JP2019039080A - 耐油紙およびその製造方法 - Google Patents

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英治 森本
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Abstract

【課題】高濃度のパルプスラリーを用いた場合であっても、耐油性に優れる耐油紙を製造できる方法、および耐油性に優れる耐油紙の提供。
【解決手段】パルプスラリーに、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを添加した後、該パルプスラリーを抄紙する、耐油紙の製造方法;カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを含む紙基材を有する、耐油紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐油紙およびその製造方法に関する。
パルプスラリーに、カチオン性高分子凝結剤とアニオン性フッ素系耐油剤とを添加した後、該パルプスラリーを抄紙して得られた耐油紙が知られている(たとえば、特許文献1〜5)。該耐油紙は、油に対するバリア性を有することから、食品包装容器、食品包装紙等として用いられている。また、該耐油紙は、通気性を有したまま良好な耐油性を有することから、湿度が内部にこもることを嫌うフライ類の包装紙、機能上通気性が必要な鮮度保持剤包装紙、脱酸素剤包装紙としても用いられている。
特許第5569613号公報 特許第5621850号公報 特開2005−042271号公報 特表2006−528733号公報 国際公開第2009/057716号
パルプスラリー中のパルプは、セルロースの水酸基によってアニオン性を有しているため、アニオン性フッ素系耐油剤との間で反発が生じる。そのため、抄紙する前に、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をカチオン化した後、パルプの表面にアニオン性フッ素系耐油剤を定着させることが知られている。
しかし、パルプスラリー中のパルプの濃度が高くなると、カチオン性高分子凝結剤によってパルプが凝集し、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面を均一にカチオン化することが困難となる。その結果、パルプの表面にアニオン性フッ素系耐油剤が均一に定着せず、得られる耐油紙は、充分な耐油性を発揮できないことがあった。
本発明は、高濃度のパルプスラリーを用いた場合であっても、耐油性に優れる耐油紙を製造できる方法、および耐油性に優れる耐油紙を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]パルプスラリーに、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを添加した後、該パルプスラリーを抄紙する、耐油紙の製造方法。
[2]前記パルプスラリー中のパルプの濃度が2.5質量%以上である、[1]の耐油紙の製造方法。
[3]前記カチオン性高分子凝結剤の含有割合が、前記パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対して0.3〜5質量%である、[1]または[2]の耐油紙の製造方法。
[4]前記アニオン性フッ素系耐油剤が、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基を有する構成単位(α)とアニオン性基を有する構成単位(β)とを有する含フッ素共重合体(A)である、[1]〜[3]のいずれかの耐油紙の製造方法。
[5]カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを含む紙基材を有する、耐油紙。
本発明の耐油紙の製造方法によれば、高濃度のパルプスラリーを用いた場合であっても、耐油性に優れる耐油紙を製造できる。
本発明の耐油紙は、耐油性に優れる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「カチオン電荷密度」は、電荷量がゼロになるまで試料と反対の電荷をもった標準滴定液を試料に加えて求められる値である。一般的に滴定液としては、アニオンとしてはポリエチレンスルホン酸ナトリウム(PES−Na)またはポリビニル硫酸カリウム(PVSK)が使用され、カチオンとしてはポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PolyDADMAC)が使用される。
「パルプスラリー」とは、パルプが液状媒体に分散したものを意味する。
「アニオン性基」とは、カチオンが解離したときに負電荷を有するようになる基を意味し、カチオンがプロトンである酸型と、カチオンがアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等である塩型とがある。
「炭素数7以上のポリフルオロアルキル基を有しない」とは、国際公開第2009/081822号に記載の方法によるLC−MS/MSの分析値において、環境への影響が指摘されている、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびその前駆体、類縁体の含有量(固形分濃度20質量%とした場合の含有量)が検出限界以下であることを意味する。
「ポリフルオロアルキル基」とは、アルキル基の一部の水素原子がフッ素原子に置換された基を意味する。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味する。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。構成単位は、単量体の重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「単量体」とは、重合性不飽和基を有する化合物を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「主成分とする」とは、該成分を50質量%以上含むことを意味する。
