本願は、2015年10月19日付出願の米国仮特許出願第62/243,411号及び2015年10月28日付出願の米国仮特許出願第62/247,327号の優先権を主張する。これらの特許出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
現在、ノートブックPC、スマートフォン、タブレット型コンピューティング端末等のモバイルコンピューティングデバイスは、ビジネスライフおよび私生活の両方において、データを生成、分析、通信および消費するための日常的なツールとなっている。消費者は、高速無線通信技術のユビキタス化に伴い、ますます容易にデジタル情報にアクセスできることを背景に、モバイルデジタルライフスタイルを享受し続けている。モバイルコンピューティングデバイスのよくある用途として、大量の高解像度コンピュータグラフィックス情報及び動画コンテンツを表示する用途が挙げられ、デバイスにワイヤレスでストリーミングして表示する場合が多い。
典型的にこれらのデバイスはディスプレイ画面を備えているものの、モバイル性を推し進めるため、デバイス自体の物理的サイズは制限されている。そのため、これらのモバイルデバイスで、高解像度の大型ディスプレイのようなより好ましい視覚的体験を再現することは難しい。その他にも、このような種類のデバイスの短所として、ユーザインターフェースがヒトの手に頼る点が挙げられる。典型的には、ユーザは、(物理的または仮想的な)キーボードやタッチスクリーンディスプレイを用いてデータの入力や何らかの選択を行うことを求められる。
そのため、今日の消費者は、ヒトの手に頼るモバイルデバイスを補うかまたはこれにとって代わる、ハンズフリーで(ヒトの手に頼らずに)、高品質且つ携帯可能なカラーディスプレイへの対策を所望している。このようなディスプレイへの対策は、実用サイズ及び重量に制約があるため、利用可能な電力リソース(例えば、バッテリサイズ等)が限られている。電力リソースが限られているので、ディスプレイの電力消費を減らせば、その電力リソースの一回の充電で当該ディスプレイが動作できる時間が延びる。
一部の種類のディスプレイ装置では、アレイの画素列に周期的なランプ信号が供給されることが動作に必要となる。ランプ信号発生器の電力要件は多数の要因に依存し得るが、主に2つの要因として、(i)ディスプレイの画素数、および(ii)ランプ信号の周波数が挙げられることが多い。よって、ディスプレイのサイズが固定されている場合には、ランプ信号発生器の電力要件、つまりディスプレイ装置が、ランプ周波数に強く影響されることになる。
最先端のディスプレイ用途は、高いランプ信号周波数を必要とするため、前述したような理由から高い電力要件を有している。
近年開発されたマイクロディスプレイは、大型フォーマットの高解像度カラー画像及びストリーミング映像を、極めて小さい形状の構成要素で提供することができる。このようなディスプレイの用途として、ユーザの視野内にディスプレイが収まるように眼鏡やオーディオヘッドセットやビデオアイウェアと似た形式の、ユーザの頭部に装着される無線ヘッドセットコンピュータへの組込みが挙げられる。
「無線コンピューティングヘッドセット」デバイス(本明細書では、ヘッドセットコンピュータ(HSC)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)とも称される)は、少なくとも1つの小型高解像度マイクロディスプレイ、および画像を拡大する光学系を備える。そのような高解像度マイクロディスプレイは、スーパービデオグラフィックスアレイ(SVGA)(800×600)解像度または拡張グラフィックスアレイ(XGA)(1024×768)解像度、あるいは、それを超える(当該技術分野において知られている)解像度を提供するものであり得る。
無線コンピューティングヘッドセットは、データ機能や映像ストリーミング機能を可能にする少なくとも1つの無線コンピューティング・通信インターフェースを備えており、ヒトの手に頼る装置を介して優れた利便性およびモバイル性を提供する。
