JP2018526375A - 組み合わせ療法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、(a)アルファ−アイソフォーム特異的PI3K阻害剤および(b)AKT阻害剤を含む医薬組み合わせ物、その組み合わせ調製物および医薬組成物、がんの治療または予防におけるそのような組み合わせ物の使用、ならびに、そのような組み合わせ物の治療有効量を投与することを含む、それを必要とする対象においてがんを治療または予防する方法に関する。

Description

本開示は、(a)アルファ−アイソフォーム特異的PI3K阻害剤および(b)AKT阻害剤を含む医薬組み合わせ物、それを含む医薬組成物、ならびにがんの治療または予防におけるそのような組み合わせ物および組成物の使用方法に関する。
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、リン酸塩がイノシトール脂質のD−3’位に移動してホスホイノシトール−3−リン酸(PIP)、ホスホイノシトール−3,4−二リン酸(PIP)、およびホスホイノシトール−3,4,5−三リン酸(PIP)を産生させ、次にプレクストリン相同性、FYVE、Phox、および他のリン脂質結合ドメインを含有するタンパク質を、多くの場合に細胞膜にある様々なシグナル伝達複合体にドッキングさせることにより、シグナル伝達カスケードにおける第2のメッセンジャーとして作用するように触媒する、脂質キナーゼのファミリーを含む(Vanhaesebroeck et al., Annu. Rev. Biochem 70:535 (2001); Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615 (2001))。2つのクラス1 PI3Kのうち、クラス1A PI3Kは、p85α、p55α、p50α、p85β、またはp55γでありうる調節サブユニットと構成的に会合する触媒性p110サブユニット(α、β、δアイソフォーム)から構成されるヘテロ二量体である。クラス1Bサブクラスは、2つの調節サブユニットのp101またはp84のうちの1つと会合する触媒性p110γサブユニットから構成されるヘテロ二量体である、1つのファミリーメンバーを有する(Fruman et al., Annu Rev. Biochem. 67:481 (1998); Suire et al., Curr. Biol. 15:566 (2005))。p85/55/50サブユニットのモジュラードメイン(modular domain)は、ホスホチロシン残基を、特定の配列の文脈において、活性化された受容体および細胞質チロシンキナーゼに結合し、クラス1A PI3Kの活性化および局在化をもたらす、Src相同性(SH2)ドメインを含む。クラス1B PI3Kは、多様なレパートリーのペプチドおよび非ペプチドリガンドに結合するGタンパク質共役受容体によって、直接活性化される(Stephens et al., Cell 89:105 (1997)); Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615-675 (2001))。したがって、もたらされたクラスI PI3Kのリン脂質産物は、上流の受容体を、増殖、生存、走化性、細胞輸送、運動性、代謝、炎症、およびアレルギー応答、転写、ならびに翻訳を含む下流の細胞活性と関連付ける(Cantley et al., Cell 64:281 (1991); Escobedo and Williams, Nature 335: 85 (1988); Fantl et al., Cell., 69: 413 (1992))。
多くの場合において、PIP2およびPIP3は、ウイルスがん遺伝子v−Aktのヒト相同体の産物であるAktを、細胞膜へと動員し、そこで成長および生存にとって重要な多くの細胞内シグナル伝達経路の節点として作用する(Fantl et al., Cell 69:413-423(1992); Bader et al., Nature Rev. Cancer 5:921 (2005); Vivanco and Sawyer, Nature Rev. Cancer 2:489 (2002))。多くの場合にAkt活性化を介して生存を増加させるPI3Kの異常な調節は、ヒトがんにおいて最も一般的な事象の1つであり、複数のレベルにおいて生じることが示されている。イノシトール環の3’位でホスホイノシチドを脱リン酸化し、そうすることによってPI3K活性を拮抗する腫瘍抑制遺伝子のPTENは、様々な腫瘍において機能的に欠失している。他の腫瘍では、p110αアイソフォームであるPIK3CAの遺伝子、およびAktの遺伝子が増幅され、遺伝子産物のタンパク質発現が増加されることが、いくつかのヒトがんにおいて実証されている。
更に、p85−p110複合体を上方調節するように機能するp85αの突然変異および転位が、ヒトがんにおいて記載されている。最後に、下流シグナル伝達経路を活性化するPIK3CAにおける体細胞ミスセンス突然変異が、多種多様なヒトがんにおいて著しく頻繁に記載されている(Kang at el., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:802 (2005); Samuels et al., Science 304:554 (2004); Samuels et al., Cancer Cell 7:561-573 (2005))。これらの観察は、ホスホイノシトール−3キナーゼ、ならびにこのシグナル伝達経路の上流および下流構成成分の調節解除は、ヒトがんおよび増殖性疾患に関連する最も一般的な調節解除の1つである(Parsons et al., Nature 436:792 (2005); Hennessey at el., Nature Rev. Drug Disc. 4:988-1004 (2005))。
下記に提示されている式(I)の2−カルボキサミドシクロアミノ尿素誘導体が、有益な薬理学的特性を有すること、および例えばPI3K(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)を阻害することが見出された。特に、これらの化合物は、好ましくは、ベータおよび/またはデルタおよび/またはガンマサブタイプよりもPI3Kアルファに対する改善された選択性を示す。したがって式(I)の化合物は、例えば、PI3キナーゼに依存する疾患(特に、PI3Kアルファに依存する、例えば、PI3Kアルファの過剰発現もしくは増幅を示すもの、またはPIK3CAの体細胞突然変異を示すもの)、とりわけ腫瘍疾患および白血病などの増殖性疾患の治療における使用に適している。
更に、これらの組成物は、好ましく、改善された代謝安定性を示し、したがって低減されたクリアランスを示し、改善された薬物動態プロファイルをもたらす。
多くのがん、特に、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現を有するものは、例えば、AKT阻害剤による治療を受け入れやすい。しかし、特定の場合において、がんは選択された治療薬に対して抵抗性を取得し、最終的には治療に対して難治性になる。
がん患者には多数の治療選択肢があるにもかかわらず、有効で安全な治療剤の必要性、および組み合わせ療法におけるそれらの優先的な使用の必要性が、依然として存在する。特に、がん、とりわけ現行の療法に対して抵抗性がある、および/または難治性であるがんを治療または予防する有効な方法の必要性が存在する。
アルファ−アイソフォーム特異的ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤およびAKT阻害剤を含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。
1つの態様において、
(a)式(I)の構造を有する化合物
(本明細書において「化合物(I)」、「化合物A」、もしくは「BYL719」とも呼ばれる)
またはその薬学的に許容される塩と、
(b)AKT阻害剤と
を含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。
式(I)の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩と、AKT阻害剤との組み合わせ物は、本明細書において「本発明の組み合わせ物」とも呼ばれる。
本発明の組み合わせ物の1つの実施形態において、AKT阻害剤は、
式(II)の構造を有する化合物
式(III)の構造を有する化合物
式(IV)の構造を有する化合物
およびこれらの薬学的に許容される塩
からなる群から選択される。
本発明の組み合わせ物の別の実施形態において、AKT阻害剤は、式(II)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
本発明の組み合わせ物の別の実施形態において、AKT阻害剤は、式(III)の構造を有する化合物、式(IV)の構造を有する化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
本発明の組み合わせ物の1つの実施形態において、式(I)の構造を有する化合物およびAKT阻害剤は、同じ製剤の中にある。
本発明の組み合わせ物の別の実施形態において、式(I)の構造を有する化合物およびAKT阻害剤は、別々の製剤の中にある。
別の実施形態において、本発明の組み合わせ物は、同時または順次投与のためのものである。
1つの態様では、がんを、それを必要性とする対象において治療または予防する方法であって、治療有効量の本発明の医薬組み合わせ物を対象に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
1つの実施態様において、がんは固形腫瘍である。
別の実施形態において、がんは、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍(Wilm's tumor)、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される。
別の実施形態において、がんは、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである。
別の実施形態において、がんは、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる。
本明細書において提供される方法のなお別の実施形態において、がんは、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である。
