JP2018526180A - 遠隔医療により患者の重要な生理学的データを測定および報告する統合医療機器およびホームベースシステム - Google Patents

Abstract

【課題】【解決手段】 遠隔医療により患者の重要な生理学的データを測定および報告するための統合ホームベースシステムが開示される。当該統合医療装置は個人用で手頃な値段の携帯式医療モニタであり、必要な時、自宅にいながらにして（または旅行中に）直接、有資格の医療専門家とリアルタイムで直接連絡を取り合うために複数の重要なバイタルサインデータを提供し、安全が確保された患者の医療記録にもリンクされているので、患者および／または医療専門家が情報および傾向を収集、保管、および追跡するのが可能である。【選択図】 図４

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される２０１５年９月８日に出願された米国仮特許出願第６２／２１５，５９５号の恩恵を主張する。

本発明は遠隔医療に関する。特に、本発明は、遠隔の臨床医が効果的な遠隔医療を提供するため、統合医療センサを備える「ホームベースの」低電圧移動式医療診断装置（複数も可）を用いた、ソフトウェアおよびハードウェア構成の相乗システムに関する。

遠隔医療は既に数十億ドル規模の産業であり遠隔の医師／患者間で診察を提供しているが、患者を医療専門家に接続し診察中に基本的な生理学的情報をリアルタイムで伝達し得る低価格の統合携帯式「ホームベース」解決策は、現在、存在しない。患者が傾向異常のモニタおよび分析を医療専門家に認可できる、あるいは斯かる異常に独立にアクセスするのを医療専門家に認可できるアドレス可能な患者医療記録（ＰＭＲ）の一部として、斯かる情報を収集、記録、および保管できる単一の製品も存在しない。

現在市販されている他の「遠隔医療」装置は、単一目的だけのものか不器用に開発された製品のみであり、（たとえ存在したとしても）それぞれ異なる支援ソフトウェアを有し、医師が通常提供する診察に必要な道具を提供するものではない。患者が自宅使用（本明細書において、「自宅」と言う用語は、病院／クリニック以外の任意の場所を意味するよう広義に解釈されるものであり、従って、自宅には学校の事務所、（病院以外の）遠隔地などが含まれる）のために簡単に使用し得る統一された整合性のあるシステム、すなわち種々の重要なバイタルサインモニタからのデータを収集および統合し、遠隔医療セッション用にリアルタイムで提供し得る、あるいは後日使用のため適切にフォーマットされた記録形式で提供し得る統一された整合性のあるシステムは、遠隔医療産業には存在しない。

従って、上述の状況を考慮し、当該産業の欠点に対応するための種々のシステムおよび方法が以下に記載される。

以下の内容は、特許請求の範囲の主題のいくつかの態様に関して基本的な理解を提供するための簡略化された要約である。この要約は広範な概観を提供するものではなく、重要な要素を特定する意図も、特許請求の範囲の主題の範囲を明確に叙述する意図も有していない。以下の内容の目的は、後に提供される更に詳細な記載の前置きとして、いくつかの概念を単純化された形で提供することにある。

種々の実施形態が使用し易い個人用の統合装置を提供しているが、当該装置は、必要な時、自宅にいながらにして（または有資格の医療専門家のいる場所とは異なる場所において）直接、有資格の医療専門家とリアルタイムで連絡を取り合うため、複数の重要なバイタルサインデータを提供するものであり、更に、患者および／または医療専門家が情報および傾向を収集、保管、および追跡できるように、安全が確保された患者の医療記録に当該装置をリンクする一連のセキュリティ機能も有している。

実施形態の１つの態様において、コンパクトに統合された携帯可能な医療用マルチセンサ遠隔医療装置が提供されており、当該装置は、ユーザの心拍数／脈拍を測定するためのパルスオキシメータセンサを有する前記筺体の近位端に配置された指ポートと、前記筺体の遠位端に配置された温度計センサであって、ユーザの鼻、耳、および口のうちいずれかの腔に挿入された場合にユーザの体温を測定するための温度計センサと、筺体の掌側末端に配置されたデジタル式聴診器コンデンサマイクセンサであって、ユーザの心拍の音響信号を捕らえるためのデジタル式聴診器コンデンサマイクセンサと、体温センサと筺体の遠位端を共有しているオトスコープカメラセンサ／光源であって、ユーザの腔の標的領域の静止画およびビデオのうち少なくとも１つを捕らえるためのオトスコープカメラセンサ／光源と、低電力のマイクロコントローラユニット（ＭＣＵ）であって、有線接続および無線接続のうち少なくとも１つによってセンサと直接または間接に通信し合い、センサから外部インターネット接続または携帯電話接続の通信装置へ暗号化されたデータを送信するマイクロコントローラユニットとを有する統合携帯式筐体と、筺体の外側に配置されている状態インジケータであって、センサおよび／または検査の状態および／または条件を提供する状態インジケータとを有し、ユーザによって自己管理されるように構成されているものである。

実施形態の別の態様において、上述の装置が提供されるが、当該装置は、遠隔医療装置に連結された遠隔会議機能付きであり、インターネット接続および携帯電話接続のうち少なくとも１つを有しているコンピュータを更に有し、および／または、コンピュータから暗号化されたセンサデータを受け取るリモートサーバを更に有し、および／または、遠隔会議コンピュータで実行され医療専門家との遠隔会議を提供するソフトウェアプログラムを更に有し、その場合、暗号化されたセンサデータが医療専門家へ提供され、および／または、当該ソフトウェアプログラムは、脈拍情報、ＳＰＯ２情報、指の温度、額の温度、聴診器示数、およびオトスコープ示数のうち少なくとも１つを有するユーザのセンサデータを表示し、および／または、当該ソフトウェアプログラムはグルコース示数および血圧示数を更に表示し、および／または、当該装置は、ブルートゥース（登録商標）通信機能、近接場通信機能、およびＵＳＢ通信機能のうち少なくとも１つを含んでおり、および／または、当該装置のカメラは集束レンズを含んでおり、および／または、上記サーバは、ＨＩＰＰＡ準拠クラウドストレージユニットとして機能し、および／または、当該装置は内部バッテリにより自己動力供給し、および／または、当該装置の電力はＵＳＢ接続により得られ、および／または、上記リモートサーバは患者医療記録のデータベースにアクセスし、および／または、上記リモートサーバは、患者医療記録のデータベースおよび保存されたユーザセンサデータから、暗号化された情報を医療専門家へ提供し、および／または、上記リモートサーバは、医療専門家または第二の医療専門家にモバイル警報を開始し、および／または、上記ソフトウェアプログラムは、医療専門家が第二の医療専門家へ連絡して遠隔会議に参加させるのを可能にし、および／または、上記ソフトウェアプログラムは、医療専門家が第二の医療専門家へ連絡するのを可能にし、および／または、上記ソフトウェアプログラムは、医療専門家が第二の医療専門家へ連絡するのを可能にする。

実施形態の更に別の態様において、遠隔医療検査を行う方法が提供されるが、当該方法は、ユーザの指を手持ち式の統合携帯式筺体の指ポートへ挿入する工程であって、指ポートは筺体の近位端に配置されている工程と、指ポートに配置されたパルスオキシメータによってユーザの体温を検出する工程と、筺体の遠位端に配置された温度センサによってユーザの体温を検出する工程であって、温度センサはユーザの耳、口、または鼻の腔に挿入される工程と、筺体の掌側末端に配置されたデジタル聴診器コンデンサマイクによってユーザの心拍音を検出する工程と、オトスコープカメラセンサおよび光源によってユーザの腔の標的領域の静止画およびビデオのうち少なくとも１つを捕らえる工程であって、筺体の遠位端を温度センサと共有する工程と、低電力マイクロコントローラユニット（ＭＣＵ）によってセンサからの情報を処理および暗号化する工程と、有線接続および無線接続のうち少なくとも１つによって、センサからの暗号化された情報を外部インターネット接続または携帯電話接続の通信装置へ送信する工程と、筺体の外部へ作動状態を提供する工程とを有し、その場合、上記検査はユーザによって自己管理される。

実施形態の更に別の態様において、上述の方法が提供されるが、当該方法は、センサからの暗号化された情報を用いて医療専門家と遠隔会議を行う工程を更に有しており、および／または、暗号化されたセンサ情報をリモートサーバへ送信する工程を更に有しており、その場合、上記リモートサーバは、遠隔会議と更にインターフェース接続されている。