<耐油紙>
本発明の耐油紙は、特定のカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを含む紙基材を有する。
(紙基材)
紙基材としては、非塗工紙が挙げられる。
非塗工紙としては、パルプの1種を単独で、または2種以上を任意の配合率で混合して抄紙したものが挙げられる。
パルプとしては、植物セルロース含むもの(木材、草、竹、稲わら、葦、バガス、ヤシ等)が挙げられる。また、リサイクルパルプを用いてもよい。
具体的には、針葉樹の晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹の晒しクラフトパルプ(LBKP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)等が挙げられる。
紙基材の形態としては、長尺のウェブ状のもの、これを裁断した枚葉状のもの、パルプモールド成型機で得られた成型体(容器等)等が挙げられる。
(カチオン性高分子凝結剤)
紙基材に含まれるカチオン性高分子凝結剤としては、通常の抄紙において用いられるカチオン性紙力増強剤等が挙げられる。カチオン性高分子凝結剤としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド(アクリルアミド−アリルアミン共重合体、アクリルアミド−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド−4級化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミド−4級化ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体等)、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、N−ビニルホルムアミド−ビニルアミン共重合体、メラミン樹脂、ポリアミドエポキシ系樹脂等が挙げられる。
紙基材に含まれるカチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度は、100〜700μeq/gであり、100〜500μeq/gが好ましく、300〜500μeq/gがより好ましい。カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が前記範囲の下限値以上であれば、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面を充分にカチオン化できる。カチオン性高分子凝結剤のカチオン電荷密度が前記範囲の上限値以下であれば、パルプスラリー中のパルプの濃度が高くなっても、カチオン性高分子凝結剤によってパルプが凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面を均一にカチオン化できる。
紙基材を構成するパルプ(100質量%)に対するカチオン性高分子凝結剤の含有割合は、0.3〜5質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。カチオン性高分子凝結剤の含有割合が前記範囲の下限値以上であれば、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をさらに充分にカチオン化できる。カチオン性高分子凝結剤の含有割合が前記範囲の上限値以下であれば、パルプスラリー中のパルプの濃度が高くなっても、カチオン性高分子凝結剤によってパルプがさらに凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をさらに均一にカチオン化できる。
(アニオン性フッ素系耐油剤)
紙基材に含まれるアニオン性フッ素系耐油剤としては、環境負荷が小さい点から、炭素数7以上のポリフルオロアルキル基を有しないアニオン性含フッ素重合体が好ましい。
炭素数7以上のポリフルオロアルキル基を有しないアニオン性含フッ素重合体としては、耐油性にさらに優れる点から、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基を有する構成単位(α)とアニオン性基を有する構成単位(β)とを有する含フッ素共重合体(A)が好ましい。含フッ素共重合体(A)は、必要に応じて、構成単位(α)および構成単位(β)以外の他の構成単位を有していてもよい。
構成単位(α)におけるペルフルオロアルキル基の炭素数は、環境負荷を小さくする点から、1〜6であり、得られる耐油紙の耐油性の点から、4〜6が好ましく、6が特に好ましい。
構成単位(α)としては、単量体(a)由来の構成単位が好ましい。
単量体(a)は、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基を含むアクリレート、メタクリレート、またはα位がハロゲンで置換されたアクリレートである。
単量体(a)としては、下記式(I)で表わされる化合物が好ましい。
2p+12qOCOCR=CH・・・(I)
ただし、pは1〜6の整数であり、qは1〜4の整数であり、Rは水素原子、メチル基またはハロゲン原子である。Rとしては、水素原子、メチル基または塩素原子が好ましい。
式(I)で表わされる化合物のうち、好ましい具体例としては、下記のものが挙げられる。
13OCOC(CH)=CH
13OCOCH=CH
13OCOCCl=CH
OCOC(CH)=CH
OCOCH=CH
OCOCCl=CH
構成単位(β)におけるアニオン性基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはそれらの塩が挙げられ、紙基材への定着性に優れる点から、カルボキシ基またはその塩が好ましい。
