JP2019035132A - 中和処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液質の変動による影響を受けることなく、浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理することのできる中和処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬において発生した、硫酸を含む浸出残渣スラリーと、ニッケル及びコバルトの混合硫化物を生成させて固液分離した後の不純物を含むろ液の、混合スラリーを、中和して外部に廃棄する中和処理方法であって、前記中和処理中または前記中和処理後の混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、該補正後のpH値を指標として中和処理を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬における中和処理方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法として、硫酸を用いた高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching)法が注目されている。この方法は、乾燥及び焙焼工程等の乾式処理工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるとともに、ニッケル品位を50重量%程度まで濃縮させたニッケル・コバルト混合硫化物を得ることができるという利点を有している。
例えば、特許文献1には、(1)鉱石のスラリーに硫酸を添加し、220〜280℃の温度下で撹拌処理して、浸出スラリーを形成する浸出工程、(2)浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣を得る固液分離工程、(3)浸出液の酸化を抑制しながら、pHが4以下となるように炭酸カルシウムを添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用母液を形成する中和工程、及び(4)母液に硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケル及びコバルトを含む硫化物と貧液を形成する硫化工程、を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法が記載されている。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬では、固液分離工程から排出される浸出残渣を含んだスラリーや、硫化工程でニッケルが回収された後のろ液(貧液)は最終中和工程において中和した上で処理している。浸出残渣を含んだスラリーと、ニッケルが回収された後のろ液(貧液)はそれぞれ別々に処理してもよいがそれらを混合して1度に処理した方が効率が良い。
この最終中和工程では最終的に中和沈殿した重金属類を含むスラリーをテーリングダムに排出し、その上澄みの液は海域へ放流するため、重金属類の残留濃度やpH等の管理が非常に重要となる。しかしながら、最終中和工程では操業の負荷変動によって固液分離後の浸出残渣スラリーと硫化工程後の貧液の処理比率等が変動し、その影響を受けて中和処理時の液質が変化する。また、最終中和工程にて処理するプロセス液は高塩濃度且つ高濃度スラリーであるため、特に、一般的に用いられるpH計が持つ温度補正機能だけではpHを安定化させることは困難で、安定して目標とするpHに調整する方法が求められていた。
特開2005−350766号公報
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、液質の変動による影響を受けることなく、浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理することのできる中和処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題に対して鋭意検討を重ね、混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、補正したpH値を指標とすることで、より安定した中和処理を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の一態様は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬において発生した、硫酸を含む浸出残渣スラリーと、ニッケル及びコバルトの混合硫化物を生成させて固液分離した後の不純物を含むろ液の、混合スラリーを、中和して外部に廃棄する中和処理方法であって、中和処理中または中和処理後の混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、該補正後のpH値を指標として中和処理を行う。
本発明の一態様によれば、混合スラリーの液質に応じてpH値を補正することにより、実測pHをそのまま使用するよりも、液質の変動をより正確に反映することができるため浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理を行うことができる。
このとき、本発明の一態様では、実測pH値の補正は、少なくとも中和処理中または中和処理後の混合スラリーの液温に対するpH値の検量線を作成することにより行うことができる。
pH値の補正方法としては、中和処理中または中和処理後の混合スラリーをサンプルとして採取して、液温に対するpH値の検量線を作成することでpH値を補正することが好ましい。