本発明の他の態様が、以下の図面の詳細な記載により説明されている。

図１は、例示的なＭｅｄＷａｎｄシステムの操作レイアウトを示す機能図である。 図２は、例示的なＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の側面図である。 図３は、例示的なＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の底面斜視図である。 図４は、例示的なＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の別の図であり、ユーザによる使用状態を示している。 図５は、１つの可能なインターフェースの例示図であり、ユーザのデータを専門家に示している図である。 図６は、ＭｅｄＷａｎｄシステムの１つの実施形態における、種々の可能なデータ経路を示した概略構成図である。 図７は、ＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の１つの実施形態において実施できる、種々の医療ハードウェア、コンピュータハードウェア、および通信ハードウェアを示す構成図である。 図８は、ＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の１つの実施形態における、内部ハードウェアおよびソフトウェア／モジュール構成要素を示す構成図である。 図９は、最初のＭｅｄＷａｎｄセッションにおけるウェブポータルスナップショットである。 図１０は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１１は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１２は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１３は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１４は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１５は、それ以後のＭｅｄＷａｎｄセッション段階におけるウェブポータルスナップショットである。 図１６は、ＭｅｄＷａｎｄシステムによって検出された、代表的な心電図信号の表示である。 図１７は、ＭｅｄＷａｎｄシステムによって検出されたＰＰＧ信号の分析である。 図１８は、それぞれ機械的な等価物を有する心臓のモデル図である。

本明細書に記載されるのは、患者が容易に自己管理できる新規な低電圧統合診断医療装置であり、それには、サンプルを検索し医療診断データを医療専門家の第一場所へ送るのに使用される、および／または、第二場所へ送って分析するのに使用される、相乗効果のある１セットの搭載医療器具、装置、および機器が含まれる。

種々の実施形態において、単一の統合されたユーザ操作による「手持ち式」センサ医療装置（ＭｅｄＷａｎｄ装置とも呼ばれる）は、該装置のユーザに、該医療装置に統合された１セットの基本的バイタルサイン測定センサの利用能力を提供する。いくつかの実施形態では、当該統合センサ医療装置（複数も可）は、コンピュータ装置、例えば移動通信装置（タブレットコンピュータ、手持ち式コンピュータなど）、および／またはスマートフォンなどの移動通信装置に有線／無線で接続可能である。いくつかの実施形態では、１つ以上の統合センサ医療装置の実施のうち、可能な実施の１つは、大型電気歯ブラシ程度の大きさのワンドの形態で行われる。「統合」と言う用語は、該医療装置の構成要素／センサが、最初から単一ユニットとして構築されているか、あるいは単一ユニットになるようにユーザによって構成される（すなわちユーザが他の／任意のセンサを該医用装置に「組み込んで」単一操作の装置を形成する）かどうかに拘わらず、単一ユニットを形成する工夫がなされていることを意味しており、この点は理解されている。いくつかの実施形態では、該センサ医療装置は、以下の記載および図面で明らかなように、種々の非統合センサを有していてもよい。いくつかの実施形態では、統合センサ医療装置には、パルスオキシメータ、耳検査用のオトスコープカメラ（喉および鼻の検視を可能とする付属部品付き）、接点温度計、デジタル聴診器、および任意の他社製装置、例えばグルコースモニタまたは血圧モニタなどを支援するための機能が含まれる。斯かるセンサにより集められたデータはコンピュータ装置の暗号化ファイルに収集可能であり、当該コンピュータ装置は、使用（受信側には医療専門家が控えている）のための統合ゲートウェイ／クロップアプリケーションを提供し、（保管およびリアルタイムの両方を含む）ストレージおよびアクセスのため、１９９６年医療保険の携行性と説明責任に関する法律（ＨＩＰＰＡ）準拠の安全なサーバへ送信される。

本明細書記載の実施形態は既存のオプションとは極めて異なっており、しかも大幅に改善されている点は理解されるべきである。例えば、統合センサ医療装置は、複数のバイタルサインセンサを有する単一の統一装置として構成可能であり、該装置は、遠隔会議に接続された医療専門家がリアルタイムで使用可能で後の参照／分析用に保管可能な安全で送信可能なファイルに、収集されたデータをフォーマッティング／集計できるものである。主要センサを単一ユニットに有する機能により、データを単一ファイルにフォーマッティングできるようになり、データ／ファイルの送信も更に安全で迅速に行えるようになる。従来技術は患者のバイタルサインなどの「遠隔」検知を考慮してはいるが、それは分離された個々の装置により達成されるものであり、従って、各試験で収集された個別データの完全パッケージを接続された医療専門家へ送信したり、単一のデータベースに組み込んだりするのは不可能である。更に、分離され独立した複数の装置の使用は、ユーザによる装置の使用を更に複雑化するものであり、操作の成功が更に妨げられる結果となる。例えば、１つの医療装置を外し、第二の装置を取り付け、次に該第二の装置を外して第三の装置を取り付けるのは、議論の余地があるにしても、ユーザにとっては不便な（従って使用しにくい）解決策である。従って、従来技術においては、ユーザによるエラーが絶えず心配の種である。

上述の事情に鑑み、いくつかの実施形態に示されるように、手頃な値段で、しかも使い易く、携帯用の医療モニタ機能を有し、しかも有資格の医療専門家と直接リアルタイムで通信するための複数の重要なバイタルサインデータを提供する、実際的に「オールインワン」の個人用マルチセンサ医療装置の提供は、遠隔医療産業における重大なパラダイムシフトである。特に、遠隔地にいる患者並びに老齢の身体障碍者にとっては、診療所を訪れる必要性が緩和される。医療情報のデジタル化により、患者および／または医療専門家が情報および傾向を収集、保管、および追跡するための安全な患者医療記録へデータをリンクできるようになる。更に、情報は、第三者診察用に他の専門家へ迅速に送信可能である。斯かるシナリオにおいて、一人の専門家がＭｅｄＷａｎｄシステムを用いてリアルタイム検査を行い、「生」データの検査に基づいて第二の専門家に「ログオン」し、ユーザとのセッションの閲覧／管理を依頼することが想定されている。第二の専門家（更に広範囲な評価のため、特定の検査に関して追加措置をユーザに求める可能性のある人）を時宜を得てセッションに加える機能により、誤診が減少し、ユーザの治療も改善される。基本的に、日常の（またはそれ以外の）医師の訪問を例示的システムにより置き換えることが可能である。ＭｅｄＷａｎｄシステムを有する医療センタは、要望に応じて、薬局、会社の保健室、学校、更には自宅などにおいてアクセス可能であることが想定されている。

本開示の統合センサ医療装置の主な恩恵は、測定の時間濃度であることは理解されている。例えば、特別な病気または緊急事態でなければ、人は年に１度か２度、医師を訪れるにすぎない。斯かる数少ない診察は、人の一般健康状態を重要な細分性レベルまで追跡するのを困難にしている。しかし、本開示の統合センサ医療装置は、当該分野で今まで未知であったデータの分解能を可能にする。例えば、パルス、体温、ＳｐＯ２、音波画像、およびカメラ画像を頻繁に（すなわち週一回）ホストサーバへ送信できれば、医師は斯かるパラメータのうちの任意のパラメータまたは全てのパラメータに関する傾向をプロットできる。その結果、大幅な情況把握が提供され、医師または医療専門家は、年２回の検診では検出できないような臨床事象を見出すことができるであろう。クリニックまたは病院を訪問しない患者を継続的に「モニタ」する能力は当産業界の「聖杯」であると考えられており、治療前／治療後プロトコルにとっては革命的であることが理解されている。

更に、いくつかの実施形態による統合センサ医療装置の使用は、データを経時的に蓄積可能であり、研究目的にとって非常に価値あるものとなり得る。医療データの場合、統合センサ医療装置は、予測医学並びに地理条件および／または人口統計条件による人口のモニタを含め、多種類の分析に使用可能である。統合センサ医療装置は、斯かるタイプのデータを集めてそれを詳細な統計分析が可能なコンピュータ装置へ転送する機能を有しているので、データそれ自体を非常に価値あるものとすることができる。斯かる方法により、日常的に追跡されるバイタル示数（例えば、パルス、体温、ＳＰＯ２、音波画像、カメラ画像など）を用いて、その人の過去のバイタル示数に対する傾向を特定したり、他の選択母集団から得られる類似の医療データとその人の病歴データとを比較したりできる。同様に、経時的に追跡されたその人のバイタル示数は、例えば、システム内またはシステム外母集団に基づく臨床モデルとも比較できる。

