JP2019023171A - アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物及び該化合物を含む塗料用組成物 - Google Patents

アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物及び該化合物を含む塗料用組成物 Download PDF

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博信 大野
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貴之 辻井
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Abstract

【課題】本発明は、1分子中に2個のアニオン性親水基を有する、防汚性および/または防曇性に優れた(メタ)アクリレート化合物、並びに塗料用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、式(I):
【化1】
Figure 2019023171

で示されるアニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物、および該化合物の製造方法、並びに該化合物を含む組成物、該組成物を含んで成る塗膜、該塗膜が形成された積層体、および該積層体の製造法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物、及び該化合物を含む塗料用組成物に関する。更に詳しくは、1分子中に2個のアニオン性親水基を有する、親水性および、防汚性および/または防曇性に優れたアニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物、並びに該化合物の製造方法、該化合物を含む組成物、該組成物を含んで成る塗膜、該塗膜を含む積層体、および該積層体の製造法に関する。
これまでに、いくつかの親水性塗料が知られている。例えば、スルホン酸基、カルボキシル基およびリン酸基から選ばれる少なくとも1種のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物とアクリレート樹脂等とから形成される親水性塗料が報告されており、該親水性塗料が防汚性、防曇性などを示すことも報告されている(特許文献1および2)。
しかしながら、1分子中に2個のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物については防汚性、防曇性が知られていない。
国際公開第2007/064003号公報 特開2014−198754号
本発明者が鋭意研究した結果、1分子中に2個のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物が親水性および、防汚性および/または防曇性を有することを見出した。よって、本発明は、式(I)で示される新規なアニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物、および該化合物の製造方法を提供する。また、本発明は、該化合物を含む組成物、該組成物を含んで成る塗膜、該塗膜が形成された積層体、および該積層体の製造法を提供する。
本発明は、以下の態様を提供するが、これらに限定されるものではない。
(化合物)
[1] 式(I):
Figure 2019023171
[式中、Rは水素またはメチル基を表し;Rはアニオン性親水基を表し;Rは直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基を表し;Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し;そして、Rは芳香族環状基または脂肪族環状基を表す。]
で示される化合物。
[2] 該アニオン性親水基が、CO 、またはSO から選ばれる基である、項[1]記載の化合物。
[3] 該アニオン性親水基が、CO2 である、項[1]記載の化合物。
[4] Rが、メチル基である、項[1]から[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5] Rが、エチレン基である、項[1]から[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6] Rが、式(II):
Figure 2019023171
で示される、項[1]から[5]のいずれか1項に記載の化合物。
[7] 少なくとも1つのXがアルカリ金属イオンである、項[1]から[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[8] 式:
Figure 2019023171
[式中、Rは水素またはメチル基を表し;そして、Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し、少なくとも1つはアルカリ金属イオンである]
で示される、項[1]から[7]のいずれか1つに記載の化合物。
(組成物)
[9] (A)項[1]から[8]のいずれか1項に記載の化合物、および
(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する1種以上の化合物、
を含む組成物。
[10] 該化合物(B)に対して、該化合物(A)を重量比で0.01wt%〜30wt%で含む、項[9]に記載の組成物。
(塗膜、積層体等)
[11] 基材上で硬化された項[9]から[10]のいずれか1項に記載の組成物を含んでなる塗膜。
[12] 項[11]に記載の塗膜および基材層からなり、該塗膜が少なくとも基材層の片面に形成されることを特徴とする、積層体。
[13] 水回り物品である、項[12]記載の積層体。
(用途)
[14] 項[1]から[8]のいずれか1項に記載の化合物または項[9]から[10]のいずれか1項に記載の組成物を含む、防汚剤。
[15] 項[1]から[8]のいずれか1項に記載の化合物または項[9]から[10]のいずれか1項に記載の組成物を含む、防曇剤。
(積層体の製造方法)
[16] (1)項[9]から[10]のいずれか1項に記載の組成物を基材に塗布する工程、および
(2)該組成物に光を照射するかもしくは熱を与えるか、またはその両方を実施する工程、を含むことを特徴とする、積層体の製造方法。