1つの実施形態において、本発明の医薬組み合わせ物は、がんの治療または予防における使用のためのものである。
別の実施形態において、本発明の医薬組み合わせ物は、がんの治療または予防のための医薬の調製における使用のためのものである。
1つの態様では、がんの治療または予防のための医薬の製造における本発明の組み合わせ物の使用が、本明細書において提供される。
別の態様では、がんの治療または予防のための本発明の組み合わせ物の使用が、本明細書において提供される。
別の態様では、
(a)式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩と、
(b)AKT阻害剤と
を含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
医薬組成物の1つの実施形態において、AKT阻害剤は、式(II)の構造を有する化合物、式(III)の構造を有する化合物、式(IV)の構造を有する化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
医薬組成物の更なる実施形態において、AKT阻害剤は、式(II)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
医薬組成物の別の実施形態において、AKT阻害剤は、式(III)の構造を有する化合物、式(IV)の構造を有する化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
1つの実施態様において、医薬組成物は1つまたは複数の添加剤を更に含む。
別の態様では、乳がんの治療または予防に使用される、(a)式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩と、(b)式(III)もしくは式(IV)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。
23個の結腸直腸がん細胞系に対する、化合物A(BYL719とも呼ばれる)および化合物B(MK−2206とも呼ばれる)、ならびに化合物Aと化合物Bの組み合わせ物の用量応答曲線を示す図である。x軸は、log10の治療希釈を示し、y軸は、DMSOと比べた、処理後の細胞計数を示す。濃い破線(strong dashed line)は、処理開始前(「ベースライン」)の細胞数を示す。 23個の結腸直腸がん細胞系の24時間、48時間、および72時間後(異なるモノクロ階調)における、化合物Aおよび化合物B、ならびに化合物Aと化合物Bの組み合わせ物の最大カスパーゼ3/7誘発を示す図である。x軸は、処理を示し、y軸は、各処理において見られた最大カスパーゼ3/7誘発(細胞の%)を示す。 PIK3CA突然変異系に対する化合物Aの選択性を示す図である。正規化細胞計数は、PIK3CA突然変異およびPIK3CA野生型の系間で、化合物A処理の全ての用量で、片側t検定を使用して比較した(p<0.05、**p<0.01)。
アルファ−アイソフォーム特異的ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤およびAKT阻害剤を含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。具体的には、
(a)式(I)の構造を有する化合物
(本明細書において「化合物(I)」、「化合物A」、もしくは「BYL719」とも呼ばれる)
またはその薬学的に許容される塩と、
(b)AKT阻害剤と
を含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。
本明細書において提供される医薬組み合わせ物は、特に、がんの治療における使用のためのものである。
本明細書において使用される特定の用語が、下記に記載される。本発明の化合物は、標準的な命名法の使用により記載される。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
用語「組み合わせ物」、「治療的組み合わせ物」、または「医薬組み合わせ物」は、本明細書において使用されるとき、1つの単位剤形の固定された組み合わせ物、もしくは固定されていない組み合わせ物、または2つ以上の治療剤が、同時に、もしくはある時間間隔の範囲内で、とりわけこの時間間隔が、組み合わせ相手が協調的な、例えば相乗的な効果を示すことを可能にする範囲内で別々に、独立して投与されうる組み合わせ投与のためのキットの一部を指す。
用語「組み合わせ療法」は、本開示に記載されている治療状態または障害を治療する、2つ以上の治療剤の投与を指す。そのような投与は、活性成分の固定比を有する単一製剤、または各活性成分が別々の製剤(例えば、カプセル剤、および/もしくは静注製剤)などの、実質的に同時の方法によるこれらの治療剤の共投与を包含する。加えて、そのような投与は、ほぼ同時または異なる時点での、順次的な、または別々の方法による、それぞれの種類の治療剤の使用も包含する。活性成分が単一製剤または別々の製剤で投与されるかにかかわらず、薬物は、同じ治療過程の一部として同じ患者に投与される。いずれの場合においても、治療レジメンは、本明細書に記載されている状態または障害の治療に有益な効果を提供する。
用語「アルファ−アイソフォーム特異的ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤」、「アルファ−アイソフォーム特異的PI3K阻害剤」、「アルファ−アイソフォーム選択的ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤」、および「アルファ−アイソフォーム選択的PI3K阻害剤」は、本明細書において使用されるとき、ベータ、および/またはデルタ、および/またはガンマサブタイプよりもアルファ−アイソフォームPI3Kの少なくとも1つの活性を選択的に標的にする、減少する、または阻害する化合物を指す。例示的なアルファ−アイソフォーム特異的PI3K阻害剤は、国際PCT出願国際公開第2010/029082号パンフレットに開示されており、これはその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
用語「AKT阻害剤」は、本明細書において使用されるとき、AKTの少なくとも1つの活性を選択的に標的にする、減少する、または阻害する化合物を指す。
用語「医薬組成物」は、哺乳動物が冒されている特定の疾患または状態を予防または治療するため、対象に、例えば哺乳動物またはヒトに投与される、少なくとも1つの治療剤を含有する混合物または溶液を指すことが本明細書において定義される。
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において使用されるとき、健全な医療判断の範囲内において、妥当な利益/危険比に見合うように、過剰な毒性、刺激アレルギー応答、および他の問題のある合併症を有することなく、温血動物、例えば哺乳動物またはヒトの組織との接触に適している化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
用語「固定された組み合わせ物」、「固定用量」、および「単一製剤」は、本明細書において使用されるとき、両方の治療剤の、がんの治療または予防に共同で治療的に有効な量を患者に送達するように製剤化された単一の担体もしくはビヒクル、または剤形を指す。単一ビヒクルは、それぞれの薬剤の量を、任意の薬学的に許容される担体または添加剤と共に送達するように設計される。一部の実施形態において、ビヒクルは、錠剤、カプセル剤、丸剤、またはパッチ剤である。他の実施形態において、ビヒクルは、溶液剤または懸濁剤である。
用語「固定されていない組み合わせ物」、「キットの一部」、および「別々の製剤」は、活性成分、すなわち化合物(I)およびAKT阻害剤が、両方とも別々の実体として、特定の時間制限なしで同時に、同時発生的に、または順次に患者に投与されることを意味し、そのような投与は、2つの化合物の治療効果レベルを、それを必要とする患者の身体にもたらす。
用語「単位用量」は、治療される患者に、1つの剤形により両方の薬剤を一緒に同時投与することを意味するために、本明細書において使用される。一部の実施形態において、単位用量は単一製剤である。ある特定の実施形態において、単位用量は、各ビヒクルが有効量の少なくとも1つの薬剤を薬学的に許容される担体および添加剤と共に含むように、1つまたは複数のビヒクルを含む。一部の実施形態において、単位用量は、患者に同時に投与される、1つまたは複数の錠剤、カプセル剤、丸剤、注射剤、注入剤、パッチ剤などである。
「経口剤形」は、経口投与用に処方または意図された単位投与量形態を含む。
用語「治療する」または「治療」は、本明細書において使用されるとき、対象の少なくとも1つの症状を軽減、低減、もしくは緩和する、または疾患の進行を遅延させる治療を含む。例えば、治療は、障害の1つ、もしくはいつかの症状の減少、またはがんなどの障害の完全な消滅でありうる。本開示の意味の範囲内において、用語「治療する」は、発症を阻止すること、遅延すること(すなわち、疾患の臨床症状前の期間)、および/または疾患が発生もしくは悪化する危険性を低減することも意味する。用語「保護する」は、対象において、例えば哺乳動物またはヒトにおいて、疾患の発生、継続、または増悪を予防する、遅延する、もしくは治療する、または適切であれば、それら全てを行うことを意味するため、本明細書において使用される。用語「予防する」、「予防すること」、または「予防」は、本明細書において使用されるとき、予防される状態、疾患、または障害に関連する、または起因する少なくとも1つの症状を予防することを含む。
用語、治療剤の組み合わせ物の「薬学的有効量」、「治療有効量」、または「臨床有効量」は、組み合わせ物により治療される障害のベースラインの臨床的に観察可能な兆候および症状に対して、観察可能な、または臨床的に有意な改善をもたらすのに十分な量である。
用語「共同治療活性」また「共同治療効果」は、本明細書において使用されるとき、治療される温血動物、とりわけヒトにおいて依然として(好ましくは、相乗的に)相互作用(共同治療効果)を示すことを選択するような時間間隔で(経時的にずれた方法で、とりわけ特定の順番で)治療剤を別々に与えることができることを意味する。このことが当てはまるかは、とりわけ、両方の化合物が治療されるヒトの血液中に少なくとも特定の時間間隔にわたって存在することを示す、化合物の血中レベルを追跡することによって、決定することができる。
