JP2019010535A - 基板用コーティング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成分A及びB、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを含む親水性コーティングを有する表面を有する基材であって、成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性モノマーを含み、成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、成分Cが、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに成分Dが、チオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、1種以上の化学物質を含む成分Eを任意選択的に含み、、並びに親水性コーティングが、基材の表面に共有結合している基材。
【選択図】図1
Description
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、
架橋コポリマーが、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基、並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合により形成し、
親水性コーティングが、1種以上の有益な化学物質を含む成分Eを任意選択的に含み、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成せず、
並びに親水性コーティングが、基材の表面に共有結合している
基材を提供する。
本発明の方法を用いて、任意の基材は本発明の親水性コーティングでコートされる可能性があるが、係るコーティングは医療用デバイス、分析用デバイス、分離用デバイス、又はメンブレン及びファブリックを含む他の産業用物品に対して特に有用である。
基材は、とりわけ金属又は合成の若しくは天然に存在する、有機若しくは無機のポリマー又はセラミック材料を含んでよく、またこれから形成されてよい。
本発明の親水性コーティングは、以下に記載のように、成分A及びB、並びに任意選択の成分C、D及びEを含む。
成分Aは、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また好適にはこれからなる。成分Aのアルケン及び/又はアルキン基は、ラジカル重合反応に関与してコポリマーを形成する。好適には、成分Aは1つ以上アルケン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、またより好適にはこれからなる。
成分Bは、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなる。成分Bのアルケン及び/又はアルキン基は、ラジカル重合反応に関与してコポリマーを形成する。実施態様において、成分Bは2つ以上のアルケン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなる。
成分Bが、2つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上のPEGポリマーを含み、また好適にはこれからなる場合、PEGポリマーはの平均分子量は、例えば、600〜2000000Da、60000〜2000000Da、40000〜2000000Da、400000〜1600000Da、800〜1200000Da、600〜40000Da、600〜20000Da、4000〜16000Da、又は8000〜12000Daである。
成分Cは、本発明の親水性コーティングにおいて任意選択の成分である。存在する場合には、成分Cは、1つ以上のアルケン又はアルキン基を(好適には1つのアルケン又はアルキン基)各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなる。成分Cのアルケン又はアルキン基は、ラジカル重合反応に関与してコポリマーを形成する。
抗血栓剤
抗血栓剤を用いることにより、体内に医療用デバイスを挿入する際に起こり得る血液の凝固の重大な悪影響を予防し又は軽減する場合がある。抗血栓剤の例としては、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ヒルジン、エプチフィバチド、チロフィバン、ウロキナーゼ、D‐Phe‐Pro‐Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、HSP20を模倣するAZX100細胞ペプチド(キャップストーン セラピューティクス社、米国)、トロンビン阻害剤、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤(クロピドグレル及びアブシキシマブ)及び抗血小板ペプチド、クマジン(ワルファリンのような4‐ヒドロキシクマリン類のビタミンKアンタゴニスト)、アルガトロバン、トロンボモジュリン及び抗凝固タンパク質が挙げられる。抗血栓剤としては、アピラーゼ等の酵素を挙げてもよい。係る基材は、荷電(例えばアニオン性)又は非荷電であってよい。他の例は、グリコサミノグリカン、デルマタン二硫酸塩、デルマタン二硫酸塩類縁体、及びこれらの誘導体である。
止血剤を用いることにより、血液の大量損失を防ぐために、出血、大出血、又は血管若しくは体部位を流れる血液を止める場合がある。これらは、血小板の凝集及び血栓の形成を引き起こす場合があり、また、これらの使用により外科的処置において出血を止める場合がある。止血剤の例は、フィブリンシーラント(sealents)、トロンビンあり及びなしの可吸性止血剤、トロンビンの溶液、コラーゲン、微繊維性コラーゲン、ゼラチン、ゼラチンスポンジ、再生酸化セルロース、骨ろう、グルコサミン含有ポリマー、キトサン、植物抽出物、ミネラル、rFVIIa及び抗線維素溶解剤である。
血管新生阻害剤は、腫瘍の血管新生を阻害し、また血管内皮細胞を標的とする。血管新生阻害剤の例は、スニチニブ、ベバシズマブ、イトラコナゾール、スラミン、及びテトラチオモリブデートである。
血管新生剤を、細胞増殖が望まれる用途において用いることができる。血管新生剤の例としては、成長因子及びRGDタンパク質が挙げられる。
抗菌剤は、いずれかが病原菌の殺滅又は増殖を遅らせる薬剤、化学薬品、又は他の薬物に関する一般的な用語である。抗菌剤の中には、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び抗寄生虫(antiparisitic)薬がある。抗菌剤の例としては、ジアミジン、ヨウ素及びヨードフォア、ペルオキシゲン、フェノール類、ビスフェノール類、ハロフェノール、ビグアニド、銀化合物、トリクロサン、クロルヘキシジン、トリクロカルバン、ヘキサクロロフェン、ジブロモプロパミジン、クロロキシレノール、フェノール及びクレゾール又はこれらの組み合わせ並びにこれらの塩及び組み合わせ、抗生物質、エリスロマイシン又はバンコマイシン;ドーパミン、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸ペルゴリド又は別のドーパミンアゴニスト;又は別の放射線治療薬;放射線不透過性物質として機能するヨウ素含有化合物、バリウム含有化合物、金、タンタル、白金、タングステン又は他の重金属;ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、細胞成分又は他の生物学的薬剤;カプトプリル、エナラプリル、又は他のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬;アスコルビン酸、ニトロフラゾン、塩化ベンザルコニウム、例えば、リファンピン、ゲンタマイシン セファロスポリン系、アミノグリコシド系、ニトロフラントイン及びミノサイクリン、サリチル酸、アルファトコフェロール、スーパーオキシドジスムターゼ、デフェロキサミン(deferoxyamine)、21‐アミノステロイド(ラサロイド)等の抗生物質、又は別のフリーラジカル捕捉剤、鉄キレート剤若しくは酸化防止剤;アンジオペプチン;14C‐、3H‐、131I‐、32P、若しくは36S‐放射性標識型、又は上記のいずれかの他の放射性標識型;又はこれらの任意の混合物からなる群より選択される化合物が挙げられる。他の例は、細胞毒性薬、細胞増殖抑制薬及び細胞増殖因子;血管拡張剤;内因性血管作用メカニズムを妨げる化学物質;モノクロナール抗体等の白血球動員の阻害剤;サイトカイン;ホルモン又はこれらの組み合わせである。
増殖剤は、細胞増殖を刺激し、また例としては成長因子、転写活性化因子、及び翻訳プロモーター等の血管細胞成長プロモーターである。
抗増殖剤は、成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、阻害抗体、抗成長因子抗体、成長因子と細胞毒からなる二官能分子、抗体と細胞毒から成る二官能分子等の血管細胞成長阻害剤;蛋白キナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);プロスタサイクリン類似体、コレステロール低下薬、アンジオポエチン等の細胞の拡大の防止又は遅延のために用いられる薬物である。また、化学物質を含むことは、特に平滑筋細胞において、デバイスが体内に挿入される際の細胞増殖の低減又は防止により再狭窄を防止する。係る化学物質の例としては、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、パクリタキセル及びシロリムス等の抗増殖剤が挙げられるが、限定されることはない。他の例は、シロスタゾール、エベロリムス、ジクマロール、ゾタロリムス、カルベジロール並びに例えばパクリタキセル及びこれらの類縁体等の主要なタキサンドメイン結合薬、エポチロン、ディスコデルモリド、ドセタキセル、例えばアブラキサンRTM(アブラキサンはABRAXIS BIOSCIENCE、LLCの登録商標である)等のパクリタキセルタンパク質結合粒子、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)、ラパマイシン及びこれらの類縁体と複合したパクリタキセル、適切なシクロデキストリン(又はシクロデキストリン様分子)と複合したラパマイシン(又はラパマイシン類縁体)、SiRNA、17ベータ‐エストラジオール、適切なシクロデキストリンと複合した17ベータ‐エストラジオール、ジクマロール、適切なシクロデキストリン、ベータ‐ラパコン及びこれらの類縁体と複合したジクマロール、5‐フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖をブロックすることのできるモノクロナール抗体、並びにチミジンキナーゼ阻害剤等の抗腫瘍薬並びに抗有糸***薬(anti−miotic);リドカイン、ブビバカイン並びにロピバカイン等の麻酔薬である。
抗炎症薬は、炎症を低減させる薬剤である。多くのステロイド、具体的にはグルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体に結合することにより炎症又は腫れを低減させる。これらの薬剤は、しばしばコルチコステロイドと呼ばれる。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害することにより活性である。NSAIDsの幾つかの一般的な例は、アスピリン、イブプロフェン、及びナプロキセンであるが、限定されることはない。他の特定のCOX‐阻害剤もまた企図されるだろう。抗炎症薬の例は、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン等のステロイド、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン、シロリムス及びエベロリムス(及び関係する類縁体)である。
接着剤は、表面のタック又は粘性を増大させるために用いられる化合物である。これらは、高分子量化合物又は低分子量化合物であることができる。タック性のある表面は、接着を可能にし、またコーティングの引き剥がしをはるかに困難にする。接着剤としては、不十分に硬化した系、エポキシド含有系、タッキファイヤー及びこれらのフォームが挙げられるが、限定されることはない。多くのバイオポリマー‐タンパク質、炭水化物、糖タンパク質、及びムコ多糖‐を用いることにより、接着に寄与するヒドロゲルを形成してよい。
潤滑材は、導入される場合に本発明の親水性を増大させることができる化合物である。親水性化学物質の例は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリ‐N‐ビニルピロリドン、ポリ‐N‐ビニルピロリドン誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)又はポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)、ポリグリシドール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、シリコーン、シリコーン誘導体、多糖類、多糖類誘導体、ポリスルホベタイン、ポリスルホベタイン誘導体、ポリカルボキシベタイン、ポリカルボキシベタイン誘導体、ポリHEMA等のポリアルコール、アルギネート等のポリ酸、デキストラン、アガロース、ポリ‐リジン、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸誘導体、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド誘導体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド誘導体、ポリスルホン、ポリスルホン誘導体、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリスチレン誘導体、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン誘導体、ポリオキサゾリン、ポリオキサゾリン誘導体、ポリアミン及びポリアミン誘導体からなる群より独立に選択される親水性ポリマーである。上述したポリマーのブロックポリマーも有用であり、例えば、ポリ(ビニルアルコール‐コ‐エチレン)、ポリ(エチレングリコール‐コ‐プロピレングリコール)、ポリ(酢酸ビニル‐コ‐ビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン‐コ‐ビニルアルコール)、ポリ(アクリロニトリル‐コ‐アクリルアミド)、ポリ(アクリロニトリル‐コ‐アクリル酸‐コ‐アクリルアミド)である。
