JP2018527025A - 抗炎症活性を有する酵素画分 - Google Patents

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Abstract

粗ブロメライン抽出物の或る特定の成分がブロメラインの抗炎症利益を支持せず、又は妨げることが驚くべきことに見出された。この好ましくない成分を除去することにより、残りの成分(複数の場合もある)の抗炎症有効性が増大した。
【選択図】図2A

Description

政府所有権:
なし。
関連出願:
本願は、2015年8月20日付で出願された米国仮特許出願第62/207570号の優先権を主張するものであり、その内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
共同研究契約の当事者
該当なし。
配列表
本願では提出された機械可読配列表ファイルが引用することにより本明細書の一部をなす。
本発明者による先開示
なし。
パイナップルは、南アメリカ及び中央アメリカの先住民の間で薬用植物としての長い伝統を有する。パイナップルの果実からの最初のブロメラインの単離は、ベネズエラの化学者であるVicente Marcanoによって1891年に記録されている。1892年には、Russell Henry ChittendenがElliott P. Joslin及びFrank Sherman Mearaの支援の下でこの物質の十分な調査を行い、「ブロメリン」と名付けた。後に「ブロメライン」という用語が提唱され、当初はこの用語がパイナップル科植物の任意の成員に由来する任意のプロテアーゼに適用された。
ブロメラインは民間及び現代医薬用途の長い歴史を有し、代替医療における潜在的治癒剤としての探究が続けられている。ブロメラインは植物療法薬としても広く認められている。ブロメラインは1957年に初めて治療補助剤として導入された。ブロメラインに対する研究は初めハワイで行われたが、ここ最近ではアジア、欧州及びラテンアメリカの国々で行われている。近年ではドイツの研究者がブロメライン研究に大きな関心を持っている。現在、ブロメラインはドイツにおいて13番目に広く使用されている植物薬である。
ブロメラインの治療利益の一部は血小板凝集の可逆的阻害、狭心症の可逆的阻害、気管支炎及び副鼻腔炎の可逆的阻害、外科手術による外傷、血栓性静脈炎及び腎盂腎炎の治療である。ブロメラインは、外科手術又は外傷後に特に鼻及び副鼻腔の腫脹(炎症)を低減するためにも使用することができる。ブロメラインは激しい運動の後の筋肉痛の予防にも使用される。ブロメラインが腫瘍細胞の成長を妨げ、血液凝固を遅らせることも報告されている。ブロメラインは花粉症、腫脹及び潰瘍(潰瘍性大腸炎)を含む腸病態の治療、火傷後の壊死組織及び損傷組織の除去(デブリードマン)、肺における水の蓄積(肺水腫)の予防、筋肉の弛緩、筋収縮の刺激、抗生物質の吸収の改善、癌の予防、労働の短縮、また身体の脂肪を落とすのを補助するためにも使用されている。食品調製物においては、ブロメラインは食肉軟化剤として、またビールの清澄化に使用されている。
全身酵素療法(ブロメライン、トリプシン、キモトリプシン及びパパイン等のタンパク質分解酵素の組合せからなる)が乳癌、結腸直腸癌及び形質細胞腫患者の治療に対して欧州で調査されている。実験的大腸炎を有するマウスでは、パイナップルの茎又は新鮮果汁に由来する6ヶ月間の飼料ブロメラインが結腸炎症の重症度を減少させ、結腸における癌性病変の数を低減した。
ブロメラインは潜在的抗炎症剤として関節炎、アレルギー性気道疾患及び多発性硬化症の治療に有用であり得るが、ヒト研究ではこの用途について確認されておらず、アメリカ食品医薬品局又は欧州食品安全機関によるかかる作用についての健康強調表示も認可されていない。自然薬品総合データベース(Natural Medicines Comprehensive Database)によると、ブロメラインはトリプシン(異なるプロテアーゼ)及びルチン(ソバ中に見られる物質)と併せて使用した場合に、骨関節炎の管理において幾つかの処方鎮痛薬と同様に効果的であることが示唆されている。ブロメラインをトリプシン及びルチンと組み合わせた製品(WOBENZYME(商標))が市販されており、骨関節炎患者において疼痛を低減し、膝機能を改善するようである。しかしながら、アメリカ国立衛生研究所は、「ブロメラインがその他の用途のいずれについても効果的であるか否かを決定するのに十分な科学的証拠はない」と指摘している。
当該技術分野ではブロメラインの全粗抽出物の使用が教示されている。しかしながら、粗ブロメラインが粗ブロメラインの所望の有効性に悪影響をもたらす成分を含むことが驚くべきことに見出された。このため、ブロメライン粗抽出物を各々が特定の酵素及び他の成分を含有する多数の別個の画分へと分離した。次いで、これらの画分の各々を系統的に試験し、どの画分がどの作用をもたらすかを特定した。これにより、各々が或る特定の用途に適切な別個の画分へとブロメライン粗抽出物を分離することでその有用性を改善する方法を見出した。
