JP2019039719A - 容器のベント構造 - Google Patents
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Abstract
Description
汚染水を処理する際に多核種除去設備から発生した使用済みの吸着材や沈殿処理生成物は、ポリエチレン製の高性能容器(High Integrity Container)(以下、HICと記す。)に貯蔵されている。今後、一部の汚染水処理と並行して、廃炉に向けた作業に伴い発生する放射性物質含有廃棄物の処理、処分をする必要がある。
これらの放射性物質含有廃棄物の形態や保管要領については、現時点では未定であるが、ポリエチレン製HICとは別の仕様で、様々な環境下で安定的に貯蔵・保管できる放射性物質含有廃棄物収容容器(以下、収容容器と記す。)があれば、処理、処分の方法の幅が広がる。
そのため、放射性物質含有廃棄物を収容容器に対し、外側から雨水(液体)が侵入せず、内部の気体が外側に排出されるベント構造が求められている。
本実施形態に係るベント構造100が設けられる放射性物質含有廃棄物収容容器1(以下、収容容器1と記す。)は、図1(a)に示すように、3層構造を有している。この収容容器1は、放射性物質含有廃棄物が収容される内側容器30と、内側容器30が内部に配置される外側容器10と、内側容器30と外側容器10との間に充填される充填材50とを備えている。この充填材50の強度は、内側容器30および外側容器10よりも小さくなるように設計されている。
以下、外側容器10、内側容器30、充填材50、ベント構造100の構成を順に説明する。なお、図1から図5では、ベント構造100の記載を省略し、図6から図8で詳細に説明する。
外側容器10は、図2(a)に示すように、外側蓋部11、外側側壁部12および外側底部13を有している。この外側容器10は金属製の円筒状の容器であり、外側容器10には、例えば、ステンレス製鋼板を使用できる。
外側蓋部11は、図2(b)に示すように、円形状であり、外側蓋部11の下端には、蓋側フランジ部16が形成されている。この蓋側フランジ部16には、上下を貫通する貫通孔15が複数、等間隔に形成されている(本実施形態では12個)。
外側側壁部12の上端には、図2(c)に示すように、側壁側フランジ部18が形成されている。この側壁側フランジ部18は、外側蓋部11の蓋側フランジ部16と重なり合わされる。側壁側フランジ部18には、上下を貫通する貫通孔19が複数形成されている。この貫通孔19は、外側蓋部11の貫通孔15と対応する位置にそれぞれ形成されている。
また、連結部17は、吊り部の役割も担い、連結部17に形成された貫通孔17Bにワイヤが接続され、収容容器1はクレーンによって運搬される。
この外側容器10の強度は、内側容器30よりも大きく、外側容器10の降伏強度は、205MPa以上400MPa以下であることが好ましい。
また、収容容器1が倒れることを防止するために、外側容器10直径に対する、外側容器10の高さの比であるアスペクト比は、1.2から0.3であることが好ましい。
内側容器30は、外側容器10の内部に配置され、放射性含有廃棄物を収容する。内側容器30は、図3(a)に示すように、内側蓋部31、内側側壁部32、および内側底部33を有し、内側側壁部32と内側底部33の間には、内側底部33に向かって内側容器30の内径および外径が小さくなるようにハンチ部35が形成されている。つまり、内側側壁部32の内側は、上方から下方に向けて傾斜し、テーパ状に形成されている。
ハンチ部35は、内側容器30の内側および外側の両側とも傾斜している。
また、内側容器30の外径は、外側容器10の内径よりも小さく、内側容器30の高さは外側容器10の高さよりも低くなるように、それぞれ設計されている。
内側容器30は、円筒状の容器であり、内側容器30には、ポリマー含浸コンクリート(Polymer Impregnated Concrete)(以下、PICと記す。)又は鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリート(Steel Fiber reinfocedPolymer Impregnated Concrete)(以下、SFPICと記す。)を使用する。
なお、内側容器30の厚さは、100mm以下に設計されている。
小蓋38には、図3(c)に示すように、上下を貫通する貫通孔43が複数形成されており、この貫通孔43を介して、ボルト等によって、窓部37に取り付けられる。
内側側壁部32の上端面には、図3(d)に示すように、穴34が複数形成されている。この穴34は、貫通孔36と対応する位置に形成されている。
また、内側容器30は、図4に示すように、鉄筋39が含まれているものを使用することもできる。この鉄筋39は、内側側壁部32の内部に螺旋状に設けられ、内側底部33の内部には、網目状に設けられている。