[17] 項[16]の工程(2)において、光を照射するかもしくは熱を与えるか、またはその両方を実施することにより、塗膜を形成させることを特徴とする、項[16]記載の製造方法。
(化合物の製造方法)
[18] 項[1]に記載の式(I):
Figure 2019023171
[式中、R、R、R、RおよびXは、項[1]に定義する通りである]
で示される化合物の製造方法であって、
式(IV):
Figure 2019023171
[式中、Rは前記の通りであり、そしてR はアニオン性親水基の部分を表す]
で示されるハライド化合物を、式(V):
Figure 2019023171
[式中、RおよびRは、前記の通りである]
で示される(メタ)アクリレート化合物、および脱酸剤と共に、適宜、重合禁止剤の存在下で反応させる。次いで、X供給源となるアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩から選ばれるX供給源の化合物と反応させて、Xがアルカリ金属イオンである式(I)で示される化合物を得ることを含む、該製造方法。
本発明の1分子中に2個のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物は、親水性であり、また、本発明の化合物を含む組成物、または該組成物を含んで成る塗膜は、防汚および/または防曇のために使用することができる。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
(定義)
以下に、本明細書および特許請求の範囲中で使用する用語の定義を示す。特に断らなければ、本明細書中の基または用語について示す最初の定義を、個別にまたは別の基の一部として本明細書中の基または用語に適用する。
(本発明の化合物)
本発明の1態様として、本発明は、
式(I):
Figure 2019023171
[式中、Rは水素またはメチル基を表し;Rはアニオン性親水基を表し;Rは直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基を表し;Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し;そして、Rは芳香族環状基または脂肪族環状基を表す。]
で示される化合物(以下、「本発明化合物」と呼称する)を提供する。
式(I)における、R基は、水素およびメチル基を挙げられる。R基が水素であるときは、アクリロイル部分を含み、R基がメチル基であるときは、メタアクリロイル部分を含むことを意味する。R基はメチル基であることが好ましい。
式(I)における、R基としての用語「アニオン性親水基」とは、水に溶解したときに負電荷を帯びる、水分子と水素結合等による弱い結合を形成する原子団を意味する。該アニオン性親水基の存在により、水道水中のシリカやNa、Kなど水垢を構成する成分が親水性塗膜の表面に固着することを防止することができ、また付着した場合でも強固に固着しないので容易に取り除くことができ、塗膜の親水性を長期に保持することができる。アニオン性親水基の具体例としては、CO 、またはSO から選ばれる少なくとも1種の基を挙げられるが、これらに限定されるものではない。1実施態様において、アニオン性親水基はCO が好ましい。
式(I)における、X基は、水素、およびアルカリ金属イオンを挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記R基としてのアニオン性親水基の親水性の保持の容易さの観点から、対カチオンであることが好ましく、例えばアルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)を挙げられる。
X基におけるカチオンは、一般的によく知られるカチオン交換法(例えば、カチオン交換樹脂の使用)により、所望するカチオンに変換することができる。
上記式(I)において、R基は芳香族環状基または脂肪族環状基であり、芳香族炭素環基が好ましい。
本明細書で使用する用語「芳香族環状基」とは、芳香族炭素環基、または芳香族ヘテロ環基から選ばれる少なくとも1種以上の基を含む。R基が芳香族環状基である場合、該R基は芳香族炭素環基が好ましい。
芳香族炭素環基の例としては、6から14員の単環式、二環式または三環式の芳香族炭素環基を意味する。具体例としては、フェニル、ナフチル、フェナンスリル、アントラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、フェニルがより好ましい。
芳香族ヘテロ環基とは、環内に酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より独立して選ばれる同一もしくは異なる1〜3個の異項原子を含む、芳香族ヘテロ環基を意味する。例えば5〜8員の芳香族ヘテロ環基が挙げられ、5もしくは6員環が好ましく、6員環がより好ましい。具体例としては、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ピリジニル基がより好ましい。
本明細書で使用する用語「脂肪族環状基」とは、脂肪族炭素環基、または脂肪族ヘテロ環基から選ばれる少なくとも1種以上の基を含む。R基が脂肪族環状基である場合、該R基は脂肪族炭素環基が好ましい。
脂肪族炭素環基とは、飽和または不飽和の非芳香族の炭素環基を意味する。例えば4〜9員の単環式または多環式(例えば、二環式)のシクロアルカン基が挙げられ、具体例としてはシクロプロピル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪族ヘテロ環基とは、環内に酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より独立して選ばれる同一もしくは異なる1〜3個の異項原子を含む、飽和または不飽和の脂肪族ヘテロ環基を意味する。例えば4〜9員の単環式または多環式(例えば、二環式)の飽和または不飽和の脂肪族ヘテロ環が挙げられ、具体例としてはアゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモモルホリニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
