JP2019004829A - 加熱調理用油脂組成物、加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の油っぽさ低減剤 - Google Patents

加熱調理用油脂組成物、加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の油っぽさ低減剤 Download PDF

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Abstract

【課題】調理した加熱調理食品の油っぽさを低減することができる加熱調理用油脂組成物を提供する。また、その加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の油っぽさ低減剤等を提供する。【解決手段】未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油を、3質量%以上25質量%以下の含有量で含有せしめてなる加熱調理用油脂組成物である。また、その加熱調理用油脂組成物を用いて調理用材料を加熱調理する加熱調理食品の製造方法である。更に、その未精製オリーブ油を有効成分とする加熱調理食品の油っぽさ低減剤、並びにその未精製オリーブ油の加熱調理食品の油っぽさ低減のための使用である。【選択図】なし

Description

本発明は、天ぷら、フライ等の食品の調理に用いられる加熱調理用油脂組成物に関する。また、加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の油っぽさ低減剤等に関する。
天ぷら、フライなどの揚げ物には、大豆油、菜種油、コーン油など食用油脂が用いられている。これらの食用油脂を使用して調理した加熱調理食品には油分が含まれるため、場合によっては、その油っぽさが消費者に敬遠されるという問題があった。
このような課題に対して、例えば、特許文献1には、ヨウ素価35〜58のパーム系油脂と、ヨウ素価25〜35のパーム分別油とヨウ素価100〜130の液状油とを質量比80:20〜100:0で含む混合油脂をエステル交換して得られるエステル交換油脂と、ステアリン酸及び/又はベヘニン酸を構成脂肪酸として含有するポリグリセリン脂肪酸エステルとを特定の配合量で含有してなる油脂組成物が開示され、その油脂組成物を使用して調理したドーナツ、揚げパン、フライドポテト、フライドチキン等の食品は、油っぽさやペーパーへの油染みが低減されるとされている。
また、特許文献2には、パーム系部分水素添加油脂と、ヨウ素価26〜46のパーム分別油硬質部と、パーム油とを特定の配合量で含有してなる油脂組成物が開示されている。そして、その油脂組成物を使用して調理したドーナツ、揚げパン、フライドポテト、フライドチキン等の食品は、油っぽさやペーパーへの油染みが低減されるとされている。
近年、独特な豊かな風味と健康に対する良好なイメージから、オリーブ油への関心が高まってきている。オリーブ油のうち、エキストラバージンオリーブオイル等の未精製オリーブ油は、抗酸化作用を有するフェノール類の含有量が豊富であり、また、オリーブの実に含まれる天然成分も除かれずに、その香りや風味も良好であることから、特に好ましく用いられている。しかしながら、一般に、未精製のオリーブ油には、風味の安定性が悪かったり、冷温下に白濁を生じたりするという問題があった。
このような課題に対して、例えば、特許文献3には、菜種油等の植物油脂を精製加工することにより得られる酸化安定油を混合することにより、未精製オリーブ油の風味安定性が高められると記載されている。
また、特許文献4には、未精製のオリーブオイルを45〜70質量%及び高オレイン酸低リノレン酸菜種油を55〜30質量%含有する食用油が開示されており、その食用油によれば、低温にしても白濁が生じにくく耐冷性に優れ、かつ、オリーブオイルの良好な風味も保持できると記載されている。
特開2012−19700号公報 特開2013−243958号公報 特開平4−11838号公報 特開2011−254707号公報
しかしながら、特許文献1,2では、ドーナツ等の油っぽさを低減するため、水素添加油脂や乳化剤を利用しており、トランス脂肪酸等の健康面に悪影響を与える物質の混入の可能性も排除できないものがあった。
また、特許文献3,4では、未精製オリーブ油の香りや風味が生かされた、その未精製オリーブ油を主体とした油脂組成物が開示されているものの、油っぽさの低減に関する技術ではなかった。
本発明の目的は、上記従来技術に鑑み、調理した加熱調理食品の油っぽさを低減することができる加熱調理用油脂組成物を提供することにある。また、その加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理食品の製造方法、及び加熱調理食品の油っぽさ低減剤等を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分組成を備えた未精製オリーブ油には、油脂組成物を調理に使用して得られた加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油を、3質量%以上25質量%以下の含有量で含有することを特徴とする加熱調理用油脂組成物を提供するものである。