導電材を本発明のコーティングに組み込むことにより、電極等のデバイスに関して導電性の表面を提供することができる。導電剤の例としては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリピロール(PPY)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリチオフェン(PT)、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p‐フェニレンサルファイド)、ポリアセチレン(PAC)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)又はこれらの誘導体が挙げられる。
1つの実施態様において、成分Cの分子量は2000000Da以下である。別の実施態様において、成分Cの分子量は100000Da〜1500000Daである。
成分Dは、本発明の親水性コーティングにおいて、任意選択の成分である。存在する場合には、成分Dはチオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなる。Dの官能基は、ラジカル重合反応に関与してコポリマーを形成する。例えば、成分Dは2つ以上のチオール基、例えば2つのチオール基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなる。チオール基は、チオール‐エン/イン反応経由のラジカル重合反応に関与して架橋コポリマーを形成する。
成分Eは、存在する場合には、1つ以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなり、成分Eは、成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しない。成分Eの存在は、それを含む親水性コーティングの性質を変化させる傾向があるであろう。
1つの実施態様において、成分Cが存在し、かつ、成分Dは存在しない。1つの実施態様において、成分Dが存在し、かつ、成分Cは存在しない。1つの実施態様において、成分C及びDは存在しない。1つの実施態様において、成分C及びDは存在する。
成分A及び成分Bの相対比は、その親水性を保持しつつ、コーティングが構造的な完全性を有するようなものでなければならない。例えば、成分Aの相対比が成分Bの比率と比較して高すぎる場合、コーティングの柔軟性はより低くなり、また十分でない親水性である可能性がある。反対に、成分Bの相対比が成分Aの比率と比較して高すぎる場合、結果としてコーティングは層間剥離に耐えるのに十分な構造の完全性を有さない場合がある。成分Cが存在する場合、成分A、B及びC及び任意選択のDの相対比は、コーティングが成分Cと結合する有益な性質を呈するが、依然として親水性であり、かつ、構造的に安定であるようなものでなければならない。
本発明は、基材の表面に共有結合する親水性コーティングの形成方法であって、前記方法が、
(a)表面と、成分A及びB、任意選択の成分C、任意選択の成分D及びラジカル開始剤を含む混合物とを接触させるステップであって、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上(例えば1つ)のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなり、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン、及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなるステップ、
並びに
(b)成分A、成分B、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを形成するために、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合を開始するステップであって、前記コポリマーが表面に共有結合するステップ、並びに
(c)任意選択的に、1種以上の有益な化学物質を含み、好適にはこれからなる成分Eを親水性コーティング中に組み込むステップであって、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しないステップ
を含む方法を提供する。
第一の実施態様において、基材の表面と親水性コーティングとの間の共有結合は、親水性コーティングの成分を有する基材の表面上に表面結合のラジカルの反応を介して形成される。また、表面結合のラジカルは、基材の表面からの水素原子の引き抜きを介して生成される。
(a)表面と、成分A及びB、任意選択の成分C、任意選択の成分D及び表面から水素原子を引き抜いて表面結合のラジカルを生成できるラジカル開始剤を含む混合物とを接触させるステップであって、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上(例えば1つ)のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなり、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン、及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなるステップ、
並びに
(b)成分A、成分B、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを形成するために、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合を開始するステップであって、前記コポリマーが表面結合のラジカルの反応を介して表面に共有結合するステップ、並びに
(c)任意選択的に、1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなる成分Eを親水性コーティング中に組み込むステップであって、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しないステップ
を含む方法を提供する。
1つの実施態様において、引き抜き可能な水素原子を含むポリマーは、ポリドーパミンである。ポリドーパミンは、カテコール官能基を含むポリマーの例である。別の実施態様において、引き抜き可能な水素原子を含むポリマーは、ポリドーパミンを含む。本発明の背景において議論したように、ポリドーパミンは、モノマードーパミンの重合により形成される。ポリドーパミンの正確な構造は、よく解明されてはいない。また、図3に示すように多くの構造が提案されてきた。
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上(例えば1つ)のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなり、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなり、
架橋コポリマーが、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基、並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合により形成し、
親水性コーティングが、1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなる成分Eを任意選択的に含み、成分Eが成分A、B、C、(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しない第二のコーティングであり、
並びに第二のコーティングが、第一のコーティングに共有結合している基材を提供する。
上述したように、空気(すなわち酸素)に曝露されたアルカリ性水溶液中のドーパミンは、付加的な反応なしで重合してポリドーパミンを形成するであろう。しかし、重合速度はドーパミン含有溶液に対する酸化剤の添加により増加させることができる。好適な酸化剤としては、過硫酸アンモニウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられるが、限定されることはない。従って、1つの実施態様において、ポリドーパミンの表面コーティングは、基材の表面と、酸化剤及びドーパミン及び/又はドーパミン類縁体を含む混合物との接触により形成される。
実施態様によれば、成分A、B並びに任意選択のC及びDの重合は、基材の表面から水素原子を引き抜いて、表面結合のラジカルを生成するラジカル開始剤により開始される。表面結合のラジカルは、水素原子が引き抜かれた表面に結合し、又はその範囲に留まるラジカルである。表面結合のラジカルは、次いで、成分A、B並びに任意選択のC及びDの少なくとも1つと反応して表面に共有結合する関連成分のコポリマーを形成する。
1つの実施態様において、開始剤はベンゾフェノンである。ベンゾフェノンはタイプIIの光開始剤であり、また水素引き抜き/プロトン移動の高い量子効率のために、特にアミンと広く用いられている。ベンゾフェノンを用いる光開始重合の代表的な反応スキームを以下のスキーム1に示す。
ラジカル開始剤の組み合わせ
ラジカル重合は、1つ以上のラジカル開始剤の使用によって重合を開始することにより増大する場合がある。1つの実施態様において、ステップ(a)のラジカル開始剤は、2種以上のラジカル開始剤の混合物、特に2種以上の紫外光開始剤である。1つの実施態様において、ステップ(a)のラジカル開始剤は、ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α‐ジアルコキシアセトフェノン、α‐ヒドロキシアルキルフェノン、α‐アミノアルキルフェノン及びアシルホスフィンオキシドからなる群より選択される2種以上の紫外光開始剤の混合物である。1つの実施態様において、ステップ(a)のラジカル開始剤は、ベンゾフェノン及び/又はこれらの誘導体並びにチオキサントン及び/又はこれらの誘導体の混合物である。好適には、ステップ(a)のラジカル開始剤はベンゾフェノン及びチオキサントンの混合物である。
第二の実施態様において、液相中において表面と接触して形成したフリーラジカルにより開始したプロセスにおいて、基材の表面上の反応基は、成分A及びB並びに任意選択の成分C及びDの少なくとも1つと反応して表面にコポリマーを共有結合させる。
(a)表面と、成分A及びB、任意選択の成分C、任意選択の成分D及びラジカル開始剤を含む液相混合物とを接触させるステップであって、前記ラジカル開始剤が、液相中においてラジカルを生成することができ、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また好適にはこれからなり、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上(例えば1つ)のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなり、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン、及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、また好適にはこれからなるステップ、
並びに
(b)成分A、成分B、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを形成するために、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基、基材の表面の重合可能な官能基、及び成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合を開始するステップであって、前記コポリマーが表面に共有結合するステップ、並びに
(c)任意選択的に、1種以上の有益な化学物質を含み、また好適にはこれからなる成分Eを親水性コーティング中に組み込むステップであって、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しないステップ
を含む方法を提供する。
液相中においてラジカルを生成することのできるラジカル開始剤としては、光開始剤(タイプI及びタイプIIのラジカル開始剤)並びに熱的開始剤が挙げられる。
更なる実施態様において、基材の表面と親水性コーティングとの間の共有結合は、実施態様(i)及び(ii)両方を包含する重合(例えば基材の表面が引き抜き可能な水素原子及び活性の官能基両方を含む場合)を介して形成される。
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基(例えば、成分Aはアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの混合物から選択される)を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基(例えば、成分Bは上記で定義した構造式(I)及び(II)の化合物から選択される)を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
架橋コポリマーが、成分A及びBのアルケン及び/又はアルキン基が関与するラジカル重合により形成され、
並びに、第二の親水性コーティング層が、ポリドーパミンの第一の下塗りコーティング層に共有結合する基材が提供される。前記共有結合は、好適には親水性コーティングの成分を有するドーパミン上の表面結合のラジカル(表面結合のラジカルは、ドーパミンからの水素原子の引き抜きを介して生成する)の反応を介して達成される。
(a)ドーパミンの重合が起こり得るような(例えば酸化剤の存在下で)条件下で、コーティングとドーパミンとを接触させることにより基材上のポリドーパミンの第一の下塗りコーティング層を作製するステップ、
(b)ドーパミンで下塗りされた基材と、成分A及びB並びにラジカル開始剤を含む混合物とを接触させるステップであって、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基(例えば、成分Aはアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの混合物から選択される)を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、並びに
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基(例えば、成分Bは上記で定義した構造式(I)及び(II)の化合物から選択される)を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
並びに
