JP2019013776A - 磁気感応体の集団化および制御 - Google Patents

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Abstract

【課題】時分割多重化方式を用いて、3次元において複数の磁気感応体(操作可能自己推進体またはSSPE)を集団化して変位させるための、新規な装置および方法を提供する。
【解決手段】体の内部においてSSPEの集団化を制御する装置は、所定の磁場を生成するために3つの軸上に配置された少なくとも3セットの磁場源86、85と、磁場源の少なくとも1つに接続されており、3次元の収束ポイントを生成する制御部81と、を備える。磁気感応体を集団化する方法は、磁場源における第1セットおよび第2セットの磁場源を用いて、各セットにおいて対向する勾配磁場を生成し、これにより、2つの軸において磁気感応体を集団化させるように構成されている。制御部は、第3軸において、第1所定プログラムにしたがい勾配磁場の方向を反転させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、大略、磁気感応体(magneto-responsive entities)の集団化および制御に関
する。より具体的には、本発明は、磁場を制御することにより、感応体を所定の三次元空間内における収束ポイントに集める技術に関する。
医療現場では、操作可能な感応体を用いて、治療剤を体内における正確な位置に運ぶことが極めて望ましい。自己推進機能を有する磁気感応体をキャリア(ナノロボットまたは磁気走性細菌キャリア)として用い、磁場の方向設定を行うことにより、治療剤(放射性同位体等)や診断剤(造影剤等)を運ぶことが従来行われているが、これを次第に細くなる血管(例えば、毛細血管)や広い領域(例えば、腫瘍の間質領域)において行うことは困難である。特に、体の深部においてキャリアに推進力(牽引力)を誘導することは、感応体(例えば磁性キャリア)が小型であることや、技術的限界といった理由により非常に難しい。そこで、このような制限を緩和すべく、キャリアとしての磁気感応体‐本明細書では操作可能自己推進体(SSPE)と称する‐に対する検討が行われている。
Martelらにより譲渡された特許(米国特許第7,962,194号)には、患者の体内において、強磁性粒子が、核磁気共鳴画像(MRI)システムにより制御可能に推進されることが示されている。また、Martel(米国特許公開公報第2006/0073540号)は、2次元空間、例えばペトリ皿内において、磁気走性細菌を用いて、微小物体の方向を制御することを教示している。このような細菌は、自己推進可能であり、磁場の方向に沿って泳ぐという性質を有している。上記の米国公開公報第2006/0073540号に係る公知技術の欠点の1つとして、この技術では、例えば人体の大血管、器官、組織などの3次元空間においては、物体を所望の目標点(標的)まで効率よく誘導できないことが挙げられる。
そこで、誘導効率を高めることにより、体内の標的に運ばれる治療剤の量を増やすことが求められている。また、その様子がMRIなどの画像診断法を用いて視認可能(検出可能)であることが望まれる。これを達成するためには、複数のSSPEを所望の箇所に集めることが必要である。このようなことから、SSPEを集団化するとともに、それらの変位を制御することが可能な装置やシステムあるいは方法に対する要望が非常に大きい。
米国特許第7,962,194号 米国特許公開第2006/0073540号
出願人は、時分割多重化方式を用いることにより、3次元において、複数の磁気感応体(操作可能自己推進体またはSSPE)を集団化し、変位させるための新規な装置および方法を考案した。体の内部においてSSPEの集団化を制御する装置は、制御可能な磁場を生成するために3つの軸上に配置された少なくとも3セットの磁場源を備え、磁場源の少なくとも1つに接続されており、3次元の収束ポイントを生成する制御部をさらに備える。上記感応体を集団化する方法は、第1セットおよび第2セットの磁場源を用いて、各セットにおいて対向する勾配磁場を生成し、これにより、2つの軸において磁気感応体を集団化させることを含むことができ、多重化処理は、第3軸において、所定プログラムにしたがい勾配磁場の方向を反転させることを含む。
本発明の一実施形態に係る装置は、体の内部において自己推進磁気感応体の集団化を制御するものであり、この装置は、磁場を生成するために3つの軸上に配置された少なくとも3セットの磁場源と、磁場源の少なくとも1つに接続されており、3次元の収束ポイントを生成する制御部と、を備える。
いくつかの実施形態において、上記磁場源のうち、第1セットおよび第2セットの磁場源は、それぞれ当該セットにおいて対向する勾配磁場を生成して、磁気感応体を2つの軸に集団化させ、制御部は、第1所定プログラムに従って、第3軸における第3セットの磁場源の磁場方向を反転し、第3軸における磁場源は、同じ方向に電流を流すように配線された2つのコイルをさらに備える。
いくつかの実施形態において、制御部は、第2所定プログラムに従って、2つのセットの磁場源の全ての組み合わせを順次起動するように構成されている。他の実施形態では、少なくとも1つの磁場源は体外に位置しており、永久磁石を備える。
本発明の他の実施形態に係る装置は、磁場源のセットに対して収束ポイントを移動させることにより、感応体を、体内のある位置に誘導するように構成されている。他の実施形態では、磁場源を移動させるための位置決め装置を用いて、収束ポイントを移動させる。他の実施形態では、体が載置されたプラットフォームを移動させることにより、収束ポイントを移動させる。
本発明の他の実施形態に係る装置において、磁気感応体は、磁気走性細菌を含み、第2所定プログラムは、磁場における変化にしたがって、磁気走性細菌の一部が磁場に対して再整列する周波数を提供する。
本発明のさらに他の実施形態に係る装置において、制御部は、収束ポイントのサイズまたは形状を変更(集団化ゾーンを拡大または縮小するための振幅調整)して、磁気感応体の経路発見能力を高めるように構成されている。
本発明のさらに他の実施形態に係る装置は、磁気感応体の位置を検出するための(MRIマシン等の)磁気感応体検出器をさらに備える。このような実施形態においては、上記装置は、さらに、磁気感応体検出器を有する第1ステーションと、磁場源を有する第2ステーションとの間を移動するプラットフォームをさらに備えることもできる。
本発明のさらに他の実施形態によると、体の内部において自己推進磁気感応体を集団化する方法が提供され、当該方法は、体内において、3次元収束ポイントを有する磁場を生成し、感応体を収束ポイントへ向かって移動させるとともに、収束ポイントの近傍で集団化させる、ことを含む。このような実施形態において、一定の勾配磁場が2つの軸において維持され、第1所定プログラムにしたがい、第3軸において勾配磁場の方向が交互に切り換えられる。
いくつかの実施形態において、上記方法は、所定プログラムにしたがい、2つの対向する磁場源の全ての組み合わせを順次起動することをさらに含む。
進行の障害となる物体や面を用いずに、静磁場の全ての線を、3D空間における一つの点に集中させることは、物理的に不可能である。しかしながら、時分割多重化を用いて少なくとも1つの軸に変更を加えることで、1つの点へ向かってSSPEを強制的に移動させ、SSPEの集合体を形成しうることを出願人は見出した。磁場における3次元収束ポイント(CP)とは、空間内における無境界の点であって、集団化ゾーン(AZ)におい
て磁場の方向を辿る感応体が移動および集団化する点である。収束ポイントにおける磁場は、実質的にゼロであり、AZにおける収束ポイントを囲んでいる。また、所定の強度を有する有効磁場は、全方向から収束ポイントへ向かっている。磁場源は点源ではないため、少なくとも1つの磁場源を時間的に変化させることにより、感応体を収束ポイントへ向かって移動させ、その収束ポイントの近傍にとどまらせることができる。
したがって、一定の(静的)磁場を有するように2つの軸(X、Y、またはZ)を維持し、それ以外の軸の磁場方向を、磁場が一定に保たれている2つの軸に応じて変更することで、収束ポイントが生成される。同様に、1つの軸の磁場方向を一定に保ち、時分割多重化方式により、同時に(同期して)または段階的に(遅延させて)他の2つの軸の磁場方向を変更することにより、収束ポイントを生成することができる。これに際し、SSPEが磁気走性細菌である場合、上記変更は、SSPEが適切に反応する周波数、例えば、0.1〜5Hzの範囲、より好ましくは約0.5Hzの周波数で行われる。3つの軸の磁場方向は、時分割多重化方式により、各軸間で同時にまたは遅延させて変更することができる。全ての組み合わせが可能であるが、少なくとも1つの軸(X、YまたはZ)の勾配磁場の方向を時分割多重化方式により変更し、このときの切替速度をSSPEの反応時間に合わせることが必要である。
本発明の実施形態に関する詳細な説明および添付図面を参照することにより、本発明はよりよく理解されるであろう。