本発明の加熱調理用油脂組成物においては、前記チロソールの含有量1に対する、前記p−クマル酸及び前記ヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上10以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱調理用油脂組成物においては、前記未精製オリーブ油に含まれる前記チロソールの含有量が11mg/kg以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱調理用油脂組成物においては、前記未精製オリーブ油に含まれる前記p−クマル酸の含有量が2.3mg/kg以上15mg/kg以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱調理用油脂組成物においては、前記チロソールの含有量1に対する、前記p−クマル酸の含有量の質量割合が0.2以上5以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱調理用油脂組成物においては、前記未精製オリーブ油に含まれる前記p−クマル酸及び前記ヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量が4.5mg/kg以上50mg/kg以下であることが好ましい。
また、本発明の加熱調理用油脂組成物においては、更に、前記未精製オリーブ油以外の食用油脂を75質量%以上97質量%以下の含有量で含有することが好ましい。
本発明は、また、未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油と、前記未精製オリーブ油以外の食用油脂とを含み、前記未精製オリーブ油の含有量が3質量%以上25質量%以下となるように混合することを特徴とする加熱調理用油脂組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の加熱調理用油脂組成物の製造方法においては、前記未精製オリーブ油以外の前記食用油脂を、その含有量が75質量%以上97質量%以下となるように混合することが好ましい。
本発明は、更に、上記加熱調理用油脂組成物を用いて調理用材料を加熱調理することを特徴とする加熱調理食品の製造方法を提供するものである。
本発明の加熱調理食品の製造方法においては、前記加熱調理食品は揚げ物であることが好ましい。
本発明は、一方で、未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油を有効成分とすることを特徴とする加熱調理食品の油っぽさ低減剤を提供するものである。
本発明は、更に一方で、未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油の、加熱調理食品の油っぽさ低減のための使用を提供するものである。
本発明によれば、未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油により、その未精製オリーブ油を含有せしめた油脂組成物で加熱調理した食品に、油っぽさの低減効果がもたらされる。
本発明による加熱調理用油脂組成物は、未精製オリーブ油を含有するものである。
ここで、本明細書において「未精製オリーブ油」とは、オリーブの実から圧搾や遠心分離等の方法により分離された油であって、その油が脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理のうちの1種又は2種以上の精製処理を経ていないか、もしくはいずれの精製処理も経ていない該オリーブ油をいう。好ましくは、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、及び脱臭処理のいずれの精製処理をも経ていない該オリーブ油である。なお、脱ガム処理は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する工程である。脱酸処理は、アルカリ水で処理等することにより、油分中に含まれる遊離脂肪酸をセッケン分として除去する工程である。脱色処理は、油分中に含まれる色素を活性白土等に吸着させて除去する工程である。脱臭処理は、減圧下で水蒸気蒸留等することによって油分中に含まれる有臭成分を除去する工程である。
オリーブの実の由来に特に制限はなく、日本国産であっても外国産であってもよい。未精製オリーブ油は、エキストラバージンオリーブオイル(エクストラバージンオリーブオイル)、バージンオリーブオイル、オーディナリーバージンオリーブオイル、ランパンテバージンオリーブオイル等として市場にも流通している。本発明においてはそのような市販品を用いてもよく、好ましくはエキストラバージンオリーブオイル及びバージンオリーブオイルから選ばれる一種以上であり、より好ましくはエキストラバージンオリーブオイルである。なお、バージンオリーブオイルは、官能評価における判定基準により、エキストラバージンオリーブオイル、バージンオリーブオイル、オーディナリーバージンオリーブオイル、ランパンテバージンオリーブオイルの4つに区分されている。バージンオリーブオイルの基準は、国際オリーブ協会の定めた基準を適宜参照することができる。このような未精製オリーブ油には、通常、国際オリーブ協会のバイオフェノール測定法(COI/T. 20/Doc No 29)に従い、メタノール80/水20(v/v)の含水メタノールにより抽出した抽出物についてシリンガ酸を内部標準物質として用いてHPLC定量分析を行なった結果得られる総ポリフェノール量が、30mg/kg以上800mg/kg以下であることが典型的であり、100mg/kg以上500mg/kg以下であることが更により典型的である。また、本発明においては、未精製オリーブ油に含まれる上記総ポリフェノール量は、100mg/kg以上260mg/kg以下が好ましく、100mg/kg以上210mg/kg以下がより好ましい。
また、一般に、未精製オリーブ油に含まれる成分として、下記に示す物質も知られている。
チロソールは、tyrosol、4-(2-hydroxyethyl)phenol、p-hydroxyphenethyl alcohol等とも称される、下記化学式(1)で示される物質である。
Figure 2019004829
p−クマル酸は、p-coumaric acid、(E)-3-(4-hydroxyphenyl)-2-propenoic acid、4-hydroxycinnamic acid等とも称される、下記化学式(2)で示される物質である。
Figure 2019004829