ブロメラインを様々な成分の画分へと分離するプロセスの概略フローチャートである。 A)画分2(F2)及び画分3(F3)、並びにピークCCY、CCW及びCCSを同定するブロメライン抽出物のイオン交換クロマトグラフィースペクトル、並びにB)粗抽出物のCCY、CCW及びCCS画分のSDS−PAGEによって同定された主要タンパク質種を示す図である。 純粋なアナナインを得るためのCCS画分のサイズ排除クロマトグラフィープロファイル及び金属アフィニティークロマトグラフィープロファイル(A、B)、並びにSDS−PAGEによるアナナインタンパク質のサイズ(C)を示す図である。 本明細書で単離された或る特定のポリペプチドのアミノ末端の比較を示す図である。 抗CD3 mAb投与の2時間又は6時間後のマウスにおけるサイトカインレベルに対するアナナインの作用を示す図である。 抗CD3 mAb投与の2時間又は6時間後のマウスにおけるサイトカインレベルに対するブロメラインの作用を示す図である。 mAbを投与した(+mAb)又はmAb抗体を投与しない(−mAb)マウスにおける2時間又は6時間後のサイトカインレベルに対するF1の作用を示す図である。
ブロメライン及びその成分
「ブロメライン」はパイナップル植物(アナナス・コモスス(Ananas comosus))から得られる粗タンパク質分解抽出物の総称である。新鮮パイナップル果実から得られる果実ブロメライン及びこの植物の茎から得られる茎ブロメラインという2つの形態のブロメラインが知られている。ブロメラインの主な商業的供給源は茎ブロメラインであるため、「ブロメライン」及び「茎ブロメライン」という用語は区別なく用いられることが多い。
茎ブロメライン
ブロメライン内の主要タンパク質分解酵素は、茎ブロメラインと呼ばれるプロテアーゼCAS 37189−34−7(EC3.4.22.32)である。このプロテアーゼ酵素は、システイン側鎖の遊離スルフヒドリル基が機能に必要されることからスルフヒドリルプロテアーゼと称される。茎ブロメラインはタンパク質の切断について広い特異性を有し、小分子基質内のZ−Arg−Arg−|−NHMecに対して強い選好性を有する。
果実ブロメライン
果実ブロメライン抽出物内の主要プロテアーゼは、果実ブロメライン(EC3.4.22.33)と呼ばれる。このプロテアーゼ酵素は、システイン側鎖の遊離スルフヒドリル基が機能に必要されることからスルフヒドリルプロテアーゼと称される。果実ブロメラインは、Bz−Phe−Val−Arg−|−NHMecに対して強い選好性を有する。
アナナイン
アナナイン(EC3.4.22.31)はパイナップル植物の茎から単離することができる。アナナインは、ニワトリシスタチンによって阻害されるという点で茎ブロメライン及び果実ブロメラインとは異なる。アナナインはタンパク質の加水分解を触媒し、ペプチド結合について広い特異性を有する。アナナインは果実ブロメラインよりも広い特異性を有するが、最もよく報告されている小分子基質はBz−Phe−Val−Arg−|−NHMecである。
コモサイン
コモサインはパイナップル植物の茎から単離することができる。最もよく報告されているコモサインの小分子基質はZ−Arg−Arg−NH−Mecである。コモサインは、N末端に20アミノ酸配列VPQSI DWRNY GAVTS VKNQGを有する。コモサインは一残基を除いてアナナインと相同である。
CCS、CCW及びCCY、並びにF2及びF3の製造
例示的な製造プロセスを概説するフローチャートを図1に示す。
試薬
粗ブロメライン(タンパク質分解活性、1541nmol/分/mg)は、Solvay Inc.(Germany)から入手した。SP−Sepharose HPは、GE Healthcare(Sydney,Australia)から入手した。Superdex 75媒体及びHi−Trap Metal Affinity FF chelating Sepharoseは、Amersham Biosciencesから入手した。Precast 4−12% Bis−Tris NuPAGEアクリルアミドゲルは、Invitrogen(Sydney,Australia)から入手した。広範囲分子量マーカーはBio-Rad Laboratories(Sydney,Australia)から、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ウエスタンブロット膜はRoche Diagnostics GmbH(Castle Hill,Australia)から入手した。Precast 12%アクリルアミドミニゲルは、Novex-Electrophoresis(Frankfurt,Germany)から入手した。Pharmalyte 3〜10(商標)、Ampholine 9−11、Ready Mix IEF(アクリルアミド、ビスアクリルアミド)及びLEFマーカーはPharmacia Biotechから入手した。他の全ての試薬は分析グレードであり、Sigma Chemical Coから入手した。
ブロメラインの調製
