JP2019040184A - トナーバインダー及びトナー並びにトナーバインダーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性、耐湿熱保存性、トナーの流動性、帯電安定性及び帯電の立ち上がり性に優れたトナーバインダー及びトナーを提供する。【解決手段】線形ポリエステル樹脂(A)と飽和カルボン酸とを含有するトナーバインダーであって、非線形ポリエステル樹脂(A)は2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂であり、飽和カルボン酸は2価以上の芳香族カルボン酸であり、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmであるトナーバインダー。【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられるトナーバインダー及びトナー並びにトナーバインダーの製造方法に関する。
近年、電子写真システムの発展に伴い、複写機やレーザープリンター等の電子写真装置の需要は急速に増加しており、それらの性能に対する要求も高度化している。
電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して画像を得る方法や装置が知られている。
電子写真用には従来、電子写真感光体等の潜像坦持体に画像情報に基づく潜像を形成し、該潜像を対応する色のトナーにより現像し、次いで該トナー像を転写材上に転写するといった画像形成工程を繰り返した後、転写材上のトナー像を加熱定着して画像を得る方法や装置が知られている。
これらのプロセスを問題なく通過するためには、トナーはまず安定した帯電量を保持することが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
更に、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
更に、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
また、最近では用いられる転写材として、表面凹凸の大きい再生紙や、表面が平滑なコート紙など多くの種類の紙が用いられる。これらの転写材の表面性に対応するために、ソフトローラーやベルトローラーなどのニップ幅の広い定着器が好ましく用いられている。しかし、ニップ幅を広くすると、トナーと定着ローラーとの接触面積が増え、定着ローラーに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象が発生するため、耐オフセット性が要求されるのが前提である。
トナー特性に大きな影響を与えるトナーバインダーは保存性と定着性のバランスを取りやすいことから、最近ではポリエステル樹脂が主流であり、従来、過酸化物によるラジカル重合反応を用いてポリエステル樹脂の炭素−炭素二重結合を架橋させることで低温定着性とホットオフセット性を両立させたトナーが提案されているが未だ不十分であり、さらに高温多湿という過酷な条件下においての耐湿熱保存性について不十分であった(特許文献1)。また一方で、高温高湿下の耐湿熱保存性、流動性は改良したトナーが提案されているものの低温定着性、ホットオフセット性が不十分であった(特許文献2)。
以上、述べたように、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性、耐湿熱保存性、トナーの流動性、帯電の立ち上がり性及び帯電安定性に優れたトナーバインダー及びトナーは、これまでなかった。
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性、長期間の耐湿熱保存性、トナーの流動性、帯電の立ち上がり性及び帯電安定性に優れたトナーバインダー及びトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、非線形ポリエステル樹脂(A)と飽和カルボン酸とを含有するトナーバインダーであって、非線形ポリエステル樹脂(A)は2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂であり、飽和カルボン酸は2価以上の芳香族カルボン酸であり、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmであるトナーバインダー;このトナーバインダーを含有するトナー;このトナーバインダーの製造方法である。
すなわち、本発明は、非線形ポリエステル樹脂(A)と飽和カルボン酸とを含有するトナーバインダーであって、非線形ポリエステル樹脂(A)は2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂であり、飽和カルボン酸は2価以上の芳香族カルボン酸であり、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmであるトナーバインダー;このトナーバインダーを含有するトナー;このトナーバインダーの製造方法である。
本発明により、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性、長期間の耐湿熱保存性、トナーの流動性、帯電の立ち上がり性及び帯電安定性に優れたトナーバインダー及びトナーを提供することが可能になった。
本発明のトナーバインダーは、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂(A)と2価以上の芳香族カルボン酸である飽和カルボン酸とを含有するトナーバインダーであり、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmである。
本発明のポリエステル樹脂(a)は2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるが、上記の構成成分とすれば、その樹脂の組成は特に限定されない。なお、本明細書において、不飽和カルボン酸成分であるか、飽和カルボン酸成分であるかの判断に、芳香環構造及び複素環構造に含まれる不飽和結合は考慮しない。
2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)としては、ジオール(x1)、3価以上のポリオール(x2)が挙げられる。
ジオール(x1)としては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等)、上記脂環式ジオールの(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数1〜30)、芳香族ジオール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン等)及びビスフェノール類等〕及び上記芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数2〜30)等が挙げられる。
これらのジオール(x1)うち、低温定着性及び耐熱保存性の観点から、芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。
アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
これらのジオール(x1)うち、低温定着性及び耐熱保存性の観点から、芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物がさらに好ましい。
アルキレンオキサイドにおいて、アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜4であり、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が好ましい。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下、アルキレンオキシサイドをAOと略記することがある。)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
HO−Ar−P−Ar−OH (1)
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、又は直接結合を表わし、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
[式中、Pは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、又は直接結合を表わし、Arは、水素原子がハロゲン原子又は炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
ビスフェノール類としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA及び2,2’−ジエチルビスフェノールFが挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。
これらビスフェノール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数が2〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドをEOと略記することがある。)、プロピレンオキサイド(以下、プロピレンオキサイドをPOと略記することがある。)、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、更に好ましくは2〜10モルである。
これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、更に好ましくは2〜10モルである。
これらの中で、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、耐熱保存性及び低温定着性の観点から、好ましくは2〜30モル、更に好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4が好ましく、さらに好ましくは2〜3)である。
ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物のうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4が好ましく、さらに好ましくは2〜3)である。
3価以上のポリオール(x2)としては、炭素数3〜36の3価以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等)、糖類及びその誘導体(例えばショ糖及びメチルグルコシド等)、脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数1〜30)、トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数2〜30)、ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等が含まれ、平均重合度として好ましくは3〜60)のアルキレンオキサイド付加物(好ましくは付加モル数2〜30)等が挙げられる。