ヒドロキシチロソールアセテートは、hydroxytyrosol acetate、2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethyl acetate、4-[2-(acetyloxy)ethyl]-1,2-benzenediol等とも称される、下記化学式(3)で示される物質である。
Figure 2019004829
ヒドロキシチロソールは、hydroxytyrosol、2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethanol等とも称される、下記化学式(4)で示される物質である。
Figure 2019004829
これらは、いずれも、上述した国際オリーブ協会のバイオフェノール測定法(COI/T. 20/Doc No 29)に従い、メタノール80/水20(v/v)の含水メタノールにより抽出した抽出物についてシリンガ酸を内部標準物質として用いたHPLC定量分析により、未精製オリーブ油中の濃度が測定可能なポリフェノール類である。
ただし、本発明による加熱調理用油脂組成物に含有せしめる未精製オリーブ油としては、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上であるものを用いる必要がある。すなわち、後述の実施例で示されるように、未精製オリーブ油であって、特定の成分組成を備えたものだけが、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果を有している。未精製オリーブ油の成分組成のばらつきは、オリーブの実の原料の産地(土壌、地質、日照条件、気温の寒暖差、降水量)、品種、収穫時期(成熟度合い)、収穫してからの実の保存の仕方、複数の原料のブレンド比等の要因によるものと考えられるが、当業者にあっては、入手あるいは調製可能な未精製オリーブ油のなかから上記範囲のものを、上述した国際オリーブ協会のバイオフェノール測定法(COI/T. 20/Doc No 29)等によって、適宜選択したり、検定したりすることができる。なお、未精製オリーブ油の成分組成の分析は、上述した国際オリーブ協会のバイオフェノール測定法(COI/T. 20/Doc No 29)以外の方法で行ってもよいことは勿論である。
本発明においては、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果をより顕著に得る観点で、上記未精製オリーブ油として、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上10以下であるものを用いることが好ましく、0.6以上10以下であるものを用いることがより好ましく、0.6以上8以下であるものを用いることがさらに好ましく、0.6以上6以下であるものを用いることがさらにより好ましい。
また、未精製オリーブ油に含まれるチロソールの含有量が11mg/kg以下であることが好ましく、10mg/kg以下であることがより好ましく、下限に特に制限はないが、例えば、0mg/kg以上であり、1mg/kg以上であることが好ましい。
また、未精製オリーブ油に含まれるp−クマル酸の含有量が2.3mg/kg以上15mg/kg以下であることが好ましく、2.9mg/kg以上15mg/kg以下であることがより好ましく、2.9mg/kg以上13mg/kg以下であることがさらに好ましく、4.8mg/kg以上13mg/kg以下であることがさらにより好ましく、5mg/kg以上12mg/kg以下であることが特に好ましい。
また、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸の含有量の質量割合が0.2以上5以下であるものを用いることが好ましく、0.2以上4以下であるものを用いることがより好ましく、0.3以上4以下であるものを用いることがさらに好ましく、0.3以上3以下であるものを用いることがさらにより好ましく、1.2以上3以下であるものを用いることが特に好ましい。
また、未精製オリーブ油に含まれるp−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量が4.5mg/kg以上50mg/kg以下であるものを用いることが好ましく、4.5mg/kg以上30mg/kg以下であるものを用いることがより好ましく、7mg/kg以上25mg/kg以下であるものを用いることがさらに好ましく、10mg/kg以上25mg/kg以下であるものを用いることがさらにより好ましい。
また、未精製オリーブ油に含まれるヒドロキシチロソールの含有量が15mg/kg以下であることが好ましく、14mg/kg以下であることがより好ましく、下限に特に制限はないが、例えば、0mg/kg以上であり、1mg/kg以上であることが好ましい。
また、未精製オリーブ油に含まれるヒドロキシチロソールアセテートの含有量が2.5mg/kg以上20mg/kg以下であることが好ましく、4mg/kg以上15mg/kg以下であることがより好ましく、6.5mg/kg以上12mg/kg以下であることがさらに好ましい。
また、チロソールの含有量1に対する、ヒドロキシチロソールアセテートの含有量の質量割合が0.3以上5以下であるものを用いることが好ましく、0.3以上4以下であるものを用いることがより好ましく、0.6以上3.5以下であるものを用いることがさらに好ましく、0.8以上3.5以下であるものを用いることがさらにより好ましい。
本発明による加熱調理用油脂組成物においては、上述したような特定の成分組成を備えた未精製オリーブ油の含有量(2種以上のものを使用する場合、その合計の含有量)が、3質量%以上25質量%以下である必要がある。その範囲未満であると加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果が顕著でなく、一方、その範囲を超えると、揚げ物にオリーブ独特の香りや風味が強く出てしまう場合があり、その香りや風味を望まない場合の需要に応えることができない。上記未精製オリーブ油の含有量(2種以上のものを使用する場合、その合計の含有量)は3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上18質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがさらにより好ましい。