例示的な医療システムは、以下に示される要素の種々の組み合わせを有していてもよい。しかし、以下の可能な構成要素のリストは、適用可能な要素を限定する意図を有するものではない。当業者は、統合医療システムの本質的機能または操作を変えることなく代替可能な、等価の要素が存在することを理解するであろう。加えて、本開示の精神および歯にから逸脱することなく、より多くの要素またはより少ない要素を利用することも可能である。
１．パルスオキシメータセンサ
２．温度センサ（Ｓ２）
３．デジタル聴診器エレクトレットコンデンサマイク
４．オトスコープカメラ
５．ブルートゥース（登録商標）受信機
６．超低電力マイクロコントローラ／プロセッサ
７．クロック回路
８．フラッシュＥＰＲＯＭ
９．ＳＤＲＡＭ
１０．ＵＳＢ回路
１１．コンピュータ装置ソフトウェア
１２．安全な暗号化されたインターネットリンク
１３．クラウドサーバ
１４．クラウドストレージ
１５．医療提供者ソフトウェア
１６．統合医療装置の外装およびケーブル
１７．医療提供者のコンピュータ装置
１８．コンピュータ装置
図１は、例示的ＭｅｄＷａｎｄシステムに利用される典型的なハードウェアの絵画的表現図１００である。ＭｅｄＷａｎｄ統合装置１１０が、有線または無線リンク１０５を通して外部コンピュータ／プロセッサ１２０（ここでは、例として、ラップトップとして示されている）に接続されている。コンピュータ／プロセッサ１２０との直接の外部通信は接続リンクまたは無線リンク１０５によって達成できるが、任意の適切な他の通信インターフェース／基準を使用してもよい。ＭｅｄＷａｎｄ統合装置１１０が外部電力を必要とするいくつかの実施形態においては、リンク１０５は、例えば有線ＵＳＢ接続あるいはその等価物などを通して電力を提供してもよい。いくつかの実施形態では、リンク１０５はブルートゥース（登録商標）であってもよいし、あるいは接続は無線／携帯電話などを通して行ってもよい。コンピュータ／ラップトップ１２０は第二のリンク１２５（限定されないが、患者の自宅のインターネットゲートウェイ）を通してセキュアクラウドサーバ１３０に接続されており、当該サーバは、安全なリンク１３５を通して、医師１５０または他の医療専門家への情報転送を管理する。種々のハードウェア構成要素間のリンクは、実施の好みに応じて、物理的リンクであっても無線リンクであってもよいことは理解されるべきである。更に、コンピュータ／ラップトップ１２０はセキュアクラウドサーバ１３０に直接接続され（そして中間のルータを迂回する）機能を有していてもよいが、ＭｅｄＷａｎｄ統合装置１１０によって送信される情報を通信するのに、インターネット接続機能を有する任意の装置を使用してもよい。例えば、スマートフォン、タブレット、あるいは他の無線装置を使用してもよい。コンピュータ／ラップトップ１２０はＭｅｄＷａｎｄ制御ソフトウェアをホスティングしてもよく、並びに音声またはビデオ／音声を通して医療専門家との通信を円滑化してもよい。制御ソフトウェアをホスティングするならば、ユーザは、設計の好みに応じて、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の制御（較正の開始、その他ユーザが特定する操作など）を限定的であるが実行できるであろう。一例として、ユーザは、自分の医療データおよび／またはセッションデータを医療専門家または他の受信者１５０へ送信するのを認可したり、特定の機能をオン／オフにしたりできるであろう。

ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０は「オールインワン」を目的とした装置であるが、別の機器の付属部品、例えば、聴診器６０、レンズ／オトスコープチャネル７０、グルコース測定器８０、血圧カフ９０などを通して、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０に直接統合された（例えば、物理的に連結された）他の「医療」機器、あるいは当該装置に連結されたデータと通信することも可能である。斯かる二次的医療機器／付属部品のいくつかは、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の外部リンク１０５を医師１５０へのポータルとして用いて、直接接続または無線接続により、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０と通信可能である。

図１は、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の「内部」にあるハードウェア構成要素のいくつかも示しており、それには、いくつかの実施形態において、構成が外部センサを必要とするように構成された場合には斯かる外部センサに加え、任意選択の電源（例えばバッテリ）１５５、関連メモリ（ＥＰＲＯＭ／ＳＤＲＡＭなど）を有するマイクロコンピューティングユニット（ＭＣＵ）または他の等価の処理専用ハードウェア、および内部ハードウェア／センサ１８０支援機能、例えば、パルスオキシメータ１８４、温度計１８６、聴診器１８８、ＬＥＤを有するオトスコープ１９０へ送信される制御／データ信号１７５を有している。ブルートゥース（登録商標）１９４または他の類似の近距離無線通信プロトコルの使用も可能である。

図１はＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の内部部品に関して一定セットのハードウェアを示しているが、設計の好みに応じて、他のハードウェア構成要素、異なるセンサ、通信装置などを付加／除去してもよい。例えば、パルスオキシメータセンサセットの一部としてのグルコース受動モニタ、および／またはヘモグロビン分析を含んでもよい。ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０は、ホストコンピュータ装置１２０の必要性を除去するため、直接のインターネット網（コンピュータ／ラップトップ１２０を用いるデータ転送を迂回するもの）、更に強力なプロセッサ、表示装置、および直接のユーザインターフェースを含むように拡張してもよい。更に、コアユニットの任意選択または再構成として、転倒検出器または他のセンサ装置を実施してもよい。

図２は例示的ＭｅｄＷａｎｄ装置の側面図２００で、可能な１つの設計構成を示しているが、主要センサ類は装置に統合されている。オトスコープインターフェース先端２９０が装置の「前部」に示してある。図に示されるように、この実施形態は、コンパクトで保持し易く、医学の訓練を受けていない人が比較的簡単に予備医療検査を行える単一のマルチセンサシステムを提供する。

図３は図２の例示的ＭｅｄＷａｎｄ装置の底面斜視図であり、聴診器面３６０および状態／電力インジケータ３９５を示している。

図４は、ユーザ使用中の、例示的ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の別の図である。ユーザの手４１０の指がパルスオキシメータのポート４２５に挿入されている。デジタル聴診器４６０が例示的ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の「底部」に示してあるが、その位置は底部に限定されるものではない点は理解されている。例示的ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の「先端」は、耳／鼻部品４９８と共に図示されているオトスコープ機能用のカメラ４７０およびＬＥＤ４９０を用いて構成されている。サーモパイル（または類似の）センサおよび／または温度計（図示しない）により、被験者の「耳内」温度示数の表示を可能にしてもよい。種々の電力／通信ケーブル４１５、接続ポート４６６をＭｅｄＷａｎｄ装置１１０に取り付けてもよい。ユーザフィードバックなどのため、ステータスランプ、表示器、スイッチ、および関連制御装置４９５をＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の側面に配置してもよい。図４は、ＭｅｄＷａｎｄ装置１１０と無線で通信可能な独立したグルコース測定器４８０および血圧カフ４９３も示している。この図面から明らかなように、ユーザ側からの操作は至って簡単で、基本的な健康インジケータセンサのほとんどがＭｅｄＷａｎｄ装置１１０に統合されており、補足の健康センサ（４８０、４９３など）はＭｅｄＷａｎｄ装置１１０と通信可能な状態にある。

図１〜４はＭｅｄＷａｎｄ装置１１０の商業用実施形態を示しており、各要素／センサが装置１１０の「特定の」場所に示してある。しかし、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、設計の好みに応じて、種々の要素／センサ位置を変更できること、並びに要素／センサの形状を変更できることは理解されている。別の実施形態では、通信は無線で行ってもよいし、電力は内部電源（例えばバッテリ）から得てもよい。

図５は例示的システムの「バックエンド」インターフェースの図５００であり、ＭｅｄＷａｎｄ装置からの情報が検査中の専門家に提示されている。検査対象者のセンサデータは、ＭｅｄＷａｎｄ装置から、検査中の専門家へ接続を提供する支援サーバ１３０（図１を参照）へ送信される。いくつかの実施形態では、ラップトップ／コンピュータ１２０は、検査中の専門家へ直接接続を提供するソフトウェアを有していてもよい。バックエンドインターフェース５００は、任意のカメラ／画像データ５５０および医療専門家５６０用のビジュアルウインドウを有する患者／装置情報５１０を含んでいる。いくつかの実施形態では、医療専門家の画像は、（例えば医療専門家の観点から）ユーザ／患者であってもよい。（リアルタイムまたは集計により）個々に感知された医療データ５３０が表示されており、医療センサ用の種々の制御オプションも提示されている。セッションオプション５７０も提示されている。当該インターフェースは、専門家５６０がＭｅｄＷａｎｄ装置およびユーザの医療データを閲覧および制御し、当該ユーザと（コンピュータ／ラップトップを通して）通信するための複合データウィンドウを提供する。