以下の全工程は常温(20℃〜25℃)で行った。450mgのブロメライン粉末を、0.1mM EDTAナトリウムを含有する15mlの20mM酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解することによってブロメラインの溶液(30mg/ml)を調製した。次いで、溶液を13000×gで10分間遠心分離し、不溶性物質を除去した。透明な上清をクロマトグラフィーに使用した。
イオン交換クロマトグラフィーによる分離
Fast flow S−sepharoseカラムを、25mlの媒体をXK 16/20(商標)カラム(Pharmacia Biotech)に充填することによって準備し、FPLCシステムで0.1mM EDTAを含有する20mM酢酸緩衝液(pH5.0)により3ml/分で平衡化した。5mlのブロメライン溶液をカラムに注入した。非結合タンパク質を回収し、カラムを100mlの酢酸緩衝液で洗浄した。カラムに結合したタンパク質を、300mlにわたる酢酸緩衝液中0→0.8MのNaClの線形勾配により溶出させた。勾配全体を通して5mlの画分を回収した。
図2Aに、この手順により得た粗ブロメラインから得られる様々なピークの典型的なU.V.クロマトグラムを示す。
U.V.プロファイルから同定された対象のCCY、CCW、CCSピーク、又はF2及びF3画分をプールし、公称分子量カットオフが10kDaの限外濾過膜を有するfiltron撹拌セルを用いた限外濾過によって濃縮した。次いで、PD10カラム(Pharmacia Biotech)を用いて画分を等張生理食塩水(0.9%(w/v)NaCl)へと緩衝液交換し、滅菌濾過し(0.2um)、タンパク質含量及びタンパク質分解活性を調整した。次いで、サンプルを必要とされるまで−80℃で凍結した。
図2Bに「CCW」及び「CCY」(茎ブロメラインプロテアーゼを含有する)と称するピーク、並びにピーク「CCS」(アナナインを含有する)のSDS−PAGEを示す。
CCYピークは5番目の主要タンパク質ピークとしてカラムから溶出し(30%の緩衝液B、45分〜50分時点)、CCWは6番目の主要タンパク質ピークとして溶出する(35%の緩衝液B;50分〜57分時点)。CCSはカラムからの最後の二重ピーク(すなわちピーク8)であり、65分〜75分時点(60%の緩衝液B)で溶出する。
F2画分はピーク5(CCY)、ピーク6(CCW)及びピーク7から構成され、45分〜65分(35%〜60%の緩衝液B)に溶出する一画分として回収される。F3画分はCCSピーク及び付随(trailing)ピーク9を含み、65分〜85分時点(60%〜80%の緩衝液B)で溶出する一画分として回収される。
製品は純粋なAPI、又はより粗製の形態、及びF2とF3との組合せのいずれかを使用して開発することができる。
非常に効果的な抗下痢剤としては、以下のものを挙げることができる:
医薬品 − アナナインと組み合わせた茎ブロメラインプロテアーゼ、すなわち純粋な物質。
より規制の少ない製品。CCシリーズ、すなわち部分的に純粋な画分CCY、CCW及びCCS
より規制の少ない製品。Fシリーズ、すなわち粗画分。ブロメラインのF2&F3画分(炎症誘発性成分を除いたブロメラインの抗分泌及び抗炎症画分)。
製品は天然源(すなわちブロメライン)に由来するか、又はピキア(酵母)発現系において発現されるものであってもよい。
よりF3:F2の比率が高い(すなわち抗炎症活性がより高い)製品は、天然ブロメラインに見られる比率よりも効果的である可能性が高い。
a)タンパク質アッセイ:
タンパク質濃度を、BCA(商標) Protein Assayキット(Pierce,Rockford,USA)を用いて決定した。サンプルを、必要に応じて0.9%生理食塩水又は20mM酢酸緩衝液(pH5.0)中で調製したウシ血清アルブミン標準(0〜1.5mg/ml)と比較した。
b)プロテイナーゼアッセイ:
様々なクロマトグラフィー画分及び純粋なプロテアーゼの比活性を、ペプチド−p−ニトロアニリド(pNA)基質Z−Arg−Arg−pNA(Bachem,Saffron Walden,UK)からのp−ニトロアニリンの放出をNapper et al in Biochem. J., 301, 727-735, (1994)に記載のようにモニタリングすることによって決定した。このアッセイは、Filippova et al in Anal. Biochem., 143, 293-297 (1984)の記載に基づくものであった。全てのアッセイを、96ウェルプレートにおいて30℃でiEMS反応速度プレートリーダー(Life Sciences International,Basingstoke,UK)を用いて行った。最大反応速度をGenesys(商標)ソフトウェア(Life Sciences International,Basingstoke,UK)によって決定し、結果をnmol/分の変換された基質として表す。
c)ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE):
サンプルを、プレキャスト4%〜20%T勾配ゲルでのSDS−PAGEによって分析した。サンプルを300ulのSDS−PAGEサンプル緩衝液(10%(v/v)グリセロール、2%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム及び40mMジチオスレイトールを含有する62.5mMトリス−HCl(pH6.8))に溶解し、水浴内において95℃で加熱した。