また、このとき、本発明の一態様では、中和処理中または中和処理後の混合スラリーの液温は40〜70℃としても良い。
実際のニッケル酸化鉱石の湿式製錬においては、液温は上記範囲となることが多いため、この範囲でpH値の補正を行えることが望ましい。
また、本発明の一態様では、混合スラリーの混合時の浸出残渣スラリーの流量が200〜300m/hであり、ろ液の流量が50〜100m/hとすることができる。
実際の操業上、浸出残渣スラリーとろ液は上記比率で混合することが望ましい。
本発明によれば、液質の変動による影響を受けることなく、浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理することができる。
本発明の一実施形態に係る中和処理方法を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る中和処理方法で用いる処理装置の一例を示す構成図である。 実施例1に係る中和処理方法で処理する混合スラリーの液温を変化させて対応するpH値を測定して作成した検量線である。 実施例1(pH補正あり)における設定pH値からのばらつきを示す度数分布図である。 比較例1(pH補正なし)における設定pH値からのばらつきを示す度数分布図である。
以下、本発明に係る中和処理方法について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
2.中和処理方法
<1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法>
先ず、中和処理方法のより具体的な説明に先立ち、本発明の中和処理方法が用いられる最終中和工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。このニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、例えば高圧酸浸出法(HPAL法)を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させて回収する湿式製錬方法である。
図1に、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬方法の工程(プロセス)図の一例を示す。図1に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、数種類のニッケル酸化鉱石を混合し、水と混合・分級して鉱石スラリーを調製するスラリー調製工程S1と、得られたニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S2と、浸出工程S2にて得られた浸出スラリーのpHを所定範囲に調整する予備中和工程S3と、pH調整をした浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離して、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程S4を有する。
さらに、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、固液分離工程S4で固液分離した浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離してニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る中和工程S5と、中和終液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成させ、その亜鉛硫化物を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る浄液工程S6と、ニッケル回収用母液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を形成する硫化工程S7と、固液分離工程S4から移送された遊離硫酸を含む浸出残渣スラリーと、硫化工程S7から移送されたマグネシウムやアルミニウム、鉄等の不純物を含むろ液(以下、「貧液」と称することがある。)の中和を行う最終中和工程S8を有する。本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の中和処理方法は、主に最終中和工程S8に関するものである。以下、各工程についての概要を説明する。
(1)スラリー調製工程
スラリー調製工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を用いて、数種類のニッケル酸化鉱石を所定のNi品位、不純物品位となるように混合し、それらを水と混合してスラリー化し、篩にかけて所定の分級点で分級してオーバーサイズの鉱石粒子を除去した後に、アンダーサイズの鉱石のみを使用する。
スラリー調製工程S1で用いるニッケル酸化鉱石は、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。また、スラリー調製工程S1では、このようなラテライト鉱の他に、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する酸化鉱石、例えば深海底に賦存するマンガン瘤等が用いられても良い。
ニッケル酸化鉱石の分級方法については、所望とする粒径に基づいて鉱石を分級できるものであれば特に限定されず、例えば、一般的な振動篩等を用いた篩分けによって行うことができる。さらに、その分級点についても、特に限定されず、所望とする粒径値以下の鉱石粒子からなる鉱石スラリーを得るための分級点を適宜設定することができる。