構成単位(β)としては、単量体(b)由来の構成単位が好ましい。
単量体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酪酸、イタコン酸等が挙げられる。
含フッ素共重合体(A)の具体例としては、たとえば、国際公開第2009/057716号に記載された含フッ素共重合体(A)が挙げられる。
アニオン性フッ素系耐油剤の市販品としては、旭硝子社製のアサヒガード(登録商標)AG−E080、ダイキン工業社製のユニダイン(登録商標)TG−8111等が挙げられる。
紙基材を構成するパルプ(100質量%)に対するアニオン性フッ素系耐油剤の含有割合は、0.1〜1.2質量%が好ましく、0.1〜0.6質量%がより好ましい。アニオン性フッ素系耐油剤の含有割合が前記範囲の下限値以上であれば、耐油性にさらに優れる。アニオン性フッ素系耐油剤の含有割合が前記範囲の上限値以下であれば、コスト面で有利である。
(他の成分)
紙基材は、本発明の効果を損なわない範囲内で填料を含んでいてもよい。
紙基材は、本発明の効果を損なわない範囲内でカチオン性高分子凝結剤およびアニオン性フッ素系耐油剤以外の他の併用剤を含んでいてもよい。他の併用剤としては、サイズ剤、定着剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、染料、顔料等が挙げられる。
(他の層)
本発明の耐油紙は、紙基材の表面に他の層が設けられていてもよい。
他の層としては、紙基材の表面に顔料を含む塗料を塗工して形成された、いわゆる塗工紙における塗工層等が挙げられる。
(作用機序)
以上説明した本発明の耐油紙にあっては、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤を含むため、パルプが均一に、かつ充分にカチオン化されている。そのため、パルプの表面にアニオン性フッ素系耐油剤が均一に、かつ充分に定着している。その結果、本発明の耐油紙は、耐油性に優れる。
<耐油紙の製造方法>
本発明の耐油紙の製造方法は、下記工程(a)および工程(b)を有する。
(a)パルプスラリーに、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを添加する工程。
(b)前記工程(a)の後、パルプスラリーを抄紙する工程。
(工程(a))
パルプスラリーに、上述したカチオン性高分子凝結剤と、上述したアニオン性フッ素系耐油剤とを添加する。
添加の順番としては、本発明の効果が充分に発揮される点から、まず、カチオン性高分子凝結剤を添加し、ついで、アニオン性フッ素系耐油剤を添加する順番が好ましい。
パルプとしては、前記したものが挙げられる。
パルプ化法としては、機械パルプ化法、サーモメカニカルパルプ化法、ケミサーモメカニカルパルプ化法、クラフトパルプ化法、サルファイトパルプ化法、脱墨パルプ化法、リサイクルパルプ化法等、公知のパルプ化法を採用できる。
パルプスラリーは、パルプを液状媒体に公知の方法によって離解することによって調製できる。
離解方法としては、ディスインテグレータを用いる方法等が挙げられる。
液状媒体としては、水を主成分とする水性媒体が好ましい。水性媒体としては、取り扱い性および安全衛生の点から、水、または水と、水と共沸混合物を形成する有機溶媒とを含む共沸混合物が好ましい。該有機溶媒としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ダイアセトンアルコールが挙げられる。
パルプスラリー中のパルプの濃度の下限は、1.5質量%が好ましく、2.0質量%がより好ましく、2.5質量%がさらに好ましい。パルプスラリー中のパルプの濃度の上限は、6.0質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましく、4.0質量%がさらに好ましい。パルプの濃度が前記範囲の下限値以上であれば、本発明の効果が充分に発揮される。パルプの濃度が前記範囲の上限値以下であれば、パルプがさらに凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をさらに均一にカチオン化できる。
カチオン性高分子凝結剤の含有割合は、パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対して0.3〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。カチオン性高分子凝結剤の含有割合が前記範囲の下限値以上であれば、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をさらに充分にカチオン化できる。カチオン性高分子凝結剤の含有割合が前記範囲の上限値以下であれば、パルプスラリー中のパルプの濃度が高くなっても、カチオン性高分子凝結剤によってパルプがさらに凝集しにくい。そのため、カチオン性高分子凝結剤によってパルプの表面をさらに均一にカチオン化できる。
アニオン性フッ素系耐油剤の含有割合は、パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対して0.1〜1.2質量%が好ましく、0.1〜0.6質量%がより好ましい。アニオン性フッ素系耐油剤の含有割合が前記範囲の下限値以上であれば、耐油性にさらに優れる耐油紙が得られる。アニオン性フッ素系耐油剤の含有割合が前記範囲の上限値以下であれば、コスト面で有利である。
パルプスラリーに、本発明の効果を損なわない範囲内で上述した填料、他の併用剤を添加してもよい。
カチオン性高分子凝結剤、アニオン性フッ素系耐油剤、填料、他の併用剤の添加は、パルプスラリーを抄紙機のワイヤ上に供給する前であれば、どの段階で行ってもよく、具体的には、パルプ製造工程、紙料調製工程等で行うことができ、紙料調製工程で行うことが好ましい。
(工程(b))
パルプスラリーの抄紙は、公知の抄紙機を用いた方法によって実施できる。