以上のようなデバイスに関する詳細な情報については、同時係属中の、2009年1月5日付出願の米国特許出願第12/348,646号“Mobile Wireless Display Software Platform for Controlling Other Systems and Devices”、2009年3月27日付出願の国際出願第PCT/US09/38601号“Handheld Wireless Display Devices Having High Resolution Display Suitable For Use as a Mobile Internet Device”、および2012年4月25日付出願の米国仮特許出願第61/638,419号“Improved Headset Computer”を参照されたい。これらの各特許出願の全内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
本明細書では、「HSC」(ヘッドセットコンピュータ)、「HMD」(ヘッドマウントディスプレイ)デバイス、および「無線コンピューティングヘッドセット」デバイスが、互いに置き換え可能なものとして用いられ得る。
本明細書で説明する実施形態は、マイクロディスプレイ(例えば、HSCに設けられたマイクロディスプレイ等)の電力を、(i)マイクロディスプレイの画素アレイのうちの列を駆動するのに使用されるランプ信号の周波数を低くすること;および(ii)当該アレイのうちの、このような列駆動ランプ信号の各サイクルごとに駆動される行の数を増やすこと;のうちの少なくとも1つによって低減させる。
一態様において本発明は、画素アレイを駆動する方法であって、前記画素アレイの1つ以上の列にランプ信号を供給する過程を備える、方法であってもよい。前記ランプ信号のサイクルごとに、前記画素アレイの第1の行に第1の行駆動信号を供給し、かつ、前記画素アレイの第2の行に第2の行駆動信号を供給する。
一実施形態は、さらに、第1の増幅器および第2の増幅器を設ける過程を備える。当該第1および第2の増幅器がそれぞれDA変換器から入力ランプ信号を受け取り、前記第1の増幅器は第1の増幅されたランプ信号を生成し、かつ、前記第2の増幅器は第2の増幅されたランプ信号を生成する。前記第1の増幅器および前記第2の増幅器は、ユニティゲイン(すなわち、ゲインが1に等しい)増幅器であってもよい。もっとも、これらの増幅器のゲインは、1未満の分数(すなわち、0から1の間)であってもよく、あるいは、1を超えていてもよい。
他の実施形態は、さらに、前記第1の増幅器の出力を画素アレイの第1の画素セットに接続し、かつ、前記第2の増幅器の出力を前記画素アレイの第2の画素セットに接続する過程を備えてもよい。前記画素アレイの前記第1の画素セットが第1の画素列セットであってもよく、前記画素アレイの前記第2の画素セットが第2の画素列セットであってもよい。前記第1の画素列セットおよび前記第2の画素列セットは、当該第1の画素列セットにおける列が当該第2の画素列セットにおける列と互い違いになるように前記画素アレイ上に(つまり、基板上のような前記画素アレイを受けるベース上に)空間的に配置されてもよい。
一実施形態は、さらに、前記画素アレイの前記第1の画素セットに前記第1の増幅されたランプ信号を供給し、かつ、前記画素アレイの前記第2の画素セットに前記第2の増幅されたランプ信号を供給する過程を備えてもよい。
一実施形態は、さらに、前記第1の増幅器の出力を画素アレイの第1の画素セットに接続し、かつ、前記第2の増幅器の出力を前記画素アレイの第2の画素セットに接続する過程を備える。前記画素アレイの前記第1の画素セットが(前記画素アレイにおける合計N個の画素行のうちの)第1の画素行セットであってもよく、前記画素アレイの前記第2の画素セットが(前記画素アレイの合計N個の行のうちの)第2の画素行セットであってもよい。前記第1の画素行セットが1行目〜M行目の画素を含み、前記第2の画素セットがM+1行目〜N行目の画素を含み、MおよびNは整数である。