いくつかの例では、図示されている１つ以上の医療データは別の検査結果であってもよいし、ＭｅｄＷａｎｄ装置からのものでなくてもよい。ユーザのＸ線情報を専門家５６０に提供するため、Ｘ線画像をインターフェース情報に加えてもよい。図５は、患者以外の人が機器／センサアプリを実行することなく、医療専門家が必要な情報（例えばＸ線）を携えて、ライブで検査を行う例示的実施形態の能力を示したものである。ＭｅｄＷａｎｄ装置から容易に入手可能な医療情報の幅は重要であり、斯かる情報を検査中の医療専門家へ統合する能力は、当産業界の重要なパラダイムシフトと考えられる。更に、医療専門家は、患者と通信する機能を用いて、患者が自らの快適な環境に居ながら、追加の検査（例えば、別の医師への接続、センサ、深呼吸など）を行うように患者に指示できる。

図５は利用可能な情報を示しており、参照番号５３０は、パルス、ＳｐＯ２、指の温度、額の温度、聴診器、オトスコープ、グルコース、血圧、耳または副鼻腔の画像５５０、種々のセッションオプション５７０、（必要な場合には）医療専門家の画像５６０などの医療データを示す。上述のように、斯かる情報は医療専門家の側で表示されてもよいし、および／または、いくつかの情報はユーザ／患者側で表示されてもよい。更に、ラップトップ／コンピュータが表示プラットフォームであってもよいが、必要な表示、通信／データ機能を提供する任意の適切な装置を使用してもよい。例えば、スマートフォン、タブレット、ＰＣ、スマートテレビなどである。

図６は、ＭｅｄＷａｎｄシステムの実施形態における、種々のソフトエアおよびハードウェア要素／モジュール並びに可能な関連データパスを示す構成図６００である。患者のデータ６１０（および任意選択の外部装置６２０）はＭｅｄＷａｎｄ装置１１０によって取得され、安全リンクまたは暗号化リンク６２８を通してクライアント装置６２５へ送信される。クライアント装置６２５は、安全なトランスポートプロトコル６４８を通してシステムのクラウド６４０へ「接続」されており、安全な遠隔会議プロトコル６５８を通して医療専門家（ここでは医師として示されている）へも「接続」されている。システムのクラウド６４０はアプリケーションサービスを包含または管理しており、必要に応じてストレージも提供する。システムのクラウド６４０からの情報も、医師の装置（図示しない）で実行される医師のアプリケーション６６０に安全に接続されており、あるいはウェブポータルを経てアプリケーション６６０を支援するシステムのクラウド６４０サービスに接続されている。

システムのクラウド６４０は、構成次第では、患者医療記録６７０およびモバイル警報サービス６８０へアクセス可能であり、該モバイル警報サービスは、医師のアプリケーション６９０へ警報を送信し、該医師に緊急事態を通知したり、セッションへの参加を要請したりする。後者の接続は、実施の好みに応じて、安全であっても安全でなくてもよい。しかし、患者の情報または他の機密情報が送信される場合には、安全なプロトコルが起動されるようにしてもよい。システムのクラウド６４０は、保守、管理などのため、管理ポータル６９４および分析エンジン６９６の態様も有している。

システムのクラウド６４０からの個々の患者のデータおよび該クラウドへの個々の患者のデータは、患者および／または医師の承認を得てプロバイダＰＭＲ６７０へ移送されてもよい点は注目されるべきである。大規模な人口統計的母集団および／または地理的母集団に関して集積されたデータは、予測医学および予防医学にとって価値あるものであり、それが理解されている点も注目されるべきである。いくつかの実施形態において、分析エンジン６９６は、予測／予防情報を得るため、（プライバシー懸念に対応するように）実行される非人格化に基づいて、斯かる情報を利用してもよい。

図６において明らかなように、クライアント／患者ポータル装置とクラウドストレージおよび遠隔会議システムとの間、並びにクラウドストレージと医師コントロール下のＭｅｄＷａｎｄ装置および／または医師使用のソフトウェアとの間には、暗号化が機能している。ＭｅｄＷａｎｄデータを調べている「医師」は、保持および／またはクラウドストレージへの送信に適しているデータはどれかを決定できる。いくつかの例では、別の医師または臨床医による検査中にＭｅｄＷａｎｄ装置が感知した閾値条件に対して、モバイル警報機能が反応する（例えば上級医が警報を発する）ようにしてもよい。あるいは、自ら開始した検査結果が当該医師に警報を発するようにしてもよい。

図７は、ＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の実施形態において実施可能な種々の医療ハードウェア、コンピュータハードウェア、および通信ハードウェアを示した機能構成図７００である。商業使用のために開発される１つの実施形態では、ＡＲＭコルテックスウェルネスＳＯＣプロセッサ７３０を用いて、関連センサ／インジケータ７１０および通信機器７５０がホスティング／管理される。種々の統合センサ（パルスオキシメータ、温度計、ボロメータ、聴診器、音響、慣性センサ、カメラなど）がプロセッサのデータ／通信インターフェースに「配線接続」されている。カメラ７２０は、画像の集束／オートフォーカスを意図している。バッテリ７７５および／または電力モジュール７７０は、必要に応じて、プロセッサ７３０、任意のセンサ７３０、および通信機器および／またはメモリハードウェア７４０を支援する。プロセッサ７３０は、データ／情報を駆動し、ユーザクライアントハードウェア（図示しない）で支援されるユーザインターフェース７４０へそれを提供する。重要な点は、健康診断で通常見られる医学的検査手続きを実行可能な「単一の」装置にＭｅｄＷａｎｄ装置が統合されており、患者が使用し易い形態でそれが製造されるということである。

図８は、ＭｅｄＷａｎｄユーザ装置の実施形態で実施可能な種々の医療ハードウェア、コンピュータハードウェア、および通信ハードウェアを示した構成図８００である。商業使用のために開発される１つの実施形態では、メモリ８１５を有するウェルネスプロセッサ８１０を用いて、関連センサ８２０（加速度計付き半透過型ＳｐＯ２、温度センサ、心電図、音響ピックアップ、ジャイロスコープ、マイクロフォン、加速度計）、８３０（カメラリキッド光学オートフォーカス）、およびセンサ通信機器８４０（ブルートゥース（登録商標））がホスティング／管理される。「トラストプロテクションエンジン」８５０が、プロセッサを通して読み出し／送信されるデータのハードウェアベース安全性のために実行される。いくつかの実施形態において、「トラスト」エンジン８５０はソフトウェアベースであってもよいし、種々の部分をユーザの遠隔会議用コンピュータにオフロードしてもよい。アナログ／デジタルインターフェース８６０がプロセッサ８１０へ提供される。ビデオ並びに任意のＵＳＢイン／アウトデータを制御するのにマルチプレクサが使用される。追加の機能が、アナログフロントエンド８８０およびクロック／タイマ８９０に提供される。

図９は最初のＭｅｄＷａｎｄセッションのウェブポータルスナップショット９００であり、ＭｅｄＷａｎｄ医師のログイン手続き／プロンプティングを示しており、改めて説明する必要がないものと理解される。ログイン手続きに使用される同等基準のログインコントロールおよび安全プロトコルは当業者の能力の範囲内にあり、従って、本明細書では詳細な説明は省かれる。

図１０は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１０００であり、セッション情報、医師名、ＭｅｄＷａｎｄ装置ＩＤおよび／または通し番号、医師のＩＤ、セッション時間および日付を示している。患者情報１０２０、例えば、名前、誕生日、性別、（可能ならば）写真、連絡情報も提示される。参加者、使用機器などを特定するため、必要ならば、他の種々の情報を提供してもよい。この図面は、現在の患者用にＭｅｄＷａｎｄ装置のＳｐＯ２情報１０３０を示している。斯かる情報は過去のものであってもよいし、リアルタイムであってもよい。

図１１は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１１００であり、ＭｅｄＷａｎｄ装置の較正または健康／状態１１１０が示されているのが理解されるであろう。更に、患者の追加の治療歴１１２０も示し得る。いくつかの例では、調査を必要とする遺伝的特徴が存在するか否かを決定するため、患者の親類の情報を更に入手してもよい。

図１２は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１２００であり、追加のＭｅｄＷａｎｄセンサデータ１２１０、例えば、患者の体温、オトスコープなどのデータを示している。

図１３は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１３００であり、グラフ形式で脈拍数および血圧１３１０を示している。

図１４は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１４００であり、患者の体温１４１０を示している。

図１５は、ＭｅｄＷａｎｄセッションにおける以後段階のウェブポータルスナップショット１５００であり、オトスコープビデ１５１０および聴診器音響ファイル１５２０を示している。