(c)成分A及び成分Bの架橋コポリマーを形成するために、成分A及びBのアルケン及び/又はアルキン基が関与するラジカル重合を開始させるステップであって、前記コポリマーがポリドーパミンの第一の下塗りコーティング層に共有結合するステップ
を含む方法が提供される。
引き抜き可能な水素原子を含むポリマーに対する接着性、又は有益な化学物質を任意選択的に含むコーティングに対する接着性を向上させるために、コーティングに先立って、基材の表面を洗浄又は前処理することができる。表面の前洗浄又は前処理は、いずれかのコーティングの均一性も向上させる場合がある。
コーティングの潤滑性を、基本手順及び例3bに記載の潤滑性試験を用いて測定することができる。
粒状化に対する感受性がより低いこと。例えば粒状化試験に準拠して測定する、
高い耐久性。例えば耐久性試験を用いて測定する、
良好なコーティング均一性を有すること。例えば染色法及び外観検査を用いて測定する、
高い潤滑性。例えば潤滑性試験又はウェットグローブ試験を用いて測定する、
成分C及び/又はEが存在し、かつ、ヘパリン等の抗凝固剤である場合、良好な抗血栓性。例えば血液接触評価試験を用いて測定する、
成分C及び/又はEが存在し、かつ、抗菌剤である場合、良好な抗菌活性。例えば阻止帯試験を用いて測定する、
殺菌に対し安定であること、
良好な生体適合性及び低細胞毒性。例えばISO10993‐5に準拠して測定する。
USPチャプターに記載の残留溶媒にクラス3及びクラス2溶媒として列記される溶媒以外の有機溶媒に対する必要(特にクラス3として列記された溶媒以外の有機溶媒の必要を除外すること)及び係る残留有機溶媒の除去のために必要とされる余分な反応ステップを除外すること、
コーティングが多くの異なる基材の表面に適用可能であるような広範な適用性。
‘C1〜C8アルキル’は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐の脂肪族炭素鎖を指し、例えばメチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、t‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル並びにメチレン、エチレン等の対応するアルキレン基である。
AA アクリル酸
APS 過硫酸アンモニウム
BP ベンゾフェノン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
d.i. 脱イオン
dura. 耐久性
EDC 1‐エチル‐3‐[3‐ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩
EO エチレンオキシド
EtOAc 酢酸エチル
FTIR フーリエ変換赤外分光
HEMA 2‐ヒドロキシエチルメタクリレート
IPA イソプロパノール
lubr. 潤滑性
分 分
MES 2‐(N‐モルホリノ)エタンスルホン酸
NHS N‐ヒドロキシスクシンイミド
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PEG ポリエチレングリコール
RH 相対湿度
TEA トリエチルアミン
TASSF 試験の定常状態の力の平均
THF テトラヒドロフラン
tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
QCM 石英結晶マイクロバランス
基本手順
化学品
ドーパミン塩酸塩(ドーパミン)、ベンゾフェノン、エタノール96%、イソプロパノール、クロルヘキシジン、トリエチルアミン、塩化アクリロイル、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、塩酸37%、ピリジン、メタクリル酸無水物、ヘパリンナトリウム塩、N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N’‐エチルカルボジイミド塩酸塩、2‐アミノエチルメタクリレート塩酸塩、テトラヒドロフラン、2‐(N‐モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩、リン酸緩衝生理食塩水、炭酸銀、アクリル酸及びジヒドロキシル官能化PEGバリアント(4kDa、8kDa及び20kDa)を、Sigma‐Aldrichから購入し、また認められたように使用した。分子量が10kDaであるポリエチレングリコール(ジアクリレート化PEG)をCreative PEG Worksから購入し、また認められたように使用した。分子量8kDaのジアクリレート化PEGを例7に準拠して合成した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及び過硫酸アンモニウムをVWRから購入し、また認められたように使用した。ポリエチレンイミンをBASFから購入した。
PVCチューブ(i.d.3mm)はAction Technologyから購入した。
PEBAXシャフト(BaSO4充填の、未充填の、着色の、非着色の)はArkemaから購入した。
スライドガラスはVWRから購入した。
QCM金結晶はQ‐Senseから購入した。
各方法により評価したパラメーターを、丸括弧中に与える。
潤滑性試験はHarland FTS5000フリクションテスターで実施する。別段の記述がない限り、試験の前に、全てのシャフトを37°Cに設定したd.i.ウォーターバス中に1分間浸漬して水を吸収させる。潤滑性は、試験の定常状態の力の平均(TASSF)として与えられる。これは、サイクル1〜15の間のサイクルフォースの平均をとることにより算出される。プルフリクション試験のパラメーターは、サイクル=15、ストローク長=1〜5cm(例中で変化)、速度=0.8cm/s、加速度=0.2秒、力=300g及びポーズ=0秒である。例3b及び表2を参照のこと。
ウェットグローブ試験は、潤滑性を試験する代替の方法である。潤滑性コーティング(潤滑性試験において<100g)は、水中に浸漬した後にウェットグローブを用いると滑りやすく感じる。
耐久性は、潤滑性試験を実施する際に、サイクル13、14及び15の平均の力をとり、またこの値とサイクル3、4及び5の力の平均で得られる値との差をとることにより算出される。デュロメーターが60であるシリコーンゴムパッドを例に関して用いる。例3b及び表2を参照のこと。
サンプルの外観検査を、ポリドーパミン下塗り層の均一性、すなわち表面の被覆を評価するために実施した。例3aを参照のこと。
重合溶液の外観検査を、下塗り溶液の色の変化、すなわち下塗りキネティクスを評価するために実施した。外観検査を用いて重合溶液中における粒子の形成も評価した。例3aを参照のこと。
患者が医療用デバイスの展開中に曝される可能性のある粒状化を評価するモデル方法は、シミュレートされた展開系でシミュレートされた使用試験を実施することである。係るシステムおいて、血流を通って移動するようにデザインされたデバイスは、患者の血管系を通ってデバイスがいかに移動するであろうかを模倣するガラス又はプラスチックの静脈のいずれかからなる蛇行した経路に適用される。発明者らは、典型的なカテーテル長に亘る臨床的使用の代表例である種々の角度を含めた。
コーティングのFTIR分析をPerkin Elmer UATR 100Sで実施した。各サンプルを3*16回スキャンし、そして加工して各コーティングの平均スペクトルを出した。サンプルは、比較可能なデータを得るために、1775cm-1〜1700cm-1で規格化した。例3a及び図7を参照のこと。
適切なポリドーパミン下塗りサンプルのSEM像を、Hitachi TM3000 table top SEMを用いて捕えた。表面元素の定量化は、BrukerのEDS Quantax70を用いて実施した。例1aを参照のこと。
静的水接触角測定を、First Ten Angstrom により製造されたFTA200装置で実施した。D.i.水(液滴サイズはおよそ10μl)を注射器を用いてサンプル上に滴下する。次いで高解像度カメラを使用して液滴の画像を捕える。静的接触角(液体/固体及び液体/空気界面間の角度)を画像解析プログラムを用いて評価する。例1aを参照のこと。
コートされた基材は、2分間溶液中に浸漬し、次いで大規模な水洗浄によりトルイジンブルー染色溶液(200mg/L、水中)を施すことができる。青色又は紫色が、正味の負電荷(例えばポリアクリル酸又はヘパリン官能基)を含むコーティングの表面上で観察される。例3aを参照のこと。
接着テープタイプ(Sellotape Diamond Ultra Clear)をピース上に10秒間強く押し付け、そして引き剥がした。テープに接着したコーティング材料、及び基材上に残っているコーティング材料の度合を比較して、本発明の種々のコーティング間の相対的な接着性を評価することができる。例1aを参照のこと。
消散モニタリング石英結晶マイクロバランス法(QCM‐D)を用いてポリドーパミン下塗り層の厚みを評価する。プライマーの厚みは、金で被覆された結晶(QSX301、Q‐Sense)上でモニターする。例1aを参照のこと。
X線光電子分光法(XPS又はESCA)は、固対材料の非破壊の化学分析を提供する最も広く用いられている表面のキャラクタリゼーション法である。サンプルを、サンプル表面の上端1〜10nmから放出されるべき光電子を発生させる単一エネルギーのX線で照射する。電子エネルギー分析は、光電子の結合エネルギーを評価する。水素及びヘリウムを除く全ての元素の定性的及び定量的な分析が可能であり、検出限界は約0.1〜0.2アトミックパーセントである。分析のスポットサイズは10μm〜1.4mmの範囲である。元素及び化学状態のマッピングを用いて性状の表面イメージを作製することも可能である。深さ方向分析は、角度依存測定を用いて表面の上端10nm以内の非破壊分析、又はイオンエッチング等の破壊分析を用いてコーティング深さ全幅について得ることが可能である。
コートされたサンプルを、バクテリアを植菌した寒天プレートを用いてコートされたサンプルが特定のバクテリアの成長に影響を与えるか否かを試験する阻止帯(ZOI)試験において評価した。バクテリアが、特定のサンプルの影響を受けやすい場合、クリアな領域はサンプルを取り囲み、そこではバクテリアは成長することができない(阻止帯と呼ばれる)。例5.6及び例5aを参照のこと。
ZOI試験からのコートされたサンプルをバッファーで穏やかにすすぐ。次いで、サンプルを新たな寒天プレート(バクテリアの植菌なし)上に置き、そして付着したバクテリアの成長を評価する。バクテリアが表面コーティング中の成分の影響を受けやすい場合、コロニーがない又はコロニーの少ない量が観察される。
表面固定化ヘパリンの定量化は、基本的にSmith R.L. and Gilkerson E(1979)、Anal Biochem 98、第478〜480頁に記載のように実施することができる。例5.2〜5.4及び例5aを参照のこと。
コーティングを含む薬剤は薬剤の溶液中にコーティングを浸すことにより調製できる。ドキソルビシンに浸す場合、コーティングの赤い着色は、ドキソルビシンがうまくコーティング中に取り込まれることを示す。コーティングを2MのNaCl溶液に曝すことにより、薬剤を放出することができる。赤色の減少したレベルは、ドキソルビシンがコーティングから溶出したことを示す。蛍光もまた、ドキソルビシンの取り込み及びそれに続く放出を検出するために用いてよい。例5.5及び例5aを参照のこと。
血液接触評価は、抗血栓性を評価するためにヘパリンで修飾したサンプル上で実施した。第一に、カテーテルを0.15M生理食塩水溶液で15分間洗浄して全ての緩く結合したヘパリンを洗い流し、そして安定したコーティング残渣を確実にした。洗浄したコーティングを、全血を包含するヘパリン化ファルコンチューブに入れ、そして20rpmにセットしたロッキングチューブローラー上に置いて回転させた(代表的な手順に関してExperimental Medicine and Biology、2013、735、第257〜270頁のEkdahl K.N.、Advancesを参照のこと)。手を加えていない血液及びチューブから採取した血液からの血小板を、細胞計数器中でカウントして血小板の損失を測定した。血小板の多大な損失は、コーティングの性能不足を示す。例5.2〜5.4及び例5aを参照のこと。
本発明の方法を用いて作製されたBaSO4充填PEBAXを全表面積が30cm2となるように適切な長さにカットする。同様のプロセスをリファレンスとしてネイティブのBaSO4充填PEBAXシャフトで実施する。ISO10993に記載のMinimal Essential Medium(MEM)溶出試験を用いてコーティングを評価する。例3bを参照のこと。
方法A:IPAでのすすぎ
基材をIPAで5分間すすいだ。基材をd.i.H2Oですすぎ、そして室温にて乾燥させた。
基材をIPAで5分間すすぎ、次いでAPS(50g/L)(d.i.H2O中)溶液を用いて10分間すすいだ。基材をH2O中ですすぎ、そして室温にて乾燥させた。
続く例において、ポリドーパミンの表面下塗りコーティングを種々の基材上に形成した。QCM結晶及びPVCチューブ基材を、重合溶液に浸漬した場合は水平に並べた。他の全ての基材は、垂直に並べた。ポリドーパミンコーティングの均一性、接着性及び他の特性を次いで分析した。結果を例1aにまとめる。
方法Aに準拠してPEBAXシャフトを前処理した。前処理したシャフトは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を各々15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りシャフトをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Bに準拠してPEBAXシャフトを前処理した。前処理したシャフトは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合をそれぞれ15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りコートシャフトをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Aに準拠してスライドガラスを前処理した。前処理したスライドガラスは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を各々15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りスライドガラスをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Bに準拠してスライドガラスを前処理した。前処理したスライドガラスは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を各々15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りスライドガラスをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Aに準拠してPVCチューブを前処理した。前処理したPVCチューブは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を各々15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りPVCチューブは、EtOHをチューブに通して100mL/分の速度で循環させることによりすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Bに準拠してPVCチューブを前処理した。前処理したPVCチューブは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを8.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を各々15、30、60又は120分間進行させるようにした。ポリドーパミン下塗りPVCチューブは、EtOHをチューブに通して100mL/分の速度で循環させることによりすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