該芳香族環状基または該脂肪族環状基は、1個以上(例えば、1〜3個、1〜2個、または1個)の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、前記の脂肪族炭素環基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族炭素環基、芳香族ヘテロ環基、もしくはエーテル基、エステル基、アニオン性親水基などが挙げられるが、これらに限定されない。
1実施態様において、R基が芳香族環状基である場合、該R基は、例えば式(II):
Figure 2019023171
で示され得るが、これに限定されない。例えば、1実施態様において、該R基は、式:
Figure 2019023171
で示され得る。
1実施態様において、R基が脂肪族環状基である場合、該R基は、例えば式(III):
Figure 2019023171
で示され得るが、これに限定されない。例えば、1実施態様において、該R基は、式:
Figure 2019023171
で示され得る。
式(I)における、R基は直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基であり、例えば、炭素数が2から6個のアルキル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数が2〜4個のアルキル基が好ましく、炭素数が2または3個のアルキル基が特に好ましい。具体的には、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチルおよびヘキシルなどを挙げられる。
1実施態様において、式(I)で示される化合物の具体例としては、式:
Figure 2019023171
[式中、Rは水素またはメチル基を表し;そして、Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し、少なくとも1つはアルカリ金属イオンである]
(本発明の化合物の製造方法)
本発明の1分子中に2個のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物は、各種原料化合物を出発として、有機合成反応に従って製造する。製造スキームの例を以下に示す。
Figure 2019023171
まず、式:
Figure 2019023171
で示される、(メタ)アクリレート化合物(式中、Rが水素原子である場合はアクリロイル化合物であり、Rが水素原子である場合はメタアクリロイル化合物である)(Rは直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である)を商業的に入手するか、あるいは例えば(メタ)アクリル酸を出発原料として用いて酸化アルキレン(別名、アルキレンオキシド)と反応させることにより製造することができる。該酸化アルキレンとしては例えば酸化エチレン(別名、エチレンオキシド)、酸化プロピレン(別名、プロピレンオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。
次に、別途、式:
Figure 2019023171
で示される、アニオン性親水基R(例えば、カルボン酸基)を含有する芳香族環状カルボン酸ハライドまたは脂肪族環状カルボン酸ハライド(ここで、ハロゲン原子は、例えば塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる)を商業的に入手するか、あるいはアニオン性親水基部分R’含有の芳香族環状カルボン酸、または脂肪族環状カルボン酸を出発原料として用いてハロゲン化剤と反応させることにより製造することができる。該ハロゲン化剤としては有機合成的にカルボン酸からカルボン酸ハロゲン化合物を製造するのに通常使用される剤が挙げられ、例えば塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルホリル、三塩化リン、及び五塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されない
上記で調製した(メタ)アクリレート化合物と、アニオン性親水基Rを含有するハライド化合物とを反応させることで、(メタ)アクリレート無水物を製造することが可能である。より具体的には、まず、溶媒へ溶解させたハライド化合物溶液中へ、(メタ)アクリレート化合物と脱酸剤を溶解させた溶液を滴下し、0.5〜8時間攪拌する。反応温度は−50〜20℃で行われるが、反応選択性の観点から、より好ましくは−10〜10℃で行うとよい。ハライド化合物と(メタ)アクリレート化合物との反応比率としては、(メタ)アクリレート化合物1モルに対してハライド化合物を1モル以上用いて反応させる。反応における溶質の濃度は1〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%の範囲で行うとよい。反応終了後、析出した塩酸塩を濾別し、トルエン等の不純物を溶解しうる溶媒で洗浄することで(メタ)アクリレート無水物を得ることができる。該無水物はさらに真空乾燥して次のアルカリ金属塩化反応に用いるとよい。この場合、乾燥温度は30〜120℃、生成物の安定性の観点から、より好ましくは40〜80℃で行うとよい。
(メタ)アクリレート無水物の製造に用いられる溶媒としては、特に限定されないが、具体的にはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、モノエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、ガンマブチロラクトンなどのエステル系溶媒等が挙げられる。中でも溶解性、安定性の点からトルエン、酢酸エチルが好ましい。これら溶媒は単独で用いても構わないし、任意の複数の溶媒を混合して使用してもよい。
(メタ)アクリレート無水物の製造に用いられる脱酸剤としては、特に限定されないが、具体的には、ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミン類、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。中でも反応選択性の点からピリジンが好ましい。これら脱酸剤の使用量はハライド化合物に対して1モル等量以上である。上限は特に制限はないものの、経済的な観点から50モル等量以下、好ましくは10モル等量以下の量が使用される。