(2)浸出工程
浸出工程S2では、ニッケル酸化鉱石に対して、例えば高圧酸浸出法を用いた浸出処理を施す。具体的には、原料となるニッケル酸化鉱石を粉砕等して得られた鉱石スラリーに硫酸を添加し、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)を用いて、220〜280℃の高い温度条件下で加圧することによって鉱石からニッケル、コバルト等を浸出し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する。
この浸出工程S2における浸出処理では、浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれる。浸出工程S2における硫酸の添加量としては、特に限定されるものではなく、鉱石中の鉄が浸出されるような過剰量が用いられる。なお、浸出工程S2では、次工程の固液分離工程S4で生成されるヘマタイトを含む浸出残渣の濾過性の観点から、得られる浸出液のpHが0.1〜1.0となるように調整することが好ましい。
(3)予備中和工程
予備中和工程S3では、浸出工程S2にて得られた浸出スラリーのpHを所定範囲に調整する。上述した高圧酸浸出法による浸出処理を行う浸出工程S2では、浸出率を向上させる観点から過剰の硫酸を加えるようにしている。そのため、得られた浸出スラリーには浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸が含まれており、そのpHは非常に低い。このことから、予備中和工程S3では、次工程の固液分離工程S4における多段洗浄時に効率よく洗浄が行われるように、浸出スラリーのpHを所定の範囲に調整する。
具体的に、固液分離工程S4に供する浸出スラリーとしては、そのpHを2〜6程度に調整したものであることが好ましい。pHが2より低いと、浄液工程S6での亜鉛の除去が難しくなる。また、硫化工程S7でのニッケル及びコバルトの回収率が低下する。浄液工程S6及び硫化工程S7では硫化水素ガス等を使用した硫化が行われるが、この硫化反応に伴い水素イオンが発生するため、反応が進みづらくなるからである。一方で、pHが6より高いと、浸出液(スラリー)中に浸出したニッケルが、洗浄の過程で沈殿して、残渣として残るようになってニッケルの回収率が下がると共に、洗浄効率が低下する可能性がある。
pHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸カルシウムスラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整することができる。
(4)固液分離工程
固液分離工程S4では、予備中和工程S3にてpH調整された浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトのほか不純物元素として亜鉛を含む浸出液と浸出残渣とを得る。
この固液分離工程S4では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、固液分離装置としてシックナーを多段に設けて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合いに応じて減少させることができる。また、このようにシックナーを多段に連結して用いることにより、ニッケル及びコバルトの回収率の向上を図ることができる。
固液分離工程S4における多段洗浄方法として、ニッケルを含まない洗浄液として硫化工程S7で得られるろ液(貧液)で向流に接触させる連続向流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation法)を用いる。これにより、系内に新たに導入する洗浄液を削減できるとともに、ニッケル及びコバルトの回収率を向上させることができる。
洗浄液としては、特に限定されるものではないが、ニッケルを含まず、工程に影響を及ぼさないものを用いることができる。その中でも、pHが1〜3の水溶液を用いることが好ましい。洗浄液のpHが高いと、浸出液中にアルミニウムが含まれる場合には嵩の高いアルミニウム水酸化物が生成され、シックナー内での浸出残渣の沈降不良の原因となる。このことから、洗浄液としては、好ましくは、後工程である硫化工程S7で得られる低pH(pHが1〜3程度)の貧液を繰り返して利用するとよい。
(5)中和工程
中和工程S5では、固液分離工程S4にて分離された浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離して、ニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る。
具体的に、中和工程S5では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和終液のpHが4以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように、その浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加し、ニッケル回収用の母液の元となる中和終液と、不純物元素として3価の鉄を含む中和澱物スラリーとを形成する。中和工程S5では、このようにして浸出液に対する中和処理を施すことで、高圧酸浸出法による浸出処理で用いた過剰の酸を中和してニッケル回収用の母液の元となる中和終液を生成するとともに、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等の不純物を中和澱物として除去する。この中和澱物は再度固液分離工程S4に戻し入れてもよい。