SDS−PAGEサンプル緩衝液で20倍に希釈したSDS−PAGE広範囲分子量標準を同様に処理し、サンプルと共に泳動した。ゲルをmini Protean II(商標)電気泳動システムにおいて、Bio-Radのプロトコルに従って240Vで色素先端がゲルの端に達するまで(30分〜45分間)泳動した。
電気泳動後に、分離したタンパク質を軌道混合(orbital mixing)しながら1.5%(v/v)リン酸、11.25%(w/v)硫酸アンモニウム及び25%(v/v)メタノールを含有する0.075%(w/v)コロイド状ブリリアントブルーG−250の溶液中で一晩染色した。明瞭なバックグラウンドを得るために、25%(v/v)メタノール及び10%(v/v)酢酸の溶液中でゲルを脱染色した。
SEC及びIMACによる分離
アナナインを単離するために、分画プロトコルによる「CCS」ピークを単離し、サイズ排除クロマトグラフィー及び固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを用いて純粋なアナナインを得るための更なる加工に使用した。
サイズ排除クロマトグラフィー。CCSピークを緩衝液B(0.1M酢酸ナトリウム、1mM二ナトリウムEDTA、0.25M NaCl、pH5.0)で予め平衡化したSuperdex 75 HR 10/30カラムにアプライし、成分を1ml/分の流速で溶出させた。画分(0.5ml)を回収し、吸光度ピークと関連するものをプールした。これらのプールを、Z−Arg−Arg−pNA基質に対する比活性について分析した。
固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)。最後に溶出するピークを緩衝液C(20mMリン酸ナトリウム、1M NaCl、pH7)へと緩衝液交換し、透析濾過(5000Daの公称分子量カットオフのスピン濃縮器)によって濃縮した。Hi−Trap Metal Affinity Column(1ml)を用いて成分を更に分離し、以下のように調製した:初めに、カラムにCu2+(0.5mlの0.1M硫酸銅)をロードし、10カラム容量の緩衝液D(20mMリン酸ナトリウム、1M NaCl、2M NHCl、pH7)で洗浄した後、緩衝液Cで平衡化した。次いで、濃縮されたタンパク質サンプル(5mg/ml)をカラムに1ml/分の流速でアプライし、結合した成分を0→2MのNHClの線形勾配によって溶出させた。画分(1ml)を緩衝液E(0.2M酢酸ナトリウム、1mM二ナトリウムEDTA、pH5、0.5ml)の入ったチューブに回収した。画分を吸光度ピークに従ってプールした。次いで、各ピークを等張生理食塩水(0.9%(w/v)NaCl)へと緩衝液交換した。全てのピークを比活性について検査した。
図3Aにサイズ排除クロマトグラフィー後のCCSピークの典型的なU.V.クロマトグラムを示す。図3B及び図3Cに、IMACにより得られるアナナインのクロマトグラム及びSDS−PAGEによって観察される純度を示す。
同一性の確認
a)等電点フォーカシング
サンプル(0.5mg/ml〜1.0mg/ml)を脱イオン水で3倍に希釈し、pH3〜11の勾配ゲル上で泳動した。Ready Mix IEF(商標)を用いてゲルをキャスティングし、10%(v/v)グリセロール、5.0%Pharmalyte 3−10(商標)及び2.5%Ampholine 9〜11(商標)を含有する5.5%T、3%Cポリアクリルアミドゲルを得た。簡潔に述べると、700Vでのプレフォーカシング後に10ulのサンプル及び高pIマーカーをゲル上にロードした。サンプルエントリは500Vで10分間、フォーカシングは2500Vで1.5時間、バンド鮮明化は3000Vで10分間とした。電気泳動の後、タンパク質を20%(w/v)TCA溶液により30分間固定し、脱染色液(destain)中で30分間洗浄してTCAを除去し、SDS−PAGEについて記載したようにブリリアントブルーG−250で染色した(上記を参照されたい)。
b)タンパク質シークエンシング
単離されたポリペプチドの同一性を確認するために、アミノ末端をシークエンシングした。NH末端シークエンシングのために、SDS−PAGEによって分離したタンパク質をPVDF膜に電気ブロットし(electroblotted)、40%(v/v)メタノール中の0.025%(w/v)クマシーブルーR−250で染色し、50%(v/v)メタノール中で脱染色した。次いで、膜を風乾し、オンラインフェニルチオヒダントインアミノ酸アナライザーを備える気相シークエンサー(Applied Biosystems,Foster City,USA)を用いた自動化エドマン分解によってタンパク質をシークエンシングした。
結果:
クロマトグラフィー後に得られる成分の概要、算出されたそれらの分子量、合成ペプチドZ−Arg−Arg−pNAに対するタンパク質分解活性及び等電点を表1に示す。