これらのアルコール成分(x)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜30)、3価以上の脂肪族多価アルコール、並びにノボラック樹脂のEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜30)である。
保存安定性の観点から更に好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜5)、3〜4価の脂肪族多価アルコール並びにノボラック樹脂のEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜30)である。
特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、3価の脂肪族多価アルコール並びにビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン並びにビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜3)である。
特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、3価の脂肪族多価アルコール並びにビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン並びにビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(好ましくは付加モル数2〜3)である。
耐熱保存性やトナーの流動性の観点からはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物をアルコール成分中に10モル%以上含有することが好ましく、30モル%以上含有することが更に好ましく、50モル%以上含有することが最も好ましい。
飽和カルボン酸成分(y)としては、例えば、芳香族カルボン酸(y1)と脂肪族カルボン酸(y2)等が挙げられる。飽和カルボン酸成分(y)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族カルボン酸(y1)としては、例えば、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)及び炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸(y2)としては、例えば、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)及び不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸(y2)としては、例えば、炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)及び不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
飽和カルボン酸成分(y)として、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
また、安息香酸等の1価の飽和カルボン酸を非線形ポリエステル樹脂(A)の物性に影響のない範囲で使用してよい。
また、安息香酸等の1価の飽和カルボン酸を非線形ポリエステル樹脂(A)の物性に影響のない範囲で使用してよい。
これらのカルボン酸成分(y)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは2価以上の飽和カルボン酸であり、より好ましくは炭素数2〜50の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸である。
保存安定性の観点から更に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの併用である。
特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
不飽和カルボン酸成分(z)としては、重合性の炭素−炭素二重結合を有する不飽和カルボン酸成分であり、例えば、炭素数2〜30の不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸)及び炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等)等が挙げられる。
不飽和カルボン酸成分(z)として、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
不飽和カルボン酸成分(z)として、これらのカルボン酸の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのカルボン酸と併用してもよい。
これらの不飽和カルボン酸成分(z)のうち、耐熱保存性の観点から、好ましくは2価以上の不飽和カルボン酸であり、更に好ましくは炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸である。
飽和カルボン酸成分(y)及び不飽和カルボン酸成分(z)のうち、少なくとも一方は2価以上のカルボン酸を含む成分である。
本発明のポリエステル樹脂(a)中のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)は、耐ホットオフセット性及び帯電の立ち上がり性の観点から、好ましくは15,000〜100,000であり、更に好ましくは20,000〜100,000であり、最も好ましくは21,900〜100,000である。
本発明のポリエステル樹脂(a)中のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)とポリエステル樹脂(a)中のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐湿熱保存性及び帯電の立ち上がり性の観点から好ましくは4〜15、更に好ましくは6〜15、特に好ましくは6.5〜15である。
本発明において、ポリエステル樹脂等の数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)及び重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、ポリエステル樹脂等を0.25重量%になるようにTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液として、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
ポリエステル樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、−35℃〜80℃であることが好ましい。より好ましくは−15℃〜60℃であり、さらに好ましくは30℃〜60℃であり、最も好ましくは30℃〜45℃である。Tgが80℃以下であると低温定着性が良好になり、−35℃以上であると耐熱保存性が良好になる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で示差走査熱量測定され、示差走査熱量測定(DSC)によるチャートで示された変曲点の温度である。例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて測定できる。
具体的には試料5mgをDSC装置の容器に入れ,ガラス転移終了時より約30℃高い温度まで毎分20℃で加熱し、ガラス転移温度より約50℃低い温度まで毎分60℃で冷却した後、ガラス転移終了時より約30℃高い温度まで毎分20℃で加熱する。
上記測定から吸発熱量と温度とのグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
上記測定から吸発熱量と温度とのグラフを描き、そのグラフの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
ポリエステル樹脂(a)の酸価は、耐ホットオフセット性、低温定着性、光沢性の観点から、好ましくは5mgKOH/g超80mgKOH/g以下、更に好ましくは10〜65mgKOH/g、特に好ましくは30〜60mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂(a)の水酸基価は、帯電性、耐熱保存性の観点から好ましくは0〜60mgKOH/g、更に好ましくは3〜40mgKOH/g、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。
ポリエステル樹脂(a)の酸価、水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂(a)の酸価、水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
本発明において、ポリエステル樹脂(a)及び後記する線形ポリエステル樹脂(B)を製造する方法としては、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。例えば、次の様にして製造することができる。
不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、更に好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。
不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、更に好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)及びそれらの分子内重縮合物等〕、及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
また、ポリエステル重合安定性を得る目的で、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
アルコール成分(x)とカルボン酸成分(飽和カルボン酸成分(y)及び不飽和カルボン酸成分(z)の合計)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)は、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)及び飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂である。