用語「対象」または「患者」は、本明細書において使用されるとき、がん、またはがんに直接的もしくは間接的に関与する任意の障害を患う、または罹患する可能性がある動物を含むことが意図される。対象の例としては、哺乳動物、例えば、ヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、および遺伝子導入非ヒト動物が挙げられる。1つの実施形態において、対象は、ヒト、例えば、がんを患っている、患う危険性のある、または患う潜在的な可能性があるヒトである。
用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、特に示されない限り、開放型の非限定的な意味において本明細書に使用される。
本発明を記載する文脈における(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」、ならびに同様の参照は、本明細書において特に指示のない限り、または文脈により明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。複数形態が化合物、塩などに使用される場合、これは、単一の化合物、塩なども意味すると解釈される。
用語「約」または「およそ」は、関連する対象分野に知識をもつ人物によって一般的に理解されるが、特定の条件下では、所定の値または範囲の20%以内、10%以内、または5%以内を意味することができる。あるいは、とりわけ生物系において、用語「約」は、所定の値の約対数(すなわち、桁)の範囲内、または二倍以内を意味する。
本明細書において使用されるとき、PI3K阻害剤は(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド)であり、クラスIA PI3Kのアルファ(α)−アイソフォームを強力および選択的に標的にする特異的2−カルボキサミドシクロアミノ尿素誘導体化合物であり、以下の化学構造を有する。
式(I)の構造を有する化合物は、当該技術においてアルペリシブとしても公知であり、本明細書において、「化合物(I)」、「化合物A」、または「BYL719」と呼ばれる。便宜上、式(I)の構造を有する化合物、ならびに可能なその塩および溶媒和物は、集合的に化合物(I)と呼ばれ、化合物(I)への参照は、選択肢において任意の化合物またはその薬学的に許容される塩を指すことを意味する。
化合物(I)およびその薬学的に許容される塩は、PCT出願国際公開第2010/029082号パンフレットに記載されており、これは、その全体が参照として本明細書に組み込まれ、その調製方法は、例えばその実施例15に記載されている。化合物(I)の調製は、本明細書の実施例1にも記載されている。好ましくは、化合物(I)は遊離塩基形態である。化合物(I)の塩は、好ましくは薬学的に許容される塩であり、適切な対イオン形成性の薬学的に許容される塩は、当該分野において公知である。
化合物(I)は、約1〜6.5mg/kgの有効1日用量で成人または小児に経口投与されうる。化合物(I)は、単回用量により、または1日あたり4回までの分割用量により、約70mg〜455mg、例えば、約200〜400mg、または約240mg〜400mg、または約300mg〜400mg、または約350mg〜400mgの1日投与量で70kgの体重の成人に経口投与されうる。好ましくは、化合物(I)は、約350mg〜約400mgの1日投与量で70kgの体重の成人に投与される。
いくつかのAKT阻害剤が当業者に公知であり、本発明の組み合わせ物の範囲内である。
1つの実施形態において、AKT阻害剤は、8−[4−(1−アミノシクロブチル)フェニル]−9−フェニル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−f][1,6]ナフチリジン−3(2H)−オン(MK−2206、CAS1032349−93−1)であり、この化合物は、式(II)を有する構造によって表される。
便宜上、式(II)の構造を有する化合物、ならびに可能なその塩および溶媒和物は、集合的に「化合物(II)」と呼ばれ、化合物(II)への参照は、選択肢において任意の化合物またはその薬学的に許容される塩を指すことを意味する。化合物(II)は、本明細書において「化合物B」または「MK−2206」とも呼ばれる。
化合物(II)は、隔日に約60mgの量まで、または1週間にわたって約200mgの量までの有効1日用量で成人に経口投与することができる。
別の実施形態において、AKT阻害剤は、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3−フルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1−H−ピラゾール−5−イル)−2−チオフェンカルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩であり、この化合物は、式(III)を有する構造によって表される。
便宜上、式(III)の構造を有する化合物、ならびに可能なその塩および溶媒和物は、集合的に「化合物(III)」と呼ばれ、化合物(III)への参照は、選択肢において任意の化合物またはその薬学的に許容される塩を指すことを意味する。
化合物(III)は、その薬学的に許容される塩と共に、国際出願日が2008年2月7日の国際出願番号第PCT/US2008/053269、国際公開日が2008年8月14日の国際公開第2008/098104号パンフレットに、AKT活性の阻害剤として、特にがんの治療に有用であることが開示および主張されており、これらは全開示が本明細書に参照として組み込まれ、化合物(III)は、実施例96の化合物である。化合物(III)は、国際出願番号第PCT/US2008/053269に記載されているように調製することができる。
特定の実施形態において、化合物(III)は塩酸塩の形態である。塩形態は、2009年1月30日に出願した米国特許仮出願第61/148490号明細書の記載によって、当業者により調製することができる。
化合物(III)は、経口投与することができる。化合物IIIは、単回用量により、または分割用量により、1日あたり約75mg〜約125mgの有効1日用量で成人に経口投与することができる。好ましくは、化合物IIIは、約100mg〜約125mgの1日投与量で70kgの体重の成人に投与される。
別の実施形態において、AKT阻害剤は、N−{(1S)−2−アミノ−1−[(3,4−ジフルオロフェニル)メチル]エチル}−5−クロロ−4−(4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−2−フランカルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩であり、この化合物は、式(IV)を有する構造によって表される。
便宜上、式(IV)の構造を有する化合物、ならびに可能なその塩および溶媒和物は、集合的に「化合物(IV)」と呼ばれ、化合物(IV)への参照は、選択肢において任意の化合物またはその薬学的に許容される塩を指すことを意味する。
化合物(IV)は、その薬学的に許容される塩と共に、国際出願日が2008年2月7日の国際出願第PCT/US2008/053269、国際公開日が2008年8月14日の国際公開番号国際公開第2008/098104号パンフレットに、AKT活性の阻害剤として、特にがんの治療に有用であることが開示および主張されており、これらは全開示が本明細書に参照として組み込まれ、化合物(IV)は、実施例224の化合物である。化合物(IV)は、国際出願第PCT/US2008/053269に記載されているように調製することができる。
化合物(IV)は、経口投与することができる。化合物IVは、単回用量により、または分割用量により、1日あたり約50mg〜約75mgの有効1日用量で成人に経口投与することができる。好ましくは、化合物(IV)は、約50mg〜約75mgの1日投与量で70kgの体重の成人に投与される。
化合物(I)、またはAKT阻害剤(例えば、化合物(II)、化合物(III)、もしくは化合物(IV))を、あるいは両方とも、遊離形態または薬学的に許容される塩形態によって投与することができる。「薬学的に許容される塩」は、本明細書において使用されるとき、特に指示のない限り、本発明の化合物に存在しうる酸性および塩基性基の塩を含む。性質上塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と多種多様な塩を形成することができる。本発明のそのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩の調製に使用できる酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、薬学的に許容されるアニオンを含有する塩、例えば、酢酸塩、安息香酸塩、臭化物、塩化物、クエン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、および酒石酸塩を形成するものである。
特に指定のない限り、または文脈により明確に示されない限り、本明細書において提供される医薬組み合わせ物に有用な治療剤への参照は、化合物の遊離塩基および化合物の全ての薬学的に許容される塩の両方を含む。
アルファ−アイソフォーム選択的PI3K阻害剤(化合物(I)またはその薬学的に許容される塩)と、AKT阻害剤(例えば、その薬学的に許容される塩を含む、化合物(II)、化合物(III)、または化合物(IV))とを含む組み合わせ療法が、本明細書において提供される。組み合わせ物の投与は、単一製剤または単位剤形による組み合わせ物の投与、組み合わせ物の個別の薬剤の同時発生的であるが別々の投与、または組み合わせ物の個別の薬剤の任意の適切な経路による順次の投与を含む。組み合わせ物の個別の薬剤の投与量は、組み合わせ物において、他の薬剤と比較して薬剤のうちの1つのより頻繁な投与を必要とする可能性がある。したがって、適切な投与を可能にするため、包装された医薬品は、薬剤の組み合わせ物を含有する1つまたは複数の剤形と、薬剤の組み合わせ物のうちの1つを含有するが、組み合わせ物の他の薬剤を含有しない1つまたは複数の剤形とを含有することができる。
本発明は、特に、がんを治療または予防する本発明の組み合わせ物に関する。1つの実施形態において、本発明の組み合わせ物は、がんの治療または予防のために使用され、有効量の式(I)の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、および有効量のAKT阻害剤を投与することを含む組み合わせ療法を、対象に投与することを含む。好ましくは、これらの化合物は、組み合わされたとき、有益な効果を提供する治療有効投与量で投与される。投与は、別々、同時、または順次でありうる。1つの実施形態において、投与は同時または順次である。
