本開示は、改変バチルス(Bacillus)プロテアーゼ、改変バチルス(Bacillus)プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド、改変バチルス(Bacillus)プロテアーゼを含むポリペプチドおよび微生物中のバチルス(Bacillus)プロテアーゼの生成を強化するための方法を提供する。詳細には、改変プロテアーゼは、発現対象のバチルス(Bacillus)プロテアーゼの天然プロペプチド、または発現対象のバチルス(Bacillus)プロテアーゼの変異プロペプチドの代わりに非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼプロペプチドを含む改変プロペプチド領域を含む。ポリヌクレオチドは、成熟プロテアーゼ配列に連結した非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼプロペプチドもしくは変異プロペプチドをコードする。プロテアーゼもしくはプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドのそのような改変は、驚くべき、および強化されたプロテアーゼ生成レベルを生じさせた。本発明は、例えばバチルス(Bacillus)種などの微生物中のプロテアーゼの発現を変化させるための方法にさらに関する。
本明細書の他の場所で定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が関係する技術分野における当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する(例えば、Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,NY,1994;およびHale and Markham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY,1991を参照されたい)。本発明の実践においては、本明細書に記載の方法および材料に類似しているか同等である方法および材料が利用されるが、本明細書では好ましい方法および物質について記載する。したがって、直下に定義した用語は、本明細書全体を参照することにより、より十分に説明される。さらに、本明細書で使用する単数形「1つの」および「その」は、状況が明白に他のことを指示していない限り、複数形を含む。数値範囲には、範囲を定義する数字が含まれる。他に特に指示しない限り、それぞれ核酸は5’から3’への方向で左から右へと記載され、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向へ左から右へと記載される。本発明は、当業者によって使用される状況に依存して、それらは変動する可能性があるので、本明細書に記載した特定の方法、プロトコルおよび試薬には限定されない。
本明細書を通して明示されたあらゆる最高数値限度は、それより低いありとあらゆる数値限度を、そのようなより低い数値限度が本明細書に明示的に記載されたかのように含むことが意図されている。本明細書を通して明示されたあらゆる最低数値限度は、それより高いありとあらゆる数値限度を、そのようなより高い数値限度が本明細書に明示的に記載されたかのように含むであろう。本明細書を通して明示されたあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるそれより狭いありとあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されたかのように含むであろう。
上記および下記の両方において、本明細書で言及したすべての特許、特許出願、論文および刊行物は、これにより明示的に参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、本明細書に提供した見出しは、本明細書を全体として参照することによって得ることのできる本発明の種々の態様にも実施形態にも限定されない。したがって、直下に定義した用語は、明細書全体を参照することによってより完全に定義される。それでもなお、本発明の理解を促進するために、下記では多数の用語について定義する。
定義
本明細書で使用する用語「単離(された)」および「精製(された)」は、それが自然に結び付いている少なくとも1つの構成成分から除去されている核酸もしくはアミノ酸(もしくは他の構成成分)を意味する。本発明の一部の実施形態では、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、単離もしくは精製されている。他の実施形態では、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、単離もしくは精製されていない。一部の例では、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、そのポリヌクレオチドもしくはポリペプチドが天然型ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドとは異なるが、それが自然に結び付いている少なくとも1つの構成成分と結び付いているように、遺伝子工学、遺伝子組換え、タンパク質工学、タンパク質改変またはその他の手段によって生成される。
本明細書の用語「改変ポリヌクレオチド」は、「改変」タンパク質をコードする少なくとも1つの突然変異を含有するように変化させられているポリヌクレオチド配列を意味する。一部の例では、用語「ポリヌクレオチド」は、「改変(された)」と結び付けずに使用されるが、これは改変されているポリヌクレオチドの実施形態を排除するものではない。
本明細書で使用する用語「プロテアーゼ」および「タンパク質分解活性」は、ペプチド結合を有するペプチドまたは基質を加水分解する能力を示すタンパク質もしくはペプチドに関する。タンパク質分解活性を測定するためには多数の周知の手法が存在する(Kalisz,‘‘Microbial Proteinases’’,In:Fiechter(ed.),Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,1988)。例えば、タンパク質分解活性は、生成されたプロテアーゼが商業的基質を加水分解する能力を分析する比較アッセイによって保証することができる。プロテアーゼもしくはタンパク質分解活性のそのような分析において有用な典型的な基質には、ジメチルカゼイン(Sigma C−9801)、ウシコラーゲン(Sigma C−9879)、ウシエラスチン(Sigma E−1625)およびウシケラチン(ICN Biomedical 902111)が含まれるがそれらに限定されない。これらの基質を利用する比色アッセイは、当分野において周知である(例えば、どちらも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/34011号パンフレット;および米国特許第6,376,450号明細書を参照されたい)。AAPFアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal.Biochem.,99:316−320,1979またはEstell et al.,J Biol Chem.,260:6518−6521,1985を参照されたい)もまた成熟プロテアーゼの生成を決定する際に利用される。このアッセイは、酵素が可溶性合成基質であるスクシニル−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド(sAAPF−pNA)を加水分解するにつれてp−ニトロアニリンが放出される速度を測定する。加水分解反応からの黄色の生成速度は、分光光度計上で410nmもしくは405nmで測定され、活性酵素濃度と比例している。詳細には、本明細書の用語「プロテアーゼ」は、「セリンプロテアーゼ」を意味する。
本明細書で使用する用語「サブチリシン」および「セリンプロテアーゼ」は、MEROPS−The Peptidase Data base(Rawlings et al.,MEROPS:the peptidase database,Nucleic Acids Res,34 Database issue,D270−272,2006、ウェブサイトmerops.sanger.ac.uk/cgi−bin/merops.cgi?id=s08;action=.)に記載されたS8セリンプロテアーゼファミリーの任意のメンバーを意味する。下記の情報は、2008年11月6日現在のMEROPS−The Peptidase Data base‘‘Peptidase family S8 contains the serine endopeptidase serine protease and its homologues(Biochem J,290:205−218,1993)から引き出された。サブチラーゼファミリーとしても公知であるS8ファミリーは、セリンペプチダーゼの2番目に大きなファミリーであり、サブファミリーS8Aのタイプ例であるサブチリシン(S08.001)およびサブファミリーS8Bのタイプ例であるケキシン(S08.070)の2つのサブファミリーに分けることができる。トリペプチジル−ペプチダーゼII(TPP−II;S08.090)は、以前は第3サブファミリーのタイプ例であると考えられていたが、その後は誤分類であったと決定されている。
本明細書の用語「親プロテアーゼ」は、組み合わせて自然に発現するプレ、プロおよび成熟領域を含む全長プロテアーゼを意味する。一部の実施形態では、親プロテアーゼのプレおよび/またはプロおよび/または成熟領域は、前駆プロテアーゼのプレおよび/またはプロおよび/または成熟領域を作り出すために機能する。
本明細書の用語「前駆プロテアーゼ」は、シグナルペプチド、プロ(もしくはプロペプチド)領域および成熟領域を含む未改変もしくは改変全長プロテアーゼを意味する。前駆プロテアーゼは、天然型(すなわち、野生型)プロテアーゼ、変異プロテアーゼ、改変プロテアーゼまたは突然変異プロテアーゼから引き出すことができる。本発明の一部の実施形態では、前駆プロテアーゼは、改変プロテアーゼを生成するために改変される前駆プロテアーゼのプロ領域である。一部の実施形態では、前駆プロテアーゼのプレ領域は改変されている。一部の実施形態では、前駆体は、1つの親プロテアーゼ由来であるプロ領域および成熟領域を含む。他の実施形態では、前駆プロテアーゼは、1つ以上の親プロテアーゼに由来するプレもしくはプロ領域および異なる親プロテアーゼに由来する成熟領域を含むキメラタンパク質である。
タンパク質に関連して使用する用語「キメラ」もしくは「融合」は、本明細書では、別個のタンパク質もしくはタンパク質断片を最初にコードした2つ以上のポリヌクレオチドの接合を介して作製されるタンパク質に関する。この融合ポリヌクレオチドの翻訳は、元のタンパク質それぞれに由来する機能的特性を備える単一キメラポリペプチドを生じさせる。組換え融合タンパク質は、組換えDNAテクノロジーおよび融合/キメラポリヌクレオチドの発現によって生成できる。組換え融合タンパク質は、さらにin vitro化学合成によって生成することもできる。「キメラポリペプチド」もしくは「キメラ」は、2つ以上のポリペプチド由来の配列を含有するタンパク質を意味する。改変プロテアーゼは、それが1つ以上の他のプロテアーゼ由来の1つ以上の部分、領域もしくはドメインに融合した1つのプロテアーゼ由来の部分、領域もしくはドメインを含有するという意味においてキメラであってよい。一例として、キメラプロテアーゼは、また別のプロテアーゼのプロペプチドに連結した1つのプロテアーゼの成熟領域を含む可能性がある。当業者であれば、キメラポリペプチドおよびプロテアーゼがタンパク質配列の実際的融合によって作製される必要はなく、むしろ、キメラポリペプチドもしくはプロテアーゼを発現させるためにも使用できる対応するコーディング配列を備えるポリヌクレオチドによって作製できることを理解できるであろう。
本明細書の「天然型」もしくは「野生型」は、自然に見いだされるものと同一の未改変アミノ酸配列を有するプロテアーゼ、またはそのようなプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドに関する。天然型酵素には、特定の微生物内で自然に発現する、または見いだされる酵素である天然酵素が含まれる。野生型もしくは天然型である配列は、自然に見いだされる配列と同一である、または配列に由来する配列を意味する。野生型配列は、最初に同定されたポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの配列と同一ではない、自然に発生する変異体、ホモログもしくはヘテロログ(heterolog)の配列を含む、またはコードする可能性がある。天然型もしくは野生型プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドは、天然型もしくは野生型ポリヌクレオチド自体であってよい、または天然型もしくは野生型ポリペプチドと同一であるタンパク質配列をコードする改変ポリヌクレオチドであってよい。
本明細書で使用する「変異」タンパク質もしくはタンパク質領域は、C末端およびN末端のいずれかまたは両方への1個以上のアミノ酸の付加、アミノ酸配列中の1つまたは多数の異なる部位での1個以上のアミノ酸の置換、タンパク質のいずれかまたは両方の末端またはアミノ酸配列内の1つ以上の部位での1個以上のアミノ酸の欠失および/またはタンパク質のアミノ酸配列内の1つ以上の部位での1個以上のアミノ酸の挿入を意味する。変異タンパク質は、天然型変異体および遺伝子組換え変異タンパク質を含む。本発明の状況における変異タンパク質は、非天然型変異体を意味しており、天然型タンパク質B.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンBgi02446の変異体であるB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンBSP−00801によって例示される。BSP−00801の成熟領域の2つの形態の配列は配列番号12および配列番号13に示したが、Bgi02446の2つの形態の配列は配列番号10および配列番号11に示した。配列番号12および13は、配列番号11および10それぞれとは10個のアミノ酸置換によって異なる。
本明細書で使用する「ホモログ」および「相同タンパク質」は、関心対象のタンパク質(例えば、また別の起源由来のプロテアーゼ)と類似の作用および/または構造を有するタンパク質(例えば、プロテアーゼ)を意味する。ホモログが進化的に必ず関連していることは意図されていない。したがって、この用語は、異なる種から得られる同一もしくは類似の酵素(すなわち、構造および機能に関して)を含むことが意図されている。
用語「〜に由来する」および「〜から得られる」は、問題の生物の系統によって生成される、または生成可能なプロテアーゼだけではなく、例えばそのような菌株から単離されたDNA配列、およびそのようなDNA配列を含有する宿主生物中で生成されるDNA配列によってコードされるプロテアーゼもまた意味する。さらに、この用語は、合成および/またはcDNA起源のDNA配列によってコードされる、および問題のプロテアーゼの識別特徴を有するプロテアーゼを意味する。例示するために、「バチルス(Bacillus)に由来するプロテアーゼ」は、バチルス(Bacillus)によって自然に生成されるタンパク質分解活性を有する酵素、ならびに遺伝子工学技術の使用を通して前記セリンプロテアーゼをコードする核酸を用いて形質転換された非バチルス(Bacillus)生物によって生成されるバチルス(Bacillus)起源によって生成されるプロテアーゼのようなセリンプロテアーゼを意味する。
「改変全長プロテアーゼ」および「改変前駆プロテアーゼ」は、1つ以上の親もしくは前駆プロテアーゼに由来するシグナルペプチド、プロ(もしくはプロペプチド)領域および成熟領域を含む全長プロテアーゼを意味するために互換的に使用されるが、このときプロ領域もしくはプレ領域または両方は、少なくとも1つの改変もしくは突然変異を含有するように改変されている。他方、本明細書で使用する用語「改変プロテアーゼ」は、1つ以上の親プロテアーゼに由来する少なくとも1つのプロ領域および成熟領域を備える全長もしくは部分プロテアーゼを意味するが、このときプロ領域は、少なくとも1つの改変もしくは突然変異を含有するように改変されている。一部の実施形態では、プロ領域および成熟領域は、同一親プロテアーゼに由来する。他の実施形態では、プロ領域および成熟領域は、異なる親プロテアーゼ由来である。改変プロテアーゼは、非相同プロテアーゼのプロ領域を含有するように、または少なくとも1つの突然変異を備える同一親プロテアーゼのプロ領域域を含有するように改変されているプロ領域を含む。改変プロテアーゼは、野生型ではない、少なくともプロテアーゼコーディング遺伝子の全長にわたっては野生型ではない改変ポリヌクレオチドによってコードされる。改変プロテアーゼのアミノ酸配列は、親アミノ酸配列のプロ領域内に少なくとも1つの突然変異、例えば、1個以上のアミノ酸の置換、欠失もしくは挿入を導入する工程によって、または全親アミノ酸配列のプロ領域を非相同プロテアーゼのプロ領域と置換する工程によって、親プロテアーゼアミノ酸配列から「生成される」と言われる。一部の実施形態では、前駆プロテアーゼのプロ領域の1個以上のアミノ酸は、改変全長プロテアーゼを生成するために置換される。そのような改変は、前駆プロテアーゼ自体の操作ではなくむしろ「前駆」プロテアーゼのアミノ酸配列をコードする「前駆」DNA配列の改変である。例えば、改変全長プロテアーゼは、B.サブチリス(subtilis)サブチリシンAprEのシグナルペプチド、野生型B.レンツス(lentus)サブチリシンP29600のプロペプチド配列およびB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシン変異体BSP−00801の成熟配列を含む配列番号58によって表される。配列番号58の改変全長プロテアーゼをコードするDNA配列は、配列番号14に示した。
プロテアーゼポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに関連して使用される場合の用語「未改変」は、本明細書では、少なくとも1つの突然変異、例えば1つの置換を含むように修飾されていないプロ領域を含むプロテアーゼを意味する。
本明細書の用語「全長タンパク質」および「プレプロタンパク質」は、シグナルペプチド、プロ配列および成熟配列を含む遺伝子産物を意味する。
用語「シグナル配列」、「シグナルペプチド」もしくは「プレ領域」は、タンパク質の成熟形もしくは前駆体形の分泌に関係する可能性があるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の任意の配列を意味する。シグナル配列のこの定義は、タンパク質の分泌の遂行に関係するタンパク質遺伝子のN末端部分によってコードされるすべてのそれらのアミノ酸配列を含むことが意図される機能的配列である。例示するために、本発明のプロテアーゼのプレペプチドは、配列番号58の全長プロテアーゼのアミノ酸1〜29に相当する配列番号40のアミノ酸配列を少なくとも含む。
下記に提示するように、配列番号58は、改変全長プロテアーゼのアミノ酸配列を含むが、このとき下線を引いたアミノ酸残基は1つのAprEシグナルペプチド(すなわち、配列番号58の残基1〜29)を含み、イタリック体のアミノ酸残基はB.lentus_P29600プロペプチド(すなわち、配列番号58の残基30〜113)を含み、大文字のアミノ酸残基は成熟BSP−00801変異プロテアーゼ(すなわち、配列番号58の残基114〜382)を含む。
用語「プロ配列」、「プロ領域」、「プロペプチド」、「プロペプチド配列」または「プロペプチド領域」は、プロテアーゼのフォールディング、分泌および/または生成のために不可欠であるシグナル配列と成熟プロテアーゼとの間のアミノ酸配列である。プロプロテアーゼからのプロ配列の開裂は、成熟活性プロテアーゼを生じさせるであろう。例示するために、本発明のプロテアーゼのプロ領域は、配列番号58の全長プロテアーゼのアミノ酸30〜113に相当する配列番号8のアミノ酸配列を少なくとも含む。
本明細書で使用する「非相同プロペプチド領域」は、関心対象の成熟プロテアーゼに対して天然ではない、または関心対象の成熟プロテアーゼと同一の前駆プロテアーゼの一部として最初に発現するのではないプロペプチド領域を意味する。非相同プロペプチド領域もしくは非相同プロテアーゼのプロペプチド領域は、関心対象の成熟プロテアーゼの天然プロペプチド領域との少なくとも1つのアミノ酸の相違を有する。