本発明による加熱調理用油脂組成物は、上述したような特定の成分組成を備えた未精製オリーブ油を、例えば、所定の食用油脂に添加して、混合することにより調製することができる。ただし、本発明の範囲を、特にその方法で得られた加熱調理用油脂組成物に限定する趣旨ではない。すなわち、調製態様に関わらず、上述したような特定の成分組成を備えた未精製オリーブ油を、上述したような特定の含有量で含有する加熱調理用油脂組成物であれば、本発明の範囲に包含され得る。
本発明による加熱調理用油脂組成物に用いられる未精製オリーブ油以外の食用油脂としては、食用のものを適宜利用することができ、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油(未精製オリーブ油は含まない。)、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、牛脂、豚脂、鶏脂等の動物脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、あるいはこれら油脂に分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂などが挙げられる。未精製オリーブ油以外の食用油脂は、1種類を単品で用いてもよく、あるいは2種類以上を用いてもよい。なかでも、製造時の作業性等の点で、大豆油、菜種油、ひまわり油、パームオレイン、コーン油等のヨウ素価が50以上の油脂から選ばれる1種又は2種以上を60質量%以上配合した食用油脂が好ましく、80質量%以上配合した食用油脂がより好ましい。また、上記食用油脂(未精製オリーブ油以外)は、油糧原料から搾油、抽出等して得られた原油から、更に、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理のうちの1種又は2種以上の精製処理が施されてなるものであることが好ましく、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理および脱臭処理のすべての精製処理を施されてなるものであることがより好ましい。このような精製処理によれば、原料の香りや風味、色素等が除かれて、そのような原料由来の性質が好まれない場合の需要に応えることができる。なお、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理等の精製処理の意義については、未精製オリーブ油に関する説明において、上述したとおりである。
上記食用油脂(未精製オリーブ油以外)の含有量(2種以上のものを使用する場合、その合計の含有量)としては、本発明による加熱調理用油脂組成物中に、75質量%以上97質量%以下であることが好ましく、80質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、82質量%以上97質量%以下であることがさらに好ましく、82質量%以上96質量%以下であることがさらにより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることが特に好ましい。また、本発明の加熱調理用油脂組成物の水の含有量は、1質量%未満が好ましい。
また、本発明による作用効果を害しない範囲であれば、抗酸化剤、乳化剤、香料などの添加素材を、更に配合していてもよい。具体的には、例えば、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ−オリザノール、トコフェロールなどが挙げられる。
本発明による加熱調理用油脂組成物は、例えば、天ぷら、フライドポテト、ハッシュドポテト、コロッケ、唐揚げ、とんかつ、魚フライ、アメリカンドッグ、チキンナゲット、揚げ豆腐、ドーナッツ、揚げパン、揚げ米菓、スナック菓子、インスタントラーメン等の揚げ物からなる加熱調理食品に好適に使用され得る。特に、天ぷらのようにバッターを使用する加熱調理食品やコロッケのようにパン粉を使用する加熱調理用食品に好適に使用され得る。その加熱調理食品を製造する態様に特に制限はなく、本発明による加熱調理用油脂組成物を使用して、それぞれの加熱調理食品の種類に応じて、その加熱調理食品に適した方法にて、適宜所望の加熱調理食品を製造すればよい。すなわち、本発明による加熱調理用油脂組成物を用いて、所定の加熱調理食品の調理用材料に、その温度を、典型的には150〜210℃、より典型的には160〜200℃とした状態で揚げる等の加熱調理を行なえばよい。
以上説明したように、本発明は、特定の成分組成を備えた未精製オリーブ油には、油脂組成物を調理に使用して得られた加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果があるので、その未精製オリーブ油を加熱調理用油脂組成物に特定の含有量で含有せしめたうえ、その油脂組成物を使用して加熱調理して得られた加熱調理食品には、油っぽさの低減効果がもたらされるというのである。その意味では、本発明において、上記未精製オリーブ油は、加熱調理食品の油っぽさ低減剤の有効成分を構成しているとみることができる。また、上記未精製オリーブ油は、加熱調理食品の油っぽさ低減のために使用されているとみることができる。なお、本発明において、「油っぽさ」とは、一般に消費者や当業者に理解される用語の意味と異なるところはなく、より具体的には、加熱調理食品を食べたときに口の中に残る油のべたつきや食べた後にいつまでも口の中に油を感じる後残りを意味するものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に使用した食用油脂及び未精製オリーブ油は、以下のとおりである。
