隔して配置された一対の側壁11a,11bと、一対の側壁11a,11bを繋ぐ底壁11cおよび天壁11dと、後壁11eと、を含んでいる。
一対の側壁11a,11bは、幅方向X1と直交するように延びる壁部である。一対の側壁11a,11bの外側面には、補強タブ収容部11f,11gが設けられている。補強タブ収容部11f,11gは、対応する側壁11a,11bの一部を幅方向X1の外側に突出させるようにして形成されている。補強タブ収容部11f,11gは、後述する補強タブ44a,44bを収容するための細長い溝を形成しており、この溝に補強タブ収容部11f,11gが圧入固定等によって固定されている。補強タブ収容部11f,11gは、長さ方向Y1の中間部が切り欠かれた形状に形成されており、長さ方向Y1における補強タブ収容部11f,11gの中間部が、幅方向X1の外側に露呈している。
底壁11cは、基板2に沿わされるように配置されている。この底壁11cと厚み方向Z1に離隔して天壁11dが配置されている。底壁11cおよび天壁11dは、厚み方向Z1と直交するように延びる、矩形状部分である。本実施形態では、天壁11dは、幅方向X1に対称な形状に形成されている。
天壁11dには、固定用孔部14a,14b,14c,14dと、短絡用孔部15a,15bと、が形成されている。
本実施形態では、固定用孔部14a,14b,14c,14dと、短絡用孔部15a,15bは、長さ方向Y1における第1ハウジング11の前端寄りに配置されている。
固定用孔部14a〜14dは、後述する第1短絡用タブ45a,45bの固定用片部49a,49b,49a,49bが固定される部分として設けられている。固定用孔部14a,14bは、一方の側壁11a寄りに配置されており、固定用孔部14c,14dは、他方の側壁11b寄りに配置されている。各固定用孔部14a,14b,14c,14dは、本実施形態では、天壁11dを厚み方向Z1に貫通する、平面視で矩形状の孔部である。固定用孔部14b,14c間に、短絡用孔部15a,15bが配置されている。
短絡用孔部15a,15bは、第1短絡用タブ45a,45bの後述する第2短絡用タブ33,33が通過する部分として設けられている。短絡用孔部15aは、一方の側壁11a寄りに配置されており、短絡用孔部15bは、他方の側壁11b寄りに配置されている。各短絡用孔部15a,15bは、本実施形態では、天壁11dを厚み方向Z1に貫通する、平面視で矩形状の孔部である。また、天壁11dのうち、底壁11c側を向く内側面には、第1凹部16と、一対の第2凹部17,17と、が形成されている。
第1凹部16は、第2ハウジング31の後述するロック片部35が挿入される部分であり、幅方向X1における第1ハウジング11の中央に配置されている。また、第1凹部16における天壁11dの内側面に、第1ロック爪部18が形成されている。第1ロック爪部18は、幅方向X1における主体部51,51の間に配置されており、天壁11dの内側面から底壁11c側に向けて突出する突起状に形成されている。第1凹部16を幅方向X1に挟むようにして、一対の第2凹部17,17が形成されている。
図1(B)、図3(B)および図4(B)を参照して、後壁11eは、第1ハウジング11の長さ方向Y1における後端部を塞ぐように設けられた壁部である。後壁11eには、複数の第1コンタクト貫通孔部が形成されており、本実施形態では、第1コンタクト貫通孔部が厚み方向Z1に例えば二段に配置されおり、それぞれの段において、複数の第1コンタクト貫通孔部が幅方向X1に等ピッチに配置されている。
上記の構成により、第1ハウジング11には、第2コネクタ30の第2ハウジング31を収容する収容孔部19が形成されている。この収容孔部19内に、第1コンタクト12が突出している。
第1コンタクト12は、第2コネクタ30の対応する第2コンタクト32に接触するために設けられている。第1コンタクト12は、金属材料を曲げ加工すること等により形成された導電性の部材であり、細長い軸状に形成されている。各第1コンタクト12は、後壁11eの対応する第1コンタクト貫通孔部に圧入固定等によって固定されている。各第1コンタクト12のうち、第1ハウジング11の収容孔部19内に配置されている部分は、概ね、長さ方向Y1に沿って延びている。一方、各第1コンタクト12のうち、第1コンタクト12の外側に配置されている部分は、一部が湾曲した形状に形成されているとともに、基板2の対応する回路用導体パターン2aにはんだ付けによって導通可能に固定されている。
次に、第2コネクタ30について説明する。
図1(A)〜図3(B)および図5(A)〜図5(C)を参照して、第2コネクタ30は、第2ハウジング31と、複数の第2コンタクト32と、半嵌合検出機構40の一部を構成する第2短絡用タブ33と、を有している。
第2コネクタ30は、前述したように、本発明の「相手側電気コネクタ」の一例であり、第2ハウジング31は、本発明の「相手側電気コネクタハウジング」の一例であり、第2コンタクト32は、本発明の「相手側電気コネクタコンタクト」の一例であり、第2短絡用タブ33は、本発明の「相手側短絡用タブ」の一例である。
第2ハウジング31は、複数の第2コンタクト32および一つの第2短絡用タブ33を保持するために設けられている。第2ハウジング31は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。第2ハウジング31は、射出成形によって形成された一体成形品である。尚、第2ハウジング31は、複数の部材を固定することにより形成されていてもよい。第2ハウジング31の大部分が、第1ハウジング11の収容孔部19に収容される。
第2ハウジング31は、第2ハウジング本体34と、ロック片部35と、を有している。