プロテアーゼの用語「成熟形」もしくは「成熟領域」は、プロテアーゼの最終機能部分を意味する。例示するために、本発明のプロテアーゼの成熟形は、それぞれ配列番号58の全長プロテアーゼのアミノ酸114〜382もしくは115〜382に相当する配列番号12または13のアミノ酸配列を含む。この状況において、「成熟形」は、全長プロテアーゼ「からプロセシングされる」が、このとき全長プロテアーゼのプロセシングは、シグナルペプチドの除去およびプロ領域の除去を含む。
本明細書の用語「プロタンパク質」、「プロポリペプチド」および「プロプロテアーゼ」は、プロポリペプチドに機能的に連結した成熟形を含むタンパク質を意味する。「プロポリペプチド」は、「プロポリヌクレオチド」によってコードされる。
本明細書で使用する用語「非相同タンパク質」は、天然タンパク質とは対照的に、例えば、天然タンパク質が発生する同一の宿主細胞もしくは宿主菌株内では自然には発生しないタンパク質もしくはポリペプチドを意味する。同様に、「非相同ポリヌクレオチド」は、天然ポリヌクレオチドが発生する同一の宿主細胞もしくは宿主菌株内で自然には発生しないポリヌクレオチドを意味する。非相同ポリペプチドおよび/または非相同ポリヌクレオチドには、天然ポリペプチドおよび/または非相同ポリヌクレオチドが発生する宿主細胞もしくは宿主菌株とは異なる宿主細胞もしくは宿主菌株内で自然に発生する全長もしくは部分野生型ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドが含まれる。それらはさらに、任意の公知の天然宿主細胞もしくは宿主菌株、例えば遺伝子組換えポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド内で自然には発生しない全長もしくは部分ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドが含まれる。それらには、全長、部分またはキメラポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドが含まれる。非相同タンパク質は、天然タンパク質と同一、類似または同等の機能および/または構造を有するタンパク質であってよい、または極めて異なる機能および/または構造を備えるタンパク質であってよい。非相同タンパク質は、天然タンパク質とは異なる少なくとも1個のアミノ酸を有する。
本明細書で使用する「置換(された)」および「置換」は、親配列内のアミノ酸残基もしくは核酸塩基の取り換えを意味する。一部の実施形態では、置換は、天然型残基もしくは塩基の取り換えを包含する。本明細書の改変プロテアーゼは、前駆プロテアーゼのプロ領域内の全アミノ酸中の任意の1つと細菌中で自然に発生する残りの19個のアミノ酸の任意の1つ、または非天然型アミノ酸による前駆プロテアーゼとの置換を含む。
例えば、配列番号8の野生型B.レンツス(lentus)サブチリシンP29600配列の6位のグルタミン酸の置換(「E6」と略記される)は、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グリシン(G)、フェニルアラニン(F)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リシン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(thryptophan)(W)およびチロシン(Y)からなる群から選択されるいずれか1つで置換する/取り換えることができる。同一位置にある任意の他のアミノ酸との1個のアミノ酸の置換(例えば、E6)はE6Xによって表示されるが、このときXは、6位でEと置換する残り19個のアミノ酸のうちの1つである。一部の実施形態では、2個以上のアミノ酸は、アミノ酸置換の組み合わせを含む改変プロテアーゼを生成するために置換される。例えば、6位でのアミノ酸Eのアミノ酸Aとの置換と30位でのアミノ酸Eのアミノ酸Tとの置換との組み合わせは、E6A−E30と表示される。一部の実施形態では、プロ領域における置換に対するアミノ酸位置は、配列番号8のプロ領域内のナンバリングされた位置に対応してナンバリングされる。一部の実施形態では、プロ領域における置換に対するアミノ酸位置は、配列番号7のプロ領域内のナンバリングされた位置に対応してナンバリングされる。
本明細書で使用する「〜との対応により」、「〜に対応して」または「〜と同等である」は、タンパク質もしくはペプチド内の列挙した位置にある残基、またはタンパク質もしくはペプチド内の列挙された残基と類似、相同または同等である残基を意味する。本明細書で使用する「対応領域」は、一般に、関連タンパク質もしくは参照タンパク質に沿った類似位置に関する。参照タンパク質内の列挙した残基に対応する位置にあるタンパク質内の天然アミノ酸は、参照タンパク質内の残基と同一であっても異なっていてもよい。
本明細書の用語「プレポリヌクレオチド」、「プロヌクレオチド」および「成熟ポリヌクレオチド」は、タンパク質、例えばプロテアーゼのプレ、プロおよび成熟領域をそれぞれコードするポリヌクレオチド配列を意味する。
プロテアーゼに関する用語「生成」は、全長プロテアーゼの2つのプロセシング工程であって:(1)タンパク質分泌中に発生することが公知であるシグナルペプチドの除去;および(2)酵素の活性形を作成する、および成熟工程中に発生することが公知であるプロ領域の除去を含む(Wang et al.,Biochemistry 37:3165−3171,1998;Power et al.,Proc Natl Acad Sci USA 83:3096−3100,1986)。本明細書の用語「強化された生成」は、改変全長プロテアーゼからプロセシングされる、および未改変全長プロテアーゼからプロセシングされた場合の同一成熟プロテアーゼの生成のレベルより高いレベルで発生する成熟プロテアーゼの生成を意味する。
成熟プロテアーゼに関する用語「プロセシングされた」は、全長タンパク質、例えば全長プロテアーゼが活性成熟酵素になるために受ける成熟工程に関する。
酵素に関する「活性」は「触媒活性」を意味しており、例えば活性の速度、活性の量または比活性などの酵素活性の任意の容認可能な尺度を含んでいる。触媒活性は、例えば特異的化学結合の加水分解などの特異的化学反応を触媒する能力に関する。当業者であれば理解するように、酵素の触媒活性は、さもなければ緩徐な化学反応の速度を加速するだけである。酵素は触媒としてのみ作用するので、反応自体によって生成されることも消費されることもない。当業者であれば、さらにポリペプチド全てが触媒活性を有するのではないことも理解するであろう。「比活性」は、全タンパク質もしくは酵素の単位当たりの酵素の活性の尺度である。したがって、比活性は、酵素の単位重量(例えば、グラム当たり、もしくはミリグラム当たり)または単位容積(例えば、1ml当たり)によって表示することができる。さらに、比活性は、酵素の純度の尺度を含むことができる、または例えば、活性の標準物質が公知である、または比較のために入手可能である場合には、純度の指標を提供することができる。活性の量は、測定される酵素を発現する宿主細胞によって生成される酵素の量を反映する。
用語「相対活性」もしくは「生成率」は、本明細書では改変プロテアーゼからプロセシングされた成熟プロテアーゼの酵素活性対未改変プロテアーゼからプロセシングされた成熟プロテアーゼの酵素活性の比率を互換的に意味するために使用される。生成率は、改変前駆体からプロセシングされたプロテアーゼの活性値を未改変前駆体からプロセシングされた場合の同一プロテアーゼの活性値で割ることによって決定される。相対活性は、パーセンテージとして表示される生成率である。
本明細書で使用する用語「発現」は、それによりポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生成される工程を意味する。このプロセスには、転写および翻訳の両方が含まれる。
用語「同一性率(%)」は、前駆体配列(すなわち、親配列)のアミノ酸残基/ヌクレオチド残基と同一である候補配列中のアミノ酸/ヌクレオチド残基のパーセンテージであると定義されている。アミノ酸配列同一性(%)値は、適合する同一残基の数をアライメント領域の「より長い」配列の残基の総数で割ることにより決定される。アミノ酸配列は、アミノ酸が参照配列と比較して主題配列内で置換されている、欠失しているまたは挿入されている場合は「同一」ではない。タンパク質については、配列同一性率は、好ましくは後翻訳改変と比較して類似状態にある配列間で測定される。典型的には、主題タンパク質の「成熟配列」、すなわちシグナル配列を除去するためのプロセシング後に残留する配列が、参照タンパク質の成熟配列と比較される。他の例では、主題ポリペプチド配列の前駆体配列が参照配列の前駆体と比較されてよい。
本明細書で使用する用語「プロモーター」は、下流遺伝子の転写を指示するように機能する核酸配列を意味する。一部の実施形態では、プロモーターは、その中で標的遺伝子が発現させられる宿主細胞にとって適切である。プロモーターは、他の転写および翻訳調節核酸配列(「制御配列」とも呼ばれる)と一緒に、所与の遺伝子を発現させるために必要である。一般に、転写および翻訳調節配列には、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列ならびにエンハンサーもしくはアクチベーター配列が含まれるがそれらに限定されない。
核酸もしくはポリペプチドは、それがまた別の核酸もしくはポリペプチド配列それぞれとの機能的関係に置かれている場合には「機能的に連結」している。例えば、プロモーターもしくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合は、コーディング配列と機能的に連結している;リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進できるように位置している場合はコーディング配列と機能的に連結している;または改変もしくは非相同プロ領域は、それが酵素の成熟活性形を生成する全長プロテアーゼのプロセシングを可能にする場合は、プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している。一般に、「機能的に連結した」は、連結されるDNAもしくはポリペプチド配列が隣接していることを意味する。一部の例では、「機能的に連結した」は、間接的連結を含む。
「宿主細胞」は、本発明によるDNAを含む発現ベクターに対して宿主として機能する好適な細胞を意味する。好適な宿主細胞は、天然型もしくは野生型宿主細胞であってよい、または変化した宿主細胞であってよい。1つの実施形態では、宿主細胞は、グラム陽性菌である。一部の実施形態では、この用語は、バチルス(Bacillus)属の細胞に関する。
本明細書で使用する「バチルス(Bacillus)種」には、B.サブチリス(subtilis)、B.リケニホルミス(licheniformis)、B.レンツス(lentus)、B.ギブソニイ(gibsonii)、B.クラウシイ(clausii)、B.ノバリス(novalis)、B.ブレビス(brevis)、B.プミリス(pumilis)、B.ステアロテルモフィルス(stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)、B.ハロデュランス(halodurans)、B.メガテリウム(megaterium)、B.コアグランス(coagulans)、B.サーキュランス(circulans)、B.ラウツス(lautus)およびB.チューリンゲンシス(thuringiensis)を含むがそれらに限定されない、当業者には公知である「バチルス(Bacillus)属」に含まれるすべての種が含まれる。バチルス(Bacillus)属が分類学的再構成を受け続けることは認識されている。したがって、この属には、現在は「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と称される「B.ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)」などの生物を含むがそれらに限定されない、再分類されている種が含まれることが意図されている。酸素の存在下で抵抗性内生胞子の生成は、「バチルス(Bacillus)属」の重要な特徴であると考えられるが、この特徴は、さらに、最近名付けられたアリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、アンフィバチルス(Amphibacillus)属、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)属、アノキシバチルス(Anoxybacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、フィロバチルス(Filobacillus)属、グラシリバチルス(Gracilibacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サリバチルス(Salibacillus)属、テルモバチルス(Thermobacillus)属、ウレイバチルス(Ureibacillus)属およびビルジバチルス(Virgibacillus)属にも当てはまる。
本明細書で互換的に使用する用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形を意味する。これらの用語には、一本鎖DNA、二本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、またはプリンおよびピリミジン塩基、または他の天然、化学的、生化学的改変、非天然もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドの非限定的例には、遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、EST、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマーが含まれる。遺伝子コードの縮重の結果として、所定のタンパク質をコードする多数のヌクレオチド配列が生成される可能性があることは理解されるであろう。
本明細書で使用する用語「DNA構築物」および「形質転換DNA」は、宿主細胞もしくは生物内に配列を導入するために使用されるDNAを意味するために互換的に使用される。DNA構築物は、PCRによって、または当業者には公知の他の好適な技術によってin vitroで生成することができる。一部の実施形態では、DNA構築物は、関心対象の配列(例えば、1つの改変プロテアーゼをコードする配列)を含む。一部の実施形態では、この配列は、例えば制御要素(例えば、プロモーターなど)の追加の要素に機能的に連結している。DNA構築物は、選択可能なマーカーをさらに含むことができる。一部の実施形態では、DNA構築物は、宿主細胞染色体にとって相同である配列を含む。他の実施形態では、DNA構築物は、非相同配列を含む。DNA構築物がin vitroで組み立てられると、DNA構築物は、宿主細胞染色体の1領域に突然変異を起こさせる(すなわち、内因性配列を非相同配列と置換する)ために使用することができる。
本明細書で使用する用語「発現カセット」は、標的細胞中の特定核酸の転写を許容する一連の特定の核酸要素を用いて組換え的または合成的に生成される核酸構築物を意味する。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスもしくは核酸断片などのベクター内に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写対象の核酸配列およびプロモーターが含まれる。一部の実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞中で非相同DNA断片を組み込んで発現させる能力を有する。多数の原核生物および真核生物発現ベクターは、市販で入手できる。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内に含まれる。用語「発現カセット」は、本明細書ではDNA構築物およびそれらの文法上の同等物と互換的に使用される。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内に含まれる。
本明細書で使用する用語「非相同DNA配列」は、宿主細胞中で自然には発生しないDNA配列を意味する。一部の実施形態では、非相同DNA配列は、調節要素を含む、様々な遺伝子の部分を含むキメラDNA配列である。
本明細書で使用する用語「ベクター」は、核酸を1種以上の細胞型に導入するように設計されているポリヌクレオチド構築物を意味する。ベクターには、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクターおよびプラスミドが含まれる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド構築物は、全長プロテアーゼ(例えば、改変プロテアーゼもしくは未改変プロテアーゼ)をコードするDNA配列を含む。本明細書で使用する用語「プラスミド」は、クローニングベクターとして使用される、および一部の真核生物もしくは単核生物内で特別な染色体自己複製遺伝要素を形成する、または宿主染色体内に統合する環状二本鎖DNA構築物を意味する。
核酸配列を細胞中に導入する状況において本明細書で使用する用語「導入(された)」は、核酸配列を細胞中に移すために好適な任意の方法に関する。導入のためのそのような方法には、プロトプラスト融合法、トランスフェクション法、形質転換法、コンジュゲーション法および形質導入法が含まれるがそれらに限定されない(例えば、Ferrari et al.,‘‘Genetics,’’in Hardwood et al.,(eds.),Bacillus,Plenum Publishing Corp.,pages57−72,1989を参照されたい)。
本明細書で使用する用語「形質転換(された)」および「安定性に形質転換(された)」は、そのゲノム内に統合された、または少なくとも2世代にわたり維持されているエピソームプラスミドとしての非天然(非相同)ポリヌクレオチド配列を有する細胞に関する。
改変プロテアーゼ
本発明は、細菌宿主細胞中で成熟プロテアーゼを生成するための方法および組成物を提供する。本組成物には、生成対象のプロテアーゼの天然プロ領域内の非相同プロ領域もしくは少なくとも1つの突然変異を有する改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド;そのようなポリヌクレオチドによってコードされた改変セリンプロテアーゼ;改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセット、DNA構築物、ベクターおよび染色体;ならびにベクターを用いて形質転換された、もしくは本発明の染色体を含む細菌宿主細胞が含まれる。これらの方法には、細菌宿主細胞、例えば、バチルス(Bacillus)種宿主細胞中での成熟プロテアーゼの生成を強化するための方法が含まれる。生成されたプロテアーゼは、クリーニング、動物飼料および繊維加工産業を含むがそれらに限定されない様々な産業において使用するために好適な酵素の工業生産において利用される。
それによりタンパク質が膜を越えて輸送される基本的機序は、細菌と真核生物との間で保存された重要な特徴を備えて普遍的であると思われる。バチルス(Bacillus)種は、所定のタンパク質を大量の増殖培地中に分泌することができるので、例えばアルカリ性セリンプロテアーゼなどの酵素の工業的生産のために使用される。プロテアーゼは、プロテアーゼのシグナルペプチドとしても公知であるプレ領域、プロ領域および成熟領域を含むプレプロプロテアーゼとして公知である前駆プロテアーゼからin vivoで生成される。バチルス(Bacillus)種細胞エンベロープを越えるタンパク質分泌は、前駆タンパク質の膜内への挿入および膜を越えるタンパク質の転座を含む複雑なプロセスである。プレ領域は、膜を越えるタンパク質分泌のためのシグナルペプチドとして機能し、シグナルペプチダーゼによって加水分解される。成熟プロセスの細胞外部分は、酵素の活性成熟形を作成するためのプロプロテアーゼのフォールディング、プロ領域の自己プロセシングおよびプレ領域の分解を含む(Nagarjan V.,Protein Secretion in‘‘Bacillus subtilis and other Gram−Positive Bacteria’’Ch.49,p713−726,1993;Ruan et al.,Biochemistry,38:8562−8571,2009)。