上記で調製した(メタ)アクリレート無水物と水を反応させることで、(メタ)アクリレートが加水分解された開環体(以下、(メタ)アクリレート加水開環体と呼称する)を製造することが可能である。より具体的には(メタ)アクリレート無水物に水を加え0.5〜5時間攪拌する。反応温度は20℃〜60℃で行われるが、より好ましくは40℃〜50℃で行うのがよい。反応における溶質の濃度は5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%で行うとよい。該(メタ)アクリレート加水開環体はさらに乾燥してアルカリ金属化反応に用いられる。この場合、乾燥温度は10〜100℃、生成物の安定性の観点から、より好ましくは30〜60℃で行うとよい。
次にXがアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンである式(I)のアニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物を所望する場合にはX供給源としてのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等と一緒に、適宜重合禁止剤の存在下で反応させることにより式(I)で示される化合物を製造することができる。
X供給源としては、例えば無機塩基(例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩))、を含むが、これらに限定されない。典型的な例として、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびそれらの水溶液を挙げられる。
上記反応は、アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物同士の重合反応を防止するため、適宜、重合禁止剤を加えてもよい。該重合禁止剤としては、重合性モノマーの重合反応を抑制するのに一般的に使用される化合物が挙げられ、例えばハイドロキノン化合物(例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、4−メトキシフェノール)が挙げられるが、これらに限定されない。
X供給源の化合物の量比は、X供給源(アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等)が、アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物に含まれるR基の個数当たりモル比で例えば、約0.5〜約2.0当量、好ましくは約1.0当量で使用する。
更に、重合禁止剤としての化合物は、アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物に対してモル比で、例えば触媒量〜化学量論量、典型的には約0.1〜約10%で使用してもよい。
上記アニオン性親水基含有(メタ)アクリレート化合物の反応における溶媒としては反応に影響を与えないものであればよく、適当な溶媒(例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、水またはそれらの混合溶媒等)中、実施することができるが、より好ましくは水を用いてもよい。
反応温度は、反応が好適に進行する温度であれば特に制限されないが、例えば約−25℃〜約100℃が挙げられ、典型的には−10℃〜25℃が挙げられる。反応時間は、他の反応条件(例えば、反応基質、反応溶媒、反応温度)により変わり得て、例えば数分間から数日間が挙げられ、典型的には数時間から終夜が挙げられる。
(本発明の組成物)
本発明の組成物は、
(A)前記式(I)で示される化合物(以下、適宜化合物(A)と称する)、および
(B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する1種以上の化合物(以下、適宜化合物(B)と称する)
を含む。
また、前記式(I)で示される化合物(A)中のアクリロイル基またはメタアクリロイル基と重合反応して塗膜成分を形成するための造膜成分として化合物(B)が含まれる。
本発明の組成物においては、親水性成分として化合物(A)が含まれ、該式(I)で示される化合物は単一化合物であってもよいし、または2種類以上の化合物の組み合わせであってもよい。
本願明細書中、化合物(B)は、化合物(A)中のアクリロイル基またはメタアクリロイル基と重合して塗膜成分を形成するために、少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する1種以上の化合物であることを要する。該エチレン性不飽和基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基、またはビニル基から選ばれる基であり、アクリロイル基、またはメタアクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
化合物(B)の例としては例えば、分子内にエチレン性不飽和基を含む(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)、そのウレタン変性物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)、およびそのエポキシ変性物であるエポキシ(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)から選ばれる1種以上の化合物(例えば、2種、3種、4種)を挙げられるが、これらに限定されない。化合物(B)は、商業的に入手することができるか、あるいは一般的に公知の製造方法を用いて製造することができる。
化合物(B)の典型的な例としては、多官能芳香族ウレタンアクリレートおよび多官能脂肪族アクリレートが挙げられ、ここで、「多官能」とは、例えばエトキシ化o−フェニルフェノール、メトキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、イソステアリル、フルオレンビスフェニル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリシクロデカンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、エトキシル化グリセリン、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールA、プロポキシ化ビスフェノールA、エトキシ化イソシアヌル酸、ε−カプロラクトン変性イソシアヌレートから選ばれる1つ以上の官能基を含有することを意味する。化合物(B)の具体例としては、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、オリゴウレタンアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、エポキシ化グリセリントリアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートなどを挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物を2種以上(例えば、2種、3種、4種)組み合わせて使用してもよい。