(6)浄液工程
浄液工程S6では、中和工程S5から得られた中和終液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化処理を施すことにより亜鉛硫化物を生成させ、その亜鉛硫化物を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液(脱亜鉛終液)を得る。
具体的には、例えば、加圧された容器内にニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を導入し、気相中へ硫化水素ガスを吹き込むことによって、亜鉛をニッケル及びコバルトに対して選択的に硫化し、亜鉛硫化物とニッケル回収用母液とを生成する。
(7)硫化工程
硫化工程S7では、ニッケル回収用母液である脱亜鉛終液を硫化反応始液として、その硫化反応始液に対して硫化剤としての硫化水素ガスを吹き込むことによって硫化反応を生じさせ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの混合硫化物と、ニッケル及びコバルトの濃度を低い水準で安定させたろ液(貧液)とを生成させる。
硫化工程S7における硫化処理は、硫化反応槽等を用いて行うことができ、硫化反応槽に装入した硫化反応始液に対して、その反応槽内の気相部分に硫化水素ガスを吹き込み、溶液中に硫化水素ガスを溶解させることで硫化反応を生じさせる。この硫化処理により、硫化反応始液中に含まれるニッケル及びコバルトを混合硫化物として固定化する。硫化反応の終了後、得られたニッケル及びコバルト混合硫化物を含むスラリーを固液分離装置で処理し、その混合硫化物のみを分離回収する。
なお、硫化工程S7を経て分離された水溶液成分は、シックナーの上部からオーバーフローさせる等により貧液として回収する。回収した貧液は、ニッケル等の有価金属濃度の極めて低い溶液であり、硫化されずに残留した鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む。この貧液は、最終中和工程S8に移送されて無害化処理される。あるいは、固液分離工程S4に戻して、再度ニッケルの回収に用いても良い。
(8)最終中和工程
最終中和工程S8は、上述した固液分離工程S4から移送された遊離硫酸を含む浸出残渣スラリーと、硫化工程S7から移送されたマグネシウムやアルミニウム、鉄等の不純物を含むろ液(貧液)の中和を行う。最終中和工程S8とは、湿式製錬プロセスから外部にスラリーを廃棄するために行う中和であり、湿式製錬プロセスの最後に行う中和工程のことをいう。浸出残渣スラリーやろ液は、中和剤によって所定のpH範囲に調整され、廃棄スラリー(テーリング)となる。この反応槽にて生成されたテーリングは、テーリングダム(廃棄物貯留場)に移送される。
具体的に、最終中和工程S8では、浸出残渣スラリーに含まれる遊離硫酸を完全に中和し、ろ液に含まれる不純物を水酸化物として固定し、不純物の水酸化物を含むスラリーをテーリングダムに排出する。詳細については後述する。
<2.中和処理方法>
これまで、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法のフローを一通り説明してきたが、本発明の一実施形態は、主に、(8)最終中和工程において、液質の変動による影響を受けることなく、浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させることのできる中和処理方法である。すなわち、本発明の一態様は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において生じた硫酸及び不純物を含む、浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーを中和して処理する中和処理方法であって、混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、該補正後のpH値を指標として中和処理を行う。
最終中和工程S8における中和処理方法では、例えば、上述した固液分離工程S4から移送された遊離硫酸を含む浸出残渣スラリーと、硫化工程S7から移送されたマグネシウムやアルミニウム、鉄等の不純物を含むろ液(貧液)とを混合した混合スラリーに石灰石を添加して硫酸を中和し、一部の不純物の水酸化物を生成する第1の中和工程と、第1の中和工程で発生した炭酸ガスをスラリーから除去するガス除去工程と、ガス除去工程後のスラリーに消石灰を添加して残りの不純物の水酸化物を生成する第2の中和工程とを有する。
本発明の一実施形態に係る中和処理方法では、例えば図2に示すような中和処理装置1により浸出残渣及びろ液を中和処理する。具体的に、中和処理装置1は、複数の中和処理槽(第1乃至第4の中和処理槽)2〜5が単一の系列で接続されている。
第1の中和処理槽2乃至第4の中和処理槽5は、下部に圧縮空気を槽内に供給するための空気供給口が設けられている。また、これらの中和処理槽2乃至5は、大きさや形状等は特に限定されず、湿式製錬で一般に使用される中和処理槽を使用することができる。
第1の中和処理槽2は、単一の系列のうち最初の中和処理槽である。第1の中和処理槽2は、中和処理の対象となる浸出残渣やろ液が供給され、浸出残渣やろ液を含むスラリーに石灰石を添加して、残存している遊離硫酸を中和し、鉄等の不純物の水酸化物を沈殿させる第1の中和工程を行う槽である。第1の中和処理槽2は、上部に浸出残渣やろ液を槽内に供給及び中和剤を供給する供給口が設けられている。また、第1の中和処理槽2には、圧縮空気を槽内に供給するための空気供給口が設けられている。