QCM金結晶を、APS(0.6g/L)を含むpH8.0のトリスバッファー(1.21g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、次いでドーパミン(1g/L)を添加、そして重合を120分間進行させるようにした。
方法Bに準拠してBaSO4充填PEBAXシャフトを前処理した。トリス(1.21g/L)をd.i.水に添加し、次いでAPS(0.6g/L)を添加した。溶液は、4つの別個のビーカーに分けて注いだ。HCL(1M)を用いて各ビーカーのpHを7、6、5又は4に調節し、次いで前処理したBaSO4充填PEBAXシャフトを溶液中に浸漬し、次いでドーパミン(1g/L)を添加した。4つの溶液の色の変化を長い時間をかけてモニターした。
方法Bに準拠してBaSO4充填PEBAXシャフトを前処理した。トリス(1.21g/L)並びに種々の量のドーパミン及びAPSを含む4つのd.i.水溶液を以下のように作製した。
方法Bに準拠してBaSO4充填PEBAXシャフトを前処理した。前処理したシャフトは、トリスバッファー(1.21g/L)及びAPS(0.6g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを6.9に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして重合を4時間進行させるようにした。重合の間、溶液のpHが徐々に減少することを観察し、従ってNaOHを、中性又は若干酸性のpHを維持するために十分な量で連続して添加した。ポリドーパミン下塗りコートシャフトをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
方法Bに準拠してBaSO4充填PEBAXシャフトを前処理した。前処理したシャフトは、MESバッファー(9.76g/L)及びNaCl(8.76g/L)のd.i.水溶液に浸漬し、またHCl(1M)を用いてpHを6.0に調節した。ドーパミン(1g/L)を溶液に添加し、そして5時間後にシャフトを溶液から引き出した。ポリドーパミンコートシャフトをEtOHを用いてすすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。バルクにおいての重合は24時間進行させるようにした。
MES(4.88g/L)及びNaCl(4.38g/L)をd.i.水に溶解し、pHを6.0にし、次いでIPAの添加により体積を2倍にした。混合物を2分間撹拌した後にドーパミン(0.5g/L)を添加した。方法Bに準拠して前処理したステンレス鋼片を水/IPAバッファー溶液中に浸漬し、反応を4時間進行させるようにした。その後、ステンレス鋼片をEtOHですすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
MES(4.88g/L)及びNaCl(4.38g/L)をd.i.水に溶解し、pHを6.0にし、次いでIPAの添加により体積を2倍にした。混合物を2分間撹拌した後にドーパミン(0.5g/L)を添加した。方法Bに準拠して前処理したチタン片を水/IPAバッファー溶液中に浸漬し、反応を4時間進行させるようにした。その後、チタン片をEtOHですすぎ、そして室温にて乾燥させた後に分析した。
PTFEは、例1.12に記載の手順を基本的に用いてポリドーパミンで下塗りしてよい。
ポリドーパミンコーティングのコーティング均一性は、外観検査及び/又は接触角測定により評価した。並びに接着性は、基本手順のセクションに記載の手順を用いてテープ試験を用いて評価した。重合溶液中に観察される沈殿の量は、視覚的に又はSEM‐EDS法で評価した。全ての場合において、重合反応は溶液から基材を取り出すことにより停止させた。
全ての溶液は、ドーパミンの添加の前には、当初は無色であった。ドーパミンが添加されると、色の変化が観察された。これは、ドーパミンの重合が起こり、ポリドーパミンが形成したことを示す。概して、無色→黄色→橙色→茶色の色の変化が重合の進行として観察された。
例1.8において、重合速度に対する溶液のpHの影響は、pH7、6、5及び4の4種の溶液の外観検査により評価した。最も大きい色の変化(すなわちその酸化状態におけるドーパミンの最も速い変換)は、pHを7とした溶液が入ったビーカーで観察された。pH4の溶液が入ったビーカーは、その色は最も小さく変化し、また最も遅い反応キネティクスを示した。pH7のビーカー中の溶液は、1時間後に無色から橙色へとシフトしたが、pH4のビーカー中の溶液は、1時間後に若干黄色がかった。pH5及びpH6の溶液の色は、pH4溶液と比べてより橙色であったが、pH7の溶液よりは程度が低かった。6時間溶液を放置すると、全てのpHの溶液が橙色にシフトし、pH7の溶液が最も強かった。
例1.10において、ドーパミンの重合の間、溶液のpHが減少することが観察された。減少したpHを相殺するために、NaOHを添加して重合プロセス中pHを一定に維持した。ポリドーパミン粒子/凝集体の形成がないことが重合の終わりに観察された。例1.10に準拠して下塗りしたシャフトは、外観検査で示されるように均一であった。
例1.12及び1.13において、ステンレス鋼片及びチタン片は水及びIPAの混合溶媒を用いてポリドーパミンで下塗りされた。重合キネティクスは、溶液の外観検査試験を用いる測定のように、IPAの添加により著しく影響を受けるものではなかった。外観検査に基づいて、ポリドーパミン下塗り片は均一な被覆を示した。
例1.1〜1.4に準拠して下塗りしたPEBAXシャフト及びスライドガラスに、基本手順に記載のようにテープ試験を実施した。接着テープを下塗り基材に適用し、次いで90°の角度での引き剥がしを用いてそれを除去した。接着テープを除去すると、全てのサンプルがうまくいき、そして層間剥離又は基材に対する乏しい接着性の観点で、視覚的に否定的な効果がないことを示すことがわかった。
金でコートされた石英結晶マイクロバランスをQSense QCM‐D中にマウントし、次いで例1.7に準拠して金表面を下塗りした。基本手順に記載のように、乾いていない状態の下塗り厚みを長時間モニターしながら、下塗り溶液が結晶の上方を通過するようにした。40分後、ポリドーパミン層の厚みは増加しないことがわかり、ポリドーパミンの最終的な乾いていない状態の厚みは約20nmであった。ポリドーパミンコート金結晶は、デシケーター中において終夜乾燥させ、そして再度厚みを測定した(乾燥厚み)。乾燥厚みは算出された約20nmの乾いていない状態の厚みと一致することがわかった。
ポリドーパミンコーティングの化学的組成及び厚みは、XPS深さ方向分析法を用いて評価してよい。
例1.11に準拠して(pH6にて作製された)ポリドーパミンコートPEBAXシャフトを作製する間、ポリドーパミン溶液から粒子を捕捉するろ紙が、5時間後及び24時間後に集められた。SEM‐EDS及び外観検査法により、24時間後に形成したポリドーパミン粒子の量及びサイズが5時間後のものより若干大きいことがわかった。5時間サンプルの場合において、目に見える粒子はろ紙上に見ることはできず、ろ紙繊維中の着色したドーパミン溶液の吸収によるろ紙の繊維の若干の色の変化のみを見ることができた。
例1.9において(表1参照)、下塗り溶液(pH6)中のドーパミン及びAPSの量の影響を評価した。番号1とラベルされた溶液はドーパミン1g/L及びAPS0.6g/Lを含み、番号2とラベルされた溶液はドーパミン1g/L及びAPS3g/Lを含み、番号3とラベルされた溶液はドーパミン5g/L、及びAPS0.6g/Lを含み、番号4とラベルされた溶液はドーパミン5g/L及びAPS3g/Lを含む。番号4の溶液は、最も高いドーパミン及びAPSの濃度のために、最も早くその色が変化し、また6時間後ダークな茶色になった。更に、ドーパミン濃度を一定に維持した場合、より多量のAPSを有する溶液(番号1→番号2及び番号3→番号4)でより速い色の変化が観察されたことがわかった。これは、反応キネティクスを酸化剤(APS)の添加により増すことができることを示す。APS濃度を一定に維持した場合、より多量のドーパミンを有する溶液(番号1→番号3及び番号2→番号4)でより速い色の変化が観察されたこともわかった。しかし、速い重合キネティクスは、バルク溶液中におけるポリドーパミンのより大きい沈殿をもたらす場合がある。従って、重合キネティクスの制御は、所望の特性を有する最終生成物を得ることを確実にするために重要である。当業者は、このパラメーターを最適化することができる。番号1〜4の溶液中に浸漬した基材は、ポリドーパミンプライマーの均一な被覆を示したが、下塗り層の厚みが4種の溶液によって異なっていたため、下塗りした基材の色が強さにおいて異なっていた。所定の重合時間において、粒子/凝集体の形成が少なく制御された系は、反応キネティクスを下げた場合に(すなわち溶液中のドーパミンの量及び/又はAPSの量を減少させる)得られる場合がある。番号1の溶液は、最も許容できる、粒状化の明らかに低い速度を有する反応速度を与えると考えられる(色の変化の程度に基づく)。
例1.3及び例1.4に準拠して作製したポリドーパミンコーティングを有するスライドガラスは、基本手順における接触角測定手順概要を用いて分析した。例1.3(前処理方法A)及び例1.4(前処理方法B)の結果を図5に示す。完全なポリドーパミン被覆を有する表面は、約50°の接触角を有するであろう(Leeら、Science、2007、318、426)。方法AとBとの接触角を比較すると、方法Bを用いて前処理したスライドガラスと比較した場合に、前処理方法Aの後に、若干低い静的接触角が観察されたことは明らかであり、これは前処理方法Bの後に、スライドガラスの表面上のポリドーパミンのより完全な被覆が得られたことを示す。更に、方法Bを用いて前処理したスライドガラスは、ドーパミン重合の120分後に類似の静的接触角に達した方法Aを用いて前処理したスライドガラスと比較して、ドーパミン重合の15分後に安定した静的接触角に達した。これは、ポリドーパミンのより良好な全体の被覆への到達を示すと共に、方法Bを用いて前処理したスライドガラスがより速くコーティングに到達したことも示す。下塗りしていないスライドガラスの接触角を、図5中のリファレンスデータ点として示す。ポリドーパミン下塗りスライドガラス(前処理方法A又は方法Bのいずれかを用いて)が、表面を下塗りしない場合と比べて、下塗り被覆を証明するより高い接触角を示す表面を有することは明らかである。
ベンゾフェノンを種々の濃度にてEtOH中に溶解させた(1.0E-11mol/L〜1mol/L)。ベンゾフェノンの紫外吸光度は、濃度の関数としてモニターした。また結果を図6に示す。吸収が、1.0E-3mol/L(1mmol/L)を超えるベンゾフェノンの濃度においてのみ発現するとみられることは、図6より明らかである。従って、本発明内においては、ベンゾフェノンがその水素を引き抜くことができる性質を示すことにより、反応して成分A、B及びC(存在する場合には)及びD(存在する場合には)のコポリマーを表面に共有結合させる表面結合のラジカルを形成するために、ベンゾフェノンの濃度は少なくとも1mmol/L及び好ましくは1〜100mMであるべきであると考えられる。
以下の例において、例1に準拠して調製したポリドーパミンの下塗りコーティングでコートした基材は、本発明の方法を施すことにより本発明の親水性コーティングを形成した。各々の場合において、成分Aはアクリル酸であり、成分Bはジアクリレート化PEGポリマーであり、及びラジカル開始剤はベンゾフェノンであった(ラジカル開始剤はポリドーパミンの表面から水素原子を引き抜くことができる)。用いられた溶媒はエタノールであり、また各々の場合においてラジカル重合はUV光により開始した。得られた親水性コーティングを分析した。また結果を例3a及び3bにまとめる。
構造式(I)の8kDaのジアクリレート化PEGポリマー(30mg〜1050mg、調製に関しては例7を参照のこと)、アクリル酸(300mg)(質量比は0.1:1〜3.5:1)、エタノール(2mL〜6mL)中のベンゾフェノン(1質量%)の種々の溶液を調整した。例1.2に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に手作業で浸し、その後、取り出しそして365nm B‐100AP UVランプ(UVPより提供)を用いて10分間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約15mW/cm2と記録された。
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(各々450mg及び1350mg)、アクリル酸(各々300mg及び1800mg)(質量比は各々1.5:1及び0.75:1)、及びエタノール(各々10.5mL及び29mL)中のベンゾフェノン(1質量%)を含む2種の溶液を調整した。例1.2に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いでいずれかの溶液中に浸した(滞留時間5秒)後取り出し(引き出し速度は各々5cm/秒及び2.5cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて75秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。コートされたシャフトは、評価に先立って37°CのPBS溶液中において10分間膨潤させるようにした。