第2ハウジング本体34は、概ね直方体状に形成されたブロック状部分である。第2ハウジング31には、複数の第2コンタクト収容孔部が形成されている。第2コンタクト収容孔部は、厚み方向Z1に例えば二段に配置されおり、それぞれの段において、複数の第2コンタクト収容孔部が幅方向X1に等ピッチに配置されている。各第2コンタクト収容孔部は、長さ方向Y1に沿って第2ハウジング本体34を貫通している。
第2コンタクト32は、第1コネクタ10の対応する第1コンタクト12に接触するために設けられている。第2コンタクト32は、金属材料を曲げ加工すること等により形成された導電性の部材であり、1つの第2コンタクト収容孔部に1つ配置されている。第2コンタクト32は、第2コンタクト収容孔部内において、対応する被覆電線3の電線にかしめ固定等によって電気的且つ機械的に接続されている。
第2ハウジング本体34のうち、厚み方向Z1の一端側(上端側)には、一対の凸部34a,34aが形成されている。一対の凸部34a,34aは、長さ方向Y1に沿って延びる凸条である。一対の凸部34a,34aは、第1ハウジング11の対応する第2凹部17,17に嵌合する。一対の凸部34a,34aの間に、ロック片部35が設けられている。
ロック片部35は、第1ハウジング11の第1ロック爪部18に係合することで、第2ハウジング31を第1ハウジング11にロックするために設けられている。ロック片部35は、弾性片部であり、第2ハウジング本体34との連結部分35aを支点にして揺動変位可能である。ロック片部35は、長さ方向Y1における第2ハウジング本体34の一端(先端)において第2ハウジング本体34に連続しており、この連続部分から、長さ方向Y1における他端(後端)に向けて延びている。
ロック片部35は、当該ロック片部35の基端部において厚み方向Z1に立ち上がった後、長さ方向Y1に沿って後方に進むレバー状に形成されている。幅方向X1におけるロック片部35の長さは、第1ハウジング11の第1凹部16の長さと略同じに設定されており、ロック片部35の大部分がこの第1凹部16に挿入される。ロック片部35の先端部(後端部)は、操作者が指でロック片部35を揺動操作するための操作片部を含んでいる。
長さ方向Y1におけるロック片部35の中間部には、第2ロック爪部36が設けられている。第2ロック爪部36は、突起状部分として設けられている。第2ハウジング31が第1ハウジング11の収容孔部19に収容されたときに、第2ロック爪部36と第1ロック爪部18とが互いに係合することで、第1ハウジング11からの第2ハウジング31の抜けを規制する。ロック片部35の基端側部分には、保持溝部37が形成されている。
保持溝部37は、第2短絡用タブ33を保持するために設けられている。保持溝部37は、長さ方向Y1におけるロック片部35の前端側部分を後方に向けて窪むようにして設けられている。保持溝部37は、正面視(長さ方向Y1に沿って見たとき)において、略U字状に形成されている。保持溝部37のうち幅方向X1の両端部が厚み方向Z1に延びてロック片部35の上方側に開放されているとともに、保持溝部37のうち幅方向X1の中間部が幅方向X1に沿って延びている。
次に、半嵌合検出機構40の構成を説明する。
半嵌合検出機構40は、第2コネクタ30が第1コネクタ10における正規の嵌合位置P1に嵌合されているか否かを検出するために設けられている。
半嵌合検出機構40は、第1ハウジング11に取り付けられ第1コネクタ10の一部を構成する半嵌合検出部13と、第2ハウジング31に取り付けられ第2コネクタ30の一部を構成する第2短絡用タブ33と、を有している。
図3(A)、図3(B)、図5(A)および図5(B)を参照して、第2短絡用タブ33は、第1コネクタ10の半嵌合検出部13に短絡を生じさせるために設けられている。第2短絡用タブ33は、第2コンタクト32と同様の導電材料を用いて形成された一体成形品であり、本実施形態では、金属部材をプレス加工することで形成されている。なお、第2短絡用タブ33は、複数の部材を組み合わせることで形成されていてもよい。
第2短絡用タブ33は、ベース部41と、ベース部41から延びる一対の第2短絡用片部42,42と、を含んでいる。ベース部41は、例えば矩形の平板状に形成されている。このベース部41は、第2ハウジング31のロック片部35の保持溝部37に圧入固定されている。これにより、第2短絡用タブ33は、ロック片部35の揺動変位に伴って揺動変位する。幅方向X1におけるベース部41の両端部に、一対の第2短絡用片部42,42が設けられている。
一対の第2短絡用片部42,42は、半嵌合検出部13の後述する一対の検査部材43a,43bに接触するために設けられている。一対の第2短絡用片部42,42は、保持溝部37のうち幅方向X1の両端部に配置されている。各第2短絡用片部42,42のうち、長さ方向Y1の後端部は、側面視(幅方向X1から見て)において上方に凸となる山形形状に形成されているとともにベース部41に片持ち支持されており、弾性変形可能である。
次に、半嵌合検出部13について説明する。
図3(A)〜図4(B)を参照して、半嵌合検出部13は、第1ハウジング11に取り付けられた導電性の一対の検査部材43a,43bを含んでいる。
一対の検査部材43a,43bは、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されていないときには互いに絶縁され、且つ、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されたことに伴い互いに短絡されるように構成されている。本実施形態では、一対の検査部材43a,43bが第2短絡用タブ33と接触することにより、これら一対の検査部材43a,43bが互いに短絡される。