<食用油脂>
HOLL:高オレイン酸低リノレン酸菜種油(株式会社J−オイルミルズ社製)
菜種油(株式会社J−オイルミルズ社製)
IV67:パームオレイン(ヨウ素価67)(株式会社J−オイルミルズ社製)
ハイオレイックヒマワリ油(株式会社J−オイルミルズ社製)
なお、これらの食用油脂は、いずれも、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理及び脱臭処理のすべての精製処理が施されてなるものである。また、水の含有量は、1質量%未満である。
<未精製オリーブ油>
フェリオリカルフォルニアEV(FeliOli エクストラバージンオリーブオイル カリフォルニア、株式会社J−オイルミルズ社製)
フルーティア(AJINOMOTO オリーブオイルエクストラバージンFRUTIA PREMIUM、株式会社J−オイルミルズ社製)
アルベキーナ(アルベキーナ種エキストラバージンオリーブ油、ACEITES DEL SUR − COOSUR, S.A.社製)
ピクアル(ピクアル種エキストラバージンオリーブ油、ACEITES DEL SUR − COOSUR, S.A.社製)
味の素EV(AJINOMOTO オリーブオイルエクストラバージン、株式会社J−オイルミルズ社製)
ベリオEV(FILIPPO BERIO エクストラバージンオリーブオイル、株式会社J−オイルミルズ社製)
市販品A(市販のエキストラバージンオリーブ油)
なお、これらの未精製オリーブ油は、いずれもエキストラバージンオリーブ油であり、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、及び脱臭処理のいずれの精製処理も施されていないものである。また、水の含有量は、1質量%未満である。
[試験例1]
下記表1に示す配合で食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。これを天ぷら油として使用し、天ぷら粉でバッターを作成してちくわに付けて、170℃で揚げて、ちくわの天ぷらを得た。
得られたちくわの天ぷらを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、揚げたて(ほんのり温かい状態)と冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
また、冷めた状態のちくわの天ぷらを食した際のニオイの強さを、4名での合議の上、下記評価基準で評価した。
<ニオイの評価>
◎:オリーブ油のニオイがしない
○:オリーブ油のニオイがほとんどしない
△:オリーブ油のニオイが少しする
×:オリーブ油のニオイがする
その結果を、下記表1に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを10質量部配合してなる、実施例1の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、油っぽさが低減していた。また、オリーブ油のニオイがしなかった。
(2)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアの2質量部と未精製オリーブ油である味の素EVの8質量部とを配合してなる、実施例2の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。また、オリーブ油のニオイがほとんどしなかった。
[試験例2]
下記表2に示す配合で食用油脂、又は食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。これを天ぷら油として使用し、天ぷら粉でバッターを作成して海老に付けて、170℃で揚げて、海老の天ぷらを得た。
得られた海老の天ぷらを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、揚げたて(ほんのり温かい状態)と冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
その結果を、下記表2に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂のみを配合してなる、比較例1の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた海老の天ぷらは、油っぽいものとなってしまった。
(2)精製された食用油脂の95質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを5質量部配合してなる、実施例3の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた海老の天ぷらは、油っぽさが低減していた。また、未精製オリーブ油であるフルーティアの配合量を10質量部又は15質量部と増やし、その分の量の食用油脂を減らしてなる、実施例4、5の油脂組成物でも、これを天ぷら油として調理して得られた海老の天ぷらは、油っぽさが低減していた。
(3)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である味の素EVを10質量部配合してなる、実施例6の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた海老の天ぷらは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(4)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である市販品Aを10質量部配合してなる、比較例2の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた海老の天ぷらは、やや油っぽいものとなってしまった。
[試験例3]