一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、セリンプロテアーゼである。一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、アルカリ性セリンプロテアーゼである。所定の実施形態では、改変プロテアーゼは、サブチリシンである。
一部の実施形態では、本発明は、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域を含む改変プロテアーゼを提供する。一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域からなる、または本質的になる。一部の実施形態では、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)のメンバーではないバチルス(Bacillus)種由来である。一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域を含む。所定の実施形態では、第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、同一バチルス(Bacillus)種もしくは同一菌株由来である。他の実施形態では、第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、異なるバチルス(Bacillus)種もしくは菌株由来である。
一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼ(生成対象のプロテアーゼ)のプロペプチド領域コーディング核酸配列(天然プロポリヌクレオチド)を非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域をコードする核酸配列(非相同プロポリヌクレオチド)と取り換える工程によって生成される。
プロペプチド領域
本発明の改変プロテアーゼの一部の実施形態では、プロペプチド領域は、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼ由来のプロペプチド領域(例えば、非バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼ、または成熟領域の配列を提供する天然種もしくは菌株由来の異なるB.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)種もしくはB.ギブソニイ(gibsonii)の異なる菌株由来のプロテアーゼ)である。非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼ由来のプロペプチド領域は、成熟領域の配列を提供するプロテアーゼの天然プロペプチド領域とは異なる少なくとも1個のアミノ酸を有する。一部の実施形態では、プロペプチド領域は、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼ由来の非天然型の変異プロペプチド領域である。
様々なバチルス(Bacillus)種由来の非相同プロテアーゼは、タンパク質配列をコードするアミノ酸もしくはヌクレオチドの形態にある改変プロテアーゼのプロペプチド領域のための配列を提供するため、もしくは配列を引き出すために使用することができる。例えば、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・レヘンシス(Bacillus lehensis)、バチルス・ノバリス(Bacillus novalis)由来のセリンプロテアーゼまたはそれらの関連種は、全て使用できる。一部の実施形態では、改変プロテアーゼのプロペプチド領域は、B.レンツス(lentus)もしくはその関連種由来である。野生型もしくは変異非相同プロテアーゼは、どちらも使用できる。非相同プロテアーゼの例には、BspQ01211、Bps02592、B.lentus_P29600、BspAL03240、Bpan01744、B.clausii_P41362、B.lehensis_AFK08970、Bps02003、Bohn00569、BspAK01305、Bpan04382およびBspAL03279が含まれるがそれらに限定されない。
例えば、B.clausii_P41362のプロペプチド配列は配列番号42に規定し、B.lehensis_AFK08970のプロペプチド配列は配列番号43に規定し、Bps02003のプロペプチド配列は配列番号48に規定し、BspQ01211のプロペプチド配列は配列番号49に規定し、Bps02592のプロペプチド配列は配列番号50に規定し、B.lentus_P29600のプロペプチド配列は配列番号8に規定し、BspAL03240のプロペプチド配列は配列番号51に規定し、Bpan01744のプロペプチド配列は配列番号52に規定し、Bohn00569のプロペプチド配列は配列番号53に規定し、BspAK01305のプロペプチド配列は配列番号54に規定し、Bpan04382のプロペプチド配列は配列番号55に規定し、およびBspAL03279のプロペプチド配列は配列番号56に規定した。
B.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)プロペプチド領域(バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの非相同および変異プロペプチド領域を含む)が使用される実施形態では、そのようなバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの例としては、本明細書に参照により組み込まれる、それらの全部が国際公開第2015/089447号パンフレットに開示されているB.ギブソニイ(gibsonii)菌株DSM8722(Bgi02446もしくはAprBGと指名されたプロテアーゼ)、DSM9728、DSM9729、DSM9730およびDSM9731由来のサブチリシンが含まれるがそれらに限定されない。これらのDSM菌株セリンプロテアーゼのプロペプチド配列は同一である。
そのようなバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの他の例には、B.ギブソニイ(gibsonii)TII−5(国際公開第2003/054185号パンフレット、Derwent特許索引アクセッション番号CAE48424)、B.ギブソニイ(gibsonii)TI−1(国際公開第2003/054184号パンフレット、Derwent特許索引アクセッション番号CAE48421)、B.ギブソニイ(gibsonii)HP302(国際公開第2007/131657号パンフレット、Derwent特許索引アクセッション番号CAS91385および国際公開第2008/086916号パンフレット、Derwent特許索引アクセッション番号CAV33594)が含まれるがそれらに限定されない。
本明細書に記載したバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼのプロペプチド領域の配列は、配列番号7(Bgi02446プロペプチド)、配列番号45(B.gibsonii_TII−5プロペプチド)、配列番号46(B.gibsonii_HP302プロペプチド)および配列番号47(B.gibsonii_TI−1プロペプチド)に規定した。
上記のバチルス(Bacillus)種のサブチリシン由来のプロペプチド領域間の関係を比較および可視化するために、代表的な配列の系統樹を生成し、図1に規定した。このプロペプチドアミノ酸配列は、Vector NTI Advance suite内に入力され、樹形図はNJ(近隣結合)法(Saitou and Nei,Mol.Biol.Evol,4:406−425,1987)を使用して作成された。
NJ法は、分析対象の全配列対間の距離行列上に機能する。これらの距離は、配列間の相違度に関連している。樹形図は、配列がアラインメントされた後に計算される。樹の構成は、下記のパラメーター:配列間距離およびギャップを備える位置の無視についてのKimuraの補正を使用して計算した。系統樹を表示するためには、MEGA6プログラムを使用した。デフォルトパラメーターを用いたCLUSTALWソフトウェア(Thompson et al.,Nucleic Acids Research,22:4673−4680,1994)を使用して作成されたより詳細な配列アラインメントAを表示し、下記の実施例13に規定した。
改変プロテアーゼの一部の実施形態では、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域または非相同プロペプチド配列は、配列番号8との少なくとも40%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域または非相同プロペプチド配列は、配列番号8との少なくとも42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%もしくは70%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、非相同プロペプチド領域は、配列番号8との少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来の変異プロペプチド領域であって、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異プロペプチド領域を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の6位、30位もしくは32位に対応する位置にある。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞(例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞)によるバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの前記成熟領域の生成を強化する。
一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、同一の第1ポリヌクレオチド領域および第3ポリヌクレオチド領域を含むが第2ポリヌクレオチド領域は同一サブチリシンの野生型プロペプチドをコードするポリヌクレオチドと比較して、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの前記成熟領域の生成を強化する。
一部の実施形態では、プロペプチド領域は、配列番号7との少なくとも60%の同一性を備えるバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域を含む。一部の実施形態では、変異プロペプチド領域は、配列番号7との少なくとも62%、64%、66%、68%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域は、配列番号7の34位に対応する位置で1つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞(例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞)によるバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域の生成を強化する。
一部の実施形態では、非相同もしくは変異プロペプチド領域のプロペプチド領域は、配列番号44に規定した(図11に示し、さらに実施例13に記載したアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、各「X」は、任意のアミノ酸であってよい。一部の実施形態では、1位、22〜51位および91位にある「X’s」は、個別もしくは集合的に非存在であってよい。特定の実施形態では、配列番号44中のアミノ酸「Xs」は、下記の表1に規定した可能性のあるアミノ酸から選択することができる。
他の実施形態では、非相同もしくは変異プロペプチド領域のプロペプチド配列は、図12に示した配列番号69に規定した1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、各Xは、任意のアミノ酸であってよい。特定の実施形態では、配列番号44中のアミノ酸「X’s」は、下記の表2に規定した可能性のあるアミノ酸から選択することができる。
改変プロテアーゼの一部の実施形態では、非相同もしくは変異バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域は、配列番号44もしくは69との少なくとも50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
成熟領域
一部の実施形態では、本発明の改変プロテアーゼの成熟領域は、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼ由来である。バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)メンバーの様々な種もしくは菌株が同定されている。多数のバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)メンバーのセリンプロテアーゼもしくはサブチリシンの配列は、それらの全部が参照により本明細書に組み込まれるDeng et al.2014(J.Microbiol.Biotechnol.24:197−208)、PCT国際公開第2015/089447号パンフレット、同第2016/069563号パンフレットおよび同第2016/069569号パンフレットを含む刊行物もしくは特許出願に報告もしくは開示されている。
下記には、少数例のバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)メンバーおよびそれらのセリンプロテアーゼ前駆体/プレプロ酵素配列を規定する。シグナル配列は下線を引いてボールド体で、プロ配列はイタリック体で記載され、他方、予想成熟酵素配列は、通常フォントで記載されている。しかし、少なくとも一部の予想成熟領域配列は、自然に生成可能であるとは確証されていない。
AprBGとしても公知であるバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)菌株DSM8722(Deng et al.2014)のBgi02446ならびに菌株DSM9728、DSM9729、DSM9730およびDSM9731によってコードされた相同サブチリシン酵素は、全部が重要な配列同一性を共有し、サブチリシン系統樹の同一領域内で集団を形成する(PCT国際公開第2015/089447号パンフレットを参照されたい)。それらは、サブチリシンのB.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)の基礎を形成する。
プレプロ酵素Bgi02446のアミノ酸配列は配列番号61に規定し、Bgi02446の予想成熟領域のアミノ酸配列は、配列番号11に規定した。
下記の実施例6に規定するように、配列番号11の配列(N末端で2つのグルタミン(QQ)を有する)を含むBgi02446の予想成熟領域は、それに機能的に連結している非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域を使用して生成した。Bgi02446の天然プロペプチド領域がBgi02446の成熟領域を発現させるために使用された場合は、配列番号10に規定した配列である、N末端で1つのグルタミン(Q)しか有していない、異なる形態の成熟領域配列が生成された。
DSM9728プレプロ酵素のアミノ酸配列は、配列番号62として規定した。
DSM9729プレプロ酵素のアミノ酸配列は、配列番号63に規定した。
DSM9730プレプロ酵素のアミノ酸配列は、配列番号64に規定した。
少数の他のセリンプロテアーゼであるバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシンメンバーもまた、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)下に分類される。例えば、天然型B.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンBgi02446の変異体であるB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンBSP−00801もまた、本明細書ではバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)下に分類される。このタンパク質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2015年6月17日に出願された‘‘Bacillus gibsonii−Clade Serine Proteases’’と題する米国仮特許出願第62/180,673号明細書にも開示されている。BSP−00801の成熟領域の2つの形態の配列は、配列番号12および配列番号13に示した。米国仮特許出願第62/180,673号明細書に開示されたBgi02446の他の変異体は、さらに本発明の改変プロテアーゼのための成熟領域を提供するためにも使用できる。
DSM9731プレプロ酵素のアミノ酸配列は、配列番号57に規定した。
少数の他のセリンプロテアーゼが同定されており、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)下に分類することができる。例えば、全部がHenkel AG&Co.によって開示された、PCT国際公開第2008/086916号パンフレットに開示された、B.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシン(Derwent特許索引アクセッション番号CAV33594)、同第2003/054185号パンフレットに開示されたB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンTII−5(アクセッション番号CAE48424)、同第2003/054184号パンフレットに開示されたB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンTI−1(アクセッション番号CAE48421)および同第2007/131657号パンフレットに開示されたB.ギブソニイ(gibsonii)サブチリシンHP302(アクセッション番号CAS91385)。これらの配列の予想成熟領域を抽出して下記に示した。
WO2003/054184−CAE48421の予想成熟領域のアミノ酸配列は配列番号65として規定し、WO2003/054185−CAE48424の予想成熟領域のアミノ酸配列は配列番号66として規定し、WO2007/131657−CAS91385の予想成熟領域のアミノ酸配列は配列番号67に規定し、WO20008/086916−CAV33594の予想成熟領域のアミノ酸配列は配列番号68として規定した。
一部の実施形態では、本発明の改変プロテアーゼの成熟領域は、野生型バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシン由来である。他の実施形態では、本発明の改変プロテアーゼの成熟領域は、突然変異もしくは変異バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシン由来である。一部の実施形態では、改変プロテアーゼの成熟領域は、Bgi02446、DSM9728、DSM9729、DSM9730、DSM9731、B.ギブソニイ(gibsonii)TII−5(WO2003/054185−CAE48424)、(WO2003/054184−CAE48421)に開示されたB.ギブソニイ(gibsonii)TI−1、B.ギブソニイ(gibsonii)HP302(WO2007/131657−CAS91385およびWO2008/086916−CAV33594)からなる群から選択されるサブチリシン由来である。所定の実施形態では、改変プロテアーゼの成熟領域は、Bgi024446サブチリシン由来である。他の実施形態では、改変プロテアーゼの成熟領域は、Bgi024446サブチリシンの変異体由来である。所定の実施形態では、成熟領域は、BSP−00801由来である。