したがって1つの実施形態において、本発明の組み合わせ物は、がんの治療または予防における使用のためのものである。1つの実施形態において、組み合わせ物は、がんの治療における使用のためのものである。
また、がんの治療または予防のための本発明の組み合わせ物の使用が、本明細書において提供される。1つの実施形態において、組み合わせ物の使用は、がんの治療のためである。
1つの実施形態において、がんは固形腫瘍である。用語「固形腫瘍」は、とりわけ、黒色腫、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がんおよび一般的な胃腸管のがん、子宮頸がん、肺がん(小細胞肺がんおよび非小細胞肺がんを含む)、頭頸部がん、膀胱がん、または前立腺がんを意味する。本組み合わせ物は、固形腫瘍、また液性腫瘍の成長を阻害する。更に、腫瘍の種類および使用される特定の組み合わせ物に応じて、腫瘍体積の減少を得ることができる。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、腫瘍の転移性拡散および微小転移の成長または発生を予防するためにも適している。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、不十分な予後の患者、とりわけ、卵巣がん、乳がん、膵がん、 がん、または結腸直腸がんを有するような不十分な予後の患者の治療に適している。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられるがんの治療にも適している。
本明細書において提供される医薬組み合わせ物のいずれかの別の実施形態において、がんは、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される。
別の実施形態において、がんは、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである。
別の実施形態において、がんは、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる。
別の実施形態において、がんは、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である。
別の態様では、乳がんの治療または予防に使用される、(a)化合物(I)と、(b)化合物(III)または化合物(IV)とを含む医薬組み合わせ物が、本明細書において提供される。1つの実施形態では、(a)化合物(I)と、(b)化合物(III)または化合物(IV)とを含む医薬組み合わせ物が、乳がんの治療に使用される。
がんの性質は多因子性である。特定の状況下では、異なる作用機構を有する薬物を組み合わせることができる。しかし、異なる作用様式を有する治療剤の任意の組み合わせを考慮するだけでは、有利な効果を有する組み合わせ物をもたらすとは限らない。
本発明の医薬組み合わせ物の投与は、有益な効果、例えば、症状の緩和、症状の進行の遅延、または症状の抑制に関する、例えば相乗的な治療効果のみならず、本発明の組み合わせ物に使用される薬学的治療剤の1つのみを適用する単剤療法と比較して、更に驚くべき有益な効果、例えば、少ない副作用、より長続きする応答、改善された生活の質、または罹患率の減少をもたらすこともできる。
更なる利益は、例えば、多くの場合に投与量が少量でありうるのはもちろん、少ない頻度でも適用されうるように、低い用量の治療剤の本発明の組み合わせ物を使用できること、または組み合わせ相手の1つの単独により観察される副作用の発生を減らすために使用できることである。このことは、治療される患者の希望および要求に合致している。
本発明の組み合わせ物が本明細書前記に記載された有益な効果をもたらすことは、確立された試験モデルによって示すことができる。当業者は、そのような有益な効果を実証するために、関連した試験モデルを選択することが十分に可能である。本発明の組み合わせ物の薬理学的活性は、例えば、臨床研究または動物モデルによって実証することができる。
1つまたは複数の成分の相乗的相互作用を決定するためには、効果におけるそれぞれの構成成分の最適な効果範囲および絶対用量範囲を、治療を必要とする患者への異なるw/w比範囲および用量にわたる構成成分の投与により明確に測定することができる。ヒトでは、患者において臨床研究を実施する複雑さ、および費用が、相乗作用の一次モデルとしてのこの試験形態の使用を実用的でなくすることがある。しかし、特定の実験(例えば、実施例2を参照されたい)において相乗作用を観察することによって、種における効果を予測することができ、存在する動物モデルを使用して、相乗効果を更に定量化することができる。そのような研究の結果を使用して、有効用量比の範囲、ならびに絶対用量および血漿濃度を予測することもできる。
1つの実施形態では、本明細書において提供される組み合わせ物、もしくは組成物は、または両方とも、相乗効果を示す。用語「相乗効果」は、本明細書において使用されるとき、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、およびAKT阻害剤(例えば、化合物(II)、化合物(III)、または化合物(IV))などの2つの薬剤の効果を生じる作用、例えば、がんの症候性進行またはその症状を緩徐する作用を指し、これは、薬物を単独でそれぞれ投与した効果を単に加算したものより大きい。相乗効果は、例えば、Sigmoid−Emax方程式(Holford, N. H. G. and Scheiner, L. B., Clin. Pharmacokinet. 6: 429-453 (1981))、Loewe加算方程式(Loewe, S. and Muischnek, H., Arch. Exp. Pathol Pharmacol. 114: 313-326 (1926))、および半有効方程式(Chou, T. C. and Talalay, P., Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55 (1984))などの適切な方法を使用して計算することができる。上記に参照されたそれぞれの方程式を実験データに適用して、薬物組み合わせ物の効果を評価するのに役立つ対応するグラフを生成することができる。上記に参照された方程式に関連した対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線、および組み合わせ指数曲線(combination index curve)である。相乗効果を示す追加的な方法は、帰無仮説の最高単剤モデル(highest single agent model)(HSA)である(Berenbaum 1989)。HSAモデルにおける超過は、阻害標的間の機能的な繋がりを予測する(Lehar, Zimmermann et al. 2007, Lehar, Krueger et al. 2009)。この方法は、組み合わせ物の強度zの指標をもたらす(例えば、本発明の組み合わせ物のある特定の実施形態のzスコアの表2を含む、実施例2を参照されたい)。
更なる実施形態において、本発明は、本発明の組み合わせ物を含む、ヒトへの投与のための相乗作用組み合わせ物を提供し、各構成成分の用量範囲は、適切な腫瘍モデルまたは臨床研究において示唆された相乗作用範囲に相当する。
別の態様では、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、および(b)AKT阻害剤を含む組み合わせ調製物または医薬組成物などの医薬組成物が、本明細書において提供される。
1つの実施形態において、AKT阻害剤は、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
1つの実施形態において、医薬組成物は、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、および(b)化合物(II)またはその薬学的に許容される塩を含む。
別の実施形態において、医薬組成物は、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、ならびに(b)化合物(III)、化合物(IV)、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物を含む。
本明細書において提供される医薬組成物のいずれかのうちの1つの実施態様において、組成物は1つまたは複数の添加剤を更に含む。更なる実施態様において、医薬組成物は1つまたは複数の薬学的に許容される添加剤を更に含む。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される添加剤」または「薬学的に許容される担体」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、被覆、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素など、ならびにこれらの組み合わせ物を含み、当業者には公知である(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329を参照されたい)。任意の従来の担体が活性成分と適合性がない場合を除いて、治療用または医薬組成物におけるその使用が考慮される。
固定された組み合わせ物、すなわち本発明の組み合わせ物を含む単一ガレノス組成物による投与のための医薬組成物は、それ自体公知の方法で調製することができ、治療有効量の少なくとも1つの薬理学的に活性な組み合わせ相手を単独で、例えば上記に示されたように含む、または経腸もしくは非経口適用にとりわけ適している1つまたは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)への経口または直腸などの経腸投与、および非経口投与に適したものである。
医薬組成物は、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の治療剤を含有することができる。経腸または非経口投与のための組み合わせ療法に適した医薬組成物は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤もしくは坐剤、またはアンプル剤などの単位剤形のものである。特に指示のない限り、これらはそれ自体公知の方法により、例えば、様々な従来の混合、微粉砕、直接圧縮、造粒、糖衣、溶解、凍結乾燥法、溶融造粒、または当業者に容易に理解される製作技術によって調製される。それぞれの剤形の個別の用量に含有される組み合わせ相手の単位含有量は、必要な有効量が複数の投与単位の投与により達成されうるので、それ自体有効量を構成する必要がないことが理解される。