一対の検査部材43a,43bは、第1ハウジング11の外側に配置されて第1ハウジング11に取り付けられており、第1ハウジング11から露出している。本実施形態では、一対の検査部材43a,43bは、長さ方向Y1における第1ハウジング11の前部寄りに配置されている。本実施形態では、一対の検査部材43a,43bは、互いに同じ形状に形成されている。また、本実施形態では、一対の検査部材43a,43bは、幅方向X1に対称に配置されている。各検査部材43a,43bは、全体として、クランク形状に形成されている。各検査部材43a,43bは、第1コンタクト12の材料と同様の導電性の金属板をプレス加工することにより形成されている。
一対の検査部材43a,43bは、第1コネクタ10が実装される基板2に固定される補強タブ44a,44bと、対応する補強タブ44a,44bに電気的に接続された第1短絡用タブ45a,45bと、を含んでいる。
補強タブ44a,44bは、基板2への第1コネクタ10の結合強度を高めるために設けられている。補強タブ44a,44bは、幅方向X1における第1ハウジング11の両端部に配置されており、対応する側壁11a,11bの外側面に沿わされている。補強タブ44a,44bは、それぞれ、本実施形態では、L字状に形成されている。各補強タブ44a,44bは、第1コンタクト12の材料と同様の導電性の金属板をプレス加工することにより形成された一体成形品である。
各補強タブ44a,44bは、平行部46と、平行部46から起立する起立部47と、を有している。
平行部46は、基板2と略平行に配置される矩形平板状部分であり、基板2の対応する補強タブ固定部2cにはんだ付けによって導通可能に固定されている。平行部46の一縁部から、起立部47が延びている。
起立部47は、基板2から立ち上がるように延びる矩形平板状に形成されており、本実施形態では、基板2に垂直に延びている。起立部47は、第1ハウジング11の対応する補強タブ収容部11f,11gに嵌め込まれており、この補強タブ収容部11f,11gに圧入等によって固定されている。また、長さ方向Y1における起立部47の中間部は、対応する補強タブ収容部11f,11gから露呈している。起立部47のうち、厚み方向Z1における一端部(基板2から遠い先端部)は、対応する補強タブ収容部11f,11gから厚み方向Z1に突出している。起立部47の例えば補強タブ収容部11f,11gから突出する部分に、対応する第1短絡用タブ45a,45bが導通可能に接触している。
第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されたときに、第1短絡用タブ45a,45bは、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33との接触によって、これら一対の第1短絡用タブ45a,45bが互いに短絡されるように構成されている。本実施形態では、第1短絡用タブ45a,45bは、補強タブ44a,44bとは別部材を用いて形成されている。各第1短絡用タブ45a,45bは、全体としてL字状に形成されており、第1ハウジング11の天壁11dから対応する側壁11a,11bにかけて配置されている。各第1短絡用タブ45a,45bは、第1コンタクト12の材料と同様の導電性の金属板をプレス加工することにより形成された一体成形品である。
各第1短絡用タブ45a,45bは、第1ハウジング11の外表面に沿わされる沿い部48と、沿い部48から突出する固定用片部49a,49bおよび第1短絡用片部50と、を有している。
各沿い部48は、主体部51と、主体部51から延びる弾性片部52と、を有している。
主体部51は、第1ハウジング11の天壁11dと略平行に配置される矩形平板状部分である。長さ方向Y1における主体部51の長さは、第1コネクタ10の極数に応じて設定される。第1コネクタ10の極数が多いほど、長さ方向Y1における主体部51の長さが長くなる。このように、一対の検査部材43a,43bにおいては、第1短絡用タブ45a,45bにおける主体部51,51の長さを変更することで、他の部分の形状を変更することなく、第1コネクタ10の極数に応じた構成を実現できる。各主体部51には、貫通孔部51aが形成されている。
貫通孔部51aは、対応する主体部51の内側に形成されて幅方向X1に細長く延びる平面視矩形状の孔部であり、主体部51の外周縁部には開放されていない。貫通孔部51aの内周縁部から、固定用片部49a,49bが突出している。
固定用片部49a,49bは、第1ハウジング11の天壁11dに向けて延び第1ハウジング11に固定される部分である。固定用片部49a,49bは、例えば、長さ方向Y1における貫通孔部51aの両端部に設けられた鉤状の片持ち状突起であり、第1ハウジング11の対応する固定用孔部14a,14b,14c,14dに掛けられている。これにより、各第1短絡用タブ45a,45bは、第1ハウジング11の天壁11dに固定されている。固定用片部49bに隣接して、第1短絡用片部50が設けられている。
第1短絡用片部50は、第1ハウジング11に向けて延び第2コネクタ30の第2短絡用タブ33における対応する第2短絡用片部42に接触するための部分である。各第1短絡用片部50は、例えば、長さ方向Y1における沿い部48の一端部に設けられた片持ち状突起であり、沿い部48の主体部51の外周縁部から固定用片部49a,49bと同じ方向に延びている。各第1短絡用片部50は、第1ハウジング11の対応する短絡用孔部15a,15bに挿入されている。各第1短絡用片部50の先端部は、第1ハウジング11の収容孔部19内に配置されており、正規の嵌合位置P1に配置された第2コネクタ30の第2短絡用タブ33の対応する第2短絡用片部42,42に接触する。これにより、各第1短絡用タブ45a,45bが、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33を介して互いに導通される。第2短絡用タブ33とは幅方向X1に離隔して、弾性片部52が設けられている。