ここで、「非線形」のポリエステル樹脂とは、主鎖中に分岐(架橋点)を有するポリエステル樹脂である。
ここで、「非線形」のポリエステル樹脂とは、主鎖中に分岐(架橋点)を有するポリエステル樹脂である。
非線形ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル樹脂(a)を構成する不飽和カルボン酸成分(z)由来の炭素−炭素二重結合同士の全部又は少なくとも一部を架橋させて、炭素−炭素結合を生成させる方法で得られる。例えば、炭素−炭素二重結合をポリエステル樹脂(a)の主鎖や側鎖に導入し、ラジカル付加反応、カチオン付加反応、又はアニオン付加反応等によって架橋反応させ、分子間炭素−炭素結合を生成させる反応が挙げられる。なお、前記の架橋反応によってネットワークを形成したポリエステル樹脂はテトラヒドロフラン(以下、「テトラヒドロフラン」をTHFと略記することがある。)に溶解することが出来ない成分を有するため、ポリエステル樹脂が「非線型」であることは、ポリエステル樹脂をTHFに溶解してTHFに不溶な成分(THF不溶解分と略記することがある。)を有することで確認することが出来る。
上記架橋反応のうち、ラジカル付加反応が反応条件の選択肢が多く好ましい。ラジカル付加反応によって分子間で炭素−炭素結合を生成させる架橋反応の場合、ラジカル反応開始剤を用いてラジカルを発生させてもよいし、ラジカル反応開始剤を用いず熱や光エネルギー等によりラジカルを発生させてもよい。
ラジカルを発生させる方法としては、橋反応を短時間に有効に起こさせるという観点から、好ましくはラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を用いる方法であり、低温定着性の観点から、更に好ましくはリビングラジカル重合用添加剤を用いる方法である。
ラジカルを発生させる方法としては、橋反応を短時間に有効に起こさせるという観点から、好ましくはラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を用いる方法であり、低温定着性の観点から、更に好ましくはリビングラジカル重合用添加剤を用いる方法である。
本発明でポリエステル樹脂(a)の架橋反応のために用いるラジカル反応開始剤(c)としては、特に制限されず、以下に例示するアゾ系化合物又はジアゾ系化合物(c1)や無機過酸化物(c2−1)及び有機過酸化物(c2−2)等挙げられる。
アゾ系化合物又はジアゾ系化合物(c1)としては、特に制限されないが、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
無機過酸化物(c2−1)としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
有機過酸化物(c2−2)としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ( 2 − エトキシエチル) パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
本発明でポリエステル樹脂(a)の架橋反応のために用いるリビングラジカル重合用添加剤(d)としては以下の3つの方法に用いられる添加剤が挙げられる。なお、リビングラジカル重合用には、上記のラジカル反応開始剤(c)を用いる場合もあるが、リビングラジカル重合用添加剤(d)は、上記のラジカル反応開始剤(c)を除くものである。
(1)有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)
この方法は、得られたリビングポリマーの末端に官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を有し、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法として優れている。
具体的には、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ヨードイソ酪酸等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、触媒としては、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)及び塩化銅(II)等の金属塩類が挙げられる。さらに配位子としてプロピルピリジルメタンイミン等のアルキルピリジルメタンイミンが挙げられる。
(2)ニトロオキサイドラジカルによるリビング重合(Nitroxide−mediated Polymerization:NMP)
具体的には、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド、N−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−O−(1−フェニルエチル)ヒドロキシルアミン等が挙げられる。
(3)可逆的付加−開裂連鎖移動重合(Reversible Addition/Fragmentation Chain Transfer Polymerization:RAFT)
具体的には、4−シアノ−4−[(ドデシルサルファニルチオカルボニル)サルファニル]ペンタン酸等が挙げられる。
(1)有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)
この方法は、得られたリビングポリマーの末端に官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を有し、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法として優れている。
具体的には、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ヨードイソ酪酸等のハロゲン化アルキルが挙げられる。また、触媒としては、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)及び塩化銅(II)等の金属塩類が挙げられる。さらに配位子としてプロピルピリジルメタンイミン等のアルキルピリジルメタンイミンが挙げられる。
(2)ニトロオキサイドラジカルによるリビング重合(Nitroxide−mediated Polymerization:NMP)
具体的には、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド、N−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−O−(1−フェニルエチル)ヒドロキシルアミン等が挙げられる。
(3)可逆的付加−開裂連鎖移動重合(Reversible Addition/Fragmentation Chain Transfer Polymerization:RAFT)
具体的には、4−シアノ−4−[(ドデシルサルファニルチオカルボニル)サルファニル]ペンタン酸等が挙げられる。
これらを用いることにより、低温定着性が良好となる。有機溶剤不溶分(ゲル分)の構造及び特性の差異の分析が現状の技術では困難であるため以下は推測であるが、リビングラジカル重合用添加剤(d)を用いない場合と比較し、ポリエステル樹脂(a)の架橋された部分が均一なゲル構造を形成しているため、低温定着を阻害するような、過剰な架橋部分が無くなったものと考えている。
上記リビング重合では、リビングラジカル重合用添加剤(d)以外にラジカル重合開始剤(c)を併用してもよい。
上記リビング重合では、リビングラジカル重合用添加剤(d)以外にラジカル重合開始剤(c)を併用してもよい。
非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられ、任意に選ぶことができる。
(1)2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを投入し、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して重縮合と付加重合と同時に行い、非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(2)一旦、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とポリエステル樹脂(a)を重縮合した後に、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して付加重合を行って非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(3)不飽和カルボン酸成分(z)を投入し、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して付加重合したのちに、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と投入して、重縮合を行って非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(1)2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを投入し、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して重縮合と付加重合と同時に行い、非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(2)一旦、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とポリエステル樹脂(a)を重縮合した後に、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して付加重合を行って非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
(3)不飽和カルボン酸成分(z)を投入し、必要によりラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を投入して付加重合したのちに、2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)と投入して、重縮合を行って非線形ポリエステル樹脂(A)を製造する方法
これらのうち、(2)の方法が反応速度の制御や樹脂の均一性の点で好ましい。
本発明のトナーバインダーは2価以上の芳香族カルボン酸である飽和カルボン酸を含有する。2価以上の芳香族カルボン酸としては、例えば、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。具体的にはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸が挙げられる。