1つの態様では、がんの治療または予防のための医薬の製造における本発明の組み合わせ物の使用が、本明細書において提供される。1つの実施形態において、医薬組み合わせ物の使用は、がんを治療する医薬の製造のためである。
また、がんの治療または予防のための医薬の調製に使用される本発明の組み合わせ物が、本明細書において提供される。1つの実施形態において、組み合わせ物は、がんの治療のための医薬の調製における使用のためのものである。
本発明の組み合わせ物におけるそれぞれの組み合わせ相手の治療有効量を、同時に、または順次に任意の順番で投与することができ、構成成分を、同じ製剤または別々の製剤により投与することができる。
本発明の組み合わせ物に用いられるそれぞれの組み合わせ相手の有効投与量は、用いられる特定の化合物または医薬組成物、投与様式、治療される状態、および治療される状態の重篤度に応じて変わりうる。したがって、本発明の組み合わせ物の投与量レジメンは、投与経路、ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む様々な要因によって選択される。
毒性を有することなく有効性を生じる本発明の組み合わせ物における組み合わせ相手(例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、ならびに化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、およびこれらの任意の薬学的に許容される塩のいずれか1つ)の最適比、個別の、および組み合わせた投与量、ならびに濃度は、標的部位へ治療剤利用能の動態学に基づいており、当業者に公知の方法を使用して決定される。
それぞれの組み合わせ相手の有効投与量は、組み合わせ物における他の化合物と比較して、1つの化合物のより頻繁な投与を必要とする場合がある。したがって、適切な投与を可能にするため、包装された医薬品は、化合物の組み合わせ物を含有する1つまたは複数の剤形と、化合物の組み合わせ物のうちの1つを含有するが、組み合わせの他の化合物を含有しない1つまたは複数の剤形とを含有することができる。
本発明の組み合わせ物に用いられる組み合わせ相手が、市販されている単剤としての形態に適用されるとき、これらの投与量および投与様式は、本明細書に別段の記載がない場合は、それぞれの市販薬の添付文書に提供されている情報に従うことができる。
がんを治療または予防するためのそれぞれの組み合わせ相手の最適投与量は、公知の方法を使用してそれぞれの個体のために経験的に決定することができ、疾患の進展の程度、個体の年齢、体重、身体全体の健康、性別および食事、投与の時間および経路、ならびに個体が服用している他の薬剤を含むが、これらに限定されない様々な要因によって左右される。最適投与量は、当該技術において周知である日常的な試験および手順を使用して確立することができる。
担体材料と組み合わせて単一剤形を生成することができるそれぞれの組み合わせ相手の量は、治療される個体および特定の投与様式に応じて変わる。一部の実施形態において、本明細書に記載されている薬剤の組み合わせ物を含有する単位剤形は、薬剤が単独で投与される場合に典型的に投与される量の、組み合わせ物におけるそれぞれの薬剤を含有する。投与の頻度は、使用される化合物、および治療または予防される特定の状態に応じて変わりうる。治療または予防される状態に適したアッセイを使用して、治療有効性について患者を一般にモニターすることができ、このことは当業者に熟知されている。
本発明は、がんの進行遅延または治療に使用するために、本発明の組み合わせ物を、同時、別々、またはその順次投与用の取り扱い説明書と一緒に治療剤として含む、商業的な包装を更に提供する。
治療方法
それを必要とする対象においてがんを治療または予防する方法であって、治療有効量の本発明の医薬組み合わせ物、すなわち、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩と、(b)AKT阻害剤とを含む医薬組み合わせ物を対象に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
1つの実施形態において、AKT阻害剤は、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
更なる実施態様において、AKT阻害剤は、化合物(II)またはその薬学的に許容される塩である。
なお更なる実施形態において、AKT阻害剤は、化合物(III)、化合物(IV)、およびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
1つの実施形態では、それを必要とする対象においてがんを治療する方法であって、治療有効量の本発明の組み合わせ物を対象に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
本明細書において提供される方法のいずれかのうちの1つの実施態様において、がんは固形腫瘍である。用語「固形腫瘍」は、とりわけ、黒色腫、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、および一般的な胃腸管のがん、子宮頸がん、肺がん(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、頭頸部がん、膀胱がん、または前立腺がんを意味する。本組み合わせ物は、固形腫瘍、また液性腫瘍の成長を阻害する。更に、腫瘍の種類および使用される特定の組み合わせ物に応じて、腫瘍体積の減少を得ることができる。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、腫瘍の転移性拡散および微小転移の成長または発生を予防するためにも適している。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、不十分な予後の患者、とりわけ、卵巣がん、乳がん、膵がん、 がん、または結腸直腸がんを有するような不十分な予後の患者の治療に適している。本明細書に開示されている発明の組み合わせ物は、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられるがんの治療にも適している。
本明細書において提供される方法のいずれかの別の実施形態において、がんは、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される。
別の実施形態において、がんは、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである。
別の実施形態において、がんは、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる。
別の実施形態において、がんは、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である。
別の態様では、それを必要とする対象において乳がんを治療または予防する方法であって、治療有効量の、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩と、(b)化合物(III)もしくはその薬学的に許容される塩、または化合物(IV)もしくはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を、対象に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
なお別の態様では、それを必要とする対象において乳がんを治療する方法であって、治療有効量の、(a)化合物(I)またはその薬学的に許容される塩と、(b)化合物(III)もしくはその薬学的に許容される塩、または化合物(IV)もしくはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を、対象に投与することを含む方法が、本明細書において提供される。
本発明によってがんを治療する方法は、共同で治療上有効である量、好ましくは相乗的に有効である量により、例えば、本明細書に記載されている量に対応する1日または断続的投与量により、同時に、または任意の順番で順次に、(i)遊離または薬学的に許容される塩形態の薬剤(a)を投与すること、および(ii)遊離また薬学的に許容される塩形態の薬剤(b)を投与することを含むことができる。本発明の組み合わせ物の個別の組み合わせ相手を、分割した、または単一の組み合わせ形態により、治療経過の間の異なる時間で別々に、または同時発生的に投与することができる。したがって本発明は、そのようなレジメンの同時または交互治療を全て包含すると理解されるべきであり、用語「投与する」は、そのように解釈されるべきである。
以下の実施例は、上記に記載された本発明を例示しているが、本発明の範囲をいかようにも制限することを意図しない。本発明の医薬組み合わせ物の有益な効果は、それ自体当業者に公知の他の試験モデルによって決定することもできる。
実施例1:
I.(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アミド}の合成
EtN(1.54mL、11.1mmol、3当量)を、DMF(25mL)中のイミダゾール−1−カルボン酸[5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アミド(ステップ1.1)(1.26g、3.7mmol)およびL−プロリンアミド(0.548g、4.8mmol、1.3当量)の溶液に、アルゴン雰囲気下で加える。反応混合物を室温で14時間撹拌し、NaHCO飽和溶液の添加によりクエンチし、EtOAcで抽出する。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1:0→94:6)により精製し、続いてEtO中ですり混ぜて、1.22gの表題化合物をオフホワイトの固体として得る。ESI−MS:388.1[M+H];t=2.35分(系1);TLC:R=0.36(DCM/MeOH、9:1)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 1.32 (s, 9 H) 1.75-1.95 (m, 3 H) 1.97 - 2.13 (m, 1 H) 2.39 (s, 3 H) 3.38-3.50 (m, 1 H) 3.52-3.65 (m., 1 H) 4.10-4.40 (m, 1 H) 6.94 (br. s., 1 H) 7.22 (d, 1 H) 7.30 - 7.48 (m, 2 H) 8.49 (d, 1 H) 10.87 (br. s., 1 H).