抄紙機は、パルプスラリーをワイヤ上で脱水可能な装置であればよい。抄紙機としては、長網抄紙機のような連続式の抄紙機のほかに、パルプスラリーをワイヤで形成された成型枠上に添加した後に、ワイヤ下部から脱水し、成型体を製造する、バッチ式のパルプモールド成型機等もその範疇に含める。
(作用機序)
以上説明した本発明の耐水耐油紙の製造方法にあっては、パルプスラリーに、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを添加しているため、パルプの表面にアニオン性フッ素系耐油剤が均一に、かつ充分に定着する。そのため、耐油性に優れる耐油紙を製造できる。
以下に、本発明に関わる実施例と比較例を記載する。ただし、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
例1〜4は実施例であり、例5〜8は比較例である。
(カチオン電荷密度)
カチオン電荷密度の測定には、BTG社の粒子電荷計(Particle Charge Detector)PCD03を用いた。具体的には、測定したい試料を0.001質量%に希釈した。その希釈した試料をマイクロピペットで10mLはかりとり、測定容器に注いだ。測定容器を前記粒子電荷計にセットし、適切な滴下量でアニオン性高分子電解質溶液を滴下し、カチオン電荷密度を求めた。
(耐油性)
TAPPI T559cm−02法に準じた下記の方法でキット試験を行った。試験には、ひまし油、トルエンおよびn−ヘプタンを表1に示す体積比で混合した試験溶液を用いた。試験の結果はキット番号で表し、数字が大きい方が耐油性に優れる。キット試験は、試験紙の耐油性を短時間(約20秒)で知ることができ、紙の耐油性の評価に広く用いられている。評価結果は、紙の表面の表面張力に対する指標としての意味を持つ。
試験紙を、汚れのない平らな黒色の表面に置き、キット番号16の試験溶液の1滴を13mmの高さから試験紙上に滴下した。滴下した15秒後(接触時間:15秒間)、清潔な吸取り紙で滴下した試験溶液を除去し、試験溶液が接触した試験紙の表面を目視で観察した。表面の色が濃くなっていたら、キット番号15の試験溶液で同様の操作を行い、表面の色が濃くならないキット番号まで、キット番号を順次小さくしながら同様の操作を繰り返した。表面の色が濃くならない最初の(最も大きい)キット番号で評価する。
Figure 2019039080
(耐水性)
JIS P 8140:1998(ISO 535:1991)の「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」にしたがい、接触時間:60秒、試験温度:23℃にて試験紙の吸水度(コッブ値)を求めた。
(カチオン性高分子凝結剤)
カチオン性高分子凝結剤(C1):カチオン化タピオカ澱粉、日本エヌエスシー社製、Cato304、カチオン電荷密度:420μeq/g(固形分)。
カチオン性高分子凝結剤(C2):カチオン性ポリアクリルアミド、星光PMC社製、FD7290、カチオン電荷密度:330μeq/g(固形分)。
カチオン性高分子凝結剤(C3):ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、明成化学工業社製、AGフィックス M−80、カチオン電荷密度:3700μeq/g(固形分)。
カチオン性高分子凝結剤(C4):ジメチルアミンエチレンジアミン(ポリ(ジメチルアミン−エチレンジアミンエピクロロヒドリン共重合体)樹脂)、Kemira社製、Superfloc(登録商標) C−573、カチオン電荷密度:3800μeq/g(固形分)。
カチオン性高分子凝結剤(C5):ジメチルアミンエピクロロヒドリン、Nalco社製、Nalco7607、カチオン電荷密度:6900μeq/g(固形分)。
カチオン性高分子凝結剤(C6):ポリアミドポリアミン樹脂、荒川化学工業社製、AF255、カチオン電荷密度:2700μeq/g(固形分)。
(アニオン性フッ素系耐油剤)
アニオン性フッ素系耐油剤(A1):
容量:120mLのガラス製アンプル容器に、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(C6FMA)(純度:99.6質量%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、イタコン酸(IA)を、表2に示す割合で、合計17.5gで仕込んだ。さらに、アセトンの52.5g、アセトンで10質量%に希釈したジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の1.8gを仕込んだ。窒素置換を3回繰り返し、容器をゴム栓で密封した。これを、65℃に加熱した振とう恒温槽に装着し、振とう回数を毎分110回にセットして24時間重合を行い、固形分濃度:25質量%の淡黄色のアニオン性フッ素系耐油剤(A1)のアセトン溶液を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で求めたアニオン性フッ素系耐油剤(A1)の質量平均分子量は、約48,000であった。
アニオン性フッ素系耐油剤(A2):
単量体の種類、割合を表2に示すように変更した以外は、アニオン性フッ素系耐油剤(A1)と同様にして、固形分濃度:25質量%の淡黄色のアニオン性フッ素系耐油剤(A2)のアセトン溶液を得た。GPCで求めたアニオン性フッ素系耐油剤(A2)の質量平均分子量は、約50,000であった。表2中、MAAは、メタクリル酸である。
アニオン性フッ素系耐油剤(A3):ダイキン工業社製、ユニダイン(登録商標)TG−8111。
Figure 2019039080
(例1)
工程(a):
広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)とを乾燥時の質量比率が40:60となるように混合した。該パルプを水に分散させた後、パルプ濃度を4質量%に調整し、未添加のパルプスラリーを得た。