帯電性の観点から本発明のトナーバインダーは、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmである。
飽和カルボン酸の含有量が10ppm未満であると帯電の立ち上がり性及び帯電安定性等の帯電性が悪化し、10000ppm超えると耐湿熱保存性が悪化する。
飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは50ppm〜8000ppmであり、更に好ましくは100ppm〜5000ppmであり、最も好ましくは150ppm〜2000ppmである。
飽和カルボン酸は、(A)及び(B)を製造する際に未反応物として残存させてもよく、(A)及び(B)を製造した後に添加してもよいが、未反応物として残存させることが均一性の観点から好ましい。(A)を製造する際の未反応物として残存させる場合は、ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量を21,900〜100,000の範囲とすること、ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を6.5〜15の範囲とすること、ポリエステル樹脂(a)のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物をアルコール成分中に50モル%以上含有すること、ラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を用いて不飽和カルボン酸成分(z)由来の炭素−炭素二重結合同士を架橋させて非線形ポリエステル樹脂(A)を製造すること等で制御可能となる。
飽和カルボン酸の含有量が10ppm未満であると帯電の立ち上がり性及び帯電安定性等の帯電性が悪化し、10000ppm超えると耐湿熱保存性が悪化する。
飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは50ppm〜8000ppmであり、更に好ましくは100ppm〜5000ppmであり、最も好ましくは150ppm〜2000ppmである。
飽和カルボン酸は、(A)及び(B)を製造する際に未反応物として残存させてもよく、(A)及び(B)を製造した後に添加してもよいが、未反応物として残存させることが均一性の観点から好ましい。(A)を製造する際の未反応物として残存させる場合は、ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量を21,900〜100,000の範囲とすること、ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を6.5〜15の範囲とすること、ポリエステル樹脂(a)のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物をアルコール成分中に50モル%以上含有すること、ラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を用いて不飽和カルボン酸成分(z)由来の炭素−炭素二重結合同士を架橋させて非線形ポリエステル樹脂(A)を製造すること等で制御可能となる。
(A)を製造する際に飽和カルボン酸を未反応物として残存させる場合、(A)の前駆体であるポリエステル樹脂(a)を得るための重縮合反応において残留させた未反応の飽和カルボン酸成分(y)である飽和カルボン酸(2価以上の芳香族カルボン酸)の重量割合は、低温定着性、耐湿熱保存性の観点から、非線形ポリエステル樹脂(A)に含まれるポリエステル樹脂(a)に由来する構造単位の重量と飽和カルボン酸との合計重量に基づいて好ましくは10ppm〜1000ppm、更に好ましくは10ppm〜800ppm、特に好ましくは10ppm〜600ppmである。
後記する本発明の線形ポリエステル樹脂(B)を得るための重縮合反応において残留させた未反応の飽和カルボン酸成分(y)である飽和カルボン酸(2価以上の芳香族カルボン酸)の重量割合は、低温定着性、耐湿熱保存性の観点から、線形ポリエステル樹脂(B)と飽和カルボン酸との合計重量に基づいて好ましくは5000ppm以下更に好ましくは3500ppm以下、特に好ましくは10〜2500ppmである。
なお、飽和カルボン酸の含有率は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)または液体クロマトグラフ(LC)で測定することができる。
LC/MSの測定条件としては、例えば下記の条件が挙げられる。
また、本発明のフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LC/MSの測定条件>
LC/MS測定装置:「LCMS−8030」[(株)島津製作所製]
カラム:「InertSustain C18」(粒子径:2.0μm、内径:2.1mm、長さ:100mm)[ジーエルサイエンス(株)製]
移動相:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=48/52(体積%)
注入量:0.4μl
流速:0.2ml/min
カラム温度:40℃
イオン化法:ESI(−)
測定モード:SIM 165
また、本発明のフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LC/MSの測定条件>
LC/MS測定装置:「LCMS−8030」[(株)島津製作所製]
カラム:「InertSustain C18」(粒子径:2.0μm、内径:2.1mm、長さ:100mm)[ジーエルサイエンス(株)製]
移動相:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=48/52(体積%)
注入量:0.4μl
流速:0.2ml/min
カラム温度:40℃
イオン化法:ESI(−)
測定モード:SIM 165
LCの測定条件としては、例えば下記の条件が挙げられる。
また、本発明のトリメリット酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LCの測定条件>
LC測定装置:「ACQUITY UPLC H−Class」[Waters製]
カラム:「CAPCEL PACK C18」(粒子径:5μm、I.D.:4.6mmφ、
長さ250mm)[SHISEIDO製]
移動相:0.05%リン酸水溶液/メタノール=80/20(体積%)
注入量:10μl
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
検出器:「PDA検出器」[(株)島津製作所製]
検出波長:230nm
また、本発明のトリメリット酸の含有量の測定は以下の条件で実施した。
<LCの測定条件>
LC測定装置:「ACQUITY UPLC H−Class」[Waters製]
カラム:「CAPCEL PACK C18」(粒子径:5μm、I.D.:4.6mmφ、
長さ250mm)[SHISEIDO製]
移動相:0.05%リン酸水溶液/メタノール=80/20(体積%)
注入量:10μl
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
検出器:「PDA検出器」[(株)島津製作所製]
検出波長:230nm
本発明のトナーバインダーには非線形ポリエステル樹脂(A)と飽和カルボン酸以外に、光沢度及び粉砕性を向上させる目的で、更に線形ポリエステル樹脂(B)を含有させることが好ましい。
この目的で含有させる線形ポリエステル樹脂(B)は、アルコール成分(x)と飽和カルボン酸成分(y)を構成成分として含み、不飽和カルボン酸成分(z)を含まない樹脂である。
また、線形ポリエステル樹脂(B)は、THF不溶解分を実質的に含まないもの、例えば含有量が1.0重量%以下であれば、どのようなポリエステル樹脂でもよい。
また、線形ポリエステル樹脂(B)は、THF不溶解分を実質的に含まないもの、例えば含有量が1.0重量%以下であれば、どのようなポリエステル樹脂でもよい。
また、線形ポリエステル樹脂(B)はTHF不溶解分を含まなければ微量の架橋点を有していても構わないし、分子末端をポリカルボン酸(3価以上のものでもよい)の無水物の無水トリメリット酸、無水フタル酸等で変性したものであってもよい。
線形ポリエステル樹脂(B)のTHF可溶分のMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の観点から、1,000〜15,000が好ましく、さらに好ましくは1,200〜10,000、特に好ましくは1,500〜5,000である。
線形ポリエステル樹脂(B)のTHF可溶分のMwは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の観点から、2,000〜30,000が好ましく、さらに好ましくは2,500〜20,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。
線形ポリエステル樹脂(B)のTHF可溶分のMn及びMwは、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
線形ポリエステル樹脂(B)のTHF可溶分のMn及びMwは、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
線形ポリエステル樹脂(B)の酸価は、好ましくは0〜50mgKOH/g、更に好ましくは5〜40mgKOH/g、とくに好ましくは10〜30mgKOH/gである。酸価が50mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を用いると、トナーとして用いた時の低温定着性、光沢性が良好となる。
線形ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、好ましくは0〜80mgKOH/g、更に好ましくは5〜70mgKOH/g、とくに好ましくは10〜60mgKOH/gである。水酸基価が80mgKOH/g以下であるとトナーとして用いた時の耐熱保存性が良好である。
線形ポリエステル樹脂(B)の酸価、水酸基価は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
線形ポリエステル樹脂(B)の酸価、水酸基価は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
線形ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、低温定着性及び耐熱保存性の観点から好ましくは45℃〜80℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