ステップ1.1:イミダゾール−1−カルボン酸[5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アミド
DCM(50mL)中の5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イルアミン(ステップ1.2)(1g、4.05mmol)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.984g、6.07mmol、1.5当量)の混合物を還流下で4時間撹拌し、冷ます。得られた沈殿物を濾過により収集して、1.26gの表題化合物を白色の固体として得る。ESI−MS:340.2[M−H];t=2.85分(系1)。
ステップ1.2:5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イルアミン
N−[5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アセトアミド(ステップ1.3)(2g、7mmol)、HClの6N水溶液(10mL)、およびEtOH(50mL)の混合物を、85℃で2時間撹拌し、冷却し、NaHCO飽和溶液の添加によりクエンチし、DCM/MeOH(9:1、v/v)で抽出する。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1:0→96:4)により精製して、1.21gの表題化合物を黄色の固体として得る。ESI−MS:248.1[M+H];TLC:R=0.36(DCM/MeOH、9:1)。
ステップ1.3:N−[5−(2−tert−ブチル−ピリジン−4−イル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アセトアミド
DMF(50mL)中の2−アセトアミド−4−メチルチアゾール(1.2g、7.7mmol、1.1当量)、炭酸セシウム(4.55g、14mmol、2当量)、トリ−tert−ブチルホスフィニウムテトラフルオロボレート(0.406g、1.4mmol、0.2当量)、酢酸パラジウム(II)(0.15g、0.7mmol、0.1当量)、および4−ブロモ−2−tert−ブチル−ピリジン(ステップ1.4)(1.5g、7mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下、90℃で1.5時間撹拌し、冷却し、NaHCO飽和溶液の添加によりクエンチし、セライドパッドで濾過する。濾液をEtOAcで抽出する。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、1:0→97:3)により精製して、2.02gの表題化合物を黄色の固体として得る。ESI−MS:290.1[M+H];TLC:R=0.35(DCM/MeOH、9:1)。
ステップ1.4:4−ブロモ−2−tert−ブチル−ピリジン
2−tert−ブチル−1H−ピリジン−4−オン(ステップ1.5)(4.25g、28mmol)およびPOBr(8.88g、31mmol、1.1当量)の混合物を120℃に加熱し、15分間撹拌し、冷却し、NaHCO飽和溶液の添加によりクエンチし、DCM/MeOH(9:1、v/v)で抽出する。有機相をNaHCOの飽和溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex/EtOAc、95:5)により精製して、5.18gの表題化合物を黄色の油状物として得る。ESI−MS:214.0/216.0[M+H];t=2.49分(系1);TLC:R=0.35(Hex/EtOAc、1:1)。
ステップ1.5:2−tert−ブチル−1H−ピリミジン−4−オン
2−tert−ブチル−ピラン−4−オン(ステップ1.6)(5.74g、37.7mmol)および水酸化アンモニウムの30%水溶液(100mL)の混合物を還流下で1時間撹拌し、冷却し、濃縮する。残留物をMeOH(200mL)中ですり混ぜ、濾過する。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/NH水溶液、94:5:1→92:7:1)により精製して、4.46gの表題化合物を黄色の固体として得る。ESI−MS:152.0[M+H];t=1.45分(系1);TLC:R=0.11(DCM/MeOH、9:1)。
ステップ1.6:2−tert−ブチル−ピラン−4−オン
ベンゼン(250mL)中の5−ヒドロキシ−1−メトキシ−6,6−ジメチル−ヘプタ−1,4−ジエン−3−オン(ステップ1.7)(6.8g、36.9mmol)およびTFA(5.65mL、74mmol、2当量)の混合物を室温で14時間撹拌し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex/EtOAc、1:0→75:25)による残留物の精製は、5.74gの表題化合物を黄色の油状物としてもたらす。ESI−MS:153.1[M+H];t=3.21分(系1);TLC:R=0.22(Hex/EtOAc、1:1)。
ステップ1.7:5−ヒドロキシ−1−メトキシ−6,6−ジメチル−ヘプタ−1,4−ジエン−3−オン
LiHMDS(THF中1M、100mL、2当量)を、THF(400mL)中の4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(10mL、100mmol、2当量)の冷却(−78℃)溶液に滴下添加する。−78℃で30分間撹拌した後、THF(100mL)中の塩化ピバロイル(6.12mL、50mmol)の溶液を加える。得られた混合物を2時間かけて室温に温め、NHClの飽和溶液の添加によりクエンチする。THFを真空下で除去する。濃縮混合物をEtOで抽出する。有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex/EtOAc、1:0→85:15)により精製して、6.83gの表題化合物を黄色の油状物として得る。ESI−MS:185.1[M+H];TLC:R=0.87(Hex/EtOAc、1:1)。
II.(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−({4−メチル−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチル−エチル)−ピリジン−4−イル]−チアゾール−2−イル}−アミド)(化合物(I)または化合物AまたはBYL719)の合成
表題化合物は、上記に記載された手順に類似しているが、以下の修正を伴って調製される。ステップ1.1では、反応混合物を還流下で14時間撹拌する。ステップ1.2では、反応混合物を85℃で1時間撹拌し、クエンチした後、EtOAcで抽出する。ステップ1.3では、反応混合物を120℃で2.5時間撹拌する。ステップ1.4では、反応混合物を83℃で1時間撹拌し、クエンチした後、EtOAcで抽出する。ステップ1.5では、反応混合物を65℃で1時間撹拌し、MeOH中でのすり混ぜは実施しない。ステップ1.6では、粗生成物を精製しない。ステップ1.7では、3,3,3−トリフルオロ−2,2−ジメチル−プロピオニルクロリドを使用する。
表題化合物:ESI−MS:442.0[M+H];t=3.02分(系1);TLC:R=0.35(DCM/MeOH、9:1)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ(ppm): 1.60 (s, 6 H) 1.70-1.95 (m, 3 H) 1.99 - 2.16 (m, 1 H) 2.40 (s, 3 H) 3.38 - 3.51 (m, 1 H) 3.51 - 3.69 (m, 1 H) 4.10-4.40 (m, 1 H) 6.95 (br. s., 1 H) 7.39 (d, 2 H) 7.53 (s, 1 H) 8.58 (d, 1 H) 10.93 (br. s., 1 H)
代替的な手順において、表題化合物は、上記に記載された手順に類似しているが、以下の修正を伴って調製される。N,N−ジメチルアセトアミドをDMFの代わりに使用し、混合物を65℃で2時間撹拌する。ステップ1.1では、クロロギ酸フェニル(ゆっくりと添加した)を1,1’−カルボニルジイミダゾールの代わりに使用し、反応を、N,N−ジエチル−イソプロピルアミンの存在下、THF中において室温で(1.5時間)実施する。ステップ1.2では、反応混合物を(還流下で)5時間撹拌しながら加熱し、クエンチした後、EtOAcで抽出する。ステップ1.3では、反応混合物を100℃で2時間撹拌する。ステップ1.4では、反応を1.1当量のPOBrおよび1.1当量のトリプロピルアミンを使用してトルエン中で実施し、混合物を80℃で2時間撹拌し、クエンチした後、EtOAcで抽出する。ステップ1.5では、反応混合物を65℃で1時間撹拌し、MeOH中でのすり混ぜは実施しない。ステップ1.6では、トルエンをベンゼンの代わりに使用し、粗生成物を精製しない。ステップ1.7では、3,3,3−トリフルオロ−2,2−ジメチル−プロピオニルクロリドを使用する。
実施例2:結腸直腸がん細胞系におけるPIK3CA(またはPI3K)阻害剤の化合物(I)(化合物A、BYL719)をAKT阻害剤の化合物(II)(化合物B、MK−2206)と組み合わせることによる増殖に対するインビトロ効果