本発明の改変プロテアーゼの一部の実施形態では、成熟領域は、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)下に分類することはできないが、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシンと相同であるバチルス(Bacillus)プロテアーゼ由来である。所定の他の実施形態では、成熟領域は、配列番号10、11、12または13との少なくとも60%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、成熟領域は、配列番号10、11、12または13との少なくとも65%、70%、75%、76%、77%、78%もしくは79%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、成熟領域は、配列番号10、11、12または13との少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、成熟領域は、配列番号10、11、12または13のアミノ酸配列を含む。
ポリヌクレオチド、発現ベクター、染色体および宿主細胞
1つの態様では、本発明は、非相同プロ領域または生成対象のプロテアーゼの天然プロ領域内に少なくとも1つの突然変異を有する改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載した改変プロテアーゼをコードする。
一部の実施形態では、本発明は、1つの改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドであって:
(a)任意選択的に1つのシグナルペプチドをコードする第1ポリヌクレオチド;
(b)非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域をコードする第2ポリヌクレオチド領域であって、前記プロペプチド領域が配列番号8との少なくとも40%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む第2ポリヌクレオチド領域;および
(c)バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼを含み;
ここで第1ポリヌクレオチド領域は第2ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しており、第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているポリヌクレオチドを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、1つの改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、
(a)任意選択的に1つのシグナルペプチドをコードする第1ポリヌクレオチド;
(b)バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のプロテアーゼのプロペプチド領域をコードする第2ポリヌクレオチド領域、および
(c)バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域をコードする第3ポリヌクレオチド領域を含み;
ここで前記第1ポリヌクレオチド領域は第2ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しており、第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているポリヌクレオチドを提供する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、第1ポリヌクレオチド領域を含む。他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、第1ポリヌクレオチド領域を含まない。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のプロテアーゼのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・レヘンシス(Bacillus lehensis)およびバチルス・ノバリス(Bacillus novalis)からなる群から選択されるバチルス(Bacillus)種由来のプロテアーゼのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)由来のプロテアーゼのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のセリンプロテアーゼもしくはサブチリシンのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの野生型プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの変異プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、BspQ01211、Bps02592、B.lentus_P29600、BspAL03240、Bpan01744、B.clausii_P41362、B.lehensis_AFK08970、Bps02003、Bohn00569、BspAK01305、Bpan04382およびBspAL03279からなる群から選択されるサブチリシンのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、BspQ01211、Bps02592、B.lentus_P29600、BspAL03240、B.clausii_P41362、B.lehensis_AFK08970およびBpan01744からなる群から選択されるサブチリシンのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、B.lentus_P29600のプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号8との少なくとも50%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号8との少なくとも75%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号8との少なくとも90%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号8の配列を含む1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの変異プロペプチド領域であって、配列番号8の6位、30位もしくは32位に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞によるバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの前記成熟領域の生成を強化する。一部の実施形態では、前記バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞である。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、前記同一の第1ポリヌクレオチド領域および第3ポリヌクレオチド領域を含むが第2ポリヌクレオチド領域は同一サブチリシンの野生型プロペプチドをコードするポリヌクレオチドと比較して、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの前記成熟領域の生成を強化する。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の6位に対応する位置にあり、前記位置の天然アミノ酸は、A、C、R、N、Q、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、YおよびVからなる群から選択される1つのアミノ酸と置換される。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の30位に対応する位置にあり、前記位置の天然アミノ酸は、A、R、N、D、C、Q、G、H、L、K、M、S、T、W、YおよびVからなる群から選択される1つのアミノ酸と置換される。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の32位に対応する位置にあり、前記位置の天然アミノ酸は、R、N、C、Q、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、YおよびVからなる群から選択される1つのアミノ酸と置換される。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、前記プロペプチド領域が配列番号8の6位、30位および32位から選択された位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことを前提に、配列番号8に規定したプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の6位で、E6A、E6C、E6R、E6N、E6Q、E6G、E6H、E6I、E6L、E6K、E6M、E6F、E6P、E6S、E6T、E6W、E6YおよびE6Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の30位で、E30A、E30R、E30N、E30D、E30C、E30Q、E30G、E30H、E30L、E30K、E30M、E30S、E30T、E30W、E30YおよびE30Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の32位で、A32R、A32N、A32C、A32Q、A32G、A32H、A32I、A32L、A32K、A32M、A32F、A32P、A32S、A32T、A32W、A32YおよびA32Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
第2ポリヌクレオチドが非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域をコードし、プロペプチド領域が配列番号8との少なくとも40%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む本発明のポリヌクレオチドの所定の実施形態では、プロペプチド領域は、配列番号8の6位に対応する位置でD、PおよびWからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。所定の実施形態では、第2ポリヌクレオチドによってコードされるプロペプチド領域は、配列番号8の6位に対応する位置でD、C、Y、PおよびWからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。所定の実施形態では、第2ポリヌクレオチドによってコードされるプロペプチド領域は、配列番号8の6位に対応する位置でN、H、I、F、S、V、D、C、P、YおよびWからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。一部の実施形態では、第2ポリヌクレオチドによってコードされるプロペプチド領域は、配列番号8の30位に対応する位置でI、PおよびYからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。所定の実施形態では、第2ポリヌクレオチドによってコードされるプロペプチド領域は、配列番号8の32位に対応する位置でアミノ酸Qを含まない。所定の実施形態では、第2ポリヌクレオチドによってコードされるプロペプチド領域は、配列番号8の32位に対応する位置でN、L、PおよびQからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号5との少なくとも60%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号5との少なくとも90%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号5の配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号5の6番目、30番目もしくは32番目のコドンが異なるアミノ酸をコードするように突然変異していることを前提に、配列番号5に規定した配列を含む。
一部の実施形態では、本発明は、1つの改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドであって:
a)任意選択的に1つのシグナルペプチドをコードする第1ポリヌクレオチド;
b)第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域をコードする第2ポリヌクレオチド領域;および
c)第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域をコードする第3ポリヌクレオチド領域を含み、
ここで第1ポリヌクレオチド領域は第2ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しており、第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているポリヌクレオチドを提供する。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼもしくは前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、セリンプロテアーゼもしくはサブチリシンである。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、同一バチルス(Bacillus)種由来である。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、第前記1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、異なるバチルス(Bacillus)種由来である。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号7との少なくとも60%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号7との少なくとも90%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号7との少なくとも60%の同一性を備える変異プロペプチド領域であって、配列番号7の34位に対応する位置で1つのアミノ酸置換を含む変異プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、前記プロペプチド領域が配列番号7の34位で1つのアミノ酸置換を含むことを前提に、配列番号7に規定したプロペプチド領域をコードする。一部の実施形態では、前記位置にある天然アミノ酸は、D、C、G、H、SおよびVからなる群から選択される1つのアミノ酸で置換されている。一部の実施形態では、配列番号7の34位での前記アミノ酸置換は、E34D、E34C、E34G、E34H、E34SおよびE34Vからなる群から選択される。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記アミノ酸置換は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞による第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域の生成を強化する。一部の実施形態では、前記バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞である。
第2ポリヌクレオチドが第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域をコードする本発明のポリヌクレオチドの所定の実施形態では、プロペプチド領域は、配列番号7の34位に対応する位置でA、R、N、Q、I、L、K、M、F、P、T、YおよびWからなる群から選択される任意のアミノ酸を含まない。所定の実施形態では、変異プロペプチド領域は、配列番号7の6位もしくは36位に対応する位置で1つの置換アミノ酸を含まない。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号3との少なくとも60%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号3との少なくとも90%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号3の34番目のコドンが異なるアミノ酸をコードするように突然変異していることを前提に、配列番号3に規定した配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号44に規定した1つのアミノ酸配列を含む非相同もしくは変異プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、本明細書の前記第2ポリヌクレオチド領域は、配列番号69に規定した1つのアミノ酸配列を含む非相同もしくは変異プロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、バチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)由来のプロテアーゼの成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)セリンプロテアーゼもしくはサブチリシンの成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、野生型バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシンの成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、変異バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)サブチリシンの成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、Bgi02446、DSM9728、DSM9729、DSM9730、DSM9731、B.gibsonii TII−5(WO2003/054185−CAE48424)、B.gibsonii TI−1(WO2003/054184−CAE48421)、B.gibsonii HP302(WO2007/131657ト−CAS91385)およびWO2008/086916−CAV33594からなる群から選択されるサブチリシンのプロペプチド領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、Bgi024446の成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、Bgi024446の変異体の成熟領域をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号10、11、12または13との少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号10、11、12または13の配列を含む1つのアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号10または11の配列を含む1つのアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号12または13の配列を含む1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号4または9との少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、前記第3ポリヌクレオチド領域は、配列番号4もしくは9の配列を含む。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域が存在し、1つのバチルス(Bacillus)シグナルペプチドをコードする。一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域が存在し、1つのバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)シグナルペプチドをコードする。一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域は、配列番号40との少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域は、配列番号40の配列を含む1つのアミノ酸配列をコードする。