下記表3に示す配合で食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。この油脂組成物、又は未精製オリーブ油を添加しない食用油脂を天ぷら油として使用し、天ぷら粉でバッターを作成して、そのバッターを170℃で素揚げして、天かすを得た。
得られた天かすを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
その結果を、下記表3に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂である、比較例3では、これを天ぷら油として調理して得られた天かすは、油っぽいものとなってしまった。
(2)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを10質量部配合してなる、実施例7の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた天かすは、油っぽさが低減していた。
(3)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である味の素EVを10質量部配合してなる、実施例8の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた天かすは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(4)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるベリオEVを10質量部配合してなる、比較例4の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた天かすは、油っぽいものとなってしまった。
(5)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である市販品Aを10質量部配合してなる、比較例5の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られた天かすは、やや油っぽいものとなってしまった。
(6)試験例1〜3の結果を合わせて考慮すれば、食用油脂の種類に関係なく、所定の未精製オリーブ油を所定量配合することで、揚げ物の油っぽさを低減できることがわかる。
[試験例4]
下記表4に示す配合で食用油脂、又は食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。これを天ぷら油として使用し、天ぷら粉でバッターを作成してちくわに付けて、170℃で揚げて、ちくわの天ぷらを得た。
得られたちくわの天ぷらを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
その結果を、下記表4に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂のみを配合してなる、比較例6の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、油っぽいものとなってしまった。
(2)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを10質量部配合してなる、実施例9の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、油っぽさが低減していた。
(3)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアの2質量部と未精製オリーブ油であるアルベキーナの7質量部と未精製オリーブ油であるピクアルの1質量部とを配合してなる、実施例10の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、油っぽさが低減していた。
(4)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるアルベキーナの8質量部と未精製オリーブ油であるピクアルの2質量部とを配合してなる、実施例11の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(5)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるアルベキーナを10質量部配合してなる、実施例12の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(6)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である市販品Aを10質量部配合してなる、比較例7の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、やや油っぽいものとなってしまった。
(7)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるベリオEVを10質量部配合してなる、比較例8の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、やや油っぽいものとなってしまった。
(8)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフェリオリカルフォルニアEVを10質量部配合してなる、実施例13の油脂組成物では、これを天ぷら油として調理して得られたちくわの天ぷらは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
[試験例5]
下記表5に示す配合で食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。この油脂組成物、又は未精製オリーブ油を添加しない食用油脂をフライ油として使用し、冷凍ハッシュドポテト(商品名:ハッシュドポテト、株式会社ニチレイフーズ製)を、180℃で揚げて、ハッシュドポテトを得た。