これらは、NSC−7350(日本精化社製)、NSC−7355(日本精化社製)、EBECRYL220(ダイセル・オルネクス社製)、GX−8801A(第一工業製薬社製)、A−GLY−9E(新中村化学工業社製)、A9300−1CL(新中村工業社製)等として入手し、使用することができる。
本発明の組成物は、化合物(B)に対して、化合物(A)を重量比で、通常0.01wt%〜30wt%の範囲内で含み、好ましくは0.05wt%〜10wt%の範囲内、より好ましくは0.5wt%〜5wt%の範囲内で含む。
本発明の組成物は、前記化合物(A)および化合物(B)に加えて、化合物(B)以外の分子内に1つのエチレン性不飽和基を含む重合性化合物として化合物(C)を更に含んでいてもよい。該化合物(C)の選択およびその添加量は、得られる重合体に要求される特性に応じて適宜決定することができる。該化合物(C)としては例えば、揮発性を有する化合物が挙げられる。該揮発性を有する化合物とは、WHOによる揮発性有機化合物の分類にある沸点範囲が260℃以下、又は25℃における飽和蒸気圧が10−2kPa以上であるような化合物を指す。
本発明の組成物は、更に必要に応じて、本発明の組成物の親水性、防汚性、または防曇性を損なわない範囲で、任意に酸化防止剤、レべリング剤、色素、結合剤などの、一般的によく知られる樹脂組成物用の添加剤を含んでいてもよい。
(塗膜および積層体)
本発明の組成物は、光を照射するかもしくは熱(例えば、熱風)を与えるか、またはその両方を実施することによって、該組成物中に含まれている、化合物(A)成分と化合物(B)成分とを重合反応させることにより、基材の表面に塗膜成分を形成することができる。
本発明の組成物を重合させるのに、本発明の組成物は、本発明の組成物の親水性、防汚性、または防曇性を損なわない範囲で、任意に重合開始剤、ラジカル発生剤、触媒、重合促進剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、重合禁止剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS))などの一般的によく知られる重合反応用の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の組成物を、放射線、例えば紫外線で共重合させる場合、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、または光アニオン重合開始剤等の公知の光重合開始剤を用いることができ、光ラジカル重合剤が好ましい。
光ラジカル重合剤の具体例としては、イルガキュアー651(BASF社製)、イルガキュアー184(同社製)、イルガキュアー500(同社製)、イルガキュアー2959(同社製)、イルガキュアー127(同社製)、イルガキュアー907(同社製)、イルガキュアー369(同社製)、イルガキュアー1300(同社製)、イルガキュアー819(同社製)、イルガキュアー1800(同社製)、イルガキュアーOXE01(同社製)、イルガキュアーOXE02(同社製)、ダロキュア1173(同社製)、ダロキュアTPO(同社製)、ダロキュア4265(同社製)などを挙げられるが、これらに限定されない。
該光ラジカル重合剤の使用量は、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)との合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の範囲内であり、好ましくは0.5〜10重量部の範囲内に、より好ましくは1〜5重量部の範囲内である。
本発明の組成物は、基材への塗れ性向上および塗料の粘度を調整するために、必要に応じて溶媒を加えてもよい。具体的には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、グリセリン)、ケトン(例えば、アセトン)、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))、および水等を挙げられ、これらの溶媒の2種以上の混合溶媒を使用してもよい。
本発明の重合反応は、大気雰囲気で行ってもよいが、反応時間および反応効率の観点等から不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)雰囲気下で行ってよい。
光照射により重合反応を行う場合には、反応基質、重合手段等の反応条件に応じて、反応温度は通常、10〜150℃、好ましくは30〜80℃である。また、反応時間は通常、1秒〜30分(分または時間)、好ましくは1秒〜5分(分または時間)である。
熱により重合反応を行う場合には、反応基質、重合手段等の反応条件に応じて、反応温度は通常、室温〜300℃以下の温度で、好ましくは30〜80℃である。また、反応時間は通常、1〜180分(分または時間)、好ましくは2〜120(分または時間)である。また、反応系中に、ラジカル発生剤(例えば、有機過酸化物)を加えてもよい。
重合反応のために、光照射および加熱の両方の操作を行う場合、一方の操作を行った後に、他方の操作を行うことができ、いずれの操作を先に行ってもよい。
放射線としては、400〜800nmの可視光、400nm以下の紫外線及び電子線を挙げられるが、簡便、短時間に行うことができる紫外線が好ましい。紫外線発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、紫外線レーザー、太陽光等の紫外線が挙げられるが、これらに限定されない。照射は、大気雰囲気で行ってもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってよい。