弾性片部52は、対応する補強タブ44a,44bの起立部47のうち、幅方向X1の外側を向く外側面と接触することで当該補強タブ44a,44bと導通するために設けられている。弾性片部52は、幅方向X1における沿い部48の主体部51の一縁部から基板2側に向けて延びる湾曲状部分である。本実施形態では、弾性片部52は、S字形状に形成されており、沿い部48の主体部51から遠ざかるように延びた後、第1ハウジング11側に向けて湾曲し、その後、第1ハウジング11から遠ざかるように湾曲している。弾性片部52の先端部の湾曲状部分が、対応する補強タブ44a,44bの外側面に弾性反発力を付与するように加圧接触している。
以上の構成を有する電気的接続装置1における第1コネクタ10と第2コネクタ30の接続動作について、次に説明する。
第1コネクタ10に第2コネクタ30が接続されていないとき、半嵌合検出部13の一対の検査部材43a,43bにおいて、第1短絡用タブ45a,45bは、互いに離隔して配置されており、絶縁されている。この状態から、図1(A)、図3(A)および図3(B)に示すように、第1コネクタ10に第2コネクタ30が接続されるとき、第2コネクタ30の第2ハウジング31が、第1コネクタ10の第1ハウジング11の収容孔部19に挿入される。
この挿入動作において、第2コネクタ30が第1コネクタ10に挿入されている途中のとき、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33は、第1コネクタ10の第1短絡用タブ45a,45bには接触していない。このため、第1短絡用タブ45a,45bは絶縁されたままである。そして、第2コネクタ30が第1コネクタ10にさらに挿入されると、第2コネクタ30のロック片部35の第2ロック爪部36が、第1コネクタ10の第1ロック爪部18を乗り上げ、これにより、ロック片部35が揺動する。そして、第2ロック爪部36が第1ロック爪部18を乗り越えると、ロック片部35が揺動前の位置側に揺り戻され、第1ロック爪部18と第2ロック爪部36とが互いに引っかかる。これにより、第1コネクタ10と第2コネクタ30とがロックされる。このとき、第1コネクタ10の各第1コンタクト12と第2コネクタ30の対応する第2コンタクト32とが互いに接触し、これらのコンタクト31,32が電気的に接続される。
第1コネクタ10と第2コネクタ30とがロックされる位置が、正規の嵌合位置P1である。第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されると、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33の第2短絡用片部42の山形部は、第1コネクタ10の検査部材43a,43bの対応する第1短絡用片部50に押し下げられることでロック部35に突っ張るように配置され、対応する第1短絡用片部50と接触する。これにより、一対の検査部材43a,43bは、第2短絡用タブ33を介して導通可能となる。
すなわち、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されることにより、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33が一対の第1短絡用タブ45a,45bに接触することで、一対の第1短絡用タブ45a,45bが互いに短絡される。
第1コネクタ10と第2コネクタ30とが電気的に接続されたか否かを検査する検査工程では、例えば、図示しない検査機器を用いて、検査用導体パターン2b、および、一対の検査部材43a,43bに閉回路が形成されているか否かを、導通検査によって、各コネクタ10,30の外部から検査する。
以上説明したように、本実施形態によると、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されていないときには一対の検査部材43a,43bが絶縁されている。一方、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されたことに伴い、一対の検査部材43a,43bは、互いに短絡される。この構成であれば、第2コネクタ30が第1コネクタ10に嵌合しているけれども第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されていない状態である、いわゆる半嵌合状態では、一対の検査部材43a,43bは、互いに絶縁されている。よって、半嵌合状態では、一対の検査部材43a,43b間で電流が流れないので、検査機器等を用いた一対の検査部材43a,43b間の導通状態の検査によって、導通状態でないこと、すなわち、半嵌合状態であることを、確実に検出できる。また、第2コネクタ30と第1コネクタ10とが正規の嵌合状態であれば、一対の検査部材43a,43bが互いに短絡しているので、上記の導通状態の検査によって、導通状態であること、すなわち、第2コネクタと第1コネクタ10とが正規の嵌合状態であることを、確実に検出できる。しかも、上記の半嵌合検出のための検査は、検査機器のプローブを例えば第2コネクタ30から延びる被覆電線3に刺して行う必要がなく、コネクタ10,30の半嵌合を確実且つ容易に検出することができる。
また、本実施形態によると、第1コネクタを基板2に固定するための補強タブ44a,44bを、半嵌合検出のための導通経路として用いることができる。これにより、半嵌合検出のための検査機器を第1コネクタ10の内部や、第2コネクタ30から延びる被覆電線3内に進入させる必要がなく、半嵌合検査をより容易に行うことができる。