この内側容器30の圧縮強度は、120MPa以上250MPa以下であることが好ましい。
充填材50は、図5(a)に示すように、外側容器10と内側容器30との間に形成される隙間に充填されるものである。充填材50は、充填材50の層の強度が、外側容器10および内側容器30よりも小さくなるものを使用する。充填材50には、例えば、モルタルを使用することができる。
モルタルの充填材50は、外側容器10と内側容器30との間の隙間に充填された後、硬化し、層を形成する。充填材50は、図5(b)に示すように、外側容器10と内側容器30の間の隙間に設けられ、外側容器10と内側容器30の間に円環状に配置される。充填材50の圧縮強度は、15MPa以上60MPa以下であることが好ましい。
また、外側容器10と内側容器30の間の隙間の幅は、2cmから15cmであることが好ましく、隙間の幅は、使用する充填材50の種類によって適宜変更される。
充填材50には、モルタル以外にも、波型金属板、気泡ペースト、発泡樹脂体、ゴム弾性材を使用することができる。
ベント構造100(106)は、図6(a)に示すように、内側蓋部31及び外側蓋部11に形成される。具体的には、ベント構造100は、図6(b)に示すように、内側蓋部31に形成され、内側容器30の内側と外側を連通する内側連通孔101と、この内側連通孔101の内部に設けられた耐液気体透過部材102と、外側蓋部11に形成され、外側容器10の内側と外側を連通する外側連通孔103とを備えている。収容容器1の上部は、外側容器10と内側容器30の間には充填材50を充填せずに、つまり外側蓋部11と内側蓋部31との間には空間が形成され、3重構造をなしている。
外側連通孔103は、径方向において、内側連通孔101とずらした位置に設けられる。
耐液気体透過部材102は、内側容器30の外側からは、液体を侵入できず、内側容器30の内側からは、気体が外側に排出されるものである。この耐液気体透過部材102には、例えば、セラミック、シリコンゴム、ポリエチレンテレフタラートで構成された疎水性の多孔質膜を使用できる。本実施形態において、耐液気体透過部材とは、液体は移動できず、気体は移動できる素材で構成されたものをいう。
キャップ部材105には、例えば、満形鋼(SUS製)を使用することができる。このキャップ部材105は、平板状の天井壁105Aと、天井壁105Aに連設された一対の側壁105Bとから構成され、側壁105B間には、開口部105Cが形成されている。このキャップ部材105は、天井壁105Aがパイプ部材104の天地方向(上側)となるように外側蓋部11の上面に設置される。
なお、キャップ部材105は、上記のもの以外にも、例えば、箱型の部材の側壁に貫通孔が形成された構造のものを使用することもできる。
配管107と蓋108との間には、シート状の耐液気体透過部材102が開口部を覆うように設けられ、配管107と蓋108とは、互いのフランジ部をボルトで締結することで固定される。
本実施形態に係るベント構造100は、パイプ部材104の上側からキャップ部材105が設けられ、突き出したパイプ部材104の開口部がキャップ部材105によって、覆われている。そのため、屋外に保管された収容容器1が、雨に曝された場合でも、パイプ部材104を介して外側容器10の外側から内側に雨水(液体)が侵入することが防止できる。さらに、内側連通孔101に設けられた耐液気体透過部材102は、内側容器30の外側からは、液体を侵入できない素材であるため、仮に、外側容器10の外側から雨水が侵入した場合でも、内側連通孔101を介して、雨水が内側容器30の内部に侵入しない。
このように、本実施形態の収容容器1は、キャップ部材105と耐液気体透過部材102により、収容容器1の外側から、放射性物質含有廃棄物が収容されている内側容器30の内部に雨水が侵入することを確実に防止できる。
この気体は、パイプ部材104を介して、外側容器10の外側に排出され、開口部105Cから収容容器1の外部に排出される。
次に、第二実施形態に係るベント構造120を、図7を参照して説明する。
本実施形態に係るベント構造120は、第一実施形態で述べた耐液気体透過部材102の代わりに、内側連通孔101に配管121が設けられている点で、第一実施形態のベント構造100(106)と相違し、その他の構造は、第一実施形態のベント構造100(106)と同様である。そのため、相違する部分を中心に説明し、同様な部分についての説明は適宜省略する。
他の例として、図7(b)に示すベント構造122とすることもできる。このベント構造122は、第一実施形態に係るベント構造106において、内側容器30の内側と外側を連通する内側連通孔101に、耐液気体透過部材102の代わりに配管121が設けられた構造を有している。この配管121も、一端が内側蓋部31の外側に突き出すように、外側連通孔103に設けられている。この際、配管121の先端は、外側蓋部11と内側蓋部31との間の隙間に配置されている。配管121は、エポキシ樹脂接着剤109によって、内側連通孔101に密着されている。