本発明の実施形態に係る磁気走性細菌(磁気感応体)を示す図である。 X−Z平面(図2A)およびY−Z平面(図2B)における磁場を示す図であり、磁場の強度は、矢印の長さに比例している。 2つの対向するコイル間の中心点からの収束ポイントの距離を、マクスウェルコイルにおける電流比の関数として示す図である。 2Dマクスウェルペアから生成された平坦磁場速度ベクトル(図4A)と、x軸およびy軸における2つの対向するマクスウェルコイルペアにより生成された磁場絶対値とを示す図である。図4Bに示すように、磁力線は、4つの上部(暗色)端で最も強度が高く、その勾配は、磁場強度が(ほぼ)ゼロである(最小値へ向かっている)中心(収束ポイントであり、下方において暗色領域として示す)に向かっている。 電流の流れる方向に対する理解を容易にするために、各頂点に番号が付された立方体を示す図である。 経路発見能力を向上させるための、様々な調整モードを模式的に示す図である。 経路発見能力を向上させるための、様々な調整モードを模式的に示す図である。 本発明に係る磁気走性システムを実施するためのコイル構成の実施形態を示す図である。 中心点からの収束ポイントの距離を、2つの対向するヘルムホルツコイルにおける電流比と、マクスウェル磁場の変位値との関数として示す図である。 1つの内部磁場源を有するポータブル構成を模式的に示す図であり、この磁場源は、磁気感応体を集団化して制御するための収束ポイントを「囲む」ように構成されている。 磁気感応体を集団化して制御するための1つの内部磁場源および1つの外部磁場源を有するハイブリッド構成を示す図である。 経路発見能力を有さない感応体(図12A)および経路発見能力を有する感応体(図12B)を模式化した図である。 方法の限界を示す、経路発見能力を有する(または、障害物からの角度が十分に大きい場合は、経路発見能力を有さないこともある)2つの磁気感応体に指向性モードを適用した場合の例を示す図。 磁気感応体の指向性モード(Dモード)制御を高度に模式化した図であり、図中の矢印は勾配磁場の大体の方向を示している。 標的設定に用いる集団化モードを模式化した図であり(図15A)、標的設定効率を向上させるために、集団化ゾーン(または収束ポイントのサイズ)を縮小する例を示す図である(図15B)。 磁気感応体の集団化標的モード(Tモード)制御の模式図である。 磁気感応体の集団化分割モード(Sモード)制御の模式図である。 磁気感応体の集団化連続モード(Cモード)制御の模式図である。 X、Y、およびZ軸に配置された対向するコイルのセットにおける時分割多重化を示す図である。図19Aは第1所定プログラムを示し、図19Bは、第2の異なる所定プログラムを示し、両プログラムは3次元収束ポイントを生成するためのものである。
操作可能自己推進体(SSPE)または磁気感応体は、ここでは、他のものに束縛されない実体(entities)であり、その推進源、すなわち同感応体の変位を生じさせるシステムが、同感応体自体の一部であるか、同感応体自体に付着しているか、または、同感応体自体に埋め込まれているものとして定義される。操作可能自己推進体は、物体または微生物のグループ、および、生物学的またはハイブリッド的なシステムを含む。このシステムは、生物学的及び/又は合成的(化学的、人工的等)な物質及び/又は要素で構成される、マイクロ・ナノシステムまたはマイクロ・ナノ構造体を含む。また、操作可能自己推進体は、その移動方向が、所定の方向に向き付られた指向性磁場(例えば永久磁石による)や電磁場(本明細書において、磁場とは、導体を流れる電流により生成される電磁場を含む)から誘導されるトルクに影響され得る構成とされている。本明細書において磁気走性とは、上記SSPEの移動方向が、指向性磁場により影響されることをいう(必要であれば、SSPEを機能化して他の構造体に付加してもよい)。上記SSPEの例としては、単一またはグループ(群れ、集塊、集合など)をなす有鞭毛磁気走性細菌(MTB)、または、自走可能であり、指向性磁場による方向制御に影響される他の細菌もしくは微生物があるがこれらに限定されない。これら細菌および微生物は、様々な方法により、前もって部分的に変形されたものであってもよい。そのような方法として、培養パラメータや遺伝学を用いるものがあるが、これらに限定されるものではない。また、これら細菌および微生物を、磁気走性により制御可能(本明細書において「制御」とは、物体の動き、変位、行動などに影響を及ぼすことをいう。)に改変された他の物体、例えば他の細胞(赤血球など)、に取り付ける、あるいは、埋め込むようにしてもよい。あるいは、指向性磁場または指向性磁場勾配に影響され得る合成構造体に取り付けてもよい。また、マイクロコンポーネントまたはナノコンポーネントを、細菌、細胞、または他の微生物に取り付けることにより、ハイブリッドな(生物学的および合成的な構成成分を有する)組織体を含む構造体の移動方向を、磁気走性により制御しうる、すなわち、ナノサイズの磁気コンパスの針の方向に影響を与えるような指向性磁場に対し反応しうるように構成してもよい。
各SSPEは、少なくとも、推進システムおよび方向制御システムを本質的に有していなければならない。ここで、方向制御システムとは、適切なコイル(または永久磁石)手段(磁気走性システムの一部)により生成される指向性磁場の磁力線に起因するトルクに影響される(磁気走性制御)システムである。
MC−1タイプの磁気走性細菌は、生物学的なSSPEの一例であり、鞭毛束が推進システムの役割を果たしている。また、細胞内に埋め込まれた、マグネトソームと称される一連の膜ベースのナノ粒子(結晶)が、指向性磁場に合わせて方向づけられる小型磁気コ
ンパス針のように機能することで、方向制御システムが実現されている。
図1は、自然界に存在するSSPE(または磁気感応体)として機能するMC−1磁気走性細菌13を示す模式図であり、この細菌は、推進用の2つの鞭毛12および方向制御用の一連のマグネトソーム14を有している。マグネトソーム14により、細菌13が磁力線に合わせて方向づけられ、極16の探索が行われる。すなわち、方向づけと推進力の組み合わせにより、細菌が極16の方へ導かれる。
基本原理および主たる意図:磁気走性システムの背景にある主たる意図は、磁場を主に方向制御に用いるということである(ナビゲート可能な感応体に対して変位力を付与する意図はない)。したがって、このシステムは主に本明細書において定義されたSSPE用に設計されている。磁気走性システムからの磁場は、方向制御のみを目的としたものであり、推進力や牽引力を提供するためのものではない(なお、無視できない小さな牽引力が存在する可能性はある)。このため、必要とされる磁場の大きさ(強度)は大幅に低く、このため、非常に小さい動力を用いて、より小型のSSPEをナビゲートすることが技術的に可能となる。
実際、方向制御は、以下の等式で示されるように、指向性磁場Bを印加し、所定の方向にトルクTを発生させることにより行われる。
Figure 2019013776
体積および磁化量が同じである感応体に対しては、所定方向のトルク(指向性トルク)を生成するために必要な磁場の大きさは、所定方向への変位力(牽引力)と比較すると、非常に小さい。したがって、同じような環境(条件)での操作において、自己推進力(駆動力)を有する感応体の方向制御に必要とされる動力は極めて小さい。
特別なコイル構成を採用し、かつ、各コイルを所定方向に流れる電流の大きさを様々に変化させてその組み合わせを変えることにより、SSPEの方向制御が可能となるばかりでなく、複数のSSPEに対し方向制御を行うことにより、これらのSSPEを特定の「中央」位置(これを所望の方向にずらすことも可能)に集団化させることができる。このようにSSPEを集団化しうる機能は、多くの医療介入(interventions)において非常に
重要かつ不可欠なものである。例えば、薬剤を腫瘍へ運ぶ場合、微小血管系または小さな開口部内をSSPEが通れるように、各SSPEの全体的なサイズを小さくする必要がある。全体的なサイズが小さいSSPEを用いると、各SSPEにより運ばれる治療剤の量も減ってしまう。したがって、SSPEの集団化を制御することにより、上述したような医療介入において、より多くの量、延いては十分な量の治療剤を運ぶことが可能になる。システムがSSPEを集団化する機能を有すべきもう一つの理由は、SSPEの分散を防止するためである。実際のところ、患者の外側に配置されたコイルを用いて、各SSPEを同時かつ個別に制御することは不可能だが、これらのSSPEを一つのグループとして全体的に制御することは可能である。したがって、方向制御のみが可能でありSSPEを集団化する機能を有していないシステムを用いた場合には、通常、最初のグループ化処理が、各SSPEの速度差及び/又は各SSPEにより異なって作用する他の摂動もしくは力に起因して、分散してしまう。このような分散が生じると、集合体の密度が低下し、MR検出や追跡が困難あるいは不可能になる。さらには、このケースにおける方向制御は、磁気走性システムの制御範囲内におけるグループ全体に対してのみ実行される。このため、例えば、それぞれが異なる標的に至る、隣接した分岐点の間の距離を超えて分散の規模が大きくなった場合には、多くのSSPEが制御不能になってしまう。