未添加のパルプスラリーに、カチオン性高分子凝結剤(C1)を、パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対するカチオン性高分子凝結剤(C1)(固形分)の含有割合が2質量%となるように添加し、数分間撹拌した。さらに、アニオン性フッ素系耐油剤(A1)を、パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対するアニオン性フッ素系耐油剤(A1)(固形分)の含有割合が0.5質量%となるように添加し、数分間撹拌した。
工程(b):
得られたパルプスラリーを、JIS P 8222:1998(ISO 5269−1:1979)「パルプ−試験用手すき紙の調製方法」に記載された方法にしたがって抄紙し、耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例2)
アニオン性フッ素系耐油剤(A1)をアニオン性フッ素系耐油剤(A2)に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例3)
広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)を水に分散させた後、パルプ濃度を3質量%に調整し、未添加のパルプスラリーを得た。
例1の未添加のパルプスラリーを例3の未添加のパルプスラリーに変更し、カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C2)に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例4)
アニオン性フッ素系耐油剤(A1)をアニオン性フッ素系耐油剤(A3)に変更した以外は例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す
(例5)
カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C3)に変更し、カチオン性高分子凝結剤(固形分)の含有割合を2質量%から0.3質量%に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例6)
カチオン性高分子凝結剤(C3)をカチオン性高分子凝結剤(C4)に変更した以外は、例5と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例7)
カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C5)に変更し、カチオン性高分子凝結剤(固形分)の含有割合を2質量%から0.4質量%に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
(例8)
カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C6)に変更し、カチオン性高分子凝結剤(固形分)の含有割合を2質量%から0.5質量%に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験および耐水性試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2019039080
カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤を用いた例1〜4は、カチオン電荷密度が700μeq/gを超えるカチオン性高分子凝結剤を用いた例5〜8に比べ、耐油性に優れていた。
本発明の耐油紙は、食品包装容器、食品包装紙等として有用である。
(例6)
カチオン性高分子凝結剤(C3)をカチオン性高分子凝結剤(C4)に変更した以外は、例5と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験を行った。結果を表3に示す。
(例7)
カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C5)に変更し、カチオン性高分子凝結剤(固形分)の含有割合を2質量%から0.4質量%に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験を行った。結果を表3に示す。
(例8)
カチオン性高分子凝結剤(C1)をカチオン性高分子凝結剤(C6)に変更し、カチオン性高分子凝結剤(固形分)の含有割合を2質量%から0.5質量%に変更した以外は、例1と同様にして耐油紙を得た。耐油紙について耐油性試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2019039080

Claims (5)

  1. パルプスラリーに、カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、アニオン性フッ素系耐油剤とを添加した後、該パルプスラリーを抄紙する、耐油紙の製造方法。
  2. 前記パルプスラリー中のパルプの濃度が2.5質量%以上である、請求項1に記載の耐油紙の製造方法。
  3. 前記カチオン性高分子凝結剤の含有割合が、前記パルプスラリー中のパルプ(100質量%)に対して0.3〜5質量%である、請求項1または2に記載の耐油紙の製造方法。
  4. 前記アニオン性フッ素系耐油剤が、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基を有する構成単位(α)とアニオン性基を有する構成単位(β)とを有する含フッ素共重合体(A)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐油紙の製造方法。
  5. カチオン電荷密度が100〜700μeq/gであるカチオン性高分子凝結剤と、
    アニオン性フッ素系耐油剤とを含む紙基材を有する、耐油紙。
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