照射積算光量は、例えば通常100〜5000mJであり、例えば100mJであり、更に500mJを照射してもよい。
本発明の組成物を基材に塗布する方法としては、一般的に知られる塗布の方法が挙げられ、具体的にはハケ塗り、各種コーティング法(例えば、スプレーコート、ディップコート、スピンコート)などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の厚さは、通常0.1〜300μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内となるように、基剤の表面に塗布する。
本明細書における用語「基剤」とは、例えば無機材料(例えば、ガラス、シリカ、金属、金属酸化物等)、有機材料(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、またはこれらのフィルム、あるいは紙、パルプ)、およびこれらの無機材料および有機材料の組み合わせが挙げられる。
本発明の積層体は、
(1)本発明の組成物を基材に塗布する工程、
(2)該組成物に光を照射するかもしくは熱を与えるかまたはその両方を行って塗膜を形成する工程、
を含む方法によって、塗膜および基材層からなり、該塗膜が少なくとも基材層の片面に形成された、積層体を製造することができる。
本明細書における用語「積層体」とは、ガラス、表示材料表面(例えば、ディスプレイ、テレビのフィルム)、または水回り物品(例えば、浴室壁材、浴室床材、洗面鏡、洗面台、キッチンカウンター、便器、便座)等を挙げられるが、これらに限定されない。
(用途)
本発明の化合物、または該化合物を含む組成物は、防汚剤として使用することができる。また、本発明の化合物、または該化合物を含む組成物は、防曇剤として使用することができる。
また、本発明の組成物を含んで成る塗膜は、防汚性および/または防曇性を示すことから、該塗膜が形成された積層フィルムを防汚フィルム、防曇フィルム等として各種積層体などの物品に適用することができる。
本発明の組成物を含んで成る塗膜は、水接触角が70°以下を有し、好ましくは40°以下を有する。よって、該塗膜は良好な親水性を示す。
以下に、化合物、組成物等の製造例、および試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。化合物の同定は、各種分光学的分析の解析により行なった。具体的には、NMRにおいて水素核磁気共鳴(H−NMR)では共鳴周波数が300MHzのものを用いた。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重の二重線、qは四重線、quinは五重線、septは七重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brtは幅広い三重線、及びJは結合定数を意味する。
本発明の化合物の製造例を示す。
(実施例1)
4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4−META)の合成
窒素置換した300mL四口フラスコへ無水トリメリット酸クロリド42.0g(199.5mmol)、トルエン170.0g、およびピリジン15.8g(199.7mmol)を加え溶解させた後、5〜15℃へ冷却した。次に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.0g(199.8mmol)を、15℃を超えないようにゆっくり滴下した。4時間攪拌後、生成したピリジン塩酸塩を濾別し、濾液へ、ヘプタン60gを加えた。75℃に昇温させて溶解後、5℃へ冷却し、析出した結晶を濾別した。得られた結晶を酢酸エチル78.0gで再結晶を行い、50℃で12時間真空乾燥して白色粉末を得た(収率71%)。
H NMR(300MHz、CDCl3)8.65−8.69(ds, 1H)、8.51−8.62(dd, 1H)、8.09−8.22(d, 1H)、6.09−6.15(s, 1H)、5.57−5.64(s, 1H)、4.43−4.70(td, 4H)、1.89−2.01(s, 3H)
(実施例2)
4−メタクリロキシエチルトリメリット酸1ナトリウム塩(4−MET 1Na塩)(本発明化合物1)の製造
4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物(4−META) 5.1g(16.4mmol)に水39.8gを加え、50℃にて1時間攪拌を行った。反応終了後分液した下層4.52gを抜き取り、40℃で送風乾燥を12時間行い、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4−MET)3.91gを得た。次に得られた4−MET0.5g(1.55mmоl)に水5.04gを加えて懸濁させ、さらに水酸化ナトリウム62.0mg(1.55mmol)を加え溶解させて、攪拌した。その後、シリンジフィルターでろ過を行い、親水性材料である4−MET 1Na塩 9.1%水溶液4.08gを得た。
H NMR(300MHz、DO)8.07−8.20(ds, 1H)、7.86−7.98(dd, 1H)、7.48−7.53(d, 1H)、5.92(s, 1H)、5.50(s, 1H)、4.36−4.50(td, 4H)、1.56−1.74(s, 3H)
(実施例3)
4−メタクリロキシエチルトリメリット酸2ナトリウム塩(4−MET 2Na塩)(本発明化合物2)の製造
4−メタクリロキシエチルトリメリット酸(4−MET)0.092g(0.29mmоl)に水0.92gを加え懸濁させ、さらに水酸化ナトリウム23.2mg(0.58mmol)を加え溶解させて、攪拌した。その後、シリンジフィルターでろ過を行い、親水性材料である4−MET 2Na塩 9.1%水溶液0.85gを得た。
H NMR(300MHz、DO)7.99−8.00(ds, 1H)、7.85−7.93(dd, 1H)、7.36−7.40(d, 1H)、5.96−6.00(s, 1H)、5.53−5.54(s, 1H)、4.39−4.51(td, 4H)、1.72−1.77(s, 3H)
(実施例4)
4−メタクロイルオキシエチル−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物(4−MECHA)の合成