化合物AおよびBを100%DMSO(Sigma、カタログ番号D2650)に20mMの濃度で溶解し、使用するまで−20℃で保存した。化合物を薬物マスタープレート(drug master plate)(Greiner、カタログ番号788876)に配列し、2000×濃度で3倍に連続希釈(7ステップ)した。
この研究に使用される結腸直腸がん細胞系を、商業的供給者のATCC、CellBank Australia、DSMZ、ECACC、HSRRBおよびRIKEN(表1)から得て、培養し、処理した。全ての細胞系の培地には、10%FBS(HyClone、カタログ番号SH30071.03)を補充した。LIM2405およびLIM2551の培地には、0.6μg/mLのインスリン(SIGMA、カタログ番号I9278)、1μg/mLのヒドロコルチゾン(SIGMA、カタログ番号H0135)、および10μMの1−チオグリセロール(SIGMA、カタログ番号M6145)を追加的に補充した。
細胞系を、37℃および5%COのインキュベーターで培養し、T−75フラスコで拡大させた。全ての場合において、細胞は、凍結貯蔵物から解凍し、1:3希釈を使用して≧1継代で拡大させ、平板培養する前に、ViCell計数器(Beckman−Coulter)を使用して計数し、生存度について評価した。細胞系を***および拡大させるため、細胞を、0.25%トリプシン−EDTA(GIBCO、カタログ番号25200)を使用してフラスコから取り出した。Idexx Radil(Columbia,MO,USA)により実施されたPCR検出方法により決定され、SNPパネルの検出によって正確に確認されたように、全ての細胞系には、マイコプラズマ汚染がないことが決定された。
細胞増殖に対する化合物Aおよび化合物Bの組み合わせ物の効果を試験するため、細胞を、透明底を有する黒色384ウェルマイクロプレート(Matrix/Thermo Scientific、カタログ番号4332)において、ウェル1つあたり50μLの培地に500〜1250細胞/ウェルの細胞密度(表1)で平板培養し、37度、5%COで24時間インキュベートした。24時間後、細胞系1つあたり1つの384ウェルプレートを、処理を受けることなく(=「ベースライン」)、顕微鏡検査法による細胞計数のために調製した(下記を参照されたい)。他の細胞プレートは、ATS音響液体分配器(acoustic liquid dispenser)(ECD Biosystems)の使用により薬物マスタープレートから25nLの2000×化合物を移し、最終1×濃度をもたらすことによって処理した。化合物Aを13nM〜10μMの最終濃度範囲で使用し、化合物Bを13nM〜10μMの最終濃度範囲で使用した(1:3希釈の7段階)。化合物Aと化合物Bの組み合わせ物では、単剤をそれぞれの希釈において1:1の固定比で組み合わせて、7つの組み合わせ処理をもたらした。加えて、陰性対照(DMSO=「ビヒクル」)および陽性対照(スタウロスポリン=細胞死滅、16nM〜1μMの用量範囲の7ポイント1:2希釈系列)を、処理対照として移し、試験細胞系に有効性のない化合物を化合物Aおよび化合物Bと組み合わせて、組み合わせ対照(より有効な単剤の有効性を超えない組み合わせ物=「非相互作用」組み合わせ物)として使用した。化合物を添加した後、50nLの2mM CellEvent カスパーゼ3/7緑色検出試薬(ThermoFisher、カタログ番号C10423)を、HP D300 Digital Dispenser(Tecan)の使用により3回の複製のうちの1回に加えた。カスパーゼ3/7誘発を、処理により誘発されるアポトーシスの代理として測定した。細胞を倍加時間に応じて72時間から96時間処理し(表1)、カスパーゼ3/7活性化を、4×対物レンズおよびFITC励起/発光フィルターを備えたInCell Analyzer 2000(GE Healthcare)を使用して、顕微鏡検査法により24時間毎に測定した。処理の最後に、細胞を顕微鏡検査法による細胞計数のために調製した。細胞を、PBS(Boston Bioproducts、カタログ番号BM−220)中の4%PFA(Electron Microscopy Sciences、カタログ番号15714)、0.12%TX−100(Electron Microscopy Sciences、カタログ番号22140)において、45分間にわたって固定および透過処理した。細胞をPBSで3回洗浄した後、それらのDNAをHoechst 33342(ThermoFisher、カタログ番号H3570)により最終濃度4μg/mlで30分間染色した。細胞をPBSで3回洗浄し、次にプレートをPlateLoc(Agilent Technologies)の使用によりアルミニウムシール(Agilent Technologies、カタログ番号 06644−001)でヒートシールし、画像化するまで4℃で保存した。全ての細胞では、ウェル/処理毎に4×対物レンズおよびDAPI励起/発光フィルターを備えたInCell Analyzer 2000(GE Healthcare)を使用する蛍光顕微鏡検査法により単一画像を撮った。
以前に記載された方法(Horn, Sandmann et al. 2011, Nat. Methods 8(4): 341-346)を適用し、RのBioconductorパッケージEBImage(Pau, Fuchs et al. 2010, Bioinformatics 26(7):979-981)を使用した後、画像を分析した。両方のチャンネルにおける対象物、DAPI(Hoechst/DNAの)およびFITC(カスパーゼ3/7の)を適応閾値化により別々にセグメント化し、計数した。カスパーゼ3/7陽性対象物の閾値は、陰性対照(DMSO)と陽性対照(スタウロスポリン)とを比較した後、細胞系1つ毎に手作業により確定した。DNAチャンネルにおいて対象物/核の17の追加的特徴(形状および強度特徴)を分析することによって、細片/断片化核を確認した。このため、細胞系1つ毎に、陽性対照(スタウロスポリン)および陰性対照(DMSO)の追加的な特徴の分布を、手作業により比較した。条件によって差が生じうる特徴(例えば、DMSOとスタウロスポリンとを比較した特徴測定分布におけるシフト)を、「生存」核の集団に対して「細片」集団を確定するために使用した。細片計数を、生の核計数から差し引いた。得られた核の数を細胞増殖の測度(「細胞計数」)として使用した。
細胞増殖に対する化合物の効果を、陰性対照(DMSO)の細胞計数に対する処理細胞計数から計算し、図1では、y軸に「正規化細胞計数」(=「xnorm」)と示されている。相乗的組み合わせ物は、帰無仮説の最高単剤モデル(HSA)(Berenbaum 1989)を使用して確認した。HSAモデルにおける超過は、阻害標的間の機能的な繋がりを予測する(Lehar, Zimmermann et al. 2007, Lehar, Krueger et al. 2009)。モデルの入力は、薬物用量毎の阻害値である。
I=1−xnorm
I:阻害
xnorm:正規化細胞計数(3回の複製の中央値)
組み合わせ処理の全ての用量点において、組み合わせ物の阻害と、2つの単剤のより強力な方の阻害との差を計算した(=残差モデル)。高い阻害での組み合わせ効果が好ましいので、残差には、同じ用量点で観察された阻害を加重した。薬物組み合わせ物の全体的な組み合わせスコアCは、全ての濃度の加重残差の合計である。
C=Σ濃度(Iデータ (Iデータ−Iモデル))
データ:測定阻害値
モデル:HSA帰無仮説による阻害値
堅牢な組み合わせzスコア(z)を、処理の組み合わせスコアCと、非相互作用組み合わせ物の絶対偏差の中央値(mad)との比として計算した。
=C/mad(Cゼロ
ゼロ:非相互作用組み合わせ物の組み合わせスコア
は、組み合わせ物の強さの指標である。
≧3:相乗作用
3>z≧2:弱い相乗作用
<2:相乗作用なし
IC50は、DMSOに対して50%の細胞計数をもたらす化合物濃度である。IC50の計算(表2を参照されたい)は、RのDRCパッケージ(Ritz and Streibig January 2005, Journal of Statistical Software, “Bioassay analysis using R”, 12:5:1-22)を使用し、データに4パラメーター対数ロジスティック関数を当てはめて行った。
アポトーシスに対する化合物の効果は、生の細胞計数(細片を差し引く前)と比べた、処理および時点毎の活性化カスパーゼ3/7を有する細胞のパーセンテージを計算することによって決定した(図2のy軸)。実験的に測定しなかった時点の細胞計数は、0日目および処理の最終日に対数変換細胞計数を線形モデルに当てはめる(指数細胞成長を推定する)回帰分析によって得た。