上述のウェブポータルスナップショットから明らかなように、ＭｅｄＷａｎｄ医師／ユーザインターフェースは、ＭｅｄＷａｎｄ装置用に調整されるものであり、主要医療センサハードウェアとしてＭｅｄＷａｎｄ装置を使用することにより、遠隔会議を迅速かつ簡明に実行するための均一なプラットフォームを可能にする。医師／専門家がリアルタイムで患者に接し、統合センサを有するＭｅｄＷａｎｄ装置をユーザが簡単に操作することにより診察を行い、更に、安全な環境下で（ライブまたは過去の）センサデータを調査する機能は、従来技術には見られない機能である。斯かる構成のシステムの使用の「容易さ」は強調してもし過ぎることはない。

前述の図面を基に、患者が例示的統合医療装置およびシステムを使用するにあたり、２つの可能なシナリオが存在する。第一は、患者がインターネットを通して医療提供者へ接続されるリアルタイム遠隔医療セッションに関連する。統合医療装置はコンピュータ装置に接続されているので、医療提供者との遠隔会議が可能である。この場合、遠隔の医療提供者との遠隔会議の進行中、統合医療装置は、該医療提供者のために、種々のバイタルサインをリアルタイムで収集、共有、および送信が可能である。ＨＩＰＰＡ準拠の安全なリンクを安全な遠隔会議サービス／患者医療記録ストレージ機能に接続することにより、遠隔会議インターフェースが、ユーザのコンピュータ装置の統合医療装置ユーザソフトウェアに内蔵される。（いくつかの例では、ソフトウェアはユーザのコンピュータ装置に「表示」されるサーバ上で管理してもよい。）
患者が遠隔医療会議を要請すると、その患者はリアルタイムで医療提供者（通常は医師）へ接続される。医師は医療提供者側の統合医療装置ソフトウェアを実行しており、それにより、統合医療装置のデータを閲覧したり、該装置を管理して試験を要請したり、データを調べたりできる。統合医療装置に内蔵されるまたはそれを通過する各重要パラメータは、コンピュータ装置のユーザインターフェースから選択できる。例えば、医師か患者が患者の脈拍、ＳｐＯ２、および指の温度を測定したい場合、「パルス」ボタン／動作がコンピュータ装置上で選択される。各試験の適切な使用または設定を患者に知らせるため、ヘルプ画面が現れる。試験ボタンがユーザインターフェースで押されたりクリックされたりすると、指令が（ある場合には）ＵＳＢ接続（または無線接続）を通して送信される。統合医療装置の電力は、使用されるバージョン次第であるが、物理的なＵＳＢ接続または内部再充電可能バッテリを通して供給可能である。ＵＳＢインターフェースによって受信された当該指令はフォーマッティングされ、装置内のマイクロプロセッサ（ｕＰ）へ送信される。

第二のシナリオは、遠隔医療セッション以外の医療専門家による後日の分析のために、患者がセッションデータを収集し、それを記録ストレージ場所へ送信することに関連する。医師は、患者によって送信される一連のセッションデータの傾向をモニタするため、記録ストレージアプリケーション内の制御パラメータを設定し、データの傾向がパラメータ外の場合には、当医師が特定するウェブ対応機器に電子アラームで警告されるようにしてもよい。二つのシナリオを記載したが、ＭｅｄＷａｎｄの別のシナリオを開発することも可能であり、従って、上述の例は限定的に考えるのではなく、最も典型的なシナリオのみが提示されていると考えられるべきである。

いくつかの実施形態では、統合医療装置は、搭載ツール、装置、および／または機器の使用において、同時に使用可能な道具の数の最大値を限定してもよい。例えば、統合医療装置のいくつかの実施形態では、特定の時間には１つのセンサしか使用できず、斯かる例の場合、ｕＰは適切な制御信号をＩ^２Ｃバスを通して送信し、パルスオキシメータ試験を要請する。データはｕＰに返信され、そこでメモリのセッション情報内に保存され、ＵＳＢ接続により（または無線で）コンピュータ装置へ返信される。各センサは異なる機能を有しており、中には音声およびビデオを含むセンサもあり、斯かるセンサではスナップショット（ビデオ静止画）として記録または保存可能であるが、ワークフローは基本的に皆同じである。但し、ブルートゥース（登録商標）装置の場合は、それを統合医療装置へ最初に接続してもよい。

単一センサでは得られない重要な臨床値の第二測定値を得るため、複数のセンサを用いてもよい。例えば、単一の統一された高精度の基準クロックの管理下に機能するパルスオキシメータおよびデジタル聴診器を、測定目的で要請してもよい。従って、測定値間の相関性を導き得るという理解の下に、同時測定を行ってもよい。

統合医療装置が医療診断を行うには、いくつかの工程からなるプロセスが実行される。その工程には以下が含まれる。（１）試験を要請するための指令をホストコンピュータ装置から受信、（２）どのセンサを使用するか決定、（３）試験を行うため、適切な制御信号を適切なセンサへ送信、（４）センサが試験に関連したデータを送信したか否かを決定（すなわちデータを受け取るまで待機、または何らかのデータが返信されたか？）、（５）データを受信したら、該データが予測されたパラメータ内のものであったか（すなわち試験のタイプに応じて、データは予測された範囲または示数内にあったか）否かを決定、（６）データが予測された範囲内であれば、再試験なしに工程１０へ進む、（７）データが予測内でなければ、再試験へループ、（８）ホストコンピュータへ試験の失敗を通知、（９）再び試験、（１０）セッションバッファにデータを保存、および（１１）アウトプット（例えばＵＳＢ）を通してデータをコンピュータ装置へ送信。

実際的には、ユーザは、試験を開始するにあたり、統合医療装置をホストコンピュータに接続し、次に統合医療装置ソフトウェアまたはアプリケーションを要請する。試験は１セットの画面プロンプトに従うことにより行ってもよい。患者は、何らの援助なしに、ＰＣ、ラップトップ、タブレット、またはスマートフォン上の単一の使い易いユーザインターフェースを用いて、脈拍、ＳｐＯ２、指の温度の測定、心音および肺音の記録、耳、鼻、または喉の写真撮影、グルコース示数の記録、血圧の測定ができるようになっていてもよい。（特定のグルコース測定器および血圧装置、例えばスケールに加えて）他のブルートゥース（登録商標）対応の電子装置を追加したり支援したりしてもよい。データは全て収集し、読み易い単一の医療記録の形で提供し、それを任意のＰＭＲシステムに添付してもよい。斯かるデータは、追跡、モニタ、および／または傾向または「制御不能限界」示数用に分析可能であってもよい。医療専門家に接続されていれば、リアルタイムの遠隔会議中、患者は、インターフェース上の「共有ライブ」ボタンを押すだけで、リアルタイムで収集されたデータ全ての共有を選択できる。医師は、適切な示数の必要性を患者に要求し、試験のいくつかを遠隔的に要請してもよい。ホスト装置の安全なファイルにデータを保管するには、セッションの終わりに、患者または医師が保存ボタンを押すだけでよいし、それを遠隔のクラウドＰＭＲアーカイブに保存してもよい（患者プロファイルに斯かるサービスが要請されている場合）。

安全性の観点から、各表示装置／プラットフォームで「共有」される情報は画面イメージにすぎず、実際のデータそれ自体ではない点は注目されるべきである。例えば、画面共有機能を有するＨＩＰＰＡ準拠ビデオ会議システムを用いて、医師は、双方向性のビデオ会議に参加し、ＭｅｄＷａｎｄ装置からのデータ報告の全てを観察できるであろう。医師は、画面共有機能により、患者の画面を実際に見ることができる。医師は、患者のコンピュータ装置／ラップトップなどの「遠隔制御」機能を提供する画面共有インターフェースを用いて、ＭｅｄＷａｎｄ装置を操作できる。しかし、検査中、実際のデータはインターネットを通して転送されない。医師が見るのは、データ報告の映像表現である。医師は、検査中、患者のコンピュータ装置内の遠隔記録セットに記録および保管するため、種々のセンサから報告される特定のデータセットに「タグ」を付けて選択可能である。当該タグ付きのデータは、セッションの終わりに、圧縮し、暗号化し、別の単一の安全な送信で、データストレージセンタへ送信される。