窒素置換した200mL四口フラスコへ1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物−4−クロリド 18.3g(84.5mmol)、トルエン35.8gを加え溶解させ、A液とした。次に別の容器へ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1 1.0g(84.5mmol)、トルエン36.6g、ピリジン6.7g(84.7mmol)を加え溶解させ、B液とした。次にA液を0〜5℃へ冷却し、10℃を超えないようにB液をA液へゆっくり滴下した。4時間攪拌後、生成したピリジン塩酸塩を濾別し、濾液へメトキノン3.9mgを加えた。減圧下45℃で濃縮を行い、引き続き、45℃で12時間真空乾燥して微黄色液体を得た(収率87%)。
H NMR(300MHz、CDCl3)6.11−6.12(s, 1H)、5.59−5.62(s, 1H)、4.32−4.37(s, 4H)、3.11−3.40(m, 2H)、2.01−2.52(m, 5H)1.89−1.94(s, 3H)、1.58−1.68(m, 2H)
(実施例5)
4−メタクロイルオキシエチル−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸1ナトリウム塩(4−MECH 1Na塩)(本発明化合物3)の製造
4−メタクロイルオキシエチル−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物(4−MECHA) 10.6g(34.2mmol)に水30.9gを加え、50℃にて1時間攪拌を行った。反応終了後分液した下層8.52gを抜き取り、40℃で送風乾燥を12時間行い、4−メタクロイルオキシエチル−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸(4−MECH) 8.29gを得た。次に得られた4−MECH 0.47g(1.42mmоl)に水4.66gを加え懸濁させ、さらに水酸化ナトリウム56.8mg(1.42mmol)を加えて溶解させ、攪拌した。その後、シリンジフィルターでろ過を行い、親水性材料である4−MECH 1Na塩 9.1%水溶液4.25gを得た。
H NMR(300MHz、DO)5.96(s, 1H)、5.57(s, 1H)、4.27(s, 4H)、2.90−2.95(m, 1H)、2.29−2.42(m, 2H)、1.96−2.16(m, 1H)、1.70−1.80(s, 3H)、1.17−1.81(m, 5H)
(実施例6)
4−メタクロイルオキシエチル−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸2ナトリウム塩(4−MECH 2Na塩)(本発明化合物4)の製造
4−MECH0.092g(0.28mmоl)に水0.92gを加え懸濁させ、さらに水酸化ナトリウム22.4mg(0.56mmol)を加え溶解させて、攪拌した。その後、シリンジフィルターでろ過を行い親水性材料である4−MECH 2Na塩 9.1%水溶液0.70gを得た。
H NMR(300MHz、DO)5.96(s, 1H)、5.57(s, 1H)、4.21−4.30(s, 4H)、2.79−2.85(m, 1H)、2.22−2.31(m, 2H)、1.93−2.14(m, 1H)、1.68−1.81(s, 3H)、1.13−1.99(m, 5H)
次に、本発明の組成物の製造例を示す。
(実施例7)
4−MET 1Na塩を含む組成物(本発明組成物1)の製造
アクリロイル基を有する化合物NSC−7350(日本精化社製)2.1gに親水成分(A)として4−MET 1Na塩(本発明化合物1)9.1%水溶液0.55gを加え、溶媒として1−メトキシ−2−プロパノール2.80g、光重合開始剤としてDAROCURE1173(BASF社製)0.064gを加え、混合溶解して、本発明の組成物を調製した。
(実施例8)
4−MET 2Na塩を含む組成物(本発明組成物2)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩を4−MET 2Na塩に代えて、本発明の組成物を調整した。
(実施例9)
4−MECH 1Na塩を含む組成物(本発明組成物3)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩を4−MECH 1Na塩に代えて、本発明の組成物を調整した。
(実施例10)
4−MECH 2Na塩を含む組成物(本発明組成物4)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩を4−MECH 2Na塩に代えて、本発明の組成物を調整した。
(比較例1)
4−METAを含む組成物(比較組成物1)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩9.1%水溶液 0.55gを4−META 0.05gに代えて、比較例1の組成物を調製した。
(比較例2)
4−METを含む組成物(比較組成物2)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩9.1%水溶液 0.55gを4−MET 0.05gに代えて、比較例2の組成物を調製した。
(比較例3)
4−MECHAを含む組成物(比較組成物3)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩9.1%水溶液 0.55gを4−MECHAに代えて、比較例3の組成物を調製した。
(比較例4)
4−MECHを含む組成物(比較組成物4)の製造
実施例7に記載の方法に従って、4−MET 1Na塩9.1%水溶液 0.55gを4−MECHに代えて、比較例4の組成物を調製した。
次に、膜形成の方法を示す。
(実施例11)
上記実施例7から10、および比較例1から4で得られた塗料用組成物は、厚さ188μmの易接着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム表面にバーコーター#8で塗布した。塗布したPETフィルムを温風オーブンで温度80℃、乾燥時間2分間静置後、積算光量500mJの紫外線を照射して親水性塗膜を形成させた。
更に、試験例を示す。
(試験例1)
防汚性試験
まず、防汚性試験の結果を示す。
実施例7〜10及び比較例1〜4で製造した塗膜の防汚性試験を行った。具体的には、油性マーカー「マッキー極細」(ZEBRA社製)を用いて印をつけた後、蒸留水を表面に垂らして拭き取ることができるものを○、できないものを×とした。
