JP2018537443A - アルカンスルホン酸を再処理する方法 - Google Patents

アルカンスルホン酸を再処理する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018537443A
JP2018537443A JP2018523773A JP2018523773A JP2018537443A JP 2018537443 A JP2018537443 A JP 2018537443A JP 2018523773 A JP2018523773 A JP 2018523773A JP 2018523773 A JP2018523773 A JP 2018523773A JP 2018537443 A JP2018537443 A JP 2018537443A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
mother liquor
alkanesulfonic acid
separation
crystallization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2018523773A
Other languages
English (en)
Inventor
シュピールマン ヤン
シュピールマン ヤン
ミヒャエル コッホ
コッホ ミヒャエル
ヴォアトマン ユルゲン
ヴォアトマン ユルゲン
ヴァイグニー ザビーネ
ヴァイグニー ザビーネ
リューター フィーリー
リューター フィーリー
ゼングピール ローベアト
ゼングピール ローベアト
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF SE
Original Assignee
BASF SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BASF SE filed Critical BASF SE
Publication of JP2018537443A publication Critical patent/JP2018537443A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C303/00Preparation of esters or amides of sulfuric acids; Preparation of sulfonic acids or of their esters, halides, anhydrides or amides
    • C07C303/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C303/44Separation; Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C309/00Sulfonic acids; Halides, esters, or anhydrides thereof
    • C07C309/01Sulfonic acids
    • C07C309/02Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C309/03Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms of an acyclic saturated carbon skeleton
    • C07C309/04Sulfonic acids having sulfo groups bound to acyclic carbon atoms of an acyclic saturated carbon skeleton containing only one sulfo group

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

本発明は、化学的プロセスにおいて薬剤、触媒または溶媒として用いられるアルカンスルホン酸を再処理するための、以下の工程:(a)化学的プロセスにおいて発生する反応混合物からアルカンスルホン酸含有流を分離する工程、(b)前記アルカンスルホン酸含有流を出発溶融物として溶融結晶化に供給し、ここで、母液中に懸濁したアルカンスルホン酸、アルカンスルホン酸の水和物または双方の混合物の結晶が形成される工程、(c)固液分離を実施することで母液から結晶を分離する工程、(d)任意に、前記結晶を洗浄することで前記結晶に付着している前記母液を除去する工程、(e)前記母液から分離され任意に洗浄された前記結晶を前記化学的プロセスに返送する工程を含む方法に関する。

Description

本発明は、化学的プロセスにおいて薬剤、触媒または溶媒として用いられるアルカンスルホン酸を再処理する方法から出発する。
アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸(MSA)の用途の1つの分野は、直鎖アルキルベンゼンを製造するためのオレフィンによるベンゼンまたは置換ベンゼンの接触アルキル化である。これは、最も頻繁に用いられる界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を製造するための出発物質でもある。
通常、直鎖アルキルベンゼンの製造に用いられる触媒は、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、硫酸またはフッ化水素酸である。これらの中で、フッ化水素酸は、その腐食性、毒性および揮発性に基づき、プラント運転において保守、安全および廃棄に関する著しい問題を伴うにもかかわらず、最も頻繁に用いられる触媒である。
国際公開第2013/061336号(WO−A2013/061336)からは、メタンスルホン酸が直鎖アルキルベンゼンの製造における代替触媒として用いられうることが知られている。この文献では、メタンスルホン酸を直鎖アルキルベンゼンの製造に使用した後に廃棄するのではなく、回収する必要があると考えられている。しかしながら、回収されたメタンスルホン酸の触媒活性を十分に保つことには問題がある。ここでの問題点は、メタンスルホン酸が接触反応中に触媒活性を低下させうる不純物を取り込んでしまうことである。触媒活性を保持するためにどのように不純物の除去が行われうるかは、国際公開第2013/061336号(WO−A2013/061336)からは明らかでない。
アルカンスルホン酸は、直鎖アルキルベンゼンの製造以外には、他の化学的プロセス、特にアルキル化およびエステル化反応において酸触媒として用いることができる。したがって、例えば、硫酸、パラ−トルエンスルホン酸またはフッ化水素酸などの定着した酸性触媒と実質的に機能を同じくして置き換えることができる。これに関して、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸の利点は、より接触効果に優れているか、またはフッ化水素酸と比較して、その毒性がはるかに低いことである。
サリチル酸のアルキル化においてメタンスルホン酸を触媒として使用することは、例えば、米国特許第7045654号明細書(US7,045,654)に開示されており、α−オレフィンによる単環式芳香族化合物のアルキル化における触媒としての使用は、国際公開第02/074720号(WO−A02/074720)から知られている。これらの文献にはそれぞれ、分離されたメタンスルホン酸含有相が、反応において形成される色付与成分によって暗/褐色に変色されることが記載されている。
欧州特許出願公開第323402号明細書(EP−A323402)には、メタンスルホン酸を触媒として用いてアルキル化2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール液体混合物を製造する方法が記載されている。アルキル化剤として用いられるα−オレフィンは、好ましくは、反応媒体の表面下にゆっくりと添加されて、α−オレフィンのオリゴマーなどの副成分の形成を減少させる。反応は、好ましくは、170〜180℃の高温で実施される。メタンスルホン酸含有相は、生成物相の反応後に分離する。反応において着色化合物が形成され、これらは生成物相およびメタンスルホン酸含有相に残留する。
Takahashi et al.,J.Jpn.Petrol.Inst.Vol.50,No.4,2007,pp.188−194には、20〜40℃で3・10Paの高圧下に連続フロー反応器中でエチレン、プロピレン、1−ブテンおよびイソブテンなどの軽質オレフィンのメタンスルホン酸接触オリゴマー化によって液体炭化水素を形成することが記載されている。反応の最後に、形成された液体炭化水素は、触媒として用いられるメタンスルホン酸から相分離によって分離される。このプロセスでは、メタンスルホン酸中での水濃度の高まりが、炭化水素の収率に悪影響を及ぼす。分離されたメタンスルホン酸を含む相は、形成された色付与成分によって暗色に変色される。
上で引用した文献は、オレフィンのメタンスルホン酸接触反応によって非常に低い温度ですら色付与化合物が形成しうることを示しており、これらの化合物は、炭化水素含有生成物相およびメタンスルホン酸相にも蓄積する可能性がある。予め精製工程に通さずにメタンスルホン酸を再利用すると、その結果、生成物相においてもはや許容することのできない含有量の色付与成分が生じる可能性がある。
アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸は、これまで触媒として用いられてきた酸と比べてはるかに価値の高い物質であるので、経済的な利用のためには、回収および反復利用が不可欠である。これに関して、精製を伴わない単純な返送が、メタンスルホン酸の触媒利用による反応系での転化率の低下につながることが判明した。
芳香族炭化水素からオレフィン化合物を除去することを目的としたオレフィンによる芳香族化合物のメタンスルホン酸接触アルキル化が、Tian et al.,Ind.Eng.Chem.Res.,Vol.51,2012,pp.13627−13631に記載されている。メタンスルホン酸含有親水性相は、精製工程を伴わない分離後に触媒として再利用される。この場合、返送サイクルごとに触媒活性の低下が観察される。5回目の返送サイクルの後、転化率は90%から66%に下がる。
Zhao et al.,Catalysis Letters,Vol.102,2005,pp.219−222には、アルケンによるα−メチルナフタレンのメタンスルホン酸接触アルキル化が記載されている。相分離の後、メタンスルホン酸含有親水性相は、精製を伴わずにプロセスに返送される。この場合、120分後のわずか2回の返送サイクル後に転化率は92.8%から86.5%に低下することが判明した。
触媒としての使用以外に、アルカンスルホン酸は、化学的製造プロセスにおける溶媒として用いることも可能である。アルカンスルホン酸を含む反応混合物は、一般に二相性であり、反応の終了後、親水性相と疎水性相とに分離する。そのとき、用いられたアルカンスルホン酸は、実質的に親水性相に存在し、低沸点物および高沸点物により汚染される。ここでも、化学的プロセスに返送する前にアルカンスルホン酸を精製する必要がある。
アルカンスルホン酸の可能な精製方法は、特に、アルカンスルホン酸を製造する方法に関連して記載されている。
国際公開第00/31027号(WO−A00/31027)からは、例えば、アルキルメルカプタン、ジアルキルジスルフィドまたはジアルキルポリスルフィドを硝酸で酸化することによるアルカンスルホン酸の製造が知られている。生成物として、窒素酸化物、水および更なる副生成物、例えば硫酸が形成される。酸素による酸化によって、硝酸が窒素酸化物から再生され、プロセスに返送される。精製するために、低沸点物および高沸点物が蒸留により2つの工程で分離され、そうすることで実質的に無水の純粋なアルカンスルホン酸が回収される。わずかに減圧させた状態でストリッピング塔として運転される水分離塔において、粗生成物から水および硝酸が分離される。ここで、塔底生成物は、1質量%の水および約1質量%の高沸点物、特に硫酸を含む。高沸点物の分離は、高真空下、すなわち0.1〜20mbar(abs)の圧力でアルカンスルホン酸を蒸留することによって達成され、99.5質量%超の純度および50ppm未満の硫酸含有量を伴う。