また、本実施形態によると、補強タブ44a,44bと対応する第1短絡用タブ45a,45bとが別部材であることにより、検査部材43a,43bの汎用性を格段に高くできる。より具体的には、第1コネクタ10の極数が多いほど、第1コンタクト12の数が多くなるので、第1ハウジング11の幅は長くなる。このとき、補強タブと短絡用タブとが一体成形されていると、第1コネクタの極数の種類毎に、短絡用タブの長さが異なる検査部材を用意する必要がある。その結果、検査部材の製造の手間、および、部品管理の手間が増えてしまい、第1コネクタの製造コストが高く付いてしまう。これに対して、本実施形態によると、補強タブ44a,44bと第1短絡用タブ45a,45bとが別部材であることにより、補強タブ44a,44bは、第1コネクタ10の極数にかかわらず同一種類の部品で構成できる。そして、検査部材43a,43bのうちの第1短絡用タブ45a,45bの種類のみを第1コネクタ10の極数に合せて変更すればよい。その結果、検査部材43a,43bの製造の手間、および、部品管理の手間を少なくでき、第1コネクタ10の製造コストが低くて済む。
ここで、補強タブ44a,44bと対応する第1短絡用タブ45a,45bとが別部材であることの利点を、以下に、より詳細に説明する。補強タブ44a,44bと対応する第1短絡用タブ45a,45bとが別部材であることで、補強タブ44a,44bとして、半嵌合検出部13を備えていない従来の電気コネクタ用の補強タブをそのまま、補強タブ44a,44bとして利用することができる。これにより、補強タブ44a,44bの汎用性をより高くできる。
また、補強タブと短絡用タブとが一体成形されていると、短絡用タブ部分の展開長(曲げ加工前の長さ)が長く、製造コストが高く付く。これに対して、本実施形態では、補強タブ44a,44bと対応する第1短絡用タブ45a,45bとが別部材であることで、各第1短絡用タブ45a,45bの一部品としての長さを短くできる。よって、第1短絡用タブ45a,45bのプレス成形用の金型の組み替えにより、極数の異なる複数種類の第1コネクタ10に対応する第1短絡用タブ45a,45bを形成できる。
また、幅方向X1(左右)の形状が異なる検査部材が用いられる場合、金型が極数毎に二面必要で左右の部品毎に品番が必要となり、部品管理が繁雑になる。これに対して、本実施形態では、第1短絡用タブ45a,45bが同じ形状であることから金型が一面で済むとともに部品管理が簡易で済み、第1短絡用タブ45a,45bの製造コストを大幅に安くできる。
また、補強タブと短絡用タブとが一体成形されていると、一体成形部品の全長が長いため、この一体成形部品を自動挿入機で取り扱い可能に短くなるように曲げ加工を行う必要があり、一体成形部品の取り扱いが繁雑となる。これに対して、本実施形態では、補強タブ44a,44bを短くできるので、自動挿入機を、従来の短い補強タブ挿入用のままで対応可能である。その結果、第1コネクタ10の製造コストを低くできる。その上、補強タブ44a,44bの全長が短いので、補強タブ44a,44bの製造時のめっき等の加工工程も簡単で且つ迅速に行うことができ、その上、補強タブ44a,44bの寸法の種類を少なくできる。よって、部品管理の簡素化等を通じて第1コネクタ10の製造コストをより低減できる。
また、本実施形態によると、一対の第1短絡用タブ45a,45bは、互いに同じ形状に形成され、幅方向X1に対称に配置されることで一対の検査部材43a,43bが形成されている。この構成によると、第1コネクタ10の部品の種類をより低減でき、その結果、第1コネクタ10の製造コストをさらに低減できる。
また、本実施形態によると、固定用片部49a,49bは、第1短絡用タブ45a,45bの貫通孔部51aの内周縁部から第1ハウジング11に向けて延び第1ハウジング11に固定される。この構成によると、第1短絡用タブ45a,45bの固定用片部49a,49bによって、第1短絡用タブ45a,45bを第1ハウジング11に固定することができる。また、第1短絡用タブ45a,45bの貫通孔部51aの内周縁部から固定用片部49a,49bが延びているので、固定用片部49a,49bは、第1短絡用タブ45a,45bの外側にはみ出るように延びずに済む。これにより、第1短絡用タブ45a,45bをより小型にできる。また、例えば、第1短絡用タブ45a,45bをプレス加工で形成する場合、第1短絡用タブ45a,45bの内側部分を打ち抜き加工することで、固定用片部49a,49bを形成できる。
また、本実施形態によると、第1短絡用タブ45a,45bにおいて、固定用片部49a,49bと第1絡用片部50とが沿い部48から同じ方向に向けて延びている。この場合、固定用片部49a,49bと第1絡用片部50とが沿い部48から同じ方向に向けて延びているので、第1短絡用タブ45a,45b全体としての厚みをより薄くできる。また、第1短絡用タブ45a,45bがプレス加工によって製造される場合、固定用片部49a,49bとなる片部と第1絡用片部50となる片部とを同じ方向に曲げ加工することで、これら固定用片部49a,49bと第1絡用片部50とを形成できる。これにより、第1短絡用タブ45a,45bの製造にかかる手間をより低減できる。
また、本実施形態によると、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されることにより第2コネクタ30の第2短絡用タブ33が第1コネクタ10の一対の第1短絡用タブ45a,45bに接触することで、一対の第1短絡用タブ45a,45bが互いに短絡される。この場合、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されることで、一対の第1短絡用タブ45a,45bを確実に互いに短絡させることができる。
なお、上記実施形態では、第1短絡用タブ45a,45bが、対応する補強タブ44a,44bの外側面に接触する構成を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、各補強タブ44a,44bの起立部47の一端部(先端部)を第1ハウジング11から離隔するように形成し、この起立部47の内側面と第1ハウジング11との間に第1短絡用タブ45a,45bの対応する弾性片部52の先端部を配置し、弾性片部52と対応する起立部47の内側面とを接触させてもよい。