図4では、CCY及びCCWに由来する茎ブロメラインプロテアーゼ、CCSに由来するアナナイン及びコモサインの最初の21個のNH2末端アミノ酸を比較する。10位の下線付きのSがアナナインと他のブロメラインプロテアーゼとの間に1つのアミノ酸差しか存在しないことを示すことに留意されたい。全てのタンパク質が配列相同性を共有することが図4に示される。アナナイン及びコモサインは、茎ブロメラインプロテアーゼと比較した場合に20個のアミノ酸のうち2個が異なる。コモサインはアナナインと2個のアミノ酸が異なる。これらのタンパク質は構造的に関連していることが明らかであるが、全て異なっており、互いに相違を示す。
異なる画分は異なる活性を有する
異なるブロメライン画分は異なる生物学的活性を示す
1. 背景
従来技術から、ブロメラインが相反する様々な生理的作用を有することが明らかである。ブロメラインは免疫系を刺激するように作用する場合もあれば、免疫系を阻害する場合もある。当然ながら、一種の作用を誘導するために投与されるブロメラインが正反対の望ましくない作用を誘導するのであれば、これは大きな欠点となる。
したがって、副作用の可能性を低くするために望ましくない作用を生じるブロメラインの個々の成分を除去することができれば有益であり得る。多様な生物学的作用に関与する粗ブロメラインの活性画分が今回同定された。これらの画分は単一タンパク質ではないが、ごく少数の成分から構成されているため、患者に投与した場合の副作用の可能性は粗ブロメラインと比較して大幅に低減する。
ii. 研究の概略
この一連の研究では、ブロメライン及びその成分の生物学的作用を調査するために免疫活性化モデルを用いた。ここでは、抗CD3ε mAbと呼ばれるモノクローナル抗体(mAb)がT細胞及びナチュラルキラー(NK)T細胞上のCD3(T細胞受容体)に結合する。次いで、このT細胞受容体の結合によりT細胞及び他の免疫細胞が活性化し、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターフェロン(IFN)γ、並びに他の炎症誘発性サイトカインを含むサイトカインの全身放出が誘導される。TNF等の炎症誘発性サイトカインのレベルの上昇は、マウス及びヒトにおいて自己限定性の下痢を誘導する。
a. ブロメラインの分画
ブロメラインをカラムクロマトグラフィーによって分画することで、上記のように、但しはるかに大きな規模でF1、F2及びF3画分を得た。すなわち、20gの天然ブロメラインをXK30/50カラム上にロードし、はるかに大量の物質を得た。F1、F2、F3画分を膜透析によって緩衝液交換した。
カラムはロードした全タンパク質のおよそ66%を保持していた。カラムから溶出した各画分の容量及びタンパク質含量は以下のとおりであった。
F1:4.1mg/mlで980mL=4018mg
F2:6.2mg/mlで1270mL=7874mg
F3:1.6mg/mlで875mL=1400mg
F3のサブサンプルを更に分画し、アナナインを得た。
F2(12.70mL)及びF3(8.75mL)の更なるサブサンプルを再び合わせ、イオン交換クロマトグラフィー後に残る66%のブロメラインポリペプチドに見られるものと同じ割合(85:15)でのF2&F3を得た。
同様の実験において、F2(1mL)及びF3(4mL)の更なるサブサンプルを再び合わせ、より多量のF3が存在する新たなF2&F3混合物を得た。
このようにして得られた「F2&F3」混合物を、天然に存在する混合物と以下のように比較する。
上述のように、果実ブロメラインはBz−Phe−Val−Arg−|−NHMecに対して強い選好性を有する。F1画分を除去することでBz−Phe−Val−Arg−|−NHMec消化が最小限に抑えられると予想される。
次いで、これらの画分を免疫活性について調査した。
b. in vivo T細胞刺激の抗CD3εモデル
簡潔に述べると、6週齢〜10週齢C57BL6雌性マウスにブロメライン、F1、F2、F3、F2とF3との組合せ、及びアナナインを強制経口投与(10ml/kgで40mg/kg)により投与した。続いて2時間後にマウスに0.3μg(0.015mg/kg)の抗CD3ε mAb(iv)を0.9%パイロジェンフリー生理食塩水中、マウス1匹当たり200μl(10ml/kg)の割合で投与した。
眼窩血サンプルを抗体投与の2時間後にマウスから回収した。末梢血サンプルを抗体投与の6時間後に心穿刺により回収した。2つの時点でサイトカインレベルについて判定したが、一部のサイトカインが血清中で急速に産生され(例えばTNF、IL−2及びIL4)、他のサイトカイン(例えばIFNγ)は遅発する。血清を凝固血サンプルから回収し、Th1/Th2サイトカインキット(BD)及びFACS分析を用いて血清サイトカインレベル(pg/mL)について検査した。
c. サイトカインレベルの判定
血清サイトカイン濃度を、Th1/Th2 Cytokine Cytometric Bead Array Analysisを製造業者(BD Biosciences,North Ryde,Australia)の推奨通りに用いて定量化した。
d. 統計分析
統計比較を独立スチューデントt検定、又は必要に応じてダネット事後検定による一元配置ANOVAを用いて行った。各群には全てのマウスからの値を含めた。