基本構成および磁気走性システムの原理:磁気走性システムの形態としては、プラットフォーム、ポータブルシステムまたはポータブルツールであってもよいし、ハイブリッド型であってもよい。プラットフォーム式の磁気走性システムは、患者の体全体または一部を囲むように設計されている。すなわち、患者、または治療を受ける体(body)の一部が、磁気走性システムの内径の中に配置されるように設計されている。ポータブルシステムでは、コイル構造体等のシステムの内径は、患者、または治療を受ける体の一部を囲んでおらず、治療領域を囲んでいる。すなわち、磁気源構造体は、治療する標的部位に直接適用されるように設計されている。したがって、標的部位は、磁気走性システムが物理的にアクセス可能な部位でなければならない。この一例として、直腸から到達可能な直腸腫瘍や、切開手術またはその他の技術、例えば、腹腔鏡検査などの非侵襲的手法を含む技術を用いてアクセス可能な体の一領域がある。ハイブリッド型とは、上述した2つのタイプを組み合わせたものである。
磁場源として、種々の構成が想定されうるが、考慮すべき重要な点は、磁気走性を用いた方向制御を行うことに加えて、3D空間において標的に焦点を合わせることが可能な磁場を用いてSSPEを集団化する性能を有しているということである。
例えば、集束する勾配磁場(magnetic gradient field)は、複数の磁気コイルに互いに
反対方向の電流を流すことにより生成することが可能であるが、この磁場の方向は、各コイルを循環している電流の値により決まる位置に常に向けられることになる。したがって、磁場の方向に向かう性質を有する磁気走性細菌(MTB)などのSSPEは、上述した位置へ向かって誘導される。
標的領域のサイズは、コイルを循環している電流の強度と、磁気走性システムのコイルにより生成された磁場の方向に対するSSPEの感度とに依存する。例えば、MC−1タイプのMTBは非常に弱い磁場に反応する。我々は、空間的に変動する勾配磁場の関数として細菌の数を数えることにより、磁気感度を推定した。その結果、MTBは、0.3ガウスの等磁位円内に分布しており、そのほぼ半数が0.1ガウスの等磁位円内(図示略)に分布していることが分かった。したがって、コイルを循環する電流量を増加したり低減したりしてAZのサイズを変更することができるだけでなく、AZの外側境界は、AZまたは標的ゾーンにおいて十分と考えられるMTBの割合に応じて、所定の等磁位(例えば、0.1または0.3ガウス等)に任意に選択可能である(ただし、MTBの事前選択は行われていないものとする)。
MC−1タイプの磁気走性細菌は、等磁位ゾーン内において空間的に分布し、MTBには磁気走性感度の正規変動(normal variation)が存在する。収束ポイントへ向かってSSPEを導くことが可能なシステムであって、本明細書においては磁気走性システムと呼ばれている磁気誘導システムが求められる。この課題は、単純な電磁石を用いることにより解決しうる。しかしながら、収束ポイントまたは標的ポイントは、(磁場源に近い方の)表面上の領域に限定され、深部の器官または領域の側に収束ポイントを設定することはできない。3D磁気コイルに基づく磁気走性システムを用いれば、SSPEが収束する面を適宜選択することにより、深部の標的領域にSSPEを誘導することができる。
図2Aは、X−Z平面における磁場の方向を示しており、図2Bは、Y−Z平面を示している(磁場の強度は、矢印の長さに比例している)。磁場は、図2Aに示すX−Z平面における単一の点に収束しているが、3D空間における単一点ではなく、2D集団化領域25における2D収束領域23に収束している。実際には、磁場のy成分(図2B参照)が存在しており、収束ポイントの近傍においては、同成分がさらに重要となる。注目すべきは、図2Bにおいて外側を指し示している矢印の方向(磁場の方向、延いてはSSPE
の方向を示す)である。図2から分かるように、静磁場では、SSPEを3D空間において所定の標的に誘導することはできない。したがって、時分割多重化方式を用いた適切なコイル構成を採用することにより、特定の周波数で磁場を前後に反転させることが必要となる。この手法を上記の磁気走性システムに組み込むことにより、焦点の定められた磁場を用いた標的誘導が実現される。これは、機能的には、磁気先端を任意の面(当該磁気先端に近い面のみならず)において使用しうることと同等であり、かつ、磁気先端を持ち込めない体の深部においても実施することができる。
この手法から、磁気走性システムにおいて、コイルのハードウェア構成として可能性のあるものについての基本的な所見が導かれる。例えば、4つのコイルを用いた場合、各組の2つのコイルに逆電流が流されるが、これらコイルを流れる電流と収束ポイントの位置との間に数学的関係が存在する。6つのコイルを用いた場合には、追加された2つのコイルにより、磁場のy成分(図2Bを参照)を最小限に抑えることができ、3D空間における制御性を向上できる。勾配磁場を生成するコイルにおける電流値を調節する代わりに、一組のヘルムホルツコイルを用いて収束ポイントの位置を変更することができる。この手法の利点は、磁場の勾配を常に同じ(または、ほぼ同じ)にできることであり、これは他の構成では実現できないものである。ヘルムホルツコイルを用いた構成は、相対的に複雑になるが、勾配を常に同じ(または、ほぼ同じ)にすることが重要であれば、有用な構成の1つであるといえる。
集束磁場は、収束ポイントと称する中心を向いている。矢印は、磁場の方向を示す。図に示すように、矢印の長さで表される磁場の強度は、収束ポイントに近づくほど、または、磁場の生成に用いられるコイルから離れるほど弱くなっている。収束ポイントを囲む円は、AZの外側境界を示している。AZの調整は、コイルを流れる電流の強度を変えることにより調整可能である。通常、電流が大きいほど、AZは小さくなる。
主な基本構成:磁気走性システムの構成のシンプルな例は2セットのコイルからなり、このうち1セットがSSPEの集団化に用いられ、もう一方のコイルのセットが、この集団を所望の方向に移動させるのに用いられる。しかしながら、より複雑な構成あるいは単純な構成を採用してもよい。
図3は、マクスウェルペアの一方のコイルにおける電流値を変更すると、磁場収束ポイントの位置が中心から移動することを示している。しかしながら、勾配の直線性は失われる。
実際に、多くの変形が可能であるが、考えられる1つの基本的な実施態様としては、3軸マクスウェルコイル構成(M(マクスウェル)構成という。)がある。マクスウェル構成により、磁力線に追従するSSPEが、コイル構成の中心に捕捉される。SSPEの動作制御は、同じ組のコイル間の電流比を変更することにより行われる。直線的な勾配を得るためには、マクスウェルペアの各コイルを流れる電流は同じでなければならない。同じペアの各コイルにおいて電流値が異なると、勾配は非直線的になってしまう。I1とI2(マクスウェルペアの各コイルにおける電流)との間の比率と、磁場収束ポイントとも呼ばれるゼロ磁場の位置との間の関係は、図3にプロットされている。
電流値を変更するやり方はいくつか存在するが、1つの単純な手法としては、変位する側に応じて、一方の電流値を最大値に設定しておき、他方の電流値を所望の位置に従って変更するものがある。収束ポイントの位置と電流比との間の数学的関係は、以下のように表される。
Figure 2019013776
ここで、I1(A)およびI2(A)は、マクスウェルペアの各コイルにおける電流を示しており、r(m)は、コイルの半径を示しており、d(m)はコイル間の距離を示しており、z(m)は、所望の位置を示している。
3D空間におけるSSPE集団化のための主な電源投入シーケンス:マクスウェルペア(同じペアの各コイルにおける反対方向の電流)により生成される磁場は、図4Aおよび図4Bに示されており、各図は、直交する2つのペアに関する。図4Aは、2Dマクスウェルペアから生成された平坦磁場速度ベクトルを示す。図4Bは、x軸およびy軸における2つのマクスウェルコイルペアにより生成された磁場絶対値を示している。磁力線は、中心(収束ポイント)に向かっており、そこでは磁場強度が(ほぼ)ゼロである(すなわち最小値へ向かっている)。なお、コイルの幾何学的構造が非直交なものであっても、3次元空間における収束ポイントを生成することができる。
磁場を印加する前のSSPEの位置がどこであっても、磁場を印加された後は、全てのSSPEが中心(収束ポイント)に向かうことになる(ただし、SSPEは、初期状態において、磁気走性システムの操作可能範囲に位置するものとする)。また、強度が相対的に高い磁場においても、SSPEが好ましくない動作をすることにより、外側境界が存在することに注目されたい。このプロットは、2Dの場合のものである。3D空間においてマクスウェル磁場を印加するためには、時間的多重化が必要である。実際、各コイルは、磁場の縦成分(SSPE捕捉に必要な成分)および横磁場を有している。1つのコイルからの横磁場は、横コイルの縦成分と反対である。縦成分は、横成分よりも高い振幅を有するので、結果として得られる磁場は、SSPEを捕捉するために十分に高いものである。しかしながら、3つのペアが同じ時点で電力を供給された場合、各方向は、縦成分に4つの横成分が加えられるので、縦磁場がほとんど打ち消される状態が生じる。そこで、3Dにおいてマクスウェル磁場を印加するために、コイルの電源投入シーケンスを時分割多重化方式で行うことが考えられる。なお、これは、少なくとも一方向にSSPEの「分散」を抑制する障害がないことが前提である。このことは、磁気走性システムの基本的な原理である。可能なシーケンスのうち、2つのペアで構成されるグループによってコイルに電力が供給されてもよい。3つの異なる組み合わせが存在するため、各コイルグループは、典型的には、時間周期の1/3の間電力が供給されなければならない。これに代えて、2ペアのマクスウェルコイルに連続的に電力を供給し、時分割多重化方式を用いて、残りのマクスウェルペアにより生成された磁力線の方向を反転させてもよい。上述したように、他のシーケンスを用いてもよい。時分割多重化シーケンスと同様の発想を、他の構成に適用してもよい。以下に示す例全体および図5〜8に示す実施形態において、X、Y、Z平面は以下のように定義される。