第2の中和処理槽3は、第1の中和処理槽2で石灰石が添加されたスラリーが送り込まれ、遊離硫酸の中和反応及び鉄等の水酸化物の生成、沈殿を完全に終わらせ、かつ中和反応により発生した炭酸ガスを除去するガス除去工程を行うための槽である。
第1の中和処理槽2と第2の中和処理槽3は、互いの上端部で例えばオーバーフロー樋やオーバーフロー管6等により接続され、第1の中和処理槽2から第2の中和処理槽3にスラリーが供給される。オーバーフロー管6には、第2の中和処理槽3に供給されるスラリーのpHを測定するための第1のpH計11が設けられている。最終中和工程S8では、第2の中和処理槽3に供給されるスラリーのpHを測定し、そのpH値から供給されるスラリー中の炭酸ガスの有無を推定することができる。また、第2の中和処理槽3には、図示しないが、第2の中和処理槽3中に収容されたスラリーのpHを測定するpH計が設けられていてもよい。最終中和工程S8では、第2の中和処理槽3で十分に第1の中和反応を進行させることができるため、石灰石を添加した後の安定状態のpHを確認することができる。これにより、第2の中和処理槽3では、石灰石を過剰に添加する必要がなく、石灰石の使用量を削減することができる。したがって、第2の中和処理槽3では、槽内のスラリーのpHを管理する。
第3の中和処理槽4は、第2の中和処理槽3で第1の中和反応及びガス除去工程が完了したスラリーが供給される。第3の中和処理槽4は、スラリーに消石灰が添加され、マグネシウム等の残りの不純物の水酸化物を生成、沈殿する第2の中和工程を行う槽である。第2の中和処理槽3と第3の中和処理槽4は、互いの上端部で例えばオーバーフロー管7等により接続され、第2の中和処理槽3から第3の中和処理槽4にスラリーが供給される。オーバーフロー管7には、第3の中和処理槽4に供給されるスラリーのpHを測定するための第2のpH計12が設けられている。最終中和工程S8では、第3の中和処理槽4に供給されるスラリーのpHを測定することで、そのpH値からスラリー中の炭酸ガスが除去されているか否かを確認することができる。
第4の中和処理槽5は、第3の中和処理槽4で残りの不純物の水酸化物が生成されたスラリーが供給される。第3の中和処理槽4と第4の中和処理槽5は、互いの上端部で例えばオーバーフロー管8等により接続され、第3の中和処理槽4から第4の中和処理槽5にスラリーが供給される。オーバーフロー管8には、第4の中和処理槽5に供給されるスラリーのpHを測定するための第3のpH計13が設けられている。第4の中和処理槽5では、スラリー中の不純物の水酸化物を沈殿させる。スラリーは、第4の中和処理槽5からテーリングダムに排出される。テーリングダムへスラリーを排出するためのポンプ9と第4の中和処理槽5との間には、テーリングダムに排出するスラリーのpHを測定する第4のpH計14が設けられている。最終中和工程S8では、排出されるスラリーのpHを測定し、環境への影響がないpHであることを確認する。例えば、pHは、9.0以下である。
このように、最終中和工程S8では、pH制御が重要な要素となる。しかしながら、従来のニッケル酸化鉱石の湿式製錬においては、pHの実測値をもとに操業を行っており、混合して処理する浸出残渣スラリーと貧液の流量の変化や液温の変化が十分に反映されていない場合があった。
そこで、本発明の一実施形態に係る中和処理方法では、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において生じた硫酸及び不純物を含む浸出残渣とろ液の混合スラリーにおいて、混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、該補正後のpH値を指標として中和処理を行うことを特徴とする。なお、本発明において、液質とは、混合スラリーの液温、硫酸イオン濃度等の各種成分濃度、混合スラリーの混合割合等から選択される1以上の性質をいう。
pH補正の一例としては、例えば、混合スラリーの液温に対するpH値の検量線を作成することにより行うことができる。混合スラリーの液温は、湿式製錬の操業状況や混合スラリーの混合比の変化等によって40〜70℃の間で変化する。したがって、このような液温の変化に対応するために、本発明の一実施形態に係る中和処理方法では、予め液温に対するpH値の検量線を作成しておき、pHを状況に応じて補正することで混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理を行うことができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬の最終中和工程S8においては、混合スラリーの硫酸イオン濃度は変化する場合がある。また、混合スラリーの混合時の固液分離工程S4からの浸出残渣(スラリー)の流量が200〜300m/hであり、硫化工程S7からのろ液(貧液)の流量が50〜100m/hの範囲で変化するため混合比率も変化することがある。したがって、これらの条件に応じて検量線を作成することが望ましい。検量線は、操業の都度、混合スラリーを採取して作成しても良いが、ある程度の操業期間で、混合スラリー中の硫酸イオン濃度や流量のデータと共に検量線データを蓄積しておけば、その時点での操業条件に近いデータを参照することにより、簡易かつ迅速にpHの補正を行うことができる。