国際公開第2015/086645号(WO2015/086645)には、ジアルキルスルフィドを窒素酸化物で酸化することによるメタンスルホン酸の製造が記載されている。窒素酸化物は、例えば酸素富化空気により再生される。その後、2つの蒸留塔を介して反応生成物から低沸点物および高沸点物が除去される。このように精製された生成物は、不特定の濃度のメタンスルホン酸を含む。
英国特許出願公開第1350328号明細書(GB−A1350328)には、水性塩酸中のアルキルメルカプタンまたはジアルキルジスルフィドの塩素化によるアルカンスルホン酸の合成が記載されている。この反応の生成物は70〜85質量%のアルカンスルホン酸である。この文献には、無水メタンスルホン酸を製造するための2段階のプロセスが記載されている。第1の工程では水が留去され、第2の工程ではメタンスルホン酸が短い塔により塔底生成物から留出され、塔頂部で回収される。
中国特許出願公開第1810780号明細書(CN−A1810780)は、亜硫酸アンモニウムと硫酸ジメチルとの反応によるメタンスルホン酸の合成を記載している。この場合、メチルスルホン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムが形成される。水酸化カルシウムの添加によって、可溶性メチルスルホン酸カルシウムおよび不溶性硫酸カルシウムが形成され、これは容易に除去されうる。メタンスルホン酸を遊離させ、再び硫酸カルシウムを形成および沈殿させるために硫酸が添加される。形成された水溶液から、蒸留によってまず水が除去され、次いで減圧蒸留によってメタンスルホン酸が回収される。
独国特許発明第19743901号明細書(DE−C19743901)は、亜硫酸イオンと硫酸ジメチルとの反応によるメタンスルホン酸の合成を記載している。この場合、亜硫酸イオンは、水性系において高温で反応させられ、強酸に曝される。副生成物として、硫酸塩が、例えば硫酸ナトリウムの形態で発生する。酸の精製は蒸留によって行われる。
欧州特許出願公開第0675107号明細書(EP−A0675107)は、アルカンメルカプタンまたはジアルカンジスルフィドを水性塩酸中の塩素と高圧下であっても反応させることによるアルカンスルホン酸塩化物(ASC)またはアルカンスルホン酸(ASA)の連続的な製造方法を記載している。HClおよびプロセス条件下で凝縮可能ではない他の低沸点物は、超大気圧の放圧後に取り除かれる。ASCは、10〜35℃の好ましい温度範囲で製造され、蒸留塔によって精製される。ASAは、ASCから水の存在下に80℃超135℃までの温度での加水分解によって回収される。ASCおよび/またはASAの精製は、例えば、蒸気ストリッパーを用いても実施され、そこで残留ASCも加水分解される。
減圧下で流下膜式蒸発器中での水の蒸発による水性メタンスルホン酸からの水の除去は、米国特許第4450047号明細書(US4,450,047)に記載されている。水が塔頂部で抜き出され、99.5質量%超のメタンスルホン酸を有する生成物流が得られる。
米国特許第4938846号明細書(US4,938,846)からは、直列に配置され、両方とも減圧下で運転される2つの流下膜式蒸発器中での水の蒸発による水性メタンスルホン酸からの水の除去が知られている。
先行技術に従って知られている蒸留法の欠点は、高温および必要な減圧に基づきプロセスが非常にエネルギーを消費することである。さらに、硫酸などの高沸点物は、特にエネルギーを消費するアルカンスルホン酸の気相への変換を伴わずには分離されえない。それに、いくつかの精製プロセスの場合、大規模工業的な規模での使用が非常に限られている流下膜式蒸発器を用いて蒸留の課題が解決される。
水性メタンスルホン酸を2段階の蒸留プロセスで精製する、同様に非常にエネルギー集約的な方法が米国特許第4035242号明細書(US4,035,242)から知られている。第1の蒸留塔では、水の大部分が減圧下で低沸点物として除去される。メタンスルホン酸を含む塔底生成物は、第2の精留塔において減圧下で蒸発および分離され、その際、メタンスルホン酸が回収される。
塩基性アニオン交換樹脂を用いてメタンスルホン酸から硫酸を除去することが、米国特許第6337421号明細書(US6,337,421)から知られている。さらに、硫酸を分離する他の方法、例えば、蒸留または分別結晶化ならびにナノ濾過による分離も記載されているが、これらのいずれも米国特許第6337421号明細書(US6,337,421)の記載によれば満足のいく結果を出していない。
易酸化性化合物を含むメタンスルホン酸の精製が、欧州特許出願公開第0505692号明細書(EP−A0505692)および欧州特許出願公開第0373305号明細書(EP−A0373305)に記載されている。これに関して、欧州特許出願公開第0505692号明細書(EP−A0505692)によれば、塩素を供給することで不純物がメタンスルホン酸塩化物に変換され、これは更なる工程でメタンスルホン酸と塩酸とに加水分解される。欧州特許出願公開第0373305号明細書(EP−A0373305)によれば、オゾンを供給することでチオ硫酸メチルがメタンスルホン酸に変換される。しかしながら、これらの2つの方法は、硫酸などの高沸点成分を除去することができず、それゆえ更なる精製工程が必要であるという欠点を有する。
メタンスルホン酸および同様にエタンスルホン酸の分別結晶化は、原則としてR.A.Craig et al.,J.Am.Chem.Soc.,1950,Vol.72,pp.163−164またはA.Berthoud,Helv.Chim.Acta,1929,Vol.12,p.859から知られているが、そこに記載されている方法は、大規模工業的な方法での実施には言及していない。
アルカンスルホン酸の製造から生じる不純物とは異なり、化学的プロセスに用いられるアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸は、更なる不純物を含んでいてもよい。これらは、典型的には低沸点物と高沸点物とに区別され、ここで、低沸点物の沸点は、アルカンスルホン酸の沸点よりも低く、高沸点物の沸点は、アルカンスルホン酸の沸点よりも高い。
化学的プロセスに用いられるアルカンスルホン酸が含まれていてよい典型的な低沸点物は、例えば、水、硝酸、塩化水素、塩素、アルキルメルカプタン、ジアルキルジスルフィド、ジアルキルポリスルフィド、メタンスルホン酸メチルエステル(MSA−ME)、二酸化硫黄、アンモニア、硫酸ジメチル、硫酸モノメチル、短鎖炭化水素、オレフィン、芳香族炭化水素、ベンゼン、短鎖脂肪族および芳香族アルコール、メチルスルホン酸エステル、芳香族スルホン酸、アルキルスルホン酸、カルボン酸およびカルボン酸エステルである。
不純物として含まれる高沸点物の例は、硫酸、塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、メチル硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、メチル硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムおよびメチル硫酸カルシウム、長鎖炭化水素、芳香族炭化水素、オレフィン、長鎖脂肪族アルコール、芳香族アルコール、メチルスルホン酸エステル、芳香族スルホン酸、アルキルスルホン酸、カルボン酸またはカルボン酸エステルであってよい。
上述の不純物以外に、さらに、同定されていないかまたは同定されえない他の高沸点物、特に色付与物質(Farbgeber)も含まれていてよい。
欧州特許出願公開第323402号明細書(EP−A323402)からは、メタンスルホン酸を触媒として用いてアルキル化2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール液体混合物を製造する方法が知られている。この方法の1つの実施形態では、反応の終了後、反応混合物が水と混合される。引き続き、粗生成物相がメタンスルホン酸含有相から分離される。メタンスルホン酸含有相からメタンスルホン酸が蒸留によって後処理され、プロセスに返送される。その際、蒸留は多段式である。1つ目の蒸留段階では水が除去され、最終的にメタンスルホン酸が塔頂部で蒸留される。
米国特許第5284993号明細書(US5,284,993)には、フルオロスルホン酸およびメタンスルホン酸などの強酸からなる、イソパラフィン性炭化水素を用いてオレフィン性炭化水素をアルキル化するためのアルキル化触媒の再生が記載されている。この触媒は、酸接触アルキル化反応の不所望の副生成物であるいわゆる酸可溶性油で汚染される。これらの酸可溶性油の濃度が高すぎると、触媒および形成される生成物の活性に悪影響を及ぼすことが記載されている。触媒を再生するために、強酸は、第1の工程でフラッシュ蒸留によって除去される。引き続き、相分離が確立されるまでメタンスルホン酸と酸可溶性油との混合物に水が加えられる。相は、酸可溶性油を含む疎水性相と、メタンスルホン酸および水を含む親水性相とに分けられる。詳細には記載されていないプロセスによって親水性相から水が分離され、メタンスルホン酸はアルキル化プロセスに返送される。
国際公開第2013/061336号(WO−A2013/061336)は、メタンスルホン酸が触媒として引き合いに出されている、過剰のベンゼンを用いてC10〜C14−アルケンから直鎖アルキルベンゼンを製造する方法を記載している。プロセスの説明では、触媒回収のためのユニットも挙げられているが、このプロセス段階の作用様式は開示されていなかった。反応物は、アルカン混合物と一緒に溶媒としてアルキル化工程に供給される。その後、反応混合物は、分離装置において廃棄流、返送流および生成物流に分離される。分離装置は、例えば、2つの相分離器および蒸留装置を含む。反応混合物は二相性であり、1つ目の相分離器における反応の終了後、疎水性相と親水性触媒相とに分離する。水またはアルキル溶液を用いた洗浄によって、疎水性相から残留触媒を除去することができる。引き続き、この相は蒸留により分離され、生成物が回収される。蒸留において分離されたベンゼンおよびアルカン、ならびに変換されなかったオレフィンは、アルキル化工程に返送される。使用済みの触媒および水は、更なる抜出しによって排出される。1つ目の分離器から取り出されたメタンスルホン酸含有親水性相は、プロセスに直接返送されるか、または国際公開第2013/061336号(WO−A2013/061336)に詳細には記載されていない触媒回収のためのユニットに導入される。
溶媒不含の反応系においてメタンスルホン酸を触媒として用いたベンゼンおよび1−ドデセンからのドデシルベンゼンの形成が、B.X.Luong et al.,in Journal of Catalysis,Vol.226,2004,pp.301−307により調べられていた。メタンスルホン酸含有触媒相の直接的な返送が、わずか数回の返送後にメタンスルホン酸の許容されない重度の活性低下につながることを示すことができていた。この反応性の低下は、0.25質量%を超える水と、触媒相に蓄積する触媒作用を抑制する高沸点生成物との存在に起因すると考えられる。メタンスルホン酸の触媒活性を再び確立するために、メタンスルホン酸含有相は水で希釈され、ジクロロメタンで抽出される。引き続き、水が蒸留により除去される。追加の水および溶媒ジクロロメタンの導入および必要とされる除去は、メタンスルホン酸の非常に複雑な多段階精製プロセスを伴う。
先行技術から知られているすべての方法の欠点は、これらが不純物を除去するために非常に高い設備投資および/もしくは大きなエネルギー投入量を必要とするか、または返送されたアルカンスルホン酸中に含まれる不純物に基づき、触媒活性ひいてはアルカンスルホン酸を触媒として利用する化学的プロセスにおける変換率が低下することである。