線形ポリエステル樹脂(B)を併用する際の、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)と線形ポリエステル樹脂(B)の重量比(A)/(B)は、低温定着性と耐ホットオフセット性、光沢性の両立の観点から、好ましくは1/99〜99/1、更に好ましくは3/97〜50/50、とくに好ましくは5/95〜30/70である。
本発明のトナーバインダーは−20℃〜80℃の温度範囲にガラス転移温度(Tg)を少なくとも1個有することが好ましい。さらに好ましくは、35〜65℃の温度範囲である。1つしかない変曲点が−20℃以上の場合は、耐熱保存性が良好となり、80℃を以下の場合は定着性が良好となる。
なお、2個以上のTgが存在する場合は、そのうちの1個がこの温度範囲に存在すれば十分である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
なお、2個以上のTgが存在する場合は、そのうちの1個がこの温度範囲に存在すれば十分である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ポリエステル樹脂(a)と同様の方法で測定することができる。
本発明のトナーバインダー中のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)とトナーバインダー中のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐湿熱保存性の観点から好ましくは1〜15、更に好ましくは2〜13、特に好ましくは3〜10である。
なお、トナーバインダー中のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)とトナーバインダー中のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)とは、前記のGPCを用いて測定される。
なお、トナーバインダー中のTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)とトナーバインダー中のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)とは、前記のGPCを用いて測定される。
本発明のトナーバインダーのTHF可溶分のMnは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、500〜24,000が好ましく、更に好ましくは700〜17,000、特に好ましくは900〜12,000である。
本発明のトナーバインダーのTHF可溶分のMwは、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、4,000〜120,000が好ましく、更に好ましくは6,000〜100,000、特に好ましくは8,000〜80,000である。
本発明のTHF不溶解分の含有量は、耐ホットオフセット性、低温定着性、光沢性両立の点から、トナーバインダーの重量に基づいて好ましくは1〜40重量%であり、更に好ましくは3〜40重量%である。
THF不溶解分の含有量は、非線形ポリエステル樹脂(A)の架橋度を調整すること、後記する線形ポリエステル樹脂(B)を併用すること等で調整することができる。
THF不溶解分の含有量は、非線形ポリエステル樹脂(A)の架橋度を調整すること、後記する線形ポリエステル樹脂(B)を併用すること等で調整することができる。
トナーバインダーの製造方法について説明する。
トナーバインダーは非線形ポリエステル樹脂(A)を含有していればとくに限定されず、たとえば2種類のポリエステル樹脂や添加剤を混合する場合、混合方法は公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合、溶剤混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
トナーバインダーは非線形ポリエステル樹脂(A)を含有していればとくに限定されず、たとえば2種類のポリエステル樹脂や添加剤を混合する場合、混合方法は公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合、溶剤混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。この方法の中では、均一に混合し、溶剤除去の必要のない溶融混合が好ましい。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
溶剤混合の方法としては、2種類のポリエステル樹脂を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、均一化させた後、脱溶剤、粉砕する方法や、2種類のポリエステル樹脂を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、水中に分散させた後、造粒、脱溶剤する方法などがある。
この溶融混合を行うための具体的方法としてはポリエステル樹脂(a)と必要により線形ポリエステル樹脂(B)との混合物を二軸押出機に一定速度で注入し、同時にラジカル反応開始剤(c)と必要によりリビングラジカル重合用添加剤(d)も一定速度で注入し、50〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせるなどの方法がある。
このとき、二軸押出機に投入または注入される反応原料であるポリエステル樹脂(a)と線形ポリエステル樹脂(B)は、それぞれ樹脂反応溶液から冷却することなくそのまま直接押出機に注入するようにしてもよいし、また一旦製造した樹脂を冷却、粉砕したものを二軸押出機に供給することにより行ってもよい。
また、溶融混合の方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、必要により着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等を含有してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、着色剤は、単独であってもよく、2種以上が混合されたものであってもよい。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点(フロー軟化点ともいう)〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
フロー軟化点〔Tm〕の測定方法を記載する。
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をフロー軟化点〔Tm〕とする。
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をフロー軟化点〔Tm〕とする。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数30〜50の脂肪族アルコールなどであり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数30〜50の脂肪酸などであり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
本発明におけるトナーの組成比は、トナーの重量を基準として、本発明のトナーバインダーが、好ましくは30〜97重量%、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜92重量%であり、着色剤が、好ましくは0.05〜60重量%、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%であり、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等の添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%であり、荷電制御剤が、好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%であり、流動化剤が、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。
トナーの組成比が上記の範囲であることで耐ホットオフセット性及び帯電安定性が良好なトナーを得ることができる。
トナーの組成比が上記の範囲であることで耐ホットオフセット性及び帯電安定性が良好なトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、トナー粒子[好ましくは体積平均粒径(D50)が5〜20μmの粒子]とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、トナー粒子[好ましくは体積平均粒径(D50)が5〜20μmの粒子]とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
なお、本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、キャリア粒子を含まなくてもよい。
なお、本発明のトナーバインダーを含有するトナーは、キャリア粒子を含まなくてもよい。
本発明のトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り部は重量部を示す。
<製造例1> [ポリエステル樹脂(a−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物729部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸152部(41.6モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸19部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a−1)を得た。
ポリエステル樹脂(a−1)の重量平均分子量Mwは37742、数平均分子量Mnは3922、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は460ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物729部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸152部(41.6モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸19部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a−1)を得た。
ポリエステル樹脂(a−1)の重量平均分子量Mwは37742、数平均分子量Mnは3922、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は460ppmであった。