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(360mg〜9.0g)、アクリル酸(3.6g)(質量比は0.1:1〜2.5:1)、及びエタノール(24mL、36mL、42mL又は48mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.10に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後取り出し(引き出し速度は5〜15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(I)の8kDaのジアクリレート化PEG(75mg〜1.2g、調製に関しては例7を参照のこと)、アクリル酸(300mg)(質量比は0.25:1〜4:1)、及びエタノール(2mL〜16mL)中のベンゾフェノン(1質量%)からなる試薬を調整した。例1.2に準拠して作製したBaSO4充填PEBAXシャフトを、手作業で溶液中に浸した後に取り出し、そしてFusionランプを用いて6秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約200mW/cm2と記録された。コートされたシャフトは、評価に先立って37°Cにセットしたウォーターバス中において10分間膨潤させるようにした。
構造式(I)の8kDaのジアクリレート化PEG(450mg、調製に関しては例7を参照のこと)、アクリル酸(300mg)(質量比は1:5.1)、及びエタノール(6mL)中のベンゾフェノン(1質量%)からなる試薬、並びに8kDaのジアクリレート化PEG(900mg)、アクリル酸(300mg)(質量比は3:1)、及びエタノール(10mL)中のベンゾフェノン(1質量%)からなる試薬を調整した。例1.2に準拠して作製したBaSO4充填PEBAXシャフトを、手作業で溶液中に浸した後に取り出し、そしてFusionランプを用いて6秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約200mW/cm2と記録された。コートされたシャフトは、評価に先立って37°Cにセットしたウォーターバス中において10分間膨潤させるようにした。
例3.5に準拠して作製した親水性コーティングを有するBaSO4充填PEBAXシャフトは、EO殺菌(医療用デバイスに関して用いられる標準的な殺菌プロセス)し、次いで気候室(RH=75%、55°C)中において46日のエージングを施した。コートされたシャフトは、評価に先立って37°Cにセットしたウォーターバス中において10分間膨潤させるようにした。
30分間ドーパミンを重合する例1.2に準拠してステンレス鋼シャフトを作製した。構造式(I)の8kDaのジアクリレート化PEGポリマー(300mg、調製に関しては例7を参照のこと)、アクリル酸(100mg)(質量比は3:1)、エタノール(2mL)中のベンゾフェノン(1質量%)の溶液を調整し、次いで溶液中にステンレス鋼シャフト手作業で浸し、その後、365nm B‐100AP UVランプ(UVPより提供)を用いて30分間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約15mW/cm2と記録された。
表面被覆
例3の任意の手順に準拠して調製した親水性コーティングを、染色試験に準拠してトルイジンブルーで染色した。例の全てに関して、親水性コーティングが均一に染色したことが観察され、負電荷基がPEBAXシャフトの表面上に存在することを確認した(すなわち親水性コーティングの良好な表面被覆)。
例3.3に準拠して調製した親水性コーティングは、FTIR法を用いて分析した。またスペクトルを図7に示す。エーテル(C‐O、約1100cm-1)、カルボニル(C=O、約1730cm-1)、及びメチレン(C‐H、3000〜2800cm-1)と帰属される注目すべきピークを明確に可視化できることがわかった。また、基材と関連するN‐H(3400〜3200cm-1)及びアミド(NC=O、約1640cm-1)由来のシグナルもまた可視化できたが、これらのピークはPEG成分の増加に伴いコーティングがより厚くなるため、消失する傾向があった。溶液中におけるPEG:AAの質量比は、その対応するコーティングのFTIRピークと関連している。より明確には、本発明内のコーティングのFTIR分析は、本発明内のコーティングの調製のために用いられる未知の溶液のPEG:AAの質量比を評価するために用いることができる。
例3.1〜3.7に準拠して調製した本発明の親水性コーティングは、基本手順に記載の方法を用いて評価した。
コーティングの潤滑性及び耐久性を基本手順に記載の潤滑性試験及び耐久性試験を用いて評価した。例3aの表2は、概して、合理的に期待されるように、アクリレート官能化PEGに対してアクリル酸の比率が増加すると、コーティングの耐久性は増加するが、その潤滑性は減少する。反対に、アクリル酸に対してアクリレート官能化PEGの比率が増加すると、製造されたコーティングは潤滑性であるが、耐久性ではない。例えば例3.3.19(PEG:AA 1.5:1)及び3.3.15(PEG:AA 0.25:1)は、PEGの比率(アクリル酸に対して)が6倍に減少した場合、コーティングの潤滑性は減少し(より高い潤滑性値により示唆される)、コーティングの耐久性は増加する(より低い耐久性値により示唆される)ことを示す。しかし、耐久性値は<15gが良好なようである。例3.3.15及び3.3.19に関して、15サイクルを超える潤滑性及び耐久性を、図8及び9に各々示す。
本発明者らは、本発明内のコーティングは、紫外ランプ強度試験に関わらず調製されるであろうことを示した。強度は、15mW(低強度)から200mW(高強度)に変化させて使用した。
成分A及びB、並びに任意選択的にC及びDの濃度は、溶媒の種々の量の添加によって、重合溶液において変化させてよい。概して、溶媒の量における最適条件は、良好な耐久性と共に潤滑性コーティングを生み出すであろう。最適な希釈から外れると、コポリマーは層間剥離(高濃度)のため、又は不十分なコーティング厚み(低濃度)のためにすり減る場合がある。
コーティングの表面粒状化は、基本手順に記載の粒状化試験を用いて評価した。試験した例の全て(例3.3.5は別として)は、USP788試験に合格し、コーティングが、証明された許容可能な粒状化のレベルを有したことを示した。例3.3.5に関して、より高い粒状化値は、溶液の比較的低い体積においてのPEGの高い比率からすれば驚くには当たらない。
図10は、例3.5に関して15サイクルを超える潤滑性及び耐久性を示し、また図11は、例3.6に関して15サイクルを超える潤滑性を示す(例3.5のサンプルは殺菌し、またエージングした)。図10及び11(及び表2の値)間の潤滑性及び耐久性の値を比較すると、殺菌及びエージングプロセスは親水性コーティングの潤滑性及び耐久性に、たとえあったとしてもほとんど効果がないことは明らかである。
例3.2に準拠して作製した親水性コーティングを有するPEBAXシャフトは、細胞毒性試験において評価した。シャフトは、総表面積が30cm2/サンプルとなるようピースにカットした。カットしたシャフトは、ISO10993パート5に準拠して、minimal essential medium(MEM)溶出試験に供した。全ての試験したサンプルは、MEM溶出試験において非毒性であることがわかった。
例4.1 ベンゾフェノン(3質量%)及び中強度ランプを用いた下塗りPEBAXシャフト上の親水性コーティングの形成
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、エタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)及びチオキサントン(1.5質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、エタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)及びチオキサントン(1.5質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、エタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)及びチオキサントン(1.5質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、エタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)及びチオキサントン(1.5質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したPEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製した黄色着色PEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(II)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、エタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)及びチオキサントン(1.5質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製した黄色着色PEBAXシャフトを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
表面被覆
例4の手順のいずれかに準拠して調製した親水性コーティングを、染色試験に準拠してトルイジンブルーで染色した。例の全てに関して、親水性コーティングが均一に染色したことが観察され、負電荷基がPEBAXシャフトの表面上に存在することを確認した(すなわち親水性コーティングの良好な表面被覆)。
例4b:構造式(II)のジアクリレート化PRG、ベンゾフェノン及びチオキサントン上に基づく本発明の親水性コーティングの物理特性の評価
例4.1〜4.12に準拠して調製した本発明の親水性コーティングは、基本手順に記載の方法を用いて評価した。
コーティングの潤滑性及び耐久性を基本手順に記載の潤滑性試験及び耐久性試験を用いて評価した。例4bの表3は、構造式(II)に係るジアクリレート化PEGが、構造式(I)に係るジアクリレート化PEGと同等またはより低い潤滑性及び耐久性の値を与えることを示す。概して、耐久性値はゼロに近く、又は試験したサンプルに関してゼロ未満が得られた。耐久性及び潤滑性の値は<15gが良好なようである。
更に、コーティングの硬化においてベンゾフェノンを補助する場合がある第二の開始剤(チオキサントン)の導入は、明確に潤滑性値(より良好な潤滑性)の減少を示す(例えば例4.2に比較して例4.1及び例4.10に比較して例4.9)。この現象は、下塗り基材及び引き抜き可能な水素原子を含む固有の表面を有する基材の両方で観察された。チオキサントンの有益な効果は、着色基材の硬化の際にも見ることができた。例4.11及び例4.12は、チオキサントンを導入すると、いかに潤滑性及び耐久性の値が減少するかを示す。潤滑性は、29.2gから4.3gに向上し、また耐久性は5.6gから0.4gに向上する。
以下の例において、有益な化学物質を含む親水性コーティングは、ポリドーパミンの表面下塗りコーティングを有する既にコートされた基材上に形成した。
例3.3.18に準拠して作製した親水性コーティング(PEG:AAの比が1:1、3質量%BP、42mLのEtOH;55mW/cm2にて90秒間硬化)を水中のポリエチレンイミンの溶液(0.010質量%/L、pH6)に約1分間浸し、次いで水中で大規模にすすいだ。
例3.3.14に準拠して作製した親水性コーティングをポリエチレンイミンを含む溶液(0.01質量%/L、pH6)50mLに10分間浸した後に、流水(d.i.水)を用いてすすいだ。天然のヘパリンの接着は、基本的に米国特許出願公開第2012/231043号明細書(参照によりその全体において本開示に組み込まれる)の例2.11のように実施した。コーティングはその後d.i.水を用いて大規模にすすがれ、次いでボレート‐ホスフェートバッファー洗浄液(pH8)ですすがれた。
抗血栓性コーティングは、米国特許出願公開第2012/231043号明細書(参照によりその全体において本開示に組み込まれる)の例3.3からの共役ヘパリン‐ポリエチレンイミンを用いることにより、及び上記の例5.2に記載の手順を用いることにより基本的に調整してよい。係るコーティングは、抗血栓性を示すことが見込まれる。
例3.3.14に準拠して作製した親水性コーティングをポリエチレンイミンを含む溶液(0.01質量%/L、pH7)50mLに10分間浸した後に、流水(d.i.水)を用いてすすいだ。プラスに帯電したコーティングは、その後基本的に米国特許第4613665号明細書(参照によりその全体において本開示に組み込まれる)の例2に記載のように調製したアルデヒド官能化ヘパリン(325mg)及びNaCl(29.2g)を含む水溶液(1L)に浸漬し、また約5分間反応させるようにし、その後NaCNBH3(2、5質量%溶液(d.i.水中)5mL)を添加し、次いで約1時間追加で反応させた。イオン的に結合したヘパリンは、ボレート‐ホスフェートバッファー溶液(pH8)を用いて大規模にすすいで除去した。
例3.3.18に準拠して調製したコーティングは、ドキソルビシンの水溶液(1mg/25mL、水中)中に2分間入れ、次いで水を用いて薬剤が担持されたコーティングを慎重にすすぎ、コーティングの外観検査に先立って余剰を除去した。基本手順ドキソルビシン染色(薬剤取り込み/溶出)に記載のように、コーティングの赤色への着色はドキソルビシンがコーティング中にうまく取り込まれたことを示す。
例3.3.18に準拠して調製したコーティングをEtOH(96%)中の炭酸銀及びクロルヘキシジンの溶液に30秒間浸すようにした。クロルヘキシジン及び炭酸銀の取り込みは、SEM‐EDS法を用いてコーティング成分を評価することにより確認した。
抗血栓性コーティングは、例6からのメタクリレート化ヘパリンの添加を伴う例3.3に係る手順を用いることにより調製してよい。係るコーティングは、抗血栓性を示すことが見込まれる。
抗血栓性コーティングは、例5.1に係る手順を用いること、次いで例6からのメタクリレート化ヘパリン及びベンゾフェノンを添加‐混合することにより調製してよい。メタクリレート化ヘパリンは、紫外照射すると、コーティングに共有結合するであろう。係るコーティングは、抗血栓性を示すことが見込まれる。
血栓形成剤を含むコーティング