本発明の塗膜と比較例の塗膜とを比較した測定結果を、下記表1に示す。
表1.防汚性試験結果
Figure 2019023171
表1(続き)
Figure 2019023171
本発明組成物1〜2の塗膜は、本発明組成物3〜4及び比較組成物1〜4の塗膜と比較して優れた防汚性を示した。
次に、親水性試験及び防曇性試験の結果を示す。
(試験例2)
親水性試験
親水性試験として、水接触角の測定を行った。
具体的には、協和界面科学株式会社製の水接触角装置DMs−401を使用し、室温1μLの水滴を滴下後20秒後の静的接触角をθ/2法で測定した。測定は、親水性塗膜を形成した後に3箇所の測定を行い、その平均を接触角の値とした。
(試験例3)
防曇性試験
防曇性試験は50℃の蒸気に、親水性塗膜を形成した表面を垂直にあて、曇るか曇らないかを目視にて観察した。5秒以上曇らなかった場合を○、曇りを生じた場合を×とした。
本発明の塗膜と比較例の塗膜とを比較した測定結果を、下記表2に示す。
表2.親水性試験および防曇性試験結果
Figure 2019023171
表2(続き)
Figure 2019023171
本発明組成物1〜2の塗膜は、いずれの場合でも20°以下の水接触角を示した。
本発明組成物1〜2由来の塗膜は、本発明組成物3〜4及び比較組成物1〜4由来の塗膜と比較して優れた親水性および防曇性を示した。
本発明により、親水性、防汚性、または防曇性に優れた、1分子中に2個のアニオン性親水基を有する(メタ)アクリレート化合物を得ることができる。また、これら機能を有する該(メタ)アクリレート化合物から製造される塗膜は、ガラス、ディスプレイなどの表示材料表面、または水回り物品についての積層フィルム等として有用であり、工業的に利用価値が高い。

Claims (18)

  1. 式(I):
    Figure 2019023171
    [式中、Rは水素またはメチル基を表し;Rはアニオン性親水基を表し;R3は直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基を表し;Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し;そして、Rは芳香族環状基または脂肪族環状基を表す。]
    で示される化合物。
  2. 該アニオン性親水基が、CO 、またはSO から選ばれる少なくとも1種の基である、請求項1記載の化合物。
  3. 該アニオン性親水基が、CO2 である、請求項1記載の化合物。
  4. が、メチル基である、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. が、エチレン基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. Rが、式(II):
    Figure 2019023171
    で示される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 少なくとも1つのXがアルカリ金属イオンである、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. 式:
    Figure 2019023171
    [式中、Rは水素またはメチル基を表し;そして、Xは水素またはアルカリ金属イオンを表し、少なくとも1つはアルカリ金属イオンである]
    で示される、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. (A)請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物、および
    (B)少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する1種以上の化合物、
    を含む組成物。
  10. 該化合物(B)に対して、該化合物(A)を重量比で0.01wt%〜30wt%で含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 基材上で硬化された請求項9から10のいずれか1項に記載の組成物を含んでなる塗膜。
  12. 請求項11に記載の塗膜および基材層からなり、該塗膜が少なくとも基材層の片面に形成されることを特徴とする、積層体。
  13. 水回り物品である、請求項12記載の積層体。
  14. 請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物または請求項9から10のいずれか1項に記載の組成物を含む、防汚剤。
  15. 請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物または請求項9から10のいずれか1項に記載の組成物を含む、防曇剤。
  16. (1)請求項9から10のいずれか1項に記載の組成物を基材に塗布する工程、および
    (2)該組成物に光を照射するかもしくは熱を与えるか、またはその両方を実施する工程、を含むことを特徴とする、積層体の製造方法。
  17. 請求項16の工程(2)において、光を照射するかもしくは熱を与えるか、またはその両方を実施することにより、塗膜を形成させることを特徴とする、請求項16記載の製造方法。
  18. 請求項1に記載の式(I):
    Figure 2019023171
    [式中、R、R、R、RおよびXは、請求項1に定義する通りである]
    で示される化合物の製造方法であって、
    式(IV):
    Figure 2019023171
    [式中、Rは前記の通りであり、そしてR はアニオン性親水基の部分を表す]
    で示されるハライド化合物を、式(V):
    Figure 2019023171
    [式中、RおよびRは、前記の通りである]
    で示される(メタ)アクリレート化合物、および脱酸剤と共に、適宜、重合禁止剤の存在下で反応させ、次いで、X供給源となるアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩から選ばれるX供給源の化合物と反応させて、Xがアルカリ金属イオンである式(I)で示される化合物を得ることを含む、該製造方法。
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