<製造例2> [ポリエステル樹脂(a−2)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物737部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン13部(4.0モル%)、テレフタル酸152部(41.6モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸18部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a−2)を得た。
ポリエステル樹脂(a−2)の重量平均分子量Mwは21922、数平均分子量Mnは3168、Mw/Mnは6.9、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は10ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物737部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン13部(4.0モル%)、テレフタル酸152部(41.6モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸18部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a−2)を得た。
ポリエステル樹脂(a−2)の重量平均分子量Mwは21922、数平均分子量Mnは3168、Mw/Mnは6.9、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は10ppmであった。
<製造例3> [ポリエステル樹脂(a−3)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物729部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸142部(38.8モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸19部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。その後テレフタル酸10部(2.8モル%)を入れ、1時間均一化した後、取り出し、ポリエステル樹脂(a−3)を得た。
ポリエステル樹脂(a−3)の重量平均分子量Mwは37652、数平均分子量Mnは3933、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は10000ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物729部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸142部(38.8モル%)、アジピン酸163部(50.9モル%)、フマル酸19部(7.5モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。その後テレフタル酸10部(2.8モル%)を入れ、1時間均一化した後、取り出し、ポリエステル樹脂(a−3)を得た。
ポリエステル樹脂(a−3)の重量平均分子量Mwは37652、数平均分子量Mnは3933、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は10000ppmであった。
<製造例4〜5> [ポリエステル樹脂(a−4)〜(a−5)の製造]
製造例4〜5については、表1記載の飽和カルボン酸成分(y)、不飽和カルボン酸成分(z)、アルコール成分(x)の組成に基づきそれぞれの指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(a−4)〜(a−5)を得た。分析値はそれぞれ表1に示したとおりであった。
製造例4〜5については、表1記載の飽和カルボン酸成分(y)、不飽和カルボン酸成分(z)、アルコール成分(x)の組成に基づきそれぞれの指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(a−4)〜(a−5)を得た。分析値はそれぞれ表1に示したとおりであった。
<比較製造例1> [ポリエステル樹脂(a’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物724部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸175部(45.0モル%)、アジピン酸163部(55.0モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a’−1)を得た。
ポリエステル樹脂(a’−1)の重量平均分子量Mwは37750、数平均分子量Mnは3922、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は520ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物724部(96.0モル%)、トリメチロールプロパン12部(4.0モル%)、テレフタル酸175部(45.0モル%)、アジピン酸163部(55.0モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコール1部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に、0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(a’−1)を得た。
ポリエステル樹脂(a’−1)の重量平均分子量Mwは37750、数平均分子量Mnは3922、Mw/Mnは9.6、飽和カルボン酸(テレフタル酸)の含有量は520ppmであった。
<製造例6> [線形ポリエステル樹脂(B−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が20未満になった時点で取り出し、線形ポリエステル樹脂(B−1)を得た。この(B−1)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は2189ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が20未満になった時点で取り出し、線形ポリエステル樹脂(B−1)を得た。この(B−1)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は2189ppmであった。
<製造例7> [線形ポリエステル樹脂(B−2)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物445部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物332部(40モル%)、イソフタル酸277部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が0.3未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。この(B−2)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は10ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物445部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物332部(40モル%)、イソフタル酸277部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が0.3未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。この(B−2)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は10ppmであった。
<製造例8> [線形ポリエステル樹脂(B−3)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が33未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−3)を得た。この(B−3)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は10000ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が33未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−3)を得た。この(B−3)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は10000ppmであった。
<製造例9> [線形ポリエステル樹脂(B−4)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物386部(50モル%)、ビスフェノールA・EO2モル付加物363部(50モル%)、テレフタル酸273部(90モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が1未満になった時点で、180℃まで冷却した。その後無水トリメリット酸を34部(10モル%)入れ、大気圧下1時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(B−4)を得た。この(B−4)の飽和カルボン酸の含有量は1800ppmであり、2価の芳香族カルボン酸(テレフタル酸)及び3価以上の芳香族カルボン酸(トリメリット酸)の含有量は、それぞれ950ppm及び850ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物386部(50モル%)、ビスフェノールA・EO2モル付加物363部(50モル%)、テレフタル酸273部(90モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が1未満になった時点で、180℃まで冷却した。その後無水トリメリット酸を34部(10モル%)入れ、大気圧下1時間反応させた後取り出し、ポリエステル樹脂(B−4)を得た。この(B−4)の飽和カルボン酸の含有量は1800ppmであり、2価の芳香族カルボン酸(テレフタル酸)及び3価以上の芳香族カルボン酸(トリメリット酸)の含有量は、それぞれ950ppm及び850ppmであった。