例5.1に準拠して調製したポリエチレンイミンコーティングを主に表面被覆の観点で評価した。コーティングはポンソーSを用いてよく染色され、表面上の正味の正電荷の存在を示した。コートされたシャフトは、健常ボランティアから提供された全血を包含する試験管中にそれを入れることによりその血栓形成能も評価し、血栓形成性コーティングを施していない全血のコントロールと比較した場合、凝固時間において著しい減少をもたらした。凝固時間は、およそ40%減少した(コントロールに関して11分後に形成した中程度の血栓と比較して、完全な血栓まで7分)。この実験を一度繰り返してコーティングの血栓形成性を確認した。
例5.2に準拠して調製したコーティングをその抗血栓性に関して評価した。ヘパリン化したシャフトをヘパリンのその表面密度について分析した。このヘパリン密度は、1.4μg/cm2と測定された。コーティングを含むヘパリンを健常ドナーから提供された全血に施し、次いで血栓の形成の可能性をモニターした。コートされたシャフトを全血を包含するFalconチューブ中に入れ、そしてロッカーチューブローラー上に20分間置き、次いで血液中の血小板の残りの量をカウントした。20分後、血栓は形成されなかったことがわかったが、残留血小板の量において、減少が検出されたことがわかった(血小板損失=約25%)。
例5.4に準拠して調製したコーティングをその抗血栓性に関して評価した。ヘパリン化したシャフトをヘパリンのその表面密度について分析した。このヘパリン密度は、2.6μg/cm2と測定された。コーティングを含むヘパリンを健常ドナーから提供された全血に施し、次いで血栓の形成の可能性をモニターした。コートされたシャフトを全血を包含するFalconチューブ中に入れ、そしてロッカーチューブローラー上に20分間置き、次いで血液中の血小板の残りの量をカウントした。20分後、血栓は形成されなかったことがわかったが、残留血小板の量において、減少が検出されたことがわかった(血小板損失=約25%)。
例5.5に準拠して調製したコーティングをその薬剤溶出特性に関して評価した。コーティングに担持されたドキソルビシンを2MのNaCl溶液に曝して薬剤の放出を促し、次いで更なる外観検査に先立って真空中で乾燥させた。赤色のレベルの低減は、ドキソルビシンがコーティングから溶出したことを示した。
例5.6に準拠して調製したコーティングを黄色ブドウ球菌バクテリアに対するその抗菌活性に関して評価した。コーティングの2つのレプリケートを黄色ブドウ球菌バクテリアに施し、次いで長時間阻害域をモニターした。2つのレプリケートは、各々7及び15日に亘って抗菌効果を示した。コートされていないPEBAXシャフト、ポリドーパミン下塗りPEBAXシャフト及び例3.3.18に準拠して(PEG:AAの比が1:1、3質量%BP、42mLのEtOH)コートされたシャフトをコントロールとして用いた。1日より長い抗菌特性を示したコントロールはなかった。
基本的に米国特許第4613665号明細書(参照によりその全体において本開示に組み込まれる)の例2に記載のように調製したアルデヒド官能化ヘパリン(5.00g)を、勢いよく撹拌することにより15mLのアセテートバッファー(pH5)に溶解させた。2‐アミノエチルメタクリレート塩酸塩(250mg)、次いで10mLの2.5%のシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(d.i.水中)をヘパリン溶液に添加した。反応のスキームをスキーム2に示す。溶液は室温にて終夜撹拌し、その後透析バッグ(MWCO1000Da)に移送し、そして1MのNaCl水溶液3Lに対して1時間透析した。1時間後、1MのNaCl溶液を新しい溶液で置換し、そして透析をさらに1時間続けた。精製シーケンスのステップの終わりには、NaCl溶液をd.i.水で置換し、そして終夜透析を続けた。修正後のヘパリンの比活性度は、>100IU/mgと評価された。
ジヒドロキシル官能化PEG(8kDa、20g)をTHF(50mL)、TEA(3.5mL)及びピリジン(15mL)に溶解させた。塩化アクリロイル(1.1g)を溶液に滴下した。反応スキームをスキーム3に示す。反応は4時間進行させるようにし、その後沈殿した塩をろ過し、そして1Lのジエチルエーテル中に溶液を投下した。沈殿物(ベージュ/白色粉末)は、真空化において終夜乾燥させた。アクリル末端基の導入は、FTIR法を用いて確認した。FTIRは、PEG鎖中へのカルボニル基(エステル)の組み込みを示す1720cm-1付近に吸収を示した。
例8.1 ベンゾフェノン(3質量%)及び中強度ランプを用いたポリドーパミン下塗りニチノールロッド上の親水性コーティングの形成
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したニチノールロッドを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(3.6g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。前処理方法Bに準拠して作製したニチノールロッドを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。例1.11に準拠して作製したニチノールロッドを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
構造式(I)の10kDaのジアクリレート化PEG(4.5g)、アクリル酸(1.8g)(質量比は2.5:1)、及びエタノール(24mL)中のベンゾフェノン(3質量%)からなる試薬を調整した。前処理方法Bに準拠して作製したニチノールロッドを、次いで溶液中に浸した(滞留時間5秒)後に取り出し(引き出し速度15cm/秒)、そしてRDX UV硬化システム(240〜400nm)(Harland Medicalより提供)を用いて90秒間硬化した。強度は、センサー及びラジオメーターを用いて約55mW/cm2と記録された。
例8a:本発明の親水性コーティングの表面被覆及び組成の評価
表面被覆
例3の手順のいずれかに準拠して調製した親水性コーティングを、染色試験に準拠してトルイジンブルーで染色した。例の全てに関して、親水性コーティングが均一に染色したことが観察され、負電荷基がPEBAXシャフトの表面上に存在することを確認した(すなわち親水性コーティングの良好な表面被覆)。
例8b:引き抜き可能な水素原子を含む表面下塗りコーティングあり及びなしの金属基材上の親水性コーティングの耐久性の評価
例8.1〜8.4に準拠して調製した本発明の親水性コーティングは、基本手順に記載の方法を用いて評価した。
コーティングの耐久性を基本手順に記載の耐久性試験を用いて評価した。ニチノールは引き抜き可能な水素原子を含む固有の表面を有さない金属基材である。例8bの表4は、下塗りなしのニチノール基材は、概して同一基材の下塗り類似物と比較して、より高い耐久性値(すなわちより乏しい耐久特性)を示す(例えば例8.3例を8.4と比較する)。例8.3は、試験を実施する際に、コーティングがより潤滑になることを示す。これは、例8.4の場合には当てはまらない。この場合、コーティングは試験を実施する際に潤滑性が小さくなっている。
以下、本発明の実施形態を列記する。
[1]
成分A及びB、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを含む親水性コーティングを有する表面を有する基材であって、成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC 2 〜C 16 親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、
架橋コポリマーが、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合により形成し、
親水性コーティングが、1種以上の有益な化学物質を含む成分Eを任意選択的に含み、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成せず、
並びに親水性コーティングが、基材の表面に共有結合している基材。
[2]
基材の表面と親水性コーティングとの間の共有結合が、親水性コーティングの成分と基材の表面上の表面結合のラジカルの反応を介して形成し、及び表面結合のラジカルが、基材の表面からの水素原子の引き抜きを介して生成する、上記態様1に記載の基材。
[3]
親水性コーティングが共有結合するポリドーパミンの第一の表面下塗りコーティングを有する、上記態様1又は2に記載の基材。
[4]
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC 2 〜C 16 親水性モノマーを含み、また1つ以上の基が、エステル、エーテル、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、スルホン酸、サルフェート、アミノ、アミド、ホスフェート、ケト及びアルデヒド基から選択される、上記態様1〜3のいずれかに記載の基材。
[5]
成分Aが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む、上記態様4に記載の基材。
[6]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、親水性ポリマーが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリ‐N‐ビニルピロリドン、ポリ‐N‐ビニルピロリドン誘導体、ポリエーテル誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール誘導体からなる群より独立に選択される、上記態様1〜5のいずれかに記載の基材。
[7]
成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含む、上記態様1〜6のいずれかに記載の基材。
[8]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のポリエーテル親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)を含む、上記態様6に記載の基材。
[9]
成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上のPEGポリマーを含む、上記態様8に記載の基材。
[10]
成分Bが、1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーを含む、上記態様9に記載の基材。
[11]
1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーが、構造式(I)
[12]
1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーが、構造式(II)
[13]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、前記アルケン及び/又はアルキン基が、末端アルケン及び/又はアルキン基である、上記態様1〜10のいずれかに記載の基材。
[14]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、並びに各親水性ポリマーの分子量が、独立に600〜40000Da、例えば4000〜16000Daである、上記態様1〜13のいずれかに記載の基材。
[15]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む2種の異なる親水性ポリマーを含む、上記態様1〜14のいずれかに記載の基材。
[16]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む2種の異なる分子量のPEGポリマーを含む、上記態様15に記載の基材。
[17]
成分Cが、1つのアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含む、上記態様1〜16のいずれかに記載の基材。
[18]
成分Cの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、上記態様1〜17のいずれかに記載の基材。
[19]
薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、上記態様18に記載の基材。
[20]
成分Cの分子量が、100000Da以下、例えば50000Da以下、例えば25000Da以下である、上記態様1〜19のいずれかに記載の基材。
[21]
成分Cの分子量が、9000Da〜20000Da、例えば9000Da〜11000Daである、上記態様20に記載の基材。
[22]
成分Cが、ヘパリンである、上記態様1〜21のいずれかに記載の基材。
[23]
成分Dが、2つ以上のチオール基を各々含む1種以上の低分子量の架橋剤を含む、上記態様1〜22のいずれかに記載の基材。
[24]
成分Eの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、上記態様1〜23のいずれかに記載の基材。
[25]
薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、上記態様24に記載の基材。
[26]
成分Cが存在し、かつ、成分Dは存在しない、上記態様1〜25のいずれかに記載の基材。
[27]
成分Dが存在し、かつ、成分Cは存在しない、上記態様1〜25のいずれかに記載の基材。
[28]
成分C及びDが存在しない、上記態様1〜25のいずれかに記載の基材。
[29]
成分C及びDが存在する、上記態様1〜25のいずれかに記載の基材。
[30]
成分Eが存在し、かつ、コポリマーに共有結合している、上記態様1〜29のいずれかに記載の基材。
[31]
成分Eが存在し、かつ、コポリマーに共有結合していない、上記態様29に記載の基材。
[32]
成分Eが存在しない、上記態様1〜29のいずれかに記載の基材。
[33]
親水性コーティングが潤滑性であり、また潤滑性試験を用いた潤滑性が<100g、例えば<50g、例えば<15gである、上記態様1〜32のいずれかに記載の基材。
[34]
親水性コーティングの耐久性試験を用いた耐久性が、<50g、例えば<25g、例えば<15gである、上記態様33に記載の基材。
[35]
成分Bの成分Aに対する質量比が、2.5:1〜0.5:1である、上記態様1〜34のいずれかに記載の基材。
[36]
基材が、医療用デバイスである、上記態様1〜35のいずれかに記載の基材。
[37]