さらに、蒸留プロセスにおけるアルカンスルホン酸の反応性も考慮に入れなければならない。アルカンスルホン酸は、有機物質、例えばオレフィンまたは芳香族化合物と多様な形で反応しうる。その際、反応条件および有機反応相手の種類に応じて、アルカンスルホン酸の分解生成物、例えば、メタンスルホン酸のメチルエステル、二酸化硫黄またはHSが形成しうる。Takeuchi et al.,J.of the Japan Petroleum Institute,Vol.50(4),2007,pp.88−194には、メタンスルホン酸との易揮発性オレフィンのオリゴマーの形成が記載されている。直鎖アルキルベンゼンの製造方法(LAB法)においても存在する難揮発性の芳香族オレフィンでは、メタンスルホン酸とオレフィンとの反応により蒸留缶出液中に暗色の生成物が形成することが観察される。連続的な化学的製造方法にとって典型的である150℃を上回る温度およびより長い反応時間では、それどころか高粘性のタール様生成物が形成される。反応は、高温および低濃度の水の使用によって促進される。しかしながら、これらはまさにアルカンスルホン酸の蒸留精製操作において見出される条件である。例えば、メタンスルホン酸の十分な触媒活性を達成するためには、含水率が1質量%未満である必要がある。蒸留によってこの濃度を達成しうるためには、約0.1bar(abs)の穏やかな大気圧以下で約190℃の温度が必要とされる。蒸留の底部におけるこれらの条件は、メタンスルホン酸を再循環する方法においてメタンスルホン酸を精製するための唯一の蒸留プロセス工程を実行不可能にする大量の暗色高沸点物の形成をもたらす。塔頂部でのメタンスルホン酸の蒸留には、さらに一層高い温度および/または非常に煩雑に生ぜしめられる低い圧力が必要である。このような蒸留操作は、たしかに蒸留塔の塔頂部において純粋なメタンスルホン酸を供給するが、非常にエネルギーを消費し、収率損失につながり、かつ高度に汚染された高沸点オレフィンを蒸留の缶出液中に残す。
したがって、本発明の課題は、化学的プロセスにおいて薬剤、触媒または溶媒として用いられるアルカンスルホン酸の再処理を、比較的低い設備投資および比較的低いエネルギー投入量で実施することができる方法を提供することである。
この課題は、化学的プロセスにおいて薬剤、触媒または溶媒として用いられるアルカンスルホン酸を再処理するための、以下の工程:
(a)化学的プロセスにおいて発生する反応混合物からアルカンスルホン酸含有流を分離する工程、
(b)アルカンスルホン酸含有流を出発溶融物として溶融結晶化に供給し、ここで、母液中に懸濁したアルカンスルホン酸、アルカンスルホン酸の水和物または双方の混合物の結晶が形成される工程、
(c)固液分離を実施することで母液から結晶を分離する工程、
(d)任意に、結晶を洗浄することで結晶に付着している母液を除去する工程、
(e)母液から分離され任意に洗浄された結晶を化学的プロセスに返送する工程
を含む方法によって解決される。
驚くべきことに、溶融結晶化によって、アルカンスルホン酸を再び化学的プロセスに用いることができるほど十分な量の不純物をアルカンスルホン酸から除去することができることが判明し、その際、化学的プロセスにおける変換率は大幅には低下せず、さらに、アルカンスルホン酸を精製するための公知の方法と比べて、必要なエネルギー需要量が低下する。
不純物は、一般的に低沸点物または高沸点物として存在する。これに関して、「低沸点物」という用語は、水と、アルカンスルホン酸の沸点を下回る沸点を有するすべての成分を意味する。「高沸点物」とは、その沸点がアルカンスルホン酸の沸点を上回るすべての成分を指す。アルカンスルホン酸は、特にメタンスルホン酸である。
更なる利点は、アルカンスルホン酸を蒸留により精製するための現在用いられている方法とは異なり、本発明による方法によって、特にメタンスルホン酸の精製に際して簡便に高純度を達成することができることである。さらに、本発明による方法によって、高沸点物も大部分がアルカンスルホン酸から分離されるが、これは先行技術によればアルカンスルホン酸を気相(Gasraum)に変換することによるエネルギー集約的な蒸留によってのみ行われる。しかしながら、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸の変換は、これらの酸がガス状での蒸留の条件下で大いに腐食性であり、耐腐食性の複雑な装置の使用を必要とするという欠点を有する。
アルカンスルホン酸を回収しうるには、これをまず第1の工程で化学的プロセスにおいて発生する反応混合物から分離する必要がある。このために、例えば、水を添加することが可能であり、その際、アルカンスルホン酸は水相に移行する。あるいは多くの用途において、例えばアルカンスルホン酸が触媒として用いられる直鎖アルキルベンゼンの製造に際しては、親水性相と疎水性相とを有する二相性反応混合物が早くも発生する。反応混合物が二相性であるか、または水の添加によって第2の相が生成されるこれらのケースにおいては、アルカンスルホン酸含有流は、有利には、相分離によって反応混合物から分離される。このために、当業者に公知の相分離のためのあらゆる装置を用いることができる。代替的な方法は、例えば、抽出法またはクロマトグラフィー法である。しかしながら、それらの方法は選択性が低いという欠点を有するか、または非常に複雑である。
結晶化によって、不純物がアルカンスルホン酸から除去され、母液中に蓄積する。しかしながら、母液は、結晶化されていないアルカンスルホン酸の高い割合を依然として含むので、工程(c)における結晶の分離後の母液および/または工程(b)において発生する母液を少なくとも部分的に工程(b)における溶融結晶化に返送することが好ましい。
溶融結晶化に供給されるアルカンスルホン酸含有流中の含水量に応じて、アルカンスルホン酸またはアルカンスルホン酸の水和物が結晶化する。メタンスルホン酸の結晶化およびアルカンスルホン酸の水和物の結晶化の両方において、溶融物中に一定の含水量が必要とされるので、アルカンスルホン酸含有流を工程(b)における溶融結晶化に供給する前に含水量を調節する必要がありうる。特に、化学的プロセスにおいて水和物ではなくアルカンスルホン酸が用いられる場合、これには、結晶化前にアルカンスルホン酸含有流から水を除去することが必要でありうる。水はアルカンスルホン酸と比較して低沸点物であるので、このために、例えば、アルカンスルホン酸含有流を、低沸点物分離のための工程(b)における溶融結晶化に供給する前に蒸留することが可能であり、その際、蒸留塔の塔頂部では低沸点物を抜き出し、蒸留塔の塔底部ではアルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む原料流を抜き出し、このアルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む流を工程(b)における溶融結晶化に供給する。あるいは含水量が低すぎる場合には、水を添加する必要もありうる。このことは特に、アルカンスルホン酸の一水和物を結晶化させる場合に該当する。
化学的プロセスから回収されたアルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸が、あまりにも高い含水量を有し、例えば、それが引き金となって触媒活性があまりにも低い場合、十分な触媒活性を達成するために、含水量は低沸点物分離によって、例えば1質量%未満に下げられる。
これに関して、結晶化を用いることによって、含水量を、単に蒸留による低沸点物分離と比べて、2つの代替的な方法によって有利に調節することができる。
一方では、蒸留による低沸点物分離によって、アルカンスルホン酸含有溶融物の含水率を、水とアルカンスルホン酸の量に対して最大25モル%に下げ、次いで溶融結晶化によって1質量%未満の含水率を有する純粋なアルカンスルホン酸を回収することが可能である。この場合、一方では蒸留におけるエネルギーを節約することができ、他方ではアルカンスルホン酸と既存の不純物との反応によって追加的に形成される不純物が少なくなるという利点により缶出液の熱負荷が低くなりうる。
低沸点物分離は、例えば、純粋なメタンスルホン酸を作り出すための蒸留によって、その際、150℃未満の温度および約50〜150mbarの穏やかな減圧下で操作してよく、そのためほとんどエネルギーを費やす必要がなく、含水率は缶出液中でわずか4質量%まで下げられる。これらの条件下では、メタンスルホン酸と、例えば芳香族オレフィンとの著しい反応により非常に暗色の生成物が形成されることはない。引き続き結晶化を行うことによって、残留水および暗色生成物の両方を実質的に除去することができる。
それとは異なり、例えば、水濃度を単に蒸留により190℃および100mbarで1質量%未満に下げると、より高い温度に基づき副成分の形成が増大する。
他方では、化学的プロセスから回収されたアルカンスルホン酸含有溶融物を直接結晶化し、次いで低沸点物分離に供給することが可能である。この方法は特に、例えば低沸点物分離または水添加によってメタンスルホン酸含有溶融物の濃度を31〜75モル%、好ましくは45〜63モル%、特に好ましくは47〜55モル%に調節し、メタンスルホン酸水和物を結晶化する場合に特に有利である。その場合、1質量%未満の濃度および十分な触媒活性を達成するためのその後の低沸点物分離を、この低沸点物分離において不純物がさらに形成しうることなく実施することができる。なぜなら、アルカンスルホン酸の反応相手としての不純物が実質的に存在していないからである。
結晶化および後続の固液分離では、一般に、出発溶融物から生成物を完全に除去することができないので、結晶化装置を出る母液は、依然として高い生成物割合を含む。そのため、アルカンスルホン酸が低減した、結晶化装置を出る母液を完全にまたは少なくとも部分的に化学的プロセスの再処理プロセスまたは精製段階にも返送することが好ましい。再処理プロセスに返送する場合、アルカンスルホン酸が低減した母液は、結晶化装置に返送するか(結晶化サイクルと呼ぶ)、あるいは低沸点物分離のために蒸留に返送してもよい(蒸留サイクルと呼ぶ)。ここで、蒸留への返送は、生成物の除去に基づき母液中に蓄積する低沸点物も同様に除去されるという利点を有する。
工程(c)において結晶化物から除去されるか、または結晶化装置から流出する母液全体を、低沸点物分離のための蒸留または溶融結晶化に返送することが好ましい。
さらに工程(d)における結晶の洗浄が実施される場合、アルカンスルホン酸の再処理プロセスに返送される汚染された洗浄液が発生する。この場合、洗浄液を母液と合わせることが好ましい。
特に蒸留または溶融結晶化に返送される場合、アルカンスルホン酸の晶出によって母液中に高沸点物が蓄積するので、工程(c)において除去された母液を少なくとも部分的に高沸点物分離に供給することで母液から高沸点物を除去することがさらに好ましい。高沸点物の分離後、母液は、アルカンスルホン酸の再処理プロセスに返送される。高沸点物分離への母液の供給と引き続き行われる後処理プロセスへのアルカンスルホン酸の返送とを高沸点物サイクルと呼ぶ。これに関して、高沸点物分離は、有利には、低沸点物分離のための蒸留または溶融結晶化に母液を導入する前に行われる。ここで、高沸点物を除去した後の母液を、低沸点物分離のための蒸留に返送する場合に特に好ましい。これにより、依然として母液中に不純物として含まれる低沸点物を蒸留において同様に母液から除去することが可能になる。あるいは高沸点物を除去した後の母液を部分的に凝縮させ、凝縮部分は低沸点物分離のための蒸留に返送し、非凝縮部分は低沸点物としてプロセスから排出することも可能である。母液の部分凝縮と非凝縮部分である低沸点物の排出とによって、母液の凝縮部分が低沸点物分離のための蒸留に返送される場合、蒸留において除去すべき低沸点物の割合が減少し、そのため蒸留を全体としてより少ない流量で設計することが可能であり、こうしてまた資本支出、特にエネルギーを節約することができる。
高沸点物分離は、例えば、蒸発によって実現することができる。この場合、母液中に含まれる低沸点物は蒸発し、アルカンスルホン酸および高沸点物は液相に留まる。アルカンスルホン酸を損なわず、蒸発を出来る限り低い温度で実施しうるために、蒸発は、有利には周囲圧力を下回る圧力で実施される。蒸発中に形成されるアルカンスルホン酸含有蒸気を凝縮させて、液体として低沸点物分離のための蒸留もしくは工程(b)における溶融結晶化に返送するか、または特に好ましくは化学的プロセスに返送してよい。蒸気の凝縮によって、低沸点物を除去する可能性も提供される。この場合、アルカンスルホン酸は凝縮し、しかしながら低沸点物は気相に留まるように凝縮が実施される。次いで、アルカンスルホン酸を含む液相と低沸点物を含む気相とが気液−相分離器中で互いに分離されえ、気相中に含まれる低沸点物をプロセスから排出することができる。蒸発はまた、ストリッピングの観点で連行ガスによって促進することができる。
蒸発において発生する高沸点物含有留分は、一般的に、依然としてアルカンスルホン酸の一部も含み、これは任意にその後の精製工程で回収することができる。
低沸点物分離のための蒸留および高沸点物除去のためのアルカンスルホン酸の蒸発の両方は、周囲圧力を下回る圧力で実施される。好ましくは、低沸点分離のための蒸留および高沸点物除去のための蒸発は、5〜500mbar(abs)、特に好ましくは10〜100mbar(abs)の範囲の圧力で実施される。これにより、アルカンスルホン酸生成物に対して穏やかな蒸留/蒸発が可能になる。より高い圧力の場合、蒸留/蒸発に必要とされる温度は、生成物の減損、特にアルカンスルホン酸の分解を排除しえないほど大きいものである。連行剤を使用した蒸留法、いわゆるストリッピング法は、より高い圧力で実施されうることが知られている。このプロセス操作は、本発明の文脈における減圧の使用と同等であるとみなされる。