得られたハッシュドポテトを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
その結果を、下記表5に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂のみを配合してなる、比較例9の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られたハッシュドポテトは、油っぽいものとなってしまった。
(2)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを10質量部配合してなる、実施例14の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られたハッシュドポテトは、油っぽさが低減していた。
(3)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である味の素EVを10質量部配合してなる、実施例15の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られたハッシュドポテトは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(4)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるベリオEVを10質量部配合してなる、比較例10の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られたハッシュドポテトは、油っぽいものとなってしまった。
(5)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である市販品Aを10質量部配合してなる、比較例11の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られたハッシュドポテトは、やや油っぽいものとなってしまった。
[試験例6]
下記表6に示す配合で食用油脂と未精製オリーブ油とを混合して油脂組成物を調製した。この油脂組成物、又は未精製オリーブ油を添加しない食用油脂をフライ油として使用し、冷凍牛肉コロッケ(商品名:H牛肉コロッケ、サンマルコ食品株式会社製)を、180℃で揚げて、牛肉コロッケを得た。
得られた牛肉コロッケを4名で食し、合議の上、下記評価基準で評価した。なお、油っぽさの評価は、冷めた状態で行なった。
<油っぽさの評価>
◎:油っぽくない
○:僅かに油っぽい
△:やや油っぽい
×:油っぽい
その結果を、下記表6に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)精製された食用油脂のみを配合してなる、比較例12の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られた牛肉コロッケは、油っぽいものとなってしまった。
(2)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるフルーティアを10質量部配合してなる、実施例16の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られた牛肉コロッケは、油っぽさが低減していた。
(3)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である味の素EVを10質量部配合してなる、実施例17の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られた牛肉コロッケは、僅かに油っぽさが感じられるものの、油っぽさが低減していた。
(4)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油であるベリオEVを10質量部配合してなる、比較例13の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られた牛肉コロッケは、油っぽいものとなってしまった。
(5)精製された食用油脂の90質量部に対して、未精製オリーブ油である市販品Aを10質量部配合してなる、比較例14の油脂組成物では、これを加熱調理用油脂組成物として調理して得られた牛肉コロッケは、やや油っぽいものとなってしまった。
(6)試験例1〜6の結果を合わせて考慮すれば、バッターを使った天ぷらのみならず、ハッシュドポテトやパン粉を使ったコロッケにおいても、本発明の加熱調理用油脂組成物は、調理後の食品の油っぽさを低減できることがわかる。
[試験例7]
試験例1〜6で使用した未精製オリーブ油について、国際オリーブ協会のバイオフェノール測定法(COI/T. 20/Doc No 29)に従い、メタノール80/水20(v/v)の含水メタノールにより抽出した抽出物について、シリンガ酸を内部標準物質として用いて、以下の分析条件でHPLC定量分析を行なった。なお、成分の同定には質量分析の結果を使用した。
(分析条件)
・HPLCシステム:Alliance 2695 (Waters)
・解析ソフト:MassLynx (Waters)
・カラム:Kinetex C18 (5 μm, 内径4.6 x長さ 150 mm, Phenomenex)
・移動相:A;0.2%酢酸水溶液、B;アセトニトリル/メタノール=50/50 (v/v)
・グラジエント:0-30 min;B4-50%、30-33.75 min;B50-60%、33.75-45 min;B60-100%、45-52.5 min;B100%、52.5-60 min;B4%
・分析時間:60分
・検出器:PDA (280 nm, 2996 PDA, Waters)
・温度:27℃
・流速:0.5 ml/min.