iii. 結果
図5〜図7にサイトカインレベルに対するアナナイン、ブロメライン及びF1の作用の結果を示す。
図5 − 抗CD3 mAb投与の2時間後又は6時間後のマウスにおけるサイトカインレベルに対するアナナインの作用。
図6 − 抗CD3 mAb投与の2時間後又は6時間後のマウスにおけるサイトカインレベルに対するブロメラインの作用。
図7 − mAbを投与した(+mAb)又はmAb抗体を投与しない(−mAb)マウスにおける2時間又は6時間後のサイトカインレベルに対するF1の作用。
in vivoでのサイトカインレベルに対するアナナインの作用
本発明者らはアナナインの免疫抑制作用について以前に記載している(Mynott et al.による特許である国際出願PCT/GB98/00590号)。このため、この免疫活性化モデルにおいてアナナインがサイトカイン産生を阻害し得ることを初めに確認した。
アナナインの単回経口投与によりインターロイキン(IL)−2(p=0.0037)、IL−4(p<0.0001)、並びにTNF(p=0.002)及びIFNγ(p=0.0153)を含む幾つかの異なるサイトカインの産生が用量依存的に妨げられることが図5に示される。最低の用量レベル(200ug)のアナナインもIL−6産生を阻害した。これらのデータからアナナインが抗炎症剤であることが確認される。
in vivoでのサイトカインレベルに対するブロメラインの作用
ブロメラインがアナナインとは異なるサイトカインレベルに対する作用を有することが図6に示される。アナナインと同様、ブロメラインはIL−2(p<0.05)及びIFNγ(p<0.04)の産生を減少させた。しかしながら、アナナインとは対照的に、ブロメラインはTNF及びIL−6産生を強く刺激した(IL−6のデータは示さない)。
TNF及びIL−6は強力な炎症誘発性サイトカインである
TNFの主な役割は免疫細胞を調節することである。TNFは発熱、悪液質(身体の衰弱)及び炎症を誘導する可能性がある。TNF産生レベルの増大は、大鬱病及び炎症性腸疾患(IBD)を含む様々なヒト疾患に関連付けられている。
IL−6は、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、鬱病、全身性エリテマトーデス及び関節リウマチ等の多くの疾患における炎症過程及び自己免疫過程を刺激する。
したがって、in vitroでMAPキナーゼシグナル伝達を妨げ、サイトカインレベルを減少させるブロメラインの能力(Mynott et al., 1999)にもかかわらず、ブロメラインはin vivoでサイトカイン産生に対してアナナインとは異なる(多くの場合、逆の)作用を有する。アナナインはin vivoでサイトカイン産生を一貫して阻害するが、ブロメラインはin vivoでサイトカイン産生を同時に刺激及び阻害し得る。
in vivoでのサイトカインレベルに対するF3の作用
アナナインはブロメラインのF3画分に由来するため、免疫活性化マウスモデルにおけるその免疫抑制作用を次に調査した。
アナナインのようなF3の単回経口投与がIL−2、IL−4及びTNFを含む幾つかの異なるサイトカインの産生を妨げることが表2に示される。
in vivoでのサイトカインレベルに対するF2の作用
ブロメラインのF2画分が、この免疫活性化マウスモデルにおけるサイトカイン産生に対して無視することができる程の作用しか有しないことが表3に示される。この画分は免疫抑制成分であるアナナインを含有しない。
in vivoでのサイトカインレベルに対するF1の作用
ブロメラインのF1抽出物がサイトカイン産生を刺激することが図7に示される。この免疫刺激作用は、ブロメラインのF2又はF3画分においては観察されなかった。F1は抗CD3 mAb投与の2時間後にIFNγの産生を強く刺激するが、IFNγは通常、抗体投与の少なくとも6時間後までこれらの高いレベルで観察されない(図5及び図6を参照されたい)。F1が単独で抗CD3 mAbを投与していないマウスにおいてサイトカイン産生を刺激する(p<0.02)ことも観察された。すなわち、F1は既に刺激されている免疫系(すなわち、免疫応答を刺激するために抗CD3が使用されている)においてサイトカインレベルを増大するだけでなく、F1それ自体が免疫刺激剤として作用する。
したがって、ブロメラインサンプルにおけるF1の存在は、ブロメライン投与の目的が免疫応答を抑制することである場合に問題となり得る。すなわち、F1の存在は免疫応答を更に刺激又は悪化させるという望ましくない作用を有し得る。
in vivoでのサイトカインレベルに対するF2とF3との組合せの作用
サイトカイン産生に対するF1画分を除いたブロメラインの作用を次に調査した。
抗体投与の2時間後にF2&F3の組合せ(p<0.05)がIL−2レベルを減少させ、IFNγに対して中程度の阻害作用を有していたことが表4に示される。ブロメラインもIL−2及びIFNγを低減することが先に認められている(図6)。しかしながら、ブロメラインとは異なり、F2/F3の組合せはTNF産生を刺激しなかった。これは強力なTNF刺激能を有する免疫刺激成分F1が画分中にもはや存在していないためであった。