アルカンスルホン酸がメタンスルホン酸であり、純粋なメタンスルホン酸が結晶化されるべき場合、低沸点物分離のための蒸留は、出発溶融物が少なくとも76モル%、好ましくは少なくとも82モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%の濃度を有するように実施すべきである。その際、低沸点物分離のための蒸留の圧力および温度設定値は、幅広い範囲で変動させることができるが、物質固有の蒸気圧曲線によって互いに関連している。90モル%のメタンスルホン酸−水混合物中のメタンスルホン酸濃度の特に好ましい値は、40〜130mbarの好ましい圧力範囲および160℃〜200℃の対応する塔底温度範囲で達成可能である。塔内での流れによって圧力損失が生じ、断熱脆弱性によって熱損失が生じる可能性があるので、記載した温度範囲は、典型的には物質固有の物理的特性値よりも約10〜20K高く定められる。
アルカンスルホン酸がメタンスルホン酸であり、メタンスルホン酸水和物が結晶化されるべき場合、低沸点物分離のための蒸留は、出発溶融物が31〜75モル%、好ましくは45〜63モル%、特に好ましくは47〜55モル%の濃度を有するように実施すべきである。この場合も、低沸点物分離のための蒸留の圧力および温度設定値は、幅広い範囲で変動させることができる。51モル%のメタンスルホン酸濃度の特に好ましい値は、例えば40〜130mbarおよび80〜120℃の塔底温度で達成可能である。
アルカンスルホン酸がエタンスルホン酸であり、純粋なエタンスルホン酸が結晶化されるべき場合、低沸点物分離のための蒸留は、出発溶融物が少なくとも76モル%、好ましくは少なくとも82モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%の濃度を有するように実施すべきである。その際、低沸点物分離のための蒸留の圧力および温度設定値は、メタンスルホン酸を製造するときのように幅広い範囲で変動させることができる。エタンスルホン酸は、メタンスルホン酸よりも明らかに低い蒸気圧を有しているので、それに従って、好ましい蒸留圧力はより低い。200℃をはるかに超える蒸留温度に選択的に高めることは、エタンスルホン酸の目立った分解に基づき困難である。
アルカンスルホン酸がエタンスルホン酸であり、エタンスルホン酸水和物が結晶化されるべき場合、低沸点物分離のための蒸留は、出発溶融物が31〜75モル%、好ましくは45〜63モル%、特に好ましくは47〜55質量%の濃度を有するように実施される。
ここで、蒸留は、当業者に公知の任意の所望の蒸留装置において実施することができる。通常、蒸留は、内部構造物を含んでいてよい蒸留塔において実施される。通常用いられる内部構造物は、例えば、トレイまたは規則充填物もしくは不規則充填物である。トレイとして、あらゆる公知のトレイ、例えば、シーブトレイ、バブルトレイ、トンネルトレイまたはバルブトレイを用いることができる。規則充填物は、例えば、セラミック製またはPFTEもしくはPFAなどのプラスチック製のものであってよい。不規則充填物は、例えばランダム充填物であり、その際、あらゆる慣用の充填要素、例えば、セラミック製、PFTEもしくはPFAなどのプラスチック製のものを使用することができる。
アルカンスルホン酸含有流は、一般的に蒸留塔の塔頂部付近で供給される。塔頂部で低沸点物が分離され、後処理または廃棄に供給される。蒸留塔の底部では、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物、特に残留水を含む物質流が取り出され、出発溶融物として溶融結晶化に供給される。ここで、出発溶融物は、一般的に単相性で液体である。すなわち、アルカンスルホン酸も完全に液相中に含まれる。
蒸留および溶融結晶化は異なる温度で実施されるので、用いられる蒸留装置とは無関係に、アルカンスルホン酸含有物質流を冷却し、その後にこれを溶融結晶化に供給することが必要である。例示した低沸点物分離の減圧下ですら熱供給しながら蒸留を実施し、純粋なメタンスルホン酸の結晶化の場合には160〜191℃の範囲に調節し、メタンスルホン酸水和物の結晶化の場合には86〜112℃の範囲に調節する必要がある。メタンスルホン酸−水混合物の融点は、含水量に応じて−54〜+20℃の範囲にあり、塔底排出物をまず、好ましくは出発溶融物の融点をほんの少し上回る温度まで相応して冷却しなければならない。あるいは結晶化装置に入る前に溶融物を過冷することも可能である。しかしながら、このような運転方式は好ましくなく、なぜなら、熱伝達装置中での望ましくない結晶化が排除し難いからである。他のアルカンスルホン酸が精製されるべき場合、温度を相応してアルカンスルホン酸の沸点/融点に合わせなければならない。
低沸点物分離のための蒸留によって、溶融結晶化に出発溶融物として供給されるアルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流中の不純物の割合が、含まれている水を考慮に入れずに、出発溶融物中で最大6質量%、好ましくは最大3質量%になる程度まで、アルカンスルホン酸含有流から低沸点物が除去される。水を考慮しなかったときの不純物の割合が2質量%未満である場合に特に好ましい。
これらの示した値は、アルカンスルホン酸が用いられる化学的プロセスおよび高沸点物含有量にさらに依存する典型的な値に過ぎない。
周囲圧力を下回る圧力で実施される蒸留とは異なり、溶融結晶化は、一般的に周囲圧力で行われる。純粋なメタンスルホン酸の場合、これに関して、溶融結晶化は、有利には−10℃〜19℃の範囲で実施される。
溶融結晶化において純粋なメタンスルホン酸、すなわち1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、特に0.2質量%未満の不純物と水との割合を有するメタンスルホン酸を回収するために、溶融結晶化に、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流が供給され、これは少なくとも76モル%、好ましくは少なくとも82モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%のメタンスルホン酸を、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流中のメタンスルホン酸と水との総量に対して含む。
さらに、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流は、返送流の供給前に、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流の総質量に対して最大6質量%、有利には最大3質量%、特に最大2質量%の不純物を含む。物質混合物中に水とアルカンスルホン酸以外に不純物が存在する場合、結晶化に適した水対アルカンスルホン酸のモル濃度比は、実質的に変化しない。高沸点物サイクルにおける返送によって、不純物、例えば硫酸の濃度は、示した値を超えて上昇し、ひいては水の割合が減少しうる。より高濃度の不純物が存在する場合、より低い結晶化温度が可能であり、必要である。
純粋なメタンスルホン酸を回収するために、溶融結晶化は、−50〜19℃の範囲、好ましくは−10〜19℃の範囲の温度で、さらに好ましくは−2〜18℃、特に6〜16℃の範囲の温度で実施される。高い結晶化温度が好ましく、なぜなら、その結果、結晶化におけるエネルギー消費量が、より低い結晶化温度の場合よりも低くなるからである。
溶融結晶化におけるメタンスルホン酸の一水和物を回収するために、溶融結晶化に出発溶融物として供給されるアルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流は、そのつどアルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流中の水とメタンスルホン酸との総質量に対して、有利には31〜75モル%、好ましくは45〜63モル%、特に好ましくは47〜55モル%、特に48〜52モル%のメタンスルホン酸を含む。ここでも、不純物の割合は、有利には、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流の総質量に対して、最大6質量%、さらに好ましくは最大3質量%、特に最大2質量%である。物質混合物中に水とアルカンスルホン酸以外に不純物が存在する場合、結晶化に適した水対アルカンスルホン酸のモル濃度比は、実質的に変化しない。これらの示した値は、MSA製造法および高沸点物含有量にさらに依存する典型的な値に過ぎない。高濃度の不純物が存在する場合、より低い結晶化温度が可能であり、必要である。
メタンスルホン酸の一水和物の溶融結晶化が実施される温度は、この場合、−50〜12℃の範囲、好ましくは−15〜12℃の範囲、さらに好ましくは−8℃〜12℃の範囲、特に0〜12℃の範囲にある。高い結晶化温度が好ましく、なぜなら、それが結晶化において必要とするエネルギー消費量はより低いからである。
最適な結晶化条件は、不純物の種類および濃度に応じて様々であってよい。それに従って、これらの条件は、例えば実験によって合わせられることが望ましい。低濃度の不純物の場合、結晶化条件は、水とメタンスルホン酸との純粋な2成分混合物の条件に非常に近い。
純粋なメタンスルホン酸の製造およびメタンスルホン酸の水和物の製造の両方において、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流の総質量に対して、そのつど6質量%の硫酸の割合は重要ではなく、結晶化条件にほとんど影響を及ぼさないことが判明した。例えば、水とメタンスルホン酸との混合物中の4質量%の硫酸の不純物がメタンスルホン酸の結晶化温度を約3℃低下させることが判明する。例えば、水とメタンスルホン酸との混合物中の4質量%の硫酸の不純物が、メタンスルホン酸水和物の結晶化温度を約2℃低下させることが判明する。
溶融結晶化が実施される結晶化装置として、結晶化に適した任意の装置を用いてよい。結晶化装置中の熱は、例えば、結晶化のために十分に低い温度に達するまで、ジャケット冷却によって、または適切な内部構造物、例えば結晶化装置中で冷却剤が貫流する管路によって除去することができる。ジャケット冷却の場合に結晶化装置の二重壁を流れるか、または貫流管路において用いられる冷却剤の例として、水とエチレングリコールとの混合物が適している。あるいは蒸発冷却剤、例えば二酸化炭素による直接冷却を実施することも可能である。
1つの実施形態、すなわち懸濁結晶化方法では、出発溶融物は、結晶化装置中で冷却されることによって、アルカンスルホン酸の結晶を含む懸濁液に変換される。このために、アルカンスルホン酸の固体結晶が溶融物中で直接成長することで懸濁液を形成するか、あるいは固体結晶は冷却された壁面上に層として堆積し、そこから引き続き固体結晶が掻き取られ、母液中に再懸濁させられる。装置として適しているのは、例えば、撹拌槽、掻取り冷却器またはディスク結晶化装置である。
代替的な実施形態では、層状結晶化が実施される。この場合、結晶化物は、結晶化装置の冷却表面上で連続した付着層として形成される。この場合、固液分離が、重力場で母液を流出させることによって行われる。層状結晶化は、静的および動的の両方の層状結晶化として実施することができる。
静的層状結晶化の場合、出発溶融物は、適切な熱伝達装置、例えば多管式熱伝達装置またはプレート式熱伝達装置に入れられ、徐々に温度を下げることによって冷却され、その結果、出発溶融物は部分的に凝固する。更なる工程では、母液が排出され、温度が再び高められる。こうしてまず、高度に汚染された部分が結晶層から溶融され、その後に生成物が高純度で溶融される。しかしながら、静的結晶化方法の欠点は、空時収率が通常低いことである。なぜなら、堆積表面への熱輸送および物質輸送は、自由対流のみによって行われるからである。それとは異なり、動的層状結晶化の場合、強制対流が、完全に貫流される管に母液をポンプ循環させることによるか、細流膜として供給するか、または母液で満たされた管に不活性ガスを導入するかもしくはパルス処理することによって作り出される。