医療用デバイスが、二股ステント、バルーン拡張型ステント及び自己拡張型ステントを包含するステント、二股ステントグラフトを包含するステントグラフト、血管グラフト及び二股グラフトを包含するグラフト、拡張器、血管閉塞器、塞栓フィルター、塞栓除去デバイス、マイクロカテーテル、中心静脈カテーテル、抹消静脈カテーテル及び血液透析カテーテルを包含するカテーテル、人工血管、リトラクタブルシースを包含するシース、血管内在性モニタリングデバイス、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ガイドワイヤー、カーディアックリード、心肺バイパスサーキット、カニューレ、プラグ、ドラッグデリバリーデバイス、バルーン、組織パッチデバイス及び血液ポンプからなる群より選択される、上記態様36に記載の基材。
[38]
基材の表面に共有結合する親水性コーティングの形成方法であって、前記方法が、
(a)表面と、成分A及びB、任意選択の成分C、任意選択の成分D及びラジカル開始剤を含む混合物とを接触させるステップであって、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC 2 〜C 16 親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン、及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含むステップ;
並びに
(b)成分A、成分B、並びに任意選択のC及びDの架橋コポリマーを形成するために、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合を開始するステップであって、前記コポリマーが表面に共有結合するステップ、並びに
(c)任意選択的に、1種以上の有益な化学物質を含む成分Eを親水性コーティング中に組み込むステップであって、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しないステップ
を含む方法。
[39]
基材が、引き抜き可能な水素原子を含む表面を有する基材である、上記態様38に記載の方法。
[40]
基材の表面と接触する液相中のラジカル開始剤が、表面から水素原子を引き抜いて表面結合のラジカルを形成し、前記表面結合のラジカルが、成分A及びB並びに任意選択のC及びDの少なくとも1つと反応して表面にコポリマーを共有結合させる、上記態様39に記載の方法。
[41]
液相中において表面と接触して形成したフリーラジカルにより開始されたプロセスにおいて、基材の表面上の反応基が、成分A及びB並びに任意選択のC及びDの少なくとも1つと反応して表面にコポリマーを共有結合させる、上記態様39に記載の方法。
[42]
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC 2 〜C 16 親水性モノマーを含み、また1つ以上の基が、エステル、エーテル、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、スルホン酸、サルフェート、アミノ、アミド、ホスフェート、ケト及びアルデヒド基から選択される、上記態様38〜40のいずれかに記載の方法。
[43]
成分Aが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む、上記態様42に記載の方法。
[44]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、親水性ポリマーが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリ‐N‐ビニルピロリドン、ポリ‐N‐ビニルピロリドン誘導体、ポリエーテル誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール誘導体からなる群より独立に選択される、上記態様38〜43のいずれかに記載の方法。
[45]
成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含む、上記態様38〜44のいずれかに記載の方法。
[46]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のポリエーテル親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)を含む、上記態様45に記載の方法。
[47]
成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上のPEGポリマーを含む、上記態様46に記載の方法。
[48]
成分Bが、1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーを含む、上記態様47に記載の方法。
[49]
1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーが、構造式(I):
[50]
1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーが、構造式(II):
[51]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、前記アルケン/及び又はアルキン基が、末端アルケン及び/又はアルキン基である、上記態様38〜50のいずれかに記載の方法。
[52]
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また各親水性ポリマーの分子量が、独立に600〜40000Da、例えば4000〜16000Daである、上記態様38〜51のいずれかに記載の方法。
[53]
成分Cの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、上記態様38〜52のいずれかに記載の方法。
[54]
薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、上記態様53に記載の方法。
[55]
成分Cの分子量が、100000Da以下、例えば50000Da以下、例えば25000Da以下である、上記態様38〜54のいずれかに記載の方法。
[56]
成分Cの分子量が、9000Da〜20000Da、例えば9000Da〜11000Daである、上記態様55に記載の方法。
[57]
成分Cがヘパリンである、上記態様38〜56のいずれかに記載の方法。
[58]
成分Dが、2つ以上のチオール基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含む、上記態様38〜57のいずれかに記載の方法。
[59]
成分Eの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、上記態様38〜58のいずれかに記載の方法。
[60]
薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、上記態様59に記載の方法。
[61]
成分Cが存在し、かつ、成分Dは存在しない、上記態様38〜60のいずれかに記載の方法。
[62]
成分Dが存在し、かつ、成分Cは存在しない、上記態様38〜61のいずれかに記載の方法。
[63]
成分C及びDが存在しない、上記態様38〜61のいずれかに記載の方法。
[64]
成分C及びDが存在する、上記態様38〜61のいずれかに記載の方法。
[65]
成分Eがコポリマーに共有結合するステップ(c)を含む上記態様38〜64のいずれかに記載の方法。
[66]
成分Eがコポリマーに共有結合しないステップ(c)を含む上記態様38〜64のいずれかに記載の方法。
[67]
ステップ(c)を含まない、上記態様38〜64のいずれかに記載の方法。
[68]
成分Bの成分Aに対する質量比が、2.5:1〜0.5:1である、上記態様38〜67のいずれかに記載の方法。
[69]
親水性コーティングが潤滑性であり、また潤滑性試験を用いた潤滑性が<100g、例えば<50g、例えば<15gである、上記態様38〜68のいずれかに記載の方法。
[70]
親水性コーティングの耐久性試験を用いた耐久性が、<50g、例えば<25g、例えば<15gである、上記態様38〜69のいずれかに記載の方法。
[71]
引き抜き可能な水素原子を含む基材の表面が、引き抜き可能な水素原子を含むポリマーの表面下塗りコーティングである、上記態様38〜70のいずれかに記載の方法。
[72]
引き抜き可能な水素原子を含むポリマーが、カテコール官能基及び/又はキノン官能基及び/又はセミキノン官能基を含むポリマーである、上記態様71に記載の方法。
[73]
引き抜き可能な水素原子を含むポリマーが、ポリドーパミンである、上記態様71または72に記載の方法。
[74]
ポリドーパミンの表面コーティングが、基材の表面と、酸化剤及びドーパミン及び/又はドーパミン類縁体を含む混合物と接触させることにより形成する、上記態様73に記載の方法。
[75]
ポリドーパミンの表面コーティングが、pH4〜7にて形成される、上記態様73又は74に記載の方法。
[76]
ポリドーパミンの表面コーティングが、pH5.5〜6.5にて形成される、上記態様75に記載の方法。
[77]
ポリドーパミンの表面コーティングが、水と有機アルコール(例えば水とIPAの混合物)の混合物である溶媒の存在下において形成される、上記態様73〜76のいずれかに記載の方法。
[78]
ポリドーパミンの表面コーティングの形成に先立って、コートされるべき表面が酸化剤で前処理されている、上記態様73〜77のいずれかに記載の方法。
[79]
ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体並びにキサントン及びこれらの誘導体からなる群より選択される、上記態様38〜78のいずれかに記載の方法。
[80]
前記ラジカル開始剤が、ベンゾフェノンである、上記態様79に記載の方法。
[81]
ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及び/又はこれらの誘導体並びにチオキサントン及び/又はこれらの誘導体の混合物である、上記態様38〜78のいずれかに記載の方法。
[82]
ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及びチオキサントンの混合物である、上記態様81に記載の方法。
[83]
ステップ(b)のラジカル重合が、紫外光に対する光開始剤を含むステップ(a)の混合物の曝露により開始される、上記態様38〜82のいずれかに記載の方法。
[84]
基材が、医療用デバイスである、上記態様38〜83のいずれかに記載の方法。
[85]
医療用デバイスが、二股ステント、バルーン拡張型ステント及び自己拡張型ステントを包含するステント、二股ステントグラフトを包含するステントグラフト、血管グラフト及び二股グラフトを包含するグラフト、拡張器、血管閉塞器、塞栓フィルター、塞栓除去デバイス、マイクロカテーテル、中心静脈カテーテル、抹消静脈カテーテル及び血液透析カテーテルを包含するカテーテル、人工血管、リトラクタブル シースを包含するシース、血管内在性モニタリングデバイス、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ガイドワイヤー、カーディアックリード、心肺バイパスサーキット、カニューレ、プラグ、ドラッグデリバリーデバイス、バルーン、組織パッチデバイス及び血液ポンプからなる群より選択される、上記態様84に記載の方法。
[86]
上記態様38〜84のいずれかに記載の方法に従って得られた親水性コーティングを有する基材。
Claims (86)
- 成分A及びB、並びに任意選択の成分C及びDの架橋コポリマーを含む親水性コーティングを有する表面を有する基材であって、成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含み、
架橋コポリマーが、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合により形成し、
親水性コーティングが、1種以上の有益な化学物質を含む成分Eを任意選択的に含み、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成せず、
並びに親水性コーティングが、基材の表面に共有結合している基材。 - 基材の表面と親水性コーティングとの間の共有結合が、親水性コーティングの成分を有する基材の表面上の表面結合のラジカルの反応を介して形成し、及び表面結合のラジカルが、基材の表面からの水素原子の引き抜きを介して生成する、請求項1に記載の基材。
- 親水性コーティングが共有結合するポリドーパミンの第一の表面下塗りコーティングを有する、請求項1又は2に記載の基材。
- 成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また1つ以上の基が、エステル、エーテル、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、スルホン酸、サルフェート、アミノ、アミド、ホスフェート、ケト及びアルデヒド基から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Aが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む、請求項4に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、親水性ポリマーが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリ‐N‐ビニルピロリドン、ポリ‐N‐ビニルピロリドン誘導体、ポリエーテル誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール誘導体からなる群より独立に選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のポリエーテル親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)を含む、請求項6に記載の基材。
- 成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上のPEGポリマーを含む、請求項8に記載の基材。
- 成分Bが、1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーを含む、請求項9に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、前記アルケン及び/又はアルキン基が、末端アルケン及び/又はアルキン基である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、並びに各親水性ポリマーの分子量が、独立に600〜40000Da、例えば4000〜16000Daである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む2種の異なる親水性ポリマーを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む2種の異なる分子量のPEGポリマーを含む、請求項15に記載の基材。