<第2実施形態>
図6(A)は、本発明の第2実施形態にかかる第1コネクタ10Aを有する電気的接続装置1Aの斜視図である。図6(B)は、第2実施形態に係る電気的接続装置1Aの主要部の断面図であり、電気的接続装置1Aの長さ方向Y1に沿って見た状態を示している。
なお、以下では、第1実施形態の構成と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明は省略する場合がある。
図6(A)および図6(B)を参照して、第2実施形態が第1実施形態と異なっている点は、補強タブ44aA,44bAと対応する第1短絡用タブ45aA,45bAが単一の材料を用いて一体成形されている点にある。
第1コネクタ10Aは、第1ハウジング11Aと、複数の第1コンタクト12と、半嵌合検出機構40の一部を構成する半嵌合検出部13Aと、を有している。
第1ハウジング11Aは、固定用孔部14a,14b,14c,14dが形成されていない点以外は、第1実施形態の第1ハウジング11と同じ構成を有している。
半嵌合検出部13Aは、第1ハウジング11に取り付けられた導電性の一対の検査部材43aA,43bAを含んでいる。
一対の検査部材43aA,43bAは、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されていないときには互いに絶縁され、且つ、第2コネクタ30が正規の嵌合位置P1に配置されたことに伴い互いに短絡されるように構成されている。本実施形態では、一対の検査部材43aA,43bAが第2短絡用タブ33の第2短絡用片部42と接触することにより、これら一対の検査部材43aA,43bAが互いに短絡される。
本実施形態では、一対の検査部材43aA,43bAは、幅方向X1に対称に配置されている。検査部材43aA,43bAは、それぞれ、全体として、クランク形状に形成されている。各検査部材43aA,43bAは、第1コンタクト12の材料と同様の導電性の金属板をプレス加工することにより形成された一体成形品である。
一対の検査部材43aA,43bAは、第1コネクタ10が実装される基板2に固定される補強タブ44aA,44bAと、対応する補強タブ44aA,44bAに連続する第1短絡用タブ45aA,45bAと、を含んでいる。
補強タブ44aA,44bAは、対応する第1短絡用タブ45aA,45bAに一体成形された点以外、第1実施形態の補強タブ44a,44bと同じ構成を有している。第1短絡用タブ45aA,45bAの起立部47のうち例えば補強タブ収容部11f,11gから突出する部分に、対応する第1短絡用タブ45aA,45bAが延びている。
各第1短絡用タブ45aA,45bAは、第1ハウジング11の天壁11dの外表面に沿わされる梁状の沿い部48Aと、沿い部48Aから突出する第1短絡用片部50Aと、を有している。
沿い部48Aの基端部は、対応する補強タブ44aA,44bAに連続している。沿い部48Aの先端部には、第1短絡用片部50Aが設けられている。
第1短絡用片部50Aは、第1ハウジング11Aに向けて延び第2コネクタ30の対応する第2短絡用片部42に接触するための部分である。第1短絡用片部50Aは、例えば、沿い部48Aに設けられた片持ち状突起であり、第1ハウジング11Aの対応する短絡用孔部15a,15bに挿入されている。第2短絡用タブ33Aの先端部は、収容孔部19内に配置されており、正規の嵌合位置P1に配置された第2コネクタ30の第2短絡用タブ33の対応する第2短絡用片部42に接触する。これにより、各第1短絡用タブ45aA,45bAが、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33を介して互いに導通される。
以上説明したように、第2実施形態によると、各検査部材43aA,43bAを一部品で形成できる。
<第3実施形態>
図7(A)は、本発明の第3実施形態にかかる第1コネクタ10Bを有する電気的接続装置1Bの斜視図である。図7(B)は、第3実施形態に係る第1コネクタ10Bを基板2とともに示す正面図である。図8(A)は、第3実施形態に係る電気的接続装置1Bの半嵌合状態の主要部の断面図であり、電気的接続装置1Bを長さ方向Y1に沿って見た状態を示している。図8(B)は、第3実施形態に係る電気的接続装置1Bの半嵌合状態の主要部の断面図であり、電気的接続装置1Bを幅方向X1に沿って見た状態を示している。図8(C)は、第3実施形態に係る電気的接続装置1Bの正規の嵌合状態の主要部の断面図であり、電気的接続装置1Bを長さ方向Y1に沿って見た状態を示している。図8(D)は、第3実施形態に係る電気的接続装置1Bの正規の嵌合状態の主要部の断面図であり、電気的接続装置1Bを幅方向X1に沿って見た状態を示している。
図7(A)〜図8(D)を参照して、第3実施形態が第1実施形態と異なっている点は、第2コネクタ30Bの第2短絡用タブ33Bが絶縁部材である合成樹脂によって形成されている点と、第1コネクタ10Bの一対の検査部材43aB,43bBが第2短絡用タブ33Bに対応した構成とされている点にある。以下、電気的接続装置1Bのより具体的な構成を説明する。
電気的接続装置1Bは、第1コネクタ10Bと、第2コネクタ30Bと、これらのコネクタ10B,30Bに設けられた半嵌合検出機構40Bと、を有している。
第1コネクタ10Bは、第1ハウジング11Bと、複数の第1コンタクト12と、半嵌合検出機構40Bの一部を構成する半嵌合検出部13Bと、を有している。
第1ハウジング11Bは、短絡用孔部15aが形成されていない点と、短絡用孔部15bが幅方向X1における天壁11dの略中央に形成されている点以外は、第1実施形態の第1ハウジング11と同じ構成を有している。