懸濁結晶化の場合、結晶が母液中に懸濁している懸濁液が結晶化装置から取り出される。出発溶融物からアルカンスルホン酸が結晶化されるので、結晶化装置から取り出された母液中のアルカンスルホン酸溶融物の割合は、結晶化装置に供給された出発溶融物の割合よりも低い。母液中の不純物の濃度もより高く、なぜなら、これらは実質的に結晶化しないからである。母液と呼ばれるのは、液体部分、すなわち懸濁液の液相のみである。
母液と結晶に付着している不純物とを除去するために、工程(d)において結晶を洗浄することが可能であり、好ましい。このために、不純物を除去する洗浄液と結晶が接触させられる。
工程(d)において結晶を洗浄するために、任意の適切な洗浄手段を利用することができる。この場合、別個の洗浄手段を用いるか、または1つの装置中で固液分離と洗浄とを実施することが可能である。そのために適した1つの装置が、例えば洗浄塔である。洗浄塔において、精製すべき結晶と洗浄液とは、有利には向流で導かれる。アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸は腐食性であるので、製造装置のほかに、結晶化装置、固液分離装置および洗浄手段を、これらがプロセス耐久性であるように構成する必要がある。装置の腐食した剥離する構成要素によってアルカンスルホン酸が汚染されることを特に回避しなければならない。洗浄手段を作製するために用いることができる適切な耐腐食性材料は、例えば、ガラス、耐食鋼、エナメル鋼またはプラスチックである。ここで、プラスチックは、面材料としてだけでなく支持材料としても用いることができる。1つの適切なプラスチック材料は、例えば、高密度ポリエチレンあるいはまたPTFEである。プラスチックは、特に構成材料として適しているか、または装置の外装の腐食防止に適している。一部の装置部品には、プラスチックにとって強すぎる機械的負荷を受ける可能性がありうる。その場合、負荷を受けるプラント部品が、例えば、機械的に安定なエナメル鋼からも作製されるように構成していてもよい。
洗浄液として、例えば、水、水性アルカンスルホン酸、硫酸または他の溶媒を用いることができる。しかしながら、これらはすべて、アルカンスルホン酸の結晶が溶解しうるという欠点を有する。さらに不純物も追加で取り込まれる可能性がある。したがって、前述の洗浄液に代えて、溶融結晶化物を洗浄液として用いることが好ましい。溶融結晶化物により、結晶に付着している母液と不純物とが除去される。洗浄液として用いられる溶融結晶化物は、母液と、結晶から洗い流される不純物とによって汚染され、洗浄液はその組成に基づき高い割合の有価生成物を含むので、洗浄液として用いられる溶融結晶化物を結晶の洗浄後に低沸点物分離のための蒸留または溶融結晶化に返送することが好ましい。
溶融結晶化物が洗浄液として利用される場合、一般的に、洗浄液の一部も、精製すべき結晶上で結晶化する。
個々の装置間、特に結晶化装置と洗浄手段との間で輸送中に懸濁液から結晶が沈降するのを防止するために、懸濁液を均質化することが好ましい。このために、例えば撹拌器またはポンプを用いることができる。洗浄手段に、結晶化装置から取り出された懸濁液を直接供給してよいが、あるいは懸濁液を洗浄手段に供給する前に後処理することも可能である。このために、母液中に懸濁した結晶がまず機械的に分離される。このために、固液分離のための任意の公知の分離方法を用いることができる。適切な分離方法は、例えば、篩分、加圧、濾過、遠心分離、沈降および傾瀉である。母液の分離後、結晶は洗浄液中に再懸濁させられ、懸濁液は洗浄手段に導入される。
溶融結晶化物が洗浄液として用いられる場合、結晶を洗浄するための溶融結晶化物が、アルカンスルホン酸の凝固温度を0.1〜15℃上回る温度を有するように温度を選択することが好ましい。好ましくは、洗浄液として用いられる結晶化物の温度は、アルカンスルホン酸の凝固温度を1〜10℃上回ること、特にアルカンスルホン酸の凝固温度を2〜4℃上回ることが好ましい。
その際、洗浄手段は、有利には、洗浄すべき結晶の該洗浄手段における滞留時間が1〜25分の範囲、好ましくは1〜15分の範囲にあるように運転される。しかしながら、これに限定されないが結晶を含む懸濁液と洗浄液としての溶融結晶化物とを向流で導いた場合に特に、2〜8分の滞留時間でも十分な精製効果が達成されることが判明した。
精製効果を改善するために、結晶を繰り返し洗浄することが可能である。このために、工程(d)における洗浄、あるいはまた工程(b)における結晶化、工程(c)における固液分離および工程(d)における洗浄からなるシーケンスを繰り返し行うか、あるいはまた部分的に返送して運転してもよい。しかしながら、結晶化および洗浄は一度だけ行うことが好ましい。生成物純度の要求が低い場合、結晶の洗浄は省くこともできる。
上述の3つの物質流サイクル、すなわち蒸留サイクル、結晶化サイクルおよび高沸点物サイクルは、部分的に非常に異なる温度レベルのプラント領域を任意に通過する。この方法に導入されたエネルギーを有効に利用し、さらに物質流の加熱および冷却に必要とされるエネルギー量を可能な限り低く保つために、向流で熱を伝達する熱伝達装置に物質流サイクルが通過させられる場合に好ましい。例えば、低沸点物蒸留の塔底排出物から取り出されたアルカンスルホン酸、高沸点物ならびに残留低沸点物および残留高沸点物を含む物質流は、溶融結晶化への添加前に冷却され、逆に、アルカンスルホン酸が低減した、蒸留に返送される母液は加熱される。その際、アルカンスルホン酸、高沸点物ならびに残留低沸点物および残留高沸点物を含む冷却すべき物質流からの熱が、アルカンスルホン酸が低減した加熱すべき母液に移動される場合に特に好ましい。
効率的な結晶化方法および洗浄方法が利用可能である場合、高沸点物サイクルにおいて、すなわち循環処理される母液中で、結晶化されたアルカンスルホン酸が工業的に即した純度基準値から外れることなく、低沸点物および高沸点物を高濃度に蓄積することが可能である。その際、出発溶融物中で8質量%までの低沸点物および高沸点物の不純物の総量が問題なく許容されうる。こうして、高沸点物サイクルにおける大きな温度差を通過する物質量を少ない量で保つことができることから、それらの加熱および冷却消費量は、もともとプロセス工学的に必要とされる熱需要量と比べて小さくなる。したがって、本発明による方法は、従来の方法よりも少ないエネルギーを必要とする。
アルカンスルホン酸が用いられる化学的プロセスは、例えば、アルキル化またはエステル化反応である。しかしながら、これらの2つの反応タイプ以外に、酸性触媒の存在下で実施される更なる反応も考えられる。化学的プロセスが、サリチル酸または置換もしくは非置換の芳香族化合物のアルキル化であることが特に好ましい。本発明による方法は、オレフィンを用いてベンゼンまたは置換ベンゼンから直鎖アルキルベンゼンを製造する際の触媒として用いられるメタンスルホン酸の再処理に非常に適している。
化学的プロセスにおいて用いられ、本発明による方法に従って再処理されるアルカンスルホン酸は、特にメタンスルホン酸である。
本発明の実施例を図面に示し、以下の説明でより詳細に説明する。
結晶化によるアルカンスルホン酸の再処理のプロセスフロー図を示す。 低沸点物分離を伴う結晶化によるアルカンスルホン酸の再処理のプロセスフロー図を示す。 蒸留および結晶化によるメタンスルホン酸の再処理のプロセスフロー図を示す
図1は、結晶化によるアルカンスルホン酸の再処理を伴う化学的プロセスのプロセスフロー図を示している。
化学的プロセス1、例えば、直鎖アルキルベンゼンを製造するためのアルキル化に反応物3を供給する。通常、直鎖アルキルベンゼンの製造においては、反応物3として非置換または置換ベンゼンと直鎖オレフィンとが用いられる。ここで、反応物3は、更なる添加物、例えば溶媒を含んでいてよい。反応は触媒の存在下で進行するので、反応物3に加えて触媒を添加しなければならない。本発明によれば、触媒は、アルカンスルホン酸、特にメタンスルホン酸である。
化学的プロセス1からアルカンスルホン酸含有反応混合物7を取り出す。反応混合物7をセパレーター9に供給する。セパレーター9において、反応混合物をアルカンスルホン酸含有流11と粗生成物流13とに分離する。通常、粗生成物流13は、化学的プロセスにおいて製造された生成物、例えば直鎖アルキルベンゼン以外に、反応物、溶媒および任意に反応時に形成された副生成物も含む。さらに、少量のアルカンスルホン酸もなお含まれていてよい。
本発明によれば、アルカンスルホン酸含有流11を結晶化装置15に供給し、結晶化によって精製するが、なぜなら、アルカンスルホン酸含有流11には依然として不純物が含まれており、これらは化学的プロセス1に直接返送した際に、特に、触媒として用いられるアルカンスルホン酸の活性損失が生じるという点で不利に作用しうるからである。
結晶化装置中にアルカンスルホン酸含有流11を出発溶融物として供給し、冷却することで、アルカンスルホン酸を結晶化させる。結晶化物を取り出し、任意に洗浄し、溶融し、還流17として再び化学的プロセスに返送する。
例えば、粗生成物流13による除去または結晶化からの不純物の除去により生じるアルカンスルホン酸の損失は、触媒供給流5を介して補充してよい。ここで、触媒供給流5を介してアルカンスルホン酸を、図示したとおり還流17に導入するか、あるいはまた化学的プロセス1に直接導入してもよい。
図2は、低沸点物分離を伴う結晶化によるアルカンスルホン酸の再処理のプロセスフロー図を示している。
図1に示す実施形態とは異なり、図2に示す実施形態は、低沸点物分離19をさらに含む。この場合、セパレーター9から取り出されたアルカンスルホン酸含有物質流11をまず低沸点物分離19に導入する。低沸点物分離19において、不純物として含まれる低沸点物をアルカンスルホン酸含有物質流から有利には蒸留分離する。低沸点物の分離後、アルカンスルホン酸含有物質流を、次いで出発溶融物として結晶化装置15に導入し、そこでアルカンスルホン酸を結晶化させる。
結晶化装置15において結晶化されていないアルカンスルホン酸含有母液は、第1の返送流21を介して低沸点物分離19に完全にまたは部分的に返送することができる。代替的または追加的に、母液を完全にまたは部分的に第2の返送流23を介して結晶化装置15に返送することも可能である。しかしながら、予め分離されなかった低沸点物も母液中に蓄積する可能性があるので、低沸点物分離19に返送することが好ましい。
低沸点物分離19に加えて、高沸点物分離も有利である。これは図1および2には示されておらず、有利には結晶化の下流で行われる。高沸点物分離のために、例えば、結晶化装置15からの非結晶母液を蒸留し、ここで、母液中に含まれるアルカンスルホン酸を蒸発させることが可能である。ここで、高沸点物は缶出液中に液相で留まる。蒸発したアルカンスルホン酸を凝縮させて化学的プロセス1に返送することができる。あるいは低沸点物分離19への返送も可能である。これの利点は、母液中に含まれており、高沸点物の蒸留分離に際して同様に気相に移行する低沸点物をなお分離することができることである。さらに、凝縮後のアルカンスルホン酸を結晶化装置15への第2の返送流23により返送することも可能である。しかしながら、凝縮されたアルカンスルホン酸を、高沸点物分離から化学的プロセス1または低沸点物分離19に導入することが好ましい。
図3は、蒸留および結晶化による、アルカンスルホン酸、例示的にメタンスルホン酸の再処理のプロセスフロー図を示している。
化学的プロセスから分離されたアルカンスルホン酸含有流11を低沸点物分離19に供給する。低沸点物分離19は、例えば、図示したとおり蒸留によって行われる。このために、アルカンスルホン酸含有流11を蒸留塔31の上部領域に供給する。低沸点物分離のための蒸留塔31は、適切な内部構造物を含んでいてよい。内部構造物として、例えば、当業者に公知のトレイまたは充填物が備わっていてよい。適切なトレイは、例えば、シーブトレイ、バブルトレイ、トンネルトレイまたは有孔トレイである。用いられる充填物は、規則充填物または不規則充填物であってよい。不規則充填物には、一般的に、充填材、例えばRaschig(登録商標)リング、ポールリング、サドル、ベルルサドル、円筒状充填材または任意の他の形状の充填材が含まれる。低沸点物分離19では、アルカンスルホン酸含有物質流が結晶化に適した濃度にされる。
蒸留塔31の塔頂部では、低沸点物、特に水を塔頂流33として抜き出す。塔頂流33を、ポンプ35、例えば液封式ポンプに通し、これにより蒸留のための所望の圧力を生成する。引き続き、塔頂流33をプロセスから抜き出し、別個に後処理するかまたは廃棄する。
蒸留塔31の塔底部では、アルカンスルホン酸含有塔底流37を抜き出す。蒸留により、塔底流37の水濃度を、塔底流37が結晶化可能な濃度のアルカンスルホン酸を含むように調節する。