一実施形態は、さらに、前記第1の増幅されたランプ信号を前記第1の画素行セットに供給し、かつ、前記第2の増幅されたランプ信号を前記第2の画素行セットに供給する過程を備える。
他の実施形態は、さらに、前記第1の増幅器の出力を画素アレイの第1の画素セットに接続し、かつ、前記第2の増幅器の出力を前記画素アレイの第2の画素セットに接続する過程を備える。前記画素アレイの前記第1の画素セットが第1の画素行セットであり、前記画素アレイの前記第2の画素セットが第2の画素行セットであり、前記第1の画素行セットおよび前記第2の画素行セットは、当該第1の画素行セットにおける行が当該第2の画素行セットにおける行と互い違いになるように前記画素アレイ上に空間的に配置されている。
一実施形態は、前記ランプ信号を生成するように構成されたDA変換器を設ける過程を備える。
他の態様において本発明は、ランプ信号を生成するように構成されたランプ信号発生器と、前記ランプ信号を受け取って第1の増幅されたランプ信号を生成するように構成された第1の増幅器と、前記ランプ信号を受け取って第2の増幅されたランプ信号を生成するように構成された第2の増幅器とを備える、画素アレイドライバであってもよい。前記第1の増幅されたランプ信号が画素アレイの第1の画素セットに電気的に接続され、かつ、前記第2の増幅されたランプ信号が前記画素アレイの第2の画素セットに電気的に接続されてもよい。
一実施形態では、前記画素アレイの前記第1の画素セットが第1の画素列セットであり、前記画素アレイの前記第2の画素セットが第2の画素列セットである。前記第1の画素列セットおよび前記第2の画素列セットは、当該第1の画素列セットにおける列が当該第2の画素列セットにおける列と互い違いになるように前記画素アレイ上に空間的に(すなわち、画素の物理レイアウトに対して)配置されてもよい。
他の実施形態では、前記第1の画素列セットがN番目の画素列を含み、前記第2の画素列セットが(N+1)番目の画素列を含み、Nは2から始まる2つ以上の連続する偶数を示す。本明細書で説明する全ての実施形態において画素の合計数(ひいては、画素列の数)は有限であり、当該合計数は、ディスプレイ装置のサイズ及び形状により制約されることを理解されたい。
他の実施形態では、前記第1の画素列セットが前記第1の増幅されたランプ信号を受け取り、かつ、前記第2の画素列セットが前記第2の増幅されたランプ信号を受け取る。
一実施形態では、前記画素アレイの前記第1の画素セット及び前記第2の画素セットがN個の行に配置されている。前記第1の画素セットが1行目〜M行目の画素を含み、前記第2の画素セットがM+1行目〜N行目の画素を含み、MおよびNは整数である。
請求項14に記載の画素アレイドライバにおいて、前記1行目〜M行目の画素が前記第1の増幅されたランプ信号を受け取り、かつ、前記M+1行目〜N行目の画素が前記第2の増幅されたランプ信号を受け取る。
他の実施形態では、前記画素アレイの前記第1の画素セットが第1の画素行セットであり、前記画素アレイの前記第2の画素セットが第2の画素行セットである。前記第1の画素行セットおよび前記第2の画素行セットは、当該第1の画素行セットにおける行が当該第2の画素行セットにおける行と互い違いになるように前記画素アレイ上に空間的に配置されてもよい。例えば、前記第1の画素行セットが第1の行、第3の行、第5の行…を含み、前記第2の画素行セットが第2の行、第4の行、第6の行…を含んでもよい。前記第1の画素行セットの画素が前記第1の増幅されたランプ信号を受け取り、かつ、前記第2の画素行セットの画素が前記第2の増幅されたランプ信号を受け取ってもよい。
他の実施形態では、前記ランプ信号発生器がDA変換器を含む。前記ランプ信号発生器は、さらに、デジタルワードを生成して当該デジタルワードを前記DA変換器に供給するように構成されたカウンタを有してもよく、前記デジタルワードが、初期値から終値までカウントし(初期値から終値までの値を取り)、前記初期値に戻って、当該カウント(初期値から終値までの値を取ること)を前記初期値から繰り返す。
他の実施形態では、前記第1および第2の増幅器が、ユニティゲイン増幅器である。