図5は、指向性電流の流れに対する理解を助けるために、各頂点に番号が付された立方体を示している。X軸は、1375および2486の構成に配置されたコイルを通る軸により定義される。1375は、1、3、7、および5の頂点で表される立方体の一面(正方形)を規定している。図6で示すように、X組のコイル(X1およびX2)における電流が同じ方向を向いている(X1およびX2の両方が、方向D1を向いている)場合、電流は、X1の仮想コイルでは、1、3、7、5、そして1の方向に流れ、X2の仮想コイルでは、2、4、8、6、そして2の方向に流れるということが分かる。この構成により、ヘルムホルツコイルまたはマクスウェルコイルに似たコイルが形成され、また、立方体の1375および2486の辺を横断する一平面において一定の磁場が形成される。一方
、他の全てを同じ状態として、X2のコイルにおける電流を反転させると(2486ではなく2684の流れ)、X1およびX2のコイルの逆電流により生成された磁場が、中間点に方向づけられることになる。このような状態のときに、電流が反対方向であると言う。
Y軸は1243および5687の構成に配置されたコイルを通る軸により定義される。1243は、1、2、4、および3の角部で表される立方体の一面(正方形)を規定している。Y組のコイル(Y1およびY2)における電流が同じ方向を向いている(Y1およびY2の両方が、方向D1を向いている)場合、電流は、Y1の仮想コイルでは、1、2、4、3、そして1の方向に流れ、Y2の仮想コイルでは、5、6、8、7、そして5の方向に流れる。当業者には明らかなように、電流が同じ方向で、両方のコイルを逆にした場合には、磁場の方向が変わる。同様のことが他の平面についてもいえる。
Z軸は1265および3487の構成に配置されたコイルを通る軸により定義される。1265は、1、2、6、および5の角部で表される立方体の一面(正方形)を規定している。Z組のコイル(Z1およびZ2)における電流が同じ方向を向いている(Z1およびZ2の両方が、方向D1を向いている)場合、電流は、Z1の仮想コイルでは、1、2、6、5、そして1の方向に流れ、Z2の仮想コイルでは、3、4、8、7、そして3の方向に流れる。当業者には明らかなように、AZは、2つの平面における2つの対向する磁場源の作用により形成される。以下の例において、AZは、X平面およびY平面における対向する磁場源の作用により形成される。X源およびY源が作用することにより、感応体は2つの軸(X、Y)において集団化するが、第3の軸(Z)においては「集団化」しない。例えば、この場合、X平面およびY平面において「円形状の」集団化ゾーンを形成すると、「円筒状」の3次元AZが得られる。これは、感応体がZ軸に集団化しないことを理由とする。
他の構成を採用することも可能である。例えば、非線形性を避けるため、患者(患者移動(PM)構成)及び/又はコイル(コイル移動(CM)構成)を物理的に移動させてもよい。この場合、コイル構成の内径を拡大することにより、上記の移動に対応する必要がある。したがって、上述した構成と同じ結果(SSPEに対するトルクの発生)を達成するためには、電気エネルギーを増加する必要がある。他の変形も可能である。例えば、3軸ヘルムホルツコイル85と、3軸マクスウェルコイル86との組み合わせ(HM構成という。)を、図8に示すように実施することができる。この組み合わせでは、3軸ヘルムホルツコイル85(薄いドットパターンで示されており、各軸における2つの対向するコイルの一方のみが符号で示されている)が、3軸マクスウェルコイル86(濃いドットパターンで示されており、各軸における2つの対向するコイルの一方のみが符号で示されている)により生成された磁場収束ポイントの位置を制御している。この制御により、図9に示されるように、ヘルムホルツコイルを流れる電流と、マクスウェルペアで生成される収束ポイントの位置との間で線形(または準線形)関係が成り立つ。
図8において、制御部81は、ユーザインターフェース80からの入力を受信し、3つのコイル駆動部それぞれに出力を送信する。コイル駆動部としては、X軸における2つの対向するコイルを独立して制御するXコイル駆動部82と、Y軸における2つの対向するコイルを独立して制御するYコイル駆動部83と、Z軸における2つの対向するコイルを独立して制御するZコイル駆動部84とがあり、これらの駆動部により、各コイルが勾配磁場を生成することができ、磁場源として機能することができる。図を簡略化するため、コイル駆動部82、83、84は、マクスウェルコイルのみを制御するように描かれているが、必要に応じて、制御部は、ヘルムホルツコイル85も制御可能であることは言うまでもない。制御部81は、収束ポイント10の位置を制御するように構成されている。この制御は、所定のプログラム(図19を参照)にしたがって、図8に示す各コイルの電流
を制御することにより行われる。コイル駆動部82、83、84は、収束ポイント10の位置を制御するために、2つの対向するコイルそれぞれの電流の量および方向を制御することができる。いくつかの実施形態では、コイル駆動部82、83、84は、これらの駆動部に組み込まれる位置決め装置(図示略)を用いて、収束ポイント10の位置を制御する。この位置決め装置は、制御部81から入力を受信し、3軸コイル内に配置されたプラットフォーム88に対してコイルを移動するように構成されている(プラットフォーム88は、簡易化のため、コイルの外側に示されている)。使用時には、プラットフォーム88に、患者が横たわる。このプラットフォームは、事前に3軸コイル内に配置されているか、あるいは、患者が横たわった後に3軸コイル内に移動させられる。他の実施形態では、磁場源(すなわち、コイル)は固定されており、プラットフォーム88を動かすことにより、体内の異なる位置へ収束ポイント10を移動させる。制御部81は、体内の磁気感応体の位置に関して、検出器87から入力を受信することができる。この検出器は、例えば、MRIマシンまたはPETスキャンマシンである。
集団化ゾーン:操作時に、SSPEは、マクスウェルコイル同士の間に存在する領域に捕捉(束縛)されるとともに、この領域で蓄積される。本明細書において、収束ポイント10と呼ばれるこの領域のサイズは、磁場の強度(大きさ)および感度(すなわち、SSPEに対するトルクを生じさせて、適切な方向制御(磁気走性制御)を行うために必要な指向性磁場(勾配)の最小強度)に依存する。磁場に対する感度は、SSPEによって異なりうる磁気モーメントに依存している。収束ポイント10に到達すると、SSPEは、比較的自由に全方向に移動することができ、やがて、SSPEがAZに再び戻れるだけの高い強度を有する指向性磁場に到達する。したがって、上述したように、収束ポイント10とは、標的を設定する目的で使用または選択されるSSPEに対して加えられるトルクの大きさが無視できる程度(適切な方向制御を誘起するには十分でない程度)となるような磁場強度の領域である。ヘルムホルツコイルは、マクスウェル磁場により形成されたAZを、空間内で全方向へ線形(または、準線形)にオフセットさせることが可能である。集団化ゾーン20は収束ポイント10よりも大きいので、AZ20における磁場により、SSPEは、CP10の方向に引き寄せられる傾向がある。
他の構成:上述したように、他の構成を採用してもよい。例えば、マクスウェルコイルおよびヘルムホルツコイルのペアを利用する上記構成によれば、磁気先端をある平面下で動かし、SSEPの集合体を同平面内において移動させるのと同じ結果を得ることができる。この場合の磁場勾配は線形であるが、マクスウェルコイルのみを用いて構成を簡略化した場合には、磁場勾配は、非線形である。医療介入に対しては、本明細書で提案する方法は、体内または作業空間の任意の平面にも配置可能な磁気先端(永久磁石または電磁石)と同様の機能を果たすべく、種々の技術(例えば、時分割多重化)を利用する。
他の変形も可能である。特に標的がアクセス可能な場合または露出している場合には種々の変形が考えられる。後者の場合、標的を設定する領域によっては、棒状部材等の所定の用具あるいはこれと同様の器具(例えば、カテーテル)の端部において磁場を発生させるようにしてもよい。ただし、後者の場合であっても、標的を囲むコイル構成を使用する場合とは異なり、アクセス可能な表面から深部に対して標的を設定することが制限されてしまうことがある。これは、収束ポイントが深すぎて、コイル構成の下方側面よりもさらに奥に存在する場合に起こり得る。