統合医療装置上のまたはそれに取り付けられたいくつかの別個のセンサからのデータは、共通の制御／データ取り扱いシステムを共有している。センサからのデータはユーザ特有の患者記録に保存される。セッション記録は装置のメモリに保存され、試験データは、通信データリンクを通して、将来の考慮および行動のためにホストコンピュータ装置へ送信される。セッションデータは、特定のセッション中に収集された全バイタルサイン、ビデオ、および音声に関する単一の統一された患者記録に提供されるよう、フォーマッティングされる。ホストコンピュータ装置は、医師／患者医療記録アーカイブおよび分析で使用されるように、斯かるデータをフォーマッティングおよび表示する。統合医療装置のいくつかのバージョンでは、ホスト装置との全通信がブルートゥース（登録商標）のみによって行われてもよく、その場合、電力は搭載再充電可能バッテリによって提供されることになろう。

患者のバイタルサイン／物理的試験に加え、診断分析を行ってもよい。１セットの医療測定値を別の測定値と相互関連付けるため、例えば、アルゴリズム的解析を行ってもよい。例えば、心臓の鼓動に関して、統合医療装置は、装置上のデジタル聴診器を通して、収縮期を音響的に捉える。組織内の音速は１５００ｍ／ｓなので、装置はそれを数百マイクロ秒で拾い上げる。次に、装置は、パルスオキシメータセンサを用いて、末梢（すなわち指）において収縮波を見ることができる。（パルスオキシメータによる）末梢脈拍と（聴診器による）心臓音響信号の同期測定は、少なくとも両者間に位相遅延を生じる。斯かる遅延は、血圧、毛細血管拡張／収縮、動脈弾性、流体応答性などと相互関連付けるため、アルゴリズム的に分析できる。

上述の位相遅延に加え、統合医療装置の使用は、心臓音響信号の性質と末梢におけるプレチスモグラフ波（パルスオキシメトリ波線）の性質とを比較し、臨床的に重要な他のマーカーの提供を可能にする。更に、心臓音響および／またはパルスオキシメトリは、更に、カメラ画像（ホストコンピュータのオトスコープおよび／またはウェブカメラ）のモーション／フラッシュと相互関連付けることができる。上述のような他のセンサと相互関連付けられた画像ダイナミックス（色、トーン、モーションなど）は、臨床的に重要な他のデータ点を提供するであろう。

兵站学的に言えば、患者のいる場所にインターネットがアクセスできない場合、発明家達は、遠隔接続のツールとしてＭｅｄＷａｎｄグローバルクリニックを提供するＭｅｄＷａｎｄデジタルヘルスと呼ばれる企画を入手できる。ＭｅｄＷａｎｄグローバルクリニックは、たとえ戦場、ジャングル、石油掘削基地、その他の遠隔地であろうと、地球のあらゆる場所にいる患者に医師を接続する。飛行機の上部空間に納まる程度の小型の高耐久性ケースに入っているグローバルクリニックは、ＭｅｄＷａｎｄ装置、特注の超高耐久性タブレット、内蔵衛生電話、４Ｇステーション、Ｗｉ−Ｆｉ、および自らの太陽発電システムを有している。

種々の「支払人」プログラムおよびスケジュールに適合させる目的で、医師／患者プロファイルを予め設定し、システム全体で利用可能な種々の支払人プログラムでそれを駆動することが可能である（すなわちそのプログラムに接続可能である）。この中には、保険適用、ダイレクトプライマリケア、検査毎の支払い、あるいは使用中の特定の医療バリュープロポジションで規定される他の多くの可能な医師／患者関係が含まれる。セッションは、使用中のプログラムに応じて、患者とその患者のプライマリケア医師、遠隔治療サービスプロバイダ、あるいは利用可能なプロバイダ群の中の任意のプロバイダとの間で行われてよい。セッションの便宜を図るため、医師またはプロバイダは、発明家提供のＭｅｄＷａｎｄ遠隔治療会議システムにログインし、利用可能なクリニックの時間を掲示してもよい。斯かる時間は、例えば６か月前までに掲示および／または調整可能である。

実際に実施される種々の例が以下に示される。１つの可能な実施例では、患者はユニークな患者ＩＤおよびパスワードを用いて同じ会議システムへログインし、利用可能な予約時間を閲覧し、システムによって承認され予め認可された希望する医師またはプロバイダとの適切な予約を選択する。予約は、例えば、２分前、ないしは６か月前までに計画してもよい。患者は、予定セッションの前に、例えば、電子メールとテキストメッセージの両方でリマインダを受け取る。予約時間になると（実際には、患者のログインと医師の待ち時間の減少を可能にするため、患者の予約時間と医師の利用可能性との間は５分（あるいはその他の時間）オフセットされているので、所定の数分前に）、患者はシステムにログインし、双方向の「仮想待合室」を通して検査セッションに登録する。この時点で、患者は、ＭｅｄＷａｎｄが接続されており準備が整っているかどうかを確認するように促される。

医師は、当該医師のＰＣ上で仮想待合室にいる患者を見るであろうが、該ＰＣには、現在の訪問の理由および（利用可能ならば）患者の病歴へのリンクに関する利用可能な全情報が含まれている。医師は、準備が整い次第、単一のボタン選択を用いて検査セッションを開始する。

検査
セッションが始まると、双方向性のビデオ会議が確立される。医師は、ＭｅｄＷａｎｄ装置の状態およびアプリケーション内のセンサ選択オプションを確認するであろう。ＭｅｄＷａｎｄ装置は、インジケータ、例えば、マルチカラーのＬＥＤアレイを通して、その状態のフィードバックを視覚的に患者へ提供する。医師は、任意の利用可能なセンサを順不同で選択できる。

オトスコープ（カメラ）
ＭｅｄＷａｎｄ装置の前部に置かれているオトスコープは、装置の前部に磁石によって固定されるいくつかの付属部品オプション（検鏡）を有する高分解能カメラである。付属部品は、体の種々の部分（耳、目、鼻、喉、および皮膚の内部を含む）の検視を援助するように設計されている。焦点深度は、センサ面から約５０ｍｍないし２００ｍｍ以上の範囲であってよい。付属部品のいくつかは、鮮明な映像オプションのため、追加のレンズを含んでいてもよい。カメラのパン、チルト、およびズームは、ビデオインターフェースを通して、医師が全て制御可能である。焦点合わせは、ダイナミックリキッドレンズシステムまたは等価のシステムにより自動的に行われる。

照明は、カメラセンサの周りに置かれたＬＥＤアレイを通して提供される。強度（明るさ）は、アプリケーションの医師側にあるスライダを通して調整可能である。医師は、オトスコープの使用中いつでも、ライブでビデオ記録を開始してもよい、あるいはカメラが写している内容のスナップショットを撮影してもよい。

聴診器
ＭｅｄＷａｎｄ装置の下部に置かれている聴診器は、ＭｅｄＷａｎｄプロセッサへデジタル音響信号を送信するデジタル音響ピックアップ装置である。それがアクティブセンサとして選択されると、オーディオストリームはリアルタイムで患者のコンピュータ装置へ転送される。医師は聴診器の音響をモニタできる。あるいは、医師のインターフェース上の「プッシュトーク」ボタンを通して患者と会話もできるが、該プッシュトークボタンは、患者がＭｅｄＷａｎｄ装置から選択した音響入力装置をローカルのコンピュータ装置へ切り替えるものである。医師は、いつでも、聴診器ピックアップの音響記録を開始できる。医師は記録時間の長さを選択してもよいし、それを手動で操作してもよい。別のセンサが選択された場合、あるいは医師が患者との音声双方向通信に戻った場合、「停止」が選択されなければ、該センサの接続は中断される。

パルスオキシメータ（ＳｐＯ２）
ＭｅｄＷａｎｄ装置には２つのパルスオキシメータが存在する。主要ユニット（ＳｐＯ２−１）はＭｅｄＷａｎｄ装置の上部に位置しており、示数のリーディングに際し、指が経路内に挿入される。第二ユニット（ＳｐＯ−２）はＭｅｄＷａｎｄ装置の底部、聴診器ピックアップの近くに位置している。通常の単一センサオペレーションモードにおいては、医師は、主要ＳｐＯ２センサだけを選択してよい。満足のいく示数が読み取られたら、医師は、酸素飽和度のタイムスタンプスナップショットおよびＢＰＭデータを得て、それを検査データセットに含めることができる。

赤外線温度計
ＭｅｄＷａｎｄ装置の先端、カメラセンサの隣に、赤外線温度計が存在する。これは耳内アプリケーション用に設計されており、性能を高めるため、装置の前部に専用の付属部品を備えている。適切な示数が読み取られたら、医師は、それを保存し検査データセットに含めることができる。

心電図
ＭｅｄＷａｎｄ装置は３誘導心電図システムを有していてもよい。ユニットの下部にある聴診器筺体のいずれかの末端に２つのピックアップがあり、第三のピックアップは主要パルスオキシメータの隣に位置して指の場所を提供しているので、正確な心電図測定のための適切なオフセットが得られる。適切な接触が確立されたら、医師はいつでも心電図記録の開始および停止を選択できる。測定時間は手動で設定してもよいし、医師のアプリケーションに予め決定されていてもよい。