前述の内容は、添付の図面に示す、本発明の例示的な実施形態についての以下のより詳細な説明から明らかになる。異なる図をとおして、同一の参照符号は同一の構成/構成要素を指すものとする。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、本発明の実施形態を示すことに重点が置かれている。
以下では、本発明の例示的な実施形態について説明する。
本明細書で説明するマイクロディスプレイは、一般的に、図1の単純な一例に示すように複数のデータ信号及び制御信号103で駆動される画素アレイ102を備える。以降の説明を理解し易くするために、この例示的なマイクロディスプレイ100を20列×16行の合計320個の画素を有するものとするが、既述したように実際のマイクロディスプレイは典型的に、より多くの画素(例えば、1024列×768行のXGA等)を有している。
前記マイクロディスプレイは、協働して画素アレイ102に情報を供給する、列ドライバ104と行ドライバ106とを備える。列ドライバ104が前記画素に画像情報を供給し、行ドライバ106が前記画素に制御情報を供給してもよい。特定の画素列110の列駆動信号108は、複数の信号を含んでもよい。
一部の実施形態、例えばLCoS(Liquid Crystal on Silicon)、OLED(有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode))ディスプレイ装置等の場合には、図1に示す列ドライバ104がランプDA変換器(DAC)および増幅器を有してもよい。列ドライバ104が、電圧ランプ信号を生成する。
この電圧ランプ信号は、第1の電圧から第2の電圧への線形的増加を繰り返す周期的な信号(例えば図3を参照)であってもよい。この電圧ランプは、特定の時間にサンプリングされてもよく、画素列で使用されるように、所望の一定の電圧出力を生成するように保持されてもよい。
前記DACは、二値を表すデジタルワード(例えば8ビット、16ビット、32ビット等)を受け取るデバイスであてもよい。当該DACは、前記デジタルワードの値に対応した電圧出力を生成する。例えば、前記デジタルワードに低い値から高い値まで(例えば00000000から11111111まで)順番にカウントさせて(値を取って)、当該カウント(値を順番に大きくすること)を周期的に繰り返すことにより、電圧ランプ信号が生成されてもよい。例えば一実施形態では、初期値から終値までカウントするようにプログラムされ且つそのあと当該初期値に戻って繰り返すように構成されているカウンタが、上記のようなデジタルワード系列(シーケンス)を生成するのに使用されてもよい。
前記増幅器は、前記DACから前記電圧ランプ信号を受け取り、受け取った電圧ランプ信号を増幅したものである出力信号を生成してもよい。すなわち、前記増幅器の出力=g×(電圧ランプ信号)である(式中、gは前記増幅器のゲインである)。一部の実施形態では前記増幅器のゲインgが1を超える正の実数とされるが、他の実施形態ではゲインgが0から1の間であってもよい。
図2に、ランプDAC配置構成の一例であって、第1の増幅器204及び第2の増幅器206を駆動する単一のランプDAC202を含む、ランプDAC配置構成を示す。この実施形態では、増幅器204,206が、画素アレイ208を当該アレイ208の2つの部分から駆動するように配置されている。アレイ208内の画素の、図2に示した配置は、当該画素の物理的な配置構成(すなわち、物理レイアウト)を表すように意図されている。この例では、前記画素アレイの前記2つの線で示した部分が前記画素アレイの上部および下部とされているが、線で示した部分の他の配置構成が代わりに採用されてもよい。