磁気共鳴ナビゲーション(MRN)やMRIシステムに対して磁気走性システムをどこに設置するかということが、医療介入に際してMRN操作やMRイメージングを行う場合には、考慮すべきで事柄となる。理想的には、MRN(MRI)システムの補助システムとして用いる場合には、2つのプラットフォームにおける患者の位置合わせ(registration)およびプラットフォーム間の移動(移動時間の短縮も含む)を容易にするために、磁
気走性システムは、MRNまたはMRIシステムに対して十分に近い位置に配置したほうがよい。しかしながら実際は、MRNまたはMRIシステムにおける強度の高い均一磁場では、SSPEは正しく動作できないため、磁気走性システムをB0場に対して、十分に
離れた位置に配置することで、SSPEの適切な操作が邪魔されないようにすることが不可欠である。一方で、SSPEに内蔵された方向制御システム(例えば、MC−1細菌の超常磁性マグネトソーム)は、MRI技術等において、SSPEを追跡する(あるいは位置を特定する)ために用いることができる。よって、理想的には、磁気走性システムを、MRNまたはMRIシステムに十分近い位置に配置し、患者の移動を容易とする(例えば、患者が横たわっているスライディングテーブルの移動範囲を広げる)ことが望ましい。これにより、MRI技術を用いてSSPEの移動状況を監視するとともに、上記の位置合わせを容易にすることができる。代替案として、特定のコイルに大電流を流すことにより、B0場の影響を補償または修正できるのであれば、磁気走性システムとMRNシステム
との間の距離をさらに縮めることもできる。他の選択肢としては、単一のコイル、複数のコイル、または、シールドを(典型的には2つのプラットフォームの間に)追加することにより、磁気走性システムの作業ゾーンにおけるB0場の影響を排除または低減すること
が考えられる。いくつかの例では、B0場の影響は、磁気走性システムの設計に利用可能
である(このとき、磁気走性システムの特定のコイルにおける電流の強度を変更することによりパラメータを調整したり、磁気走性システムをMRNシステムに近づけたり遠ざけたりしてB0場の影響を制御する)。上述した全ての構成、および同様の機能性を有する
他の構成に関して、磁気走性システムの他の構成は、1つまたは複数のコイルを永久磁石と交換することにより実現可能である。
ポータブル構成およびハイブリッド構成:特定の標的ゾーン(例えば、腫瘍領域)における収束ポイントの位置設定処理の精度にエラーを生じさせるような例を2つ挙げると、患者の位置合わせおよび移動と言ったの潜在的な問題がある。このような問題を避けるためには、ポータブル式の磁気走性システムが望ましい。ただし、標的になる領域に、そのような器具がアクセス可能であることを条件とする。上述したようなポータブル型システムを使用できる例を2つ挙げると、腹腔鏡等の技術を用いて、手術により切開することによりアクセス可能になった体内の標的領域に対しての使用と、場合によっては直腸がんや結腸直腸に対しての使用があるが、これはほんの一例である。例えば後者の場合、図10に示すように、ポータブル型の磁気走性システムを、直腸108に挿入することができる。この手法の利点は、SSPEの注入後、器具(局部コイルまたは磁石)を標的領域の近傍またはすぐ近くに配置することができるため、患者の位置合わせや移動等で生じる問題の影響をあまり受けないことである。この注入は、同じ器具に埋め込まれた注入器または独立した器具を用いて行うことができる。磁気走性器具の局部コイルは、腫瘍の形状により良くフィットするように、その形状や半径が可変であるように設計してもよい。また、直径の異なる様々な磁気走性ツールのセットを提供することもできる。図10は、テザー(tether)106の端部に磁気走性プローブ102を有するポータブル型磁気走性システムの形態を示す。本例では、プローブ102を直腸108から挿入して、腫瘍104の標的部位に到達させる。プローブ102が腫瘍104に到達した後、磁場を発生させて、磁気感応体を腫瘍104またはその内部に位置する収束ポイント10まで導く。
図11は、外部コイル114等の磁場の外部源を用いることにより、磁気走性システムがより深部に標的を設定する実施形態を示す。矢印は、磁場の方向を示しており、反対方向の2つの矢印は、時分割多重モードで動作していることを示している。この実施形態では、磁気走性プローブ112およびテザー106は、ポータブル構成要素として挿入されるが、プローブ112を用いて腫瘍を「囲む」のではなく、対向する磁場源(外部コイル114)が、体外の皮膚表面116において、出来るだけ標的部位に近い位置に配置される。
アクセスが制限されている場合、例えば、結腸直腸がん治療等で、標的領域が直腸の深部にある場合、磁気走性プラットフォームを用いたほうがより好ましい。これは、ポータブル式の磁場源を標的部位に配置することは、その移動距離や、直腸の直径およびコイルの重量を考慮すると、実行不可能ではないにしろ、難しいからである。したがって、位置合わせを目的とした印、例えばカテーテルの先端につけられた印を、磁気走性プラットフォームと共に(X線やCTのようなリアルタイムに位置合わせを行う画像診断法により)使用することができる。
経路発見能力:使用すべき操作モードは、磁気感応体またはSSPE126が、経路発見能力を備えているか否かに依存する。これについて、ごくシンプルな例を図12に示す。経路発見能力を有していないSSPE126を、図12Aに示す。これは、典型的には人工または合成SSPE126の場合である(ただし、生体模倣(bio-mimetic)人工S
SPE126にある程度の経路発見能力を持たせることはできる)。指向性勾配磁場128(または、順次的な勾配磁場の列)を用いて、SSPE126の所望の移動方向(例えば、標的が存在する方向)を示すとき、SSPEは、その指向性磁場で生成された誘導トルクの影響をうけて移動する。SSPEが、十分に広い障害物124(図12Aに示すような壁)に到達すると、SSPE126は、典型的には、指向性勾配磁場128の方向が変化するまで、図12Aに示す白抜き円で表される位置にとどまる。この場合、経路発見能力は無い、すなわち0%であるとする。しかしながら、いつ、どの方向に磁力線を変更しなければならないかを知るには、そのために必要な最低限のフィードバック情報をSSPE126に関して収集しなければならない。例えば、SSPE126の目標到達地点が、右側の丸で囲まれたTで示される標的位置122である場合、SSPE126は、この特定の標的位置122に続く所定経路に沿ってナビゲートされる必要がある。したがって、図12Aは、経路発見能力を有さないSSPE126が、障害物124の方向へ導かれた後、停滞することを示している(太い白矢印は、誘導される磁場または指向性トルクの方向を示している)。なお、当業者には明らかなように、SSPE126は、実際には、収束ポイント10で集団化した複数のSSPEである。
図12Bは、経路発見能力を有するSSPE126が、停滞することなく、指向性勾配磁場128の方向に通ずる経路を「探索する」ことを示す。この場合、図12Aに示すように、経路発見能力を有さないSSPE126の場合と異なり、磁場の方向を変更せずに(丸で囲まれたTで示される)標的チャネルの位置122に到達できる可能性がある。
大きいチャネル(例えば大きい直径を有する血管)については、その画像データを集めることができるが、小さいチャネルまたは血管については、医療用画像装置における空間分解能の制限により、その画像データを集めることができない。したがって、従来のナビゲーション制御の手法を用いることはできない。なぜならば、このような手法では、必要な画像情報の収集ができないため、経路または軌道を定義することができないからである。
このような場合には、代わりに、経路発見能力を有するSSPE(一例として、MC−1磁気走性細菌(MTB))を検討することができる。図12Bの一定の指向性勾配磁場128を用いると、SSPEは、図12Bに示すように、障害物124に到達しても、典型的には停滞することなく、磁場の方向に(または、SSPEが、北指向性ではなく南指向性の場合は、磁場と反対の方向に)SSPEを導く経路を「探索する」。両側で完全な対称性および状態を有するこの特定の例では、SSPEが所望の標的位置122に進むか、それとも、障害物124にぶつかった場合に、SSPEの独自の特徴により特定の方向(例えば、鞭毛の回転方向等)に進むか(または、特定の方向に進む傾向があるか)の可能性は五分五分である。いずれの場合にしても、これは、SSPEの特定の行動につながる。本明細書で定義する行動ナビゲーション制御(BNC)、または、略して行動制御(
BC)とは、上述した(経路発見能力を含む)行動を考慮にいれて、SSPE126を特定の標的へ向かうように制御することである。