ブロメラインのF2&F3画分の組合せは、F3画分及び免疫抑制成分であるアナナインを含有することから阻害活性を有すると予想された。そのため、この組合せがTNFに対して阻害作用を有しないことは驚くべきことであった。IFNγに対する有効性の低減及びTNFに対する作用の非存在は、少量のF3又はアナナインしかF2&F3画分中に存在していないためであり得る。すなわち、使用されたF2&F3画分は天然ブロメラインに通常見られる相対的割合(85:15というF2:F3の比率)を有していた。すなわち、F3画分は全F2&F3画分の15%しか占めていなかった。
したがって、F2に対するF3(ひいてはアナナイン)の割合がより高いF2/F3画分はより大きな免疫抑制作用を有すると予想され得る。
in vivoでのサイトカインレベルに対する新たなF2&F3混合物の作用
F2に対してより高い割合のF3を含有する(F1画分を除いた)新たなF2&F3混合物のin vivoでのサイトカインレベルに対する作用を次に調査した(n=1群当たり6匹の動物)。先に述べたように強力な炎症性サイトカインであるTNFに対するその作用を調査した。加えて、幾つかの炎症性障害の病因に関連付けられている主要な炎症性ケモカインである単球走化性タンパク質−1(MCP−1/CCL2)に対するその作用を調査した。
抗体投与の2時間及び6時間後に新たなF2&F3混合物がTNF及びMCP−1レベルを20%減少させたことが表5に示される。対照的に、F2及びF3はいずれも最小限の作用(先の表4に示される)しか有さず、又は実際にサイトカイン産生を増大させた。F3は、予想の通りにTNF及びMCP−1をそれぞれ35%及び40%低減した。
異なる割合の活性F3を含むF2:F3画分を効率的に作製する方法の1つは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等の発現系において活性アナナインを発現させることであり得る。P.パストリスは組み換えタンパク質を発現させるためによく使用されている。P.パストリスは生育速度が速く、市販の発酵槽において安価な培地上で大規模に成長させることが可能である。
F2及びF3を発現するクローンを異なる発酵槽において別個に作製し、所望の割合で再構成するか、又は1つの発酵槽で同時に共発現させることができる。
要約すると、F3はサイトカイン産生を阻害し、F1はサイトカインを刺激する逆の作用を有し、F2は作用を有さず、試験したブロメライン画分内の成分の異なる生物学的活性が反映される。
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)により誘導される潰瘍性大腸炎(炎症性腸疾患)のネズミモデルの2つの研究において、ブロメライン、CCS及びアナナインはビヒクル対照群と比較して結腸の長さを増大するという主要エンドポイントを満たした。これらの研究の1番目は予防研究であり、2番目は治療研究であった。結腸直腸の出血の低減、体重の増加及び下痢の低減を含む疾患の他の臨床的指標の顕著な改善も見られた。このモデルはヒト炎症性腸疾患、特に大腸炎の臨床的特徴の多くを再現することが広く認められ、治療作用を実証するのが非常に困難なモデルであると考えられている。ブロメライン及びアナナインはまた、IFNγ及びTNFを含む多数の主要な炎症性サイトカインの産生を減少させた。
まとめると、これらのデータから、粗ブロメラインの幾つかの異なる成分が実際に異なる活性を有することが示される。抗分泌活性は、イオン交換クロマトグラフィーにおいてピーク「CCY」及び「CCW」として同定可能な2つの異なるプロテアーゼの各々によってもたらされる。これらのピークはどちらも画分F2に生じるため、「茎ブロメライン」粗抽出物の一部であると考えることができる。
対照的に、抗炎症活性はイオン交換クロマトグラフィー分離において画分F3に生じる「CCS」ピークとして同定可能なアナナインによってもたらされる。
対照的に、本発明の試験では、画分F1はいかなる抗炎症活性ももたらさないようであり、残りの画分の抗炎症作用を妨げる可能性がある。
離乳時の炎症を予防し、消化管の健康を改善し、飼料摂取を増大するための茎ブロメラインプロテアーゼ&アナナインであるF2&F3の使用
異なる活性を考慮して種々の画分を同定したが、全粗ブロメライン抽出物ではなく、その特定の画分、すなわち画分F2若しくは画分F3、又は代替的には画分F1を除去した全粗抽出物を使用することによって従来技術のブロメライン製品を改善することができる。より具体的には画分F3のCCS部分を使用することができ、より具体的には精製アナナインを使用することができる。