第2コネクタ30Bは、第2ハウジング31Bと、複数の第2コンタクト32と、半嵌合検出機構40Bの一部を構成する第2短絡用タブ33Bと、を有している。
第2ハウジング31Bは、第2短絡用タブ33Bが一体成形されている点以外は、第1実施形態の第2ハウジング31と同じ構成を有している。本実施形態では、第2ハウジング31Bおよび第2短絡用タブ33Bの全体が、射出成形によって形成された一体成形品である。尚、第2ハウジング31Bは、複数の部材を固定することにより形成されていてもよい。
第2ハウジング31Bは、第2ハウジング本体34と、ロック片部35Bと、を有している。
ロック片部35Bは、第2短絡用タブ33Bが一体成形されている点以外は、第1実施形態のロック片部35と同じ構成を有している。ロック片部35Bの前端側部分に、第2短絡用タブ33Bが形成されている。
半嵌合検出機構40Bは、第2コネクタ30Bが第1コネクタ10Bに正規の嵌合位置P1に嵌合されているか否かを検出するために設けられている。
半嵌合検出機構40Bは、第1ハウジング11Bに取り付けられ第1コネクタ10Bの一部を構成する半嵌合検出部13Bと、第2ハウジング31Bに取り付けられ第2コネクタ30Bの一部を構成する第2短絡用タブ33Bと、を有している。
第2短絡用タブ33Bは、第1コネクタ10の半嵌合検出部13Bに短絡を生じさせるために設けられている。
第2短絡用タブ33Bは、ロック片部35Bの幅方向X1中央に配置されており、本実施形態では、第2ロック爪部36に隣接している。これにより、第2短絡用タブ33Bは、ロック片部35Bの揺動変位に伴って揺動変位する。第2短絡用タブ33Bは、一対の検査部材43aB,43bBの他方43bBに接触するように構成されている。第2短絡用タブ33Bは、ロック片部35Bの上面から突出する突起状に形成されている。
半嵌合検出部13Bは、第1ハウジング11Bに取り付けられた導電性の一対の検査部材43aB,43bBを含んでいる。
一対の検査部材43aB,43bBは、第2コネクタ30Bが正規の嵌合位置P1に配置されていないときには互いに絶縁され、且つ、第2コネクタ30Bが正規の嵌合位置P1Bに配置されたことに伴い互いに短絡されるように構成されている。本第3実施形態では、検査部材43bBが第2短絡用タブ33Bと接触することにより、これら一対の検査部材43aB,43bBが互いに直接接触することで短絡される。
一対の検査部材43aB,43bBは、幅方向X1に非対称に形成されている。各検査部材43aB,43bBは、第1コンタクト12の材料と同様の導電性の金属板をプレス加工することにより形成されている。
一方の検査部材43aBは、基板2に固定される補強タブ44aと、補強タブ44aに電気的に接続された第1短絡用タブ45aBと、を含んでいる。
第1短絡用タブ45aBは、第1短絡用片部50B以外の構成が、第1実施形態の第1短絡用タブ45aと同様の構成を有している。具体的には、第1短絡用タブ45aBは、第1ハウジング11Bの外表面に沿わされる沿い部48と、沿い部48から突出する固定用片部49a,49bおよび第1短絡用片部50Bと、を有している。
第1短絡用タブ45aBは、第2コネクタ30の第2短絡用タブ33Bとは直接接触しないように配置されている。第1短絡用片部50Bは、例えば、沿い部48の一端部に設けられた片持ち状片部である。
他方の検査部材43bBは、補強タブ44bBと、補強タブ44bBから延びる第1短絡用タブ45bBと、を含んでいる。
他方の補強タブ44bBは、第1短絡用タブ45bBに一体成形された点以外、補強タブ44bと同様の構成を有している。第1短絡用タブ45bBの起立部47のうち例えば補強タブ収容部11gから突出する部分に、第1短絡用タブ45bBが延びている。
他方の第1短絡用タブ45bBは、第1ハウジング11Bの天壁11dの外表面に沿わされる補強タブ44bBに連続する梁状の沿い部48Bと、沿い部48Bの先端から突出する第1短絡用片部50Aと、を有している。
第1短絡用片部50Aは、第1ハウジング11Bに向けて延び第2コネクタ30Bの第2短絡用タブ33Bに接触するための部分である。第1短絡用片部50Aは、第1ハウジング11Bの対応する短絡用孔部15bに挿入されている。第1短絡用片部50Aの先端部は、収容孔部19内に配置されており、正規の嵌合位置P1に配置された第2コネクタ30Bの第2短絡用タブ33Bに接触することで持ち上げられる。これにより、各第1短絡用タブ45aB,45bBが、直接接触して互いに導通可能となる。
以上説明したように、第3実施形態によると、第2コネクタ30Bの第2短絡用タブ33Bが絶縁部材であっても、一対の検査部材43aB,43bBを導通させることができる。
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態の主要部の構成を模式的に示す電気的接続装置1Cの主要部の断面図であり、電気的接続装置1Cを厚み方向Z1に沿って見た状態を示している。
図9を参照して、本実施形態では、第1ハウジング11Cは、第1ハウジング11C内の空間である収容孔部19を一対の検査部材43aC,43bCに向けて開放する一対の短絡用孔部15aC,15bCを有している。そして、第2コネクタ30Cが第1コネクタ10Cにおける正規の嵌合位置P1に配置されたときに、各検査部材43aC,43bCが対応する短絡用孔部15aC,15bCを通して第2短絡用タブ33Cに接触するように構成されている。以下、より具体的に説明する。
電気的接続装置1Cは、第1コネクタ10Cと、第2コネクタ30C、これらのコネクタ10C,30Cに設けられた半嵌合検出機構40Cと、を有している。
第1コネクタ10Cは、第1ハウジング11Cと、複数の第1コンタクト12と、半嵌合検出機構40Cの一部を構成する半嵌合検出部13Cと、を有している。