結晶化は蒸留の塔底温度よりも実質的に低い温度で実施するので、塔底流37は第1の熱伝達装置39中で冷却する。第1の熱伝達装置中での冷却後、塔底流を出発溶融物41として結晶化装置15に供給する。ここで、結晶化は、層状結晶化としてあるいはまた懸濁結晶化としても実施することができる。ここに例示したプロセスの場合、結晶化は懸濁結晶化である。
結晶化装置15から、アルカンスルホン酸の結晶と母液との懸濁液42を取り出し、固液分離および洗浄手段43に供給し、そこでアルカンスルホン酸結晶が分離され、結晶に付着している母液および不純物を除去するために洗浄される。このために、例えば、母液中に懸濁したアルカンスルホン酸結晶を、洗浄液、例えば溶融結晶化物に向流で導くことが可能である。洗浄液は母液および不純物を結晶から洗い流す。固液分離法による洗浄液からの結晶の分離後、精製されたアルカンスルホン酸を回収し、これをプロセスから取り出して、還流17を介して化学的プロセスに返送する。
精製されたアルカンスルホン酸の一部を溶融し、洗浄液として管路45を介して返送してもよい。
母液および不純物を含む洗浄液を、同様に固液分離および洗浄手段43のための装置からアルカンスルホン酸が低減した流として取り出す。この物質流は依然として高い割合のアルカンスルホン酸を含むので、これは有利にはプロセスから除去しない。
したがって、例えば、洗浄液と洗浄手段43から取り出されたアルカンスルホン酸低減物質流とを、第2の返送流23を介して溶融結晶化9に返送することが可能である。この場合、流全体または部分流のみを返送してよい。
この返送流において低沸点物が許容されないほど多く蓄積することを阻止するために、洗浄手段から取り出された洗浄液とアルカンスルホン酸低減物質流とを、第1の返送流21を介して低沸点物分離19のための蒸留塔31に返送することが可能である。これは特に、アルカンスルホン酸の一水和物ではなく純粋なアルカンスルホン酸を結晶化装置15において回収する場合に好ましい。それとは異なり、一水和物の結晶化の場合、適切な低沸点物濃度は、低沸点物分離19のために用いられる蒸留塔31の塔底温度を調節することによって代替的に確立することができる。当然のことながら、洗浄液とアルカンスルホン酸低減母液とを含む物質流の部分流を、第1の返送流21を介して低沸点物分離19に返送し、更なる部分流を第2の返送流23を介して結晶化装置15に返送することも可能である。
図3に示す実施形態では、洗浄手段43から取り出されたアルカンスルホン酸低減物質流を、第2の熱伝達装置47に導入する。第1の熱伝達装置39と第2の熱伝達装置47とを適切に連結することによって、洗浄手段43から取り出されたアルカンスルホン酸低減物質流の低い温度を利用することで、低沸点物分離から取り出されたアルカンスルホン酸含有塔底流37を冷却する。ここで、アルカンスルホン酸の強い腐食性に基づき、高温流から低温流への直接的な熱伝達は、たとえあったとしても、高い技術的複雑さを伴ってしか可能ではない。したがって、塔底流37は、第1の熱伝達装置39において熱伝達媒体に熱を放出する。熱伝達媒体は、熱伝達媒体サイクル49を介して第2の熱伝達装置47に流れ、そこで熱伝達媒体は、予め吸収した熱を、洗浄手段43から取り出されたアルカンスルホン酸低減物質流に放出し、こうして物質流を加熱する。冷却された熱伝達媒体は、次いで熱伝達媒体サイクル49を介して再び第1の熱伝達装置39に返流する。
低沸点物分離のための蒸留は結晶化よりもずっと高い温度で実施されるので、第1の返送流21に第3の熱伝達装置51をさらに備え、そこで返送されたアルカンスルホン酸低減物質流は、低沸点物分離19への返送のために必要とされる温度に加熱される。
洗浄手段43から取り出されたアルカンスルホン酸低減物質流から高沸点物を除去するために、母液の少なくとも一部、いわゆる高沸点物パージ53を蒸発器55に供給する。あるいは高沸点物パージ53を直接廃棄することも可能である。しかしながら、母液の大部分を第1の返送流21および/または第2の返送流23を介して精製プロセスに返送した場合に限って廃棄することに意味がある。蒸発器55では、アルカンスルホン酸および低沸点物が蒸発させられ、蒸気57として抜き出される。非蒸発部分は、後処理された高沸点物パージ流59として蒸発器から液体として取り出され、更なる利用または廃棄に供給される。
蒸発器55から取り出された蒸気57は、図示したとおり低沸点物分離19に返送されるか、または有利には凝縮後に化学的プロセスに返送される。ここに図示した実施形態では、蒸気57は部分凝縮器61に流れる。部分凝縮器61では、蒸気中に含まれるアルカンスルホン酸が凝縮し、凝縮液63として低沸点物分離19に返送される。部分凝縮がない場合、蒸気をガス状で低沸点物分離19に通すことは可能であっても常に困難を伴う。なぜなら、蒸発器55と低沸点物分離19のために用いられる蒸留塔31とは、通常は異なる圧力レベルで運転されるからである。凝縮された蒸気の代替的な返送オプションは、冷却後、洗浄手段43のための洗浄液として利用することである。
低沸点物を含む非凝縮部分は、部分凝縮器61からガス状で抜き出し、蒸留塔31からの低沸点物含有物質流33と一緒にプロセスから抜き出す。
蒸留塔31に返送される凝縮液63の圧力を減少させるために、部分凝縮器61からガス状に取り出された物質流にジェットポンプ65を備えることが可能である。ジェットポンプの代わりに、当業者に公知の他の任意の装置を用いてもよく、それによりガスを搬送し、減圧を生成することができる。ジェットポンプ65の使用によって、部分凝縮器61の圧力を低下させ、そうすることで凝縮液63は、蒸発器55の圧力よりも低い圧力で部分凝縮器61を出る。
エネルギー節約の理由から、高沸点物パージ53を可能な限り少なく選択することに意味がある。高沸点物パージ53の量の低下には、充足量の高沸点物を循環プロセスから排出することで、その濃度を結晶化が妨げられる濃度よりも低く保つために下限が設けられている。
実施例
実施例1
触媒として100%メタンスルホン酸を用いてドデシルベンゼンを製造するために、ベンゼン164g、1−ドデセン50gおよびn−オクタン283gを、メタンスルホン酸(BASF SEのLutropur(登録商標)100)769gと一緒に2.5lの容量の二重壁ガラス反応器に入れた。ガラス反応器には撹拌器、凝縮器および熱電対が備え付けられていた。実験はアルゴン不活性ガス雰囲気下で実施した。溶液を1000rpmで2分間混合した後、撹拌器を停止させた。約120秒以内に相分離が起こった。相の分離後、有機相のサンプルを出発サンプルとして採取した。引き続き、反応混合物を1000rpmで撹拌しながら30分かけて60℃に加熱し、次いで混合物をこの温度でさらに5時間撹拌した。1時間ごとに撹拌器を短時間停止させ、相分離後に有機相のサンプルを採取した。反応の終了後、撹拌器を停止させ、反応混合物を室温に冷却した。その際、相が分離した。上側の疎水性相は透明で無色であった。下側のメタンスルホン酸含有相は、わずかに褐色に変色した。この相を排出した。疎水性相428gおよび親水性メタンスルホン酸含有相777gが得られる。有機相のサンプルをガスクロマトグラフィーにより分析することで反応の進行をモニタリングした。ドデセン濃度の低下およびドデシルベンゼン異性体の形成をモニタリングした。ドデセン異性体、ドデシルベンゼン異性体およびn−オクタンのGCシグナルの面積を測定し、ドデセン異性体/オクタンおよびドデシルベンゼン異性体/オクタンのそれぞれの比を出した。ドデセン濃度の低下をモニタリングするために、出発サンプルの値に正規化した。
実施例2〜8
これらの実施例では、親水性メタンスルホン酸含有相の返送によるドデシルベンゼンの製造を記載する。
実施例1と同様に実験を実施した。しかしながら、新しいメタンスルホン酸769gの代わりに、先行する試験からの親水性メタンスルホン酸含有相を用いた。相のサンプリングおよび分析によって生じるメタンスルホン酸の損失分を、新しい100%メタンスルホン酸で補った。そのため、実施例1に記載した実験およびメタンスルホン酸含有親水性相の分析の後、親水性相748gがなお存在していた。損失分を補うために、この量に100%メタンスルホン酸21gを添加した。
実験後の外観、メタンスルホン酸含有率および親水性相の含水率を表1に報告する。
7回の返送サイクル後、親水性相は黄色/褐色に着色し、疎水性生成物相は赤味を帯びた色を呈していた。これらの実験は、ドデセンとベンゼンとのメタンスルホン酸接触反応の間に、メタンスルホン酸含有親水性相に蓄積する着色化合物が形成することを示している。これらの成分が除去されない場合、メタンスルホン酸を返送すると、同様に疎水性ドデシルベンゼン含有相が変色することになる。
反応混合物中の含水率は、返送するごとにわずかに増加することが判明した。それぞれ1時間ごとに採取した有機相の実験において、メタンスルホン酸含有相中の含水率が0.25質量%を超えると触媒活性が著しく低下することが判明した。
実施例9〜12
実施例9〜12では、メタンスルホン酸含有相中に異なる水濃度を有するドデシルベンゼンの製造を記載する。
実施例1と同様に実験を実施した。しかしながら、少量の水を各実験前にメタンスルホン酸に添加した。反応混合物の相分離後、親水性メタンスルホン酸含有相中の含水率を分析した。個々の実験の含水率も同様に表1に報告する。
実験におけるドデセンの変換曲線およびドデシルベンゼンの形成は、水がメタンスルホン酸の触媒活性に及ぼす影響を明らかに示している。ここでも含水率の増加に伴い変換率が大幅に下がっている。
Figure 2018537443
実施例13
この実施例では、ドデシルベンゼンの製造および親水性相からの水の蒸留除去を記載する。
ベンゼン164g、1−ドデセン50gおよびn−オクタン94gを、メタンスルホン酸(BASF SEのLutropur(登録商標)100)765.2gおよび水3.8g(親水性相中で水0.5質量%に相当)と一緒に2.5lの容量の二重壁ガラス反応器に入れた。ガラス反応器には撹拌器、凝縮器および熱電対が備え付けられていた。実験はアルゴン不活性ガス雰囲気下で実施した。溶液を1000rpmで2分間混合した後、撹拌器を停止させた。相の分離後、有機相のサンプルを出発サンプルとして採取した。引き続き、反応混合物を1000rpmで撹拌しながら45分かけて80℃に加熱し、次いで混合物をこの温度でさらに5時間撹拌した。1時間ごとに撹拌器を短時間停止させ、相分離後に有機相のサンプルを採取した。反応の終了後、撹拌器を停止させ、反応混合物を室温に冷却した。その際、相が分離した。下側のメタンスルホン酸含有相は、わずかに黄色に変色した。この相を排出した。疎水性相233gおよび親水性メタンスルホン酸含有相772gが得られる。実施例1で記載したように相を分析した。
0.7質量%の含水率を有するわずかに黄色の親水性相757gを回転蒸発器中で160℃、圧力4mbar(abs)にて初期蒸留した。ここで、留出液34gを受け器フラスコに捕集した。蒸留中に缶出液は暗色になる。蒸留の終了後、黄色に着色した親水性相689gが缶出液に残った。残りの親水性相の含水率は0.05質量%であった。
実施例14〜21
実施例14〜21では、実験室用装置中での水の蒸留除去後に返送された親水性相を用いたドデシルベンゼンの製造を記載する。
実施例13と同様に実験を実施した。しかしながら、新しいメタンスルホン酸765.2gの代わりに、先行する試験からの親水性メタンスルホン酸含有相を用いた。相のサンプリングおよび分析によって生じるメタンスルホン酸の損失分を、新しい100%メタンスルホン酸で補った。
実施例19およびメタンスルホン酸含有親水性相の化学的分析の実施後、親水性相の量はなお675gであった。損失分を補うために、この量に100%メタンスルホン酸90.2gを添加した。
実施例19からの蒸留パラメーターを、ここに例示的に記載する。この実験では親水性相780.6gを用いた。蒸留終了時の塔底温度は143℃であった。塔頂温度は2mbarの塔頂圧力で135℃であった。ベンゼンを主成分とする第1の塔頂留分25.3gと、実質的に水およびメタンスルホン酸を含む第2の塔頂留分58.0gとが得られた。蒸留中に缶出液は著しく暗色に変色した。缶出液中の水濃度は0.4質量%であった(カールフィッシャー滴定による)。缶出液(677.3g)を実験21で用いた。メタンスルホン酸損失分を100%メタンスルホン酸で補った。
実験21および相分離の後、わずかに褐色味を帯びた色に変色した濁った疎水性相236.8gと、わずかに濁った暗褐色に変色した親水性メタンスルホン酸含有相775.6gとが得られた。
蒸留を繰り返した後、親水性メタンスルホン酸含有相の色が著しく暗くなった。微細に分割された固体粒子がさらに形成された。着色成分は疎水性相中でもかなり暗色化した。