指向性モード対集団化モード:多くのナビゲート可能なネットワークの複雑さを考慮すると、特に、微小血管系や血管生成ネットワーク等の環境においては、経路発見能力を有するSSPEの行動に依存するだけでは不十分である。SSPEが誤った経路を通り、標的領域以外の場所に最終的に到達してしまう危険を防止または低減するため、集団化を行わずに指向性磁場のみを変更することもできる。本明細書において指向性モードと呼ばれる方法を図13に示す。このシンプルな例では、指向性モードを用いた標的設定は、多くの例において非常に効果的だが、その効果は、時間への依存度が高く、SSPEの空間的な分布および速度の影響を受ける可能性があることを示している。これは、リアルタイム追跡や経路の画像化が可能な場合にも当てはまる(微小血管系での操作時には当てはまらない)。以下にその例を示す。
図13に示す例では、経路発見能力を有する2つのSSPE126のうち、SSPE Aは、位置131からスタートし、SSPE Bは、位置136からスタートする。両SSPEは、(太い白矢印により示される)同じ指向性勾配磁場128にしたがい、その結果SSPE Aは、位置132の中間標的チャネルへ向かう。SSPE Aが位置132に到達すると、磁場の方向が変化し、SSPE Aを、丸で囲まれたTで示される最終標的へ導く。この特定の例では、SSPE Bは、SSPE Aよりも少し速度が速いため、磁場の方向が変化した時点で、SSPE Bは、位置137に存在する。この場合、SSPE Aのみが、標的位置122に到達する。これは、この特定の例では、SSPE Bは、隣のチャネルへ入るからである。図13は、上記方法の限界を示す、経路発見能力を有する(または、障害物124からの角度が大き過ぎる場合には、経路発見能力を有さない)2つのSSPEに指向性モードを適用した場合の例を示す。
他の試みとして、指向性磁場の変更を後で行い、磁場の方向を僅かな角度だけ補正することができる。この場合、図13に示すように、SSPE Aは、位置133に存在し、SSPE Bは、位置138に存在すると考えられる。この場合、SSPE Bは、標的に到達し、SSPE Aは、標的チャネルの左側に存在する隣のチャネルに到達する。待機時間を少し延ばすことにより、SSPE Aが位置134に到達し、SSPE Bが位置139に到達してから指向性勾配磁場128の方向を変更するようにしても、上記試みと同じ結果になる。各SSPEの最初の位置、経路(障害物124)の幾何学的構造または環境の特徴、およびSSPEの間での速度の違いにより、この特定の例では、リアルタイム視覚フィードバックを用いても、標的への到達率は、ほんの50%である。この数値は、他の場合において高くなることも低くなることもあるが、それでも、このシンプルな例は指向性モードの限界を示しているといえる。
図14は、「分散」に対して正規分布を示す複数の磁気感応体151またはSSPEに対する指向性モード(Dモード)制御を高度に模式化した図である。白い矢印は、複数の磁気感応体151を導くための勾配磁場の大体の方向を示している。SSPEが障害物124に到達するまでは分散が大きくなり、到達後は、再グループ化/集団化してから再度分散して、最終的にAZ20に到達するということが分かる。
上述した、指向性モードの限界の原因となる問題を解消または改善するために、SSPEにより経路発見(PF)が行われうる領域を、上でAZ20として定義した領域、すなわち全て(または、ほとんど)のSSPE126が最初に収束および集団化する領域、に縮小(制限)することが考えられる。この「集団化モード」を、図15〜18に示す。図15Aは、標的設定するための集団化モードの使用を示しており、図15Bは、AZ20を縮小して標的設定の効率を高める例を示している。図15Aに示すように、2つのSS
PEは、ともに位置Aに向かって収束するが、この位置への収束は、指向性モードだけでは不可能である。まず、AZ20(中心すなわち収束ポイント10が、ハッチングされた4つの矢印により示されている円形領域)内に集まる前に、2つのSSPEは、収束ポイント10へ向かう磁場によって、集団化ゾーン20の収束ポイント10へ誘導される。このときの磁場の強度(図15において、AZの周辺におけるハッチングされた矢印よりも大きな矢印で示されている)は、SSPEの指向性トルクに対する感度よりも高い。集団化ゾーン20の周縁外側においては、2つのSSPEは、収束ポイントに向かって直線的またはほぼ直線的に移動する。AZ20の周縁を越えると、指向性トルクは弱くなり、SSPEをAZ20の収束ポイント10へ向かわせることはできなくなる。この結果、SSPEは、AZ20内で「ランダム」すなわち非直線的かつ制御不可能な挙動(変位)を行うようになる。十分な時間をかければ、全てのSSPEがAZ20に到達するので、指向性モードの場合とは異なり、SSPEの時間への依存度、速度差、および初期位置等の要因は、目標への誘導効果に対し、全くあるいはごく僅かにしか影響を与えない。例えば、この場合において、AZ20の収束ポイントを、図15AにおけるTで示される位置に変更したとしても、標的到達率は100%となる。
以上のことを考慮しつつ、AZ20のサイズ(例えば、AZ20が対称的である場合にはその直径)は、場合により適宜調整する必要がある。例えば、図15Bの例では、AZ20は、図15Aのものと同様の直径を有しているが、同じ標的到達率は得られない。この場合、AZ内の一部のSSPEは、誤ったチャネルに導かれてしまい、標的位置122ではなく、別の標的位置153に到達する。これを避けるためには、例えば、環境の幾何学的特徴(例えば、チャネルの幅やチャネル間の距離)に対して、AZのサイズを縮小すればよい。この様子は、図15Bにおいて、実線で描かれた小さな円として示されている。この円は、ハッチングされた4つの矢印により囲まれており、これらの矢印は、円の中心を指している。この新たな小さい集団化ゾーン155に対しても、本例では、100%の標的到達率が達成できる。ただし、これには、磁気走性システムに対してより高い電力が必要である。
なお、図15Bにおいて、あとの標的に用いられるAZは、その前のものよりも大きい。この場合、障害物124(壁など)や他の幾何学的要素によってSSPEの動きが制限されるので、あとのAZのサイズを縮小する必要はない。特定の領域において、幾何学的要素の正確な様子は分からないが、その境界あるいは範囲等が分かる場合には、通常、AZのサイズは、それに合わせて適宜調整される。
集団化モード:図16〜18に示すように、3つの基本的な集団化モードがある。第1のモードは、最もシンプルであり、標的モードまたはTモードと呼ばれ、図16に示されている。Tモードにおいては、所定量または所定割合のSSPE126が標的部位に到達するまで、操作全体に渡って、AZ20は、標的位置122に維持される。標的位置122は、AZ20内の収束ポイント10であってもよいが、必ずしもこれに限定する必要はない。いくつかの状況では、SSPE126は、磁場に沿って移動できない地点に到達することがある。これは、例えば、SSPEが、その直径よりも小さい血管内に詰まった場合などである。このような場合には、AZ20を形成する必要はない。また、いくつかの場合において、標的位置122は、収束ポイント10であってもよいが、上述した例と同様に、必ずしもこれに限定する必要はない。
第2の集団化モードは、分割モードまたはSモードと呼ばれ、図17に示されている。このモードは、SSPEの経路発見レベル、および、想定される、経路の幾何学的特徴を考慮している。このモードでは、SSPEの注入部位または初期集団化ゾーン171(またはこのモードが動作可能になる部位)と、標的AZ20(または、このモードが終了する部位)との間の異なる時点において、1つ(レベル1分割モードまたはS1モード)ま
たは複数(レベル2またはS2モードまたはそれ以上の分割モード)の中間AZが用いられる。通常、中間AZの位置は、全てのSSPE(または、ほとんどのSSPE)が、そのAZに到達した時点で、次の位置に変更される。最後のAZ20とは、標的位置122のAZである。このモードは、移動距離が比較的長く、ルートが不規則または複雑であり、その結果、移動中に非常に高い割合のSSPEを失う重大な危険性がある場合、または、脈管の幾何学的構造により一箇所で詰まってしまう重大な危険性がある場合に、標的モードと比べて有用である。後者のような場合を避ける例としては、微小流体のチャネルにおいて、SSPEの役割を果たすMC−1MTBに対してCモードを用いるものがある。図17に示すように、集団化ゾーンは、1、2、3、4、5の順で移動しており、集団化ゾーン間の区間はS1〜S4で示されている。このモードでは、集団化ゾーン同士は重なり合わず、ゾーン間の区間(S1〜S4)のある時点では、SSPEによる勾配磁場の感知が行われないようになっていてもよい。いくつかの実施形態では、この方法が有用である。例えば、大血管内を移動する場合には、血流のみによってSSPEを血管に沿って移動させることができる。
第3の集団化モードは、連続モードまたはCモードと呼ばれ、図18に示されている。このモードでは、SSPEを含むAZは、AZ内にSSPEを維持するために十分な低速度で、最初の集団化ゾーン171(またはこのモードが動作可能になる部位)と、標的AZ20(または、このモードが終了する部位)との間を移動する。AZは1から12(標的集団化ゾーン)へ順次移動するが、図17に示す分割モードとは異なり、SSPEが常に所定の勾配磁場を感知するように、順次移動ゾーン同士が重なり合っている。