<比較製造例2> [ポリエステル樹脂(B’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が35未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B’−1)を得た。この(B’−1)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は15000ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物428部(60モル%)、ビスフェノールA・PO3モル付加物319部(40モル%)、イソフタル酸316部(100モル%)、縮合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、220℃、窒素気流下で、0.5〜2.5kPaの減圧下に、生成する水を留去しながら反応させた。酸価が35未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B’−1)を得た。この(B’−1)の飽和カルボン酸(イソフタル酸)の含有量は15000ppmであった。
<実施例1> [トナーバインダー(C−1)の製造]
ポリエステル樹脂(a−1)27部および線形ポリエステル樹脂(B−1)73部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に50kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)1.0部を0.50kg/時で供給して160℃で15分間混練押出して架橋反応を行った。得られたものを冷却し、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−1)を得た。この(C−1)の飽和カルボン酸量は1723ppm、Mw/Mnは11.9であった。(C−1)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1723ppm及び0ppmであった。
ポリエステル樹脂(a−1)27部および線形ポリエステル樹脂(B−1)73部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に50kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)1.0部を0.50kg/時で供給して160℃で15分間混練押出して架橋反応を行った。得られたものを冷却し、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−1)を得た。この(C−1)の飽和カルボン酸量は1723ppm、Mw/Mnは11.9であった。(C−1)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1723ppm及び0ppmであった。
<実施例2> [トナーバインダー(C−2)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として臭化銅(I)(d−1)1.0部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、N−プロピル−2−ピリジルメタンイミン(d−2)2.0部、トルエン200部入れ脱気後、撹拌しながら90℃まで昇温した。次に2−ブロモイソ酪酸エチル(d−3)1.0部入れ、90℃で5時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−2)を得た。この(C−2)の飽和カルボン酸量は1500ppm、Mw/Mnは6.5であった。(C−2)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1500ppm及び0ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として臭化銅(I)(d−1)1.0部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、N−プロピル−2−ピリジルメタンイミン(d−2)2.0部、トルエン200部入れ脱気後、撹拌しながら90℃まで昇温した。次に2−ブロモイソ酪酸エチル(d−3)1.0部入れ、90℃で5時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−2)を得た。この(C−2)の飽和カルボン酸量は1500ppm、Mw/Mnは6.5であった。(C−2)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1500ppm及び0ppmであった。
<実施例3> [トナーバインダー(C−3)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として4−シアノ−4−[(ドデシルサルファニルチオカルボニル)サルファニル]ペンタン酸(d−4)1.0部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、トルエン200部入れ脱気後、撹拌しながら60℃まで昇温した。次に反応開始剤(c)として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(c−2)1.0部入れ、60℃で15時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−3)を得た。この(C−3)の飽和カルボン酸量は1600ppm、Mw/Mnは5.9であった。(C−3)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1600ppm及び0ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として4−シアノ−4−[(ドデシルサルファニルチオカルボニル)サルファニル]ペンタン酸(d−4)1.0部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、トルエン200部入れ脱気後、撹拌しながら60℃まで昇温した。次に反応開始剤(c)として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(c−2)1.0部入れ、60℃で15時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−3)を得た。この(C−3)の飽和カルボン酸量は1600ppm、Mw/Mnは5.9であった。(C−3)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1600ppm及び0ppmであった。
<実施例4> [トナーバインダー(C−4)の製造]
ポリエステル(a−1)27部および線形ポリエステル樹脂(B−1)73部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に50kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)0.9部とリビングラジカル重合用添加剤(d)として2−ヨードイソ酪酸(d−5)0.1部の混合物を0.50kg/時で供給して160℃で15分間混練押出して架橋反応を行った。得られたものを冷却し、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−4)を得た。この(C−4)の飽和カルボン酸量は1650ppm、Mw/Mnは5.0であった。(C−4)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1650ppm及び0ppmであった。
ポリエステル(a−1)27部および線形ポリエステル樹脂(B−1)73部を混合し、二軸混練器(栗本鉄工所製,S5KRCニーダー)に50kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤(c)としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(c−1)0.9部とリビングラジカル重合用添加剤(d)として2−ヨードイソ酪酸(d−5)0.1部の混合物を0.50kg/時で供給して160℃で15分間混練押出して架橋反応を行った。得られたものを冷却し、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−4)を得た。この(C−4)の飽和カルボン酸量は1650ppm、Mw/Mnは5.0であった。(C−4)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1650ppm及び0ppmであった。
<実施例5> [トナーバインダー(C−5)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド(d−6)0.1部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、トルエン200部を入れ脱気後、撹拌しながら60℃まで昇温した。次にN−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−O−(1−フェニルエチル)ヒドロキシルアミン(d−7)1.0部入れ、120℃で30時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−5)を得た。この(C−5)の飽和カルボン酸量は1800ppm、Mw/Mnは6.2であった。(C−5)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1800ppm及び0ppmであった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、リビングラジカル重合用添加剤(d)として2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド(d−6)0.1部、ポリエステル(a−1)27部、線形ポリエステル樹脂(B−1)73部、トルエン200部を入れ脱気後、撹拌しながら60℃まで昇温した。次にN−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−O−(1−フェニルエチル)ヒドロキシルアミン(d−7)1.0部入れ、120℃で30時間反応させ後トルエンを除去して、本発明の非線形ポリエステル樹脂(A)を含有したトナーバインダー(C−5)を得た。この(C−5)の飽和カルボン酸量は1800ppm、Mw/Mnは6.2であった。(C−5)の2価の芳香族カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の合計)及び3価以上の芳香族カルボン酸の含有量は、それぞれ1800ppm及び0ppmであった。
<実施例6〜11> [トナーバインダー(C−6)〜(C−11)の製造]