ブルートゥース（登録商標）
ＭｅｄＷａｎｄ装置はブルートゥース（登録商標）ラジオを含んでおり、任意の承認されたブルートゥース（登録商標）装置と対になっていてもよい。承認された装置のプロファイルおよびその関連ＧＵＩは、患者のアプリケーションと医師のアプリケーションの両方にローディングされる。従って、ブルートゥース（登録商標）装置がＭｅｄＷａｎｄ装置と対になっていれば、適切な装置が利用可能であることがアプリケーションに通知される。次に、該装置はセンサ選択として医師に提示され、例えば、「ブルートゥース（登録商標）による血圧カフ」と言う指示が出される。次に、医師は、遠隔装置から入手可能なデータの保存を選択し、それを検査データセットに含めることができる。

マルチセンサセッション
ＭｅｄＷａｎｄ装置は、体への単一装着中に、複数の搭載センサから同時に示数を読み取るように設計されており、通常それは心臓の上側の胸領域であり、特に聴診器、心電図、指先パルスオキシメータ、および胸パルスオキシメータが使用される。その結果、最新の相関アルゴリズムに適用可能な１２の相関ポイントが得られる。斯かるリーディングを経時的並びに振幅や歪みなどの他の属性により相互関連付けることにより、相対血圧を導き得る流体応答性などの複数の医療状態／症状が検出可能である。これは新しい分野である。このテーマに関していくつかの学術的研究が行われ、より詳細で有意義な診断が同時相関センサデータから導き得ることが示唆されている。

データ送信
検査が完了すると、検査データセットに含めるように医師が選択するデータがフォーマッティングされ、圧縮され、暗号化されて単一のファイルに納められる。このファイルには、保存されている全データ報告だけでなく、患者のプロファイルおよび識別子、医師情報、保険請求情報（該当する場合）、ＭｅｄＷａｎｄの通し番号およびソフトウェア改訂、プラスタイム、日付、検査の場所スタンプなどを含む検査に関連する全情報も含まれている。

斯かるデータは、患者のコンピュータ装置により、患者のために、検査記録として、ＭｅｄＷａｎｄデジタルヘルスクラウドベースの安全なデータリポジトリへ目立たない形で自動的に送信される。詳細な調査およびコメント用に検査データが入手可能であることが、適切な復号化／暗号化ツールを含むＭｅｄＷａｎｄアプリケーションを通して、即座に医師に通知される。医師は、自らの自由裁量により、検査要約を行い、各保存される観察に関して一般的並びに特定のコメントを記すことができる。記録は医師のＰＭＲ記録にダウンロードしたり、第三当事者のＰＭＲ記録にアップロードしたりできる。ＭｅｄＷａｎｄのデータリポジトリは検査データファイルを標準フォーマットで提供するが、システムの所有者にＭｅｄＷａｎｄデジタルヘルスからデータ属性／復号化ツールが提供されているならば、それは任意のＰＭＲシステムにマッピング可能である。

ＭｅｄＷａｎｄ装置用のケースシナリオ
以下は、遠隔地からの診断を援助するため、ＭｅｄＷａｎｄ装置／システムが使用可能ないくつかの条件をリストアップしたものである。ほとんどの場合、２つ以上のセンサが必要である点に注目して頂きたい。ＭｅｄＷａｎｄは、斯かるセンサの全てを手持ち式の単一の装置に統合し、しかも検査用の統合医療記録を作製し得る唯一の装置であることが理解されている。

喘息憎悪／急性喘息エピソードの診断
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・ＳｐＯ２
・呼吸数
・聴診器
内耳感染（中耳炎）
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・温度計
・オトスコープ
季節性アレルギー性鼻炎の診断
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・オトスコープ（鼻腔内へ）
結膜炎の診断
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・オトスコープ（目の上）
気管支炎の診断
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・聴診器
・温度計
・呼吸数
・ＳｐＯ２
肺炎の診断
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・聴診器
・温度計
・呼吸数
・ＳｐＯ２
・心拍数
・血圧（ブルートゥース（登録商標）による）
うっ血性心不全憎悪の初期診断（以後の確認必要）
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・ＳｐＯ２
・聴診器
・呼吸数
・心電図
・体重（ブルートゥース（登録商標）による）
急性心筋梗塞の初期診断（以後の確認必要）
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・心電図
・心拍数
・呼吸数
敗血症性ショックの初期診断（以後の確認必要）
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・体温
・心拍数
・血圧（ブルートゥース（登録商標）による）
循環血液量減少性ショックの初期診断（以後の確認必要）
使用されるＭｅｄＷａｎｄの特徴
・心拍数
・血圧（ブルートゥース（登録商標）による）
高血糖／糖尿病性ショックの初期診断（以後の確認必要）
・グルコースリーディング（ブルートゥース（登録商標）による）
・血圧（ブルートゥース（登録商標）による）
・心拍数
・呼吸数
プロトタイプ版において、ＭｅｄＷａｎｄ装置は、複数のセンサのリーディングを同時に行い、それを統一されたデータセット（データは処理／フォーマッティング時間に関して修正される）として報告する機能を持つように構成されていた。特に、４つのセッションが同時にモニタされ、時間遅延およびセンサデータ発生間の特徴（絶対値）が比較され、人体の流体応答性並びに他のいくつかの生理学的ダイナミックスを示すようになっていた。ボディマスなどの他の個別のリーディングと合わせると、更なる相関データを蓄積し、診断アルゴリズムの対象とすることができ、そこから、血圧（およびその他多く）を含むヘルスメトリックを導くことができる。プロトタイプにおける４つのセンサは以下を含む。

・心電図（最低３誘導）
・指先に置かれ、酸素飽和度および脈拍を検出するパルスオキシメータ
・指先に置かれ、心拍数および心拍数変動を検出するセンサ（心電図および聴診器と合わせて、脈遷移時間を導き得る）
斯かるセンサおよび他の電位センサをモニタすることにより、相互関連性および将来の分析用の複数のデータ点が生まれる。

図１６は、ＭｅｄＷａｎｄシステムで検出された代表的な心電図信号のプロット１６００である。心室の各ストロークが圧力波を生み、それが循環器系および柔組織を通って伝搬／放散されることは理解されている。心室収縮の始めＲ１６１０における心電図信号から「スタート」すると、以下に更に詳細に記載されるように、ＰＰＧ（フォトプレチスモグラフ）信号で「下流側」（いくつかの異なる場所）を見ることができる。マーカーＰ１６２０は心房脱分極Ｐ波を示し、ＱＲＳは心室の脱分極の期間１６３０を示し、ＰＲセグメント１６４０は房室結節の遅延を示し、ＳＴセグメント１６５０は心室再分極を示し、Ｔ１６６０は心室分極を示し、Ｕ１６７０は第二次活動を示す。

図１７はＭｅｄＷａｎｄシステムで検出可能なＰＰＧ信号１７００を示す。ＰＰＧ信号が示しているのは、Ｒ波１７１０と縮期峰（この図では単に「ピーク」１７２０で記してある）との間の遅延をまず見るということである。人体組織内の音速は水中の音速１５５０ｍ／ｓに非常に近い。血液は、柔組織（赤血球）および溶解したガスで満たされているとしても、比較的非圧縮性なので、音速関係は第一近似値であると考えられる。従って、距離のメーター値は時間の１／１５５０値（＝０．６５ｍｓ）であるべきである。人の心拍数は４Ｈｚ（２４０ｂｐｍ）を大幅に超えることはできないので、図１７によれば、２つのピーク間の期間は１／４＝２５０ｍｓ未満でなければならない。従って、流体中の「伝達時間」は、Ｒ波と縮期峰との間の遅延の主な原因ではない。では、何が遅延の原因となっているのだろう。それは、弾性（組織）および減衰（組織および流体剪断損失）の組み合わせであると考えられる。

心臓血管を取り囲む組織に弾性がなければ、心臓は更に強力に血液を押し出さなければならないが、血液の流れは瞬間的に生じるであろう。この弾性により、遅延および心房収縮からの入力機能の「平滑化」が生じる。

心臓血管組織およびその周りの組織が伸長および弛緩すると、損失（粘弾性減衰）が生じる。同様に、血流および血流と心臓血管系の壁との間に粘性損失が生じる。これが壁領域の機能である。毛細管レベルまで下がるとこの壁領域の機能は更に進む。全体的な心臓／心臓血管／組織系は、Ｒ波とＰＰＧの拍動流の開始との間の明白な遅延を斟酌するため、質量／発条／ダンパ系（少なくとも二次系）に取り付けられた機械式駆動装置として見ることができる。