- 成分Cが、1つのアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Cの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の基材。
- 薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、請求項18に記載の基材。
- 成分Cの分子量が、100000Da以下、例えば50000Da以下、例えば25000Da以下である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Cの分子量が、9000Da〜20000Da、例えば9000Da〜11000Daである、請求項20に記載の基材。
- 成分Cが、ヘパリンである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Dが、2つ以上のチオール基を各々含む1種以上の低分子量の架橋剤を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Eの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の基材。
- 薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、請求項24に記載の基材。
- 成分Cが存在し、かつ、成分Dは存在しない、請求項1〜25のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Dが存在し、かつ、成分Cは存在しない、請求項1〜25のいずれか1項に記載の基材。
- 成分C及びDが存在しない、請求項1〜25のいずれか1項に記載の基材。
- 成分C及びDが存在する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Eが存在し、かつ、コポリマーに共有結合している、請求項1〜29のいずれか1項に記載の基材。
- 成分Eが存在し、かつ、コポリマーに共有結合していない、請求項29に記載の基材。
- 成分Eが存在しない、請求項1〜29のいずれか1項に記載の基材。
- 親水性コーティングが潤滑性であり、また潤滑性試験を用いた潤滑性が<100g、例えば<50g、例えば<15gである、請求項1〜32のいずれか1項に記載の基材。
- 親水性コーティングの耐久性試験を用いた耐久性が、<50g、例えば<25g、例えば<15gである、請求項33に記載の基材。
- 成分Bの成分Aに対する質量比が、2.5:1〜0.5:1である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の基材。
- 基材が、医療用デバイスである、請求項1〜35のいずれか1項に記載の基材。
- 医療用デバイスが、二股ステント、バルーン拡張型ステント及び自己拡張型ステントを包含するステント、二股ステントグラフトを包含するステントグラフト、血管グラフト及び二股グラフトを包含するグラフト、拡張器、血管閉塞器、塞栓フィルター、塞栓除去デバイス、マイクロカテーテル、中心静脈カテーテル、抹消静脈カテーテル及び血液透析カテーテルを包含するカテーテル、人工血管、リトラクタブルシースを包含するシース、血管内在性モニタリングデバイス、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ガイドワイヤー、カーディアックリード、心肺バイパスサーキット、カニューレ、プラグ、ドラッグデリバリーデバイス、バルーン、組織パッチデバイス及び血液ポンプからなる群より選択される、請求項36に記載の基材。
- 基材の表面に共有結合する親水性コーティングの形成方法であって、前記方法が、
(a)表面と、成分A及びB、任意選択の成分C、任意選択の成分D及びラジカル開始剤を含む混合物とを接触させるステップであって、
成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、
成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、
成分Cが、存在する場合には、1つ以上のアルケン又はアルキン基を各々含む1種以上の有益な化学物質を含み、並びに
成分Dが、存在する場合には、チオール、アルケン、及びアルキン基から独立に選択される2つ以上の官能基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤を含むステップ;
並びに
(b)成分A、成分B、並びに任意選択のC及びDの架橋コポリマーを形成するために、成分A、B及びC(存在する場合には)のアルケン及び/又はアルキン基並びに成分D(存在する場合には)の官能基が関与するラジカル重合を開始するステップであって、前記コポリマーが表面に共有結合するステップ、並びに
(c)任意選択的に、1種以上の有益な化学物質を含む成分Eを親水性コーティング中に組み込むステップであって、成分Eが成分A、B、C(存在する場合には)及びD(存在する場合には)とコポリマーを形成しないステップ
を含む方法。 - 基材が、引き抜き可能な水素原子を含む表面を有する基材である、請求項38に記載の方法。
- 液相中のラジカル開始剤が、基材の表面と接触して表面から水素原子を引き抜いて、表面にコポリマーを共有結合させるための成分A及びB並びに任意選択のC及びDの少なくとも1つと反応する表面結合のラジカルを形成する、請求項39に記載の方法。
- 基材の表面上の反応基が、表面と接触して液相中で形成したフリーラジカルにより開始されたプロセスにおいて、表面にコポリマーを共有結合させるための成分A及びB並びに任意選択のC及びDの少なくとも1つと反応する、請求項39に記載の方法。
- 成分Aが、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のC2〜C16親水性モノマーを含み、また1つ以上の基が、エステル、エーテル、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、スルホン酸、サルフェート、アミノ、アミド、ホスフェート、ケト及びアルデヒド基から選択される、請求項38〜40に記載の方法。
- 成分Aが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含む、請求項42に記載の方法。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、親水性ポリマーが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリ‐N‐ビニルピロリドン、ポリ‐N‐ビニルピロリドン誘導体、ポリエーテル誘導体(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール誘導体からなる群より独立に選択される、請求項38〜43のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含む、請求項38〜44のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上のポリエーテル親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はポリプロピレングリコール(PPG)誘導体)を含む、請求項45に記載の方法。
- 成分Bが、2つのアルケン基を各々含む1種以上のPEGポリマーを含む、請求項46に記載の方法。
- 成分Bが、1種以上のジアクリレート官能化PEGポリマーを含む、請求項47に記載の方法。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、前記アルケン/及び又はアルキン基が、末端アルケン及び/又はアルキン基である、請求項38〜50のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Bが、2つ以上のアルケン及び/又はアルキン基を各々含む1種以上の親水性ポリマーを含み、また各親水性ポリマーの分子量が、独立に600〜40000Da、例えば4000〜16000Daである、請求項38〜51のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Cの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、請求項38〜52のいずれか1項に記載の方法。
- 薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、請求項53に記載の方法。
- 成分Cの分子量が、100000Da以下、例えば50000Da以下、例えば25000Da以下である、請求項38〜54のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Cの分子量が、9000Da〜20000Da、例えば9000Da〜11000Daである、請求項55に記載の方法。
- 成分Cがヘパリンである、請求項38〜56のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Dが、2つ以上のチオール基を各々含む1種以上の低分子量架橋剤である、請求項38〜57のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Eの前記有益な化学物質が、薬理活性を有する化学物質、導電剤又は接着剤である、請求項38〜58のいずれか1項に記載の方法。
- 薬理活性を有する化学物質が、抗血栓薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤又は抗菌剤である、請求項59に記載の方法。
- 成分Cが存在し、かつ、成分Dは存在しない、請求項38〜60のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Dが存在し、かつ、成分Cは存在しない、請求項38〜61のいずれか1項に記載の方法。
- 成分C及びDが存在しない、請求項38〜61のいずれか1項に記載の方法。
- 成分C及びDが存在する、請求項38〜61のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Eがコポリマーに共有結合するステップ(c)を含む請求項38〜64のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Eがコポリマーに共有結合しないステップ(c)を含む請求項38〜64のいずれか1項に記載の方法。
- ステップ(c)を含まない、請求項38〜64のいずれか1項に記載の方法。
- 成分Bの成分Aに対する質量比が、2.5:1〜0.5:1である、請求項38〜67のいずれか1項に記載の方法。
- 親水性コーティングが潤滑性であり、また潤滑性試験を用いた潤滑性が<100g、例えば<50g、例えば<15gである、請求項38〜68のいずれか1項に記載の方法。
- 親水性コーティングの耐久性試験を用いた耐久性が、<50g、例えば<25g、例えば<15gである、請求項38〜69のいずれか1項に記載の方法。
- 引き抜き可能な水素原子を含む基材の表面が、引き抜き可能な水素原子を含むポリマーの表面下塗りコーティングである、請求項38〜70のいずれか1項に記載の方法。
- 引き抜き可能な水素原子を含むポリマーが、カテコール官能基及び/又はキノン官能基及び/又はセミキノン官能基を含むポリマーである、請求項71に記載の方法。
- 引き抜き可能な水素原子を含むポリマーが、ポリドーパミンである、請求項71または72に記載の方法。
- ポリドーパミンの表面コーティングが、基材の表面と、酸化剤及びドーパミン及び/又はドーパミン類縁体を含む混合物と接触させることにより形成する、請求項73に記載の方法。
- ポリドーパミンの表面コーティングが、pH4〜7にて形成される、請求項73又は74に記載の方法。
- ポリドーパミンの表面コーティングが、pH5.5〜6.5にて形成される、請求項75に記載の方法。
- ポリドーパミンの表面コーティングが、水と有機アルコール(例えば水とIPAの混合物)の混合物である溶媒の存在下において形成される、請求項73〜76のいずれか1項に記載の方法。
- ポリドーパミンの表面コーティングの形成に先立って、コートされるべき表面が酸化剤で前処理されている、請求項73〜77のいずれか1項に記載の方法。
- ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体並びにキサントン及びこれらの誘導体からなる群より選択される、請求項38〜78のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ラジカル開始剤が、ベンゾフェノンである、請求項79に記載の方法。
- ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及び/又はこれらの誘導体並びにチオキサントン及び/又はこれらの誘導体の混合物である、請求項38〜78のいずれか1項に記載の方法。
- ステップ(a)のラジカル開始剤が、ベンゾフェノン及びチオキサントンの混合物である、請求項81に記載の方法。
- ステップ(b)のラジカル重合が、紫外光に対する光開始剤を含むステップ(a)の混合物の曝露により開始される、請求項38〜82のいずれか1項に記載の方法。
- 基材が、医療用デバイスである、請求項38〜83のいずれか1項に記載の方法。
- 医療用デバイスが、二股ステント、バルーン拡張型ステント及び自己拡張型ステントを包含するステント、二股ステントグラフトを包含するステントグラフト、血管グラフト及び二股グラフトを包含するグラフト、拡張器、血管閉塞器、塞栓フィルター、塞栓除去デバイス、マイクロカテーテル、中心静脈カテーテル、抹消静脈カテーテル及び血液透析カテーテルを包含するカテーテル、人工血管、リトラクタブル シースを包含するシース、血管内在性モニタリングデバイス、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ガイドワイヤー、カーディアックリード、心肺バイパスサーキット、カニューレ、プラグ、ドラッグデリバリーデバイス、バルーン、組織パッチデバイス及び血液ポンプからなる群より選択される、請求項84に記載の方法。
- 請求項38〜84のいずれか1項に記載の方法に従って得られた親水性コーティングを有する基材。
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