本実施形態に係るベント構造120(122)において、内側連通孔101に設けられた配管121の先端が内側蓋部31から突き出して設けられている。そのため、仮に、内側蓋部31の上面を伝って、雨水(液体)が侵入した場合、配管121の先端部が妨げとなって、配管121の開口部に雨水が到達しない。
したがって、本実施形態のベント構造120(122)により、内側容器30の外側から、内側容器30の内部に雨水が侵入することを防止できる。
次に、第三実施形態に係るベント構造130を、図8を参照して説明する。
本実施形態に係るベント構造130は、内側連通孔101と外側連通孔103とを貫通するパイプ部材131が設けられている点で、第一実施形態及び第二実施形態のものとは相違する。以下、本実施形態に係るベント構造130の特徴部分を中心に説明する。
パイプ部材131は、半円状の湾曲部132と、この湾曲部132に連結している直線部133とから構成されている。
パイプ部材131は、直線部133が、内側連結孔101及び外側連結孔103の内壁に当接され、湾曲部132が外側容器10の外側に配置されるように設けられている。湾曲部132の開口部134が、高さ方向において、下向きとなるように形成されている。
また、直線部133と内側蓋部31の内壁は、エポキシ樹脂接着剤109で密着されている。
また、本実施形態のベント構造130において、パイプ部材131は、内側容器30の内側と外側容器10の外側を連通するため、内側容器30の内部で発生した気体を、パイプ部材131を介して、収容容器1の外側に排出することができる。
例えば、第二実施形態のベント構造120(122)では、配管121の内部に、第三実施形態のベント構造130では、パイプ部材131の内部に耐液気体透過部材102を設けることができる。そうすることで、仮に配管121やパイプ部材131の内部に雨水が侵入した場合でも、内側容器30の内部に雨水が侵入することを確実に防止できる。
また、第三実施形態のベント構造130を構成するパイプ部材131の湾曲部132の形状は、半円状に限定されず、開口部134が高さ方向において、下向きに形成されているものであればよい。さらに、パイプ部材131は、内側連通孔101まで連通して設けられていなくてもよい。この場合、湾曲部132が外側連通孔103に設けられ、内側連通孔101には耐液気体透過部材102が設けることができる。
10 外側容器
11 外側蓋部
12 外側側壁部
13 外側底部
15 貫通孔
16 蓋側フランジ部
17 連結部
17A 平面部
17B 貫通孔
18 側壁側フランジ部
19 貫通孔
20 緩衝部材
30 内側容器
31 内側蓋部
32 内側側壁部
33 内側底部
34 穴
35 ハンチ部
36 貫通孔
37 窓部
38 小窓
39 鉄筋
40 せき止めリング
41 補強材
42 穴
43 貫通孔
44 ボルト
45 エポキシ樹脂接着剤
50 充填材
100,106,110,120,122,130 ベント構造
101 内側連通孔
102 耐液気体透過部材
103 外側連通孔
104 パイプ部材
105 キャップ部材
105A 天井壁
105B 側壁
105C 開口部
107 配管
108 蓋
109 エポキシ樹脂接着剤
121 配管
131 パイプ部材
132 湾曲部
133 直線部
134 開口部
135 開口部
Claims (5)
- 放射性物質含有廃棄物が収容される容器の内側と外側を連通する連通孔と、
前記連通孔に設けられたベント部材と、を備え、
前記容器の外側の液体が前記ベント部材を介して内側に浸入せず、かつ前記容器の内側の気体が前記ベント部材を介して前記容器の外側に排出される、
ことを特徴とするベント構造。 - 前記ベント部材は、配管であり、この配管の先端が、前記容器の高さ方向の下方に向けて形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベント構造。 - 前記ベント部材は、配管であり、この配管の開口部に覆い部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベント構造。 - 前記ベント部材は、液体は移動できず、気体は移動できる気体透過素材で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベント構造。 - 前記容器は、前記放射性物質含有廃棄物が収容される内側容器と、前記内側容器が、内部に配置される外側容器と、前記内側容器と前記外側容器との間に充填される充填材と、を備え、
前記連通孔は、前記内側容器に形成された内側連通孔、及び前記外側容器に形成された外側連通孔である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のベント構造。
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