ポリヌクレオチドの一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域が存在し、配列番号2との少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を備える1つのヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、前記第1ポリヌクレオチド領域は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。
一部の実施形態では、本発明は、1つの改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、
(a)配列番号40のアミノ酸配列をコードする第1ポリヌクレオチド領域;
(b)配列番号8のアミノ酸配列をコードする、またはE6A、E6C、E6R、E6N、E6Q、E6G、E6H、E6I、E6L、E6K、E6M、E6F、E6P、E6S、E6T、E6W、E6Y、E6V、E30A、E30R、E30N、E30D、E30C、E30Q、E30G、E30H、E30L、E30K、E30M、E30S、E30T、E30W、E30Y、E30V、A32R、A32N、A32C、A32Q、A32G、A32H、A32I、A32L、A32K、A32M、A32F、A32P、A32S、A32T、A32W、A32YおよびA32Vからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を備える配列番号8の配列をコードする第2ポリヌクレオチド領域、および
(c)配列番号11または12のアミノ酸配列をコードする第3ポリヌクレオチド領域を含み、
ここで第1ポリヌクレオチド領域は第2ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しており、第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているポリヌクレオチドを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、1つの改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドであって:
a)配列番号40のアミノ酸配列をコードする第1ポリヌクレオチド領域;
b)E34D、E34C、E34G、E34H、E34SおよびE34Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を備える、配列番号7のアミノ酸配列をコードする第2ポリヌクレオチド領域、および
c)配列番号11または12のアミノ酸配列をコードする第3ポリヌクレオチド領域を含み、
ここで前記第1ポリヌクレオチド領域は第2ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しており、第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているポリヌクレオチドを提供する。
1つの態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
また別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む改変染色体を提供する。染色体は、宿主細胞DNA構築物に、染色体に統合されている本発明のポリヌクレオチドを導入することによって変化させることができる。染色体は、外来DNA構築物を用いずにin situ突然変異させることもできる。
一部の実施形態では、発現ベクターもしくは改変染色体は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)内での遺伝子発現のために好適であり、第1ポリヌクレオチド領域に機能的に連結しているプロモーターをさらに含む。
1つの態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、発現ベクターもしくは改変染色体を含むバチルス(Bacillus)種宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、前記宿主細胞は、B.サブチリス(subtilis)宿主細胞である。
上述したように、一部の実施形態では、本発明は、上記の改変ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、その中で本発明の改変プロテアーゼをコードする改変ポリヌクレオチド配列が効率的な遺伝子発現のために必要とされる追加のセグメント(例えば、関心対象の遺伝子に機能的に連結しているプロモーター)に機能的に連結している発現ベクターである。一部の実施形態では、これらの必要な要素は、それが認識される(すなわち、宿主によって転写される)場合は遺伝子の固有の相同プロモーター、および外因性またはプロテアーゼ遺伝子の内因性終結因子領域によって供給される転写終結因子として供給される。一部の実施形態では、例えば抗菌物質含有媒体中での増殖によってプラスミド感染宿主細胞の連続的培養維持を可能にする抗生物質耐性遺伝子などの選択遺伝子もまた含まれる。
一部の実施形態では、発現ベクターは、プラスミドもしくはウイルスDNAに由来する、または代替実施形態では、両方の要素を含有する。典型的なベクターには、pXX、pC194、pJH101、pE194、pHP13(Harwood and Cutting(eds),Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley & Sons,1990,in particular,chapter 3; suitable replicating plasmids for B.subtilis include those listed on page 92;Perego,M.(1993) Integrational Vectors for Genetic Manipulations in Bacillus subtilis,p.615−624;A.L.Sonenshein,J.A.Hoch,and R.Losick(ed.),Bacillus subtilis and other Gram−positive bacteria:biochemistry,physiology and molecular genetics,American Society for Microbiology,Washington,D.C.)が含まれるがそれらに限定されない。
細胞中での関心対象のタンパク質、例えばプロテアーゼの発現および生成のためには、改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーを含む、および好ましくは複数のコピーを含む少なくとも1つの発現ベクターは、プロテアーゼを発現させるために好適な条件下で細胞内に形質転換させられる。一部の特定の実施形態では、プロテアーゼをコードする配列(ならびにベクター内に含まれる他の配列)は、宿主細胞のゲノム内に統合されるが、他の実施形態では、プラスミドは依然として自立染色体外要素として細胞中に残留する。したがって、本発明は、染色体外要素ならびに宿主細胞ゲノム内に統合されている入来配列の両方を提供する。本明細書に記載したベクターのそれぞれは、本発明において利用されることが意図されている。一部の実施形態では、改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド構築物は、改変ポリヌクレオチドの細菌染色体内への統合および任意選択的な増幅を可能にする統合ベクター(例えば、pJH−GG36;図4)上に存在する。統合のための部位の例としては、aprE、amyE、vegまたはpps領域が挙げられるがそれらに限定されない。実際に、当業者には公知である他の部位が本発明において利用されるであろうことは企図されている。一部の実施形態では、改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドの転写は、選択された前駆プロテアーゼのための野生型プロモーターであるプロモーターによって達成される。一部の他の実施形態では、プロモーターは、前駆プロテアーゼにとって非相同であるが、宿主細胞内では機能的である。詳細には、細菌宿主細胞中で使用するために好適なプロモーターの例としては、amyE、amyQ、amyL、pstS、sacB、pSPAC、pAprE、pVeg、pHpaIIプロモーター、B.ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子のプロモーター、B.アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)(BAN)アミラーゼ遺伝子、B.サブチリス(subtilis)アルカリ性プロテアーゼ遺伝子、B.クラウシイ(clausii)アルカリ性プロテアーゼ遺伝子、B.プミリス(pumilis)キシロシダーセ遺伝子、B.チューリンゲンシス(thuringiensis)cryIIIAおよびB.リケニホルミス(licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子が挙げられるがそれらに限定されない。
追加のプロモーターには、A4プロモーターならびにファージラムダPRもしくはPLプロモーターおよび大腸菌(E.coli)lac、trpもしくはtacプロモーターが含まれるがそれらに限定されない。
前駆および改変プロテアーゼは、細菌および真菌を含む任意の好適なグラム陽性細菌の宿主細胞内で生成される。例えば、一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、真菌および/または細菌起源の宿主細胞内で生成される。一部の実施形態では、宿主細胞は、バチルス(Bacillus)種、ストレプトミセス(Streptomyces)種、エシェリキア(Escherichia)種またはアスペルギルス(Aspergillus)種である。一部の実施形態では、改変プロテアーゼは、バチルス(Bacillus)種宿主細胞によって生成される。本発明の改変タンパク質の生成において利用されるバチルス(Bacillus)種宿主細胞の例としては、B.リケニホルミス(licheniformis)、B.レンツス(lentus)、B.サブチリス(subtilis)、B.アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)、B.レンツス(lentus)、B.ブレビス(brevis)、B.ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(alkalophilus)、B.コアグランス(coagulans)、B.サーキュランス(circulans)、B.プミリス(pumilis)、B.チューリンゲンシス(thuringiensis)、B.クラウシイ(clausii)およびB.メガテリウム(megaterium)ならびにバチルス(Bacillus)属内の他の生体が挙げられるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、B.サブチリス(subtilis)宿主細胞が利用される。米国特許第5,264,366号明細書および同第4,760,025(RE34,606)号明細書は、本発明において利用される種々のバチルス(Bacillus)宿主菌株について記載しているが、本発明では他の好適な菌株も利用される。
本発明において利用される数種の産業用菌株には、非組換え(すなわち、野生型)バチルス(Bacillus)種菌株ならびに天然型菌株および/または組換え菌株の変異体が含まれる。一部の実施形態では、宿主菌株は、組換え菌株であって、関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが宿主に導入されている組換え菌株である。一部の実施形態では、宿主菌株は、B.サブチリス(subtilis)宿主菌株、特に、組換えバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主菌株である。1A6(ATCC39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753〜PB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC39,087)、ATCC21332、ATCC6051、MI113、DE100(ATCC39,094)、GX4931、PBT110およびPEP211菌株を含むがそれらに限定されない数多くのB.サブチリス(subtilis)菌株が公知である(例えば、それらのそれぞれが全体として参照により組み込まれるHoch et al.,Genetics,73:215−228,1973;米国特許第4,450,235号明細書;同第4,302,544号明細書;および欧州特許第0134048号明細書を参照されたい)。発現宿主としてのB.サブチリス(subtilis)の使用は、当分野において周知である(例えば、Palva et al.,Gene 19:81−87,1982;Fahnestock and Fischer,J.Bacteriol.,165:796−804,1986;およびWang et al.,Gene 69:39−47,1988を参照されたい)。
一部の実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主は、以下の遺伝子:degU、degS、degRおよびdegQのうちの少なくとも1つにおける突然変異もしくは欠失を含むバチルス(Bacillus)種である。好ましくは、突然変異はdegU遺伝子中にあり、より好ましくは、突然変異はdegU(Hy)32である。(例えば、Msadek et al.,J.Bacteriol.,172:824−834,1990およびOlmos et al.,Mol.Gen.Genet.,253:562−567,1997を参照されたい)。好ましい宿主菌株は、degU(Hy)32突然変異を有するバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)である。一部のまた別の実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主は、scoC4(例えば、Caldwell et al.,J.Bacteriol.,183:7329−7340,2001を参照されたい);spoIIE(例えば、Arigoni et al.,Mol.Microbiol.,31:1407−1415,1999を参照されたい);および/またはoppAもしくはoppオペロンの他の遺伝子(例えば、Perego et al.,Mol.Microbiol.,5:173−185,1991を参照されたい)における突然変異もしくは欠失を含む。実際に、oppA遺伝子における突然変異と同一の表現型を生じさせるoppオペロンの任意の突然変異は、本発明の改変バチルス(Bacillus)菌株の一部の実施形態で利用されるであろうと企図されている。一部の実施形態では、これらの突然変異は単独で発生するが、他の実施形態では、突然変異の組み合わせが存在する。一部の実施形態では、本発明の改変プロテアーゼを生成するために使用できる改変バチルス(Bacillus)は、上述の遺伝子の1つ以上における突然変異を既に含むバチルス(Bacillus)宿主菌株である。さらに、内因性プロテアーゼ遺伝子の突然変異および/または欠失を含むバチルス(Bacillus)種宿主細胞が利用される。一部の実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主細胞は、aprEおよびnprE遺伝子の欠失を含む。他の実施形態では、バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、5種のプロテアーゼ遺伝子の欠失を含むが(米国特許出願公開第2005/0202535号明細書を参照されたい)、他の実施形態では、バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、9種のプロテアーゼ遺伝子の欠失を含む(米国特許出願公開第2005/0202535号明細書を参照されたい)。
宿主細胞は、当分野において公知の任意の好適な方法を使用して本発明の改変プロテアーゼをコードする改変ポリヌクレオチドを用いて形質転換させられる。改変ポリヌクレオチドがベクター内に組み込まれても、またはプラスミドDNAの存在を伴わずに使用されても、改変ポリヌクレオチドは、一部の実施形態では、微生物、好ましくは大腸菌(E.coli)細胞もしくはコンピテントバチルス(Bacillus)細胞内に導入される。プラスミド構築体、およびプラスミドの大腸菌(E.coli)内への形質転換を包含する、DNAをバチルス(Bacillus)細胞内に導入するための方法は、周知である。一部の実施形態では、プラスミドは引き続いて大腸菌(E.coli)から単離され、バチルス(Bacillus)内に形質転換させられる。しかし、例えば大腸菌(E.coli)などの介在微生物を使用することは必須ではなく、一部の実施形態では、DNA構築物もしくはベクターは、バチルス(Bacillus)宿主内に直接的に導入される。
当業者であれば、バチルス(Bacillus)細胞内にポリヌクレオチド配列を導入するための好適な方法を明確に承知している(例えば、Ferrari et al.,‘‘Genetics,’’in Harwood et al.(ed.),Bacillus,Plenum Publishing Corp.,1989,pages 57−72;Saunders et al.,J.Bacteriol.,157:718−726,1984;Hoch et al.,J.Bacteriol.,93:1925−1937,1967;Mann et al.,Current Microbiol.,13:131−135,1986;ならびにHolubova,Folia Microbiol.,30:97,1985;Chang et al.,Mol.Gen.Genet.,168:11−115,1979;Vorobjeva et al.,FEMS Microbiol.Lett.,7:261−263,1980;Smith et al.,Appl.Env.Microbiol.,51:634,1986;Fisher et al.,Arch.Microbiol.,139:213−217,1981およびMcDonald,J.Gen.Microbiol.,130:203,1984を参照されたい)。実際に、プロトプラスト形質変換および会合、形質導入、ならびにプロトプラスト融合を含む形質転換などの方法は知られており、本発明での使用に適している。本発明によって提供されるDNA構築物を宿主細胞に導入するためには、形質転換方法が使用される。バチルス(Bacillus)を形質転換させるための当分野において公知の方法には、部分的に相同の常在プラスミドを有するコンピテント細胞によるドナープラスミドの取込みを含む、プラスミドマーカー救済形質転換などの方法が含まれる(Contente et al.,Plasmid 2:555−571,1979;Haima et al.,Mol.Gen.Genet.,223:185−191,1990;Weinrauch et al.,J.Bacteriol.,154:1077−1087,1983;およびWeinrauch et al.,J.Bacteriol.,169:1205−1211,1987を参照されたい)。この方法では、入来ドナープラスミドは、染色体形質転換を模倣する方法において常在「ヘルパー」プラスミドの相同領域と再結合する。