この実験では、PIK3CA阻害剤(化合物(I)、化合物A)およびAKT阻害剤(化合物(II)、化合物B)の有効性を、KRAS、BRAF、PIK3CA、KRAS、およびPIK3CA、BRAFおよびPIK3CA、またはMEK1に対して突然変異があった合計で23個の結腸直腸がん細胞系において、個別および組み合わせにより評価した(表1)。3個の細胞系は、3個の遺伝子(HT−55、COLO−320、CW−2)のいずれにも突然変異を有さなかった。化合物Aは、単剤として、PIK3CAへの突然変異を有する細胞系の成長を、PIK3CA野生型の細胞系と比較して有意に強力に阻害し(図3)、マイクロモルのIC50値で阻害した(図1および表2)。化合物Bは、単剤として、混合型の応答を示し、主に、細胞系の成長をマイクロモルのIC50値で阻害した(図1および表2)。組み合わせ処理は、23個の系のうち18個に相乗的阻害(HSAモデルによる)を引き起こし、試験した23個の系のうち3個に追加的な弱い相乗的阻害を引き起こし(表2)、PI3K−AKT経路の二重阻害の利益を示している。組み合わせ物の阻害および相乗作用は、両方とも、KRAS突然変異細胞と比較してBRAF突然変異細胞に対して選択的であった(それぞれ、p=0.028およびp=0.002、片側t検定)。組み合わせ物は、試験した細胞モデルにおいて異なる程度でアポトーシス誘発し(カスパーゼ3/7誘発の測定により評価)(図2)、組み合わせ物を単剤と比較すると、最強の誘発は、LIM2551およびLS411Nにおいて見られた。BRAF突然変異結腸直腸がんにおけるPIK3CAおよびAKTを組み合わせた阻害は、それぞれの単剤と比較して改善された応答が可能である有効な治療様式を提供し、臨床においてより長続きする応答をもたらすことができる。

Claims (33)

  1. (a)式(I)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩と、
    (b)AKT阻害剤と
    を含む、医薬組み合わせ物。
  2. 前記AKT阻害剤が、
    式(II)の構造を有する化合物
    式(III)の構造を有する化合物
    式(IV)の構造を有する化合物
    およびこれらの薬学的に許容される塩
    からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組み合わせ物。
  3. 前記AKT阻害剤が、式(II)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組み合わせ物。
  4. 前記AKT阻害剤が、
    式(III)の構造を有する化合物
    式(IV)の構造を有する化合物
    およびこれらの薬学的に許容される塩
    からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組み合わせ物。
  5. 式(I)の構造を有する前記化合物および前記AKT阻害剤が、同じ製剤の中にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  6. 式(I)の構造を有する前記化合物および前記AKT阻害剤が、別々の製剤の中にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  7. 同時または順次投与のためのものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  8. それを必要とする対象においてがんを治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物を前記対象に投与することを含む、方法。
  9. 前記がんが固形腫瘍である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記がんが、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  11. 前記がんが、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである、請求項8に記載の方法。
  12. 前記がんが、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記がんが、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. がんの治療または予防における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  15. がんの治療または予防のための医薬の調製における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  16. 前記がんが固形腫瘍である、請求項14または15に記載の医薬組み合わせ物。
  17. 前記がんが、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、請求項14または15に記載の医薬組み合わせ物。
  18. 前記がんが、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである、請求項14または15に記載の医薬組み合わせ物。
  19. 前記がんが、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる、請求項14から18のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  20. 前記がんが、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である、請求項14から19のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物。
  21. がんの治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物の使用。
  22. がんの治療または予防のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ物の使用。
  23. 前記がんが固形腫瘍である、請求項21または22に記載の使用。
  24. 前記がんが、肺(小細胞肺がん、および非小細胞肺がんを含む)、気管支、前立腺、***(散発性乳がん、およびカウデン病罹患者を含む)、膵臓、胃腸管、結腸、直腸、結腸癌、結腸直腸、甲状腺、肝臓、胆道、肝内胆管、肝細胞、副腎、胃部、胃、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、子宮内膜、腎臓、腎盂、膀胱、子宮、子宮頸部、膣、卵巣、精巣、多発性骨髄腫、食道、頸部または頭部、脳、口腔および咽頭、喉頭、小腸、骨の良性または悪性腫瘍、黒色腫、絨毛結腸腺腫、肉腫(ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を含む)、新生物、上皮性新生物、乳癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、および骨髄球性白血病を含む)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫を含む)、骨髄様転移を有する骨髄線維症、ワルデンシュトレーム病、バナヤンゾナナ症候群、レルミットデュクロ病、ウィルムス腫瘍、中皮腫、唾液腺、ならびにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、請求項21または22に記載の使用。
  25. 前記がんが、卵巣がん、乳がん、膵がん、前立腺がん、または結腸直腸がんである、請求項21または22に記載の使用。
  26. 前記がんが、BRAF突然変異、KRAS突然変異、AKT1突然変異、AKT2突然変異、AKT1過剰発現、AKT2過剰発現、PIK3CA突然変異、およびPIK3CA過剰発現のうちの1つまたは複数により特徴付けられる、請求項21から25のいずれか一項に記載の使用。
  27. 前記がんが、AKT阻害剤による治療に対して抵抗性がある、または難治性である、請求項21から26のいずれか一項に記載の使用。
  28. (a)式(I)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩と、
    (b)AKT阻害剤と
    を含む、医薬組成物。
  29. 前記AKT阻害剤が、
    式(II)の構造を有する化合物
    式(III)の構造を有する化合物
    式(IV)の構造を有する化合物
    およびこれらの薬学的に許容される塩
    からなる群から選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
  30. 前記AKT阻害剤が、式(II)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩である、請求項28に記載の医薬組成物。
  31. 前記AKT阻害剤が、
    式(III)の構造を有する化合物
    式(IV)の構造を有する化合物
    およびこれらの薬学的に許容される塩
    からなる群から選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
  32. 1つまたは複数の添加剤を更に含む、請求項28から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  33. (a)式(I)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩と、
    (b)式(III)、式(IV)の構造を有する化合物
    またはその薬学的に許容される塩と
    を含む、乳がんの治療または予防における使用のための医薬組み合わせ物。
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