・注入量:20 μL
その結果を、下記表7に示す。
Figure 2019004829
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)未精製オリーブ油のなかでも、特に、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上であるものに、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果が認められた。
(2)未精製オリーブ油のなかでも、特に、チロソールの含有量が11mg/kg以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(3)未精製オリーブ油のなかでも、特に、p−クマル酸の含有量が2.3mg/kg以上15mg/kg以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(4)未精製オリーブ油のなかでも、特に、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸の含有量の質量割合が0.2以上5以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(5)未精製オリーブ油のなかでも、特に、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量が4.5mg/kg以上50mg/kg以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(6)未精製オリーブ油のなかでも、特に、ヒドロキシチロソールの含有量が15mg/kg以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(7)未精製オリーブ油のなかでも、特に、ヒドロキシチロソールアセテートの含有量が2.5mg/kg以上20mg/kg以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。
(8)未精製オリーブ油のなかでも、特に、チロソールの含有量1に対する、ヒドロキシチロソールアセテートの含有量の質量割合が0.3以上5以下であるものには、加熱調理食品の油っぽさを低減する作用効果がより顕著である傾向が認められた。

Claims (13)

  1. 未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油を、3質量%以上25質量%以下の含有量で含有することを特徴とする加熱調理用油脂組成物。
  2. 前記チロソールの含有量1に対する、前記p−クマル酸及び前記ヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上10以下である、請求項1に記載の加熱調理用油脂組成物。
  3. 前記未精製オリーブ油に含まれる前記チロソールの含有量が11mg/kg以下である、請求項1又は2に記載の加熱調理用油脂組成物。
  4. 前記未精製オリーブ油に含まれる前記p−クマル酸の含有量が2.3mg/kg以上15mg/kg以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
  5. 前記チロソールの含有量1に対する、前記p−クマル酸の含有量の質量割合が0.2以上5以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
  6. 前記未精製オリーブ油に含まれる前記p−クマル酸及び前記ヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量が4.5mg/kg以上50mg/kg以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
  7. 更に、前記未精製オリーブ油以外の食用油脂を75質量%以上97質量%以下の含有量で含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物。
  8. 未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油と、前記未精製オリーブ油以外の食用油脂とを含み、前記未精製オリーブ油の含有量が3質量%以上25質量%以下となるように混合することを特徴とする加熱調理用油脂組成物の製造方法。
  9. 前記未精製オリーブ油以外の前記食用油脂を、その含有量が75質量%以上97質量%以下となるように混合する、請求項8に記載の加熱調理用油脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理用油脂組成物を用いて調理用材料を加熱調理することを特徴とする加熱調理食品の製造方法。
  11. 前記加熱調理食品が揚げ物である、請求項10に記載の加熱料理用食品の製造方法。
  12. 未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油を有効成分とすることを特徴とする加熱調理食品の油っぽさ低減剤。
  13. 未精製オリーブ油であって、チロソールの含有量1に対する、p−クマル酸及びヒドロキシチロソールアセテートの合計含有量の質量割合が0.5以上である該未精製オリーブ油の、加熱調理食品の油っぽさ低減のための使用。
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