一般に使用される方法に加えて、一部の実施形態では、宿主細胞は直接的に形質転換させられる(すなわち、宿主細胞内に導入する前にDNA構築物を増幅させるために、またはさもなければプロセシングするために中間細胞が使用されない)。DNA構築物の宿主細胞内への導入には、プラスミドもしくはベクター内へ挿入することなくDNAを宿主細胞内に導入するために当分野において知られている物理的および化学的方法が含まれる。そのような方法には、塩化カルシウム沈澱法、エレクトロポレーション法、裸のDNA法、リポソーム法などが含まれるがそれらに限定されない。追加の実施形態では、DNA構築物は、プラスミドに挿入することなく、プラスミドと共に同時形質転換させられる。また別の実施形態では、選択的マーカーは、当分野において公知の方法によって、改変バチルス(Bacillus)菌株から欠失させられる(例えば、Stahl et al.,J.Bacteriol.,158:411−418,1984およびPalmeros et al.,Gene 247:255−264,2000を参照されたい)。
一部の実施形態では、本発明の形質転換細胞は、従来型栄養培地中で培養される。例えば、温度、pHなどの好適な特異的培養条件は、当業者には公知である。さらに、一部の培養条件は、例えばHopwood(2000)Practical Streptomyces Genetics,John Innes Foundation,Norwich UK;Hardwood et al.,(1990)Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley and from the American Type Culture Collection(ATCC)などの科学的文献において見いだすことができる。
一部の実施形態では、改変プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド配列を用いて形質転換された宿主細胞は、本プロテアーゼの発現を許容する条件下で好適な栄養培地中で培養され、その後に結果として生じるプロテアーゼが培養から回収される。細胞を培養するための培地は、例えば最小培地もしくは適切な補給物を含有する天然培地などの宿主細胞を増殖させるために好適な任意の従来型培地を含む。好適な培地は商業的供給業者から入手可能である、または(例えばAmerican Type Culture Collectionのカタログ中で)公開された製法にしたがって調製することができる。一部の実施形態では、細胞によって生成されるプロテアーゼは、遠心分離もしくは濾過によって培地から宿主細胞を分離する方法、塩(例えば、硫酸アンモニウム)による上清もしくは濾液のタンパク質性成分の沈降、クロマトグラフィー精製(例えば、イオン交換、ゲル濾過、親和性など)を含むがそれらに限定されない従来型手法によって培養培地から回収される。したがって、本発明においては、本発明のプロテアーゼを回収するために好適な任意の方法が利用される。実際に、本発明が任意の特定精製法に限定されることは意図されていない。
本発明の改変プロテアーゼを含む組換え宿主細胞によって生成されたタンパク質は、培養培地中に分泌される。一部の実施形態では、他の組換え構造は、非相同もしくは相同ポリヌクレオチド配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするプロテアーゼポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合する(Kroll et al.,DNA Cell Biol 12:441−453,1993)。そのような精製促進性ドメインには、固定化金属上での精製を可能にする例えばヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレート化ペプチド(Porath J.,Protein Expr Purif 3:263−281,1992)、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメインおよびFLAGS伸長/親和性精製システム内で利用されるドメイン(Immunex Corp,Seattle WA)が含まれるがそれらに限定されない。精製ドメインと非相同タンパク質との間の例えばXA因子もしくはエンテロキナーゼなどの開裂可能なリンカー配列(Invitrogen,San Diego,CA)の包含もまた、精製を促進するために利用される。
上述のように、本発明は、同一条件下で増殖させられたバチルス(Bacillus)宿主細胞によって未改変全長酵素からプロセシングされた場合に同一成熟プロテアーゼのレベルより高いレベルで成熟形を生成するために、バチルス(Bacillus)宿主細胞によってプロセシングされている改変全長プロテアーゼをコードする改変全長ポリヌクレオチドを提供する。生成のレベルは、分泌酵素の活性のレベルによって決定される。
生成の1つの尺度は、改変プロテアーゼからプロセシングされた場合の成熟形の酵素活性値対未改変前駆プロテアーゼからプロセシングされた場合の成熟形酵素活性値の比率の百分率として表示される、相対活性として決定できる。100%以上の相対活性は、改変前駆体からプロセシングされているプロテアーゼの成熟形が、同一成熟プロテアーゼが生成されるが未改変前駆体からプロセシングされた場合のレベル以上のレベルで生成されることを示している。したがって、一部の実施形態では、改変プロテアーゼからプロセシングされた成熟プロテアーゼの相対活性は、未改変プロテアーゼからプロセシングされたプロテアーゼの成熟形の対応する生成と比較した場合に、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、少なくとも約375%、少なくとも約400%、少なくとも約425%、少なくとも約450%、少なくとも約475%、少なくとも約500%、少なくとも約525%、少なくとも約550%、少なくとも約575%、少なくとも約600%、少なくとも約625%、少なくとも約650%、少なくとも約675%、少なくとも約700%、少なくとも約725%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約825%、少なくとも約850%、少なくとも約875%、少なくとも約850%、少なくとも約875%、少なくとも約900%および少なくとも約1000%以上までである。または、相対活性は、改変前駆体からプロセシングされたプロテアーゼの活性値を未改変前駆体からプロセシングされた場合の同一プロテアーゼの活性値で割ることによって決定される生成率の比として表示される。したがって、一部の実施形態では、改変前駆体からプロセシングされた成熟プロテアーゼの生成比は、少なくとも約1、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約.18、少なくとも約1.9、少なくとも約2、少なくとも約2.25、少なくとも約2.5、少なくとも約2.75、少なくとも約3、少なくとも約3.25、少なくとも約3.5、少なくとも約3.75、少なくとも約、少なくとも約4.25、少なくとも約4.5、少なくとも約4.75、少なくとも約5、少なくとも約5.25、少なくとも約5.5、少なくとも約5.75、少なくとも約6、少なくとも約6.25、少なくとも約6.5、少なくとも約6.75、少なくとも約7、少なくとも約7.25、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも約8.25、少なくとも約8.5、少なくとも約8.75、少なくとも約9および少なくとも約10までである。
プロテアーゼの活性を検出および測定するためには、当業者には公知の様々なアッセイがある。特に、プロテアーゼ活性を測定するためには、280nmでの吸光度として、またはフォリン法を用いた比色測定により測定される、カゼインもしくはヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づくアッセイを利用することができる(例えば、Bergmeyer et al.,‘‘Methods of Enzymatic Analysis’’vol.5,Peptidases,Proteinases and their Inhibitors,Verlag Chemie,Weinheim,1984を参照されたい)。一部のアッセイは、色素産生基質の可溶化を含んでいる(例えば、Ward,‘‘Proteinases’’,in Fogarty(ed.).,Microbial Enzymes and Biotechnology,Applied Science,London,1983,pp251−317を参照されたい)。他の典型的なアッセイには、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラニトロアニリドアッセイ(SAAPFpNA)および2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が含まれるがそれらに限定されない。当業者には公知の数多くの追加の参考文献が好適な方法を提供する(例えば、Wells et al.,Nucleic Acids Res.11:7911−7925,1983;Christianson et al.,Anal.Biochem.,223:119−129,1994およびHsia et al.,Anal Biochem.,242:221−227,1999を参照されたい)。本発明が任意の特定アッセイ法に限定されることは意図されていない。
宿主細胞内での成熟プロテアーゼの生成レベルを決定するための他の手段には、タンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体いずれかを使用する方法が含まれるが、それらに限定されない。例としては、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、蛍光イムノアッセイ法(FIA)および蛍光活性化セルソーティング法(FACS)が挙げられるがそれらに限定されない。これらやその他のアッセイは、当分野では周知である(例えば、Maddox et al.,J.Exp.Med.,158:1211,1983を参照されたい)。
成熟プロテアーゼを生成する方法
また別の態様では、本発明は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞中で成熟プロテアーゼを生成するための方法であって:
a)本発明の発現ベクターを提供する工程;
b)前記発現ベクターを用いてバチルス種(Bacillus sp.)宿主細胞を形質転換させる工程;および
c)前記成熟プロテアーゼが前記宿主細胞によって生成されるような好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程を含む方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞中で成熟プロテアーゼを生成するための方法であって、
a)本発明の前記宿主細胞を提供する工程;
b)前記成熟プロテアーゼが前記宿主細胞によって生成されるような好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程を含む方法を提供する。
本方法の一部の実施形態では、前記バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞である。
本方法の一部の実施形態では、前記成熟プロテアーゼは、野生型バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)セリンプロテアーゼ、変異体またはそのホモログである。
本方法の一部の実施形態では、前記成熟プロテアーゼは、同一の第1ポリヌクレオチド領域および第3ポリヌクレオチド領域を含むが第2ポリヌクレオチド領域は第3ポリヌクレオチド領域によってコードされたB.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)プロテアーゼの野生型プロペプチド領域をコードする発現ベクターもしくは改変染色体を含む宿主細胞によるより高レベルで発現する。
本方法の一部の実施形態では、前記第2ポリヌクレオチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの変異プロペプチド領域をコードするが、このとき前記成熟プロテアーゼは、同一の第1ポリヌクレオチド領域および第3ポリヌクレオチド領域を含むが第2ポリヌクレオチド領域はバチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来の同一サブチリシンの野生型プロペプチド領域をコードする発現ベクターもしくは改変染色体を含む宿主細胞によるより高レベルで発現する。
本方法の一部の実施形態では、生成された成熟プロテアーゼは、2個のグルタミンから始まる。一部の実施形態では、生成された成熟領域は、配列番号11または12との少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有する。一部の実施形態では、生成された成熟プロテアーゼは、配列番号11または12の配列を含む。
ポリペプチド
また別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、または本明細書に記載した改変プロテアーゼを含むポリペプチドを提供する。
一部の実施形態では、本ポリペプチドは、1つの改変プロテアーゼを含み、前記プロテアーゼはバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域を含み、ここで前記プロペプチド領域は、配列番号8との少なくとも40%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本ポリペプチドは、1つの改変プロテアーゼを含み、前記改変プロテアーゼはバチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼのプロペプチド領域を含み、ここで前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来である。
一部の実施形態では、本プロペプチド領域は、成熟領域のアミノ末端に連結している。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来である。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・レヘンシス(Bacillus lehensis)およびバチルス・ノバリス(Bacillus novalis)からなる群から選択されるバチルス(Bacillus)種由来である。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)由来である。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、セリンプロテアーゼもしくはサブチリシンである。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの野生型プロペプチド領域である。
一部の他の実施形態では、前記プロペプチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの変異プロペプチド領域である。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、BspQ01211、Bps02592、B.lentus_P29600、BspAL03240、Bpan01744、B.clausii_P41362、B.lehensis_AFK08970、Bps02003、Bohn00569、BspAK01305、Bpan04382およびBspAL03279からなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、BspQ01211、Bps02592、B.lentus_P29600、BspAL03240、B.clausii_P41362、B.lehensis_AFK08970およびBpan01744からなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記非相同バチルス(Bacillus)プロテアーゼは、B.lentus_P29600である。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8との少なくとも50%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8との少なくとも75%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8との少なくとも90%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の配列を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)もしくはその関連種由来のサブチリシンの変異プロペプチド領域であって、配列番号8の6位、30位もしくは32位に対応する位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異プロペプチド領域である。
一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の6位に対応する位置にあり、E6A、E6C、E6R、E6N、E6Q、E6G、E6H、E6I、E6L、E6K、E6M、E6F、E6P、E6S、E6T、E6W、E6YおよびE6Vからなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の30位に対応する位置にあり、E30A、E30R、E30N、E30D、E30C、E30Q、E30G、E30H、E30L、E30K、E30M、E30S、E30T、E30W、E30YおよびE30Vからなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、配列番号8の32位に対応する位置にあり、A32R、A32N、A32C、A32Q、A32G、A32H、A32I、A32L、A32K、A32M、A32F、A32P、A32S、A32T、A32W、A32YおよびA32Vからなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、前記プロペプチド領域が配列番号8の6位、30位および32位から選択された位置で少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことを前提に、配列番号8に規定した配列を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の6位で、E6A、E6C、E6R、E6N、E6Q、E6G、E6H、E6I、E6L、E6K、E6M、E6F、E6P、E6S、E6T、E6W、E6YおよびE6Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の30位で、E30A、E30R、E30N、E30D、E30C、E30Q、E30G、E30H、E30L、E30K、E30M、E30S、E30T、E30W、E30YおよびE30Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態では、前記プロペプチド領域は、配列番号8の32位で、A32R、A32N、A32C、A32Q、A32G、A32H、A32I、A32L、A32K、A32M、A32F、A32P、A32S、A32T、A32W、A32YおよびA32Vからなる群から選択される1つのアミノ酸置換を含む。