実験は、蒸留の条件下でメタンスルホン酸がLABプロセスからの反応生成物と化学反応を起こすことを示している。メタンスルホン酸の反応からの反応生成物は、非常に暗色に着色しており、特に150℃を上回る温度で蒸留を繰り返すと、不溶性の粒子または油が形成しうる。
水を分離するための蒸留条件は145℃未満に選択していたにもかかわらず、メタンスルホン酸と芳香族オレフィンとの反応は回避されえなかった。蒸留圧力を下げることによって、原則的には低温で不純物の形成を抑えた蒸留が可能になるが、この方法では非常に低い圧力、例えば10mbar未満の圧力を必要とし、それに応じてより複雑さが増すことになる。
形成された反応生成物は、返送されたメタンスルホン酸中で1質量%未満の非常に低い水分濃度をもたらす蒸留が、返送されたLABプロセスにおいて適切ではないプロセス工程であることを示している。したがって、蒸留は、メタンスルホン酸を循環させるのに適した手段ではない。
実施例22
この実施例では、実験21からの返送された親水性相を用いたドデシルベンゼンの製造を記載する。
実施例1と同様に実験を実施した。しかしながら、新しいメタンスルホン酸769gの代わりに、実施例22からの親水性メタンスルホン酸含有相(681g)を用いた。損失分を補うために、この量に100%メタンスルホン酸88gを添加した。しかしながら、実施例1とは異なり、これらの実験における相分離は120秒以内に起こらず、少なくとも10分を要した。反応の終了後、非常に暗色の親水性相と褐色味を帯びた疎水性相との間に中間相が形成された。3相すべてを単離した。中間相は、数時間にわたり長時間放置した後にようやく疎水性相と親水性相とに分離した。
この実施例は、表面活性化合物と色付与化合物とが親水性相中に形成され、そこに蓄積しうることを示している。
実施例23
この実施例では、触媒として100%メタンスルホン酸を用いたドデシルベンゼンの製造を記載する。
ベンゼン78.7g、1−ドデセン24.0gおよびn−オクタン135.8gを、蒸留によって精製されたメタンスルホン酸370gと一緒に2.5lの容量の二重壁ガラス反応器に入れた。ガラス反応器には撹拌器、凝縮器および熱電対が備え付けられていた。実験はアルゴン不活性ガス雰囲気下で実施した。短時間混合した後、撹拌器を停止させた。約30秒以内に相分離が起こった。相の分離後、有機相のサンプルを採取した。引き続き、反応混合物を撹拌しながら60℃に加熱し、この混合物さらに5時間撹拌した。1時間ごとに撹拌器を短時間停止させ、相分離後に有機相のサンプルを採取した。反応の終了後、撹拌器を停止させ、反応混合物を室温に冷却した。その際、相が分離した。上側の疎水性相は透明で無色であった。下側のメタンスルホン酸含有相は、わずかに褐色に変色し濁っている。この相を排出し、その水分値を分析した。この相は、水0.22質量%を含有していた。
実施例24
この実施例では、結晶化によって精製されたメタンスルホン酸を用いたドデシルベンゼンの製造を記載する。
ベンゼン78.7g、1−ドデセン24.0gおよびn−オクタン135.8gを、(実施例25からの)結晶化によって精製されたメタンスルホン酸370gと一緒に2.5lの容量の二重壁ガラス反応器に入れた。ガラス反応器には撹拌器、凝縮器および熱電対が備え付けられていた。実験はアルゴン不活性ガス雰囲気下で実施した。短時間混合した後、撹拌器を停止させた。約30秒以内に相分離が起こった。相の分離後、有機相のサンプルを採取した。引き続き、反応混合物を撹拌しながら60℃に加熱し、この混合物さらに5時間撹拌した。1時間ごとに撹拌器を短時間停止させ、相分離後に有機相のサンプルを採取した。反応の終了後、撹拌器を停止させ、反応混合物を室温に冷却した。その際、相が分離した。上側の疎水性相は透明で無色であった。下側のメタンスルホン酸含有相は、わずかに褐色に変色し濁っている。この相を排出し、その水分値を分析した。この相は、水0.15質量%を含有していた。実施例23と実施例24との反応フローを比較したところ、偏差は示されない。
実施例24は、メタンスルホン酸を、それがメタンスルホン酸接触プロセスへの返送に適した品質を達成する程度にまで結晶化によって精製することができることを示している。
実施例25
この実施例では、直鎖アルキルベンゼンの製造からの汚染されたメタンスルホン酸含有相からのメタンスルホン酸の結晶化を記載する。
直鎖アルキルベンゼンの実験室模擬製造からの汚染されたメタンスルホン酸1510gから低沸点物および水を蒸留除去して、実施例19と同じ条件下の圧力で0.35質量%の水の残留濃度を得た。蒸留後に非常に暗色に着色された蒸留塔の缶出液を、その後、密閉式の螺旋型撹拌器を備えた直径150mmの1リットルの二重壁撹拌容器に入れた。その後、混合物を15℃から2.8℃に1K/hの冷却速度で冷却した。混合物の温度を、PT100熱電対を浸漬して測定した。冷却すると、混合物中に結晶が形成され、これらを250rpmで撹拌することによって懸濁状態に保った。得られた懸濁液中の結晶を、圧力フィルターにより約3.5barで1分以内に分離した。その際、結晶化の母液を捕集した。結晶化物を純粋なメタンスルホン酸により1:1の比で洗浄し、引き続き溶融した。洗浄液も同様に別個に捕集した。溶融結晶化物は0.10質量%の含水率を有する無色の液体である。
得られた結晶化の母液、洗浄濾液および洗浄された溶融結晶化物を、PerkinElmer Lambda 900(登録商標)UV/Vis分光光度計で測定した。参照として、18.2MΩを超える電気抵抗および5ppb未満のTOC含有量を有するMillipore社のMilli−Q(登録商標)タイプの参照水装置からの超純水を使用した。
スペクトル分析は、室温で267nm/minの測定速度、0.20秒の積分時間、1nmのデータ間隔、2nmスリット幅および200〜800nmの波長範囲により直径0.1cmの石英ガラスキュベットにおいて実施した。
スペクトル分析により、400nmで次の消光が判明した:
結晶化の母液 E400=1.9
洗浄濾液 E400=0.8
結晶化物 E400=0.03
得られた吸収スペクトルから、穏やかではない蒸留条件によって生成される色付与成分が、結晶化によってメタンスルホン酸からほぼ完全に除去されうることが明らかとなる。出発物質とメタンスルホン酸結晶化物との水分値を比較すると、水などの低沸点物も結晶化によってメタンスルホン酸から除去されうることがわかる。
実施例26
この実施例では、水を除去するための結晶化によるメタンスルホン酸の精製を記載する。
96質量%のメタンスルホン酸含有率および水3.0質量%の割合ならびに更なる不純物および15℃の温度を有するメタンスルホン酸出発溶融物を、密閉式の螺旋型撹拌器を備えた直径150mmで1lの容量を有する二重壁撹拌容器に雰囲気圧力で入れた。その後、出発溶融物を6.5℃に1K/hの冷却速度で冷却した。出発溶融物の温度を、PT100熱電対で測定した。冷却すると結晶が形成され、これらを150ppmで撹拌することによって懸濁状態に保った。得られた懸濁液中の結晶を、圧力フィルターにより約3.5barで1分未満のうちに分離した。その際、結晶化の母液を捕集した。結晶化物を純粋なメタンスルホン酸により1:1の比で洗浄し、引き続き溶融した。洗浄液も同様に別個に捕集した。メタンスルホン酸の溶融結晶化物は0.27質量%の含水率を有する。
この実施例は、結晶化がメタンスルホン酸−水混合物から水を除去するための適切な方法であることを示している。
1 化学的プロセス
3 反応物
5 触媒供給流
7 反応混合物
9 セパレーター
11 アルカンスルホン酸含有流
13 粗生成物流
15 結晶化装置
17 還流
19 低沸点物分離
21 第1の返送流
23 第2の返送流
31 蒸留塔
33 塔頂流
35 ポンプ
37 塔底流
39 第1の熱伝達装置
41 出発溶融物
42 懸濁液
43 洗浄手段
45 管路
47 第2の熱伝達装置
49 熱伝達媒体サイクル
51 第3の熱伝達装置
53 高沸点物パージ
55 蒸発器
57 蒸気
59 高沸点物パージ流
61 部分凝縮器
63 凝縮液
65 ジェットポンプ

Claims (15)

  1. 化学的プロセスにおいて薬剤、触媒または溶媒として用いられるアルカンスルホン酸を再処理するための、以下の工程:
    (a)前記化学的プロセスにおいて発生する反応混合物からアルカンスルホン酸含有流を分離する工程、
    (b)前記アルカンスルホン酸含有流を出発溶融物として溶融結晶化に供給し、ここで、母液中に懸濁したアルカンスルホン酸、アルカンスルホン酸の水和物または双方の混合物の結晶が形成される工程、
    (c)固液分離を実施することで前記母液から前記結晶を分離する工程、
    (d)任意に、前記結晶を洗浄することで前記結晶に付着している母液を除去する工程、
    (e)前記母液から分離され任意に洗浄された前記結晶を前記化学的プロセスに返送する工程
    を含む方法。
  2. 工程(a)における前記反応混合物が二相性であり、前記反応混合物から相分離によって前記アルカンスルホン酸含有流を分離することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 工程(c)における前記結晶の分離後の前記母液および/または工程(b)において発生する前記母液を、工程(b)における前記溶融結晶化に少なくとも部分的に返送することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記アルカンスルホン酸含有流を、低沸点物分離のための工程(b)における前記溶融結晶化に供給する前に蒸留し、ここで、前記低沸点物は、蒸留塔の塔頂部で抜き出し、アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む物質流は、蒸留塔の塔底部で取り出し、前記アルカンスルホン酸、高沸点物および残留低沸点物を含む流は、工程(b)における前記溶融結晶化に供給することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  5. 工程(c)における前記結晶の分離後の前記母液および/または工程(b)において発生する前記母液を、前記溶融結晶化または低沸点物分離のための前記蒸留に少なくとも部分的に返送することを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 工程(c)または工程(d)からの前記結晶を水分離のための蒸留に供給することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  7. 工程(c)における前記結晶の分離後の前記母液および/または工程(b)において発生する前記母液を、アルカンスルホン酸が蒸発によって分離される高沸点物分離に少なくとも部分的に供給することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  8. 蒸発によって分離された前記アルカンスルホン酸を、前記化学的プロセスに返送することを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 蒸発によって分離された前記アルカンスルホン酸を、前記化学的プロセスへの返送前に少なくとも部分凝縮させることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. 前記高沸点物の除去後の前記母液を部分凝縮させ、凝縮部分は、前記低沸点物分離のための前記蒸留または工程(b)における前記溶融結晶化に返送し、非凝縮部分は、低沸点物として前記プロセスから排出することを特徴とする、請求項7記載の方法。
  11. 前記アルカンスルホン酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 前記化学的プロセスが、アルキル化またはエステル化反応であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記化学的プロセスが、サリチル酸または置換もしくは非置換の芳香族化合物のアルキル化であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記化学的プロセスが、触媒としてアルカンスルホン酸の存在下でオレフィンを用いたベンゼンまたは置換ベンゼンからの直鎖アルキルベンゼンの製造であることを特徴とする、請求項13記載の方法。