全ての場合において、上記モードの組み合わせを用いることも可能である。なお、MC−1細菌等の、経路発見能力を有するSSPEは、細胞に埋め込まれた一連のマグネトソームに対する指向性トルクの誘導による影響が少ない場合には、より自由に指向性動作を行うことができる。そのため、AZ外で動作する場合に比べて、連続モードまたはAZ内で動作する場合には、経路発見の効率に影響が及ぶことがある。
調整モード:SSPEは、異なるレベルの経路発見能力を有する。例えば、推進システムおよび方向制御システムを有し、かつ、指向性磁場からの指向性トルクにより受動的に方向づけられる、単純な仮想人工球体の経路発見能力は0%であろう。一方、100%の経路発見能力を有するSSPEに対してTモードのみを用いると、標的領域へ続く経路の複雑性および幾何学的特徴に関係なく、100%の標的到達率になる。残念ながら、100%の経路発見能力は、現時点では実現不可能であり、実際には、経路発見能力を有するSSPEの評価は、100%を下回る。したがって、チャネルの幾何学的構造と、特定の磁場強度に対するSSPEの速度および行動とを考慮にいれた上で、問題のある経路においてSSPEをナビゲートするためには、磁場を調節して、標的到達効率を向上させることが非常に重要である。例えば、図15に示すように、MC−1細菌は、障害物の近傍では異なった行動をするため、標的への誘導効率が向上する可能性がある。磁場の強度もまたSSPEの行動に影響を与えるため、適切な調整モードとそれに関連する設定とを選択する際に、考慮に入れる必要があるかもしれない。
しかしながら、SSPEの現在の位置と標的AZとの間の経路の幾何学的構造により、SSPEの経路発見能力のレベルが、AZに到達するには不十分なレベルであるか、または、当該レベルでは、十分に高い標的到達率を達成できない場合には、上述した集団化モードと共に、1つあるいは複数の調整モードを用いることもできる。
基本的な調整モードとしては、振幅調整(AM)モード、オフセット調整(OM)モード、周波数調整(FM)モード、および形状調整(SM)モードの4つの調整モードがあり、それぞれのモードは、異なる頻度で動作可能である。上述したように、これら4つの
基本的な調整モードは、典型的には、前項で述べた4つの基本的な集団化モードのうちの少なくとも1つと共に動作する。
例えば、T−AMモードでは、AZの直径が、特定の周波数(周期)で振幅変調される(すなわち、AZの全体サイズの拡大および縮小が交互に行われる)。ここで、AZのサイズにおける振幅すなわち変化だけではなく、これらの変化が起こる周波数も特定しておく必要がある。典型的には2つのサイズが用いられるが、このモードでは、より多くのサイズを用いることもできる。
図6は正確な縮尺ではないが、同図に示すように、高勾配または高電流振幅を用いることにより、より小さい収束ポイント60(またはAZ)を形成することができる。この調整手法は、制御部81により制御されており、これにより、細菌またはSSPE126は、障害物124を避けることができる。この結果、SSPE126に固有の経路発見能力を用いて、標的到達率を高めることができる。障害物124を避けるために、収束ポイントが、左側のコイル(X1)側へ移動して、破線円領域61として示される位置になければならない場合、制御部81は、X1、X2、Y1、およびY2で示される4つのコイルの電流、方向、および起動を制御して、収束ポイント10を破線円領域61に移動させる。
同じことが、他のモードにも当てはまる。例えば、T−OMモードの場合、標的に位置するAZの収束ポイントは、標的ゾーンの中心と1以上のシフト位置との間を、特定の距離および特定の周波数でシフトする。T−FMモードに関しては、磁気走性システムにおける電流が、特定の周波数で単純にオン・オフされる。最後に、T−SMモードでは、例えば、収束ポイントの形状が、特定の周波数で、収束ポイント10の形状と、第1形状71あるいは第2形状72との間で変更させられる。一例を図7に示す。
様々なタイプの調整モードの基本的な概念は、SSPEの方向を僅かに変更して、障害物によりSSPEの進路が塞がれるのを回避することである。磁気走性細菌は、障害物の周りを泳ぐことができるが、いくつかのタイプの障害物の場合、我々が少しサポートすることにより、出口を探させるようにしなければ、磁気走性細菌は、これらの障害物を避けることができない。このサポートを上記の調整により行っている。これらの調整モードは、例えば、毛細血管網等に関して演繹的に得られる知見(あるいはモデル)に従って適用することができる。AZのサイズを変更する場合、収束ポイントに収束する磁力線の方向が僅かに変更されるが、これが振幅調整である。AZの全体のサイズを変更する代わりに、その形状を変更することもでき、この結果、収束ポイントへ向かう方向が僅かに変更されるが、これが、形状調整である。また、収束ポイントを変位させると、指向性の収束磁力線が変更されるが、これがオフセット調整である。周波数調整の場合、特定の周波数で、システムがオン・オフされる。システムがオフの時(コイルに電流が流れていない時)、SSPEとして磁気走性細菌を用いる場合には、指向性トルクは、一連のマグネトソームに印加されない。したがって、細菌はランダムに移動して、脈管の行き詰まりから脱出することができる。その後、システムを再度オンにすると、進路を大きく外れる前に、SSPEを腫瘍や他の標的へ向かって導くことができる。これらの調整モードの全てを組み合わせて、SSPEの標的誘導、集団化、および経路発見に対する制御を向上させることもできる。
図19は、X、Y、およびZ軸に配置された対向するコイルのセットを用いて、収束ポイントを生成するための所定プログラム(例えば、時分割多重化)を図示したものである。図19Aは第1所定プログラムを示し、図19Bは、第2の異なる所定プログラムを示し、両プログラムは3次元収束ポイント10を生成するためのものである。図19Aから分かるように、X軸のコイルに関しては、X軸において勾配磁場を生成するコイルの組で
あって、(図6に示される用語を用いると)互いに対向し、かつ略平行なコイルの組は、各コイル(X1およびX2)に特定の電流が流れ、また各コイルに反対方向(D1およびD2)の電流が流れるように構成されている。Y軸のコイルに関しては、Y軸において勾配磁場を生成するコイルの組であって、互いに対向し、かつ略平行なコイルの組は、各コイル(Y1およびY2)に特定の電流が流れ、また各コイルに反対方向(D1およびD2)の電流が流れるように構成されている。最後に、Z軸において対向するコイルの組は、両コイルを同じ方向(D1のみ)に特定の電流が流れ、この方向は、所定の周波数にしたがって両コイル内で反転するように構成されている。
図19Bは、同時に2セットのコイルの組み合わせ(例えば、XとY)を用いて3次元の収束ポイントを生成するための、代替の時分割多重化プログラムを示している。このとき、第3セット(例えば、Z)は動作しない(すなわち、磁場源は、Z軸において勾配磁場を生成しない)。X、Y、およびZにおける、2つのセットの磁場源からなる組み合わせは、全部で(X,Y)、(X,Z)、(Y,Z)であることが理解されよう。
マクスウェルコイルは、仮想球体における3つの平行コイルで形成されると理解でき、Rを中央コイルの半径とすると、各外側コイルは、(4/7)Rの平方根の半径を有し、中央コイルの平面から(3/7)Rの距離を有する。所定の距離だけ離れた平行なコイルのセットが配されたコイル構成の実施形態では、互いに「対向する」コイルを流れる電流は、反対方向(または逆方向)に流れていなければならず、この目的は、磁場力がほぼ存在しない特定の「中央」位置にSSPEを集団化させる勾配磁場を生成するためであるということが理解できる。ヘルムホルツ構成では、2つの略対向かつ略平行なコイルにおいて、これらのコイルに流れる電流を同じ方向とすることにより、一方向への線形磁場勾配を生成する。一方、マクスウェル構成では、2つの略対向かつ略平行なコイルにおいて、これらのコイルに流れる電流を反対方向とすることにより、コイル間のある位置において、各コイルを流れる電流に依存する収束ポイントを生成する。
本明細書において、「体」という語は、広義に解釈されるべきである。ある実施形態において、体とは人体であり、他の実施形態において、体とは、磁気感応体の集団化(および、標的への誘導)による恩恵をうける動物の体または物理的物体である。なお、本発明の装置および方法は、トレーニングや研究開発等のために、死体に対して用いる場合にも有用である。
いくつかの実施形態では、磁気感応体は、診断を行うために、人体の特定の位置で集団化される。これは、診断用の化合物には、局所的かつ極めて特定的な輸送を行うことで、より効果を奏するものや、濃度が高いと有毒なものがあるからである。
当業者には明らかなように、いくつかの実施形態では、体は磁場源内に位置しているか、または、磁場源が体の周りに位置していてもよい。患者を載置し、磁場源に対して固定するためのプラットフォームが好適であるが、プロットフォームを用いずに、体に対して磁場源を固定することも可能である。例えば、人または体を磁場源の中に立たせるという態様がある。体に対して磁場源の位置を決定する、位置決めシステムは有利である。場合によっては磁場源を移動させることもあるし、(プラットフォーム上またはそれ以外に位置する)体を移動させる場合もある。いずれの場合にしても、磁場源に対して体の位置を合わせることは、感応体を特定の収束ポイントに誘導するために有利である。磁場源が1つ(または複数)のコイルである場合、コイル内に人体を載置するためには、当該コイルは、十分な大きさを有するものとされる。これにより、頭部を含む、人体内のいずれかの位置に収束ポイントを設定することが可能となる。いくつかの実施形態では、患者を載置する装置は、機械的手段等の各種の手段、例えば、体を囲むようにコイルを配置するための手段や、コイルから体を解放するための手段を含む。他の実施形態では、患者または体