実施例6〜11については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)をそれぞれの指定の重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(C−6)〜(C−11)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
実施例6〜11については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)をそれぞれの指定の重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてトナーバインダー(C−6)〜(C−11)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
<実施例12> [トナーバインダー(C−12)の製造]
実施例12については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)、リビングラジカル重合用添加剤(d)をそれぞれの指定の重量部とした以外は実施例4同様にしてトナーバインダー(C−12)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
実施例12については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)、リビングラジカル重合用添加剤(d)をそれぞれの指定の重量部とした以外は実施例4同様にしてトナーバインダー(C−12)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
<比較例1〜2> [トナーバインダー(C’−1)〜(C’−2)製造]
比較例1〜2については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(a’)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)をそれぞれの指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてトナーバインダー((C’−1)〜(C’−2)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
比較例1〜2については、表3記載のポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(a’)、ポリエステル樹脂(B)、反応開始剤(c)をそれぞれの指定の重量部としたこと以外は製造例1と同様にしてトナーバインダー((C’−1)〜(C’−2)を得た。分析値はそれぞれ表3に示したとおりであった。
<実施例13> [トナー(T−1)の製造]
トナーバインダー(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子99部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
トナーバインダー(C−1)85部に対して、顔料のカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、離型剤のカルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子99部に流動化剤としてコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル製]1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)を得た。
<実施例14〜24> [トナー(T−2)〜(T−12)の製造]
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−2)〜(T−12)を得た。
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T−2)〜(T−12)を得た。
<比較例3〜4> [トナー(T’−1)〜(T’−2)の製造]
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T’−1)〜(T’−2)を得た。
表4に記載した原料の配合部数で、実施例13と同様にトナーを製造し、本発明のトナー(T’−1)〜(T’−2)を得た。
[評価方法]
以下に、得られたトナーの低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、耐湿熱保存性、流動性、帯電の立ち上がり性、帯電安定性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
以下に、得られたトナーの低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、耐湿熱保存性、流動性、帯電の立ち上がり性、帯電安定性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表4に、低温定着性(℃)として示した。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表4に、低温定着性(℃)として示した。
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
<耐湿熱保存安定性>
トナーを40℃、相対湿度80%の雰囲気下で360時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記の判定基準で評価した。
[評価基準]
◎:ブロッキングが発生していない。
○:24時間まではブロッキングが発生していないが360時間ではブロッキングが発生している。
×:24時間の時点でブロッキングが発生している。
トナーを40℃、相対湿度80%の雰囲気下で360時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記の判定基準で評価した。
[評価基準]
◎:ブロッキングが発生していない。
○:24時間まではブロッキングが発生していないが360時間ではブロッキングが発生している。
×:24時間の時点でブロッキングが発生している。
<流動性>
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
[判定基準]
○:33以上
△:30以上33未満
×:30未満
○:33以上
△:30以上33未満
×:30未満
<帯電の立ち上がり性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×6秒間と600秒間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間6秒の帯電量/摩擦時間600秒の帯電量」を計算し、これを帯電立ち上がり性の指標とした。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×6秒間と600秒間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間6秒の帯電量/摩擦時間600秒の帯電量」を計算し、これを帯電立ち上がり性の指標とした。
[判定基準]
○:0.6以上
△:0.4以上0.6未満
×:0.4未満
○:0.6以上
△:0.4以上0.6未満
×:0.4未満
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
○:0.8以上
△:0.6以上0.8未満
×:0.6未満
○:0.8以上
△:0.6以上0.8未満
×:0.6未満
表4の評価結果から明らかなように、本発明の実施例13〜24のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。
本発明のトナーバインダー及びトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れ、耐熱保存性、耐湿熱保存性、トナーの流動性、帯電の立ち上がり性及び帯電安定性に優れ、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナー及びトナーバインダーとして好適に使用できる。
更に、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
更に、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途の感光性樹脂組成物として好適である。
Claims (6)
- 非線形ポリエステル樹脂(A)と飽和カルボン酸とを含有するトナーバインダーであって、
非線形ポリエステル樹脂(A)は、飽和カルボン酸成分(y)と不飽和カルボン酸成分(z)とを含み前記(y)と前記(z)の少なくとも一方が2価以上のカルボン酸を含むカルボン酸成分及び2価以上のアルコールを含むアルコール成分(x)の重縮合体であるポリエステル樹脂(a)が有する炭素原子同士を直接結合した非線形ポリエステル樹脂であり、
飽和カルボン酸は2価以上の芳香族カルボン酸であり、飽和カルボン酸の含有量がトナーバインダーの重量に基づいて10ppm〜10000ppmであるトナーバインダー。 - トナーバインダー中のテトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1〜15である請求項1に記載のトナーバインダー。
- 更に線形ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1又は2に記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(a)中のテトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)が15,000〜100,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4〜15である請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダーを含有するトナー。
- 非線形ポリエステル樹脂(A)が、ラジカル反応開始剤(c)及び/又はリビングラジカル重合用添加剤(d)を用いて、不飽和カルボン酸成分(z)由来の炭素−炭素二重結合同士を架橋させて得られる樹脂である請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダーの製造方法。
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- 2018-08-08 JP JP2018149625A patent/JP2019040184A/ja active Pending
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