pHの補正は、第1のpH計11〜第4のpH計14のいずれで行っても良いが、少なくとも、第3のpH計13でpH補正を行うことが好ましい。第3のpH計13は、消石灰スラリーの添加量を適正に制御するためのものである。第3のpH計13のpH値が補正されたもので、管理範囲内に制御されれば、最終的に混合スラリーがテーリングダムへと排出される際のpHが安定し、環境への影響がないpHとすることができる。pHの補正は、各第1のpH計11〜第4のpH計14の周辺の混合スラリーをサンプルとして検量線を作成することが好ましい。なお、第1のpH計11〜第3のpH計13での測定値が中和処理中のpH値に相当し、第4のpH計14での測定値が中和処理後のpH値に相当する。
このように、本発明の一実施形態に係る中和処理方法によれば、混合スラリーの液質に応じてpH値を補正することにより、実測pHをそのまま使用するよりも、液質の変動をより正確に反映することができるため浸出残渣スラリーとろ液の混合スラリーのpH制御を安定化させて中和処理を行うことができるため非常に有益である。
以下、本発明について、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1及び比較例1では、図2に示すような第1の中和処理槽乃至第4の中和処理槽
を用いて最終中和処理を行った。操業条件は以下の通りである。
[条件]
・最終中和工程にて処理される液種 : 固液分離工程S4から移送された浸出残渣スラリーと硫化工程S7から移送された貧液の混合スラリー
・最終中和工程にて処理される液量 : 200〜400m/hr
・最終中和槽内の反応温度 : 40〜70℃
(実施例1)
実施例1では、第3の中和処理槽と第4の中和処理槽を接続するオーバーフロー管から、中和処理中の混合スラリーを一部採取し、常温下で保管した後、混合スラリーの液温を変化させて対応するpH値を測定し検量線を作成した。その結果を図3に示す。得られた相関式からpHを下記式1のように補正した。
(補正pHの値)=(最終中和工程の液温―25℃)×0.00276
+(pH計の実測値) ・・・(式1)
最終中和工程のpH制御に温度補正式を導入し算出される補正後のpHの値を用いて、pHの制御を行った。なお、pH制御に関しては、中和剤として使用される石灰石および消石灰スラリーの添加流量をpHによる自動制御としている。ここで、温度補正導入の効果については、操業上の設定pHは操業条件により都度変更するため、設定pHと調整後(中和処理後)pHの差に着目し、その差のばらつきにて評価した。その結果を図4に示す。
中和処理後の液サンプルを採取し、液温を25℃としたときのサンプルの実測pHのばらつきσは0.11であり、分散幅が狭く、設定pHとの差が−0.1から0.1の範囲内に頻度のピークが大きく現れた。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の条件で、pH補正を導入せず従来のpH計が持つ温度補正機能のみを用いてpH制御を行った。結果を図5に示す。実施例と同様に中和処理後の液サンプルを採取し液温を25℃としたときのpHのばらつきσは0.20となった。したがって、pH補正導入後の結果と比較してpHのばらつきが大きく頻度のピークが低いことから、実施例1の結果の方が安定的にpHを制御できていることが分かった。
以上の結果より、HPALプロセスの最終中和工程で処理される高塩濃度スラリーに対して、実測より求めた相関式を用いた新規温度補正を導入することでpHをより安定的に制御することができ、目的とする重金属濃度の調整が容易に行えることが分かった。
また、上記補正を導入したpH制御を実施することで、中和剤として用いられる石灰石や消石灰の消費量を適正化させることができ、工業的な観点からも有効な手法であると言える。
なお、上記のように本発明の一実施形態および各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、中和処理方法の構成も本発明の一実施形態および各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 中和処理装置、2 第1の中和処理槽、3 第2の中和処理槽、4 第3の中和処理槽、5 第4の中和処理槽、6〜8 オーバーフロー管、9 ポンプ、11 第1のpH計、12 第2のpH計、13 第3のpH計、14 第4のpH計

Claims (4)

  1. ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬において発生した、硫酸を含む浸出残渣スラリーと、ニッケル及びコバルトの混合硫化物を生成させて固液分離した後の不純物を含むろ液の、混合スラリーを、中和して外部に廃棄する中和処理方法であって、
    前記中和処理中または前記中和処理後の混合スラリーの液質に応じて実測pH値を補正し、該補正後のpH値を指標として中和処理を行うことを特徴とする中和処理方法。
  2. 前記実測pH値の補正は、少なくとも前記中和処理中または前記中和処理後の混合スラリーの液温に対するpH値の検量線を作成することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の中和処理方法。
  3. 前記中和処理中または前記中和処理後の混合スラリーの液温は40〜70℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中和処理方法。
  4. 前記混合スラリーの混合時の前記浸出残渣スラリーの流量が200〜300m/hであり、前記ろ液の流量が50〜100m/hであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の中和処理方法。
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