をプラットフォーム(椅子、車輪付担架、ベッド)に載置した後、このプラットフォームを装置の中へ移動する。さらに他の実施形態では、プラットフォームは、既に装置内に置かれており、装置には、プラットフォームに患者または体を載せる手段が設けられている。
本発明につき、具体的な種々の実施形態に基づき説明したが、これをさらに改変することが可能であることは言うまでもない。本願は、一般に、本発明の原理に基づく、いかなる変更、使用または応用も包含するものである。また本願は、本発明が関する当該分野において周知あるいは慣用された手法により上記の開示から改変しうるものも含むものである。また本願は、本明細書において開示され、または以下の特許請求の範囲に記載された本質的特徴に適用することで得られる改変例も含むものである。

Claims (39)

  1. 体の内部において自己推進磁気感応体の集団化を制御する装置であって、
    磁場を生成するために3つの軸上に配置された少なくとも3セットの磁場源と、
    前記磁場源の少なくとも1つに接続されており、3次元の収束ポイントを生成するように構成された制御部と、を備える装置。
  2. 前記磁場源のうち、第1セットおよび第2セットの磁場源は、それぞれ当該セットにおいて対向する勾配磁場を生成して前記磁気感応体を2つの軸に集団化させ、前記制御部は、第1所定プログラムに従って、第3軸における第3セットの磁場源の勾配磁場の方向を反転する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記第3軸における前記磁場源は、同じ方向に電流を流すように配線された2つのコイルをさらに備える、請求項2に記載の装置。
  4. 前記制御部は、第2所定プログラムに従って、2つのセットの磁場源の全ての組み合わせを順次起動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
  5. 前記第1セットおよび前記第2セットの磁場源は、それぞれ当該セットにおいて反対方向に電流が流れる2つのコイルを備えている、請求項2〜4のいずれか1つに記載の装置。
  6. 少なくとも1つの磁場源が前記体の内部に位置する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
  7. 対向する磁場源の1つまたは複数のセットは、永久磁石を備える、請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
  8. 前記制御部は、さらに、前記磁場源を制御することにより、前記磁気感応体を変位させるように構成されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
  9. 前記平面は、互いに直交している、請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
  10. 前記制御部は、前記収束ポイントを前記磁気源のセットに対して移動させることにより、前記体の内部の位置に対して前記感応体を誘導するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
  11. 前記磁場源のセット用の位置決め装置をさらに備えており、前記収束ポイントの位置は、前記磁場源を移動させることにより変更される、請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
  12. 前記体を支持するプラットフォームをさらに備え、前記収束ポイントの位置は、前記プラットフォームを移動させることにより変更される、請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
  13. 前記誘導は、指向性モードおよび集団化モードを組み合わせて行われる、請求項10〜12のいずれか1つに記載の装置。
  14. 前記誘導は、前記収束ポイントの連続的移動および順次的移動の一方を含む、請求項10〜12のいずれか1つに記載の装置。
  15. 前記磁気感応体は、磁気走性細菌を含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の装置。
  16. 前記第1および第2所定プログラムは、前記磁場における変化にしたがって前記磁気走性細菌の一部が前記磁場に対して再整列する周波数を提供する、請求項2または4に記載の装置。
  17. 前記周波数は、0.1〜5Hzの範囲である、請求項16に記載の装置。
  18. 前記周波数は、約0.5Hzである、請求項16に記載の装置。
  19. 前記磁気感応体は、抗がん剤と連結している、請求項15〜18のいずれか1つに記載の装置。
  20. 前記収束ポイントは、体内の腫瘍である、請求項1〜19のいずれか1つに記載の装置。
  21. 前記制御部は、前記収束ポイントのサイズを変更して、磁気感応体の経路発見能力を高めるように構成されている、請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。
  22. 前記制御部は、前記収束ポイントの形状を変更して、磁気感応体の経路発見能力を高めるように構成されている、請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。
  23. 前記制御部は、前記磁場源の起動を制御して、磁気感応体の経路発見能力を高めるように構成されている、請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。
  24. 上位の集団化ゾーンを調整することにより、磁気感応体の経路発見能力を向上させるように構成されている、請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。
  25. 前記磁気感応体の位置を検出するための磁気感応体検出器をさらに備える、請求項1〜24のいずれか1つに記載の装置。
  26. 前記磁気感応体検出器を有する第1ステーションと、前記磁場源を有する第2ステーションとの間を移動するプラットフォームをさらに備える、請求項1〜25のいずれか1つに記載の装置。
  27. 前記磁気感応体検出器は、磁気共鳴画像形成マシンおよびポジトロン放射断層撮影マシンのいずれか一方である、請求項25または26に記載の装置。
  28. 体の内部において自己推進磁気感応体を集団化する方法であって、
    前記体内において、3次元の収束ポイントを有する磁場を生成し、
    前記感応体を前記収束ポイントへ向かって移動させ、かつ、前記収束ポイントの近傍で集団化させる、ことを含む方法。
  29. 前記収束ポイントの生成は、2つの軸において一定の勾配磁場を維持し、第3軸において第1所定プログラムにしたがい前記勾配磁場の方向を交互に切り換える、ことをさらに含む請求項28に記載の方法。
  30. 前記収束ポイントの生成は、第2所定プログラムにしたがい、2つの対向する磁場源の
    全ての組み合わせを順次起動することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  31. 前記磁場を変更することにより前記収束ポイントの位置を変更する、ことをさらに含む、請求項28〜30のいずれか1つに記載の方法。
  32. 前記磁場源は、コイルを含む、請求項30または31に記載の方法。
  33. 前記コイルを流れる電流の強度を変更することにより前記収束ポイントのサイズを変更する、ことをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  34. 前記体は、非生体である、請求項28〜33のいずれか1つに記載の方法。
  35. 前記収束ポイントの連続的移動または順次的移動のいずれか一方により、前記位置に到
    達する、請求項31に記載の方法。
  36. 指向性モードを用いて、前記磁気感応体を前記体の内部における位置に誘導することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  37. 前記磁気感応体は、磁気走性細菌を含む、請求項28〜36のいずれか1つに記載の方法。
  38. 前記磁気走性細菌を抗がん剤を連結する、ことをさらに含む、請求項37に記載の方法。
  39. 前記体を囲むように前記コイルを配置する手段と、前記コイルから前記体を解放する手段と、をさらに含む、請求項5に記載の装置。
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