一部の実施形態では、本ポリペプチドは1つの改変プロテアーゼを含み、前記改変プロテアーゼは、第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの成熟領域に機能的に連結している第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの変異プロペプチド領域を含む。
一部の実施形態では、前記第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼもしくは前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、セリンプロテアーゼもしくはサブチリシンである。
一部の実施形態では、前記第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、同一バチルス(Bacillus)種由来である。
一部の実施形態では、前記第1バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼおよび前記第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼは、異なるバチルス(Bacillus)種由来である。
一部の実施形態では、前記変異プロペプチド領域は、配列番号7との少なくとも60%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記変異プロペプチド領域は、配列番号7との少なくとも90%の同一性を備える1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記変異プロペプチド領域は、前記プロペプチド領域が配列番号7の34位で1つのアミノ酸置換を含むことを前提に、配列番号7に規定したプロペプチド領域を含む。
一部の実施形態では、前記アミノ酸置換は、バチルス(Bacillus)種宿主細胞による第2バチルス・ギブソニイ・クレード(Bacillus gibsonii−clade)プロテアーゼの前記成熟領域の生成を強化する。
一部の実施形態では、前記バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)宿主細胞である。
一部の実施形態では、配列番号7の34位での前記アミノ酸置換は、E34D、E34C、E34G、E34H、E34SおよびE34Vからなる群から選択される。
一部の実施形態では、前記非相同もしくは変異プロペプチド領域は、配列番号44に規定した1つのアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、前記非相同もしくは変異プロペプチド領域は、配列番号69に規定した1つのアミノ酸配列を含む。
ポリペプチドの一部の実施形態では、改変プロテアーゼの成熟領域は本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、さらに本明細書に記載した1つのシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、バチルス(Bacillus)種においてタンパク質を分泌させるために好適である。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)においてタンパク質を分泌させるために好適である。
本明細書に言及した全刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明に記載した方法および系の様々な修飾および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、当業者には明白であろう。本発明は、特定の実施形態に結び付けて記述してきたが、本発明がそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際に、本発明を実施するための本明細書に記載した様式の様々な修飾は、当業者には明白であり、本発明の特許請求の範囲の範囲内に含まれることは企図されている。
実験
下記に記載する実験の開示においては、次の略語が適用される:ppm(百万分率);M(モルの);mM(ミリモルの);μM(マイクロモルの);nM(ナノモルの);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);pg(ピコグラム);L(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);μlおよびμL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);U(単位);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒間);min(s)(分/分間);h(s)およびhr(s)(時間);℃(摂氏温度);QS(十分量);QC(QuikChange)、ND(実施していない);NA(適用不可);rpm(毎分回転数);w/v(重量対容積);v/v(容積対容積);g(重力);OD(光学密度);aa(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロベース対);kD(キロダルトン);suc−AAPF−pNA(スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド);DMSO(ジメチルスルホキシド);cDNA(コピーもしくは相補的DNA);DNA(デオキシリボ核酸);ssDNA(一本鎖DNA);dsDNA(二本鎖DNA);dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸);DTT(1,4−ジチオ−DL−トレイトール);H2O(水);dH2O(脱イオン水);HCl(塩酸);MgCl2(塩化マグネシウム);MOPS(3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸);NaCl(塩化ナトリウム);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動法);PBS(リン酸緩衝食塩液[150mMのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム緩衝剤、pH7.2]);PEG(ポリエチレングリコール);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル);RNA(リボ核酸);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);SOC(2%のバクトトリプトン、0.5%のバクト酵母抽出物、10mMのNaCl、2.5mMのCl);Terrificブロス(TB;12g/lのバクト・トリプトン、24g/lのグリセロール、2.31g/lのKH2PO4および12.54g/lのK2HPO4);OD280(280nmでの光学密度);OD600(600nmでの光学密度);A405(405nmでの吸光度);Vmax(酵素触媒反応の最大初期速度);HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸]);Tris−HCl(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン塩酸塩);TCA(トリクロロ酢酸);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);RP−HPLC(逆相高圧液体クロマトグラフィー);TLC(薄層クロマトグラフィー);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);EtOH(エタノール);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);TAED(N,N,N’N’−テトラアセチレンジアミン)。
以下の実施例は、本発明の特定の実施例および態様を例示し、さらに詳しく説明するために提供するものであり、その範囲を限定すると解釈すべきではない。
実施例1
方法
プロテアーゼ活性のAAPFアッセイ
下記に記載するように入手したB.サブチリス(subtilis)培養をプロテアーゼ発現の1つの指標として活性サブチリシンプロテアーゼの生成についてアッセイした。生成された酵素を合成基質であるスクシニル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアナリド(AAPF)に対する活性についてアッセイした。このアッセイは、活性プロテアーゼの生成をp−ニトロアナリンの加水分解および放出の結果として生じた経時的な405nmでの吸光度の増加として測定する(Estell et al.,J.Biol.Chem.,260:6518−6521,1985)。B.サブチリス(subtilis)培養上清は、10mMのTris+0.005%のTWEEN(登録商標)−80、pH8.6を含有するTris緩衝剤中に適切に希釈した。反応は、希釈した培養上清を25μLのAAPF基質(上述したTris緩衝液中の1mg/mlのAAPF)中に加えることによって調製した。動態アッセイは、2分間にわたり96ウエルプレートリーダー(Spectramax、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)上でランしたが、これは線形反応を生じさせた。
プロテアーゼサンプルを単離するためのB.サブチリス(subtilis)の培養
コントロールプラスミドまたは1つの改変プロテアーゼをコードするプラスミドを有する細菌コロニーを使用して、マイクロタイタープレート(MTP)のウエル内に5ppmのクロラムフェニコール(CMP)を含有するLuriaブロス150μLを接種した。次にMTPを250rpmで回転させながら37℃で4時間にわたりインキュベートした。各10μlの培養は、下記に記載するバチルス(Bacillus)培養培地160μlを含有する新規なMTPにpH7.6で移し、これらの培養を31℃の270rpmで68時間にわたり振とうインキュベーター内で増殖させた。バチルス(Bacillus)培養培地は、主要窒素源としての尿素、主要炭素源としてのグルコースを含み、堅固な細胞増殖のために1%のSoytoneが補給されたMOP緩衝剤をベースとする濃縮半合成培地であった。インキュベーション時間後、MTPを遠心し、上述したAAPFアッセイを使用して、培養それぞれの上清をプロテアーゼ活性についてアッセイした。
実施例2
天然Bgi02446プロペプチド配列もしくはB.レンツス(lentus)サブチリシン由来の非相同プロペプチド配列のいずれかを使用したバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446成熟サブチリシンの発現
B.サブチリス(subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号2)、Bgi02446プロ配列(配列番号3)、バチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446成熟配列(配列番号4)およびB.レンツス(lentus)終結因子(配列番号39)を含むDNAカセットは、GeneArt,Life Technologies(Carlsbad,CA)によって合成された。図2は、Bgi02446天然プロペプチド配列を用いたBgi02446サブチリシン発現のために使用された遺伝子カセットを示している。
プロ配列予測は、例えば、BPN’(Wells et al.,Nucleic Acids Res,11:7911−7925,1983)およびPB92プロテアーゼ(van der Laan et al.,Appl Environ Microbiol,57:901−909,1991)などの相同性セリンプロテアーゼ内のプロ−成熟接合に関する知識に基づいた。AprBGとしても公知のバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446の発現は、以前に(Deng et al.,‘‘Secretory expression,functional characterization,and molecular genetic analysis of novel halo−solvent−tolerant protease from Bacillus gibsonii.’’J Microbiol Biotechnol.24:197−208,2014)およびさらにPCT国際公開第2015/089447号パンフレットの中でDanisco US Inc.によって報告されている)。Bgi02446サブチリシンは、DSM8722菌株によってコードされ、さらにAprBG(Deng et al.,2014)としても公知である。このサブチリシンは、菌株DSM9728、DSM9729、DSM9730およびDSM9731によってコードされる相同性酵素と一緒に、全部がサブチリシン系統樹の同一領域内の重要な配列同一性およびクラスターを共有している。それらは、サブチリシンのB.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)の基礎を形成する(PCT国際公開第2015/089447号パンフレット)。
B.サブチリス(subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号2)、B.レンツス(lentus)サブチリシンプロペプチド配列(配列番号5)、Bgi02446サブチリシン成熟配列(配列番号4)およびB.レンツス(lentus)終結因子(配列番号39)を含むDNAカセットが合成された(GeneArt)。図3は、この場合にはB.レンツス(lentus)サブチリシンプロペプチド配列を用いたBgi02446サブチリシン発現のために使用された遺伝子カセットを示している。
どちらの発現カセットも、標準分子生物学プロトコルを使用して制限酵素EcoRIおよびHidIIIによって消化された。
黄色ブドウ球菌(S.aureus)(配列番号6)由来のクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子発現カセットもまた合成された(DNA2.0 Menlo Park,CA)。このカセットの図は、図4に示した。この発現カセットは、標準分子生物学プロトコルを使用して制限酵素EcoRIおよびHidIIIによって消化された。
バチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446サブチリシンを発現する2つの遺伝子カセットをそれぞれ、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いてCAT遺伝子カセットにライゲートさせ、次にキットの製造業者の取扱説明書にしたがってローリングサークル増幅(RCA)反応を実施した(製品番号25640010、GE Healthcare)。ローリングサークル増幅反応を使用して、好適なB.サブチリス(subtilis)菌株の200μlのコンピテント細胞を形質転換させた。形質転換細胞は、250rpmで振とうしながら37℃で1時間にわたりインキュベートした。形質転換混合物由来の細胞は、クロラムフェニコール選択下で1.6%の脱脂乳を含有する寒天プレート上でプレーティングした。単一コロニーを選択して600nmで1.3の光学密度までLuriaブロス内で増殖させた。次に各菌株サンプルは、20%のグリセロールを用いて−80℃で凍結させた。配列番号2によってコードされたB.サブチリス(subtilis)由来のAprEシグナルペプチドのアミノ酸配列は、配列番号40に規定した。
実施例3
天然B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446プロペプチド配列もしくはB.レンツス(lentus)サブチリシン由来の非相同プロペプチド配列を使用した場合のB.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446野生型成熟サブチリシンの発現レベル
実施例2に記載した構築物から入手したB.サブチリス(subtilis)培養を使用して、菌株それぞれ由来のサンプル上の相対サブチリシン活性を測定した。AAPF−pNA基質上のプロテアーゼ活性を使用して、本実施例および下記の実施例において評価した様々な構築物によって発現したサブチリシン酵素の相対量を検出した。天然B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446プロペプチド対非相同B.レンツス(lentus)プロペプチドが発現に及ぼす作用の比較の結果は、表3に示した。バチルス.ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446サブチリシンの発現は、異なるバチルス(Bacillus)種サブチリシン、今回の場合にはB.レンツス(lentus)サブチリシン由来のプロペプチドを天然型配列に代えて使用した場合に有意に強化される。これらの2つのプロペプチドのアミノ酸配列は、下記の実施例13上の配列アラインメントから明らかなように、有意に相違する。
Bgi02446プロ配列によってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号7に規定し、B.レンツス(lentus)サブチリシンプロ配列によってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号8に規定した。
実施例4
天然Bgi02446プロペプチド配列もしくはB.レンツス(lentus)サブチリシン由来のプロペプチド配列のいずれかを使用した成熟サブチリシンのバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)変異BSP−00801の発現
B.サブチリス(subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号2)、バチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446(配列番号3)もしくはB.レンツス(lentus)(配列番号5)いずれか由来のプロ配列およびBSP−00801(配列番号9)と呼ばれるバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)Bgi02446の変異体に対する遺伝子に対応する配列を含むDNAカセットは、表4に列挙したプライマーを使用する増幅によって合成した。当分野において公知の技術を使用して、最終発現カセットを作成するためにGibson Assembly(SGI DNA、製品番号GA1100−10)を使用してPCR断片を組み立てた。ローリングサークル増幅反応は、製造業者の取扱説明書にしたがって実施した(GE Healthcare、製品番号25640010)。ローリングサークル増幅反応を使用して、好適なB.サブチリス(subtilis)菌株の200μlのコンピテント細胞を形質転換させた。形質転換細胞は、250rpmで振とうしながら37℃で1時間にわたりインキュベートした。形質転換混合物由来の細胞は、クロラムフェニコール選択下で1.6%の脱脂乳を含有する寒天プレート上でプレーティングした。単一コロニーを選択して600nmで1.3の光学密度までLuriaブロス内で増殖させた。次に各菌株サンプルは、20%のグリセロールを用いて−80℃で凍結させた。
実施例5
天然Bgi02446プロペプチド配列もしくはB.レンツス(lentus)サブチリシン由来の非相同プロペプチド配列を使用した場合のB.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801成熟サブチリシンの発現レベル