図3は、図2の画素アレイ208を駆動するのに使用され得る信号の、例示的なタイミング図である。この例では、120HzのHSYNCランプ信号302が、ランプDAC202によって生成され、増幅器204,206を介して画素アレイ208内の前記画素に中継される。ランプ信号302の各サイクルごとに、1つの行のみが駆動される。この例では、ランプ信号302の(描かれているうちの)第1のサイクルの間N番目の行を駆動する信号304(すなわち、N行目駆動信号)がアクティブであり、ランプ信号302の(描かれているうちの)第2のサイクルの間N+1番目の行を駆動する信号306(すなわち、N+1行目駆動信号)がアクティブであり、ランプ信号302の(描かれているうちの)第3のサイクルの間N+2番目の行を駆動する信号308(すなわち、N+2行目駆動信号)がアクティブであり、ランプ信号302の(描かれているうちの)第4のサイクルの間N+3番目の行を駆動する信号310(すなわち、N+3行目駆動信号)がアクティブである。120Hzのランプ信号の周期は1/120秒=8.333mS(ミリ秒)なので、4つの画素行を駆動するには約4×8.33mS=約33.33mSかかる。
図4に、開示の実施形態に従って構築された、ランプDAC配置構成の他の例であって、第1の増幅器404及び第2の増幅器406を駆動する単一のランプDAC402を含む、ランプDAC配置構成を示す。この実施形態では、増幅器404,406が、画素アレイ408を当該アレイ408の2つの側(図2の例と同じく、当該アレイ408の上部および下部)から駆動するように配置されている。ただし、図4の例では、増幅器404,406はそれぞれ各列の一部(この場合では、各列のうちの半分)を駆動する。すなわち、増幅器404と増幅器406とは同じ画素列の駆動を分担する。他の実施形態では、これらの増幅器が、分担する列の半分超又は半分未満を駆動するものとされてもよい。
図4の例示的な実施形態では、T番目の(上側の)行を駆動する信号(すなわち、T行目駆動信号)とB番目の(下側の)行を駆動する信号(すなわち、B行目駆動信号)とが、図3に示すランプ信号302とN行目駆動信号304との相互作用と同じように第1のランプサイクルの間アクティブである。T+1番目の(上側の)行を駆動する信号(すなわち、T+1行目駆動信号)とB+1番目の(下側の)行を駆動する信号(すなわち、B+1行目駆動信号)とが、図3に示すランプ信号302とN+1行目駆動信号との相互作用と同じように第2のランプサイクルの間アクティブである。T+2番目の(上側の)行を駆動する信号(すなわち、T+2行目駆動信号)とB+2番目の(下側の)行を駆動する信号(すなわち、B+2行目駆動信号)とが、図3に示すランプ信号302とN+2行目駆動信号との相互作用と同じように第3のランプサイクルの間アクティブである。
図4に示す構成は2つの行(例えばT行目とB行目、T+1行目とB+1行目…)を同時に駆動することを可能にするので、図2に示すアレイ構成と比べて少ない電力で、アレイ全体が駆動されることが可能である。図5は、図4の画素アレイ408を駆動するのに使用され得る信号の例示的なタイミング図である。この例では、60HzのHSYNCランプ信号502が、ランプDAC402によって生成され、増幅器404,406を介して画素アレイ408内の前記画素に中継される。図5のタイミング図に示すようにランプ信号502は、当該ランプ信号502の各サイクルごとに2つの行が駆動されるので、図2及び図3のランプ信号302の周波数の半分(すなわち、60Hz)であってもよい。T行目を駆動する信号504とB行目を駆動する信号506とが、ランプ信号502の(描かれているうちの)第1のサイクルの間それぞれアクティブになる。T+1行目を駆動する信号508とB+1行目を駆動する信号510とが、ランプ信号502の(描かれているうちの)第2のサイクルの間それぞれアクティブになる。
60Hzのランプ信号の周期は1/60秒=16.66mSであるが、ランプ信号502の各サイクルごとに2つの行が駆動されるので、4つの行を駆動するのに必要なのは約2×16.66mS=約33.33mSである。そのため、図4及び図5に示す配置構成が4つの行を駆動するのにかかる時間は、図2及び図3に示す配置構成が同じく4つの行を駆動するのにかかる時間と変わらない。しかし、図4及び図5の配置構成が使用するランプ信号502の周波数は、図2及び図3に示す配置構成で使用されるランプ信号302の半分なので、図4及び図5の配置構成が必要とする電力のほうがより少ない。