第1ハウジング11Cは、側壁11a,11bに短絡用孔部15aC,15bCが形成されている点以外は、第1実施形態の第1ハウジング11と同様の構成を有している。各短絡用孔部15aC,15bCは、対応する側壁11a,11bを幅方向X1に貫通している。
第2コネクタ30Cは、第2ハウジング31Cと、複数の第2コンタクト32と、半嵌合検出機構40Cの一部を構成する第2短絡用タブ33Cと、を有している。
第2ハウジング31Cは、第2短絡用タブ33に代えて第2短絡用タブ33Cを保持している点以外は、第1実施形態の第2ハウジング31と同様の構成を有している。
半嵌合検出機構40Cは、第2コネクタ30Cが第1コネクタ10Cに正規の嵌合位置P1に嵌合されているか否かを検出するために設けられている。
半嵌合検出機構40Cは、第1ハウジング11Cに取り付けられ第1コネクタ10Cの一部を構成する半嵌合検出部13Cと、第2ハウジング31Cに取り付けられ第2コネクタ30Cの一部を構成する第2短絡用タブ33Cと、を有している。
第2短絡用タブ33Cは、第2コンタクト32と同様の導電材料を用いて形成されている。
第2短絡用タブ33Cは、第2ハウジング31Cに保持されたベース部41Cと、ベース部41Cから延びる一対の第2短絡用片部42C,42Cと、を含んでいる。ベース部41Cは、幅方向X1に沿って延びている。幅方向X1におけるベース部41Cの両端に、第2短絡用片部42C,42Cが設けられている。
一対の第2短絡用片部42C,42Cは、第2ハウジング31Cから長さ方向Y1の一方(第1ハウジング11Cの奥側)に向けて凸となる突起状に形成されている。
半嵌合検出部13Cは、第1ハウジング11Cに取り付けられた導電性の一対の検査部材43aC,43bCを含んでいる。
一対の検査部材43aC,43bCは、第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されていないときには互いに絶縁され、且つ、第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されたことに伴い互いに短絡されるように構成されている。本実施形態では、一対の検査部材43aC,43bCが第2短絡用タブ33Cの対応する第2短絡用片部42C,42Cと接触することにより、これら一対の検査部材43aC,43bCが互いに短絡される。
一対の検査部材43aC,43bCは、補強タブ44a,44bと、対応する補強タブ44a,44bと一体に形成された第1短絡用タブ45aC,45bCと、を含んでいる。
第1短絡用タブ45aC,45bCは、対応する補強タブ44a,44bの起立部47から対応する短絡用孔部15aC,15bCを通って収容孔部19内に延びている。各第1短絡用タブ45aC,45bCは、弾性変形可能な片持ちばね状に形成されている。
第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されたときに、第1短絡用タブ45aC,45bCは、第2コネクタ30Cの第2短絡用タブ33Cの対応する第2短絡用片部42C,42Cと接触することによって、これら一対の第1短絡用タブ45aC,45bCが互いに短絡される。
本第4実施形態によると、第1コネクタ10Cの第1短絡用タブ45aC,45bCは、第1ハウジング11Cの外部に露出せず、これにより、第1コネクタ10Cをよりコンパクトにできる。
なお、上記第4実施形態では、第1コネクタ10Cの第1短絡用タブ45aC,45bCが短絡用孔部15aC,15bCを通過する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第4実施形態の変形例を示す図10(A)および図10(B)を参照して、第1コネクタ10Cにおける半嵌合検出部13Cが、補強タブ44a,44bからなる一対の検査部材を含んでいてもよい。この場合、第2コネクタ30Cに設けられた第2短絡用タブ33C’が、第2ハウジング31Cから幅方向X1の外側に突出する一対のばね状の第2短絡用片部42C’,42C’を有している。第2短絡用片部42C’,42C’は、コネクタ10C,30Cが半嵌合状態のときは補強タブ44a,44bには接触しない。一方、第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されたとき、第2短絡用片部42C’,42C’は、対応する短絡用孔部15aC,15bCを通って第1ハウジング11Cの外側へ向かうことで、対応する補強タブ44a,44bの起立部47の内側面に接触する。これにより、一対の補強タブ44a,44bが短絡される。
この変形例によると、第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されることに伴い、第2短絡用タブ33C’が第1ハウジング11Cの外側に向けて変位する。このような構成により、第2コネクタ30Cが正規の嵌合位置P1に配置されたときに、第2短絡用タブ30C’と検査部材(補強タブ44a,44b)とのより確実な接触を実現できる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
(1)前述の各実施形態および変形例では、第1コネクタが回路基板の実装面上に配置される、表面実装(SMT、Surface Mount Technology)タイプの電気コネクタの形態を例に説明したけれども、これに限定されない。第1コネクタは、回路基板のスルーホールにはめ込まれるDIP(Dual Inline Package)コネクタ等の、挿入実装タイプの電気コネクタであってもよい。
(2)前述の実施形態では、電気的接続装置が回路基板と電線とを電気的に接続するボード・トゥ・ワイヤタイプの接続装置である形態を例に説明したけれども、これに限定されない。本発明は、電線と電線を電気的に接続するワイヤー・トゥ・ワイヤータイプの電気的接続装置に適用することもできる。