図１８は、各機械式等価物を有する心臓の理論的モデル図１８００である。例えば、一定の単位長の心臓血管／組織系は、心臓およびＰＰＧ作動のセグメント１８３０間に位置する、回復発条１８２０を伴った一連の弾性的緩衝装置１８１０として表現できる。斯かるモデルは、標準調和運動の等式および係数Ｋ１、Ｋ２、...Ｇ１、Ｇ２、...などで特徴付けることができる。特定の心電図／ＰＰＧデータセット用に斯かるモデルから係数を導出することにより、血圧と相関関係を有する数値マトリックスが得られるであろう。

上述の情報を用いることにより、特定の機械的／数学的モデルをデータへ適用し、１セットの係数を導くことができる。斯かるセットの係数は、特定の患者において、血圧と相関しているかもしれない。追加の人口統計／健康データを用いることにより、特定の個人用に、カフベースの現行方法と同程度に正確な血圧値（ｍｍＨｇ）との相関関係が得られるかもしれない。例えば、心臓モデルを有する例示的システムにおいて、種々の遠位場所間における相対的な位相遅延を用いて、心臓血管系における非対称性または動脈閉塞の潜在的兆候が検出できるであろう。上述の分析の態様は、ＭｅｄＷａｎｄ的に、「二点間」血圧、「マルチポイント血圧」、または「ＢＰｓｑｕａｒｅｄ」と呼ばれる。

いくつかの実施形態において、統合医療装置の診断ツール、装置、または機器のうち１つ以上が、獣医学での使用に再構成または適応できるであろう。更に、経時的に継続的に集積されたデータは、研究目的にとっても非常に価値あるものとなり得る。医療データの場合、予測医療並びに地理的および／または人口統計的条件による母集団のモニタを含め、多種類の分析にそれは使用可能である。統合医療装置は、斯かるタイプのデータの収集する機能、並びに詳細な統計的分析を行うコンピュータ装置にそれを転送し、斯かるデータを非常に価値あるものにできる機能を有している。

上述の実施形態は特定の詳細な情報を数多く参照して述べられているが、当業者は、本開示の精神から逸脱することなく、それらの修正および変更が可能であることを認識するであろう。従って、当業者は、本発明は上述の詳細な説明によって限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであるということを理解するであろう。

Claims (20)

1. コンパクトに統合された携帯可能な医療用マルチセンサ遠隔医療装置であって、
   手持ち式の統合携帯式筐体を有し、
   前記統合携帯式筐体は、
   前記筺体の近位端に配置された指ポートであって、ユーザの心拍数／脈拍を測定するためのパルスオキシメータセンサを有する、指ポートと、
   前記筺体の遠位端に配置された温度計センサであって、前記ユーザの鼻、耳、および口のうちいずれかの腔に挿入された場合に前記ユーザの体温を測定するための温度計センサと、
   前記筺体の掌側末端に配置されたデジタル式聴診器コンデンサマイクセンサであって、前記ユーザの心拍の音響信号を捕らえるためのデジタル式聴診器コンデンサマイクロセンサと、
   前記体温センサと前記筺体の遠位端を共有しているオトスコープカメラセンサ／光源であって、前記ユーザの腔の標的領域の静止画およびビデオのうち少なくとも１つを捕らえるためのオトスコープカメラセンサ／光源と、
   低電力のマイクロコントローラユニット（ＭＣＵ）であって、有線接続および無線接続のうち少なくとも１つによって前記センサと直接または間接に通信し合い、前記センサから外部インターネット接続または携帯電話接続の通信装置へ暗号化されたデータを送信するマイクロコントローラユニットと
   前記筺体の外側に配置されている状態インジケータであって、前記センサおよび／または検査の状態および／または条件を提供する、状態インジケータと
   を有し、
   前記遠隔医療装置はユーザによって自己管理されるように構成されているものである
   遠隔医療装置。
2. 請求項１記載の遠隔医療装置において、さらにコンピュータを有し、前記コンピュータは、前記遠隔医療装置に連結され、遠隔会議機能付きであり、インターネット接続および携帯電話接続のうち少なくとも１つを有しているものである、
   遠隔医療装置。
3. 請求項２記載の遠隔医療装置において、前記コンピュータから前記暗号化されたセンサデータを受け取るリモートサーバを更に有するものである遠隔医療装置。
4. 請求項３記載の遠隔医療装置において、前記遠隔会議コンピュータで実行され、医療専門家との遠隔会議を提供するソフトウェアプログラムを更に有し、前記暗号化されたセンサデータが前記医療専門家へ提供されるものである遠隔医療装置。
5. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記ソフトウェアプログラムは、脈拍情報、ＳＰＯ２情報、指の温度、額の温度、聴診器示数、およびオトスコープ示数のうち少なくとも１つを有する前記ユーザのセンサデータを表示するものである遠隔医療装置。
6. 請求項５記載の遠隔医療装置において、前記ソフトウェアプログラムは、グルコース示数および血圧示数を更に表示するものである遠隔医療装置。
7. 請求項１記載の遠隔医療装置において、前記装置は、ブルートゥース（登録商標）通信機能、近接場通信機能、およびＵＳＢ通信機能のうち少なくとも１つを含むものである遠隔医療装置。
8. 請求項１記載の遠隔医療装置において、前記装置のカメラは集束レンズを含むものである遠隔医療装置。
9. 請求項３記載の遠隔医療装置において、前記サーバは、ＨＩＰＰＡ準拠クラウドストレージユニットとして機能するものである遠隔医療装置。
10. 請求項１記載の遠隔医療装置において、前記装置は、内部バッテリにより自己動力供給するものである遠隔医療装置。
11. 請求項１記載の遠隔医療装置において、前記装置の電力はＵＳＢ接続により得られるものである遠隔医療装置。
12. 請求項３記載の遠隔医療装置において、前記リモートサーバは、患者医療記録のデータベースにアクセスするものである遠隔医療装置。
13. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記リモートサーバは、患者医療記録のデータベースおよび保存されたユーザセンサデータから、暗号化された情報を前記医療専門家へ提供するものである遠隔医療装置。
14. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記リモートサーバは、前記医療専門家または第二の医療専門家にモバイル警報を開始するものである遠隔医療装置。
15. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記ソフトウェアプログラムは、前記医療専門家が第二の医療専門家へ連絡して前記遠隔会議に参加させるのを可能にするものである遠隔医療装置。
16. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記ソフトウェアプログラムは、前記医療専門家が第二の医療専門家へ連絡するのを可能にするものである遠隔医療装置。
17. 請求項４記載の遠隔医療装置において、前記ソフトウェアプログラムは、前記医療専門家が第二の医療専門家へ連絡するのを可能にするものである遠隔医療装置。
18. 遠隔医療検査を行う方法であって、
    ユーザの指を手持ち式の統合携帯式筺体の指ポートへ挿入する工程であって、前記指ポートは前記筺体の近位端に配置されている、工程と、
    前記指ポートに配置されたパルスオキシメータセンサによって前記ユーザの脈拍と酸素飽和度（ＳｐＯ_２）を検出する工程と、
    前記筺体の遠位端に配置された温度センサによって前記ユーザの体温を検出する工程であって、前記温度センサは前記ユーザの耳、口、または鼻の腔に挿入される工程と、
    前記筺体の掌側末端に配置されたデジタル聴診器コンデンサマイクセンサによって前記ユーザの心拍音を検出する工程と、
    オトスコープカメラセンサおよび光源によって前記ユーザの腔の標的領域の静止画およびビデオのうち少なくとも１つを捕らえる工程であって、前記オトスコープカメラセンサおよび光源は前記筺体の遠位端を前記温度センサと共有する、工程と、
    低電力マイクロコントローラユニット（ＭＣＵ）によって前記センサからの情報を処理および暗号化する工程と、
    有線接続および無線接続のうち少なくとも１つによって、前記センサからの暗号化された情報を外部インターネット接続または携帯電話接続した通信装置へ送信する工程と、
    前記筺体の外部へ作動状態を提供する工程とを有し、
    前記検査は前記ユーザによって自己管理されるものである
    方法。
19. 請求項１８記載の方法において、前記センサからの暗号化された情報を用いて、医療専門家と遠隔会議を行う工程を更に有するものである方法。
20. 請求項１９記載の方法において、前記暗号化されたセンサ情報をリモートサーバへ送信する工程を更に有し、前記リモートサーバは、前記遠隔会議と更にインターフェース接続されているものである方法。

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