図6に、開示の実施形態に従って構築された、ランプDAC配置構成のさらなる他の例であって、第1の増幅器604及び第2の増幅器606を駆動する単一のランプDAC602を含む、ランプDAC配置構成を示す。この実施形態では、増幅器604,606が、画素アレイ608を当該アレイ608の2つの側(図2の例と同じく、当該アレイの上部および下部)から駆動するように配置されている。ただし、図6の例では、増幅器604が奇数行(例えば1行目、3行目、5行目…)を駆動し、増幅器606が偶数行(例えば2行目、4行目、6行目…)を駆動する。図7に示すタイミング図が図6に示す配置構成に当てはまり、これは図5に示すタイミング図と類似している。
図6に示す配置構成は、多くの利点を奏する。画素が標準的な走査順序でアクセプトされることができ、必要なメモリのラインバッファが1つだけになる。図4は1つのハーフフレームバッファを必要とし、VR(バーチャルリアリティ)用途にとって極めて望ましくない待ち時間が加わる。偶数行と奇数行とのミスマッチ(不一致)は上半分の画像と下半分の画像とのミスマッチよりも遥かに知覚し難いので、図6の配置構成は増幅器604,606同士のマッチ(一致すること)についての制約を緩和する。図6の配置構成は、全ての行が隣接する行とほぼ同時に走査されることから、モーションアーチファクトを軽減させる。対照的に図4の配置構成では、B行目よりもかなり後にT+2行目が走査される。図6の配置構成は隣接する行同士が行ラインを共有するため、1行ごとに必要とされるピッチが半分だけになる。
なお、図6の配置構成は1列ごとに2本の列ラインピッチを必要とし、列ラインが必然的に長くなるためキャパシタンスがやや大きくなるものの、1本の列ラインごとの画素数は図4に示すアーキテクチャと比べて変わらない。
本明細書の例示的な実施形態は、開示した主題を、ランプ周波数を半分する一方で駆動される行数を2倍に増やすことによって示している。単位時間あたりに駆動される画素数を維持しつつ電力を少なくするのにランプ周波数および画素行数が、開示の実施形態の根底にある思想に従いながら別のものに(すなわち、2倍と半分との組合せ以外に)変更されてもよいことを理解されたい。
本明細書で説明する1つ以上の実施形態が、数多くの様々な形態のソフトウェアやハードウェアで実現され得ることは明らかである。本発明で説明する実施形態を実現するのに用いられるソフトウェアコードおよび/または専用のハードウェアは、本発明を限定するものではない。これを理由として、具体的なソフトウェアコードおよび/または専用のハードウェアに言及することなく実施形態の動作及び挙動について説明した。当業者であれば、これらの実施形態を実現するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアを、本明細書の説明に基づいて設計することができる。
また、本発明の特定の実施形態は、1つ以上の機能を実行する論理(ロジック)として実現され得る。この論理は、ハードウェアベースであってもよいし、ソフトウェアベースであってもよいし、ハードウェアベースとソフトウェアベースとの組合せであってもよい。当該論理のうちの一部又は全部が、1つ以上のコンピュータ読取り可能な有形の記憶媒体に記憶されてもよく、かつ、コントローラ又はプロセッサにより実行されるコンピュータ実行可能な命令を含んでもよい。当該コンピュータ実行可能な命令は、本発明の1つ以上の実施形態を実現する命令を含んでもよい。前記有形のコンピュータ読取り可能な記憶媒体は、揮発性又は不揮発性のものであってもよく、例えばフラッシュメモリ、ダイナミックメモリ、リムーバブルディスク、非リムーバブルディスク(取り外し不可能な記憶装置)等を含んでもよい。
本発明を例示的な実施形態を参照しながら具体的に図示および説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の範疇を逸脱することなく形態や細部について様々な変更が施されてもよいことを理解するであろう。