画分F2若しくは画分F3、又は画分F1を除去した全粗抽出物、又は画分F3のCCS部分、又は精製アナナインを粗ブロメライン抽出物の代わりに使用して、下痢を予防する哺乳仔ブタの予防的治療に好適な投薬量を得ることができる。下痢の(予防ではなく)治療への使用には異なる用量が必要とされ得るが、当業者は容易に適切な用量を導き出すことが可能である。同様に、成体ブタ又はヒトの治療への使用にはより多くの用量が必要とされ得るが、当業者は容易に適切な用量を導き出すことが可能である。必要とされる活性成分(画分F2若しくは画分F3、又は画分F1を除去した全粗抽出物、又は画分F3のCCS部分、又は精製アナナイン)の量は、特定の種類の活性成分(画分3よりも少ない質量の精製アナナインが必要とされる)及びその酵素(複数の場合もある)の活性に応じて異なるが、いずれにしても粗ブロメライン抽出物の同等酵素活性に必要とされるよりも少ない質量であるものとする。
本発明の配合物を経口飲薬、例えば水による再構成を必要とする粒状粉末として与えることができる。離乳後下痢を予防するためには、本発明の配合物は離乳日(予想される下痢の発症の1日又は2日前)に単回経口用量として与えることができる。離乳前下痢を予防するためには、単回経口投与を特定の農場の問題期間に応じて2日齢〜5日齢の時点で行うことができる。反復投与が3日〜7日後に必要とされ得る。治療としては、本発明の配合物を疾患の症状が生じた時点で即座に投与することができる。
本発明の配合物は、例えばブタ飼料に添加され得る粒状粉末として調製される飼料添加物として与えることができる。製品の完全な分散を確実にするために、初めに好適な量の飼料成分と混合した後、最終ミックスに組み入れるものとする。本発明の配合物はプレミックスとしてのみ、又は最終ミックスに組み入れたプレミックスとして供給することができる。推奨用量レベルは、従来技術の全ブロメライン組成物に用いられるものと少なくとも同等の酵素活性をもたらし、およそ14日間連続で毎日供給することができ、又は水に添加され得る。
代替的には、本発明の配合物は錠剤及びカプセル、またヒトに適切な他の投与形態で与えることができる。
当業者は本発明の配合物を種々の適応症に対して調整することができる。例えば、配合物は生産動物(ウシ、ブタ等)における下痢及びヒトにおける下痢の予防及び治療に使用することができる。配合物は、炎症を低減することによる消化管の健康の改善にも使用することができる。代替的には、配合物は生産動物の飼料摂取の増大を促進し、それにより体重増加及び飼料転換効率を促進するために配合してもよい。配合物は、動物飼料における抗生物質及びヒトへの急性投与の必要性を低減するために使用することができる。配合物は、ヒトにおける炎症性腸疾患を改善するためにも使用することができる。
概要
本明細書における本発明の開示を考慮して、容易に或る特定の変形物及び代替物を作製することができる。このため、本特許の法上の範囲は本明細書に列挙した具体例ではなく、法上の特許請求の範囲及び許容可能なその均等物によって限定されることが意図される。

Claims (13)

  1. a. イオン交換カラムを準備することと、次いで、
    b. 約5のpHを有し、約0.1mMのEDTAを含有する緩衝液を前記カラムにロードすることと、次いで、
    c. ブロメラインを含むポリペプチドを前記カラムにロードすることと、次いで、
    d. 前記カラムを緩衝液で洗浄して、非結合ポリペプチドを除去することと、次いで、
    e. 結合ポリペプチドを前記カラムから緩衝液中約0→約1MのNaClの勾配により溶出させて、溶出液を得ることと、次いで、
    f. 図2Aに示すピーク1〜4を含有する溶出液を図2Aに示すピーク5〜9を含有する溶出液から分離して、図2Aに示すピーク1〜4を含有する第1の画分及び図2Aに示すピーク5〜9を含有する残りの画分を得ることと、
    を含むプロセスによって得られるポリペプチド画分。
  2. 請求項1に記載のプロセスによって調製される、請求項1に記載のポリペプチド画分。
  3. 前記イオン交換カラムがS−セファロースカラムである、請求項1に記載のポリペプチド画分。
  4. 前記緩衝液が酢酸緩衝液を含む、請求項1に記載のポリペプチド画分。
  5. 前記プロセスが、
    g. 図2Aに示すピーク5〜7を含有する溶出液を図2Aに示すピーク8及び9を含有する溶出液から分離して、図2Aに示すピーク5〜7を含有する第2の画分並びに図2Aに示すピーク8及び9を含有する第3の画分を得ること、
    を更に含む、請求項1に記載のポリペプチド画分。
  6. 抗分泌有効量の前記第2の画分を与える経口投与形態である、請求項5に記載の第2の画分。
  7. 約0.23:1の相対w/w比での請求項5に記載の第2の画分及び請求項5に記載の第3の画分から本質的になるポリペプチド画分。
  8. 相対重量比が2:1未満である、請求項5に記載のポリペプチド画分。
  9. 前記相対重量比が1:1未満である、請求項8に記載のポリペプチド画分。
  10. 前記相対重量比が0.5:1未満である、請求項9に記載のポリペプチド画分。
  11. 前記相対重量比が0.25:1未満である、請求項10に記載のポリペプチド画分。
  12. 図2Aのピーク番号1〜4のポリペプチドを実質的に含まないブロメラインポリペプチドから本質的になる組成物。
  13. 抗炎症有効量の前記ブロメラインポリペプチドを与える経口投与形態である、請求項12に記載の組成物。
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