  15. 前記溶融結晶化が、懸濁結晶化または層状結晶化であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
JP2018523773A 2015-11-10 2016-11-08 アルカンスルホン酸を再処理する方法 Withdrawn JP2018537443A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP15193897 2015-11-10
EP15193897.4 2015-11-10
PCT/EP2016/076963 WO2017080994A1 (de) 2015-11-10 2016-11-08 Verfahren zur wiederaufarbeitung von alkansulfonsäure

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018537443A true JP2018537443A (ja) 2018-12-20

Family

ID=54705361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018523773A Withdrawn JP2018537443A (ja) 2015-11-10 2016-11-08 アルカンスルホン酸を再処理する方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US10214485B2 (ja)
EP (1) EP3374347B1 (ja)
JP (1) JP2018537443A (ja)
KR (1) KR102670176B1 (ja)
CN (1) CN108463455B (ja)
BR (1) BR112018009402B1 (ja)
CA (1) CA3004802C (ja)
MX (1) MX2018005879A (ja)
MY (1) MY198293A (ja)
SG (1) SG11201803925WA (ja)
TW (1) TW201728570A (ja)
WO (1) WO2017080994A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MX2018005878A (es) * 2015-11-10 2018-08-15 Basf Se Metodo para la purificacion de acidos alcanosulfonicos.
EP3630718B1 (en) * 2017-05-30 2021-09-01 Basf Se Process for the manufacturing of methane sulfonic acid
KR20220032589A (ko) 2019-07-10 2022-03-15 바스프 에스이 메탄 술폰산 및 so3 를 포함하는 반응 혼합물 중의 so3 농도 감소 방법
MX2022001602A (es) * 2019-08-07 2022-03-11 Basf Se Recuperacion de acido metansulfonico libre de agua del flujo de fondo de una columna de destilacion.
CN113716718B (zh) * 2021-08-12 2023-02-28 华陆工程科技有限责任公司 一种asa的后处理装置及方法
CN114315505A (zh) * 2022-01-11 2022-04-12 中国石油大学(华东) 一种烷基苯的生产方法

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BE783017A (fr) 1971-05-28 1972-09-01 Pennwalt Corp Procédé de préparation d'acide alcane sulfonique
US4035242A (en) * 1975-09-29 1977-07-12 Ppg Industries, Inc. Distillative purification of alkane sulfonic acids
US4450047A (en) * 1983-01-28 1984-05-22 Penwalt Corporation Process for recovering anhydrous alkanesulfonic acids by reduced pressure, falling film evaporation
US4938846A (en) 1986-12-08 1990-07-03 Atochem, North America, Inc. Preparation of anhydrous alkanesulfonic acid
DE3886913D1 (de) 1987-12-23 1994-02-17 Ciba Geigy Verfahren zur Herstellung von flüssigen alkylierten 2-(2-Hydroxyphenyl)-benztriazol-Gemischen.
US4895977A (en) 1988-12-12 1990-01-23 Pennwalt Corporation Purification of alkanesulfonic acids using ozone
US5583253A (en) 1991-03-27 1996-12-10 Henderson; Phyllis A. Method of preparing purified alkanesulfonic acid
US5284993A (en) 1992-09-21 1994-02-08 Phillips Petroleum Company Alkylation catalyst regeneration
US5349116A (en) * 1993-06-25 1994-09-20 Phillips Petroleum Company Alkane alkylation and catalyst therefor
CA2145325A1 (en) 1994-03-31 1995-10-01 Steven G. Schon Pressurized production of alkanesulfonyl chloride and alkanesulfonic acid
US5589691A (en) * 1994-06-06 1996-12-31 Merck & Co., Inc. Process for recovery and recycle of methanesulfonic acid and phosphorous acid
DE19743901C1 (de) * 1997-10-04 1999-04-22 Grillo Werke Ag Verfahren zur Herstellung von Methansulfonsäure
DE19854428A1 (de) 1998-11-25 2000-05-31 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von Alkansulfonsäuren
FR2796941B1 (fr) 1999-07-27 2001-09-14 Atofina Purification d'acides alcanesulfoniques
US20020198420A1 (en) 2001-03-20 2002-12-26 Crompton Corporation. Mono-alkylation process for the preparation of anionic surfactants
JP2003238522A (ja) * 2002-02-15 2003-08-27 Mitsubishi Chemicals Corp 粗スルホン酸無水物の精製方法及びスルホン酸無水物
CN100400493C (zh) * 2002-10-31 2008-07-09 克鲁普顿公司 润滑油清洁剂的制备方法
US7045654B2 (en) 2002-10-31 2006-05-16 Crompton Corporation Method for the alkylation of salicylic acid
JP4285035B2 (ja) * 2003-03-18 2009-06-24 東亞合成株式会社 アクリルアミドアルカンスルホン酸の精製方法
CN100348579C (zh) * 2005-01-26 2007-11-14 河北亚诺化工有限公司 一种制备甲基磺酸的方法
TWI546278B (zh) 2011-08-23 2016-08-21 信實工業有限公司 用於製備烷基化芳香烴的方法
WO2015085522A1 (en) 2013-12-11 2015-06-18 Evonik Industries Ag Process for preparing alkanesulphonic acids

Also Published As

Publication number Publication date
KR102670176B1 (ko) 2024-05-28
SG11201803925WA (en) 2018-06-28
TW201728570A (zh) 2017-08-16
US10214485B2 (en) 2019-02-26
CN108463455A (zh) 2018-08-28
KR20180081795A (ko) 2018-07-17
BR112018009402B1 (pt) 2021-05-11
WO2017080994A1 (de) 2017-05-18
BR112018009402A2 (pt) 2018-11-13
MX2018005879A (es) 2018-08-15
CA3004802A1 (en) 2017-05-18
MY198293A (en) 2023-08-21
EP3374347B1 (de) 2019-08-07
BR112018009402A8 (pt) 2019-02-26
EP3374347A1 (de) 2018-09-19
CA3004802C (en) 2024-03-05
US20180327352A1 (en) 2018-11-15
CN108463455B (zh) 2021-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110770207B (zh) 提纯链烷磺酸酐的方法和使用纯化的链烷磺酸酐生产链烷磺酸的方法
KR102670176B1 (ko) 알칸설폰산의 재가공 방법
US10577312B2 (en) Process for purifying alkanesulfonic acids
US20220267261A1 (en) Process for producing 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
WO2009068533A1 (fr) Procede de preparation de l'acide trifluoromethanesulfinique.
JP5585445B2 (ja) ラウロラクタムの製造方法
KR101090192B1 (ko) 비스페놀 a의 제조방법
ES2899156T3 (es) Proceso para producir sulfóxido de 4,4`-diclorodifenilo
JP2003321419A (ja) 高純度(メタ)アクリル酸の製造方法
US20220289674A1 (en) A process for producing 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone
KR101760044B1 (ko) (메트)아크릴산의 연속 회수 방법
KR20210124403A (ko) 4,4'-디클로로디페닐 설폭시드의 정제 방법
WO2020207929A1 (en) Process for working up a composition comprising solid 4,4'-dichlorodiphenyl sulfoxide and a solvent
WO2004029020A1 (ja) 高純度4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191105

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20200331