実施例4に記載した構築物から入手したB.サブチリス(subtilis)培養を使用して、菌株それぞれ由来のサンプル上の相対サブチリシン活性を測定した。AAPF−pNA基質上のプロテアーゼ活性を使用して、本実施例および下記の実施例において評価した様々な構築物によって発現したB.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801サブチリシン酵素の相対量を検出した。天然B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446プロペプチド対非相同B.レンツス(lentus)プロペプチドの比較の結果は、表3に示した。本発明者らは、BSP−00801成熟遺伝子(配列番号9)を備える発現カセット中のB.レンツス(lentus)サブチリシンプロペプチド配列(配列番号3)を使用すると、BSP−00801タンパク質の生産性の強化が与えられることを観察した。B.レンツス(lentus)プロペプチドを使用してB.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801が発現した場合に観察される強化された発現は、野生型Bgi02446B.ギブソニイ(gibsonii)プロペプチド配列について観察されたものと大きさが類似する(表5を参照されたい)。
実施例6
成熟プロテアーゼ配列の確認
タンパク質を沈降させるために、トリクロロ酢酸を用いてサンプルを処理した。タンパク質ペレットを8Mの尿素に溶解させ、ジチオトレイトールを用いて還元させ、ヨードアセトアミドを用いてアルキル化し、トリプシン、α−キモトリプシンおよびエンドプロテイナーゼGluCの混合物を用いて消化した。高分解能LC/MS/MSを使用してこれらのサンプルを分析した。サンプルをRP−HPLC(Acquity HPLC上のPhenomenex Aeris Peptide XB−C18カラム、Waters)および0.1%のギ酸を用いる2〜85%のアセトニトリル勾配にかけた。システムは、連続的に高分解能タンデム質量分光計(OrbiTrap XL,Thermo)に接続した。ポリペプチドは、プロテオミクスデータベース検索ソフトウエアであるProteme Discobverer 1.4上で同定された。
天然Bgi02446プロペプチドを使用して発現系から単離されたBgi02446成熟タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号10に規定した。N末端で1つのグルタミン(Q)を備える268アミノ酸ポリペプチドは、以前に観察されたBgi02446成熟タンパク質と一致する(Deng et al.,2014およびPCT国際公開第2015/089447号パンフレットの中で配列番号7としてDanisco US Inc.によって報告された)。例えばBPN’(Wells et al.,Nucleic Acids Res,11:7911−7925,1983)およびPB92プロテアーゼ(van der Laan et al.,Appl Environ Microbiol,57:901−909,1991)などの相同セリンプロテアーゼ内でのプロ−成熟接合に関する知識に基づくプロ配列予測は、N末端で2つのグルタミン(QQ)を有する269アミノ酸成熟Bgi02446タンパク質を予測したが、その代わりに1つのグルタミン(Q)しか観察されなかった。
非相同B.レンツス(lentus)プロペプチドを使用して発現系から単離されたBgi02446成熟タンパク質の269アミノ酸配列は、配列番号11に規定した。非相同B.レンツス(lentus)プロペプチドを使用した場合に得られる成熟Bgi02446サブチリシンのこの配列が天然/相同Bgi02446プロペプチドを使用した場合に得られる配列とは異なることが見いだされることは、興味深い。非相同発現カセットの場合は、269アミノ酸Bgi02446サブチリシンは予測N末端を有するが、それ以上プロセシングされない。
B.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801サブチリシンのサンプルは、さらに上述したLC/MSによっても分析した。Bgi02446成熟タンパク質と同様に、BSP−00801サブチリシン変異体もまた、発現カセット内で使用されたプロペプチドに依存して異なるN末端を有していた。Bgi02446と同様に、BSP−00801サブチリシン変異体は、非相同B.レンツス(lentus)プロペプチド(配列番号12)を使用して発現させた場合はN末端で2つのグルタミン(QQ)を示したが、親Bgi02446プロペプチド(配列番号13)を使用して発現させた場合はN末端で1つのグルタミン(Q)を示した。
実施例7
Bgi02446サブチリシンを発現させるためのB.レンツス(lentus)プロペプチド位置評価ライブラリーの構築
Bgi02446サブチリシンの発現への大きな影響を評価するために、B.レンツス(lentus)サブチリシンプロペプチドの複数のアミノ酸位置での位置評価ライブラリー(SEL)を生成した。これらのSELは、標準分子生物学プロトコルを使用して生成した。B.サブチリス(subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号5)およびBgi02446成熟遺伝子(配列番号4)を含むDNAカセットを含有する鋳型プラスミドを構築し、pKB723−Bgi02446と称した(図5)。位置飽和ライブラリー内の各アミノ酸位置に対するフォワードおよびリバースNNSオリゴマー(表6に列挙した)および外部プライマー(表7に列挙した)を使用して、Eurofins Genomics(Huntsville,AL,USA)から入手した発現カセットの始まりおよび終わりにハイブリダイズさせた。
適切なプライマー対および鋳型プラスミドを用いたポリメラーゼ連鎖反応は、PFU Ultra IIポリメラーゼ(Agilent Technologies Inc.)を使用して実施した。PCRは、40μLのH2O、5μLのPFU Ultra II 10×バッファー、1μlのdNTPミックス(Roche)、1μlの各プライマー(濃度5μM)および1μlのDNA鋳型を使用して実施した。PCRは、下記の条件:95℃で2分間を1回、その後に95℃で20秒間、55℃で20秒間および72℃で30秒間を30サイクル、次に72℃で3分間を1サイクルを使用してサーモサイクラー内でインキュベートした。PCR断片は、1.5μLの各PCR反応液+8μlの2×のMaster Mix+5μLのH2Oからなる反応液中のGibson Assembly(SGI DNA製品番号GA1100−10)を使用して集合させ、50℃のサーモサイクラー内で80分間インキュベートし、その後65℃で10分間インキュベートして、4℃に冷却した。
好適なB.サブチリス(subtilis)コンピテント細胞は、集合DNAを用いて形質転換させた。形質転換細胞は、250rpmで振とうしながら37℃で1時間にわたりインキュベートした。形質転換混合物由来の細胞は、クロラムフェニコール選択下で1.6%の脱脂乳を含有する寒天プレート上でプレーティングした。単一コロニーを選択して600nmで1.3の光学密度までLuriaブロス内で増殖させた。次に各菌株サンプルを20%のグリセロールを用いて−80℃で凍結させた。
各変異体は、DNA配列分析によって確証した。分析のためのBgi02446サブチリシンプロテアーゼサンプルを生成するために、変異体の選択的増殖は、各31℃で68時間にわたり、96ウエルMTP中のウエル内の培養培地(主要窒素源としての尿素、主要炭素源としてのグルコースを含み、堅固な細胞増殖のために1%のSoytoneが補給されたMOPバッファーをベースとする濃縮半合成培地)中で実施した。インキュベーションの終了時に、以下に記載するAAPFアッセイを使用して培養のそれぞれをプロテアーゼ活性についてアッセイした。
実施例8
Bgi02446野生型サブチリシンの発現にB.レンツス(lentus)プロペプチドの6位、30位および32位での突然変異が及ぼす作用
B.レンツス(lentus)プロペプチドSELおよびBgi02446成熟サブチリシンの発現に由来する培養上清のアリコートを実施例1において上述したようにAAPF活性についてアッセイした。活性(成熟)Bgi02446サブチリシンの相対発現は、参照物質としての野生型B.レンツス(lentus)プロペプチドを使用して、各発現プラスミドについて計算した。突然変異した位置は、B.レンツス(lentus)プロペプチド直鎖配列(配列番号8)の6位、30位および32位に対応する。表8は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの6位での変異体の結果を列挙しており、表9は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの30位での変異体の結果を列挙しており、表10は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの32位での変異体の結果を列挙している。
実施例9
B.ギブソニイ(gibsonii)BSP−00801変異サブチリシンを発現させるためのB.レンツス(lentus)プロペプチド位置評価ライブラリーの構築
突然変異は、表11に列挙したプライマーならびに標準PCRおよびアセンブリーPCR技術(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press)を使用してB.ギブソニイ(gibsonii)BSP−00801変異発現構築物(例えば、図5を参照されたい)のB.レンツス(lentus)プロペプチド直鎖配列(配列番号8)のアミノ酸6位、30位および32位で導入された。生じたPCR断片は、ライゲーションによって環状化し、好適なバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)菌株内に形質転換させた。個々の突然変異は、引き続きDNAシークエンシングによって同定した。様々なB.レンツス(lentus)プロペプチド突然変異(置換)を有する菌株は、染色体上での発現構築物の増幅を推進するために、クロラムフェニコールの濃度を増加させながら液体培地中で増殖させた。
増幅手法に続いて、これらの菌株は、5mMのCaCl2および5μg/mlのクロラムフェニコールを含有するバチルス(Bacillus)培養培地(実施例1において記載した)中の31℃で68時間にわたり増殖させた。培養上清を採取し、BSP−00801プロテアーゼの量は、実施例1に記載したAAPF活性アッセイを使用して決定した。
配列番号14(下記に規定した)は、B.レンツス(lentus)プロペプチドおよびBSP−00801サブチリシン変異体オープンリーディングフレーム(ORF)を含む発現カセットのヌクレオチド配列を含む。aprEシグナル配列には下線を引き、B.レンツス(lentus)プロペプチド配列はイタリック体で記載し、成熟BSP−00801サブチリシンのヌクレオチド配列は大文字で記載した。
実施例10
B.レンツス(lentus)プロペプチドのアミノ酸6位、30位および32位での突然変異がBSP−00801変異体サブチリシンの発現に及ぼす作用
B.レンツス(lentus)プロペプチドSELおよびB.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801成熟サブチリシンの発現に由来する培養上清のアリコートを実施例1において上述したようにAAPF活性についてアッセイした。活性(成熟)BSP−00801サブチリシンの相対発現は、参照物質としての野生型B.レンツス(lentus)プロペプチドを使用して、各発現プラスミドについて計算した。突然変異(置換)した位置は、B.レンツス(lentus)プロペプチド直鎖配列(配列番号8)の6位、30位および32位に対応する。表12は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの6位での変異体についての結果を列挙しており、表13は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの30位での変異体についての結果を列挙しており、表14は、野生型配列に比して発現の増加を示しているB.レンツス(lentus)プロペプチドの32位での変異体についての結果を列挙している。
実施例11
Bgi02446成熟サブチリシンを発現させるためのBgi02446プロ配列の34位での部位飽和突然変異誘発
アミノ酸34位でのBgi02446プロペプチド(配列番号7)の部位飽和突然変異誘発は、QuikChange(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(QC;Stratagene)を製造業者の指示にしたがって使用して実施した。B.サブチリス(subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号2)、B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446プロ配列(配列番号3)およびB.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446成熟遺伝子(配列番号4)を含むDNAカセットをpJH101ベクター(Ferrari et al.,J.Bacteriol.154:1513−1515、1983)のEcoRIおよびHindIII制限部位内にクローニングしてpJH−Bgi02446プラスミドを生成した(図7)。
相補的オーバーラッププライマーは、NNSコドンに隣接している約18塩基を備える34位を突然変異させるための設計され、Eurofins Genomics,Huntsville,AL,USAから注文された。34位のアミノ酸を突然変異させるために使用したフォワードプライマーおよびリバースプライマーのポリヌクレオチド配列は、表15に示した。
pJH−Bgi02446 DNAは、下記のようにQuikChange(QC)突然変異誘発反応における鋳型として使用された。2μLのpJH−P9ミニプレップDNA(50ng)を39μLの無菌蒸留H2O、1μLのPFU Ultra II、5μlの10×PFUバッファー、1μLのdNTP(Roche)、5μLのフォワードプライマー(5μM)および5μlのリバースプライマー(5μM)に計50μLとなるように加えた。DNA増幅反応(PCR)は、次のサイクル条件:95℃で1分間を1回、次に95℃で1分間、55℃で1分間および68℃で12分間のサイクルを19〜20サイクルで実施した。5μLのPCR反応は、1.2%のE−gel(Invitrogen)を使用して電気泳動法によって分析した。
引き続いて、1μLのDpnlを使用して37℃で2時間にわたり、変異増幅DNAを2回消化した。陰性コントロールは、類似の条件下で、しかしプライマーの非存在下で生成した。1μLの各DpnI消化反応生成物を使用して、1回分の大腸菌(E.coli)TOP10化学的コンピテント細胞(Invitrogen)の50μLを製造業者のプロトコルにしたがって形質転換させた。形質転換細胞は、37℃で1時間にわたり振とうしながらLuriaブロス(LB)内で増殖させ、次に50ppmのカルベニシリンを含有するLuria寒天(LA)プレート上に線条接種し、37℃で一晩増殖させた。一晩のインキュベーション後、個別コロニーを取り上げ、50ppmのカルベニシリンを含有する150μLのLBを接種するために使用し、96ウエルMTP内で37℃で一晩増殖させた。DNA突然変異を確証するために、DNA配列分析を実施した。
突然変異プロ配列を含む大腸菌(E.coli)培養のアリコートを使用して、5mlのLB+50ppmのカルベニシリンを接種した。Qiagenキット(Qiagen)を使用してプラスミドDNAを準備し、各プラスミドDNAの一部分を使用してB.サブチリス(subtilis)宿主細胞を形質転換させた。10μLのプラスミドDNA(pJH−Bgi02446)を使用して100μlの好適なB.サブチリス(subtilis)コンピテント細胞を形質転換させた。野生型Bgi02446プロ配列(配列番号3)を含む構築物を含有するpJH−Bgi02446コントロールプラスミドもまた、B.サブチリス(subtilis)細胞の同一の好適な菌株に形質転換させた。形質転換細胞は、250rpmで振とうしながら37℃で1時間にわたりインキュベートした。形質転換混合物由来の細胞は、クロラムフェニコール選択下で1.6%の脱脂乳を含有する寒天プレート上でプレーティングした。単一コロニーを選択してクロラムフェニコールを含むLuriaブロス内で増殖させた。プロテアーゼサンプル生成のためには、細胞をバチルス(Bacillus)培養培地(主要窒素源としての尿素、主要炭素源としてのグルコースを含み、堅固な細胞増殖のために1%のSoytoneが補給されたMOP緩衝剤をベースとする濃縮半合成培地)上で増殖させた。浄化培養上清を実施例1において上述したようにAAPFアッセイを使用してプロテアーゼ活性についてアッセイした。
実施例12
B.ギブソニイ(gibsonii)プロペプチドの34位での突然変異がB.ギブソニイ(gibsonii)BSP−00801変異サブチリシンの発現に及ぼす作用
実施例1において上述したように、B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02246プロペプチドSELおよびB.ギブソニイ(gibsonii)変異BSP−00801成熟サブチリシンの発現に由来する培養上清のアリコートをAAPF活性についてアッセイした。活性(成熟)BSP−00801サブチリシンの相対発現は、参照物質としての野生型B.ギブソニイ(gibsonii)プロペプチドを使用して、各発現プラスミドについて計算した。表16は、野生型配列に比較して発現の増加を示している、B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02246プロペプチド(配列番号7)の34位での突然変異についての結果を列挙している。
実施例13
バチルス(Bacillus)サブチリシンプロペプチド領域間の配列比較
本試験において評価したバチルス・レンツス(Bacillus lentus)およびバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)のサブチリシンプロペプチド配列を比較した。図8は、B.ギブソニイ(gibsonii)Bgi02446プロペプチド+Bgi02446の成熟領域のN末端の4個のアミノ酸(配列番号59、配列番号7の84残基を含む)とB.レンツス(lentus)P29600プロペプチド+P29600の成熟領域のN末端の4個のアミノ酸(配列番号60、配列番号8の87残基を含む)のアミノ酸配列のClustal Wアラインメントを示している。これら2つのプロペプチド領域は、このプロ領域のアミノ酸レベルで40%未満の配列同一性を共有し、中心領域ならびにプロセシングが発生する接合部における有意な相違を含んでいる(図8)。図9に提示したように、B.ギブソニイ(gibsonii)(配列番号3)とB.レンツス(lentus)(配列番号5)サブチリシンのプロペプチド領域をコードする核酸配列の配列アラインメントは、同一性率が53.7%であることを示している。
B.レンツス(lentus)およびB.ギブソニイ(gibsonii)の両方を含むバチルス(Bacillus)属のメンバー由来のサブチリシンプロペプチド配列のより大規模なコレクションは、図10に示した。成熟領域の同一性率が75%を超えるサブチリシンに対応するこの群のプロペプチドポリペプチド全体に、有意な相違点が観察される。しかし下記に規定した表17から明らかなように、これらのサブチリシンプロペプチド領域は、35%〜100%の配列同一性を共有している。
B.レンツス(lentus)に程度の差はあるが関連する少数の代表的な種由来のプロペプチド配列を図10においてアラインメントした(配列番号7、8、42、43、48、49、50、51、54および56を含む)。これらの配列の一部は、Danisco US,Inc.が発行したPCT国際公開第2015/089447号パンフレットおよびどちらも2014年10月27日に出願された米国特許出願公開第62/069,188号明細書および同第62/069,184号明細書において最初に報告された。
図10の配列アラインメントおよびその他の方法を使用して、図11に示したB.ギブソニイ・クレード(gibsonii−clade)セリンプロテアーゼの成熟配列を発現させるために使用できる非相同もしくは変異プロペプチド配列のためにモチーフ配列を生成し、そのモチーフ配列は配列番号44に規定した。図11における「X’s」の定義は次のとおりである:各「X」は任意のアミノ酸であってよく、1位、22〜51位および91位の「X’s」は個別もしくは集合的に非存在であってよく、22〜51位には少なくとも約23個のアミノ酸が存在する必要がある。所定の位置では、スラッシュ(/)は、列挙したアミノ酸のいずれかが存在することを示している。